(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-502218(P2021-502218A)
(43)【公表日】2021年1月28日
(54)【発明の名称】無針注射器アセンブリ及び関連方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/30 20060101AFI20201225BHJP
【FI】
A61M5/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-544366(P2020-544366)
(86)(22)【出願日】2018年11月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月26日
(86)【国際出願番号】US2018060172
(87)【国際公開番号】WO2019094827
(87)【国際公開日】20190516
(31)【優先権主張番号】62/584,040
(32)【優先日】2017年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520159396
【氏名又は名称】アイジェックス ファーマ インターナショナル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIJEX PHARMA INTERNATIONAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】福島 正義
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 利一
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066FF02
4C066GG11
4C066HH26
4C066PP02
(57)【要約】
無針注射器アセンブリは、ばね式注射器及びアンプルを有し得る。ばね式注射器は、ボアを画定する第1ハウジング部及び第2ハウジング部と、ボア内に位置付けられ第1ハウジング部に対して固定されているケーシングとを有するハウジングを含み得るが、第2ハウジング部はケーシングに対して回転可能であり得る。ケーシングは、アンプルのねじ端を螺入させる螺入端を端に有し得る。端を有するピンが、第2ハウジング部から第1ハウジング部の開口内に突起することができ、ピンは、第2ハウジング部がケーシングに対して回転可能となる前に第1部分から後退可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無針注射器アセンブリであって、
共通のボアを画定する第1ハウジング部及び第2ハウジング部を有するハウジングを含むばね式注射器と、
ボア内に位置付けられたケーシングであり、前記第1ハウジング部に対しては固定されているが前記第2ハウジング部は該ケーシングに対して回転可能であるケーシングと、
アンプルのねじ端を螺入させる前記ケーシングの端の螺入端と、
前記第2ハウジング部から前記第1ハウジング部の開口内に突起した端を有するピンと
を備え、前記ピンは前記第2ハウジング部が前記ケーシングに対して回転可能となる前に前記第1ハウジング部から後退可能である、無針注射器アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の無針注射器において、前記第2ハウジング部は、前記第1ハウジング部に対して回転可能である無針注射器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無針注射器において、前記ピンは、前記第2ハウジング部のベース部のボア内に位置付けられる無針注射器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無針注射器において、アンプルが、前記ケーシングの前記螺入端に螺着される無針注射器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の無針注射器において、前記ケーシング内に位置付けられたピストン及びばねをさらに備えた無針注射器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の無針注射器において、前記第2ハウジング部の外部に位置付けられた押込み端と、2つの相対移動可能なプロングを含むトリガ機構とを有するトリガをさらに備えた無針注射器。
【請求項7】
請求項5に記載の無針注射器において、前記ピストンは、ピストンヘッドと、ラッチ体を有するシャフトとを含む無針注射器。
【請求項8】
請求項7に記載の無針注射器において、トリガが、前記第2ハウジング部の外部に位置付けられた押込み端と、前記ラッチ体を把持して前記ばねを圧縮状態に保持する保定部材をそれぞれが含む2つの相対移動可能なプロングを含むトリガ機構とを有する無針注射器。
【請求項9】
請求項8に記載の無針注射器において、スリットと、前記2つのプロング間の2つの切欠きにより形成された開口とをさらに備えた無針注射器。
【請求項10】
無針注射器アセンブリを作製する方法であって、
共通のボアを画定する第1ハウジング部及び第2ハウジング部を有するハウジングを備えたばね式注射器を形成するステップと、
ケーシングが前記第1ハウジング部に対しては固定されているが前記第2ハウジング部は前記ケーシングに対して回転可能であるように、前記ケーシングをボア内に配置するステップと、
前記ケーシングにアンプルのねじ端を螺入させる前記ケーシングの端の螺入端を設けるステップと、
前記第2ハウジング部から前記第1ハウジング部の開口内に突起した端を有するピンを配置するステップと
を含み、前記ピンは前記第2ハウジング部が前記ケーシングに対して回転可能となる前に前記第1ハウジング部から後退可能である方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記第1ハウジング部のベース部のボア内にシャフトを配置するステップをさらに含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記アンプルが前記シャフトを前記ピンに押しつけるように前記アンプルを前記ケーシングに取り付けるステップをさらに含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、2つの可動プロングを有するトリガ、ピストン、及びばねを設けるステップと、前記2つの可動プロングで前記ピストンを把持するステップとをさらに含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記第2ハウジング部を前記第1ハウジング部に対して回転させるステップをさらに含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記第2ハウジング部の回転後に前記トリガを移動させるステップをさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無針注射器アセンブリに関し、より詳細には、アンプルのノズルから流体を放出するよう構成されたばね式の注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
