特表2020-537054(P2020-537054A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-537054(P2020-537054A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】水性バインダー組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/263 20060101AFI20201120BHJP
   D06M 15/333 20060101ALI20201120BHJP
   D06M 13/148 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   D06M15/263
   D06M15/333
   D06M13/148
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2020-519265(P2020-519265)
(86)(22)【出願日】2018年10月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月3日
(86)【国際出願番号】US2018054907
(87)【国際公開番号】WO2019074865
(87)【国際公開日】20190418
(31)【優先権主張番号】62/569,775
(32)【優先日】2017年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507220187
【氏名又は名称】オウェンス コーニング インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シュージュアン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー ガート
(72)【発明者】
【氏名】スミス ケンデル
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA04
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC11
4L033BA12
4L033CA18
4L033CA28
4L033CA29
4L033DA07
(57)【要約】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトンである少なくとも1種の長鎖ポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸基を含む一次架橋剤と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000ダルトン未満である短鎖ポリオールを含む二次架橋剤と、を含む水性バインダー組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトンである少なくとも1種の長鎖ポリオールと、
少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤と、
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000ダルトン未満である短鎖ポリオールと、
を含む水性バインダー組成物であって、硬化後のpHが5〜9であり、L***座標を使用して45未満のb*色値を達する、水性バインダー組成物。
【請求項2】
前記架橋剤が、ポリマー性ポリカルボン酸である、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項3】
前記架橋剤が、水性バインダー組成物の全固形分含有量に基づき、約50質量%〜約85質量%の量でバインダー組成物中に存在する、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項4】
前記架橋剤が、水性バインダー組成物の全固形分含有量に基づき、約65質量%〜約80質量%の量でバインダー組成物中に存在する、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項5】
前記長鎖ポリオールが、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルからなる群から選択される、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項6】
前記長鎖ポリオールが、水性バインダー組成物の全固形分含有量に基づき、約5質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在する、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項7】
前記短鎖ポリオールが、糖アルコール、2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸、トリ(メチロール)プロパン、および短鎖アルカノールアミンのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項8】
前記短鎖ポリオールが、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、およびそれらの混合物からなる群から選択される糖アルコールを含む、請求項7に記載の水性バインダー組成物。
【請求項9】
前記短鎖ポリオールが、水性バインダー組成物の全固形分含有量に基づき、約3質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在する、請求項1に記載の水性バインダー組成物。
【請求項10】
ランダムに配向した複数の繊維、および
前記繊維を少なくとも部分的にコーティングする水性バインダー組成物
を含む絶縁製品であって、前記バインダー組成物が、
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトンである少なくとも1種の長鎖ポリオールと、
少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤と、
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000ダルトン未満である短鎖ポリオールと、
を含み、前記バインダー組成物は、硬化後のpHが5〜9であり、L***座標を使用して45未満のb*色値を達する、
絶縁製品。
【請求項11】
前記繊維が、鉱物繊維、天然繊維、および合成繊維のうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の絶縁製品。
【請求項12】
前記繊維が、ガラス繊維、ミネラルウール繊維、またはそれらの混合物を含む、請求項10に記載の絶縁製品。
【請求項13】
厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)であるとき、曲げ弾性率が少なくとも約276kPa(40psi)である、請求項10に記載の絶縁製品。
【請求項14】
厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)であるとき、10%変形での圧縮強度が少なくとも約9.6kPa(200lbs./ft2)である、請求項10に記載の絶縁製品。
【請求項15】
前記バインダー組成物におけるカルボン酸基のヒドロキシル基に対するモル当量の比が、約1/0.05〜約1.0/5.0である、請求項10に記載の絶縁製品。
【請求項16】
ホルムアルデヒド不含バインダー組成物を使用して形成された絶縁製品における色を調節するための方法であって、
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトンである少なくとも1種の長鎖ポリオール、および
少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000ダルトン未満である短鎖ポリオール
を含むホルムアルデヒド不含バインダー組成物を調製する工程と、
前記バインダー組成物を硬化して、L***座標を使用して45未満のb*色値、および5〜9の硬化バインダーpHを達する工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
前記バインダー組成物が、少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記架橋剤が、ポリマー性ポリカルボン酸である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
カルボン酸基のヒドロキシル基に対するモル当量の比が、約1/0.05〜約1.0/5.0である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記長鎖ポリオールが、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記長鎖ポリオールが、水性バインダー組成物の全固形分含有量に基づき、約5質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記短鎖ポリオールが、糖アルコール、2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸、トリ(メチロール)プロパン、および短鎖アルカノールアミンのうちの1つまたは複数を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記短鎖ポリオールが、水性バインダー組成物の全固形分含有量に基づき、約3質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記バインダー組成物が、約0.1/0.9〜約0.9/0.1の長鎖ポリオールの短鎖ポリオールに対する比を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
