特表2020-537123(P2020-537123A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-537123結像装置、結像方法および結像システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-537123(P2020-537123A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】結像装置、結像方法および結像システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20201120BHJP
   G01N 23/02 20060101ALI20201120BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20201120BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20201120BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20201120BHJP
   H01J 37/05 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   G01N23/04 330
   G01N23/02
   H01J37/28 C
   H01J37/244
   H01J37/22 501Z
   H01J37/22 502H
   H01J37/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-519369(P2020-519369)
(86)(22)【出願日】2018年9月28日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月11日
(86)【国際出願番号】CN2018108278
(87)【国際公開番号】WO2019072101
(87)【国際公開日】20190418
(31)【優先権主張番号】201710928976.9
(32)【優先日】2017年10月9日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬
(72)【発明者】
【氏名】丁 致遠
(72)【発明者】
【氏名】高 斯
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲必▼瑩
【テーマコード(参考)】
2G001
5C033
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA12
2G001BA14
2G001CA03
2G001DA01
2G001DA06
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
5C033AA05
5C033NN03
5C033NP08
5C033SS04
5C033SS06
5C033SS07
(57)【要約】
本発明は、結像装置、結像方法および結像システムを開示し、サンプル画像データの取得及び結像技術の分野に属する。結像装置は、荷電粒子源、収束システム、走査制御システム、検知モジュール、及び検知モジュールの下方に配置されているスペクトル分析モジュールを含む。検知モジュールは、複数の画素化探知器ユニットを含み、穴が開設されている。本発明に係る結像装置は、穴が開設された検知モジュール及びスペクトル分析モジュールを含み、穴が開設された検知モジュールにより回折パターンを取得し、スペクトル分析モジュールは、穴を通る荷電粒子線に対してスペクトル分析を行い、一回の走査で回折パターン及びスペクトル信号を同時に取得することを可能にする。本発明に係る結像方法は、中空積層結像方法に基づいたのであり、穴が開設された検知モジュールで得られた回折パターンを結像させることを実現でき、結像の効果が良好である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子を放出するための荷電粒子源(1)と、
荷電粒子線を制限し収束するための収束システム(2)と、
荷電粒子線のサンプルでの走査を制御するための走査制御システム(3)と、
サンプル(4)と、
荷電粒子を取り込み、荷電粒子の信号強度を検出するための検知モジュール(5)と、
検知モジュール(5)の下方に配置され、荷電粒子の分光学特徴を分析するためのスペクトル分析モジュール(6)と、を含み、
前記検知モジュール(5)は、複数の画素化探知器ユニット(7)を含み、当該検知モジュール(5)には、穴(8)が開設されている
ことを特徴とする結像装置。
【請求項2】
前記穴(8)は、円形状、方形状又は環形状を含むが、これらに限定されないことを特徴する請求項1に記載の結像装置。
【請求項3】
前記検知モジュール(5)は、方形状、円形状および島状を含むが、これらに限定されないことを特徴とする請求項1又は2に記載の結像装置。
【請求項4】
回折パターンを取得する工程と、
中空積層結像方法により、取得した回折パターンに対して積層結像を行う工程と、
を含むことを特徴とする結像方法。
【請求項5】
前記回折パターンを取得する工程は、結像装置に基づくものであり、前記結像装置は、荷電粒子源(1)、収束システム(2)、走査制御システム(3)、サンプル(4)、および検知モジュール(5)を含み、検知モジュール(5)は、複数の画素化探知器ユニット(7)を含み、穴(8)が開設されており、
前記結像方法は、
A:収束システム(2)によって、荷電粒子源(1)により放出された荷電粒子線をサンプル(4)の表面に収束する工程と、
B:走査制御システム(3)によって荷電粒子線を制御してサンプル(4)を走査させる工程と、
