(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
CRTAMに対する抗体、そのような抗体をコードする核酸、抗体をコードするそのような核酸を含む宿主細胞、抗CRTAM抗体を調製する方法、ならびに疾患、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない、ヒト癌の処置方法が本明細書に開示される。
請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片によって認識されるCRTAMタンパク質上のエピトープに結合するか、または請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体と結合について交差競合する、抗体またはその抗原結合断片。
請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片のヒトCRTAMに対する結合親和性の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保持する、請求項9に記載の抗体またはその抗原結合断片。
前記抗体または抗原結合断片が、1つ以上のFc受容体への結合が低減されているかまたはそれらに結合しない、Fcをサイレンシングした操作されたIgG1抗体または抗原結合断片である、1〜12のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
前記抗体または抗原結合断片が、T細胞の細胞傷害性を誘導および/または増強することができる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
抗体またはその抗原結合断片を作製する方法であって、請求項18に記載の宿主細胞を、前記抗体または前記抗原結合断片が前記宿主細胞において発現される条件下で培養することと、任意選択により前記抗体または抗原結合断片を単離することと、を含む、方法。
癌を有する対象を処置する方法であって、有効量の、請求項1〜15または20のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
前記癌が、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液悪性腫瘍からなる群から選択される、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法または使用。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の態様は、CRTAMに対する抗体、そのような抗体をコードする核酸、本発明の抗体をコードするそのような核酸を含む宿主細胞、抗CRTAM抗体を調製する方法、ならびにCRTAM介在性障害などの疾患、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない、ヒト癌の処置方法を含む。
【0049】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段で明らかに指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように作成され得ることにさらに留意されたい。したがって、この言明は、特許請求の範囲の要素の記載または「否定的」限定の使用に関連する「単独の」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行基準として機能することが意図される。
【0050】
この開示を読んだ当業者には明らかであるように、本明細書に記載されおよび例示される個々の態様のそれぞれは、本発明の範囲または真意から逸脱することなく、他のいくつかの態様の任意の特徴から容易に分離しまたはそれと組み合わせることができる別個の要素および特徴を有する。任意の記載された方法は、記載された事象の順序でまたは論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
【0051】
定義
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、適切な場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数形も含み、逆もまた同様である。
【0052】
本明細書で使用される「CRTAM」という用語は、別段で示されない限り、霊長類(例えば、ヒト、霊長類、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット))などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然CRTAMタンパク質を指す。CRTAMタンパク質は、CRTAM様タンパク質とも称することができる。ヒトCRTAMのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号11で提供される。
【0053】
「CRTAM」という用語は、「完全長」のプロセシングなしのCRTAMおよび細胞でのプロセシングから生じる任意の形態のCRTAMを含む。この用語はまた、CRTAMの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、対立遺伝子バリアント、およびアイソフォームを包含する。この用語は、具体的には、天然に存在する切断型または分泌形態のCRTAMポリペプチド(例えば、細胞外ドメイン配列)を含む。本明細書に記載されるCRTAMポリペプチドは、ヒト組織種または別の供給源などに由来する様々な供給源から単離されるか、または組換えもしくは合成方法によって調製され得る。「天然配列CRTAMポリペプチド」は、天然由来の対応するCRTAMポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このような天然配列CRTAMポリペプチドは、自然から単離し、または組換えもしくは合成手段によって産生することができる。本明細書で使用される「CRTAMエピトープ」という用語は、本明細書に記載されるCDR配列のうちの少なくとも1つ以上を含む抗体によって結合され、および/または実施例に例示される抗CRTAM抗体の結合プロファイルによって例示されるエピトープを指す。
【0054】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的には、例えば、単一の抗CRTAMモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、完全長または無傷のモノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗CRTAM抗体組成物、ポリクローナル抗体、多価抗体、少なくとも2つの無傷の抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限り、二重特異性抗体)、単一鎖抗CRTAM抗体、ならびにFab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(sdAbs)を含む抗CRTAM抗体の抗原結合断片を、それらが所望の生物学的または免疫学的活性を示す限り、包含する。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書では「抗体」という用語と互換的に使用される。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化、および/または親和性成熟であり得る。最小の抗体が本明細書で定義される6つのCDRのセットを含むいくつかの実施形態では、該抗体には、従来の抗体(モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方を含む)、ヒト化、ヒト、および/またはキメラ抗体、抗体断片、操作された抗体(例えば、以下に概説するアミノ酸修飾を含む)、多重特異性抗体(二重特異性抗体)、ならびに当該技術分野で既知であり、本明細書で論じられる他の類似体が含まれるが、これらに限定されないことを当業者は理解するであろう。
【0055】
他の実施形態では、本明細書で使用される抗体という用語は、ナノボディ(Nanobody)(登録商標)、ユニボディ(Unibody)(登録商標)、およびscFv断片を含むがこれらに限定されない、6つのCDRを含まない構造を指すことが理解されるであろう。
【0056】
「抗CRTAM抗体」、「CRTAM抗体」、または「CRTAMに結合する抗体」という用語は、抗体がCRTAMの標的時に診断剤および/または治療剤として有用であるように、十分な親和性でCRTAMに結合することができる抗体を指す。特定の実施形態では、抗CRTAM抗体は、異なる種由来のCRTAM間で保存されているCRTAMのエピトープに結合する。
【0057】
「単離された抗体」は、その環境の成分から同定および分離および/または回収されたものである。その環境の汚染成分は、抗体の治療的使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。
【0058】
標的分子への抗体の結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的な結合」もしくは「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は、非特異的な相互作用とは測定可能な程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般的に結合活性を有さない同様の構造の分子である対照分子の結合と比較して、分子の結合を決定することによって測定することができる。
【0059】
「アンタゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、天然CRTAMポリペプチドの生物活性を部分的または完全に遮断、阻害、または中和する任意の分子を含む。好適なアンタゴニスト分子には、具体的には、アンタゴニスト抗体または抗体断片、天然CRTAMポリペプチドの断片またはアミノ酸配列バリアント、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子などが含まれる。CRTAMポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法は、CRTAMポリペプチドを候補アンタゴニスト分子と接触させること、およびCRTAMポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0060】
「アゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、天然CRTAMポリペプチドの生物活性を増強する任意の分子を含む。好適なアゴニスト分子には、具体的には、アゴニスト抗体または抗体断片、CRTAMリガンドポリペプチドの断片またはアミノ酸配列バリアント、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子などが含まれる。CRTAMポリペプチドのアゴニストを同定する方法は、CRTAMポリペプチドを候補アゴニスト分子に接触させること、およびCRTAMポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0061】
本明細書で使用される「腫瘍」は、悪性または良性にかかわらず、すべての新生物細胞成長および増殖、ならびにすべての前癌性および癌性細胞および組織を指す。本明細書で使用される「予測」および「予後」という用語はまた、予測または予後のための方法により、方法を実施する人が、抗CRTAM抗体を含む抗癌剤による処置に反応する可能性が高いとみなされる患者を選択することが可能になる(必ずしもではないが、通常は処置の前に)いう意味で交換可能である。
【0062】
CRTAMタンパク質
SWISS−PROTによれば、CRTAMはネクチンファミリーのI型膜タンパク質である。このタンパク質は、1つのIg様V型(免疫グロブリン様)ドメイン、1つのIg様C型(免疫グロブリン様)ドメイン(Yeh et al.,Cell.2008 Mar 7;132(5):846−5)、1つの膜貫通領域、および配列番号11のアミノ酸18〜287間の細胞外尾部からなる。
【0063】
該遺伝子は、マウスおよびヒト活性化NKT細胞で最初に同定され(Kennedy et al,J Leukoc Biol.2000 May;67(5):725−34)、その後の研究により、活性化によって厳密に調節され、NKTおよびCD8 T細胞を含むクラスI MHC制限細胞に限定された発現が示された(Patino−Lopez et al,J Neuroimmunol.2006 Feb;171(1−2):145−55)。
【0064】
CRTAMの唯一の既知リガンドは、Necl2であり(Galibert et al,J BiolChem.2005 Jun 10;280(23):21955−64)、リガンドと受容体との間の相互作用は、いずれかの分子のホモフィリック(homophylic)相互作用よりも好ましいと考えられている(Zhang et al,Structure.2013 Aug 6;21(8):1430−9)。CRTAM−Necl2相互作用は、成熟した免疫シナプスの構築を助け、ノンプロフェッショナルAPCによるT細胞刺激の増強を助けると仮定されている。この機能は、CRTAMに対する抗体がNK細胞の細胞傷害性を刺激したNK細胞にも見られる(Boles et al,Blood.2005 Aug 1;106(3):779−86)。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、ヒトCRTAMに結合する。本明細書で使用される「ヒトCRTAM」または「ヒトCRTAMタンパク質」は、本明細書で定義される配列番号11のタンパク質を指す。
【0066】
本発明の実施形態による抗体は、特定の場合では、ヒト以外の種に由来するCRTAMタンパク質と交差反応し得る。例えば、前臨床および毒性試験を容易にするために、本発明の抗体は、マウスまたは霊長類CRTAMタンパク質と交差反応し得る。あるいは、特定の実施形態では、抗体は、ヒトCRTAMタンパク質に特異的であり得、種または他のタイプの非ヒト交差反応性を示さないことがあり得る。
【0067】
抗体
本発明の態様は、本明細書に記載される、抗CRTAM抗体、一般的には治療および/または診断抗体を含む。本発明の方法での使用が見出される抗体は、本明細書にさらに記載される従来の抗体および抗体誘導体、抗原結合断片ならびに模倣物を含む、本明細書に記載される多くの形式のいずれを取ることもできる。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書で定義される6つのCDRのセット(本明細書で説明される少数のアミノ酸変化を含む)から選択される1つ以上のCDRを有する。上記で概説したように、本明細書で使用される「抗体」という用語は、様々な構造を指す。
