(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【氏名又は名称】セントロ デ インベスティガシオンス エネルジェチカス メディオアンビエンタゥス イェ テクノロジカス オー.エイ. エム.ピー.
【氏名又は名称原語表記】FUNDACION INSTITUTO DE INVESTIGACION SANITARIA FUNDACION JIMENEZ DIAZ
本開示は、ピルビン酸キナーゼ欠損症に対する遺伝子治療を提供するために、哺乳類細胞で遺伝子を発現させるためのポリヌクレオチドカセット、発現ベクター、および方法を提供する。
薬学的に許容される賦形剤と、請求項9〜12のいずれかに記載の組み換え遺伝子送達ベクターまたは請求項13〜15のいずれかに記載の細胞と、を含む、薬学的組成物。
ピルビン酸キナーゼ欠損症(PKD)の治療または予防を必要とする対象におけるピルビン酸キナーゼ欠損症(PKD)を治療または予防する方法であって、前記対象に請求項16に記載の薬学的組成物を提供することを含む、方法。
赤血球細胞においてヒトPKLR遺伝子を発現させるための方法であって、1つ以上の赤血球細胞を組み換えウイルスベクターの有効量と接触させることを含み、前記ベクターが、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター、コドン最適化PKLR導入遺伝子、および突然変異したウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメントを含み、前記コドン最適化PKLR導入遺伝子が、SEQ ID NO:8と少なくとも95%の同一性を共有し、前記接触後、PKLRが前記1つ以上の赤血球細胞において検出可能なレベルで発現する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用される「ベクター」は、ポリヌクレオチドを含むか、またはポリヌクレオチドと結合し、ポリヌクレオチドの細胞への送達を媒介することができる巨大分子または巨大分子の結合を指す。例示的なベクターとしては、例えば、プラスミド、ウイルスベクター、リポソーム、および他の遺伝子送達ビヒクルが挙げられる。
【0023】
「LV」という用語は、レンチウイルスの略語であり、ウイルスそれ自体またはその派生物を指すことができる。この用語は、他の意味を有する場合を除き、全てのサブタイプおよび天然型ならびに組み換え型の両方を網羅する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」または「コード配列」という用語は、遺伝子産物をコードするインビトロまたはインビボでのヌクレオチド配列を指す。いくつかの例では、遺伝子は、コード配列、すなわち、遺伝子産物をコードする配列からなるか、またはそれから本質的になる。他の例では、遺伝子は、追加の非コード配列を含む。例えば、遺伝子は、コード領域に先行する領域およびコード領域に続く領域、例えば、5’非翻訳(5’UTR)または「リーダー」配列および3’UTRまたは「トレーラー」配列、ならびに個々のコードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「治療遺伝子」は、発現すると、その遺伝子が存在する細胞もしくは組織に、またはその遺伝子が発現される哺乳類に有益な効果を付与する遺伝子を指す。有益な効果の例としては、状態または疾患の徴候もしくは症状の改善、状態または疾患の予防もしくは阻害、または所望の特性の付与が挙げられる。治療遺伝子は、細胞または哺乳類の遺伝子欠損を修復する遺伝子を含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、導入遺伝子は、ベクターによって細胞に送達された遺伝子である。
【0027】
本明細書で使用される場合、「遺伝子産物」という用語は、ポリヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、または干渉RNA(短干渉RNA(siRNA)、miRNAまたは短ヘアピンRNA(shRNA)を含める)などのポリヌクレオチド配列の所望の発現産物を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。この用語はまた、修飾されているアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、または標識化成分との抱合も包含する。
【0029】
「含む(comprising)」とは、記載された要素が、例えば、組成物、方法、キットなどで必須であるが、他の要素が、例えば、組成物、方法、キットなどを形成するために、特許請求の範囲の範囲内に含まれてもよいことを意味する。例えば、プロモーターに作動可能に連結されている治療ポリペプチドをコードする遺伝子を「含む」発現カセットは、遺伝子およびプロモーターに加えて、他のエレメント、例えば、ポリアデニル化配列、エンハンサーエレメント、他の遺伝子、リンカードメインなどを含んでもよい発現カセットである。
【0030】
「本質的になる」とは、例えば、組成物、方法、キットなどの基本的かつ新規な特性(複数可)に重大な影響を及ぼさない指定された材料または工程に対して記載された、例えば、組成物、方法、キットなどの範囲の限定を意味する。例えば、プロモーターおよびオリアデニル化配列に作動可能に連結されている治療ポリペプチドをコードする遺伝子「から本質的になる」発現カセットは、それらが遺伝子の転写または翻訳に重大な影響を及ぼさない限りにおいて、追加の配列、例えば、リンカー配列を含んでもよい。別の例として、記載された配列「から本質的になる」多様体(variant)、または変異体のポリペプチド断片は、それが誘導される完全長ナイーブポリペプチドに基づいて、配列の境界で約10個のアミノ酸残基を加える、または差し引く記載された配列のアミノ酸配列を有し、例えば、記載された境界アミノ酸残基よりも10、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個少ない残基、または記載された境界アミノ酸残基よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個多い残基を有する。
【0031】
「からなる」とは、特許請求の範囲に指定されていない任意の要素、工程、または成分の、組成物、方法、またはキットからの除外を意味する。例えば、プロモーター、および転写後調節エレメントに作動可能に連結されている治療ポリペプチドをコードする遺伝子「からなる」発現カセットは、プロモーター、治療ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、および転写後調節エレメントのみからなる。別の例として、記載された配列からなる」ポリペプチドは、記載された配列のみを含有する。
【0032】
本明細書で使用される「発現ベクター」は、目的の遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドを含み、かつ意図した標的細胞において遺伝子産物の発現をもたらすベクター、例えば、上述のような、または当該技術分野において既知であるようなプラスミド、ミニサークル、ウイルスベクター、リポソームなどを包含する。発現ベクターはまた、標的における遺伝子産物の発現を容易にするために、コード領域に作動的に連結された制御エレメントも含む。制御エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサー、UTR、miRNA標的化配列などと、これらが発現のために作動可能に連結されている遺伝子(単数または複数)との組み合わせは、「発現カセット」と称されることもある。多くのこのような制御エレメントは、当該技術分野において既知で、利用可能であり、当該技術分野において利用可能な構成要素から容易に構築され得る。
【0033】
本明細書で使用される「プロモーター」は、RNAポリメラーゼの結合に向けさせ、これによってRNA合成を促進するDNA配列、すなわち、転写に向けさせるのに十分な最小配列を包含する。プロモーターおよび対応するタンパク質またはポリペプチド発現は、ユビキタスであることができ、これは、広範囲の細胞、組織および種において非常に活性であり、または細胞特異性、組織特異性、もしくは種特異性であることを意味する。プロモーターは、「構成的」であってもよく、これは、連続活性または「誘導性」を意味し、プロモーターが、生物因子または非生物因子の存在もしくは不在下により活性化または不活性化され得ることを意味する。プロモーター配列に隣接してもよいか、または隣接しなくてもよいエンハンサー配列も本発明の核酸構築物またはベクターに含まれる。エンハンサー配列は、プロモーター依存的遺伝子発現に影響を及ぼし、天然の遺伝子の5’または3’領域内に位置することができる。
【0034】
本明細書で使用される「エンハンサー」は、隣接した遺伝子の転写を刺激または阻害するシス作用性エレメントを包含する。転写を阻害するエンハンサーも「サイレンサー」と呼ばれる。エンハンサーは、コード配列から最大数キロ塩基対の距離にわたる、および転写領域の下流の位置から最大数キロ塩基対の距離にわたるいずれかの配向において機能することができる(すなわち、コード配列と関連することができる)。
【0035】
本明細書で使用される「終結シグナル配列」は、RNAポリメラーゼに転写を終結させる任意の遺伝要素、例えば、ポリアデニル化シグナル配列などを包含する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「作動的に連結された」または「作動可能に連結された」という用語は、遺伝要素、例えば、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル配列、ポリアデニル化配列などの並置を指し、ここでは、これらの要素が、それらが予期した様式で作動することを可能にする関係にある。例えば、プロモーターがコード配列の転写の開始を助ける場合、プロモーターは、コード領域と作動的に連結している。この機能的関係が維持される限りにおいて、プロモーターとコード領域との間に介在する塩基があってもよい。
【0037】
本明細書で使用される場合、「異種」という用語は、比較されている実体の残部のものとは遺伝子型が異なる実体に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学的技術によって異なる種に由来するプラスミドまたはベクターに形質導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである。別の例として、その天然のコード配列から除去され、自然には連結されていないコード配列に作動的に連結されたプロモーターは、異種プロモーターである。したがって、例えば、異種遺伝子産物をコードする異種核酸を含むLVベクターは、通常は自然には生じる、野生型LVには含まれない核酸を含むLVベクターであり、コードされる異種遺伝子産物は、自然に生じる、野生型LVによって通常はコードされない遺伝子産物である。
【0038】
ヌクレオチド分子または遺伝子産物に関して本明細書で使用される「内因性」という用語は、宿主ウイルスまたは細胞中で自然に生じるか、それらと関連する、核酸配列、例えば、遺伝子もしくは遺伝要素、または遺伝子産物、例えば、RNA、タンパク質を指す。
【0039】
本明細書で使用される「天然の」という用語は、野生型ウイルスまたは細胞中に存在する、ヌクレオチド配列、例えば、遺伝子、遺伝子産物、例えばRNA、タンパク質を指す。
【0040】
本明細書で使用される「多様体」という用語は、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列、例えば、天然のポリヌクレオチドまたはポリ絵プチド配列の変異体を指し、すなわち、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と100%未満の配列同一性を有するものを指す。別の言い方をすれば、ポリヌクレオチド配列の多様体は、参照ポリヌクレオチド配列、例えば、天然のポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも1つのヌクレオチドの違い(例えば、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド挿入、またはヌクレオチド欠失)を含む。ポリペプチド配列の多様体は、参照ポリペプチド配列、例えば、天然のポリペプチド配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸の違い(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、またはアミノ酸欠失)を含む。例えば、多様体は、完全長の天然のポリヌクレオチド配列と70%以上の配列同一性を有する、例えば、完全長の天然のポリヌクレオチド配列と75%または80%以上の同一性(85%、90%、または95%以上など)、例えば、98%または99%の同一性を有するポリヌクレオチドであり得る。別の例として、多様体は、完全長の天然のポリペプチド配列と70%以上の配列同一性を有する、例えば、完全長の天然のポリペプチドチド配列と75%または80%以上の同一性(85%、90%、または95%以上など)、例えば、98%または99%の同一性を有するポリペプチドであり得る。多様体はまた、参照の、例えば、天然の配列の断片と70%以上の配列同一性を共有する、例えば、天然の配列と75%または80%以上の同一性(85%、90%、または95%以上など)、例えば、98%または99%の同一性を共有する、参照の、例えば、天然の配列の多様体断片も含んでもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「生物学的活性」および「生物学的に活性」という用語は、細胞中の特定の生物元素に寄与する活性を指す。例えば、「免疫グロブリン」、「抗体」またはその断片もしくは多様体の「生物学的活性」は、抗原決定基に結合し、これにより免疫学的機能を促進する能力を指す。別の例として、ポリペプチドまたはその機能断片もしくは多様体の生物学的活性は、例えば、結合、酵素活性などのその天然の機能を実行するためのポリペプチドまたはその機能断片もしくは多様体の能力を指す。3番目の例として、遺伝子調節エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサー、コザック配列などの生物学的活性は、調節エレメントまたはその機能断片もしくは多様体の、それが作動可能に連結されている遺伝子の発現を、調節する、すなわち、それぞれ、遺伝子の発現を促進し、向上させ、または翻訳を活性化するための能力を指す。
【0042】
本明細書で使用される「投与する」または「導入する」という用語は、組み換えタンパク質発現のために、ベクターの対象の細胞および/もしくは臓器への送達、または対象への送達を指す。このような投与または導入は、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで行われてもよい。遺伝子産物の発現のためのベクターは、トランスフェクションによって細胞に導入され得、これは、典型的には、物理的手段(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、電気穿孔法、マイクロインジェクション、またはリポフェクション)による異種DNAの細胞への挿入;感染(これは、典型的には、感染因子、すなわち、ウイルスを経由した導入を指す);または形質導入(これは、典型的には、細胞のウイルスによる安定した感染、またはウイルス性因子(例えば、バクテリオファージ)を経由した遺伝物質の1つの微生物から別の微生物への移入を意味する)を意味する。
【0043】
「形質転換」は、典型的には、異種DNAを含む細菌、または腫瘍細胞などの、癌遺伝子を発現し、かつ連続した増殖モードに変換された細胞を指すように使用される。細胞を「形質転換する」ために使用されるベクターは、プラスミド、ウイルス、または他のビヒクルであり得る。
【0044】
典型的には、異種DNA(すなわち、ベクター)の細胞への投与、導入、または挿入に使用された手段に応じて、細胞は、「形質導入された」、「感染された」、「トランスフェクトされた」、または「形質転換された」と呼ばれる。「形質導入された」、「トランスフェクトされた」、および「形質転換された」という用語は、異種DNAの導入の方法とは無関係に、本明細書では互換的に使用されてもよい。
【0045】
本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、ベクターを用いて導入され、感染され、トランスフェクトされ、または形質転換された細胞を指す。ベクターは、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどであり得る。培養条件、例えば、温度、pHなどは、発現用に選択された宿主細胞で前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。「宿主細胞」という用語は、最初の導入され、感染され、トランスフェクトされ、または形質転換された細胞およびその子孫を指すことが理解されよう。
【0046】
「治療」、「治療する」、およびその他同種のものは、所望の薬理学的および/または生理学的硬化を得ることを一般的に意味するように、本明細書で使用される。この効果は、疾患またはその症状を完全もしくは部分的に予防する、例えば、疾患またはその症状が対象で発症する可能性を低減するという観点から予防的であってもよく、および/もしくは疾患ならびに/または疾患に起因する有害効果に対する部分的または完全治癒という観点から治療的であってもよい。本明細書で使用される「治療」は、哺乳類における疾患の任意の治療を網羅し、(a)疾患に罹りやすい可能性があるが、それを有すると未だ診断されていない対象において疾患が発生することを予防すること、(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、または(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすことが含まれる。治療薬は、疾患または損傷の発症前、発症中、または発症後に投与され得る。治療が患者の望ましくない臨床症状を安定化または低減する、進行中の疾患の治療が、特に関心がある治療である。このような治療は、望ましくは、患部組織における機能の完全な喪失の前に実施される。主題の療法は、望ましくは、疾患の症候的な段階中に、場合によっては、疾患の症候的な段階後に施される。
【0047】
「個体」、「宿主」、「対象」、および「患者」は、本明細書では互換的に使用され、サルおよびヒト;哺乳類競技動物(例えば、ウマ);哺乳類家畜(例えば、ヒツジ、ヤギなど);哺乳類愛玩動物(イヌ、ネコなど);および齧歯類(例えば、マウス、ラットなど)が含まれる、ヒトおよび非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない哺乳類を指す。
【0048】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、および「the」は、文脈上明らかに別の意味を示していると判断されない限り、複数形も同様に含むことを意図する。さらに、「含んでいる」、「含む」、「有している」、「有する」、「伴う」という用語、またはこれらの変形は、発明を実施するための形態および/または特許請求の範囲のいずれかで使用され、このような用語は、用語「含んでいる(comprising)と同様な様式で包括的であると意図する。
【0049】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対して許容誤差範囲内にあることを意味し、これは、その値がどのように測定または決定されたかに、すなわち、測定系の制約に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、当該技術分野における実行につき、1または1超の標準偏差以内にあることを意味することができる。あるいは、「約」は、所定の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、およびより好ましくはなお最大1%の範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的系または過程に関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、およびより好ましくは2倍以内であることを意味することができる。特定の値が本出願および特許請求の範囲内で記載される場合、特に明記しない限り、特定の値に対して許容誤差範囲内にあることを意味する「約」という用語が想定されるべきである。
【0050】
別途記載のない限り、本明細書で使用される全ての用語は、それらが当業者に使用されるものと同じ意味を有し、本発明は、当業者の知識の範囲内にある、微生物学の従来の手技および組み換えDNA手技を利用するであろう。
【0051】
本発明の実行は、別途記載のない限り、当業者の技能の範囲内にある、細胞生物学、分子生物学(組み換え手技を含む)、微生物学、生化学および免疫学の従来の手技を利用する。このような手技は、文献に完全に説明されており、これらの文献は、例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,second edition(Sambrook et al.,1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait,ed.,1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney,ed.,1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Handbook of Experimental Immunology」(D.M.Weir & C.C.Blackwell,eds.);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.Miller & M.P.Calos,eds.,1987);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」,(Mullis et al.,eds.,1994);and「Current Protocols in Immunology」(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)であり、これらの各々は、参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。
【0052】
ある特定の実施形態では、本開示は、細胞中の遺伝子の発現のためのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドカセット、および発現ベクターを提供する。また、薬学的組成物および細胞中の例えば個体における遺伝子の発現の促進において、例えば、障害の治療または予防のために、組成物のいずれかを使用するための方法も提供される。本発明のこれらならびに他の目的、利点、および特徴は、以下により完全に説明される組成物および方法の詳細を読み取れば、当業者には明らかになるであろう。