無針皮下注射器は、針を用いずに高圧ジェットを用いて、皮膚を貫通して皮下に液体薬剤を入れるのに十分な圧力及び速度で薬剤を放出する医療機器である。高圧ジェットは、液体薬剤を十分に大きな速さで十分に小さなノズルに押し通すことにより発生し得る。そのためには、アンプル内に位置付けられたプランジャに大きな力を通常は加えることで、プランジャは、レシピエントの表皮を十分な深さまで貫通するのに十分な力で一定量の液体をアンプルの端のノズルから噴射させるのに十分に大きな速さで、ノズルに向けて液体を押す。加圧ガス及び/又はばね等の機械的装置を用いて、プランジャを押すのに必要な大きな力を発生させ、続いて液体をアンプルから放出することができる。
【0003】
ばねを用いる無針注射器システムでは、適当な大きさのばね定数を有する圧縮ばねが圧縮されて位置エネルギーを蓄積し、圧縮状態に保たれる。液体を注射するには、ばねを解放し、ばねを急速に伸張させて蓄積したエネルギーを放出させる。通常は、ばねはラッチ機構により圧縮状態に保たれる。続いてトリガを用いて、ラッチ機構にばねを解放させる。ばねは、続いてピストンを有するハウジング内で復元してピストンを押し出し、アンプル内に位置付けられているプランジャを移動させる。
【0004】
ばねを有する再使用可能な無針注射器システムでは、ばねを各使用後に圧縮状態にリセットしてから、新たな又は関連するアンプルのプランジャを進ませなければならない。そのために、ばね式注射器は、ばねを圧縮及びリセットする装置等、ばねを圧縮状態に押し戻してラッチシステムを再係合させるリロードシステムに入れなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の種々の実施形態による無針注射器アセンブリ又は略して無針注射器の安全システムにより、技術の進歩が遂げられる。本発明のいくつかの実施形態による無針皮下注射器は、キャビティを囲むハウジングを含み得る。ハウジングは、長手方向軸を有し、これに沿ったハウジングの第1端に注射器開口がある。ばね機構が、長手方向軸に沿った第1端の反対側の本体の第2端に近接してキャビティ内に収容され得る。キャビティ内のピストンが、キャビティ内のばね機構にばねと第1端との間で当接し得る。ラッチ機構が、ピストンをキャビティ内の所定位置に保持することができ、さらにばねを圧縮状態に保つことができる。ラッチ機構は、保持位置と発射位置との間で可動であり得る。ラッチ機構は、保持位置に付勢されてばねを圧縮状態に保持しつつピストンをキャビティ内の所定位置に保持することができ、ピストンを解放してばねをキャビティ内で圧縮状態から非圧縮状態に移動させるために発射位置に移動することができる。
【0006】
本体の外面上のトリガが、ハウジングの開口を通してラッチ機構と協働し得る。トリガは、ラッチ機構をロック位置にする準備位置と、ピストンを解放してばねを復元させるためにラッチ機構を発射位置へ移動させる作用位置との間で可動とすることができる。ハウジングの表面から突出した尖端(nib)を有する安全装置が、ロック位置とアンロック位置との間で可動であり得る。ロック位置では、尖端が準備位置と作用位置との間のトリガの移動を防止する。アンロック位置では、尖端が動かされて準備位置から作用位置へのトリガの移動を可能にする。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、トリガは、上面及び下面を有するベースを含む。第1プロング及び第2プロングが、相互に且つハウジングの長手方向軸に実質的に平行に、ベースの下面から外方にハウジングの第2端の開口内に延び得る。第1及び第2プロングのそれぞれが、プロングの遠位端にラッチ機構と協働する保定(retaining)部材を有し得る。ラッチ機構は、上面及び下面を有する本体を含み得る。
【0008】
本体の上面から尖端が突出して、トリガの第1及び第2プロングと係合することができ、シャフトの第1端をラッチ機構の本体の下面から延出させて第2端をピストンに取着することができる。これらの実施形態のいくつかによれば、シャフトは、ばねの中心を通って本体の下面の第1端からピストンの上面の第2端まで延び得る。これらの実施形態の多くによれば、各プロングの保定部材の下内向き側面を傾斜させてよく、尖端の側部を外方に傾斜させてよい。尖端のエンドキャップが、尖端の側面の表面よりも外方に延びて張出し部(overhang)を形成し得る。エンドキャップの張出し部は、トリガが準備位置でラッチ機構を保持位置に保持させるのに応じて第1及び第2プロングの保定部材に載る。
【0009】
これらの実施形態の多くによれば、トリガは、ハウジング内へ移動することにより準備位置から作用位置へ移動し得る。ハウジング内への移動により、各プロングの保定部材が押し離されてエンドキャップを解放する。尖端のエンドキャップの解放がピストンを自由にすることで、ばねが復元される。
【0010】
複数の実施形態によれば、ピンが、ハウジング第2端の開口に近接してハウジングのキャビティを横切り、トリガのプロングに画定された開口を通って延び得る。トリガのプロングの開口は、トリガを準備位置と作用位置との間で移動させるようなサイズであってよく、ピンは、準備位置と作用位置との間のトリガの移動に基づいてプロング同士の一部を押し離す。
【0011】
複数の実施形態によれば、安全装置は、ハウジング内のケーシングの外側面を包囲するカバーを含み得る。カバーは、ハウジングの第1端に近接したカバーの第1端の安定部と、ハウジングの第2端に近接したカバーの第2端の回転可能部とを有することができ、安全装置の尖端が回転部の上面(top of surface)から突出している。回転部は、尖端がトリガと係合するロック位置から尖端がトリガと係合しないアンロック位置へ移動するようにケーシングの周りを回転可能であり得る。
【0012】
これらの実施形態のいくつかによれば、尖端は、ケーシングの側壁から突出してカバーの回転可能部の側部に画定されたスロットに係合し、ロック位置とアンロック位置との間の回転可能部材の移動を制限し得る。
【0013】
多くの実施形態によれば、注射器のハウジングは、アンプルを収納してアンプルに結合するよう構成されたケーシングの第1端に画定された凹状口を有し得る。カバーは、ハウジングの長手方向軸と実質的に平行にカバーの安定部の側面に画定されたボアを有することができ、第1開口がカバーの安定部の第1端にボアまで画定され、第2開口がカバーの安定部の第2端にボアまで画定される。カバーの安定部の長さと実質的に同じ長さを有するシャフトが、ロード位置とアンロード位置との間で可動であるようにボアに挿入され得る。シャフトは、シャフトの一端がカバーの安定部の第1端からケーシングの凹状口の上に延びるアンロード位置に付勢されることができ、アンプルがキャビティに挿入されケーシングに結合されるのに応じてシャフトの第2端がカバーの安定部の第2端の表面と略面一であるロード位置に移動し得る。
【0014】
カバーの回転可能部の第1端で、キャビティ内にピンが保持され得る。ピンは、ピンの一部が回転可能部の第1又は内向き端の表面から突出するキャビティ内の第1位置に付勢され得ると共に、ピンがカバーの回転可能部のキャビティ内に引っ込む第2位置へ可動であり得る。安定部のシャフトがアンロード位置にある場合、ピンは、安定部の第2開口を通ってボア内に延びて回転可能部を所定位置に保持する。アンプルが凹状口に挿入されてケーシングに結合されると、シャフトはロード位置へ移動し、シャフトによる移動がピンを開口から外して、カバーの回転可能部内の引込み位置へピンを移動させることで回転可能部を移動させる。
