(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-501119(P2021-501119A)
(43)【公表日】2021年1月14日
(54)【発明の名称】丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/537 20060101AFI20201211BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20201211BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20201211BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20201211BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20201211BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20201211BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20201211BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20201211BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20201211BHJP
A61K 33/32 20060101ALI20201211BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20201211BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20201211BHJP
【FI】
A61K36/537
A61K8/9789
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P7/02
A61P9/12
A61P43/00 121
A61K33/32
A61K31/195
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-565315(P2019-565315)
(86)(22)【出願日】2018年10月23日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月20日
(86)【国際出願番号】KR2018012522
(87)【国際公開番号】WO2019088541
(87)【国際公開日】20190509
(31)【優先権主張番号】10-2017-0143582
(32)【優先日】2017年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0125449
(32)【優先日】2018年10月19日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.witepsol
(71)【出願人】
【識別番号】519415443
【氏名又は名称】ヒュエン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUEN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジュ ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヌ リ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジョン ファン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
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4C206ZA70
4C206ZA75
4C206ZC33
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】 内臓脂肪の減少に優れた活性を有する丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物を提供すること。
【解決手段】 内臓脂肪減少に優れた活性を示す丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物に関し、丹参抽出物がレプチン分泌低下によって肥満を引き起こすモデル動物マウスと高脂肪食餌によって誘導された(diet−induced obesity;DIO)マウスに投与した結果、内臓脂肪に特異的な効能を示す丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物に関する。本発明は、丹参抽出物の内臓脂肪型肥満抑制効能をin vivoで肝組織と血液内中性脂肪(TG)の生成を抑制し、血液内のALT、LDH、BUN、FFA又はHb
A1Cの発現を減少させ、MRIとMRS観察によって内臓脂肪を減少させる効能を示す、丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丹参抽出物を含む
ことを特徴とする内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項2】
前記丹参抽出物は、水、炭素数1〜6のアルコール及びこれらの混合溶媒からなる群から選択された1種の溶媒で抽出したものである
請求項1に記載の内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項3】
