(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
加工流体組成物、例えば金属切削流体濃縮物は、水、アニオン性界面活性剤である第1の界面活性剤、両性界面活性剤である第2の界面活性剤、並びにアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤(第3の界面活性剤は第1又は第2の界面活性剤、及び水とは異なる)を、防錆剤、着色剤、及び消泡剤のうちの少なくとも1つと共に含有する。濃縮物は、水と組み合わせて、切削されている金属からの熱を放散するのに有効な時間及び量で、切削されている金属片に適用され得る金属切削流体組成物等の加工流体を提供し得る。
前記スルファート含有アニオン性界面活性剤がラウレス硫酸ナトリウムであり、前記ベタイン含有両性界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、請求項14に記載の組成物。
前記スルホナート含有アニオン性界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、前記ベタイン含有両性界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、請求項16に記載の組成物。
3種の界面活性剤を含み、前記3種の界面活性剤のうち2種が同一ではないアニオン性界面活性剤であり、前記3種の界面活性剤のうち1種が両性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、セルロース系増粘剤等の増粘剤、及び防錆剤を含む、請求項1に記載の組成物。
水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、塩化カルシウム等の無機塩、及び防錆剤を含む、請求項2に記載の組成物。
金属、石、ガラス及びプラスチックから選択される材料を機械加工する方法であって、請求項1〜37のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物を、前記機械加工されている材料からの熱を放散するのに有効な量及び時間で、機械加工されている材料ピースに適用することを含む、方法。
前記機械加工されている材料が、アルミニウム合金、真鍮、鋳鉄、青銅、低炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼、及びチタン合金から選択される金属である、請求項38に記載の方法。
前記機械加工されている材料ピースが、ブローチ加工、タップ加工、ホブ切り、切削、ドリル加工、ミリング、旋削、のこ引き、ホーニング、及び研削から選択される工程に供されている、請求項38に記載の方法。
【発明の概要】
【0006】
簡単に述べると、本開示は、加工流体濃縮物、例えば金属切削、加工流体組成物、例えば、金属切削流体(これは濃縮物の希釈形態である)、上記濃縮物及び組成物の製造方法、金属加工工程における、例えば金属、石、プラスチック等を切断するための上記濃縮物及び組成物の使用方法を提供する。
【0007】
一実施形態において、本開示は、水及び不揮発性成分(不揮発性成分の一部は純粋な状態で液体の場合があるが、本明細書で固体とも呼ばれる)を含む組成物を提供する。固体は1種以上の界面活性剤を包含し、代表的な界面活性剤はアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤である。例えば、固体は、両性界面活性剤から選択される第1の界面活性剤、アニオン性界面活性剤から選択される第2の界面活性剤、並びに両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を含んでもよく、第3の界面活性剤は第1及び第2の界面活性剤とは異なる。固体は、防錆剤及び防食剤から選択される1種以上の作用剤も含んでもよく、これらは本明細書において集合的に防錆剤と呼ばれる。
【0008】
組成物中に存在する任意選択の不揮発性成分としては、増粘剤(濃厚化剤とも呼ばれ、組成物の粘度又は物質を増加するのに好適である);組成物に使用される濃度で水溶性である無機塩;組成物に使用される濃度で水と混和可能である有機溶媒;消泡剤(この用語は、泡止め剤を含み、使用中に組成物の発泡を低減するのに有効な量で使用される);及び着色剤(本明細書で着色料とも呼ばれ、組成物に色を付与する)のうちの1種以上が挙げられる。
【0009】
前述のとおり、本開示の組成物は、不揮発性である非水性成分に加えて、水を含む。一実施形態において、組成物は比較的少ない水を含有することから、組成物は高濃度の不揮発性成分を有する。かかる組成物は、本明細書で濃縮物(又は濃縮)組成物、又は金属切削濃縮物と呼ばれることもある。濃縮物は、金属切削又は他の材料加工を行う施設に提供されてもよく、当該施設において、作業員は特定の加工状態(例えば、金属又は他の材料の切削)に好適な特性を有する流体を提供する量の水で濃縮物を希釈し得る。例えば、青銅の切削は、ステンレス鋼等の異なる金属の切削に使用される希釈とは異なる希釈の濃縮物から利益を受ける場合がある。一実施形態において、濃縮物は、5〜50質量%が水である。別の実施形態において、濃縮組成物は、40〜50質量%が水で50〜60質量%が非水性成分であり、非水性成分は界面活性剤、防錆剤、及び水性成分に好適な少なくとも1種の増粘剤、並びに無機塩を含む。別の実施形態において、本開示は、金属切削操作にすぐに使用できる(ready−to−use)金属切削流体を提供する。このようなすぐに使用できる組成物では、含水量は、典型的には75〜99質量%、又は75.0〜99.9質量%、又は90〜99質量%の水、又は90.0〜99.9質量%の水、又は97.0〜99.9質量%の水、又は98.0〜99.9質量%の水、又は99.0〜99.9質量%の水の範囲となる。
【0010】
一実施形態において、組成物は、水、両性界面活性剤から選択される第1の界面活性剤、アニオン性界面活性剤から選択される第2の界面活性剤、両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤(第3の界面活性剤は第1及び第2の界面活性剤とは異なる)、無機塩、有機溶媒、増粘剤、防錆剤、及び消泡剤を含む。
【0011】
以下の番号付けした実施形態は、本開示の組成物の更なる代表的実施形態である:
1)水、第1の界面活性剤、増粘剤、及び防錆剤を含む加工流体組成物。
2)水、第1の界面活性剤、無機塩、及び防錆剤を含む加工流体組成物。
3)第1の界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、実施形態1又は2の組成物。
4)第1の界面活性剤が、スルホネート基を含む又はスルファート基を含むアニオン性界面活性剤である、実施形態3の組成物。
5)第1の界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである、実施形態3の組成物。
6)第1の界面活性剤がラウレス硫酸ナトリウムである、実施形態3の組成物。
7)第1の界面活性剤が両性界面活性剤である、実施形態1又は2の組成物。
8)両性界面活性剤がベタイン基を含む、実施形態7の組成物。
9)第1の界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、実施形態7の組成物。
10)2種の界面活性剤を含み、2種の界面活性剤の各々がアニオン性界面活性剤である、実施形態1又は2の組成物。
11)2種の界面活性剤が、スルファート含有界面活性剤及びスルホネート含有界面活性剤である、実施形態10の組成物。
12)2種の界面活性剤がラウレス硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである、実施形態10の組成物。
13)2種の界面活性剤を含み、1種がアニオン性界面活性剤であり、もう1種が両性界面活性剤である、実施形態1又は2の組成物。
14)2種の界面活性剤がスルファート含有アニオン性界面活性剤及びベタイン含有両性界面活性剤である、実施形態13の組成物。
15)スルファート含有アニオン性界面活性剤がラウレス硫酸ナトリウムであり、ベタイン含有両性界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、実施形態14の組成物。
16)2種の界面活性剤がスルホネート含有アニオン性界面活性剤及びベタイン含有両性界面活性剤である、実施形態13の組成物。
17)スルホネート含有アニオン性界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、ベタイン含有両性界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、実施形態16の組成物。
18)3種の界面活性剤を含み、3種の界面活性剤のうち2種が同一ではないアニオン性界面活性剤であり、3種の界面活性剤のうち1種が両性界面活性剤である、実施形態1又は2の組成物。
19)3種の界面活性剤がスルファート含有界面活性剤、スルホネート含有界面活性剤、及びベタイン含有界面活性剤である、実施形態18の組成物。
20)3種の界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及びコカミドプロピルベタインである、実施形態19の組成物。
21)防錆剤が亜硝酸ナトリウムである、実施形態1又は2の組成物。
22)防錆剤が亜硝酸ナトリウムである、実施形態20の組成物。
23)セルロース系増粘剤である増粘剤を含む、実施形態1又は2の組成物。
24)セルロース系増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである、実施形態23の組成物。
25)セルロース系増粘剤である増粘剤を含む、実施形態20の組成物。
26)セルロース系増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである、実施形態25の組成物。
27)塩化カルシウムである無機塩を含む、実施形態1又は2の組成物。
28)無機塩を含む、実施形態20の組成物。
29)無機塩が塩化カルシウムである、実施形態28の組成物。
30)消泡剤を含む、実施形態1又は2の組成物。
31)消泡剤がシリコーンポリマーである、実施形態30の組成物。
32)消泡剤を含む、実施形態20の組成物。
33)消泡剤がシリコーンポリマーである、実施形態32の組成物。
34)セルロース系増粘剤、無機塩、及び消泡剤のうちの1つ以上を含む、実施形態20の組成物。
35)セルロース系増粘剤、無機塩、及び消泡剤を含む、実施形態20の組成物。
36)水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、セルロース系増粘剤等の増粘剤、及び防錆剤を含む、実施形態1の組成物。
37)水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、塩化カルシウム等の無機塩、及び防錆剤を含む、実施形態2の組成物。
組成物は、金属加工に使用してもよく、別の名称としては、金属ワーク加工組成物、又は金属機械加工組成物、又は金属冷却組成物、又は金属切削組成物と呼ばれることもある。組成物は、石、プラスチック若しくはガラス、又は発熱工程において工具で加工されるその他の固体材料から作製される部品の加工にも使用され得る。
【0012】
一実施形態において、本開示は、本明細書に記載の成分を組み合わせることによって、濃縮組成物、例えば金属切削流体濃縮物を製造する方法を提供する。任意選択で、成分は、バッチ法で組み合わされてもよい。この実施形態において、組成物、例えば金属切削流体濃縮組成物は、温水、1種以上の界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、並びに任意選択でアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤等を容器に添加するステップを含む方法によって調製され、ここで第3の界面活性剤は、既に添加されたアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤とは異なる。追加の任意選択成分としては、無機塩、有機溶媒、増粘剤、防錆剤又は防食剤、着色剤、及び消泡剤が挙げられ;1つの成分を容器に添加した後、得られた混合物を、完全に均質又はほぼ均質な状態に達するまで、例えば約30分間、発泡を最小限に抑えながら撹拌した後、次の成分を添加する。一実施形態において、無機塩、有機溶媒、増粘剤、防錆剤又は防食剤、及び消泡剤が容器に添加される。
【0013】
例えば、本発明は、加工流体組成物、例えば金属切削に好適な組成物、を製造する方法であって、
a)水を約70〜80℃に加熱して温水を準備するステップ;
b)アニオン性界面活性剤を温水に添加するステップ;
c)両性界面活性剤をステップb)の混合物に添加するステップ;
d)温水をステップc)の混合物に添加するステップ;
e)任意選択で第3の界面活性剤をステップd)に添加するステップであって、第3の界面活性剤がアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択され、第3の界面活性剤が混合物中に既に存在するアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤とは異なる、ステップ;
f)無機塩をステップe)の混合物に添加するステップ;
g)ステップf)の混合物を周囲温度まで冷却するステップ;及び
h)増粘剤をステップf)の混合物に添加するステップ;を含み、
1つの成分を添加した後、得られた混合物を均質又はほぼ均質な混合物へ達成するのに十分な時間、典型的には約30分間、発泡を最小限に抑えながら撹拌した後、次の成分を添加する、方法を提供する。本方法に使用され得る代表的な任意選択成分としては、無機塩、有機溶媒、増粘剤、防錆剤又は防食剤、着色剤、及び消泡剤が挙げられる。一実施形態において、無機塩、有機溶媒、増粘剤、防錆剤又は防食剤、及び消泡剤が混合物に添加される。
【0014】
一実施形態において、本開示は、組成物、例えば金属切削流体濃縮物を、連続法によって製造する方法を提供する。この実施形態において、組成物、例えば金属切削流体濃縮物は、連続反応器を準備するステップ、水を連続反応器に入れるステップ、連続反応器内の水にa)アニオン性界面活性剤、b)両性界面活性剤、及び任意選択でc)アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を添加するステップ(第3の界面活性剤は、既に反応器に添加されたアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤とは異なる);及び成分a)、b)及び任意選択でc)を混合して、均質な混合物をもたらすステップによって調製される。任意選択で、連続反応器内の水は、50℃を超える温度に維持される。任意選択で、有機溶媒、無機塩、増粘剤、防錆剤又は防食剤、着色剤、及び消泡剤等の追加の成分が配合に添加される。一実施形態において、有機溶媒、無機塩、増粘剤、防錆剤又は防食剤、消泡剤の各々が混合物に添加される。任意選択で、インラインミキサー及びスタティックミキサーから選択されるミキサーが、連続反応器内に存在する。
【0015】
一実施形態において、本開示は、前駆体濃縮物から加工流体、例えば、金属切削流体濃縮物から金属切削流体組成物を形成する方法を提供する。この実施形態によると、水と濃縮物を、好適な水:濃縮物比で組み合わせ、この2成分を一緒に混合して、金属切削流体組成物を形成する。様々な任意選択の実施形態において、濃縮物は、5倍、又は10倍、又は15倍に希釈される。明瞭化のため、5倍希釈とは、100部の濃縮物を500部の水と組み合わせることを指し、ここで、部は、液体又は固体のいずれかの測定形態で、例えば、グラム、キログラム、リットルであり得る。
【0016】
一実施形態において、本開示は、金属を切削する方法を提供し、当該方法は、有効量の本開示の金属切削流体組成物を、切削されている金属上に適用することを含む。本開示の金属切削流体は、金属が切削されている工程の間に、金属に適用され得る。本開示の組成物を適用するための1つの代表的工程は、切削中のワークピースに大量の切削流体を適用する浸漬供給である。本開示の組成物を適用するための別の代表的工程は、切削ゾーンに向けてワークピース上に切削流体の噴流を適用するジェット供給である。本開示の組成物を適用するための別の代表的工程は、空気の噴射によって切削流体を霧化し、そのミストをワークピースの切削ゾーンに向けるミスト供給である。
【0017】
以下の番号付けした実施形態は、本開示の金属(meal)機械加工方法の更なる代表的実施形態であり、上記の組成物の実施形態を参照する:
38)金属、石、ガラス及びプラスチックから選択される材料を機械加工する方法であって、実施形態1〜37のいずれかの組成物を含む組成物を、機械加工されている材料からの熱を放散するのに有効な量及び時間で、機械加工されている材料ピースに適用することを含む、方法。
39)機械加工されている材料が、アルミニウム合金、真鍮、鋳鉄、青銅、低炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼、及びチタン合金から選択される金属である、実施形態38の方法。
40)機械加工されている材料が石である、実施形態38の方法。
41)機械加工されている材料がガラスである、実施形態38の方法。
42)機械加工されている材料がプラスチックである、実施形態38の方法。
43)機械加工されている材料ピースが、ブローチ加工、タップ加工、ホブ切り、切削、ドリル加工、ミリング、旋削、のこ引き、ホーニング、及び研削から選択される工程に供されている、実施形態38の方法。
【0018】
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。1つの代表的実施形態に関連して例示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。他の特徴、目的及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。更に、本明細書において参照される全ての特許、特許出願の開示は、参照により、その全体が援用される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一態様において、本開示は、金属切削流体組成物等の材料加工組成物を、濃縮形態及び希釈(すぐに使用できる)形態の両方で提供する。別の態様において、本開示は、加工流体を濃縮形態で形成し、その後当該濃縮組成物を希釈して希釈形態にする方法を提供する。別の態様において、本開示は、金属切削操作等の材料が加工される方法において組成物を使用する方法を提供する。従って、別の態様において、本開示は、加工流体組成物、例えば、金属切削流体組成物を、濃縮形態で形成し、その後当該濃縮組成物を希釈して希釈形態にする方法を提供する。別の態様において、本開示は、材料切削又は成形工程、例えば金属切削操作において上記組成物を使用する方法を提供する。本開示が金属切削流体又は金属冷却流体に言及するとき、これらの流体組成物は、概して材料加工、例えば、ガラス加工、石加工、及びプラスチック加工において使用されてもよく、金属加工への使用に限定されない。従って、金属切削又は金属冷却組成物は、金属切削又は加工に使用され得るが、加工が、加工工程中に放散することが望ましい熱を発生する場合、石又はプラスチック又はガラス等の他の材料の加工にも使用されてもよい。
