(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本明細書には、組織染色のための新規な高速アッセイに関連するデバイスおよびシステムが提供される。また、組織試料を分析するために同デバイスおよびシステムを使用する方法が開示される。
プレートの一方または両方が、開放構成において試料をその上で乾燥させることができるように構成され、該試料が、羊水、眼房水、硝子体液、血液、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される体液を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、開放構成において試料を一方または両方のプレート上で乾燥させるように構成され、該試料が血液スメアを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が試料に対して接着性であり、該試料が、1〜200μmの範囲の厚さを有する組織切片である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
染色液がブロッキング剤を含み、試料中の非特異的内在性種が、標的分析対象物を特異的に標識するために使用される検出剤と反応できないように、該ブロッキング剤が構成されている、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
染色液が、試料中のパラフィンを除去することができる脱パラフィン剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
染色液が、標的分析対象物を含有する組織試料中の細胞を浸透化することができる浸透化剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、ブロッキング剤を含む貯蔵部位を含み、試料中の非特異的内在性種が、標的分析対象物を特異的に標識するために使用される検出剤と反応できないように、該ブロッキング剤が構成されている、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、試料中のパラフィンを除去することができる脱パラフィン剤を含む貯蔵部位を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、標的分析対象物を含有する組織試料中の細胞を浸透化することができる浸透化剤を含む貯蔵部位を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、抗原の賦活化を促進することができる抗原賦活化剤を含む貯蔵部位を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、試料中の標的分析対象物を特異的に標識する検出剤を含む貯蔵部位を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
検出剤が、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、アニリンブルーWS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴレッド、C.I.クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エオシンB、エオシンY、エリスロシン、エチルエオシン、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染料、ヘマトキシリン、ヘマトキシリン&エオシン、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染料1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マルチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット、(ベルントゼン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッド、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニン、レサズリン、ローズベンガル、サフラニンO、スーダンブラックB、スーダンIII、スーダンIV、テトラクロム染料(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト、ライト染料およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される化合物を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
プレートの一方または両方が、それぞれの試料接触区域に、ヨウ化プロピジウム、7−AAD、トリパンブルー、カルセインバイオレットAM、カルセインAM、固定可能な生死判別色素、SYTO9および他の核酸色素、レサズリンおよびホルマザン(MTT/XTT)および他のミトコンドリア色素ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される細胞生死判別色素をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
検出剤が、試料中の標的分析対象物に特異的に結合するように構成された抗体を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
検出剤が、試料中のDNAおよび/またはRNAに特異的に結合するように構成されたオリゴヌクレオチドプローブを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
検出剤がレポータ分子で標識されており、該レポータ分子が、読み取られて分析される検出可能なシグナルを提供するように構成されている、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
一方または両方のプレートの試料接触区域が、捕捉剤を含む結合部位を含み、該捕捉剤が、試料中の細胞の表面上の標的分析対象物に結合し、該細胞を固定化するように構成されている、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
付着させる工程が、試料をプレートの一方または両方に付着させ、乾燥させたのち、乾燥した試料の上に染色液の残りを付着させるステップをさらに含み、該試料が、一方または両方のプレート上で乾燥させる血液スメアを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
付着させる工程が、試料をプレートの一方または両方に付着させたのち、試料の上に染色液を付着させるステップをさらに含み、一方または両方のプレートの試料接触区域が該試料に対して接着性であり、該試料が、1〜200μmの範囲の厚さを有する組織切片である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
分析する工程(e)の前に、閉鎖構成で、検出剤が均一な厚さの層および該試料にわたって拡散するために要する時間よりも長い期間、試料をインキュベートする工程をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
モバイル通信デバイスが、検査結果を、医療専門家、医療施設または保険会社へ通信するように構成されている、前記請求項のいずれか一項に記載のスマートフォンシステム。
モバイル通信デバイスが、対象に関する情報を、医療専門家、医療施設または保険会社と通信するようにさらに構成されている、前記請求項のいずれか一項に記載のスマートフォンシステム。
一方のプレートまたは両方のプレートの内面の少なくとも一部分が親水性である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
試料が、いかなる移送デバイスも使用することなく、直接、対象からプレートに付着される、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
閉鎖構成における試料変形ののち、圧縮力のいくらかまたはすべてが解除されたとき、試料が同じ最終試料厚さを維持する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
スペーサ間距離(SD)が約120μm(マイクロメートル)以下である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
スペーサ間距離(SD)が約100μm(マイクロメートル)以下である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
スペーサが、ピラー形状と、実質的に平坦な上面と、実質的に均一な所定の高さと、分析対象物のサイズの少なくとも約2倍の大きさである所定の不変的なスペーサ間距離とを有し、該スペーサのヤング率に該スペーサの充填率を乗じたものが2MPa以上であり、該充填率が、全プレート面積に対する該スペーサ接触面積の比率であり、スペーサごとに、該スペーサの高さに対する該スペーサの横方向寸法の比率が少なくとも1である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
スペーサが、ピラー形状と、実質的に平坦な上面と、実質的に均一な所定の高さと、分析対象物のサイズの少なくとも約2倍の大きさである所定の不変的なスペーサ間距離とを有し、該スペーサのヤング率に該スペーサの充填率を乗じたものが2MPa以上であり、該充填率が、全プレート面積に対する該スペーサ接触面積の比率であり、スペーサごとに、該スペーサの高さに対する該スペーサの横方向寸法の比率が少なくとも1であり、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD4/(hE))が、5×106μm3/GPa以下である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
スペーサの平均幅に対する該スペーサのスペーサ間距離の比率が2以上であり、該スペーサの充填率に該スペーサのヤング率を乗じたものが2MPa以上である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
標的分析対象物が、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物または無機化合物である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、キット、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、羊水、眼房水、硝子体液、血液(たとえば全血、分画された血液、血漿または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物および尿から選択される生物学的試料である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
スペーサがピラーの形状を有し、ピラーの高さに対する幅の比率が1以上である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
スペーサがピラーの形状を有し、該ピラーが実質的に均一な断面を有する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、特定の疾患の病期と相関する化合物または生体分子の検出、精製および定量化のための試料である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、感染症および寄生虫症、外傷、心血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、肺疾患、腎疾患および他の器質性疾患に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、環境、たとえば水、土壌または生物学的試料からのウイルス、真菌および細菌に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、食品安全性または国家安全保障に対して危険を呈する化合物または生物学的試料、たとえば有毒廃棄物、炭疽菌の検出、定量化に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、医学的または生理学的モニターにおけるバイタルパラメータの定量化に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、生体試料からの特定のDNAまたはRNAの検出および定量化に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、ゲノム解析のための染色体およびミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定および比較に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、たとえば医薬品の合成または精製中の反応生成物の検出に関連する、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、無機化合物の検出における試料である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、ヒト、獣医学、農業、食品、環境および薬物検査の分野における試料である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムおよび方法。
試料が、血液、血清、血漿、鼻腔ぬぐい液、鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙液、糞便、粘液、汗、耳垢(earwax)、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織に由来する間質液、眼液、脊髄液、咽頭ぬぐい液、息、毛髪、爪、皮膚、生検組織、胎盤液、羊水、臍帯血、リンパ液、腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳、呼気凝縮液、鼻咽頭洗浄液、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、糞便試料、毛髪、爪、耳垢(earwax)、息、結合組織、筋組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料および骨から選択される生物学的試料である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス、システム、スマートフォンシステムまたは方法。
【発明を実施するための形態】
【0081】
例示的態様の詳細な説明
以下の詳細な説明が本発明のいくつかの態様を実例として説明する。本明細書において使用されるセクション見出しおよび任意の小見出しは、編成のためだけのものであり、記載される主題を何らかのやり方で限定するものと解釈されてはならない。セクション見出しおよび/または小見出しの下の内容は、セクション見出しおよび/または小見出しに限定されず、本発明の説明全体に当てはまる。
【0082】
任意の刊行物の引用は、出願日よりも前のその開示に関する引用であり、先行発明が理由で本特許請求の範囲がそのような刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、個別に確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なることがある。
【0083】
本発明の1つの局面は、組織試料および/または少量の染色液を操作するために互いに対して動くことができるプレート対を利用すること、試料/染色液の厚さを減らすこと、試料と染色試薬とを接触させることなど(これらすべてが組織染色に対して有益な効果を有する)により、容易かつ速やかな組織染色のためのデバイスおよび方法を提供することである。
【0084】
本発明の別の局面は、液体試料および/または染色液と接触すると、試料および/または染色液中に溶け出して拡散する染色試薬をプレートの一方または両方にコートすることにより、専門の訓練なしでも染色試薬の取り扱いを容易にする、容易かつ速やかな組織染色を提供することである。
【0085】
本発明の別の局面は、プレートおよび均一な高さの複数のスペーサを利用して試料および/または染色液を均一な厚さの薄膜に形成させることにより、試料上の大きな横方向区域にわたって染色試薬のための同じ拡散距離を生じさせる、染色試薬への試料の均一なアクセスを保証することである。
【0086】
本発明の別の局面は、染色のためのプレート対を、プレートによって染色された組織試料の画像を取得し、分析するために適合されたモバイル通信デバイスと組み合わせることにより、容易かつ速やかな組織染色および画像化のためのシステムを提供することである。任意選択で、モバイル通信デバイスは、画像化データおよび/または分析結果を、記憶および/または専門スタッフもしくはソフトウェアによるさらなる分析および解釈のために、遠隔地に送るように構成されている。
【0087】
本発明の別の局面は、免疫組織化学のためのデバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0088】
本発明の別の局面は、H&E染色法、特殊染色法および/または細胞生死判別染色法のためのデバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0089】
本発明の別の局面は、インサイチューハイブリダイゼーションのためのデバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0090】
本発明の別の局面は、洗浄なしで、かついくつかの態様においては単一工程で生物学的材料を染色するための(たとえば、細胞もしくは組織の染色、核酸染色法、H&E染色法、特殊染色法および/または細胞生死判別染色法などのための)デバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0091】
組織染色および細胞画像化のためのQMAXデバイス
図1は、圧縮調節開放流(CROF)デバイスとしても知られる、一般的なQMAX(Q:定量化;M:拡大;A:試薬添加;X:加速)デバイスの態様を示す。一般的なQMAXデバイスは、第1のプレート10および第2のプレート20を含む。特に、パネル(A)は、第1のプレート10および第2のプレート20の斜視図を示し、第1のプレートはスペーサを有する。しかし、スペーサはまた、第2のプレート20(図示せず)または第1のプレート10と第2のプレート20(図示せず)の両方に固定されてもよいことが留意されるべきである。パネル(B)は、開放構成において第1のプレート10に試料90を付着させる動作の斜視図および断面図を示す。しかし、試料90はまた、第2のプレート20(図示せず)または第1のプレート10と第2のプレート20(図示せず)の両方に付着されてもよいことが留意されるべきである。パネル(C)は、(i)第1のプレート10および第2のプレート20を使用して試料90(両プレートの内面間の試料流)を広げ、試料の厚さを減らす動作、および(ii)スペーサおよびプレートを使用してQMAXデバイスの閉鎖構成において試料厚さを調節する動作を示す。各プレートの内面は1つまたは複数の結合部位および/または貯蔵部位(図示せず)を有する。
【0092】
いくつかの態様において、スペーサ40は、所定の均一な高さおよび所定の均一なスペーサ間距離を有する。
図1のパネル(C)に示すような閉鎖構成において、プレートの間隔、ひいては試料90の厚さはスペーサ40によって調節される。いくつかの態様において、試料90の均一な厚さはスペーサ40の均一な高さと実質的に同じである。
図1は、スペーサ40がプレートの一方に固定されるように示すが、いくつかの態様においては、スペーサは固定されなくてもよいことが留意されるべきである。たとえば、特定の態様において、スペーサは試料と混合され、その結果、試料が薄い層へと圧縮されるとき、均一なサイズを有する硬いビーズまたは粒子であるスペーサが試料層の厚さを調節する。
【0093】
図2は、染色に使用されるQMAXデバイスの態様を示す。図示するように、デバイスは、第1のプレート10、第2のプレート20およびスペーサ40を含む。両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができ、一方または両方のプレートは可撓性である。各プレートは、それぞれの内面に、染色液910および/または標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料90と接触するための試料接触区域(図示せず)を有する。第2のプレート20は、その内面21に固定されているスペーサ40を含む。スペーサ40は、実質的に均一な所定の高さおよび所定のスペーサ間距離を有し、スペーサの少なくとも1つが試料接触区域内にある。
【0094】
図2のパネル(A)および(B)は、構成の一方である、開放構成を示す。図示するように、開放構成において、2枚のプレートは部分的または完全に離され、プレートの間隔102はスペーサ40によって調節されず、染色液910および試料90が第1のプレート10に付着される。染色液910および試料90はまた、第2のプレート20または両プレートに付着させてもよいことが留意されるべきである。
【0095】
図2のパネル(C)は、2枚のプレートの構成のもう一方である、閉鎖構成を示す。閉鎖構成は、パネル(B)に示すような開放構成における染色液910および試料90の付着ののち形成される。そして、閉鎖構成においては、試料90の少なくとも一部が2枚のプレートの間にあり、染色液910の少なくとも一部の層が試料90の少なくとも一部と第2のプレート20との間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さがプレート、試料90およびスペーサ40によって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離が、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0096】
本発明の1つの局面は、組織染色のための容易かつ速やかなデバイスおよび方法を提供することである。いくつかの態様において、染色液の厚さの減少は、染色剤が染色液の厚さ方向に拡散するための時間を有意に減らし、ひいては、染色剤が使われる目的が何であれ、飽和時間を減らす。たとえば、そのような構成は、染色に使用される抗体の拡散距離を減らすことにより、免疫染色の速度制限的な工程である抗原抗体結合のための飽和時間を減らして、免疫染色の全体速度を大きく向上させる。
【0097】
本発明の別の局面は、本明細書に開示される組織染色のためのデバイスおよび方法を使用する、試料のための染色剤への均一なアクセスを提供することである。いくつかの態様においては、プレートおよびスペーサの特定の構成によって生じる染色液の均一な厚さが、染色液中に溶け出して拡散する染色剤への試料の均一なアクセスを保証する。
【0098】
試料
本明細書において使用される用語「試料」は、別段の指定がない限り、液体生物/化学的試料または非液体試料を指すということが留意されるべきである。
【0099】
いくつかの態様において、液体試料は本来、血液および唾液などの液体形態で得られる。いくつかの態様において、最初に得られる試料は液体状態ではなく、たとえば、固体状態または気体状態である。そのような場合、非液体試料は、本発明によって提供されるデバイスおよび方法を使用して捕集され、保存されるときに液体形態に変換される。そのような変換のための方法は、溶解なしでの液状媒体との混合(最終生成物は懸濁液である)、液状媒体中への溶解、固体形態から液体形態への融解、気体形態から液体形態への凝縮(たとえば呼気凝縮液)を含むが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの態様において、試料は、開放構成において、その上で乾燥させることができ、試料は、羊水、眼房水、硝子体液、血液(たとえば全血、分画された血液、血漿または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される体液を含む。
【0101】
いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、開放構成において試料をその上で乾燥させることができるように構成され、試料は、一方または両方のプレート上で乾燥させる血液スメアを含む。
【0102】
いくつかの態様において、試料は固体試料、たとえば組織切片である。いくつかの態様において、試料は、1〜200μmの範囲の厚さを有する固体組織切片である。いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は試料に対して接着性である。いくつかの態様において、試料はパラフィン包埋されている。いくつかの態様において、試料は固定されている(たとえばホルマリン、パラホルムアルデヒドなど)。
【0103】
染色液
いくつかの態様において、染色液は0.1〜3.5mPa Sの範囲の粘度を有する。
【0104】
いくつかの態様において、染色液の1つの主要な機能は、トランスファー媒体として働くことである。プレート上に貯蔵(乾燥/コート)された試薬は、染色液と接触すると、染色液中に溶け出して拡散する。そのようなものとして、染色液は、試料への、プレート上に貯蔵された試薬のアクセスを提供するためのトランスファー媒体として働く。
【0105】
いくつかの態様において、染色液の1つの主要な機能は、保持溶液として働くことである。プレートが押圧されて閉鎖構成に入ると、いくつかの態様において、プレートは、外部圧縮力が解除された後でも、液体試料によって提供される毛管力などの力により、閉鎖構成を「自己保持」するように構成されている。試料検体が液体形態ではない場合、そのための液状媒体が、プレートを「自己保持」するために必要な、毛管力のような力を提供する。
【0106】
いくつかの態様において、染色液は、最終溶液のpH値を平衡化するためのバッファー対を含む。いくつかの態様において、染色液は、試料の性質を変化させることができる特定の成分を含まない。
【0107】
いくつかの態様において、染色液は、さらに以下のセクションで詳細に説明するように、試料の処理、固定または染色に必要な試薬を含む。
【0108】
いくつかの態様において、染色液は、試料を固定することができる固定剤を含む。
【0109】
いくつかの態様において、染色液はブロッキング剤を含み、試料中の非特異的内在性種が、標的分析対象物を特異的に標識するために使用される検出剤と反応できないように、ブロッキング剤は構成されている。
【0110】
いくつかの態様において、染色液は、試料中のパラフィンを除去することができる脱パラフィン剤を含む。
【0111】
いくつかの態様において、染色液は、標的分析対象物を含有する組織試料中の細胞を浸透化することができる浸透化剤を含む。
【0112】
いくつかの態様において、染色液は、抗原の賦活化を促進することができる抗原賦活化剤を含む。
【0113】
いくつかの態様において、染色液は、試料中の標的分析対象物を特異的に標識する検出剤を含む。
【0114】
プレート貯蔵部位
いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、試料の処理、固定または染色に必要な試薬を含む貯蔵部位を含む。これらの試薬は、試料または染色液と接触すると、液体試料/染色液中に溶け出して拡散する。
【0115】
いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、ブロッキング剤を含む貯蔵部位を含み、試料中の非特異的内在性種が、標的分析対象物を特異的に標識するために使用される検出剤と反応できないように、ブロッキング剤は構成されている。
【0116】
いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、試料中のパラフィンを除去することができる脱パラフィン剤を含む貯蔵部位を含む。いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、標的分析対象物を含有する組織試料中の細胞を浸透化することができる浸透化剤を含む貯蔵部位を含む。
【0117】
いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、抗原の賦活化を促進することができる抗原賦活化剤を含む貯蔵部位を含む。いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、試料中の標的分析対象物を特異的に標識する検出剤を含む貯蔵部位を含む。
【0118】
いくつかの態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、捕捉剤を含む結合部位を含み、捕捉剤は、試料中の細胞の表面上の標的分析対象物に結合し、細胞を固定化するように構成されている。