前記丹参抽出物は、高脂肪食餌誘導肥満モデルのマウス(Diet−induced obesitymice;DIO)に投与するとき、肝組織と血液内中性脂肪(Triglyceride;TG)の生成を抑制し、アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase;ALT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)、遊離脂肪酸(FFA)又はHbA1C(Glycosylated Hb)の発現を減少させる
請求項1または2に記載の内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項4】
前記丹参抽出物は、高脂肪食餌誘導肥満モデルのマウス(Diet−induced obesitymice;DIO)に投与された後、磁気共鳴映像(magnetic resonance imaging;MRI)及び磁気共鳴スペクトロスコピー(magnetic resonance spectroscopy;MRS)、脂肪スペクトラム及び肝組織内のOil red O染色の結果、内臓脂肪が減少し、肝組織内の脂肪が減少する
請求項1又は2に記載の内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の丹参抽出物と、クロム、マンガン、マグネシウム、亜鉛、銅又はカルシウムから選択された1種以上のミネラルとからなる混合物を含む
ことを特徴とする内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項6】
前記ミネラルは、ミネラル源がミネラルジアミネート又はミネラルアミノ酸塩である
請求項5に記載の内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項7】
丹参抽出物は、高中性脂肪血症、脂肪肝、高血圧、糖尿病、高脂血症、心悩血管疾患、糖代謝異常、血液凝固異常又は肥満からなる群から選択される内臓脂肪によって媒介される疾患に対する
請求項1に記載の内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物。
【請求項8】
丹参抽出物を有効成分として含む
ことを特徴とする内臓脂肪型肥満の予防又は改善用健康機能食品組成物。
【請求項9】
丹参抽出物を0.1〜50%含む
請求項8に記載の内臓脂肪型肥満の予防又は改善用健康機能食品組成物。
【請求項10】
丹参抽出物を有効成分として含む
ことを特徴とする化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内臓脂肪の減少に優れた活性を有する丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物に関する。
【0002】
また、本発明は丹参抽出物がレプチン分泌の低下によって肥満を引き起こすモデル動物マウスと高脂肪食餌によって誘導された(diet−induced obesity;DIO)マウスに投与され、内臓脂肪に特異的な効能を示す丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、経済発展及びそれによる生活水準の向上による飲食物のひんぱんな摂取と肉食本位の食生活変化によって体内に過多な熱量エネルギーが蓄積され、食生活の変化に運動不足による熱量エネルギー消耗の減少まで加わって肥満人口の急速な増加の傾向を示している。
【0004】
肥満は脂肪組職による腹部の圧迫によって便秘、消化不良、胃腸障害だけではなく、肥満によって危険度が有意的に増加する疾患として、代表的に第2型糖尿、高血圧、冠状動脈疾患、脳卒中及び各種の癌(cancer)として発病することができるから非常に危ない疾病である。
【0005】
このような肥満の主要原因である脂肪は生体内の余剰エネルギーを保存した後、必要時に供給する一種の倉庫の役割をする。脂肪は、大別して皮下脂肪と内臓脂肪に区分することができる。皮下脂肪は体温を一定に維持し絶縁体の役割(断熱)をするので、寒さに対する耐性を有するようにし、一般的に体脂肪率が高いほど寒さに強い。それだけでなく、水分を吸収して納めるので、皮膚をしっとりして柔らかくすることもできる。ビタミンA、D、E、Kなどのビタミンの運搬体の役割とともに性ホルモンの前駆体として活用されることもできる。
【0006】
しかしながら、順機能をする皮下脂肪とは違い、内臓脂肪はインシュリン抵抗性を引き起こして、第2型糖尿、高血圧、脂肪肝のような代謝疾患の根本発生原因になるだけでなく、二次的に心臓病と脳卒中のような血管疾患、痴ほう、難聴、関節炎のような神経退行疾患と老化の原因を提供する。
【0007】
内臓脂肪と直接連結されている代謝症候群(Metabolic Syndrome)は高中性脂肪血症、高血圧、糖代謝異常、血液凝固異常及び肥満のような危険因子が一緒に現れる症侯群を意味する。
【0008】
2001年に公表されたアメリカNCEP(National Cholesterol Education Program)のATPIIIによれば、(1)胴回りが男性40インチ(102cm)、女性35インチ(88cm)以上の腹部肥満、(2)中性脂肪(triglycerides)150mg/dL以上、(3)HDLコレステロールが男性40mg/dL、女性50mg/dL以下、(4)血圧130/85mmHg以上、(5)空腹血糖(fasting glucose)が110mg/dL以上などの五つの危険因子の中で一人の患者が三つ以上を現す場合、代謝性疾患に判定する。
【0009】
代謝症侯群の原因及び治療に関連して知られた因子を見れば、運動、食餌習慣、体重、血糖、中性脂肪、コレステロール、インシュリン抵抗性、アディポネクチン(adiponectin)、レプチン(leptin)、AMPK活性、エストロゲンのような性ホルモン、遺伝的因子、malonyl−CoA生体内濃度などが直間接的に関与する。