【0020】
一実施形態において、本開示は、水及び不揮発性成分(不揮発性成分の一部は純粋な状態で液体であるが、本明細書で固体とも称される)を含む組成物を提供する。固体は1種以上の界面活性剤を包含し、代表的な界面活性剤はアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤である。例えば、固体は、両性界面活性剤から選択される第1の界面活性剤、アニオン性界面活性剤から選択される第2の界面活性剤、並びに両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を含んでもよく、第3の界面活性剤は第1及び第2の界面活性剤とは異なる。固体は、防錆剤及び防食剤から選択される1種以上の作用剤も含んでもよく、これらは本明細書において集合的に防錆剤と呼ばれる。
組成物中に存在する任意選択の不揮発性成分としては、増粘剤(濃厚化剤とも呼ばれ、組成物の粘度又は物質を増加するのに好適である);組成物に使用される濃度で水溶性である無機塩;組成物に使用される濃度で水と混和可能であり、水の沸点よりも高い沸点、例えば、少なくとも125℃、又は少なくとも150℃、又は少なくとも170℃の沸点を有する有機溶媒;消泡剤(この用語は、泡止め剤を含み、使用中に組成物の発泡を低減するのに有効な量で使用される);及び着色剤(本明細書で着色料とも呼ばれ、組成物に色を付与する)のうちの1種以上が挙げられる。
【0021】
一態様において、流体組成物は、炭素−ハロゲン結合を有さず、それ故、かかる結合を有する成分を1種以上含有する代替流体組成物よりも環境に優しい。
【0022】
本開示の流体は、材料加工中、特に金属機械加工中に、以下の効果をもたらす。主な効果としては、主に低い切削速度における切削工程の潤滑、主に高い切削速度におけるワークピースの冷却、及び切削ゾーンから切粉の洗浄が挙げられる。二次的な効果としては、機械加工面の防食、及び高温面の冷却により部品取り扱いを可能にすることが挙げられる。機械加工に本開示の切削流体を使用することの工程上の効果としては、工具寿命の延長、ワークピースの熱変形の低減、より良好な表面仕上げ、及び切粉及び切屑の取り扱いが容易になることが挙げられる。
本開示の組成物は、良好な伝熱性能、良好な潤滑性能、良好な切粉洗浄性能、良好な流体ミストの発生、切粉の良好な流体除去、及び良好な腐食防止をもたらす。エマルション形態の組成物は、良好な流体安定性を示す。
【0023】
本明細書及び意図する特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」、「1種の」、「当該」は、別段の明確な指示がない限り、複数の参照物を包含することに留意する。従って、「1種の両性界面活性剤」は、単一の両性界面活性剤、並びに1つ以上の同一又は異なる両性界面活性剤を包含する。
【0024】
構成成分
本開示の組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を包含する。一実施形態において、組成物は、両性界面活性剤を含有する。別の実施形態において、組成物は、アニオン性界面活性剤を含有する。一実施形態において、組成物は、2種の異なる両性界面活性剤を、任意選択でアニオン性界面活性剤と組み合わせて含有する。一実施形態において、組成物は、2種の異なるアニオン性界面活性剤を、任意選択で両性界面活性剤と組み合わせて含有する。
【0025】
両性界面活性剤
一実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも1種、任意選択で1種以上の、両性界面活性剤を包含する。本明細書で使用するとき、両性界面活性剤は、正に帯電した原子と負に帯電した原子の両方を含有する分子である。界面活性剤分子は、ポリマー成分を包んでもよく、ナトリウム及びアンモニア等の対イオンも含み得るが、対イオンは、分子を両性界面活性剤として認定する正又は負に帯電した原子の1つとはみなされない。
正に帯電した原子は、例えば、例えばアンモニウム基を提供する窒素原子であってもよく、又は、例えばスルホニウム基を提供する硫黄原子であってもよい。特定の原子上の正電荷の存在は、その分子が曝露しているpHの関数となり得る。換言すれば、本開示の両性界面活性剤は、正に帯電した原子と負に帯電した原子を、周囲溶液のどのpHでも有する必要はなく、これらの帯電電子をあるpH範囲内のみで有し得る。例えば、分子が正電荷を担持した窒素原子を有する場合、電荷は、周囲溶液(水溶液)のpHが、窒素原子がプロトン化するのに十分に低い場合にのみ存在し得る。これが起こるのは、例えば、窒素原子が第一級、第二級、又は第三級アミンの一部である場合である。あるいは、窒素原子は、周囲溶液のpHに関係なくその正電荷を維持する第四級アンモニウムイオンの一部であってもよい。
負に帯電した原子は、例えば、カルボキシラート基、スルファート基、スルホネート基、又はホスフェート等の認識された官能基の一部であり得る酸素原子であってもよい。正電荷と同様に、特定の原子上の負電荷の存在は、その分子が曝露しているpHの関数となり得る。換言すれば、本開示の両性界面活性剤は、負に帯電した原子と正に帯電した原子を周囲溶液のどのpHでも有する必要はなく、これらの帯電電子をあるpH範囲内のみで有し得る。例えば、分子が負電荷を担持した酸素原子を有する場合、電荷は、周囲溶液(水溶液)のpHが、酸素原子が脱プロトン化するのに十分に高い場合にのみ存在し得る。これが起こるのは、例えば酸素原子が、例えばカルボン酸基の一部であり、カルボン酸基のカルボキシラート形態のみが負に帯電した酸素原子を有し、対応するカルボン酸形態は中性の酸素原子を有する場合である。
要約すると、両性界面活性剤は、正に帯電した原子と負に帯電した原子の両方を、周辺溶液がとり得るpH範囲の全体にわたって有する必要はなく、これらの2種類の帯電原子を一部のpH範囲で有し、この範囲は当該技術分野において等電pH範囲と呼ばれることがある。両性界面活性剤が正に帯電した原子と負に帯電した原子の両方を有するとき、界面活性剤は、その双性イオン性形態にあると言える。両性界面活性剤の化学構造が本明細書で与えられるとき、用語Xは、等電pH範囲内の正又は負に帯電した原子に関連し得る対イオンを指して使用される。代表的なカチオン性対イオンは、ナトリウム及びアンモニウムである。代表的なアニオン性対イオンは、塩化物及びホスフェートである。注目すべきは、正又は負電荷のいずれかは、複数の原子にわたって非局在化し得ることである。例えば、負電荷が酸素原子上にあり、酸素原子がカルボキシラート基の一部であるとき、負電荷はカルボキシラート基の両方の酸素原子に非局在化している。
【0026】
更に、全ての界面活性剤と同様に、両性界面活性剤は、親油性(疎水性として知られる)領域と疎油性(親水性として知られる)領域の両方を有する。親油性領域は、脂肪族領域と呼ばれることもある。脂肪族領域は、天然脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン等に存在する炭化水素部分で構成され得るが、別の方法として、合成により形成されてもよく、すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(プロピレンオキシド)等の合成により生成したフラグメントであってもよい。本明細書で使用するとき、及び両性界面活性剤の一分類を記載するとき、用語「R」は、分子の脂肪族領域を指して使用される。様々な実施形態において、Rは、次のような中鎖又は長鎖脂肪族基を表す:C
6〜C
24フラグメント、すなわち、少なくとも6個で最大24個の炭素原子、及び任意選択で任意の他の原子、例えば、水素、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br)、窒素、及び水素を有する分子フラグメント;C
6〜C
24炭化水素、すなわち、6〜24個の炭素原子及び炭素原子の原子価を満たす水素原子を有する分子フラグメント;C
8〜C
22フラグメント;C
8〜C
22炭化水素;C
10〜C
20フラグメント;C
10〜C
20炭化水素;C
12〜C
18フラグメント;及びC
12〜C
18炭化水素。様々な実施形態において、Rは、少なくとも6、又は少なくとも8、又は少なくとも10、又は少なくとも12、又は少なくとも14、又は少なくとも16個の炭素原子を有する。様々な実施形態において、Rは30個以下、又は26個以下、又は24個以下、又は22個以下、又は20個以下、又は18個以下の炭素原子を有する。用語Rは、アルキル基を表す場合があり、ここで用語アルキルは、直鎖状、分枝状又は環状の飽和炭化水素基であって、概して上記の炭素原子範囲のいずれかの数を有するものを指す(例えば、C6〜C24は、6〜24個の炭素原子を有するアルキル基を指す)。アルキル基の例としては、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、カプリル、カプリン、ラウリン、ミリスチン、パルミチン、ステアリン、オレイン、リノール、リノレン、及びベヘンが挙げられる。
【0027】
以下の数段落は、代表的な特定の界面活性剤の区分及び本開示の流体組成物に組み込まれ得る特定の両性界面活性剤の例を与える。ある特定の両性界面活性剤が1を超える区分に該当し得る、すなわち、1つの区分に包含される界面活性剤に関して2つの区分が重なり得ることから、区分は相互排他的ではないことに注意すべきである。界面活性剤分野では、両性界面活性剤の個別の分類及び界面活性剤全体を区分及び認識するために使用されている多様な術語が存在し、この術語は、多くの場合、界面活性剤の相互排他的な区分を提供しない。それにもかかわらず、以下は本開示に有用な両性界面活性剤を与える。簡便のため、界面活性剤は、その帯電部分のみを参照することによって識別され得る。例えば、両性界面活性剤は、その両性界面活性剤がベタイン基を含有することを示すために、ベタイン、又はベタイン界面活性剤と呼ばれる場合がある。別の例として、両性界面活性剤がヒドロキシスルタイン基を含む場合、かかる界面活性剤は、ヒドロキシスルタイン界面活性剤と呼ばれる場合があり、又は状況が許す場合には、更により単純にヒドロキシスルタインと呼ばれる場合がある。あるいは、両性界面活性剤は、明確に識別された帯電基、例えば、ベタイン又はベタイン基、ヒドロキシスルタイン基、アミンオキシド基等を含むと言える。
【0028】
以下の化学構造の一部において、用語「L」は連結基を指すために使用される。連結基は、両性界面活性剤中に存在する2つの記載された官能基を1つに連結する原子の短い鎖である。一実施形態において、Lはメチレン、すなわち、−CH
2−である。一実施形態において、Lはエチレン、すなわち、−CH
2CH
2−である。一実施形態において、Lはプロピレン、すなわち、−CH
2CH
2CH
2−である。連結基は、アルキレン鎖上に置換基を含んでもよく、置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル又は短鎖(約C
1〜C
4)アルキルであり得る。一実施形態において、Lはヒドロキシル置換プロピレン、例えば、−CH
2CH(OH)CH
2−である。別の実施形態において、Lはメチル置換メチレン、例えば、−CH(CH
3)−である。一実施形態において、Lはメチレン、エチレン又はプロピレンであり、各々任意選択でヒドロキシルで置換されている。一実施形態において、Lはジメチルエーテル、すなわち、−CH
2−O−CH
2−である。一実施形態において、Lは炭素及び酸素から選択される1〜5個の原子の鎖であり、ここで鎖は、任意選択でヒドロキシル又はハロゲン化物で置換されている。
【0029】
以下の用語はいずれも、「両性界面活性剤」を明確に列挙し、それによって本開示の一実施形態において有用な両性界面活性剤の選択を提供するために使用できる:アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシド、アンホ酢酸アルキル、アルキルベタイン、カルボキシグリシン酸アルキル、グリシン酸アルキル、アルキルスルホベタイン、スルタイン、アンホプロピオン酸アルキル、アンホグリシン酸アルキル、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレート、アシルグルタメート。上記の用語の各々は当該技術分野において既知であり、これらの用語の多くは以下に記載される。
【0030】
一実施形態において、両性界面活性剤はベタイン界面活性剤であり、これは界面活性剤がベタイン基を含むことを意味する。ベタイン界面活性剤は、アルキル基が直鎖アルキル基であるときに化学構造CH
3−(CH
2)
n−CONH−CH
2CH
2CH
2−N(CH
3)
2−CH
2−COOXによって表され得るアルキルアミドプロピルベタインであってもよい。より一般的には、アミドプロピルベタインは、化学構造R−CONH−CH
2CH
2CH
2−N(CH
3)
2−CH
2−COOXによって表され得る。これらはいずれも、アルキルアミドベタインの例である。
一実施形態において、両性界面活性剤はアルキルアミドスルホベタインであり、化学構造R−CONH−L−N(CH
3)
2−(CH
2)
m−SO
2OX(式中、Lはプロピレンである)によって表され得る。この分類の下位分類は、アルキルベンゼンジメチルアミンをプロパンスルホンで四級化することによって得られるアルキルベンゼンジメチルアンモニウムプロパンスルホネートである。ここでも、プロピレン連結基Lは、例えばヒドロキシル基で置換されて(これは、2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート誘導体を提供する)、本発明の組成物への使用に好適な両性界面活性剤をもたらし得る。
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R−NH−L−COOX(式中、R及びLは上記定義による)で表され得るアルキルアミノ酸両性界面活性剤である。例えば、Rはココヤシ油から誘導されてもよく、Lはエチレンであってもよく、Xはナトリウムイオンであってもよい。
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R−N(CH
3)
2−L−COOX(式中、Rはアルキル基であり、Lは連結基である)で表され得るアルキルベタイン両性界面活性剤である。本明細書に開示される他の両性界面活性剤と同様に、R基はアルキル基に限定されず、脂肪族基であり得るが、一実施形態においてRはアルキル基を表す。前述のように、連結基は、一実施形態において、メチレン基である。ただし、アルキルベタインは、α−(N,N,N−トリアルキルアンモニウム)アルカノエートも含み、構造R
1−N(R
2)(R
3)−C(R
4)H−COOX(式中、Lはアルキル置換メチレン基である)を有する。アルキルベタインの表示には、様々な代替的かつ時としてより具体的な名称が使用され、例えば、N−アルキル−Ν,Ν−ジメチルグリシン;N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン;アルキル−ジメチル酢酸アンモニウム又はアルキル−ジメチルエタン酸アンモニウムである。米国化粧品工業会(CTFA)は、これらの製品にアルキルベタインの名称を使用している。
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R−CONH−L−N(CH
2CH
2OH)CH
2COONaで表され得るアルキルイミダゾリン誘導両性界面活性剤である。別の実施形態において、アルキルイミダゾリン誘導両性界面活性剤は、化学構造R−CON(CH
2CH
2OH)−L−N(CH
2COONa)
2で表され得る二酸である。これらの実施形態のいずれにおいても、連結基Lは、任意選択でエチレンである。
【0031】
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R−N(CH
2CH
2COONa)
2で表され得るアルキルイミノ二酸両性界面活性剤である。代替的実施形態において、アルキルイミノ二酸両性界面活性剤は、化学構造R−N(CH
2CH
2CH
2COONa)
2又はR−N(CH
2COONa)
2で表され得る。
一実施形態において、両性界面活性剤は、アルキルスルホベタイン両性界面活性剤である。アルキルスルホベタインの化学構造は、R−N(CH
3)
2−L−SO
2OX(−L−SO
3Xとも表される)で表されてもよく、式中、Rはアルキルであり、Lはメチレンである。以下は、本発明の実施に使用され得る具体的なアルキルスルホベタインの例である:カプリルスルホベタイン、ヘキサデシルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタイン、n−オクチルスルホベタイン、パルミチルスルホベタイン、テトラデシルスルホベタイン。
一実施形態において、両性界面活性剤はアルキルスルタインであり、これはCTFAが好む用語である。アルキルスルタインは、プロパンスルホネート基、すなわち、L−SO
3X(式中、Lはプロピレンである)を含む、スルホベタイン両性界面活性剤である。アルキルスルタインは、化学構造R−N(CH
3)
2−CH
2CH
2CH
2−SO
2OXを有する。
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R(C=O)−NH−(CH
2)
3−N(CH
3)
2−CH
2COOXで表され得るアミドプロピルベタインである。この分類のアミドプロピルベタインは、Rがアルキル基であり得ることから、アルキルアミドプロピルベタインとも呼ばれ得る。アルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤は、典型的には、脂肪酸(例えばココヤシ油等の天然油由来の脂肪酸)と3,3−ジメチルアミノプロピルアミンとの反応によってアミドプロピルジメチルアミン中間体を生成し、これを次にモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させて対応するベタインを得ることによって合成される。ベタイン界面活性剤は、一般的に、その調製に使用された脂肪酸の供給源から命名され、例えば、ココヤシ油からコカミドプロピルベタイン、イソステアリン酸からイソステアラミドプロピルベタインの名称が与えられている。本発明への使用に好適な多数のアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤が、固体及び溶液の形態で市販されており、様々な供給業者から購入できる。