【0015】
これらの実施形態の多くによれば、トリガのベースは、ケーシングからカバー上に延出する細長部を有し得る。細長部は、安全装置がロック位置にあるときに回転部の尖端と係合させることができ、回転可能部がアンロック位置になることにより尖端が移動すると本体に向かって移動自在となる。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、無針注射器アセンブリであって、共通のボアを画定する第1ハウジング部及び第2ハウジング部を有するハウジングを含むばね式注射器と、ボア内に位置付けられたケーシングであり、第1ハウジング部に対しては固定されているが第2ハウジング部は当該ケーシングに対して回転可能であるケーシングと、アンプルのねじ端を螺入させるケーシングの端の螺入端と、第2ハウジング部から第1ハウジング部の開口内に突起した端を有するピンとを備え、ピンは第2ハウジング部がケーシングに対して回転可能となる前に第1部分から後退可能である、無針注射器アセンブリである。
【0017】
第2ハウジング部は、第1ハウジング部に対して回転可能とすることができる。
【0018】
ピンを第2ハウジング部のベース部のボア内に位置付けることができる。
【0019】
シャフトを第1ハウジング部のボア内に位置付けることができる。シャフトは、ピンに対して移動して、第1ハウジング部の開口内に突起しないようピンを押すことができる。
【0020】
シャフトは、ピンに対して移動するようアンプルにより移動させることができる。
【0021】
トリガが2つの尖端の幅内に嵌まるよう位置合わせされると、トリガを押すことができる。
【0022】
トリガは、第2ハウジング部を第1ハウジング部に対して回転させて(with the second housing portion is rotated about the first housing portion)位置合わせすることができる。
【0023】
アンプルは、雄ねじを有することができ、ケーシングの螺入端の雌ねじに螺着することができる。
【0024】
ピストン及びばねをケーシング内に位置付けることができる。
【0025】
押込み端を有するトリガを、第2ハウジング部の外部に位置付けることができ、2つの相対移動可能なプロングを含むトリガ機構にトリガを設けることができる。
【0026】
ピストンは、ピストンヘッドと、ラッチ体を有するシャフトとを含むことができる。
【0027】
トリガは、第2ハウジング部の外部に位置付けられた押込み端と、ラッチ体を把持してばねを圧縮状態に保持する保定部材をそれぞれが含む2つの相対移動可能なプロングを含むトリガ機構とを有することができる。
【0028】
スリットが2つのプロング間に通ることができ、2つの切欠きにより形成された開口を2つのプロング間に設けることができる。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、無針注射器アセンブリを作製する方法であって、共通のボアを画定する第1ハウジング部及び第2ハウジング部を有するハウジングを備えたばね式注射器を形成するステップと、ケーシングが第1ハウジング部に対しては固定されているが第2ハウジング部はケーシングに対して回転可能であるように、ケーシングをボア内に配置するステップと、ケーシングにアンプルのねじ端を螺入させるケーシングの端の螺入端を設けるステップと、第2ハウジング部から第1ハウジング部の開口内に突起した端を有するピンを配置するステップとを含み、ピンは第2ハウジング部がケーシングに対して回転可能となる前に第1部分から後退可能である方法である。
【0030】
本方法は、第1ハウジング部のベース部のボア内にシャフトを配置するステップをさらに含み得る。
【0031】
本方法は、アンプルがシャフトをピンに押しつけるようにアンプルをケーシングに取り付けるステップをさらに含み得る。
【0032】
本方法は、2つの可動プロングを有するトリガ、ピストン、及びばねを設けるステップと、2つの可動プロングでピストンを把持するステップとをさらに含み得る。
【0033】
本方法は、第2ハウジング部を第1ハウジング部に対して回転させるステップをさらに含み得る。
【0034】
本方法は、第2ハウジング部の回転後にトリガを移動させるステップをさらに含み得る。
【0035】
無針皮下注射器とばね式注射器及びアンプルを含むそのコンポーネントとを作製する方法及び使用する方法が、本発明の範囲内にある。
【0036】
本装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴及び利点は、明細書、特許請求の範囲、及び添付図面を参照して理解をより深めれば十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態によるアンプルに結合されたばね式エジェクタを備えた無針注射器アセンブリの部分側断面図を示す。
【
図2】
図1に示す実施形態によるばね式エジェクタの部分側断面図を示す。
【
図3】
図1に示す実施形態によるばね式エジェクタの部分平断面図を示す。
【
図4】
図1に示す実施形態によるアンプルから結合されたばね式エジェクタの部分平断面図を示す。
【
図5】第1ハウジング部及び第2ハウジング部を有する、本発明の一実施形態による無針注射器のばね式注射器のハウジングの斜視図を示す。
【
図6】
図3に示すばね式注射器のハウジングの回転可能部又は第2ハウジング部の端面図を示す。
【
図7】
図3に示すハウジングの安定部又は第1ハウジング部の端面図を示す。
【
図8】サイズ及び長さが一定の縮尺で描かれていない、本発明の一実施形態によるばね式注射器のケーシングの側面斜視図を示す。
【
図9A】本発明の一実施形態による、種々の位置の1つでばね式注射器のケーシングに装着されたトリガの断面詳細図を示す。
【
図9B】本発明の一実施形態による、種々の位置の1つでばね式注射器のケーシングに装着されたトリガの断面詳細図を示す。
【
図9C】本発明の一実施形態による、種々の位置の1つでばね式注射器のケーシングに装着されたトリガの断面詳細図を示す。
【
図9D】本発明の一実施形態による、種々の位置の1つでばね式注射器のケーシングに装着されたトリガの断面詳細図を示す。
【
図10】ばね式注射器と共に用いられて本発明の一実施形態による無針注射器アセンブリを形成するプランジャを有するアンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付図面に関連して以下に記載する詳細な説明は、本装置、システム、及び方法の態様に従って提供される無針注射器及びそのコンポーネントの目下好ましい実施形態を説明することを目的としており、本装置、システム、及び方法が構成又は利用され得る唯一の形態を表すことを意図するものではない。この説明は、例示される実施形態に関連して、本装置、システム、及び方法の特徴及びそれらの実施形態を構成及び使用するステップについて述べている。しかしながら、同じ又は同等の機能及び構造が、本開示の趣旨及び範囲内に包含されることが同じく意図される異なる実施形態により達成され得ることを理解されたい。本明細書の他の箇所に示すように、同じ要素符号は同じ又は同様の要素又は特徴を示すことが意図される。