【0053】
本発明は、概して、分子生物学およびウイルス学の分野に関し、詳細には、選択された治療構築物(例えば、ペプチド、ポリペプチド、リボザイム、および触媒RNA分子を含む)をコードする核酸セグメントの脊椎動物の選択された細胞および組織への送達に有用な、遺伝子発現カセットおよびそれらを含むベクターに関する。特に、これらの遺伝子構築物は、哺乳類の、特に、ヒトの疾患、障害、および機能不全の治療のための、例えば、LVベクターを含む、遺伝子治療ベクターの開発で有用である。
【0054】
開示された組成物は、様々なヒトの疾患の予防および治療を含む、様々な研究用、診断用および治療用レジメンで利用され得る。本発明の様々な組成物および方法が、以下に記載される。
【0055】
特定の組成物および方法が、本明細書に例示されているが、多くの代替組成物および方法のいずれも、本発明の実施で使用するために適用可能かつ好適であることが理解される。本発明の発現構築物および方法の評価が、当該技術分野において標準的な手順を使用して実行され得ることも理解される。
【0056】
ある特定の実施形態では、方法および組成物が、動物での、特にヒトでの疾患、障害、および機能不全の中心的な標的化遺伝子治療に有用な薬剤の調製で使用するための、これらの遺伝子発現カセットを含む、遺伝子治療ベクター組成物、例えばウイルスベクターの調製のために提供される。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明は、PKLR cDNAの発現を駆動するPGK真核プロモーターを保有するLVベクターに基づく、PKDのための遺伝子治療を提供する。この治療ベクターは、その後、対象に移植され得る、造血幹細胞(HSC)に形質導入するために使用することができる。異所性RPK発現は、血液学的表現型を修復し、臓器病理を元に戻す赤血球区画を正常化する。メタボロミック研究は、遺伝子修復されたPKD HSCに由来するRBCにおける解糖経路の機能的修復が、白血球における代謝障害を伴わないことを実証している。移植した造血細胞ゲノム中のLV ISの分析は、移植した動物のいずれにおいても遺伝毒性の証拠を示していない。全体的に、これらの結果は、PGK−coRPK LVベクターの治療的可能性を強調しており、PKDおよび他の赤血球代謝遺伝病の遺伝子治療に高い期待を寄せている。
【0058】
ある特定の実施形態では、本発明は、PKDの遺伝子修復のために、RPK LVベクターを提供する。このベクターによるマウスPKD−HSCの遺伝子改変は、移植したPKDマウスにおける溶血性表現型およびRBC代謝プロファイルを効率的に修復することができる。ベクター組み込みに由来する白血球における代謝障害および遺伝毒性の証拠は観察されておらず、PGK−coRPK LVベクターの治療的可能性を支持している。全体的に、これらの結果は、臨床応用用に設計されたLVによるPKDのための遺伝子治療の実現可能性の有望な証拠を提供する。
【0059】
本発明のある特定の実施形態は、ヒトPLKR遺伝子のコドン最適化型を発現する、自己不活性(SIN)型LVベクターを含む。この発現ベクターは、プロモーター領域、コード配列、および転写後調節エレメントを含む。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドカセットのある特定の実施形態は、プロモーター配列、またはその機能的断片を含むプロモーター領域を含む。一実施形態では、このプロモーターは、ヒトPGKプロモーターである。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態は、ピルビン酸キナーゼの増強発現(例えば、ヒトPLKR遺伝子)のためのポリヌクレオチドカセットを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは、転写時にmRNAの安定性を増加させるために、ヒトPKLR cDNA(coRPK)のコドン最適化型を含む。最適化については、GC含量を増加させ、転写サイレンシングを回避するために、したがって導入遺伝子の発現を増加させるために隠れたスプライス部位を除去する、GeneArt(登録商標)ソフトウェアが使用されてもよい。coRPK最適化配列は、タンパク質のアミノ酸の変化がない状態で、ヒトPKLR遺伝子と80.4%の相同性を示した。あるいは、当該技術分野において既知の任意の最適化方法が使用されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは、第2のエンハンサーの下流のRNA搬出シグナルを含む。RNA搬出シグナルは、wPRE配列を含み得る。いくつかの実施形態では、いかなる残留するオープンリーディングフレームも欠如する突然変異したwPRE(Schambach,Bohne et al.2006)もまた、治療遺伝子の発現および安定性のレベルを改善するために含まれる。「RNA搬出シグナル」という用語は、当該技術分野において既知の「転写後調節エレメント」のいずれかを指してもよい。用語「RNA搬出シグナル」および「転写後調節エレメント」、ならびにその他同種のものは、これらがベクター手技および開発の分野において一般的であるために、本明細書では互換的に使用される。本開示のいくつかの実施形態で使用される例示的なRNA搬出シグナルまたは転写後調節エレメントには、B型肝炎ウイルス転写後調節エレメント(HBVPRE)、またはシミアンレトロウイルスタイプ1(SRV−1)およびタイプ2(SRV−2)を含むシミアンレトロウイルスならびにマソン−ファイザー(MPV)に由来する構成的搬出エレメント(CTE)が挙げられるが、これらに限定されない。転写後調節エレメントは、米国特許第6,136,597号;Donello et al.J.Virol.72:5085−92(1998);Hlavaty et al.Virology 341:1−11(2005);およびOh et al.Retrovirology 4:38(2007)によって提供されている。さらなる代替wPRE配列は、Zanta−Boussif et al.Gene Therapy 16:605−19(2009)により提供されている。前述の参考文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明のいくつかの態様では、本発明のポリヌクレオチドカセットを含む、遺伝子送達ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、遺伝子送達ベクターは、LVである。
【0064】
本発明のいくつかの態様では、本発明のポリヌクレオチドカセットと、薬学的賦形剤と、を含む、薬学的組成物が提供される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、本発明の遺伝子送達ベクターと、薬学的賦形剤と、を含む。
【0065】
本発明のいくつかの態様では、哺乳類細胞中で導入遺伝子を発現するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の哺乳類細胞を、有効量の本発明のポリヌクレオチドカセットまたは本発明の遺伝子送達ベクターと接触させることを含み、ここでは、導入遺伝子が、1つ以上の哺乳類細胞中で検出可能なレベルで発現される。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の哺乳類細胞を、有効量の本発明のポリヌクレオチドカセットまたは本発明の遺伝子送達ベクターと接触させることを含み、ここでは、導入遺伝子が、1つ以上の哺乳類細胞中で治療的なレベルで発現される。いくつかの実施形態では、方法は、インビトロで行われる。他の実施形態では、方法は、インビボで行われる。
【0066】
本発明のいくつかの態様では、方法は、疾患または障害の治療もしくは予防を必要とする哺乳類における疾患または障害の治療もしくは予防のために提供される。いくつかの実施形態では、方法は、有効量の本発明の薬学的組成物を哺乳類に投与することを含み、ここでは、コード配列が、治療遺伝子産物をコードする。
【0067】
組成物
本開示のいくつかの態様では、真核細胞(複数可)中の導入遺伝子の発現のために、組成物が提供される。いくつかの態様では、真核細胞は、哺乳類細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳類細胞は、造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、骨髄細胞、例えば、系統枯渇骨髄細胞である。いくつかの態様では、哺乳類細胞は、コミットされた造血赤血球前駆細胞である。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態では、組成物は、ポリヌクレオチドカセットである。「ポリヌクレオチドカセット」とは、2つ以上の機能的ポリヌクレオチド配列、例えば、典型的には、互いに作動可能に連結した、調節エレメント、翻訳開始配列、コード配列、および/または終止配列などを含むポリヌクレオチド配列を意味する。同様に、哺乳類細胞中の導入遺伝子の発現のためのポリヌクレオチドカセット」とは、細胞中の導入遺伝子の発現を吸心する、2つ以上の機能的ポリヌクレオチド配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、5’UTR、翻訳開始配列、コード配列、および/または終止配列などの組み合わせを意味する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドカセットは、哺乳類細胞中の導入遺伝子の増強発現を提供する。本明細書で使用される場合、「導入遺伝子の発現」または「導入遺伝子を発現する」とは、宿主細胞による導入遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)への転写およびそのmRNAのポリペプチド(すなわち、導入遺伝子産物)への翻訳の両方を指す。したがって、導入遺伝子の発現は、mRNAレベルで(すなわち、細胞中のmRNAのレベルの配列特異的定量化によって)またはポリペプチドレベルで(すなわち、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、免疫蛍光顕微鏡検査、または特異的ポリペプチドを定量化する他の手段を使用して、ポリペプチド遺伝子産物のレベルを測定することによって)のいずれかで測定され得る。本開示の実施例によって実証されるように、本発明者らは、多数のポリヌクレオチドエレメント、すなわち、哺乳類細胞中の導入遺伝子の増強発現を個々におよび相乗的に提供する、当該技術分野において既知であるものと比べて改善されたエレメントを発見した。ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドカセット内の2つ以上の機能的ポリヌクレオチド配列の配置は、哺乳類細胞中の導入遺伝子の増強発現を提供する。「増強」とは、導入遺伝子の発現が、例えば当該技術分野において既知であるような匹敵する調節エレメントに作動可能に連結されている導入遺伝子を担持する細胞と比べて、本開示のポリヌクレオチドカセットを担持する細胞中で増加され、増大し、またはより強くなることを意味する。別の言い方をすれば、導入遺伝子の発現が、本開示の1つ以上の最適化エレメントを含まないポリヌクレオチドカセット、すなわち参照対照からの発現と比べて、本開示のポリヌクレオチドカセットから増加され、増大し、またはより強くなることを意味する。ある特定の実施形態では、増強発現は、1つ以上の所望の細胞型に特異的であるか、またはこれらに限定される。
【0070】
例えば、導入遺伝子の発現は、異なるプロモーター、例えば、当該技術分野において既知であるものに作動可能に連結されている導入遺伝子を担持する細胞よりも、本明細書に開示されるプロモーターを含むポリヌクレオチドカセットを含む細胞で増強され、または増大し、または増加される。別の例として、導入遺伝子の発現は、異なるエンハンサー配列に作動可能に連結されている導入遺伝子を担持する細胞よりも、本明細書に開示されるエンハンサー配列を含むポリヌクレオチドカセットを含む細胞で増強され、または増加され、または増大し、またはより強くなる。
【0071】
理論に束縛されるものではないが、細胞中の導入遺伝子の増強発現は、細胞中の遺伝子産物または細胞中のより安定な遺伝子産物のより迅速な構築に起因すると考えられる。したがって、主題の開示のポリヌクレオチドカセットによる導入遺伝子の増強発現は、多くの方法で観察され得る。例えば、増強発現は、導入遺伝子が匹敵する調節エレメント、例えば、当該技術分野において既知であるものに作動可能に連結されている場合に検出される発現よりも、ポリヌクレオチドカセットの細胞への接触後に早く、例えば、2日早く、7日早く、2週間早く、3週間早く、4週間早く、8週間早く、12週間以上早く、導入遺伝子の発現を検出することによって観察され得る。増強発現はまた、細胞当たりの遺伝子産物の量の増加として観察されてもよい。例えば、哺乳類細胞当たりの遺伝子産物の量において、2倍以上の増加、例えば、3倍以上の増加、4倍以上の増加、5倍以上の増加、または10倍以上の増加があり得る。増強発現はまた、ポリヌクレオチドカセットによって運ばれる検出可能なレベルの導入遺伝子を発現する哺乳類細胞の数の増加として観察されてもよい。例えば、検出可能なレベルの導入遺伝子を発現する哺乳類細胞の数における、2倍以上の増加、例えば、3倍以上の増加、4倍以上の増加、5倍以上の増加、または10倍以上の増加があり得る。
【0072】
別の例として、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドは、検出可能なレベルの導入遺伝子を、従来のポリヌクレオチドカセットと比べてより高い割合の細胞において促進することができ、例えば、従来のポリヌクレオチドカセットが、検出可能なレベルの導入遺伝子の発現を、例えば、ある特定の領域における細胞の5%未満で促進する場合、本発明のポリヌクレオチドはその領域内の細胞の5%以上で検出可能なレベルの発現を促進し、例えば、接触された細胞の10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、または45%以上、場合によっては50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、または75%以上、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上が、検出可能なレベルの遺伝子産物を発現するであろう。増強発現はまた、細胞の生存率および/または機能における変更として観察されてもよい。
【0073】
本開示のポリヌクレオチドカセットは、典型的には、プロモーター領域を含む。プロモーター領域が、真核細胞のコード配列の発現を促進する限りにおいて、任意の好適なプロモーター領域またはその中のプロモーター配列を、主題のポリヌクレオチドで使用することができる。ある特定の実施形態では、プロモーター領域は、哺乳類細胞中のコード配列の発現を促進する。場合によっては、プロモーターはユビキタスプロモーターであり、すなわち、広範囲の細胞、組織、および主で活性であるプロモーターである。他の例では、プロモーターは、ヒトPGKプロモーターである。
【0074】
プロモーターおよびエンハンサーエレメントは、組織特異的または時期特異的であり得る。例えば、組織特異的プロモーターまたはエンハンサーは、1つ以上の特定の細胞型における発現(またはより高いレベルの発現)を優先的に駆動する。細胞型の例としては、造血幹細胞、長期造血幹細胞、短期造血幹細胞、多能性前駆細胞、造血CD34+細胞、およびCD34+集団内の分化サブ集団の任意のクラスターが挙げられるが、これらに限定されない。時期特異的プロモーターまたはエンハンサーは、細胞周期または細胞発生の1つ以上の特異的時期中に、発現(またはより高いレベルの発現)を優先的に駆動する。これらには、ベータ−グロビン遺伝子座制御領域、スペクトリンプロモーター、および赤血球特異的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、1つ以上のエンハンサーを含む。エンハンサーは、転写を増強させるための、当該技術分野において既知の核酸エレメントであり、これらが調節する遺伝子と関連してどこにでも、例えば、イントロンの上流、下流、イントロン内部などに位置することができる。任意のエンハンサーエレメントを、それがプロモーターと組み合わせて使用されるとき、遺伝子の発現を増強させる限りにおいて、本開示のポリヌクレオチドカセットおよび遺伝子治療ベクターで使用することができる。
【0076】
細胞中で発現されるコード配列は、任意のポリヌクレオチド配列、例えば、遺伝子産物、例えば、ポリペプチドまたはRNAベースの治療薬(siRNA、アンチセンス、リボザイム、shRNAなど)をコードする遺伝子またはcDNAであり得る。コード配列は、それが作動可能に連結されているプロモーター配列に対して異種であってもよく、すなわち、自然にはそれと作動可能に結合していない。あるいは、コード配列は、それが作動可能に連結されているプロモーター配列に対して内因性であってもよく、すなわち、自然にはそのプロモーターと結合している。遺伝子産物は、哺乳類細胞中で本質的に作用することができるか、または非本質的に作用することができ、例えば、遺伝子産物は分泌されてもよい。例えば、導入遺伝子が治療遺伝子である場合、コード配列は、疾患または障害を治療するための治療薬として使用され得る、所望の遺伝子産物またはその機能的断片もしくは多様体をコードする任意の遺伝子であり得る。様々な好ましい実施形態では、導入遺伝子は、ヒトPKLRをコードする。
【0077】
本発明の一実施形態では、導入遺伝子コード配列は、稀に現れるコドンをより頻繁に表れるコドンで置き換えることによって発現を増強させるために、改変されているか、または「コドン最適化されている」。コード配列は、翻訳用にアミノ酸をコードするmRNA配列の一部分である。翻訳中に、61個のトリヌクレオチドコドンの各々は、20個のアミノ酸のうちの1つに翻訳され、遺伝暗号の縮重(degeneracy)または冗長性(redundancy)をもたらす。しかしながら、異なる細胞型、および異なる動物種は、同じアミノ酸を異なる頻度でコードするtRNA(各々が、アンチコドンを担持する)を利用する。遺伝子配列が、対応するtRNAによって稀に表されるコドンを含有する場合、リボソーム翻訳機構は、効率的な翻訳をゆっくりと妨害することができる。特定の種に対して、発現は「コドン最適化」を介して改善され得、ここでは、コード配列は、同じタンパク質配列をコードするが、高度に表されたコドン、および/または高度に発現されたヒトタンパク質によって利用されるコドンを利用する(Cid−Arregui et al.,2003;J.Virol.77:4928)。本発明の一態様では、導入遺伝子のコード配列は、哺乳類または霊長類で稀に発現されるコドンを、霊長類で頻繁に発現されるコドンで置き換えるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、導入遺伝子によってコードされるコード配列は、上記または本明細書で開示された配列によってコードされるポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性、例えば、少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドをコードし、コード配列の少なくとも1つのコドンは、上記または本明細書に開示される配列の対応するコドンよりも高い、ヒトにおけるtRNA頻度を有する。
【0078】
本発明の追加の実施形態では、導入遺伝子コード配列は、所望の導入遺伝子をコードしないオープンリーディングフレーム(ORF)の終止または除去によって、発現を増強させるように改変される。オープンリーディングフレーム(ORF)は、開始コドンに続く核酸配列であり、終止コドンを含有しない。ORFは、フォワード方向またはリバース方向であってもよく、目的の遺伝子と比較して「インフレーム(in frame)」または「アウトフレーム(out of frame)であってもよい。このようなオープンリーディングフレームは、目的の遺伝子と一緒に発現カセットで発現される可能性があり、望ましくない有害効果をもたらし得る。本発明の一態様では、導入遺伝子のコード配列は、コドン使用頻度をさらに変更することによって、オープンリーディングフレームを除去するように改変されている。これは、開始コドン(ATG)を排除して、終止コドン(TAG、TAA、またはTGA)をリバース方向またはアウトフレームORFに導入し、同時に目的の遺伝子においてアミノ酸配列を保存し、かつ高度に利用されるコドンを維持する(すなわち、<20%の頻度を有するコドンを回避する)ことによって行った。本発明では、導入遺伝子コード配列は、コドン最適化および非導入遺伝子ORFの除去のいずれか、または両方の手技を使用することによって最適化され得る。当業者には明らかであるように、コドン最適化中に形質導入されたORFを除去するために、コドン最適化後に非導入遺伝子ORFを除去または最小化することが好ましい。
【0079】
RRE配列は、遺伝子導入の効率を改善する。本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、RRE配列は、以下の配列、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0080】
レトロウイルスリーダー領域は、レトロウイルスゲノムのウイルスキャプシドへのパッケージに関与するパッケージングシグナル(Ψ)を含有する。LVベクターは、この領域内でおよそ300bpのGag遺伝子を必要とすると考えられていた。現在、このGag配列は、ちょうど40bpに減少されている(
図1)。本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、Ψ配列は、HIV−1Ψ配列であるか、またはΨ配列は、以下の配列、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0081】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、切断型HIV−15’LTRは、以下の配列、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0082】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、HIV−1自己不活性化型3’LTRは、以下の配列、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0083】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーターは、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0084】