【0032】
以下は、本発明の実施に使用され得るアミドプロピルベタインの具体例である:アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、キャノーラアミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン(カプリル酸とカプリン酸の混合物から形成)、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココ/ヒマワリアミドプロピルベタイン(ココナッツとヒマワリ種子油のブレンドから形成)、クプアスアミドプロピルベタイン(クプアスの木のパルプから形成)、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、メドウフォームアミドプロピルベタイン(メドウフォーム油から形成)、ミルカミドプロピルベタイン、ミンカミドプロピルベタイン(ミンク油から形成)、ミリスタミドプロピルベタイン、オートアミドプロピルベタイン(カラスムギ穀粒油から形成)、オレアミドプロピルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、パームアミドプロピルベタイン(パーム油から形成)、パルミタミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン(パーム核油から形成)、リシノールアミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、シアバターアミドプロピルベタイン(ブチロスパーマム・パーキー(シアバター)から形成)、大豆アミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及びコムギ胚芽アミドプロピルベタイン(コムギ胚芽から形成)。
【0033】
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R−N(CH
3)
2−O−(式中、Rは親油性基である)で表され得るアミンオキシド両性界面活性剤である。代表的なR基は親油性アルキル基であり、ここでRのアルキル基を有するアミンオキシド界面活性剤は一般的にアルキルアミノオキシドとして知られる。代表的なアルキル基は、カプリル、カプリン、ラウリン、ミリスチン、パルミチン、ステアリン、オレイン、リノール、リノレン、及びベヘンである。代表的なアミンオキシド両性界面活性剤としては、コカミドプロピルアミンオキシド及びラウリルジメチルアミンオキシド(ドデシルジメチルアミンオキシド、Ν,Ν−ジメチルドデシルアミンN−オキシド、及びDDAOとしても知られる)、大豆アミドプロピルアミンオキシド及びミリスタミンオキシドが挙げられる。アミン基の窒素原子は、上に示すように2個のメチル基に結合し得るが、別の方法としては、窒素原子は2個のヒドロキシエチル基に結合して構造R−N(CH
2CH
2OH)
2−O−をもたらし得る。
【0034】
一実施形態において、両性界面活性剤は、アミノ酸両性界面活性剤である。この種の両性界面活性剤は、特定のpH範囲内で双性イオン性構造を示し、当該範囲は界面活性剤の構造に依存する。この種の両性界面活性剤の一般的な例は、構造R−NH−CH
2CH
2−COOH(式中、Rは脂肪族基である)のアミノ酸である。これらは、脂肪族アミノ酸、又は対応するカルボキシラート形態にある場合、より厳密に、脂肪族アミノプロピオネートを呼ばれることもある。この構造の変形は、2個のカルボン酸基を有し、すなわち構造R−N(CH
2CH
2COOH)
2を有し、対応するカルボキシラート形態にある場合、脂肪族イミノジプロピオネートと命名される。これらの分類の両性界面活性剤のいずれも、本開示の組成物に使用できる。
【0035】
一実施形態において、両性界面活性剤は、脂肪族基及び好適なpH下で正に帯電される化学基に加えて、化学構造−CH
2−CO
2Xを含む、アンホアセタート両性界面活性剤である。これらの界面活性剤は、アンホグリシネートと呼ばれることもある。一実施形態において、アンホアセタート両性界面活性剤は、化学構造R(CO)NH−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OH)(CH
2CO
2X)で表されてもよく、式中、Rはアルキル基、又はR(CO)は脂肪酸から誘導された脂肪族アシル基、例えば、ココアンホアセタートをもたらすココヤシ油に見られるもの等である。かかるアンホアセタート界面活性剤は、米国特許第6232496号明細書に開示されているように、式R(CO)NH−CH
2CH
2−NHCH
2CH
2OHの化合物をホルムアルデヒド及びシアニドと反応させることによって調製され得る。適切な条件下で、このアンホアセタートは、相互変換されて、ラウロアンホアセタート(ナトリウム塩)等の正に帯電した化学基を提供するイミダゾリウム基を含む対応するアンホアセタート両性界面活性剤になり得る。
アンホアセタート両性界面活性剤は、1個よりもむしろ2個のアセタート基を含み、化学構造R(CO)NH−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OCH
2CO
2X)(CH
2CO
2X)を有する両性界面活性剤をもたらし得る。代表的なアンホアセタート両性界面活性剤としては、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ジラウロアンホ酢酸ナトリウム、及びラウロアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0036】
一実施形態において、両性界面活性剤は、脂肪族基及び好適なpH下で正に帯電される化学基に加えて、化学構造−CH
2CH
2−CO
2Xを含む、アンホプロピオネート両性界面活性剤である。かかる両性界面活性剤は、米国特許第6030938号明細書に記載のように、アクリル酸から調製され得る。代表的なアンホプロピオネート両性界面活性剤は、カプリロアンホプロピオネート、ラウリミノジプロピオネート、イソステアリルアンホプロピオネート及びココアンホプロピオネートのナトリウム塩である。アンホプロピオネート両性界面活性剤は、1個よりもむしろ2個のプロピオネート基を含み、化学構造R(CO)NH−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OCH
2CH
2CO
2X)(CH
2CH
2CO
2X)を有する。この下位分類のアンホプロピオネート両性界面活性剤は、アンホジプロピオネート両性界面活性剤として知られ、代表的なアンホジプロピオネート両性界面活性剤は、ココアンホジプロピオネートの二ナトリウム塩(N−(2−ココヤシ油アミドエチル)−N−(2−(2−カルボキシエチル)オキシエチル)−β−アミノプロピオン酸、二ナトリウム塩としても知られる)及びカプリロアンホジプロピオネートである。
【0037】
一実施形態において、両性界面活性剤は、ベタイン界面活性剤である。ベタインは、ホスホニウム又は四級アンモニウム基等の、水素原子を有さず正に帯電した(カチオン性)官能基と、カルボキシラート基又はオキシアニオン等の負に帯電した(アニオン性)官能基の両方を組み込んだ界面活性剤分子である。ベタインにおいて、カチオン性基及びアニオン性基は、互いに隣接していない。ベタイン界面活性剤は、本明細書で言及されるとき、前述の定義に適合し、更に親油性部分を有する。一実施形態において、カチオンは、四級アミンである。一実施形態において、アニオンは、カルボキシラートである。別の実施形態において、アニオンは、オキシアニオンである。別の実施形態において、アニオンは、スルファートである。別の実施形態において、アニオンは、スルホネートである。別の実施形態において、アニオンは、ホスフェートである。多数の市販のベタインは、ジアルキル置換ジメチルアンモニウム基を有する。商用両性界面活性剤においてこの基が普及しているにもかかわらず、本開示で有用な両性界面活性剤は、ジメチルアンモニウム基を(有し得るが)必ずしも有するとは限らない。より一般的には、これらはジアルキルアンモニウム基を有し、例えば、化学構造R
1−N(R
2)(R
3)−CH
2COOXのトリアルキルアンモニウムアルカノエートをもたらす。換言すると、R
2及びR
3は、必ずしもメチルではない。いくつかの代表的ベタインは、化学構造R−N(CH
3)
2−CH
2−COOHのアルキルジメチルベタイン、及び構造R−CONH−CH
2CH
2CH
2−N(CH
3)
2−CH
2−COOHのアルキルアミドプロピルジメチルベタインである。
【0038】
一実施形態において、両性界面活性剤は、化学構造R−N(CH
3)
2−CH
2CH(OH)−SO
3X(式中、Rは脂肪族基、例えば、長鎖アルキル基である)を有するヒドロキシスルタインである。ヒドロキシスルタインは、多くの場合R基の供給源から命名され、そのため、ココヤシ油から誘導されるヒドロキシスルタインは、コカミドプロピルヒドロキシスルタインと命名され得る(ただし、ココヒドロキシスルタイン(coco hydroxysulfaine)及びCAHSとしても知られる)。他の代表的なヒドロキシスルタイン両性界面活性剤としては、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びラウリルヒドロキシスルタインが挙げられる。
【0039】
一実施形態において、両性界面活性剤は、イミダゾリン誘導体両性界面活性剤であり、イミダゾリニウム誘導体と呼ばれることもある。イミダゾリン誘導体両性界面活性剤の化学構造を表すことは、イミダゾリンが水に曝露したときに特徴的に加水分解するという事実から、複雑である。脂肪族イミダゾリンは、湿気に曝露するとゆっくりと加水分解して、アルキルアミドアミンを生成する。従って、本明細書のどこかに既に記載されているアルキルアミドアミン両性界面活性剤は、イミダゾリニウム誘導体両性界面活性剤の例である。一般に、イミダゾリニウム誘導体両性界面活性剤(イミダゾリン両性とも呼ばれることもある)は、当該技術分野において、界面活性剤の一分類として周知である。一実施形態において、両性界面活性剤は、イミダゾリン誘導体であり、任意選択で脂肪族アルキルイミダゾリンである。この種の両性界面活性剤は、酸性溶液中でカチオン、アルカリ性溶液中でアニオン、中pH範囲の溶液中で「双性イオン」を形成する。中pH範囲は等電範囲とも呼ばれ、その範囲内ではイミダゾリン界面活性剤は中性の電荷を有するpH範囲であり、化合物固有で、化合物の精密な構造に依存し、窒素原子のアルカリ度及びカルボキシル基の酸性度に影響する。代表的な好適なイミダゾリン型両性界面活性剤としては、限定するものではないが、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキシド−1−カルボキシエチルオキシ二ナトリウムが挙げられる。
【0040】
イミダゾリニウム誘導体両性界面活性剤は、クロロ酢酸ナトリウムと対応する2−アルキル−1−(2−ヒドロキシエチル(hydroxyethyol)−)−2−イミダゾリンの反応によって調製され得る。この反応生成物は、一般的に、以下の化学構造に帰属される:
【0041】
【化1】
ここで、Rは疎水性基である。環状イミダゾリニウム誘導体を生成する反応は、容易に延長して、以下の構造を有する対応する開鎖分子をもたらすことができる:RCO−NH−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OH)CH
2COO−(1当量のクロロ酢酸ナトリウムを用いた場合)及びRCO−NH−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OH)(CH
2COO−)
2(2当量のクロロ酢酸ナトリウムを用いた場合)。かかる開鎖構造は、多くの場合、イミダゾリン誘導体、又はアルキル(Rがアルキル基の場合)アミドアミノ酸(1当量のクロロ酢酸ナトリウムがその調製に使用された場合)と呼ばれる。
【0042】
市販の両性イミダゾリニウムは、上記構造の1つ以上であってもよく、本開示での使用に好適である。同じ用語が、イミダゾリンを組み込んだ又はイミダゾリンから調製されたカチオン性(両性の反対としての)界面活性剤、例えば、以下の構造のカチオン性界面活性剤を指して使用され、やや紛らわしいことから、イミダゾリニウム誘導体の選択においては少し注意が必要である:
【0043】
【化2】
従って、当業者はカチオン性の、いわゆるイミダゾリニウム界面活性剤と区別するために、時として両性イミダゾリニウム界面活性剤を明確に指すであろう。
C6〜C22アルキル、例えばカプリル、カプリン、ラウリン、ミリスチン、パルミチン、ステアリン、オレイン、リノール、リノレン、及びベヘンから選択されるR基を有する好適な両性イミダゾリニウム誘導体の例。
【0044】
一実施形態において、両性界面活性剤は、ホスフィネートベタイン両性界面活性剤である。ホスフィネートベタインは、アルキルベタイン及びスルホベタインと類似しており、カルボキシ又はスルホン基がホスフィン基で置換されている。ホスフィネートベタインは、化学構造R−N(CH
3)
2−L−P(=O)(R)OXによって表され得る。Lは、例えば、プロピレンであってもよい。
一実施形態において、両性界面活性剤は、ホスホネートベタイン両性界面活性剤である。ホスホネートベタインは、アルキルベタイン及びスルホベタインと類似しており、カルボキシ又はスルホン基がホスホネート基で置換されている。ホスホネートベタイン(phosphonatebeaine)は、化学構造R−N(CH
3)
2−L−P(=O)(OR)OXで表され得る。Lは、例えば、プロピレンであってもよい。
【0045】
一実施形態において、両性界面活性剤は、ピリジニウムアルカノエート両性界面活性剤であり、次の化学構造によって表され得る。
【0046】
【化3】
式中、Rは脂肪族基、例えば、中鎖又は長鎖アルキルである。ピリジニウムアルカノエートはカルボン酸形態で例示されているが、好適なpHでは、カルボン酸(−COOH)基はカルボキシラート(COOX)基へと変換する。
【0047】
一実施形態において、両性界面活性剤は、スルファートイオン含有両性界面活性剤である。スルファートイオン基は、脂肪族不飽和アミン、例えばオレイルアミン(l−アミノ−9,10−オクタデセン)に容易に付加して、対応するスルファートイオン含有両性界面活性剤(名称9−(10)−ヒドロキシオクタデシルアミン)をもたらす。
一実施形態において、両性界面活性剤は、アルキルジメチルアンモニウムアルキルスルファートとしても知られるスルファトベタインであり、化学構造R−N(CH
3)
2−L−OSO
3Xで表され得る。スルファトベタインは、ベタイン基も含有するスルファートイオン含有両性界面活性剤の例である。
一実施形態において、両性界面活性剤は、スルホベタイン両性界面活性剤である。基本化合物の化学構造は、R−N(CH
3)
2−L−SO
2OXで表され得る(−L−SO
3Xと表される場合もある)。市販のように、多数のスルホベタインはLをプロピレンとして有し、かかる両性界面活性剤は、本開示の一実施形態において使用され得る。スルホベタインは、ベタイン基も含むスルホン酸含有両性界面活性剤の一例である。この分類のベタイン両性界面活性剤としては、アンモニウムアルカンスルホネート及び2−(N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム)エタンスルホネートが挙げられる。スルホベタインは、アルキルベタインに類似しているがカルボキシル基がアルキルスルホネート基で置換されている、トリアルキルアンモニウム化合物も挙げられる。Rが親油性アルキル基の場合、この分類のスルホベタインは、アルキルスルホベタインと呼ばれ得る。アルキルスルホベタイン界面活性剤は、一般に、その構造内に存在する長鎖アルキル基から命名される。例えば、Rが12個の炭素原子を直鎖内に有する、すなわちラウリルである場合、対応するスルホベタインは、ラウリルスルホベタインとして知られる。
上記の古典的構造の変形であるスルホベタイン界面活性剤はきわめて数多く存在する。例えば、「L」で表記されるプロピレン((CH
2)
3)基は、様々な官能基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、及びメキシで置換され得る。R基は、直鎖アルキル基である必要はなく、分枝状、又は脂環式若しくはは香族炭化水素でさえあり得る。実際には、R基は炭化水素である必要さえない。第1に、R基は親油性である必要があり、非常に多くの化学構造がこの特性をもたらす。本発明での使用に好適であるが、上記の古典的構造の範囲に入らないスルホベタイン界面活性剤は、N−(3−ココアミドプロピル)−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、及び3−[(3−クロロアミドプロピル)ジメチルアンモニウム]−1−プロパンスルホネートである。
【0048】
一実施形態において、両性界面活性剤は、スルホン酸含有両性界面活性剤である。例えば、両性界面活性剤は、化学式RNH−CH
2CH
2−SO
3H(式中、Rはアルキル基である)のN−アルキルタウリンであってもよい。関連実施形態において、Rは脂肪族基である。別のスルホン酸含有両性界面活性剤は、直鎖アミドアミン前駆体をスルホン化して1−ヒドロキシエチル2−アルキルイミダゾリンにすることで、R−CONH−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OH)CH
2CH
2SO
3H(式中、Rは脂肪族基、例えばアルキル基であってもよい)を得ることによって調製され得る。
【0049】
本組成物に使用され得る両性界面活性剤及びそれらの分類の具体例としては、限定するものではないが、ココアミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、ラウリルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルベタイン;ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシルスルホベタイン、ミリスタミンオキシド、ココアンホ酢酸ナトリウム、及びステアリルベタインが挙げられる。前述のように、これらの用語は界面活性剤の相互排他基を必ずしも定義するものではなく、すなわち、特定の両性界面活性剤は、選択された用語の1つに各々定義される両性界面活性剤の2組以上の範囲に該当し得る。
【0050】
アニオン性界面活性剤