【0119】
検出剤
いくつかの態様において、検出剤は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、アニリンブルーWS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴレッド、C.I.クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エオシンB、エオシンY、エリスロシン、エチルエオシン、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染料、ヘマトキシリン、ヘマトキシリン&エオシン、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染料1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マルチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット、(ベルントゼン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッド、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニン、レサズリン、ローズベンガル、サフラニンO、スーダンブラックB、スーダンIII、スーダンIV、テトラクロム染料(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト、ライト染料およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される染料のための色素を含む。
【0120】
いくつかの態様において、検出剤は、試料中のタンパク質分析対象物に特異的に結合するように構成された抗体を含む。
【0121】
いくつかの態様において、検出剤は、試料中のDNAおよび/またはRNAに特異的に結合するように構成されたオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0122】
いくつかの態様において、検出剤はレポータ分子で標識されており、レポータ分子は、読み取られて分析される検出可能なシグナルを提供するように構成されている。
【0123】
いくつかの態様において、レポータ分子は、以下をはじめとする蛍光分子(フルオロフォア)を含む。IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインジクロロトリアジンの5異性体、ケージドカルボキシフルオレセイン−アラニン−カルボキサミド、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514;ルシファーイエロー、アクリジンオレンジ、ローダミン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ヨウ化プロピジウム、JC−1(5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’−テトラエチルベンズイミダゾイルカルボシアニンヨウ化物)、テトラブロモローダミン123、ローダミン6G、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)、TMRE(テトラメチルローダミンエチルエステル)、テトラメチルローザミン、ローダミンBおよび4−ジメチルアミノテトラメチルローザミン、緑色蛍光タンパク質、青色シフト緑色蛍光タンパク質、シアンシフト緑色蛍光タンパク質、赤色シフト緑色蛍光タンパク質;黄色シフト緑色蛍光タンパク質、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体、たとえばアクリジン、アクリジンイソチオシアネート;5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS);4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタリミド−3,5−ジスルホネート;N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−5−インダセン−3−プロピオン酸BODIPY;カスケードブルー;ブリリアントイエロー;クマリンおよび誘導体:クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151);シアニン色素;シアノシン;4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI);5’,5”−ジブロモピロガロールスルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアアミンペンタアセテート;4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、塩化ダンシル);4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC);エオシンおよび誘導体:エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシンおよび誘導体:エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体:5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノ−フルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC);フルオレスカミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4−メチルウンベリフェロネオルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラロサニリン;フェノールレッド;B−フィコエリトリン;オフタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体:ピレン、酪酸ピレン、スクシンイミジル−1−ピレン;酪酸量子ドット;リアクティブレッド4(Cibacron(商標)ブリリアントレッド3B−A)ローダミンおよび誘導体:6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、5スルホローダミンの塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ロゾール酸;CALフルオロオレンジ560;テルビウムキレート誘導体;Cy3;Cy5;Cy5.5;Cy7;IRD700;IRD800;ラホーヤブルー;フタロシアニン;およびナフタロシアニン、クマリンおよび関連の色素、キサンテン色素、たとえばロドール、レゾルフィン、ビマン、アクリジン、イソインドール、ダンシル色素、アミノフタル酸ヒドラジド、たとえばルミノールおよびイソルミノール誘導体、アミノフタルイミド、アミノナフタルイミド、アミノベンゾフラン、アミノキノリン、ジシアノヒドロキノン、蛍光ユーロピウムおよびテルビウム錯体;それらの組み合わせなど。適当な蛍光タンパク質および発色性タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、たとえばオワンクラゲ(Aequoria victoria)
由来のGFPまたはその誘導体、たとえば「ヒト化」誘導体、たとえば高感度GFP;別の種、たとえばレニラ・レニフォルミス(Renilla reniformis)、レニラ・ミュエリ(Renilla mulleri)またはプチロサルカス・グエルニ(Ptilosarcus guernyi)由来のGFP;「ヒト化」組換えGFP(hrGFP);アントゾア種由来の多様な蛍光および着色タンパク質のいずれか;それらの任意の組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。
【0124】
いくつかの態様において、シグナルは、
i. フォトルミネセンス、エレクトロルミネセンスおよびエレクトロケミルミネセンスから選択されるルミネセンス;
ii. 光の吸収、反射、透過、回折、散乱または拡散;
iii. 表面ラマン散乱;
iv. 抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスから選択される電気インピーダンス;
v. 磁気緩和能;ならびに
vi. i〜vの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0125】
免疫組織化学
いくつかの態様において、本発明のデバイスおよび方法は、試料に対して免疫組織化学法を実施する場合に有用である。
【0126】
免疫組織化学(IHC)染色法においては、組織試料を、任意選択でワックスに包埋して固定し(たとえばパラホルムアルデヒド中)、厚さ100μm未満(たとえば厚さ2μm〜6μm)である薄い切片へとスライスしたのち、ガラススライドなどの支持体上に取り付ける。取り付けたならば、組織切片を、増大する濃度のアルコール洗浄を使用して脱水し、キシレンなどの洗浄剤を使用して清澄化し得る。特定の場合、固定もまた、たとえば血液スミア染色のための任意選択の工程である。
【0127】
大部分のIHC法においては、一次および二次抗体を使用し得る。そのような方法において、一次抗体は、関心対象の抗原(たとえばバイオマーカー)に結合し、標識されていない。二次抗体は、一次抗体に結合し、レポータ分子または溶液中にあるレポータ分子を動員することができるリンカー分子(たとえばビオチン)のいずれかに直接的に結合している。あるいはまた、一次抗体そのものが、レポータ分子または溶液中にあるレポータ分子を動員することができるリンカー分子(たとえばビオチン)のいずれかに直接的に結合していてもよい。レポータ分子は、フルオロフォア(たとえばFITC、TRITC、AMCA、フルオレセインおよびローダミン)ならびに酵素、たとえばアルカリホスファターゼ(AP)およびホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含み、それらのために、多様な蛍光原性、色原性および化学発光基質、たとえばDABまたはBCIP/NBTがある。
【0128】
直接法においては、組織切片を、結合バッファー中、標識された一次抗体(たとえばFITC結合抗体)とともにインキュベートする。一次抗体は組織切片中の抗原と直接結合し、組織切片を洗浄して任意の非結合一次抗体を除去したのち、切片を顕微鏡検査によって分析する。
【0129】
間接法においては、組織切片を、組織中の標的抗原に結合する非標識一次抗体とともにインキュベートする。組織切片を洗浄して非結合一次抗体を除去したのち、組織切片を、一次抗体に結合する標識された二次抗体とともにインキュベートする。
【0130】
抗原の免疫組織化学染色ののち、組織試料を別の色素、たとえばヘマトキシリン、ヘキスト染料およびDAPIで染色して、コントラストを提供し得る、および/または他の特徴を識別し得る。
【0131】
本デバイスは、組織試料の免疫組織化学(IHC)染色に使用され得る。これらの態様において、デバイスは、第1のプレートおよび第2のプレートを含み得、両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができ;一方または両方のプレートは可撓性であり;各プレートは、それぞれの表面に、組織試料またはIHC染色液と接触するための試料接触区域を有し;第1のプレート中の試料接触区域は平滑かつ平面的であり;第2のプレート中の試料接触区域は、実質的に均一な所定の高さおよび7μm〜200μmの範囲である所定の不変的なスペーサ間距離を有する、表面に固定されたスペーサを含み;
構成の1つは開放構成であり、開放構成では、2枚のプレートは完全または部分的に離され、プレートの間隔はスペーサによって調節されず;構成のもう1つは、開放構成における試料およびIHC染色液の付着ののち形成される閉鎖構成であり;閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は2枚のプレートの間にあり、染色液の少なくとも一部の層は試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さは、プレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離は、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0132】
上述したように、いくつかの態様において、デバイスは、一方または両方のプレートの試料接触区域にコートされた乾燥IHC染色剤を含み得る。いくつかの態様において、デバイスは、第2のプレートの試料接触区域にコートされた乾燥IHC染色剤を含み得、IHC染色液は、乾燥IHC染色剤を溶解させる液体を含む。いくつかの態様において、試料の厚さは2μm〜6μmである。
【0133】
H&E、特殊染色法および細胞生死判別染色法
いくつかの態様において、本発明のデバイスおよび方法は、H&E染色法、特殊染色法および細胞生死判別染色法を実施する場合に有用である。
【0134】
ヘマトキシリン・エオシン染色法(H&E染色法またはHE染色法)は、組織学における主要な染色法の1つである。これは、医療診断においてもっとも広く使用されている染色法であり、多くの場合、ゴールドスタンダードである。たとえば、病理学者が、癌が疑われる生検組織を見るとき、組織学的切片は、H&Eで染色されることが多く、「H&E切片」、「H+E切片」または「HE切片」と呼ばれる。ヘマトキシリンとエオシンの組み合わせが青、紫および赤を生成する。
【0135】
診断病理学において、用語「特殊染色法」とは、臨床環境において非常に一般的に使用され、単に、検体に色を付けるために使用される、H&E法以外の任意の技術を指す。これはまた、免疫組織化学染色法およびインサイチューハイブリダイゼーション染色法を含む。他方、H&E染色法は、組織学および医療診断検査機関においてもっともよく使われる染色法である。
【0136】
任意の態様において、乾燥結合部位は、抗体または核酸などの捕捉剤を含み得る。いくつかの態様において、放出可能な乾燥試薬は、標識された試薬、たとえば蛍光標識された試薬、たとえば蛍光標識された抗体または細胞染料、たとえばロマノフスキー染料、リーシュマン染料、メイ・グリュンワルド染料、ギムザ染料、ジェンナー染料、ライト染料またはそれらの任意の組み合わせ(たとえばライト・ギムザ染料)であり得る。このような染料は、メチレンブルーとのエオシンYまたはエオシンBを含み得る。特定の態様において、染料は、ヘマトキシリンなどのアルカリ染料であってもよい。
【0137】
いくつかの態様において、特殊染料は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、アニリンブルーWS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴレッド、C.I.クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エオシンB、エオシンY、エリスロシン、エチルエオシン、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染料、ヘマトキシリン、ヘマトキシリン&エオシン、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染料1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マルチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット、(ベルントゼン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッド、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニン、レサズリン、ローズベンガル、サフラニンO、スーダンブラックB、スーダンIII、スーダンIV、テトラクロム染料(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト、ライト染料およびそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0138】
用語「細胞生死判別染色法」とは、組織試料内の生細胞と死細胞とを示差的に染色するために使用される染色技術を指す。通常、生細胞と死細胞との間の細胞膜および/または核膜透過性の差が示差的染色に利用される。他の場合には、アポトーシスまたは壊死のマーカー(死にかけている細胞または細胞の死骸を示す)がそのような染色に使用される。
【0139】
いくつかの態様において、デバイスは、プレートの一方または両方上に、細胞生存能力に関して試料を染色するための色素を含む。いくつかの態様において、色素は、ヨウ化プロピジウム(PI)、7−AAD(7−アミノアクチノマイシンD)、トリパンブルー、カルセインバイオレットAM、カルセインAM、様々なフルオロフォアと結合した固定可能な生死判別色素(FVD)、SYTO9および他の核酸色素、レサズリンおよびホルマザン(MTT/XTT)および他のミトコンドリア色素ならびにそれらの任意の組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、試料は細菌を含み、試料中の細菌生存能力を測定することが望まれ、デバイスはさらに、プレートの一方または両方上に、生細胞と死細胞とを示差的に染色するための細菌生死判別色素、たとえばPI、SYTO9などを含む。任意選択で、デバイスはさらに、プレートの一方または両方上に、全細菌染色のための色素、たとえばグラム染色試薬などを含む。
【0140】
インサイチューハイブリダイゼーション
いくつかの態様において、本発明のデバイスおよび方法は、組織学的試料に対してインサイチューハイブリダイゼーション(ISH)を実施する場合に有用である。
【0141】
インサイチューハイブリダイゼーション(ISH)は、標識された相補的DNA、RNAまたは修飾された核酸鎖(すなわちプローブ)を使用して、組織の一部分または切片中(インサイチュー)の、または、組織が十分に小さいならば(たとえば植物の種子、ショウジョウバエ胚)、組織全体中(ホールマウントISH)、細胞中および循環腫瘍細胞(CTC)中の、特定のDNAもしくはRNA配列をローカライズするタイプのハイブリダイゼーションである。
【0142】
インサイチューハイブリダイゼーションは、染色体上または組織中の特定の核酸配列の位置を明らかにするために使用される。これは、遺伝子の編成、調節および機能を理解するための決定的な工程である。現在使用されている主要な技術は、オリゴヌクレオチドおよびRNAプローブ(いずれも放射能標識およびハプテン標識されている)を用いるmRNAへのインサイチューハイブリダイゼーション;光学および電子顕微鏡を用いる分析;ホールマウントインサイチューハイブリダイゼーション;RNAおよびRNA+タンパク質のダブル検出;および染色体配列を検出するための蛍光インサイチューハイブリダイゼーションを含む。DNA ISHは、染色体の構造を決定するために使用することができる。蛍光DNA ISH(FISH)は、たとえば、染色体完全性を評価するために医療診断において使用することができる。RNA ISH(RNAインサイチューハイブリダイゼーション)は、組織切片、細胞、ホールマウントおよび循環腫瘍細胞(CTC)内のRNA(mRNA、IncRNAおよびmiRNA)を測定し、ローカライズするために使用される。
【0143】
いくつかの態様において、検出剤は、インサイチューハイブリダイゼーション染色のための核酸プローブを含む。核酸プローブは、試料中のDNAおよび/またはRNAに特異的に結合するように構成されたオリゴヌクレオチドプローブを含むが、これに限定されない。
【0144】
組織染色および細胞画像化のためのシステムおよび方法
同じく提供されるものは、携帯電話を使用して組織試料を速やかに染色し、分析するためのシステムであって、
(a)上記試料、染色液およびデバイス;
(b)
i. 試料を検出および/または画像化するための1つまたは複数のカメラと、
ii. 検出されたシグナルおよび/または試料の画像を受信および/または処理し、遠隔通信するための電子部品、シグナルプロセッサ、ハードウェアおよびソフトウェアと
を含む、モバイル通信デバイス;および
(c)モバイル通信デバイスまたは外部光源からの光源
を含むシステムである。
【0145】
同じく提供されるものは、携帯電話を使用して組織試料を速やかに染色し、分析する方法であって、
(a)組織試料および染色液を上記システムのデバイスに付着させ、2枚のプレートを閉鎖構成に配置する工程;
(b)画像化、データ処理および通信のハードウェアおよびソフトウェアを有する携帯電話を得る工程;
(c)CROFデバイスに付着した組織試料により、携帯電話によってアッセイして結果を出す工程;および
(d)結果を携帯電話から携帯電話から遠隔の地へ通信する工程
を含む、方法である。
【0146】
同じく提供されるものは、組織試料を染色する方法であって、
(a)組織試料を得る工程;
(b)染色液を得る工程;
(c)第1のプレートおよび第2のプレートを得る工程
(両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができ;
一方または両方のプレートは可撓性であり;
各プレートは、それぞれの表面に、組織試料またはIHC染色液と接触するための試料接触区域を有し;
第1のプレート中の試料接触区域は平滑かつ平面的であり;
第2のプレート中の試料接触区域は、実質的に均一な所定の高さおよび7μm〜200μmの範囲である所定の不変的なスペーサ間距離を有する、表面に固定されたスペーサを含む);
(c)プレートが開放構成にあるとき、組織試料および染色液をプレートに付着させる工程
(開放構成は、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されない構成である);
(d)(c)ののち、2枚のプレートを使用して、組織試料の少なくとも一部および染色液の少なくとも一部を閉鎖構成へと圧縮する工程
を含み、
閉鎖構成において、試料の少なくとも一部が2枚のプレートの間にあり、染色液の少なくとも一部の層が試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さがプレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離が、わずかな変動はあるが250μm以下である、方法である。
【0147】
QMAXデバイスの他の態様の恩典および利点(たとえば反応の促進、より速い結果など)のすべてが、組織染色のために提供されるデバイス、システムおよび方法に当てはまり得る。
【0148】
たとえば、いくつかの態様において、均一な厚さの層を調節するスペーサ(すなわち、層中でプレートを互いから離間させるスペーサ)は、少なくとも1%、たとえば少なくとも2%または少なくとも5%の「充填率」を有する(充填率とは、均一な厚さの層と接触している全プレート面積に対する、均一な厚さの層と接触しているスペーサ面積の比率である)。いくつかの態様において、均一な厚さの層を調節するスペーサに関し、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じたものは10MPa以上、たとえば少なくとも15MPaまたは少なくとも20MPaであり、充填率は、均一な厚さの層と接触している全プレート表面積に対する、均一な厚さの層と接触しているスペーサ面積の比率である。いくつかの態様において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗じたものは、60〜550GPa−μm、たとえば100〜300GPa−μmの範囲である。いくつかの態様において、可撓性プレートに関し、可撓性プレートの厚さ(h)および可撓性プレートのヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗、ISD
4/(hE)は、5に等しい、または10
6μm
3/GPa未満、たとえば10
5μm
3/GPa未満、10
4μm
3/GPa未満または10
3μm
3/GPa未満である。
【0149】
いくつかの態様において、一方または両方のプレートは、プレートの位置、たとえば分析される位置または切片が付着されるべきである位置に関する情報を提供する位置マーカーをプレートの表面または内側に含む。場合によっては、一方または両方のプレートは、切片および/またはプレートの構造の横方向寸法の情報を提供するスケールマーカーをプレートの表面または内側に含んでもよい。いくつかの態様において、一方または両方のプレートは、試料の画像化を支援する画像化マーカーをプレートの表面または内側に含む。たとえば、画像化マーカーは、画像化デバイスをデバイス上の位置に合焦させる、または画像化デバイスをデバイス上の位置に向けることに役立つことができる。いくつかの態様において、スペーサは、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカーまたはそれらの任意の組み合わせとして機能することができる。
【0150】
いくつかの態様において、スペーサ間距離は実質的に周期的であり得る。場合によっては、スペーサは規則的なパターンであり得、隣接するスペーサの間隔はほぼ同じであり得る。いくつかの態様において、スペーサは、丸、多角形、円形、正方形、長方形、卵形、楕円形またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有するピラーであり、いくつかの態様において、スペーサは実質的に平坦な上面を有し得、スペーサごとに、スペーサの高さに対するスペーサの横方向寸法の比率は少なくとも1である。場合によっては、スペーサの最小横方向寸法は、試料中の分析対象物の最小寸法未満である、またはそれに実質的に等しい。スペーサの最小横方向寸法は、0.5μm〜100μmの範囲、たとえば2μm〜50μmまたは0.5μm〜10μmの範囲である。
【0151】
いくつかの態様において、スペーサはピラー形状を有し、スペーサの側壁角部は、少なくとも1μm、たとえば少なくとも1.2μm、少なくとも1.5μmまたは少なくとも2.0μmの曲率半径を有する丸みのある形状を有する。スペーサは、任意の好都合な密度、たとえば少なくとも1,000/mm
2の密度、たとえば少なくとも1,000/mm
2の密度、少なくとも2,000/mm
2の密度、少なくとも5,000/mm
2の密度または少なくとも10,000/mm
2の密度を有し得る。
【0152】
本デバイスにおいて、プレートの少なくとも一方は透明であり得、それにより、アッセイを光学的に読み取ることを可能にする。同様に、本デバイスにおいて、プレートの少なくとも一方は可撓性ポリマー製であり得、それにより、プレートを一緒に圧縮することによって試料が効率的に広げられることを可能にする。いくつかの態様において、プレートを圧縮する圧力、スペーサは圧縮可能ではない、および/または独立して、プレートの一方だけが可撓性である。可撓性プレートは、20μm〜200μm、たとえば50μm〜150μmの範囲の厚さを有し得る。上記のように、閉鎖構成において、均一な厚さの層の厚さはわずかな変動を有し得る。
【0153】
いくつかの態様において、変動は10%未満、5%未満または2%未満であり得、区域の厚さが平均厚さの±10%、±5%または±2%を超えないことを意味する。
【0154】
いくつかの態様において、第1および第2のプレートは接続されており、デバイスは、プレートを折り重ねることによって開放構成から閉鎖構成へと変形させることができる。いくつかの態様において、第1および第2のプレートはヒンジによって接続されていることができ、デバイスは、デバイスがヒンジに沿って折れ曲がるようにプレートを折り重ねることによって開放構成から閉鎖構成へと変形させることができる。ヒンジは、プレートに取り付けられる別個の材料であってもよいし、場合によっては、プレートがプレートと一体であってもよい。
【0155】
いくつかの態様において、デバイスは、切片を非常に速やかに分析することができる。場合によっては、分析は、60秒以内、30秒以内、20秒以内、15秒以内または10秒以内に実施され得る。
【0156】
いくつかの態様において、システムはさらに、(d)試料を保持し、かつモバイル通信デバイスに取り付けられるように構成されたハウジングを含み得る。ハウジングは、モバイル通信デバイスによる試料の画像化および/またはシグナル処理を容易にするための光学系と、光学系をモバイル通信デバイス上に保持するように構成されたマウントとを含み得る。場合によっては、デバイスの光学系の素子(たとえばレンズ、フィルタ、ミラー、プリズムまたはビームスプリッタ)は、試料が少なくとも2つのチャネル中で画像化され得るように移動可能であり得る。
【0157】