【0039】
無針注射器が開示され、例示的な無針注射器は、ばね式注射器及びアンプルを含み得る。概して、ばね式注射器は、アンプル内のプランジャの推進に必要なエネルギーを供給する動力供給源である。ばね式注射器は、ばね及びピストンを有するハウジングを有することができ、ピストンは、ハウジング内に位置付けられてばねにより推進される。アンプルは、バレルの形状の本体を含むことができ、バレルは、一端に位置付けられた吐出ノズルと、バレル内に保持された流体をノズルから出すように摺動配置でプランジャを収納する開口とを有する。
【0040】
ばね式注射器のコイルばねは、解除可能なラッチ機構によるロード又はセット後に圧縮状態に保持することができる。安全システムをばね式注射器と組み合わせて、ラッチ機構の解除を防止することができる。本発明の態様による例示的な安全システムを以下で説明する。安全システムは、ラッチ機構のトリガが移動して、ばね式注射器を発射させる、例えばばねを解放するのを防止することができる。いくつかの実施形態によれば、トリガは、アンプルから離れて、注射器のハウジングの後部又は端部に位置付け又は位置決めされる。トリガは、指圧を受けること等により、ラッチ機構を起動してばね又は他の力付与機構を解放するよう可動である。他の例では、トリガは、ばね式注射器の他の場所に位置付けることができる。
【0041】
さらに後述するように、トリガは、ハウジング内に摺動、変位、又は移動してラッチ機構を起動することができ、安全システムは、安全システムをオフにすなわち無効にしない限りはハウジング内へのトリガの移動を防止するよう構成される。いくつかの例では、トリガは、枢動可能に取り付けることができ、引き外し(triggering)行為によりトリガを枢動させる。
【0042】
これらの実施形態のいくつかによれば、ばね式注射器のハウジングは、ばね及びピストンが内部に配置された密閉空間を画定する。トリガは、ハウジングの後面又は下面の一部の上に延びるベースの露出部分の張出し部を有し得る。ハウジングは、ハウジングの回転部の後面又は下面から突出した尖端を有することができ、これがトリガの張出し部の下で注射器のハウジング内へのトリガの移動を制限する。尖端は、部品又は構造の端部であり得る。注射器を発射させるには、尖端を、トリガの張出し部と接触しなくなるトリガの張出し部から離れた位置へ移動させる。これらの実施形態のいくつかによれば、尖端の移動は、ハウジングの回転可能部を回転させて、尖端がトリガの張出し部の移動を阻止しない位置に尖端を移動させることにより行われる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、安全システムは、アンプルが注射器と係合していないときにトリガの尚早な引き外しを防止又は尚早な引き外しに抵抗することができる。この安全機能があることで、注射器のリロード中の誤射の危険を減らすことができる。これらの実施形態のいくつかによれば、安全システムは、アンプルが係合していないときに尖端がトリガの張出し部の下から移動するのを防止する。これらの実施形態の多くによれば、尖端の移動は、アンプルが注射器に結合されていないときにハウジングの回転部を所定位置に固定することにより防止される。複数のこれらの実施形態によれば、ハウジングの回転部は、回転部の第1又は内向き面のキャビティに収容された可動ピンを有する。ピンは、ピンの少なくとも一部が回転部の内向き面から突出する位置に付勢され得る。
【0044】
ハウジングの安定部にボアが貫通し、ボア内に可動シャフトがある。シャフトは、安定部と略同じ長さであり得ると共に、安定部の第1又は外向き面から延出して安定部の第2又は内向き面でボアに凹状領域を形成するよう付勢されることができる。回転部からのピンは、安定部の凹状領域内に延びて回転部の移動を制限することができる。アンプルが注射器に結合されると、アンプルがシャフトに押し当たってシャフトをロード位置へ移動させ、シャフトの第2端が安定部の第2又は内向き面と面一になる。シャフトの移動により、回転部材のピンが回転部材のキャビティに押し込まれて回転部材を回転させる。ピンは、回転部が回転すると安定部材の第2又は内向き面に当接することによりキャビティ内に保持され得る。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、回転部の回転は、回転部をロック位置とアンロック位置との間でのみ回転させるよう制限され得る。これらの実施形態のいくつかによれば、尖端が、ハウジングの内側から外方に延びてハウジングの回転部の側面を通る溝と協働し、回転部の回転を制限する。
【0046】
多くの実施形態によれば、トリガの移動は、トリガを準備位置と発射位置との間でのみ移動させるよう制限され得る。複数の実施形態によれば、移動は、ハウジングのキャビティを横切ってトリガのベースの開口を通って延びることで開口の長さだけしかトリガを移動させないピンにより制限される。さらに、ピンは、本発明の多くの実施形態によれば、トリガのプロングに押し当たってプロングにラッチを開いて解除させるよう設計された側部を有し得る。
【0047】
本発明のいくつかの態様による無針皮下注射器の安全システムの上記及び他の利点を、図面を参照して以下で説明する。
【0048】
本発明の一実施形態による無針注射器90は、ばね式注射器100及びアンプル800(
図10)を含む。例示的なアンプルは、PCT国際公報WO2014/042930号及びWO2017/176910号に開示されており、これらの内容を参照により本明細書に明示的に援用する。本発明の一実施形態によるばね式注射器100を、
図1〜
図4に示す。
図1〜
図4のそれぞれが、全体的に100で示すばね式注射器の部分断面図を示す。ばね式注射器100はハウジング102を有する。ハウジング102は、ケーシング105及びカバー120を含む。いくつかの他の実施形態によれば、ケーシング105及びカバー120は、一体的であり、相互に固定することができ、又は相互に組み立てることができる。多くの他の実施形態によれば、ケーシング105は、カバー120の両端に挿入されるエンドキャップのみを含んでもよい。図示の実施形態では、ケーシング105は、金属材料製であり、長手方向軸を有する細長い本体を有する。いくつかの他の実施形態によれば、ケーシング105は、プラスチック製であってもよく、種々の他の実施形態によれば、ばね又は他の力付与コンポーネントの起動時に加わる力を抑えることができる任意の他の材料でできていてもよい。
【0049】
ケーシング105は、キャビティ110を画定する壁面を有し、キャビティ110は、長手方向軸に沿ったケーシング105の第1端に注射器開口111を有する。ばね114が、長手方向軸に沿った第1端の反対側のケーシング105の第2又はキャップ端に近接して、キャビティ110内に収容又は配置される。いくつかの実施形態によれば、ばねは、患者の表皮を所望の深さまで貫通するのに望まれる力を発生するのに十分な速度でノズルから液体薬剤を送出するのに十分な力を与えるのに十分なエネルギーを蓄積することが可能な圧縮ばねである。いくつかの他の実施形態によれば、ガスボンベ内の加圧ガスを用いて力を供給してもよい。キャビティ110内のピストンヘッド116は、ケーシング105の第1端のばね114とアンプルのプランジャのシャフト119に当接する第2端との間のキャビティ110内で、一表面がばね114に当接する(