硬化の前に、前記バインダー組成物のpHが、0.25〜1.5pH単位で調整される、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記pHが、不揮発性塩基およびアルカリ水のうちの1つまたは複数の添加によって調整される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記バインダー組成物が、L***座標を使用して40未満のb*色値を達する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記バインダー組成物の未硬化pHが、約2〜約5である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記バインダー組成物の硬化pHが、6.0〜8.0である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記絶縁製品が厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)であるとき、前記絶縁製品の曲げ弾性率が少なくとも約276kPa(40psi)である、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記絶縁製品が厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)であるとき、前記絶縁製品の10%変形での圧縮強度が少なくとも約9.6kPa(200lbs./ft2)である、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
前記絶縁製品が厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)であるとき、前記絶縁製品の破断時接着強度が少なくとも約360Pa/LOI(7.5lbs./ft2/LOI)である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月9日出願の米国特許仮出願第62/569,775号の優先権およびあらゆる利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
水性バインダー組成物は従来、織布および不織布繊維製品、例えば絶縁製品、複合製品、木質繊維板などの形成に利用されてきた。絶縁製品、例えば繊維ガラスおよびミネラルウール絶縁製品は、典型的に、ポリマー、ガラス、または他の鉱物の溶融組成物を繊維化し、微細繊維を繊維化装置、例えば回転式スピナーから紡ぐことによって製造される。絶縁製品を形成するためには、回転式スピナーによって製造された繊維が、ブロアによってスピナーからコンベヤへと下方に延伸される。繊維が下方に移動する際に、バインダー材が繊維に噴霧され、繊維はコンベヤ上の嵩高い連続ブランケットへと収集される。バインダー材は、絶縁製品にパッケージング後の回復のための弾性を付与し、剛性および取り扱い性をもたらすため、絶縁製品は必要に応じて建築物の絶縁空洞において取り扱われ、適用される。バインダー組成物はまた、繊維をフィラメント間の摩耗から保護し、個々の繊維間の適合性を促進する。次いで、バインダーでコーティングされた繊維を含むブランケットは硬化オーブンに通され、バインダーは硬化しブランケットは所望の厚さに調整される。
バインダーが硬化すると、繊維絶縁材をある長さに切断し個々の絶縁製品を形成することができ、絶縁製品はパッケージングされて顧客の場所へと運送され得る。
このようにして調製された繊維ガラス絶縁製品は、様々な用途における使用のためのバット、ブランケットおよび板(加熱圧縮されたバット)を含む、種々の形態で提供され得る。バインダーでコーティングされた繊維のバットは、形成チャンバから出る際に、ガラス繊維の弾性のために膨張しやすい。典型的には、膨張したバットは次いで硬化オーブンに運ばれてオーブンを通過し、そこで加熱空気が絶縁製品を通ることでバインダーが硬化する。バインダーの硬化に加え、硬化オーブンでは、絶縁製品がコンベヤベルト(flight)またはローラーで圧縮され、得られるブランケット、バット、または板製品が所望の寸法になり、所望の表面仕上げを得ることができる。
【0003】
フェノール−ホルムアルデヒド(PF)バインダー組成物ならびに尿素で増量されたPF樹脂(PUF樹脂)が、繊維ガラス絶縁製品の製造に従来的に使用されてきた。「重量(heavy density)」製品としても公知の絶縁板、例えば天井板、ダクトラップ、ダクトライナーなどでは、安価で許容される物性および機械的特性を有する重量製品を製造するために、フェノール−ホルムアルデヒドバインダー技術が利用されてきた。しかし、ホルムアルデヒドバインダーは、繊維ガラス絶縁材の製造中に望ましくない放出物を放出する。
ホルムアルデヒドベースバインダーの代替物として、特定のホルムアルデヒド不含配合物が、繊維ガラス絶縁製品におけるバインダーとして使用するために開発されている。しかし、好適な代替物を開発することの課題の1つは、望ましくない特性、例えば変色を回避しつつ、同等の機械的特性および物性を有する配合物を特定することである。そのような特性の課題としては、高温/多湿性能、剛性、接着強度、加工性(粘度、切断、研磨、エッジペインティング)、および黄変(yellowing)を伴わずに明るい色達することが挙げられる。
したがって、物性および機械的特性を損なうことなく絶縁製品を製造するために使用される、環境に優しくホルムアルデヒド不含のバインダー組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概念の種々の例示的態様は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000である少なくとも1種の長鎖ポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000未満である短鎖ポリオールと、を含む水性バインダー組成物を対象とする。バインダー組成物は、硬化後のpHが5〜9であり、L***座標を使用して45未満のb*色値を達する。
【0005】
一部の例示的実施形態では、架橋剤は、ポリマー性ポリカルボン酸、例えばアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーである。架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約50質量%〜約85質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。一部の例示的実施形態では、架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約65質量%〜約80質量%の量でバインダー組成物中に存在する。
一部の例示的実施形態では、長鎖ポリオールは、部分的または完全に加水分解されたポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルからなる群から選択される。長鎖ポリオールは、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約5質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。種々の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは、糖アルコール、2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸、トリ(メチロール)プロパン、および短鎖アルカノールアミンのうちの1つまたは複数を含む。短鎖ポリオールが糖アルコールを含む場合、糖アルコールは、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
種々の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約3質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在する。
【0006】
本発明の概念の他の例示的態様は、ランダムに配向した複数の繊維、および繊維を少なくとも部分的にコーティングする水性バインダー組成物を含む、絶縁製品を対象とする。バインダー組成物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトンである、少なくとも1種の長鎖ポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000ダルトン未満である短鎖ポリオールと、を含み得る。一部の例示的実施形態では、バインダー組成物は、硬化後のpHが5〜9であり、L***座標を使用して45未満のb*色値を達する。
絶縁製品の繊維は、鉱物繊維、天然繊維、および合成繊維のうちの1つまたは複数を含んでもよく、一部の実施形態では、繊維はガラス繊維を含む。
絶縁製品は、厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)であってもよい。一部の例示的実施形態では、絶縁製品は、曲げ弾性率が少なくとも約276kPa(40psi)である。
【0007】