C:荷電粒子線がサンプル(4)を透過して検知モジュール(5)に到達し、検知モジュール(5)における画素化探知器ユニット(7)は、対応する走査位置における荷電粒子の信号強度を検出し、対応する走査位置の回折パターンを取得する工程と、
D:荷電粒子線がサンプル(4)を走査する時、走査ビームスポットに対応する走査領域Rと他の走査領域Rには、非空集合Roverlapが存在し、
【数1】
であり、Nが荷電粒子線によるサンプル(4)の走査領域の総数である工程と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の結像方法。
【請求項6】
中空積層結像方法により、取得した回折パターンに対して積層結像を行う工程は、具体的には、以下の工程を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の結像方法。
a:P(r)をプローブ関数とし、O(r)を物体の複素振幅分布関数とし、複数回の反復計算によってO(r)を再構成し、最終的な反復計算で再構成するO(r)を、物体の最終的な複素振幅分布関数とし、積層結像は、物体の最終的な複素振幅分布関数に基づいて画像を再構成する
b:Ψn,mを物体を透過する出射波関数とし、Ψn,mを、プローブ関数P(r)と物体の複素振幅分布関数O(r)との乗積に定義すると、
【数2】
式(1)において、nはO(r)のn回目の反復を表し、mは荷電粒子線のサンプルでのm番目の走査位置を表し、Rは、荷電粒子線のサンプルでの、1番目の走査位置に対するm番目の走査位置の相対的座標ベクトルを表し、rは空間座標である
c:物体を透過する出射波関数Ψn,mに対してフーリエ変換を行うことにより、当該出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅および位相分布を得る
【数3】
式(2)において、
【数4】
は出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅を表し、Φn,mは出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの位相を表す
d:実験装置によってサンプルを透過する出射波のファーフィールド光強度を採集し、Iとし、Iは、荷電粒子線がサンプルにおけるm番目の走査位置を走査した後にサンプルを透過する出射波のファーフィールド光強度を表す
e:制約関数Mを設定する
f:出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅
【数5】
に代えて、
【数6】
を制約関数Mに代入し、式(3)を得る
【数7】
g:Ψn,m,new’(r)に対して逆フーリエ変換を行い、式(4)で示される新たな出射波関数Ψn,m,new(r)を得る
【数8】
h:新たな出射波関数Ψn,m,new(r)により計算し、式(5)で示される新たな物体の複素振幅分布関数を得る
【数9】
式(5)において、αおよびβは調節可能なパラメータであり、αは、分母が0ではないことを確保するために用いられ、βは、帰還の強度を制御するために用いられる
i:新たな物体の複素振幅分布関数On+1(r+R)を式(1)に代入して再度の反復計算を開始する
j:最終的な反復計算で得られる物体の複素振幅分布関数O(r+R)を画像再構成の基礎とし、On+1(r+R)の振幅および位相を描画して再構成画像を得る。
【請求項7】
前記制約関数Mは、検知モジュール(5)の構造に関連することを特徴とする請求項6に記載の結像方法。
【請求項8】
O(r)の1回目の反復において、物体の複素振幅分布関数O(r+R)をランダム分布関数にすることを特徴とする請求項7に記載の結像方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の結像装置および請求項4〜8のいずれか一項に記載の結像方法を含むことを特徴とする結像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル画像データの取得および結像技術の分野に属し、具体的には、結像装置、結像方法および結像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の透過型電子顕微鏡(CTEM)では、収束された電子線によりサンプルの表面に入射するのではなく、平行電子線によりサンプルに入射し、通常、CCDを探知器として使用し、電子のCCD全体範囲内における各画素点での信号を一括収集することができ、例えば中国特許CN105575749Aには、CCDによる結像で透過型電子回折パターンを取得する。走査型透過電子顕微鏡(STEM)構造は、所定のエネルギーにより加速した電子線を収束し、その収束点をサンプルの表面に位置させた後、電子線を制御してサンプルを走査させ、さらに探針によってサンプルを透過する電子線信号を収集し、結像を行う装置であり、STEMは、CTEMに比べて、その解像度が高く、他の付属設備を同時に取り付けることができるので、物理、化学、材料科学、生物学などの学科に広く用いられている。現代の走査型透過電子顕微鏡、例えば米国特許US4099055Aに記載されたシステムでは、電子線が収束システムにより制限されて集束し、走査システムの制御に応じてサンプルを走査し、探知器を用いて明視野又は暗視野のサンプルを通る信号を取り込み、所定の顕微鏡構造設計によって、明視野、暗視野などの使わない信号を同時に取得し、一回の走査で複数の画像を得ることができる。
【0003】
従来の商業用走査型透過電子顕微鏡の構造は、高度に統合化した複雑なシステムであり、通常、他の付属設備、例えば様々なスペクトル分析装置を多数含み、典型的には電子エネルギー損失分光があり、例えば米国特許US4743756AおよびUS8334512において、通常、各走査点のエネルギー損失が異なる電子を区別することにより、サンプルの成分、化学状態などの情報を測定する。したがって、スペクトル分析を行うことは、重要な意味がある。
