(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
第1のメタロセン触媒が、少なくとも50%のラセミ化合物、好ましくは少なくとも90%のラセミ化合物、より好ましくは少なくとも97%のラセミ化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒系。
第2のメタロセン触媒が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルまたはそれらの組合せを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の触媒系。
第2のメタロセン触媒が、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、meso−(1エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−(1エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、またはそれらの組合せを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の触媒系。
少なくとも1種の活性化剤が、アルモキサン、アルミニウムアルキル、イオン化活性化剤、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の触媒系。
少なくとも1種の活性化剤が、メチルアルモキサン(MAO)、修飾メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、アルキルアルモキサン、修飾アルキルアルモキサン、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の触媒系。
少なくとも1種の担体が存在し、かつタルク、粘土、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、ボリア、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、トリア、リン酸アルミニウムゲル、ポリ塩化ビニル、置換ポリスチレン、官能化もしくは架橋有機担体、ポリスチレンジビニルベンゼン、グラファイト、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の触媒系。
ポリエチレンポリマーを製造するための重合方法であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の触媒系を、ポリエチレンポリマーを製造するための重合可能な条件下で、エチレンおよび任意に1種または複数のC3−C10アルファ−オレフィンコモノマーと接触させるステップを含む、方法。
不活性縮合剤が、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、ネオペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、またはそれらの混合物を含む、請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明の化合物、成分、組成物、および/または方法を開示し、記載する前に、本発明は、別段指定されない限り、特定の化合物、成分、組成物、反応物、反応条件、リガンド、メタロセン構造、触媒構造等に限定されず、したがって別段の指定がない限りそれらは変わり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを目的とし、制限することを企図されないことも理解されたい。
【0016】
いくつかのクラスの本発明の実施形態では、本開示は、ポリエチレンポリマーおよびポリプロピレンポリマーなどのポリオレフィンポリマーを製造するための重合方法における触媒系およびそれらの使用を対象とする。別のクラスの実施形態では、本開示は、1種または複数のオレフィン重合触媒、少なくとも1種の活性化剤、および少なくとも1種の担体の組合せの生成物を含む触媒系からポリオレフィンポリマーを製造するための重合方法を対象とする。
特に、本開示は、ポリエチレンポリマーを製造するための重合方法であって、1種または複数のメタロセン触媒、少なくとも1種の活性化剤、および少なくとも1種の担体の組合せの生成物を含む触媒系を、重合可能な条件下で、エチレンおよび1種または複数のC
3−C
10アルファ−オレフィンコモノマーと接触させるステップを含む、方法を対象とする。
【0017】
定義
本発明およびその特許請求の範囲の目的では、周期表族の番号付けスキームは、元素のIUPAC周期表の新しい表示法に従う。
本明細書で使用される場合、「オレフィン重合触媒」は、配位重合付加することができる任意の触媒、典型的に有機金属錯体または化合物を指し、ここで連続モノマーは、モノマー鎖の有機金属活性中心で付加される。
用語「置換基」、「ラジカル」、「基」および「部分」は、交換可能に使用することができる。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「C
n」は、分子1個当たりn個の炭素原子(nは正の整数である)を有する炭化水素を意味する。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「炭化水素」は、炭素に結合した水素を含有する、あるクラスの化合物を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物、および(iii)異なるn値を有する炭化水素化合物の混合物を含む、炭化水素化合物(飽和および/または不飽和)の混合物を包含する。
【0018】
用語「ヒドロカルビルラジカル」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、「アルキルラジカル」および「アルキル」は、この文書を通して交換可能に使用される。同様に、用語「基」、「ラジカル」および「置換基」も、この文書を通して交換可能に使用される。本開示の目的では、「ヒドロカルビルラジカル」は、直鎖、分岐、または環式であり得るC
1−C
100ラジカルであると定義され、環式の場合には芳香族または非芳香族であり得る。このようなラジカルの例として、それに限定されるものではないが、それらの置換類似体を含む、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシル、オクチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等が挙げられる。置換ヒドロカルビルラジカルは、ヒドロカルビルラジカルの少なくとも1つの水素原子が、少なくとも1つのヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基、例えばハロゲン(例えばBr、Cl、FまたはI)またはNR
*2、OR
*、SeR
*、TeR
*、PR
*2、AsR
*2、SbR
*2、SR
*、BR
*2、SiR
*3、GeR
*3、SnR
*3、PbR
*3などの少なくとも1つの官能基で置換されている、あるいは少なくとも1つのヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されている、ラジカルである。
【0019】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子(すなわち、C
1−C
12アルキル)、特に1〜8個の炭素原子(すなわち、C
1−C
8アルキル)、特に1〜6個の炭素原子(すなわち、C
1−C
6アルキル)、特に1〜4個の炭素原子(すなわち、C
1−C
4アルキル)を有する飽和炭化水素ラジカルを指す。アルキル基の例として、それに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル等が挙げられる。アルキル基は、直鎖、分岐または環式であり得る。「アルキル」は、アルキル基のすべての構造異性体形態を包含することが企図される。例えば、本明細書で使用される場合、プロピルは、n−プロピルおよびイソプロピルの両方を包含し、ブチルは、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル等を包含する。本明細書で使用される場合、「C
1アルキル」は、メチル(−CH
3)を指し、「C
2アルキル」は、エチル(−CH
2CH
3)を指し、「C
3アルキル」は、プロピル(−CH
2CH
2CH
3)を指し、「C
4アルキル」は、ブチル(例えば、−CH
2CH
2CH
2CH
3、−(CH
3)CHCH
2CH
3、−CH
2CH(CH
3)
2等)を指す。さらに、本明細書で使用される場合、「Me」は、メチルを指し、「Et」は、エチルを指し、「i−Pr」は、イソプロピルを指し、「t−Bu」は、tert−ブチルを指し、「Np」は、ネオペンチルを指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルキレン」は、長さが1〜12個の炭素原子を含有する二価のアルキル部分(すなわち、C
1−C
12アルキレン)を指し、アルキレン部分が、アルキル単位の両端にある分子の残りに結合していることを意味する。例えば、アルキレンには、それに限定されるものではないが、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−等が含まれる。アルキレン基は、直鎖または分岐であり得る。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルケニル」は、2〜12個の炭素原子(すなわち、C
2−C
12アルケニル)、特に2〜8個の炭素原子(すなわち、C
2−C
8アルケニル)、特に2〜6個の炭素原子(すなわち、C
2−C
6アルケニル)を有し、1つまたは複数(例えば、2つ、3つ等)の炭素−炭素二重結合を有する、不飽和炭化水素ラジカルを指す。アルケニル基は、直鎖、分岐または環式であり得る。アルケニルの例として、それに限定されるものではないが、エテニル(ビニル)、2−プロペニル、3−プロペニル、1,4−ペンタジエニル、1,4−ブタジエニル、1−ブテニル、2−ブテニルおよび3−ブテニルが含まれる。「アルケニル」は、アルケニルのすべての構造異性体形態を包含することが企図される。例えば、ブテニルは、1,4−ブタジエニル、1−ブテニル、2−ブテニルおよび3−ブテニル等を包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルケニレン」は、長さが2〜12個の炭素原子を含有する二価のアルケニル部分(すなわち、C
2−C
12アルケニレン)を指し、アルキレン部分が、アルキル単位の両端にある分子の残りに結合していることを意味する。例えば、アルケニレンには、それに限定されるものではないが、−CH=CH−、−CH=CHCH
2−、−CH=CH=CH−、−CH
2CH
2CH=CHCH
2−等が含まれる。アルケニレン基は、直鎖または分岐であり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルキニル」は、2〜12個の炭素原子(すなわち、C
2−C
12アルキニル)、特に2〜8個の炭素原子(すなわち、C
2−C
8アルキニル)、特に2〜6個の炭素原子(すなわち、C
2−C
6アルキニル)を有し、1つまたは複数(例えば、2つ、3つ等)の炭素−炭素三重結合を有する、不飽和炭化水素ラジカルを指す。アルキニル基は、直鎖、分岐または環式であり得る。アルキニルの例として、それに限定されるものではないが、エチニル、1−プロピニル、2−ブチニル、および1,3−ブタジイニルが挙げられる。「アルキニル」は、アルキニルのすべての構造異性体形態を包含することが企図される。例えば、ブチニルは、2−ブチニル、および1,3−ブタジイニルを包含し、プロピニルは、1−プロピニルおよび2−プロピニル(プロパルギル)を包含する。
【0023】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルキニレン」は、長さが2〜12個の炭素原子を含有する二価のアルキニル部分(すなわち、C
2−C
12アルキニレン(alkenylene))を指し、アルキレン部分が、アルキル単位の両端にある分子の残りに結合していることを意味する。例えば、アルキニレン(alkenylene)には、それに限定されるものではないが、−C≡C−、−C≡CCH
2−、−C≡CCH
2C≡C−、−CH
2CH
2C≡CCH
2−が含まれる。アルキニレン基は、直鎖または分岐であり得る。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「アルコキシ」は、1〜約10個の炭素原子を含有する−−O−−アルキルを指す。アルコキシは、直鎖または分岐鎖であり得る。非限定的な例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、およびヘキソオキシが挙げられる。「C
1アルコキシ」は、メトキシを指し、「C
2アルコキシ」は、エトキシを指し、「C
3アルコキシ」は、プロポキシを指し、「C
4アルコキシ」は、ブトキシを指す。さらに、本明細書で使用される場合、「OMe」は、メトキシを指し、「OEt」は、エトキシを指す。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「芳香族」は、非局在化コンジュゲートπ系を有し、5〜20個の炭素原子(芳香族C
5−C
20炭化水素)、特に5〜12個の炭素原子(芳香族C
5−C
12炭化水素)、特に5〜10個の炭素原子(芳香族C
5−C
12炭化水素)を有する、不飽和環式炭化水素を指す。例示的な芳香族として、それに限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、アセナフタレン(acenaphthalene)、アントラセン、フェナントレン、テトラフェン、ナフタセン、ベンズアントラセン、フルオラントレン(fluoranthrene)、ピレン、クリセン、トリフェニレン等、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0024】
別段指定されない限り、アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアリール基という名称の異性体が存在する場合(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチル)、その基の一員(例えば、n−ブチル)への言及は、そのファミリーの残りの異性体(例えば、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチル)を明確に開示しているものとする。同様に、特定の異性体(例えば、ブチル)を特定しない、アルキル、アルケニル、アルコキシド、またはアリール基への言及は、すべての異性体(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチル)を明確に開示している。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシ」は、−OH基を指す。
本明細書で使用される場合、「酸素添加剤」は、1〜40個の炭素原子を含有し、1つまたは複数の酸素ヘテロ原子をさらに含有する、飽和、不飽和、または多環式環化炭化水素ラジカルを指す。
本明細書で使用される場合、「アルミニウムアルキル付加物」は、アルミニウムアルキルおよび/またはアルモキサンと水および/またはメタノールなどのクエンチ剤の反応性生物を指す。
「オレフィン」は、代替として「アルケン」と呼ばれ、少なくとも1つの二重結合を有する、炭素および水素の直鎖、分岐、または環式化合物である。本明細書およびそれに添付の特許請求の範囲の目的では、ポリマーまたはコポリマーがオレフィンを含むものとして言及される場合、このようなポリマーまたはコポリマーに存在するオレフィンは、オレフィンの重合化形態である。例えば、コポリマーが35質量%〜55質量%の「エチレン」含量を有するとされる場合、コポリマーのマー単位は、重合反応においてエチレンから誘導され、前記誘導された単位は、コポリマーの質量に対して35質量%〜55質量%で存在すると理解される。
【0026】
