(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
NEO−201は、ヒト化IgG1モノクローナル抗体(mAb)であり、結腸癌、膵癌、胃癌、肺癌、乳癌、子宮癌など、多くの様々ながんの大部分の腫瘍組織に対して高い反応を示すが、正常組織の圧倒的多数がこの抗体では認識されない。機能アッセイにより、NEO−201は腫瘍細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)の両方を媒介できることが明らかになった。さらに、in vivoでのヒト膵臓異種移植腫瘍の成長は、NEC−201を単独で、及びADCCのエフェクター細胞源としてヒト末梢血単核細胞(PBMC)と組み合わせて処理することで大幅に減衰した。ヒト腫瘍異種移植片担持マウスにおけるin vivo分布研究では、NEO−201が腫瘍内に優先的に蓄積するが、臓器組織には蓄積しないことが明らかになった。非ヒト霊長類における単回用量毒性研究では、循環好中球の一時的な減少が観察された唯一の関連する悪影響であったため、NEO−201の安全性及び忍容性が実証された。
前記患者は、任意によりCNKD(例えば、CNKD1、CNKD2)、またはFNKD(例えば、FNKD1)を含むNK細胞欠損症(NKD)を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記化学療法は、1つ以上のプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、MG132)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、バルプロ酸、トリコスタチンA、スベロイルアニリド−ヒドロキサム酸(SAH)、酪酸ナトリウム)、遺伝毒性剤(例えば、ドキソルビシン、メルファラン、シスプラチン、Ara−C、アフィジコリン、マイトマイシン、メトトレキサート、エトポシド)、GSK阻害剤(例えば、LiCl、BIO、SB21)、BET阻害剤(例えば、JQ1)、HSP90阻害剤(例えば、ラディシコラ(radicicola))、17−AAG)、微小管集合阻害剤(例えば、ビンクリスチン、サイトカラシンD、ノコダゾール、ドセタキセル)、及び/または免疫調節薬(例えば、レナリドマイド)を投与することを含む、請求項13に記載の方法。
前記NEO−201抗体は、配列番号28及び配列番号29に含まれるCDR配列の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つすべてを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記NEO−201抗体は、配列番号38に対して少なくとも90%の同一性を有する可変重鎖配列、及び配列番号39に対して少なくとも90%の同一性を有する可変軽鎖配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記NEO−201抗体は、配列番号28のアミノ酸20〜470に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖配列、及び配列番号29のアミノ酸20〜233に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記NEO−201抗体は、配列番号28のアミノ酸20〜470を含む重鎖配列、及び配列番号29のアミノ酸20〜233を含む軽鎖配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記がん腫の細胞の死滅を増強するかまたは刺激するための有効量のサイトカインアゴニストを前記患者に投与することをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記サイトカインアゴニストは、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン21(IL−21)、ALT−803、IL−15阻害剤、チェックポイント阻害剤、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA−4、抗−41BB、抗OX40、抗Tim−3、またはそれらの組み合わせである、請求項31に記載の方法。
前記がん腫の細胞の死滅を増強するかまたは刺激するための有効量の補体調節タンパク質(CRP)アンタゴニストを前記患者に投与することをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記サイトカインアゴニストが、IL−15受容体α/IgG1 Fc融合タンパク質に結合したIL−15変異体(IL−15N72D)からなる複合体を含む、請求項31に記載の方法。
前記NEO−201抗体の前記有効投与量が、前記サイトカインアゴニストを含まない前記NEO−201抗体単独での治療と比較して低減される、請求項31〜38のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一態様では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫細胞を死滅させる方法を提供する。
【0018】
一態様では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫を治療する方法を提供する。
【0019】
一態様では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫の再発を予防する方法を提供する。
【0020】
一態様では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫を有する患者の腫瘍量を減少させる方法を提供する。
【0021】
この抗体は、補体媒介性細胞毒性(CDC)を媒介し、それにより患者のがん腫細胞を死滅させることができる。
【0022】
患者は、投与前または投与時にナチュラルキラー(「NK」)が枯渇している場合がある。患者は、投与前または投与時に重度のNK枯渇であり得る。患者は、CNKD(例えば、CNKD1、CNKD2)、またはFNKD(例えば、FNKD1)などのNK細胞欠損症(NKD)を有し得る。患者は、別の治療法、例えば、化学療法または放射線療法などのがん療法の結果として、NK枯渇または重度のNK枯渇であり得る。患者は、1つ以上のプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、MG132)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、バルプロ酸、トリコスタチンA、スベロイルアニリド−ヒドロキサム酸(SAH)、酪酸ナトリウム)、遺伝毒性剤(例えば、ドキソルビシン、メルファラン、シスプラチン、Ara−C、アフィジコリン、マイトマイシン、メトトレキサート、エトポシド)、GSK阻害剤(例えば、LiCl、BIO、SB21)、BET阻害剤(例えば、JQ1)、HSP90阻害剤(例えば、ラディシコラ(radicicola))、17−AAG)、微小管集合阻害剤(例えば、ビンクリスチン、サイトカラシンD、ノコダゾール、ドセタキセル)、及び/または免疫調節薬(例えば、レナリドマイド)で治療されてもよい。
【0023】
この方法は、投与前または投与時に、患者がNK枯渇しているかを決定することを含み得る。
【0024】
この方法は、投与前または投与時に、患者が重度のNK枯渇であるかを決定することを含み得る。
【0025】
この方法では、投与前または投与時に、NK細胞は、個体における末梢血単核細胞(PBMC)の5%未満を構成し得る。
【0026】
この方法では、投与前または投与時に、NK細胞は、個体における末梢血単核細胞(PBMC)の3%未満を構成し得る。
【0027】
この方法では、投与前または投与時に、患者の70%未満のPBMC NK細胞がCD56dimCD16+NK細胞であり得る。
【0028】
この方法では、投与前または投与時に、患者の50%未満のPBMC NK細胞がCD56dimCD16+NK細胞であり得る。
【0029】
NEO−201抗体は、配列番号28及び配列番号29に含まれるCDR配列の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つすべてを含み得る。