【0010】
このような代謝性症侯群の症状改善のための最善の方法は、運動、食餌制限及び体重減量であると知られている。このような方法が代謝性症侯群に効果を発揮する共通分母は、エネルギー代謝を促進させて体内の余剰エネルギーを最大に消費して、余剰エネルギーの蓄積を防止することである。
【0011】
余剰エネルギーを効果的に除去するためには、代謝の活性を高めることが必須であると判断され、このためには、脂肪合成抑制、糖新生抑制、糖消費促進、脂肪酸化促進、エネルギー代謝の核心であるミトコンドリアの生成促進及び活性化に関与する因子を活性化させることが必須であると判断される。代謝促進に係わる活性化因子は、AMP−活性タンパク質キナーゼ(AMP−activated protein kinase;AMPK)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ共活性化剤−1α(peroxisomal proliferator−activated receptor gamma coactivator 1−α;PGC−1α)、ブドウ糖輸送担体1,4(Glucose transporter1,4;GLUT1,4)、カルニチンパルミトイルトランsフェラーぜ(carnitine palmitoyltransferase1、;PT1)、脱共役タンパク質−1,2,3(uncoupling protein−1,2,3;UCP−1,2,3)、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(acetyl−CoA carboxylase;ACCI,II)などがあり、これらがエネルギー代謝に重要な役割をする。
【0012】
一方、最近新しい代謝性疾患の治療ターゲットとしてNQO1酵素が関心を引いている。NAD(P)キノン酸化還元酵素(NAD(P)Hquinone oxidoreductase;NQO1)はサイトゾル(cytosol)酵素であり、大部分の細胞及び組職に分布するものであると報告され、肥満、脂肪肝、代謝症候群又は癌のような疾患状態で発現率が高くなると知られている。NQO1はphaseII酵素であり、生体外の化学物質から細胞を保護し、キノン、ベンゼンのような毒性物質を中和する役割をし、NAD(P)Hを共同因子(cofactor)として使用する。NQO1がキノン、ベンゼン又は活性酸素種(ROS)などを中和させるために補基質(co−substrate)であるNADHを使ってNAD+に酸化させることになる。このような薬理機序は細胞質エネルギー脱共役(cytosolic energy uncoupling)を誘導して、細胞内のNAD+/NADHの比で現れる生体酸化還元状態(redox status)を変化させることにより、ブドウ糖代謝、ミトコンドリア生合成及び脂肪大使を活性化する。細胞内NAD+/NADHの比の増加は細胞内エネルギー環境変化に対するエネルギー消費機序であるAMPK活性化、抗老化及び抗ストレス機序であるサーチュイン(sirtuin)系遺伝子発現、ミトコンドリアのエネルギー代謝を活性化させるPGC1a発現など、長期間カロリー制限(calorie restriction)と運動時に現れる遺伝的変化を誘導することになる。
【0013】
現在まで代謝症候群の治療のための薬物は開発されることができていないのはもちろんのこと、代謝症侯群の直接的な原因になる内臓脂肪を選択的に治療することができるソリューションが存在しない。ただ、糖尿病、高脂血症及び高血圧治療薬物を用いた代謝症候群の治療を試みているが、薬物としての限界を持っている。
【0014】
現在使用可能な薬物を見れば、糖尿病治療剤として使われるメトホルミン(metformin)、チアゾリジンジオン(thiazolidinediones;TZD)系の薬物、グルコシダーゼ阻害剤(glucosidase inhibitors)、二重PPARγ/α作動薬(dual PPARγ/α agonist)及びジペプチジルペプチダーゼ(Dipeptidyl peptidase;DDP)IV阻害剤が代謝症候群治療薬物として期待を集めている。これと共に、血圧治療剤と高脂血症治療剤の標的であるapoA−I isoformに関連したペプチッド、コレステロールエステル輸送タンパク質(Cholesterol ester transport protein;CETP)阻害剤が注目を浴びている。
【0015】
しかし、このような薬はコレステロールと血中脂質濃度を効果的に落とすが、副作用を持っている欠点がある。代表的に、嘔吐、頭痛、腹痛、下痢又は便秘が現れることができ、胆汁酸遮断剤はビタミンA、D、Kの腸吸収性が劣り、フィブリン酸誘導体は腎臓疾患、肝疾患又は胆嚢疾患には適切でない薬である。したがって、これらの製剤の代わりをする医薬品及び天産物が含有された機能性食品などの開発に対する要求が高まっている。
【0016】
また、一般的な肥満解消方法である体重減少は、体水分、体脂肪、筋肉又はその他の組職量などの身体の質量が減少することを言う。意図せぬ体重減少は食餌調節又は運動などの体重調節の意志がない状態で体重が減ることを意味する。
しかし、このような意図せぬ体重減少は、むしろ甲状性機能亢進症、鬱病及び身体的及び精神的疾患によって体重が減少することができる。
【0017】
最近、貯蔵脂肪が過剰で蓄積した状態である肥満の主要原因を体脂肪であると見なして、解決するために体重減少ではない‘体脂肪減少’によって筋力及び体水分を維持しながら元気なダイエットが盛んに行われている。
【0018】
体重に対する体脂肪の比率において、正常な体脂肪率は、男性の場合10〜20%、女性の場合18〜28%である。内臓皮下脂肪の比率は肥満程度及び運動量によって個人差が大きい。大人になって肥満になる場合は普通内臓脂肪が過多になって腹部脂肪率が高くなることに原因がある。