「ポリマー」は、同じまたは異なるマー単位を2個以上有する。「ホモポリマー」は、複数の同じマー単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに別個のまたは異なる2個以上のマー単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに別個のまたは異なる3個のマー単位を有するポリマーである。「別個の」または「異なる」は、マー単位に言及して使用される場合、そのマー単位が、少なくとも1つの原子によって互いに異なっているか、または異性体的に異なっていることを示す。したがって、コポリマーの定義は、本明細書で使用される場合、ターポリマー等を示す。「エチレンポリマー」または「エチレンコポリマー」は、少なくとも50mol%のエチレン誘導単位を含むポリマーまたはコポリマーであり、「プロピレンポリマー」または「プロピレンコポリマー」は、少なくとも50mol%のプロピレン誘導単位を含むポリマーまたはコポリマー等である。
【0027】
「重合可能な条件」は、温度、圧力、反応物の濃度、任意の溶媒/希釈剤、反応物の混合/添加パラメータの当業者による選択を含む条件、および1つまたは複数のオレフィンモノマーを、活性化オレフィン重合触媒と接触させて、典型的に配位重合を介して所望のポリオレフィンポリマーを製造する場合の反応を促進する、少なくとも1つの重合反応器内の他の条件を指す。
【0028】
用語「連続的な」は、中断または休止なしに作動する系を意味する。例えば、ポリマーを製造するための連続的な方法は、反応物が1つまたは複数の反応器に連続的に導入され、ポリマー生成物が連続的に取り出される方法であり得る。
「触媒組成物」または「触媒系」は、少なくとも1種の触媒化合物、担持材料、任意の活性化剤、および任意の共活性化剤の組合せである。本発明およびその特許請求の範囲の目的では、触媒系または組成物が、成分の安定な中性形態を含むものとして説明される場合、成分のイオン形態が、モノマーと反応してポリマーを製造する形態であることが、当業者によって十分に理解される。活性化後のこれらを説明するために使用される場合には、担体、活性化複合体、および活性化剤または他の電荷平衡化部分を意味する。遷移金属化合物は、プレ触媒などにおいては中性であり、または活性化触媒系などにおいては対イオンで荷電された種であり得る。
配位重合は、連続モノマーを有機金属活性中心へ、またはその中心に付加して、ポリマー鎖を作り出し、かつ/または成長させる、付加重合である。
【0029】
用語「共触媒」および「活性化剤」は、本明細書では交換可能に使用され、中性触媒化合物を、触媒作用的に活性な触媒化合物カチオンに変換することによって、本明細書の触媒化合物の任意の1つを活性化することができる任意の化合物であると定義される。
「BOCD」は、広範な直交組成分布を指し、ここでコポリマーのコモノマーは、主に高分子量鎖、またはポリオレフィンポリマーもしくは組成物の種に組み込まれる。短鎖分岐分布は、例えば、所与の温度でTREFカラムから溶出された分子の質量平均分子量を決定するために、昇温溶出分別法(TREF)を光散乱(LS)検出器と接続して使用して測定することができる。TREFおよびLS(TREF−LS)を組み合わせることにより、組成分布幅、およびコモノマー含量が異なる分子量のポリマー鎖にわたって増大するか、低減するか、または均一であるかどうかに関する情報が得られる。BOCDは、例えば、米国特許第8,378,043号、カラム3、34行目からカラム4、19行目、および同第8,476,392号、43行目からカラム16、54行目に記載されている。
【0030】
別段指定されない限り、本明細書で記録されたTREF−LSデータは、分析サイズのTREF機器(Polymerchar、スペイン)を、以下の寸法、内径(ID)7.8mmおよび外径(OD)9.53mmおよびカラム長150mmのカラムと共に用いて測定した。カラムに、鋼ビーズを充填した。BHT6g/4Lを含有するオルトジクロロベンゼン(ODCB)中6.4%(w/v)ポリマー溶液0.5mLを、カラム上に充填し、1.0℃/分の一定の冷却速度で140℃から25℃に冷却した。その後、ODCBを、1.0ml/分の流量でカラムを通してポンピングし、カラム温度を2℃/分の一定の加熱速度で増大して、ポリマーを溶出した。溶出された液体におけるポリマー濃度は、赤外検出器を使用して2857cm
-1の波数における吸収を測定することによって検出した。溶出液におけるエチレン−α−オレフィンコポリマーの濃度は、吸収から算出し、温度関数としてプロットした。溶出液におけるエチレン−α−オレフィンコポリマーの分子量は、Minidawn Tristar光散乱検出器(Wyatt、米国、カリフォルニア州)を使用して光散乱によって測定した。分子量も、温度関数としてプロットした。
【0031】
組成分布幅は、T
75−T
25値(式中、T
25は、本明細書に記載されるTREF実験において、25%の溶出ポリマーが得られる温度であり、T
75は、75%の溶出ポリマーが得られる温度である)によって特徴付けられる。組成分布は、本明細書に記載されるTREF−LS実験において、80℃未満で溶出するポリマー分率であるF
80値によって、さらに特徴付けられる。F
80値が高いほど、ポリマー分子におけるコモノマー分率が高い。直交組成分布は、1を超えるM
60/M
90値(式中、M
60は、本明細書に記載されるTREF−LS実験において60℃で溶出するポリマー画分の分子量であり、M
90は、本明細書に記載されるTREF−LS実験において90℃で溶出するポリマー画分の分子量である)によって特徴付けられる。
あるクラスの実施形態では、本明細書に記載されるポリマーは、T
75−T
25値(式中、T
25は、本明細書に記載されるTREF実験において、25%の溶出ポリマーが得られる温度であり、T
75は、75%の溶出ポリマーが得られる温度である)が、1以上、2.0以上、2.5以上、4.0以上、5.0以上、7.0以上、10.0以上、11.5以上、15.0以上、17.5以上、20.0以上、または25.0以上であることを特徴とするBOCDを有することができる。
【0032】
本明細書に記載されるポリマーは、M
60/M
90値(式中、M
60は、本明細書に記載されるTREF−LS実験において60℃で溶出するポリマー画分の分子量であり、M
90は、本明細書に記載されるTREF−LS実験において90℃で溶出するポリマー画分の分子量である)が、1.5以上、2.0以上、2.25以上、2.50以上、3.0以上、3.5以上、4.0以上、4.5以上、または5.0以上であることを特徴とするBOCDをさらに有することができる。
さらに、本明細書に記載されるポリマーは、F
80値(F
80は、80℃未満で溶出するポリマー分率である)が、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、10%以上、11%以上、12%以上、または15%以上であることを特徴とするBOCDをさらに有することができる。
【0033】
オレフィン重合触媒
メタロセン触媒
あるクラスの実施形態では、触媒系は、混合メタロセン触媒系(すなわち、2種以上の触媒を含む)であってよく、下記の2種以上の触媒、例えば、式(A)によって表される触媒を含んでもよい
【0034】
【化4】
[式中、
Mは、HfまたはZrであり、
各R
1、R
2、およびR
4は、独立に、水素、アルコキシド、またはC
1−C
40置換もしくは非置換ヒドロカルビル基(好ましくはC
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビル基)であり、
R
3は、独立に、水素、アルコキシドまたはC
1−C
40置換もしくは非置換ヒドロカルビル基(好ましくはC
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビル基)であるか、あるいは−R
20−SiR’
3または−R
20−CR’
3であり、ここでR
20は、水素、またはC
1−C
4ヒドロカルビルであり、各R’は、独立に、C
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビルであり、ただし少なくとも1つのR’は、Hではなく、
各R
7、R
8、およびR
10は、独立に、水素、アルコキシドまたはC
1−C
40置換もしくは非置換ヒドロカルビル基(好ましくはC
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビル基)であり、
R
9は、−R
20−SiR’
3または−R
20−CR’
3であり、ここでR
20は、水素またはC
1−C
4ヒドロカルビルであり(好ましくはR
20は、CH
2である)、各R’は、独立に、C
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビルであり(好ましくはR’は、Meなどのアルキルまたはフェニルなどのアリールである)、ただし少なくとも1つのR’は、Hではなく、あるいは(alternately)2つのR’は、Hではなく、あるいは3つのR’は、Hではなく、
Tは、架橋基、例えばCR
21R
22であり、ここでR
21およびR
22は、独立に、水素、ハロゲン、またはC
1−C
20含有ヒドロカルビル基(例えば、直鎖ヒドロカルビル基)、置換ヒドロカルビル基であり、任意にR
21およびR
22は、一緒になって、置換または非置換の、飽和、部分的に不飽和または芳香族の環式または多環式置換基を形成し、任意にR
21およびR
22は、同じでも異なっていてもよく、
各Xは、独立に、一価のアニオン性リガンドである、または2つのXは、一緒になって金属原子に結合して、メタラサイクル環を形成する、または2つのXは、一緒になって、キレートリガンド、ジエンリガンドもしくはアルキリデンリガンド(好ましくはハロゲンまたはC1−C12アルキルまたはアリール、例えばCl、Me、Et、Ph)を形成する]。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、Mは、Hfであり、あるいはMは、Zrである。
本発明の好ましい実施形態では、各R
1、R
2、およびR
4は、独立に、水素、または置換C
1−C
12ヒドロカルビル基もしくは非置換C
1−C
12ヒドロカルビル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、またはそれらの異性体である。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、各R
3は、独立に、水素、または置換C
1−C
12ヒドロカルビル基もしくは非置換C
1−C
12ヒドロカルビル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、またはそれらの異性体であり、あるいはR
3は、−R
20−SiR’
3または−R
20−CR’
3であり、ここでR
20は、C
1−C
4ヒドロカルビル(好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル)であり、R’は、C
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビル、好ましくは置換C
1−C
12ヒドロカルビル基または非置換C
1−C
12ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、またはそれらの異性体である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、各R
7、R
8、およびR
10は、独立に、水素、または置換C
1−C
12ヒドロカルビル基もしくは非置換C
1−C
12ヒドロカルビル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、またはそれらの異性体である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、R
9は、−R
20−SiR’
3または−R
20−CR’
3であり、ここでR
20は、C
1−C
4ヒドロカルビル(好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル)であり、R’は、C
1−C
20置換または非置換ヒドロカルビル、好ましくは置換C
1−C
12ヒドロカルビル基または非置換C
1−C
12ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、またはそれらの異性体である。
あるいは、R
9および任意にR
3は、独立に、−R
20−CMe
3または−R
20−SiMe
3であり、ここでR
20は、C
1−C
4ヒドロカルビル(好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル)であり、好ましくは−CH
2−CMe
3、または−CH
2−SiMe
3である。
あるいは、各Xは、独立に、ハライド、ヒドリド、アルキル基、アルケニル基またはアリールアルキル基であってもよい。
あるいは、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、アリール、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハライド、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、およびそれらの組合せからなる群から選択され(2つのX’は、縮合環または環系の一部を形成することができる)、好ましくは各Xは、独立に、ハライド、アリールおよびC
1−C
5アルキル基から選択され、好ましくは各Xは、フェニル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ブロモ、またはクロロ基である。
【0039】
好ましくは、Tは、少なくとも1つの第13、14、15もしくは16族元素、特にホウ素、または第14、15もしくは16族元素を含有する架橋基である。適切な架橋基の例として、P(=S)R’、P(=Se)R’、P(=O)R’、R’
2C、R’
2Si、R’
2Ge、R’
2CCR’
2、R’
2CCR’
2CR’
2、R’
2CCR’
2CR’
2CR’
2、R’C=CR’、R’C=CR’CR’
2、R’
2CCR’=CR’CR’
2、R’C=CR’CR’=CR’、R’C=CR’CR’
2CR’
2、R’
2CSiR’
2、R’
2SiSiR’
2、R’
2SiOSiR’
2、R’
2CSiR’
2CR’
2、R’
2SiCR’
2SiR’
2、R’C=CR’SiR’
2、R’
2CGeR’
2、R’
2GeGeR’
2、R’
2CGeR’
2CR’
2、R’
2GeCR’
2GeR’
2、R’
2SiGeR’
2、R’C=CR’GeR’
2、R’B、R’
2C−BR’、R’
2C−BR’−CR’
2、R’
2C−O−CR’
2、R’
2CR’
2C−O−CR’
2CR’
2、R’
2C−O−CR’
2CR’
2、R’
2C−O−CR’=CR’、R’
2C−S−CR’
2、R’
2CR’
2C−S−CR’
2CR’
2、R’
2C−S−CR’
2CR’
2、R’
2C−S−CR’=CR’、R’
2C−Se−CR’
2、R’
2CR’
2C−Se−CR’
2CR’
2、R’
2C−Se−CR’
2CR’
2、R’
2C−Se−CR’=CR’、R’
2C−N=CR’、R’
2C−NR’−CR’
2、R’
2C−NR’−CR’
2CR’
2、R’
2C−NR’−CR’=CR’、R’
2CR’
2C−NR’−CR’
2CR’
2、R’
2C−P=CR’、R’
2C−PR’−CR’
2、O、S、Se、Te、NR’、PR’、AsR’、SbR’、O−O、S−S、R’N−NR’、R’P−PR’、O−S、O−NR’、O−PR’、S−NR’、S−PR’およびR’N−PR’が挙げられ、ここでR’は、水素、またはC
1−C
20含有ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビル置換基であり、任意に2つ以上の隣接するR’は、一緒になって、置換または非置換の、飽和、部分的に不飽和、または芳香族の、環式または多環式の置換基を形成する。架橋基Tの好ましい例として、CH
2、CH
2CH
2、SiMe
2、SiPh
2、SiMePh、Si(CH
2)
3、Si(CH
2)
4、O、S、NPh、PPh、NMe、PMe、NEt、NPr、NBu、PEt、PPr、Me
2SiOSiMe
2、およびPBuが挙げられる。
【0040】
本明細書に記載される任意の式の任意の実施形態における本発明の好ましい実施形態では、Tは、式R
