(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536904(P2020-536904A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】焼成カオリンのマット化剤としての使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/26 20060101AFI20201120BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20201120BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
A61K8/26
A61Q1/02
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-520310(P2020-520310)
(86)(22)【出願日】2018年10月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】EP2018077520
(87)【国際公開番号】WO2019072874
(87)【国際公開日】20190418
(31)【優先権主張番号】17306362.9
(32)【優先日】2017年10月10日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】パジ ロール
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC422
4C083AC662
4C083AC812
4C083AC842
4C083AC902
4C083AD092
4C083AD262
4C083AD662
4C083CC11
4C083CC12
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
本開示は、化粧用に許容される担体と、組成物の総質量を基準として少なくとも2.5質量%の焼成カオリンとを含む化粧用組成物に関する。本開示はまた、肌の光沢を軽減する化粧法、および焼成カオリンの、化粧用組成物におけるマット化剤としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用に許容される担体と、
組成物の総質量を基準として少なくとも2.5質量%の焼成カオリンと
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
焼成カオリンが瞬間焼成カオリンである、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
石油由来マット化剤を含有しない、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
焼成カオリンとは異なるマット化剤を含有しない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
焼成カオリンとは異なるマット化剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
焼成カオリンが、少なくとも60mL/焼成カオリン100gの吸油能力、好ましくは、少なくとも80mL/焼成カオリン100gの吸油能力を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項7】
粉末化粧用組成物、たとえば、プレストパウダー化粧用組成物である、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項8】
液状化粧用組成物、たとえば、ゲル化粧用組成物またはクリーム化粧用組成物である、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項9】
組成物の総質量を基準として、30質量%以下の焼成カオリン、または5質量%〜20質量%の間の焼成カオリンを含有する、請求項7に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
組成物の総質量を基準として、15質量%以下の焼成カオリン、または7質量%以下の焼成カオリンを含有する、請求項8に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
焼成カオリンが、約0.1〜4.0μmの範囲のd50、たとえば約0.1〜約1.8μmの範囲のd50を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の焼成カオリンの有効量を肌の表面に適用する、肌の光沢を軽減する化粧法。
【請求項13】
焼成カオリンの、化粧用組成物におけるマット化剤としての使用。
【請求項14】
焼成カオリンが瞬間焼成カオリンである、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