いくつかの態様において、モバイル通信デバイスは、検査結果を医療専門家(たとえばMD)、医療施設(たとえば病院または検査機関)または保険会社へ通信するように構成され得る。加えて、モバイル通信デバイスは、対象に関する情報(たとえば対象の年齢、性別、体重、住所、氏名、以前の検査結果、既往歴など)を医療専門家、医療施設または保険会社と通信するように構成され得る。特定の態様において、モバイル通信デバイスは、医療専門家から処方箋、診断または推薦状を受け取るように構成され得る。たとえば、いくつかの態様において、モバイル通信デバイスは、アッセイ結果を、医療専門家が診断を下す遠隔地に送ってもよい。診断は、モバイル通信デバイスを介して対象へ通信されてもよい。
【0158】
いくつかの態様において、モバイル通信デバイスは、それが、(a)試料の画像を捕捉し;(b)画像中の検査位置および制御位置を分析し;(c)検査位置の分析から得られた値を、高速診断検査を特徴付ける閾値と比較することを可能にするハードウェアおよびソフトウェアを含み得る。場合によっては、モバイル通信デバイスは無線またはセルラーネットワークを介して遠隔地と通信する。
【0159】
任意の態様において、モバイル通信デバイスは携帯電話であり得る。
【0160】
システムは、(a)システムのデバイス上の試料;(b)デバイスに付着した試料をアッセイして結果を出す工程;および(c)結果をモバイル通信デバイスからモバイル通信デバイスから遠隔の地へ通信する工程を含む方法において使用され得る。方法は、遠隔地で結果を分析して分析結果を出す工程;および分析結果を遠隔地からモバイル通信デバイスへ通信する工程を含み得る。上記のように、分析は、遠隔地にいる医療専門家によって実施され得る。いくつかの態様において、モバイル通信デバイスは、遠隔地にいる医療専門家から処方箋、診断または推薦状を受け取り得る。
【0161】
同じく提供されるものは、組織切片を分析する方法である。いくつかの態様において、この方法は、上記のようなデバイスを得る工程、デバイスの一方または両方のプレートに切片を付着させる工程;プレートを閉鎖構成に配置し、プレートの少なくとも一部に外力を加える工程;およびプレートが閉鎖構成にある間に均一な厚さの層中の試料を分析する工程を含み得る。
【0162】
いくつかの態様において、この方法は、
(a)組織切片を得る工程;
(b)互いに対し、異なる構成へと動くことができる第1および第2のプレートを得る工程
(各プレートは、実質的に平面である試料接触面を有し、一方または両方のプレートは可撓性であり、プレートの一方または両方は、それぞれの試料接触面と固定されているスペーサを含み、スペーサは、
i. 実質的に均一な所定の高さ;
ii. 実質的に均一な断面および平坦な上面を有するピラーの形状;
iii. 1以上の、高さに対する幅の比率;
iv. 10μm〜200μmの範囲である所定の不変的なスペーサ間距離;および
v. 1%以上の充填率
を有する);
(c)プレートが開放構成にある間に切片をプレートの一方または両方に付着させる工程
(開放構成は、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されない構成である);
(d)(c)ののち、2枚のプレートを使用して、切片の少なくとも一部を、プレートの試料接触面によって画定される実質的に均一な厚さの層へと圧縮する工程
(層の均一な厚さはスペーサおよびプレートによって調節され、1.8μm〜3μmの範囲の平均値(変動10%未満)を有し、圧縮する工程は、
2枚のプレートを合わせること;および
少なくとも一方のプレートの区域を、同時並行的または順次に、形状適合的に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧すること
を含み、形状適合的に押圧することは、試料の少なくとも一部上でプレートに対して実質的に均一な圧力を生成し、押圧することは、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面の間で横方向に広げ、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層中のプレートの間隔がスペーサによって調節される構成である);および
(e)プレートが閉鎖構成にある間に均一な厚さの層中の切片を分析する工程
を含み得;
充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比率であり;
形状適合的に押圧することは、区域全体に加わる圧力を、プレートの外面の形状変動にかかわらず、実質的に一定にする方法であり;
同時並行的に押圧することは、所期の区域に同時に圧力を加え、順次に押圧することは、所期の区域の一部に圧力を加え、徐々に他の区域に移行する。
【0163】
いくつかの態様において、この方法は、プレートが閉鎖構成になったのち外力を解除する工程;プレートが閉鎖構成にある間に均一な厚さの層中の切片を画像化する工程、を含み得る。上記のように、これらの態様において、スペーサ間距離は、20μm〜200μmまたは5μm〜20μmの範囲であり得る。これらの態様において、スペーサの充填率とヤング率との積は2MPa以上である。いくつかの態様において、表面変動は30nm未満である。
【0164】
これらの態様のいずれにおいても、画像化および計数は、i. 均一な厚さの層中の切片に光を照射し、ii. CCDまたはCMOSセンサを使用して切片の1つまたは複数の画像を撮影することによって実施され得る。
【0165】
いくつかの態様において、外力は、ヒトの手によって、たとえば指、たとえば親指を使って押し下げる、または親指と同じ手の別の指、たとえば人差し指との間につまむことによって提供され得る。
【0166】
いくつかの態様において、プレートの1つまたは複数は、一方または両方のプレートにコートされた乾燥試薬(たとえば結合剤、染色剤、検出剤またはアッセイ反応体)を含み得る。
【0167】
いくつかの態様において、均一な厚さの試料の層は、±5%まで、たとえば±2%まで、または±1%までの、厚さの均一さを有し得る。
【0168】
いくつかの態様において、スペーサは、丸、多角形、円形、正方形、長方形、卵形、楕円形またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有するピラーである。
【0169】
洗浄工程なしの、および/または単一工程での染色および画像化
本発明のもう1つの局面は、洗浄なしで、かついくつかの態様においては単一工程で生物学的材料を染色するための(たとえば、細胞もしくは組織の染色、核酸染色法、H/E染色法、特殊染色法および/または細胞生死判別染色法などのための)デバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0170】
いくつかの態様において、シグナル増幅面を組み込む、および/または使用することにより、開示されるデバイス、システムおよび方法は、洗浄なしでのアッセイの実行を容易にし得る。表面増幅面は、表面から小さな距離(たとえば20nmまたは50nmまたは100nm)で放出される光のみを増幅し得る。表面増幅層の一例がD2PAである。
【0171】
シグナル増幅層は、標的分析対象物または標識が増幅層から1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmまたはこれらの数値の任意の2つの間の範囲;および1nm〜50nm、50nm〜100nm、100nm〜200nm、200nm〜500nmの好ましい範囲であるとき、標的分析対象物または標的分析対象物の標識からのシグナルを増幅する。
【0172】
用語「増幅」とは、シグナルの大きさの増大、たとえば少なくとも10倍増、少なくとも100倍増、少なくとも1,000倍増、少なくとも10,000倍増または少なくとも100,000倍増を指す。
【0173】
いくつかの態様において、シグナル増幅層は、以下に記載されているシグナル増幅層を含むが、これらに限定されない。2013年3月15日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2013/032347、2013年10月1日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2013/062923、2014年3月16日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2014/030108、2014年3月14日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2014/029675、2014年3月14日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2014/028417、2014年3月15日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2014/029979、2015年10月20日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2015/056518、2016年9月27日出願のPCT出願(米国指定)番号PCT/US2016/054025。これらの完全な開示があらゆる趣旨に関して参照により本明細書に組み入れられる。
【0174】
シグナル増幅層は、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金およびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料でできている連続的な金属フィルムを含む。シグナル増幅層は高増幅領域および低増幅領域を含み、高増幅領域は前記表面のシグナルを低増幅領域よりも大きく増幅し、層の低増幅領域は選択的にマスキングされており、シグナル増幅層は、(i)2つ以上の突出部、(ii)2つ以上の金属構造、および(iii)金属構造間の2つ以上の間隙を含み;それにより、標的分析対象物が高増幅領域に結合し、検出される確率を高める。
【0175】
シグナル増幅層は、
(i)基板上の実質的に連続的な金属バックプレーン;
(ii)金属バックプレーンから延びる、または基板からバックプレーン中の穴を通って延びる1つまたは複数の誘電体または半導体ピラー;および
(iii)ピラーの上の金属ディスク(ディスクのエッジの少なくとも一部分は金属バックプレーンから、間隙によって離されている)
を含む。
【0176】
いくつかの態様において、間隙および金属エッジの一部分は高シグナル増幅区域の一部であり、金属ディスクは、丸、多角形、角錐形、楕円形、細長い棒の形またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される形状を有する。金属ディスクは、金属フィルムから0.5〜30nmの範囲の距離だけ離され、ディスクの平均横方向寸法は20nm〜250nmの範囲であり;シグナル増幅層は、丸、多角形、角錐形、楕円形、細長い棒の形またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される形状を有する1つまたは複数の金属ディスクを含み、ディスクの平均横方向寸法は20nm〜250nmの範囲であり、隣接するディスク間の間隙は0.5〜30nmの範囲である。
【0177】
いくつかの態様において、金属構造は、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金およびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料でできている。
【0178】
いくつかの態様において、ピラーは周期的または非周期的である、または金属構造はランダムな形状を有する。
【0179】
いくつかの態様において、増幅されるシグナルは、ラマン散乱、色度、ルミネセンス、蛍光、エレクトロルミネセンス、ケミルミネセンスおよび/またはエレクトロケミルミネセンスである。
【0180】
哺乳動物の生細胞および死細胞を検出する例
この実験においては、生きている白血球および死んだ白血球をQMAX(Q−Card)中で1分以内に検出した。
【0181】
QMAXデバイスは2枚のプレート、第1のプレートおよび第2のプレート(またはXプレート)を有する。第1のプレートは、厚さ1mm、面積24mm×32mmのPMMA製である。Xプレートは、面積22mm×27mm、厚さ175μmのPMMAフィルムであり、Xプレート上のスペーサアレイは、横方向面積30×40μm、高さ10μm、スペーサ間距離80μmのピラースペーサを有するものであった。
【0182】
実験においては、ヨウ化プロピジウム溶液(Thermo Fisher P3566)およびアクリジンオレンジ(Thermo Fisher A3568)を使用して、哺乳動物細胞の生存能力を検出する。ヨウ化プロピジウム(PI)は、細胞非透過性の核酸インターカレート色素である。しかし、損なわれた細胞膜が理由で、PIは死細胞を染色し、オレンジレッド色を示す。アクリジンオレンジ(AO)は生細胞と死細胞の両方を染色し、緑色蛍光色を生成する。PIとAOとを一緒に使用するとき、生細胞はAO色素のみによって染色され、緑色を示すが、死細胞はPI色素とAO色素の両方で染色され、PIはAOを消失させることができ、オレンジレッド色を示す。
【0183】
まず、100μg/mlのPIおよび20μg/mlのAOをPBS中に調製した。次いで、PI/AO色素溶液を、Xプレート上、周期0.6mmの液滴アレイ(16×16、1液滴あたり15nl量)へとプリントした。Xプレートを空気乾燥させ、室温の真空バッグに貯蔵した。試料を検査するとき、血液試料2.5μlを基板プレートに添加し、Xプレートを閉じ、しっかりと押した。Qカード(基板プレートおよびXプレート)を室温で1分間インキュベートした。iPhone 6sを励起波長470〜490nmおよび放出波長520nmのロングパスフィルタとともに使用してiPhone画像を撮影した。
【0184】
図3は、新鮮な血液2.5μlを基板プレートに加え、Xプレートが、その上にプリントされたPIおよびAO色素を有する実験プロセスを示す。次いで、2枚のプレートを押し合わせ、室温で1分間インキュベートした。顕微鏡検査法とPhoneベースの顕微鏡検査システムの両方を使用してデータを収集した。
【0185】
図4は、哺乳動物の生細胞および死細胞染色の顕微鏡画像を示す。生細胞は、青色の円によってマークされた緑に染色され、死細胞は、赤色の円によってマークされたオレンジレッドに染色された。
【0186】
図5は、スパイクされたT細胞(死細胞を含む)を有する/有しない、PIおよびAO色素によって染色された新鮮な血液試料のiPhone画像を示す。死細胞はオレンジレッドに染色され、いくつかは赤色の円によってマークされた。生細胞は緑に染色され、いくつかは青色の円によってマークされた。
【0187】
いくつかの態様において、細胞生死判別色素は、ヨウ化プロピジウム、7−AAD、トリパンブルー、カルセインバイオレットAM、カルセインAM、固定可能な生死判別色素、SYTO9および他の核酸色素、レサズリンおよびホルマザン(MTT/XTT)および他のミトコンドリア色素、ステラーゼ基質、アミン反応性色素、DAPI、DRAQ7、7−AADおよびTO−PRO−3ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0188】
いくつかの態様において、細胞生死判別色素は、タンパク質結合色素からなる群より選択される。
【0189】
いくつかの態様において、生細胞を検出する色素は、アクリジンオレンジ、SYTO緑色核酸染料、たとえばSYTO9、SYTO11、SYTO12、SYTO13、SYTO14、SYTO16、SYTO221、SYTO24、フルオレセインジアセテート(FDA)およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0190】
いくつかの態様において、死細胞を検出する色素はヨウ化プロピジウムから選択される。
【0191】
いくつかの態様において、死細胞を検出する色素はメチレンブルーから選択される。
【0192】
いくつかの態様において、死細胞を検出する色素はYOYO色素群から選択される。
【0193】
いくつかの態様において、生細胞を検出する色素はDiOC2(3)、CFDAから選択される。
【0194】
いくつかの態様において、試料は細菌を含み、試料中の細菌生存能力を測定することが望まれ、デバイスはさらに、プレートの一方または両方上に、生細胞と死細胞とを示差的に染色するための細菌生死判別色素、たとえばPI、SYTO9などを含む。任意選択で、デバイスはさらに、プレートの一方または両方上に、全細菌染色のための色素、たとえばグラム染色試薬などを含む。
【0195】
いくつかの態様において、死細胞を検出する色素は、eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)450、eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)506、eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)660、eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)520、eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)780、eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)455UVから選択される。
【0196】
いくつかの態様において、細胞生死判別色素は、LIVE/DEAD(商標)Fixable Yellow Dead Cell Stain Kitからなる群より選択される。
【0197】
いくつかの態様において、生細胞を検出する色素は、アクリジンオレンジ、SYTO緑色核酸染料、たとえばSYTO9、SYTO11、SYTO12、SYTO13、SYTO14、SYTO16、SYTO221、SYTO24、フルオレセインジアセテート(FDA)、alamarBlue(商標)Cell Viability Reagent、カルセイン、AM、細胞浸透性色素、eBioscience(商標)Calcein AM Viability Dye、eBioscience(商標)Calcein Violet 450 AM Viability Dyeから選択される。
【0198】
いくつかの態様において、細胞生死判別色素は、LIVE/DEAD Fixable(青、緑、紫、赤、近IR、遠赤)Dead Cell Stain、SYTO(商標)Orange Fluorescent Nucleic Acid Stain Sampler Kit、SYTO(商標)Green Fluorescent Nucleic Acid Stain Sampler Kit、SYTO(商標)Green Fluorescent Nucleic Acid Stain Sampler Kit、LIVE/DEAD(商標)Fixable Violet Dead Cell Stain Kit、LIVE/DEAD(商標)Fixable Yellow Dead Cell Stain Kit、Trypan Blue Solution、0.4%からなる群より選択される。
【0199】
分析のための人工知能および/または機械学習
本発明の特定の態様においては、QMAXベースのデバイスのための機械学習フレームワークが、QMAXイメージャによって捕捉された疑似2D画像に基づいて分析対象物(たとえば血液細胞)を差別的に発見し、同定し、セグメント化し、計数するための、ディープラーニングなどのアルゴリズムを実行することができるデバイス中に実装される。
【0200】
本発明の特定の態様において、機械学習は、QMAXデバイス上のイメージャによって捕捉された画像を改善し、気泡、塵、影およびピラーをはじめとするノイズおよびアーチファクトの影響を減らす。
【0201】
本発明の特定の態様において、機械学習の訓練は、QMAXカードのスペーサを使用して訓練セットのデータサイズを減らす。
【0202】
ディープラーニング
特定の態様においては、分析対象物検出およびローカリゼーションワークフローが2つの段階、訓練および予測からなるディープラーニングが使用される。
【0203】
(i)訓練段階
本発明の訓練段階において、アノテーション付き訓練データが畳み込みニューラルネットワークに送られる。畳み込みニューラルネットワークとは、グリッド様のフィードフォワード階層型ネットワークトポロジーを有する、データを処理するための特殊なニューラルネットワークである。データの例は、規則的な時間間隔で試料を取得する1Dグリッドと見なすことができる時系列データおよびピクセルの2Dグリッドと見なすことができる画像データを含む。畳み込みネットワークは実用に成功している。「畳み込みニューラルネットワーク」という名称は、ネットワークが、畳み込みと呼ばれる数学的演算を用いることを示す。畳み込みは特殊な種類の線形演算である。畳み込みネットワークは単に、その層の少なくとも1つにおいて汎用行列乗算の代わりに畳み込みを使用するニューラルネットワークである。
【0204】
本発明のいくつかの態様において機械学習モデルを訓練するとき、試料を保持するQMAXデバイス上でイメージャによって撮影された分析対象物を含有する試料の1つまたは複数の画像を訓練データとして受け取る。訓練データは、アッセイされる分析対象物に関してアノテーションが付され、そのアノテーションが、分析対象物が訓練データ中にあるかどうか、また、画像中のどこに位置するのかを示す。アノテーションは、分析対象物を完全に含む、または分析対象物の中心位置を含むタイトなバウンディングボックスの形態で実施することができる。後者の場合、中心位置はさらに、分析対象物をカバーする円またはポイントマップ中のガウスカーネルに変換される。
【0205】
訓練データのサイズが大きい場合、機械学習モデルの訓練は2つの難題を呈する。アノテーション(通常はヒトが実施する)は時間を要し、訓練はコンピュータ的に費用を要する。これらの難題を克服するためには、訓練データを小さなサイズのパッチに分割したのち、これらのパッチまたはこれらのパッチの一部分にアノテーションを付け、訓練することができる。用語「機械学習」とは、統計学的技術と、明示的にプログラムされることなくデータから訓練された人工ニューラルネットワークとをしばしば使用する、人工知能の分野におけるアルゴリズム、システムおよび装置を指す。
【0206】
本発明のいくつかの態様において、アノテーション付き画像は機械学習(ML)訓練モジュールに送られ、機械学習モジュール中のモデルトレーナが訓練データ(アノテーション付き試料画像)からのMLモデルを訓練する。入力データは、特定の停止基準が満たされるまで、複数回の反復でモデルトレーナに送られる。ML訓練モジュールの出力がMLモデル―コンピュータが特定のタスク(たとえば物体を検出し、分類する)を自ら実行する能力をコンピュータに与える、データから機械学習中に訓練プロセスから構築される計算モデル―である。
【0207】
訓練された機械学習モデルは予測(または推論)段階中にコンピュータによって適用される。機械学習モデルの例はResNet、DenseNetなどを含む。これらは、ネットワーク構造中の接続された層の深さが理由で「ディープラーニングモデル」とも呼ばれる。いくつかの態様においては、完全畳み込みネットワーク(FCN)を有するCaffeライブラリをモデル訓練および予測に使用したが、TensorFlowなどの他の畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャおよびライブラリを使用することもできる。
【0208】
訓練段階は、予測段階において使用されるモデルを生成する。モデルは、入力をアッセイするために予測段階で繰り返し使用することができる。したがって、計算ユニットは、生成されたモデルにアクセスするだけでよい。訓練データにアクセスする必要はなく、訓練段階をコンピューティングユニット上で再び実行する必要もない。
【0209】
(ii)予測段階
予測/推論段階においては、検出コンポーネントが入力画像に適用され、入力画像は、訓練段階から生成された訓練済みモデルを事前にロードされた予測(推論)モジュールに送られる。予測段階の出力は、検出された分析対象物を、分析対象物の中心位置もしくは各分析対象物の位置を示すポイントマップまたは検出された分析対象物の情報を含むヒートマップとともに含むバウンディングボックスであることができる。
【0210】
予測段階の出力がバウンディングボックスのリストである場合、アッセイのための試料の画像中の分析対象物の数は、検出されたバウンディングボックスの数によって特徴付けられる。予測段階の出力がポイントマップである場合、アッセイのための試料の画像中の分析対象物の数は、ポイントマップの積分によって特徴付けられる。予測の出力がヒートマップである場合、ローカリゼーションコンポーネントを使用して位置が特定され、検出された分析対象物の数は、ヒートマップのエントリによって特徴付けられる。
【0211】
ローカリゼーションアルゴリズムの1つの態様は、ヒートマップ値を、一次元順序付きリスト中に、最高値から最低値へとソートすることである。次いで、最高値のピクセルを選択し、そのピクセルを、その隣接ピクセルとともに、リストから削除する。すべてのピクセルがリストから削除されるまでプロセスを繰り返して、リスト中の最高値を有するピクセルを選択する。
【0212】
ヒートマップを使用する検出コンポーネントにおいては、入力画像が、訓練段階から生成されたモデルとともに、畳み込みニューラルネットワークに送られ、検出段階の出力は、ヒートマップの形式の、ピクセルレベルの予測である。ヒートマップは、入力画像と同じサイズを有することもできるし、入力画像の縮小バージョンであることもでき、ローカリゼーションコンポーネントへの入力である。本発明者らは、分析対象物の中心をローカライズするためのアルゴリズムを開示する。主な概念は、ヒートマップからローカルピークを繰り返し検出することである。ピークがローカライズされたのち、そのピークを包囲するローカルエリアを計算することができる(ただし値はより小さい)。この領域をヒートマップから削除し、残りのピクセルから次のピークを見つける。すべてのピクセルがヒートマップから削除されるまでこのプロセスを繰り返す。
【0213】
特定の態様において、本発明は、ヒートマップ値を、一次元順序付きリスト中に、最高値から最低値へとソートするためのローカリゼーションアルゴリズムを提供する。次いで、最高値のピクセルを選択し、そのピクセルを、その隣接ピクセルとともに、リストから削除する。すべてのピクセルがリストから削除されるまでプロセスを繰り返して、リスト中の最高値を有するピクセルを選択する。
【0214】
Algorithm GlobalSearch (heatmap)
Input:
heatmap
Output:
loci
loci←{}
sort(heatmap)
while (heatmap is not empty) {
s←pop(heatmap)
D←{disk center as s with radius R}
heatmap = heatmap \ D // remove D from the heatmap
add s to loc}
【0215】
ソート後、ヒートマップは、ヒートマップ値が最高から最低の順に並ぶ一次元順序付きリストである。各ヒートマップ値は、その対応するピクセル座標と関連付けられる。ヒートマップの最初のアイテムは、最高値を有するアイテムであり、それがpop(heatmap)関数の出力である。1つのディスクが作成され、その中心は、最高ヒートマップ値を有するもののピクセル座標である。次いで、ピクセル座標がディスク内にあるすべてのヒートマップ値をヒートマップから削除する。アルゴリズムは、現在のヒートマップ中の最高値を繰り返しポップアップし、アイテムがヒートマップから削除されるまで、その周囲のディスクを削除する。
【0216】
順序付きリストヒートマップ中、各アイテムは、先行アイテムおよび後続アイテムの知識を有する。順序付きリストからアイテムを削除する場合、以下の変更を加える。
・削除アイテムがxrであり、先行アイテムがxpであり、後続アイテムがxfであると仮定する。
・先行アイテムxpに関し、その後続アイテムを削除アイテムの後続アイテムに再定義する。したがって、xpの後続アイテムはxfとなる。
・削除アイテムxrに関し、その先行アイテムおよび後続アイテムを定義解除し、それを順序付きリストから削除する。
・後続アイテムxfに関し、その先行アイテムを削除されたアイテムの先行アイテムに再定義する。したがって、xfの先行アイテムはxpとなる。
【0217】
すべてのアイテムが順序付きリストから削除されたのち、ローカリゼーションアルゴリズムは完了する。設定位置中の要素の数が分析対象の数となり、位置情報は、設定位置中の各sのピクセル座標である。
【0218】
もう1つの態様は、必ずしも最高ヒートマップ値を有するものではないローカルピークを探索する。各ローカルピークを検出するためには、ランダムな出発点から出発し、ローカル最大値を探索する。ピークを見つけたのち、そのピークを包囲するローカルエリアを計算する(ただし値はより小さい)。この領域をヒートマップから削除し、残りのピクセルから次のピークを見つける。ヒートマップからすべてのピクセルが削除されるまでこのプロセスを繰り返す。
【0219】
Algorithm LocalSearch (s, heatmap)
Input:
s: starting location (x, y)
heatmap
Output:
s: location of local peak.