一実施形態において、本開示の流体組成物は、少なくとも1種、任意選択で1種以上の、アニオン界面活性剤を包含する。好適な代表的アニオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、アルキルスルファート、アルキルエーテルスルファート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N−アルキルサルコシネート(N−alkoylsarcosinate)、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシラート、α−オレフィンスルホネート、並びにこれらのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩並びにアンモニウム及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。かかるアルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシラートは、1分子当たり1〜10個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位を有し、いくつかの実施形態では1〜3個のエチレンオキシド単位を有する。簡便のため、アニオン性界面活性剤は、界面活性剤の帯電部分を形成するアニオン性基を参照して呼ぶ場合がある。例えば、スルホン酸基を含むアニオン性界面活性剤はスルホネート界面活性剤と呼ばれる場合があり、又は状況が許す場合には、更に簡単にスルホネートと呼ばれる場合がある。更なる例として、スルファート基を含むアニオン性界面活性剤は、スルファート界面活性剤と呼ばれる場合があり、又は状況が許す場合には、更に簡単にスルファートと呼ばれる場合がある。
【0051】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、カルボン酸又はカルボキシラートであり、脂肪族基に加えてアニオン性基−C(O)−O−を有する。脂肪族基は、本明細書でRと表記され、アルキル基であってもよく、この場合カルボキシラートは、アルキルカルボキシラートと呼ばれる場合がある。代表的なアルキルカルボキシラートは、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩又はアンモニウム塩である。オレイン酸カリウムは、代表的なアルキルカルボキシラートである。脂肪族基は、あるいは、水溶性ではないポリアルキレンオキシド基であり得る。一部のカルボキシラートアニオン性界面活性剤は、オクタノール等のアルキルアルコールをエチレンオキシドと反応させて、1分子当たりのエチレンオキシド単位の平均数が8のとき、ポリオキシエチレン(8)オクチルエーテルカルボン酸として知られるポリオキシエチレン鎖延長オクタノールをもたらす。
【0052】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤はジフェニルオキシドである。ジフェニルオキシドは、ジフェニルオキシドアニオン性界面活性剤を生成するためにジフェニル前駆体の芳香族環がスルホン化されることから、スルホネートアニオン性界面活性剤の下位分類とみなすこともできる。ジフェノール前駆体は、一般的にジフェニルエーテル、すなわち、Ar−O−Arであり、ここで、芳香環(Ar)の一方又は両方はアルキル基で置換されてもよい。ジフェニルオキシドアニオン性界面活性剤は、化学式XSO
3−Ar(R)−O−Ar(R)−SO
3X(式中、Rは芳香環のうちスルホン化若しくはエーテル酸素に結合していない各位置において、水素又はアルキルである)で表され得る。代表的なジフェニルオキシドアニオン性界面活性剤としては、アルキル置換を有するジスルホン化ジフェニルオキシド、例えば、直鎖デシル置換を有するジスルホン化ジフェニルオキシド、直鎖ドデシル置換を有するジスルホン化ジフェニルオキシド、分枝鎖デシル置換を有するジスルホン化ジフェニルオキシドが挙げられ、これらのいずれも、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムで中和され得る。
【0053】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤はリン酸エステルであり、これは化学構造R−O−P(O)(OH)
2のモノリン酸エステルであってもよく、又は化学構造R−O−P(O)(OH)−O−R(式中、ジエステル中の2つのRは同じでも異なっていてもよい)のリン酸ジエステルであってもよい。R基は、脂肪族基、すなわち、非水溶性基である。R基は、アルキル基であてもよく、R=アルキルを有するリン酸エステルは、典型的には、対応するアルキルアルコールから調製される。一実施形態において、R基は、式R−(OCH
2CH
2)
n−O−P(O)(OH)
2のポリエーテルリン酸エステルをもたらすポリアルキレンオキシド基である。ポリエーテルリン酸エステルの共通の名称変換は界面活性剤中のポリオキシエチレン基の数を与える(例えば、ポリオキシエチレン(10))。ポリエーテルリン酸エステル中のR基は、アルキル基(ポリエーテルリン酸エステルがアルキルアルコールから誘導される場合)、アリール基(ポリエーテルリン酸エステルが芳香族アルコール、例えばフェノールから誘導される場合)、又はアルキルアリール基、例えば、ノニルフェノール等のアルキル置換フェノールであり得る。代表的なリン酸エステルとしては、ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールのリン酸エステル、ポリオキシエチレン(4)フェノールのリン酸エステル、及びC
8H
17リン酸エステルが挙げられる。リン酸エステルの市販製剤は、多くの場合、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物を提供し、これは、本開示の組成物に使用され得る。
【0054】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、サルコシネート、すなわち、化学構造R−C(O)−N(CH
3)−CH
2−CO
2X(式中、Rは脂肪族基である)を有する化合物である。サルコシネート界面活性剤としては、N−アシル基が挙げられ、ここで、アシルが誘導される脂肪酸が、一般的にサルコシネートの命名に使用される。代表的なサルコシネートとしては、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、及びアンモニウムイオン均等物が挙げられる。
【0055】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、スルファート、すなわち、脂肪族基に加えて、アニオン性−O−SO
3X基を有する化合物である。脂肪族基は、長鎖アルキル基であってもよく、ここで、界面活性剤中のアルキル基は、分枝鎖でも直鎖でもよい。脂肪族基はアルキル基である必要はないが、アルキル基は、一般に多数の植物性油及び動物性油から入手できることから、すぐに利用できる界面活性剤用脂肪族基の供給源である。代表的なスルファートアニオン性界面活性剤としては、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、トリデセス(rrideceth)硫酸ナトリウム、C
12~14−tert−アルキル−エトキシル化硫酸ナトリウム、及びポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−スルホ−ω−(ノニルフェノキシ)アンモニウム塩が挙げられる。
【0056】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、スルホアセタート、すなわち、脂肪族基に加えて、アニオン性−CH
2−SO
3X基を有する化合物である。一般的な脂肪族基は、構造R−O−C(O)−(式中、Rはアルキル基、例えば、C
8〜C
18直鎖アルキルである)を有する。代表的なスルホアセタートアニオン性界面活性剤は、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム及びセチルスルホ酢酸のアンモニウム塩である。スルホアセタートは、例えば、米国特許第5616782号明細書に記載のように調製され得る。
【0057】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、スルホネート、すなわち、脂肪族基に加えて、アニオン性−SO
3X基を有する化合物である。脂肪族基は、例えば、長鎖アルキル基であってもよい。スルホネートは、化学構造R−SO
3Xを有するとみなされ得る。一実施形態において、R基は脂肪酸から誘導され、ステアリル及びオレイル等の直鎖の長鎖アルキル基である。長鎖オレフィンは、二重結合を処理してスルホネート基に変換できることから、しばしばスルホネートの前駆体として使用される。かかるスルホネートは、スルホネートの形成に使用される前駆体によって命名されることが多く、例えば、C
14〜C
16オレフィンスルホネートでは、C
14〜C
16は14〜16個の炭素を有するオレフィンの混合物が、アニオン性界面活性剤を提供するためのスルホネートであることを示す。一実施形態において、R基は、アルキルベンゼン基、例えばドデシルベンゼン基である。アルキル基、例えばドデシル基は、直鎖アルキル基又は分枝アルキル基であってもよい。代表的なスルホネートアニオン性界面活性剤は、直鎖ドデシルベンゼンスルホネート及び分枝ドデシルベンゼンスルホナートである。通常どおり、アニオン性基は、好適なカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等で中和され得る。
【0058】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、スルホスクシナート、すなわち、スルホン化コハク酸をベースとする化学構造、すなわち、脂肪族基−O−C(O)−CH
2−CH(スルファート)−C(O)−O−R(これは脂肪族基又は水素である)を有する化合物である。スルホスクシナートは、概ね、無水マレイン酸と脂肪族アルコールの縮合の後、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)でスルホン化した生成物であるスルホコハク酸のアルキルエステルのナトリウム塩である。上記の化学構造に示すように、スルホスクシナートは少なくとも1個の脂肪族基を有し、2個の脂肪族基を有し得る。しかし、スルホスクシナートが1個の脂肪族基を有する場合、第2の脂肪族基よりもむしろ、アニオン性カルボキシレート基も有し得る。代表的なスルホスクシナートアニオン性界面活性剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(2個の脂肪族基を有する)及びラウレススルホコハク酸二ナトリウム(1個の脂肪族基、1個のスルファート基及び1個のカルボキシレート基を有し、DLSとしても知られる)が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の更なる具体例としては、限定するものではないが、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0059】
一実施形態において、本開示の流体濃度及び組成物は、両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を含有する。第3の界面活性剤は、第1(両性)又は第2(アニオン性)界面活性剤のいずれとも非同一性である、すなわち、同一ではない。過去に開示された両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤は、それ(第3の界面活性剤)が第1又は第2の界面活性剤と同じでない限り、任意選択で第3の界面活性剤として本配合物に使用される。一実施形態において、第3の界面活性剤が第1又は第2の界面活性剤とは異なる分類である、すなわち、第3の界面活性剤は、第1及び第2の両性又はアニオン性界面活性剤に存在する帯電官能基を提供する官能基とは異なる官能基を有する。例えば、第2の界面活性剤がスルファートアニオン性界面活性剤である場合、第3の界面活性剤はスルファートではなく、代わりに、例えばスルホナートアニオン性界面活性剤である。
【0060】
本発明での使用に好適な両性及び/又はアニオン性界面活性剤は、以下の代表的な製造業者及び/又は供給業者の1つ以上から得られ得る:Aceto Corp.(Allendale,NJ);Air Products(Allentown,PA);Akzo Nobel Chemicals Co.(Chicago,IL);AIzo International(Sayreville,NJ);BASF Corp.(Florham Park,NJ);Clariant Corp.(Frankfurt,Germany);Croda,Inc.(Edison,NJ);Dow Chemical(Midland Ml);E.I.du Pont de Nemours&Co.,Inc.(Wilmington,DE);Harcros Chemicals,Inc.(Kansas City,KS);Huntsman Corp.(St.Lake City,UT);Kaiser Industries Ltd.(Bahadurgarh,Haryana,India)、花王株式会社(東京、日本);Lonza,Inc.(Basel,Switzerland);日油株式会社(東京、日本);Pilot Chemicals(Cincinnati,OH);Procter&Gamble(Cincinnati,OH);Solvay−Rhodia(Courbevoie,France);Stepan Co.(Northfield,IL);及びUnilever PLC(London,England)。
【0061】
任意選択成分
以下の成分は、本開示の組成物中に任意選択で存在するが、本開示は、以下の成分の各々が本開示の組成物中に存在することが明確に除外されてもよいことも規定する。
【0062】
本開示の組成物は防錆剤を含んでもよく、これは本明細書において防食剤と呼ばれる場合もある。代表的な防錆剤は、亜硝酸ナトリウムである。その他の代表的な防錆剤は、安息香酸ナトリウム、有機ホウ素化合物、アミン、アミノホスフェート化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、及びトール油脂肪酸である。防錆剤は、材料加工流体として、例えば金属切削流体として、直接使用される組成物の10質量%未満の量で組成物中に存在し得る。任意選択の実施形態において、上記量は、9質量%未満、又は8質量%未満、又は7質量%未満、又は6質量%未満、又は5質量%未満、又は4質量%未満、又は3質量%未満、又は2質量%未満、又は1質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満である。量は、最小量で表されてもよく、例えば、少なくとも500ppm、又は少なくとも1000ppm、又は少なくとも1500ppm、又は少なくとも2000ppm、又は少なくとも2500ppm、又は0.5質量%、又は少なくとも1質量%、又は少なくとも1.5質量%、又は少なくとも2質量%、又は少なくとも2.5質量%、又は少なくとも3質量%、又は少なくとも3.5質量%、又は少なくとも4質量%、又は少なくとも4.5質量%、又は少なくとも5質量%等である。防錆剤は、周知の商用材料である。
【0063】
本開示の組成物は、染料又は顔料等の着色料を含んでもよい。着色剤は、切削又は他の方法で成形しようとする材料、例えば金属に適用されているときに、目に見える色を付与するのにちょうど十分な少量で使用するべきである。着色剤は、周知の商用材料である。
【0064】
本開示の組成物は、泡止め剤とも呼ばれ得る消泡剤を含んでもよい。好適な消泡剤は、シリコーンポリマーである。シリコーン消泡剤は、周知の商用材料である。Dow Corning(Michigan,USA)は、このような消泡剤を販売している。別の好適な消泡剤は、リン酸トリブチルである。
【0065】
本開示の組成物は、増粘剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、水性流体組成物又はその濃縮物へ添加又は包含されたときに、増粘剤は組成物の粘度を増大する。増粘剤の包含は、とりわけ、表面に対する組成物の接着の改善をもたらす。これは、表面が水平ではなく、そのため、増粘剤がないと重力下で表面から材料加工組成物が落ちる傾向がある場合に、特に有利である。増粘剤は、水溶性であってもよい。水性組成物用の増粘剤は当該技術分野において周知であり、水性増粘剤と呼ばれることもあり、かかる増粘剤のいずれも本組成物に使用できる。
【0066】
組成物に含まれる増粘剤の量は、増粘剤の厳密な識別情報及び濃縮形態の材料加工流体組成物に望ましい粘度に依存する。セルロース系又はポリアミド増粘剤から、全乳又はオレンジジュースに近い粘度を達成するために選択された増粘剤については、組成物が総固形分約5〜25%の濃縮物である場合、増粘剤は、典型的には、組成物の総質量に基づいて0.1質量%の質量パーセントで存在する。濃縮物の粘度は、主に組み込む増粘剤を多く又は少なくすることで変動し得る。より粘稠な濃縮物が所望される場合、より多くの増粘剤を添加することで、より粘稠な組成物が得られるであろう。あるいは、より有効な増粘剤、すなわち、より低濃度で同じ増粘を達成する増粘剤を利用してもよい。
【0067】
一態様において、増粘剤は、ポリヒドロキシポリマー、例えば、セルロース又は官能化セルロース等の多糖であってもよい。増粘剤が多糖の場合、多糖は、1ポリマー鎖につき少なくとも50、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200の糖単位を有し得る。多糖の数平均分子量は、少なくとも13,000、又は少なくとも17,000、又は少なくとも21,000、又は少なくとも25,000であり得る。
一態様において、増粘剤は、グリセロール等のポリヒドロキシ小分子である。ポリヒドロキシ小分子は、分子量が500g/モル未満であり、少なくとも3個のヒドロキシル基を有する。
一態様において、増粘剤はセルロース系であり、これはセルロース樹脂の誘導体を含む。好適なセルロースは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。HECは−CH
2OH基が−CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH基に変換され、−OH基が−OCH
2CH
2OH基に変換されている、セルロース誘導体である。HECは、多数のグレードで市販されており、各グレードは分子量及び誘導体化度が異なり、そのため異なる溶液粘度をもたらす(典型的には、水中固形分2%で測定)。好適なHECは、Dow Chemical(Midland,Ml)のCellosize(商標)及びAshland Chemical(Covington,KY)のAqualon(商標)である。
その他の好適なセルロース系増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びアニオン性(塩)形態、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロースのジヒドロキシプロピルエーテル(例えば、米国特許第4096326号明細書参照)が挙げられる。