本発明の概念の種々の例示的実施形態は、ホルムアルデヒド不含バインダー組成物を使用して形成された絶縁製品の色を調節するための方法を対象とする。方法は、以下のステップ:水性のホルムアルデヒド不含バインダー組成物を用意するステップと、バインダー組成物を硬化して、L***座標を使用して、45未満のb*色値および5〜9の硬化バインダーpHを達するステップと、を含み得る。バインダー組成物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトンである少なくとも1種の長鎖ポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸基を含む架橋剤と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、数平均分子量が2,000ダルトン未満である短鎖ポリオールと、を含み得る。
【0008】
一部の例示的実施形態では、硬化の前に、pHは、0.25〜1.5pH単位調整される。pH調整は、不揮発性塩基およびアルカリ再生水のうちの1つまたは複数の添加によって行われてもよい。
一部の例示的実施形態では、架橋剤は、ポリマー性ポリカルボン酸、例えばアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーである。架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約50質量%〜約85質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。一部の例示的実施形態では、架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約65質量%〜約80質量%の量でバインダー組成物中に存在する。
【0009】
一部の例示的実施形態では、長鎖ポリオールは、部分的または完全に加水分解されたポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルからなる群から選択される。長鎖ポリオールは、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約5質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。種々の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは、糖アルコール、2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸、トリ(メチロール)プロパン、および短鎖アルカノールアミンのうちの1つまたは複数を含む。短鎖ポリオールが糖アルコールを含む場合、糖アルコールは、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
種々の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して約3質量%〜約30質量%の量でバインダー組成物中に存在する。
【0010】
本発明の一般的な概念の多数の他の態様、利点および/または特色が、以下の例示的実施形態の詳細な説明、および本明細書とともに提出される添付の図面から容易に明らかになる。
本発明の一般的な概念ならびにその例証的実施形態および利点が、例として、図面を参照して下に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】pHおよび硬化色が変化する、本出願による硬化バインダー組成物でコーティングされた、例示的な繊維ガラスシート細片を示す図である。
図2】バインダーのpHが上昇する際の、例示的なバインダー組成物の色L**b座標を示すグラフである。
図3】カルボン酸基/ヒドロキシル基および長鎖ポリオール/短鎖ポリオールのモル当量の比が変化する、例示的な硬化バインダー組成物で作製された繊維ガラス絶縁材の曲げ応力/質量/LOIを示すグラフである。
図4】カルボン酸基/ヒドロキシル基および長鎖ポリオール/短鎖ポリオールのモル当量の比が変化する、例示的な硬化バインダー組成物で作製された繊維ガラス絶縁材の色b*値を示すグラフである。
図5】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/0.1であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的なバインダー組成物で作製された繊維ガラスの引張力/LOIを示すグラフである。
図6】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/0.1であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的なバインダー組成物の硬化後水溶性材料%および色b*値の両方を示すグラフである。
図7】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/1.5であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的な硬化バインダー組成物の引張力/LOIを示すグラフである。
図8】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/1.5であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的なバインダー組成物の硬化後水溶性材料%および色b*値を示すグラフである。
図9】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/0.5であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的な硬化バインダー組成物の引張力/LOIを示すグラフである。
図10】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/0.5であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的なバインダー組成物の硬化後水溶性材料%および色b*値を示すグラフである。
図11】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/0.1であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的な硬化バインダー組成物の引張力/LOIを示すグラフである。
図12】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が1/1であり、長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化する、例示的なバインダー組成物の硬化後水溶性材料%および色b*値を示すグラフである。
図13】カルボン酸基/ヒドロキシル基のモル当量の比が変化する、例示的な硬化バインダー組成物の引張力/LOIを示すグラフである。
図14】従来のデンプンハイブリッドバインダー組成物およびフェノール尿素ホルムアルデヒドベースバインダー組成物と比較した、本出願による種々のバインダー組成物を使用して形成された、プラント実験板の曲げ弾性率を示すグラフである。
図15】高温/多湿条件下で、従来のデンプンハイブリッドバインダー組成物およびフェノール尿素ホルムアルデヒドベースバインダー組成物と比較した、本出願による種々のバインダー組成物を使用して形成された、4’×4’繊維ガラス絶縁天井板タイルのサグを示すグラフである。
図16】従来のデンプンハイブリッドバインダー組成物およびフェノール尿素ホルムアルデヒドベースバインダー組成物と比較した、本出願による種々のバインダー組成物を使用して形成された、プラント実験板製品の圧縮強度を示すグラフである。
図17】従来のデンプンハイブリッドバインダー組成物およびフェノール尿素ホルムアルデヒドベースバインダー組成物と比較した、本出願による種々のバインダー組成物を使用して形成されたプラント実験板製品の破断時接着強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別様に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術科学用語は、例示的実施形態が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の記載で使用される用語は例示的実施形態を説明するためのみのものであり、例示的実施形態を限定することは意図しない。したがって、本発明の一般的な概念は、本明細書に例証される具体的な実施形態に限定されることは意図しない。本明細書に記載されるものと同様または等価の他の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料は本明細書に記載される。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」「an」および「the」は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、複数形も含むことを意図する。
別様に指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される材料、化学的および分子特性、反応条件などの量を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語で修飾されていることを理解されたい。したがって、別のことが指示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明の例示的実施形態によって得ようとする所望の特性によって変化し得る近似値である。最低限、各数値パラメーターは、有効数字の数および一般的な丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0014】