【0068】
いくつかの実施形態では、IgGアイソタイプが本発明で使用される。一実施形態では、FcをサイレンシングしたIgG1アイソタイプ抗体が使用される。別の実施形態では、IgG4アイソタイプ抗体が使用される。
【0069】
抗体の各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。可変領域では、重鎖および軽鎖のVドメインの各々について3つのループが集まり、抗原結合部位が形成される。各々のループは、相補性決定領域と称され(以下、「CDR」と称する)、アミノ酸配列の変動が最も顕著である。「可変」とは、可変領域の特定のセグメントが抗体間で配列において大きく異なるという事実を指す。可変領域内の変動は均一に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ9〜15個のアミノ酸長またはそれより長い「超可変領域」と呼ばれる非常に可変性の短い領域によって分離された、15〜30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変なストレッチからなる。
【0070】
各VHおよびVLは、3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDR」)および4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に次の順序で配置される:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4。
【0071】
超可変領域は、一般的に、軽鎖可変領域におけるおよそアミノ酸残基24〜34(CDR−L1、「L」は軽鎖を表す)、50〜56(CDR−L2)、および89〜97(CDR−L3)、および重鎖可変領域におけるおよそ31〜35B(CDR−H1、「H」は重鎖を表す)、50〜65(CDR−H2)、および95〜102(CDR−H3);Kabat et al.,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)のアミノ酸残基、ならびに/または超可変ループを形成するアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変領域における残基26〜32(CDR−L1)、50〜52(CDR−L2)、および91〜96(CDR−L3)、および重鎖可変領域における26〜32(CDR−H1)、53〜55(CDR−H2)、および96〜101(CDR−H3);Chothia and Lesk(1987)J.Mol.Biol.196:901−917)を包含する。本発明の具体的なCDRを以下に記載する。
【0072】
本明細書全体を通して、可変ドメイン中の残基(軽鎖可変領域の残基約1〜107および重鎖可変領域の残基約1〜113)を指す場合、Kabat番号付けシステムが一般的に使用される(例えば、Kabat et al.、上記(1991))。
【0073】
CDRは、抗体の抗原結合、より具体的にはエピトープ結合部位の形成に寄与する。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有し得る。
【0074】
免疫グロブリンのIgGサブクラスでは、重鎖中にいくつかの免疫グロブリンドメインがある。本明細書において「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、別個の三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。本発明において関心があるのは、定常重(CH)ドメインおよびヒンジドメインを含む重鎖ドメインである。IgG抗体の文脈において、IgGアイソタイプにはそれぞれ3つのCH領域を有する。
【0075】
重鎖のIgドメインの別のタイプはヒンジ領域である。本明細書における「ヒンジ」または「ヒンジ領域」または「抗体ヒンジ領域」または「免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の第1および第2定常ドメインの間にアミノ酸を含むフレキシブルなポリペプチドを意味する。
【0076】
本発明において特に関心があるのは、Fc領域である。本明細書で使用される「Fc」または「Fc領域」または「Fcドメイン」とは、第1定常領域免疫グロブリンドメインおよびいくつかの場合ではヒンジの一部を除いた抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインのフレキシブルなヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMでは、FcはJ鎖を含み得る。IgGでは、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCγ1(Cγ1)とCγ2(Cγ2)との間の下部ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシル末端に残基C226またはP230を含むように定義され、番号付けはKabatのようなEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、アミノ酸修飾は、例えば、1つ以上のFcγR受容体またはFcRn受容体への結合を変更するために、Fc領域に対して行われる。いくつかの実施形態では、抗体は完全長である。本明細書における「完全長抗体」とは、可変領域および定常領域を含み、任意選択により本明細書に概説される1つ以上の修飾を含む、抗体の天然の生物学的形態を構成する構造を意味する。
【0077】
あるいは、抗体は、抗原結合断片、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体模倣物」と称される場合もある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合体(「抗体コンジュゲート」と称される場合もある)、およびそれぞれの抗原結合断片をそれぞれ含むがこれらに限定されない、様々な構造であり得る。CDRセットの使用に応じた構造は、「抗体」の定義に含まれる。
【0078】
一実施形態では、抗体は抗原結合断片である。特定の抗原結合抗体断片には、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(iv)単一可変領域からなるdAb断片(Ward et al.,1989,Nature 341:544−546、これは参照により完全に組み込まれる)、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの結合したFab断片を含む2価の断片であるF(ab’)2断片、(vii)単鎖Fv分子(scFv)、ここで、VHドメインおよびVLドメインは、ペプチドリンカーによって結合され、該ペプチドリンカーにより、2つのドメインが結合して抗原結合部位を形成することを可能となる(Bird et al.,1988,Science 242:423−426,Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:5879−5883、これは全体が参照により組み込まれる)、(viii)二重特異性単鎖Fv(WO03/11161、参照により本明細書に組み込まれる)、および(ix)遺伝子融合によって構築された多価または多重特異性断片である「ダイアボディ」または「トリアボディ」(Tomlinson et.al.,2000,Methods Enzymol.326:461−479;WO94/13804;Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6444−6448(すべて、それらの全体が参照により組み込まれる)が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
キメラ抗体およびヒト化抗体
いくつかの実施形態では、抗体は、異なる種由来の混合物、例えば、キメラ抗体および/またはヒト化抗体であり得る。すなわち、本発明において、CDRセットは、本明細書において配列により具体的に記載されたもの以外のフレームワークおよび定常領域ととともに使用され得る。
【0080】
一般的に、「キメラ抗体」および「ヒト化抗体」の両方は、2つ以上の種由来の領域を組み合わせた抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は、従来、マウス(またはいくつかの場合ではラット)由来の可変領域およびヒト由来の定常領域を含む。「ヒト化抗体」は、一般的に、可変ドメインフレームワーク領域がヒト抗体に見出される配列と交換された非ヒト抗体を指す。一般的に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト起源のポリヌクレオチドによってコードされるか、またはそのCDR内を除いてそのような抗体と同一である。一部またはすべてが非ヒト生物に由来する核酸によってコードされているCDRは、抗体を作成するためにヒト抗体可変領域のβシートフレームワークに移植され、その特異性は移植されたCDRによって決定される。そのような抗体の作製は、例えば、WO92/11018、Jones,1986,Nature 321:522−525、Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534−1536に記載されており、それらはすべて参照により完全に組み込まれる。一実施形態では、本発明の抗体は、多重特異性抗体、特に、「ダイアボディ」と称される場合もある二重特異性抗体であり得る。これらは、2つ(またはそれ以上)の異なる抗原、または同じ抗原上の異なるエピトープに結合する抗体である。ダイアボディは、当該技術分野で既知の様々な方法で製造することができ(Holliger and Winter,1993,Current Opinion Biotechnol.4:446−449、これは参照により完全に組み込まれる)、例えば化学的にまたはハイブリッドハイブリドーマから調製することができる。
【0081】
一実施形態では、抗体はミニボディである。ミニボディは、CH3ドメインに結合されたscFvを含む最小化抗体様タンパク質である。Hu et al.,1996,Cancer Res.56:3055−3061、これは参照により完全に組み込まれる。いくつかの場合では、scFvは、Fc領域に結合することができ、ヒンジ領域の一部または全体を含み得る。ミニボディは、完全なCDRセットを有していない事実にもかかわらず、「抗体」の定義に含まれることに留意すべきである。
【0082】
本発明の抗体は、一般的に、単離されるか、または組換えである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、組換えタンパク質、単離されたタンパク質、または実質的に純粋なタンパク質である。「単離された」タンパク質は、その天然の状態で通常関連している材料の少なくとも一部を伴わず、例えば、所与の試料中の総タンパク質の少なくとも約5重量%または少なくとも約50重量%を構成する。単離されたタンパク質は、状況に応じて、総タンパク質含量の5〜99.9重量%を構成し得ることが理解される。例えば、タンパク質は、該タンパク質が増加した濃度レベルで作られるように、誘導性プロモーターまたは高発現プロモーターの使用によってより有意に高い濃度で作られ得る。組換えタンパク質の場合、定義には、天然では産生されない、当該技術分野で既知である様々な生物および/または宿主細胞における抗体の産生が含まれる。通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程により調製される。「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。例えば、CRTAMに特異的に結合する単離された抗体は、CRTAM以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。
【0084】
異なる特異性を有する単離されたモノクローナル抗体は、明確に規定された組成で組み合わせることができる。したがって、例えば、本発明の抗体は、以下でさらに論じるように、任意選択によりかつ個別に製剤に含まれるか、または除外され得る。
【0085】
特定の抗原またはエピトープに対する特異的結合は、少なくとも約10
−4M、少なくとも約10
−5M、少なくとも約10
−6M、少なくとも約10
−7M、少なくとも約10
−8M、少なくとも約10
−9M、あるいは少なくとも約10
−10M、少なくとも約10
−11M、少なくとも約10
−12Mまたはそれ以上の抗原またはエピトープに対するK
Dを有する抗原によって示され得、ここで、K
Dは、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指す。典型的には、抗原に特異的に結合する抗体は、対照分子と比較して、抗原またはエピトープに対して20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍またはそれ以上低いK
Dを有する。
【0086】
また、特定の抗原またはエピトープに対する特異的結合は、例えば、対照と比較して、エピトープに対して20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍またはそれ以上大きいK
AまたはK
aを有する抗体によって示され得、ここで、K
AまたはK
aは、特定の抗体−抗原相互作用の結合速度を指す。
【0087】
CRTAMに対する抗体の結合能力を評価するための標準的なアッセイは、タンパク質または細胞レベルで行うことができ、当該技術分野で既知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、Octet(登録商標)、BIAcore(登録商標)アッセイ、およびフローサイトメトリー分析を含む。好適なアッセイは、実施例に詳細に記載されている。抗体の結合速度論(例えば、結合親和性)はまた、Biacore(登録商標)またはOctet(登録商標)システム分析などの当該技術分野で既知の標準的なアッセイによって評価することができる。
【0088】
CRTAM抗体
本発明は、CRTAMポリペプチドまたはその一部に結合するCRTAM抗体を提供する。CRTAMアミノ酸配列の一例は、配列番号11で提供される。対象CRTAM抗体は、腫瘍における免疫応答を増強するために、免疫細胞活性化、例えば、T細胞活性化および/またはNK細胞活性化を誘導または増強することができる。これらの抗体は、本明細書では「抗CRTAM」抗体または説明を簡単にするための「CRTAM抗体」のいずれかで称される。
【0089】