セルロース系以外の好適なポリヒドロキシポリマーとしては、トウモロコシデンプン又は変性トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は変性ジャガイモデンプン、及びペクチン又は変性ペクチンが挙げられる。
【0068】
増粘剤は、ポリアクリルアミドであってもよい。好適なポリアクリルアミド増粘剤は、アクリルアミドとアクリル酸アンモニウムのコポリマー;アクリルアミドのコポリマー又はメタクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムのハロゲン化物、例えば塩化物とのコポリマー;アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマーが挙げられる。これらのコポリマーは、架橋剤の存在下で調製でき、代表的な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスアクリルアミド、ジアリルエーテル、糖類のアルコール(例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、マンニトール、ソルビトール及びグルコース)のポリアリルポリグリセリルエーテル又はアリルエーテルが挙げられる。例えば、米国特許第2798053号明細書及び米国特許第2923692号明細書を参照されたい。ポリアクリルアミドはイオン性であってもよく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水性アンモニア、トリエタノールアミン又はモノエタノールアミン等のアミン等の中和剤で中和されてもよい。イオン性ポリアクリルアミドは、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムを、アゾビスイソブチロニトリル型の開始剤を用いたラジカル経路で共重合し、tert−ブタノール等のアルコールから沈殿することによって調製され得る。アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチル−塩化アンモニウムの架橋コポリマーは、アクリルアミドと、塩化メチルで四級化したジメチルアミノエチルメタクリレートを共重合した後、メチレンビスアクリルアミド等のオレフィン不飽和を有する化合物で架橋することによって得られ得る。
【0069】
増粘剤は、ポリアクリル酸であってもよい。好適なポリアクリル酸増粘剤は、市販されている。例えば、Lubrizol(Wickliffe,Ohio)は、ポリアクリル酸から製造された合成増粘剤のCarbopol(商標)を販売している。ポリアクリル酸は、増粘挙動を調節するために中和されてもよい。例えば、ポリアクリル酸は、例えば、水酸化アンモニウムを使用して、アンモニウムイオンで中和され得る。Ashland Chemicalは、架橋ポリアクリル酸のCarbomer(商標)シリーズを販売している。この場合も、有効な増粘挙動をもたらすために、これらのポリマーを中和する必要がある。
【0070】
増粘剤は、ガム又はこれらの誘導体であってもよい。例としては、ローカストビーンガム及び誘導体、グアーガム及び誘導体、並びにキサンタンガム及び誘導体が挙げられる。代表的なガム誘導体としては、スルホン化ガム、例えば、スルホン化グアー、ヒドロキシプロピル誘導ガム、例えばヒドロキシプロピルグアー、カチオン性誘導体、例えばカチオン性グアーが挙げられる。
【0071】
増粘剤は、疎水変性増粘剤であってもよい。一態様において、増粘剤は、疎水性アルキル鎖等の疎水性基を含み、かかる増粘剤の好適な例としては、疎水変性エチレンオキシドウレタン(HEUR)ポリマー、疎水変性アルカリ可溶性エマルション(HASE)ポリマー、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、及び疎水変性ポリアクリルアミド(HMPA)が挙げられる。HEURポリマーは、ジイソシアナートと疎水性炭化水素基で末端保護されたポリエチレンオキシドの直鎖反応生成物である。HASEポリマーは、(メタ)アクリル酸のホモポリマー、又は(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、又は疎水性ビニルモノマーで変性されたマレイン酸のコポリマーである。HMHECは、疎水性アルキル鎖で修飾されたヒドロキシエチルセルロースを指す。HMPAは、アクリルアミドと疎水性アルキル鎖で変性されたアクリルアミド(N−アルキルアクリルアミド)とのコポリマーを指す。
【0072】
一態様において、本開示の流体組成物は、有機酸又は無機酸の無機塩を含む。好適な有機酸の無機塩としては、クエン酸アンモニウム、酢酸カルシウム、酢酸銅、クエン酸銅、クエン酸マグネシウム、メラミンリン酸塩、酢酸ニッケル、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、重酒石酸ナトリウム、酢酸ストロンチウム、リン酸尿素、及び酢酸亜鉛が挙げられる。
組成物中に存在する無機成分の量は、広い範囲で変動し得る。組成物中に存在する固体の総質量を基準にして、無機成分は、当該質量の1%〜約15%を構成する。様々な実施形態において、無機成分は、組成物の固体成分の総質量の少なくとも2%、又は少なくとも3%、又は少なくとも4%、又は少なくとも5%、又は少なくとも6%、又は少なくとも7%、又は少なくとも8%、又は少なくとも9%、又は少なくとも10%、又は少なくとも11%、又は少なくとも12%、又は少なくとも13%、又は少なくとも14%、又は少なくとも15%である。様々な実施形態において、無機成分は、組成物中に存在する固体の総質量の30%以下、又は25%以下、又は20%以下、又は15%以下、又は10%以下を占める。上述のように、一実施形態において、無機成分は無機塩である。
【0073】
一態様において、本開示の流体組成物は、水と混和可能な不揮発性有機溶媒を含む。本明細書で使用するとき、液体である不揮発性材料又は溶媒は、水よりも高い、すなわち100℃を超える沸点を有する。代表的有機溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテルで、BUTYL CELLOSOLVE(商標)としても知られる。
【0074】
上述のように、本開示は水及び固体を含む濃縮物組成物を提供し、固体は、両性界面活性剤から選択される第1の界面活性剤、アニオン性界面活性剤から選択される第2の界面活性剤、並びに両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を含み、第3の界面活性剤は第1及び第2の界面活性剤とは異なる。任意選択で、第3の界面活性剤はフルオロ界面活性剤であるが、第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤はいずれもフルオロ界面活性剤ではない。第3の界面活性剤はフッ素化又は全フッ素化アニオン性フルオロ界面活性剤であってもよいが、濃縮物の第2の(アニオン性)界面活性剤は、非フッ素化物である。あるいは、第3の界面活性剤はフッ素化又は全フッ素化両性界面活性剤であってもよいが、濃縮物の第1の(両性)界面活性剤は、非フッ素化物である。フッ素化界面活性剤は、いくつかのC−F結合を有し、C−F結合のみを含有してもよく(この場合、界面活性剤は全フッ素化されている)、いくつかのC−H結合を含有してもよい(この場合、界面活性剤はハイドロフルオロカーボン含有分子である)。
【0075】
本明細書で識別される両性及びアニオン性界面活性剤のフッ素化物に加えて、本開示の濃縮物又は組成物に包含され得る代表的なフルオロ界面活性剤としては、いずれもDuPont(Wilmington,DE)からのCaptstone(商標)フルオロ界面活性剤及びForafac(商標)フルオロ界面活性剤が挙げられる。その他の代表的なフルオロ界面活性剤は、米国特許出願公開第2013/0112908号明細書、米国特許出願公開第2012/0255651号明細書、米国特許出願公開第2011/0232924号明細書、米国特許出願公開第2011/0091408号明細書、米国特許出願公開第2010/0168318号明細書、米国特許第8287752号明細書、米国特許第8039677号明細書、米国特許第7977426号明細書、及び米国特許第7989568号明細書のいずれかに開示されている界面活性剤である。
しかしながら、別の実施形態において、第3の界面活性剤はフルオロ界面活性剤ではない。フッ素含有化合物は、望ましくない生体内持続性を有する可能性があること、及び/又は分解して有害物質になり得ることから、注意して使用する必要がある。一実施形態において、本発明の濃縮物及び組成物はフルオロカーボンを含有しないが、別の実施形態において、本発明の濃縮物及び組成物はいかなるハロカーボンも含有しない。
【0076】
配合
本開示は、材料加工流体、例えば金属切削流体を、濃縮形態並びに希釈(すぐに使用できる)形態で提供する。濃縮形態は、様々な成分の量に関して記載される場合があり、これらの量は濃縮物中に存在する界面活性剤の総量を基準としている。
例えば、界面活性剤の1質量部当たり(例えば、界面活性剤1g当たり、又は1kg当たり等)に対して、濃縮物は1〜10質量部の防錆剤を含有し得る。従って、濃縮物が10gの界面活性剤を含有する場合、濃縮物は10〜100gの防錆剤も含有し得る。任意選択で、濃縮物は、少なくとも1、又は少なくとも2、又は少なくとも3、又は少なくとも4、又は少なくとも5質量部の防錆剤(1質量部の界面活性剤に対して)を含有し、10質量部未満、又は9質量部未満、又は8質量部未満、又は7質量部未満、又は6質量部未満、又は5質量部未満の防錆剤を含有し得る。代表的実施形態において、濃縮物は、濃縮物中に存在する全界面活性剤の1グラムにつき1〜10、又は2〜8、又は3〜7、又は4〜6質量部の防錆剤、例えば亜硝酸ナトリウムを含有する。
【0077】
1質量部の界面活性剤に対して、濃縮物は0.1〜0.5部の増粘剤を含有し得る。従って、濃縮物が10gの界面活性剤を含有する場合、濃縮物は1〜5gの防錆剤も含有し得る。任意選択で、濃縮物は、少なくとも0.1又は少なくとも0.2、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.4質量部の増粘剤を含有し(1質量部の界面活性剤(複数可)に対して)、0.5質量部未満、又は0.4質量部未満、又は0.3質量部未満の増粘剤を含有し得る。代表的実施形態において、濃縮物は、濃縮物中に存在する全界面活性剤の1グラムにつき0.1〜0.5、又は0.2〜0.4質量部の増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロースを含有する。
1質量部の界面活性剤に対して、濃縮物は0.05〜0.25部の無機塩を含有し得る。従って、濃縮物が合計10gの界面活性剤を含有する場合、濃縮物は0.5〜2.5gの無機塩も含有し得る。任意選択で、濃縮物は、少なくとも0.05、又は少なくとも0.1、又は少なくとも0.15、又は少なくとも0.2質量部の無機塩(濃縮物中に存在する1質量部の界面活性剤(複数可)に対して)を含有し、0.25質量部未満、又は0.2質量部未満、又は0.15質量部未満、又は0.1質量部未満の無機塩を含有し得る。代表的実施形態において、濃縮物は、0.05〜0.25、又は0.1〜0.2質量部の塩化カルシウム等の無機塩を含有する。
1質量部の界面活性剤に対して、濃縮物は、0.01〜0.1質量部の不揮発性、水溶性の有機溶媒を含有し得る。従って、濃縮物が合計10gの有機溶媒を含有する場合、濃縮物は0.1〜1gの有機溶媒も含有し得る。任意選択で、濃縮物は、少なくとも0.01、又は少なくとも0.02、又は少なくとも0.03、又は少なくとも0.04、又は少なくとも0.05、又は少なくとも0.06、又は少なくとも0.07質量部の有機溶媒(濃縮物中に存在する1質量部の界面活性剤(複数可)に対して)を含有し、0.1質量部未満、又は0.09質量部未満、又は0.08質量部未満、又は0.07質量部未満、又は0.06質量部未満、又は0.05質量部未満の有機溶媒を含有し得る。代表的実施形態において、濃縮物は、0.01〜0.1、又は0.02〜0.9、又は0.03〜0.8質量部の有機溶媒、例えばエチレングリコールブチルエーテルを含有する。
界面活性剤の1質量部に対して、濃縮物は0.2〜1.0部の消泡剤を含有し得る。従って、濃縮物が合計10gの界面活性剤を含有する場合、濃縮物は2〜10gの消泡剤も含有し得る。任意選択で、濃縮物は、少なくとも0.2、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.4、又は少なくとも0.5質量部の消泡剤(濃縮物中に存在する1質量部の界面活性剤(複数可)に対して)を含有し、1.0質量部未満、又は0.9質量部未満、又は0.8質量部未満、又は0.7質量部未満、又は0.6質量部未満の消泡剤を含有し得る。代表的実施形態において、濃縮物は、0.2〜1.0、又は0.3〜0.8、又は0.4〜0.6質量部の消泡剤、例えばシリコーン消泡剤を含有する。
【0078】
濃縮物は、水も含有する。水の量は変動し得るが、典型的には、濃縮物の5〜50質量%の範囲である。換言すれば、100gの濃縮物は5〜50gの水を包含する。任意選択の実施形態において。濃縮物は、少なくとも5質量%、又は少なくとも10質量%、又は少なくとも15質量%、又は少なくとも20質量%、又は少なくとも25質量%が水であるが、他の任意選択の実施形態では、濃縮物は50質量%未満、又は45%質量%未満、又は40%質量%未満、又は35%未満、又は30質量%未満が水である。
【0079】
本開示は、希釈形態の濃縮物も提供し、これは、金属切削操作等の材料加工工程にすぐに使用できる。任意選択の実施形態において、希釈形態の濃縮物は、その含水量が75〜99%となるのに十分に希釈されている。希釈形態の濃縮物は、濃縮物を等量の水と組み合わせることによって希釈されてもよく(1×希釈)、又は2×、又は3×、又は4×、又は5×、又は6×、又は7×、又は8×、又は9×、又は10×、又は11×、又は12×、又は13×、又は14×、又は15×、又は16×、又は17×、又は18×、又は19×、又は20×希釈によって調製されてもよく、並びにこれらの値の任意の2つを選択することによって規定される範囲であってもよい。例えば、希釈形態は、5×〜15×、すなわち、5〜15倍の体積の水を濃縮物の各体積に添加することによって、又は5〜15倍の質量の水を濃縮物の各質量に添加することによって、調製されてもよい。
【0080】
一実施形態において、本開示は、水及び固体を含む組成物を提供し、固体は、少なくとも1種の界面活性剤、例えば、両性の第1の界面活性剤、アニオン性の第2の界面活性剤、及び両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を含み、第3の界面活性剤は第1及び第2の界面活性剤とは異なる。任意選択の実施形態において:水は組成物の75〜95質量%を構成し;例えば、水は組成物の75〜80質量%を構成し、又は水は組成物の80〜85質量%を構成し、又は水は組成物の85〜90質量%を構成し、又は水は組成物の95〜95質量%を構成する。任意選択の実施形態において:両性界面活性剤(複数可)は、固体の10〜30質量%又は固体の15〜25質量%を構成し;例えば、両性界面活性剤(複数可)は固体の10〜15質量%を構成し、又は両性界面活性剤(複数可)は固体の15〜20質量%を構成し、又は両性界面活性剤(複数可)は固体の20〜25質量%を構成し、又は両性界面活性剤(複数可)は固体の25〜30質量%を構成する。任意選択の実施形態において、両性界面活性剤(複数可)は、組成物の1〜5質量%を構成する。任意選択の実施形態において、アニオン性界面活性剤(複数可)は、固体の45〜85質量%を構成し;例えば、アニオン性界面活性剤(複数可)は、固体の45〜55質量%を構成し、又はアニオン性界面活性剤(複数可)は、固体の55〜65質量%を構成し、又はアニオン性界面活性剤(複数可)は、固体の65〜75質量%を構成し、又はアニオン性界面活性剤(複数可)は、固体の75〜85質量%を構成する。任意選択の実施形態において、アニオン界面活性剤(複数可)は、組成物の5〜25質量%を構成する。
【0081】
更なる任意選択の実施形態において、両性界面活性剤は、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン及びコカミドプロピルベタインから選択される1種以上のベタインであり;アニオン性界面活性剤は、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムから選択される1種以上の界面活性剤であり;組成物は、無機塩を更に含み、任意選択で、無機塩は固体の2〜20質量%を構成し;組成物は増粘剤を更に含み、任意選択で、増粘剤は固体の0.1〜5質量%を構成する。
上述のように、本開示の組成物は、両性界面活性剤(及び任意選択で1種以上の両性界面活性剤)及びアニオン性界面活性剤(及び任意選択で1種以上のアニオン性界面活性剤)の両方を包含し得る。一態様において、1種以上の両性界面活性剤(複数可)は、1種以上のアニオン性界面活性剤(複数可)とほぼ等しい質量で組成物に含まれる。他の態様において、再度質量基準で測定した場合、両性界面活性剤(複数可)は、組成物の総質量に対してアニオン性界面活性剤(複数可)よりも少ない質量で含まれ、様々な実施形態において、両性界面活性剤(複数可)は、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の総質量の1〜50%、又は5〜40%、又は10〜30%又は15〜25%で含まれる。
組成物が、2種の両性界面活性剤、又は2種のアニオン性界面活性剤を含有する場合、その2種の界面活性剤は必ずしも等質量で存在しない。様々な実施形態において、組成物は、第1及び第2のアニオン性界面活性剤を含み、第1の界面活性剤は、第1及び第2の界面活性剤の総質量の1〜50%を提供する。更なる実施形態では、第1の界面活性剤は、第1及び第2のアニオン性界面活性剤の総質量の1〜40%、又は1〜30%、又は1〜20%、又は1〜10%、又は1〜5%を提供する。同様に、様々な実施形態において、組成物は第1及び第2の両性界面活性剤を含み、第1の両性界面活性剤は、第1及び第2の界面活性剤の総質量の1〜50%を提供し、更なる実施形態では、第1の両性界面活性剤は、第1及び第2の両性界面活性剤の総質量の1〜40%、又は1〜30%、又は1〜20%、又は1〜10%、又は1〜5%を提供する。
【0082】
一実施形態において、2種の両性界面活性剤の混合物が、本開示の材料加工流体、例えば金属切削流体組成物に包含される。例えば、上記の両性界面活性剤のいずれの混合物も使用してよい。2種の両性界面活性剤が組成物中に存在する場合、これらの2種の界面活性剤は、組成物中の各界面活性剤の質量を基準にした相対量で存在する。例えば、組成物が等質量の2種の両性界面活性剤を含有する場合、これらの2種の界面活性剤は、1:1の質量比で存在する。組成物が、第1の界面活性剤を第2の界面活性剤の2倍含有する場合、これらの2種の界面活性剤は1:2の質量比で存在する。第2の界面活性剤が、第1の界面活性剤の質量に対して許容可能な質量の範囲内で存在し、かつ、その範囲が「第1の界面活性剤と等質量」と「第1の界面活性剤の質量の2倍」の間にある場合、これらの2種の界面活性剤は、1:(1〜2)の質量比で存在する。