【0019】
このような内臓脂肪による肥満は、高血圧、心血管疾患、糖尿病などの成人病の原因と知られている。これは、皮下脂肪は人体の中心から遠く離れているため、微細血管を通して酸素が伝達されるのに比べ、内臓脂肪は比較的大きな血管に関連して脂肪の流動性が高いからである。
【0020】
しかし、現在市販されている肥満治療剤及びダイエット補助剤として、体脂肪減少剤の場合には脂肪とタンパク質を区分しなく、脂肪よりタンパク質がもっと易しく分解され、内臓脂肪より皮下脂肪を多く減少させる補助剤が多い。
【0021】
したがって、本出願人は、丹参(Salvia miltiorrhiza Bunge)抽出物を用いて副作用がなく、内臓脂肪に効能がある内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物を案出した。
丹参(Salvia miltiorrhiza Bunge)はシソ科(Lamiaceae)、丹参属(genus Salvia)に属する漢方薬材であり、丹参は、郤蝉草、木羊乳、奔馬草、赤参、逐馬、紅根ともいい、漢方医学的に苦く、心臓と肝に入って活血除去、養血消癰、養血安神する効能がある。
【0022】
特に、人体から淤血を除去して気血がよく循環するようにする薬剤であり、四肢関節疼痛の緩和、女性の生理不順、生理痛、産後腹痛、高脂血症、心臓疾患及び脳疾患に関連があり、これに対する薬理作用をし、これによって心血関係及び多様な血管疾患に対する作用、肝、肺及び腎臓の損傷抑制、骨粗鬆症に対する活性、中枢神経系作用、抗炎症、抗酸化、坑癌の作用に対する活性を現したことがある。
【0023】
一方、先行技術文献を調べると、特許文献1には、‘代謝活性を促進させるタンシノン誘導体を有効成分として含む肥満及び代謝症候群治療剤’として、請求項1を見ると、有効成分として、丹参から分離された化合物である(a)クリプトタンシノン(Cryptotanshinone)、タンシノンI(Tanshinone I)及び15,16−ジヒドロタンシノンI(15,16−Dihydrotanshinone I)からなる群から選択された1種又はそれ以上と、(b)タンシノンIIA(Tanshinone IIA)を含み、前記タンシノンIIA(b)を基準に残余成分(a)の重量比が10:1〜1:10である混合組成物であり、前記混合物を薬理学的有効量で含み、5’AMP活性化タンパク質キナーゼ(5’AMP−activated protein kinase;AMPK)活性の増加によって、肥満、糖尿、動脈硬化、高血圧、高脂血症、肝疾患、脳卒中、心筋こうそく、虚血性疾患及び心血管疾患からなる群から選択された一つ以上の代謝症候群疾患を予防又は治療する組成物が記載されている。
【0024】
しかし、本発明者は丹参抽出物がNQO1の基質として作用して細胞質内のNADHをNADに酸化させて細胞質と核内のNAD+/NADHの比を増加させる活性を有し、還元された基質は電子をミトコンドリアの電子伝達系に伝達してATP生成を促進し、再生反応を引き起こすエネルギー代謝活性を研究し、さらに内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療効能を立証するために、in vivoで丹参抽出物を投与して内臓脂肪が減少する効能を明らかにすることによって本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】韓国特許登録第10−0818586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の技術的課題は、内臓脂肪の減少に優れた活性を有する丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物を提供することである。
【0027】
本発明の他の技術的課題は、レプチン分泌低下によって肥満を引き起こすモデル動物マウスと高脂肪食餌によって誘導された(diet−induced obesity;DIO)マウスに投与した結果、内臓脂肪に特異的な効能を示す丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0029】
本発明において、前記丹参抽出物は、水、炭素数1〜6のアルコール及びこれらの混合溶媒からなる群から選択された1種の溶媒で抽出したものであることを特徴とする内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0030】
本発明において、前記丹参抽出物は、高脂肪食餌誘導肥満モデルのマウス(Diet−induced obesitymice;DIO)に投与するとき、肝組織と血液内中性脂肪(Triglyceride;TG)の生成を抑制し、アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase;ALT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)、遊離脂肪酸(FFA)又はHb
A1C(Glycosylated Hb)の発現を減少させることを特徴とする内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0031】
本発明において、前記丹参抽出物は、高脂肪食餌誘導肥満モデルのマウス(Diet−induced obesitymice;DIO)に投与された後、磁気共鳴映像(magnetic resonance imaging;MRI)及び磁気共鳴スペクトロスコピー(magnetic resonance spectroscopy;MRS)、脂肪スペクトラム及び肝組織内のOil red O染色の結果、内臓脂肪が減少し、肝組織内の脂肪が減少することを特徴とする内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0032】