a2Jまたは(R
a2J)
2によって表され、ここでJは、C、Si、またはGeであり、各R
aは、独立に、水素、ハロゲン、C
1−C
20ヒドロカルビル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、またはドデシル)またはC
1−C
20置換ヒドロカルビルであり、2つのR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成することができる。好ましくは、Tは、炭素またはシリカ、例えばジアルキルシリルを含む架橋基であり、好ましくはTは、CH
2、CH
2CH
2、C(CH
3)
2、SiMe
2、SiPh
2、SiMePh、シリルシクロブチル(Si(CH
2)
3)、(Ph)
2C、(p−(Et)
3SiPh)
2C、Me
2SiOSiMe
2、およびシクロペンタシリレン(Si(CH
2)
4)から選択される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、触媒化合物におけるracとmesoのモル比は、1:1〜100:1、好ましくは5:1〜90:1、好ましくは7:1〜80:1、好ましくは5以上:1、または7以上:1、または20以上:1、または30以上:1、または50以上:1である。本発明の一実施形態では、触媒は、ラセミ異性体およびもしあれば形成されるmeso異性体の総量に対して、55mol%超のラセミ異性体、または60mol%超のラセミ異性体、または65mol%超のラセミ異性体、または70mol%超のラセミ異性体、または75mol%超のラセミ異性体、または80mol%超のラセミ異性体、または85mol%超のラセミ異性体、または90mol%超のラセミ異性体、または92mol%超のラセミ異性体、または95mol%超のラセミ異性体、または97mol%超のラセミ異性体を含む。本発明の特定の実施形態では、形成されたメタロセン遷移金属化合物は、ラセミ異性体から本質的になる。
【0042】
racおよびmeso異性体の量は、プロトンNMRによって決定される。
1H NMRデータは、5mmのプローブにおいて400MHz Bruker分光計を使用して、重水素化塩化メチレンを用いて23℃で収集される。(本明細書の例のいくつかでは、重水素化ベンゼンを使用できるが、特許請求の範囲の目的では、塩化メチレンが使用されるべきであることに留意されたい)。データは、最大パルス幅45°、パルスと信号の間5秒、および16の過渡応答を平均化する信号を使用して記録される。スペクトルは、5.32ppmにおけるピークを示すと予測される重水素化塩化メチレンのプロトン化塩化メチレンに対して正規化される。
【0043】
本発明において特に有用な触媒化合物は、rac/meso Me
2Si(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;racMe
2Si(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Me
3SiCH
2Cp)
2ZrMe
2;rac/meso Me
2Ge(Me
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Me
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(Me
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;Me
2Si(Me
4Cp)(Me
2PhSiCH
2Cp)HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Me
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(Me
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(Me
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(Me
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(MePh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(MePh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(MePh
2SiCH
2Cp)
2ZrMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(MePh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(MePh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(MePh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(MePh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Ph
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(Ph
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Ph
3SiCH
2Cp)
2ZrMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Ph
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(Ph
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(Ph
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(Ph
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;racMe
2Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2ZrMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(Cy
3SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Cy
2MeSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(Cy
2MeSiCH
2Cp)
2HfMe
2;Me
2Si(Me
4Cp)(Cy
2MeSiCH
2Cp)HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Cy
2MeSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(Cy
2MeSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(Cy
2MeSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(Cy
2MeSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(CyMe
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(CyMe
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(CyMe
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(CyMe
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(CyMe
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(CyMe
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(Cy
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(Cy
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(Cy
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(Cy
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(Cy
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Ge(Cy
2PhSiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Me
2Si(CyPh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso Ph
2Si(CyPh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
3Si(CyPh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(CH
2)
4Si(CyPh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;rac/meso(C
6F
5)
2Si(CyPh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2;およびrac/meso Me
2Ge(CyPh
2SiCH
2Cp)
2HfMe
2の1つまたは複数を含む。
【0044】
本明細書に記載される方法のいずれかにおける好ましい実施形態では、1種の触媒化合物が使用され、例えば、複数の触媒化合物は同じものである。本発明の目的では、ある触媒化合物は、少なくとも1つの原子が異なる場合には、別のものとは異なるとみなされる。例えば、「ビスインデニルジルコニウムジクロリド」は、「(インデニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド」とは異なり、それは、「(インデニル)(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド」とは異なる。異性体だけが異なる触媒化合物は、本発明の目的では同じとみなされ、例えば、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルは、meso−ジメチルシリルビス(2−メチル4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルと同じとみなされる。
【0045】
他の有用なオレフィン重合触媒は、式(B)によって表されるメタロセン触媒を含む
T
yCp
mM
6G
nX
5q(B)
[式中、各Cpは、独立に、置換または非置換であり得るシクロペンタジエニル基(例えば、シクロペンタジエン、インデンまたはフルオレン)であり、M
6は、第4族の遷移金属、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、Gは、式JR
*zによって表されるヘテロ原子基であり、ここでJは、N、P、OまたはSであり、R
*は、C
1−C
20ヒドロカルビル基であり、zは、1または2であり、Tは、架橋基であり、yは、0または1であり、X
5は、脱離基(例えば、ハライド、ヒドリド、アルキル基、アルケニル基またはアリールアルキル基)であり、m=1または2であり、n=0、1、2または3であり、q=0、1、2または3であり、m+n+qの合計は、遷移金属の酸化状態に等しい]。例えば、国際公開第2016/094843号を参照されたい。
【0046】
一実施形態では、各Cpは、置換または非置換であり得るシクロペンタジエン、インデンまたはフルオレンであり、各M
6は、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、各X
5は、独立に、ハライド、ヒドリド、アルキル基、アルケニル基またはアリールアルキル基である。本明細書に記載される実施形態のいずれかでは、yは1であってもよく、mは1であってもよく、nは1であってもよく、JはNであってもよく、R
*は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、シクロオクチル、シクロドデシル、デシル、ウンデシル、ドデシル、アダマンチルまたはそれらの異性体であってもよい。
【0047】
さらに別の実施形態では、1種または複数のオレフィン重合触媒は、ビス(テトラヒドロインデニル)HfMe
2;ビス(1−ブチル,3−メチルシクロペンタジエニル)ZrCl
2;ビス−(n−ブチルシクロペンタジエニル)ZrCl
2;(ジメチルシリル)
2O ビス(インデニル)ZrCl
2;ジメチルシリル(3−(3−メチルブチル)シクロペンタジエニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ZrCl
2;ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ZrCl
2;ジメチルシリル−(3−フェニル−インデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ZrCl
2;ジメチルシリル(3−ネオペンチルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)HfCl
2;テトラメチルジシリレンビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデニル)ZrCl
2;シクロペンタジエニル(1,3−ジフェニルシクロペンタジエニル)ZrCl
2;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド;ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル;ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル;ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル;ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリル(ビスインデニル)ジルコニウムジメチル;ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;またはジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルの1種または複数のメタロセン触媒を含んでもよい。
【0048】
別の実施形態では、1種または複数のオレフィン重合触媒化合物は、SiMe
2(Me
4Cp)(cC
12N)TiMe
2およびビス(1−Bu,3−Me−Cp)ZrCl
2;SiMe
2(Me
4Cp)(cC
12N)TiMe
2および(SiMe
2) ビス(インデニル)ZrCl
2;SiMe
2(Me
4Cp)(cC
12N)TiMe
2および(SiMe
2)
2O ビス(インデニル)ZrCl
2;SiMe
2(Me
4Cp)(cC
12N)TiMe
2および(SiMe
2)
2O ビス(インデニル)ZrMe
2;SiMe
2(Me
4Cp)(cC
12N)TiMe
2およびSiMe
2(3−ネオペンチルCp)((Me
4Cp)HfCl
2;SiMe
2(Me
4Cp)(cC
12N)TiMe
2およびSiMe
2(3−ネオペンチルシクロペンタジエニル)(Me
4Cp)HfMe
2;SiMe
2(Me
4Cp)(1−アダマンチルアミド)TiMe
2およびビス(1−Bu,3−MeCp)ZrCl
2;およびSiMe
2(Me
4Cp)(1−t−ブチルアミド)TiMe
2およびビス(1−Bu,3−MeCp)ZrCl
2からなる群から独立に選択される第1のメタロセン触媒および第2のメタロセン触媒を含んでもよい。
【0049】