化粧用組成物が石油由来マット化剤を含まない、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
化粧用組成物が、約0.5質量%未満、たとえば約0.4質量%以下、たとえば約0.2質量%以下の、焼成カオリンとは異なるマット化剤を含む、請求項13または14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、焼成カオリンのマット化剤(mattifying agent)としての使用、特に、焼成カオリンの、化粧用組成物におけるマット化剤としての使用に関する。したがって、本発明は、化粧用に許容される担体と焼成カオリンとを含む化粧用組成物、および前記組成物の使用に関する。特定の実施形態では、化粧用組成物は、液状化粧用組成物である。特定の実施形態では、化粧用組成物中の別のマット化剤の一部または全部がカオリンで代用される。
【背景技術】
【0002】
てかり肌は、一般に皮脂の相当な分泌を伴うものであり、本質的には若者が見舞われるが、特にアンドロゲンの過剰産生の結果として、または汚れなどの外的要因の結果として、成人期にも出現しうる問題である。てかり肌は、身体活動または気象条件の結果として生じる汗とも関連する場合がある。てかり肌は、これら両方の現象(皮脂および汗)の組合せによるものである場合もある。肌に対するマット化効果を得ることは、混合肌または脂性肌である使用者にとって、また高温多湿気候における使用が企図される化粧用組成物にとって、非常に望ましい。過剰な皮脂または汗によって引き起こされる肌表面での反射は、魅力的でないとみなされる。てかり肌は、一般にメーキャップの耐久力も弱め、したがって、メーキャップは1日の間に劣化する傾向がある。
魅力的でないてかった面積を速やかに減らす有効な手段は、皮脂および発汗を吸収する充填剤を使用することにある。PMMA粉末およびナイロン粉末は、マット化効果を有することがよく知られている。しかし、こうしたマット化剤は、消費者への訴求力を損なう石油由来(oil-derived)であり、生態系に負担をかけるものである。
有効な、合成でないマット化剤を見出すことが求められていた。
【0003】
本出願人は、化粧用に許容される担体と、組成物の総質量を基準として少なくとも2.5質量%の焼成カオリンとを含む化粧用組成物を含む組成物によって、この求めに応じることができる可能性があることを発見した。
化粧用組成物への天然カオリンの使用は、たとえば、EP07999021またはEP1106164において、すでに開示されている。
しかし、本出願人は、マット化効果をもたらさない天然カオリンとは逆に、焼成カオリンは思いがけず、高いマット化効果を有することを見出した。
こうして得られる組成物によって、肌のマット感を持続的に向上させることが可能になる。したがって、肌は、長時間持続してマットな状態になる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、化粧用に許容される担体と、組成物の総質量を基準として少なくとも2.5質量%の焼成カオリンとを含む化粧用組成物が提供される。
たとえば、化粧用組成物は、化粧用に許容される担体と、組成物の総質量を基準として、少なくとも3質量%の焼成カオリン、たとえば少なくとも3.5質量%の焼成カオリン、たとえば少なくとも4質量%の焼成カオリンとを含む。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、焼成カオリンは、瞬間焼成カオリンである。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、石油由来マット化剤を含有しない。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、ナノ粒子を含有しない。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、焼成カオリンは、コーティングされていない。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、焼成カオリンは、石油由来マット化剤などの石油由来成分および/またはナノ粒子によってコーティングされていない。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、焼成カオリンとは異なるマット化剤を含有しない。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、焼成カオリンとは異なるマット化剤をさらに含有する。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、約0.5質量%未満、たとえば約0.4質量%以下、たとえば約0.2質量%以下の、焼成カオリンとは異なるマット化剤を含む。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、焼成カオリンは、少なくとも60mL/焼成カオリン100g、好ましくは、少なくとも80mL/焼成カオリン100gの吸油能力(oil absorption capacity)を有する。