本発明において、前記丹参抽出物とクロム、マンガン、マグネシウム、亜鉛、銅又はカルシウムから選択された1種以上のミネラルを含む、丹参抽出物及びミネラル混合物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0033】
本発明において、丹参抽出物は、高中性脂肪血症、脂肪肝、高血圧、糖尿病、高脂血症、心悩血管疾患、糖代謝異常、血液凝固異常又は肥満からなる群から選択される内臓脂肪によって媒介される疾患に対する内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療用組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0034】
本発明において、丹参抽出物を有効成分として含む、内臓脂肪型肥満の予防又は改善用健康機能食品組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【0035】
本発明において、丹参抽出物を0.1〜50%含む内臓脂肪型肥満の予防又は改善用健康機能食品組成物を提供することによって技術的課題を解決しようとする。
【発明の効果】
【0036】
本発明は丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物を提供する。
【0037】
本発明の実験例よって立証されたように、丹参抽出物の内臓脂肪型肥満抑制効能を有し、in vivoで肝組織と血液内中性脂肪(TG)の生成を抑制し、血液内のALT、LDH、BUN、FFA又はHb
A1Cの発現を減少させ、MRI及びMRS観察による内臓脂肪減少の効能を有する、丹参抽出物を含む内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物を提供することができる。
【0038】
また、副作用のない天産物内臓脂肪減少剤が必要な時点に、丹参抽出物を含む組成物は内臓脂肪型肥満を予防、改善又は治療することができる食品、化粧品及び医薬品組成物に開発されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obに丹参抽出物を投与するとき、血液及び肝組織内の中性脂肪(Triglyceride)の変化を示した説明図
【
図2】遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obに丹参抽出物を投与するとき、血液内のグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)の変化を示した説明図
【
図3】遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obに丹参抽出物を投与するとき、生体内内臓脂肪及び肝組織内の脂肪の変化を示した説明図
【
図4】高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)に丹参抽出物を投与するとき、血液内のグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)の減少を示す説明図
【
図5】高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)に丹参抽出物を投与するとき、生体内内臓脂肪及び肝組織内の脂肪の変化を示した説明図
【
図6】高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)に丹参抽出物を投与するとき、肝組織と血液内のTG変化、血液内の遊離脂肪酸、HbA1Cの変化を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書及び請求範囲に使用された用語又は単語は通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはいけなく、発明者は自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈される。
したがって、本明細書に記載された実験例と参考例は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎないだけ、本発明の技術的思想の全部を代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを取り替えることができた多様な均等物及び変形例があり得る。
【0041】
実施例1.丹参抽出物の製造
丹参からの抽出方法としては、a)水又は有機溶媒で抽出して粗抽出液を得る段階、b)前記粗抽出物を濾過した後、(減圧)濃縮する段階、及びc)抽出物を濃縮及び乾燥して多様な剤形に製造する段階を含むことから構成されている。
【0042】
(1)丹参を抽出する段階
熱水又は20〜100重量%のエタノールで丹参抽出物を得る段階である。設計条件によって、他の溶媒が使われることもでき、抽出溶媒の種類によって、抽出温度、抽出時間、溶媒量及び残留成分処理方式などが違って設計されることができる。抽出溶媒も多様な溶媒が使われることができる。抽出可能な溶媒としては、水、エタノール、メタノール、脂肪油、グリセリン、胡麻油、エチルアセテート、アセトン、ブタノール、イソプロパノール及び塩化メチレンなどがある。
【0043】
(2)丹参抽出物を濃縮する段階
マイクロバール乾燥方法で抽出物を40〜80℃で加熱して水分を除去する段階である。もしくは低温真空乾燥方法で抽出物を濃縮乾燥する段階である。低温真空乾燥は乾燥器の内部圧力を真空に維持し、温度を5〜15℃程度に調節して乾燥する方法であり、抽出成分の変性がなく、味と香も消失されない。設計条件によって、噴霧乾燥、冷風乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、遠赤外線乾燥、陰乾燥、減圧乾燥などの方法が用いられることもできる。