【0004】
従来の商業用走査型透過電子顕微鏡の構造は、通常、一組の環状探針を用いて異なる集光角の散乱電子を検知することにより、コントラストの異なるパターンを形成するものであり、電子線は、結像に用いられない場合に、特性スペクトルの分析、例えば電子エネルギー損失分光分析などに用いられることが多い。HAADF、ADF、ABF、BFなどは、環状探針を用いる公知の技術であり、これらの方法の差異は集光角が異なることにあり、異なる集光角によって、画像は異なるコントラストを有することができ、例えば重元素には、HADDF結像が適用される。環状探針を用いて結像する方法の利点は、結像の速度が速いことであるが、特性スペクトルの分析を結像とともに行うことができず、かつ結像過程において、透過型電子顕微鏡の構造では複数種類の電子信号を同時に取得することができない。その後、分割された環状探針が出現し、例えば米国特許US2016254118A1に提案される分割探針は、環状探針を複数の領域に分割し、各領域で独立した信号を取得できることを特徴とし、DPCおよび派生したiDPC技術は、通常、当該分割された環状探針を採用し、非対称な信号でサンプル電位または電気量を測定するものである。透過型電子顕微鏡の構造で複数種類の電子信号を同時に得る効果を達成することができるが、最終的には画素化の効果を達成していないので、画素化探知器アレイではない。
【0005】
画素化した探針アレイは、画素ドットモデルの信号を採集し、当該画素化信号に対して後続の処理、例えばDPC(微分位相コントラスト)、iDPC(積分微分位相コントラスト)、HAADF(高角環状暗視野像)、ADF(環状暗視野像)、ABF(環状明視野像)、BF(明視野像)などの結像方法を行うものである。
【0006】
上記をまとめて、一回の走査で回折パターンおよびスペクトル信号を同時に取得し、かつ回折パターンを取得する過程中に画素化検知モジュールの効果を同時に達成することができることを如何に実現する、という研究は、非常に重要な意味がある。
【0007】
積層結像方法は、コヒーレンス回折の走査に基づく結像方法であり、位相回復アルゴリズムの結像手段を組み合わせて、従来の透過型走査結像方法に比べて、当該方法は、従来の対物レンズによる結像を必要とせず、位相差などの欠陥を回避することができる。かつ、可視光域、x射線、電子顕微鏡などの異なる波長条件下で、結像の品質および結像の解像度の点でいずれも明らかな優勢があることが既に確証された。積層結像は、画像取得装置を用い、目標画像を再構成するための画像を取得し、過程全体において、主に位相を再構成する。積層結像反復エンジンは、プローブ関数を移動することにより再構成画像を取得するアルゴリズムを採用する。補強型積層結像反復エンジンは、反復過程中において未知の初期プローブ関数を得ることができ、積層結像と共通の技術基礎を含む。よって、積層結像は、回折パターンの取得を基礎として行わなければならず、走査過程中の回折パターンに対して数学処理を行うことにより積層結像の結果を得る。
【0008】
以上をまとめて、従来の走査型透過電子顕微鏡では、電子収束回折パターンを取得するとともにスペクトル分析を行うことができる装置がなく、当該機能を実現する装置を研究して得ても、従来技術における積層結像方法および派生した積層結像反復エンジン方法や補強型積層結像反復エンジン方法などにとって、如何に当該装置で取得した回折パターンに対して積層結像を行うかは、やはり難題である。
【0009】
したがって、従来の積層結像方法を如何に改良してそれに様々な走査型透過電子顕微鏡装置に適応させるかは、非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の走査型透過電子顕微鏡では回折パターンおよびスペクトルデータを同時に取得することができないこと、及び従来技術における積層結像などの方法では当該装置に対して結像することができないこと、という従来技術の欠点を克服するために、本発明は、一回の走査で回折パターンおよびスペクトル信号を同時に取得することを実現し、データの取得効率を向上させる結像装置、及び、特殊な結像装置に対して積層結像することができ、結像解像度が高く、画像の品質が良い結像方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を実現するために、本発明に係る結像装置は、荷電粒子を放出するための荷電粒子源と、
荷電粒子線を制限し収束するための収束システムと、
荷電粒子線のサンプルでの走査を制御するための走査制御システムと、
サンプルと、
荷電粒子を取り込み、荷電粒子の信号強度を検出するための検知モジュールと、
検知モジュールの下方に配置され、荷電粒子の分光学特徴を分析するためのスペクトル分析モジュールと、を含み、
前記検知モジュールは、複数の画素化探知器ユニットを含み、当該検知モジュールには、穴が開設されている。
【0012】
当該結像装置の結像過程において、まず、荷電粒子源により荷電粒子線を放出し、荷電粒子線は収束システムに進入して収束され、収束後の荷電粒子線はサンプル上を走査し、走査制御システムにより荷電粒子線を制御してサンプルを走査させ、サンプルの所定領域が照射されて走査され、走査過程において、各走査点での荷電粒子線の全部又は一部は、サンプルを透過し、サンプルを透過した荷電粒子線は検知モジュールに進入し、荷電粒子線の一部が検知モジュールにより取り込まれ、荷電粒子線の他の一部が検知モジュールの穴を通ってスペクトル分析モジュールに進入し、検知モジュールにより取り込まれた荷電粒子線は、検知モジュールにより検出されることができ、サンプルの走査範囲における複数の空間位置での信号強度を一括して与え、スペクトル分析モジュールに進入した荷電粒子線は、スペクトル分析モジュールでスペクトルデータ又はエネルギー損失分光などを取得する。穴が開設された検知モジュールを用いて回折パターンを取得し、穴を通る荷電粒子線を用いてスペクトル分析を行い、一回の走査で回折(散乱)パターンおよびスペクトル信号を同時に取得し、データの取得効率を高めることができる。