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、粉末化粧用組成物、たとえば、プレストパウダー化粧用組成物である。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、液状化粧用組成物、たとえば、ゲル化粧用組成物またはクリーム化粧用組成物である。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、組成物の総質量を基準として、30質量%以下の焼成カオリン、または5質量%〜20質量%の間の焼成カオリンを含有する。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、組成物の総質量を基準として、15質量%以下の焼成カオリン、または7質量%以下の焼成カオリンを含有する。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、焼成カオリンは、約0.1〜4.0μm、たとえば0.8〜約1.8μmの範囲のd
50を有する。
本発明のいずれかの態様のある特定の実施形態では、化粧用組成物は、洗い流さない化粧用組成物である。
本発明の第2の態様では、化粧用に許容される担体と瞬間焼成カオリンとを含む化粧用組成物が提供される。
本発明の第3の態様では、化粧用に許容される担体と、焼成カオリンと、焼成カオリンとは異なるマット化剤とを含む化粧用組成物が提供される。
本発明の第4の態様では、化粧用に許容される担体と瞬間焼成カオリンとを含む、洗い流さない化粧用組成物が提供される。
本発明の第5の態様では、前述のいずれかの本発明の態様に記載の通りの有効量の焼成カオリンを肌の表面に適用することにある、肌の光沢を軽減する化粧法が提供される。
本発明の第6の態様では、焼成カオリンの、化粧用組成物におけるマット化剤としての使用が提供される。
本発明は、たとえば、化粧用組成物において現在使用されているマット化剤に比べて、申し分のないマット化効果を備えながら、環境に優しいという強みをもたらす。
【0005】
明記した本発明の態様の特定のいずれか1つまたは複数に関して示された細目、例、および優先傾向は、本発明のすべての態様に等しく当てはまる。可能性のあるそのすべての変形形態における、本明細書に記載の実施形態、例、および優先傾向のいずれかの組合せは、本明細書においてそうでないと指摘しない限り、または文脈からそうでないと明らかに否定されない限り、本発明に包含される。
本発明については、限定されることなく、以下の実施例および図に関連して説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施例1において調製した種々の組成物の即時および長期のマット化効力を、素肌と比較して示すグラフである。
【
図2】実施例1において調製した種々の組成物によって即時または長期のマット化効果を示すボランティアの百分率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
化粧用組成物
化粧用に許容される担体と焼成カオリンとを含む化粧用組成物が、本明細書において開示される。思いがけなく、また有利なことに、焼成カオリンを化粧用組成物においてマット化剤として使用できることがわかった。すなわち、焼成カオリンを使用して、化粧用組成物において現在使用されている、PMMAやナイロン粉末のような石油由来マット化剤などのマット化剤の代わりにすることができる。特に、思いがけなく、また有利なことに、焼成カオリンは、化粧用組成物中で、特に、低いpH、およびカチオン性品質改良剤などのイオン性物質の存在下において、安定であることがわかった。特に、思いがけなく、また有利なことに、カオリンを、現在使用されているマット化剤と同様の量で使用して、同等またはより良好な特性、たとえば、マット化効果(同等またはより良好な吸油量、皮脂吸収量、および吸水量が含まれる)、隠蔽力、軟らかさ、および滑らかさを実現できることがわかった。
したがって、化粧用組成物は、石油由来マット化剤を含まなくてよい。
【0008】
用語「石油由来マット化剤」とは、化粧品業界においてマット化剤として知られ、直接または間接的に石油由来である、いずれかの成分に関する。たとえば、石油由来マット化剤には、ポリアミド(Nylon(登録商標))粉末およびアクリルポリマー粉末、たとえば、ポリメチルメタクリレート(すなわち、PMMA)、エチレングリコールジメタクリレート、アリルポリメタクリレート、ラウリルメタクリレート、およびこれらのいずれかのコポリマーまたはいずれかの混合物が含まれる。
化粧用組成物は、ナノ粒子も含有しなくてよい。これは、組成物の、生態系に負担をかけない実績を高めるので、特に有利である。たとえば、組成物は、生態系に負担をかけない、すなわち、大部分、生態系に負担をかけない成分を含有する場合があり、ナノ粒子などの、環境に有害および/またはヒトの健康に有害である成分を含まない。
【0009】