【0030】
NEO−201抗体は、配列番号38に対して少なくとも90%の同一性を有する可変重鎖配列を含み得る。
【0031】
NEO−201抗体は、配列番号39に対して少なくとも90%の同一性を有する可変軽鎖配列を含み得る。
【0032】
NEO−201抗体は、配列番号38に対して少なくとも90%の同一性を有する可変重鎖配列、及び配列番号39に対して少なくとも90%の同一性を有する可変軽鎖配列を含み得る。
【0033】
NEO−201抗体は、配列番号28のアミノ酸20〜470に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖配列、及び配列番号29のアミノ酸20〜233に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖配列を含み得る。
【0034】
NEO−201抗体は、配列番号28及び配列番号29に含まれる6つすべてのCDR配列を含み得る。
【0035】
NEO−201抗体は、ヒトIgG1定常ドメインを含み得る。
【0036】
NEO−201 抗体は、ヒト化され得る。
【0037】
NEO−201抗体は、別の部分にコンジュゲートされてもよい。
【0038】
NEO−201抗体は、別の細胞毒性部分、標識、放射性部分、または親和性タグにコンジュゲートされてもよい。
【0039】
この方法は、がん腫の細胞の死滅を増強するか、または刺激するために有効量のサイトカインアゴニストを患者に投与することをさらに含み得る。サイトカインアゴニストは、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン21(IL−21)、ALT−803、IL−15阻害剤、チェックポイント阻害剤、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA−4、抗−41BB、抗OX40、抗Tim−3、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0040】
この方法は、がん腫の細胞の死滅を増強するかまたは刺激するために有効量の補体調節タンパク質(CRP)アンタゴニストを患者に投与することをさらに含み得る。CRPアンタゴニストは、CD46、CD55、またはCD59のうちの1つ以上に拮抗し得る。CRPアンタゴニストは、抗体またはその抗原結合断片を含み得る。
【0041】
サイトカインアゴニストは、IL−15アゴニストまたはIL−15スーパーアゴニストを含み得る。
【0042】
サイトカインアゴニストは、ALT−803などのIL−15受容体α/IgG1 Fc融合タンパク質に結合したIL−15変異体(IL−15N72D)からなる複合体を含み得る。
【0043】
NEO−201抗体の有効投与量は、サイトカインアゴニストを含まないNEO−201抗体単独での治療と比較して低減され得る。
【0044】
がん腫は、結腸癌であり得る。がん腫は、膵癌であり得る。がん腫は、卵巣癌であり得る。がん腫は、胃癌であり得る。がん腫は、肺癌であり得る。がん腫は、乳癌であり得る。がん腫は、子宮癌であり得る。
【0045】
別の実施形態では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫細胞を死滅させる方法を提供し、本方法では、患者は、投与前または投与時にナチュラルキラー(「NK」)が枯渇している。NK枯渇は、患者由来の試料、例えば血液試料中において、5%未満または3%未満のNK細胞である末梢血単核細胞(PBMC)を有する患者であり得る。代替的にまたは追加的に、この方法では、投与前または投与時に、患者の70%未満(任意により50%未満)のPBMC NK細胞がCD56dimCD16+NK細胞であり得る。
【0046】
別の実施形態では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫を治療する方法を提供し、本方法では、患者は、投与前または投与時にナチュラルキラー(「NK」)が枯渇している。
【0047】
別の実施形態では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫の再発を予防する方法を提供し、本方法では、患者は、投与前または投与時にナチュラルキラー(「NK」)が枯渇している。
【0048】
別の実施形態では、本開示は、有効量のNEO−201抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、がん腫を有する患者の腫瘍量を減少させる方法を提供し、本方法では、患者は、投与前または投与時にナチュラルキラー(「NK」)が枯渇している。
【0049】
前述の方法では、抗体はCDCを媒介し、それにより、例えば、患者がNK枯渇しているために有効なADCCが存在しないにもかかわらず、それによって患者においてがん腫細胞を死滅させることができる。患者は、投与時に重度のNK枯渇であり得る。任意により、方法は、例えば、投与時または投与前の期間内、例えば、1週間または2週間前など、患者がNK枯渇であるか、または重度のNK枯渇であるかを決定することをさらに含む。NK枯渇または重度のNK枯渇状態は、NK細胞を枯渇させる別の治療法の事前使用または同時使用など、患者の病歴から推測されてもよい。例えば、患者は、放射線療法または化学療法などのがん療法を受けているか、または同時に受けている。がん療法は、1つ以上のプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、MG132)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、バルプロ酸、トリコスタチンA、スベロイルアニリド−ヒドロキサム酸(SAH)、酪酸ナトリウム)、遺伝毒性剤(例えば、ドキソルビシン、メルファラン、シスプラチン、Ara−C、アフィジコリン、マイトマイシン、メトトレキサート、エトポシド)、GSK阻害剤(例えば、LiCl、BIO、SB21)、BET阻害剤(例えば、JQ1)、HSP90阻害剤(例えば、ラディシコラ(radicicola))、17−AAG)、微小管集合阻害剤(例えば、ビンクリスチン、サイトカラシンD、ノコダゾール、ドセタキセル)、及び/または免疫調節薬(例えば、レナリドマイド)を投与することを含み得る。
【0050】
患者は、CNKD(例えば、CNKD1、CNKD2)、またはFNKD(例えば、FNKD1)などのNK細胞欠損症(NKD)を有し得る。
【0051】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号28及び配列番号29に含まれるCDR配列の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つすべてを含み得る。
【0052】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号38に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する可変重鎖配列を含み得る。上記パーセント配列同一性を有する可変重鎖は、配列番号38に含まれる3つすべてのCDR配列を含み得る。
【0053】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号39に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する可変軽鎖配列を含み得る。可変軽鎖は、配列番号39に含まれる3つすべてのCDR配列を含み得る。
【0054】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号38に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する可変重鎖配列、及び配列番号39に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する可変軽鎖配列を含み得る。可変軽鎖は、配列番号39に含まれる3つすべてのCDR配列を含み得、パーセント配列同一性を有する可変重鎖は、配列番号38に含まれる3つすべてのCDR配列を含み得る。