組み込み前複合体の核内移行を容易にするcPPTと共に、逆転写酵素の分離に関与するCTSが、ウイルス力価を改善することが分かっている(Zennou,et al.2000;Follenzi et al.2000)。本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、HIV−1のセントラルポリプリントラクトおよびセントラル終結配列(cPPT/CTS)は、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0085】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼ1(hPGK)プロモーターは、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0086】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、ヒトPKLR cDNAのコドン最適化型(coRPK)は、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0087】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、ヒトCMVエンハンサーは、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0088】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、シミ案ウイルス40(SV40)ポリ(A)シグナルは、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0089】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、SV40複製起点は、以下の配列、その機能低断片、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0090】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するcPPTは、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0091】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するdNEFは、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0092】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するNeoR/KanR配列は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:14と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0093】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するrrnGターミネーター(E.coliリボゾームRNA rrnGオペロンからの転写ターミネーター(Albrechtsen et al.,1991))は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:15と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0094】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するori(高コピー数ColE1/pMB1/pBR322/pUC 複製起点)は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:16と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0095】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するCAP結合部位は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:17と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0096】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するE.coli lacプロモーターは、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:18と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0097】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するlacオペラーターは、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:19と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0098】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するT3プロモーター(バクテリオファージT3 RNAポリメラーゼ用のプロモーター)は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:20と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0099】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するCMVエンハンサーは、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:21と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0100】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するT7プロモーター(バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ用のプロモーター)は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:22と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0101】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかに存在するf1 ori(f1バクテリオファージ複製起点)は、以下の配列:
、またはSEQ ID NO:23と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドカセットは、RNA搬出シグナルをさらに含む。例示的なRNA搬出信号としては、wPREが挙げられるが、これに限定されない。wPREは、導入遺伝子中のRNA安定性を、プロモーターおよびベクター依存的様式で増加させることによって、標的細胞中の導入遺伝子発現を大幅に増加させる(Zuffrey et al,1999)。しかしながら、これは、肝臓癌に関与するWHV X遺伝子に由来する切断型60個のアミノ酸のタンパク質を発現し得る(Kingsman et al,2005)。したがって、大部分の前臨床プロトコルおよび臨床試験は、wPREエレメントの突然変異型を含む(Zanta−Boussif et al,2009)。他方では、SIN−LVベクター中での2つのSV40−USEエレメントの使用が、転写読み通しの抑制に置いて、wPRE配列よりも効率的であることが分かっている(Schambach et al,2007)。より正確に言えば、本明細書に開示されるwPREは、Axel Schambachにより実施された(ヌクレオチド 1−589)(WO 2008136670 A2;[5])改変されたWPREからの589個のヌクレオチドおよび前者wPREからの88個のヌクレオチド(ヌクレオチド590−677)担持するキメラwPREである(Zuffrey et al,1999)。本明細書に開示されるデータは、このキメラwPREが、前者のwPREよりも良好に作用することを示している。キメラwPRE配列は、以下の配列を含む:
【0103】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、wPRE配列は、SEQ ID NO:24の配列、またはSEQ ID NO:24の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0104】
本明細書に開示されるような、または当該技術分野において既知であるような両方のエレメントの他の組み合わせは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0105】
さらに、当業者に認識されるように、ポリヌクレオチドカセットは、任意に、クローニングを容易にするための制限部位および特定の遺伝子発現ベクター用の調節エレメントが挙げられるが、これらに限定されない、他のエレメントを含有してもよい。
【0106】
本発明のいくつかの態様では、主題のポリヌクレオチドカセットは、細胞障害などを治療するために、遺伝子を動物の細胞に送達させるために使用され、例えば、遺伝子が細胞生存率および/または機能に対して有する効果を決定するために使用される。
【0107】
ポリヌクレオチド配列を哺乳類細胞に送達させるために利用されるいかなる好都合な遺伝子治療ベクターも、本開示の遺伝子送達ベクターに包含される。例えば、ベクターは、一本鎖または二本鎖核酸、例えば、一本鎖または二本鎖DNAを含んでもよい。例えば、遺伝子送達ベクターは、DNA、例えば、裸のDNA、例えば、プラスミド、ミニサークルなどであってもよい。ベクターは、RNAの修飾型を含む、一本鎖または二本鎖RNAを含んでもよい。別の例では、遺伝子送達ベクターは、RNA、例えば、mRNAまたは修飾mRNAであってもよい。
【0108】
別の例として、遺伝子送達ベクターは、ウイルス、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、LV、ヘルペスウイルス、アルファウイルス、またはレトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MuLV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(FLV)、スプマウイルス、フレンドマウス白血病ウイルス、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)に由来するウイルスベクターであってもよい。LVの使用を包含する実施形態が、以下に非常に詳細に記載されるが、当業者であれば、当該技術分野における類似する知識および技術を、非LV遺伝子治療に同様に向けることができることを理解することが想定される。
【0109】
いくつかの実施形態では、遺伝子送達ベクターは、自己制限型LVである。いくつかの実施形態では、遺伝子送達ベクターは、自己不活性型LVである。いくつかの実施形態では、遺伝子送達ベクターは、非組み込み型LVである。本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの具体的な実施形態では、本開示の自己制限型LV(
図22および23)は、以下の配列、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0110】
本明細書に記載される発現カセットの具体的な実施形態では、発現は、以下の配列、または以下の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。
【0111】
このような実施形態では、主題のポリヌクレオチドカセットは、機能的LTR配列によって、5’末端および3’末端に隣接している。一実施形態では、LVベクターの骨格に存在する異なるエレメントの位置が、
図1に表示されている。両方のLTR配列は、SIN LVベクターを生成するように改変されている。SINベクターは、U3領域からのプロモーター/エンハンサーエレメントを覆う、3’−LTR中に400bpの欠失を有する。これにより、導入遺伝子の発現は、内部プロモーターに依存し、RCLのリスクを低減し、かつプロモーター干渉を減少させる(Ginn et al,2003)。この3’−LTR欠失は、TATAボックスを除去し、転写開始を防止し(Miyoshi et al.1998;Zuffrey et al 1998)、したがって、ベクターを不活性化する。5’−LTRのU3領域は、他の異種促進配列(すなわち、CMVまたはRSV)によって置き換えられていることで、Tat非依存的転写を達成し、かつゲノムRNA合成を増加させて、ウイルス力価の増加をもたらす。5’−U3領域が、一次転写物の発現を駆動するために、形質導入細胞には、その修飾物は存在しないであろう(Schambach et al.2009)。
【0112】
内部プロモーターからの(Zaiss et al,2002)またはSIN−LVベクターの欠失したU3領域の残遺物からの(Almarza et al.2011)転写読み通しを減少させて、下流遺伝子の可能性のある転写活性化を防止するために、β−グロビンまたはSV40ポリアデニル化シグナル(Iwakuma et al,1999)などの外因性エレメント、もしくはSV40−USEからのUSE(Schambach et al.2007)もまた、ウイルス3’LTRのR領域に含まれている。
【0113】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
b)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、および
c)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列。
【0114】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)cPPT配列、
b)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
c)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、および
d)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列。
【0115】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)5’LTR、任意に、修飾5’LTR、
b)cPPT配列、
c)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
d)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、
e)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列、および
f)3’LTR、任意に、修飾3’LTR。
【0116】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)5’LTR、任意に、修飾5’LTR、
b)cPPT配列、
c)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
d)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、
e)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列、
f)3’LTR、任意に、修飾3’LTR、
g)SV40ポリ(A)シグナル、および
h)SV40複製起点(ori)。
【0117】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)5’LTR、任意に、修飾5’LTR、
b)cPPT配列、
c)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
d)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、
e)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列、
f)3’LTR、任意に、修飾3’LTR、
g)SV40ポリ(A)シグナル、
h)SV40複製起点(ori)、
i)T7プロモーター、
j)f1 ori、および
k)NeoR/KanR配列。
【0118】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)5’LTR、任意に、修飾5’LTR、
b)HIV−1ψ配列、
c)RRE、
d)cPPT/CTS配列、
e)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
f)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、
g)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列、
h)dNEFシグナル、
i)3’LTR、任意に、修飾3’LTR、
j)SV40ポリ(A)シグナル、
k)SV40複製起点(ori)、
l)T7プロモーター、
m)f1 ori、
n)NeoR/KanR配列;
o)rrnGターミネーター
p)ori配列、
q)CAP結合部位、
r)lacプロモーター配列、
s)lacプロモーター配列、
t)T3プロモーター配列、
u)CMVエンハンサー配列、および
v)CMVプロモーター配列。
【0119】
ある特定の実施形態では、遺伝子送達ベクターは、PGK−coRPK LVであるか、または
図21に表示されたエレメントを含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、発現カセットまたは送達ベクター、例えばLVは、以下の配列を5’から3’の順で含むポリヌクレオチド配列を含む:
a)5’LTR、任意に、修飾5’LTR、
b)HIV−1ψ配列、
c)RRE、
d)cPPT/CTS配列、
e)PGKプロモーター配列、任意に、ヒトPGKプロモーター配列、
f)ピルビン酸キナーゼポリペプチドをコードする配列、任意に、coRPKコード配列またはcDNA配列、
g)任意に、SEQ ID NO:24の配列を含むか、それからなる、突然体wPRE配列、
h)任意に、dNEFシグナル、
i)3’LTR、任意に、修飾3’LTR、
j)SV40ポリ(A)シグナル、
k)SV40複製起点(ori)、
l)T7プロモーター、
m)pUC ori、
u)CMVエンハンサー配列、および
v)CMVプロモーター配列。
【0121】
本明細書に記載される発現カセットおよび遺伝子送達ベクターのいずれかの特定の実施形態では、coRPK cDNAまたはコード配列は、GenBank受け入れ番号XP_016856982.1、XP_011507942.1、XP_006711449.1、NP_870986.1、またはNP_000289.1のいずれかに開示された配列、またはこれらの配列のいずれかの機能的断片、またはこれらの配列のいずれかと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなるPKLRポリペプチドをコードする。
【0122】
本開示のポリヌクレオチドカセットを封入する遺伝子治療ベクターは、標準的な方法論を用いて産生され得る。例えば、LVビリオンの場合、本発明によるLV発現ベクターは、プロデューサー細胞中に導入され、続いてLVヘルパー構築物に導入されることができ、このヘルパー構築物は、プロデューサー細胞中で発現されることが可能であり、LVベクターには存在しないLVヘルパー機能を捕足するLVコード領域を含む。これに続いて、ヘルパーウイルスおよび/または追加のベクターのプロデューサー細胞への導入が行われ、このヘルパーウイルスおよび/または追加のベクターは、効率的なLVウイルス産生を支援することができる付属の機能を提供する。次いで、プロデューサー細胞を培養し、LVを産生する。これらの工程は、標準的な方法論を使用して行われる。
【0123】
以下に続く実施例で記載されているものが含まれるが、これらに限定されない、主題のポリヌクレオチドカセットの送達用にウイルス粒子を産生するための任意の好適な方法が使用され得る。哺乳類細胞を効果的に形質導入するのに好適なウイルスの粒子の任意の濃度を、哺乳類細胞をインビトロまたはインビボで接触させるために調製することができる。例えば、ウイルス粒子は、1ml当たり10
8個のベクターゲノムの濃度で、例えば、1ml当たり5×10
8個のベクターゲノム、1ml当たり10
9個のベクターゲノム、1ml当たり5×10
9個のベクターゲノム、1ml当たり10
10個のベクターゲノム、1ml当たり5×10
10個のベクターゲノム、1ml当たり10
11個のベクターゲノム、1ml当たり5×10
11個のベクターゲノム、1ml当たり10
12個のベクターゲノム、1ml当たり5×10
12個のベクターゲノム、1ml当たり10
13個のベクターゲノム、1ml当たり1.5×10
13個のベクターゲノム、1ml当たり3×10
13個のベクターゲノム、1ml当たり5×10
13個のベクターゲノム、1ml当たり7.5×10
13個のベクターゲノム、1ml当たり9×10
13個のベクターゲノム、1ml当たり1×10
14個のベクターゲノム、1ml当たり5×10
14個のベクターゲノムの濃度で、しかしながら、典型的には、1ml当たり1×10
15個以下のベクターゲノムの濃度で配合され得る。
【0124】
主題のLV組成物の調製において、LVビリオンを産生するために、例えば、哺乳類細胞(例えば、293細胞)、昆虫細胞(例えば、SF9細胞)、微生物、および酵母が含まれる任意の宿主細胞が利用されてもよい。宿主細胞はまた、パッケージング細胞とすることができ、この中では、LVベクターゲノムがその中に安定して維持かつパッケージされている宿主細胞またはプロデューサー細胞中に、LV repおよびcap遺伝子が安定して維持されている。例示的なパッケージング細胞およびプロデューサー細胞は、SF−9、293、A549、またはヒーラ(HeLa)細胞に由来する。LVベクターは、当該技術分野において既知の標準的手技を使用して、精製および配合される。
【0125】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される発現カセットまたは遺伝子送達ベクターを含む細胞を提供する。関連する実施形態では、細胞は、本明細書に開示される発現カセットを含むか、または細胞ゲノム中に組み込まれた本明細書に開示される発現カセットを有するウイルスベクターで形質導入されている。ある特定の実施形態では、細胞は、ウイルス遺伝子送達ベクターを産生するために使用される細胞である。他の実施形態では、細胞は、発現カセットによりコードされた遺伝子産物を対象に提供するために、対象に送達される細胞である。したがって、ある特定の実施形態では、細胞は、治療される対象に対して自家性であるか、治療される対象から得られた細胞である。他の実施形態では、細胞は、治療される対象に対して同種であるか、治療される対象以外のドナーから得られた細胞である。特定の実施形態では、細胞は、哺乳類細胞、例えば、ヒト細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、血液細胞、赤血球、造血前駆細胞、骨髄細胞、例えば、系統枯渇骨髄細胞、造血幹細胞(例えば、CD34+)、またはコミットされた造血赤血球前駆細胞である。