【0013】
さらには、前記穴は、円形状、方形状又は環形状を含むが、これらに限定されない。
【0014】
さらには、前記検知モジュールは、方形状、円形状および島状を含むが、これらに限定されない。
【0015】
本発明に係る結像方法は、
回折パターンを取得する工程と、
中空積層結像方法により、取得した回折パターンに対して積層結像を行う工程と、を含む。まず、穴が設けられた結像装置により回折パターンを取得し、そして中空積層結像方法を利用して当該回折パターンを処理して積層結像を得る。
【0016】
さらには、前記回折パターンを取得する工程は、結像装置に基づくものであり、前記結像装置は、荷電粒子源、収束システム、走査制御システム、サンプルおよび検知モジュールを含み、検知モジュールは複数の画素化探知器ユニットを含み、当該検知モジュールには、穴が開設されている。
【0017】
当該方法は、以下の工程を含む。
【0018】
A:収束システムによって、荷電粒子源により放出された荷電粒子線をサンプルに収束する。
【0019】
B:走査制御システムによって荷電粒子線を制御してサンプルを走査させる。
【0020】
C:荷電粒子線がサンプルを透過して検知モジュールに到達し、検知モジュールにおける画素化探知器ユニットは、対応する走査位置における荷電粒子の信号強度を検出し、対応する走査位置の回折パターンを取得する。
【0021】
D:荷電粒子線がサンプル(4)を走査し、荷電粒子線プローブの走査位置の間に、一部の重合が存在する。
【0022】
走査ビームスポットに対応する走査領域Rと他の走査領域Rには、非空集合Roverlapが存在し、
【数1】
であり、Nは荷電粒子線によるサンプルの走査領域での総数である。即ち、回折パターンを生成する走査領域のそれぞれが回折パターンを生成する1つ又は複数の他の走査領域と重なることが求められ、最後に得られる回折パターンに欠損がないことをさらに確保する。
【0023】
さらには、中空積層結像方法により、取得した回折パターンに対して積層結像を行う工程は、具体的には、以下の工程を含む。
【0024】
a:P(r)をプローブ関数とし、O(r)を物体の複素振幅分布関数とし、複数回の反復計算によってO(r)を再構成し、最終的な反復計算で再構成するO(r)を、物体の最終的な複素振幅分布関数とし、積層結像は、物体の最終的な複素振幅分布関数に基づいて画像を再構成する。
【0025】
b:Ψn,mを物体を透過する出射波関数とし、Ψn,mを、プローブ関数P(r)と物体の複素振幅分布関数O(r)との乗積に定義すると、
【数2】
【0026】
式(1)において、nはO(r)のn回目の反復を表し、mは荷電粒子線のサンプルでのm番目の走査位置を表し、Rは、荷電粒子線のサンプルでの、1番目の走査位置に対するm番目の走査位置の相対的座標ベクトルを表し、rは空間座標である。
【0027】
c:物体を透過する出射波関数Ψn,mに対してフーリエ変換を行うことにより、当該出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅および位相分布を得る。
【数3】
【0028】
式(2)において、
【数4】
は出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅を表し、Φn,mは出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの位相を表す。
【0029】
d:実験装置によってサンプルを透過する出射波のファーフィールド光強度を採集し、Iとし、Iは、荷電粒子線がサンプルにおけるm番目の走査位置を走査した後にサンプルを透過する出射波のファーフィールド光強度を表す。
【0030】
e:制約関数Mを設定する。
【0031】
f:出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅
【数5】
に代えて、
【数6】
を制約関数Mに代入し、式(3)を得る。
【数7】
【0032】
g:Ψn,m,new’(r)に対して逆フーリエ変換を行い、式(4)で示される新たな出射波関数Ψn,m,new(r)を得る。
【数8】
【0033】
h:新たな出射波関数Ψn,m,new(r)により計算し、式(5)で示される新たな物体の複素振幅分布関数を得る。
【数9】
【0034】
式(5)において、αおよびβは調節可能なパラメータであり、αは、分母が0ではないことを確保するために用いられ、βは、帰還の強度を制御するために用いられる。
【0035】
i:新たな物体の複素振幅分布関数On+1(r+R)を式(1)に代入して再度の反復計算を開始する。
【0036】
j:最終的な反復計算で得られる物体の複素振幅分布関数O(r+R)を画像再構成の基礎とし、再構成画像はOn+1(r+R)の振幅および位相に対して描画して得られるものである。
【0037】
式(1)〜式(5)により計算して新たな物体の複素振幅分布関数が得られた後、新たな物体の複素振幅分布関数On+1(r+R)を採用して改めて式(1)に代入して再度の反復計算を開始し、最終的な反復計算で得られた物体の複素振幅分布関数O(r+R)を画像再構成の基礎とし、On+1(r+R)の振幅および位相を描画して再構成画像を得る。
【0038】
さらには、前記制約関数Mは、検知モジュールの構造に関連する。離散化の条件で、マトリクスで当該制約関数Mを表し、当該マトリクスにおいて、各要素値は従属変数に対応し、従属変数の関数値は1又は0であり(1又は0に限定されない)、独立変数は、対応する二次元位置座標である。