上記のように、一実施形態において、本開示は、組成物中に2種の両性界面活性剤が存在する。様々な実施形態において、これらの2種の両性界面活性剤は以下の相対量で存在し得る:1:1;1:(1〜5);1:(1〜10);1:(1〜15);1:(1〜20);1:(1〜25);1:(1〜30);1:(5〜10);1:(5〜15);1:(5〜20);1:(5〜25);1:(5〜30);1:(10〜15);1:(10〜20);1:(10〜25);1:(10〜30);1:(15〜20);1:(15〜25);1:(15〜30);1:(20〜25);及び1:(25〜30)。
【0083】
一実施形態において、2種のアニオン性界面活性剤の混合物が、本開示の材料加工流体、例えば金属切削流体組成物に包含される。例えば、上記のアニオン性界面活性剤のいずれの混合物も使用してよい。2種のアニオン性界面活性剤が組成物中に存在する場合、これらの2種の界面活性剤は、組成物中の各界面活性剤の質量を基準にした相対量で存在する。例えば、組成物が等質量の2種のアニオン性界面活性剤を含有する場合、これらの2種の界面活性剤は、1:1の質量比で存在する。組成物が、第1の界面活性剤を第2の界面活性剤の2倍含有する場合、これらの2種の界面活性剤は、1:2の質量比で存在する。第2の界面活性剤が、第1の界面活性剤の質量に対して許容可能な質量の範囲内で存在し、かつ、その範囲が「第1の界面活性剤と等質量」と「第1の界面活性剤の質量の2倍」の間にある場合、これらの2種の界面活性剤は、1:(1〜2)の質量比で存在する。
上記のように、一実施形態において、本開示は、組成物中に2種のアニオン性界面活性剤が存在する。様々な実施形態において、これらの2種のアニオン性界面活性剤は、以下の相対量で存在し得る:1:1;1:(1〜5);1:(1〜10);1:(1〜15);1:(1〜20);1:(1〜25);1:(1〜30);1:(5〜10);1:(5〜15);1:(5〜20);1:(5〜25);1:(5〜30);1:(10〜15);1:(10〜20);1:(10〜25);1:(10〜30);1:(15〜20);1:(15〜25);1:(15〜30);1:(20〜25);及び1:(25〜30)。
【0084】
一実施形態において、本開示は、10〜25質量%の第1のアニオン性界面活性剤、任意選択でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホナート界面活性剤、任意選択で12〜23質量%又は任意選択で15〜20質量%の第1のアニオン性界面活性剤;5〜15質量%の両性界面活性剤、任意選択でコカミドプロピルベタイン等のベタイン界面活性剤、任意選択で7〜13質量%又は任意選択で7〜11質量%のベタイン界面活性剤;1〜10質量%の第2のアニオン性界面活性剤、任意選択でラウレス硫酸ナトリウム又はドデシル硫酸ナトリウム等のスルファート界面活性剤、任意選択で2〜8質量%又は3〜7質量%の第2のアニオン性界面活性剤;最大で約5質量%の有機溶媒、任意選択でエチレングリコールブチルエーテル等のグリコールエーテル、任意選択で1〜4質量%又は2〜3質量%のグリコールエーテル;2〜15質量%のセルロース系増粘剤等の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、任意選択で4〜12質量%又は6〜10質量%の増粘剤;最大で約10質量%の塩化カルシウム、任意選択で2〜7質量%又は3〜6質量%の塩化カルシウムを含有する、材料加工流体、例えば金属切削流体濃縮物組成物を提供する。任意選択で、濃縮物は、第3のアニオン性界面活性剤、例えばオクチル硫酸ナトリウムを、最大約5質量%の量で含有し得る。水も濃縮物中に存在するであろう。濃縮物の非水溶性成分の総含有量は、約25〜75質量%、又は約30〜70質量%、又は約35〜55質量%、又は約40〜50質量%である(約40〜50質量%の場合、含水量は50〜40質量%である)。
【0085】
一実施形態において、本開示は、0.1〜0.3質量%の濃度の第1のアニオン性界面活性剤(すなわち、100gの組成物に0.1〜0.3gの第1のアニオン性界面活性剤、すなわち、1000〜3000ppmの第1のアニオン性界面活性剤)、0.01〜0.10質量%の濃度の、第1のアニオン性界面活性剤とは異なる第2のアニオン性界面活性剤(すなわち、100〜1000ppmの第2のアニオン性界面活性剤)、0.05〜0.15の濃度の両性界面活性剤(すなわち、500〜1500ppmの両性界面活性剤)及び0.1〜0.3質量%の濃度の防錆剤(すなわち、1000〜3000ppmの防錆剤)を含む組成物を提供する。組成物は、任意選択で、0.05〜0.15質量%の濃度の増粘剤(500〜1500ppmの増粘剤)、及び/又は0.01〜0.1質量%の濃度の無機塩(100〜1000ppmの無機塩)、及び/又は0.01〜0.1質量%の濃度の不揮発性有機溶媒(100〜1000ppmの不揮発性有機溶媒)、及び/又は0.05〜0.2質量%の濃度の消泡剤(すなわち、500〜2000ppmの消泡剤)も含有する。一実施形態において、組成物は、これらの成分の各々、すなわち、第1のアニオン性界面活性剤、第2のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、防錆剤、増粘剤、無機塩,不揮発性有機溶媒及び消泡剤の各々を含有する。一実施形態において、組成物は、これらの成分の各々、すなわち、スルホナート含有界面活性剤である第1のアニオン性界面活性剤、スルファート含有界面活性剤である第2のアニオン性界面活性剤、ベタイン含有界面活性剤である両性界面活性剤、防錆剤、セルロース系増粘剤である増粘剤、無機塩、不揮発性有機溶媒及び消泡剤の各々を含有する。一実施形態において、組成物は、これらの成分の各々、すなわち、スルホナート含有界面活性剤である第1のアニオン性界面活性剤、スルファート含有界面活性剤である第2のアニオン性界面活性剤、ベタイン含有界面活性剤である両性界面活性剤、亜硝酸ナトリウムである防錆剤、ヒドロキシエチルセルロースである増粘剤、塩化カルシウムである無機塩、エチレングリコールブチルエーテルである不揮発性有機溶媒、及びシリコーン消泡剤である消泡剤の各々を含有する。
【0086】
一実施形態において、本開示は、約0.2質量%の濃度の第1のアニオン性界面活性剤(すなわち、100gの組成物中に約0.2gの第1のアニオン性界面活性剤、すなわち、約2000ppmの第1のアニオン性界面活性剤)、約0.05質量%の濃度の、第1のアニオン性界面活性剤とは異なる第2のアニオン性界面活性剤(すなわち、約500ppmの第2のアニオン性界面活性剤)、約0.09質量%の濃度の両性界面活性剤(すなわち、約900ppmの両性界面活性剤)、及び約0.2質量%の濃度の防錆剤(すなわち、約2000ppmの防錆剤)を含む組成物を提供する。組成物は、任意選択で、0.05〜0.15質量%の濃度の増粘剤(500〜1500ppmの増粘剤)又は約800ppmの増粘剤、及び/又は0.01〜0.1質量%の濃度の無機塩(100〜1000ppmの無機塩)又は約400ppmの無機塩、及び/又は0.01〜0.1質量%の濃度の不揮発性有機溶媒(100〜1000ppmの不揮発性有機溶媒)又は約200ppmの不揮発性有機溶媒、及び/又は0.05〜0.2質量%の濃度の消泡剤(すなわち、500〜2000ppmの消泡剤)又は約1000ppmの消泡剤も含有する。一実施形態において、組成物は、これらの成分の各々、すなわち、第1のアニオン性界面活性剤、第2のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、防錆剤、増粘剤、無機塩,不揮発性有機溶媒及び消泡剤の各々を含有する。一実施形態において、組成物は、これらの成分の各々、すなわち、スルホナート含有界面活性剤である第1のアニオン性界面活性剤、スルファート含有界面活性剤である第2のアニオン性界面活性剤、ベタイン含有界面活性剤である両性界面活性剤、防錆剤、セルロース系増粘剤である増粘剤、無機塩、不揮発性有機溶媒及び消泡剤の各々を含有する。一実施形態において、組成物は、これらの成分の各々、すなわち、スルホナート含有界面活性剤である第1のアニオン性界面活性剤、スルファート含有界面活性剤である第2のアニオン性界面活性剤、ベタイン含有界面活性剤である両性界面活性剤、亜硝酸ナトリウムである防錆剤、ヒドロキシエチルセルロースである増粘剤、塩化カルシウムである無機塩、エチレングリコールブチルエーテルである不揮発性有機溶媒、及びシリコーン消泡剤である消泡剤の各々を含有する。
【0087】
以下は、本開示の組成物のいくつかの更なる代表的実施形態であり、ここで金属切削組成物と金属冷却組成物とは互換可能に使用される:
1)水、第1の界面活性剤、セルロース系増粘剤等の増粘剤、及び防錆剤を含む金属切削組成物。
2)水、第1の界面活性剤、塩化カルシウム等の無機塩、及び防錆剤を含む金属切削組成物。
3)第1の界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、実施形態1又は2の金属冷却組成物。
4)第1の界面活性剤が、スルホナート基を含むアニオン性界面活性剤である、実施形態1〜3のいずれか1つの組成物。
5)第1の界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである、実施形態1〜4のいずれか1つの組成物。
6)第2の界面活性剤を含み、第2の界面活性剤が両性界面活性剤である、実施形態1〜5のいずれか1つの組成物。
7)第2の界面活性剤を含み、第2の界面活性剤が、ベタイン基を含む両性界面活性剤である、実施形態1〜6のいずれか1つの組成物。
8)第2の界面活性剤を含み、第2の界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、実施形態1〜7のいずれか1つの組成物。
9)第3の界面活性剤を含み、第3の界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、実施形態1〜8のいずれか1つの組成物。
10)第3の界面活性剤を含み、第3の界面活性剤がスルファート基を含むアニオン性界面活性剤である、実施形態1〜9のいずれか1つの組成物。
11)第3の界面活性剤を含み、第3の界面活性剤がラウレス硫酸ナトリウムである、実施形態1〜10のいずれか1つの組成物。
12)防錆剤が亜硝酸ナトリウムである、実施形態1〜11のいずれか1つの組成物。
13)セルロース系増粘剤である増粘剤を含み、セルロース系増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである、実施形態1〜12のいずれか1つの組成物。
14)消泡剤を含む、実施形態1〜13のいずれか1つの組成物。
15)消泡剤を含み、消泡剤がシリコーンポリマーである、実施形態1〜14のいずれか1つの組成物。
16)スルホン酸基を含む第1の界面活性剤及びスルファート基を含む第2の界面活性剤を含む、実施形態1〜15のいずれか1つの組成物。
以下に論じるように、本開示は、実施形態1〜16のいずれかの組成物を含む組成物を、機械加工されている金属から熱を放散するのに有効な量及び時間で、機械加工されている金属片に適用することを含む、金属を機械加工する方法も提供する。機械加工工程は、金属の切削によって達成されてもよく、従って切削工程と呼ばれ得る。機械加工工程は、ブローチ加工(broaching)、タップ加工(tapping)、ホブ切り(hobbing)、切削(cutting)、ドリル加工(drilling)、ミリング(milling)、旋削(turning)、のこ引き(sawing)、ホーニング(honing)又は研削(grinding)のうちのいずれかであってもよく、これらは本開示の方法に使用され得る機械加工工程の例である。
【0088】
以下は、本開示の組成物のいくつかの更なる代表的実施形態である。水、第1の界面活性剤、増粘剤、及び防錆剤を含む組成物。第1の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えば、スルホナート又はスルファート含有界面活性剤であってもよい。任意選択で、第1の界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。任意選択で、第1の界面活性剤は、ラウレス硫酸ナトリウムである。第1の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤ではなく、両性界面活性剤、例えばベタイン含有界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインであってもよい。任意選択で、組成物は2種の界面活性剤を含んでもよく、その各々はアニオン性界面活性剤であり、例えば2種の界面活性剤は、スルファート含有界面活性剤及びスルホナート含有界面活性剤、例えばラウレス硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。任意選択で、組成物は2種の界面活性剤を含んでもよく、その1つはアニオン性界面活性剤で、もう1つは両性界面活性剤、例えばスルファート含有アニオン性界面活性剤及びベタイン含有両性界面活性剤であり、スルファート含有アニオン性界面活性剤はラウレス硫酸ナトリウムであってもよく、ベタイン含有両性界面活性剤はコカミドプロピルベタインであってもよい。任意選択で、組成物は2種の界面活性剤を含んでもよく、その1つはアニオン性界面活性剤で、もう1つは両性界面活性剤、例えばスルホナート含有アニオン性界面活性剤及びベタイン含有両性界面活性剤であり、スルホナート含有アニオン性界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであってもよく、ベタイン含有両性界面活性剤はコカミドプロピルベタインであってもよい。任意選択で、組成物は3種の界面活性剤を含んでもよく、3種のうち2種の界面活性剤は、同一ではないアニオン性界面活性剤であり、3種のうち1種の界面活性剤は両性界面活性剤であり、これら3種の界面活性剤は、任意選択で、スルファート含有界面活性剤、スルホナート含有界面活性剤、及びベタイン含有界面活性剤、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及びコカミドプロピルベタインであってもよい。存在する場合、スルホナート含有界面活性剤は、約1800ppm、例えば1000〜3000ppmの濃度で存在し得る。存在する場合、スルファート含有界面活性剤は、約500ppm、例えば、100〜1000ppmの濃度で存在し得る。存在する場合、両性界面活性剤は、約900ppm、例えば、500〜1500ppmの濃度で存在し得る。組成物は、本明細書に記載の有効量の防錆剤を含み、防錆剤は、例えば亜硝酸ナトリウムであってもよい。防錆剤の濃度は、約100〜5000ppm、又は約1000〜3000ppm、又は約2000ppmであってもよい。増粘剤は本明細書に記載されており、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤であってもよい。組成物中の増粘剤の濃度は、約100〜2000ppm、又は約500〜1500ppm、又は約800ppmであってもよい。組成物は、本明細書に記載の消泡剤を任意選択で含有してもよく、一実施形態では含有する。代表的な消泡剤は、シリコーンポリマーである。存在する場合、消泡剤は、約100〜5000ppm、又は約500〜2000ppm、又は約1000ppmの濃度で存在し得る。
【0089】
以下は、本開示の組成物のいくつかの更なる代表的実施形態である。水、第1の界面活性剤、無機塩、及び防錆剤を含む組成物。第1の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えば、スルホナート又はスルファート含有界面活性剤であってもよい。任意選択で、第1の界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。任意選択で、第1の界面活性剤はラウレス硫酸ナトリウムである。第1の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤ではなく両性界面活性剤、例えばベタイン含有界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインであってもよい。任意選択で、組成物は2種の界面活性剤を含んでもよく、その各々はアニオン性界面活性剤であり、例えば2種の界面活性剤はスルファート含有界面活性剤及びスルホナート含有界面活性剤、例えばラウレス硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。任意選択で、組成物は2種の界面活性剤を含んでもよく、その1つはアニオン性界面活性剤で、もう1つは両性界面活性剤、例えばスルファート含有アニオン性界面活性剤及びベタイン含有両性界面活性剤であり、スルファート含有アニオン性界面活性剤はラウレス硫酸ナトリウムであってもよく、ベタイン含有両性界面活性剤はコカミドプロピルベタインであってもよい。任意選択で、組成物は2種の界面活性剤を含んでもよく、その1つはアニオン性界面活性剤で、もう1つは両性界面活性剤、例えばスルホナート含有アニオン性界面活性剤及びベタイン含有両性界面活性剤であり、スルホナート含有アニオン性界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであってもよく、ベタイン含有両性界面活性剤はコカミドプロピルベタインであってもよい。任意選択で、組成物は3種の界面活性剤を含んでもよく、3種のうち2種の界面活性剤は、同一ではないアニオン性界面活性剤であり、3種のうち1種の界面活性剤は両性界面活性剤であり、これら3種の界面活性剤は、任意選択で、スルファート含有界面活性剤、スルホナート含有界面活性剤、及びベタイン含有界面活性剤、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及びコカミドプロピルベタインであってもよい。存在する場合、スルホナート含有界面活性剤は、約1800ppm、例えば1000〜3000ppmの濃度で存在し得る。存在する場合、スルファート含有界面活性剤は、約500ppm、例えば100〜1000ppmの濃度で存在し得る。存在する場合、両性界面活性剤は、約900ppm、例えば500〜1500ppmの濃度で存在し得る。組成物は、本明細書に記載の有効量の防錆剤を含み、防錆剤は、例えば亜硝酸ナトリウムであってもよい。防錆剤の濃度は、約100〜5000ppm、又は約1000〜3000ppm、又は約2000ppmであってもよい。無機塩は本明細書に記載されており、例えば、塩化カルシウムであってもよい。組成物中の無機塩の濃度は、約50〜2000ppm、又は約100〜1000ppm、又は約400ppmであってもよい。組成物は、本明細書に記載の消泡剤を、任意選択で含有してもよく、一実施形態では含有する。代表的な消泡剤は、シリコーンポリマーである。存在する場合、消泡剤は、約100〜5000ppm、又は約500〜2000ppm、又は約1000ppmの濃度で存在し得る。