用語「ナノ粒子」とは、1nm〜100nmの間にあるサイズの材料の粒子を意味する。欧州化粧品規則(European Cosmetic Regulation)(EC)No1223/2009/ECは、「ナノ材料」を、「1つまたは複数の外寸、または内部構造が1〜100nmのスケールである、不溶性または生物残留性であり、かつ意図的に製造された材料」と定義している。
焼成カオリンは、たとえば、コーティングされていなくてよい、すなわち、コーティング工程、たとえば、表面処理工程にかけられていない。
【0010】
焼成カオリンは、石油由来マット化剤などの石油由来成分、および/またはナノ粒子によってコーティングされていなくてよい。加えて、または別法として、焼成カオリンは、たとえば、次に挙げるもの、すなわち、生態系に負担をかける無機成分、たとえば、TiO2やZnO、または生態系に負担をかける有機成分、たとえば、アルキルシラン、フルオロシラン、ポリシロキサン、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンの中から選択される、生態系に負担をかける成分でコーティングされていない。
化粧用組成物は、たとえば、焼成カオリンとは異なるマット化剤を含まない場合がある。
別法として、化粧用組成物は、焼成カオリンとは異なるマット化剤をさらに含む場合もある。
用語「マット化剤」は、化粧品業界においてマット化剤として知られるいずれかの成分、すなわち、肌をより「マット」にして肌の光沢を軽減しうるいずれかの成分に関する。たとえば、マット化剤には、石油由来マット化剤、セルロース、およびシリカが含まれる。
用語「洗い流さない組成物」は、適用直後に洗い流されることになっている、シャンプー、シャワーゲル、または練り歯磨きのような、角質を取り除き、汚れを落とす組成物を除く、いずれかの組成物に関する。
たとえば、化粧用組成物は、メーキャップ組成物またはスキンケア組成物であってもよい。
化粧用組成物は、約0.5質量%未満の、焼成カオリンとは異なるマット化剤を含んでもよい。たとえば、化粧用組成物は、約0.4質量%以下の、焼成カオリンとは異なるマット化剤、たとえば約0.2質量%以下の、焼成カオリンとは異なるマット化剤を含んでもよい。
【0011】
焼成カオリン
焼成カオリンを生成するためには、焼成温度を制御して、カオリンが特徴的な吸熱脱水反応を経て、もとの鉱物(たとえば、カオリナイト)が完全または部分的に脱ヒドロキシル化されるようにすることができる。焼成温度は、示差熱分析(DTA)における急激な発熱によって示されることになる、メタカオリンが崩壊する温度より有意に低く保たれる場合がある。対照的に、完全に焼成されたカオリン顔料は、この発熱より高い温度で焼成される場合がある。
【0012】
カオリンは、たとえば、焼成による脱ヒドロキシル化を受ける場合がある。これは、一般には空気または酸素存在下での、熱処理工程である。焼成によって、カオリン構造は、結晶質から非晶質へと変化する。カオリンの結晶質形態が変化を経る度合いは、カオリンに当てられる熱の量に左右されうる。一般に、温度が高いほど、焼成時間は短い。一般に、焼成は、約550℃〜約950℃(たとえば約750℃〜約950℃、たとえば約850℃〜約900℃)の範囲の温度で行われて、焼成カオリンまたはメタカオリンが製造される。約900〜950℃程度の温度にさらに加熱すると、高密度化やアルミニウム−ケイ素スピネル(Si
3Al
4O
12)の生成などの、さらなる構造変化が生じる場合がある。およそ950℃では、カオリン(たとえば、メタカオリン)の非晶質領域が、再結晶し始める場合がある。約1050℃程度およびより高い温度にさらに加熱すると、さらなる構造変化が生じて、ムライト3Al
2O
3・2SiO
2、および結晶性の高いクリストバライトSiO
2が生成される場合がある。
【0013】
カオリンの焼成には、たとえば、いずれかの炉、窯、または適切な他の加熱装置を使用することができる。典型的な手順は、窯、たとえば、従来の回転窯においてカオリンを加熱することを含む。通常、カオリンは、パッグミルからの押出品として窯に導入することができる。カオリンは、最初のカオリンの押出しを容易にするために、通常は約25質量%の出発含水量で窯の中を進むため、押出品は、焼成工程の結果として崩れてペレットになる。カオリンが焼成工程の間に完全に崩れて粉末形態にならないように、カオリンに少量の結合剤(ミョウバンなど)を加えて、カオリンに「未処理強度(green strength)」を与えることができる。
使用する焼成工程は、たとえば、浸漬焼成法である場合があり、すなわち、カオリンまたは粘土は、一定期間焼成され、その間、材料の化学的性質が、加熱の効果によって徐々に変化する。この焼成法は、たとえば、少なくとも1分、多くの場合では少なくとも10分、たとえば30分〜5時間またはより長い時間にわたる場合がある。浸漬焼成法を実施するのに適する既知の装置には、高温オーブン、回転窯、および立窯が含まれる。
【0014】