【0055】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号28のアミノ酸20〜470に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する重鎖配列、及び配列番号29のアミノ酸20〜233に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する軽鎖配列を含み得る。軽鎖は、配列番号29に含まれる3つすべてのCDR配列を含み得、パーセント配列同一性を有する可変重鎖は、配列番号28に含まれる3つすべてのCDR配列を含み得る。
【0056】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号28に含まれる重鎖可変領域配列及び配列番号29に含まれる軽鎖可変領域配列を含み得る。
【0057】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、配列番号28のアミノ酸20〜470を含む重鎖配列及び配列番号29のアミノ酸20〜233を含む軽鎖配列を含み得る。
【0058】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、ヒトIgG1定常ドメインを含む。
【0059】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、ヒト化され得る。
【0060】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体は、別の細胞毒性部分、標識、放射性部分、または親和性タグなどの別の部分にコンジュゲートさせ得る。
【0061】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、この方法は、がん腫の細胞の死滅を増強するか、または刺激するために有効量のサイトカインアゴニストを患者に投与することをさらに含み得る。サイトカインアゴニストは、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン21(IL−21)、ALT−803、IL−15阻害剤、チェックポイント阻害剤、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA−4、抗−41BB、抗OX40、抗Tim−3、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0062】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、この方法は、がん腫の細胞の死滅を増強するかまたは刺激するために有効量の補体調節タンパク質(CRP)アンタゴニストを患者に投与することをさらに含み得る。CRPアンタゴニストは、CD46、CD55、またはCD59のうちの1つ以上に拮抗し得る。CRPアンタゴニストは、抗体またはその抗原結合断片を含み得る。サイトカインアゴニストは、IL−15アゴニストまたはIL−15スーパーアゴニストを含み得る。サイトカインアゴニストは、IL−15受容体α/IgG1 Fc融合タンパク質に結合したIL−15変異体(IL−15N72D)からなる複合体を含み得る。サイトカインアゴニストは、ALT−803を含み得る。
【0063】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、NEO−201抗体の有効投与量は、サイトカインアゴニストを含まないNEO−201抗体単独での治療と比較して低減される。
【0064】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんはNEO−201抗原を発現し得る。NEO−201抗原の発現は、がんの試料中においてNEO−201抗原を検出することにより決定され得る。検出は、組織学的染色、フローサイトメトリー、RT−PCR、ドットブロット、ウエスタンブロット、ノーザンブロット及び周知の技術を含む技術により行われ得る。再発がんまたは転移性がんの場合、NEO−201抗原の発現は、原発がん中のNEO−201の発現またはNEO−201抗体治療法に対する原発がんの反応から予測してもよい。
【0065】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、結腸癌であり得る。
【0066】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、膵癌であり得る。
【0067】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、卵巣癌であり得る。
【0068】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、胃癌であり得る。
【0069】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、肺癌であり得る。
【0070】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、乳癌であり得る。
【0071】
前述のまたは以下の実施形態のいずれかと共に使用され得る本発明の好ましい実施形態では、がんは、子宮癌であり得る。
【0073】
別途定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料は、本発明または本発明の試験で使用され得るが、好適な方法及び材料が本明細書に記載される。材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0074】
本明細書の説明において、及び下記特許請求の範囲にわたって用いられる場合、文脈が別途明確に指示しない限り、「a」、「an」、及び「the」の意味は、複数の指示対象を含む。
【0075】
本明細書で使用される「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を広く指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされたもの、ならびに例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリンなど、後に修飾されるアミノ酸である。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合している炭素、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾されたR基を有するか(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様の形で機能する化学化合物を指す。
【0076】
本明細書で使用される用語「NK枯渇」または「ナチュラルキラー枯渇」は、正常範囲と比較して低いナチュラルキラー(NK)細胞レベルを有する患者を指す。NK細胞は、細胞傷害性自然免疫リンパ球である。典型的には、NK細胞は、健康な個体の末梢血単核細胞(PBMC)の5〜20%を構成する。PMBCの5%未満を構成するNK細胞を有する患者は、NK枯渇と呼ばれる。さらに、NK細胞がPMBCの3%未満を構成する場合、患者は、重度のNK細胞の枯渇と称される。さらに、正常な個体では、最大90%のPBMC NK細胞がCD56
dimCD16
+NK細胞であり、これらは最も細胞毒性のあるサブセットと考えられている。70%未満のPBMC NK細胞がCD56
dimCD16
+NK細胞である場合、その患者はNK枯渇と称される。さらに、PBMC NK細胞の50%未満がCD56
dimCD16
+NK細胞である場合、その患者は重度のNK枯渇と称される。所定の患者は、これらの個々の基準の一方または両方を満たすことに基づいて、NK枯渇または重度のNK枯渇と称される場合がある。一般的に言えば、NK枯渇または重度のNK枯渇としての患者の状態は、患者から採取された試料、例えば、血液試料、例えば、1週間または2週間前以内に得られ、検査された試料を検査することによって決定される。NK枯渇または重度のNK枯渇としての患者の状態は、NK細胞のこうした枯渇に関連する疾患の診断及び/または一連の治療からも推測され得る。
【0077】