>0の値のピクセルのみを考慮する。
【0220】
Algorithm Cover (s, heatmap)
Input:
s: location of local peak,
heatmap:
Output:
cover: a set of pixels covered by peak:
【0221】
これは、sから出発する幅優先探索アルゴリズムであるが、訪問点の条件が1つ変更されている。heatmap[p]>0かつheatmap[p]<=heatmap[q]ならば、現在位置qの隣接位置pだけがカバーに加えられる。したがって、カバー中の各ピクセルは、ローカルピークsに通じる非下降経路を有する。
【0222】
Algorithm Localization (heatmap)
Input:
heatmap
Output:
loci
loci←{}
pixels←{all pixels from heatmap}
while pixels is not empty {
s←any pixel from pixels
s←LocalSearch(s, heatmap) // s is now local peak
probe local region of radius R surrounding s for better local peak
r←Cover(s, heatmap)
pixels←pixels \ r // remove all pixels in cover
add s to loci
【0223】
特定の態様において、検出およびローカリゼーションがコンピュータビジョンアルゴリズムによって実現され、分類がディープラーニングアルゴリズムによって実現され、コンピュータビジョンアルゴリズムが分析対象物の可能な候補を検出し、見つけ、ディープラーニングアルゴリズムが各可能な候補を真の分析対象物と偽の分析対象物とに分類する、ディープラーニングとコンピュータビジョン手法の組み合わせを含む画像解析。すべての真の分析対象物の位置が(真の分析対象物の総数とともに)出力として記録される。
【0224】
検出
コンピュータビジョンアルゴリズムは、強度、色、サイズ、形状、分布などをはじめとする分析対象物の特徴に基づいて、可能な候補を検出する。前処理スキームが検出を改善することができる。前処理スキームは、コントラスト強調、ヒストグラム調整、色強調、ノイズ除去、スムージング、デフォーカスなどを含む。前処理後、入力画像は検出器に送られる。検出器は、分析対象物の可能な候補の存在を知らせ、その場所の推定を出す。検出は、適応的閾値処理などのスキームを使用して、分析対象物構造(たとえばエッジ検出、ライン検出、円検出など)、接続性(たとえばブロブ検出、接続コンポーネント、輪郭検出など)、強度、色、形状などに基づくことができる。
【0225】
ローカリゼーション
検出後、コンピュータビジョンアルゴリズムは、境界またはそれを含むタイトなバウンディングボックスを提供することにより、分析対象物の可能な候補それぞれを見つける。これは、物体セグメンテーションアルゴリズム、たとえば適応的閾値処理、背景差分法、floodFill、MeanShift、Watershedなどによって達成することができる。非常に多くの場合、ローカリゼーションを検出と組み合わせて、分析対象物の可能な候補それぞれの場所とともに検出結果を出すことができる。
【0226】
分類
畳み込みニューラルネットワークなどのディープラーニングアルゴリズムは最先端の視覚的分類を達成する。本発明者らは、分析対象物の可能な候補それぞれの分類のためにディープラーニングアルゴリズムを用いる。VGGNet、ResNet、MobileNet、DenseNetなど、様々な畳み込みニューラルネットワークを分析対象物分類に利用することができる。
【0227】
分析対象物の可能な候補それぞれを仮定して、ディープラーニングアルゴリズムは、畳み込みフィルタおよび非線形フィルタを介してニューロンの層を通して計算を実行して、分析対象物を非分析対象物から区別する高レベル特徴を抽出する。完全畳み込みネットワークの層が高レベル特徴を分類結果へと組み合わせ、それが真の分析対象物であるかどうか、または分析対象物である確率を教える。
【0228】
QMAXカードの寸法
QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートの厚さ、幅および/または長さは、同じであることもできるし、異なることもできる。
【0229】
(1)カードの形状
いくつかの態様において、2枚のプレートの形状は、丸、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形またはそれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0230】
いくつかの態様において、QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートは、同じサイズおよび/または形状を有することもできるし、異なるサイズおよび/または形状を有することもできる。
【0231】
いくつかの態様において、QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートの少なくとも1つは、ユーザの安全性を考慮して丸みのある角を有し、丸みのある角は、100μm以下、200μm以下、500μm以下、1mm以下、2mm以下、5mm以下、10mm以下、50mm以下またはこれらの数値のいずれか2つの間の範囲の直径を有する。
【0232】
一般的に、プレートは、試料の圧縮開放流および試料厚さの調節が可能である限り、任意の形状を有することができる。しかし、いくつかの態様においては、特定の形状が有利である。
【0233】
(2)カードの厚さ
QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートの厚さ、幅および/または長さは、同じであることもできるし、異なることもできる。
【0234】
いくつかの態様において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、10mm以下、20mm以下、50mm以下、100mm以下、500mm以下またはこれらの数値のいずれか2つの間の範囲である。
【0235】
いくつかの好ましい態様において、少なくとも1つのプレートの厚さは0.5〜1.5mmの範囲である。
【0236】
いくつかの好ましい態様において、少なくとも1つのプレートの厚さは約1mmである。
【0237】
いくつかの好ましい態様において、少なくとも1つのプレートの厚さは0.15〜0.2mmの範囲である。
【0238】
いくつかの好ましい態様において、少なくとも1つのプレートの厚さは約0.175mmである。
【0239】
いくつかの態様において、いずれか1つのプレートの厚さはプレート全体で均一ではない。異なる位置で異なるプレート厚さを用いると、プレートの折り曲げ、折り畳み、試料厚さ調節などを制御することができる。
【0240】
(3)カードの面積、幅および長さ
いずれか1つのプレートの面積は特定の用途に依存する。
【0241】
いくつかの態様において、少なくとも1つのプレートの面積は、1mm
2(平方ミリメートル)以下、10mm
2以下、25mm
2以下、50mm
2以下、75mm
2以下、1cm
2(平方センチメートル)以下、2cm
2以下、3cm
2以下、4cm
2以下、5cm
2以下、10cm
2以下、100cm
2以下、500cm
2以下、1000cm
2以下、5000cm
2以下、10,000cm
2以下、10,000cm
2以下または2つの数値のいずれかの間の範囲である。
【0242】
いくつかの好ましい態様において、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの面積は500mm
2〜1,000mm
2の範囲である。
【0243】
いくつかの好ましい態様において、1つのプレートの面積は約600mm
2であり、もう1つのプレートの面積は約750mm
2である。
【0244】
いくつかの態様において、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの幅は、1mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、25mm以下、30mm以下、35mm以下、40mm以下、45mm以下、50mm以下、100mm以下、200mm以下、500mm以下、1000mm以下、5000mm以下または2つの数値のいずれかの間の範囲である。
【0245】
いくつかの好ましい態様において、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの幅は20〜30mmの範囲である。
【0246】
いくつかの好ましい態様において、1つのプレートの幅は約22mmであり、もう1つのプレートの幅は約24mmである。
【0247】
いくつかの態様において、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの長さは、1mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、25mm以下、30mm以下、35mm以下、40mm以下、45mm以下、50mm以下、100mm以下、200mm以下、500mm以下、1,000mm以下、5,000mm以下または2つの数値のいずれかの間の範囲である。
【0248】
いくつかの好ましい態様において、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの長さは20〜40mmの範囲である。
【0249】
いくつかの好ましい態様において、1つのプレートの長さは約27mmであり、もう1つのプレートの長さは約32mmである。
【0250】
(4)ノッチ
いくつかの態様においては、一方のプレートの内側に、他方のプレートを容易に剥離させ、2枚のプレートを離すための1つまたは複数のノッチがある。
【0251】
いくつかの態様において、ノッチの形状は、丸、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0252】
いくつかの態様において、ノッチのサイズは、1mm
2(平方ミリメートル)以下、10mm
2以下、25mm
2以下、50mm
2以下、75mm
2以下または2つの値のいずれかの間の範囲である。
【0253】
いくつかの好ましい態様において、QMAXカード上のノッチの面積は10〜30mm
2の範囲である。
【0254】
いくつかの好ましい態様において、ノッチは、厚い方のプレートの短い幅の側に位置する。
【0255】
(5)トレンチ
いくつかの態様においては、一方のプレートの内側に、あふれを防ぐ、または本明細書に開示される保存剤/試薬を含むための1つまたは複数のトレンチがある。
【0256】
いくつかの態様において、トレンチは、開放形であり、直線、曲線、弧、枝分かれまたは開放端を有する任意の他の形状である。いくつかの態様において、トレンチは閉鎖形である。いくつかの態様において、トレンチの形状は、丸、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。トレンチは、均一または非均一である、任意の可能な断面形状を有することができる。
【0257】
いくつかの態様において、トレンチの長さは、0.001mm以下、0.005mm以下、0.01mm以下、0.05mm以下、0.1mm以下、0.5mm以下、1mm以下、2mm以下、5mm以下、10mm以下、20mm以下、50mm以下、100mm以下またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0258】
いくつかの態様において、トレンチの平均断面積は、0.001mm
2以下、0.005mm
2以下、0.01mm
2以下、0.05mm
2以下、0.1mm
2以下、0.5mm
2以下、1mm
2以下、2mm
2以下、5mm
2以下、10mm
2以下、20mm
2以下またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0259】
(6)レセプタクルスロット
いくつかの態様において、レセプタクルスロットの受け取り区域、すなわちスライドトラックによってカバーされる横方向区域は、QMAXデバイスの面積以上の面積を有する。
【0260】
いくつかの態様において、レセプタクルスロットの受け取り区域の形状は、丸、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0261】
いくつかの態様において、スライドトラックの平均間隙サイズは、デバイスの平均厚さよりも100nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm、50μm、100μm、300μm、500μm、1mm、2mm、5mm、1cmまたはこれらの数値のいずれか2つの間の範囲だけ大きい。
【0262】
いくつかの好ましい態様において、スロットの平均間隙サイズはデバイスの平均厚さよりも50μm〜300μm大きい。
【0263】
いくつかの態様において、レセプタクルスロットの受け取り区域はデバイスの面積よりも1mm
2(平方ミリメートル)以下、10mm
2以下、25mm
2以下、50mm
2以下、75mm
2以下、1cm
2(平方センチメートル)以下、2cm
2以下、3cm
2以下、4cm
2以下、5cm
2以下、10cm
2以下、100cm
2以下または2つの数値のいずれかの間の範囲だけ大きい。
【0264】
いくつかの態様において、プレートの一方またはプレートの両方の形状はレセプタクルスロットの形状と同じである。
【0265】
いくつかの態様において、QMAXデバイスは、レセプタクルスロットと完全に係合したとき、専ら部分的にレセプタクルスロットの内側に来る。プレートの一方またはプレートの両方の一部の形状はレセプタクルスロットの形状と同じである。
【0266】
(7)その他
いくつかの態様において、プレートの少なくとも1つは、幅、厚さおよび長さを有するベルト(またはストリップ)の形態にある。いくつかの態様において、幅は最大で0.1cm(センチメートル)、最大で0.5cm、最大で1cm、最大で5cm、最大で10cm、最大で50cm、最大で100cm、最大で500cm、最大で1,000cmまたはこれらの数値のいずれか2つの間の範囲である。長さは必要なだけの長さである。いくつかの態様において、ベルトはロール状に巻かれている。
【0267】
(8)ディスポーザブルカード
いくつかの態様において、開示されるQMAXカードが廉価な材料でできており、低コストで製造され、したがって、ユーザに対する経済的負担が相対的に低レベルであることが本発明の有意な利点である。
【0268】
いくつかの態様において、QMAXカードは、1回の使用ののち処分可能であるように構成されている。
【0269】
いくつかの態様において、QMAXカードは、環境に安全であるように構成され、したがって、その処分は特別な処理を要しない。1つの局面において、いくつかの態様において本明細書に提供されるベーシックなQMAXカード(プレートおよび/またはヒンジ)のための材料のいずれも、ヒトまたは環境に対して毒性または危険ではないことが知られている。もう1つの局面において、いくつかの態様におけるプレートのために設計された丸みのある角は、ユーザまたはそれらにさらされるおそれのある他の人々、たとえばゴミ収集人に対する意図されない刺し傷または切り傷を回避するのに特に有用である。そのうえ、特定の態様におけるあふれ予防機構は、プレート間に付着される生物学的および/または化学的感受性試料物質との意図されない接触またはそれへの曝露を防ぐのに有用である。
【0270】
本発明の例
デバイス
本発明の特定の態様において、組織試料を分析するためのデバイスは、第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサを含む。特定の態様において、両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができる。特定の態様において、一方または両方のプレートは可撓性である。特定の態様において、各プレートは、それぞれの内面に、染色液および/または標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料と接触するための試料接触区域を有する。特定の態様において、プレートの一方または両方は、それぞれのプレートと固定されているスペーサを含む。特定の態様において、スペーサは、実質的に均一な所定の高さおよび所定のスペーサ間距離を有する。特定の態様において、スペーサの少なくとも1つは試料接触区域内にある。特定の態様において、構成の1つは開放構成であり、開放構成では、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されず、染色液および試料がプレートの一方または両方に付着される。特定の態様において、構成のもう1つは、開放構成における染色液および試料の付着ののち形成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は2枚のプレートの間にあり、染色液の少なくとも一部の層は試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さは、プレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離は、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0271】
本発明の特定の態様において、組織試料を分析するためのデバイスは、第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサを含む。特定の態様において、両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができる。特定の態様において、一方または両方のプレートは可撓性である。特定の態様において、各プレートは、それぞれの内面に、トランスファー溶液および/または標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料と接触するための試料接触区域を有する。特定の態様において、プレートの一方または両方は、トランスファー溶液と接触するとトランスファー溶液中に溶け出して組織試料を染色するように構成されている、それぞれの試料接触区域にコートされた染色剤を含む。特定の態様において、プレートの一方または両方は、それぞれのプレートと固定されているスペーサを含む。特定の態様において、スペーサは、実質的に均一な所定の高さおよび所定のスペーサ間距離を有する。特定の態様において、スペーサの少なくとも1つは試料接触区域内にある。特定の態様において、構成の1つは開放構成であり、開放構成では、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されず、染色液および試料がプレートの一方または両方に付着される。特定の態様において、構成のもう1つは、開放構成における染色液および試料の付着ののち形成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は2枚のプレートの間にあり、トランスファー溶液の少なくとも一部の層は試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、トランスファー溶液層の少なくとも一部の厚さは、プレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離は、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0272】
方法
本発明の特定の態様において、組織試料を分析するための方法は、標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料および染色液を得る工程;第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサを得る工程;プレートが開放構成にあるとき、染色液および組織試料をプレートの一方または両方に付着させる工程;2枚のプレートを合わせ、プレートを閉鎖構成へと押圧する工程;およびプレートが閉鎖構成にあるとき標的分析対象物を分析する工程、を含む。特定の態様において、両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができる。特定の態様において、一方または両方のプレートは可撓性である。特定の態様において、各プレートは、それぞれの内面に、染色液および/または組織試料と接触するための試料接触区域を有する。特定の態様において、プレートの一方または両方は、それぞれのプレートと固定されているスペーサを含む。特定の態様において、スペーサは、実質的に均一な所定の高さおよび所定のスペーサ間距離を有する。特定の態様において、スペーサの少なくとも1つは試料接触区域内にある。特定の態様において、開放構成は、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されず、試料および染色液がプレートの一方または両方に付着される構成である。特定の態様において、押圧する工程は、少なくとも一方のプレートの区域を、同時並行的または順次に、形状適合的に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することを含み、形状適合的に押圧することは、試料の少なくとも一部上でプレートに対して実質的に均一な圧力を生成し、押圧することは、試料の少なくとも一部を両プレートの内面の間で横方向に広げる。特定の態様において、構成のもう1つは、開放構成における染色液および試料の付着ののち形成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は2枚のプレートの間にあり、染色液の少なくとも一部の層は試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さは、プレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離が、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0273】
本開示の特定の態様においては、組織試料を分析するための方法であって、標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料およびトランスファー溶液を得る工程;第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサを得る工程;プレートが開放構成にあるとき、染色液および組織試料をプレートの一方または両方に付着させる工程;2枚のプレートを合わせ、プレートを閉鎖構成へと押圧する工程;およびプレートが閉鎖構成にあるとき標的分析対象物を分析する工程、を含む、方法。特定の態様において、両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができる。特定の態様において、一方または両方のプレートは可撓性である。特定の態様において、各プレートは、それぞれの内面に、染色液および/または標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料と接触するための試料接触区域を有する。特定の態様において、プレートの一方または両方は、トランスファー溶液と接触するとトランスファー溶液中に溶け出して組織試料を染色するように構成されている、それぞれの試料接触区域にコートされた染色剤を含む。特定の態様において、プレートの一方または両方は、それぞれのプレートと固定されているスペーサを含む。特定の態様において、スペーサは、実質的に均一な所定の高さおよび所定のスペーサ間距離を有する。特定の態様において、スペーサの少なくとも1つが試料接触区域内にある。特定の態様において、開放構成は、2枚のプレートが部分的または完全に離され、2枚のプレートの間隔がスペーサによって調節されず、試料および染色液がプレートの一方または両方に付着される構成である。特定の態様において、押圧する工程は、少なくとも一方のプレートの区域を、同時並行的または順次に、形状適合的に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することを含み、形状適合的に押圧することは、試料の少なくとも一部上でプレートに対して実質的に均一な圧力を生成し、押圧することは、試料の少なくとも一部を両プレートの内面の間で横方向に広げる。特定の態様において、構成のもう1つは、開放構成における染色液および試料の付着ののち形成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は2枚のプレートの間にあり、染色液の少なくとも一部の層は試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さは、プレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離は、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0274】
本発明の特定の態様において、組織試料を分析するための方法は、標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料およびトランスファー溶液を得る工程;第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサを得る工程;プレートが開放構成にあるとき、染色液および組織試料をプレートの一方または両方に付着させる工程;2枚のプレートを合わせ、プレートを閉鎖構成へと押圧する工程;およびプレートが閉鎖構成にあるとき、洗浄することなく、標的分析対象物を分析する工程、を含む。特定の態様において、両プレートは、互いに対し、異なる構成へと動くことができる。特定の態様において、一方または両方のプレートは可撓性である。特定の態様において、各プレートは、それぞれの内面に、染色液および/または標的分析対象物を含有することが疑われる組織試料と接触するための試料接触区域を有する。特定の態様において、プレートの一方または両方は、トランスファー溶液と接触するとトランスファー溶液中に溶け出して組織試料を染色するように構成されている、それぞれの試料接触区域にコートされた染色剤を含む。特定の態様において、プレートの一方または両方は、それぞれのプレートと固定されているスペーサを含む。特定の態様において、スペーサは、実質的に均一な所定の高さおよび所定のスペーサ間距離を有する。特定の態様において、スペーサの少なくとも1つは試料接触区域内にある。特定の態様において、開放構成は、2枚のプレートが部分的または完全に離され、2枚のプレートの間隔がスペーサによって調節されず、試料および染色液がプレートの一方または両方に付着される構成である。特定の態様において、押圧する工程は、少なくとも一方のプレートの区域を、同時並行的または順次に、形状適合的に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することを含み、形状適合的に押圧することは、試料の少なくとも一部上でプレートに対して実質的に均一な圧力を生成し、押圧することは、試料の少なくとも一部を両プレートの内面の間で横方向に広げる。特定の態様において、構成のもう1つは、開放構成における染色液および試料の付着ののち形成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は2枚のプレートの間にあり、染色液の少なくとも一部の層は試料の少なくとも一部と第2のプレートとの間にあり、染色液層の少なくとも一部の厚さは、プレート、試料およびスペーサによって調節され、試料表面と第2のプレートの表面との間の平均距離は、わずかな変動はあるが250μm以下である。
【0275】
システム
本発明の特定の態様において、組織試料を分析するためのシステムは、任意の前記態様のデバイス、および均一な厚さの層中の分析対象物のシグナルを検出する検出器を含む。
【0276】
スマートフォンシステム
本発明の特定の態様において、高速ホモジニアスアッセイのためのスマートフォンシステムは、任意の前記態様のデバイスと、モバイル通信デバイスとを含む。特定の態様において、モバイル通信デバイスは、試料を検出および/または画像化するための1つまたは複数のカメラと、検出されたシグナルおよび/または試料の画像を受信および/または処理し、遠隔通信するための電子部品、シグナルプロセッサ、ハードウェアおよびソフトウェアと、閉鎖構成にあるデバイスを収容し、モバイル通信デバイスと係合可能であるように構成されているアダプタとを含む。特定の態様において、アダプタは、モバイル通信デバイスと係合すると、閉鎖構成において試料中の分析対象物の検出および/または画像化を容易にするように構成されている。
【0277】
特定の態様において、プレートの一方または両方は、開放構成において試料をその上で乾燥させることができるように構成されることができ、試料は、羊水、眼房水、硝子体液、血液(たとえば全血、分画された血液、血漿または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される体液を含む。
【0278】
特定の態様において、染色液は0.1〜3.5mPa Sの範囲の粘度を有することができる。
【0279】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、開放構成において試料をその上で乾燥させることができるように構成されることができ、試料は、一方または両方のプレート上で乾燥させる血液スメアを含む。
【0280】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は試料に対して接着性であり得、試料は、1μm〜200μmの範囲の厚さを有する組織切片である。
【0281】
特定の態様において、試料はパラフィン包埋されていることができる。
【0282】
特定の態様において、試料は固定されていることができる。
【0283】
特定の態様において、染色液は、試料を固定することができる固定剤を含むことができる。
【0284】
特定の態様において、染色液はブロッキング剤を含むことができ、試料中の非特異的内在性種が、標的分析対象物を特異的に標識するために使用される検出剤と反応できないように、ブロッキング剤は構成されている。
【0285】
特定の態様において、染色液は、試料中のパラフィンを除去することができる脱パラフィン剤を含むことができる。
【0286】
特定の態様において、染色液は、標的分析対象物を含有する組織試料中の細胞を浸透化することができる浸透化剤を含むことができる。
【0287】
特定の態様において、染色液は、抗原の賦活化を促進することができる抗原賦活化剤を含むことができる。
【0288】
特定の態様において、染色液は、試料中の標的分析対象物を特異的に標識する検出剤を含むことができる。
【0289】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、ブロッキング剤を含む貯蔵部位を含むことができ、試料中の非特異的内在性種が、標的分析対象物を特異的に標識するために使用される検出剤と反応できないように、ブロッキング剤は構成されている。
【0290】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、試料中のパラフィンを除去することができる脱パラフィン剤を含む貯蔵部位を含む。
【0291】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、標的分析対象物を含有する組織試料中の細胞を浸透化することができる浸透化剤を含む貯蔵部位を含むことができる。
【0292】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、抗原の賦活化を促進することができる抗原賦活化剤を含む貯蔵部位を含むことができる。
【0293】
一方または両方のプレートの試料接触区域は、試料中の標的分析対象物を特異的に標識する検出剤を含む貯蔵部位を含む。
【0294】
特定の態様において、検出剤は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、アニリンブルーWS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴレッド、C.I.クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エオシンB、エオシンY、エリスロシン、エチルエオシン、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染料、ヘマトキシリン、ヘマトキシリン&エオシン、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染料1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マルチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット、(ベルントゼン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッド、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニン、レサズリン、ローズベンガル、サフラニンO、スーダンブラックB、スーダンIII、スーダンIV、テトラクロム染料(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト、ライト染料およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される染料のための色素を含む。
【0295】
特定の態様において、プレートの一方または両方はさらに、それぞれの試料接触区域に、ヨウ化プロピジウム、7−AAD、トリパンブルー、カルセインバイオレットAM、カルセインAM、固定可能な生死判別色素、SYTO9および他の核酸色素、レサズリンおよびホルマザン(MTT/XTT)および他のミトコンドリア色素ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される細胞生死判別色素を含むことができる。
【0296】
特定の態様において、検出剤は、試料中のタンパク質分析対象物に特異的に結合するように構成された抗体を含む。
【0297】
特定の態様において、検出剤は、試料中のDNAおよび/またはRNAに特異的に結合するように構成されたオリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。
【0298】
特定の態様において、検出剤はレポータ分子で標識されており、レポータ分子は、読み取られて分析される検出可能なシグナルを提供するように構成されている。
【0299】
特定の態様において、シグナルは、フォトルミネセンス、エレクトロルミネセンスおよびエレクトロケミルミネセンスから選択されるルミネセンス、光の吸収、反射、透過、回折、散乱または拡散、表面ラマン散乱、抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスから選択される電気インピーダンス、磁気緩和能ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択されることができる。
【0300】
特定の態様において、一方または両方のプレートの試料接触区域は、捕捉剤を含む結合部位を含むことができ、捕捉剤は、試料中の細胞の表面上の標的分析対象物に結合し、細胞を固定化するように構成されている。
【0301】
特定の態様において、付着させる工程(c)は、試料をプレートの一方または両方に付着させ、乾燥させたのち、乾燥した試料の上に染色液の残りを付着させることを含むことができ、試料は、一方または両方のプレート上で乾燥させる血液スメアを含む。
【0302】
特定の態様において、付着させる工程(c)は、試料をプレートの一方または両方に付着させたのち、試料の上に染色液を付着させることを含むことができ、一方または両方のプレートの試料接触区域は試料に対して接着性であり、試料は、1μm〜200μmの範囲の厚さを有する組織切片である。
【0303】
特定の態様において、工程(e)の前に、方法は、閉鎖構成で、検出剤が均一な厚さの層および試料にわたって拡散するために要する時間よりも長い期間、試料をインキュベートする工程を含むことができる。
【0304】
特定の態様において、工程(e)の前に、方法はさらに、閉鎖構成で、30〜75℃の範囲の所定の温度で試料をインキュベートする工程を含むことができる。
【0305】
特定の態様において、染色液はトランスファー溶液を含むことができる。
【0306】
特定の態様において、モバイル通信デバイスは、検査結果を医療専門家、医療施設または保険会社へ通信するように構成されることができる。
【0307】
特定の態様において、モバイル通信デバイスはさらに、対象に関する情報を医療専門家、医療施設または保険会社と通信するように構成されることができる。
【0308】
特定の態様において、モバイル通信デバイスは、医療専門家から処方箋、診断または推薦状を受け取るように構成されることができる。
【0309】
特定の態様において、モバイル通信デバイスはWi−Fiまたはセルラーネットワークを介して遠隔地と通信することができる。
【0310】
特定の態様において、モバイル通信デバイスは携帯電話であることができる。
【0311】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、押圧することはヒトの手によることができる。
【0312】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、一方のプレートまたは両方のプレートの内面の少なくとも一部分が親水性であることができる。
【0313】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、スペーサ間距離は周期的であることができる。
【0314】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、試料は、いかなる移送デバイスも使用することなく直接、対象からプレートに付着されることができる。
【0315】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、閉鎖構成における試料変形ののち、圧縮力のいくらかまたはすべてが解除されたとき、試料は同じ最終試料厚さを維持する。
【0316】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、スペーサはピラー形状およびほぼ均一な断面を有する。
【0317】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、スペーサ間距離(ISD)は、約120μm(マイクロメートル)以下であることができる。
【0318】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、スペーサ間距離(ISD)は、約100μm(マイクロメートル)以下である。
【0319】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD
4/(hE))は、5×10
6μm
3/GPa以下である。
【0320】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD
4/(hE))は、5×10
5μm
3/GPa以下である。
【0321】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、スペーサは、ピラー形状と、実質的に平坦な上面と、実質的に均一な所定の高さと、分析対象物のサイズの少なくとも約2倍の大きさである所定の不変的なスペーサ間距離とを有し、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じたものは2MPa以上であり、充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比率であり、スペーサごとに、スペーサの高さに対するスペーサの横方向寸法の比率は少なくとも1であることができる。