図8に示す)。
【0050】
シャフト119は、注射器開口205を通ってケーシング105の注射器端に画定されてアンプルに結合するキャビティである凹状結合部210まで延びる。いくつかの実施形態によれば、凹状結合部210は、アンプルをケーシング105に結合するためにアンプルの側壁に切られたねじと噛み合うねじを有し得る。ケーシング105及びカバー120が一体的である複数の実施形態によれば、凹状結合部は、カバー120の開口に挿入された金属キャップであり得る。
【0051】
ピストンヘッド116は、ラッチ機構によりキャビティ110内の所定位置に保持されて、ばね114を圧縮状態に保つ。ピストンヘッド116がラッチ機構により解放されると、ピストンヘッド116はキャビティ105内で移動自在となる。ピストンヘッド116が移動自在になると、ばね114を圧縮状態から復元又は伸張させることができる。復元するばねは、ピストンヘッド116をキャビティ105の注射器端に向けて押し、ピストンヘッド116にシャフト119を押させる。シャフト119は、アンプルのプランジャをアンプルの注射器端のノズルに向けて押す。プランジャがアンプル内で移動すると、アンプル内の液体薬剤がノズルから放出される。無針注射器の動作のより詳細な説明は、米国特許第6,913,592号で行われており、これを本明細書に完全に記載のものとして参照により本明細書に援用する。
【0052】
本発明の多くの実施形態によれば、ラッチ機構は保持位置と発射位置との間で可動である。保持位置では、ラッチ機構は、ピストンヘッド116をキャビティ110内の所定位置に保持してばね114を圧縮状態に保つ。例えば、ピストンヘッド116は、シャフト及びピストンヘッドを有し得る。ばねは、シャフトを包囲してピストンヘッドに当接することができる。ピストンヘッドは、ばねを圧縮するよう移動することができ、ばねは、ピストンヘッド等のピストンが逆方向に移動するのを防止することにより保持位置に保持されることができる。発射位置では、ラッチ機構はピストンヘッド116の移動を許す。ピストンヘッド116が移動自在になると、ばね114は、復元して圧縮中に蓄積されたエネルギーを解放することができる。
【0053】
図1〜
図4では、ラッチ機構はラッチ体118により設けられ、アンプルの一部が取付け端に概略的に示される。ラッチ体118は、上面及び下面又は第1及び第2面を有する。ラッチ体118の下面は、シャフト117の一端に接続される。シャフト117の第2端は、ピストンヘッド116に接続される。本明細書で用いられるピストン115は、シャフト117及びピストンヘッド116を有する。尖端160が、ラッチ体118の上面から突出してトリガ130の第1及び第2プロング131、132と係合する。トリガ130は、押込み端712(
図9A)すなわちユーザが操作してトリガを押すことができる構造と、トリガ機構133とを有することができ、トリガ機構133は第1及び第2プロング131、132を含むことができる。図示の実施形態では、シャフト117はばね114のコイルの内部を貫通する。しかしながら、いくつかの他の実施形態によれば、シャフトはばね114の外部にあってもよい。ラッチ体の動作の説明は、
図7A〜
図7Dに関して以下で行う。
【0054】
本発明の一実施形態によるラッチ機構について上述したが、無針注射器の種々の他のコンポーネントの構成に基づく他の構成を有する他のラッチ機構が、本発明の種々の他の実施形態に従って可能である。
【0055】
図1を参照すると、ハウジング102の外面上に押込み端を有するトリガ130が、ハウジング102の開口112を通してラッチ機構と協働する。いくつかの実施形態によれば、トリガ130は金属である。多くの他の実施形態では、トリガ130はプラスチックである。複数の他の実施形態によれば、トリガ130は、トリガ130に加わる種々の力に耐えることができる任意の他の材料又は材料の組み合わせでできている。トリガ130は、準備位置と作用位置との間で可動である。準備位置では、トリガ130はラッチ機構をロック位置に保持又は維持する。作用位置では、トリガは、押されるとラッチ機構を発射位置へ移動できるようにし且つ/又は移動させ、発射位置ではさらに、ピストンヘッド116等のピストン115が解放されてばね114が復元できるようになる。
【0056】
図示の実施形態では、トリガ130は、上面及び下面を有するベースを含む。第1プロング131及び第2プロング132が、相互に且つハウジング102の長手方向軸に実質的に平行に、トリガ130の下面から外方にハウジング102のキャップ端に開いた開口112内に延びる。第1及び第2プロング131、132のそれぞれが、プロングの遠位端にラッチ体118と協働する保定部材を有する。さらに、プロング131、132のそれぞれが、開口705とプロングの遠位端との間の対向部分間に画定された割れ目(split)を有し、これは、さらに詳細に後述するように、ピン710が加えた力に応じて上記部分同士を分離させる。
【0057】
図1に示す実施形態によれば、第1及び第2プロング131、132の保定部材は、ラッチ体218をキャビティ105内の所定位置に保持する。トリガ130は、開口112への方向に押されることにより準備位置から作用位置へ移動する。開口へのトリガ130の移動により、第1及び第2プロング131、132が相互に離れて拡開する。いくつかの実施形態によれば、プロングの拡開は、プロングのそれぞれを通る開口705を通って延びるピン710により引き起こされる。
【0058】
一例では、ピン710は、トリガがキャビティ110内に進むとピン710が開口705の側壁に押し当たってプロングの対向部分を押し離すような形状である。プロング131、132の対向部分が作用位置に拡開すると、プロングの保定部材がラッチ体118を解除する。ラッチ体118の解除により、ラッチ体118は発射位置になり、ここでラッチ体118はプロング131、132の保定部材から自由になる。これにより、ピストンヘッド116が移動自在となってさらにばね114を復元させる。プロング及びトリガ130の動作のより詳細な説明は、
図9A〜
図9Dを参照して以下で行う。いくつかの例では、トリガは、押込み端又はヘッド端と起動端とを有する。起動端は、カムを押してプロング131、132を相互に離して拡開又は移動させ、ピストン115を解放することができる。したがって、本発明の態様は、ユーザが押すよう構成された押込み端と起動端とを有するトリガであって、起動端がピン、カム、又は他の構造的特徴を押してプロング131、132を相互に離間させてから、ばねを圧縮状態から復元又は伸張させるトリガを含むと理解されたい。
【0059】