NK枯渇には、NK細胞欠損症(NKD)を有する対象も含まれる。例示的なNKD状態としては、NK細胞の欠如及び末梢血リンパ球間のそれらの機能を特徴とする古典的なNKD(CNKD)、末梢血リンパ球内にNK細胞が存在し、NK細胞活性に欠陥を有することを特徴とする機能的NKD(FNKD)が挙げられる。CNKD及びFNKDの両方において、NK細胞の異常は主要な免疫学的欠損であり、これにより、ADCC応答が不十分になる。CNKD及びFNKDは、原因遺伝子(複数可)の同一性または他の患者の特徴などの患者の特徴に基づいてさらに細かく分類できる。CNKDとしては、常染色体優性であり、GATA2遺伝子での欠陥に関連するCNKDサブタイプ1(CNKD1)と、常染色体劣性であり、MCM4遺伝子での欠陥に関連するCNKDサブタイプ2(CNKD2)が挙げられる。FNKDとしては、常染色体劣性であり、FCCR3A遺伝子での欠陥に関連するFNKD1が挙げられる。
【0078】
「抗体」は、本明細書で用いられる場合、エピトープに適合し、それを認識する特定形状を有する任意のポリペプチド鎖含有分子構造を広く指し、1つ以上の非共有結合相互作用により、分子構造とエピトープとの間の複合体が安定化する。原型的な抗体分子は、免疫グロブリンであり、全ての源、例えば、ヒト、齧歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ニワトリからのあらゆる種類の免疫グロブリン、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDが「抗体」であると考えられる。抗体としては、これらに限定されないが、キメラ抗体、ヒト抗体及び他の非ヒト哺乳動物抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体(scFv)、ラクダボディ、ナノボディ、IgNAR(サメに由来する一本鎖抗体)、小モジュラー免疫医薬品(SMIP)、及び抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)
2)が挙げられる。多数の抗体コード配列が記載されている。また他のものは、当技術分野で周知の方法によって出現させ得る。Streltsov,et al.(2005)Protein Sci.14(11):2901−9;Greenberg,et al.(1995)Nature 374(6518):168−173;Nuttall,et al.(2001)Mol Immunol.38(4):313−26;Hamers−Casterman,et al.(1993)Nature 363(6428):446−8;Gill,et al.(2006)Curr Opin Biotechnol.17(6):653−8を参照されたい。
【0079】
「NEO−201抗体」は、配列番号28及び29の重鎖及び軽鎖、または任意によりその中に含まれる定常領域と共に可変領域、ならびにそれらの断片及び変異体を含む抗体を指す。そのような変異体としては、配列番号28及び配列番号29に含まれるCDR配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは好ましくは6つすべてを含む配列、すなわち配列番号32の重鎖CDR1、配列番号33の重鎖CDR2、配列番号34の重鎖CDR3、配列番号35の軽鎖CDR1、配列番号36の軽鎖CDR2、及び配列番号37の軽鎖CDR3が挙げられる。この抗体は、ヒト化され得る。この抗体は、抗体の発現及び/またはプロセシング及び分泌中に除去され得る1つ以上のリーダー配列を含有して発現され得る。この抗体は、これらに限定されないが、NEO−201抗体配列及び異なる抗体の結合断片を含む二特異性抗体または多特異性抗体など、一価、二価、またはより多価の形態で提示されてもよい。典型的には、この抗体は、がん腫細胞に特異的に結合し、配列番号38の可変重鎖及び配列番号39の可変軽鎖を含むか、または配列番号28の重鎖及び配列番号29の軽鎖を含む抗体とがん腫細胞への結合について競合する。配列番号28及び/または配列番号29に含まれるそれらのCDR配列のうちの1つ以上は、配列番号1または4の軽鎖CDR1;配列番号2または5の軽鎖CDR2;配列番号3または6の軽鎖CDR3;配列番号7の重鎖CDR1;配列番号8、10、30、または31の重鎖CDR2;配列番号9もしくは11または配列番号30〜31の重鎖CDR3;などのバリアント配列と置換されてもよい。軽鎖は、配列番号14、16、17、18、19、20、21、または29の軽鎖配列に含まれるCDRを含み得る。重鎖は、配列番号15、22、23、24、25、26、27、または29の重鎖配列に含まれるCDRを含み得る。抗体は、配列番号38に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する可変重鎖配列、及び/または配列番号39に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する可変軽鎖配列を含み得、任意により、重鎖及び/または軽鎖配列は、配列番号28及び配列番号29に含まれるCDR配列の1、2、3、4、5、または好ましくは6つすべて、すなわち、配列番号32の重鎖CDR1、配列番号33の重鎖CDR2、配列番号34の重鎖CDR3、配列番号35の軽鎖CDR1、配列番号36の軽鎖CDR2、及び配列番号37の軽鎖CDR3を含む。抗体は、細胞毒性部分、放射性部分、標識、または精製タグなどの別の部分にコンジュゲートされてもよい。
【0080】
本明細書で使用される「抗原」は、動物がその抗原のエピトープに結合できる抗体を産生するようにさらに誘導できる抗体によって結合され得る分子または分子の一部分を広く指す。抗原は、1つのエピトープを有していても、1つ以上のエピトープを有していてもよい。本明細書で言及される特定の反応は、抗原が、非常に選択的な様式で、対応する抗体と反応し、他の抗原によって誘起され得る他の多数の抗体とは反応しないことを示す。抗原は、腫瘍特異的であり得る(例えば、膵臓及び結腸癌の腫瘍性細胞によって発現される)。
【0081】
本明細書で使用される「がん」は、悪性の成長または腫瘍を引き起こす、制御されていない異常な細胞分裂を特徴とする任意の新生物疾患(侵襲性または転移性)を広く指す。
【0082】
本明細書で使用される「キメラ抗体」は、抗原結合部位(可変領域)が、異なるまたは変更されたクラス、エフェクター機能及び/もしくは種の定常領域、またはキメラ抗体に新しい特性を付与する完全に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物に連結されるように、定常領域もしくはその一部分が変更されるか、置換されるか、もしくは交換されるか;または、可変領域もしくはその一部が、異なるまたは変更された抗原特異性を有する可変領域により変更され、置換され、または交換される抗体分子を広く指す。
【0083】
本明細書で使用される「保存的に改変されたバリアント」は、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に適用され、特定の核酸配列に関しては、保存的に改変されたバリアントを広く指し、同一もしくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸を指すか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重のため、機能的に同一である多数の核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。そのような核酸多様性は「サイレント変動」であり、保存的に改変された変動の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のいずれの核酸配列にも、核酸のあらゆる可能なサイレント変動について記載されている。当業者であれば、核酸中の各コドン(通常、メチオニンの唯一のコドンであるAUG、及び通常、トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が機能的に同一の分子を生成するように改変され得ることを認識している。
【0084】