【0322】
特定の態様において、2枚のプレートおよびスペーサを含むデバイスにおいて、スペーサは、ピラー形状と、実質的に平坦な上面と、実質的に均一な所定の高さと、分析対象物のサイズの少なくとも約2倍の大きさである所定の不変的なスペーサ間距離とを含み、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じたものは2MPa以上であり、充填率は、全プレート面積に対するスペーサ接触面積の比率であり、スペーサごとに、スペーサの高さに対するスペーサの横方向寸法の比率は少なくとも1であり、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD
4/(hE))は、5×10
6μm
3/GPa以下であることができる。
【0323】
特定の態様において、スペーサの平均幅に対するスペーサのスペーサ間距離の比率は2以上であることができ、スペーサの充填率にスペーサのヤング率を乗じたものは2MPa以上であることができる。
【0324】
特定の態様において、分析対象物はタンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物および無機化合物の5検出における分析対象物であることができる。
【0325】
特定の態様において、試料は、羊水、眼房水、硝子体液、血液(たとえば全血、分画された血液、血漿または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物および尿から選択される生物学的試料であることができる。
【0326】
特定の態様において、スペーサはピラーの形状を有することができ、ピラーの高さに対する幅の比率は1以上であることができる。
【0327】
特定の態様において、プレートの一方または両方に付着される試料は未知の量を有することができる。
【0328】
特定の態様において、スペーサはピラーの形状を有することができ、ピラーは実質的に均一な断面を有することができる。
【0329】
特定の態様において、試料は、特定の疾患の病期と相関する化合物または生体分子の検出、精製および定量化のための試料であることができる。
【0330】
特定の態様において、試料は、感染症および寄生虫症、外傷、心血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、肺疾患、腎疾患および他の器質性疾患に関連することができる。
【0331】
特定の態様において、試料は微生物の検出、精製および定量化に関連することができる。
【0332】
特定の態様において、試料は環境、たとえば水、土壌または生物学的試料からのウイルス、真菌および細菌に関連することができる。
【0333】
特定の態様において、試料は、食品安全性または国家安全保障に対して危険を呈する化合物または生物学的試料、たとえば有毒廃棄物、炭疽菌の検出、定量化に関連する。
【0334】
特定の態様において、試料は、医学的または生理学的モニターにおけるバイタルパラメータの定量化に関連する。
【0335】
特定の態様において、試料はグルコース、血液、酸素レベル、全血球数に関連する。
【0336】
特定の態様において、試料は、生体試料からの特定のDNAまたはRNAの検出および定量化に関連する。
【0337】
特定の態様において、試料は、ゲノム解析のための染色体およびミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定および比較に関連する。
【0338】
特定の態様において、試料は、たとえば医薬品の合成または精製中の反応生成物の検出に関連する。
【0339】
特定の態様において、試料は細胞、組織、体液および糞便である。
【0340】
特定の態様において、試料は、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、無機化合物の検出における試料である。
【0341】
特定の態様において、試料は、ヒト、獣医学、農業、食品、環境および薬物検査の分野における試料である。
【0342】
特定の態様において、試料は、血液、血清、血漿、鼻腔ぬぐい液、鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙液、糞便、粘液、汗、耳垢(earwax)、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織に由来する間質液、眼液、脊髄液、咽頭ぬぐい液、息、毛髪、爪、皮膚、生検組織、胎盤液、羊水、臍帯血、リンパ液、腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳、呼気凝縮液、鼻咽頭洗浄液、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、糞便試料、毛髪、爪、耳垢(earwax)、息、結合組織、筋組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料または骨から選択される生物学的試料である。
【0343】
高い均一性を有するデバイスおよびアッセイ
試料粘度
本発明において、操作および/または分析される試料は、様々な範囲の粘度を有することができる。例えば、典型的な粘度範囲は、水の場合、10〜100℃で1.31〜0.28(mPa s);PBSバッファーの場合、19〜37℃で1.05〜0.70(mPa s);血漿の場合、17〜45℃で2.4〜1.45(mPa s);全血の場合、35〜42℃で2.87〜2.35(mPa s);およびメタノールの場合、0〜100℃で0.797〜0.227(mPa s)である。いくつかの実施形態では、試料は、0.1〜4(mPa s)の粘度を有する。いくつかの実施形態では、試料は、4〜50(mPa s)の粘度を有する。好ましい実施形態では、試料は、0.5〜3.5(mPa s)の粘度を有する。
【0344】
柱状スペーサの平坦な上部
本発明のある特定の実施形態では、スペーサは、1つのプレート上に固定された平坦な上部および脚部を有する柱であり、平坦な上部は、小さな表面変動を伴う滑らかさを有し、変動は、5、10nm、20nm、30nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、1000nm未満、または任意の2つの値の間の範囲内である。好ましい平坦な柱上部の滑らかさは、50nm以下の表面変動である。
【0345】
さらに、表面変動は、スペーサの高さに対して相対的であり、柱の平坦な上面変動とスペーサの高さとの比率は、0.5%、1%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、30%、40%未満、またはこれら値のうちのいずれか2つの間の範囲内である。好ましい平坦な柱上部の平滑度は、2%、5%、または10%未満である、柱の平らな上面変動とスペーサの高さとの比率を有する。
【0346】
柱状スペーサの側壁角度
本発明のある特定の実施形態では、スペーサは側壁角度を有する柱である。いくつかの実施形態では、側壁角度は、5度(表面の法線から測定)、10度、20度、30度、40度、50度、70度未満、または任意の2つの値の間の範囲内である。好ましい実施形態では、側壁角度は、5度、10度、または20度未満である。
【0347】
不正確な押圧力による均一な薄い流体層の形成
本発明のある特定の実施形態では、不正確な力による押圧を使用することにより、均一な薄い流体試料層が形成される。詳細を追加せずに不正確な押圧力の定義を追加しない「不正確な押圧力」という用語。本明細書で使用される場合、力の文脈における「不正確な」という用語(例えば、「不正確な押圧力」)は、
(a)力が加えられた時点で正確に知られていないか、または正確に予測できない大きさを有し、(b)0.01kg/cm
2(平方センチメートル)〜100kg/cm
2の範囲内の圧力を有し、(c)力の1つの適用から次の適用で大きさが変動し、(d)(a)および(c)の力の不正確さ(すなわち、変動)は、実際に加えられる力の合計の少なくとも20%である、力を指す。
【0348】
不正確な力は、例えば、親指と人差し指の間で物体をつまむことによって、または親指と人差し指の間で物体をつまんだり擦ったりすることによって、ヒトの手によって加えることができる。
【0349】
いくつかの実施形態では、手押圧による不正確な力は、0.01kg/cm2、0.1kg/cm2、0.5kg/cm2、1kg/cm2、2kg/cm2、kg/cm2、5kg/cm2、10kg/cm2、20kg/cm2、30kg/cm2、40kg/cm2、50kg/cm2、60kg/cm2、100kg/cm2、150kg/cm2、200kg/cm2、またはいずれの2つの値間の範囲;および0.1kg/cm2〜0.5kg/cm2、0.5kg/cm2〜1kg/cm2、1kg/cm2〜5kg/cm2、5kg/cm2〜10kg/cm2(圧力)の好ましい範囲の圧力を有する。
【0350】
スペーサ充填率
「スペーサ充填率」または「充填率」という用語は、スペーサの接触面積と全プレート面積との比率を指し、スペーサの接触面積は、閉鎖構成で、スペーサの上面がプレートの内面に接触する接触範囲を指し、全プレート面積は、スペーサの平坦な上部が接触するプレートの内面の全面積を指す。2つのプレートが存在し、各スペーサが、各々が1つのプレートに接触する2つの接触表面を有するため、充填率は、最小の充填率である。
【0351】
例えば、スペーサが正方形(10μm×10μm)の平坦な上部、ほぼ均一な断面、および2μmの高さを有する柱であり、スペーサが100μmの周期で周期的である場合、スペーサの充填率は、1%である。上記の例で、柱状スペーサの脚部が15μm×15μmの正方形である場合、充填率は、定義によって1%のままである。
【0352】
IDS
4/hE
押圧することによって均一な所定の厚さの薄い流体試料層を形成するためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、を備え、
i.プレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.一方または両方のプレートが可撓性であり、
iii.プレートの各々が、流体試料と接触するための試料接触区域を有する内表面を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを一緒に押し付ける押圧力を加えるための力区域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面上に恒久的に固定されているスペーサを含み、
vi.スペーサが、200ミクロン以下の所定の実質的に均一な高さ、および所定の固定スペーサ間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6μm
3/GPa以下であり、
viii.スペーサの少なくとも1つが、試料接触区域内にあり、
構成のうちの1つが開放構成であり、開放構成において、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔は、スペーサによって調節されず、試料は、プレートの一方または両方に付着し、
構成の別の構成は、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、プレートは、力区域に押圧力を加えることによって閉鎖構成へと押し付けられ、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層に圧縮され、プレートに対して実質的に停滞し、層の均一な厚さは、2つのプレートの試料接触区域によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、デバイス。
【0353】
押圧することによって均一な所定の厚さの薄い流体試料層を形成する方法であって、
(a)任意の前記実施形態に記載のデバイスを取得するステップと、
(b)プレートの一方または両方に流体試料を付着させるステップであって、プレートが開放構成において構成されている場合、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔がスペーサによって調節されていない構成である、付着させるステップと、
(c)(b)の後、試料の少なくとも一部が2つのプレートによって実質的に均一な厚さの層に圧縮される閉鎖構成で2つのプレートを押し付けるステップであって、層の均一な厚さが、プレートの試料接触区域によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、押し付けるステップと、を含む、方法。
【0354】
流体試料を分析するためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、を備え、
i.プレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.一方または両方のプレートが可撓性であり、
iii.プレートの各々が、そのそれぞれの内表面上に、流体試料と接触するための試料接触区域を有し、
iv.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面上に固定されているスペーサを含み、
v.スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、スペーサ間距離が事前に決定されており、
vi.スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも2MPaであり、
vii.スペーサの少なくとも1つが、試料接触区域内にあり、
構成のうちの1つが開放構成であり、開放構成において、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔は、スペーサによって調節されず、試料は、プレートの一方または両方に付着し、
構成の別の構成は、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層に圧縮され、層の均一な厚さは、プレートの試料接触表面によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、デバイス。
【0355】
押圧することによって均一な所定の厚さの薄い流体試料層を形成する方法であって、
(a)任意の前記実施形態に記載のデバイスを取得するステップと、
(b)プレートの一方または両方に流体試料を付着させるステップであって、プレートが開放構成において構成されている場合、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔がスペーサによって調節されていない構成である、付着させるステップと、
(c)(b)の後、試料の少なくとも一部が2つのプレートによって実質的に均一な厚さの層に圧縮される閉鎖構成で2つのプレートを押し付けるステップであって、層の均一な厚さが、プレートの試料接触区域によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、押し付けるステップと、を含む、方法。
【0356】
流体試料を分析するためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、を備え、
i.プレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.一方または両方のプレートが可撓性であり、
iii.プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、分析物を含む試料と接触するための試料接触区域を有し、
iv.プレートの一方または両方が、試料接触区域内のプレートに恒久的に固定されるスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、および分析物のサイズの少なくとも約2倍大きく、最大200μmである所定の固定スペーサ間距離を有し、スペーサの少なくとも1つが、試料接触区域内にあり、
構成のうちの1つが開放構成であり、開放構成において、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサによって調節されず、試料が、プレートの一方または両方に付着し、
構成の別の構成は、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層に圧縮され、層の均一な厚さは、プレートの試料接触表面によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、デバイス。
【0357】
押圧することによって均一な所定の厚さの薄い流体試料層を形成する方法であって、
(a)任意の前記実施形態に記載のデバイスを取得するステップと、
(b)プレートの一方または両方に流体試料を付着させるステップであって、プレートが開放構成において構成されている場合、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔がスペーサによって調節されていない構成である、付着させるステップと、
(c)(b)の後、試料の少なくとも一部が2つのプレートによって実質的に均一な厚さの層に圧縮される閉鎖構成で2つのプレートを押し付けるステップであって、層の均一な厚さが、プレートの試料接触区域によって制限され、プレートおよびスペーサによって調節される、押し付けるステップと、を含む、方法。
【0358】
押圧することによって均一な所定の厚さの薄い流体試料層を形成するためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、を備え、
i.プレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.一方または両方のプレートが可撓性であり、
iii.プレートの各々が、そのそれぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/またはそれを圧縮するための試料接触区域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを一緒に押し付ける力を加えるための区域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面上に恒久的に固定されているスペーサを含み、
vi.スペーサが、200ミクロン以下の所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定の固定スペーサ間距離を有し、
vii.スペーサ間距離とスペーサ幅との比率が、1.5以上であり、
viii.スペーサの少なくとも1つが、試料接触区域内にあり、
構成のうちの1つが開放構成であり、開放構成において、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔は、スペーサによって調節されず、試料は、プレートの一方または両方に付着し、
構成の別の構成は、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成において、試料の少なくとも一部は、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層に圧縮され、プレートに対して実質的に停滞し、層の均一な厚さは、2つのプレートの試料接触区域によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、デバイス。
【0359】
不正確な押圧力で押圧することによって均一な所定の厚さの薄い流体試料層を形成する方法であって、
(a)任意の前記実施形態に記載のデバイスを取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、プレートが開放構成において構成されている場合、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に離され、プレート間の間隔がスペーサによって調節されていない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、試料の少なくとも一部が2つのプレートによって実質的に均一な厚さの層に圧縮される閉鎖構成で2つのプレートを押し付けるステップであって、層の均一な厚さが、プレートの試料接触区域によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される、押し付けるステップと、を含む、方法。
【0360】
スペーサが、プレートの一方に固定された脚部および他方のプレートに接触するための平坦な上面を備えた柱形状を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0361】
スペーサが、プレートの一方に固定された脚部、他方のプレートに接触するための平坦な上面、実質的に均一な断面を備えた柱形状を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0362】
スペーサが、プレートの一方に固定された脚部および他方のプレートに接触するための平坦な上面を備えた柱形状を有し、柱の平坦な上面が、10nm未満の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0363】
スペーサが、プレートの一方に固定された脚部および他方のプレートに接触するための平坦な上面を備えた柱形状を有し、柱の平坦な上面が、50nm未満の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0364】
スペーサが、プレートの一方に固定された脚部および他方のプレートに接触するための平坦な上面を備えた柱形状を有し、柱の平坦な上面が、50nm未満の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0365】
スペーサが、プレートの一方に固定された脚部および他方のプレートに接触するための平坦な上面を備えた柱形状を有し、柱の平坦な上面が、10nm、20nm、30nm、100nm、200nm未満、またはいずれの2つの値間の範囲内の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0366】
スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも2MPaである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0367】
試料が分析物を含み、所定の一定のスペーサ間距離が、分析物のサイズより少なくとも約2倍大きく、最大200μmである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0368】
試料が分析物を含み、所定の一定のスペーサ間距離が、分析物のサイズより少なくとも約2倍大きく、最大200μmであり、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも2MPaである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0369】
可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0370】
可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、1×10
6μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0371】
可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
5μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0372】
スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも2MPaであり、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、1×10
5μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0373】
スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも2MPaであり、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、1×10
4μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0374】
スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも20MPaである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0375】
スペーサの間隔間距離とスペーサの平均幅との比率が2以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0376】
スペーサの間隔間距離とスペーサの平均幅との比率が2以上であり、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じた値が、少なくとも2MPaである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0377】
最大200μmの分析物のサイズより少なくとも約2倍大きいスペーサ間距離である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0378】
スペーサ間距離とスペーサ幅との比率が1.5以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0379】
スペーサの幅と高さとの比率が1以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0380】
スペーサの幅と高さとの比率が1.5以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0381】
スペーサの幅と高さとの比率が2以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0382】
スペーサの幅と高さとの比率が、2、3、5、10、20、30、50より大きいか、またはいずれの2つの値間の範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0383】
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、不正確な押圧力である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0384】
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不正確な押圧力である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0385】
試料の少なくとも一部を実質的に均一な厚さの層に圧縮するため2つのプレートを押し付けることが、
並行または順次のいずれかで、プレートのうちの少なくとも1つの区域を形状適合的に押圧し、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧すること
を含み、形状適合的に押圧することは、試料の少なくとも一部にわたってプレートに実質的に均一な圧力を発生させ、押圧することは、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触表面間で横方向に広げ、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層におけるプレート間の間隔がスペーサによって調節される構成であり、試料の低減された厚さが、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間を低減させる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0386】
押圧力が、力が加えられた時点で、(a)未知で予測不可能、または(b)知ることができない、のいずれかであり、加えられる平均押圧力の20%以上の精度内で予測不可能である大きさを有する不正確な力である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0387】
押圧力が、力が加えられた時点で、(a)未知で予測不可能、または(b)知ることができない、のいずれかであり、加えられる平均押圧力の30%以上の精度内で予測不可能である大きさを有する不正確な力である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0388】
押圧力が、力が加えられた時点で、(a)未知で予測不可能、または(b)知ることができない、のいずれかであり、加えられる平均押圧力の30%以上の精度内で予測不可能である大きさを有する不正確な力であり、非常に均一な厚さの層が、20%以下の厚さの均一で変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0389】
押圧力が、力が加えられた時点で、30%、40%、50%、70%、100%、200%、300%、500%、1000%、2000%以上、または2つの値のうちのいずれかの間の範囲内の精度内で決定することができない大きさを有する不正確な力である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0390】
可撓性プレートが、10μm〜200μmの範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0391】
可撓性プレートが、20μm〜100μmの範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0392】
可撓性プレートが、25μm〜180μmの範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0393】
可撓性プレートが、200μm〜260μmの範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0394】
可撓性プレートが、250μm、225μm、200μm、175μm、150μm、125μm、100μm、75μm、50μm、25μm、10μm、5μm、1μm以下、またはいずれの2つの値間の範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0395】
試料が、0.1〜4(mPa s)の範囲内の粘度を有する、先行する方法のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0396】
可撓性プレートが、200μm〜260μmの範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0397】
可撓性プレートが、20μm〜200μmの範囲内の厚さおよび0.1〜5GPaの範囲内のヤング率を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0398】
ステップ(b)の試料付着が、いかなる移送デバイスも使用しない、対象からプレートへの直接的な付着である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0399】
ステップ(b)の付着中、プレートに付着した試料の量は未知である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0400】
方法が、試料を分析する分析ステップ(e)をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0401】
分析ステップ(e)が、適切な試料体積の横方向の面積を測定し、横方向の面積および所定のスペーサの高さから体積を計算することによって、適切な試料体積の体積を計算することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0402】
分析ステップ(e)が、
i.イメージング、フォトルミネセンス、エレクトロルミネセンス、および電気化学ルミネセンスから選択されるルミネセンス、
iii.表面ラマン散乱、
iv.抵抗、静電容量、およびインダクタンスから選択される電気インピーダンス、または
v.i〜ivの任意の組み合わせ
を測定することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0403】
分析ステップ(e)が、分析物の読み取り、画像分析、もしくは計数、またはそれらの組み合わせを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0404】
試料が、1つまたは複数の分析物を含み、一方または両方のプレート試料接触表面が、それぞれの分析物をそれぞれ結合および固定化する1つまたは複数の結合部位を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0405】
一方または両方のプレート試料接触表面が、試薬をそれぞれ貯蔵する1つまたは複数の貯蔵部位を含み、試薬が、ステップ(c)の間または後に試料内で溶解および拡散する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0406】
一方または両方のプレート試料接触表面が、分析物または標識が増幅部位から500nm以内にある場合、分析物または分析物の標識からの信号をそれぞれ増幅することができる1つまたは複数の増幅部位を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0407】
i.一方もしくは両方のプレート試料接触表面が、それぞれの分析物をそれぞれ結合および固定化する1つまたは複数の結合部位を含むか、あるいは
ii.一方もしくは両方のプレート試料接触表面が、試薬をそれぞれ貯蔵する1つまたは複数の貯蔵部位を含み、試薬(複数可)が、ステップ(c)の間または後に試料内で溶解および拡散し、試料が1つまたは複数の分析物を含むか、あるいは
iii.分析物または標識が増幅部位から500nm以内にある場合、分析物または分析物の標識からの信号をそれぞれ増幅することができる1つまたは複数の増幅部位、あるいは
iv.i〜iiiの任意の組み合わせである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0408】
液体試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、画分血液、血漿、または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳液、チャイム、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮物、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、および尿から選択される生体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0409】
閉鎖構成における均一な厚さの層が150μm未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0410】
押圧することが、加圧液体、加圧ガス、または適合可能な材料によって提供される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0411】
分析することが、均一な厚さの層における細胞を計数することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0412】
分析することが、均一な厚さの層においてアッセイを実行することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【0413】
アッセイが、結合アッセイまたは生化学アッセイである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0414】
付着した試料が、0.5μL未満の総体積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0415】
数滴の試料が、プレートの一方または両方に付着する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0416】
スペーサ間距離が、1μm〜120μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0417】
スペーサ間距離が、120μm〜50μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0418】
スペーサ間距離が、120μm〜200μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0419】
可撓性プレートが、20um〜250umの範囲内の厚さおよび0.1〜5GPaの範囲内のヤング率を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0420】
可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗じたものが、60〜750GPa−umの範囲内である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0421】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも1mm
2である横方向の面積にわたって均一である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0422】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも3mm
2である横方向の面積にわたって均一である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0423】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも5mm
2である横方向の面積にわたって均一である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0424】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも10mm
2である横方向の面積にわたって均一である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0425】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも20mm
2である横方向の面積にわたって均一である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0426】
均一な厚さの試料の層が、20mm
2〜100mm