例示的実施形態の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメーターが近似値であるにもかかわらず、具体的な例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、いずれの数値も、それぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。本明細書および特許請求の範囲を通して与えられるすべての数値範囲は、より厳密な数値範囲がすべて本明細書に明示的に記されているのと同様に、そのような広範な数値範囲に入るすべてのそのようなより厳密な数値範囲を含む。
【0015】
本開示は、従来のホルムアルデヒドベースバインダー組成物を用いて製造された製品と比較して、同等のまたは改善された機械的および物理的性能を有する絶縁製品の製造において使用するための、ホルムアルデヒド不含水性バインダー組成物に関する。ホルムアルデヒド不含バインダー組成物は、硬化ホルムアルデヒド不含バインダーで作製された繊維絶縁製品および関連製品、例えば薄繊維補強マット(以下すべて総称して繊維補強製品と称する)およびガラス繊維またはミネラルウール製品、特に繊維ガラスまたはミネラルウール絶縁製品の製造において使用され得る。他の製品は、複合製品、木質繊維板製品、金属建築物の絶縁材、パイプ絶縁材、天井板、天井タイル、「重量」製品、例えば天井板、ダクトラップ、ダクトライナー、さらに「軽量」製品を含み得る。
本開示はさらに、ホルムアルデヒド不含バインダー組成物を使用して作製された製品の色を調節するための方法に関する。従来のフェノールバインダーは、硬化時に橙−赤色を生じることを特徴とする。色強度はバインダー濃度および硬化温度によって変化するが、多くの場合マーブル模様の外観になり、この外観は建築用の露出した用途または薄い明るい色の外装を利用する用途において不利である。
【0016】
一部の例示的実施形態では、ホルムアルデヒド不含水性バインダー組成物は、少なくとも1種の長鎖ポリオールと、少なくとも1つの一次架橋剤と、少なくとも1種の短鎖ポリオールを含む少なくとも1つの二次架橋剤とを含む。
【0017】
一次架橋剤は、ポリオールを架橋するために好適な任意の化合物であってもよい。例示的実施形態では、一次架橋剤は、数平均分子量が、90ダルトンより多い、約90ダルトン〜約10,000ダルトン、または約190ダルトン〜約5,000ダルトンである。一部の例示的実施形態では、架橋剤は、数平均分子量が約2,000ダルトン〜5,000ダルトン、または約4,000ダルトンである。好適な架橋剤の非限定的な例としては、1つまたは複数のカルボン酸基(−COOH)、例えばポリカルボン酸(およびその塩)、酸無水物、酸無水物を有するモノマー性およびポリマー性ポリカルボン酸(すなわち、混合酸無水物)、ならびにアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、例えばポリアクリル酸(およびその塩)、ならびにポリアクリル酸ベース樹脂、例えば、いずれもThe Dow Chemical Companyから市販のQR−1629SおよびAcumer9932を有する材料が挙げられる。Acumer9932は、分子量が約4000かつ次亜リン酸ナトリウムの含有量が6〜7質量%のポリアクリル酸/次亜リン酸ナトリウム樹脂である。QR−1629Sは、ポリアクリル酸/グリセリン混合物である。
【0018】
一部の場合では、一次架橋剤は、中和剤で事前に中和されてもよい。そのような中和剤としては、有機および/または無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、およびジエチルアミン、および任意の種類の第一級、第二級、または第三級アミン(アルカノールアミンを含む)が挙げられる。種々の例示的実施形態では、中和剤は、水酸化ナトリウムおよびトリエタノールアミンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
一部の例示的実施形態では、一次架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して少なくとも50質量%、例えば、限定することなく、少なくとも55質量%、少なくとも60質量%、少なくとも63質量%、少なくとも65質量%、少なくとも70質量%、少なくとも73質量%、少なくとも75質量%、少なくとも78質量%、および少なくとも80質量%で水性バインダー組成物中に存在する。一部の例示的実施形態では、一次架橋剤は、水性バインダー組成物の全固形分含有量に対して50質量%〜85質量%、例えば、限定することなく、60質量%〜80質量%、62質量%〜78質量%、および65質量%〜75質量%の量で水性バインダー組成物中に存在する。
【0019】
一部の例示的実施形態では、長鎖ポリオールは、数平均分子量が少なくとも2,000ダルトン、例えば、分子量が3,000ダルトン〜4,000ダルトンである少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールを含む。一部の例示的実施形態では、長鎖ポリオールは、ポリマー性ポリヒドロキシ化合物、例えば部分的または完全に加水分解されているポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む。例証として、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルがポリヒドロキシ成分として作用する場合、80%〜89%加水分解されたポリ酢酸ビニル、例えば、いずれも約85%(Poval(登録商標)385)および88%(Selvol(商標)502)加水分解されている、Poval(登録商標)385(Kuraray America,Inc.)およびSevol(商標)502(Sekisui Specialty Chemicals America,LLC)などを利用することができる。
長鎖ポリオールは、最大約30質量%の全固形分、例えば、限定することなく、最大約28質量%、25質量%、20質量%、18質量%、15質量%、および13質量%の全固形分の量で水性バインダー組成物中に存在してもよい。一部の例示的実施形態では、長鎖ポリオールは、5.0質量%〜30質量%の全固形分、例えば、限定することなく、7質量%〜25質量%、8質量%〜20質量%、9質量%〜18質量%、および10質量%〜16質量%の全固形分の量で水性バインダー組成物中に存在する。
【0020】
水性バインダー組成物は、二次架橋剤、例えば短鎖ポリオールを含んでもよい。短鎖ポリオールは、分子量が2,000ダルトン未満、例えば、750ダルトン未満、500ダルトン未満であり、複数のヒドロキシル(−OH)基を有する水溶性化合物を含み得る。好適な短鎖ポリオール成分としては、糖アルコール、2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸(ビス−MPA)、トリ(メチロール)プロパン(TMP)および短鎖アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンが挙げられる。一部の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは粘度降下剤として作用し、長鎖ポリオール分子(例えば、ポリビニルアルコール)間の分子内および分子間水素結合を破壊することで、組成物の粘度を低下させる。しかし、これらの短鎖ポリオール分子は長鎖ポリオールと同様の構造を有するため、同じような態様で架橋剤と反応し得る。このため、バインダーおよび製品の性能に悪影響を及ぼさない。
【0021】
糖アルコールは、糖のアルドまたはケト基が対応するヒドロキシ基に還元される(例えば、水素化によって)ときに得られる化合物を意味すると理解される。開始糖は、単糖、オリゴ糖、および多糖、およびそれらの生成物の混合物、例えばシロップ、糖蜜、およびデンプン加水分解物から選択することができる。また、開始糖は、糖の無水形態である場合もある。糖アルコールは対応する開始糖に酷似しているが、糖ではない。したがって、例えば、糖アルコールは還元能を有さず、還元糖に典型的なメイラード反応に関与し得ない。一部の例示的実施形態では、糖アルコールは、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イジトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール、それらのシロップ、およびそれらの混合物を含む。種々の例示的実施形態では、糖アルコールは、グリセロール、ソルビトール、キシリトールおよびそれらの混合物から選択される。一部の例示的実施形態では、二次架橋剤は糖アルコールのダイマーまたはオリゴマー縮合生成物である。種々の例示的実施形態では、糖アルコールの縮合生成物はイソソルビドである。一部の例示的実施形態では、糖アルコールはジオールまたはグリコールである。
【0022】
一部の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは、最大約30質量%の全固形分、例えば、限定することなく、最大約25質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、11質量%および10質量%の全固形分の量で水性バインダー組成物中に存在する。一部の例示的実施形態では、短鎖ポリオールは、0〜30質量%の全固形分、例えば、限定することなく、2質量%〜30質量%、3質量%〜25質量%、5質量%〜20質量%、8質量%〜18質量%、および9質量%〜15質量%の全固形分の量で水性バインダー組成物中に存在する。
【0023】