【0126】
本発明は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドカセット、遺伝子送達ベクター、または細胞と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と、を含む、薬学的組成物を含む。主題のポリヌクレオチドカセット、遺伝子送達ベクター、または細胞は、一般に安全、非毒性、かつ望ましく、霊長類の使用に許容される賦形剤が含まれる、製剤の調製において有用な薬学的に許容される担体、希釈剤、および試薬と組み合わせることができる。このような賦形剤は、固体、液体、半固体であり得るか、またはエアロゾル組成物の場合、ガス状であり得る。このような賦形剤、担体、または希釈剤の例としては、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。捕足的な活性化合物も、製剤中に組み込むことができる。製剤に使用される溶液または懸濁液には、注射用水、生理食塩水、凝固油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌性化合物;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート化合物;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液;凝集を防止するためのTween 20などの洗剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張化のための化合物を挙げることができる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節され得る。特定の実施形態では、薬学的組成物は、無菌である。
【0127】
本発明で使用するために好適な薬学的組成物は、無菌水溶液もしくは分散液、および無菌注射用溶液もしくは分散液の即座の調製のための、無菌粉末剤をさらに含む。
【0128】
無菌溶液は、活性化合物を、上記で列挙された成分のうちの1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒中に必要な量で組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒体および上記で列挙されたものからの必要な他の成分を含有する無菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末剤の場合、調製の方法は、活性成分の粉末に加えて、前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望の成分をもたらす、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0129】
一実施形態では、組成物は、遺伝子カセットまたは発現ベクターを身体からの急激な排泄に対して保護する担体で調製され、例えば、移植片およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤である。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤の調製のための方法は、当業者には明らかであろう。このような材料もまた、商業的に得ることができる。
【0130】
経口、眼内、または非経口組成物を、投与を簡単にし、かつ投与量の均一性のために、単位剤形で製剤化することは、特に有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、治療される対象へ一体型投与として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じさせるように算出された所定量の活性成分を含有する。本発明の単位剤形のための仕様は、活性化合物および達成される治療効果の特有な特性、ならびにこのような活性化合物を個体の治療用に調合する当該技術分野に固有の制限よって決定され、かつこれらに直接的に依存する。
【0131】
薬学的組成物は、投与指示書と共に、投与容器、パック、またはディスペンサー、例えば注射器、例えば、充填済み注射器内に含まれ得る。
【0132】
本発明の薬学的組成物は、任意の薬学的に許容される塩、エステル、もしくはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む動物への投与時に、生物学的に活性な代謝産物もしくはその残留物を(直接的または間接的に)提供することができる任意の他の化合物を包含する。
【0133】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生理学的および薬学的に許容される塩、すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ望ましくない毒物学的影響をそれに付与しない塩を指す。様々な薬学的に許容される塩が、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,17th edition,Alfonso R.Gennaro(Ed.),Mark Publishing Company,Easton,PA,USA,1985(およびより最近の版)に、「Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology」,3rd edition,James Swarbrick(Ed.),Informa Healthcare USA(Inc.),NY,USA,2007、およびJ.Pharm.Sci.66:2(1977)に記載されている。また、好適な塩の検討については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley−VCH,2002)を参照されたい。
【0134】
薬学的に許容される塩基付加塩は、金属またはアミン、例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属、または有機アミンを用いて形成される。カチオンとして使用される金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどを含む。アミンは、N−N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインを含む(例えば、Berge et al.,「Pharmaceutical Salts,」J.Pharma Sci.,1977,66,119を参照されたい)。該酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させて、従来の方法で塩を生成することによって調製される。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させて、従来の方法で遊離酸を単離することによって再生されてもよい。遊離酸の形態は、極性溶媒への溶解度などのある特定の物理的特性においてそれぞれの塩の形態とは多少異なるが、そうでなければ、塩は本発明の目的のためのそれらのそれぞれの遊離酸と同等である。
【0135】
主題のポリヌクレオチドカセット、遺伝子送達ベクター、例えば、組み換えウイルス(ビリオン)、または細胞(例えば、本明細書に開示される遺伝子送達ベクターで形質導入された)は、哺乳類患者、特に霊長類、およびより詳細にはヒトに投与するための薬学的組成物に組み込むことができる。主題のポリヌクレオチドカセット、遺伝子送達ベクター、例えば、ビリオン、または細胞は、好ましくは3〜8の範囲、より好ましくは6〜8の範囲のpHで、非毒性、不活性、薬学的に許容される水性担体中で製剤化することができる。このような無菌組成物は、再構成時に許容されるpHを有する水性緩衝液中に溶解した治療分子をコードする核酸を含有するベクターまたはビリオンを含むであろう。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される薬学的組成物は、薬学的に許容される担体および/または賦形剤、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、リン酸およびアミノ酸、ポリマー、ポリオール、糖、緩衝液、防腐剤、および他のタンパク質と混合して、治療有効量の本明細書に開示される細胞、ベクター、またはビリオンを含む。例示的なアミノ酸、ポリマーおよび糖などは、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール化合物、ポリエチレングリコールモノステアレート化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、スクロース、フルクトース、デキストロース、マルトース、グルコース、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、キシリトール、ラクトース、トレハロース、ウシまたはヒト血清アルブミン、クエン酸塩、酢酸塩、リンゲル液およびハンクス液、システイン、アルギニン、カルニチン、アラニン、グリシン、リジン、バリン、ロイシン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、およびグリコールである。好ましくは、この製剤は、4℃で少なくとも6ヶ月間安定である。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される薬学的組成物は、リン酸緩衝食塩水(PBS)またはリン酸ナトリウム/硫酸ナトリウムなどの緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、滅菌水、およびGood et al.(1966)Biochemistry5:467に記載されているものなどの、当業者に既知の他の緩衝液を含む。薬学的組成物が、アデノウイルスベクター送達システム中に含有される腫瘍抑制遺伝子をその中に含む、緩衝液のpHは、6.5〜7.75、好ましくは7〜7.5、および最も好ましくは7.2〜7.4の範囲であり得る。
【0138】
ある特定の実施形態では、1×10
8個以上のベクターゲノム、例えば、1×10
9、1×10
10、1×10
11、1×10
12、または1×10
13個以上のベクターゲノム、ある特定の例では、1×10
14個のベクターゲノムであるが、通常は、4×10
15個以下のベクターゲノムが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な単位用量に製剤化されてもよい。いくつかの場合では、単位用量は、最大で約5×10
15個のベクターゲノムであり、例えば、1×10
14個以下のベクターゲノム、例えば、1×10
13、1×10
12、1×10
11、1×10
10、または1×10
9個以下のベクターゲノムであり、ある特定の例では、1×10
8個以下のベクターゲノムであり、典型的には、1×10
8個以上のベクターゲノムであるいくつかの場合では、単位用量は、1×10
10〜1×10
11個のベクターゲノムである。いくつかの場合では、単位用量は、1×10
10〜3×10
12個のベクターゲノムである。いくつかの場合では、単位用量は、1×10
9〜3×10
13個のベクターゲノムである。いくつかの場合では、単位用量は、1×10
8〜3×10
14個のベクターゲノムである。一実施形態では、この範囲は、約5×10
10〜約1×10
11個のベクターゲノムである。いくつかの実施形態では、この範囲は、約1×10
9〜約1×10
10個のベクターゲノムである。
【0139】
いくつかの場合では、薬学的組成物の単位用量は、感染多重度(MOI)を使用して測定され得る。MOIとは、ベクターまたはウイルスゲノムの、核酸が送達され得る細胞に対する比率、または倍率を意味する。いくつかの場合では、MOIは、1×10
6であり得る。いくつかの場合では、MOIは、1×10
5〜1×10
7であり得る。いくつかの場合では、MOIは、1×10
4〜1×10
8であり得る。いくつかの場合では、本開示の組み換えウイルスは、少なくとも約1×10
1、1×10
2、1×10
3、1×10
4、1×10
5、1×10
6、1×10
7、1×10
8、1×10
9、1×10
10、1×10
11、1×10
12、1×10
13、1×10
14、1×10
15、1×10
16、1×10
17、および1×10
18のMOIである。いくつかの場合では、本開示の組み換えウイルスは、1x10
8〜3x10
14のMOIである。いくつかの場合では、本開示の組み換えウイルスは、最大で約1×10
1、1×10
2、1×10
3、1×10
4、1×10
5、1×10
6、1×10
7、1×10
8、1×10
9、1×10
10、1×10
11、1×10
12、1×10
13、1×10
14、1×10
15、1×10
16、1×10
17、および1×10
18のMOIである。いくつかの実施形態では、この範囲は、約20〜約400のMOIである。
【0140】
いくつかの態様では、一定量の薬学的組成物は、約1×10
8〜約1×10
15個の組み換えウイルス、約1×10
9〜約1×10
14個の組み換えウイルス、約1×10
10〜約1×10
13個の組み換えウイルス、または約1×10
11〜約3×10
12個の組み換えウイルスを含む。
【0141】
方法
本明細書に開示されるように、主題のポリヌクレオチドカセットおよび遺伝子送達ベクターは、本明細書で集合的に「主題の組成物」として称され、動物の細胞内での導入遺伝子の発現における使用を見出す。例えば、主題の組成物は、例えば、遺伝子が細胞の生存率および/または機能に及ぼす効果を決定するための研究で使用され手もよい。別の例として、主題の組成物は、例えば、疾患もしくは障害を治療または予防するために、医薬品で使用されてもよい。したがって、本発明のいくつかの態様では、細胞中の遺伝子の発現のための方法が提供され、本方法は、細胞を本開示の組成物と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、接触は、インビトロまたはエクスビボで生じる。いくつかの実施形態では、接触はインビボで生じ、すなわち、主題の組成物が対象に投与される。
【0142】
哺乳動物細胞がインビトロまたはエクスビボで主題のポリヌクレオチドカセットもしくは主題のポリヌクレオチドカセットを含む遺伝子送達ベクターと接触させる場合には、細胞は、任意の哺乳類の種、例えば、齧歯類(例えば、マウス、ラット、スナネズミ、リス)、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、霊長類、ヒトに由来し得る。細胞は確立された細胞株由来のものでも、またはこれらは初代細胞であってもよく、ここで、「初代細胞」、「初代細胞株」、および「初代培養物」は、本明細書において、対象に由来しており、培養物の限られた数の継代、すなわち、培養物の分裂のためにインビトロで増殖させた細胞および細胞培養物を指すように、本明細書では互換的に使用される。例えば、初代培養物とは、0回、1回、2回、4回、5回、10回、または15回継代され得た培養物であるが、危機段階を通り抜けるのに十分な回数ではない。典型的には、本発明の初代細胞株は、インビトロで10回継代未満に維持される。
【0143】
特定の実施形態では、開示されたポリヌクレオチドカセットまたは遺伝子送達ベクターと接触させる細胞は、対象またはドナー、例えば、同種ドナー由来の造血幹細胞(HSC)である。いくつかの実施形態では、生体試料、例えば、末梢血は、造血幹細胞(HSC)の動員後に対象から得られる。一実施形態では、HSCおよび/または前駆細胞は、対象をG−CSFまたはその類似体で処置することによって動員される。末梢血中のHSCおよび前駆細胞(HSPC)は、生体試料の採取前に動員され得る。末梢血HSCおよびHSPCは、当該技術分野において既知の任意の方法によって動員することができる。末梢血HSCおよびHSPCは、対象の末梢血中を循環するHSPCの数を増加させる、本明細書に記載されるか、または当該技術分野において既知の任意の薬剤(複数可)を用いて対象を治療することによって動員することができる。例えば、特定の実施形態では、1つ以上のサイトカインまたは増殖因子(例えば、G−CSF、キットリガンド(KL)、IL−1、IL−7、IL−8、IL−11、Flt3リガンド、SCF、トロンボポエチン、またはGM−CSF(サルグラモスチムなど))で対象を処置することによって、末梢血が動員される。末梢血の動員方法に使用することができるG−CSFの異なるタイプには、フィルグラスチムおよび長期作用型G−CSF:ペグフィルグラスチムが挙げられる。特定の実施形態では、対象を1つ以上のケモカイン(例えば、マクロファージ炎症性タンパク質−1a(MIP1a/CCL3))、ケモカイン受容体リガンド(例えば、ケモカイン受容体2リガンドGROl3およびGR013M)、ケモカイン受容体類似体(例えば、CTCE−0021、CTCE−0214、またはMet−SDF−113などのSDF−1aなどの間質細胞由来因子−1a(SDF−1a)タンパク質類似体)、またはケモカイン受容体拮抗薬(AMD3100などのケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4(CXCR4)拮抗薬)で処置することにより、末梢血が動員される。特定の実施形態では、末梢血は、対象を1つ以上の抗インテグリンシグナル伝達薬(例えば、抗超遅発性抗原4(VLA−4)抗体または抗血管細胞接着分子1(VCAM−1)をブロックする機能)で治療することによって動員される。特定の実施形態では、シクロホスファミド、エトポシドまたはパクリタキセルなどの1つ以上の細胞毒性薬で対象を処置することによって、末梢血が動員される。特定の実施形態では、末梢血は、対象に上記に列挙された薬剤の1つ以上をある特定の期間投与することによって動員することができる。例えば、対象は、HSPCの採集の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日前に1日1回または1日2回、注射(例えば、皮下、静脈内、または腹腔内)を介して、1つ以上の薬剤(例えば、G−CSF)で処置され得る。具体的な実施形態では、HSPCは、末梢血へのHSPCの動員に使用される薬剤の最後の投与から1、2、3、4、5、6、7、8、12、14、16、18、20、または24時間以内に採集される。特定の実施形態では、HSCおよびHSPCは、増殖因子(例えば、G−CSF)、ケモカイン受容体アンタゴニスト(例えば、AMD3100などのCXCR4受容体アンタゴニスト)、または成長因子(例えば、G−CSFまたはKL)および抗インテグリン剤(例えば、機能遮断VLA−4抗体)などの、上記の、もしくは当該技術分野において既知の2つ以上の異なるタイプの薬剤で対象を処置することによって動員される。一実施形態では、HSCおよび/または前駆細胞は、対象をG−CSFまたはその類似体で処置することによって動員される。一実施形態では、G−CSFはフィルグラスチムである。一実施形態では、HSCおよび/または前駆細胞は、対象をプレリキサホルで処置することによって動員される。ある特定の実施形態では、フィルグラスチムおよびプレリキサホルの組み合わせを使用して、フィルグラスチム単独によって、またはプレリキサホル単独によって、HSCおよび/または前駆細胞が動員される。特定の実施形態では、異なるタイプの動員剤が、同時にまたは逐次的に投与される。末梢血の動員方法に関する追加情報については、例えば、Craddock et al.,1997,Blood90(12):4779−4788;Jin et al.,2008,Journal of Translational Medicine 6:39;Pelus,2008,Curr.Opin.Hematol.15(4):285−292;Papayannopoulou et al.,1998,Blood 91(7):2231−2239;Tricot et al.,2008,Haematologica 93(11):1739−1742;およびWeaver et al.,2001,Bone Marrow Transplantation 27(2):S23−S29)を参照されたい。
【0144】
いくつかの実施形態では、細胞は、細胞を開示されたポリヌクレオチドカセットまたは遺伝子送達ベクターと接触させる前に富化される。本明細書で使用される場合、「富化された」または「高富化された」とは、特定の生物学的マーカー、例えば、CD34を発現する細胞の、細胞の実質的な富化をもたらすことを意図される細胞集団を富化する方法を指す。例えば、臨床的に使用されるCD34富化は、CD34
+細胞の平均:61.6%ならびに中央値:65.7%の収率、および平均:88.5%ならびに中央値:95.9%の相対純度(N=166)をもたらす(Clin Lab.2016 Jul 1;62(7):1243−1248(PMID:28164638))。「富化」は、動員された白血球アフェレーシスまたは骨髄の採集において、通常、0.2〜2%の細胞産物を含む、比較的稀な細胞型であるCD34+の実質的な富化を目的としたプロセスを指す。動員白血球アフェレーシスまたは骨髄採集からのCD34+細胞の富化は、0.2〜2%から>80%に増加した最終的なCD34+の比率を目標としている。これを達成するために、生体試料を捕捉マトリックスに最初に適用した後、捕捉マトリックスに弱くまたは非特異的に結合した細胞を除去する目的で、本明細書で「洗浄」と呼ばれる緩衝液交換を繰り返し行う。一般的に、細胞は捕捉マトリックスから除去され、洗浄サイクルごとに再適用される。除去および再適用は、チューブからピペッティングすることにより手動で行うことができるか、またはポンプおよびチューブシステムを使用して自動で行うことができる。例えば、Dynabeads(登録商標)磁気細胞分離システムと連結したQuad TechnologiesMagCloudz(登録商標)を使用すると、細胞−磁性粒子複合体が磁気スタンド上のチューブで分離され、洗浄が手動で行われる。Miltenyi BiotecCliniMACS(登録商標)システムを使用すると、事前設定の自動化プログラムが細胞−磁性粒子複合体をチューブセット内の磁性カラムに適用し、バルブポンプシステムを使用して洗浄/再適用が行われる。ある特定の実施形態では、選択は、Miltenyi Biotec MACSQuant Tyto(登録商標)、Quad TechnologiesMagCloudz(登録商標)、GESepax(登録商標)細胞分離システム、TerumoElutra(登録商標)細胞分離システム、COBESpectra(登録商標)細胞分離器、SynGenLAB(登録商標)またはWASH(登録商標)システム、Fresenius−KabiLovo(登録商標)、Miltenyi BiotecCliniMACS(登録商標)システムまたはCliniMACSProdigy(登録商標)システムが挙げられるが、これらに限定されない様々な機器で実行されてもよい。選択は、実験室または診療現場(point−of−care)で行われてもよい。CD34+細胞の選択のための例示的な方法を含む、細胞および細胞集団の調製および富化のための詳細な方法は、例えば、国際特許公開第WO2016/118790号に記載されている。高ストリンジェンシーな選択に有用な例示的な選択方法は、米国特許第8,727,132号に提供されている。