いくつかの実施形態では、対象CRTAM抗体は、表面上にCRTAMを発現するT細胞、特にCD8+T細胞と接触した際に、サイトカインの放出または増殖を誘導および/または増強することができる。この文脈におけるサイトカイン放出またはT細胞増殖は、いくつかの方法で測定することができる。一実施形態では、本発明のCRTAM抗体は、ELISAなどの標準的なアッセイを使用して、活性化T細胞と接触させる。さらなる実施形態では、対象CRTAM抗体は、NK細胞の活性化および死滅を誘導および/または増強することができる。
【0090】
一実施形態では、抗体は、以下のCDRを含む抗体である。さらに、以下で説明するように、これらのCDR配列は、前述の限られた数のアミノ酸バリアントを含むこともできる。
【表2】
【0091】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号5、6、7、15、9、および16で提供されるCDR配列のうちの少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号5、6、7、15、9、および16で提供されるCDR配列のうちの1つ以上のアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0092】
本発明のCDRセットを含む可変重鎖および可変軽鎖、ならびに全長重鎖および軽鎖(例えば、定常領域も含む)も本明細書で開示される。当業者によって理解されるように、本発明のCDRセットは、マウス、ヒト化、またはヒト定常領域(フレームワーク領域を含む)に組み込むことができる。本発明の態様には、本明細書に開示される重鎖可変領域配列(配列番号13)および軽鎖可変領域配列(配列番号14)と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である重鎖可変領域および軽鎖可変領域が含まれる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の本発明のCRTAMモノクローナル抗体とヒトCRTAM上の同じエピトープに結合するか、またはそれと交差競合する抗体(すなわち、CRTAMタンパク質への結合について、本明細書に記載の本発明のモノクローナル抗体と交差競合する能力を有する抗体)を提供する。いくつかの実施形態では、交差競合の研究のための参照抗体は、本明細書で定義される5A11抗体であり得る。そのような交差競合抗体は、5A11抗体と交差競合する能力に基づいて同定することができる。抗体が交差競合するとみなすためには、参照抗体の結合を必ずしも完全に遮断する必要はないことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、参照抗体の結合は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%低下する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、CRTAMへの結合について、リガンドnecl2と競合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0095】
抗体の修飾
本発明は、「抗体誘導体」または「抗体類似体」と称される場合もあるバリアント抗体をさらに提供する。すなわち、CDRにおけるアミノ酸修飾(親和性成熟)、Fc領域におけるアミノ酸修飾、グリコシル化バリアント、および他のタイプの共有結合修飾(例えば、薬物コンジュゲートの結合について)を含むがこれらに限定されない、本発明の抗体に対して行うことができる多くの修飾がある。
【0096】
「バリアント」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾により親ポリペプチドの配列とは異なるポリペプチド配列を意味する。いくつかの実施形態では、親ポリペプチドは、配列番号1もしくは2、13もしくは14に列挙される完全長可変重鎖または軽鎖のいずれかであるか、あるいは配列番号5〜10、15、もしくは16のいずれかに開示されるCDR配列のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、アミノ酸修飾は、置換、挿入、および/または欠失を含むことができ、前者が多くの場合において好ましい。いくつかの実施形態では、置換は保存的置換であり得る。
【0097】
一般的に、バリアントは、本明細書に記載されるように、抗体の機能が依然として存在する限り、任意の数の修飾を含むことができる。例えば、抗体は、依然としてヒトCRTAMに特異的に結合しなければならない。同様に、例えば、アミノ酸バリアントがFc領域内で生成される場合、バリアント抗体は、抗体の特定の用途または適応に必要な受容体結合機能を維持しなければならない。
【0098】
対象抗体の「バリアント」は、本明細書に記載されるように、列挙されたCDR配列のうちの1つ以上、フレームワーク領域のうちの1つ以上、または抗体の定常領域のうちの1つ以上(例えば、Fc領域)のいずれかにアミノ酸変動を有するように作製することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、親配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸修飾は、目的が最小数の修飾で機能を変更することであることが多いゆえに、一般的に利用される。いくつかの実施形態では、1〜5つ(1、2、3、4または5つ)の修飾(例えば、個々のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失)があり、1〜2つ、1〜3つ、および1〜4つではまた、多くの実施形態での用途が見出される。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の抗体のCDR配列のうちの1つ以上は、1つ以上、例えば、1、2、3、4、または5つのアミノ酸修飾、好ましくは1〜4つ、1〜3つ、1つまたは2つの修飾を含む。一般的に、4、5、6、7、8、9、または10個以下の変更がCDRセット内で行われる。
【0100】
アミノ酸修飾数は機能性ドメイン範囲内であり得ることに留意すべきである。例えば、野生型または工学操作されたタンパク質のFc領域では1〜5つの修飾、およびFv領域では1〜5つの修飾などを有することが望ましいものであり得る。変異ポリペプチド配列は、好ましくは、親配列(例えば、可変領域配列、定常領域配列、ならびに/または重鎖および軽鎖配列、ならびに/または例えば抗体5A11のCDR)と少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96、97%、98%、または99%の同一性を有する。
【0101】
本明細書における「アミノ酸置換」または「置換」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを意味する。本明細書で使用される「アミノ酸挿入」または「挿入」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸の付加を意味する。本明細書で使用される「アミノ酸欠失」または「欠失」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸の除去を意味する。
【0102】
本明細書で使用される「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「前駆体ポリペプチド」、または「前駆体タンパク質」とは、後に修飾されてバリアントを生成する非修飾ポリペプチドを意味する。一般的に、本明細書で使用される親ポリペプチドは、5A11ポリペプチド、例えば、5A11V
H鎖もしくはVL鎖またはCDR配列を指し得る。したがって、本明細書で使用される「親抗体」とは、修飾抗体を生成するように修飾された抗体を意味する。
【0103】
本明細書における「野生型」または「WT」または「天然」とは、対立遺伝子変異を含む、天然に見出されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgGなどは、意図的に修飾されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。
【0104】
本明細書における「バリアントFc領域」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾により、野生型Fc配列のものとは異なるFc配列を意味する。Fcバリアントは、Fcポリペプチド自体、Fcバリアントポリペプチドを含む組成物、またはアミノ酸配列を指し得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の抗CRTAM抗体は、変異Fcドメインから構成される。当該技術分野で既知であるように、抗体のFc領域は多くのFc受容体およびリガンドと相互作用し、エフェクター機能と称される一連の重要な機能性能力を付与する。好適な修飾は、1つ以上の位置において、特に、Fc受容体への結合を減少または抑制する特定のアミノ酸置換のために行うことができる。
【0106】
上記で概説した修飾に加えて、他の修飾を行うことができる。例えば、分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みによって安定化され得る(Reiter et al.,1996,NatureBiotech.14:1239−1245、これは参照により完全に組み込まれる)。
【0107】
さらに、以下でさらに記載するように、システインにおける修飾は、抗体ー薬物コンジュゲート(ADC)用途に特に有用である。いくつかの実施形態では、抗体の定常領域は、薬物部分のより特異的かつ制御された配置を可能にするために、特に「チオール反応性」である1つ以上のシステインを含むように工学操作することができる。例えば、米国特許第7,521,541号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0108】
さらに、以下に概説するように行うことができる抗体の様々な共有結合(covalent)修飾がある。
【0109】
抗体の共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれ、常にではないが一般的に翻訳後に行われる。例えば、抗体の特定のアミノ酸残基を、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより、抗体のいくつかのタイプの共有結合修飾が分子に導入される。
【0110】
さらに、当業者によって理解されるように、標識(蛍光、酵素、磁気、放射性などを含む)はすべて、抗体(および本発明の他の組成物)に付加することができる。
【0111】
二重特異性分子
別の態様では、本発明は、本発明の抗CRTAM抗体またはその断片を含む二重特異性および多重特異性分子を含む。本発明の抗体またはその抗原結合部分は、2つの異なる結合部位または標的分子に結合する二重特異性分子を生成するために、別の機能性分子、例えば、別のペプチドまたはタンパク質(例えば、受容体に対する別の抗体またはリガンド)に誘導体化または連結することができる。いくつかの実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合部分は、少なくとも3つの異なる結合部位または標的分子に結合する多重特異性分子を生成するために、少なくとも2つの機能性分子、例えば、他のペプチドまたはタンパク質(例えば、受容体に対する他の抗体またはリガンド)に誘導体化または連結することができる。本発明の二重特異性または多重特異性分子を作製するために、本発明の抗体は、別の抗体、抗体断片、ペプチド、または結合模倣物などの1つ以上の他の結合分子に機能的に連結できることができ(例えば、化学結合、遺伝子融合、非共有結合などにより)、その結果、二重特異性または多重特異性分子が生じる。
【0112】
したがって、本発明は、第1の標的エピトープ(すなわち、CRTAM)に対する少なくとも1つの第1の結合特異性および第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性を含む二重特異性分子を含む。第2の標的エピトープは、第1の結合特異性によって結合されるものと同じ標的タンパク質上に存在し得るか、あるいは、第2の標的エピトープは、第1の結合特異性によって結合されたものとは異なる標的タンパク質上に存在し得る。第2の標的エピトープは、第1の標的エピトープ(すなわち、CRTAM)と同じ細胞上に存在し得るか、あるいは、第2の標的エピトープは、第1の標的エピトープを提示する細胞によって提示されない標的上に存在し得る。本明細書で使用する場合、「結合特異性」という用語は、少なくとも1つの抗体可変ドメインを含む部分を指す。
【0113】
本発明の別の実施形態では、第2の標的エピトープは腫瘍細胞上に存在する。したがって、本発明の態様は、CRTAM発現エフェクター細胞(例えば、CRTAM発現細胞傷害性T細胞)および第2の標的エピトープを発現する腫瘍細胞の両方に結合することができる二重特異性分子を含む。
【0114】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、合計で2つまたは3つのいずれかの抗体可変ドメインを有することができ、二重特異性抗体の第1の部分は、ヒト免疫エフェクター細胞上に位置するエフェクター抗原に特異的に結合することによってヒト免疫エフェクター細胞の活性を動員することができ、該エフェクター抗原は、CRTAMであり、1つの抗体可変ドメインからなる上記第1の部分および二重特異性抗体の第2の部分は、エフェクター抗原以外の標的抗原に特異的に結合することができ、上記標的抗原は、上記ヒト免疫エフェクター細胞以外の標的細胞上に位置し、上記第2の部分は、1つまたは2つの抗体可変ドメインを含む。
【0115】
結合タンパク質が多重特異性である本発明の実施形態では、分子は、抗腫瘍結合特異性および抗CRTAM結合特異性に加えて、第3の結合特異性をさらに含むことができる。一実施形態では、第3の結合特異性は、抗増強因子(EF)部分、例えば、細胞傷害活性に関与する表面タンパク質に結合し、それにより、標的細胞に対する免疫応答を増加させる分子である。「抗増強因子部分」は、所与の分子、例えば、抗原または受容体に結合し、それにより、標的細胞抗原に対する結合決定因子の効果の増強をもたらす、抗体、機能性抗体断片、またはリガンドであり得る。「抗増強因子部分」は、標的細胞抗原に結合することができる。あるいは、抗増強因子部分は、第1および第2の結合特異性が結合する部分とは異なる部分に結合することができる。例えば、抗増強因子部分は、(例えば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM−1、または標的細胞に対する免疫応答の増加をもたらす他の免疫細胞を介して)細胞傷害性T細胞に結合することができる。
【0116】