あるクラスの実施形態では、1種または複数のメタロセン触媒は、(4−プロピル,1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド;(テトラメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル;(テトラメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;(3,4−ジプロピル,1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル;(プロピルシクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル;(プロピルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル;(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ベンジルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;シラシクロペンチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−(1−ヘキセニル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;またはジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリルメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチルを含んでもよい。
【0050】
別のクラスの実施形態では、1種または複数のメタロセン触媒は、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルまたはそれらの組合せを含んでもよい。
【0051】
さらに別のクラスの実施形態では、1種または複数のメタロセン触媒は、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルまたはそれらの組合せを含んでもよい。
【0052】
上記または下記のメタロセン触媒の1種または複数は、例えば、2種もしくは3種のメタロセン触媒、またはオレフィン重合に有用であると本明細書で記載されるか、もしくは当技術分野で公知の触媒のいずれかを含む二元触媒系としても公知の混合触媒系で使用することができる。それらは任意に共担持されてよく、すなわち同じ担持材料上に配置されてよく、さらに、別個に(担体を伴って、または伴わずに)または異なる組合せおよび割合で一緒に反応器に注入されて、その標的仕様に従ってポリマー生成物の特性を「調節する(trim)」または調整することができる。この手法は、ポリマー生成物の特性を制御し、多量のポリオレフィンポリマーの製造において均一性を保証するのに非常に有用である。
【0053】
例えば、rac−エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびジフェニルメチルインデン{η
5−[3−(ペンテン−4−イル)シクロペンタジエン−1−イリデン]}[η
5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イリデン)]ジルコニウムジクロリドおよび米国特許第9,181,370号に開示されるその他の触媒などの触媒の組合せを、触媒系または混合触媒系において使用することができ、その触媒系は、2種の触媒だけが使用される場合には二元触媒系と呼ばれることもある。別の例では、Me
2Si(H
4Ind)
2ZrCl
2および(Me
5Cp)PrCpZrCl
2、ならびに(Cp)IndZrCl
2およびmeso−O(Me
2SiInd)
2ZrCl
2、ならびに米国特許第6,828,394号に開示されているその他の触媒を、混合触媒系において利用することができる。さらに別の例では、米国特許第9,181,369号に開示されている通り、「MTE−A」および「MTE−B」によって表される触媒を、混合触媒系において使用することができる。
【0054】
別のクラスの実施形態では、以下の触媒:フェニル−3−ブテニルメチリデン(η
5−シクロペンタジエニル)(η
5−9,2−7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチリデン{η
5−[3−(ペンテン−4−イル)シクロペンタジエン−1−イリデン]}[η
5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イリデン)]ハフニウムジクロリド、[η
5−1−(プロペン−2−イル)インデニル][η
5−n−ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、rac−エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチリデン{η
5−[3−(ペンテン−4−イル)シクロペンタジエン−1−イリデン]}[η
5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イリデン)]ジルコニウムジクロリドおよび米国特許第9,006,367号に開示されているその他の触媒、または米国特許第9,217,049号に開示されている触媒のいずれか、例えば以下によって表されるもの
【0055】
【化5】
,
,
, および
を、混合触媒系において使用することができる。
【0056】
活性化剤
触媒組成物は、スラリー相重合または気相重合において使用するために組成物を担持することを含む当技術分野において任意の方式で、活性化剤と組み合わせることができる。活性化剤は、一般に、中性金属化合物を触媒活性のある金属化合物カチオンに変換することによって、上述の触媒化合物のいずれか1つを活性化することができる化合物である。非限定的な活性化剤には、例えば、アルモキサン、アルミニウムアルキル、イオン化活性化剤が含まれ、それらは、中性またはイオン性の従来型の共触媒であり得る。好ましい活性化剤には、典型的に、アルモキサン化合物、修飾アルモキサン化合物、および反応性σ−結合金属リガンドを引き抜いて金属化合物をカチオン性にし、電荷平衡化非配位性または弱配位性アニオンを提供するイオン化アニオン前駆体化合物が含まれる。
【0057】
アルモキサン活性化剤
アルモキサン活性化剤は、本明細書に記載される触媒組成物における活性化剤として利用される。アルモキサンは、一般に、−Al(R
1)−O−下位単位(式中、R
1は、アルキル基である)を含有するオリゴマー化合物である。アルモキサンの例として、メチルアルモキサン(MAO)、修飾メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサンおよびイソブチルアルモキサンが挙げられる。アルキルアルモキサンおよび修飾アルキルアルモキサンは、特に引き抜くことが可能なリガンドが、アルキル、ハライド、アルコキシドまたはアミドである場合、触媒活性化剤として適している。様々なアルモキサンおよび修飾アルモキサンの混合物を使用することもできる。視覚的に透明なメチルアルモキサンを使用することが好ましい場合がある。混濁状またはゲル化アルモキサンを濾過して、透明溶液を生成することができ、または混濁溶液から透明なアルモキサンをデカントすることができる。有用なアルモキサンは、修飾メチルアルモキサン(MMAO)共触媒型3A(米国特許第5,041,584号の下で保護される、Akzo Chemicals,Incから商標Modified Methylalumoxane3A型で商業的に利用可能)である。
【0058】
活性化剤がアルモキサン(修飾または非修飾)である場合、一部の実施形態では、典型的に、触媒化合物の5000倍モル過剰までのAl/M(金属触媒部位当たり)で、最大量の活性化剤が選択される。最小の活性化剤対触媒化合物は、1:1のモル比である。代替の好ましい範囲には、1:1〜500:1、あるいは1:1〜200:1、あるいは1:1〜100:1、あるいは1:1〜50:1が含まれる。
【0059】
あるクラスの実施形態では、本明細書に記載される重合方法において、アルモキサンはほとんどまたはまったく使用されない。好ましくは、アルモキサンは0mol%で存在し、あるいはアルモキサンは、500未満:1、好ましくは300未満:1、好ましくは100未満:1、および好ましくは1未満:1のアルミニウムと触媒化合物の遷移金属のモル比で存在する。
別のクラスの実施形態では、少なくとも1種の活性化剤は、アルミニウムを含み、アルミニウムと遷移金属、例えばハフニウムもしくはジルコニウムの比は、少なくとも150対1であり、少なくとも1種の活性化剤は、アルミニウムを含み、アルミニウムと遷移金属、例えばハフニウムもしくはジルコニウムの比は、少なくとも250対1である、または少なくとも1種の活性化剤は、アルミニウムを含み、アルミニウムと遷移金属、例えばハフニウムもしくはジルコニウムの比は、少なくとも1,000対1である。
【0060】
イオン化/非配位アニオン活性化剤
用語「非配位アニオン」(NCA)は、カチオンに配位しないか、またはカチオンにごく弱く配位し、それによって中性ルイス塩基によって置き換えられるのに十分に不安定な状態を維持するアニオンを意味する。「適合性」非配位アニオンは、最初に形成された錯体が分解するときに中性状態までは分解されないアニオンである。さらに、そのアニオンは、アニオン性の置換基または断片をカチオンに移さず、それに中性遷移金属化合物およびアニオン由来の中性副生成物を形成させる。本発明に従って有用な非配位アニオンは、適合性があり、そのイオン電荷を+1で平衡化するという意味で遷移金属カチオンを安定させ、さらには重合中の置換えを可能にするのに十分な不安定性を保持するアニオンである。本明細書において有用なイオン化活性化剤は、典型的に、NCA、特に適合性NCAを含む。
本発明の範囲内では、中性またはイオン性のイオン化活性化剤、例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスペルフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体またはトリスペルフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(国際公開第98/43983号)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)、またはそれらの組合せが使用される。本発明の範囲内では、中性またはイオン性活性化剤が単独で、またはアルモキサンもしくは修飾アルモキサン活性化剤と組み合わせて使用される。
有用な活性化剤の説明については、米国特許第8,658,556号および同第6,211,105号を参照されたい。
【0061】
好ましい活性化剤には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、[Me
3NH+][B(C
6F
5)
4−]、1−(4−(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)−2,3,5,6−テトラフルオロピリジンが含まれる。
【0062】
好ましい実施形態では、活性化剤は、トリアリールカルボニウム(例えば、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート)を含む。
【0063】
別の実施形態では、活性化剤は、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジアルキル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ここで、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルである)の1つまたは複数を含む。
【0064】
典型的な活性化剤と触媒の比、例えば、すべてのNCA活性化剤と触媒の比は、約1:1のモル比である。代替の好ましい範囲には、0.1:1〜100:1、あるいは0.5:1〜200:1、あるいは1:1〜500:1、あるいは1:1〜1000:1が含まれる。特に有用な範囲は、0.5:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1である。
【0065】
担持材料
触媒組成物は、「担体」と呼ばれることもある少なくとも1種の「担体」を任意に含んでもよい。その用語は、別段区別されない限り、交換可能に用いることができる。適切な担体には、それに限定されるものではないが、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミナ、酸化セリウム、酸化マグネシウム、またはそれらの組合せが含まれる。触媒は、任意に担体を含むことができ、または少なくとも1種の担体上に配置され得る。適切な担体には、それに限定されるものではないが、活性材料および不活性材料、合成または天然のゼオライト、ならびに無機材料、例えば粘土および/または酸化物、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミナ、酸化セリウム、酸化マグネシウム、またはそれらの組合せが含まれる。特に、担体は、シリカ−アルミナ、アルミナおよび/またはゼオライト、特にアルミナであり得る。シリカ−アルミナは、天然であってもよく、またはシリカおよび金属酸化物の混合物を含むゼラチン質沈殿物もしくはゲルの形態のいずれかであってもよい。
あるクラスの実施形態では、少なくとも1種の担体は、有機シリカ材料を含んでもよい。有機シリカ材料担体は、少なくとも1つのモノマーから形成されたポリマーであり得る。ある特定の実施形態では、有機シリカ材料は、複数の別個のモノマーから形成されたポリマーであり得る。有機シリカ材料を生成するための方法および材料、ならびに特徴付けの説明は、例えば、国際公開第2016/094770号および国際公開第2016 094774号に見出すことができる。
【0066】
捕捉剤、連鎖移動剤および/または共活性化剤
捕捉剤、連鎖移動剤、または共活性化剤を使用することもできる。捕捉剤または共活性化剤として利用することができるアルミニウムアルキル化合物には、例えば、式AlR
3(式中、各Rは、独立に、C
1−C
8脂肪族ラジカル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルオクチルまたはそれらの異性体である)によって表されるものの1つまたは複数、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムまたはそれらの混合物が含まれる。
また、本明細書で使用することができる有用な連鎖移動剤は、典型的に、式AlR
203、ZnR
202(式中、各R
20は、独立に、C
1−C
8脂肪族ラジカル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルオクチルまたはそれらの異性体である)によって表される化合物、またはそれらの組合せ、例えばジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、またはそれらの組合せである。
【0067】
重合方法
本明細書の実施形態では、本発明は、モノマー(例えば、プロピレンおよびまたはエチレン)、および任意にコモノマーを、上述の通り、少なくとも1種の活性化剤、少なくとも1種の担体および少なくとも1つの触媒、例えばメタロセン化合物を含む触媒系と接触させる重合方法に関する。担体、触媒化合物、および活性化剤は、任意の順序で組み合わせることができ、典型的にモノマーと接触させる前に組み合わせる。
本明細書において有用なモノマーには、置換または非置換C
2−C
40アルファオレフィン、好ましくはC
2−C
20アルファオレフィン、好ましくはC
2−C
12アルファオレフィン、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびそれらの異性体が含まれる。
【0068】
本発明の一実施形態では、モノマーは、プロピレン、および1つまたは複数のエチレンまたはC
4−C
40オレフィン、好ましくはC
4−C
20オレフィン、または好ましくはC
6−C
12オレフィンを含む任意のコモノマーを含む。C
4−C
40オレフィンモノマーは、直鎖、分岐、または環式であり得る。C
4−C
40環式オレフィンは、歪みを有していても有していなくてもよく、単環式または多環式であってよく、任意にヘテロ原子および/または1つもしくは複数の官能基を含んでもよい。
【0069】
本発明の別の実施形態では、モノマーは、エチレン、および1つまたは複数のC
3−C
40オレフィン、好ましくはC
4−C
20オレフィン、または好ましくはC