本明細書で使用する「相補性決定領域」、「超可変領域」、または「CDR」は、抗体の軽鎖または重鎖の可変領域に見られる1つ以上の超可変領域または相補性決定領域(CDR)を広く指す。Kabat,et al.(1987)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」National Institutes of Health,Bethesda,MD.を参照されたい。これらの発現としては、Kabatらによって定義された((1983)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」U.S.Dept.of Health and Human Services)超可変領域、または抗体の三次元構造における超可変ループが挙げられる。Chothia and Lesk(1987)J Mol.Biol.196:901−917。各鎖内のCDRは、フレームワーク領域によって密接に近接して保持され、他の鎖のCDRと共に、抗原結合部位の形成に寄与する。CDR内には、選択性決定領域(SDR)として記載されている選択されたアミノ酸があり、抗体と抗原との相互作用においてCDRが使用する重要な接触残基を表している。Kashmiri(2005)Methods36:25−34。
【0085】
本明細書で使用される「対照量」は、広くマーカーを指し、マーカーの試験量と比較される任意の量または量の範囲であり得る。例えば、マーカーの対照量は、特定の疾患または状態を有する患者またはそのような疾患または状態を有さないヒトにおけるマーカーの量であり得る。対照量は、絶対量(例えば、マイクログラム/ml)または相対量(例えば、シグナルの相対強度)のいずれかであり得る。
【0086】
本明細書で使用される「差次的に存在する」は、疾患または状態を有する患者から採取した試料に存在するマーカーの量または質における、疾患または状態のうちの1つを有さない患者から採取した同等の試料と比較した差異を広く指す。例えばハイブリダイゼーション/またはNATベースのアッセイによって測定された場合、例えば、一方の試料中の核酸断片の量が、他方の試料中の核酸断片の量と著しく異なる場合、核酸断片は任意により2つの試料間で異なるように存在してもよい。一方の試料中のポリペプチドの量が他方の試料中のポリペプチドの量と大幅に異なる場合、ポリペプチドは2つの試料間で異なるように存在する。マーカーが一方の試料中で検出可能であり、他方の試料では検出可能でない場合、こうしたマーカーは異なるように存在すると見なされ得ることに留意すべきである。任意により、比較的少量の上方調節がマーカーとして役立ち得る。
【0087】
「診断的」は、本明細書で用いられる場合、病態の存在または性質を特定することを広く指す。診断的方法は、それらの感受性及び特異性において異なる。診断的アッセイの「感受性」は、検査で陽性を示す、罹患した個体のパーセンテージである(「真の陽性」のパーセント)。アッセイによって検出されない罹患した個体は、「偽陰性」である。罹患していない、かつアッセイにおいて検査で陰性を示す対象は、「真陰性」と呼ばれる。診断的アッセイの「特異性」は、1−偽陽性率であり、「偽陽性」率は、検査で陽性を示す疾患のない者の割合として定義される。特定の診断的方法は、状態の確定診断を提供しないことがあるが、この方法により、診断を補助する陽性表示がもたらされる場合は、この方法で十分である。
【0088】
「診断する」は、本明細書で用いられる場合、疾患または症状を分類することと、疾患の重症度を決定することと、疾患の進行を監視することと、疾患の転帰及び/または回復の見通しを予測することと、を広く指す。「検出する」という用語も、前述のいずれかを任意に包含し得る。本発明による疾患の診断は、いくつかの実施形態において、対象から得られた生物試料中の本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルを決定することによって影響されることがあり、決定されるレベルは、疾患に対する素因、または疾患の存在もしくは非存在と相関し得る。「対象から得られた生物試料」は、対象から物理的に除去されていない試料も任意により含み得ることに留意すべきである。
【0089】
本明細書で使用するとき、「有効量」は、疾患を治療するために患者に投与される場合、疾患のこうした治療をもたらすのに十分な化合物、抗体、抗原、または細胞の量を広く指す。有効量は、予防に有効な量、及び/または防止に有効な量であり得る。有効量は、兆候/症状の発生を低減するために有効な量、防止するために有効な量、兆候/症状の発生の重症度を低減するため、兆候/症状の発生を排除するため、兆候/症状の発生の発達を遅延させるため、兆候/症状の発生の発達を防止するため、及び/または兆候/症状の発生の予防をもたらすために有効な量であり得る。「有効量」は、疾患及びその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、病歴、感受性、及び既存状態に応じて異なり得る。「有効量」という用語は、本発明の目的で「治療上有効な量」と同義である。
【0090】
本明細書で使用される「発現ベクター」は、原核生物、酵母、真菌、植物、昆虫または哺乳動物の細胞などあらゆる細胞において、構成的または誘導的にin vitroまたはin vivoで本発明の核酸配列を発現する目的のあらゆる組換え発現系を広く指す。この用語には、線形または環式発現系を含む。この用語には、エピソームのままであるか、宿主細胞ゲノムに組み込まれる発現系を含む。発現系は、自己複製する、または自己複製しない、すなわち、細胞における一過性発現のみを駆動する能力を有し得る。この用語としては、組換え核酸の転写に必要な最小限のエレメントのみを含む組換え発現カセットが挙げられる。
【0091】
本明細書で使用される「フレームワーク領域」または「FR」は、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内のフレームワーク領域の1つ以上を広く指す。Kabat,et al.(1987)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」National Institutes of Health,Bethesda,MDを参照されたい。これらの発現には、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内のCDR間に挿入されたアミノ酸配列領域を含む。
【0092】
本明細書で使用するとき「異種」とは、核酸の一部分を広く指す場合、その核酸が、自然界では互いに同じ関係で見られることのない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には組換え生産され、新しい機能的核酸、例えばある供給源からのプロモーター及び別の供給源からのコード領域を作製するように配置された無関係な遺伝子由来の2つ以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質は、そのタンパク質が、自然界では互いに同じ関係で見られない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
【0093】
本明細書で使用される「高親和性」は、標的抗原に対して少なくとも10
−8M、より好ましくは少なくとも10
−9M、さらにより好ましくは少なくとも10
−10MのKDを有する抗体を広く指す。しかし、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプについて異なる場合がある。例えば、IgMアイソタイプの「高親和性」結合とは、少なくとも10
−7M、より好ましくは少なくとも10
−8MのKDを有する抗体を指す。
【0094】
本明細書で使用される「相同性」は、核酸配列と参照核酸配列との間、またはポリペプチド配列と参照ポリペプチド配列との間の類似性の程度を広く指す。相同性は、一部または全体であり得る。完全な相同性は、核酸またはアミノ酸配列が同一であることを示す。部分的に相同な核酸またはアミノ酸配列は、参照核酸またはアミノ酸配列と同一ではないものである。相同性の程度は、配列比較により決定できる。用語「配列同一性」は、「相同性」と同義的に使用され得る。
【0095】
本明細書で使用される「宿主細胞」は、発現ベクターを含み、発現ベクターの複製または発現を支持する細胞を広く指す。宿主細胞は、E.coliなどの原核細胞、または酵母、昆虫(例えば、SF9)、両生類などの真核細胞、またはCHO、HeLa、HEK−293などの哺乳動物細胞、例えば、培養細胞、外植片、及びin vivoでの細胞であってよい。