【0145】
ある特定の実施形態では、末梢血は、対象またはドナーの静脈に挿入された注射器またはカテーテルを介して得られる。例えば、末梢血は、アフェレーシス機器を使用して採集され得る。血液は静脈からカテーテルを通ってアフェレーシス機器に流れ込み、HSPCを含む白血球を残りの血液から分離し、次いで、残りの血液を対象の体内に戻す。アフェレーシスは、十分なHSPCが採集されるまで、連続した日数(例えば、1〜5日間)にわたって数時間実行することができる。
【0146】
ある特定の実施形態では、骨髄は、針吸引により対象の後方腸骨稜から得られる(例えば、Koda et al.,1984,J.Clin Invest.73:1377−1384を参照されたい)。
【0147】
ある特定の実施形態では、生体試料のヘマトクリットレベルが決定されてもよい。ヘマトクリットレベルは、処理チャンバ内で試料を遠心分離して、血中血球容積(packed cell volume)を決定し得るように、試料のRBCを層に分離することにより決定することができる。試料が、ヘマトクリットレベルの決定を支援するために抗凝固剤と組み合わせることができ、このような抗凝固剤は、遠心分離前または遠心分離中に処理チャンバに添加され得ることを理解されたい。あるいは、ヘマトクリットレベルは、試料の光学特性を測定することにより決定されてもよい。例えば、試料を分析するために、分光計を使用してもよい。例えば、ラマン分光法および/または光散乱技術など、ヘマトクリットレベルを決定する任意のタイプの既知の分光法が使用され得ることを理解されたい。
【0148】
ある特定の実施形態では、生体試料からCD34+細胞が富化された1つ以上の細胞集団を調製する前に、生体試料は赤血球が枯渇している。いくつかの実施形態では、枯渇手技後に残っている細胞は洗浄される。別の実施形態では、非特異的IgGが洗浄された細胞に添加される。いくつかの実施形態では、非特異的IgGはフレボガンマである。
【0149】
本発明の実施形態は、ウイルス送達ベクター、例えば、ヒトPKLR遺伝子を含むLVベクターで形質導入された哺乳類細胞(例えば、CD34+細胞)を含む。したがって、本発明は、本明細書に記載される発現カセットを含むウイルス送達ベクター、例えば、LVベクターと細胞を接触させることを含む、哺乳類細胞、例えば本明細書に記載されるヒト造血幹細胞または他の細胞を形質導入する方法を含む。ある特定の実施形態では、細胞は、治療される対象、または別のドナーから以前に得られたものである。特定の実施形態では、対象はPKDと診断され、細胞は、ピルビン酸キナーゼをコードする発現カセット、例えば、coRPKコード領域またはcDNAを含むLVで形質導入される。開示される方法、例えば、coPRK cDNA配列を使用して、例えば、ピルビン酸キナーゼ遺伝子産物を対象に送達するために使用される方法は、溶血性貧血の治療および/または赤血球分化を正常化するために、機能性成熟赤血球の数を増加するために、髄外赤血球産生を減少するために、脾腫ならびに溶血性貧血またはPKDの他の二次的影響を軽減するためにも使用され得ることが理解される。
【0150】
導入遺伝子の発現を促進するために、主題のポリヌクレオチドカセットまたは主題のポリヌクレオチドカセットを含む遺伝子送達ベクターは、約30分〜24時間以上、例えば、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間などで、細胞と接触される。
【0151】
主題のポリヌクレオチドカセットまたは主題のポリヌクレオチドカセットを含む遺伝子送達ベクターは、対象細胞に1回以上、例えば、1回、2回、3回、または3回以上提供され、細胞は、各接触事象後いくらかの時間、例えば16〜24時間、薬剤(複数可)とインキュベートされ、その後、培地を新鮮な培地と交換し、細胞をさらに培養する。細胞との接触は、細胞の生存を促進する任意の培養培地、および任意の培養条件下で生じ得る。培養物は、細胞が反応する増殖因子を含有してもよい。本明細書で定義される増殖因子は、膜貫通受容体に対する特異的な効果を介して、培養物内または無傷組織内の細胞の生存、増殖および/または分化を促進することができる分子である。増殖因子には、ポリペプチドおよび非ポリペプチド因子が含まれる。
【0152】
典型的には、細胞内で導入遺伝子の発現を生成するために、主題のポリヌクレオチドカセットまたは主題のポリヌクレオチドカセットを含む遺伝子送達ベクターが提供される。本明細書の他の場所で考察されるように、有効量は、例えば、導入遺伝子の遺伝子産物の存在またはレベルを検出することによって、細胞の生存率または機能に対する効果を検出することによって、経験的に容易に決定され得る。典型的には、有効量の主題のポリヌクレオチドカセットまたは主題のポリヌクレオチドカセットを含む遺伝子送達ベクターは、当該技術分野において既知の同量のポリヌクレオチドカセットよりも細胞中の導入遺伝子の発現を促進するであろう。典型的には、発現は、参照または対照のポリヌクレオチドカセットからの発現に対して、2倍以上、例えば、当該技術分野において既知であるように、例えば、3倍、4倍、または5倍以上、場合によっては、10倍、20倍、または50倍以上、例えば、100倍増強されるであろう。
【0153】
細胞をインビボで主題のポリヌクレオチドカセットまたは主題のポリヌクレオチドカセットを含む遺伝子送達ベクターと接触させる場合には、対象は、任意の哺乳類、例えば、齧歯類(例えば、マウス、ラット、スナネズミ)、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、または霊長類であってもよい。好ましい実施形態では、霊長類はヒトである。いくつかの実施形態では、細胞は、CD34+細胞である。
【0154】
本開示の方法および組成物は、例えば、ピルビン酸キナーゼ欠損症の治療における使用を見出す。
【0155】
別の実施形態では、本発明は、細胞内で治療遺伝子産物を発現する遺伝子送達ベクター、例えば、ウイルスベクターで形質導入された、有効量の細胞を対象に提供することを含む、疾患の治療を必要とする対象において疾患を治療する方法を含む。特定の実施形態では、細胞は、対象に対して自家性である。ある特定の実施形態では、細胞は、赤血球細胞、例えば、造血幹細胞またはコミットされた造血赤血球前駆細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、骨髄細胞、例えば、系統枯渇骨髄細胞である。特定の実施形態では、本方法はPKDを治療するために使用され、ウイルスベクターは、coRPK遺伝子cDNAまたはコード配列に作動可能に連結されたヒトPGKプロモーター、および本明細書で開示される突然変異したwPREを含む、本明細書に開示された発現構築物を含むLVである特定の実施形態では、細胞は、非経口的に例えば、静脈内注射を介して対象に提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、輸血によって対象に提供される。
【0156】
別の実施形態では、本発明は、細胞中でcoRPK cDNAを発現するLVベクターで形質導入された有効量の自家CD34+幹細胞を対象に提供することを含む、PKDの治療を必要とする対象においてPKDを治療する方法を含み、LVベクターは、coRPK cDNAまたはコード配列に作動可能に連結されたヒトPGKプロモーターと、本明細書に開示される突然変異したwPRE配列と、を含む。特定の実施形態では、細胞は、造血幹細胞またはコミットされた造血赤血球前駆細胞、例えば、骨髄細胞である。特定の実施形態では、細胞は、対象に非経口的に、例えば、静脈内注射を介して提供される。
【0157】
別の実施形態では、本発明は、対象において治療遺伝子産物を発現する、有効量の遺伝子送達ベクター、例えば、ウイルスベクターを対象に提供することを含む、疾患の治療を必要とする対象において疾患を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、PKDを治療するために使用され、ウイルスベクターは、coRPK遺伝子cDNAまたはコード配列に作動可能に連結されたヒトPGKプロモーター、および本明細書で開示される突然変異したwPREを含む、本明細書に開示された発現構築物を含むLVである特定の実施形態では、遺伝子送達ベクターは、対象に、非経口的に、例えば、静脈内注射を介して提供される。
【0158】
特定の実施形態では、細胞または遺伝子送達ベクターは、対象に、薬学的組成物で提供される。
【0159】
いくつかの実施形態では、主題の方法は、例えば、障害の発症の予防、障害の進行の停止、障害の進行の逆転などの治療的利益をもたらす。いくつかの実施形態では、主題の方法は、治療的利益が達成されたことを検出する工程を含む。当業者であれば、治療有効性のこのような測定が、修正される特定の疾患に適用可能であることを理解されるであろうし、治療有効性を測定するために使用する適切な検出方法を認識するであろう。
【0160】
対象の導入遺伝子を使用する導入遺伝子の発現は、ロバストであると予想される。したがって、場合によっては、例えば、遺伝子産物のレベルを測定することによって、治療有効性を測定することによってなどで検出される、導入遺伝子の発現は、投与後2ヶ月以下、例えば投与後4、3または2週間以下、例えば、主題の組成物の投与後1週間で観察され得る。導入遺伝子の発現は、経時的に持続することも予想される。したがって、場合によっては、例えば、遺伝子産物のレベルを測定することによって、治療有効性を測定することによってなどで検出される、導入遺伝子の発現は、主題の組成物の投与後2ヶ月以上、例えば4、6、8、または10ヶ月以上、場合によっては、1年以上、例えば、2、3、4、または5年、ある特定の例では、5年を超えて観察され得る。
【0161】
ある特定の実施形態では、本方法は、細胞または対象における導入遺伝子の発現を検出する工程を含み、発現は、本開示の1つ以上の改善されたエレメントを含まないポリヌクレオチドカセットからの発現と比較して増強される。典型的には、例えば、より早期の検出、より高いレベルの遺伝子産物、細胞へのより強力な機能的影響などによって証明されるように、発現は、参照の、すなわち、対照のポリヌクレオチドカセットからの発現に対して、2倍以上、例えば、当該技術分野において既知であるように、例えば、3倍、4倍、または5倍以上、場合によっては、10倍、20倍、または50倍以上、例えば、100倍増強されるであろう。
【0162】
典型的には、主題の組成物が本開示の主題のポリヌクレオチドカセットを含むLVである場合、変化を達成するための有効量は、約1×10
8個以上のベクターゲノム、いくつかの場合では、1×10
9、1×10
10、1×10
11、1×10
12、または1×10
13個以上のベクターゲノム、ある特定の例では、1×10
14個以上のベクターゲノム、および通常、1×10
15個以下のベクターゲノムであるであろう。いくつかの場合では、送達されるベクターゲノムの量は、最大で約1×10
15個のベクターゲノムであり、例えば、1×10
14個以下のベクターゲノム、例えば、1×10
13、1×10
12、1×10
11、1×10
10、または1×10
9個以下のベクターゲノムであり、ある特定の例では、1×10
8個のベクターゲノムであり、典型的には、1×10
8個以上のベクターゲノムである。いくつかの場合では、送達されるベクターゲノムの量は、1×10
10〜1×10
11個のベクターゲノムである。いくつかの場合では、送達されるベクターゲノムの量は、1×10
10〜3×10
12個のベクターゲノムである。いくつかの場合では、送達されるベクターゲノムの量は、1×10
9〜3×10
13個のベクターゲノムである。いくつかの場合では、送達されるベクターゲノムの量は、1×10
8〜3×10
14個のベクターゲノムである。
【0163】
いくつかの場合では、薬学的組成物の量は、感染多重度(MOI)を使用して測定され得る。いくつかの場合では、MOIとは、ベクターまたはウイルスゲノムの、核酸が送達され得る細胞に対する比率、または倍率を指すことができる。いくつかの場合では、MOIは、1×10
6であり得る。いくつかの場合では、MOIは、1×10
5〜1×10
7であり得る。いくつかの場合には、MOIは、1×10
4〜1×10
8であり得る。いくつかの場合には、本開示の組み換えウイルスは、少なくとも約1×10
1、1×10
2、1×10
3、1×10
4、1×10
5、1×10
6、1×10
7、1×10
8、1×10
9、1×10
10、1×10
11、1×10
12、1×10
13、1×10
14、1×10
15、1×10
16、1×10
17、および1×10
18のMOIである。いくつかの場合では、本開示の組み換えウイルスは、1×10
8〜3×10
14のMOIである。いくつかの場合では、本開示の組み換えウイルスは、最大で約1×10
1、1×10
2、1×10
3、1×10
4、1×10
5、1×10
6、1×10
7、1×10
8、1×10
9、1×10
10、1×10
11、1×10
12、1×10
13、1×10
14、1×10
15、1×10
16、1×10
17、および1×10
18のMOIである。
【0164】
いくつかの態様では、一定量の薬学的組成物は、約1×10
8〜約1×10
15個の組み換えウイルスの粒子、約1×10
9〜約1×10
14個の組み換えウイルスの粒子、約1×10
10〜約1×10
13個の組み換えウイルスの粒子、または約1×10
11〜約3×10
12個の組み換えウイルスの粒子を含む。
【0165】
所望の効果を付与するために、または疾患を治療するために細胞の適切な形質導入を提供するために好適な、任意の総数のウイルス粒子を哺乳類に投与することができる。様々な好ましい実施形態では、少なくとも10
8;5×10
8;10
9;5×10
9,10
10,5×10
10;10
11;5×10
11;10
12;5×10
12;10
13;1.5×10
13;3×10
13;5×10
13;7.5×10
13;9×10
13、1×10
14個のウイルス粒子、または5×10
14以上のウイルス粒子であるが、典型的には、1×10
15個以下のウイルス粒子が注射される。哺乳類または霊長類の眼への任意の好適な数のベクターの投与を行うことができる。一実施形態では、方法は単回投与を含み、他の実施形態では、担当臨床医によって適切と考えられる、複数回の投与が経時的に行われる。いくつかの実施形態では、高い形質導入効率をもたらすためには、単回投与(24時間の形質導入)で5×10
5細胞/mlの少なくとも2×10
8VG/mlが必要とされる。個々の用量は、典型的には、対象に測定可能な効果をもたらすために必要な量以上であり、主題の組成物またはその副産物の吸収、分布、代謝、および排泄に関する薬物動態学および薬理学(「ADME」)に基づいて、したがって対象の体内の組成物の素因に基づいて決定され得る。これには、投与経路ならびに投与量の考慮が含まれる。有効量の投薬および/または投薬レジメンは、前臨床試験から、安全性および用量漸増範囲試験から、個々の臨床医と患者との関係、ならびに本明細書に記載され、かつ実施例に説明されているものなどのインビトロおよびインビボアッセイから経験的に容易に決定することができる。
【0166】
本発明のいくつかの態様は、例証のための例示的な用途を参照して本明細書で説明される。本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳説、関係、および方法が記載されていることを理解されたい。しかしながら、関連技術分野における当業者であれば、具体的な詳説のうちの1つ以上を伴わずに、または他の方法で、本発明を実施することができることを容易に認識するであろう。本発明は、いくつかの作用が異なる順序で、および/または他の作用もしくは事象と同時に発生し得るため、作用もしくは事象の例示された順序によって限定されない。さらに、全ての例示された作用もしくは事象が、本発明による方法論を実現するために必要なわけではない。
【0167】
特許請求の範囲は、いかなる任意の要素も除外するように起草され得ることがさらに留意される。故に、この記述は、特許請求の範囲の要素の詳細説明、または「消極的な」限定の使用と関連して、「単に」、「ただ」などの除外的な用語を使用するための先行基礎として機能することを意図している。
【0168】
本明細書で考察される刊行物は、それらが単に、本出願の出願日より前に開示されたために提供されている。本明細書では、本発明が先行発明のためにこのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供された発行日は実際の発行日と異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【0169】
本明細書で参照され、および/または出願データシートで列挙される、上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許公開の全ては、例えば、刊行物が引用されているものと関連して方法および/または材料を開示し説明するために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、矛盾がある限りにおいて、組み込まれた刊行物のいかなる開示に優先することが理解される。
【0170】
上記から、本発明の具体的な実施形態を例示の目的で本明細書で説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外は限定されない。
【実施例】
【0171】
以下の実施例は、当業者に、本発明をどのように実施および使用するかの完全な開示ならびに説明を提供するために提案され、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が全てまたは唯一の実行された実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力が払われているが、いくらかの実験誤差および偏差を考慮する必要がある。特に明記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧または大気圧に近いものである。
【0172】
実験方法
ベクターLV上清の産生LVを、本明細書に記載される通りに生成した。CoRPK配列は、GeneArt(登録商標)ソフトウェアを使用して、配列のGC含量を増加させ、異所性スプライス部位を防止するように設計した。ベクターは、Naldini博士(HSR−TIGET,San Raffaele Telethon Institute,Milano,Italy)から寛大にも提供していただいた、pCCL.sin.ppt.hPGK−EGFP−wPRE*構築物を骨格として使用して開発した。元々のpCCLレンチウイルス導入ベクターおよびそのエレメントは、その全体が本明細書に組み込まれる、Dull et al.,J Virol,1998;72(11):8463−8471に記載されている。VSV−GシュードタイプLVのベクターストックを、293T細胞(ATCC:CRL−1573,Rockeville,MD,USA)中の3−プラスミドリン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって、前述のように[Follenzi A,et al.(2000).Nat Genet 25:217−222]調製した。感染性LVの力価は、HT1080細胞(ATCC:CCL−121)中でqPCRによって、他で記載されるように決定した[Charrier S,et al.(2005).Gene Ther 12:597−606]。10
7〜10
8個のウイルス粒子(vp)/mLの力価のLVストックを、慣習的方法に従って得た。
【0173】
マウスHSCの精製および形質導入8〜14週齢の雄PKDマウスのBMを脚部の骨から採取し、Lin
−Cell Depletionキット(Miltenyi Biotec,Gladbach,Germany)を使用して系統陰性細胞(Lin
−)を精製し、70〜90%の純度を得た。Lin
−細胞を、20%のFBSおよび0.5%の抗生物質(50U/mLのペニシリンおよび50μg/mLのストレプトマイシン、(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA))で補充したIMDM−Glutamax−培地中で、100ng/mLの組み換えマウスSCF(R&D Systems Inc.,Minneapolis,MN)で24時間、予備刺激し、次いで、1〜10vp/細胞のMOIで2サイクルの形質導入でLVを担持するEGFPまたはcoRPKで形質導入した。各形質導入は、CH−296フィブロネクチン断片(2μg/cm
2;レトロネクチン,TakaraShuzo,Otsu,Japan)で4℃で一晩予めコーティングしたプレートに、前述のサイトカインの存在下で24時間実施した。
【0174】
インビボでのRBCの生存。coRPK導入遺伝子を担持する移植したマウスに、ビオチン3−スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルナトリウム塩(50mg/kg)(Sigma Aldrich,Saint Louis,MO)の3回連続した静脈内注射(12時間間隔で)で注射した。最後の注射の12時間後、尾静脈血を採取し、2μg/mLの抗マウスTer119−PE(BD Bioscience,San Jose,CA)およびストレプトアビジン−FITC(50μg/mL,BD Biosciences,San Jose,CA)で、4℃で30分間標識化した。試料を、EPICS XLフローサイトメーター(Beckman Coulter,Brea,CA)で、注射後40日間、2〜4日ごとに分析した。RBC生存動態を、全RBC集団内のビオチン化細胞の比率によって測定した。
【0175】
CFCアッセイ。CFCアッセイを、Methocult培地GF M3434(Stem Cell Technologies,Vancouver,Canada)からの製造元の手順に従って、対照および移植したマウスのBMおよび脾臓で実行した。BM細胞を、マウスの全ての群から移植後の異なる時点で採取し、CFU(30個以上の細胞のクラスター)を、Nikon Diaphot−TMD顕微鏡で播種後7日目に数えた。
【0176】
造血系統の特定。PBMCを、移植した動物の尾静脈から得て、異なる造血細胞を検出するために抗体のパネルで標識化した。骨髄様細胞を、抗GR−1および抗Mac−1ビオチン化抗体(BD Bioscience,San Jose,CA,5μg/mL)で検出し、一方、リンパ系細胞を、T細胞には抗CD3−PE抗体、B細胞には抗B220−PEおよび抗B220−PECy5抗体(BD Bioscience,San Jose,CA,10μg/mL)を、SAV−TRC二次抗体(Invitrogen,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)と共に使用して検出した。試料を、DAPI(Boehringer,Ingelheim,Germany,2μg/mL)を添加したBD LSR Fortessa Cytometer(BD Bioscience,San Jose,CA,USA)で分析し、死細胞を除外した。