【0090】
製造方法
一態様において、本開示は、本明細書で識別される材料加工流体、例えば金属切削流体濃縮物組成物及び対応する金属切削流体組成物の調製方法を提供する。概して、濃縮物は、水を、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される1種以上の界面活性剤、及び任意の成分と組み合わせることによって調製される。組成物は、この濃縮物を水又は水溶液で希釈することによって調製される。
【0091】
一実施形態において、濃縮物は、両性界面活性剤である第1の界面活性剤、アニオン性界面活性剤である第2の界面活性剤、並びに両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤を組み合わせることによって調製され、ここで第3の界面活性剤は第1又は第2の界面活性剤以外である。濃縮物は、任意選択で、追加の界面活性剤(複数可)、すなわち、第4、第5等の界面活性剤を含有し得る。加えて、又は別の方法として、濃縮物は、界面活性剤以外の活性成分(複数可)、例えば、無機成分、有機溶媒及び増粘剤を含有してもよい。組成物は水をベースとしており、換言すれば、組成物はキャリアが主に水であるという点で水性組成物である。組成物は、以下の方法のいずれかによって調製され得る。
【0092】
一実施形態において、水の容器が提供される、この容器は、約5〜20Kgの水を保持する。この方法は、所望量の流体濃縮物を提供するようにスケールアップ又はスケールダウンできる。水の初期量は、濃縮物中の水の総量の約5〜40%、又は約10〜30%である。水は、周囲温度であってもよく、高温であってもよい。水の沸点未満、すなわち、100℃未満、又は90℃未満、又は80℃未満、又は70℃未満の高温を使用してもよい。周囲温度を超える、例えば、25℃超、又は30℃超、又は40℃超、又は50℃超、又は60℃超、又は70℃超の高温を使用してもよい。
次いで、1種以上の界面活性剤が水に添加される。一実施形態において、両性界面活性剤が水に添加され、その後第1及び第2のアニオン性界面活性剤が逐次的に添加される。代替的実施形態では、アニオン性界面活性剤が最初に水に添加され、その後両性界面活性剤が添加され、更にその後、第2のアニオン性界面活性剤又は第2の両性界面活性剤のいずれかが添加される。別の実施形態では、第1及び第2のアニオン性界面活性剤は逐次的に添加され、その後両性界面活性剤が添加される。
界面活性剤を水に添加した後、得られた混合物を撹拌して、均質又はほぼ均質な状態をもたらす。撹拌は、穏やかに行っても激しく行ってもよいが、いずれの場合も、過度に大量の泡が発生しないように行うことが好ましい。泡は、典型的には、混合物への空気の閉じ込めから生じ、混合工程の間に十分な渦が発生する場合及び/又は撹拌装置が混合物への出入りを繰り返した場合に、空気が閉じ込められる傾向がある。混合物の粘度が大きくなるほど、泡の保持も大きくなる傾向がある。これらの状況は、泡の発生を最小限に抑えるために避けることが好ましい。良好な混合を確保するために、界面活性剤の添加の都度、約15〜60分の撹拌時間を用いてもよい。
【0093】
濃縮物が調製されている容器の周囲に断熱材が存在するかしないかによって、界面活性剤の添加及び撹拌工程の間に混合物の温度が低下し得る。あるいは、混合物の温度は、例えば、濃縮物を保持する容器の側面及び/又は底面の穏やかな加熱を維持することによって、水の当初温度に維持又はほぼ維持し得る。あるいは、又は追加的に、加熱コイルを容器内に位置づけ、必要に応じて濃縮物を加熱又は吸熱してもよい。
界面活性剤が水に添加されるにつれて、混合物の粘度は増加する傾向がある。粘度が増加した溶液は、他の要因が全て等しい場合、低粘度溶液よりも容易に空気を捕捉する傾向がある。混合物の粘度を低下させるため、第1、第2又は第3の界面活性剤のいずれかの添加後に混合物に追加の水を添加してもよい。例えば、濃縮物中の水の総量の約5〜40%、又は約10〜30%である量の水を、界面活性剤の最初の添加後に混合物に添加してもよい。更に、又は別の方法として、濃縮物中の水の総量の約5〜40%、又は約10〜30%である量の水を、界面活性剤の2回目の添加後に濃縮物に添加してもよい。
【0094】
界面活性剤が全て添加され、水と完全に混合された後、得られた混合物に任意選択成分(複数可)を添加してもよい。例えば、無機成分(例えば無機塩)を混合物に添加し、その後撹拌して無機成分を完全に溶解してもよい。任意選択成分(複数可)を、温暖な又は高温の混合物に添加してもよく、又は室温まで冷却した後に混合物に添加してもよい。濃縮物は、典型的には室温で貯蔵及び使用されることから、混合物の粘度又は流動特性に有意な影響を及ぼす任意選択成分は、典型的には室温で混合物に添加される。
【0095】
界面活性剤及び任意選択成分は、未希釈形態、すなわち、溶媒と接触することなく水に添加されてもよく、又は成分の溶液、ペースト、分散液等をもたらすように、希釈形態、すなわち溶媒と接触して添加されてもよい。一実施形態において、界面活性剤は、その水中固形分の順で水に添加され、より濃厚な成分が最初に添加される。換言すれば、ある界面活性剤が50%固体で、別の界面活性剤が25%固体の場合、50%固体の界面活性剤が水に添加された後、この混合物に25%固体の界面活性剤が添加される。
【0096】
濃縮物は、バッチ式、連続式、又は半連続式で調製されてもよい。バッチ式では、成分は、成分が全て添加されるまで、逐次的に水の容器に添加され、この場合濃縮物のバッチが調製される。連続式では、水はパイプ又はその他の導管の中を進み、様々な成分が、導管に沿った様々な地点で水に添加される。例えば、導管にTバルブを取り付け、成分が、Tバルブを通して水又は水性混合物に供給されてもよい。導管は、成分が水又は水性混合物に添加された後、均質混合物の生成を容易にするために、スタティックミキサー又はインラインミキサーのいずれかのミキサーも導管内に有してもよい。例えば、水及び第1の界面活性剤は、パイプ内に供給され、ミキサーを通過し得る。一般的には、界面活性剤が水にあらかじめ溶解されている場合、スタティックミキサーが適切である。そのほかの場合、インラインミキサーが一般的には好ましい。その後、第2の界面活性剤がミキサーの導管下流に添加され、再度混合工程に供される。最後に、第3の界面活性剤が水性混合物に添加され、その後必要に応じて混合されて、3種の界面活性剤を含む水性混合物をもたらす。その後、追加の任意選択成分が、例えばTバルブを通して導管に添加され、その後、適切な撹拌を行って、最終的な濃縮物を生成する。
様々な成分の混合を容易にするため、並びに渦発生及びその結果の泡生成を最小限に抑えるために、バッチ又は連続反応器内にバッフルを設置してもよい。好適な混合装置、例えば、撹拌機、インペラ、スタティックミキサー、コロイドミル、及びホモジナイザーは、例えば、Chemineer(Dayton,Ohio)及びSulzer(Winterthur、Switzerland)によって製造及び販売されている。
連続工程の代替的実施形態では、3つのTバルブが導管の初めの、水が既に導管に添加された後の位置に配置される。第1、第2及び第3の界面活性剤は、各々、この3つのTバルブの1つを通じて導管内に送達される。このやり方で、3種の界面活性剤の全てが、本質的に同時に組み合わされ、その後、得られた混合物が導管内のインラインミキサー又はスタティックミキサーを通過して、均質な水性混合物をもたらす。任意選択成分は、その後、所望に応じて均質な水性混合物に添加されて、最終的な濃縮物を提供する。
連続工程又はバッチ工程のいずれかにおいて、水及び/又は水性混合物は、周囲温度を超える温度、例えば50℃〜90℃の温度まで加熱される。加熱は、当該技術分野において既知の通常方法によって実施されてもよい。高温は、成分の迅速な混合による均質混合物の形成を促進するために、必要に応じて維持され得る。
【0097】
従って、一実施形態において、本開示は、材料加工流体、例えば、金属切削流体濃縮組成物を製造するための連続方法を提供する。当該方法は、連続反応器を用意するステップ、水を連続反応器に入れるステップ、連続反応器内の水に所望の1種以上の界面活性剤、例えば、a)第1のアニオン性界面活性剤、b)第2の両性界面活性剤、及びc)アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選択される第3の界面活性剤(第3の界面活性剤が第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤とは異なる)を添加するステップ;及び成分a)、b)及びc)を混合して、均質混合物を提供するステップ、を含む。任意選択で、連続反応器は50℃を超える温度に維持される。同じく任意選択で、インラインミキサー及びスタティックミキサーから選択されるミキサーが、連続反応器内に存在する。
【0098】
使用方法
本開示は、加工流体、例えば金属切削に有用な流体であって、材料加工、例えば、金属切削の過程において使用できる流体を提供する。一実施形態において、本開示の流体濃縮物は水で希釈されて、材料加工に関与する工具に適用され得る組成物、例えば、金属に直接適用される金属切削流体組成物を提供する。濃縮物は、濃縮物中の非水性成分の質量の合計を濃縮物の総質量で除算して測定した、ある固体レベル又は固形分を有する。水を濃縮物と組み合わせて金属切削流体組成物を形成したとき、金属切削流体組成物は、同様に、ある固体レベル又は固形分を有し、これは、濃縮物の固体レベル又は固形分よりも低くなる。様々な実施形態において、組成物は、組成物の総質量を基準にして、0.1%、又は0.5%、又は1%、又は1.5%、又は2%、又は2.5%、又は3%、又は3.5%、又は4%、又は4.5%、又は5%、又は5.5%、又は6%、又は6.5%、又は7%、又は7.5%、又は8%、又は8.5%、又は9%、又は9.5%、又は10%、又は10.5%、又は11%、又は11.5%、又は12%、又は12.5%、又は13%、又は13.5%、又は14%、又は14.5%、又は15%、又は15.5%、又は16%、又は16.5%、又は17%、又は17.5%、又は18%、又は18.5%、又は19%、又は20%の固体質量%、又は上記の固体%値のいずれか2つで規定される範囲内の濃度、例えば、0.5%〜4%の濃度を有する金属切削流体組成物をもたらすように、十分な水を濃縮物と組み合わせることによって生成される。
【0099】
一態様において、調製者は、金属切削に必要なときに容易に利用できる貯蔵中の金属切削流体濃縮物が供給され、濃縮物を水と組み合わせて金属切削流体組成物を生成する方法へのアクセスを有する。任意選択で、本明細書に開示される金属切削流体濃縮物を水で希釈して、金属切削流体組成物を調製してもよい。
【0100】
切削流体の保全は、可溶性油エマルションの濃度(屈折計を使用)、pH(pH計を使用)、トランプオイル(切削流体系への油圧油の漏れ)の量及び流体中の粒子の量の点検を伴う。流体を保全するために講じる措置には、補給用の濃縮物又は水の添加、トランプオイルのスキミング、細菌繁殖防止のための殺生物剤添加及び遠心分離による微粒子の濾過などがある。
冷却剤系内の切削流体は、細菌繁殖並びにトランプオイル及び機械加工操作からの微細な金属屑による汚染により、時間と共に劣化する。定期的な補給操作によって流体を保全することが非経済的となる場合は、流体が廃棄される。流体は、下水系に流れ込む前に、流体組成物を処理して安全な廃棄レベルにする必要がある。
【0101】
金属のなかには、機械加工が困難なものもある。ステンレス鋼、難削材及び高硬度金属は、非常に高レベルの性能の切削流体を必要とする。真鍮やアルミニウム等の他の金属は、汎用油で容易に機械加工できる。強靭で機械加工性が低い金属を用いる場合、卓越した極圧(EP)及び耐溶接能力を有する添加剤の多い切削油を使用すると有利である。ほとんどの場合、これらの油は、工具を保護し、良好な部品仕上げを確保するために活性硫黄及び塩素を含有する。一実施形態において、本発明の切削流体は、活性硫黄及び/又は塩素を含む。
【0102】
真鍮、アルミニウム、多数の炭素鋼及び低合金鋼の場合、潤滑添加剤、摩擦調整剤及び中程度のEP/耐溶接性能を有する切削油で十分である。これらの油は、一般的に硫化脂肪(不活性)及び/又は塩素化パラフィンと共に配合される。完成部品に錆又は変色を生じることから、真鍮及びアルミニウムには活性切削油(活性硫黄を含有する)を使用すべきではない。真鍮及びアルミニウム用に配合された油は、「非汚染性」(non−staining)油と呼ばれることが多い。一実施形態において、本発明の切削流体は、1種以上の潤滑添加剤、摩擦調整剤、硫化脂肪(不活性)及び塩素化パラフィンを包含する。
容易な機械加工操作(旋削、成形、ドリル加工、ミリング等)は、より高速で実施され、中程度のEP能力と高レベルの冷却を必要とし得る。より低粘度の、添加剤が少ない流体で、より緩やかな操作を実施できる。困難な機械加工操作は、より低速で実施しなければならず、大量の耐溶接保護を必要とする。ねじ切り又はブローチ加工等の最も困難な操作用に特に設計された油は、総じて、粘度が高く、活性硫黄及び塩素等のEP添加剤が添加されている。
機械装置の種類も、切削油特性の一部を決定する。例えば、ねじ切り盤は、潤滑油と切削油との間で重度の交差汚染を起こす。この理由から、これらの機械は、潤滑油ボックス、油圧油及び切削油の油だめに使用できる、2機能又は3機能の油で作動する。
研削盤、ガンドリル及び深穴ボール盤は、高速冷却、優れた切粉・切屑洗浄、工具通過式の供給及び発泡のない高圧適用のための、より低粘度の油を必要とする。CNC OEMは、切削流体と機械要素(封止材など)との間の潜在的不適合から、切削油に制約を設けている場合がある。心なし研削盤は、平面研削盤よりも強靭な流体を必要とする。
【0103】
一般的に、本開示の組成物は、すぐに使用できる形態で、材料加工工程の間に適用され得る。本明細書で使用するとき、材料加工(機械加工と呼ばれることもある)は、工具を、任意の適切な方法によって材料と接触させ、当該材料の形状又は表面を修飾するために使用される工程であり、材料と工具との間の接触点で熱が発生する。例としては、ブレードによる材料の切削、ドリルビットによる材料へのドリル加工、及び旋盤による材料の表面層除去等がある。材料加工の別の例は、鍛造である。組成物は、加工されている材料及び/又は加工されている材料と接触する工具に適用され得る。適用工程の例としては、加工されている部品上及び/又は加工されている部品と接触する関連工具上への組成物の浸漬、噴霧、滴下、ミスチング及び刷毛塗りが挙げられる。加工されている材料は、例えば、金属、石又はプラスチックであってもよい。組成物は、適用後、工具/材料の境界面を比較的低温に維持することで、加工されている材料及び加工を行っている工具の各々への損害(例えば反り)を避ける。組成物は、潤滑特性も提供し得る。
例えば、加工流体が金属切削流体である場合、流体は、機械加工及び鍛造等の金属ワーク加工工程の必要に応じて、冷却及び潤滑特性を提供する。金属切削は、摩擦による熱を発生し、これは材料を変形し得る。冷却剤は、機械装置及び材料から熱を取り除く働きをすることから、切削工程のスピードを上げ、機械の生産性を高めることができる。切削流体は、冷却に加えて、工具の切刃と切粉との間の境界面を潤滑することによって切削工程の補助も行う。この境界面における摩擦を予防することによって、発熱の一部が予防される。この潤滑は、切粉が工具上に溶接されるのを防ぐ。溶接はその後の切削を妨害する。大部分の金属ワーク加工及び機械加工工程は、ワークピース材料に応じて切削流体の使用による利益を受ける。
【0104】
本開示の組成物は、材料加工において以下の利益の1つ以上をもたらす:ワークピースを安定な温度に保つ(これは、精密公差のワーク加工の際にきわめて重要である);刃先を潤滑し、上部溶接を低減することによって、切削工具用チップの寿命を最大限に伸ばす:取り扱う人々の安全(毒性、細菌、及び真菌)及び廃棄時の環境への安全を確保する;機械部品及びカッターの錆を防止する。
加工機器の一部は、加工されているワークピースと接触する。例えば、加工装置は、加工中に材料を切削するブレードを有し得る。ブレードは、金属、例えばステンレス鋼であってもよく、又はダイヤモンドがちりばめられていてもよい。あるいは、加工装置は、旋盤等の旋削工具、ドリル、又は研磨若しくはサンド加工装置であってもよい。
このように、本開示は、加工流体、例えば金属冷却組成物を、本明細書に記載のように供給する方法を提供する。一実施形態において、本開示は、本開示の加工組成物を提供するステップ、加工されている材料及び使用されている工具の一方又は両方に組成物を適用するステップ、並びに本開示の組成物の存在下で、材料を工具で加工するステップを含む。本方法は、工具が加工材料と接触する界面において冷却及び温度制御を付与し、及び/又は当該界面において潤滑をもたらす。
【0105】
例えば、本開示は、金属、石、プラスチック等の固体材料を加工する方法を提供し、当該方法は、本開示の組成物、例えば水、第1の界面活性剤、増粘剤、及び防錆剤を含む組成物を準備するステップ;組成物を、加工されている材料及び/又は加工を行っている工具上に、例えば、刷毛塗り、噴霧、又は注入によって適用するステップであって、組成物は加工工程中に工具/材料の境界面に移る、ステップ;並びに組成物の存在下で材料を工具で加工するステップを含む。
別の例として、本開示は、金属、石、プラスチック等の固体材料を加工する方法を提供し、当該方法は、本開示の組成物、例えば水、第1の界面活性剤、無機塩、及び防錆剤を含む組成物を準備するステップ;組成物を、加工されている材料及び/又は加工を行っている工具上に、例えば、刷毛塗り、噴霧、又は注入によって適用するステップであって、組成物は加工工程中に工具/材料の境界面に移る、ステップ;並びに組成物の存在下で材料を工具で加工するステップを含む。
石は、例えば、花崗岩、石灰岩、大理石、砂岩、粘板岩、玄武岩、トラバーチン又は珪岩であってもよい。他の石も、本開示の組成物を使用して加工され得る。
プラスチックは、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン等の純粋なポリマーであってもよく、又はポリマーと石の複合材、例えば、CORIAN(商標)等のプラスチック複合材であってもよい。プラスチックは、シリコンチップ又はその他のシリコン製品、例えばシリコンウェハ若しくは半導体業界で使用されるその他のシリコンであってもよい。
【0106】
本開示の組成物及びその使用方法は、次の1つ又は両方を達成する:a)切削面上で発生している熱を低減し、製品の品質を改善する(例えば、より少ないバリ、より滑らかな切削、より少ない変形(プラスチックの場合);及びb)加工装置の寿命を延ばす。一実施形態において、本開示の組成物は、油をほとんど又はまったく含有せず、従って、その使用により、代替的加工流体に付随する有毒な油性廃棄物の廃棄の問題が排除される。