【0096】
本明細書で使用される「ハイブリダイゼーション」は、鎖が互いに逆平行に配置されたときの相補的ヌクレオチド間に水素結合が形成されることによる相補的(部分的相補など)ポリヌクレオチド鎖の物理的相互作用を広く指す。
【0097】
本明細書で使用される「K−assoc」または「Ka」は、特定の抗体−抗原相互作用の会合速度を広く指すが、本明細書で使用される用語「Kdiss」または「Kd」は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指す。本明細書で使用される用語「KD」は、Kd対Kaの比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すことが意図されている。抗体のKD値は、当技術分野で十分に確立されている方法を使用して決定できる。
【0098】
「イムノアッセイ」は、本明細書で用いられる場合、抗体を使用して特異的に抗原に結合させるアッセイを広く指す。イムノアッセイは、抗原を単離、標的化、及び/または定量する特定の抗体の特異的結合特性を使用することを特徴とし得る。
【0099】
「単離された」は、本明細書で用いられる場合、それが天然に存在するその元の環境から除去され、したがってその天然環境からヒトの手によって改変された物質を広く指す。単離された物質は、例えば、ベクター系に含まれる外因性核酸、宿主細胞内に含有される外因性核酸、またはその元の環境から除去され、したがってヒトの手によって改変された任意の物質(例えば、「単離された抗体」)であり得る。
【0100】
「標識」または「検出可能な部分」は、本明細書で用いられる場合、顕微鏡的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、または他の物理的手段によって検出可能な組成物を広く指す。
【0101】
本明細書で使用される「低ストリンジェンシー」、「中ストリンジェンシー」、「高ストリンジェンシー」、または「非常に高いストリンジェンシーの条件」は、核酸ハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を広く指す。ハイブリダイゼーション反応を行うためのガイダンスは、Ausubel,et al.(2002)Short Protocols in Molecular Biology(第5版)John Wiley&Sons,NYに記載されている。例示的な特定のハイブリダイゼーション条件には、これらに限定されないが、以下が挙げられる:(1)約45℃、6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)での低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の後、少なくとも50℃、0.2XSSC、0.1%SDSで2回洗浄(低ストリンジェンシー条件の場合、洗浄温度を55℃まで上げることができる)する;(2)約45℃、6XSSCで中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の後、60℃、0.2XSSC、0.1%SDSで1回以上洗浄する;(3)約45℃、6XSSCでの高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の後、65℃、0.2XSSC、0.1%SDSで1回以上洗浄する;及び(4)65℃、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSでの非常に高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の後、65℃、0.2XSSC、1%SDSで1回以上洗浄する。
【0102】
「哺乳動物」は、本明細書で用いられる場合、皮膚の体毛被覆、及び雌において、子を育てるための乳汁産生乳腺を特徴とする、ヒトなどの哺乳動物クラスの任意かつ全ての温血脊椎動物を広く指す。哺乳動物の例としては、これらに限定されないが、アルパカ、アルマジロ、カピバラ、ネコ、ラクダ、チンパンジー、チンチラ、ウシ、イヌ、ヤギ、ゴリラ、ハムスター、ウマ、ヒト、キツネザル、ラマ、マウス、非ヒト霊長類、ブタ、ラット、ヒツジ、トガリネズミ、リス、及びバクが挙げられる。哺乳動物としては、これらに限定されないが、ウシ科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ネズミ科、ヒツジ科、ブタ科、霊長類、及び齧歯類が挙げられる。哺乳動物には、National Museum of Natural History, Smithsonian Institution(Washington DC)によって維持される世界の哺乳類に列挙される任意かつ全てのものも含まれる。
【0103】
本明細書で使用される「核酸」または「核酸配列」は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドオリゴヌクレオチドを広く指す。この用語は、天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む核酸、すなわちオリゴヌクレオチドを包含する。この用語はまた、合成骨格を有する核酸様構造体を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列は、保存的に改変されたそのバリアント(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列、ならびに明示的に示される配列も暗黙的に包含する。用語核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドと同義的に使用される。
【0104】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」は、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がフレーム内に留まるように2つのDNA断片が結合されているときを広く指す。
【0105】
本明細書で使用される「パラトープ」は、抗原を認識する抗体の部分(例えば、抗体の抗原結合部位)を広く指す。パラトープは、抗体のFv領域の小さい領域(例えば、15〜22のアミノ酸)であり、抗体の重鎖及び軽鎖の一部分を含む場合がある。Goldsby,et al.Antigens(Chapter 3)Immunology(5th Ed.)New York:W.H.Freeman and Company57−75ページを参照されたい。
【0106】
「患者」は、本明細書で用いられる場合、疾患状態を軽減するか、または疾患状態の発生もしくは再発を防止するかのいずれかのために治療を必要とする任意の動物を広く指す。また「患者」は、本明細書で用いられる場合、危険因子、病歴、感受性、症状、兆候を有し、疾患が以前に診断されたか、疾患の危険性があるか、または疾患の患者集団の一員である、任意の動物を広く指す。患者は、ヒト等の臨床患者、または随伴動物、家畜動物、畜産動物、エキゾチック動物、または動物園動物であり得る。用語「対象」は、用語「患者」と同義的に用いられ得る。
【0107】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は同義的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを広く指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の類似体または模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーに適用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマー及び非天然アミノ酸ポリマーに適用される。ポリペプチドは、例えば、糖タンパク質を形成するための炭水化物残基の付加によって改変され得る。「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語として、糖タンパク質、ならびに非糖タンパク質が挙げられる。
【0108】