【0039】
さらには、O(r)の1回目の反復において、物体の複素振幅分布関数O(r+R)をランダム分布関数にする。
【0040】
本発明に係る結像システムは、結像装置および結像方法を含む。
【発明の効果】
【0041】
本発明は従来技術に比べて、以下の利点を有する。
【0042】
本発明に係る結像装置は、穴が開設された検知モジュールおよびスペクトル分析モジュールを含み、穴が開設された検知モジュールにより回折パターンを取得し、スペクトル分析モジュールは、穴を通った荷電粒子線に対してスペクトル分析を行い、一回の走査で回折パターンおよびスペクトル信号を同時に取得することを実現する。
【0043】
本発明に係る結像装置では、検知モジュールは複数の画素化探知器ユニットを配列して組み合わせたものであり、画素化探知器ユニットは、特定の位置での荷電粒子の信号強度を取得することができ、さらに回折パターンを取得し、取得した回折パターンの精度が高い。
【0044】
本発明に係る結像方法は、中空積層結像方法に基づいたものであり、穴が開設された検知モジュールで得られた回折パターンを結像させることを実現でき、結像の効果が良い。
【0045】
本発明に係る結像方法は、穴が開設された結像装置に適用し、穴が開設された検知モジュールの穴開け形状は円形状、方形状、環形状などに限定されるものではなく、結像効果は、従来の結像方法を適用した従来の結像装置により得られる結像に比べて、画像解像度が高く、画像の品質が高い。
【0046】
本発明に係る結像方法は、穴が開設された結像装置に適用し、M関数を採用して当該穴が開設された検知モジュールに対応させ、全ての構造および形状の検知モジュールで得られる回折パターンを結像させることができる。
【0047】
本発明は、最終的な結像結果として位相コントラスト結像を採用し、位相コントラストは、軽元素結像の分野においてより優勢を有し、結像の効果がより良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に係る結像装置の構造模式図である。
図2】本発明に係る検知モジュールの構造模式図である。
図3】本発明に係る結像方法−中空積層結像アルゴリズムの工程のフローチャットである。
図4】実験の原始写真の情報である。
図5】実験の原始写真における再構成に用いられる領域の情報である。
図6】実施例9における初期関数P(r)の振幅画像である。
図7】実施例9における初期関数P(r)の位相画像である。
図8】実施例9におけるM関数画像である。
図9】実施例9における再構成画像の振幅画像である。
図10】実施例9における再構成画像の位相画像である。
図11】実施例10における再構成画像の振幅画像である。
図12】実施例10における再構成画像の位相画像である。
図13】実施例11におけるM関数画像である。
図14】実施例11における再構成画像の振幅画像である。
図15】実施例11における再構成画像の位相画像である。
図16】実施例12におけるM関数画像である。
図17】実施例12における再構成画像の振幅画像である。
図18】実施例12における再構成画像の位相画像である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、図面および実施例を組み合わせて本発明をさらに説明する。
【0050】
実施例1:
本実施例に係る結像装置は、図1を参照し、荷電粒子源1、収束システム2、走査制御システム3、サンプル4、検知モジュール5および検知モジュール5の下方に配置されているスペクトル分析モジュール6を含む。
【0051】
荷電粒子源1は、荷電粒子を放出するために用いられる。収束システム2は、荷電粒子線を制限し収束するために用いられる。走査制御システム3は、荷電粒子線のサンプルでの走査を制御するために用いられ、走査方式として、荷電粒子線を移動させてもよいし、サンプルを移動させてもよいが、これらに限定されていない。検知モジュール5は、荷電粒子を取り込んで荷電粒子の信号強度を検出するために用いられる。検知モジュール5の下方に配置されているスペクトル分析モジュール6は、荷電粒子の分光学特徴を分析するために用いられる。図2を参照し、本実施例における検知モジュール5は、複数の画素化探知器ユニット7を含み、検知モジュール5は複数の画素化探知器ユニット7を配列して組み合わせてなるものであり、複数の画素化探知器ユニット7の配列方式は、方形状、円形状又は島状分布を含むがこれらに限定されるものではなく、各画素化探知器ユニット7は、いずれも特定の空間位置での荷電粒子の信号強度を与えることができる。検知モジュール5には、穴8が開設され、穴8は、検知モジュール5に到達した荷電粒子線を透過させて下方のスペクトル分析モジュール6に進入させるために用いられ、荷電粒子線が検知モジュール5に照射する時、荷電粒子線の一部が穴8の位置を通過し、下方のスペクトル分析モジュール6に到達することを確保しなければならない。
【0052】
当該結像装置の結像過程において、まず、荷電粒子源1により荷電粒子線を放出し、荷電粒子線は収束システム2に進入して収束され、収束後の荷電粒子線はサンプル4を走査し、走査制御システム3により荷電粒子線を制御してサンプル4を走査させ、サンプル4の所定領域が照射されて走査され、走査過程において、各走査点での荷電粒子線の全部又は一部は、サンプル4を透過し、サンプル4を透過した荷電粒子線は検知モジュール5に進入し、荷電粒子線の一部が検知モジュール5により取り込まれ、荷電粒子線の他の一部が検知モジュール5の穴8を通ってスペクトル分析モジュール6に進入し、検知モジュール5により取り込まれた荷電粒子線は、検知モジュールにより検出されることができ、サンプルの走査範囲における複数の空間位置での信号強度を一括して与え、スペクトル分析モジュール6に進入した荷電粒子線は、スペクトル分析モジュールでスペクトルデータ又はエネルギー損失分光などを取得する。