焼成工程は、たとえば、含水カオリンが、通常は、1秒未満、たとえば0.5秒未満の期間にかけて急速に加熱される、瞬間焼成法である場合がある。たとえば、瞬間焼成において、カオリン(たとえば、水洗されたカオリン)は、数秒間熱気体流に導入される場合もある。瞬間焼成とは、材料を極めて速い速度で、ほとんど瞬時に加熱することを指す。瞬間焼成炉における加熱速度は、毎秒56,000℃程度、またはより高速、たとえば、毎秒約100,000℃〜約200,000℃になる場合がある。カオリンは、たとえば、粘土を500℃より高い温度に5秒以下の時間曝すことのできる瞬間焼成によって調製される場合がある。カオリンは、たとえば、550℃〜1200℃の範囲の温度に焼成される場合があり、マイクロ秒の期間では、温度が1500℃もの高さになる場合がある。カオリンは、800℃〜1100℃の範囲の温度、たとえば900℃〜1050℃の範囲の温度、たとえば950℃〜1000℃の範囲の温度に焼成することができる。たとえば、カオリンは、5秒未満、たとえば1秒未満、たとえば0.5秒未満、たとえば0.1秒未満の時間焼成することができる。カオリン粒子の瞬間焼成は、カオリンの比較的急速な脱ヒドロキシル化によって引き起こされる、粒子の比較的急速な膨れを招く。焼成の間に水蒸気が発生し、これが極めて急速に、実際には、水蒸気が粒子の結晶構造のあちこちに拡散しうるより一般に速く、膨張する場合がある。層間のヒドロキシル基が押し退けられるにつれて、発生する圧力は、密閉された空隙を生じるのに十分になり、これこそが、瞬間焼成カオリンの典型的な特徴であり、瞬間焼成カオリンに特徴的な性質を付与する、カオリン小板間の膨張した層間空間、空隙、または膨れである。
【0015】
瞬間焼成工程は、焼成カオリンが燃焼室から速やかに取り出されるように渦を築くことのできる燃焼室または炉に、カオリンを注入することにより実施できる。適切な炉は、トロイダルな流体流加熱ゾーンが築かれているもの、たとえば、その内容が全体として参照により本明細書に援用されるWO99/24360および対応する出願US6334894およびUS6136740に記載されている装置となる。
瞬間焼成カオリンとは、たとえば上述のような、瞬間焼成工程によって得られる焼成カオリンである。
【0016】
カオリンは、たとえば、任意選択のいずれかの脱ヒドロキシル化の前または後に、1つまたは複数の分粒および/または粉砕ステップを経る場合がある。たとえば、カオリンは、破砕、磨砕、またはミリングによる粉砕にかけられる場合がある。たとえば、カオリンは、篩、遠心機、サイクロン、および空気分級機を使用する分粒にかけられる場合がある。篩分けは、所望のメッシュの篩、たとえば、325メッシュ篩を使用して行うことができる。他の方法は、重力沈降または水簸、いずれかのタイプのヒドロサイクロン装置、または、たとえば、ソリッドボウルデカンター遠心機、およびディスクノズル遠心機を含む。得られた粗い画分は、廃棄し、別個の製品として使用してもよいし、または、たとえば、粉砕槽に再び向け直してもよい。たとえば、カオリンは、たとえば、重力濃縮、浮選、および/または脱水による、高密度化または濃縮ステップを経る場合もある。
【0017】
たとえば、焼成カオリンは、約0.1μm〜約4.0μm、たとえば約0.4μm〜約3.0μm、あるいは約0.8μm〜約1.8μmの範囲のd
50を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約0.9μm〜約1.7μm、約0.95μm〜約1.6μm、約1.0μm〜約1.4μm、または約1.1μm〜約1.3μmの範囲のd
50を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約1.2μmのd
50を有する場合がある。
焼成カオリンは、たとえば、約1.0μm〜約7.0μmの範囲のd
90を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約1.8μm〜約6.0μm、約2.0μm〜約5.0μm、約3.0μm〜約4.5μm、または約3.2μm〜約4.2μmの範囲のd
90を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約3.4μm〜約4.0μmまたは約3.5μm〜約3.9μmの範囲のd
90を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約3.7μmのd
90を有する場合がある。
【0018】
焼成カオリンは、たとえば、約0.2μm〜約1.0μmの範囲のd
10を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約0.3μm〜約0.9μm、約0.35μm〜約0.85μm、約0.4μm〜約0.8μm、または約0.4μm〜約0.7μmの範囲のd
10を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約0.4μm〜約0.6μmまたは約0.45μm〜約0.55μmの範囲のd
10を有する場合がある。たとえば、カオリンは、約0.5μmのd
10を有する場合がある。