本明細書で使用される「プロモーター」は、核酸の転写を指示する核酸配列のアレイを広く指す。本明細書で使用されるとき、プロモーターとしては、例えば、ポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATAエレメントなど、転写の開始部位の近くにおける、必要な核酸配列が挙げられる。また、プロモーターとしては、任意により、転写の開始部位から数千塩基対と同程度の距離に配置され得る、遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントが挙げられる。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境及び発生条件下において活性であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、環境または発生の調節下において活性であるプロモーターである。
【0109】
本明細書で使用される「予防的有効量」は、疾患の予防または疾患の再発の防止のために患者に投与された場合、疾患または再発のそのような予防をもたらすのに十分である化合物の量を広く指す。予防的有効量は、兆候及び/または症状の発生を防止するのに有効な量であり得る。「予防的有効量」は、疾患及びその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、病歴、状態への素因、既存状態に応じて異なり得る。
【0110】
本明細書で使用される「予防」は、兆候及び/または症状が患者に存在しない、寛解にある、または以前に患者に存在していた治療過程を広く指す。予防は、患者の疾患の治療後に生じる疾患を予防することを含む。さらに、予防は、疾患を潜在的に発症する可能性のある患者、特に疾患に罹患しやすい患者(例えば、患者集団(patent population)のメンバー、危険因子を有する患者、または疾患を発症するリスクのある患者)を治療することを含む。
【0111】
本明細書で使用される「組換え」は、生成物、例えば細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して広く言及し、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入、または天然の核酸もしくはタンパク質の改変によって改変されたか、または細胞がそのように改変された細胞に由来することを指す。したがって、例えば、組換え細胞は、細胞の天然(非組換え)形態内に見出されない遺伝子を発現するか、さもなければ発現が少ないか、または全く発現しない異常発現する天然遺伝子を発現する。
【0112】
本明細書で使用される場合、抗体に「特異的に(もしくは選択的に)結合する」または「特異的に(もしくは選択的に)免疫反応する」または「特異的に相互作用または結合する」とは、タンパク質またはペプチド(または他のエピトープ)を広く指し、いくつかの実施形態では、タンパク質及び他の生物製剤の不均一な集団におけるタンパク質の存在の決定因子である結合反応を指す。例えば、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンド(非特異的シグナル)よりも少なくとも2倍大きい特定のタンパク質に結合し、有意な量では、試料中に存在する他のタンパク質に実質的に結合しない。典型的に、特異的または選択的反応は、少なくとも2倍のバックグラウンドシグナルまたはノイズであり、より典型的には約10〜100倍超のバックグラウンドである。
【0113】
本明細書で使用される「特異的にハイブリダイズ可能」及び「相補的」とは、核酸が伝統的なWatson−Crickまたは他の非伝統的なタイプのいずれかによって別の核酸配列と水素結合(複数可)を形成できることを広く指す。その相補的配列を有する核酸分子の結合自由エネルギーは、核酸の関連機能、例えばRNAi活性を進行させるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当技術分野において周知である。例えば、Turner,et al.(1987)CSH Symp.Quant.Biol.LII:123−33;Frier,et al.(1986)PNAS83:9373−77;Turner,et al.(1987)J.Am. Chem.Soc.109:3783−85を参照されたい。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合(例えば、Watson−Crick塩基対合)を形成できる、核酸分子内の隣接する残基のパーセントを示す(例えば、10のうち少なくとも約5、6、7、8、9、10は約50%、60%、70%、80%、90%、及び100%相補的であり、包括的である)。「完全に相補的」または100%相補性とは、第2の核酸配列中の同数の隣接する残基と水素結合する核酸配列の隣接する残基のすべてを広く指す。「実質的に相補性である」とは、非相補的であるように選択されたオーバーハングなどのポリヌクレオチド鎖の領域を除いて、少なくとも約90%の相補性を呈するポリヌクレオチド鎖を指す。特異的結合では、特異的結合が所望される条件下、すなわちin vivoアッセイもしくは治療処置の場合生理学的条件下で、またはin vitroアッセイの場合、アッセイが実施される条件下で、オリゴマー化合物の非標的配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性を必要する。非標的配列は、典型的には、少なくとも5つのヌクレオチドのみ異なり得る。
【0114】
本明細書で使用される疾患の「兆候」は、患者の検査で発見可能な、疾患、疾患の主観的な兆候である症状とは対照的である、疾患の客観的な兆候を示す任意の異常を広く指す。
【0115】
本明細書で使用される「固体支持体」、「支持体」、及び「基質」は、これに限定されないが、平滑支持体(例えば、金属、ガラス、プラスチック、シリコン、及びセラミックの表面)、ならびにテクスチャ及び多孔質物質などの別の物質を接着することができる固体または半固体構造を提供する任意の物質を広く指す。
【0116】
本明細書で使用される「対象」は、本発明に従って治療されるのに好適である任意のヒトを広く指し、これらに限定されないが、鳥類及び哺乳動物の対象が挙げられ、好ましくは哺乳動物である。本発明の哺乳動物には、これらに限定されないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類(例えば、ラット及びマウス)、ウサギ、霊長類、ヒトが挙げられる。本発明による治療を必要とするあらゆる哺乳動物対象が好適である。両方の性別及び任意の発達段階(すなわち、新生児、幼児、若年者、青年期、成人)のヒト対象は、本発明により治療され得る。本発明はまた、動物対象、特にマウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、及びウマなどの哺乳動物対象に対して、獣医学的目的、ならびに薬物スクリーニング及び薬物開発目的で実施できる。「対象」は、「患者」と同義的に使用される。
【0117】
本明細書で使用される疾患の「症状」は、患者が経験し、疾患を示す、任意の病的現象、または正常な構造、機能、もしくは感覚からの逸脱を広く指す。
【0118】
「治療法」、「治療的」、「治療する」、または「治療」は、本明細書で用いられる場合、疾患を治療すること、疾患もしくはその臨床症状の発達を停止もしくは低減すること、及び/または疾患を緩和し、疾患もしくはその臨床症状の退行を引き起こすことを広く指す。治療法は、疾患、疾患の兆候、及び/または症状の予防、治療、修復、低減、軽減、及び/または緩和をもたらすことを包含する。治療法は、進行中の疾患兆候及び/または症状(例えば、腫瘍の成長、転移)を有する患者における兆候及び/または症状の軽減を包含する。治療法は、「予防」も包含する。「低減された」という用語は、治療法の目的で、兆候及び/または症状の臨床的に有意な低減を広く指す。治療法としては、再燃または再発の兆候及び/または症状(例えば、腫瘍の成長、転移)の治療が挙げられる。治療法は、これらに限定されないが、兆候及び/または症状の出現をいつでも除外すること、ならびに既存の兆候及び/または症状を低減すること、ならびに既存の兆候及び/または症状を排除することを包含する。治療法は、慢性疾患(「維持」)及び急性疾患を治療することを含む。例えば、治療としては、兆候及び/または症状(例えば、腫瘍の成長、転移)の再燃または再発を治療することまたは防止することが挙げられる。