【0053】
本実施例に係る装置は、穴が開設された検知モジュールを用いて回折パターンを取得し、穴を透過した荷電粒子線を用いてスペクトル分析を行い、一回の走査で回折(散乱)パターンおよびスペクトル信号を同時に取得し、データの取得効率を高めることができる。
【0054】
実施例2:
本実施例に係る結像装置は、実施例1に基づき、図2を参照し、穴8は、円形状、方形状又は環形状を含むがこれらに限定されていない。収束システム2および走査制御システム3は、荷電粒子線がサンプルを照射する領域の範囲、領域範囲の大きさおよび相対位置を正確に確認することができ、荷電粒子線がサンプルを走査する度に、検知モジュール5で得られた回折パターンおよびスペクトル分析モジュール6で得られたスペクトルデータは、荷電粒子線がサンプルのどの位置および領域を透過して生じるものであるかを特定することができ、荷電粒子線の照射範囲をRに定義し(原点に対する照射領域における全ての点の座標の集合)、得られる回折パターンをDに定義し(Dは各探知器ユニットで得られる信号の大きさ(光強度)の集合である)、得られた分光学データをSに定義し(スペクトル分析モジュール6によって取得される)、結像装置は、走査過程において、走査するごとに(R、D、S)のデータ情報を同時に取得する。
【0055】
実施例3:
本実施例に係る結像方法は、回折パターンを取得する方法および中空積層結像方法により取得した回折パターンに対して積層結像を行う方法を含む。
【0056】
そのうち、回折パターンを取得する方法は、結像装置に基づくものであり、当該結像装置は、図1および図2を参照し、荷電粒子源1、収束システム2、走査制御システム3、サンプル4および検知モジュール5を含み、検知モジュール5は、複数の画素化探知器ユニット7を含んで構成され、当該検知モジュール5には、穴8が開設されている。そのうち、荷電粒子源1は、荷電粒子を放出するために用いられる。収束システム2は、荷電粒子線を制限し収束するために用いられる。走査制御システム3は、荷電粒子線のサンプルでの走査を制御するために用いられ、走査方式は、荷電粒子線を移動させる方式やサンプルを移動させる方式を含むがこれらに限定されていない。検知モジュール5は、荷電粒子を取り込んで荷電粒子の信号強度を検出するために用いられる。本実施例における検知モジュール5は、複数の画素化探知器ユニット7を含み、検知モジュール5は複数の画素化探知器ユニット7を配列して組み合わせてなるものであり、配列方式は、方形状、円形状又は島状分布を含むがこれらに限定されるものではなく、各画素化探知器ユニット7は、いずれも特定の空間位置での荷電粒子の信号強度を与えることができる。
【0057】
当該方法は次の工程を含む。収束システム2によって、荷電粒子源1により放出された荷電粒子線をサンプル4に収束する。走査制御システム3によって荷電粒子線を制御してサンプル4を走査させる。荷電粒子線は、サンプル4を透過して検知モジュール5に到達し、検知モジュール5における画素化探知器ユニット7は、対応する走査位置における荷電粒子の信号強度を検出し、穴8が開設された検知モジュール5は、対応する走査位置の回折パターンを取得する。走査制御システム3によって荷電粒子線を制御してサンプル4を走査させる。収束システム2および走査制御システム3は、荷電粒子線がサンプルに照射する領域の範囲、領域範囲の大きさおよび相対位置を正確に確認することができ、荷電粒子線がサンプルを走査する度に、検知モジュール5で得られる回折パターンは、荷電粒子線がサンプルのどの位置および領域を透過して生じるものであるかを特定することができ、荷電粒子線の照射範囲をRに定義し(原点に対する照射領域における全ての点の座標の集合)、得られる回折パターンをDに定義し(Dは各探知器ユニットで得られる信号の大きさ(光強度)の集合である)、結像装置は、走査過程において、走査するごとに(R、D)のデータ情報を同時に取得する。回折パターンは、検知モジュール5における探知器ユニットで得られた荷電粒子の強度に基づく。
【0058】
荷電粒子線がサンプル4を走査して一組のサンプルの回折パターン情報を取得し、当該情報は、走査位置情報および回折パターン情報、例えば{(R、D)、(R、D)...(R、D)}を含み、荷電粒子線によるサンプル4での走査領域Rと他の1つ又は複数の走査領域Rには非空集合Roverlapが存在し、
【数10】
であり、Nは荷電粒子線がサンプル(4)を走査する走査領域の総数であり、即ち、回折パターンを生成する走査領域のそれぞれは、回折パターンを生成する1つ又は複数の他の走査領域と重なることが求められる。
【0059】
実施例4:
本実施例に係る結像方法は、実施例3に基づき、中空積層結像アルゴリズム(Hollow−PtyChogrAphy)に基づいて検知モジュール5で得られた回折パターンを処理して画像を取得するために用いられ、当該結像方法は、荷電粒子の回折パターンによって位相コントラストのサンプル画像を取得することができ、回折パターンの初期データおよび出射波の初期の推測の反復過程に基づき、出射波の振幅および位相情報を再構成し、
再構成する位相、振幅と結像との関係は以下のとおりである。
【0060】
再構成の最終的な結果は、O(r)関数であり、その独立変数は位置座標であり、値は、荷電粒子線が特定の位置座標でサンプルを透過する振幅および位相の変化量であると理解することができ、荷電粒子線の振幅および位相の変化量の相対値を異なるグレースケール値に換算することが約束され、その空間座標が異なる場合に振幅および位相変化の大きさが異なることによりグレースケール画像を取得することを、画像の再構成と理解してもよい。O(r)における振幅変化の大きさによる結像は幅コントラスト像と呼ばれ、位相変化の大きさによる結像は位相コントラスト像と呼ばれる。
【0061】