【0019】
別段明記しない限り、本明細書で言及する粒径および他の粒子サイズ特性は、Micromeritics Corporation、Norcross、Georgia、USA(電話:+17706623620、ウェブサイト:www.micromeritics.com)が供給しているような、本明細書では「Micromeritics Sedigraph5120ユニット」と呼ぶ、SediGraphIII5120計器を使用して、水性媒質に完全に分散した状態の粒状材料を沈降させることによる、よく知られている要領で測定している(標準方法ISO3317−3)。このような機器によって、測定値、ならびに、当業界において「等価球径(equivalent spherical diameter)」(e.s.d)と呼ばれるサイズが所与のe.s.d値未満である粒子の累積質量パーセントのプロットが得られる。平均粒径、またはd
50値は、50質量%の粒子がd
50値未満の等価球径を有する、このようにして求めた粒子e.s.d.の値である。d
90およびd
10は、それぞれ90質量%および10質量%の粒子が、そのd
90またはd
10値未満の等価球径を有する、このようにして求めた粒子e.s.d.の値である。
【0020】
焼成カオリンは、たとえば、少なくとも約60mL/100gの吸油量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、少なくとも約80、少なくとも約90、または少なくとも約95mL/100gの吸油量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約100mL/100gの吸油量を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約150mL/100gまでの吸油量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約140mL/100gまで、約130mL/100gまで、または約120mL/100gまでの吸油量を有する場合がある。
焼成カオリンの吸油量は、4gの鉱物に加えて固練りの滑らかなペーストが得られる油の量である(亜麻仁で試験)。吸油量値(mL/100g)によって、鉱物の油および有機成分吸収能力が評価される(標準方法ISO787/5)。
【0021】
焼成カオリンは、たとえば、少なくとも約60mL/100gの吸水量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、少なくとも約80、少なくとも約90、または少なくとも約95mL/100gの吸水量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約100mL/100gの吸水量を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約150mL/100gまでの吸水量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約140mL/100gまで、約130mL/100gまで、または約120mL/100gまでの吸水量を有する場合がある。
焼成カオリンの吸水量は、4gの鉱物に加えて固練りの滑らかなペーストが得られる水の体積である。吸水量(mL/100g)によって、鉱物の吸水能力が評価される(ISO787/5に準拠した標準方法)。
【0022】
焼成カオリンは、たとえば、少なくとも約60mL/100gの皮脂吸収量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、少なくとも約80、少なくとも約90、または少なくとも約95mL/100gの皮脂吸収量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約100mL/100gの皮脂吸収量を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約150mL/100gまでの皮脂吸収量を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約140mL/100gまで、約130mL/100gまで、または約120mL/100gまでの皮脂吸収量を有する場合がある。
焼成カオリンの皮脂吸収量は、4gの鉱物に加えて固練りの滑らかなペーストが得られる合成皮脂の体積である。皮脂吸収量(mL/100g)によって、鉱物の皮脂吸収能力が評価される(787/5に準拠した標準方法)。
【0023】
使用する合成皮脂は、以下の表1にあるとおりの組成である。
【表1】
【0024】