種々の例示的実施形態では、長鎖ポリオール、架橋剤、および短鎖ポリオールは、カルボン酸基、酸無水物基、またはそれらの塩のモル当量の数の、ヒドロキシル基のモル当量の数に対する比が、約1/0.05〜約1/5、例えば約1/0.08〜約1/2.0、約1/0.1〜約1/1.5、および約1/0.3〜約1/0.66になるような量で存在する。しかし、驚くべきことに、この比の範囲内では、長鎖ポリオールの短鎖ポリオールに対する比が、バインダー組成物の性能、例えば硬化後のバインダーの引張強度および水溶性に影響を及ぼすことが発見された。例えば、長鎖ポリオールの短鎖ポリオールに対する比が約0.1/0.9〜約0.9/0.1、例えば約0.3/0.7〜0.7/0.3、または約0.4/0.6〜0.6/0.4であると、バランスのとれた望ましい機械的特性および色の物性が得られることが発見された。種々の例示的実施形態では、長鎖ポリオールの短鎖ポリオールに対する比はおよそ0.5/0.5である。長鎖ポリオールの短鎖ポリオールに対する比は、最終的な使用用途の必要性に応じて特定の特性が最適化されるように最適化されてもよい。例えば、長鎖ポリオールの濃度が減少するにつれて、バインダーの色強度は減少する(より白色になる)。しかし、長鎖ポリオールの濃度を低下させると、バインダー組成物で形成された製品の引張強度も減少する場合がある。したがって、種々の特性間のバランスは、本明細書に開示される比の範囲内で予想外に見出された。
【0024】
水性バインダー組成物は、硬化促進剤としても公知のエステル化触媒を含んでもよい。触媒には、無機塩、ルイス酸(すなわち、塩化アンモニウムまたは三フッ化ホウ素)、ブレンステッド酸(すなわち、硫酸、p−トルエンスルホン酸およびホウ酸)有機金属錯体(すなわち、カルボン酸リチウム、カルボン酸ナトリウム)および/またはルイス塩基(すなわち、ポリエチレンイミン、ジエチルアミン、またはトリエチルアミン)が含まれ得る。さらに、触媒には、リン含有有機酸のアルカリ金属塩、特にリン酸、次亜リン酸、またはポリリン酸のアルカリ金属塩が含まれ得る。そのようなリン触媒の例としては、これらに限定されないが、次亜リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、トリメタリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに、触媒または硬化促進剤は、フルオロボレート化合物、例えばフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸亜鉛、テトラフルオロホウ酸アンモニウムおよびそれらの混合物であってもよい。さらに、触媒は、リン化合物とフルオロボレート化合物の混合物であってもよい。他のナトリウム塩、例えば硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウムもまた、または代替的に、触媒として使用することができる。
【0025】
触媒は、バインダー組成物の全固形分の約0質量%〜約10質量%、例えば、限定することなく、約1質量%〜約5質量%、または約2質量%〜約4.5質量%、または約2.8質量%〜約4.0質量%、または約3.0質量%〜約3.8質量%の量で水性バインダー組成物中に存在してもよい。
【0026】
水性バインダー組成物は、少なくとも1つのカップリング剤を含んでもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、カップリング剤はシランカップリング剤である。カップリング剤は、バインダー組成物の全固形分の約0.01質量%〜約5質量%、約0.01質量%〜約2.5質量%、または約0.05質量%〜約1.5質量%、または約0.1質量%〜約1.0質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。
【0027】
バインダー組成物に使用することができるシランカップリング剤の非限定的な例は、官能基アルキル、アリール、アミノ、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシ、ウレイド、イソシアネート、およびメルカプトを特徴とし得る。例示的実施形態では、シランカップリング剤には、1つまたは複数の官能基、例えばアミン(第一級、第二級、第三級および第四級)、アミノ、イミノ、アミド、イミド、ウレイド、またはイソシアネートを有する1つまたは複数の窒素原子を含むシランが含まれる。好適なシランカップリング剤の具体的な非限定的な例としては、これらに限定されないが、アミノシラン(例えば、トリエトキシアミノプロピルシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシランおよび3−アミノプロピル−トリヒドロキシシラン)、エポキシトリアルコキシシラン(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、メタクリル(methyacryl)トリアルコキシシラン(例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、炭化水素トリアルコキシシラン、アミノトリヒドロキシシラン、エポキシトリヒドロキシシラン、メタクリルトリヒドロキシシランおよび/または炭化水素トリヒドロキシシランが挙げられる。1つまたは複数の例示的実施形態では、シランはアミノシラン、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0028】
水性バインダー組成物は、加工助剤を含んでもよい。加工助剤は、繊維形成および配向処理を促進するように機能する限り、特に限定されない。加工助剤は、バインダーの塗布分布均一性を改善するため、バインダーの粘度を低減するため、形成後のランプ(ramp)高さを増加させるため、縦方向の重量分布均一性を改善するため、および/または形成工程およびオーブン硬化工程の両方でバインダーの脱水を加速させるために使用することができる。加工助剤は、バインダー組成物の全固形分含有量に対して、0〜約10質量%、約0.1質量%〜約5.0質量%、または約0.3質量%〜約2.0質量%、または約0.5質量%〜1.0質量%の量でバインダー組成物中に存在してもよい。一部の例示的実施形態では、水性バインダー組成物は、加工助剤を本質的にまたは全く含まない。
【0029】
加工助剤の例としては、消泡剤、例えば鉱物、パラフィン、もしくは植物油のエマルションおよび/または分散液、ポリジメチルシロキサン(PDMS)流体の分散液およびポリジメチルシロキサンまたは他の材料で疎水化されたシリカの分散液が挙げられる。さらなる加工助剤には、アミドワックス、例えばエチレンビス−ステアラミド(EBS)または疎水化シリカからなる粒子が含まれ得る。バインダー組成物に利用することができるさらなる加工助剤は、界面活性剤である。バインダーの霧化、湿潤および界面接着を補助するために、1つまたは複数の界面活性剤がバインダー組成物に含まれてもよい。
【0030】
界面活性剤は特に限定されず、これらに限定されないが、イオン性界面活性剤(例えば、サルフェート、スルホネート、ホスフェートおよびカルボキシレート)、サルフェート(例えば、アルキルサルフェート、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、アルキルエーテルサルフェート、ラウレス硫酸ナトリウムおよびミレス硫酸ナトリウム)、両性界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、例えばラウリル−ベタイン)、スルホネート(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートおよびアルキルベンゼンスルホネート)、ホスフェート(例えば、アルキルアリールエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルホスフェート)、カルボキシレート(例えば、アルキルカルボキシレート、脂肪酸塩(石けん)、ステアリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、カルボキシレートフッ素系界面活性剤、ペルフルオロナノエートおよびペルフルオロオクタノエート)、カチオン(例えば、アルキルアミン塩、例えばラウリルアミン酢酸塩)、pH依存性界面活性剤(第一級、第二級または第三級アミン)、恒久的に荷電した第四級アンモニウムカチオン(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリドおよびベンゼトニウムクロリド)ならびに双性イオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドおよびアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)ならびにポリオキシエチレンアルキルアミンなどの界面活性剤が含まれる。
【0031】