当該方法は図3を参照し、以下の工程を含む。
【0062】
P(r)をプローブ関数(Probefunction)とし、プローブ関数は、荷電粒子線がサンプルに到達する前の入射波関数であり、rは空間座標である。
【0063】
O(r)を物体の複素振幅分布関数とし、物体の複素振幅分布関数は、物体の構造および特性を十分に反映することができ、その値は、サンプルの特徴位置の、通過した荷電粒子線への作用(振幅および位相の変化として具現される)を表し、O(r)は目標関数であり、複素関数であり、本実施例の方法は、複数回の反復計算によりO(r)を再構成し、最後の反復計算によるO(r)を物体の複素振幅分布関数とし、rは空間座標であり、O(r)は、n回目の反復における目標関数を表し、反復過程の全体において、O(r)の値もそれに伴って変化し、最終的な再構成画像は、O(r)の振幅および位相を描画して得られるものである。
【0064】
Ψn,mを物体を透過する出射波関数とし、物体を透過する出射波関数Ψn,mをプローブ関数P(r)と物体の複素振幅分布関数O(r)との乗積に定義すると、
【数11】
【0065】
式(1)において、nはO(r)のn回目の反復を表し、mは荷電粒子線のサンプルでのm番目の走査位置を表し、Rは、荷電粒子線のサンプルでの、1番目の走査位置に対するm番目の走査位置の相対的座標ベクトルを表す。
【0066】
物体を透過する出射波関数Ψn,mに対してフーリエ変換を行うことにより、当該出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅および位相分布を得る。
【数12】
【0067】
式(2)において、
【数13】
は、n回目の反復における出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅を表し、Φn,mは、n回目の反復における出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの位相を表し、iは虚数単位である。
【0068】
出射波関数は、通常、複数形式で表し、荷電粒子線の性質を波関数で説明することができ、実部および虚部を含み、波関数の位相および振幅で表すと、
【数14】
は、空間におけるある位置(r)での荷電粒子線の強度に対応し、実際に測定することができ、実験装置により荷電粒子線のサンプル上のm番目の走査位置でのファーフィールド光強度を採集し、Iとする。
【0069】
制約関数Mを設定し、関数Mは、上記結像システムにおける検知モジュールの形状に関連し、制約関数Mは実数関数であり、回折パターン(D)の空間の大きさと同様に、空間座標の関数であり、その値は、回折パターン(D)における異なる空間座標の信号の反復過程での重みを制御し、実験中に具現すると、M関数の値は、検知モジュールの具体的な構造および形状に関連する。
【0070】
出射波関数Ψn,mのファーフィールドでの振幅
【数15】
に代えて、
【数16】
を制約関数Mに代入し、式(3)を得る。
【数17】
【0071】
Ψn,m,new’(r)に対して逆フーリエ変換を行い、式(4)で示される新たな出射波関数Ψn,m,new(r)を得る。
【数18】
【0072】
新たな出射波関数Ψn,m,new(r)により計算し、式(5)で示される新たな物体の複素振幅分布関数を得る。
【数19】
【0073】
式(5)において、αおよびβは調節可能なパラメータであり、αは、分母が0ではないことを確保するために用いられ、βは、帰還の強度を制御するために用いられる。
【0074】
式(1)〜式(5)により計算して新たな物体の複素振幅分布関数を得ると、新たな物体の複素振幅分布関数On+1(r+R)を改めて式(1)に代入して再度の反復計算を開始し、最終的な反復計算で得られた物体の複素振幅分布関数O(r+R)を画像再構成の基礎とし、On+1(r+R)の振幅および位相を描画して再構成画像を得る。
【0075】
実施例5:
本実施例に係る結像方法は、実施例4に基づき、制約関数Mは検知モジュール5の構造に関連する。
【0076】
離散化の条件下で、マトリクス関数で当該制約関数Mを表し、当該マトリクス関数における各要素値は従属変数に対応し、従属変数の関数値は1又は0であり、独立変数は対応する二次元位置座標である。
【0077】
また、シミュレーションプログラムの計算において、直接にマトリクス関数で当該制約関数Mを表し、マトリクス関数は検知モジュール5の構造に関連し、マトリクス関数の位置座標は検知モジュール5の位置座標に対応し、マトリクス関数における従属変数の関数値が1である位置座標は、検知モジュール5における穴8の位置座標に対応する。
【0078】
シミュレーションプログラムにおいて、マトリクス関数を1つの画像に対応させ、マトリクス関数における従属変数の関数値が1である位置座標を、画像中において全て白色で表示し、マトリクス関数における従属変数の関数値が0である位置座標を、画像中において全て黒色で表示すると、マトリクス関数Mに対応する画像中において、白色で表示する領域は検知モジュール5における穴の位置に対応する。
【0079】
実施例6:
本実施例に係る結像方法は、実施例5に基づき、O(r)の1回目の反復において、物体の初期複素振幅分布関数O(r+R)はランダムに分布する。物体の初期複素振幅分布関数O(r+R)とプローブ関数P(r)との乗積を、物体を透過する出射波関数Ψn,mとすると、
【数20】
である。
【0080】
実施例7:
本実施例に係る結像方法は、実施例5に基づき、O(r)の1回目の反復において、物体の初期複素振幅分布関数O(r+R)は、他の先験的条件がある場合、他の方式によって、サンプルの低解像度画像を取得することができ、この低解像度画像を基礎として高解像度画像を取得することが望まれ、このとき、低解像度画像をO(r)の初期複素振幅分布関数O(r+R)として直接使用する。