2の範囲内である横方向の面積にわたって均一である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0427】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−5%以上の厚さの均一性を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0428】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−10%以上の厚さの均一性を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0429】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−20%以上の厚さの均一性を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0430】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−30%以上の厚さの均一性を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0431】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−40%以上の厚さの均一性を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0432】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−50%以上の厚さの均一性を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0433】
スペーサが、円形、多角形、円形、正方形、長方形、楕円形、長円形、またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0434】
スペーサが柱形状を有し、実質的に平坦な上面を有し、実質的に均一な断面を有し、各スペーサについて、スペーサの横方向寸法とその高さとの比率が少なくとも1である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0435】
スペーサ間距離が周期的である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0436】
スペーサが、1%以上の充填率を有し、充填率が、スペーサの接触面積と、全プレート面積との比率である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0437】
スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じたものが、20MPa以上であり、充填率が、スペーサの接触面積と、全プレート面積との比率である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0438】
閉鎖構成での2つのプレート間の間隔が、200μm未満である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0439】
閉鎖構成での2つのプレート間の間隔が、1.8μm〜3.5μmから選択される値である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0440】
間隔が、プレートを直接エンボス加工するか、またはプレートを射出成形することによってプレートに固定される、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0441】
プレートおよびスペーサの材料が、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP、または別のプラスチックから選択される、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0442】
スペーサが柱形状を有し、スペーサの側壁角が少なくとも1μmの曲率半径を有する丸い形状を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0443】
スペーサが少なくとも1000/mm
2の密度を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0444】
プレートのうちの少なくとも1つが透明である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0445】
スペーサの作製するために使用される金型が、(a)直接反応性イオンエッチングもしくはイオンビームエッチング、または(b)反応性イオンエッチングもしくはイオンビームエッチングの特徴の複製または複数の複製のいずれかによって製造される特徴を含む金型によって製造される、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0446】
充填率が1%〜5%の範囲になるようにスペーサが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0447】
表面変動が、スペーサの高さに対して相対的であり、柱の平坦な上面変動とスペーサの高さとの比率が、0.5%、1%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、30%、40%未満、または任意の2つの値の間の範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。好ましい平坦な柱上部の平滑度は、2%、5%、または10%未満である柱の平らな上面変動とのスペーサの高さとの比率を有する。
【0448】
充填率が1%〜5%の範囲になるようにスペーサが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0449】
充填率が5%〜10%の範囲になるようにスペーサが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0450】
充填率が10%〜20%の範囲になるようにスペーサが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0451】
充填率が20%〜30%の範囲になるようにスペーサが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0452】
スペーサが、充填率が5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはいずれの2つの値間の範囲内になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0453】
スペーサが、充填率が50%、60%、70%、80%、またはいずれの2つの値間の範囲内になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0454】
スペーサが、充填率にスペーサのヤング率を乗じた値が2MPa〜10MPaの範囲になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0455】
スペーサが、充填率にスペーサのヤング率を乗じた値が10MPa〜20MPaの範囲になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0456】
スペーサが、充填率にスペーサのヤング率を乗じた値が20MPa〜40MPaの範囲になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0457】
スペーサが、充填率にスペーサのヤング率を乗じた値が40MPa〜80MPaの範囲になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0458】
スペーサが、充填率にスペーサのヤング率を乗じた値が80MPa〜120MPaの範囲になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0459】
スペーサが、充填率にスペーサのヤング率を乗じた値が120MPa〜150MPaの範囲になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0460】
デバイスが、一方または両方のプレート上にコーティングされた乾燥試薬をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0461】
デバイスが、一方または両方のプレート上に、所定の面積を有する乾燥結合部位をさらに含み、乾燥結合部位が、試料中の分析物に結合し、固定化する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0462】
デバイスが、一方または両方のプレート上に、放出可能な乾燥試薬、および放出可能な乾燥試薬が試料中に放出される時間を遅延させる放出時間制御材料をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0463】
放出時間制御材料が、乾燥試薬が試料中に放出される時間を少なくとも3秒遅らせる、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0464】
試薬が、抗凝固剤および/または染色試薬(複数可)を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0465】
試薬が細胞溶解試薬(複数可)を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0466】
デバイスが、一方または両方のプレート上に、1つもしくは複数の乾燥結合部位および/または1つもしくは複数の試薬部位をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0467】
分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、または他の分子)、細胞、組織、ウイルス、および様々な形状のナノ粒子を含む、先行するデバイス実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0468】
分析物が、白血球、赤血球、および血小板を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0469】
分析物が、染色されている、先行するデバイス実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0470】
均一な厚さの層を調節するスペーサが、少なくとも1%の充填率を有し、充填率が、均一な厚さの層に接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層に接触する全プレート面積との比率である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0471】
均一な厚さの層を調節するスペーサに関して、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗じたものが、10MPa以上であり、充填率が、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する全プレート面積との比率である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0472】
可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗じたものが、60〜750GPa−μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0473】
可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さ(h)および可撓性プレートのヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗、ISD
4/(hE)が、10
6μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0474】
プレートの一方または両方が、プレートの位置の情報を提供するプレートの表面上または内側のいずれかに位置マーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0475】
一方または両方のプレートが、試料および/またはプレートの構造の横方向寸法の情報を提供するプレートの表面上または内側のいずれかにスケールマーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0476】
一方または両方のプレートが、試料の撮像を補助するプレートの表面上または内側に撮像マーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0477】
スペーサが、位置マーカー、スケールマーカー、撮像マーカー、またはそれらの任意の組み合わせとして機能する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0478】
均一な厚さの層の平均厚さが、試料中の分析物の最小寸法にほぼ等しい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0479】
スペーサ間距離が、7μm〜50μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0480】
スペーサ間距離が、50μm〜120μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0481】
スペーサ間距離が、120μm〜200μm(ミクロン)の範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0482】
スペーサ間距離が実質的に周期的である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0483】
スペーサが、円形、多角形、円形、正方形、長方形、楕円形、長円形、またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0484】
スペーサが柱形状を有し、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、スペーサの横方向寸法とその高さとの比率が少なくとも1である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0485】
各スペーサが、
少なくとも1である、スペーサの横方向寸法とその高さとの比率
を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0486】
スペーサの最小横方向寸法が、試料中の分析物の最小寸法未満またはそれと実質的に等しい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0487】
スペーサの最小横方向寸法が0.5μm〜100μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0488】
スペーサの最小横方向寸法が0.5μm〜10μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0489】
試料が血液である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0490】
試料が、液体による希釈のない全血である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0491】
試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、画分血液、血漿、または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳液、チャイム、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮物、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、および尿から選択される生体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0492】
試料が、生物学的試料、環境試料、化学試料、または臨床試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0493】
スペーサが柱形状を有し、スペーサの側壁角が少なくとも1μmの曲率半径を有する丸い形状を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0494】
スペーサが少なくとも100/mm
2の密度を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0495】
スペーサが少なくとも1000/mm
2の密度を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0496】
プレートのうちの少なくとも1つが透明である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0497】
プレートのうちの少なくとも1つが、可撓性ポリマーから作製される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0498】
プレートを圧縮する圧力について、スペーサは圧縮可能ではなく、かつ/または独立して、プレートの一方のみが可撓性である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0499】
可撓性プレートが、10μm〜200μmの範囲内の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0500】
変動が30%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0501】
変動が10%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0502】
変動が5%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0503】
第1および第2のプレートが、接続され、プレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成へと変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0504】
第1および第2のプレートがヒンジによって接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成へと変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0505】
第1および第2のプレートが、プレートに対して別個の材料であるヒンジによって接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成へと変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0506】
第1および第2のプレートが単一の材料で作製されており、プレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成へと変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0507】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも1mm
2である横方向区域にわたって均一である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0508】
デバイスが、60秒以下で試料を分析するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0509】
閉鎖構成で、最終試料厚さのデバイスが、60秒以下で試料を分析するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0510】
閉鎖構成で、最終試料厚さのデバイスが、10秒以下で試料を分析するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0511】
乾燥結合部位が捕捉剤を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0512】
乾燥結合部位が、抗体または核酸を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0513】
放出可能な乾燥試薬が標識試薬である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0514】
放出可能な乾燥試薬が蛍光標識試薬である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0515】
放出可能な乾燥試薬が蛍光標識抗体である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0516】
放出可能な乾燥試薬が細胞染色である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0517】
放出可能な乾燥試薬が細胞溶解である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0518】
検出器が、光信号を検出する光検出器である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0519】
検出器が、電気信号を検出する電気検出器である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0520】
間隔が、プレートを直接エンボス加工するか、またはプレートを射出成形することによってプレートに固定される、先行するデバイス実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0521】
プレートおよびスペーサの材料が、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP、または別のプラスチックから選択される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0522】
携帯電話を使用して試料を迅速に分析するためのシステムであって、
(a)先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスと、
(b)モバイル通信デバイスであって、
i.試料を検出および/または撮像するための1つまたは複数のカメラ、
ii.検出された信号および/または試料の画像を受信および/または処理し、遠隔通信するための電子機器、信号プロセッサ、ハードウェアおよびソフトウェアを備える、モバイル通信デバイスと、
(c)モバイル通信デバイスまたは外部ソースからの光源と、を含み、
先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法における検出器が、モバイル通信デバイスによって提供され、閉鎖構成で試料中の分析物を検出する、システム。
【0523】
プレートのうちの1つが、分析物と結合する結合部位を有し、均一な試料厚さの層の少なくとも一部が、結合部位の上にあり、結合部位の平均横方向直線寸法よりも実質的に小さい、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0524】
(d)試料を保持し、モバイル通信デバイスに取り付けられるように構成されたハウジングをさらに含む、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0525】
ハウジングが、モバイル通信デバイスによる試料の撮像および/または信号処理を容易にするための光学系と、モバイル通信デバイス上に光学系を保持するように構成されたマウントとを含む、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0526】
ハウジング内の光学系の要素が、ハウジングに相対的に移動可能である、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0527】
モバイル通信デバイスが、試験結果を医療専門家、医療施設、または保険会社に通信するように構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0528】
モバイル通信デバイスが、試験および対象に関する情報を医療専門家、医療施設、または保険会社と通信するようにさらに構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0529】
モバイル通信デバイスが、試験の情報をクラウドネットワークに通信するようにさらに構成され、クラウドネットワークが情報を処理して試験結果を精密化する、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0530】
モバイル通信デバイスが、試験および対象の情報をクラウドネットワークに通信するようにさらに構成され、クラウドネットワークが情報を処理して試験結果を精密化し、精密化された試験結果を対象に送り返す、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0531】
モバイル通信デバイスが、医療専門家から処方、診断、または推奨を受け取るように構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0532】
モバイル通信デバイスが、
(a)試料の画像をキャプチャし、
(b)画像内の試験位置および制御位置を分析し、
(c)試験位置の分析から得られた値を、迅速な診断試験を特徴付けるしきい値と比較するように、ハードウェアおよびソフトウェアで構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0533】
プレートのうちの少なくとも1つが、アッセイ試薬が貯蔵される貯蔵部位を含む、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0534】
カメラのうちの少なくとも1つが、デバイスから信号を読み取る、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0535】
モバイル通信デバイスが、Wi−Fiまたはセルラーネットワークを介して遠隔地と通信する、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0536】
モバイル通信デバイスが携帯電話である、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0537】
携帯電話を使用して試料中の分析物を迅速に分析するための方法であって、
(a)先行するシステム実施形態のいずれかに記載のデバイスに試料を付着させることと、
(b)デバイスに付着した試料中の分析物を分析して結果を生成することと、
(c)結果をモバイル通信デバイスから、モバイル通信デバイスから離れた場所に通信することと、を含む、方法。
【0538】
分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、または他の分子)、細胞、組織、ウイルス、および様々な形状のナノ粒子を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0539】
分析物が、白血球、赤血球、および血小板を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0540】
アッセイが、白血球示差アッセイを実施することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0541】
方法が、
遠隔地で結果を分析して、分析結果を提供することと、
分析結果を遠隔地からモバイル通信デバイスへ通信することと、を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0542】
分析が、遠隔地で医療専門家によって行われる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0543】
モバイル通信デバイスが、遠隔地の医療専門家から処方、診断、または推奨を受信する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0544】
試料が体液である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0545】
体液が、血液、唾液、または尿である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0546】
試料が、液体による希釈のない全血である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0547】
アッセイのステップが、試料中の分析物を検出することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0548】
分析物がバイオマーカーである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0549】
分析物が、タンパク質、核酸、細胞、または代謝産物である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0550】
方法が、赤血球の数を計数することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0551】
方法が、白血球の数を計数することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0552】
方法が、試料中の細胞を染色することと、好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球の数を計数ことと、を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0553】
ステップ(b)で行われるアッセイが、結合アッセイまたは生化学アッセイである、先行する実施形態実施形態のいずれかに記載の方法。
【0554】
試料を分析するための方法であって、
先行するデバイス実施形態のいずれかに記載のデバイスを得ることと、
デバイスのうちの一方または両方のプレート上に試料を付着させることと、
プレートを閉鎖構成に置き、プレートの少なくとも一部に外力を加えることと、
プレートが閉鎖構成である間、均一な厚さの層を分析することと、を含む、方法。
【0555】
第1のプレートが、その表面上に、第1の所定のアッセイ部位および第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、アッセイ部位の縁部間の距離が、プレートが閉鎖位置にある場合に、均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、均一な厚さの層の少なくとも一部が、所定のアッセイ部位の上にあり、試料が、試料中で拡散することができる1つまたは複数の分析物を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0556】
第1のプレートが、その表面上に、少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、任意の2つの隣接するアッセイ部位の縁部間の距離が、プレートが閉鎖位置にある場合に、均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きく、均一な厚さの層の少なくとも一部が、アッセイ部位の上にあり、試料が、試料中で拡散することができる1つまたは複数の分析物を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0557】
第1のプレートは、その表面上に、プレートが閉鎖位置にあるときの均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きな距離によって離されていない少なくとも2つの隣接する分析物アッセイ部位を有し、均一な厚さの層の少なくとも一部が、アッセイ部位の上にあり、試料が、試料中で拡散することができる1つまたは複数の分析物を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0558】
分析物アッセイ区域が、一対の電極の間にある、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0559】
アッセイ区域が、乾燥試薬のパッチによって定義される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0560】
アッセイ区域が、分析物と結合し、固定化する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0561】
アッセイ区域が、試料に接触すると、試料中に溶解し、試料内で拡散し、分析物と結合する結合試薬のパッチによって定義される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0562】
スペーサ間距離が、14μm〜200μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0563】
スペーサ間距離が、7μm〜20μmの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0564】
スペーサが、円形、多角形、円形、正方形、長方形、楕円形、長円形、またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0565】
スペーサが柱形状を有し、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、スペーサの横方向寸法とその高さとの比率が少なくとも1である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0566】
スペーサが柱形状を有し、スペーサの側壁角が少なくとも1μmの曲率半径を有する丸い形状を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0567】
スペーサが少なくとも1000/mm
2の密度を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0568】
プレートのうちの少なくとも1つが透明である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0569】
プレートのうちの少なくとも1つが、可撓性ポリマーから作製される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0570】
プレートのうちの1つのみが可撓性である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0571】
面積決定デバイスがカメラである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0572】
変形可能な試料が、液体試料を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0573】
不正確な力が、実際に加えられる力の合計の少なくとも30%の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0574】
不正確な力が、実際に加えられる力の合計の少なくとも20%、30%、40%、50%、60、70%、80%、90%100%、150%、200%、300%、500%、またはいずれの2つの値間の範囲内の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0575】
スペーサが平坦な上部を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0576】
デバイスが、押圧力が取り除かれた後、力が加えられたときと実質的に同じ厚さおよび均一性である試料厚さを有するようにさらに構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0577】
不明確な力が、ヒトの手によって提供される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0578】
スペーサ間距離が、実質的に一定である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0579】
スペーサ間距離が、均一な試料厚さ区域の区域において実質的に周期的である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0580】
充填率とスペーサのヤング率の乗算積が、2MPa以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0581】
力が、直接または間接的に手によって加えられる、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0582】
加えられる力が、1N〜20Nの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0583】
加えられる力が、20N〜200Nの範囲内である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0584】
非常に均一な層が、平均厚さの15%、10%、または5%未満異なる厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0585】
不正確な力が、親指および人差し指の間でデバイスをつまむことによって加えられる、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0586】
所定の試料厚さが、スペーサの高さよりも大きい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0587】
押圧力が除去された後、デバイスが、閉鎖構成においてそれ自身を保持する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0588】
均一な厚さの試料層区域が、押圧力が加えられる区域よりも大きい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0589】
スペーサが、押圧力を加えている間に著しく変形しない、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0590】
押圧力が、事前に決まっておらず、測定されていない、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0591】
いくつかの実施形態では、流体試料は、変形可能な試料によって置き換えられ、流体試料の少なくとも一部を均一な厚さの層にするための実施形態は、変形可能な試料の少なくとも一部を均一な厚さの層にすることができる。
【0592】
スペーサ間距離が周期的である、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0593】
スペーサが平坦な上部を有する、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0594】
スペーサ間距離が、試料中の標的分析物のサイズより少なくとも2倍大きい、先行するデバイス請求項のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0595】