一実施形態では、本発明の二重特異性タンパク質は、結合特異性として、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、Fd、dAb、または単鎖Fvを含む、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合断片を含む。抗体はまた、軽鎖もしくは重鎖二量体、または米国特許第4,946,778号(その内容は参照により明示的に組み込まれる)に記載されるFvもしくは単鎖構築物などのその任意の最小断片であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性分子において使用することができる抗体は、マウス、ヒト、キメラ、またはヒト化モノクローナル抗体である。
【0118】
特定の標的への二重特異性分子の結合は、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば増殖阻害)、またはウエスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイの各々は、一般的に、目的の複合体に特異的な標識された試薬(例えば、抗体)を使用することにより、特に目的のタンパク質−抗体複合体の存在を検出する。
【0119】
グリコシル化
別のタイプの共有結合修飾は、グリコシル化における変更である。例えば、非グリコシル化抗体(すなわち、グリコシル化を欠く抗体)を作製することができる。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を高めるために変更することができる。そのような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内におけるグリコシル化の1つ以上の部位を変更することによって達成することができる。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークのグリコシル化部位を排除し、それにより、その部位におけるグリコシル化を排除する、1つ以上のアミノ酸置換を行うことができる。そのような非グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を高め得る。このようなアプローチは、Coらによる米国特許第5,714,350号および第6,350,861号にさらに詳細に記載されており、297位のアスパラギンを除去することによって達成することができる。
【0120】
抗体の別のタイプの共有結合修飾は、例えば、Nektar Therapeuticsの2005−2006 PEGカタログ(Nektarウェブサイトで入手可能)米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号、または同第4,179,337号(これらはすべて、参照により完全に組み込まれる)に示される様式で、抗体をポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンなどの様々なポリオールを含むがこれらに限定されない様々な非タンパク質性ポリマーに連結することを含む。さらに、当該技術分野で既知であるように、PEGなどのポリマーの付加を容易にするために、アミノ酸置換を抗体内の様々な位置において行うことができる。例えば、米国特許出願公開第2005/0114037A1号(参照により完全に組み込まれる)を参照のこと。
【0121】
追加の実施形態では、例えば、診断または検出目的での本発明の抗体の使用において、抗体は標識を含み得る。本明細書で「標識される」とは、化合物が、Richard P.HauglandによるMolecular Probes Handbookの第6版(参照により本明細書に明示的に組み込まれる)に記載されるような化合物の検出を可能にするために付加される少なくとも1つの部分、元素、同位体、または化合物を有することを意味する。
【0122】
本発明の抗体を作製するための方法
本発明は、開示された抗CRTAM抗体を産生するための方法をさらに提供する。これらの方法は、本発明の抗体をコードする単離された核酸を含む宿主細胞を培養することを包含する。当業者によって理解されるように、これは、抗体の性質に応じて様々な方法で行うことができる。いくつかの実施形態では、本発明の抗体が完全長の従来抗体である場合、例えば、宿主細胞は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする核酸を含み、抗体が産生され、かつ単離することができるような条件下で培養することができる。
【0123】
本発明の抗体の可変重鎖および軽鎖(タンパク質および核酸配列の両方)は、本明細書に開示されており、これらは、当該技術分野で理解されるように、全長重鎖および軽鎖を生成するように容易に拡張することができる。すなわち、本明細書で概説されるV
HおよびVLセグメントをコードするDNA断片を提供し、これらのDNA断片を、例えば、可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、またはscFv遺伝子に変換するように、標準的な組換えDNA技術でさらに操作することができる。これらの操作では、VLまたはV
HをコードするDNA断片は、抗体定常領域またはフレキシブルなリンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。この文脈で使用される「作動可能に連結された」という用語は、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームであるように、2つのDNA断片が結合されることを意味する。
【0124】
V
H領域をコードする単離されたDNAは、V
HをコードするDNAを重鎖定常領域(C
H1、C
H2、およびC
H3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより、完全長重鎖遺伝子に変換することができる。マウス重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,US Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242)、これらの領域を含むDNA断片は、標準的なPCR増幅によって取得することができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常領域であり得る。好ましい一実施形態では、重鎖定常領域は、IgG1またはIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子では、V
HをコードするDNAは、重鎖C
H1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することができる。
【0125】
VL領域をコードする単離されたDNAは、V
LをコードするDNAを軽鎖定常領域C
Lをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより、全長軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。マウス軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,US Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242)、これらの領域を含むDNA断片は、標準的なPCR増幅によって取得することができる。好ましい一実施形態では、軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域である。
【0126】
scFv抗体断片をコードするポリヌクレオチド配列を作製するために、V
HおよびVLをコードするDNA断片をフレキシブルなリンカーをコードする、例えばアミノ酸配列(Gly
4−Ser)
3をコードする別の断片に作動可能に連結し、その結果、V
HおよびVL配列は、連続する単鎖タンパク質として発現でき、VLおよびV
H領域はフレキシブルなリンカーによって連結されている(例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423−426;Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;McCafferty et al.,(1990)Nature348:552−554を参照のこと)。
【0127】
本発明の態様は、本発明の抗体をコードする核酸を含む。そのようなポリヌクレオチドは、重鎖および軽鎖のそれぞれの可変領域および定常領域の両方をコードするが、他の組み合わせもまた、本明細書に記載される組成物に従って本発明によって企図される。本発明の態様は、開示されたポリヌクレオチドに由来するオリゴヌクレオチド断片、およびこれらのポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む。
【0128】
本発明の実施形態によるポリヌクレオチドは、RNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、核酸類似体、および合成DNAの形態であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、DNA分子は二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖である場合、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。ポリペプチドをコードするコード配列は、本明細書で提供されるコード配列と同一であるか、または遺伝子コードの冗長性または縮重の結果として、本明細書で提供されるDNAと同じポリペプチドをコードする異なるコード配列であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体をコードする核酸は、染色体外であり得るか、またはそれが導入される宿主細胞のゲノムに組み込まれるように設計され得る発現ベクターに組み込まれる。発現ベクターは、任意の数の適切な調節配列(転写および翻訳制御配列、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、複製起点などを含むがこれらに限定されない)または他の成分(選択遺伝子など)を含むことができ、これらはすべて、当該技術分野で周知であるように作動可能に連結される。いくつかの場合では、2つの核酸が使用され、それぞれが異なる発現ベクターに入れられ(例えば、第1の発現ベクターには重鎖、第2の発現ベクターには軽鎖)、あるいは同じ発現ベクターに入れることができる。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計は、宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存し得ることが当業者に理解されるであろう。
【0130】
一般的に、核酸および/または発現は、選択された宿主細胞に適切な任意の方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)を使用して、好適な宿主細胞に導入して組換え宿主細胞を作製することができ、その結果、分子が(例えば、ベクター中の、細胞でのプロセスによって作成された構築物中の、宿主細胞ゲノムに組み込まれた)1つ以上の発現制御エレメントに作動可能に連結される。得られた組換え宿主細胞は、発現に好適な条件下で(例えば、誘導物質の存在下で、好適な非ヒト動物において、適切な塩、増殖因子、抗生物質、栄養補助剤などが補充された好適な培地中で)維持することができ、それにより、コードされたポリペプチドが産生される。いくつかの実施形態では、重鎖および軽鎖は同じ宿主細胞で産生される。いくつかの実施形態では、重鎖は1つの宿主細胞で産生され、軽鎖は別の宿主細胞で産生される。
【0131】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野で既知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293細胞、NSO細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHepG2)、および多くの他の細胞株を含むがこれらに限定されない、American Type Culture Collection(ATCC)、マナサス、バージニア州から入手可能な多くの不死化細胞株を含む。細菌、酵母、昆虫、および植物を含むがこれらに限定されない非哺乳動物細胞も、組換え抗体を発現するために使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、ウシまたはニワトリなどのトランスジェニック動物で産生することができる。
【0132】
抗体分子生物学、発現、精製、およびスクリーニングの一般的な方法は周知であり、例えば、米国特許第4,816,567号、同第4,816,397号、同第6,331,415号、および同第7,923,221号、ならびにKontermann & Dubelによって編集されたAntibody Engineering,Springer,Heidelberg,2001 and 2010 Hayhurst & Georgiou,2001,Curr Opin Chem Biol 5:683−689、Maynard & Georgiou,2000,Annu Rev Biomed Eng 2:339−76、およびMorrison,S.(1985)Science229:1202を参照のこと。
【0133】
医薬組成物
本発明の態様は、薬学的に許容される担体ととともに製剤化された、本発明の1つ以上のCRTAM抗体もしくはその抗原結合部分(またはCRTAM抗体もしくはその抗原結合部分の組み合わせ)を含む組成物、例えば医薬組成物を含む。このような組成物は、本発明の(例えば2つ以上の異なる)抗体または二重特異性分子のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するかまたは補体活性を有する抗体の組み合わせを含むことができる。
【0134】
本発明の医薬組成物は、併用療法において、すなわち他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の抗腫瘍剤または抗炎症剤もしくは免疫抑制剤と組み合わせた本発明の抗体を含むことができる。併用療法で使用することができる治療剤の例は、本発明の抗体の使用に関するセクションで以下により詳細に記載される。
【0135】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合性である任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、または表皮投与(例えば、注射または注入による)に好適である。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち抗体または抗体断片は、化合物を不活性化し得る酸および他の自然条件の作用から化合物を保護するための材料でコーティングされ得る。