【0081】
実施例8:
本実施例に係る結像方法は、実施例5に基づき、荷電粒子線はサンプルに収束され、サンプル走査を行った後、大部分の荷電粒子線は検知モジュールに到達するが、やはり検知モジュールの穴8を通る荷電粒子線が存在し、検知モジュールの穴8を貫通した荷電粒子線の信号強度が検知モジュールにより検知されないので、対応する回折パターンが欠損してしまう。補償として、検知モジュール5に開設される穴8の弧度、即ち回折パターンを取得する集光角の範囲は5mrad〜22mradであり、この場合に、荷電粒子線はサンプルを絶えず走査し、各走査領域は、いずれも他の複数の領域と重なり、次の走査位置で欠損した回折パターンを改めて取得する。結像の品質を低下させることなく、穴が開設された検知モジュールにより完全な再構成結果を得るためには、穴8の中央が十分に小さく、エッジが十分に大きいという条件を満たさなければならない。
【0082】
実施例9:
本実施例に係る結像方法は、実施例8に基づき、図4を、検知モジュール5で取得した回折パターンとしてアルゴリズムの実行可能性を検証し、当該回折パターンには、元の位相情報および振幅情報を含み、写真解像度は256*256であり、中空積層結像方法によりその一部の領域(図5を参照)を再構成し、再構成領域における走査点の数は8100個(90*90)であり、その回折パターンの集光角は22mradである。
【0083】
コンピュータにより模擬される探知器が各走査点で得られた回折パターン解像度は512*512であり、調節可能なパラメータαおよびβは、反復回数に対する目標関数の変化幅を制御し、自由に設定可能なパラメータであり、典型値は0.1〜0.01であり、当該実施例において、パラメータはα=0.01、β=0.01である。
【0084】
P(r)関数は、平面での位置を変数とする二次元複素関数であり、その形式は唯一ではなく、積層結像アルゴリズムにおいて、P(r)関数は反復において変化せず、当該実施例は、P(r)が変化しない条件下でコンピュータで模擬するものである。当該実施例で用いるP(r)関数画像は図6および図7に示すように、図6はP(r)関数の振幅画像であり、図7はP(r)関数の位相画像である。
【0085】
実際の実験において、M関数は検知モジュールの構造および形状により決められ、コンピュータで模擬する方式により、異なるM関数を用いて再構成を行うことができ、M関数は二次元(平面)実関数であり、通常、その平面での大きさ(画素解像度)は、実際の検知モジュールの物理的(画素)解像度と同じであり、この実施例において、M関数の画素解像度は512*512であり、当該実施例中におけるM関数の特徴は、中央半径91個の画素の円形領域内の値が1であり、白色で示し、他の領域の値が0であり、黒色で示し、対応する検知モジュールに開設される穴が円形であり、回折パターンを取得する集光角が22mradであり、即ち荷電粒子線の光軸に沿う発散角が22mradの領域の値が1であり、他の領域が0であり、所用のM関数(マトリクス関数)に対応する画像を図8に示す。
【0086】
当該実施例において、反復を実行する循環数は10回の循環である。コンピュータにより模擬してシミュレートして得られた最終的な再構成画像の振幅画像を図9に示し、再構成の位相画像を図10に示す。
【0087】
実施例10:
本実施例は実施例9に基づき、反復循環を実行する回数は50回の循環である以外、他のパラメータ条件はいずれも実施例9に一致し、実験して画像を再構成するために用いられ、再構成画像の結果は図11図12に示すように、図11は再構成画像の振幅画像であり、図12は再構成した位相画像である。
【0088】
実施例11:
本実施例は実施例9に基づき、反復循環を実行する回数は50回の循環であり、M関数の特徴は、中央の内半径20画素、外半径90画素の領域の値が1であり、白色で示し、他の領域の値が0であり、黒色で示し、図13を参照し、対応する検知モジュールに開設された穴は環状孔であり、円環部分は、発散角が5mrad〜22mradであることに相当する。
【0089】
他のパラメータ条件はいずれも実施例6に一致し、実験して画像を再構成するために用いられ、再構成画像の結果は図14図15に示すように、図14は再構成画像の振幅画像であり、図15は再構成した位相画像である。
【0090】
実施例12:
本実施例は実施例9に基づき、反復循環を実行する回数は50回の循環であり、M関数の特徴は、中央辺長が100pixelの正方形領域が1であり、白色で示し、他の領域が0であり、黒色で示し、図16を参照し、対応する検知モジュールに開設された穴が方形孔である。他のパラメータ条件はいずれも実施例6に一致し、実験して画像を再構成するために用いられ、再構成画像の結果は図17図18に示すように、図17は再構成画像の振幅画像であり、図18は再構成した位相画像である。
【0091】
実施例13:
結像装置および結像方法を含む結像システムであり、結像方法は中空積層結像アルゴリズムを採用し、結像装置は穴が設けられた結像装置を採用し、まず、穴が設けられた結像装置で回折パターンを取得し、さらに中空積層結像方法を利用して当該回折パターンを処理して積層結像を取得する。
【0092】
以上の記述は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本分野の技術者にとって、本発明の原理を逸脱しない前提で、いくつかの改良および修飾を行うことができ、これらの改良および修飾も本発明の保護範囲と見なすべきであることを注意されたい。
【符号の説明】
【0093】
1:荷電粒子源
2:収束システム
3:走査制御システム
4:サンプル
5:検知モジュール
6:スペクトル分析モジュール
7:画素化探知器ユニット
8:穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】