6−C
12オレフィンを含む任意のコモノマーを含む。C
3−C
40オレフィンモノマーは、直鎖、分岐、または環式であり得る。C
3−C
40環式オレフィンは、歪みを有していても有していなくてもよく、単環式または多環式であってよく、任意にヘテロ原子および/または1つもしくは複数の官能基を含んでもよい。
例示的なC
2−C
40オレフィンモノマーおよび任意のコモノマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、その置換誘導体、およびそれらの異性体、好ましくはヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1−ヒドロキシ−4−シクロオクテン、1−アセトキシ−4−シクロオクテン、5−メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ならびにそれらのそれぞれの同族体および誘導体、好ましくはノルボルネン、ノルボルナジエン、およびジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0070】
好ましい実施形態では、1つまたは複数のジエンは、本明細書において製造されるポリマー中に、組成物の総質量に対して10質量%まで、好ましくは0.00001〜1.0質量%、好ましくは0.002〜0.5質量%、さらにより好ましくは0.003〜0.2質量%で存在する。一部の実施形態では、500ppm以下、好ましくは400ppm以下、または好ましくは300ppm以下のジエンが、重合に添加される。他の実施形態では、少なくとも50ppm、または100ppm以上、または150ppm以上のジエンが、重合に添加される。
【0071】
本発明において有用なジオレフィンモノマーには、任意の炭化水素構造、好ましくは少なくとも2つの不飽和結合を有するC
4−C
30が含まれ、ここで、不飽和結合の少なくとも2つは、立体特異的触媒または非立体特異的触媒のいずれかによってポリマーに容易に組み込まれる。ジオレフィンモノマーは、アルファ、オメガ−ジエンモノマー(すなわち、ジ−ビニルモノマー)から選択されることがさらに好ましい。より好ましくは、ジオレフィンモノマーは、直鎖ジ−ビニルモノマー、最も好ましくは4〜30個の炭素原子を含有するものである。好ましいジエンの例として、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンエイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリコンタジエンが挙げられ、特に好ましいジエンには、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン、および低分子量ポリブタジエン(M
w1000g/mol未満)が含まれる。好ましい環式ジエンには、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、または様々な環位置に置換基を有するもしくは有していないジオレフィンを含有するより高次の環が含まれる。
【0072】
本発明による重合方法は、当技術分野で公知の任意の方式で行うことができる。当技術分野で公知の任意の懸濁液、スラリー、高圧チューブラーもしくはオートクレーブ方法、または気相重合方法を、重合可能な条件下で使用することができる。このような方法は、バッチ、半バッチ、または連続モードで実施することができる。不均一重合方法(例えば、気相およびスラリー相法)が有用である。不均一法は、触媒系が反応媒体に可溶性でない方法と定義される。あるいは、他の実施形態では、重合方法は、均一ではない。
【0073】
均一重合方法は、生成物の好ましくは少なくとも90質量%が、反応媒体に可溶性である方法と定義される。あるいは、その重合方法はバルク方法でないことが特に好ましい。あるクラスの実施形態では、バルク方法は、反応器へのすべての供給物におけるモノマー濃度が、好ましくは70体積%以上である方法と定義される。あるいは、溶媒または希釈剤は存在せず、または反応媒体に添加されない(触媒系もしくは他の添加剤のための担体として使用される少量、またはモノマー、例えばプロピレンにおけるプロパンで典型的に見られる量を除く)。別の実施形態では、方法は、スラリー法である。本明細書で使用される場合、用語「スラリー重合方法」は、担持された触媒が用いられ、担持された触媒粒子上でモノマーが重合化される、重合方法を意味する。担持された触媒から誘導されたポリマー生成物の少なくとも95質量%は、固体粒子としての顆粒形態である(希釈剤に溶解しない)。
【0074】
重合に適した希釈剤/溶媒には、非配位性の不活性な液体が含まれる。その例として、直鎖および分岐鎖炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびそれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびそれらの混合物、例えば商業的に見られるもの(Isopar(商標);全ハロゲン化炭化水素、例えば全フッ素置換C
4-10アルカン、クロロベンゼン、ならびに芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、メシチレン、およびキシレンが挙げられる。適切な溶媒には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、およびそれらの混合物を含む、モノマーまたはコモノマーとして作用することができる液体オレフィンも含まれる。好ましい実施形態では、脂肪族炭化水素溶媒、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびそれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびそれらの混合物が、溶媒として使用される。別の実施形態では、溶媒は、芳香族ではなく、好ましくは芳香族は、溶媒中に、溶媒の質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、好ましくは0質量%未満で存在する。
【0075】
好ましい実施形態では、重合のためのモノマーおよびコモノマーの供給濃度は、供給物流の総体積に対して、溶媒の60体積%以下、好ましくは40体積%以下、または好ましくは20体積%以下である。好ましくは重合は、バルク方法で実施される。
好ましい重合は、上述の所望のエチレンポリマーを得るのに適した任意の温度および/または圧力で実施することができる。典型的な圧力には、一部の実施形態では、約0.35MPa〜約10MPa、好ましくは約0.45MPa〜約6MPa、または好ましくは約0.5MPa〜約4MPaの範囲の圧力が含まれる。
【0076】
一部の実施形態では、水素は、重合反応器内に、部分圧0.001〜50psig(0.007〜345kPa)、好ましくは0.01〜25psig(0.07〜172kPa)、より好ましくは0.1〜10psig(0.7〜70kPa)で存在する。
あるクラスの実施形態では、重合は、気相、好ましくは流動床気相法で実施される。一般に、ポリマーを製造するために使用される流動床気相法では、1つまたは複数のモノマーを含有する気体流は、触媒の存在下で、反応条件下で流動床を介して連続的に循環される。気体流は、流動床から取り出され、反応器に再循環して戻される。同時に、ポリマー生成物は、反応器から取り出され、重合化モノマーを置き換えるために、新しいモノマーが添加される。(例えば、参照によってすべて本明細書に完全に組み込まれる、米国特許第4,543,399号、同第4,588,790号、同第5,028,670号、同第5,317,036号、同第5,352,749号、同第5,405,922号、同第5,436,304号、同第5,453,471号、同第5,462,999号、同第5,616,661号、および同第5,668,228号を参照されたい。
【0077】
本発明の別の実施形態では、重合は、スラリー相で実施される。スラリー重合方法は、一般に、1〜約50大気圧範囲の間(15psi〜735psi、103kPa〜5068kPa)またはそれよりも高い気圧および上述の温度で作動する。スラリー重合では、固体微粒子ポリマーの懸濁液が液体重合希釈媒体中で形成され、それに、触媒と共にモノマーおよびコモノマーが添加される。希釈剤を含む懸濁液は、反応器から間欠的または連続的に除去され、反応器では揮発成分がポリマーから分離され、任意に蒸留後に、反応器に再循環される。重合媒体において用いられる液体希釈剤は、典型的に、3〜7個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは分岐アルカンである。用いられる媒体は、重合条件下で液体であり、相対的に不活性であるべきである。プロパン媒体が使用される場合、その方法は、典型的に、反応希釈剤の臨界温度および圧力以上で作動される。しばしば、ヘキサンまたはイソブタン媒体が用いられる。
【0078】
一実施形態では、本発明において有用な好ましい重合技術は、粒子形態重合またはスラリー法と呼ばれ、ここで温度は、ポリマーが溶液になる温度未満に維持される。このような技術は、当技術分野で公知であり、例えば米国特許第3,248,179号に記載されている。粒子形態方法における好ましい温度は、約85℃〜約110℃の範囲内である。スラリー法の2つの好ましい重合方法は、ループ反応器を用いる方法、および複数の撹拌反応器を連続して、並列してまたはそれらの組合せで利用する方法である。スラリー法の非限定的な例として、連続ループまたは撹拌槽法が挙げられる。また、スラリー法の他の例は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる米国特許第4,613,484号に記載されている。
【0079】
別の実施形態では、スラリー法は、ループ反応器で連続的に行われる。イソブタン中のスラリーとして、または流動性乾燥粉末としての触媒は、定期的に反応器ループに注入され、そのループ自体に、モノマーおよびコモノマーを含有するイソブタン希釈剤中、成長ポリマー粒子の循環スラリーが充填される。任意に、水素を分子量制御として添加することができる。一実施形態では、500ppm以下、または400ppm以下、または300ppm以下の水素が添加される。他の実施形態では、少なくとも50ppm、または100ppm以上、または150ppm以上の水素が添加される。
反応器の大部分は、二重ジャケット付きパイプの形態なので、反応熱はループ壁を介して除去される。スラリーは、反応器から定期的または連続的に出されて、イソブタン希釈剤、ならびにすべての未反応モノマーおよびコモノマーを除去するように配列された加熱低圧フラッシュ容器、回転乾燥機および窒素パージカラムに入れられる。次に得られた、炭化水素を含まない粉末は、様々な適用で使用するために配合される。
好ましい実施形態では、重合で使用される触媒系は、1種以下の触媒化合物を含む。「反応帯域」は、「重合帯域」とも呼ばれ、重合が行われる容器、例えばバッチ反応器である。複数の反応器が連続配置または並行配置のいずれかで使用される場合、各反応器は、別個の重合帯域とみなされる。バッチ反応器および連続反応器の両方における多段階重合では、各重合段階は、別個の重合帯域とみなされる。好ましい実施形態では、重合は、1つの反応帯域で生じる。
【0080】
ポリオレフィンポリマーを製造するのに有用な反応器の種類および/または方法には、それに限定されるものではないが、UNIPOL(商標)気相反応器(Univation Technologiesから利用可能)、INEOS(商標)気相反応器および方法、連続流撹拌槽(CSTR)反応器(溶液およびスラリー)、プラグ流チューブラー反応器(溶液およびスラリー)、スラリー(例えば、スラリーループ(単一または二重ループ))(Chevron Phillips Chemical Companyから利用可能)および(連続反応器)(三井化学から利用可能))、BORSTAR(商標)方法および反応器(スラリーを気相と組み合わせる)、ならびに複数帯域循環反応器(MZCR)、例えばLyondell Basellから利用可能なSPHERIZONE(商標)反応器および方法が含まれる。
いくつかのクラスの実施形態では、重合反応の触媒活性は、少なくとも4,250g/g*触媒以上、少なくとも4,750g/g*触媒以上、少なくとも5,000g/g*触媒以上、少なくとも6,250g/g*触媒以上、少なくとも8,500g/g*触媒以上、少なくとも9,000g/g*触媒以上、少なくとも9,500g/g*触媒以上、または少なくとも9,700g/g*触媒以上である。
【0081】
ポリオレフィン生成物
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つ、2つ、3つ、4つ以上のC
2−C
40オレフィンモノマー、好ましくはC
2−C
20アルファオレフィンモノマーのホモポリマーコポリマーを製造する。特に有用なモノマーには、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、その異性体およびそれらの混合物が含まれる。
同様に、本発明の方法は、オレフィンポリマー、好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーを製造する。好ましい実施形態では、本明細書で製造されるポリマーは、エチレンのホモポリマーまたはプロピレンのホモポリマーである。
【0082】
あるいは、本明細書で製造されるポリマーは、C
2−C
40オレフィン、および1種、2種または3種以上の異なるC
2−C
40オレフィンのコポリマーである(ここで、C
2−C
40オレフィンは、好ましくはC
3−C
20オレフィンであり、好ましくはC
3−C
12アルファ−オレフィンであり、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、またはその混合物である)。
【0083】
あるいは、本明細書で製造されるポリマーは、好ましくは0〜25mol%(あるいは0.5〜20mol%、あるいは1〜15mol%、好ましくは3〜10mol%)の1種または複数のC
3−C
20オレフィンコモノマー(好ましくはC
3−C
12アルファ−オレフィン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、またはその混合物)を有する、エチレンのコポリマーである。
【0084】
ブレンド
別の実施形態では、本明細書で製造されるポリマー(好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレン)は、フィルム、成型部分、または他の物品に形成される前に、1種または複数の追加のポリマーと組み合わせる。他の有用なポリマーには、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、高度アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンおよびエチレンのランダムコポリマー、ならびに/またはブテン、ならびに/またはヘキセン、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル、LDPE、LLDPE、HDPE、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー、ポリメチルメタクリレートまたは高圧フリーラジカル法によって重合可能な任意の他のポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン−1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンおよびビニルアルコールのコポリマー(EVOH)、芳香族モノマーのポリマー、例えばポリスチレン、ポリ−1エステル、ポリアセタール、フッ化ポリビニリジン、ポリエチレングリコール、および/またはポリイソブチレンが含まれる。
【0085】
フィルム
具体的には、上述のポリマーまたはそのブレンドのいずれかを、様々な最終用途適用において使用することができる。このような適用には、例えば、単層または多層インフレーション、押出、および/またはシュリンクフィルムが含まれる。これらのフィルムは、任意の数の周知の押出成形または共押出技術、例えばインフレーションバブルフィルム処理技術によって形成することができ、ここでは組成物を、環状ダイを介して溶融状態で押し出し、次に延伸して単軸または二軸配向溶融物を形成した後、冷却して、チューブラーインフレーションフィルムを形成することができ、次にそれを、軸方向に切り込みを入れ、折り畳んで、平坦なフィルムを形成することができる。その後、フィルムを配向しなくてもよく、一軸配向してもよく、または同じもしくは異なる程度に二軸配向してもよい。