【0107】
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために提供するものであり、本開示への制限とみなされるべきではない。
【実施例】
【0108】
以下の実施例において、表示した市販製品は、実施例で使用される際に表示された固形分を有さない又は中和されていない場合がある。このような場合、市販製品を、表示された固形分まで水で希釈して、及び/又は必要に応じて酸若しくは塩基で中和して、表示された中和形態としてもよい。増粘剤は、全乳又はオレンジジュースの粘度とほぼ同じ最終粘度をもたらすために添加される。
【0109】
〔実施例1〕
約10kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約9kg、水中固形分約60%の分枝鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、例えば、Stepan CompanyのSULFONIC100、水酸化ナトリウムで中和後)、両性界面活性剤溶液(約4.5kg、水中固形分約35%のコカミドプロピルベタイン、例えば、Stepan CompanyのAMPHOSOL CA)、温水(約9kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約11kg、水中固形分約3%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム、例えば、Pilot Chemical Co.のCALFOAM ES−703)、及び無機塩溶液(約2kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Ashland Chemicals(Covington,KY)のAQUALON)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な金属切削流体濃縮物を得る。
【0110】
〔実施例2〕
約10kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約9kg、水中固形分約53%のトリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホナート、CALSOFT T60(Pilot Chemical))、両性界面活性剤溶液(約4.5kg、水中固形分約35%のコアンホ酢酸ナトリウム、AMPH ITOL 20Y−B(花王株式会社))、温水(約6.5kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約14kg、水中固形分約7%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム、EMAL AD−25R(花王株式会社))、及び無機塩溶液(約2kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Dow ChemicalのWALOCEL CRT)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0111】
〔実施例3〕
約8kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約8.5kg、水中固形分約53%のラウリルスルホ酢酸ナトリウム、LATHANOL LAL flake(Stepan Co.)、両性界面活性剤溶液(約6.3kg、水中固形分約30%のラウリルヒドロキシスルタイン、AMPHITOL 20HD(花王株式会社)、温水(約6.5kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約14kg、水中固形分約7%のオクチルフェノールエトキシル化硫酸ナトリウム、POE−3、POLY−STEP C−OP3S(Stepan Co.))、及び無機塩溶液(約2kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Ashland Chemicals(Covington,KY)のAQUALON)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0112】
〔実施例4〕
約8.5kggの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約9kg、水中固形分約53%のポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールホスフェート、FOSFODET 9Q/22(花王株式会社))、両性界面活性剤溶液(約5.3kg、水中固形分約35%のココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、CRODATERIC CADP 38(Croda))、温水(約6kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約14kg、水中固形分約7%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、STEPWET DOS−70(Stepan Co.))、及び無機塩溶液(約3.3kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Dow ChemicalのWALOCEL CRT)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0113】
〔実施例5〕
約15kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約5kg、水中固形分約53%のポリオキシエチレン(8)オクチルエーテルカルボン酸、AKYPO LF2(花王株式会社))、両性界面活性剤溶液(約8.3kg、水中固形分約30%のコカミドプロピルアミンオキシド、CALOXAM IN E CPO(Pilot Chemical))、温水(約14kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約7.5kg、水中固形分約20%のラウロイルサルコシン酸ナトリウム、MAPROSYL 30−B(Stepan Co.))、及び無機塩溶液(約3.3kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Ashland Chemicals(Covington,KY)のAQUALON)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0114】
〔実施例6〕
約14kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約5.6kg、水中固形分50%のオレイン酸カリウム、ICTEOL K−50(花王株式会社))、両性界面活性剤溶液(約8.3kg、水中固形分約30%のコカミドプロピルベタイン、CALTAINE C−35(Pilot Chemical)、温水(約15kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約6kg、水中固形分約20%の直鎖デシル置換を有するジスルホン化ジフェニルオキシド、DOWFAX C10L(Dow Chemical))、及び無機塩溶液(約3.3kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Dow ChemicalのWALOCEL CRT)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0115】
〔実施例7〕
約15kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約5kg、水中固形分約50%のイソプロピルアミンドデシルベンゼンスルホナート、NINATE 411(Stepan Co.))、両性界面活性剤溶液(約10kg、水中固形分約30%のコカミドプロピルヒドロキシスルタイン、AMPHOSOL CS−50(Stepan)、温水(約15kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約5kg、水中固形分約30%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、MELIOSOL 50X(花王株式会社)、及び無機塩溶液(約3.3kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Ashland Chemicals(Covington,KY)のAQUALON)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0116】
〔実施例8〕
約20kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約8.4kg、水中固形分約50%のジスルホン化ジフェニルオキシドのアルキル置換体、DOWFAX C10L(Dow Chemical))、両性界面活性剤溶液(約6.7kg、水中固形分約30%のラウラミドプロピルベタイン、AMPHITOL 20AB(花王株式会社)、温水(約12kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約4kg、水中固形分約20%のC14〜C16オレフィンスルホン酸ナトリウム、ALFANOX 46(花王株式会社)、及び無機塩溶液(約1.7kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Dow ChemicalのWALOCEL CRT)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0117】
〔実施例9〕
約10kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約9kg、水中固形分約60%の直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、例えば、CALSOFT F90(Pilot Chemical))、両性界面活性剤溶液(約4.5kg、水中固形分約35%のコカミドプロピルベタイン、例えば、Stepan CompanyのAMPHOSOL CA)、温水(約9kg)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約11kg、水中固形分約3%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム、例えば、Pilot Chemical Co.のCALFOAM ES−703)、及び無機塩溶液(約2kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Ashland Chemicals(Covington,KY)のAQUALON)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0118】
〔実施例10〕
約10kgの温水(約75℃)に、以下の成分を逐次的に添加し、各成分の添加後に、発泡を最小限に抑える方法で約30分間撹拌した:第1のアニオン性界面活性剤溶液(約9kg、水中固形分約60%の直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、例えば、CALSOFT F90(Pilot Chemical))、両性界面活性剤溶液(約4.5kg、水中固形分約35%のコカミドプロピルベタイン、例えば、Stepan CompanyのAMPHOSOL CA)、エチレングリコールブチルエーテルが溶解された温水(約9kgの水及び約1kgのエーテル)、第2のアニオン性界面活性剤溶液(約11kg、水中固形分約3%のラウレス硫酸ナトリウム、例えば、Pilot Chemical Co.のCALFOAM ES−703)、及び無機塩溶液(約2kg、水中固形分約30%の塩化カルシウム、塩化カルシウムは固体及び溶液の両方の形態で、例えば、OxyChem(Ludington,MI)から入手できる)。得られた混合物を、周囲温度まで自然冷却し(約8時間)、次いで増粘剤(約4kgの水中固形分約1.5%のナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、Ashland Chemicals(Covington,KY)のAQUALON)を添加する。この混合物に、所望量の防錆剤を添加し、任意選択で消泡剤及び着色剤の一方又は両方を更に添加して、最終的な切削流体濃縮物を得る。
【0119】
〔実施例11〕
本開示は、高固形分(高固体濃度とも呼ばれる)の切削流体を提供し、これは濃縮物(又は切削流体濃縮物)と呼ばれ、機械加工又は製作加工操作に使用する前に水で希釈され得る。表1は、機械加工されている金属及び当該金属に適用されている工程によって特徴付けられる様々な機械加工操作を識別している。工程は、ブローチ加工、タップ加工、ホブ切り、切削、ドリル加工、ミリング、旋削、のこ引き、ホーニング、及び研削等、金属ワーク加工に使用される工程の代表的なものである。これらの工程の各々は、金属ワーク加工又は機械加工工程の間に金属に切削流体を適用することから利益を受ける、その際、切削流体の所望量は、具体的な工程だけでなく、工程に供される金属の特性によっても変わる。表1は、様々な工程の識別に加えて、8種の一般的な金属すなわち、アルミニウム(Al)合金、真鍮、鋳鉄(キャストアイアンとしても知られる)、青銅、低炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼、及びチタン(Ti)合金を識別している。選択した各工程及び金属について、表1は、有効な切削流体を調製するために本開示の切削流体濃縮物1部に添加され得る水の部数を示す。例えば、青銅は、10部の水と1部の本開示の切削流体濃縮物から調製される切削液を用いてブローチ加工され得る。別の実施例では、チタン合金は、本開示の切削流体濃縮物1部につき5〜10部のいずれかの水を組み合わせることによって調製される切削流体を用いて旋削され得る。
【0120】
【表1】
【0121】
表1は、本開示の濃縮物の水での希釈を基準とする。例えば、所望の操作が青銅を用いたブローチ加工である場合、本開示の濃縮物を10〜15部の水で希釈することが推奨される。
例えば、18質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、9質量%のコカミドプロピルベタイン、8質量%のヒドロキシエチルセルロース、5質量%のラウレス硫酸ナトリウム、4質量%の塩化カルシウム、2質量%のエチレングリコールブチルエーテル及び54質量%の水を有する濃縮物を利用した場合、これは水で10倍に希釈される。防錆剤は、1:150の混合比に基づき、1.5×濃縮物/10000ppmで添加される。消泡剤は、1:150の混合比に基づき、0.15×濃縮物/1000ppmで添加される。着色剤は、1:150の混合比で0.0000095×濃縮物(リットル)/10ppmで添加される。防錆剤は、濃縮物の完全希釈の1%に基づく(1:150の混合比)。消泡剤は、濃縮物の完全希釈の0.01%に基づく(1:150の混合比)。抗微生物剤は、任意選択で添加されてもよい。
【0122】
金属切削流体濃縮物及び本開示の組成物の有効性は、金属切削操作中の組成物の効果を示す1種以上の試験方法によって評価され得る。
例えば、振動試験を実施して、実施例11に記載の切削流体組成物を市販の乳化油と比較した。切削は、3,000rpmのブレード運動で、250mm/分にてミリング操作中に実施した。x軸方向の振動は、市販乳化油の0.08179268に対し、実施例11の金属切削流体では0.056828924と測定され、振動振幅は30.5%低下した。y軸方向の振動は、同じ市販乳化油の0.07328386に対し、実施例11の金属切削流体では0.044023185と測定され、振動振幅は39.9%低下した。z軸方向の振動は、同じ市販乳化油の0.077851914に対し、実施例11の金属切削流体では0.059323387と測定され、振動振幅は23.8低下した。
中炭素鋼のミリング操作を用いて粗さ試験を実施した結果、市販の乳化油は、平均R
max(μm)としての粗さが4.972であったのに対し、実施例11の金属切削流体はR
max(μm)が3.913であった。従って、本開示の金属切削流体は、市販の乳化油と比較して、切削部品の粗さの21.3%低下をもたらした。
【0123】
〔実施例12〕
表1に示すように、本開示の材料加工濃縮物の5〜15倍希釈は、好適には、多種多様な金属及びその他の機械加工操作に使用される。一実施形態において、本開示は、本開示の濃縮物の5〜15倍希釈から得られる組成物を提供する。一実施形態において、本開示は、本開示の濃縮物の5倍希釈から得られる組成物を提供する。別の実施形態において、本開示は、本開示の濃縮物の15倍希釈から得られる組成物を提供する。
【0124】
一実施形態において、本開示は、本開示の濃縮物の10倍希釈から得られる組成物を提供する。この組成物は、0.2質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.05質量%のラウレス硫酸ナトリウム、0.09質量%のコカミドプロピルベタイン、0.08質量%のヒドロキシエチルセルロース、0.04質量%の塩化カルシウム、0.02質量%のエチレングリコールブチルエーテルを有する。この希釈溶液に、防錆剤を0.2質量%の量まで、及び消泡剤を0.1質量%の量まで、添加する。
この組成物は、表1に示した機械加工操作、すなわち、アルミニウム(Al)合金、真鍮、鋳鉄(キャストアイアンとしても知られる)、青銅、低炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼、及びチタン(Ti)合金のいずれかのブローチ加工、タップ加工、ホブ切り、切削、ドリル加工、ミリング、旋削、のこ引き、ホーニング又は研削の各々に使用できる。
【0125】
上記の様々な実施形態のいずれかを組み合わせて、更なる実施形態を提供できる。本明細書で参照した及び/又は出願データシートに列挙した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許出版物は全て、その参照によりその全体が本明細書に援用される。実施形態の態様は、様々な特許、出願及び出版物の概念を用いて更なる実施形態を提供するために必要であれば変更できる。上記の詳細な記述に照らして、実施形態にこれらの変更及びその他の変更を加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するとみなされるべきではなく、全ての可能な実施形態を、かかる特許請求の範囲内の均等物の全範囲と共に包含するとみなされるべきである。従って、特許請求の範囲は開示によって制限されない。