バインダー組成物とともに使用することができる好適な非イオン性界面活性剤には、ポリエーテル(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの縮合物、これには直鎖および分岐鎖アルキルおよびアルカリールポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールエーテルおよびチオエーテルが含まれる)、約7〜約18個の炭素原子を含むアルキル基を有し、約4〜約240個のエチレンオキシ単位を有するアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(例えば、ヘプチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールおよびノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、ソルビタン、ソルビド、マンニタンおよびマンニドを含むヘキシトールのポリオキシアルキレン誘導体、部分長鎖脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエートおよびソルビタントリオレエートのポリオキシアルキレン誘導体)、エチレンオキシドと疎水性塩基の縮合物であって、塩基がプロピレンオキシドとプロピレングリコールを縮合することによって形成される、縮合物、硫黄含有縮合物(例えば、エチレンオキシドと高級アルキルメルカプタン、例えばノニル、ドデシル、もしくはテトラデシルメルカプタンを、またはアルキルチオフェノールを縮合することによって調製される縮合物、ここでアルキル基は約6〜約15個の炭素原子を含む)、長鎖カルボン酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびオレイン酸、例えばトール油脂肪酸)のエチレンオキシド誘導体、長鎖アルコール(例えば、オクチル、デシル、ラウリルまたはセチルアルコール)のエチレンオキシド誘導体、ならびにエチレンオキシド/プロピレンオキシドのコポリマーが含まれる。
【0032】
少なくとも1つの例示的実施形態では、界面活性剤は、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールであるDynol 607、エトキシ化2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール界面活性剤であるSURFONYL(登録商標)420、SURFONYL(登録商標)440およびSURFONYL(登録商標)465(Evonik Corporation(Allentown、Pa.)から市販されている)、Stanfax(ラウリル硫酸ナトリウム)、Surfynol 465(エトキシ化2,4,7,9−テトラメチル5デシン−4,7−ジオール)、Triton(商標)GR−PG70(1,4−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)、およびTriton(商標)CF−10(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、アルファ−(フェニルメチル)−オメガ−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ)のうちの1つまたは複数を含む。
【0033】
バインダー組成物はまた、pH調整剤として、pHを所望のレベルに調整するのに十分な量で、有機および/または無機酸ならびに塩基を含んでもよい。pHは、バインダー組成物の材料の適合性を促進する、または種々の種類の繊維に作用するように、所期の用途に基づいて調整され得る。一部の例示的実施形態では、pH調整剤を利用して、バインダー組成物のpHを酸性pHに調整する。好適な酸性pH調整剤の例としては、無機酸、例えば、これらに限定されないが、硫酸、リン酸およびホウ酸、さらに有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、モノまたはポリカルボン酸、例えば、これらに限定されないが、クエン酸、酢酸およびこれらの無水物、アジピン酸、シュウ酸、およびこれらの対応する塩が挙げられる。また、酸前駆体であり得る無機塩も含まれる。酸はpHを調整し、一部の場合では、上記で考察したように、架橋剤として作用する。他の例示的実施形態では、有機および/または無機塩基が、バインダー組成物のpHを上昇させるために含まれ得る。一部の例示的実施形態では、塩基は揮発性塩基であっても不揮発性塩基であってもよい。例示的な揮発性塩基には、例えば、アンモニアおよびアルキル置換アミン、例えばメチルアミン、エチルアミンまたは1−アミノプロパン、ジメチルアミンおよびエチルメチルアミンが含まれる。例示的な不揮発性塩基には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、およびt−ブチルアンモニウムヒドロキシドが含まれる。
あるpHを有するバインダー組成物は酸性条件で硬化し、天然pHは2.0〜3.0である。このpHではバインダー組成物は硬化時に橙−赤色の場合があり、この色はバインダー濃度および硬化温度によって外観が異なる。長鎖ポリオール(例えば、ポリビニルアルコール)は、その分解温度を超える温度で水が急速に鎖から離れて脱離することによって色が黄色から橙色、暗い茶色、黒へと変化すると考えられる。この反応は酸で触媒され、これにより多くのカルボン酸およびポリビニルアルコール含有バインダーが黄色−橙色になる。
【0034】
このような色および外観の変化は、一部の用途、特に露出した板が関与する用途にとって望ましくない場合がある。しかし、pHをわずかに、例えば0.25〜2.0pH単位上昇させると、色が顕著に明るくなり、外観の変化やマーブル模様化が少なくなることが予想外に発見された。特に、色の外観は、pHを0.5〜1.5pH単位または1.0〜1.5pH単位上昇させることにより、橙−赤色からオフホワイト色へと変化し得る。硬化後、そのようなバインダー組成物は、pHが約5.0〜9.0、例えば約5.5〜約8.5および約6.0〜約8.0である。
【0035】
硬化バインダーのpHは、以下の方法に従い測定した。完成品の全体の厚さから40gの試料(+/−0.2g)を切り出し、小切片(約0.5’’×0.5’’×0.5’’)に切断する。次に、脱イオン水の所定の質量w1をビーカーに加える。切片を水に浸漬し、切片が完全に水に濡れるように機械的にかき混ぜる(例えば、混合機で、または手で絞って)。切片を5分間水に浸す。5分後、切片を絞り、3分以内に水をpHについて測定する。製品のpHは、3回の測定の平均として判定される。
【0036】
脱イオン水の質量w1は、式:
1=LOI*2*40g
を使用して、製品のLOI(%)によって判定する。
LOIが10%の製品の質量w1は800gになる(10*2*40g=800g)。
【0037】
図1に示されるように、バインダー組成物のpHが上昇すると、硬化バインダー組成物の色は、2.7の硬化前pHでの暗い橙色から、4.03の硬化前pHでの本質的な白色まで大幅に明るくなる。硬化前pHが3.5に近づくにつれ、色は顕著に変化し始める。
さらに、図2では、従来の炭水化物ベースバインダー組成物と比較した、pH上昇に伴う硬化ポリアクリル酸/ソルビトール/ポリビニルアルコール(「PAA/S/PVOH」)バインダー組成物において見られる色の変化が例示される。
図2では、L***座標を使用して色影響を測定した。この試験は、赤と緑の2色が同時に、または黄色と青の2色が同時に存在することはないと述べる反対色説に倣ってモデル化されたものであった。図2は、黄色/青座標(正のとき黄色、負のとき青)であるb*値(HunterLab MiniScan EZ機器で測定した)を示す。この尺度では、数字が小さいほど黄変が少ないことが示される。図2に示されるように、b*色値は約2.8の硬化前pHでの25超から、約4.1〜4.3の硬化前pH範囲での4〜7へ大幅に減少した。このb*色値の低減から、直線が0に近づくにつれ、硬化バインダーの黄色ははるかに明るく、白により近くなることが示される。種々の例示的実施形態では、バインダー組成物は、L***座標を使用して45未満、例えば40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、15未満、10未満および5未満のb*色値を達する。
【0038】
このpH調整は、有機および/または無機塩基を、pHを所望のレベルに調整するのに十分な量で含むことによって達成することができる。一部の例示的実施形態では、塩基は不揮発性塩基である。例示的な有機および/または無機塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムおよびジエチルアミン、および任意の種類の第一級、第二級または第三級アミン(アルカノールアミンを含む)が含まれる。代替的に、またはそれに加えて、pH調整は、pHが約7〜8であり得るアルカリ再生水または「洗浄」水を組み込むことによって達成することができる。
したがって、本出願の種々の態様は、バインダーのpHを調節することによって硬化バインダー組成物の色を調節するための方法を対象とする。驚くべきことに、そのようなpHの上昇は、製品の性能にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。そのような効果は、他のポリカルボン酸および/または炭水化物ベースバインダー組成物が、pHが1.0〜1.5pH単位上昇すると性能が劣化して望まれない色が増加したという点で対照的な効果を示したため、予想外である。下の表1は、本開示によるバインダー組成物(PAA/S/PVOH)および従来のデンプンハイブリッドバインダー組成物の両方を使用して調製された、pH上昇のレベルが変化する低密度繊維ガラス絶縁板の回復データを示す。各製品の厚さを測定し、約1週間圧縮した後解放した。これを乾燥(室温および約50%の相対的湿度)および高温/多湿(約32℃(90F)および90%相対的湿度)条件の両方で行った。その後、厚さ回復を測定し、それを下の表1に示す。洗浄水(WW)または「再生水」の添加によってpHが上昇するにつれ、PAA/S/PVOHバインダー組成物で形成された板は、従来のデンプンハイブリッドバインダー組成物を使用して形成された板よりも高い厚さ回復を示した。
【0039】
【表1】
【0040】
硬化前の状態では、バインダー組成物のpHは、その間のすべての量および範囲を含めて約2〜約5に及び得る。一部の例示的実施形態では、バインダー組成物のpHは、硬化前の状態で約2.2〜4.0、例えば約2.5〜3.8および約2.6〜3.5である。硬化後、バインダー組成物のpHは少なくともpH5.0、例えば約6.5〜7.2、または約6.8〜7.2のレベルまで上昇し得る。