【0136】
本発明の医薬化合物は、1つ以上の薬学的に許容される塩を含み得る。「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の生物活性を保持し、任意の望ましくない毒性効果をもたらさない塩を指す(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと)。本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される抗酸化剤も含み得る。本発明の医薬組成物で使用され得る好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、オリーブオイルなどの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。好適な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0137】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤を含み得る。微生物の存在の防止は、上記の滅菌手順、ならびに例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤を含有させることの両方によって確保し得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含有させることが望ましいこともあり得る。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を含有させることによって、注射可能な医薬形態の吸収を延ばすことができる。
【0138】
薬学的に許容される担体には、無菌の水溶液または分散液、および無菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製のための無菌の粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で既知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、本発明の医薬組成物中の該活性化合物の使用が企図される。補足的な活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0139】
投与計画は、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように調整される。例えば、単一のボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の緊急要件によって示されるのに従って用量を比例して減少または増加させることができる。投与の容易性および投与量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、処置される対象のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要な薬学的担体に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴および達成される特定の治療効果、および(b)個人における過敏性の処置のためにそのような活性化合物を調合する技術分野に特有の制限によって決定され、それらに直接依存する。
【0140】
抗体の投与において、投与量は、約0.0001〜100mg/kg、約0.001〜50mg/kg、約0.001〜10mg/kg、約0.01〜10mg/kg、より通常は0.01〜5mg/kg宿主体重の範囲であり得る。例えば、投与量は、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、4mg/kg体重、5mg/kg体重、7.5mg/kg体重、もしくは10mg/kg体重、または0.1〜5mg/kgもしくは1〜10mg/kgの範囲内であり得る。処置計画の例には、毎日、隔日、週に2回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、月に1回、3ヶ月に1回、または3〜6ヶ月に1回の投与が包含される。本発明の抗CRTAM抗体の好ましい投与計画には、静脈内投与による1mg/kg体重、3mg/kg、5mg/kg、または10mg/kg体重が含まれ、抗体は以下の投与スケジュールのうちの1つを使用して与えられる:(i)毎週6回投与、その後は毎月、(ii)毎週、(iii)3mg/kg体重を1回投与、続いて1mg/kg体重を毎週投与。
【0141】
いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2つ以上のモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投与量は示された範囲内である。いくつかの実施形態では、抗体は複数時に投与される。単回投与間の間隔は、例えば、毎週、毎月、3ヶ月毎、または毎年であり得る。患者の標的抗原に対する抗体の血中レベルの測定によって示されるのに従って、間隔は不規則であり得る。いくつかの実施形態では、投与量は、約1〜1000μg/mlの血漿抗体濃度、いくつかの方法では約25〜300μg/mlを達成するように調整される。
【0142】
いくつかの実施形態では、抗体は持続放出製剤として投与することができ、その場合、より少ない頻度の投与が必要である。投与量および頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変動する。一般的に、ヒト抗体は最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体が続く。投与量および投与頻度は、処置が予防的であるかまたは治療的であるかに応じて変動し得る。予防的用途では、比較的低い投与量が比較的低い頻度の間隔で長期間にわたって投与される。一部の患者は、余生において処置を受け続ける。治療的用途では、疾患の進行が低減または終了するまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投与量が必要になる場合がある。その後、患者に予防計画を施すことができる。
【0143】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性のない、特定の患者、組成物、および投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るために変動し得る。選択された投与量レベルは、使用される本発明の特定の組成物またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄率、処置期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態、および以前の病歴、ならびに医学の分野で周知の要因などを含む様々な薬物動態因子に依存する。
【0144】
本発明の抗CRTAM抗体の「治療有効投与量」は、好ましくは、疾患症状の重症度の軽減、疾患無症状期間の頻度および期間の増加、または疾患の苦しみに起因する障害(impairment)もしくは障害(disability)の防止をもたらす。例えば、「治療有効投与量」は、未処置の対象と比較して、細胞増殖または腫瘍増殖を好ましくは少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%阻害する。腫瘍増殖を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル系で評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、化合物が細胞増殖を阻害する能力を調べることによって評価することができ、そのような阻害は、当業者に既知のアッセイによってインビトロで測定することができる。治療有効量の治療用化合物は、腫瘍サイズを減少させるか、またはその他では対象における症状を改善することができる。当業者は、対象のサイズ、対象の症状の重症度、および特定の組成物または選択された投与経路などの要因に基づいて、そのような量を決定することができるであろう。
【0145】
本発明の組成物は、当該技術分野で既知の様々な方法のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の投与経路を介して投与することができる。当業者によって理解されるように、投与経路および/または投与様式は所望の結果に応じて変動するであろう。本発明の抗体の好ましい投与経路には、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄、または例えば注射もしくは注入による他の非経口投与経路が含まれる。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、ならびに胸骨内(intrasternal)注射および注入が含まれるが限定されない。
【0146】
あるいは、本発明の抗体は、局所、表皮、または粘膜投与経路などの非経口経路を介して、例えば、鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下、または局所で投与することができる。
【0147】
活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの、急速な放出から化合物を保護する担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤を調製するための多くの方法は、特許を取得しているか、または当業者に一般的に既知である(例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems(1978)J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,N.Yを参照のこと)。
【0148】
特定の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体は、インビボでの適切な分布を確実にするように製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本発明の治療用化合物が確実にBBBを通過することを確実にするために(所望の場合)、該治療用化合物は、例えば、リポソームに製剤化され得る。リポソームの製造方法については、例えば、米国特許第4,522,811号、同第5,374,548号、および同第5,399,331号を参照のこと。リポソームは、特定の細胞または器官に選択的に輸送される1つ以上の部分を含み、したがって、標的化薬物送達を増強することができる(例えば、V.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685を参照のこと)。例示的な標的化部分には、葉酸またはビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号を参照のこと)、マンノシド(Umezawa et al.(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038)、抗体(P.G.Bloeman et al.(1995)FEBS Lett.357:140;M.Owais et al.(1995)Antimicrob.Agents Chemother.39:180)、界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al.(1995)Am.J.Physiol.1233:134)、p120(Schreier et al.(1994)J.Biol.Chem.269:9090;K.Keinanen;M.L.Laukkanen(1994)FEBS Lett.346:123;JJ Killion;I.J.Fidler(1994)Immunomethods 4:273も参照のこと)が含まれる
【0149】
使用および方法
本発明の抗体、抗体組成物、および方法は、免疫介在性障害の診断および処置を含む、多くのインビトロおよびインビボでの診断および治療有用性を有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、これらの分子は、培養中の細胞にインビトロもしくはエクスビボで投与するか、またはヒト対象に例えばインビボで投与して、様々な障害を処置、予防、および/または診断することができる。本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。非ヒト動物には、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類などの哺乳動物および非哺乳動物が含まれる。好ましい対象には、ヒト患者が含まれる。CRTAMに対する抗体が別の薬剤と一緒に投与される場合、この2つはいずれかの順序でまたは同時に投与することができる。
【0151】
CRTAMに対する本発明の抗体の特異的結合が与えられると、本発明の抗体は、免疫細胞の表面上のCRTAM発現を特異的に検出するために使用することができ、さらに、免疫親和性精製によってCRTAMを精製するために使用することができる。
【0152】
さらに、免疫細胞上でのCRTAMの発現を所与として、本発明の抗体、抗体組成物、および方法は、腫瘍形成障害、例えば、腫瘍細胞の存在を特徴とする障害、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌腫、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液学的悪性腫瘍を有する対象を処置するために使用することができる。
【0153】
一実施形態では、本発明の抗体は、癌、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液悪性腫瘍の処置に使用される。
【0154】
さらなる実施形態では、本発明の抗体は、癌、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液悪性腫瘍の処置のための医薬の製造において使用される。
【0155】
一実施形態では、本発明の抗体(例えば、モノクローナル抗体、抗体断片、ナノボディ、多重特異性および二重特異性分子および組成物など)は、CRTAMのレベルまたは膜上にCRTAMを含む免疫細胞のレベルを検出するために使用することができ、次いで、このレベルは、診断のために特定の疾患症状と結び付けることができる。
【0156】