焼成カオリンは、たとえば、少なくとも約150g/lのかさ密度を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、少なくとも約160g/l、少なくとも約180g/l、少なくとも約200g/l、少なくとも約220g/l、または少なくとも約230g/lのかさ密度を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約240g/lのかさ密度を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約400g/lまでのかさ密度を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約350g/lまで、約300g/lまで、約290g/lまで、約280g/lまで、約270g/lまで、約260g/lまで、または約250g/lまでのかさ密度を有する場合がある。
カオリンのかさ密度は、体積がわかっている容器にカオリンを入れ、それを秤量することにより測定される(標準方法EN1097/3)。
【0025】
焼成カオリンは、たとえば、少なくとも約8m
2/gの表面積を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、少なくとも約9m
2/g、少なくとも約10m
2/g、または少なくとも約11m
2/gの表面積を有する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、約12m
2/gの表面積を有する場合がある。焼成カオリンは、たとえば、約25m
2/gまでの表面積を有する場合がある。たとえば、カオリンは、約20m
2/gまで、約19m
2/gまで、約18m
2/gまで、約17m
2/gまで、約16m
2/gまで、約15m
2/gまで、約14m
2/gまで、または約13m
2/gまでの表面積を有する場合がある。
焼成カオリンの表面積は、たとえば、Micromeriticsから入手可能なTrisTar機器を使用して、DIN ISO9277に従うBET窒素吸収法によって測定することができる。
【0026】
焼成カオリンは、たとえば、比重が少なくとも約2である場合がある。たとえば、焼成カオリンは、比重が、少なくとも約2.1、少なくとも約2.2、少なくとも約2.3、少なくとも約2.4、少なくとも約2.5、少なくとも約2.6、少なくとも約2.7、または少なくとも約2.8である場合がある。たとえば、焼成カオリンは、比重が、約3、または約3.1までである場合がある。
焼成カオリンの比重は、乾燥粉末の質量を、変位する媒質として水を使用して室温で算出されるその体積で割ったものを算出することにより測定される。
焼成カオリンは、たとえば、化粧用組成物中に、約0.1質量%〜約40質量%の範囲の量で存在する場合がある。
化粧用組成物は、たとえば、液状化粧用組成物であってもよい。化粧用組成物は、油相を水相に(O/W)、もしくはその逆に(W/O)分散させることにより得られる、ゲルもしくはローションタイプの分散液、液状もしくは半液状稠度の乳液タイプのエマルション、または軟らかい半固形もしくは固形稠度のクリームもしくはゲルタイプの懸濁液もしくはエマルション、あるいは、別法として、多重エマルション(W/O/WもしくはO/W/O)、マイクロエマルション、イオンおよび/もしくは非イオンタイプの小胞分散液(vesicular dispersion)、またはワックス/水相分散液の形態になる場合がある。
【0027】
化粧用組成物が液状組成物である場合、焼成カオリンは、たとえば、約0.1質量%〜約15質量%、約0.1質量%〜約11質量%、約0.1質量%〜約9質量%、または約0.1質量%〜約7質量%の範囲の量で化粧用組成物中に存在する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、化粧用組成物中に、約2.5質量%〜約15質量%、約2.5質量%〜約11質量%、約2.5質量%〜約9質量%、または約0.1質量%〜約7質量%の範囲の量で存在する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、化粧用組成物中に、約3質量%〜約15質量%、約3質量%〜約11質量%、約3質量%〜約9質量%、約3質量%〜約7質量%、または約3質量%〜約6質量%の範囲の量で存在する場合がある。
化粧用組成物は、たとえば、固形化粧用組成物であってもよい。化粧用組成物は、たとえば、スティック、コンパクト、非固定(free)、プレスト、またはルースパウダーの形態になる場合がある。
【0028】
化粧用組成物が固形組成物である場合、焼成カオリンは、たとえば、約0.1質量%〜約30質量%、約2.0質量%〜約25質量%、約5.0質量%〜約20質量%、または約5.0質量%〜約15質量%の範囲の量で化粧用組成物中に存在する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、化粧用組成物中に、約2.5質量%〜約30質量%、約2.5質量%〜約25質量%、約2.5質量%〜約20質量%、または約2.5質量%〜約15質量%の範囲の量で存在する場合がある。たとえば、焼成カオリンは、化粧用組成物中に、約3質量%〜約30質量%、約3質量%〜約25質量%、約3質量%〜約20質量%、約3質量%〜約15質量%、または約3質量%〜約10質量%の範囲の量で存在する場合がある。