上記では、本発明の一実施形態によるばね式注射器のエンドキャップ上にあるトリガについて説明している。しかしながら、ハウジングの他の場所に位置付けられており、且つ本発明の種々の他の実施形態による種々の他の無針注射器のコンポーネント構成に基づく他の方法で動作する他のトリガも可能である。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によれば、安全装置がハウジング102の外面に結合される。安全装置は、ロック位置とアンロック位置との間で可動である。ロック位置では、安全装置は、準備位置と作用位置との間のトリガ130の移動を制限する。いくつかの実施形態によれば、安全装置は、安全装置の表面から又は回転可能なハウジングから突出した尖端を有する。尖端は、トリガの移動を阻止する物理的障壁として働くことにより、準備位置と作用位置との間でのトリガの移動を防止することができる。安全装置がロック位置からアンロック位置へ移動すると、尖端は、トリガを準備位置から作用位置へ移動させるようトリガに対して位置決めされる。いくつかの例では、2つの尖端が設けられ、2つの尖端の間にギャップが画定される。安全装置が起動されると、トリガの幅が2つの尖端により画定されたギャップに嵌まってトリガを準備位置から作用位置へ移動させるように、尖端及びトリガが位置決めされる。本発明のいくつかの実施形態による安全装置の動作は、
図5〜
図8を参照して以下で説明する。
【0061】
図1に示す実施形態では、安全装置はカバー120により提供され、これはボアを有する細長い構造を具現し得る。カバー120はケーシング105の外面を包囲し、ケーシング105はカバー120のボア内に位置付けられ、カバー120はケーシング105のハウジングとして働く。図示の実施形態では、カバー120はプラスチックである。しかしながら、カバー120は、本発明の種々の他の実施形態の設計要件及び/又は機能要件を満たす任意の他の材料でできていてもよい。
【0062】
一例では、カバー又はハウジング120は、回転せずケーシング105に対して固定保持された安定部であり得る前又は第1ハウジング部124と、ケーシング105のキャップ端に近接した回転可能部122であり得る後又は第2ハウジング部122とを有する。尖端350(
図3)が、回転部122のキャップ端の外端面から突出することができる。
【0063】
一例では、2つの尖端350があり得る。トリガの押込み端は、非円形であり得る。例えば、押込み端は、サッカー場の周囲のトラックのような長楕円形であり得る。長楕円形は、長さ及び幅に沿って異なる2つの異なる寸法を有する。2つの尖端の間にギャップが画定され得る。一例では、トリガ130は、2つの尖端350により画定されたギャップよりも大きな長径等の幅を有する押込み端を有する。しかしながら、回転可能部122を回転させると、トリガの押込み端の短径の方が2つの尖端により画定されたギャップと位置合わせされ、2つの尖端間を通るように押されてばねを起動することができる。
【0064】
回転部122は、ロック位置からアンロック位置へ移動するようケーシング105の周りを回転可能である。ロック位置では、尖端350がトリガ130と係合して、トリガ130が開口112を通ってケーシング105に押し込まれるのを阻止する。アンロック位置では、尖端は、トリガ130が尖端350と係合しないよう位置決めされ、すぐ上で述べたように、トリガ130は開口112内へ移動し得る。ケーシング120及びその動作のより詳細な説明を、
図5〜
図8を参照して以下で述べるが、
図3は、本発明の一実施形態によるケーシング120の分解図であり、
図4は、本発明の一実施形態による回転部の第1又は内向き面の端面図であり、
図5は、安定部124のf端(a f end)の端面図である。
【0065】
図3〜
図5では、前掲のようにカバー120は回転部122及び安定部124を含む。一例では、組み立てられると、ケーシング105は回転部122及び安定部124の両方の中に位置付けられる。しかしながら、回転部122のみが安定部及びケーシング105の両方に対して回転可能である一方で、安定部はケーシングに対して固定される。回転部122は、略円筒部310とベース部305とを有する。略円筒部310は開口320を有し、これにケーシング105(
図1〜
図4に示す)を挿通させて部分310がケーシング105を囲むようにする。いくつかの実施形態によれば、トリガへの結合用の金属エンドキャップのみが、回転部122を通して安定部124の第1又は内向き端に挿入される。開口320は、回転部をケーシング105上の所定位置に保持するのに十分なほど狭く且つ回転部122をケーシング105上で摺動させて実質的にケーシング105の長手方向軸周りで回転させるのに十分なほど大きいようなサイズ及び形状である。いくつかの他の実施形態によれば、回転部122は、長手方向軸と実質的に平行にケーシング105上で長手方向軸に沿って実質的に前後に摺動し得る。
【0066】
溝325が、略円筒部310に回転方向に画定される。溝325は、ケーシング105の側壁から突出する尖端610(
図8に示す)と協働して、回転部122がケーシング105の周りで回転できる距離を制限する。いくつかの実施形態によれば、溝325の端は、回転部材122のロック位置及びアンロック位置を画定する。尖端350が、略円筒部310の上面の対向側部から突出する。以下でより詳細に説明するように、尖端350は、安全装置がロック位置になるとトリガと係合して、ケーシング105のキャビティ110内へのトリガ130の移動を制限する。2つの尖端350が図示されているが、略円筒部310の上面及び/又は側壁から突起して、安全装置がロック位置になるとトリガ130と係合する任意の数の尖端があり得る。
【0067】
ベース部305は、略円筒部310の側面から突出している。ピン405が、ベース305のボア315に収容される。ボア315は、安定部124のベース部330の内向き面(internal surface)に面する開口をベース部305の内向き面に有することができる。ピン405が、露出位置(
図1に示す)と引込み位置(
図2に示す)との間で可動である。露出位置では、ピン405はベース部305の内向き面を越えてボア315から突出し、ボア内では、ピン405はピンの上部が内向き面を越えない状態でボア315に納められる。いくつかの実施形態によれば、ピン405は露出位置に付勢される。これらの実施形態のいくつかによれば、ピン405は、キャビティ315内のばねにより露出位置に付勢される。ピン露出位置では、アンプルはばね式注射器に接続されない。ピン引込み位置では、ピンは、アンプルにより移動させられるシャフト505により移動させられる。アンプルはシャフトを移動させ、続いてこれによりピン405が押されて回転部内に又は回転部内に引っ込んで位置付けられる。一例では、ピン405の位置付けが安全機構として働いて、安定部124に対する回転部122の回転を防止する。回転部122がロック位置からアンロック位置へ回転できない場合、これはさらに、トリガの押込み端が押されてばねを解放するのを防止する。
【0068】
したがって、本発明の一態様は、少なくとも2つの独立して可動なステップを有する安全機能である。一例では、安全機能は、ピン405を露出位置(exposed positioned)からハウジング部分内の位置へ移動させることを含む第1ステップを有する。上記ピンの移動により、尖端又はピンの端が安定部124から回転部122へ引っ込む又は移動する。安全機能は、トリガが起動され得る前の第2ステップを含むことができる。一例では、安全機能は、回転可能部122を安定部124に対して移動させることを含む。一例では、安定部に対する回転可能部の回転は、ピン405の移動後にのみ行うことができる。例示的な実施形態では、回転可能部122の回転は、回転可能部122の少なくとも1つの尖端350がトリガの押込み端の経路を物理的に塞がないようにこの少なくとも1つの尖端を移動させる。上述のように、ギャップを画定する2つの尖端350があり得ると共に、回転可能部の回転により、トリガの押込み端が2つの尖端350により画定されたギャップ内を進むことができる。