【0086】
試験方法
1H NMR
1H NMRデータを、Bruker分光計を400MHzの
1H周波数で使用して(Agilent Technologies、カリフォルニア州、サンタクララから利用可能)、10mmプローブ中393Kで収集した。データを、最大パルス幅45℃、パルスと信号の間5秒、および512の過渡応答を平均化する信号を使用して記録した。スペクトル信号を積分し、炭素1000個当たりの不飽和種の数を、様々な基に1000を掛け、その結果を炭素の総数で割ることによって算出した。M
nは、不飽和種の総数を14,000で割ることによって算出され、単位g/molを有する。
【0087】
TREF方法
GPC 4D手順:複数の検出器につないだGPC−IRによる分子量、コモノマー組成および長鎖分岐の決定
分布、ならびに分子量モーメント(M
w、M
n、M
w/M
n等)、コモノマー含量(C
2、C
3、C
6等)および分岐指数(g’vis)を、多重チャネルバンドフィルタベースの赤外検出器IR5、18角度光散乱検出器および粘度計を備えた高温ゲル浸透クロマトグラフィー(Polymer Char GPC−IR)を使用することによって決定する。3つのAgilent PLgel 10−μm Mixed−B LSカラムを使用して、ポリマーを分離する。Aldrich試薬グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)と抗酸化剤である300ppmブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を、移動相として使用する。TCB混合物を、0.1μmのTeflonフィルタを介して濾過し、オンライン脱気装置で脱気した後、GPC機器に入れる。名目上の流量は1.0ml/分であり、名目上の注入量は200μLである。移送ライン、カラム、および検出器を含む系全体を、145℃に維持したオーブン内に入れる。ポリマーサンプルを秤量し、フローマーカー(ヘプタン)80μLを添加した標準バイアルに入れてシールする。オートサンプラーにバイアルを搭載した後、ポリマーを、TCB溶媒8mlを添加した機器で自動的に溶解させる。ポリマーを、PEサンプルについては約1時間またはPPサンプルについては2時間、連続的に振とうして、160℃で溶解させる。濃度の算出に使用したTCB密度は、約23℃の温度では1.463g/mlであり、145℃では1.284g/mlである。サンプルの溶液濃度は、0.2〜2.0mg/mlであり、より高い分子量のサンプルについてはより低い濃度を使用する。クロマトグラムにおける各時点の濃度(c)は、以下の等式:c=βI(式中、βは、質量定数である)を使用して、ベースラインを差し引いたIR5ブロードバンド信号強度(I)から算出する。回収質量は、溶出体積にわたる濃度クロマトグラフの統合面積と注入質量の比から算出され、注入質量は、所定の濃度に注入ループ体積を掛けたものに等しい。従来の分子量(IR MW)は、ユニバーサルキャリブレーション関係式を、700〜10Mgm/モルの範囲の一連の単分散系ポリスチレン(PS)標準を用いて実施されるカラム較正と組み合わせることによって決定する。各溶出体積におけるMWは、以下の等式を用いて算出する。
【0088】
【数1】
式中、添字「PS」を有する変数は、ポリスチレンの変数を表し、添字がない変数は、試験サンプルの変数である。この方法において、本発明の目的およびその特許請求の範囲では、直鎖状エチレンポリマーについては、α=0.695およびK=0.000579であり、直鎖状プロピレンポリマーについては、α=0.705およびK=0.0002288であり、直鎖状ブテンポリマーについては、α=0.695およびK=0.000181であり、エチレン−ブテンコポリマーについては、αが0.695であり、Kが0.000579*(1−0.0087*w2b+0.000018*(w2b)^2)(式中、w2bは、ブテンコモノマーのバルク質量パーセントである)であり、エチレン−ヘキセンコポリマーについては、αが0.695であり、Kが0.000579*(1−0.0075*w2b)(式中、w2bは、ヘキセンコモノマーのバルク質量パーセントである)であり、エチレン−オクテンコポリマーについては、αが0.695であり、Kが0.000579*(1−0.0077*w2b)(式中、w2bは、オクテンコモノマーのバルク質量パーセントである)であることを除いて、α
PS=0.67およびK
PS=0.000175(ここで、αおよびKは、他の材料については、文献(Sun, T. et al. Macromolecules 2001, 34, 6812)において算出され、公開されている通りである)である。別段の注記がない限り、濃度はg/cm
3で表され、分子量はg/モルで表され、固有粘度(したがってMark−Houwink式のK)はdL/gで表される。
【0089】
コモノマー組成物を、その名目上の値がNMRまたはFTIRによって予め決定されている一連のPEおよびPPホモ/コポリマー標準を用いて較正したCH
2およびCH
3チャネルに対応するIR5検出器強度の比によって決定する。特にこれにより、炭素合計1000個当たりのメチル(CH
3/1000TC)が分子量関数として得られる。次に、各鎖が直鎖であり、各末端がメチル基で終端していると仮定して、1000TC当たりの短鎖分岐(SCB)含量(SCB/1000TC)を、CH
3/1000TC関数に鎖末端補正を適用することによって分子量関数として計算する。次に、コモノマーの質量%を以下の式から得、式中、fは、C3、C4、C6、C8等のコモノマーについて、それぞれ0.3、0.4、0.6、0.8等である。
w2=f*SCB/1000TC
GPC−IRおよびGPC−4D分析から得たポリマーのバルク組成を、濃度クロマトグラムの積分限界間のCH
3およびCH
2チャネルの全信号を考慮することによって得る。最初に、以下の比を得る。
【0090】
【数2】
次に、分子量関数としてCH3/1000TCを得る際に既に言及した通り、CH
3およびCH
2信号比の同じ較正を適用して、バルクCH3/1000TCを得る。1000TC当たりのバルクメチル鎖末端(バルクCH3末端/1000TC)を、分子量範囲にわたって鎖末端補正を加重平均することによって得る。次に、
w2b=f*バルクCH3/1000TC
バルクSCB/1000TC=バルクCH3/1000TC−バルクCH3末端/1000TC
とし、バルクSCB/1000TCを、上述と同じ方式でバルクw2に変換する。
LS検出器は、18角度のWyatt Technology High Temperature DAWN HELEOSIIである。クロマトグラムの各時点におけるLS分子量(M)を、静的光散乱のZimmモデルを使用してLS出力を分析することによって決定する(Light Scattering from Polymer Solutions;Huglin, M. B., Ed.; Academic Press, 1972)。
【0091】
【数3】
ここで、ΔR(θ)は、散乱角θにおいて測定された過剰レイリー散乱強度であり、cは、IR5分析から決定されたポリマー濃度であり、A2は、第2ビリアル係数であり、P(θ)は、単分散ランダムコイルの形状因子であり、K
oは、系の光学定数である。
【0092】
【数4】
式中、NAは、アボガドロ数であり、(dn/dc)は、系の屈折率増分である。145℃におけるTCBの屈折率、n=1.500およびλ=665nm。ポリエチレンホモポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、およびエチレン−オクテンコポリマーの分析では、dn/dc=0.1048ml/mgおよびA2=0.0015であり、エチレン−ブテンコポリマーの分析では、dn/dc=0.1048*(1−0.00126*w2)ml/mgおよびA2=0.0015(式中、w2は、ブテンコモノマーの質量パーセントである)である。
【0093】
ホイートストンブリッジ配置で配置された4つのキャピラリーと2つの圧力トランスデューサーを有する高温Agilent(またはViscotek Corporation)粘度計を使用して、比粘度を決定する。一方のトランスデューサーにより、検出器にわたるすべての圧力低下を測定し、ブリッジの両側の間に位置する他方のトランスデューサーにより、差圧を測定する。粘度計を流れる溶液の比粘度、ηsを、それらの出力から算出する。クロマトグラムの各時点における固有粘度、[η]を、等式[η]=ηs/c(式中、cは、濃度である)から算出し、IR5ブロードバンドチャネル出力から決定する。各時点における粘度MWを、M=K
PSM
αPS+1/[η](式中、α
psは0.67であり、K
psは0.000175である)として算出する。
分岐指数(g’vis)を、以下の通りGPC−IR5−LS−VIS方法の出力を使用して算出する。サンプルの平均固有粘度、[η]avgを、
【0094】
【数5】
によって算出し、ここで総和は、クロマトグラフの積分限界間のスライスiにわたるものである。分岐指数g’visは、
【0095】
【数6】
と定義され、式中、Mvは、LS分析によって決定された分子量に基づく粘度−平均分子量であり、Kおよびαは、参照直鎖状ポリマーについてのものであり、それらは、本発明の目的およびその特許請求の範囲では、直鎖状エチレンポリマーについてはα=0.695およびK=0.000579であり、直鎖状プロピレンポリマーについては、α=0.705およびK=0.0002288であり、直鎖状ブテンポリマーについては、α=0.695およびK=0.000181であり、エチレン−ブテンコポリマーについては、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0087*w2b+0.000018*(w2b)^2)(式中、w2bは、ブテンコモノマーのバルク質量パーセントである)であり、エチレン−ヘキセンコポリマーについては、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0075*w2b))(式中、w2bは、ヘキセンコモノマーのバルク質量パーセントである)であり、エチレン−オクテンコポリマーについては、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0077*w2b)(式中、w2bは、オクテンコモノマーのバルク質量パーセントである)である。別段の注記がない限り、濃度はg/cm
3で表され、分子量はg/モルで表され、固有粘度(したがってMark−Houwink式のK)はdL/gで表される。w2b値の算出は、先に論じた通りである。
逆コモノマー指数(RCI,m)を、分子量関数としてx2(コモノマーC
3、C
4、C
6、C
8等のmol%)から計算し、x2は、以下の式から得られ、式中、nは、コモノマーにおける炭素原子の数である(C
3は3、C
4は4、C
6は6等)。
【0096】
【数7】
次に、分子量分布、W(z)(式中、z=log
10M)を、Wの最大値の5%未満となるWにおける点を0に設定することによって、W’(z)に修正する。これは、組成物の信号のS/Nが低い点を有効に除去するためである。また、2000gm/モル未満の分子量についてW’の点を0に設定する。次にW’を正規化し、したがって、
【0097】
【数8】
とし、修飾質量平均分子量(M
w’)を、以下の通り有効に低減された分子量範囲にわたって算出する。
【数9】
次に、RCI,mを、
【数10】
として計算する。
また、逆コモノマー指数(RCI,m)を、質量分率コモノマー信号(w2/100)に基づいて定義し、以下の通り計算する。
【0098】
【数11】
先の定積分では、積分限界は、普遍性のために可能な限り広範にとられる。しかし実際には、その関数は、データが取得される有限範囲にわたってのみ積分され、非取得範囲の残りにおける関数は0であるとみなされる。また、W’が得られる方式によって、W’は不連続関数になる可能性があり、先の積分は区分的に行われる必要がある。
3つのコモノマー分布比は、質量%(w2)コモノマー信号に基づいて定義され、以下の通りCDR−1,w、CDR−2,w、およびCDR−3,wと示される。
【0099】
【数12】
式中、w2(Mw)は、Mwの分子量に対応する質量%コモノマー信号であり、w2(Mz)は、Mzの分子量に対応する質量%コモノマー信号であり、w2[(Mw+Mn)/2)]は、(Mw+Mn)/2の分子量に対応する質量%コモノマー信号であり、w2[(Mz+Mw)/2]は、Mz+Mw/2の分子量に対応する質量%コモノマー信号であり、ここでMwは、質量平均分子量であり、Mnは、数平均分子量であり、Mzは、z−平均分子量である。
したがって、コモノマー分布比は、
【0100】
【数13】
として、モル%コモノマー信号、CDR−1,m、CDR−2,m、CDR−3,mを利用して定義することもでき、式中、x2(Mw)は、Mwの分子量に対応するモル%コモノマー信号であり、x2(Mz)は、Mzの分子量に対応するモル%コモノマー信号であり、x2[(Mw+Mn)/2)]は、(Mw+Mn)/2の分子量に対応するモル%コモノマー信号であり、w2[(Mz+Mw)/2]は、Mz+Mw/2の分子量に対応するモル%コモノマー信号であり、ここでMwは、質量平均分子量であり、Mnは、数平均分子量であり、Mzは、z−平均分子量である。表Xは、混合触媒1および2から作成されたポリマーの分子量の特徴を示す。
【0101】
交差分別クロマトグラフィー(CFC)
交差分別クロマトグラフィー(CFC)分析を、Polymer Char、S.A.、スペイン、バレンシアのCFC−2機器を使用して行った。CFC分析の原理および使用した特定の装置の概要は、Ortin, A.; Monrabal, B.; Sancho-Tello, 257 J. Macromol. Symp. 13 (2007)による論文に示されている。論文の
図1は、使用した特定の装置の適切な模式図である。分析方法の詳細および使用した装置の特色は、以下の通りである。
【0102】
サンプル溶液の調製および溶出に使用した溶媒は、1,2−ジクロロベンゼン(ODCB)であり、これを2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(ブチル化ヒドロキシトルエン)2gを新しい溶媒の4Lのボトル内で周囲温度において溶解させることによって安定にした。分析するサンプル(25〜125mg)を、150℃で75分間撹拌することによって(200rpm)、溶媒(周囲温度で計量した25ml)に溶解させた。小体積(0.5ml)の溶液を、150℃でTREFカラム(ステンレス鋼;o.d.、3/8インチ;長さ、15cm;充填、非多孔質ステンレス鋼マイクロボール)に導入し、カラム温度を、最高温度画分よりもおよそ20℃高い温度(120〜125℃)で30分間安定にし、そのために、最終的な二変量分布の取得にGPC分析が含まれていた。次に、温度を、冷却速度0.2℃/分で適切な低温(30、0、または−15℃)に冷却することによって、サンプル体積をカラム内で結晶化させた。低温を10分間保持した後、溶媒流(1ml/分)をTREFカラムに注入して、可溶性画分(SF)をGPCカラム(3×PLgel 10μm Mixed−B 300×7.5mm、Agilent Technologies,Inc.)内で溶出した。GPCオーブンを高温(140℃)で保持した。SFをTREFカラムから5分間溶出し、次に注入弁を「ロード」位置に40分間挿入して、GPCカラムを介してSFのすべてを完全に溶出した(標準GPC注入)。その後のより高温のすべての画分を、オーバーラップGPC注入を使用して分析し、ここで各温度ステップにおいて、ポリマーを少なくとも16分間溶解させ、次に、TREFカラムからGPCカラムに3分間溶出した。IR4(Polymer Char)赤外検出器を使用して、溶出流におけるポリマー濃度に比例する吸光度信号を発生させた。
【0103】
溶出ポリマー画分の分子量分布(MWD)および分子量平均(M
n、M
w等)を決定するために、ユニバーサルキャリブレーション法を使用した。1.5〜8200kg/molの範囲内の13種の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質(Agilent Technologies,Inc.から得た)を使用して、ユニバーサルキャリブレーション曲線を作製した。Mark−Houwinkパラメータを、Mori, S.; Barth, H. G. Size Exclusion Chromatography; Springer, 1999の付録Iから得た。ポリスチレンについては、K=1.38×10