こうした組成物はすべて、通常の方法に従って調製される。
化粧用に許容される適切な担体は、当業者の知るところとなり、化粧用組成物の目的の最終用途に応じて選択される。化粧用に許容される担体は、溶液、コロイド分散液、水中油エマルション、油中水エマルション、懸濁液、クリーム、ローション、ゲル、粉末、フォーム、ムース、またはスプレーを含む様々な形態である場合がある。
【0029】
化粧用組成物は、たとえば、親水性または親油性ゲル化および/または増粘剤、沈降防止剤、酸化防止剤、香粧品香料、保存剤、中和剤、日焼け防止剤、ビタミン、保湿剤、品質改良剤、セルフタンニング化合物、抗しわ活性物質、軟化剤、親水性または親油性有効成分、フリーラジカルに対処する薬剤、金属イオン封鎖剤、着色剤、真珠光沢剤、皮膜形成剤などの、1種または複数の標準化粧品成分を含んでもよい。化粧用組成物に含める化粧品成分は、化粧用組成物の目的の最終用途に応じて選択することができる。化粧品成分は、生物(たとえば、ヒト)のいずれかの角質性表面(たとえば、皮膚、口唇、毛髪)への適用と適合しているという点で、「化粧用に許容される」ともいえる。
化粧用に許容される担体およびいずれかの標準化粧品成分は、たとえば、化粧用組成物の99.9質量%までを占める場合がある。たとえば、化粧用に許容される担体および標準化粧品成分は、化粧用組成物の99質量%まで、または化粧用組成物の約98.5質量%まで、約98質量%まで、約97.5質量%まで、もしくは約97質量%までを占める場合がある。
【0030】
使用
焼成カオリンの、化粧用組成物におけるマット化剤としての使用も、本明細書で開示する。化粧用組成物および焼成カオリンは、たとえば、本明細書に記載の、そのいずれかの組合せを含めた実施形態のいずれかに従うものでよい。
肌の光沢を軽減する方法
肌の光沢を軽減する方法も、本明細書で開示する。方法は、肌の表面に、上述の、そのいずれかの組合せを含めた実施形態のいずれかに従う、有効量の焼成カオリンを適用することにある。方法は、たとえば、化粧法である場合がある。
【実施例】
【0031】
ここで、本発明について、いくつかの非限定的な実施例によって説明する。以下の実施例において、百分率は、質量百分率である。
【0032】
(実施例1)
ゲルクリーム組成物
【表2】
相A成分を秤量し、クロルフェネシンの融解に至るまで加熱する。次いで、均質化されたゲルが得られるまで、撹拌しながら相Bを振りかける。相C成分を1つずつ加える。相Dを融解し切るまで穏やかに加熱し、次いで、混合物に導入する。
最後に、成分Eを加える。
瞬間焼成カオリン、ImerCare(登録商標)04K、セルロース、またはPMMAのいずれかを成分Eとして使用して、ゲルクリーム組成物中に5質量%の成分Eを含む組成物を作製した。成分Eを含まない組成物も対照として作製した。
【0033】
(実施例2)
プレストパウダー
【表3】
【0034】
相A成分を秤量し、へら(maryse)を使用して手作業で、均質化された混合物が得られるまで、次いで、ミキサーにおいて30秒間、完全に均質化されるまで混合する。次いで、相Bを1滴ずつ加える。次いで、手作業による混合によって、混合物を均質化する。次いで、相C成分を加え、混合物を均質化する。次いで、得られる混合物を再び混合し、次いで篩う。12gをカップに秤量し、次いで、20バールで20秒間圧密化する。
【0035】
瞬間焼成カオリン、ImerCare(登録商標)04K、セルロース、またはPMMAのいずれかを成分Cとして使用して、プレストパウダー組成物中に20質量%の成分Cを含む組成物を作製した。20質量%のタルク(Imerysを販売元とするLuzenac pharmaM)を成分Cとして含む組成物も、対照として作製した。
結果
実施例1および2において記載した鉱物の特性を、次の通りに求めた。
【0036】
D50は、Micromeritics Corporation、Norcross、Georgia、USA(電話:+17706623620、ウェブサイト:www.micromeritics.com)が供給しているような、本明細書では「Micromeritics Sedigraph5120ユニット」と呼ぶ、SediGraphIII5120計器を使用して求めた(標準方法ISO13317−3)。
吸油量、合成皮脂、および吸水量は、標準方法ISO787/5に従って、前述の通りに求めた。
【0037】
【表4】
焼成カオリンは、意外にも、天然カオリンに比べて、高い吸油量、合成皮脂吸収量、および吸水量を示した。
パネル試験
マット化効果、軟らかさ、および隠蔽力を測るために、ISO13299に従う、5人からなる専門家パネル試験によって、官能分析を行った。パネリストによって、4種の処方のマット化が、0〜5のスケールで評価された。
【0038】
プレストパウダーにおける試験
【表5】
【0039】
ゲルクリームにおける試験
【表6】
実証された、焼成カオリンの意外な特性が、パネル試験によって確認された。申し分のない軟らかさと相俟った非常に良好なマット化効果によって、生態系に負担をかけないこの製品が、化粧品に理想的なものとなる。
【国際調査報告】