【0177】
構造的および組織学的研究。脾臓を採集し、写真を撮影し、精密スケールで重量を測定して、脾腫の存在を判定した。組織学的研究は、従来の組織学的方法に従って得られた脾臓部分および肝臓部分で実行し、ヘマトキシリン(Gill−2 Haematoxylin,Thermo,Pittsburgh,USA)およびエオシン(Eosin Alcoholic,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)で染色した。鉄の沈着物を、製造元の指示に従って、プルシアンブルーまたはパールズ染色(Sigma Aldrich,Saint Louis,MO)によって脾臓でも研究した。全ての部分を、Olympus BX40光学顕微鏡を使用して検査し、100倍または200倍の最終倍率で、Olympus DP21カメラで撮影した。
【0178】
赤血球の分化。BMおよび脾臓におけるTer119およびCD71マーカー強度のフローサイトメトリー分析を、他の箇所に記載されているように[Socolovsky M,et al.(2001).Blood98:3261−3273] 、4μg/mLの抗マウスTer119−PE抗体(BD Bioscience,San Jose,CA)、10μg/mLのビオチン化抗CD71抗体(BD Bioscience,San Jose,CA)、およびストレプトアビジントリコロール(Invitrogen,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を使用して、異なる赤血球サブ集団を特定した。次いで、ヨウ化プロピジウム(IP、2μg/mL)を使用してEPICS XLフローサイトメーター(Beckman Coulter,Brea,CA)で細胞を分析し、生細胞を検出した。
【0179】
プロウイルスの定量化。細胞当たりの組み込みプロウイルスの検出および定量化を、パッケージングプロウイルス配列(Ψ)とマウスTitinハウスキーピング遺伝子とに対して相補的なプライマーを使用して達成した。総BMおよび末梢血試料を定期的に収集し、有核細胞からのゲノムDNAを、DNeasy Blood&Tissueキット(Qiagen,Venlo,Limburg,The Netherlands)を使用して単離した。20〜50ngのゲノムDNA(gDNA)を、7500 FastリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)、および前述の[Charrier S,et al.(2011).Gene Ther 18:479−487]プライマーおよびプローブを使用して増幅させた。
【0180】
キメラ現象。ドナー細胞の存在を、Y染色体SRY遺伝子およびマウスβ−アクチンハウスキーピング遺伝子を検出するqPCRによって定量化した。前述のプライマーおよびプローブ[Navarro S et al(2006).Mol Ther 14:525−535]を使用し、移植したマウスのPBからのゲノムDNAを、7500 FastリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を使用して増幅させた。標準曲線を、雄/雌のマウス混合物に由来するBM細胞を0%〜100%含有する試料のgDNA抽出物を使用して作成し、キメラ現象を、ドナー生着の%=100×2
(CtβAct−CtSRY)のように計算した。
【0181】
LAM−PCR手順。ベクター組み込み部位を特定するために、3’ベクターLTR−ゲノムジャンクションを、Schmidt et al.2007[Nat Methods 4:1051−1057]によって公開された方法に従って、LAM−PCRによって増幅させた。開始線形増幅(100サイクル)を、ビオチン化LTR特異的プライマーおよびテンプレートとして最大100ngのgDNAを使用して実行した。線形増幅産物を、ストレプトアビジン磁気ビーズを使用して精製し、続いて相補鎖合成、2つの異なる制限酵素(Tsp509IおよびHpyCH4IV)を用いた並行消化、および酵素の切断によって残された末端に相補的なリンカーカセットを使用した2つのライゲーション反応を行った。生成された断片を、2つの追加の指数PCR工程によって増幅させた。LAM−PCR産物を分離し、MultiNA自動システム(Shimadzu)でのゲル電気泳動によって定量化した。
【0182】
Illumina MiSeqシーケンシング用のLAM−PCR産物の設定。Parazynski et al[Paruzynski A,et al.(2010).Nat Protoc 5:1379−1395]によって公開された方法に従って、Tsp509IおよびHpyCH4IV酵素によって生成された40ngの2次指数的PCR産物を、Illumina MiSeqシーケンサーでペアードエンドシーケンシングを可能にする特異的配列を含有するフュージョンプライマーを使用して再増幅させた。LAM−PCR試料を、フュージョンPCRによって454−パイロシーケンシングに適合させてRoche 454 GS−FLXアダプターを添加した:アダプターAに加えて8ヌクレオチドのバーコードを、LAM−PCRアンプリコンのLTR末端に添加し;アダプターBをリンカーカセット側に添加した。5’から3’の配向で、最終的なアンプリコンを、以下のように、すなわち、アダプターA、バーコード、LTR配列、未知のゲノム配列、リンカーカセット配列、およびプライマーBに構成した。精製されたフュージョンプライマーPCR産物を、MultiNA自動電気泳動システム上で移動させて、定量化し、10nMの最終等モルライブラリを得るために一緒にプールした。次いで、最終ライブラリを、Viia7リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)でIllumina Sequencing Platform(Kapa Biosystems,Wilmington,MA)用のKAPAライブラリ定量キットを使用して再定量化し、推定濃度16.35nMを得た。最後に、Illumina MiSeq試薬キットを使用してライブラリを配列決定した。
【0183】
バイオインフォマティクス分析。ハイスループットシーケンシングプラットフォームからベクターISを抽出するために、Roche 454およびIllumina MiSeq/HiSeqの両方で、行データ(典型的には、FastQファイル形式)を入力として取り込むパイプラインを設計し、信頼性のあるISおよび最も近い遺伝子のリストを提供した。クローン存在量の定量化および遺伝子オントロジー富化についての優れたレベルの分析を、Excel、GraphPad Prism(商標)、および利用可能なオンラインツールを使用して実行した。
【0184】
NGSデータ処理およびパイプラインの使用。NGSデータ処理の工程は、Illumina MiSeqシーケンシングプラットフォームからのハイスループットデータの管理を扱い、全ての有効な配列リードを、参照ゲノムに整列されているISを特定することを目的としている。データ処理は、2つの主要な活動を構成する:1.LVベクター配列および他の汚染物がトリミングされる、データ品質検査および分析。2.全ての有効な配列リードが参照のゲノムに整列され、有効なISが取得される、組み込み部位の特定。
【0185】
データ品質分析。Illumina MiSeq生データからISを特定するために、バイオインフォマティクスパイプラインを開発した。標準的LAM−PCR産物は、LTR配列、隣接するヒトゲノム配列、およびリンカーカセット(LC)配列を含有する。459技術は、10bp〜900bpの範囲の長さを有するLAM−PCR配列の取得を可能にした。同様の結果を、Illumina MiSeqペアードエンドリードから取得した。これらの長さの境界は、後続のアライメント手順およびベクター成分特定のアルゴリズムの両方に影響するため、品質分析プロセスで考慮する重要なパラメータである。参照遺伝子に正しく整列させるには短すぎる配列を廃棄し、ならびにLC配列の一部または全ての欠落を回避するために、NSG技術で到達可能な最大サイズを超えるものを廃棄した。各プールのパイプラインが終了すると、全ての組み込み部位をファイルで(TIGETネットワーク接続ファイルストレージ−NAS−にアーカイブされている)および内部データベースの両方で収集し、変更されたコピーを追跡するストレージサーバーに保持した。
【0186】
組み込み部位の特定。特有な組み込み部位を特定し、全てのISを行に、各試料を列(ISマトリックス)に最も近い遺伝子アノテーションと共に、Excelファイルを抽出するために、以下の工程を行う:1.プロジェクト間の衝突検出を可能にする、create_matrixと呼ばれるプログラムを使用するISマトリックスの作成。このプログラムは、タブ区切りファイル(TSV)を生成し;2.入力TSVファイルを使用して各プールに対して次のように呼び出される、すなわち、awk‘{print“chr”$1”\t”$2”\t”$2}’TSV_FILE|tail−n+2>TSV_FILE.bed;annotate_bed−a/opt/genome/mouse/mm9/annotation/mm9.refGene.TIGET.gtf−b TSV_FILE.bed−o TSV_FILE.annotated.bed annotate_bedプログラムを使用したISマトリックスファイルのアノテーション;3.アノテーションおよびマトリックスファイルの両方を新しいExcelワークシートにインポートする。
【0187】
衝突検出。各移植したマウスからISの信頼性の高いデータセットを得るために、潜在的な汚染/衝突からのデータ、および配列カウントに基づく偽陽性からデータをフィルタリングした。異なる実験から得られた組み込み部位を組み合わせるために、データの正常化の追加の工程が必要であった。
【0188】
「衝突」という用語は、独立した試料における同一のISの存在を特定するために使用される。我々の実験設定では、異なる細胞中のちょうど同じゲノム位置にあるベクターの組み込みは、非常に低い確率の事象である。したがって、独立した試料での同一のISの検出は、ウェットラボ手順(試料精製、DNA抽出、LAM−PCR、およびシーケンシング)の異なる段階で発生し得る汚染に由来する可能性がある。我々の作業パイプラインは、試料間の接触の発生を最小限に抑えるように設計されているが、ISのハイスループット分析は、本質的にある特定の程度のバックグラウンド汚染を伴う。同じマウスから得られた異なる試料で同じISを取得することが、ベクターでマークされた造血細胞の生物学的特性(すなわち、多系統の可能性および持続的なクローン原性活性)を推測するために後続の工程で使用されるために、試料間の汚染の程度の特定もまた重要である。したがって、(同じマウス由来の)異なる試料での同じISの実際の発生を、汚染/衝突から区別できなければならない。
【0189】
これらの問題に対処するために、分析における衝突の程度を測定し、次いで、衝突に起因する可能性があるISを各マウスのデータセットから破棄するルールを設計し、同じマウス由来の試料間で共有されたISを探す場合の偽陽性の可能性を最小化するための方法として、様々な試験項目とマウスとに由来する試料間での共有ISの程度を評価した。我々は、各組み込み座位の検証を可能にする衝突検出プロセスを設計した。全体的な結果は、組み込み座位のセットIとすれば、Iにおける組み込み座位iを衝突として分類の場合、iはIから破棄される。3つの独立した移植群間に衝突検出プロセスを適用した。1.coPKR170s:coRPK発現LVベクター(coRPK 1〜3)で形質導入されたLin
−細胞で移植後、170日目で安楽死させたアッセイ1からのマウス。2.EGFP:EGFP発現LVベクター(EGFP1〜6)を担持するLin
−細胞を移植した、アッセイ2からのマウス。3.coPKR−TC:一次移植マウスのサブ群(coRPK 11〜14)からプールされたBMで移植した二次レシピエントを含む、血液およびBMが異なる時点で分析されたcoPKR発現LVベクター(coRPK 1〜14)で形質導入されたLin
−細胞を移植した、アッセイ2からのマウス。
【0190】
各同一のISは、異なるマウス間で、異なる配列リード(配列カウント)を有する。配列カウントは、存在量の基準に基づいて、1匹のマウスからの試料が他のマウスの試料を汚染したかどうかを判定するために使用することができる。我々の理論的根拠では、2匹のマウスで見出された組み込みが、最も高い存在量を示すマウスに割り当てられ、一方、他のマウスでは、これは汚染物質と見なされる。したがって、我々は、所与の衝突をマウスに割り当てて、他の衝突を排除することを可能にする差分配列カウントの閾値を特定することができた。我々は、10の値を取得するデータ由来の閾値を取得し、これは、各ISについて、全てのTIの中で、ISが他のTIの最高の存在量値(配列カウント比率)よりも10倍低い存在量値(配列カウント比率)を取得したならば、次いで、それは現在のTIから破棄されることを意味する。我々は、これらのルールをTI間および選択した群間の両方に適用し、Excelファイルを使用して、次のルールを適用することで衝突検出を計算した(ここではTIフィルタリングについて詳述するが、群フィルタリングにも同様に拡張される)。1.各TIを単離し、配列カウントを合計することによって、同じTIの全ての試料をグループ分けする。2.得られた3つのTIについて、各ISに対して、TIについてのリードの合計全体に対するIS配列カウントの比率を計算する。3.次いで、以下のルールを適用して、各ISを信頼できるTIに割り当てることを可能にした閾値10の決定工程を計算する。
【0191】
削除されるISが検出されると、その群にもはや割り当てられなくなるように、そのISのリードが、その群から削除された。上記のフィルターは、異なるエクスビボでの形質導入細胞集団を移植したマウス(アッセイ2由来のEGFP発現マウスの1つのコホートと2つの独立した移植実験に属するcoPKRマウスの2つのコホート)間に適用した。さらに、coPKR−TC群(アッセイ2)では、上述したフィルタリング方法は、2つの方法、すなわち、a)クローン存在量分析に関して、時点間の組み込みの共有をより明確に強調するために、以下のルール:1つの組み込みが1つ以上のマウスで共有されている場合、それらの配列カウントがマウス間の最大配列カウントの10%未満であっても、組み込みは全ての時点で維持されるということを追加すること;b)系統追跡関係の場合、配列カウントが3未満のIS、および時点間で共有するための10%配列カウントフィルターを排除することによって、より厳密なフィルターを適用することで修正した。2つの時点間で共有される組み込みは、それぞれが他よりも多いかまたは少ない場合にだけ、保持または破棄されることを意味する。
【0192】
遺伝子オントロジー分析。全ての遺伝子オントロジー分析は、GREATオンラインソフトウェア(http://bejerano.stanford.edu/great/public/html/)を使用して行った。このウェブページは、各データセットの組み込みのゲノム座標をアップロードすること、および位置情報(p値計算の二項分布分析に基づく)と組み込み部位に最も近い遺伝子の注釈付き関数(p値計算の超幾何分布分析に基づく)を関連付けることによって、試験済みデータセットの富化レベルを計算することを可能にする[Groeschel S,et al.(2011).J Inherit Metab Dis 34:1095−1102]。富化分析のために、GOデータベースの生物学的プロセスおよび分子機能を選択した。両方の統計的分析について、<0.05の偽発見率を有する遺伝子クラスのみを考慮した(
図20)。
【0193】
データ格納。行データと結果の両方の全てのデータは、ルートフォルダーのTIGETネットワークアタッチドファイルストレージ(NAS)に格納され、ここでは、パイプラインからの全てのアライメント、ならびに存在量マトリックスおよびプロットが利用可能である。NASストレージは、認証および承認ポリシーによって保護され、ディスクRAID 5の冗長アレイを使用した信頼できるスケーラブルなインフラストラクチャ上に構築され、TIGETに登録されているCrashPlanソフトウェアでバックアップされている。
【0194】
実施例1
PGK−coRPK治療LVベクターは、遺伝的に修復されたPKDマウスにおける貧血表現型の安定かつ長期的な修復をもたらす。
PGK−coRPK LVのインビボ有効性(
図2a)を、PKDマウス(
図2b)からの系統枯渇BM細胞(Lin
−細胞)の形質導入および移植によって評価した。
図2aは、対照ベクター中のEGFP導入遺伝子の発現を調節する(上図)か、または治療ベクター中のcoRPK cDNAの発現を調節する(下図)、ヒトPGKプロモーターを有する、遺伝子治療実験全体で使用されるSIN LVベクターの概略図である。coRPK配列は、ヒトPKLR cDNAと80.4%の相同性およびマウスPklr cDNAと76.5%の相同性を示し、アミノ酸配列に変化はなかった。
図2bは、開発されたPGK−coRPK LVベクターの機能性に対処するために実施される遺伝子治療プロトコルの概略図である。PKD表現型の修復は、血液学的分析および代謝プロファイリングを通して、PBおよびBMへの移植後4〜9ヶ月間研究した。組み込み分析は、LVベクトルの安全性に対処するために、全てのマウスの異なる組織および時点で実行した。移植後280日目に、coRPK導入遺伝子を担持する一次移植マウスからの総BMを、致死的な放射線を浴びた雌PKDマウス(二次レシピエント)に再度移植して、生着の安定性および安全性を試験した。coRPK LVで形質導入された欠損細胞を移植した、致死的な放射線を浴びたPKDマウスは、移植されていないPKD同腹仔またはEGFP LVで形質導入された細胞を移植したマウスと比較したとき、試験された全ての血液赤血球パラメータに有意な改善を示した(
図3および表2)。
(表2)末梢血における移植後140日目に記録された血液学的変数
データは平均値±SEMを表し、クラスカル・ウォリスノンパラメトリック検定を使用して、EGFP発現マウスと比較することによって、統計的に分析した。*p<0.05;**p<0.01。
【0195】
移植後40日間(
図3a)になるとすぐにRBC数が増加し、PKDの最も一般的な兆候のうちの1つである構成的網状赤血球症が、PGK−coRPK導入遺伝子を担持するマウスで大幅に回復し、移植後少なくとも9ヶ月間は、健常な対照で観察されたレベルに近いレベルに達した(
図3b)。逆に、EGFP LV形質導入細胞を移植したPKD動物は、分析した全ての時点で、PKDマウスと並行して貧血および顕著な網状赤血球症を示した。ヘモグロビンレベル(HGB)、ヘマトクリット指数(HTC)、平均赤血球体積(MCV)、および平均赤血球ヘモグロビン(MCH)値も、非移植PKD同腹仔と比較すると、LV修復細胞を移植したマウスで修復された(表2)。この血液学的修復は、ドナーのキメラ現象の63.66±4.45%および60%〜90%の範囲の形質導入効率で達成された(表3)。
【0196】
(表3)遺伝子組み換え細胞を移植したマウスの関連分子パラメータ
データは、平均値±SEMを表し、n.dは、未決定を表す。
a 実験1から構築された線形回帰における内挿推定によって得られた推定形質導入比率(X軸:VCN/WBC、Y軸:プロウイルス
+CFUの%)。
【0197】
形質導入された細胞は、細胞当たり平均1.65±0.08の組み込みベクターコピーを示し、PGK−coRPK LV−ベクターが溶血性貧血を回復させるのに十分なヒトRPK導入遺伝子発現を提供したことを示している。注目すべきことに、coRPK導入遺伝子の発現は、非移植PKDマウスと比較したとき、赤血球細胞の半減期の延長をもたらした(
図3c、d)。平均して、PKDマウスは、19日間のRBC半減期を示したが、一方遺伝子修復マウスでは25日間まで延長され(6日間の延長)、野生型RBC半減期に近い値に達した(
図3d)。したがって、coRPK発現マウスのRBCは、健常なマウスと欠損した対照マウスとの間で中間的な生存動態を示し(
図3c)、これは、おそらくは、これらの動物で完全なキメラ現象が達成されなかったためである(表3)。
【0198】
移植から9ヶ月後、一次レシピエントからの造血前駆細胞を、生着レベル(62.89±5.61%)およびVCN(1.44±0.08コピー)を維持した二次レシピエントに移植した(表3)。二次移植レシピエントは、移植後最長5ヶ月まで多系統の造血再構成を示し(
図4)、全てのPB赤血球パラメータの有意な改善を示した(
図5および表2)。
図4aは、CD3−PE、B220−PE、B220−PECy5、Gr1−ビオチン、およびMac1−ビオチン抗体+SAV−PE−Cy5で標識化することによって、異なる造血系統を特定するために使用されたフローサイトメトリー戦略の図である。
図4bは、代表的なドットプロットを表示し、移植後140日目でのPBの各系統の比率を表示する(
図4c)。バーは、健常なマウス(n=2、黒バー)およびPKDマウス(n=2、灰色バー)対照ならびにcoRPK治療導入遺伝子を発現する二次移植マウス(n=4、スクラッチドバー)の平均比率±SEMを表す。加えて、プロウイルスの組み込みが、異なるコミットされた造血前駆細胞で検出され(
図6a、b)、その数は経時的に一定のままであり(
図6c)、遺伝子修復の安定性を実証し、かつPGK−coRPK LVの安全性を強調した。
図6aは、移植後120日目および170日目での個々の移植マウスからの細胞当たりのベクターコピー数をBM CFUで示す。形質導入およびキメラ現象の比率も示されている。
図6bは、異なる造血区画からの細胞におけるプロウイルスコピー数を示す。欄は、移植マウスの異なる群の平均値±SEMを表す。
図6Cは、個々の移植EGFP発現マウス(灰色線)およびcoRPK導入遺伝子を担持するマウス(黒線)からのBM細胞におけるプロウイルス組み込みの動態を示す。
【0199】
実施例2
LV由来のRPK発現は、赤血球分化を正常化して、機能的な成熟赤血球の産生を可能にする。
PKDマウスは、代償性赤血球産生機構によって引き起こされる赤血球区画の特有な拡大を示している(Min−oo et al 2004)。移植したマウスの赤血球分化パターンの研究は、異所性RPK発現がこの機構を回復させることを示した(
図7a、b)。PKDおよびEGFP発現マウスは、BMおよび脾臓において未成熟な赤血球前駆細胞(サブ集団I:前赤芽球、およびサブ集団II:好塩基性赤芽球)の優位性、および後期赤血球(集団IV:網状赤血球および成熟赤血球)の顕著な低下を示し、一方、coRPK LVで形質導入された細胞を移植したマウスは、BMおよび脾臓の未成熟赤血球前駆細胞(サブ集団IおよびII)の大幅な低減、および健常なマウスと同等の最新の赤血球区画(サブ集団IV)の大幅な増加を示した(
図7a、b)。加えて、PKDおよびEGFP発現マウスとは異なり、coRPK導入遺伝子を担持するマウスは、血漿中のエリスロポエチン(Epo)レベルの大幅な低減を示した(
図7c)。
図8aは、脾臓からの総CFUを示し、