【0069】
ハウジング120の安定部124は、略円筒部325及びベース部330を有する。略円筒部325は開口340を有し、これにケーシング(
図1及び
図2に示す)を挿通させて部分325がケーシング105を囲むようにする。開口340は、安定部124をケーシング105上の所定位置に保持するのに十分なほど狭いようなサイズ及び形状である。いくつかの他の実施形態によれば、安定部124は、回転部122よりも大きな長さを有し得る。ベース部330は、ベース部330に形成された開口を有するボア335を有し、長手方向軸と実質的に平行に整列する。ボア335は、安定部122の両端に第1開口及び第2開口を有する。第1開口は、回転部122の内向き面に面する安定部124の内向き面に画定され、第2開口は、ハウジング120の注射器端に近接した安定部122の注射器端面に画定される。
【0070】
シャフト505(
図2)は、安定部124と略同じ長さを有することができ、安定部のボア335(
図5)に挿入される。シャフト505は、ハウジングの接続端の近くで安定部124から外方に突起する端を有する(
図2)。シャフト505のこの延長部をアンプルにより押して、シャフトをピン305に対して移動させ、ピンの先端を安定部124から押し離すことができる。したがって、シャフト505は、ロード位置とアンロード位置との間で可動である。アンロード位置では、シャフト505の第1端が、ケーシング105の注射器端のアンプル結合部210を越えて安定部124の注射器端から延出し、第2端がボア335内に引っ込む。
【0071】
ロード位置では、シャフト505の第1端は安定部124の注射器端又は外向き面と略面一であり、シャフトの第2端は安定部124の内向き面と略面一である。アンロード位置では、ピン405は、露出位置にあり、ボア335内に延びてピン405と協働して安定部124に対する回転部122の移動又は回転を防止し得る。ロード位置では、ピン405は、ボア335から回転部122のボア315内の引込み位置へ押し出され、回転部122がケーシング105の周りで回転できるようにする。いくつかの実施形態によれば、シャフト505は、ボア335内のばね又は他の付勢装置によりアンロード一に付勢される。図示の実施形態によれば、シャフト505は、アンプルがハウジング102内に挿入されてハウジング102と結合されることによりアンロード位置からロード位置へ押される。
【0072】
本発明の一実施形態による安全装置を提供するケーシングについて
図5〜
図7を参照して説明したが、本発明の種々の他の実施形態による特定の無針注射器の構成及び要件に基づくコンポーネントを追加し、組み合わせ、変更し、且つ/又は除去する他の方法で安全装置を提供する他のケーシングも可能である。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態によるばね式注射器のケーシング105の斜視図を示す。
図8では、ケーシング105は実質的に円筒形である。しかしながら、ケーシング105は、本発明の種々の他の実施形態による種々の他の立体形状であってもよい。ケーシング105は、ケーシング105の側壁から延出する尖端610を含む。尖端610は、カバー120の回転部122の溝325に収納されて部分122の回転をロック位置とアンロック位置との間に制限する。本発明のいくつかの実施形態によれば、尖端610は、ケーシング105を貫通してトリガ130と協働するピン710の端であり得る。
【0074】
ケーシング105は、開口210を包囲し且つアンプルに結合する機構を有する凹状結合部205も含む。例えば、凹状結合部205は、雌ねじを具現することができる。図示の実施形態によれば、凹状結合部205は、ケーシング105の端に形成されることができ、アンプルの端の雄ねじを螺合又は螺入させてアンプルをばね式注射器100に結合するねじを有することができる。いくつかの種々の他の実施形態によれば、他の結合機構を用いてもよい。アンプルのプランジャからのシャフトが、開口205を通ってキャビティ110内に延び、ピストン216に係合する。アンプルの一例は、
図10を参照して以下で説明する。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態による無針注射器のケーシングについて
図8を参照して説明したが、無針注射器の構成に基づく上記実施形態を追加し、組み合わせ、変更し、且つ/又は除去する他の方法で構成された他の本体も可能である。
【0076】
図9A〜
図9Dは、本発明の一実施形態によるトリガ130及びラッチ体118の断面拡大図である。
図9Aに示すように、トリガ130は上面を有するベースを含む。上面は、カバーの外向き面上にベースから延出してカバー上で張出し部を形成する細長部712を有する。細長部712により形成された張出し部は、安全装置がロック位置になると安全装置の尖端に係合して、ハウジング102のキャビティ110へのトリガ130の移動を制限する。トリガ130は、カバーの外向き面上に延びない上面の一部も有する。この部分がアンロック位置にあるカバーの尖端上にある場合、尖端は、キャビティ内へのトリガ130の動きを妨げず、尖端がアンロック位置になるとトリガ130はハウジングに向かって移動自在となる。
【0077】
トリガ130は、ベースに画定された開口705も有する。開口は、ハウジングの長手方向軸に沿って準備位置と作用位置との間のトリガ130の移動を可能にするのに十分な長さである。キャビティの内面に両端が取着されたピン710が、開口705を貫通し、トリガ130の移動を開口705の長さに制限してトリガ130の移動を準備位置と作用位置との間に制限する。
【0078】
図9A〜
図9Dに示すように、ピン710は、トリガ130が準備位置にあるときにキャビティに近接した開口の端から始まる。
図9A〜
図9Dに示すように、トリガ130がキャビティ内に向けて押されると、開口705内のピン710の相対位置が開口の近位端からキャビティから遠位の開口の端へ移動する。換言すれば、トリガ130が押されると、ピンは開口705内の第1位置から開口705内の第2位置へ移動する。ピン710は、開口705の側壁に押し当たってプロング131、132の対向部分(the portions)を押し離すような形状である。トリガ130が発射位置に達すると、ピン710はキャビティ内へのトリガ130の移動を制限する。一例では、開口705と開口内に位置付けられるピン710の部分との相対サイズにより、ピンが開口で第1位置から第2位置へ移動するとピンが開口の側壁に押し当たる。
【0079】
図9Aに戻ると、トリガ130は、プロング131及び132(
図1、
図2、及び
図9B)を含む。各プロングが、フック端720を有する保定部材715を有する。プロング131、132の対向部分間に、開口705を通る割れ目750がある。この割れ目により、ピン710による起動時に2つのプロング131、132が相互に離れることができ、ピン710が加えた力に応じて2つのプロングの遠位端が分離してプランジャのエンドキャップ735を解放できるようになる。