別の実施形態では、本発明の抗体(例えば、モノクローナル抗体、多重特異性および二重特異性分子および組成物)は、インビトロでの治療または診断使用に関連する結合活性について最初に試験することができる。例えば、本発明の組成物は、以下の実施例に記載されるフローサイトメトリーアッセイを使用して試験することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体(例えば、モノクローナル抗体、多重特異性および二重特異性分子および組成物)は、疾患の治療および診断において追加の有用性を有する。例えば、モノクローナル抗体、多重特異性または二重特異性分子は、以下の生物活性のうちの1つ以上をインビボまたはインビトロで誘発するために使用することができる:免疫細胞活性を誘導および/または増強すること、CRTAMを発現するヒトエフェクター細胞の存在下で細胞の食作用もしくはADCCを媒介すること、またはCRTAMリガンドがCRTAMに結合するのを遮断すること。
【0158】
特定の実施形態では、抗体(例えば、モノクローナル抗体、多重特異性および二重特異性分子および組成物)は、様々な疾患を処置、予防、または診断するためにインビボで使用される。関連する疾患の例には、特に、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、ならびに血液悪性腫瘍を表すヒト癌組織が含まれる。
【0159】
本発明の抗体組成物(例えば、モノクローナル抗体、多重特異性および二重特異性分子および組成物)をインビボおよびインビトロで投与する好適な経路は、当該技術分野で周知であり、当業者によって選択され得る。例えば、抗体組成物は、注射(例えば、静脈内または皮下)によって投与することができる。使用される分子の好適な投与量は、対象の年齢および体重、ならびに抗体組成物の濃度および/または製剤化に依存する。
【0160】
前述のように、本発明の抗CRTAM抗体は、1つ以上の追加の治療剤、例えば、免疫刺激剤、細胞傷害性剤、放射性毒性剤、または免疫抑制剤と共投与することができる。抗体は、(免疫複合体として)薬剤に連結することができ、または薬剤とは別に投与することができる。後者の場合(別々の投与)では、抗体は、薬剤の前、薬剤の後、もしくは薬剤と同時に投与することができ、または他の既知の治療、例えば抗癌治療、例えば放射線治療と共投与することができる。そのような治療剤には、特に、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシル、およびシクロホスファミドヒドロキシウレアなどの抗悪性腫瘍剤が含まれ、これらはそれ自体、患者にとって毒性または準毒性のレベルでのみ有効である。本発明の抗体との共投与に好適な他の薬剤には、アバスチン(Avastin)(登録商標)、5FU、およびゲムシタビンなどの癌の処置に使用される他の薬剤が含まれる。本発明の抗CRTAM抗体またはその抗原結合断片と化学療法剤との共投与は、ヒト腫瘍細胞に細胞傷害性効果をもたらす異なる作用機構を介して作用する2つの抗癌剤を提供する。そのような共投与は、薬物に対する耐性の発生または腫瘍細胞の抗原性の変化に起因する問題を解決することができる。
【0161】
標的特異的エフェクター細胞、例えば、本発明の組成物(例えば、モノクローナル抗体、多重特異性および二重特異性分子)に連結されたエフェクター細胞はまた、治療剤として使用され得る。標的化のためのエフェクター細胞は、マクロファージ、好中球、または単球などのヒト白血球であり得る。他の細胞には、好酸球、ナチュラルキラー細胞、および他のIgGまたはIgA受容体保有細胞が含まれる。所望の場合、エフェクター細胞を処置される対象から得ることができる。標的特異的エフェクター細胞は、生理学的に許容される溶液中の細胞の懸濁液として投与することができる。投与される細胞の数は、10
8〜10
9のオーダーであり得るが、治療目的に応じて変化するであろう。
【0162】
標的特異的エフェクター細胞による治療は、他の技術と組み合わせて行うことができる。例えば、本発明の組成物(例えば、モノクローナル抗体、多重特異性および二重特異性分子)および/またはこれらの組成物とともに用いるエフェクター細胞を使用する抗腫瘍療法は、化学療法と組み合わせて使用することができる。さらに、併用免疫療法は、2つの別個の細胞傷害性エフェクター集団を腫瘍細胞拒絶に対して指向性にし得る。
【0163】
本発明の二重特異性および多重特異性分子はまた、細胞表面上の受容体を捕捉および排除することなどによってエフェクター細胞上のFcγRまたはFcγRレベルを調節するために使用することができる。抗Fc受容体の混合物もこの目的のために使用することができる。
【0164】
本発明の態様は、本発明の抗体組成物(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性または多重特異性分子)および例えば癌の処置におけるその使用のための説明書を含むキットを含む。キットは、免疫抑制試薬、細胞傷害性剤もしくは放射線毒性剤などの1つ以上の追加の試薬、または本発明の1つ以上の追加の抗体(例えば、第1抗体とは別個のCRTAM抗原のエピトープに結合する補体活性を有する抗体)をさらに含むことができる。
【0165】
したがって、本発明の抗体組成物で処置された患者は、(本発明の抗体の投与の前、それと同時、またはその後に)抗体の治療効果を増強または増大する、細胞傷害性剤または放射線毒性剤などの別の治療剤をさらに投与できる。
【0166】
他の実施形態では、対象は、例えば対象をサイトカインで処置することによってFcγまたはFcγ受容体の発現または活性を調節する、例えば増強または阻害する薬剤でさらに処置することができる。多重特異性分子による処置中の投与に好ましいサイトカインには、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、および腫瘍壊死因子(TNF)が含まれる。
【0167】
本発明の組成物(例えば、抗体、多重特異性および二重特異性分子)はまた、FcγRまたはCRTAMを発現する細胞を、例えばそのような細胞を標識するために標的化するために使用することができる。そのような使用のため、検出することができる分子に結合剤を連結することができる。したがって、本発明は、FcγRなどのFc受容体またはCRTAMを発現するエクスビボまたはインビトロ細胞を局在化させる方法を提供する。検出可能な標識は、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る。
【0168】
特定の実施形態では、本発明は、抗体またはその部分とCRTAMとの間での複合体の形成を可能にする条件下で、試料および対照試料をCRTAMに特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合部分と接触させることを含む、試料中のCRTAM抗原の存在を検出するための方法またはCRTAM抗原の量を測定するための方法を提供する。次いで、複合体の形成が検出され、対照試料と比較した試料間の複合体形成の差異が試料中のCRTAM抗原の存在を示す。
【0169】
他の実施形態では、本発明は、対象における免疫介在性障害、例えば、ヒト癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌および腺癌を含む)、メラノーマを含む皮膚癌、乳癌(TNBCを含む)、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌を含む肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、膀胱癌および他の尿路上皮癌、胃癌(stomach cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、精巣癌、甲状腺癌、骨癌、胆嚢癌および胆管癌、子宮癌、副腎癌、肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍、および血液悪性腫瘍を治療するための方法を提供する。
【0170】
すべての論文、刊行物、特許、特許出願、発表物、テキスト、レポート、原稿、パンフレット、書籍、インターネット投稿、ジャーナル記事、定期刊行物、製品ファクトシートなどを含むが限定されない、本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書での参考文献の議論は、その著者による主張を単に要約することを意図しており、いかなる参考文献も先行技術を構成することを認めるものではなく、本出願人は、引用された参考文献の正確性および妥当性に異議を申し立てる権利を留保する。
【0171】
前述の発明は、理解を明確にする目的のために例示および例としていくらか詳細に記載したが、従属請求項の真意または範囲から逸脱することなく、本発明に対して特定の変更および修正が可能であることは、本発明の教示に照らして、当業者に容易に明らかであろう。
【0172】
本発明は、さらなる限定として解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに例示される。以下の実施例、配列、および図は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の真意から逸脱することなく、示された手順において修正を行うことができることが理解される。
【実施例】
【0173】
実施例1:抗体の産生およびスクリーニング
ハイブリドーマの生成
ラットモノクローナル抗CRTAM抗体を遺伝子免疫により産生した。CRTAM ECD(配列番号12)を使用して、免疫化のためのプラスミドpB8−CRTAM−hum.ECD(Aldevron、フライブルク)を作成した。プラスミドpB8−CRTAM−hum.ECDを使用して、3匹のラットを免疫化した。免疫化したラット由来の脾細胞を骨髄腫細胞株と融合させ、業界の標準的手法を使用してハイブリドーマを生成した。
【0174】
ラットの免疫化および力価試験
動物をベクター(pB8−CRTAM−hum.ECD)で免疫化した。免疫化動物の血清中の標的特異的抗体(「抗体力価」)の存在を検出するために、フローサイトメトリーに基づくアッセイ(FACS試験)を行った。
【0175】
ハイブリドーマスクリーニング
FACSアッセイを使用して、過剰発現しているハイブリドーマ細胞を同定した。一次スクリーニングから、108個のハイブリドーマクローンが陽性であると同定された。
【0176】
二次スクリーニング
組換えhCRTAM/Fcキメラ(R&D Systems、カタログ1695−CR)を、1×Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(カタログ番号12−565−136、Thermo Scientific)で希釈した高結合アッセイプレート(カタログ番号SH30028−03、Thermo Scientific)に100ng/ウェルでコーティングした。Tecan Hydro speed 96ウェルプレートウォッシャーを使用して、プレートを洗浄用緩衝液、1×DPBS、および0.05%Tween20(カタログ番号BP337−500、Fisher Scientific)で3回洗浄した。
【0177】
抗原でコーティングしたプレートを、洗浄後、スーパーブロック(superblock)(Thermo fisherから入手可能)溶液で室温(RT)で1時間ブロッキングした。
【0178】
100μlのハイブリドーマ上清をELISA緩衝液(ELISA緩衝液、1×DPBS、0.05%Tween20、および1%ウシ血清アルブミン、カタログ番号SH30574.02、Thermo Scientific)中に1:5で希釈して、各ウェルに添加した。一次抗体のインキュベーション後、プレートを洗浄用緩衝液で3回洗浄した。HRP結合二次抗体、ヤギ抗ラットIgGを、ELISA緩衝液(H&L chain−specific Jackson Immunoresearch、カタログ番号112−035−167)で1:5000希釈し、プレートに室温で1時間添加した。プレートを洗浄用緩衝液で3回洗浄した。1−Step Ultra TMB−ELISA(カタログ番号34028、Thermo Scientific)を各ウェルに添加して、検出可能なシグナルを発生させた。信号が完全に発生した後、2N硫酸(カタログ番号8140−16、Ricca Chemical Company)をすべてのウェルに添加して反応を停止させた。各試料の光学密度(OD)を、VERSA maxマイクロプレートリーダーを使用して、波長450nmにおいて決定した。
【0179】
実施例2:CRTAMに対するモノクローナル抗体の構造的特徴
モノクローナル抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードするcDNA配列を標準的なPCR技術を使用して得て、標準的なDNA配列決定技術を使用して配列決定した。スクリーニングから選択された5A11の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を
図1に示す。
【0180】
5A11の重鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および1に示されている。
【0181】
5A11の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号4および2に示されている。
【0182】
CDR領域決定のKabatシステムを使用した5A11 VH配列のさらなる分析により、配列番号5、6、および7にそれぞれ示される、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3領域の描写が得られた。
図1aは、CDR1、CDR2、およびCDR3が四角で囲まれた5A11 VH配列を示す。
【0183】
CDR領域決定のKabatシステムを使用した5A11 VL配列のさらなる分析により、配列番号8、9、および10にそれぞれ示される、軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3領域の描写が得られた。
図1bは、CDR1、CDR2、およびCDR3が四角で囲まれた5A11 VL配列を示す。
【0184】
実施例3:フローサイトメトリー分析により決定されたCRTAMに対するモノクローナル抗体の特異性
インビトロ活性化T細胞の調製
上記のように、末梢血単核細胞(PBMC)をヒトバフィーコートから単離した。2E6細胞/ml PBMCを、T細胞培養培地(5%FBSを含むAIM V培地、カタログ#SH3008703、Fisher、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)および300u IL2(カタログ#200−02、Peprotech、ロッキーヒル、ニュージャージー州)において、100ng/mlの抗CD3(OKT3)の存在下で4日間培養した。この後、細胞を抗CD3/抗CD28活性化ビーズ(カタログ#11132D、Thermo Fisher、ウォルサム、マサチューセッツ州)で24時間培養した後、FACS分析を行った(データは示していない)。