【0044】
(3)抽出物を濃縮、乾燥して多様な剤形に製造する段階
噴霧乾燥方法で抽出物を濃縮乾燥した後、多様な剤形に製造する段階である。例えば、粉末に製造することができる。低温真空乾燥は乾燥器の内部圧力を真空に維持し、温度を5〜15℃程度に調節して乾燥する方法であり、抽出成分の変性がなく、味と香も消失されない。設計条件によって、冷風乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、遠赤外線乾燥、陰乾燥、減圧乾燥などの方法が用いられることもできる。
【0045】
好ましくは、丹参(S.miltiorrhza)はエタノール50Lで24時間溶出させた後、減圧濃縮した。これに、水1500mlを添加し、同量のn−ヘキサン、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)及びエチルアセテート(EtOAc)を入れ、順に2回繰り返し抽出してゲル(gel)状の赤色抽出物の丹参抽出物を製造した。
【0046】
実施例に基づいて本発明の内容を詳述するが、本発明の範疇が前記例に限定されるものではない。
【0047】
実験例1.丹参抽出物分析
前記実施例1で抽出した丹参抽出物の有効成分であるクリプトタンシノン、タンシノンI、タンシノンIIA、15,16−ジヒドロタンシノンIの構造を決定するために、核磁気共鳴(NMR)分析を遂行した。丹参抽出物には、前記4種のタンシノンの他に、サルビアノリン酸(Salvianolic acid)、タンシノンIIB(Tanshinone IIB)、ヒドロタンシノン(Hydrotanshinone)及びタンシノ酸(Tanshinoic acid)などのその他のタンシノン類が含有されている。
【0048】
クリプトタンシノン(Cryptotanshinone)
1H-NMR (CDCl3) : δ 7.42 (2H, ABq, J=8.0 Hz), 4.83 (1H, t, J=9.2 Hz), 4.31 (1H, dd, J=9.2 and 6.0 Hz), 3.55 (1H, m), 3.17 (2H, br t), 1.65 (4H, m), 1.40 (3H, d, J=6.8 Hz), 1.28 (6H, s) 13C-NMR (CDCl3) : δ 9.58 (C-1), 19.00 (C-2), 37.73 (C-3), 34.76 (C-4), 143.57 (C-5), 132.48 (C-6), 122.43 (C-7), 128.30 (C-8), 126.19 (C-9), 152.28 (C-10), 184.16 (C-11), 175.59 (C-12), 118.21 (C-13), 170.66 (C-14), 81.38 (C-15), 34.54 (C-16), 18.74 (C-17), 31.85 (C-18), 31.80 (C-19)
【0049】
タンシノンIIA(Tanshinone IIA)
1H-NMR(CDCl3, 300.40MHz) δ 7.63(1H, d, J=8.2Hz), 7.54(1H, d, J=8.2Hz), 7.22(1H, s), 3.18(2H, t, J=6.6Hz), 2.26(3H, s), 1.78(2H, m), 1.65(2H, m), 1.31(6H, s). 13C-NMR(CDCl3, 75.45MHz) δ 184.29, 176.43, 162.38, 150.80, 145.14, 141.96, 134.13, 128.12, 127.16, 121.81, 120.91 120.57, 38.52, 35.33, 32.51, 30.56, 19.79, 9.46.
【0050】
15,16−ジヒドロタンシノンI(15,16−Dihydrotanshinone I)
1H-NMR(CDCl3, 300.40MHz) δ 9.24(1H, d, J=10.6Hz), 8.24(1H, d, J=10.3Hz), 7.69(1H, d, J=10.3Hz), 7.54(1H, dd, J=10.6, 8.4Hz), 7.41(1H, d, J=8.4Hz), 4.95(1H, t, J=11.3Hz), 4.41(1H, dd, J=11.3Hz, 7.5Hz), 3.62(1H, m), 2.66(3H, s), 1.38(3H, d, J=8.1Hz). 13C-NMR(CDCl3, 75.45MHz) δ 184.26, 175.67, 170.56, 142.00, 134.95, 134.72, 132.06, 131.90, 130.38, 128.81, 128.18, 126.01, 124.99, 120.28, 118.32, 114.06, 81.62, 34.68, 19.85, 18.81.
【0051】
タンシノンI(Tanshinone I)
1H-NMR(CDCl3, 300.40MHz) δ 9.19(1H, d, J=10.6Hz), 8.23(1H, d, J=10.3Hz), 7.73(1H, d, J=10.3Hz), 7.50(1H, dd, J=10.6, 8.5Hz), 7.30(1H, d, J=8.5Hz), 7.26(1H, q, J=1.3Hz), 2.64(3H, s), 2.25(3H, d, J=1.3Hz). 13C-NMR(CDCl3, 75.45MHz) δ 183.38, 175.55, 161.13, 142.00, 135.18, 133.58, 132.90, 132.69, 130.63, 129.57, 128.31, 124.73, 123.03, 121.72, 120.43, 118.69, 19.84, 8.79.