-4dl/gおよびα=0.7を使用し、ポリエチレンについては、K=5.05×10
-4dl/gおよびα=0.693を使用した。温度ステップで溶出した、0.5%未満の質量分率(質量%回収)を有するポリマー画分については、MWDおよび分子量平均を計算しなかった。さらに、このようなポリマー画分は、画分の凝集体のMWDおよび分子量平均の計算には含まれなかった。
【0104】
CFCからのTw1、Tw2、Mw1およびMw2の測定
ポリマーを比較するために、低温貯蔵交差分別(クライオCFC)を使用してMWDおよびSCBDの両方の組成情報を決定するための技術が開発されてきた。CFCデータの決定のための手順を、以下により詳細に論じる。
CFCデータファイルの「画分の概要」の節では、各画分を、その分別温度(Ti)によって、その正規化質量%値(Wi)、累積質量%、すなわち
図2および
図3の総質量、ならびに様々なモーメントの分子量平均(質量平均分子量、Mwiを含む)と共に一覧化する。
【0105】
図2および
図3は、CFCの結果を決定するために使用した算出をグラフによって示すプロットである。MWDデータを有する画分だけを考慮する。
図2および
図3の両方において、x軸は、摂氏による溶出温度を表し、右側のy軸は、溶出温度まで溶出したポリマーの質量の積分値を表す。この例で材料の100%が溶出された温度は、約100℃である。ポリマーの50%が溶出された最近接点を、積分によって決定し、次にそれを使用して、プロットのそれぞれを第1の半分および第2の半分に分ける。
【0106】
Tw1、Tw2、Mw1およびMw2の値を算出するために、「画分の概要」のデータを2つのほぼ等分に分けた。その等分ごとに、TiおよびMwiの質量平均を、質量平均の従来の定義に従って算出した。本来のデータファイルにおける分子量平均のために処理されるのに十分な量を有していなかった(すなわち、<0.5質量%)画分は、Tw1、Tw2、Mw1およびMw2の算出から除外した。
その方法の最初の部分は、
図2に示されている。CFCデータファイルにおける画分の概要の節から、50に近い累積質量%(すなわち、総質量)を有する画分を特定する(例えば、
図2では84℃における画分)。画分の概要データを2つの等分に分け、例えば
図2では、第1の半分をTi≦84℃で、第2の半分をTi>84℃で分ける。本来のデータファイルに記録された分子量平均を有していない画分は除外し、例えば
図2では、25℃〜40℃の間のTiを有する画分は除外されている。
図2では、左側のy軸は、溶出画分の質量%を表す。先の手順を使用して曲線を2つの等分に分け、これらの値を使用して、等式1に示されている式を使用して2つのそれぞれについて質量平均溶出温度を算出する。
【0107】
【数14】
等式1では、Tiは、溶出画分ごとの溶出温度を表し、Wiは、各溶出画分の正規化質量%(ポリマー量)を表す。
図2に示される例では、これによって、第1の半分については64.9℃の質量平均溶出温度が得られ、第2の半分については91.7℃の質量平均溶出温度が得られる。
図3では、左側の軸は、各溶出画分の質量平均分子量(Mwj)を表す。これらの値を使用して、等式2に示されている式を使用して2つのそれぞれについて質量平均分子量を算出する。
【0108】
【数15】
等式2では、Mwは、各溶出画分の質量平均分子量を表し、Wjは、各溶出画分の正規化質量%(ポリマー量)を表す。
図3に示される例では、これによって、第1の半分については237,539g/モルの質量平均分子量が得られ、第2の半分については74,156g/モルの質量平均分子量が得られる。上述の技術を使用して算出された値を使用して、実験ポリマーおよび対照ポリマーについてMWD×SCBDを分類することができる。
【0109】
図4は、本発明の例対商業的ベンチマークの中でMWD/SCBDの組合せにおける重要な差を示すために設計された、(Mw1/Mw2)対(Tw1−Tw2)の片対数プロットである。このような差異は、剛性、靱性および加工性などの様々な性能の性状のトレードオフパターンおよび/またはバランスを決定するのに非常に重要な役割を果たすと考えられる。
図4では、架橋ハフノセン(rac/meso−Me
2Si((Me
3Si)CH
2Cp)
2HfMe
2)をOMC2918によって表示し、ジルコノセン(rac/meso)を、対応する置換ヒドロカルビル基を反映するMeIndおよびEtIndによって表示する。他のポリマーは、表5に記載されている。
【0110】
図3のプロットでは、x軸は、第1のおよび第2の質量平均溶出温度差の値(Tw1−Tw2)を表す。対数尺度のy軸は、第1の質量平均分子量と第2の質量平均分子量の比(Mw1/Mw2)を表す。
様々なタイプのポリマー組成を、以下の通り説明することができる。
X=0/Y=0における点:絶対的に狭いMWDおよび絶対的に狭いSCBDの理想的なケース。実際は、
図2および
図3に示される通り、温度軸に沿って2つの等分に強制分割することに起因して、X=0については不可能である。
X=0の線:MWDが広範化されると同時にSCBDが絶対的に狭く維持される理想的なケース。X=0では、Y値の上または下への移動方向に差異がなく、すなわち、MWDが広範化されると同時にSCBDが絶対的に狭く維持される。
Y=0の線:SCBDが広範化されると同時にMWDが未変化のまま狭く維持されるケース。
X<0/Y<1を有する角:ポリマー組成物が、ZN−触媒を用いる従来のLLDPEによって例示される低Mwi/低Ti(高SCB)分子と高Mwi/抗Ti(低SCB)分子の組合せによって特徴付けられる、生成物。
X<0/Y>1を有する角:ポリマー組成物が、いわゆるBOCD(広範な直交組成分布)または逆組成分布の生成物によって例示される低Mwi/高Ti(低SCB)分子と高Mwi/低Ti(高SCB)分子の組合せによって特徴付けられる、生成物。
追加の試験方法には、以下が含まれる。
【実施例】
【0112】
本発明を、その具体的な実施形態と共に記載してきたが、先の説明は例示的であり、本発明の範囲を制限することを企図しないことを理解されたい。他の態様、利点および修飾は、本発明が関連する分野の技術者に明らかとなろう。
したがって、当業者に完全に開示し説明するために、以下の実施例を記載するが、それらは本発明者らが本発明とみなす範囲を制限することを企図しない。
【0113】
触媒系(すなわち、混合または二元触媒系)を、以下に示す通り、架橋ハフノセン(rac/meso−Me
2Si((Me
3Si)CH
2Cp)
2HfMe
2)およびジルコノセン(rac/meso)を使用して調製した。LLDPE生成物を評価し、それを製造するために試験すると、その結果により、高い触媒活性およびユニークなBOCD LLDPE生成物が明らかになった。
【0114】
【化6】
【0115】
すべての操作を、別段指定されない限り、不活性N
2でパージしたグローブボックス内で実施した。すべての無水溶媒を、Fisher Chemicalから購入し、脱気し、使用前に分子ふるい上で乾燥させた。重水素化溶媒を、Cambridge Isotope Laboratoriesから購入し、使用前に分子ふるい上で乾燥させた。n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液)、ジメチルシリルジクロリド(Me
2SiCl
2)およびメチルマグネシウム(methylmagnisium)ブロミド(ジエチルエーテル中3.0M溶液)を、Sigma−Aldrichから購入した。ハフニウムテトラクロリド(HfCl
4)99+%および(トリメチルシリル)メチルトリフルオロメタンスルホネートを、それぞれStrem ChemicalsおよびTCI Americaから購入した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液)、ヨードメタン、インデンおよびメチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M溶液)を、Sigma−Aldrichから購入し、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド(Cp
*ZrCl
3)を、Strem Chemicalから購入した。すべての化学物質を、別段指定されない限り購入したまま使用した。1−メチルインデンおよびリチウム−1−メチルインデンを、Curnow, O. J.; Fern, G. M. J. Organomet. Chem. 2005, 690, 3018-3026の説明に従って調製した。
【0116】
(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエン、(Me
3Si)CH
2CpHの合成
(トリメチルシリル)メチルトリフルオロメタンスルホネート(10.57g、44.7mmol)を、ジエチルエーテル150mLに溶解させ、−25℃に冷却し、この固体に、カリウムシクロペンタジエニド(KCp)(4.66g、44.7mmol)を5〜10分にわたってゆっくり添加した。Amsharov, K.; Abdurakhmanova, N.; Stepanow, S.; Rauschenbach, S.; Jansen, M.; Kern, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 9392-9396の説明に従って調製した。得られた混合物を約23℃で5時間撹拌した。反応混合物からの揮発物を、動的真空下で注意深く除去して、揮発性(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエン、(Me
3Si)CH
2CpHが蒸発しないようにした。反応フラスコ(250mLの丸底フラスコ)およびフリットとセライトを秤量して、抽出後の生成物の収量を算出した。粗製物質をペンタン(3×10mL)に抽出し、任意のさらなる精製なしに使用した。上述の数学的方法に基づいて、収量は5.55g(81.6%)と算出される。
1H NMRスペクトルを、粗製物質について記録して、生成物の形成を確認した。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6): δ -0.05 (9H, s, Si-CH
3), 1.77 (2H, d, J
HH=1.2 Hz, Me
3Si-CH
2), 2.83 (1H, sex, J
HH=1.5 Hz, Cp-CH), 5.80-6.49 (4H, m, Cp-CH) ppm.
【0117】
リチウム(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド、(Me3Si)CH2CpLiの合成
n−ブチルリチウム(14.6mL、36.5mmol)のヘキサン溶液を、(Me
3Si)CH
2CpH(5.55g、36.5mmol)の予冷溶液(ペンタンおよびジエチルエーテル、50/50mL)に、15〜20分にわたって−25℃で滴下添加した。得られた混合物を、約23℃に徐々に上昇させ、次に一晩連続的に撹拌した。揮発物を真空中で除去し、残りの粗製物質をペンタンで十分に洗浄した。最終材料を真空下で乾燥させて、(Me
3Si)CH
2CpLiの無色結晶固体を収量5.75g(99.7%)で得た。
1H NMR (400 MHz, THF-d
8): δ -0.09 (9H, s, Si-CH
3), 1.84 (2H, s, Me
3Si-CH
2), 5.36 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H), 5.47 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H) ppm.
【0118】
ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエン)、Me2Si((Me3Si)CH2CpH)2の合成
純粋なMe
2SiCl
2(340mg、2.6mmol)をTHF10mLに溶解させ、−25℃に冷却した。固体リチウム(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド(methylcyclopendienide)を先の混合物に添加し、得られた混合物を約23℃で一晩撹拌して、反応を確実に完了させた。反応混合物からの揮発物を真空中で除去し、その後、ペンタンを用いて研和して、微量のTHFを除去した。粗製物質をペンタンに抽出し、その後真空下で溶媒を除去して、Me
2Si((Me
3Si)CH
2CpH)
2の濃黄色の粘性油状物を収量750mg(80%)で得た。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6): δ -0.15 (6H, bs, SiMe
2-CH
3), 0.05 (18H, s, SiMe
3-CH
3), 1.81-1.87 (4H, m, Me
3Si-CH
2), 3.26 (1H, s, Cp-H), 3.37 (1H, s, Cp-H), 5.99-6.82 (6H, m, Cp-H) ppm.
【0119】
リチウムジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ジメトキシエタン複合体、Me2Si((Me3Si)CH2Cp)2Li2・dmeの合成
n−ブチルリチウム(1.7mL、4.2mmol、2.5M溶液)のヘキサン溶液を、ジメトキシエタン10mL中Me
2Si((Me
3Si)CH
2CpH)
2(750mg、2.1mmol)の予冷溶液に5〜10分にわたって−25℃で滴下添加した。得られた混合物を約23℃に徐々に加温し、次に一晩連続的に撹拌した。反応混合物からの揮発物を真空中で除去し、ペンタンと研和してDMEを除去した。粗製物質を、ペンタンで十分に洗浄して可溶性不純物を除去し、真空下で乾燥させて、Me
2Si((Me
3Si)CH
2Cp)
2Li
2・dmeの無色結晶固体を収量830mg(93%)で得た。
1H NMR (400 MHz, THF-d
8): δ 0.2 (18H, s, SiMe
3-CH
3), 0.93 (6H, bs, SiMe
2-CH
3), 2.26 (4H, s, Me
3Si-CH
2), 2.57 (4H, s, dme-CH
2), 2.77 (6H, s, dme-OCH
3), 5.94-6.15 (6H, m, Cp-H) ppm.
【0120】
Rac−meso−ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ハフニウムジクロリド、Me2Si((Me3Si)CH2Cp)2HfCl2の合成
固体HfCl
4(570mg、1.8mmol)を、Me
2Si((Me
3Si)CH
2Cp)
2Li
2・dme(830mg、1.8mmol)の予冷ジエチルエーテル(20mL)溶液に−25℃で添加した。得られた混合物を約23℃で一晩撹拌した。反応混合物からの揮発物を真空中で除去し、次にジクロロメタンに抽出した。真空下で溶媒を除去することにより、Me
2Si((Me
3Si)CH
2−Cp)
2HfCl
2の黄色の結晶固体を収量1.02g(94%)で得た。最終材料の
1H NMRスペクトルの積分により、約1:1比のrac/meso異性体が得られた。
1H NMR (400 MHz, CD
2Cl
2): δ -0.05 (18H, s, SiMe
3-CH
3), -0.04 (18H, s, SiMe
3-CH
3), -0.64 (3H, s, SiMe
2-CH
3, メソ), -0.65 (6H, s, SiMe
2-CH
3, rac), -0.68 (3H, s, SiMe
2-CH
3, メソ), 2.08-2.18 (8H, m, Me
3Si-CH
2), 5.14 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H), 5.28 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H), 5.64 (2H, t, J
HH=2.7 Hz, Cp-H), 5.77 (2H, t, J
HH=2.7 Hz, Cp-H), 6.19 (2H, t, J
HH=2.7 Hz, Cp-H), 6.34 (2H, t, J
HH=2.7 Hz, Cp-H) ppm.