【0185】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
蛍光活性化細胞選別(FACS)分析を標準プロトコルに従って96ウェルプレート形式で実施した。活性化T細胞を上記のようにして調製した。染色プロトコルの後続のすべてのステップは、室温で行った遠心分離ステップを除いて、氷冷試薬を用いて氷上で実施した。抗体の3倍連続希釈液をFACS緩衝液中に調製し、133nM〜1pMの範囲の最終濃度での12点の滴定曲線を得た。対応するハイブリドーマ上清、アイソタイプ対照、および陽性対照抗体を氷冷FACS緩衝液中で希釈して、最終濃度30nMの単一点で試験した。抗体希釈液を、各細胞株について1つのウェルにそれぞれ分注した(100μL/ウェル)。1つのウェルはFACS緩衝液で未染色のままであった。一次抗体または対照とともに30分間インキュベーションした後、FACS緩衝液を添加することによって細胞を2回洗浄し、続いて1200rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、細胞ペレットを保持した。二次抗体、ヤギ抗ラットIgG(H+L)−RPEを1μg/mLの作用(working)濃度に希釈し、一次抗体で染色されていないウェルのうちの1つを除くすべてのウェルに適用した。二次抗体を細胞とともに30分間インキュベートした。細胞を、FACS緩衝液を添加することによって2回洗浄し、続いて1200rpmで5分間遠心分離した。最終細胞ペレットを、150μLのFACS緩衝液+50μlの4%パラホルムアルデヒドに再懸濁し、フローサイトメーターで取得する準備をするまで固定した。取得するまでプレートを4℃で放置した。Guava Easycyte Plusハイスループットフローサイトメーター(96ウェルプレート)を使用して、各試料の幾何平均蛍光強度(GMFIまたは幾何平均(Geo Mean))を決定し、Guava Cytosoft Proソフトウェアモジュール、バージョン2.2.2(Millipore、ビレリカ、マサチューセッツ州)を使用して、生データを分析した。Geo Meanを抗体濃度に対してプロットし、GraphPad(商標)Prismソフトウェアを使用して、非線形回帰、シグモイド用量反応分析を行い、活性化T細胞への抗体結合についてのEC50を計算した。
【0186】
図3は、市販の抗CRTAM抗体CR24.1(BioLegend)と比較した、活性化T細胞への5A11特異的用量関連結合を示す。見て分かるように、抗体5A11は活性化T細胞への優れた結合を示す。
【0187】
実施例4:抗CRTAM抗体の交差反応性
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)分析を標準的なプロトコルに従って96ウェルプレート形式で行った。96ウェルELISAプレート(カタログ番号12−565−136、Thermo Scientific)を、4℃で一晩、1×Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)中の1μg/mL cyno CRTAM HIgG1−Fcタンパク質100μl(カタログ番号SH30028−03、Thermo Scientific)でコーティングした。プレートを洗浄用緩衝液、1×DPBS、および0.05%Tween20(カタログ番号BP337−500、Fisher Scientific)で3回洗浄し、250μlのスーパーブロック緩衝液(カタログ番号37515、Thermo Scientific)で室温で30分間ブロッキングした後、洗浄用緩衝液で再度3回洗浄した。
【0188】
抗CRTAM抗体をELISA緩衝液、1×DPBS、0.05%Tween20、および1%ウシ血清アルブミン(カタログ番号SH30574.02、Thermo Scientific)で1:3に段階希釈し、濃度は0.003〜2μg/mlの範囲の最終濃度での8点の滴定曲線を得て、2つ組でウェルに適用した。最後のウェルはELISA緩衝液でブランクのままとした。一次抗体とともに60分間インキュベーションした後、プレートを洗浄用緩衝液中で3回洗浄した。
【0189】
二次抗体、ペルオキシダーゼ結合AffiniPureヤギ抗ラットIgG(H+L)をELISA緩衝液で1:5000に希釈し、CRTAM抗体およびアイソタイプ対照を含むウェルに60分間適用した。ペルオキシダーゼ結合AffiniPure F(ab’)2断片ヤギ抗マウスIgG(H+L)もELISA緩衝液で1:5000に希釈し、CR24.1を含むウェルに60分間適用した。
【0190】
プレートを洗浄用緩衝液で3回洗浄した。1−Step Ultra TMB−ELISA(カタログ番号34028、Thermo Scientific)を各ウェルに添加して、検出可能なシグナルを発生させた。信号が完全に発生した後、2N硫酸(カタログ番号8140−16、Ricca Chemical Company)をすべてのウェルに添加して反応を停止させた。各試料の光学密度(OD)を、VERSA maxマイクロプレートリーダーを使用して、波長450nmにおいて決定した。各試料の吸光度を2つ組のウェルから平均し、抗体濃度に対してプロットし、非線形回帰およびシグモイド用量反応分析を使用してEC50を計算した。
【0191】
抗CRTAM抗体5A11は、カニクイザルCRTAMタンパク質への結合を用量依存的に示したが、CR24.1は、カニクイザルCRTAMタンパク質に結合しないことが見出された。
図4は、5A11の交差反応性を示す。
【0192】
実施例5:T細胞を活性化し、IFNγ産生を刺激する抗CRTAM抗体の能力
抗CRTAMおよび抗CD3抗体によるインビトロ活性化T細胞の調製
96ウェル非組織培養プレートを2μg/ml OKT3および異なる濃度の抗CRTAM抗体/アイソタイプ(1:2希釈で20μg/mlから11回滴定)で4℃で一晩コーティングした。プレートをPBSで2回洗浄し、続いてAIMVおよび5%FBSで30分間ブロッキングした。ブロッキング後、実施例3に記載されるように産生された10万個のOKT3プライミング(OKT3−primed)T細胞(4日目)を新鮮なAIMV培地に再懸濁し、プレート上に添加した。37℃で1日インキュベーションした後、上清を回収し、IFNγ ELISAアッセイでの使用のために希釈した。
【0193】
IFNγ決定のための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
IFNγを、eBiosciencesの対応するReady−SET−Go!ELISAキット(カタログ#50−173−24 Fischer Scientific)で測定した。製造元の説明書に従って、高結合プレート(Corning 3690)を捕捉抗体(コーティング用緩衝液で1:250に希釈)で4℃で一晩コーティングし、次いで洗浄用緩衝液(PBS+0.05%Tween−20)で3回洗浄した。プレートを、Assay Diluentを使用してシェーカー上で1時間ブロッキングした。細胞培養上清を適切な希釈(IFNγについては1:400)でプレートに添加し、シェーカー上で2時間インキュベートし、続いて3回洗浄した。Assay Diluentで1:250に希釈したビオチン化検出抗体(キットに付属)を添加し、プレートシェーカー上で1時間インキュベートした。プレートを洗浄用緩衝液で洗浄し、アッセイ希釈液で1:1000に希釈したHRP結合ストレプトアビジン(キットに付属)を添加した。プレートシェーカー上で30分間インキュベートした後、プレートを洗浄し、TMB基質溶液(キット中に提供)を添加した。約5〜10分後に2N H2SO4溶液を添加して発色反応を停止し、プレートリーダーで450nm(OD450)において吸光度を読み取った。
【0194】
結果
5A11抗体は、抗体CR24.1と比較した場合、OKT3で予め活性化されたT細胞において増強された活性を示し、IFNγ産生の増加を反映した(
図5)。これは、CRTAMに対する抗体が、免疫系が阻害されている患者において治療効果があることを示す。
【0195】
実施例6:抗体5A11のヒト化
CDR移植技術を使用して、ラット5A11モノクローナル抗体のヒト化を行った。ヒト化プロセスを先導し、親ラット残基を保存するか、または該親ラット残基をそのヒト生殖細胞系列対応物と置き換えるかの決定を助けるために、5A11ラットモノクローナル抗体のFvの相同性分子モデルを構築した。
【0196】
CDRの定義は、Kabat命名法に基づく。5A11ラットCDR領域を移植するヒトフレームワーク受容体領域の選択は、免疫グロブリンV領域配列の分析を容易にするためのNCBIで開発されたIgBLASTを使用して、5A11ラット可変領域配列を入力として、IMGTラットおよびヒトのV遺伝子データベースを検索することによって達成された。適用した戦略は、個々のヒト抗体配列に見出される特有の体細胞変異を含まない天然ヒト配列であるヒト生殖細胞系列配列を使用することであった。
【0197】
5A11ラット抗体の相同性分子モデル
相同性モデル構築の方法論
抗体BUH−5A11−F2(「5A11」)のモデルを、確立されたプロトコル(Ramos OHP.Computer−assisted modeling of antibody variable domains.Methods Mol Biol 2012;907:39−55)に従って構築した。可変重鎖(VH)および軽鎖(VL)配列は、フレームワークおよびCDR配列を分けるために、IMGT規則に従って別々に番号付け/注釈付けした。
【0198】
Vlフレームワーク残基を使用して、解析される(solved)抗体構造の配列をタンパク質BLASTにより検索した。トップヒットは、4AIZの構造のVL(1.75Aの解像度)によって提供された(108個の同一残基のうち65個)。これを鋳型として選択したが、構造3G6DのVL(3.20Aの解像度)によって提供されたわずかに低いランクのヒット(107個の同一残基のうち64個)を使用して、4AIZから失われたN末端セリンのコンフォメーションを修正した。VL CDR2配列は4AIZの配列と完全一致した。したがって、CDR2鋳型について検索する必要はなかった。各端に2つの残基が付加されたVL CDR1およびCDR3の配列を使用して、解析される抗体構造の配列をタンパク質BLASTにより検索した。VL CDR3についてのトップヒットは、構造1NFD(解像度2.80A)であった(15個の同一残基のうちの11個)。各端に2つの残基が付加されたCDR1の配列と一致するマウスまたはラットの抗体構造はなく、VLフレームワークを有するマウスまたはラットの抗体構造の検索を行っても、良好な近似ヒットは得られなかった。CDR1についての最良の一致は、ヒトの構造全体を検索すると、VL鋳型として使用された4AIZ中のヒトV−λとなった(10個の同一残基のうちの5個)。PyMol(PyMOL Molecular Graphics System、バージョン1.3r1、Schrodinger,LLC)を使用して、CDR3鋳型をフレームワーク鋳型にフィッティングさせ、端上の2つの残基の突出を使用してCDR鋳型断片をVLフレームワーク鋳型に固定した。5A11 VL配列と一致させるために、組み立てられたVL部分モデルに、最適な回転異性体を選択して手作業で(PyMolにおける)突然変異誘導を享受させた。
【0199】
VHフレームワーク残基を使用して、解析される抗体構造の配列をタンパク質BLASTにより検索した。トップヒットは、ラット抗体構造5AUMのVH(2.05Aの分解能)によって提供された(116個の同一残基のうちの85個)。この抗体は、5A11と同じIGHV10−5生殖細胞系列であり、したがって鋳型として選択された。各端に2つの残基が付加されたVH CDR1、CDR2、およびCDR3の配列を使用して、解析される抗体構造の配列をタンパク質BLASTにより検索した。VH CDR1についてのトップヒットは、4HPYの構造(1.50Aの分解能)によって提供された(11個の同一残基のうちの9個)。VH CDR2についてのトップヒットは、5AUMの構造によって提供された(14個の同一残基のうちの11個)。アラインメント中の4つのギャップの存在により、VH CDR3のトップヒット1Q72を鋳型として選択しなかった。代わりに、ランクの低いヒット構造4BZ1(1.50Aの解像度)(14個の同一残基のうちの7個)を選択した。これは、1Q72および4BZ1 CDR3断片の重複により、N末端およびC末端部分がフレームワーク鋳型および相互によく一致する一方、4BZ1が1Q72に見出される配列挿入の満足のいく閉鎖を提供することが示されたためであった。CDR鋳型を(PyMol中の)フレームワーク鋳型とフィッティングさせ、端上の2つの残基の突出を使用して各CDR鋳型断片をフレームワーク鋳型に固定した。最後に、5A11 VH配列と一致するように、組み立てられたVH部分モデルを最適な回転異性体を選択して手作業で(PyMolで)突然変異誘導に享受させた。その後、最終モデルを組み立てるために、VHおよびVL部分モデルの最良の3次元アラインメントを選択した。最適な(best−fit)予測3次元アラインメントを見出すために、VHおよびVL鋳型配列をPAPS(Packing Angle Prediction Server−Abhinandan KR,Martin ACR.Analysis and prediction of vh/vl packing in antibodies.Protein Eng Des Sel 2010;23:689−697)に提示した。PAPSサーバーは、−44.5度の相対パッキング角度を有する解析される抗体構造1D5BがVHおよびVLの最適な3次元アラインメントを提供すると予測した。したがって、VHおよびVL部分モデルの保存されたアンカーセグメント(残基41〜44および101〜104)の骨格座標を1D5B(PyMol中)にフィッティングすることにより、最終モデルを組み立てた。最後に、この最終モデルの座標を、1ラウンドのGROMACS(Van Der Spoel D,Lindahl E,Hess B,Groenhof G,Mark AE,Berendsen HJC.Gromacs:fast,flexible,and free.J Comput Chem 2005;26:1701−1718)をGROMOS96(Scott WRP,Hunenberger PH,Tironi IG,Mark AE,Billeter SR,Fennen J,Torda AE,Huber T,Kruger P,van Gunsteren WFThe gromos biomolecular simulation program package.Phys Chem A 1999;103:3596−3607)力場を伴って使用したエネルギー最小化に享受させた。
【0200】
重鎖の設計
最も相同なラット生殖細胞系列IGHV10−5*01とのアミノ酸の違い
ラット5A11ハイブリドーマから単離されたVHのアミノ酸配列(Kabat番号付けスキームによるCDR領域は太字で示されている)。