【0052】
実験例2.遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obにおける丹参抽出物の内臓脂肪減少効能
【0053】
遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep ob8週齢のマウスに対し、室内温度は平均20℃±2℃であり、相対湿度は60%±10%に維持し、12時間を周期としてlight/dark動物飼育室の環境条件を維持した。各動物は通風性のよいプラスチックケージで飼育した。飼料(purina)と藁は周期的に交替及び提供し、水は自由に飲めるようにした。動物実験を開始する前、飼育室環境条件に適応するための期間として一週間の順化期間を経て8週齢に実験を遂行した。
【0054】
順化過程を経た後、丹参抽出物を100〜1000mg/kg投与した。飼料(low fat diet)にそれぞれ0.47%(400mg/kgの該当量)、0.7%(600mg/kgの該当量)で混じってペレット化した後、2週間自由に摂取するようにした。
【0055】
血液生化学的検査中性脂肪(Triglyceride、TG)、肝細胞内に存在する酵素であり、主に肝細胞が損傷される場合に血中に放出されて血中数値が増加するアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase;ALT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)は基準値100〜225IU/Lであり、細胞内の糖がエネルギーに変わるときに作用する酵素の一つであり、細胞損傷時に理想的に過多分泌、MRI測定による内臓脂肪分布変化、MRS測定による内臓脂肪変化、肝組織のOil red O染色方法による脂肪の変化を測定した。
【0056】
図1は遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obに丹参抽出物を投与するとき、血液及び肝組織内の中性脂肪(Triglyceride)の変化を示した図である。対照群に比べ、丹参抽出物を投与した後、血液及び肝組織内の中性脂肪が濃度依存的に減少することを確認することができる。
【0057】
図2は遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obに丹参抽出物を投与するとき、血液内のグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)の変化を示した図である。丹参抽出液を投与した場合、細胞の損傷によって発生する血液内のGPT、BUN、LDHが濃度依存的に減少することを確認することができる。
【0058】
図3は遺伝的肥満モデル動物であるC57BL/6JL Lep ob/Lep obに丹参抽出物を投与するとき、生体内内臓脂肪及び肝組織内の脂肪の変化を示した図である。
図3に示したように、丹参抽出物を投与した試験群の内臓脂肪の分布が、対照群に比べ、MRI、MRS測定結果、有意的に減少し、肝組織をOil red O染色方法で測定した結果、脂肪が減少することを確認することができる。
【0059】
実験例3.高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)における丹参抽出物の内臓脂肪減少効能
【0060】
高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)C57BL/64週齢のマウスに対し、室内温度は平均20℃±2℃であり、相対湿度は60%±10%に維持し、12時間を周期としてlight/dark動物飼育室の環境条件を維持した。各動物は通風性のよいプラスチックケージで飼育した。飼料(purina)と藁は周期的に交替及び提供し、水は自由に飲めるようにした。動物実験を開始する前、飼育室環境条件に適応するための期間として一週間の順化期間を経て実験を遂行した。順化過程を経た後、高脂肪食餌を用いて12週間肥満を誘導した後、4週間1日1回に丹参抽出物を100〜600mg/kgで経口投与した。
【0061】
その結果、脂肪が体内に過度に蓄積し、これにより生後約3ヶ月程度になれば、一般的なマウスの体重の1.4倍に達する30〜45gを維持した。したがって、内臓脂肪に及ぶ丹参抽出物の影響を確認するために、4週間経口投与した。実験群と対照群の体重を測定して分析した結果を
図4、
図5及び
図6に示した。
【0062】
図4は高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)に丹参抽出物を投与するとき、血液内のグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvate transaminase;GPT)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase;LDH)、血中尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)の減少を示した図である。丹参抽出液を投与した場合、細胞の損傷によって発生する血液内のGPT、BUN、LDHが濃度依存的に減少することを確認することができる。
【0063】
図5は高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)に丹参抽出物を投与するとき、生体内内臓脂肪の変化を示した図である。丹参抽出物を投与した試験群の内臓脂肪の分布が、対照群に比べ、MRI、MRS測定結果、有意的に減少し、肝組織をOil red O染色方法で測定結果、肝内の脂肪が減少することを確認することができる。
【0064】
図6は高脂肪食餌誘導肥満モデル動物である(diet−induced obesity;DIO)に丹参抽出物を投与するとき、肝組織と血液内のTG変化、血液内の遊離脂肪酸、HbA1Cの変化を示した図である。丹参抽出物を投与した試験群の肝組織と血液内中性脂肪の含量が減少し、遊離脂肪酸、HbA1Cも濃度依存的に減少することを確認することができる。
【0065】
実験例4.丹参抽出物の具体的な臨床例
【0066】
丹参抽出物に対する内臓肥満型肥満に対する効能を確認するために、収得した丹参抽出物で内臓肥満診断基準によって内臓肥満の診断を受けた患者を対象として進行した。総15人の内臓肥満型肥満患者を対象とし、1日2回に朝夕に3ヶ月間持続的に摂取するようにし、総脂肪、皮下脂肪及び内臓脂肪の評価を施行した。
【0069】
前記丹参抽出物の内臓肥満型肥満に対する効能を確認するために臨床実験を3ヶ月間進行した結果、前記表1に示したように、最大で18%減少したことを確認することができた。
【0071】
前記実験例1、2及び3を介して、遺伝的肥満モデル動物であるob/obマウスと高脂肪食餌で誘導された(diet−induced obesity;DIO)マウスにおける内臓脂肪型肥満の予防、改善及び減少に効能があることを確認した。よって、前記丹参抽出物が有効成分に含有されている、内臓肥満型肥満の予防、改善及び治療が可能な多様な組成物への開発が可能である。