【0080】
一例では、ピン710は、トリガがキャビティ110内に進むとピン710が開口705の側壁に押し当たってプロングの対向部分を押し離すような形状である。したがって、開口705は、並んで位置合わせされると割れ目750と連通する開口705を画定するような、2つのプロング131、132のそれぞれに1つずつの2つの切欠きとみなすことができる。プロング131、132の上記部分が作用位置に拡開すると、プロングの保定部材がラッチ体118を解除する。さらに、各保定部材の内向き面720が、ラッチ体118のエンドキャップ735の下面から外方にキャビティの側部に向かって傾斜し得る。保定部材の傾斜により、トリガがラッチ体をロック位置から発射位置へ移動させることによるエンドキャップ735の解放が容易になり得る。
【0081】
エンドキャップ735は、ラッチ体118から外方に延びる尖端とみなすことができ、これはピストン115のシャフト117の端に位置付けることができる。尖端は、上面、下面、及び上面と下面との間の側壁を有する。上面は、ラッチ体118から外方に延びて、ラッチ体の下面及び尖端の側壁を越えて延びる張出し部を画定する。図示の実施形態では、側壁は、上面の中心に近接した上端から張出し部の端に近接した下端まで傾斜している。
【0082】
張出し部は、トリガが準備位置にあるときにプロングの保定部材と係合してラッチ体218を所定位置に保持する。エンドキャップの側壁の傾斜を用いて、ラッチ体118の解除時に保定部材715がラッチ体の移動を妨げるのを防止することができる。いくつかの実施形態によれば、エンドキャップ735の張出し部の下のラッチ体118の側壁730も、エンドキャップ735の側壁と同様に外方に傾斜している。図示の実施形態では、
図9A〜
図9Dに見られるように、トリガ130が準備位置から作用位置へ移動してエンドキャップ735を解放するときに、尖端の傾斜側壁730は、プロングの保定部材715の傾斜面に係合してプロングを押し離すのを助ける。
【0083】
図10は、本発明の一実施形態によるばね式注射器に挿入され得る例示的なアンプル800の側面斜視図を示す。
図10では、アンプル800は液体薬剤を保持するリザーバを囲むハウジング又はバレル805を含む。ハウジング800の第1端は、表面を通ってリザーバまで画定されたノズル開口810を有する。開口は、無針注射器が与えた力を用いた放出時に無針注射を実行するのに望まれる力を液体薬剤が有するようにするのに望まれる流体速度及び圧力を提供するサイズ及び形状である。
【0084】
第2端に近接したハウジング805の第2側部815は、ねじ山を有するか、又はばね式注射器への接続用のねじ又は他の係合手段を有する結合端815である。図示のように、ねじ端は、注射器のハウジングの凹状結合部に螺入されるよう構成される。ハウジング800の第2端は、プランジャ820が入ることを可能にするサイズの開口を有する。プランジャ820は、復元するばねがピストンを移動させるとプランジャ820がハウジング805のリザーバ内に送り込まれてノズル開口810から液体薬剤を放出するように、ピストンに係合するよう第2開口からハウジングのキャビティ内に延出可能であるシャフトを有する。プランジャ先端820がプランジャに結合され、ハウジング805の内面と動的シール配置になる。
【0085】
上述のように構成された無針注射器は、以下のように動作することができる。プロセスの開始時に、ばねはばね式注射器内で非圧縮状態にあり、アンプルがばね式注射器のハウジングに取着されていない。したがって、ばね式注射器のハウジングのケーシング内のシャフトは、カバーの注射器端から突出してアンロード位置にある。これにより、ケーシングの回転部のピンがケーシングの安定部のボア内に延びて回転部をロック位置に保持することができる。ロック位置では、カバーの回転部の尖端がトリガの張出し部の下にあり、キャビティ内へのトリガの移動を制限する。
【0086】
ばね式注射器は、続いてコーキング(calking:充填)又はローディングプロセスが施され得る。コーキングプロセスでは、ピストンがハウジングの注射器端からキャップ端までキャビティに押し込まれる。キャビティ内へのピストンの移動は、ばねを所望の圧縮状態に圧縮する。略同時に、ラッチ体118のエンドキャップ735が、トリガ130と、例えば2つのプロング131、132の2つの保定部材715(
図9A及び
図9B)と係合する。トリガは、準備位置へ移動し、ラッチ体に係合してラッチ体を保持位置に保持する。保持位置のラッチ体は、ばねを圧縮状態に保つためにピストンを所定位置に保持する。
【0087】
続いて、アンプルをばね式注射器の凹状結合部に挿入してばね式注射器に結合することができる。ばね式注射器へのアンプルの結合により、ハウジングの安定部内のシャフトがアンロード位置からロード位置へ移動し、シャフトの第2端が安定部の内向き面と略面一になる。シャフトがロード位置へ移動すると、ハウジングの回転部のピンが回転部のキャビティ内で引込み位置になる。ピンが引込み位置になると、回転部はロック位置からアンロック位置へ回転自在となる。ピンの引込み位置は、露出されるピンの端が、ばね式注射器のその後の移動を妨げないようにハウジング内に移動していることを意味し得る。
【0088】
回転部は、ロック位置からアンロック位置へ回転させられる。回転により、回転部の尖端は、トリガの張出し部の下からトリガがハウジングのキャビティ内に移動自在となる位置へ移動する。続いてトリガは、トリガを準備位置から作用位置へキャビティに押し込むことにより起動され得る。キャビティ内へのトリガの移動により、プロングの対向部分が押し離されてラッチ体の尖端を解放する。尖端の傾斜側壁は、トリガが作用位置に達すると保定部材を相互に外方に押すことによりプロングの上記部分を押し離すのを容易にする。
【0089】
プロングの上記部分同士を離間させることで、ラッチ体の尖端が発射位置への移動時に解放される。ラッチ体がプロングから自由になると、ピストンは伸張するばねにより移動自在となる。これにより、ばねは復元され、ピストンにエネルギーが印加される。印加されたエネルギーは、ピストンをハウジングの注射器端に向けて付勢する。ピストンは、注射器端に向かって移動しながらプランジャのシャフトをアンプルに押し込む。プランジャはさらに、液体薬剤をノズルに向けて押し、ノズルが液体の流出を制限する結果として液体が所望の圧力で放出される。
【0090】
無針皮下注射器と、ばね式注射器100及びアンプルを含むそのコンポーネントとを作製及び使用する方法は、本発明の範囲内にある。
【0091】
無針皮下注射器アセンブリ及びそのコンポーネントの限定的な実施形態を本明細書に具体的に記載し図示したが、多くの変更及び変形が当業者には明らかとなろう。さらに、本発明は、本明細書に記載の特徴又はコンポーネントの一部であって、開示された構造的特徴の全てが本発明の実施に必要であると解釈され得るものではない。したがって、開示された装置、システム、及び方法の原理に従って構成された無針皮下注射器アセンブリ及びそのコンポーネントは、本明細書に具体的に記載されたもの以外にも具現され得ることを理解されたい。本開示は、添付の特許請求の範囲にも記載される。
【国際調査報告】