Qカードの製造
第1のプレート、第2のプレート、およびヒンジを含むQカードの実施形態であって、
i.約200nm〜1500nmの厚さである第1のプレートが、その内表面に、(a)試料と接触するための試料接触区域、および(b)ダムの外側の試料の流れを表すように構成されている試料接触区域を囲む試料オーバーフローダムを含み、
ii.第2のプレートが、10μm
iii.〜250μmの厚さであり、その内表面に、(a)試料と接触するための試料接触区域、および(b)試料接触区域上のスペーサを含み、
iv.ヒンジが、第1および第2のプレートを接続し、
第1および第2のプレートが、ヒンジの軸の周りで互いに相対的に移動可能である、実施形態。
【0596】
第1のプレート、第2のプレート、およびヒンジを含むQカードの実施形態であって、
i.約200nm〜1500nmの厚さである第1のプレートが、その内表面に、(a)試料と接触するための試料接触区域、(b)ダムの外側の試料の流れを表すように構成されている試料接触区域を囲む試料オーバーフローダム、および(c)試料接触区域上のスペーサを含み、
ii.10μm〜250μmの厚さである第2のプレートが、その内表面に、試料と接触するための試料接触区域を含み、
iii.ヒンジが、第1および第2のプレートを接続し、
第1および第2のプレートが、ヒンジの軸の周りで互いに相対的に移動可能である、実施形態。
【0597】
第1のプレート、第2のプレート、およびヒンジを含むQカードの実施形態であって、
i.約200nm〜1500nmの厚さである第1のプレートが、その内表面に、(a)試料と接触するための試料接触区域、および(b)試料接触区域上のスペーサを含み、
i.約10μm〜250μmの厚さである第2のプレートが、その内表面に、(a)試料と接触するための試料接触区域、および(b)ダムの外側の試料の流れを表すように構成されている試料接触区域を囲む試料オーバーフローダムを含み、
iii.ヒンジが、第1および第2のプレートを接続し、
第1および第2のプレートが、ヒンジの軸の周りで互いに相対的に移動可能である、実施形態。
【0598】
第1のプレート、第2のプレート、およびヒンジを含むQカードの実施形態であって、
i.約200nm〜1500nmの厚さである第1のプレートが、その内表面に、試料と接触するための試料接触区域を含み、
ii.約10μm〜250μmの厚さである第2のプレートが、その内表面に、(a)試料と接触するための試料接触区域、(b)ダムの外側の試料の流れを表すように構成されている試料接触区域を囲む試料オーバーフローダム、(c)試料接触区域上のスペーサを含み、
iii.ヒンジが、第1および第2のプレートを接続し、
第1および第2のプレートが、ヒンジの軸の周りで互いに相対的に移動可能である、実施形態。
【0599】
本開示のいずれかの実施形態のQカードを製造する方法の実施形態であって、
(a)第1のプレートの射出成形、
(b)第2のプレートのナノインプリントまたは押出印刷を含む、実施形態。
【0600】
本開示のいずれかの実施形態のQカードを製造する方法の実施形態であって、
(a)第1のプレートをレーザー切断すること、
(b)第2のプレートのナノインプリントまたは押出印刷を含む、実施形態。
【0601】
本開示のいずれかの実施形態のQカードを製造する方法の実施形態であって、
(a)第1のプレートを射出成形およびレーザー切断すること、
(b)第2のプレートのナノインプリントまたは押出印刷を含む、実施形態。
【0602】
本開示のいずれかの実施形態のQカードを製造する方法の実施形態であって、第1および第2のプレートの両方を製造するためのナノインプリントまたは押出印刷を含む、実施形態。
【0603】
本開示のいずれかの実施形態のQカードを製造する方法の実施形態であって、射出成形、第1のプレートのレーザー切断、ナノインプリンティング、押出印刷、またはそれらの組み合わせを使用して第1のプレートまたは第2のプレートを製造することを含む、実施形態。
【0604】
方法が、第1および第2のプレートの製造後に、ヒンジを第1および第2のプレート上に取り付けるステップをさらに含む、M1〜M5のいずれかの実施形態の方法。
【0605】
圧縮調節開放流(CROF)
アッセイにおいて、試料または試薬の操作がアッセイの改善につながることがある。操作は、試料および/または試薬の幾何学的形状および位置、試料と試薬の混合または結合ならびにプレートへの試料または試薬の接触の面積を操作することを含むが、これらに限定されない。
【0606】
本発明の多くの態様は、「圧縮調節開放流(CROF)」と呼ばれる方法およびCROFを実施するデバイスを使用して、試料および/または試薬の幾何学的サイズ、位置、接触面積および混合を操作する。
【0607】
用語「圧縮開放流(COF)」とは、一方のプレートに付着した流動性試料の形状を、(i)その試料の少なくとも一部の上に他方のプレートを配置し、(ii)次いで、2枚のプレートを互いに向けて押すことによって2枚のプレートの間で試料を圧縮することにより、変化させる方法であって、圧縮が、試料の少なくとも一部の厚さを減らし、試料をプレート間の空間に流入させる方法を指す。
【0608】
用語「圧縮調節開放流」または「CROF」(または「自己校正圧縮開放流」または「SCOF」または「SCCOF」)とは、圧縮後の試料の一部または全体の最終厚さが、2枚のプレートの間に配置されるスペーサによって「調節」される、特定のタイプのCOFを指す。
【0609】
CROFにおける用語「試料の一部または全体の最終厚さがスペーサによって調節される」とは、CROF中、指定の試料の厚さに達したならば、2枚のプレートの相対運動、ひいては試料厚さの変化が停止し、指定の厚さがスペーサによって決まることを意味する。
【0610】
図A1に示すCROFの方法の1つの態様は、
(a)流動性である試料を得る工程;
(b)互いに対し、異なる構成へと動くことができる第1のプレートおよび第2のプレートを得る工程(各プレートは、実質的に平面である試料接触面を有し、プレートの一方または両方はスペーサを含み、スペーサは所定の高さを有し、スペーサはそれぞれの試料接触面にある);
(c)プレートが開放構成にあるとき、プレートの一方または両方に試料を付着させる工程(開放構成は、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されない構成である);および
(d)(c)ののち、プレートを閉鎖構成に至らせることによって試料を広げる工程(閉鎖構成において、両プレートは互いに対面し、スペーサおよび適切な量の試料がプレートの間にあり、適切な量の試料の厚さがプレートおよびスペーサによって調節され、適切な量は試料の全量の少なくとも一部分であり、試料を広げる間、試料は2枚のプレートの間を横方向に流れる)
を含む。
【0611】
用語「プレート」とは、別段の指定がない限り、表面を有する固体を別のプレートとともに使用して、2枚のプレートの間に配置された試料を圧縮して試料の厚さを減らすことができる、CROFプロセスに使用されるプレートを指す。
【0612】
用語「両プレート」または「プレート対」とは、CROFプロセスにおける2枚のプレートを指す。
【0613】
用語「第1のプレート」および「第2のプレート」とは、CROFプロセスに使用されるプレートを指す。
【0614】
用語「両プレートは互いに対面する」とは、プレート対が少なくとも部分的に互いに対面する場合を指す。
【0615】
用語「スペーサ」または「ストッパ」とは、別段の記述がない限り、2枚のプレートの間に配置されたとき、2枚のプレートを一緒に圧縮したときに達することができる2枚のプレート間の最小間隔の限界を設定する機械的物体を指す。すなわち、圧縮時、スペーサは2枚のプレートの相対運動を停止させて、プレート間隔が設定値(すなわち所定値)よりも小さくなることを防ぐ。2つのタイプのスペーサ:「開放型スペーサ」および「閉鎖型スペーサ」がある。
【0616】
用語「開放型スペーサ」とは、液体がスペーサの全周囲を流れ、スペーサを通り過ぎることが可能である形状を有するスペーサを意味する。たとえば、ピラーはオープン型スペーサである。
【0617】
用語「閉鎖型スペーサ」とは、液体がスペーサの全周囲を流れることができず、スペーサを通り過ぎることができない形状を有するスペーサを意味する。たとえば、リング形スペーサは、その中の液体がリング内に留まり、外に(周囲から外に)に出ることができない、リング内の液体のための閉鎖型スペーサである。
【0618】
用語「スペーサは所定の高さを有する」および「スペーサは所定のスペーサ間距離を有する」とは、それぞれ、スペーサ高さおよびスペーサ間距離の値がCROFプロセスの前に既知であることを意味する。スペーサ高さおよびスペーサ間距離の値がCROFプロセスの前に未知であるならば、それは「所定」ではない。たとえば、ビーズがスペーサとしてプレートにスプレーされ、ビーズがプレートのランダムな位置に付着する場合、スペーサ間距離は所定ではない。所定ではないスペーサ間距離のもう1つの例は、CROFプロセス中にスペーサが移動する場合である。
【0619】
CROFプロセスにおける用語「スペーサはそれぞれのプレートに固定されている」とは、スペーサがプレートのある位置に取り付けられ、その位置への取り付けがCROF中に維持される(すなわち、それぞれのプレート上のスペーサの位置が変化しない)ことを意味する。「スペーサがそれぞれのプレートと固定されている」例は、スペーサが1つのプレート材料片でモノリシックに作られ、プレート表面に対するスペーサの位置がCROF中に変化しない場合である。「スペーサがそれぞれのプレートと固定されていない」例は、スペーサが接着剤によってプレートに接着されているが、CROF中のプレートの使用中、接着剤がスペーサをプレート表面上のその元の位置に保持することができず、スペーサがプレート表面上のその元の位置から移動する場合である。
【0620】
用語「スペーサがプレートにモノリシックに固定されている」とは、スペーサとプレートとが1個の物体のように振る舞い、使用中、スペーサがプレート上の元の位置から移動または分離しないことを意味する。
【0621】
CROFプロセスにおける2枚のプレートの「開放構成」とは、2枚のプレートが部分的または完全に離され、プレートの間隔がスペーサによって調節されない、構成を意味する。
【0622】
CROFプロセスにおける2枚のプレートの「閉鎖構成」とは、両プレートが互いに対面し、スペーサおよび適切な量の試料がプレートの間にあり、適切な量の試料の厚さがプレートおよびスペーサによって調節される、構成を意味する。適切な量は試料の全量の少なくとも一部分である。
【0623】
CROFプロセスにおける用語「試料の厚さがプレートおよびスペーサによって調節される」とは、プレート、試料、スペーサおよびプレートの圧縮法の所与の条件の場合、プレートの閉鎖構成における試料の少なくとも一部分の厚さがスペーサおよびプレートの性質から予め決まることを意味する。
【0624】
CROFデバイス中のプレートの「内面」または「試料面」とは、試料に接触するプレートの面を指し、プレートの他方の面(試料に接触しない面)は「外面」と呼ばれる。
【0625】
CROFデバイスの「Xプレート」とは、プレートの試料面にあるスペーサを含む、スペーサが所定のスペーサ間距離およびスペーサ高さを有し、スペーサの少なくとも1つが試料の接触区域内にある、プレートを指す。
【0626】
用語「CROFデバイス」とは、CROFプロセスを実施するデバイスを指す。用語「CROFされた」とは、CROFプロセスが使用されていることを意味する。たとえば、用語「試料がCROFされた」とは、試料がCROFデバイス内に配置され、CROFプロセスが実施され、試料が、別段の記述がない限り、CROFの最終構成で保持されたことを意味する。
【0627】
用語「CROFプレート」とは、CROFプロセスの実施に使用される2枚のプレートを指す。
【0628】
平面の「表面平滑度」または「表面平滑度変動」とは、約数マイクロメートル以下である小さい短い距離にわたる完璧な平坦面からの平面の平均偏差を指す。表面平滑度は表面平面度変動とは異なる。平面は、良好な表面平面度を有することができるが、表面平滑度は劣る。
【0629】
平面の「表面平面度」または「表面平面度変動」とは、約10μm以上である長い距離にわたる完璧な平坦面からの平面の平均偏差を指す。表面平面度変動は表面平滑度とは異なる。平面は、良好な表面平滑度を有することができるが、表面平面度は劣る(すなわち、表面平面度変動は大きい)。
【0630】
プレートまたは試料の「相対表面平面度」とは、最終試料厚さに対するプレート表面平面度変動の比率である。
【0631】
CROFプロセスにおける用語「最終試料厚さ」とは、別段の指定がない限り、CORFプロセスにおけるプレートの閉鎖構成における試料の厚さを指す。
【0632】
CROFにおける用語「圧縮法」とは、2枚のプレートを開放構成から閉鎖構成に至らせる方法を指す。
【0633】
プレートの「対象区域」または「関心対象区域」とは、プレートが果たす機能に関連するプレートの区域を指す。
【0634】
用語「最大で」は、「以下」を意味する。たとえば、スペーサ高さが最大で1μmとは、スペーサ高さが1μm以下であることを意味する。
【0635】
用語「試料区域」とは、プレート間の空間に対してほぼ平行かつ試料厚さに対して垂直な方向の試料の区域を意味する。
【0636】
用語「試料厚さ」とは、互いに対面するプレートの表面に対して垂直な方向(たとえばプレート間隔の方向)の試料寸法を指す。
【0637】
用語「プレート間隔」とは、2枚のプレートの内面間の距離を指す。
【0638】
CROFにおける用語「最終試料厚さの偏差」とは、所定のスペーサ高さ(スペーサの製造から決定)と最終試料厚さの平均との差を意味する。平均最終試料厚さは所与の区域で平均化される(たとえば、1.6cm×1.6cm区域上の25の異なる地点(4mm離間)の平均)。
【0639】
CROFプロセスにおける用語「測定された最終試料厚さの均一さ」とは、所与の試料区域上で測定された最終試料厚さの標準偏差(たとえば、平均に対する標準偏差)を意味する。
【0640】
CROFプロセスにおける用語「試料の適切な量」および「試料の適切な区域」とは、それぞれ、それぞれの方法またはデバイスによって実施される機能に関連する、CRPFプロセス中にプレートに付着された試料の一部分または全量の量および区域を指し、機能は、分析対象物または実体の結合時間の短縮、分析対象物の検出、量の定量化、濃度の定量化、試薬の混合または濃度(分析対象物、実体または試薬)の制御を含むが、これらに限定されない。
【0641】
用語「いくつかの態様」、「いくつかの態様における」、「本発明における、いくつかの態様における」、「態様」、「1つの態様」、「もう1つの態様」、「特定の態様」、「多くの態様」などは、別段の記述がない限り、開示全体(すなわち発明全体)に適用される態様を指す。
【0642】
CROFプロセスにおける物体の「高さ」または「厚さ」とは、別段の記述がない限り、プレートの表面に対して垂直な方向にある物体の寸法を指す。たとえば、スペーサ高さは、プレートの表面に対して垂直な方向のスペーサの寸法であり、スペーサ高さとスペーサ厚さは同じものを指す。
【0643】
CROFプロセスにおける物体の「区域」とは、別段の記述がない限り、プレートの表面に対して平行である物体の区域を指す。たとえば、スペーサ区域は、プレートの表面に対して平行であるスペーサの区域である。
【0644】
CROFプロセスにおける「横方向」または「横方向に」とは、別段の記述がない限り、プレートの表面に対して平行である方向を指す。
【0645】
CROFプロセスにおけるスペーサの「幅」とは、別段の記述がない限り、スペーサの横方向寸法を指す。
【0646】
用語「試料内のスペーサ」とは、スペーサが試料によって包囲されていることを意味する(たとえば、試料内のピラースペーサ)。
【0647】
CROFプロセスにおけるプレートの「臨界曲げスパン」とは、所与の可撓性プレート、試料および圧縮力の場合にプレートの曲げが許容曲げに等しくなる、2つの支持体の間のプレートのスパン(すなわち距離)を指す。たとえば、所与の可撓性プレート、試料および圧縮力の場合に許容曲げが50nmであり、臨界曲げスパンが40μmであるならば、40μm離れた2つの隣接するスペーサ間のプレートの曲げは50nmになり、2つの隣接するスペーサが40μm未満であるならば、曲げは50nm未満になる。
【0648】
試料の「流動性」とは、試料の厚さが減ると、横方向寸法が増すことを意味する。たとえば、便試料は流動性と見なされる。
【0649】
本発明のいくつかの態様において、CROFプロセス下の試料は、CROFプロセス下で試料厚さを減らすことができる限り、プロセスの恩恵を得るために流動性である必要はない。たとえば、CROFプレートの表面に色素を付けることによって組織を染色するために、CROFプロセスは、組織厚さを減らし、ひいては、色素による染色のための飽和インキュベーション時間を加速することができる。
【0650】
用語「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」および「QMAXプレート」は互換可能であるが、いくつかの態様において、COFカードはスペーサを含まない。これらの語は、互いに対し、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)へと動くことができる第1プレートおよび第2のプレートを含み、プレートの間隔を調節するスペーサを含む(COFのいくつかの態様を除き)デバイスを指す。用語「Xプレート」とは、CROFカード中の2枚のプレートの、スペーサが固定されている一方を指す。COFカード、CROFカードおよびXプレートのさらなる説明は、あらゆる趣旨に関して参照により本明細書に組み入れられる、2017年2月7日に出願された仮出願番号62/456065に記載されている。
【0651】
追加の留意点
本開示による本発明の主題のさらなる例は、以下に列挙される段落に記載される。
【0652】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、「単一」という語が使用される場合などの文脈がそうではないことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。例えば、「分析物」への言及は単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉剤」への言及は単一の捕捉剤および複数の捕捉剤を含み、「検出剤」への言及は単一の検出剤および複数の検出剤を含み、「剤」への言及には、単一の剤および複数の剤を含む。
【0653】
本明細書で使用される場合、「適合させる」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の対象物が所与の機能を果たすように設計および/または意図されることを意味する。したがって、「適応された」および「構成された」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、または他の主題が所与の機能を単に実行する「ことができる」ことを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を実行するように構成されていると列挙されている主題は、加えてまたは代替として、その機能を実行するように作動するものとして説明され得る。
【0654】
本明細書で使用される、「例えば」という語句、「例として」という語句、ならびに/または単に「例」および「例示」という用語は、本開示による1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法に関して使用される場合、記載される構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の例示的で非排他的な例であることを伝えることを意図している。したがって、説明される構成要素、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定的、必須、または排他的/網羅的であることを意図しておらず、構造的および/または機能的に類似および/または同等の構成要素、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法も、本開示の範囲内である。
【0655】
本明細書で使用される、2つ以上の実体のリストに関して「〜の少なくとも1つ」および「〜の1つ以上」という語句は、実体のリスト内の実体の任意の1つ以上を意味し、実体のリスト内に具体的に列記されているあらゆる実体の少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの組み合わせを指す場合がある。
【0656】
本明細書で使用される、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「および/または」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、ならびに(3)第1の実体および第2の実体の1つを意味する。「および/または」により列記された複数の実体は、同じように、つまり、そのように結合された実体の「1つ以上」と解釈されるべきである。具体的に特定されたそれらの実体に関連するか無関係であるかにかかわらず、「および/または」節で具体的に特定された実体以外に、他の実体が任意選択で存在する場合がある。
【0657】
数値範囲が本明細書で言及される場合、本発明は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが除外される実施形態、および一方のエンドポイントが含まれ他方が除外される実施形態を含む。特に指定のない限り、両方のエンドポイントが含まれると想定するべきである。さらに、特に指示のない限り、または文脈および当業者の理解から明白でない限り。
【0658】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が、参照により本明細書に組み込まれ、かつ(1)本開示の組み込まれていない部分または他の組み込まれた参考文献のいずれかと矛盾する方法で用語を定義する場合、および/または(2)本開示の組み込まれない部分または他の組み込まれた参考文献のいずれかと別様に矛盾する場合、本開示の組み込まれていない部分が優先するものとし、本明細書における用語または組み込まれた開示は、その用語が定義されている、および/または組み込まれた開示が元々存在していた参考文献に関してのみ優先するものとする。
【0659】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書で説明および図示される個々の実施形態のそれぞれは、本教示の範囲または精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離またはそれと組み合わせることができる個別の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、または論理的に可能な任意の他の順序で実施され得る。
【0660】
当業者は、本発明が、その応用において、構造の詳細、構成要素の配置、カテゴリー選択、重み付け、所定の信号制限、または本明細書における説明もしくは図面に記載されたステップに限定されないことを理解するであろう。本発明は、他の実施形態が可能であり、多くの異なる方法で実施または実行することができる。
【0661】
本開示の様々な態様の実施は、別段の指示がない限り、当技術分野の技能の範囲内である、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクスおよび組換えDNAの従来技術を用いる。Green and Sambrook, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 4
th edition (2012);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, et al. eds., (1987));the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.): PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M. J. MacPherson, B. D. Hames and G. R. Taylor eds. (1995));Harlow and Lane, eds. (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUALおよびANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, ed. (1987))を参照すること。
【0662】
関連文書および追加の例
本発明は、様々な構成要素が互いに矛盾しない限り、複数の方法で組み合わせることができる様々な実施形態を含む。実施形態は、単一の発明出願とみなされるべきであり、各出願は、個別に独立しているものとしてではなく、参考文献として他の出願を有し、その全体およびすべての目的のためにも参照される。これらの実施形態は、現在の出願の開示だけでなく、本明細書で参照されるか、組み込まれるか、または優先権が主張される文書も含む。
【0663】
(1)定義
本明細書で開示されるデバイス/装置、システム、および方法の説明に使用される用語は、現在の出願、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において定義されている。
【0664】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、交換可能であるが、例外として、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサを含まず、また、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)へと互いに相対的に移動可能な第1のプレートと、第2のプレートと、を備え、かつプレート間の間隔を調節するスペーサ(COFカードのいくつかの実施形態を除く)を備えるデバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのさらなる説明は、2017年2月7日に出願された仮出願第62/456065号に記載されており、全ての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0665】
(2)試料
本明細書に開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、様々な種類の試料の操作および検出に適用することができる。試料は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において列挙、説明、および/または要約されている。
【0666】
本明細書で開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、これらに限定されないが、診断試料、臨床試料、環境試料、および食品試料などの試料に使用することができる。試料の種類には、これらに限定されないが、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願され、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれるPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号に列挙、説明、および/または要約されている試料を含む。
【0667】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、細胞、組織、体液、および/またはそれらの混合物を含む試料に使用される。いくつかの実施形態では、試料はヒトの体液を含む。いくつかの実施形態では、試料は、細胞、組織、体液、糞便、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、画分血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢(cerumen)、乳糜、糜汁、内リンパ、外リンパ、糞便、息、胃酸、胃液、リンパ、粘液、鼻漏、痰、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、皮脂、精液、痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、尿、および呼気凝縮物のうちの少なくとも1つを含む。
【0668】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、以下に限定されないが、河川、湖、池、海、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、または飲料水などの任意の好適な供給源から得られる環境試料;土壌、堆肥、砂、岩、コンクリート、木材、レンガ、下水などからの固体試料;および空気、水中熱排気口、産業排気、車両排気などの気体試料に使用される。ある特定の実施形態では、環境試料は、供給源からの新鮮なものであり、ある特定の実施形態では、環境試料は処理される。例えば、液体ではない試料は、主題のデバイス、装置、システム、および方法が適用される前に液体に変換される。
【0669】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、動物の消費、例えば、人間の消費に好適であるか、または好適となる可能性を有する食品試料に使用される。いくつかの実施形態では、食品試料は、生の材料、調理済みまたは処理済みの食品、植物および動物源の食糧、前処理済みの食品、ならびに部分的または完全に処理済みの食品などを含む。ある特定の実施形態では、液体ではない試料は、主題のデバイス、装置、システム、および方法が適用される前に液体に変換される。
【0670】
主題のデバイス、装置、システム、および方法を使用して、任意の体積の試料を分析することができる。体積の例は、これらに限定されないが、約10mL以下、5mL以下、3mL以下、1マイクロリットル(μL、本明細書では「uL」)以下、500μL以下、300μL以下、250μL以下、200μL以下、170μL以下、150μL以下、125μL以下、100μL以下、75μL以下、50μL以下、25μL以下、20μL以下、15μL以下、10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下、0.5μL以下、0.1μL以下、0.05μL以下、0.001μL以下、0.0005μL以下、0.0001μL以下、10pL以下、1pL以下、または任意の2つの値の間の範囲を含む。
【0671】
いくつかの実施形態では、試料の体積は、これらに限定されないが、約100μL以下、75μL以下、50μL以下、25μL以下、20μL以下、15μL以下、10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下、0.5μL以下、0.1μL以下、0.05μL以下、0.001μL以下、0.0005μL以下、0.0001μL以下、10pL以下、1pL以下、または任意の2つの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態では、試料の体積は、これらに限定されないが、約10μL以下、5μL以下、3μL以下、1μL以下、0.5μL以下、0.1μL以下、0.05μL以下、0.001μL以下、0.0005μL以下、0.0001μL以下、10pL以下、1pL以下、または任意の2つの値の間の範囲を含む。
【0672】
いくつかの実施形態において、試料の量は、ほぼ一滴の液体である。ある特定の実施形態では、試料の量は、刺された指または指先から収集された量である。ある特定の実施形態では、試料の量は、マイクロニードル、マイクロピペットまたは静脈吸引から収集された量である。
【0673】
ある特定の実施形態では、試料ホルダーは、流体試料を保持するように構成されている。ある特定の実施形態では、試料ホルダーは、流体試料の少なくとも一部を薄い層へと圧縮するように構成されている。ある特定の実施形態では、試料ホルダーは、試料を加熱および/または冷却するように構成されている構造を含む。ある特定の実施形態では、加熱源は、試料ホルダー内のある特定の構造によって吸収されて試料の温度を変化させることができる電磁波を提供する。ある特定の実施形態では、信号センサは、試料からの信号を検出および/または測定するように構成されている。ある特定の実施形態では、信号センサは、試料中の分析物を検出および/または測定するように構成されている。ある特定の実施形態では、ヒートシンクは、試料ホルダーおよび/または加熱源から熱を吸収するように構成されている。ある特定の実施形態では、ヒートシンクは、試料ホルダーを少なくとも部分的に囲むチャンバーを含む。
【0674】
(3)Qカード、スペーサ、および均一な試料厚さ
本明細書で開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカード、スペーサ、および均一な試料厚さの実施形態を含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、試料の少なくとも一部を非常に均一性の層にするのに役立つスペーサを備える。スペーサの構造、材料、機能、変形、および寸法、ならびにスペーサおよび試料層の均一性は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において列挙、説明、および/または要約されている。
【0675】
QMAXプロセスにおける2つのプレートの「開放構成」という用語は、2つのプレートが部分的または完全のいずれかで離され、プレート間の間隔がスペーサによって調節されない構成を意味する。
【0676】
QMAXプロセスにおける2つのプレートの「閉鎖構成」という用語は、プレートが互いに向かい合っている構成を意味し、スペーサおよび試料の適切な体積がプレート間にあり、プレート間の適切な間隔、したがって、試料の適切な体積の厚さは、プレートおよびスペーサによって調節され、適切な体積は、試料の全体積の少なくとも一部である。
【0677】
QMAXプロセスにおける「試料厚さはプレートおよびスペーサによって調節される」という用語は、プレート、試料、スペーサ、プレートの圧縮方法の一定の条件である場合、プレートの閉鎖構成での試料の少なくとも一部の厚さが、スペーサおよびプレートの特性から事前に決定することができることを意味する。
【0678】
QMAXカードのプレートの「内表面」または「試料表面」という用語は、試料に接触するプレートの表面を指すが、プレートの他の表面(試料に接触しない)は「外表面」と称される。
【0679】
QMAXプロセスにおける物体の「高さ」または「厚さ」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に垂直な方向にある物体の寸法を指す。例えば、スペーサの高さは、プレートの表面に垂直な方向にあるスペーサの寸法であり、スペーサの高さおよびスペーサの厚さは同じことを意味する。
【0680】
QMAXプロセスにおける物体の「面積」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に平行な物体の区域を指す。例えば、スペーサ面積は、プレートの表面に平行なスペーサの面積である。
【0681】
QMAXカードという用語は、試料に対してQMAX(例えば、CROF)プロセスを行い、2つのプレートを接続するヒンジを有する、または有しないデバイスを指す。
【0682】
「ヒンジを備えるQMAXカード」および「QMAXカード」という用語は交換可能である。
【0683】
「角度を自己維持する」、「角度の自己維持」、または「回転角度の自己維持」という用語は、プレートを最初の角度からその角度に動かす外力が取り除かれた後に2つのプレート間の角度を実質的に維持するヒンジの特性を指す。
【0684】
QMAXカードを使用する場合、試料の付着のために2つのプレートを最初に開く必要がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、パッケージのQMAXカードは、2枚のプレートが互いに接触しており(例えば、近接位置)、一方または両方のプレートが非常に薄いため、それらを分離することは困難である。QMAXカードの開口部を容易にするために、第1のプレートまたは両方のプレートの端部または角に開口ノッチが作成され、プレートの近接位置で、第2のプレートの一部が開口ノッチの上に配置され、したがって、第1のプレートのノッチにおいて、第2のプレートは、第1のプレートをブロックすることなく持ち上げて開くことができる。
【0685】
QMAXアッセイプラットフォームにおいて、QMAXカードは、2つのプレートを使用して試料の形状を操作して薄い層にする(例えば、圧縮することにより)。ある特定の実施形態では、プレートの操作は、ヒトの手または他の外力によって2つのプレートの相対位置(プレート構成と呼ばれる)を数回変更する必要がある。手による操作を簡単かつ迅速にするように、QMAXカードを設計する必要がある。
【0686】
QMAXアッセイでは、プレート構成の1つは開放構成であり、開放構成では、2つのプレートが完全または部分的に離され(プレート間の間隔はスペーサによって制御されない)、試料が付着し得る。別の構成は閉鎖構成であり、開放構成において付着した試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層に圧縮され、層の均一な厚さが、プレートの内表面によって限定され、プレートおよびスペーサによって調節される。いくつかの実施形態では、2つのプレートの間の平均間隔は300μmを超える。
【0687】
QMAXアッセイ操作では、オペレーターは、最初に2つのプレートを開放構成で試料付着ができるようにし、次いでプレートの一方または両方に試料を付着させて、最後にプレートを閉鎖位置に閉じる必要がある。ある特定の実施形態では、QMAXカードの2つのプレートは、最初は互いの上部にあり、試料付着のために離されて開放構成にする必要がある。プレートの1つが薄いプラスチック膜(厚さ175μmのPMA)である場合、このような分離は手で行うのが困難であり得る。本発明は、QMAXカードアッセイなどのある特定のアッセイの操作を容易かつ迅速にするデバイスおよび方法を提供することを意図している。
【0688】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、2つ以上のプレートを一緒に接続するヒンジを備え、そのため、プレートは本と同様に開閉できる。いくつかの実施形態では、ヒンジの材料は、ヒンジがプレート間の角度を調節後に自己維持する(self−maintain)ことができるようする。いくつかの実施形態では、ヒンジは、2つのプレートを偶発的に分離させることなく、QMAXカード全体をカードスロットにスライドインおよびスライドアウトすることができるように、QMAXカードを閉鎖構成に維持するように構成されている。いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、3つ以上のプレートの回転を制御することができる1つ以上のヒンジを含む。
【0689】
いくつかの実施形態では、ヒンジは、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、スズ、白金、ニッケル、コバルト、合金、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属材料で作られている。いくつかの実施形態では、ヒンジは、プラスチックなどであるがこれに限定されないポリマー材料から作られる単一層を含む。ポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMB)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PB)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFB)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、ポリスチレン、PMMB、PC、COC、COP、他のプラスチック、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0690】