図8bは、移植後140日目の骨髄を示している。点は、分析されたマウス当たりのコロニーの数を表し、線は、各群における平均値±SEMを表す。データを、ノンパラメトリッククラスカル・ウォリス検定によって統計的に分析した。治療ベクターで処置されたPKDマウスにおける赤血球産生の正常化は、脾臓の前駆細胞含量の数の正常レベルへの低減によって達成された(
図8a)が、BM CFU含量の変化は認められなかった(
図8b)。
【0200】
実施例3
coRPK LVベクターで形質導入された細胞の移植は、髄外赤血球産生および臓器病理を元に戻す。
RPK欠損赤血球の活発な破壊により、PKDおよびEGFP発現マウスは、健常な対照と比較したとき、200%を超える脾臓の重量およびサイズの急性脾腫を示した(
図9a、b)。脾臓組織の乱れた構造および脾赤髄の拡大もこれらの動物で観察され、PKDおよびEGFP発現肝切片における赤血球細胞クラスターの存在によっても強い髄外赤血球産生が支持されていることを示している(
図9c)。注目すべきことに、coRPK導入遺伝子の異所性発現は、遺伝子修復されたマウスの脾臓および肝臓の病理を完全に元に戻し、RBCの蓄積を低減し、脾臓の組織学的構造およびサイズを正常化した(
図9)。さらに、組織学的研究は、遺伝子修復されたマウスの肝臓には鉄沈着物がまったく存在しないことを明らかにしたが、一方、移植されていない群またはEGFPを担持するベクターで形質導入されたHSCを移植した群のいずれかのPKDマウスは、継続的な溶血プロセスのために強い鉄過剰を示した(
図9c)。全体的に、PKDマウスにおける遺伝子修復されたHSCの移植は、赤血球産生の正常な状態および溶血性貧血によって引き起こされる全ての二次的影響を回復した。
【0201】
実施例4
PGK−coRPK LV由来の発現は、WBC代謝バランスを変更することなく、RBCの解糖経路を回復する。
次に、RPK酵素活性の機能的修正を研究するために、全ての移植マウスおよび対照マウスの広範なメタボロミック解析を実行した。非標的プロファイリング戦略に従って、我々は、異なる群間でRBCの解糖中間体の有意な変化を観察し、別個の傾向を有する代謝産物パターンの3つの広範なクラスターを特定した(
図10a)。coRPK発現マウスからのRBCは、健常な対照と同様にクラスター1からの代謝産物の増加を示したが、EGFP導入遺伝子を担持する移植マウスとは異なっていた。同様に、クラスター3は、野生型マウスに類似し、EGFP発現マウスとは異なる、遺伝子修復されたマウスにおける代謝産物の減少傾向を反映していた。それにもかかわらず、アッセイ1からのクラスター2は、移植したマウス群(EGFPおよびcoRPKを発現するマウス)間で代謝産物プロファイルの違いを示さなかった(
図10a)。非標的代謝プロファイリングは、遺伝子改変が、いくつかの重要な解糖中間体を改変し、PGK−coRPK LV形質導入HSCで移植したマウスから単離した赤血球のATP(
図10b)、ADP(
図10c)、およびピルビン酸(
図10d)レベルの増加を達成することができることを示した。これらの代謝傾向を考慮して、我々は、標的プロファイリング手法を使用して、PK触媒反応の近くに位置する他の代謝産物を分析した。PK触媒反応の上流に位置する直接PK基質ホスホエノールピルビン酸(PEP)(
図10e)および3−ホスホグリセリン酸(3−PG)(
図10f)のレベルは健常な参照マウスのレベルに近づいた。coRPK導入遺伝子を発現する欠損赤血球も、PKDおよびEGFP発現マウスと比較したとき、嫌気性解糖の最終産物であるD−乳酸(
図10g)の増加ももたらした。解糖代謝産物での補償が成熟赤血球のPK活性の正常化の結果であるかどうかを試験するために、我々はこの酵素の活性を測定し、欠損動物における多量の網状赤血球の影響を回避するために、ヘキソキナーゼ活性と関連してそれを正常化させた。白血球のPK活性の混入を防止するために、RBCをセルロースカラムを通して精製した。野生型の健常な動物から、および正常で健常な血液ドナーボランティアから得られたものと同様の比に達するcoRPKを発現する動物において、PK活性の完全な補償が観察された(
図11)。
図11aは、対照マウスおよび形質導入細胞を移植したマウスからのRBCにおけるピルビン酸キナーゼ活性を示し、
図11bは、ヘキソキナーゼ活性を示し、
図11cは、ピルビン酸キナーゼとヘキソキナーゼ酵素活性との比を示す。RBCは、白血球のPK活性の混入を回避するためにセルロースカラムを通して血液試料から精製して、酵素活性評価にかけられた。黒バーは健常なマウス(n=2)であり、白バーは、EGFP発現ベクターで形質導入された細胞を移植したマウス(n=3)であり、スクラッチドバーは、coRPK発現ベクターで形質導入された細胞を移植したマウス(n=3)である。格子縞のバーは、健常なボランティア(n=1)からの値を表す。データは、各群の平均値±SEMを表す。
【0202】
主成分分析は、RBCの代謝産物パターンが群に依存して異なり、WBCプロファイルとは著しく異なることを示した(
図12a)。対照的に、WBCサブ群はクラスター間でほとんど差異がなくクラスター化しており、異所性coRPKを発現しているときに白血球の代謝バランスに変化がないことを示す(
図12a)。さらに、RBCの非標的プロファイリングで観察された特定の代謝産物の変化は、WBCには存在しなかった(
図12b〜d)。
【0203】
実施例5
PGK−coRPK LV形質導入細胞は、ベクター遺伝毒性の証拠なしで、ポリクローナル造血再構成を行う。
coRPKまたはEGFP導入遺伝子のいずれかを担持するLVの組み込みプロファイルを移植したマウスで分析した。LVのゲノム全体の組み込みプロファイルからの結果から、各挿入が、個々の形質導入された細胞のクローン行動を追跡するために使用され得る特有な遺伝子マークを作り出した。ゲノムDNA(gDNA)は、WBCから、BM細胞から、および一次ならびに二次移植マウスから、ならびに移植前に形質導入された細胞プール(Lin
−細胞)から得られた。線形増幅媒介PCR(LAM−PCR)(
図13および14)を使用して、ベクター/ゲノムジャンクションを増幅させ、ベクターISを特定した。
図13は、ベクターISを、3’ベクターLTR−ゲノムジャンクションのLAM−PCR増幅によって特定したことを実証している。いくつかのバンドによって特性化されるパターンを生成するMultiNA自動化システムを使用した。ベクター骨格由来のTsp509I内部対照バンド(IC)は、矢印で示されている。
図14は、ベクターISを、3’ベクターLTR−ゲノムジャンクションのLAM−PCR増幅によって特定したことを実証している。いくつかのバンドによって特性化されるパターンを生成するMultiNA自動化システムを使用した。ベクター骨格由来のHpyCH4IV5のICは、矢印で示されている。
【0204】
PCR産物を、MiSeq Illuminaプラットフォームによって配列決定し、得られた配列を、バイオインフォマティクスパイプラインによってマウスゲノム上にマッピングし、上記の方法のセクションで記載したように衝突をフィルター処理した(
図15)。
図15は、遺伝子改変された造血前駆細胞で移植したマウスにおいて実施されたISマッピングの分析の一般的なスキームである。2つの独立した実験(表3)に属する移植マウスに由来し、移植後に異なる時点で採取された骨髄および白血球試料を、示されたルートに従って捕足的方法に記載されているように分析した。
【0205】
全体的に、我々は、移植したマウスゲノム上で5,173,892のシーケンシングリードをマッピングし、2,220の特有なベクター組み込み部位をもたらした。2つの独立した実験から得られたISのゲノム分布は、以前に報告された転写単位内の(特に、転写開始部位−TSS−の始めの50Kb下流内の)組み込みについてのLV優先度と一致しており(
図16a)、マウスゲノムのいかなる特定の染色体に対してもずれを示さなかった(
図16b)。
図16aは、TSSの500kb上流および下流にわたる、直近のRefSeq遺伝子のTSSの周りのIS頻度分布を示している。上部の数字は、全ての試料および時点について検出されたISの数である。
図16bは、EGFP導入遺伝子を発現する移植マウス(黒バー)またはcoRPK治療導入遺伝子を発現する移植マウス(灰色バー)におけるLVのISの染色体分布を示し、任意の特定の染色体への偏りがないことを示している。
【0206】
PGK−coRPK LVベースの遺伝子治療の安全性を、データセットの配列の総数に対する各IS(クローンマーク)の配列カウントの比率を計算する、クローン存在量の推定によって研究した。各マウスで取得された各ISの相対存在量のドットプロットおよびヒートマップ表現(
図17、18、および19)は、異なるマウスおよびインビトロ培養したLin
−細胞のクローン組成において強い変動を示した。
図17は、治療PGK−coRPK LVベクターを担持する一次および二次レシピエントマウスの間の追跡された共有組み込みのチャートである。任意の臓器および任意の時間でいずれかのマウスで検出された組み込みがプールされる。二次レシピエントは、移植マウスcoRPK11〜14からのプールされたBMを受容した。検出されたISの残りは、一次または二次レシピエントで検出された。ボックス内の数字は、言及されたマウスにおける対応する組み込みの比率の代表値を示す。組み込み分析に適用された≧5%のフィルターに加えて、<3の配列カウントを有する全ての組み込みを排除した。
図19は、骨髄における各マウスのプールされた組み込みのクローン存在量のドットプロット表現を提示する。各ISについての相対比率(y軸)は、各データセットで得られた配列読み取りの総数に対するものである。co−RPK形質導入細胞(
図17)と同様に、グラフは、圧倒的大部分の移植マウスが、造血細胞再増殖のポリクローナルパターンを示すことを指示している。
【0207】
また、いくつかの試料では、少数の組み込みが大量の配列リードに寄与し(
図17および18)、形質導入されたHSCの再増殖のポリクローナルパターンを明らかにしていることを認めることが可能であった。加えて、治療PGK−coRPK LVを担持する一次マウスと、その後移植された二次マウスとの間の追跡された共有組み込みは、群間の組み込みの強い共有性を示さず、クローン優性が不在であることを確認した(
図18)。
【0208】
挿入突然変異誘発の特徴が移植したマウスに存在したかどうかを判定するために、我々は、現在進行中のLVを媒介した臨床試験と同様に、共通挿入部位(CIS)の発生を評価した。CISは、形質導入時の組み込みバイアス、または増殖優位性を付与するベクター組み込みを保有するクローンのインビボでの選択から生じ得る挿入ホットスポットである。CISは、Abelとcolsとに基づくアルゴリズム、およびCISを検出しない異常値についてのGrubbs試験を使用して特定され、したがって、この読み出しによって遺伝毒性の警戒すべき兆候はない。さらに、GO分析により、組織分布、時点、または再増殖している造血細胞クローンの存在量によって選別された組み込みデータセットのいずれにおいても、癌、細胞増殖、またはアポトーシスの調節に関与する遺伝子クラスにずれがないことを明らかにした(
図20)。
図20は、LVゲノム組み込みプロファイルを表している。移植したマウスからの試料に対してGREATソフトウェアを使用して、GO分析を実施した。この試験(N=2220)から取得した全ての組み込みは、図の左側部分に示された遺伝子機能の過剰提示を示した。最も豊富な組み込みが特異的遺伝子クラスで富化されたかを解決するために、データセット全体の>5%の相対配列カウントを有する全てのIS(
図17に示された)を選択し、GO遺伝子クラスが過剰提示されていないことを示した。
【0209】
これらの結果は、ベクター組み込みの中立性を示唆し、前臨床現場におけるPGK−coRPK LVの安全性を実証している。
【0210】
実施例6
ヒト臨床試験
脾臓摘出術に抵抗性の重症で輸血依存性貧血の病歴を有するPKDの患者において、EU/3/14/1130医薬品(RPK遺伝子を含有するLVベクターで形質導入された自家CD34+造血幹細胞)を使用して、自家造血幹細胞移植(HSCT)の安全性および予備的な有効性を評価するために、臨床試験を行う。
【0211】
ODD EU/3/14/1130は、coRPK遺伝子を発現するSIN LVベクターを含む(
図21)。
【0212】
SIN LVベクターは、よりロバストな発現を提供し(Ellis 2005)、ガンマ−RVベクターよりも転写サイレンシングの影響を受けにくい(Pfeifer,Ikawa et al.2002)。これらはまた、はるかに安全な組み込みプロファイルを示しており(Schroder,Shinn et al.2002)(Mitchell,Beitzel et al.2004)(Wu,Li et al.2003)、これらが3’LTR配列で担持する400bpの欠失のために(Miyoshi、Blomer et al.1998)(Zufferey、Dull et al.1998)、導入遺伝子の発現は内部プロモーターによって調節され、LVベースの遺伝子改変の安全性を増加させる。
【0213】
許容されたLVベクターの配列はまた、標的細胞における導入遺伝子の発現および安全性を改善するために、いくつかの改変も含む。
【0214】
1つの改変は、遺伝子治療で使用される他のプロモーターと比較して、その安定したインビボでの活性および改善された安全性によって既に特徴付けられている、ヒトPGKプロモーターの使用である(Montini,Cesana et al.2006、Modlich,Navarro et al.2009、Montini,Cesana et al.2009、Biffi,Montini et al.2013)。PGKプロモーターの取り込みは、導入遺伝子の生理学的発現および転写サイレンシングに対するより低い感受性をもたらす(Gerolami,Uch et al.2000,Zychlinski,Schambach et al.2008)。
【0215】
別の改変は、転写時にmRNAの安定性を増加させるためのcoRPK遺伝子である。最適化については、GC含量を増加させ、転写サイレンシングを回避するために、したがって導入遺伝子の発現を増加させるために隠れたスプライス部位を除去する、GeneArt(登録商標)ソフトウェアが使用されている。coRPK最適化配列は、タンパク質のアミノ酸の変化がない状態で、ヒトPKLR遺伝子と80.4%の相同性を示した。
【0216】
別の改変は、いかなる残留するオープンリーディングフレームも欠如する突然変異したwPRE(Schambach,Bohne et al.2006)もまた、治療遺伝子の発現および安定性のレベルを改善するために含まれることである。このLVベクター(PGK−coRPK LV)の骨格、プロモーター、およびwPRE*配列は、医薬品「ファンコニ貧血A型患者の治療のためのファンコニ貧血A(FANCA)遺伝子を含有するレンチウイルスベクター」(Ref 141/2000)、ならびに異染性白質ジストロフィー(MLD)の現在進行中の臨床試験で使用されるベクター骨格(Biffi,Montini et al.2013)に対応するものと同じである。
【0217】
作用様式
骨髄(BM)または動員された末梢血細胞のいずれかから、PKD患者由来のCD34
+前駆細胞を採取した後、これらを、エクスビボで医薬品で形質導入し、治療ベクターが細胞のゲノムに組み込まれることになる。一旦組み込まれると、治療ヒト遺伝子(coRPK)が欠損細胞内で転写および翻訳され、PKD成熟赤血球では欠落または減少している治療RPKタンパク質を産生する。形質導入されたPKD造血前駆細胞は、次いで遺伝子修復され、これによりそれらの機能を達成するのに十分な量のATPを含む赤血球を産生することができる(
図22)。これらの遺伝子修復された造血前駆細胞(医薬品を構成することになる)は、その後患者に移植され、一旦生着すると、正常な赤血球を生成し、生涯にわたって疾患の治癒を提供する。
【0218】
有効成分は、治療LVベクターPGK.coRPK.wpreで修復された造血幹細胞(CD34
+)細胞の細胞懸濁液からなり、PKDの治療のために欧州委員会(ODD EU/3/14/1130)から希少医薬品として指定されている。この新しい医薬品は、遺伝子治療サブクラス内の高度な治療法開発のグループに含められるべきである。
【0219】
有効成分は、細胞当たり少なくとも0.1コピーの治療ベクターを含む、少なくとも2×10
6個のCD34
+細胞/kg体重の遺伝子修復された細胞懸濁液から構成されている。細胞は、2%のHSAを含む生理食塩水緩衝液中に懸濁されている。
【0220】
最終的な治療薬は、GMP規則に従って製造され、そのため、その放出および患者への注入のための製品要件は、製品の品質に関連するであろう。これに関連して、これらの仕様には、細胞生存率≧30%、無菌性(薬局方によるグラム試験および無菌性)、マイコプラズマの不在、複製コンピテントLV粒子の不在、および定量的PCRによる細胞あたり少なくとも0.1のベクターコピーの存在の検出による治療能力の効力の実証が含まれるであろう。さらに、これらにおける造血前駆細胞の含量およびベクターのコピー数の調査ならびに研究が実行される。手順が上記の要件に達することを確実にするために、3つの独立した検証が、健常な対照細胞で実行される。
【0221】
最終製品は、特に患者へのその注入までの凍結および保管のために、熱で密封された移送バッグにパッケージされ、対応する精密な品質管理のために、試料が前もって収集されるであろう。
【0222】
動員
患者は患者のそれぞれの病院で動員されるが、最初の2人の患者は、Hospital del Nino Jesus,Madrid(Spain)で動員される。動員過程は、組み換え刺激因子顆粒球コロニー(G−CSF,Neupogen,Amgen,Thousand Oaks,CA,USA)を、12mg/kgで1日2回、出生から最長8日間の投与、プレリキサホルを4日目に240mg/kg/日(Mozobil(登録商標),Genzyme Europe BV,Naarden,Netherlands)で4日間連続して、4回の皮下投与に含まれる。末梢血からの造血前駆細胞を、白血球アフェレーシスによって収集し、動員の5日目からの大容量を、マドリードのHospital Nino Jesusの標準プロトコルに従って細胞分離器を通して送る。全ての機器および溶液は、CEマークが付けられており、医療機器に関する法律の仕様を満たしている。
【0223】
CD34
+細胞の精製
動員過程と一致して、アフェレーシスは患者が動員される病院で行われる。アフェレーシス産物は、強力な永久磁石および強磁性マトリックスを備える分離カラムを通して、高磁場勾配による細胞の分離を可能にするMACS「磁気細胞選別」技術(Miltenyi Biotec,Germany)を介して造血前駆細胞(CD34
+細胞)を選択するために、すぐに処理される。CliniMACS(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)システムは、コンピューター(CliniMACS(登録商標)plusInstrument)、特定のCD34
+選択ソフトウェア、一連の滅菌チューブ(CliniMACS Tubing Sets)、磁気制御反応滅菌装置(CliniMACS CD34 Reagent)、および滅菌緩衝液(CliniMACS PBS/EDTA緩衝液)からなる。使用される機器および試薬は、CEマークが付けられており、医療機器に関する法律の仕様を満たしているであろう。この段階とその後の洗浄では、非特異的免疫グロブリン(静脈内Flebogamma5% 0.5gr、Grifols)およびヒトアルブミン(ヒトアルブミンGrifols(登録商標)20%、Grifols)を利用し、これらは、その後、遠心分離後に洗浄して除去される。次いで、CD34+細胞を定量化する。得られた製品の微生物学的管理は、特定のプロトコルに従って、培養用に標準的な真菌、好気性細菌および嫌気性菌の試料を採取することによって実行される。
【0224】
CD34
+形質導入
ODD EU/3/14/1130によって精製されたCD34
+細胞の形質導入は、GMP条件下で、患者からの細胞の抽出(アフェレーシス)から48時間以内の時間窓で実行される。細胞のエクスビボでの培養は、48時間未満継続し、適切に配合された培地X−vivo−20(Lonza)の使用、造血増殖因子(100ng/mlのhrSCF、100ng/mlのhrFlt−3、100ng/mlのTPO、および20ng/mLのIL−3(全てのPrepotech製)、1μg/mLプルモザイムの添加、ならびに制御された5%のO
2濃度を含む、確立された基準に従って培養されるであろう。形質導入は、VIVEbiotech(San Sebastian,Spain)が製造したODD EU/3/14/1130のGMP LVバッチを使用して実行される。形質導入後、細胞はX−vivo−20(Lonza)で洗浄され、最終的に凍結保存に好適な輸送バッグにパッケージ化される。特定の試料が収集され、最終産物がその最終的な放出について既に述べた全ての仕様を満たしているかどうかが決定される。産物の安定性を評価するために、3つの独立した検証が実行される。ベクターを含む全ての産物および溶液は、医療機器および臨床使用のための法律の仕様を満たす。生産前に、全ての原材料(消耗品、生物学的試薬、化学粉末を含む)は、標準実施要領(SOP)に従ってCliniStemの品質管理(QC)ユニットによって検査されるであろう。
【0225】
前処置(Conditioning)
患者は、試験用に考慮される標準化された具体的なプロトコルに従って前処置される。患者の前処理用の代替品と見なすために、調製された産物が処置された患者の造血を完全に再構成しない場合に使用するために、2×10
6個の操作されていないCD34
+細胞/kgのバックアップを凍結させておく。
【0226】
注入
注入前に、患者の適格性がチェックされ、試験の要件を満たしていることを確認する。注入日に、使用された前投薬および予防的投薬が記録される。
【0227】
実施例7
非臨床開発
以前の研究は、25%を上回る遺伝子修復された細胞が移植された場合の、マウスにおけるPKDのHSC遺伝子治療の実現可能性を実証した。これらの結果は、PKDの治療効果を達成するためには、かなりの数のドナーの遺伝子修復されたHSC(Zaucha,Yu et al.2001)および高レベルの導入遺伝子発現が必要であることを示唆している。PKLR cDNAの発現を駆動するhPGK真核プロモーターを保有する、新しい治療LVベクターを開発して、この臨床試験用に提案し、2014年8月に希少医薬品として指定された(EU/3/14/1130)。このベクターを用いて、我々は、疾患のマウスモデルでPKDについての前臨床遺伝子治療プロトコルを実施した。臨床基準に基づいたLV投与量を用いることにより、異所性RPK発現が、赤血球区画を正常化させ、血液学的表現型を修復し、臓器病理を元に戻すことができた。メタボロミック研究は、遺伝子修復されたRBCにおける解糖経路の機能的修復が、白血球における代謝障害を伴わないことを実証した。注目すべきことに、並行して分析された白血球は、PGKなどのユビキタスプロモーターの活性下でRPKが異所的に発現されるとき、白血球の代謝バランスの変化を示さず、考えられる安全性への懸念としての白血球代謝の利点を排除し、EU/3/14/1130ベクターの治療的有効性を強化する。
【0228】