【0121】
Rac−meso−ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチル、Me2Si((Me3Si)CH2Cp)2HfMe2の合成
MeMgBr(1.12mL、3.34mmol)のエーテル溶液を、Me
2Si((Me
3Si)CH
2−Cp)
2HfCl
2(1.01g、1.65mmol)の予冷ジエチルエーテル溶液に、3〜5分にわたって−25℃で滴下添加した。得られた混合物を約23℃で一晩撹拌して、反応を確実に完了させた。不溶性材料を、セライトパッドを介して濾過した。濾液からの揮発物を真空下で除去し、次に粗製物質をペンタンに抽出した。溶媒を真空中で除去することにより、Me
2Si((Me
3Si)CH
2−Cp)
2HfMe
2の黄色の粘着性材料を収量660g(71%)で得た。最終材料の
1H NMRスペクトルの積分により、約1:1比のrac/meso異性体が得られた。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6): δ -0.25(3H, s, Hf-CH
3, メソ), δ -0.24 (6H, s, Hf-CH
3, rac), δ -0.20 (3H, s, Hf-CH
3, メソ), 0.03 (18H, s, SiMe
3-CH
3), 0.04 (18H, s, SiMe
3-CH
3), 0.19 (3H, s, SiMe
2-CH
3, メソ), 0.20 (6H, s, SiMe
2-CH
3, rac), 0.22 (3H, s, SiMe
2-CH
3, メソ), 2.06 (4H, s, Me
3Si-CH
2, rac), 2.09 (4H, d, J
HH=3.1 Hz, Me
3Si-CH
2, メソ), 5.03 (2H, t, J
HH=2.2 Hz, Cp-H), 5.10 (2H, t, J
HH=2.2 Hz, Cp-H), 5.34 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H), 5.44 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H), 6.26 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H), 6.31 (2H, t, J
HH=2.6 Hz, Cp-H) ppm.
【0122】
Rac−meso−ビス(1−メチル−インデニル)ジルコニウムジメチル、(1−MeInd)2ZrMe2の合成
500mLの丸底フラスコ中、固体ZrCl
4(9.42g、40.4mmol)を、ジメトキシエタン(DME)250mLを用いてスラリー化させ、−25℃に冷却した。固体リチウム−1−メチル−インデニル(11.0g、80.8mmol)を5〜10分にわたって添加した。橙色−黄色の反応混合物を、約23℃に徐々に加温し、その後80℃で1時間加熱して、ビス(1−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドをその場で確実に形成させた。得られる混合物を加熱している間、最初に透明になり、次に反応過程にわたって副生成物(LiCl)が沈殿し、生成物の形成が明らかになった。任意のさらなる精製なしに、ビス(1−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドの反応混合物を−25℃に冷却し、これに、メチルマグネシウムブロミド(27.0mL、80.8mmol、ジエチルエーテル中3.0M溶液)のエーテル溶液を10〜15分にわたって添加した。得られた混合物は、ゆっくり薄黄色に変化し、次に反応過程にわたってあずき色に変化し、それを約23℃で一晩連続的に撹拌した。揮発物を真空中で除去した。次に、粗製物質をヘキサン(50mL×5)で抽出し、溶媒を除去すると、(1−MeInd)
2ZrMe
2がオフホワイトの固体として収量13.6g(89%)で形成された。最終材料の
1H NMRスペクトルの積分により、約0.8:1比のrac/meso異性体が得られた。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6): δ -1.33 (3H, s, メソ), -0.84 (4.77H, s, rac), -0.34 (3H, s, メソ), 2.14 (11.42H. 重複s), 5.47-5.42 (6.41H, m), 6.95-6.88 (7.34H, m), 7.14-7.06 (3.45H, m), 7.30-7.27(3.35H, m) ppm.
【0123】
担持触媒合成
混合触媒1(Rac−meso−ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチル:rac,meso−(1−MeInd)2ZrMe2、80:20)
撹拌容器に、トルエン1400gを、メチルアルミノキサン(トルエン中30質量%)925gと共に添加した。この溶液に、875℃で焼成したシリカであるES70シリカ734gを添加した。混合物を100℃で3時間撹拌した後、温度を低減し、反応物を約23℃に冷却した。次に、Rac−meso−ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチル(16.35g、32.00mmol)およびビス−エチルインデニルジルコニウム(IV)ジメチル(3.26g、8.00mmol)をトルエン(250g)に溶解させ、容器に添加し、それをさらに2時間撹拌した。次に、混合速度を低減し、ゆっくり撹拌すると同時に、真空下で60時間乾燥させた後、淡黄色材料1038gを得た。
【0124】
混合触媒2(Rac−meso−ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチル:rac,meso−(1−EthInd)2ZrMe2、80:20)
撹拌容器に、トルエン1400gを、メチルアルミノキサン(トルエン中30質量%)925gと共に添加した。この溶液に、875℃で焼成したシリカであるES70シリカ734gを添加した。混合物を100℃で3時間撹拌した後、温度を低減し、反応物を約23℃に冷却した。次に、Rac−meso−ジメチルシリル−ビス((トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチル(18.1g、32.00mmol)およびビス−エチルインデニルジルコニウム(IV)ジメチル(3.04g、8.00mmol)をトルエン(250g)に溶解させ、容器に添加し、それをさらに2時間撹拌した。次に、混合速度を低減し、ゆっくり撹拌すると同時に、真空下で60時間乾燥させた後、淡黄色材料1038gを得た。
【0125】
Rac−meso−ビス(1−エチル−インデニル)ジルコニウムジメチル、(1−EtInd)2ZrMe2の合成
500mLの丸底フラスコに、固体ZrCl
4(9.42g、40.4mmol)を、ジメトキシエタン(DME)250mLを用いてスラリー化し、−25℃に冷却した。固体リチウム−1−エチル−インデニル(12.13g、80.8mmol)を5〜10分にわたって添加し、次に、反応混合物を約23℃に徐々に加温した。得られた橙色−黄色混合物を80℃で1時間加熱して、ビス(1−エチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドを確実に形成させた。最初に透明になり、次に反応過程にわたって副生成物(LiCl)が沈殿し、生成物の形成が明らかになった。さらなる精製なしに、ビス(1−エチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドの反応混合物を−25℃に冷却し、これに、メチルマグネシウムブロミド(27.0mL、80.8mmol、ジエチルエーテル中の3.0M溶液)のエーテル溶液を10〜15分にわたって添加した。得られた混合物は、ゆっくり薄黄色に変化し、次に反応過程にわたってあずき色に変化し、それを約23℃で一晩連続的に撹拌した。揮発物を真空中で除去した。次に、粗製物質をヘキサン(50mL×5)で抽出し、その後の溶媒の除去により、(1−EtInd)
2ZrMe
2がオフホワイトの固体として収量13.0g(78.9%)で形成された。最終材料の
1H NMRスペクトルの積分により、約1:1比のrac/meso異性体が得られた。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6): δ -1.38 (3H, s, Zr-CH
3, メソ), -0.88 (6H, s, Zr-CH
3, rac), -0.30 (3H, s, Zr-CH
3, メソ), 1.10-1.04 (12H, m, Et-CH
3), 2.41-2.52 (4H, m, Et-CH
2), 2.67-2.79 (4H, m, Et-CH
2), 5.46-5.52 (8H, m, Ind-CH), 6.90-6.96 (8H, m, Ar-CH), 7.08-7.15 (4H, m, Ar-CH), 7.28-7.22 (4H, m, Ar-CH) ppm.
【0126】
混合触媒系および重合方法
重合方法を、18インチの直径直線部分を有する18.5フィートの高さの気相流動床反応器内で実施した。循環ガスおよび供給ガスを、有孔分配器プレートを介して反応器本体に供給し、反応器を300psiおよび70mol%エチレンで制御した。反応器温度を、循環ガスを加熱することによって維持した。異なる弱いコモノマー組込み剤(上述のジルコノセン)である触媒を使用して、得られるポリマーの特性を変えることができる。混合触媒1を使用することにより、混合触媒系2よりも低いメルトインデックス比の樹脂が得られた。弱いコモノマー組込み剤(上述のジルコノセン)および良好なコモノマー組込み剤(上述のハフノセン)の比を使用して、生成物の特性を調整することもできる。反応条件および生成物の特性は、以下の表に見ることができる。
【0127】
【表2】
【0128】
二峰性ポリエチレンの核磁気共鳴測定により、表2にまとめられる通り、いくつかの不飽和が明らかになる。「Vy1」、「Vy2」および「Vy5」の表示は、
図1の例の
1H NMRに示される通り、ポリマー骨格内の二重結合上のプロトンに起因するプロトン共鳴を指す。
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
フィルムの製造および評価
表1の本発明のポリマーのインフレーションフィルムの評価は、Gloucesterラインによりダイギャップ60ミルおよび2.5BURで行った。さらなる処理データ(process data)は、表6に見出される。1.0ミルゲージにおけるフィルム特性を、以下の表7にまとめ、比較フィルムを表8にまとめる。
【0134】
TDAは、全欠陥面積(Total Defect Area)である。これは、フィルム試料の欠損の尺度であり、平方メートル(m
2)による調査したフィルム面積によって正規化された平方ミリメートル(mm
2)による累積欠損面積として記録され、したがって(mm
2/m
2)または「ppm」の単位を有する。以下の表では、200ミクロンを超える寸法を有する欠損だけが記録されている。
TDAを、光学制御系(OCS)によって得る。この系は、小型押出機(ME20 2800)、キャストフィルムダイ、冷やすためのロールユニット(モデルCR−9)、良好なフィルム張力制御を伴う巻取り系、および作製されたキャストフィルムを光学的欠損について調査するためのオンラインカメラ系(モデルFSA−100)からなる。キャストフィルム作製のための典型的な試験条件を、以下に示す。
・押出機温度設定(℃):供給口/帯域1/帯域2/帯域3/帯域4/ダイ:70/190/200/210/215/215
・押出機速度:50rpm
・冷やすためのロールの温度:30℃
・冷やすためのロールの速度:3.5m/分
系により、幅約4.9インチおよび名目上のゲージ2ミルのキャストフィルムを作製する。溶融温度は材料と共に変わり、約215℃である。
【0135】
ESOは、比エネルギー量(Energy specific output)であり、押出機電力(hp)消費によって正規化された、フィルム押出しの押出し量(ポンド/時)であり、材料の加工性の尺度である。
図5は、比較例および本発明の例の両方について、樹脂密度の関数としての平均MD/TDフィルム弾性率を示す図である。以下の等式(等式3)は、その樹脂密度への比較例のフィルムの弾性率依存を示す。本発明のすべての例は、所与の樹脂密度のフィルム剛性において、実質的な利点を示した。
平均弾性率=C1*密度−C2(等式3)
【0136】
【表7】
【0137】
【表8】
【0138】
【表9】
【0139】
別段の指定がない限り、「から本質的になる(consists essentially of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、本明細書に具体的に言及されていようといまいと、他のステップ、要素、または材料が、本発明の基本的な新規な特徴に影響を及ぼさない限り、このようなステップ、要素、または材料の存在を除外せず、さらに、使用される要素および材料と通常関連する不純物および変動を除外しない。
【0140】
簡単にするために、本明細書では、ある特定の範囲だけが明確に開示されている。しかし、任意の下限から始まる範囲は、明確に記載されていない範囲を記載するために任意の上限と組み合わせることができ、同様に、任意の下限から始まる範囲は、明確に記載されていない範囲を記載するために任意の他の下限と組み合わせることができ、任意の上限から始まる範囲は、明確に記載されていない範囲を記載するために任意の他の上限と組み合わせることができる。さらに、ある範囲内には、明確に記載されていなくても、そのエンドポイントの間のすべての点または個々の値が含まれる。したがって、すべての点または個々の値は、明確に記載されていない範囲を記載するために、任意の他の点または個々の値または任意の他の下限または上限と組み合わせたそれ自体の下限または上限として働くことができる。
【0141】
すべての優先権文書は、このような組込みが許容されるすべての管轄権について、このような開示が本発明の説明と合致する程度に、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。さらに、試験手順、刊行物、特許文書、学術論文等を含む、本明細書に引用されるすべての文書および参考文献は、このような組込みが許容されるすべての管轄権について、このような開示が本発明の説明と合致する程度に、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
【0142】
本発明を、いくつかの実施形態および例に関して記載してきたが、本開示の利益を享受する当業者は、本明細書に開示される本発明の範囲および精神から逸脱しない他の実施形態も考えられ得ることを理解されよう。
第1のメタロセン触媒が、少なくとも50%のラセミ化合物、好ましくは少なくとも90%のラセミ化合物、より好ましくは少なくとも97%のラセミ化合物を含む、請求項1または2に記載の触媒系。
第2のメタロセン触媒が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メソ−(1エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルまたはそれらの組合せを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒系。
第2のメタロセン触媒が、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac/meso−(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、meso−(1エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−(1エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、またはそれらの組合せを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒系。