バインダーは、その後の絶縁材料の製作および取付けに悪影響を及ぼす可能性がある無機および/または有機粒子の存在を低減する、または排除するために、粉塵抑制剤を含んでもよい。粉塵抑制剤は、任意の従来の鉱物油、鉱物油エマルション、天然または合成油、バイオベース油、または潤滑油、例えば、これらに限定されないが、シリコーンおよびシリコーンエマルション、ポリエチレングリコール、ならびに、オーブン内の油の蒸発を最小限に抑えるように引火点が高い任意の石油系または非石油系油であってよい。
【0041】
一部の例示的実施形態では、水性バインダー組成物は、最大で約10質量%、例えば最大で約8質量%、または最大で約6質量%の粉塵抑制剤を含む。種々の例示的実施形態では、水性バインダー組成物は、0質量%〜10質量%、例えば約1.0質量%〜約7.0質量%、または約1.5質量%〜約6.5質量%、または約2.0質量%〜約6.0質量%、または約2.5質量%〜5.8質量%の粉塵抑制剤を含む。
【0042】
バインダーは、活性固形物を溶解または分散させて補強繊維へ塗布するために水をさらに含む。水は、水性バインダー組成物を、補強繊維に塗布するために、さらに繊維での所望の固形分含有量を達するのに適する粘度に希釈するのに十分な量で添加されてもよい。本発明のバインダー組成物は、従来のフェノール−尿素ホルムアルデヒドまたは炭水化物ベースバインダー組成物よりも低い固形分含有量を含み得ることが発見された。特に、バインダー組成物は、5質量%〜35質量%のバインダー固形分、例えば、限定することなく、10質量%〜30質量%、12質量%〜20質量%、および15質量%〜19質量%のバインダー固形分を含み得る。固形分のこのレベルから、本発明のバインダー組成物が従来のバインダー組成物よりも多く水を含み得ることが示される。しかし、バインダー組成物は硬化速度が速いため、バインダーは高いランプ水分レベル(約8%〜10%)で処理することができ、バインダー組成物は従来のバインダー組成物と比べると水分を除去する必要が少ない。バインダーの含有量は、強熱減量(LOI)として測定され得る。ある特定の実施形態では、LOIは5%〜20%、例えば、限定することなく、10%〜17%、12%〜15%、および13%〜14.5%である。
一部の例示的実施形態では、バインダー組成物は、より低いLOIで従来のフェノールまたはデンプンハイブリッドバインダー組成物と同様のまたはそれよりも高い性能を達することが可能である。
【0043】
一部の例示的実施形態では、水性バインダー組成物は、1つまたは複数の添加剤、例えばカップリング剤、増量剤、架橋密度向上剤、脱臭剤、酸化防止剤、粉塵抑制剤、殺生物剤、防湿剤、またはこれらの組合せも含み得る。バインダーは、限定することなく、染料、顔料、さらなる充填剤、着色剤、UV安定化剤、熱安定化剤、発泡防止剤、乳化剤、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム)、腐食阻害剤、およびこれらの混合物を含み得る。工程および製品の性能を改善するために、他の添加剤がバインダー組成物に添加されてもよい。そのような添加剤には、潤滑剤、湿潤剤、帯電防止剤、および/または撥水剤が含まれる。添加剤は、微量(例えば<バインダー組成物の約0.1質量%)から、バインダー組成物の全固形分の約10質量%まで、バインダー組成物中に存在してもよい。
【0044】
一部の例示的実施形態では、水性バインダー組成物は、モノマー性カルボン酸成分を実質的に含まない。例示的なモノマー性ポリカルボン酸成分には、アコニット酸、アジピン酸、アゼライン酸、ブタンテトラカルボン酸二水和物、ブタントリカルボン酸、クロレンド酸無水物、シトラコン酸、クエン酸、ジシクロペンタジエン−マレイン酸付加物、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ペンタナトリウム塩、ジペンテンと無水マレイン酸の付加物、エンドメチレンヘキサクロロフタル酸無水物、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、完全マレエート化ロジン、マレエート化トール油脂肪酸、フマル酸、グルタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アルコールに次いでカルボン酸に過酸化カリウムで酸化不飽和化されるマレエート化ロジン、リンゴ酸、無水マレイン酸、メサコン酸、シュウ酸、無水フタル酸、ポリ乳酸、セバシン酸、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、テトラブロモフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリメリト酸無水物、およびトリメシン酸が含まれる。
【0045】
種々の例示的実施形態では、水性バインダー組成物は、長鎖ポリオール(例えば、完全または部分加水分解ポリビニルアルコール)、一次架橋剤(例えば、ポリマー性ポリカルボン酸)、および二次架橋剤(例えば、糖アルコール)を含む。ある特定の例示的実施形態による、本発明のバインダー組成物に使用される成分の範囲を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
本開示の種々の例示的実施形態による水性バインダー組成物は、表3に示される触媒/促進剤(例えば、次亜リン酸ナトリウム)、界面活性剤、および/またはカップリング剤(例えば、シラン)をさらに含んでもよい。
【0048】
【表3】
【0049】
一部の例示的実施形態では、バインダー組成物は、バインダー約1グラムにつき約1000gの脱イオン水を使用して、水溶性材料を脱イオン水で2時間室温で抽出することによって判定される、硬化後水溶性材料レベルが低減されるように配合される。硬化後の水溶性材料レベルが高いほど、硬化材料が水および/または高温/多湿環境に曝された場合/ときに浸出する可能性が高くなる。一部の例示的実施形態では、バインダー組成物は、硬化後に6質量%以下の水溶性材料を有する。一部の例示的実施形態では、バインダー組成物は、硬化後に5.0質量%未満、例えば5.0質量%、4.0質量%、3.0質量%未満、2.5質量%未満、2.0質量%未満、1.5質量%未満、または1.0質量%未満の水溶性材料を有する。硬化後の水溶性材料レベルを6.0質量%以下まで低減させることによって、硬化後に6.0質量%より多い水溶性材料を有するが他の点では同様のバインダー組成物と比較して、バインダー組成物の引張強度が改善されることが発見された。
【0050】
【表4】
硬化後にバインダー組成物に残存する水溶性材料の量は、バインダー中のカルボン酸基の量によって少なくとも部分的に判定され得る。特に、酸基が過剰になると水溶性物質含有量が増加し、硬化後の水溶性材料が増加する。下の表4に示されるように、比較例1および2は非常に酸性のCOOH/OH比を有し、結果として硬化後の水溶性材料のパーセンテージが許容されないほど高くなっている。対照的に、硬化後に残存する水溶性材料のパーセンテージは、1/0.1以下のCOOH/OH比で実質的に減少する。
硬化後の水溶性材料レベルが許容される程度に低い(例えば、6質量%以下)バインダー組成物を製造するためには、全ポリオール含有量に少なくとも10質量%の1つまたは複数の短鎖ポリオールが含まれているべきであることが、さらに発見された。一般的に、ソルビトールなどの短鎖ポリオールは水溶性が高いため、これは特に驚くべきことである。したがって、ソルビトールレベルを上昇させると、バインダー組成物中の水溶性材料量が増加することが予想されていた。
一部の例示的実施形態では、バインダー組成物は固形分30%以下で約400cP未満、例えば固形分30%以下で約300cP未満、および固形分30%以下で約200cP未満の粘度を有する。種々の例示的実施形態では、バインダー組成物の粘度は固形分30%以下で250cP以下である。
【0051】
本開示の繊維製品は、ランダムに配向した複数の繊維を含む。ある特定の例示的実施形態では、ランダムに配向した複数の繊維は、鉱物繊維、例えば、これらに限定されないが、ガラス繊維、ガラスウール繊維、ミネラルウール繊維、スラグウール繊維、ストーンウール繊維、セラミック繊維、金属繊維、およびこれらの組合せである。
他の補強繊維、例えば天然繊維および/または合成繊維、例えば炭素、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、アラミド、および/またはポリアラミド繊維が不織布繊維マットに使用されてもよい。「天然繊維」という用語は、本明細書で使用される場合、植物の任意の部分、例えば、これらに限定されないが、茎、種子、葉、根または師部から抽出された植物繊維を指す。補強繊維材料として使用するのに適する天然繊維の例としては、木部繊維、セルロース系繊維、藁、木材チップ、木材ストランド、綿、ジュート、竹、カラムシ、バガス、麻、コイア、リネン、ケナフ、サイザル、亜麻、ヘネケ麻、およびこれらの混合物が挙げられる。不織布製品は、完全に1種類の繊維で形成されてもよく、複数の種類の繊維の組合せで形成されてもよい。例えば、絶縁製品は、所望の用途に応じて、種々の種類のガラス繊維の組合せで形成されてもよく、異なる無機繊維および/または天然繊維の種々の組合せで形成されてもよい。ある特定の例示的実施形態では、絶縁製品は完全にガラス繊維で形成される。
本発明を概括的に記載したが、例証の目的でのみ提供され、別様に指定されない限りすべて包含するまたは限定的であることは意図されない、以下に示される特定の具体的な例を参照することによって、さらなる理解が得られる。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
カルボン酸/ヒドロキシル比が変化する、かつポリビニルアルコール/ソルビトール比が変化するバインダー配合物を利用して、薄板(硬化温度約218℃(425°F)および厚さ約3.18mm(0.125インチ))を形成し、細片に切断した。これらの比を下の表5に示す。各板細片を3点曲げ試験に供し、この試験では各細片の中央に荷重を加え、破断するまで耐えた荷重と板細片の量を測定した。結果を図3に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