本質的に、「スペーサ」または「ストッパ」という用語は、特に明記しない限り、2つのプレート間に置いたときに、2つのプレートを一緒に圧縮したときに到達され得る2つのプレート間の最小間隔の制限を設定する機械物体を指す。すなわち、圧縮において、スペーサは2つのプレートの相対移動を停止させ、プレート間隔が事前設定(すなわち所定)値よりも小さくなるのを防ぐ。
【0691】
「スペーサは所定の高さを有する」および「スペーサは所定のスペーサ間距離を有する」という用語は、それぞれ、QMAXプロセスの前にスペーサの高さおよびスペーサ間距離の値が既知であることを意味する。スペーサの高さとスペーサ間距離の値がQMAXプロセスの前にわからない場合は、事前に決定されない。例えば、ビーズがスペーサとしてプレートにスプレーされ、ビーズがプレートのランダムな位置に着地する場合、スペーサ間距離は事前に決定されない。スペーサ間距離が事前に決定されていない別の例は、QMAXプロセス中にスペーサが移動する場合である。
【0692】
QMAXプロセスにおける「スペーサがそれぞれのプレート上に固定される」という用語は、スペーサがプレートの位置に取り付けられ、その位置への取り付けがQMAXプロセスの間維持されることを意味する(すなわち、それぞれのプレート上のスペーサの位置は変化しない)。「スペーサがそのそれぞれのプレートで固定されている」例は、スペーサがプレートの材料の一部品で一体に作られており、プレート表面に対するスペーサの位置がQMAXプロセスの間に変化しないことである。「スペーサがそのそれぞれのプレートで固定されていない」例は、スペーサがプレートに接着剤で接着されているが、プレートの使用中、QMAXプロセスの間に、接着剤はスペーサをプレート表面上のその元の位置で保持できず、スペーサは、プレート表面上のその元の位置から移動する。
【0693】
いくつかの実施形態では、ヒトの手を使用してプレートを閉鎖構成へと押圧することができ、いくつかの実施形態では、ヒトの手を使用して、試料を薄い層へと押圧することができる。手押圧が用いられる様式は、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および2016年9月14日に出願された第PCT/US0216/051775号、ならびに2016年12月9日に出願された米国仮出願第62/431,639号、2017年2月8日に出願された第62/456,287号、2017年2月7日に出願された第62/456,065号、2017年2月8日に出願された第62/456,504号、および2017年2月16日に出願された第62/460,062号に記載および/または要約されており、これらは全てそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0694】
いくつかの実施形態では、ヒトの手を使用して、QMAXデバイスのプレートを操作または扱うことができる。ある特定の実施形態では、ヒトの手を使用して不正確な力を加えて、プレート開放構成から閉鎖構成へと圧縮することができる。ある特定の実施形態では、ヒトの手を使用して不正確な力を加えて、試料の厚さの高いレベルの均一性(例えば、5%、10%、15%、または20%未満の変動)を達成することができる。
【0695】
(4)ヒンジ、開口ノッチ、陥凹端部、およびスライダ
本明細書で開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードの操作および試料の測定を容易にするのに役立つヒンジ、ノッチ、陥凹、およびスライダを備える。ヒンジ、ノッチ、陥凹、およびスライダの構造、材料、機能、変形、および寸法は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2016年12月9日に出願された米国仮出願第62/431639号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号および第62/456504号、ならびに2017年8月1日に出願された米国仮出願第62/539660号に列挙、説明、および/または要約されており、これらの出願の全ては、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0696】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、これに限定するものではないが、プレートのエッジにおけるノッチまたはプレートに取り付けられたストリップなどのオープニング用機構を備え、これにより、限定するものではないが手によってプレートを離すなど、ユーザがプレートの位置調整をより簡単に操作することができるようになる。
【0697】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、プレートの一方または両方に溝を備える。ある特定の実施形態では、溝は、プレート上の試料の流れを制限する。
【0698】
(5)Qカードおよびアダプタ
本明細書で開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードを収容し、モバイルデバイスに接続するように構成されているアダプタと共に使用され、Qカード内の試料を、モバイルデバイスによって撮像、分析、および/または測定できるようにする。Qカード、アダプタ、およびモバイルの構造、材料、機能、変形、および寸法は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号および第62/456590号、2017年2月8日に出願された米国仮出願62/456504号、2017年2月15日に出願された米国仮出願第62/459,544号、ならびに2017年2月16日に出願された米国仮出願第62/460075号および第62/459920号に列挙、説明、および/または要約されており、これらの出願の全ては、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0699】
いくつかの実施形態では、アダプタは、デバイスが閉鎖構成にあるときにQMAXデバイスを収容するように構成されているレセプタクルスロットを備える。ある特定の実施形態では、QMAXデバイスは、その中に付着した試料を有し、アダプタがモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)に接続されて、試料がモバイルデバイスによって読み取られ得る。ある特定の実施形態では、モバイルデバイスは、試料からの信号を検出および/または分析することができる。ある特定の実施形態では、モバイルデバイスは、試料がQMAXデバイス内にあり、ある特定の実施形態ではモバイルデバイスの一部であるカメラの視野(FOV)に位置するときに、試料の画像をキャプチャすることができる。
【0700】
いくつかの実施形態では、アダプタは、試料からの信号の生成を強化、拡大、および/または最適化するように構成されている光学部品を備える。いくつかの実施形態では、光学部品は、試料に提供される照明を強化、拡大、および/または最適化するように構成されている部品を含む。ある特定の実施形態では、照明は、モバイルデバイスの一部である光源によって提供される。いくつかの実施形態では、光学部品は、試料からの信号を強化、拡大、および/または最適化するように構成されている部品を含む。
【0701】
(6)スマートフォン検出システム
本明細書で開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードをスマートフォン検出システムと接続することができるアダプタと共に使用される。いくつかの実施形態では、スマートフォンは、カメラおよび/または照明源を備える。スマートフォン検出システム、ならびに関連ハードウェアおよびソフトウェアは、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号および第62/456590号、2017年2月8日に出願された米国仮出願62/456504号、2017年2月15日に出願された米国仮出願第62/459,544号、ならびに2017年2月16日に出願された米国仮出願第62/460075号および第62/459920号に列挙、説明、および/または要約されており、これらの出願の全ては、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0702】
いくつかの実施形態では、スマートフォンはカメラを備え、これは、試料がカメラの視野内に配置されたとき(例えば、アダプタによって)に画像または試料をキャプチャするために使用され得る。ある特定の実施形態では、カメラは、1セットのレンズ(例えば、iPhone(商標)6にあるような)を備える。ある特定の実施形態では、カメラは、少なくとも2セットのレンズ(例えば、iPhone(商標)7にあるような)を備える。いくつかの実施形態では、スマートフォンはカメラを備えるが、カメラは画像キャプチャに使用されない。
【0703】
いくつかの実施形態では、スマートフォンは、これに限定されないが、LED(発光ダイオード)などの光源を備える。ある特定の実施形態では、光源は、試料がカメラの視野内に配置されたとき(例えば、アダプタによって)に試料に照明を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、光源からの光は、アダプタの光学部品によって強化、拡大、変更、および/または最適化される。
【0704】
いくつかの実施形態では、スマートフォンは、試料からの情報を処理するように構成されたプロセッサを備える。スマートフォンは、プロセッサによって実行されると、試料からの信号(例えば、画像)を強化、拡大、および/または最適化することができるソフトウェアの命令を含む。プロセッサは、中央処理デバイス(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、グラフィックス処理デバイス(GPU)、物理処理デバイス(PPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、コントローラ、マイクロコントローラユニット、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、マイクロプロセッサなど、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上のハードウェア部品を含み得る。
【0705】
いくつかの実施形態では、スマートフォンは、試料に関連するデータおよび/または画像を別のデバイスに送信するように構成および/または使用される通信ユニットを備える。単なる例として、通信ユニットは、ケーブルネットワーク、有線ネットワーク、光ファイバーネットワーク、電気通信ネットワーク、イントラネット、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆電話交換網(PSTN)、Bluetoothネットワーク、ZigBeeネットワーク、近距離無線通信(NFC)ネットワークなど、またはそれらの任意の組み合わせを使用することができる。
【0706】
いくつかの実施形態では、スマートフォンは、iPhone(商標)、Android(商標)電話、またはWindows(商標)電話である。
【0707】
(7)検出方法
本明細書に開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、様々な種類の検出方法を含むか、または使用することができる。検出方法は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、第62/456528号、第62/456631号、第62/456522号、第62/456598号、第62/456603号、および第62/456628号、2017年2月9日に出願された米国仮出願62/459276号、第62/456904号、第62/457075号、および第62/457009号、ならびに2017年2月15日に出願された米国仮出願第62/459303号、第62/459337号、および第62/459598号、ならびに2017年2月16日に出願された米国仮出願第62/460083号、第62/460076号に列挙、説明、および/または要約されており、これらの出願の全ては、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0708】
(8)標識、捕捉剤、および検出剤
本明細書に開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、分析物検出に使用される様々な種類の標識、捕捉剤、および検出剤を使用することができる。標識は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において列挙、説明、および/または要約されている。
【0709】
いくつかの実施形態では、標識は、これに限定されないが蛍光標識など、光学的に検出可能である。いくつかの実施形態では、標識には、これらに限定されないが、IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインジクロロトリアジンの5−異性体、ケージドカルボキシフルオレセイン−アラニン−カルボキシアミド、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514;ルシファーイエロー、アクリジンオレンジ、ローダミン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ヨウ化プロピジウム、JC−1(5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’−テトラエチルベンズイミダゾイルカルボシアニンヨウ化物)、テトラブロモローダミン123、ローダミン6G、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)、TMRE(テトラメチルローダミンエチルエステル)、テトラメチルロサミン、ローダミンBおよび4−ジメチルアミノテトラメチルロサミン、緑色蛍光タンパク質、青色にシフトした緑色蛍光タンパク質、シアンにシフトした緑色蛍光タンパク質、赤色にシフトした緑色蛍光タンパク質、黄色にシフトした緑色蛍光タンパク質、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよびアクリジン、アクリジンイソチオシアネートなどの誘導体;5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS);4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタ−アルイミド−3,5ジスルホネート;N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4aジアザ−5−インダセン−3−プロピオン酸BODIPY;カスケードブルー;ブリリアントイエロー;クマリンおよび誘導体:クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151);シアニン色素;シアノシン;4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI);5’,5’ ’−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアアミンペンタアセテート;4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2−,2’−ジスルホン酸;4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;5−(ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、塩化ダンシル);4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC);エオシンおよび誘導体:エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシンおよび誘導体:エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体:5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノ−−フルオレセイン(DTAF)、2’,7’ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC);フルオレスカミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4−メチルウンベリ−フェノオルトクレソルフタレイン;ニトロチロシン;パラロサニリン;フェノールレッド;B−フィコエリスリン;o−フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体:ピレン、ピレン酢酸塩、スクシンイミジル1−ピレン;酪酸塩量子ドット;リアクティブレッド4(Cibacron(商標)ブリリアントレッド3B−A)ローダミンおよび誘導体:6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(ロード)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルホダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ロゾール酸;CALフルオールオレンジ560;テルビウムキレート誘導体;Cy3;Cy5;Cy5.5;Cy7;IRD700;IRD800;ラホーヤブルー;フタロシアニン;ならびにナフタロシアニン、クマリンおよび関連色素、ロドールなどのキサンテン色素、レゾルフィン、ビマン、アクリジン、イソインドール、ダンシル色素、ルミノールなどのアミノフタル酸ヒドラジド、およびイソルミノール誘導体、アミノフタルイミド、アミノナフタルイミド、アミノベンゾフラン、アミノキノリン、ジシアノヒドロキノン、蛍光ユーロピウム、およびテルビウム錯体;それらの組み合わせなどが挙げられる。好適な蛍光タンパク質および発色性タンパク質には、これらに限定されないが、Aequoria victoriaまたはその誘導体、例えば、Enhanced GFPなどの「ヒト化」誘導体に由来するGFP;Renilla reniformis、Renilla mulleri、またはPtilosarcus guernyiなどの別の種からのGFP;「ヒト化」組換えGFP(hrGFP);花虫綱の種の様々な蛍光タンパク質および着色タンパク質のうちのいずれか;それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0710】
任意の実施形態では、QMAXデバイスは、米国仮出願第62/234,538号および/またはPCT出願第PCT/US2016/054025号の表B1、B2、B3、および/またはB7から選択されるバイオマーカーにそれぞれ結合する複数の捕捉剤および/または検出剤を含むことができ、読み取りステップd)は、試料中の複数のバイオマーカーの量の尺度を得ることを含み、試料中の複数のバイオマーカーの量は、疾患または状態の診断に役立つ。
【0711】
任意の実施形態では、捕捉剤および/または検出剤は抗体エピトープであり得、バイオマーカーは抗体エピトープに結合する抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体エピトープは、米国仮出願第62/234,538号および/またはPCT出願第PCT/US2016/054025号の表B4、B5、またはB6から選択される生体分子またはその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体エピトープは、表B5から選択されるアレルゲンまたはその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体エピトープは、米国仮出願第62/234,538号および/またはPCT出願第PCT/US2016/054025号の表B6から選択される感染因子由来生体分子またはその断片を含む。
【0712】
任意の実施形態では、QMAXデバイスは、米国仮出願第62/234,538号および/またはPCT出願第PCT/US2016/054025号の表B4、B5、および/またはB6から選択される複数の抗体エピトープを含むことができ、読み取りステップd)は、試料中の複数のエピトープ結合抗体の量の尺度を得ることを含み、試料中の複数のエピトープ結合抗体の量は、疾患または状態の診断に役立つ。
【0713】
(9)分析物
本明細書に開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、様々な種類の分析物(バイオマーカーを含む)の操作および検出に適用することができる。分析物は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において列挙、説明、および/または要約されている。
【0714】
本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、様々な分析物の検出、精製、および/または定量化に使用することができる。いくつかの実施形態では、分析物は様々な疾患に関連するバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、分析物および/またはバイオマーカーは、疾患の存在、重症度、および/または病期を示す。本発明のデバイス、装置、システム、および/または方法で検出および/または測定できる分析物、バイオマーカー、および/または疾患は、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号、および2016年9月27日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/054025号、および2015年9月29日に出願された米国仮出願第62/234,538号および2015年9月28日に出願された第62/233,885号、2016年2月9日に出願された第62/293,188号、および2016年3月に出願された第62/305,123号に列挙、説明、および/または要約されており、これらは全てそれらの全体において参照により本書に組み込まれる。例えば、本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、(a)ある特定の疾患、例えば、感染症および寄生虫病、傷害、心血管疾患、癌、精神疾患、神経精神疾患、ならびに器質性疾患、例えば、肺疾患、腎疾患の病期と相関する化学化合物または生体分子の検出、精製、および定量化、(b)微生物、例えば、環境、例えば、水、土壌、または生体試料、例えば、組織、体液からのウイルス、真菌、および細菌の検出、精製、および定量化、(c)食品の安全性または国家安全保障を危険にさらす化学化合物または生体試料、例えば、毒性廃棄物、の検出、定量化、たとえば毒性廃棄物、炭疽の検出、定量化、(d)医学的または生理学的モニターにおけるバイタルパラメータ、例えば、グルコース、血中酸素レベル、総血球数の定量化、(e)生体試料、例えば、細胞、ウイルス、体液からの特定のDNAまたはRNAの検出および定量化、(f)ゲノム解析のための染色体およびミトコンドリアのDNAの遺伝子配列の配列決定および比較、または(g)例えば、医薬品の合成または精製中の反応生成物の検出において使用され得る。
【0715】
いくつかの実施形態では、分析物は、バイオマーカー、環境マーカー、または食品マーカーであり得る。いくつかの場合では、試料は液体試料であり、診断試料(唾液、血清、血液、尿、汗、涙、精液、または粘液など);川、海、湖、雨、雪、下水、下水処理流出、農業排水、産業排水、水道水、もしくは飲料水から得られる環境試料;または水道水、飲料水、調理済み食品、処理済みの食品、もしくは生の食品から得られる食品試料であり得る。
【0716】
任意の実施形態では、試料は対象から得られる診断試料であり得、分析物はバイオマーカーであり得、測定される試料中の分析物の量は疾患または状態の診断に役立ち得る。
【0717】
任意の実施形態では、本発明のデバイス、装置、システム、および方法は、試料中のバイオマーカーの測定量を含む情報に基づいて対象を診断することをさらに含むことができる。いくつかの場合では、診断ステップは、測定されたバイオマーカーの量を含むデータを遠隔地に送信し、遠隔地からの測定値を含む情報に基づいて診断を受けることを含む。
【0718】
任意の実施形態では、バイオマーカーは、米国仮出願第62/234,538号、第62/293,188号、および/または第62/305,123号、および/またはPCT出願第PCT/US2016/054,025号に開示されている表B1、2、3、または7から選択され得、これらは全ての目的のためにそれらの全体において組み込まれる。いくつかの場合では、バイオマーカーは、表B1、2、または3から選択されるタンパク質である。いくつかの場合では、バイオマーカーは、表B2、3または7から選択される核酸である。いくつかの場合では、バイオマーカーは、表B2から選択される感染因子由来バイオマーカーである。いくつかの場合では、バイオマーカーは、表B7から選択されるマイクロRNA(miRNA)である。
【0719】
任意の実施形態では、適用ステップb)は、試料からmiRNAを単離して単離されたmiRNA試料を生成すること、および単離されたmiRNA試料をディスク結合ドットオンピラーアンテナ(QMAXデバイス)アレイに適用することを含み得る。
【0720】
任意の実施形態では、QMAXデバイスは、表B1、B2、B3、および/またはB7から選択されるバイオマーカーとそれぞれ結合する複数の捕捉剤を含むことができ、読み取りステップd)は、試料中の複数のバイオマーカーの量の尺度を得ることを含み、試料中の複数のバイオマーカーの量は、疾患または状態の診断に役立つ。
【0721】
任意の実施形態では、捕捉剤は抗体エピトープであり得、バイオマーカーは抗体エピトープに結合する抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体エピトープは、表B4、B5、またはB6から選択される生体分子またはその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体エピトープは、表B5から選択されるアレルゲンまたはその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体エピトープは、表B6から選択される感染因子由来生体分子またはその断片を含む。
【0722】
任意の実施形態では、QMAXデバイスは、表B4、B5、および/またはB6から選択される複数の抗体エピトープを含むことができ、読み取りステップd)は、試料中の複数のエピトープ結合抗体の量の尺度を得ることを含み、試料中の複数のエピトープ結合抗体の量は、疾患または状態の診断に役立つ。
【0723】
任意の実施形態では、試料は環境試料であり得、分析物が環境マーカーであり得る。いくつかの実施形態では、環境マーカーは、米国仮出願第62/234,538号および/またはPCT出願第PCT/US2016/054025号の表B8から選択される。
【0724】
任意の実施形態では、方法は、試料が得られた環境にさらされる対象の安全性または有害性を示すレポートを受信または提供することを含み得る。
【0725】
任意の実施形態では、方法は、測定された環境マーカーの量を含むデータを遠隔地に送信すること、および試料が得られた環境にさらされる対象の安全性または有害性を示すレポートを受信することを含み得る。
【0726】
任意の実施形態では、QMAXデバイスアレイは、表B8から選択される環境マーカーにそれぞれ結合する複数の捕捉剤を含むことができ、読み取りステップd)は、試料中の複数の環境マーカーの量の測定値を得ることを含むことができる。
【0727】
任意の実施形態では、試料は食品試料であり得、分析物は食品マーカーであり得、試料中の食材マーカーの量は、消費する食品の安全性と相関し得る。いくつかの実施形態では、食品マーカーは表B9から選択される。
【0728】
任意の実施形態では、方法は、試料が得られる食品を消費する対象の安全性または有害性を示すレポートを受信または提供することを含み得る。
【0729】
任意の実施形態では、方法は、測定された食料マーカーの量を含むデータを遠隔地に送信すること、および試料が得られる食品を消費する対象の安全性または有害性を示すレポートを受信することを含み得る。
【0730】
任意の実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、米国仮出願第62/234,538号およびPCT出願第PCT/US2016/054025号の表B9から選択される食品マーカーにそれぞれ結合する複数の捕捉剤を含むことができ、得ることは、試料中の複数の食品マーカーの量の測定値を得ることを含むことができ、試料中の複数の食品マーカーの量は、消費する食品の安全性と相関し得る。
【0731】
また、本発明のデバイス、システム、および方法を実施する際に使用を見出すキットも本明細書に提供される。
【0732】
試料の量は、試料の約一滴であり得る。試料の量は、刺した指または指先から収集した量であり得る。試料の量は、マイクロニードルまたは静脈吸引から収集した量であり得る。
【0733】
試料は、供給源からそれを取得した後、さらに処理することなく使用され得るか、または、例えば、対象の分析物の濃縮、大きな粒子状物質の除去、固体試料の溶解または再懸濁などに処理され得る。
【0734】
試料をQMAXデバイスに適用する任意の好適な方法が用いられ得る。好適な方法は、ピペット、スポイト、シリンジなどを使用することを含み得る。ある特定の実施形態では、以下に説明されるように、QMAXデバイスがディップスティック形式の支持体上に位置する場合、ディップスティックの試料受け取り区域を試料に浸漬することによって試料がQMAXデバイスに適用され得る。
【0735】
試料は、一度に、または複数回で収集され得る。経時的に収集された試料は、個別に集約および/または処理され得る(QMAXデバイスに適用し、試料中の分析物の量の測定値を得ることによって)。いくつかの場合によっては、経時的に得られた測定値を集約することができ、経時的な縦断的分析に役立ち、スクリーニング、診断、治療、および/または疾患予防を促進することができる。
【0736】
上記のように、QMAXデバイスを洗浄して未結合の試料構成成分を除去することは、任意の便利な方法で行うことができる。ある特定の実施形態では、結合緩衝剤を使用してQMAXデバイスの表面を洗浄し、未結合の試料構成成分を除去する。
【0737】
分析物の検出可能な標識は、任意の便利な方法で行うことができる。分析物は、直接または間接的に標識され得る。直接標識では、試料がQMAXデバイスに適用される前に、試料中の分析物が標識される。間接標識では、以下に説明されるように、試料がQMAXデバイスに適用された後に、試料中の非標識分析物が標識され、非標識検体が捕捉される。
【0738】
(10)用途
本明細書に開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、様々な用途(分野および試料)に使用することができる。用途は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において列挙、説明、および/または要約されている。
【0739】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、様々な分野の様々な異なる用途で使用され、試料中の1つ以上の分析物の有無、定量化、および/または増幅の判定が望ましい。例えば、ある特定の実施形態では、主題のデバイス、装置、システム、および方法は、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、無機化合物、有機化合物、細菌、ウイルス、細胞、組織、ナノ粒子、およびその他の分子、化合物、混合物、ならびにそれらの物質の検出に使用される。主題のデバイス、装置、システム、および方法が使用され得る様々な分野には、これらに限定されないが、ヒトの疾患および状態の診断、管理、および/または予防、獣医の疾患および状態の診断、管理、および/または予防、植物の疾患または状態の診断、管理、および/または予防、農業用途、獣医学用途、食品検査、環境検査および汚染除去、薬物検査および予防などが挙げられ、使用され得る。
【0740】
本発明の用途には、これらに限定されないが、(a)特定の疾患、または疾患の特定の病期、例えば、感染症および寄生虫病、傷害、心血管疾患、癌、精神疾患、神経精神疾患、ならびに器質性疾患、例えば、肺疾患、腎疾患の病期と相関する化学化合物または生体分子の検出、精製、定量化、および/または増幅、(b)細胞および/または微生物、例えば、環境、例えば、水、土壌、または生体試料、例えば、組織、体液からのウイルス、真菌、および細菌の検出、精製、定量化、および増幅、(c)食品の安全性、ヒトの健康、または国家安全保障を危険にさらす化学化合物または生体試料、例えば、毒性廃棄物、炭疽の検出、定量化、(d)医学的または生理学的モニターにおけるバイタルパラメータ、例えば、グルコース、血中酸素レベル、総血球数の検出および定量化、(e)生体試料、例えば、細胞、ウイルス、体液の特定のDNAまたはRNAの検出および定量化、(f)ゲノム解析のための染色体およびミトコンドリアのDNAの遺伝子配列の配列決定および比較、または(g)例えば、医薬品の合成または精製中の反応生成物の検出および定量化が挙げられる。
【0741】
いくつかの実施形態では、主題のデバイス、装置、システム、および方法は、試料中の核酸、タンパク質、または他の分子もしくは化合物の検出に使用される。ある特定の実施形態では、デバイス、装置、システム、および方法は、例えば、対象の疾患状態の診断、予防、および/または管理に使用されるような、生体試料中の1つ以上、2つ以上、または3つ以上の疾患バイオマーカーの迅速な臨床検出および/または定量化に使用される。ある特定の実施形態では、デバイス、装置、システム、および方法は、環境試料、例えば、川、海、湖、雨、雪、下水、下水処理流出、農業排水、産業排水、水道水または飲料水中の1つ以上、2つ以上、または3つ以上の環境マーカーの検出および/または定量化に使用される。ある特定の実施形態では、デバイス、装置、システム、および方法は、水道水、飲料水、調理済み食品、処理済みの食品、または生の食品から得られる食品試料からの1つ以上、2つ以上、または3つ以上の食品マークの検出および/または定量化に使用される。
【0742】
いくつかの実施形態では、主題のデバイスはマイクロ流体デバイスの一部である。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、装置、システム、および方法を使用して、蛍光または発光信号を検出する。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、装置、システム、および方法は、これらに限定されないが、携帯電話、タブレットコンピュータ、およびラップトップコンピュータなどの通信デバイスを含むか、またはこれらと一緒に使用される。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、装置、システム、および方法は、これらに限定されないが、光学バーコード、無線周波数IDタグ、またはそれらの組み合わせなどの識別子を含むか、またはこれらと一緒に使用される。
【0743】
いくつかの実施形態では、試料は対象から得られた診断試料であり、分析物はバイオマーカーであり、測定された試料中の分析物の量は疾患または状態の診断に役立つ。いくつかの実施形態では、対象のデバイス、システム、および方法は、疾患または状態を有しないか、またはその低いリスクにある個体において測定されたバイオマーカーの量および測定されたバイオマーカーの値の範囲を示すレポートを受信するか、または対象に提供することをさらに含み、測定された値の範囲に対する測定されたバイオマーカーの量は、疾患または状態の診断に役立つ。
【0744】
いくつかの実施形態では、試料は環境試料であり、分析物は環境マーカーである。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、システム、および方法は、試料が得られた環境にさらされる対象の安全性または有害性を示すレポートを受信または提供することを含む。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、システム、および方法は、測定された環境マーカーの量を含むデータを遠隔地に送信すること、および試料が得られた環境にさらされる対象の安全性または有害性を示すレポートを受信することを含む。
【0745】
いくつかの実施形態では、試料は食品試料であり、分析物は食品マーカーであり、試料中の食品マーカーの量は、消費する食品の安全性と相関する。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、システム、および方法は、試料が得られる食品を消費する対象の安全性または有害性を示すレポートを受信または提供することを含む。いくつかの実施形態では、主題のデバイス、システム、および方法は、測定された食料マーカーの量を含むデータを遠隔地に送信すること、および試料が得られる食品を消費する対象の安全性または有害性を示すレポートを受信することを含む。
【0746】
(11)寸法
本明細書に開示されるデバイス、装置、システム、および方法は、プレートおよびスペーサを含むことができるQMAXデバイスを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、QMAXデバイスおよびそのアダプタの個々の構成要素の寸法は、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号、および2016年12月9日に出願された米国仮出願第62,431,639号および2017年2月8日に出願された第62/456,287号に列挙、説明、および/または要約されており、これらは全てそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0747】
いくつかの実施形態では、寸法は以下の表に列挙されている。
【0753】
(12)クラウド
本明細書に開示されるデバイス/装置、システム、および方法は、データ転送、ストレージ、および/または分析のためにクラウド技術を使用することができる。関連するクラウド技術は、本明細書に開示され、それぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号(これらの出願のすべてはすべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において列挙、説明、および/または要約されている。
【0754】
いくつかの実施形態では、クラウドストレージおよびコンピューティング技術は、クラウドデータベースを含むことができる。単なる例として、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウドなど、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)は、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してクラウドに接続され得る。
【0755】
いくつかの実施形態では、試料に関連するデータ(例えば、試料の画像)は、モバイルデバイスによって処理することなくクラウドに送信され、さらなる分析が遠隔で実施され得る。いくつかの実施形態では、試料に関連するデータは、モバイルデバイスによって処理され、結果はクラウドに送信される。いくつかの実施形態では、生データおよび結果の両方がクラウドに転送される。