【化1】
5A11ラット重鎖可変(VH)領域とラット生殖細胞系列免疫グロブリンVH10−5*01(IGHV10−5*01)との間の91%の同一性(合計100個のアミノ酸のうちの91個の同一残基)。
【化2】
【0201】
ヒトフレームワーク受容体VH領域の選択
5A11ラットCDR領域が移植されるヒトフレームワーク受容体VH領域の選択は、IgBLASTを使用し、ラットVH領域のアミノ酸配列を入力として用いて、IMGTヒトVH遺伝子データベースを検索することによって行われた。ヒト生殖細胞系列に対する親抗体の配列アラインメントに基づいて、最も近似する一致(matching)エントリーを同定した。受容体としての最適なヒト生殖細胞系列の同定は、以下の順序付けられた基準:Kabatによって定義されたフレームワーク全体の配列同一性、ならびに鎖間インターフェース残基および親CDRの標準的コンフォメーションを有する支持(support)ループの同一性および/または適合性に基づいた。この分析から、ヒト生殖細胞系列IGHV3−73*01は、ヒトフレームワーク受容体領域として最良の選択であるようと思われ、全体の同一性割合は75%であった(合計100個のうちの75個の残基)。したがって、このヒト生殖細胞系列をヒト化形態の設計に使用した。ラット生殖細胞系列J2遺伝子(IGHJ2*01)は、対応するラット5A11 VHJ遺伝子と最も相同なセグメント遺伝子として同定された。FR4では、5A11 VHの配列はラットIGHJ2*01生殖細胞系列遺伝子の配列と同一である。ラットJ2セグメント遺伝子をCDR3およびFR4を上回るヒトJセグメント遺伝子と比較し、ヒトJセグメントIGHJ4(IGHJ4*01)を選択した。
【0202】
フレームワーク受容体領域としてIGHV3−73*01ヒト生殖細胞系列を使用した設計
ヒト化形態A
Kabat命名法によって定義されたラットCDR(太字)をIGHV3−73*01に移植して、以下の詳細な配列を取得した。下線が引かれている残基は、フレームワークラット残基(CDR残基の外にある)、すなわち、親ラット5A11 VH配列から保存されている。それらの残基は、抗体の完全な活性を維持するために構造的に重要であり得るために保存されてきた。
形態A
【化3】
IGHV3−73*01ヒト生殖細胞系とのヒト化形態Aの85%同一性(85/100)
【化4】
【0203】
フレームワーク2(FR2)では、Kabat残基H49 Alaは「Vernier残基」として既知であり、VH−CDR2に隣接し、CDRコンフォメーションおよび抗原認識の微調整に影響を与え得る。フレームワーク3(FR3)では、Kabat残基H69 ValおよびH78 Valが「Vernier残基」として既知である。それらはCDRに隣接し、CDRコンフォメーションおよび抗原認識の微調整に影響を与え得る。
軽鎖の設計
最も相同なラット生殖細胞系列IGLV4−S1*01とのアミノ酸の違い
ラット5A11 VLのアミノ酸配列(CDR領域が強調表示されている)
【化5】
5A11ラットVLとラット生殖細胞系列免疫グロブリンλ可変IGLV4−S1*01との間の97.9%(94/96)同一性(合計96個のアミノ酸のうちの94個の同一残基)。
【化6】
【0204】
ヒトフレームワーク受容体VL領域の選択
5A11 VLラットCDR領域が移植されるヒトフレームワーク受容体VL領域の選択は、IgBLASTを使用し、ラットVL領域のアミノ酸配列を入力として、IMGTヒトVL遺伝子データベースを検索することによって行った。ヒト生殖細胞系列に対する親抗体の配列アラインメントに基づいて、最も近似する一致エントリーを同定した。受容体としての最適なヒト生殖細胞系列の同定は、以下の順序付けられた基準:Kabatによって定義されたフレームワーク全体の配列同一性、ならびに鎖間インターフェース残基の同一性および/または適合性(compatibility)、ならびに親CDRの規準的なコンフォメーションを有する支持ループ(support loop)に基づいた。この分析から、ヒト生殖細胞系列IGLV3−27*01は、ヒトフレームワーク受容体領域として最良の選択であると思われ、全体の同一性割合は64.6%であった(合計96個のうちの62個の残基)。したがって、このヒト生殖細胞系列をヒト化形態の設計に使用した。
【0205】
ラット生殖細胞系列J1遺伝子(IGKJ1*01)は、対応するラット5A11 VL J遺伝子に最も相同な遺伝子セグメントとして同定された。ラットJ1遺伝子セグメントをCDR3およびFR4を上回るヒトJセグメント遺伝子と比較し、ヒトJセグメントIGKJ2(IGKJ2*01)が最も高い全体的相同性を有することが見出された。
【0206】
フレームワーク受容体領域としてIGLV3−27*01ヒト生殖細胞系列を使用した設計
ヒト化形態
Kabat番号付けによって定義されたラットCDRをIGLV3−27*01に移植して、以下の詳細な配列を取得した。抗体の完全な活性を維持するために構造的に重要な多くのラットフレームワーク残基が保持されている。これにより、IGLV3−27*01ヒト生殖細胞系列と87.5%同一性(96個のうちの84個のアミノ酸残基)を有するヒト化形態が得られた。
【化7】
【0207】
実施例7 パーフォリン/グランザイムアッセイ
抗CRTAM抗体によって誘導された細胞傷害性能力を、刺激後のCD8
+細胞傷害性リンパ球によるパーフォリンおよびグランザイムB産生を測定することによって評価した。市販のキット(Miltenyi Biotec)を使用して、ヒトCD8 T細胞を健康なドナーPBMCからネガティブ単離した(negatively isolated)。単離されたCD8細胞を、プレートに結合したCD3(OKT3、0.1μg/ml)および異なる用量の5A11で4日間刺激した。プレート上の刺激に続いて、CD8細胞をPMA(25ng/ml)、イオノマイシン(10μg/ml)、およびブレフェルジン(10μg/ml)で4時間処理した。次いで細胞を洗浄し、4%PFAで10分間固定し、0.5%サポニンを含むPBSで希釈したフローサイトメトリー用のパーフォリンおよびグランザイムB抗体で15分間染色した。染色後、細胞を0.5%サポニンを含むPBSで2回、FACS緩衝液(2%FCSおよび2mM EDTAを含むPBS)で1回洗浄した。洗浄した細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、Attune NxT(Fisher Scientific)フローサイトメーターを使用して分析した。
図7および
図8に詳細を示されるように、5A11の用量を増加させて刺激することにより、CD8 T細胞の細胞傷害性能力が用量依存的に増加した。
【0208】
実施例8 T細胞傷害性アッセイ
抗CRTAM抗体を使用したMCF−7乳癌細胞に対するT細胞の細胞傷害性を、T細胞およびMCF−7細胞のアンカーとしてHer2/CD3二重特異性抗体を使用して評価した。抗CRTAM抗体を腫瘍細胞、PBMC、およびHer2/CD3二重特異性抗体を含むアッセイウェルに添加したときに、追加の細胞傷害性が観察された。抗CRTAM抗体の作用に関連する細胞傷害性の割合を、抗CRTAM抗体で処理していない細胞と比較したときの死滅率として計算した。
【0209】
新たに単離されたPBMCを、1000×gで5分間遠心分離することにより採取し、DMEM完全培地で1.5E
6細胞/mlに希釈した。PBMCを等分し、試験抗体(5A11抗体)を20ug/mlまで添加した。細胞を氷上で10〜20分間インキュベートした。MCF−7細胞を収集し、1.5E
6細胞/mlの密度まで希釈した。
【0210】
PBMCおよびMCF−7の両方の50ulの得られた細胞懸濁液を、各ウェルが75000個のPBMCおよびMCF−7細胞を含むように各ウェルに添加した。Her2/CD3二重特異性抗体を完全DMEM培地で段階希釈し、10ulのこの希釈液を各ウェルに添加して、各アッセイウェルにおいて5ug/mlの最終希釈液を作製した。
【0211】
50ul/ウェルの培養培地を含む未処理のウェルが陰性対照を表すものとした。アッセイプレートを5%CO
2とともに37℃で96時間インキュベートした。インキュベーション後、アッセイプレートを室温まで30分間平衡化した。PBMCを除去して廃棄し、MCF−7細胞をアッセイウェル中に残存させた。プレートをPBSで室温で3回洗浄し、100ulの室温のPBSを各ウェルに添加した。Cell Titer−Glo(登録商標)試薬(カタログ番号G7572、Promega、マディソン、ウィスコンシン州)を製造元の説明書に従って調製し、100ul/ウェルを分注した。試薬をアッセイウェルに数回ピペットで出し入れして混合し、細胞溶解を誘導した。アッセイプレートを暗所で15分間インキュベートした。製造業者の推奨に従って、GloMax(登録商標)ルミノメーター(Promega)を使用して発光を記録した。
【0212】
生存細胞数は発光単位に比例し、アッセイされたウェル中の各濃度について平均を計算した。生存率を対照として試験抗体を含まないウェルを使用して計算し、抗体濃度に対してプロットした。
【0213】
図9から分かるように、抗体5A11の添加により、5A11抗体なしの対照と比較して細胞傷害性のレベルが有意に増加した。
【0214】
実施例9 腫瘍浸潤リンパ球を用いたELISPOT
NSCLC(
図10)または乳癌(
図11)腫瘍からの原発腫瘍由来腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、示された濃度に希釈したCR24.1、5A11、またはペンブロリズマブ、および完全RPMI培地で1μg/mlに希釈したOKT3で96時間刺激した。刺激後、TILを採取し、カウントし、IFNγ ELISPOTプレート(Mabtech)上に100,000細胞/ウェルでプレーティングした。プレートを37℃で24時間インキュベートし、続いて製造業者の説明書に従って展開した。スポットの数をImmunoSpot(登録商標)Series5 ELISPOTアナライザーを使用して読み取り、データをGraphPad Prismソフトウェアを使用して分析した。
【0215】
図10は、抗体5A11がより多くのNSCLC由来TILを活性化することを示しており、このことは、市販の抗体CR24.1またはペンブロリズマブのいずれかよりも有意に高いIFNγ産生を反映している。
【0216】
図11は、抗体5A11およびペンブロリズマブが同様の数の乳癌由来TILを活性化してIFNγを産生することを示している。
【0217】
実施例10 腫瘍浸潤リンパ球を用いた用量反応ELISPOT
NSCLC腫瘍からの原発腫瘍由来腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、0.1μg/ml、1.0μg/ml、または10μg/mlの5A11、ペンブロリズマブ(10μg/ml)、または完全RPMI培養培地で1μg/mlに希釈したOKT3で96時間刺激した。刺激後、TILを採取し、カウントし、IFNγ ELISPOTプレート(Mabtech)上に100,000細胞/ウェルでプレーティングした。プレートを37℃で24時間インキュベートし、続いて製造業者の説明書に従って展開した。スポットの数をImmunoSpot(登録商標)Series5 ELISPOTアナライザーを使用して読み取り、データをGraphPad Prismソフトウェアを使用して分析した。
図12は、すべての用量の5A11がTILを活性化して、ペンブロリズマブによって産生されたものに対してより高い量のIFNγを産生したことを示している。
【0218】
実施例11 Delfia(登録商標)キットによるPBMC介在性細胞傷害性
Delfia(登録商標)(Promega)キットに記載されるようにして、K562細胞を染色した。染色されたK562細胞を、10μg/mlに希釈した5A11、CR24.1、またはペンブロリズマブの存在下、1:20の標的とエフェクターとの比で健康なドナーPBMC(IL−2とともに72時間事前培養した)と混合した。50IU/mlのIL−2をアッセイの陽性対照として使用した。すべての条件を3回繰り返した。共培養物を37℃で3時間インキュベートした。3時間後、20μlの共培養上清を収集し、製造元の説明書(Delfia(登録商標)Promega)に従ってアッセイした。320nm励起、615発光、100マイクロ秒の遅延、100マイクロ秒の積分での時間分解蛍光測定(TRF)についてSpectraMaxM5プレートリーダーを使用して、結果を読み取った。具体的な溶解度の計算を可能にするための製造元が推奨するすべての対照がアッセイに含まれており、キットの取扱説明書に詳述されているようにして計算を行った。
【0219】
図13は、抗体5A11が市販の抗体CR24.1またはペンブロリズマブのいずれよりも有意に多くの細胞溶解を誘発したことを示している。
【0220】
実施例12 HCC827ヒトNSCLC Mixeno NCGマウスモデルにおける5A11抗体の抗腫瘍有効性のインビボ評価
アイソタイプ対照(10mg/kg;BIW×3)および5A11抗体(10mg/kg;BIW×3)をインビボモデルで試験した。各コホートは10匹のマウスを含んでいた。各コホートを半分に分け、5匹のマウスに2人の健康なヒトドナーのうちの1人から単離および調製したPBMCを腹腔内注射した。3日後、マウスにHCC827腫瘍細胞を皮下接種した。1日後、上記の投与スケジュールで試験抗体による処置を開始した。体重(BW)をモニタリングし、腫瘍を毎週3回測定した。マウスを健康および有害な副作用について頻繁に検査した。移植片対宿主疾患の証拠により、マウスを安楽死させた。処置の結果を、示された研究日に測定した際の対照群の平均腫瘍体積に対する処置群の平均腫瘍体積の差の尺度である、腫瘍増殖阻害(TGI)によって決定した。
【0221】
図14は、15日後に、5A11抗体で処置したマウスにおける腫瘍は、アイソタイプ対照抗体で処置された動物における腫瘍よりも有意に小さかったことを示している。
【0222】
実施例13 ヒト化5A11抗体の結合親和性
ヒト化5A11抗体の結合親和性を、抗hIgG捕捉バイオセンサー(カタログ#18−5060)を使用したOctet(登録商標)(ForteBio)によって決定した。
抗ヒトIgG−Fc捕捉(AHC)ForteBioバイオセンサーに、1μg/mLの濃度の試験抗体を300秒にわたって充填した。
【0223】
充填されたバイオセンサーを、200nMで開始し、1:3に段階希釈した5種類の濃度のヒト組換えhCRTAM/Fcキメラととともにインキュベートした。参照ウェルは、速度論的緩衝液のみを含んだ(ドリフト(drift)について補正するため)。
【0224】
すべての濃度のデータを、各試料についてグローバル1:1曲線フィット(curve fit)を使用してフィッティングした。可能な場合には、速度論的結合および解離速度ならびにK
D値を決定した。
【0225】
分析により、ヒト化抗体5A11が以下の表2に示される特徴を有することが示された。
【表3】
【表4-1】
【表4-2】