図3に示されるように、各カルボン酸/ヒドロキシル基比内で、ポリビニルアルコール/ソルビトール比に応じて曲げ応力/質量/LOIが上昇または低下した。曲げ応力は、厚さ1/8’’の2’’×6’’板を利用する3点曲げ試験で測定する(すなわち、破断するまでの力)。全体で最も高い曲げ応力/LOIは、カルボン酸/ヒドロキシル基比が1/0.66のときに得られた。さらに、この比の範囲内で、ポリビニルアルコール/ソルビトール比が0.5/0.5であったとき曲げ応力/LOIはさらに上昇した。実際、カルボン酸/ヒドロキシル基比の各セット内で、ポリビニルアルコール/ソルビトール比が約0.5/0.5のとき最も高い曲げ応力が示された。
【0055】
試料をL***座標を使用して色影響についてさらに試験した。この試験は、赤と緑の2色が同時に、または黄色と青の2色が同時に存在することはないと述べる反対色説に倣ってモデル化された試験であった。図4は、黄色/青座標(正のとき黄色、負のとき青)であるb*値を示す。この尺度では、数字が小さいほど黄変が少ないことが示される。図4に示されるように、長鎖ポリオール(この場合PVOH)をあまり含まない組成物は黄変をそれほど示さず、色が全体的に改善された。
【0056】
(実施例2)
COOH/OH比および長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比が変化するバインダー組成物を利用して、幅9.5mm、厚さ0.5mmおよび長さ97mmの不織布繊維ガラスバインダー含浸フィルター(BIF)シートを形成した。不織布繊維ガラスBIFシートを約218℃(425°F)で3分30秒硬化した。各試料の引張強度、強熱減量(LOI)、LOIで除した引張強度(引張強度/LOI)、およびb*色値を、周囲条件および蒸気(「高温/多湿」)条件下で測定した。引張強度は、Instron(引張り速度約5.1cm/分(2インチ/分))を使用して測定した。補強繊維のLOIは、バインダー組成物が燃焼するか、繊維から熱分解するのに十分な温度に繊維を加熱した後の繊維の質量減少である。LOIは、TAPPI T-1013 OM06, Loss on Ignition of Fiberglass Mats (2006)に示される手順に従って測定した。高温/多湿環境をつくるために、フィルターシートを約116℃(240°F)、圧力約2.8〜3.4MPa(400〜500psi)で60分間オートクレーブに置いた。
【0057】
図5に示されるように、引張/LOIは概して、周囲条件および高温/多湿条件の両方で、(1/0.1のCOOH/OH比内で)組成物中の短鎖ポリオールの割合が増加すると上昇するように思われた。この関係性は、硬化後に組成物に残存する水溶性物質のレベルと一致するように思われる(図6)。図6は、短鎖ポリオールの割合が増加するにつれ、硬化後の組成物中の水溶性材料のパーセンテージが減少することを示す。注目すべきことに、b*色値もまた、短鎖ポリオールの割合の増加に伴い減少する。
図7および8に示されるように、この関係性はCOOH/OH比が1/1.5に調整されたときも継続した。しかし、注目すべきことに、硬化後に組成物に残存する水溶性材料のパーセンテージは、このCOOH/OH範囲で実質的に低下した。例えば、短鎖ポリオールを一切有さない組成物であっても、水溶性材料のパーセンテージは8.0%未満であり、短鎖ポリオールをある程度添加すると、パーセンテージは5.0%より低く降下した。
しかし、COOH/OH比を1/0.5、1/0.1、および1/1に調整すると、水溶性材料パーセントおよびb*色値は短鎖ポリオールの割合の増加に伴い同じ態様で低下したが、周囲および高温/多湿引張強度は長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比にかかわらず比較的一定のままであった。図9〜12を参照されたい。しかし、最も高い周囲引張強度/LOIは、COOH/OH比が1/0.5のときに、0.5/0.5および0.3/0.7の長鎖ポリオール/短鎖ポリオール比で示されたことに留意すべきである(それぞれ引張強度/LOI約44および45)。
【0058】
図13は、COOH/OH比が1/0.1〜1/10に変化する、バインダー組成物含浸フィルターシートの引張/LOIの変化を示す。示されるように、周囲条件および高温/多湿条件下の両方での最適な引張/LOIは、COOH/OH比が低すぎず高すぎないときに見ることができる。高すぎるまたは低すぎるCOOH/OH比では、高温/多湿条件下での引張/LOIは悪化し、強度特性が不十分になる。
【0059】
(実施例3)
比が変化するバインダー組成物を利用して繊維ガラス絶縁板(例えば、天井タイル)を形成した。本出願によるバインダー組成物で形成された絶縁板(種々の比のポリアクリル酸/ソルビトール/ポリビニルアルコールのPAA/S/PVOHと示す)を、従来の炭水化物ベースバインダー組成物(「デンプンハイブリッドバインダー板」)およびフェノール尿素ホルムアルデヒドバインダー組成物(「PUF板」)の両方を使用して形成された板と比較した。各試料の弾性率、圧縮強度(デルタb)、およびサグ(インチ)を周囲条件下で判定した。
図14に示されるように、従来の炭水化物ベースバインダー組成物およびフェノール尿素ホルムアルデヒドベースバインダー組成物の両方と比較して、PAA/S/PVOH絶縁板試料はそれぞれ改善された曲げ弾性率を示した。PAA/S/PVOHが50:20:30およびPAA/S/PVOHが60:10:30のとき最高の改善が示され、曲げ弾性率レベルはそれぞれ約483kPa(約70psi)および約469KPa(68psi)であった。対照的に、PUF板は約317kPa(約46psi)の曲げ弾性率を示し、デンプンハイブリッドバインダー板は約214kPa(約31psi)の弾性率を示した。一部の例示的実施形態では、本発明の概念による、厚さ約2.5cm(約1インチ)および密度約96kg/m3(約6lbs/ft3)の絶縁板は、少なくとも約276kPa(40psi)、例えば少なくとも約310kPa(45psi)、少なくとも約345kPa(50psi)、および少なくとも約379kPa(55psi)の曲げ弾性率を達する。
【0060】
図15は、約32℃(90F)/90%rH(相対的湿度)の高温/多湿環境で所定の日数放置した後の、種々の4’×4’絶縁板パネルで観察されたサグを示す。
図15に示されるように、PVOHレベルが低いPAA/S/PVOHバインダー組成物(すなわち、60:20:15のPAA/S/PVOHおよび75:10:15のPAA/S/PVOH)は、高温/多湿条件下で、PUF板およびデンプンハイブリッドバインダー板の両方よりも少ないサグを示した。このことは、バインダー組成物中の長鎖ポリオールを減少させることで、非常に高い標準の高温多湿性能が求められる用途における高温/多湿性能の改善が促進される可能性があることを示す。
【0061】
図16は、異なるバインダーおよびLOI%を有する繊維ガラス板製品の、10%変形での圧縮強度を示す。ASTM法C−165に従い、厚さ約1’’および密度約96kg/m3(約6lb/ft3)の6’’×6’’絶縁板に試験を行った。図16に示されるように、PAA/S/PVOHバインダーで形成された絶縁板の圧縮強度は、デンプンハイブリッドバインダーおよびPUFバインダーの両方で形成された絶縁板の圧縮強度を上回り、約12kPa(約260lbs/ft2)〜約24kPa(500lbs/ft2)超えの圧縮強度が示された。一部の例示的実施形態では、本発明の概念による、厚さ約2.5cm(約1インチ)の6’’×6’’絶縁板は、少なくとも約9.6kPa(200lbs/ft2)、例えば少なくとも約14kPa(300lbs/ft2)、少なくとも約19kPa(400lbs/ft2)、および少なくとも約24kPa(500lbs/ft2)の圧縮強度を達する。
【0062】
図17は、異なるバインダーおよびLOI%を有する繊維ガラス板製品の破断時接着強度を示す。試験では、厚さ約1’’および密度約96kg/m3(約6lb/ft3)の6’’×6’’絶縁板のZ方向の強度を測定する。図17に示されるように、PAA/S/PVOHバインダーで形成された絶縁板の接着強度は、デンプンハイブリッドバインダーで形成された絶縁板の接着強度を上回った。さらに、PAA/S/PVOHバインダーで形成された絶縁板は、PUFバインダーで形成された絶縁板と同等の接着強度を示し、約480Pa(約10lbs/ft2)〜約720Pa(15lbs/ft2)超えの接着強度が示された。一部の例示的実施形態では、本発明の概念による、厚さ約2.5cm(約1インチ)の6’’×6’’絶縁板は、少なくとも約360Pa/LOI(7.5lbs./ft2/LOI)、例えば少なくとも約480Pa/LOI(10lbs./ft2/LOI)、少なくとも約600Pa/LOI(12.5lbs./ft2/LOI)、および少なくとも約720Pa/LOI(15lbs./ft2/LOI)の接着強度を達する。
【0063】
例証された製品および工程のより多くの詳細な態様の大部分が当技術分野で公知であり、このような態様は本発明の一般的な概念を正確に提示する目的で省略されていることが理解される。本発明を特定の手段、材料および実施形態を参照して説明したが、前述から、当業者であれば本開示の本質的な特性を容易に確認することができ、種々の変更および修正を行って、上記されたような、かつ添付の特許請求の範囲に示される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の使用および特性を適合させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】