【0072】
また、丹参抽出物と2価ミネラルであるクロム、マンガン、マグネシウム、亜鉛、銅又はカルシウムから選択されたミネラルを混合することにより、内臓肥満型肥満減少の効能を増進させることができる。実施例に基づいて本発明の内容を上述するが、本発明の範疇が前記例に限定されるものではない。
【0073】
(1)薬学的製剤
本発明による内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療組成物は丹参抽出物を含み、薬剤学的に許容可能な担体とともに必要によって製造することができる。
【0074】
本発明の薬剤学的組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方されることができる。
【0075】
本発明の内臓脂肪型肥満予防、改善又は治療の薬学的組成物は、臨床投与時に経口又は非経口投与が可能であり、一般的な医薬品製剤の形態として使われることができる。すなわち、本発明の組成物は実際の臨床投与時に経口及び非経口のさまざまな剤形として投与されることができ、製剤化する場合には、普通使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤及び界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使って調剤される。
【0076】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤及びカプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、丹参抽出物に少なくとも1種又はそれ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース及びゼラチンなどを混じることによって調剤される。また、単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクのような滑剤も使われる。
【0077】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤及びシロップ剤などが当たり、よく使われる単純希釈剤である水、流動パラフィン以外にさまざまな賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤及び保存剤などが含まれることができる。
【0078】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤が含まれる。非水性溶剤と懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使われることができる。坐剤の基剤としては、ウィテプゾール(witepsol)、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール及びゼラチンなどが使われることができる。
投薬単位は、例えば個別投薬量の1、2、3又は4倍を含むか又は1/2、1/3又は1/4倍を含むことができる。
【0079】
個別投薬量は、好ましくは有効薬物が1回に投与される量を含む。これは通常1日投与量の全部、1/2、1/3又は1/4倍に相当する。丹参抽出物の有効容量は濃度依存的であるが、好ましくは0.1mg〜1,000mg/kg、より好ましくは0.4〜500mg/kgであり、1日16回投与することができる。よって、大人体重1kg当たり0.1〜6,000mg/日の範囲で投与されることができる。
【0080】
(2)健康機能性食品組成物
本発明は丹参抽出物を有効成分として含む内臓脂肪型肥満予防、改善のための健康機能性食品組成物を提供する。
【0081】
本明細書で健康機能性食品とは一般食品に丹参抽出物を添加することによって一般食品の機能を向上させた食品であり、丹参抽出物を一般食品に添加するか、カプセル化、粉末化するか、懸濁液などに製造することができる。これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらし、一般薬品とは違い、食品を原料にしたので、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがない利点がある。
【0083】
本発明の丹参抽出物を食品添加物として使う場合には、前記丹参抽出物をそのまま添加するか、他の食品又は食品成分とともに使うか、その他の通常的な方法によって適切に使うことができる。有効成分の混合量はその使用目的(予防、健康又は治療的処置)によって適宜決定されることができる。
【0084】
一般に、丹参抽出物を混合した食品又は飲料の製造時には、原料の総重量に対して0.0001〜50重量%、好ましくは0.1〜25重量%の量で添加されることができる。しかし、健康及び衛生を目的とするか又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は前記範囲以下に調節することができる。また、本発明の健康食品は、前記薬学的組成物として用いる場合は、測定された毒性範囲内の丹参抽出物を含有することが好ましい。
【0085】
前記食品の種類には特別な制限はない。前記丹参抽出物を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、粉ミルク、禅食、生食、乳酸菌発酵乳、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種のスープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがある。具体的に、丹参抽出物を含む健康食品としては、丹参抽出物を主成分として作った汁、お茶、ゼリー、ジュースなどの健康食品及び嗜好品を挙げることができ、浮腫、腎臓炎、尿道炎などを対象とする民間療法剤などを挙げることができる。
【0086】
(4)化粧品組成物
本発明の丹参抽出物を化粧品原料として使う場合、丹参抽出物をそのまま添加するか他の化粧品成分とともに使われ、通常的な方法によって適切に使われることができる。有効成分の混合量はその使用目的によって適宜決定されることができる。一般的に、丹参抽出物を用いた化粧品の製造時、原料の総重量に対して0.0001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で添加されることができる。化粧品としては、スキン、ローション、クリーム、パック及び色合い化粧品などに適用することができるが、これに限定されるものではない。
【0087】
前記製剤例を説明したが、これは本発明を限定しようとするものではなく、ただ具体的に説明しようとするものである。本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能である。
【国際調査報告】