BM再移植によって誘発された増殖ストレス後の、多系統再構成および二次レシピエントにおけるいかなる白血病事象またはクローン性増殖の欠損も、PGK−coRPK LVベクターベースのプロトコルの長期的な安定性および安全性を実証している。i)RPK導入遺伝子のより生理学的な発現をもたらす可能性が高く、ii)弱いトランスアクチベーターであることが証明されており、かつiii)異染性白質ジストロフィー(MLD)の臨床試験で現在使用されている、ヒトPGK真核生物プロモーターの使用は、手順全体の安全性を説明することもできる。
【0229】
ベクターISの分析を介してHSC遺伝子治療の長期的な安全性を評価するために、HSCにおける挿入による発癌性のリスクを予測するために次世代シーケンシングを使用した。5,173,892を超える配列リードが、マウスゲノム上で合計2220の固有のベクターISにマッピングされ、ISを保有するクローンのインビボでの増殖または選択の証拠は見つからなかった。むしろ、我々のデータは、マウスにおける形質導入されたHSCの移植後の造血のクローン組成とダイナミクスを示し、経時的なHSCの真の安定したインビボ遺伝子改変を示唆している。全体として、ベクター組み込みパターンの分析は、遺伝毒性の証拠を伴わずにPKD遺伝的修復を提供するPGK−coRPK LVベクターの安全特性を強調している。
【0230】
実施例8
臨床開発
臨床試験のプロトコル支援は、審査当局に要請される。我々の目的は、欧州委員会が後援する臨床試験を実行することである。欧州の様々な臨床医および基礎研究者によって構成されるForGeTPKDコンソーシアムは、PKDの研究と新しい治療戦略の開発に重点を置くために設立された。ForGeTPKD臨床試験は、この医薬品のヒトへの最初の投与となるであろう。これは重度のピルビン酸キナーゼ欠損症患者の赤血球型ピルビン酸キナーゼ(RPK)遺伝子(EU/3/14/1130)を含有するレンチウイルスベクターを用いて、エクスビボで形質導入された自家CD34+細胞の移植の安全性および有効性を評価するために、国際共同、多施設、第I相/第II相の非盲検試験として設計されている。
【0231】
規制状況
本医薬品は、現時点で販売承認を受けていない。PKDコンソーシアムの目的は、最終的には販売承認を取得するために、医薬品の臨床開発を前に進めることである。
【0232】
言及した最終製品は、以下に関連する希少医薬品指定を受けたLVベクターによって製造されるであろう。
【0233】
適応症:ピルビン酸キナーゼ欠損症の治療
【0234】
基準:PKDの唯一の治療的処置は同種BMTであり、他の対応措置に不応性の輸血依存性重度貧血の患者において使用されている。しかしながら、同種BMTは、化学療法または化学放射線療法による集中的プレ−アロ−BMT前処置に関連する重度合併症、ならびに急性および慢性の移植片対宿主病(GVHD)に関連しているため、同種BMTは広く受け入れられているPKDの治療法ではない(1人の患者のみが文献で報告されている(Tanphaichitr,Suvatte et al.2000))。我々の仮説は、ODD EU/3/14/1130によって提供された野生型バージョンの遺伝子を含有するウイルスベクターで形質導入された自家造血幹細胞を使用する遺伝子治療が、造血前駆細胞移植の失敗の主な原因であるGVHDのリスクを回避しながら、これらの患者にとって可能性のある治癒の機会を表し得る。
【0235】
活性物質:赤血球型ピルビン酸キナーゼ(RPK)遺伝子(ODD EU/3/14/1130)を含有するレンチウイルスベクターで形質導入された、自家CD34
+造血幹細胞は、タンパク質の野生型バージョンを発現する。
【0236】
最終製品:凍結バッグは、2%のHASを含む生理食塩水緩衝液中に懸濁された、少なくとも2×10
6の活性物質/kg患者の体重を含有する。
【0237】
実施例9
薬理学
完了した試験:開発された医薬品は、PKDの遺伝子治療にいくつかの利点をもたらす、その配列中にいくつかの改変を含む。1)SIN−LVベクター設計の使用は、ウイルス株の比較的容易かつ安全な生産を可能にし、HSCを効率的に形質導入でき;2)メチル化によるサイレンシングの影響を受けにくいこと、hPGKなどの弱い真核プロモーターの使用(Gerolami,Uch et al.2000)が、導入遺伝子の生理学的発現をもたらし、臨床基準内のウイルス量(1.65 VCN)で治療レベルを達成すること(Matrai,Chuah et al.2010);および3)コドン最適化導入遺伝子配列と突然変異したwPRE配列の存在が、導入遺伝子mRNAの安定性を増加させることである。治療ベクター配列にレポーター遺伝子が含まれておらず、免疫原性の問題が発生する可能性を回避した(Morris,Conerly et al.2004);(Stripecke,Carmen Villacres et al.1999)。
【0238】
開発されたhPGK−coRPK LV医薬品は、ODD EU/3/14/1130で形質導入および修復された前駆細胞を移植した一次および二次欠損マウスのPKD病理を効率的に復帰させた。修復は、治療用導入遺伝子の細胞当たり平均1.65のコピーを担持する細胞で達成された。
【0239】
ヒトPGKプロモーターは、移植したマウスの溶血表現型を復元し、臨床的に適切なレベルのcoRPKタンパク質を発現するために十分強力であった。
【0240】
遺伝子修復は、RBC半減期を延長し、血液学的変数および網状赤血球レベルを正常化させ、PKDマウスで構成的に活性化された代償性赤血球産生を元に戻し、脾臓と肝臓の病理を救済して、PKDの生命にかかわる合併症のうちの1つである鉄過剰を著しく減少させることができた。加えて、ヒトRPKの異所性発現は、WBCの代謝バランスを変更せずにRBCのエネルギー欠陥を修復し、医薬品の有効性および安全性を強調した。
【0241】
実施例10
進行中の試験
以下の試験のために、健常なドナーおよびPKD患者からのヒト造血前駆細胞の形質導入を行った:1)ヒト細胞におけるODD EU/3/14/1130の形質導入の効率を決定すること;2)RPK治療用タンパク質の効率的かつ治療的発現を得るための最適なベクターのコピー数/細胞を定義すること;および3)造血幹細胞の能力を失うことなく、治療的形質導入レベルを得るために最適な条件を定義すること。
【0242】
計画された試験は、GMP施設での大規模な形質導入のための条件の設定、最終治療製品に対して定義された必要な仕様に到達するための最適条件を設定するための前確認試験および3つの確認試験を含む。
【0243】
毒物学
完了した試験結果は、1)ヒトRPKの異所性発現が、白血球の代謝バランスを変更することなく、RBCのエネルギー欠陥を修正することと、2)ベクターのゲノム組み込み分析が、(i)特異的細胞クローンの相対的存在量の分析が、一部のマウスではオリゴクローナル造血再構成を明らかにし、いかなる一次および二次移植マウスでもクローン優性を明らかにしなかったこと、(ii)マウスで実行された2つの独立した遺伝子治療実験からの検出されたCISが、高配列カウントによって表されず、かつ優先的に癌遺伝子を標的化しなかったために、挿入による突然変異誘発の特徴と考えられるCIS分析が、遺伝毒性のいかなる兆候も、経時的なCISの異常な富化も示さなかったこと、(iii)LV組み込みの標的となる遺伝子のGO分析、およびゲノムの特異的領域におけるベクター組み込みの位置の分析が、癌、細胞増殖、またはアポトーシスの調節に関与する遺伝子クラスに偏らないことを実証したこと、および(iv)全体として、医薬品組み込み分析が、遺伝毒性のいかなる証拠も示さなかったことを実証したことと、を含む。
【0244】
計画された試験は、1)組み換えコンピテントレンチウイルス(RCL)生産の分析を含む。健常なドナー由来の、およびPKD患者由来のヒトTリンパ球にODD EU/3/14/1130を導入し、インビトロで長期間培養するであろう。ウイルスp24タンパク質の存在は、RCLの生成の可能性を評価するために上清中でELISAによって、および2)医薬品の体内分布によって分析される:マウスの造血前駆細胞が、ODD EU/3/14/1130で形質導入され、致死的に照射されたレシピエントに移植される。移植の1ヶ月後、動物を屠殺し、異なる臓器(生殖腺、肝臓、腎臓、脳、骨髄、脾臓、および末梢血)を、ベクターDNAの存在について、および3)ヒト細胞におけるベクターインテグロムについて分析する:健常なドナー由来の、およびPKD患者由来の造血前駆細胞が、ODD EU/3/14/1130で形質導入され、ヒト造血細胞の生着と増殖を可能にするために重度の免疫不全マウスに移植されるであろう。様々な時点(移植後1、2および3ヶ月)で、血液およびBMの移植片が採取され、ヒト細胞を選別し、既にマウス細胞で実行されたようにベクターインテグロム分析に供される。
【0245】
実施例11
ヒト臨床試験
臨床有効性を試験するために、ForGeTPKD試験が行われる。提案された臨床試験は、脾摘出に不応性の重症で輸血依存性貧血の病歴を有するPKD患者において、EU/3/14/1130医薬品(赤血球型ピルビン酸キナーゼ(RPK)遺伝子を含有するレンチウイルスベクターで形質導入された自家CD34
+造血幹細胞)を使用して自家HSCTの安全性および予備的有効性を評価することを目的としている。
【0246】
主な目的は、治療、安全性、忍容性/実現可能性を評価することである。したがって、以下のエンドポイント:1)有害事象(AE)の発生および特性化:(形質導入細胞の注入に関連するAE、細胞注入前の前処置に由来するAE、および形質導入細胞に関連するクローン進化に由来するAEが含まれる)と、2)移植後30日での幹細胞が生着した患者数と、が測定されるであろう。
【0247】
副次的目的は、予備的処置の有効性を評価することである。したがって、以下のエンドポイント:1)試験終了時に「輸血非依存性」になった患者の数、および治療後に依然として輸血が必要な患者の数と、2)ベースライン評価前の過去1.5年間の平均輸血回数に対する、試験期間(1年)以内に必要な平均輸血回数の比と、3)試験終了時にベースラインから2gr/dLヘモグロビンレベルが上昇した患者の数として定義される、貧血の臨床的に有意な減少と、4)試験終了時にベースライン評価から50%の減少を示す患者の数として定義される、網状赤血球症の臨床的に有意な減少と、5)試験終了時に、1%の形質導入細胞が、細胞注入後6ヶ月および12ヶ月で検出され得る幹細胞が生着した患者数と、が測定されるであろう。
【0248】
探索的目的は、患者の生活の質に対する治療の影響を評価することである。以下のエンドポイントが:生活の質アンケート(成人にはSF−36、子供にはPEDSQL)および、参加国の言語(イタリア語、オランダ語、スペイン語)で翻訳された検証済みバージョンを使用して、試験終了時のベースラインからの生活の質の改善に従って測定されるであろう。
【0249】
ForGetPKD試験は、スペイン、イタリア、およびオランダのEU加盟3ヶ国で実施される多施設の国際共同試験である。加盟センターは、PKD診断および治療のためのReference National Investigators and Institutionsを含む。
【0250】
この試験は、記載された製品のヒトへの最初の投与を表しているであろう。これは、非対照、非盲検、単回投与、第I相/第II相試験として設計されている。
【0251】
世界的な試験期間は、最初の患者の1回目の回診から最後の患者の最後の回診までの2年間であろう。これには、1年間の募集期間と1年間の治療期間、および初期(直後)の追跡調査期間が含まれる。試験終了後、この試験に含まれた対象は、移植後最長5年間、安全性および有効性をモニタリングするその後の追跡調査に参加するよう求められる。
【0252】
試験手順は、スクリーニング期間、治療期間、および追跡調査期間を含む。各相の回診の詳細および関連する試験手順を、以下に詳述し、表4に要約する。
(表4)試験手順
【0253】
スクリーニング期間
回診−1:プレスクリーニング回診
可能性のある候補者は、試験の目的および特徴について通知され、二通りの書面によるインフォームド・コンセントが患者(または未成年の場合は法定代理人)によって、取得、履行、および署名される。試験に適格であるためには、患者は、チェックされる、全ての組み入れ基準を満たし、かつ除外基準のいずれも満たさない必要がある。このことは、生存可能なCD34+細胞を動員して得て、A.非生着の場合のバックアップとして機能する2×10
6個のCD34
+細胞/kg体重を保存し、B.少なくとも6×10
6個のCD34+細胞/kg体重を、EU/3/14/1130ベクターで形質導入して医薬品を生成し、医薬品の放出に必要な全ての品質管理を行うための前処置手順を含む。医薬品の放出後に利用可能な十分な形質導入細胞(2×10
6個の形質導入CD34
+細胞/kg体重)を有する患者のみが試験に組み入れられるであろう。
【0254】
以下の手順も、本試験の回診で実行されるであろう:
−関連する医療または手術歴の登録。
−人口統計データと臨床的に関連する身体検査所見の登録
−関連する併用薬の登録。
−日常的な血球算定(CBC)、生化学、凝固測定、血清学についての末梢血検査。
−心エコー図、肺機能検査、胸部X線。
−生活の質に関するアンケート(SF−36またはPEDSQL)。
−PKDの遺伝子診断。
【0255】
試験に適格であるためには、患者は、以下の組み入れ基準の全てを満たし、かつ除外基準のいずれも満たさない必要がある。
【0256】
組み入れ基準は、インフォームド・コンセントに署名する意思があり(18歳未満の子供の場合は、両親または法定代理人が署名する)、遺伝子検査で確認されたPKDとの以前の診断があり、重篤な輸血依存性貧血の病歴があり、脾摘出に応答せず、自家造血幹細胞移植の候補者であり、≧2×10
6個の形質導入CD34
+細胞/kg体重が利用可能であり、および輸血歴を含む詳細な医療記録を保持する専門センターで少なくとも過去2年間治療ならびに追跡調査された、募集時に2歳を超える年齢の男性または女性患者である。
【0257】
除外基準は、ヒト免疫不全ウイルス1型または2型(HIV 1およびHIV 2)の存在が陽性であること、未修復の出血障害があること、溶血の他の原因が存在すること、以前または現在のいずれかの悪性腫瘍、または骨髄増殖性疾患もしくは免疫不全障害があること、家族性癌症候群(遺伝性乳癌および卵巣癌症候群、遺伝性非ポリープ大腸癌症候群および家族性腺腫様ポリープが挙げられるが、これらに限定されない)の既知のまたは疑いのある肉親がいること、以前に同種移植を受けた患者であること、ドナー由来の残存細胞の存在、医学的評価後にグレードIII/IVの心臓、肺、肝または腎機能の異常、制御不能な発作障害、一酸化炭素の拡散能力(DLco)が予測値(ヘモグロビンに対して修復された)の50%未満であると考えられる重篤な合併症があること、治験担当医の意見では除外を正当化する重度の鉄過剰の任意のその他の証拠を有する患者、スクリーニングから30日以内に治験薬を使用した別の臨床試験への参加があること、同種骨髄移植のためのHLA一致同胞ドナーの利用可能性があること、妊娠中または授乳中の女性、治験担当医の基準に従って、試験目的、利益、リスクを理解できず、および/または試験手順に準拠できず、成人では80以下のカルノフスキー指数または子供では80以下のランスキーによって証明される機能不良状態であることである。
【0258】
この試験の統計分析は、記述統計であるであろう。定性的エンドポイントは、頻度および比率で記載される。定性的エンドポイントは、有害事象、幹細胞の生着を有する患者の数、「輸血非依存性の」患者の数、貧血の臨床的に有意な減少を示す患者の数、網状赤血球症の臨床的に有意な減少を示す患者の数、形質導入された細胞の存在を検出することができる幹細胞生着患者の数、およびSF−36またはPEDSQLアンケートによって測定されたベースラインからの生活の質の改善を含む。定量的エンドポイントは、平均と標準偏差、または中央値と四分位数で記載される。定量的エンドポイントは、ベースラインからの貧血および細網赤血球症の減少、ベースライン評価の前の過去1年間の輸血の回数に対する試験期間中に必要な輸血の回数、末梢血および骨髄中のベクターのコピー数を含む。全てのエンドポイントは、試験終了時に記載されるであろう。
【0259】
以前の研究は、25%を上回る遺伝子修復された細胞が移植された場合の、マウスにおけるPKDのHSC遺伝子治療の実現可能性を実証した。これらの結果は、PKDの治療効果を達成するためには、かなりの数のドナーの遺伝子修復されたHSC(Zaucha,Yu et al.2001)および高レベルの導入遺伝子発現が必要であることを示唆している。PKLR cDNAの発現を駆動するhPGK真核プロモーターを保有する、新しい治療LVベクターを開発して、この臨床試験用に提案し、2014年8月に希少医薬品として指定された(EU/3/14/1130)。このベクターを用いて、我々は、疾患のマウスモデルでPKDについての前臨床遺伝子治療プロトコルを実施した。臨床基準に基づいたLV投与量を用いることにより、異所性RPK発現が、赤血球区画を正常化させ、血液学的表現型を修復し、臓器病理を元に戻すことができた。メタボロミック研究は、遺伝子修復されたRBCにおける解糖経路の機能的修復が、白血球における代謝障害を伴わないことを実証した。注目すべきことに、並行して分析された白血球は、PGKなどのユビキタスプロモーターの活性下でRPKが異所的に発現されるとき、白血球の代謝バランスの変化を示さず、考えられる安全性への懸念としての白血球代謝の利点を排除し、EU/3/14/1130ベクターの治療的有効性を強化する。
【0260】
BM再移植によって誘発された増殖ストレス後の、多系統再構成および二次レシピエントにおけるいかなる白血病事象またはクローン性増殖の欠損も、PGK−coRPK LVベクターベースのプロトコルの長期的な安定性および安全性を実証している。RPK導入遺伝子のより生理学的な発現をもたらす可能性が高く、弱いトランスアクチベーターであることが証明されており、かつ異染性白質ジストロフィー(MLD)の臨床試験で現在使用されている、ヒトPGK真核生物プロモーターの使用は、手順全体の安全性を説明することもできる。
【0261】
ベクターISの分析を介してHSC遺伝子治療の長期的な安全性を評価するために、HSCにおける挿入による発癌性のリスクを予測するために次世代シーケンシングを使用した。5,173,892を超える配列リードが、マウスゲノム上で合計2220の固有のベクターISにマッピングされ、ISを保有するクローンのインビボでの増殖または選択の証拠は見つからなかった。むしろ、我々のデータは、マウスにおける形質導入されたHSCの移植後の造血のクローン組成とダイナミクスを示し、経時的なHSCの真の安定したインビボ遺伝子改変を示唆している。全体として、ベクター組み込みパターンの分析は、遺伝毒性の証拠を伴わずにPKD遺伝的修復を提供するPGK−coRPK LVベクターの安全特性を強調している。
【0262】
本発明は、以下の例示的な項目を参照することによって、さらに定義され得る。
1.ピルビン酸キナーゼ欠損症(PKD)のための発現カセットであって、
a)プロモーター配列、
b)遺伝子産物をコードする配列、および
c)リボ核酸(RNA)搬送シグナルを、5’から3’の順に含むポリヌクレオチド配列を含み、
プロモーター配列が、遺伝子産物をコードする配列に作動可能に連結されている、発現カセット。
2.プロモーターが、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターである、項目1に記載の発現カセット。
3.遺伝子産物が、治療遺伝子産物である、項目1または項目2に記載の発現カセット。
4.治療遺伝子産物が、ピルビン酸キナーゼ(PK)ポリペプチド、任意にピルビン酸キナーゼ、肝臓および赤血球(PKLR)ポリペプチドである、項目3に記載の発現カセット。
5.遺伝子産物をコードする配列が、コドン最適化されている、項目1〜4のいずれか一項に記載の発現カセット。
6.コドン最適化配列が、SEQ ID NO:8と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、項目5に記載の発現カセット。
7.RNA搬出シグナルが、突然変異したウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節エレメント(wPRE)である、項目1〜6のいずれか一項に記載の発現カセット。
8.突然変異したwPREが、SEQ ID NO:24と少なくとも80%の同一性を有する配列を含むキメラwPREである、項目7に記載の発現カセット。
9.1つ以上のエンハンサー配列をさらに含む、項目1〜8のいずれか一項に記載の発現カセット。
10.ポリプリントラクト(PPT)またはポリアデニル化(ポリA)シグナル配列をさらに含む、項目1〜9のいずれか一項に記載の発現カセット。
11.以下の配列、
i)パッキングシグナル配列、
ii)切断型Gag配列、
iii)Rev応答エレメント(RRE)、
iv)セントラルポリプリントラクト(cPPT)、
v)セントラル末端配列(CTS)、および
vi)任意にシミアンウイルス40からの上流配列エレメント(SV40−USE)のうちの1つ以上をさらに含む、項目1〜10のいずれか一項に記載の発現カセット。
12.5’および3’長末端反復配列をさらに含む、項目1〜11のいずれか一項に記載の発現カセット。
13.項目1〜12のいずれか一項に記載の発現カセットを含む、組み換え遺伝子送達ベクター。
14.ウイルスまたはウイルスベクターである、項目13に記載の組み換え遺伝子送達ベクター。
15.ウイルスまたはウイルスベクターが、レンチウイルス(LV)である、項目14に記載の組み換え遺伝子送達ベクター。
16.項目1〜12のいずれか一項に記載の発現カセットまたは項目13〜15のいずれか一項に記載の組み換え遺伝子送達ベクターを含む、細胞。
17.造血幹細胞である、項目16に記載の細胞。
18.コミットされた造血赤血球前駆細胞である、項目16に記載の細胞。
19.薬学的に許容される賦形剤と、項目13〜15のいずれか一項に記載の組み換え遺伝子送達ベクターまたは項目16〜18のいずれか一項に記載の細胞と、を含む、薬学的組成物。
20.疾患もしくは障害の治療または予防を必要とする対象における疾患もしくは障害を治療または予防する方法であって、対象に項目19に記載の薬学的組成物を提供することを含む、方法。
21.疾患もしくは障害が、ピルビン酸キナーゼ欠損症(PKD)であり、遺伝子産物が、ピルビン酸キナーゼ(PK)ポリペプチド、任意にピルビン酸キナーゼ、肝臓および赤血球(PKLR)ポリペプチドである、項目20に記載の方法。
22.薬学的組成物が、組み換え遺伝子送達ベクターを含む、項目20または項目21に記載の方法。
23.薬学的組成物が、細胞を含む、項目20または項目21に記載の方法。
24.細胞が、対象に対して自家性である、項目23に記載の方法。
25.1つ以上の赤血球細胞を、有効量の組み換えウイルスベクターと接触させることを含む、赤血球細胞中で導入遺伝子を発現するための方法であって、ベクターが、ヒトホスホグリセレートキナーゼプロモーター、ヒトピルビン酸キナーゼのコドン最適化型肝臓および赤血球(PKLR)cDNA導入遺伝子、および突然変異したウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメントを含み、該接触後に、PKLRが、1つ以上の赤血球細胞中で検出可能なレベルで発現される、方法。