【0119】
本明細書で使用される「可変領域」または「VR」は、抗体の抗原への結合に直接関与する抗体の軽鎖及び重鎖の各ペア内のドメインを広く指す。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(V
H)を有し、続いて、いくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V
L)を有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。
【0120】
本明細書で使用される「ベクター」は、宿主細胞内で自律的に複製でき、1つまたは少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を特徴とするプラスミド、コスミド、ファージミド、ファージDNA、または他のDNA分子を広く指す。こうした認識部位では、そのようなDNA配列が、ベクターの本質的な生物学的機能を失うことなく決定可能な方法で切断され得、その部位には、その複製及びクローニングをもたらすためにDNAが挿入され得る。ベクターはさらに、ベクターで形質転換された細胞の同定に使用するのに好適であるマーカーを含んでもよい。
【0121】
技術及び手順は一般に、当該技術分野において周知である従来の方法に従って、かつ本明細書全体を通して引用され、考察されている、一般的かつより具体的な様々な参考文献に記載されているように実行される。例えば、Sambrook,et al.(2001)Molec.Cloning:Lab.Manual[3rd Ed]Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養及び形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)には、標準技術が使用され得る。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当該技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように実行され得る。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、及び医薬品化学(medicinal and pharmaceutical chemistry)に関連して利用される学名、ならびにこれらの実験室の手順及び技術は、当技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬品の調製、配合、及び送達、ならびに患者の治療に使用され得る。
【0123】
ここで一般に記載される本発明は、次の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。これらは、単に本発明のある特定の態様及び実施形態を例示する目的で含まれ、本発明を限定することを意図するものではない。
【0125】
NEO−201は、様々なヒトがん腫細胞株に結合する。
【0126】
フローサイトメトリー分析を使用して、NEO−201結合についてヒトがん腫細胞株のパネルのプロファイルを作成した。染色プロファイルを表1にまとめ、高、中、低、及び陰性の染色を有する細胞株からの代表的なヒストグラムを
図1A〜Cに示す。NEO−201の結合活性の評価では、3/6(50%)の結腸癌細胞株及び4/5(80%)の膵癌細胞株において陽性率が高いことが明らかになった。様々な組織学的サブタイプの非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株のプロファイルを作成したところ、腺癌細胞株の3/5(60%)がNEO−201と反応したが、扁平上皮癌細胞株では1/4(25%)のみが陽性であることが判明した。乳癌細胞株のスクリーニングも行った。エストロゲン受容体(ER)またはプロゲステロン受容体(PR)のいずれかを発現した細胞株のうち、単独か、またはHER2との組み合わせかにかかわらず、NEO−201に対して2/4(50%)が陽性染色された。HER2+細胞株のうち、単独またはERまたはPRとの組み合わせにかかわらず、3/4(75%)がNEO−201によって認識された。しかし、NEO−201染色は、トリプルネガティブ乳癌細胞株のわずか1/4(25%)において低レベルで発見された。全体で、検査された腫瘍細胞株の15/30(50%)がNEO−201によって認識された。これらのデータは、NEO−201が広範囲のin vitro培養腫瘍細胞株に対して反応性があることを示しており、腫瘍サブタイプに基づいて抗体反応性に明確な差異が生じ得ることを示している。
【0128】
NEO−201組織染色は腫瘍特異性が高い
【0129】
免疫組織化学を使用して、各がん型について数十の試料を表す組織マイクロアレイを使用して、ヒト腫瘍試料からのNEO−201反応性を調査した。
図2Aに示すように、NEO−201との免疫反応性(7,829,678)は、正常な結腸、膵臓、及び肺組織にはまったく存在しなかったが、これらの臓器由来の腫瘍組織では陽性率が高かった。驚くべきことに、周囲の間質細胞は染色されなかったため、染色は腫瘍細胞上でのみ見られた(
図2A)。IHC染色及びマイクロアレイ試料では、NEO−201は、結腸癌(72%)、膵癌(80%)、胃癌(71%)、肺癌(61%)、乳癌(55%)、及び子宮癌(54%)に対して非常に反応性が高いと判断された。さらに、かなり少数の卵巣癌(26%)の試料も陽性染色を呈したが、前立腺癌組織ではいかなる染色も観察されなかった(
図2B)。全体として、サンプリングされた腫瘍組織の258/345(74.7%)がNEO−201に対して陽性染色した。重要なことに、NEO−201の反応性は、正常な健康組織(表2)、ならびに一部の子宮及び卵巣の試料(
図2C)を除く正常な腫瘍隣接組織ではほぼ完全にない。しかし、この一連の子宮及び卵巣組織では、組織の数が制限されていた(それぞれ、試料5個及び9個)。まとめると、これらのデータは、NEO−201が様々ながん腫からの腫瘍組織を認識し、かつ腫瘍特異性が高いことを示している。
【0131】
NEO−201は、ADCC及びCDCを媒介して腫瘍細胞を死滅させる
【0132】
NEO−201は、ヒト化IgG1抗体として、NEO−201抗原を発現する腫瘍細胞を死滅させるために、ADCCを媒介できることが理論化されている。この潜在的な作用機序を調査するために、2名の異なる健康なドナー由来PBMCから単離したヒトナチュラルキラー(NK)細胞を利用するADCCアッセイは、NEO−201染色に対して陽性率の高い細胞株(CFPAC−1及びASPC−1)で行った。NEO−201による治療では、CFPAC−1及びASPC−1の両方の細胞の死滅が、対照のIgG1治療腫瘍細胞の死滅よりも2〜6倍高いレベルまで高まることが観察された(
図3A)。滴定アッセイも実施し、NEO−201が0.1μg/mLほどの低用量でADCCを有意に誘導する能力を保持していることが明らかになった(
図3B)。
【0133】
CDCは、抗体結合標的細胞を溶解する膜攻撃複合体の活性化に至る、タンパク質分解性切断の複合体カスケードである。特定のヒトIgG1抗体は、CDCを媒介できるが、CDCは抗体の抗原特異性に依存する。CDCアッセイでは、NEO−201が、mAb用量及びインキュベーション時間の両方に依存する様態でASPC−1細胞の補体媒介性溶解を誘導することが明らかになった(
図3C)。まとめると、これらのデータは、NEO−201が自然免疫エフェクターメカニズムに効果的に係合し、in vitroで抗体結合腫瘍細胞を特異的に溶解させることを示している。
【0135】
NEO−201は、単独で、及びヒトPBMCエフェクター細胞と組み合わせて、腫瘍異種移植片の成長を抑制する。
【0136】
NEO−201の潜在的な抗腫瘍効果を決定するために、免疫不全のNU/NUヌードマウスで腫瘍異種移植片としてCFPAC−1細胞を成長させた。これらの細胞は、NEO−201抗原の発現レベルが高く、NEO−201媒介ADCCに対する感受性が高いことに基づいて選択した。CFPAC−1腫瘍のサイズが約100mm
3まで成長したら、腫瘍担持マウスに生理食塩水、250μgヒトIgG1、100μg NEO−201、または250μg NEO−201を3回注入し、その後1.0x107
7IL−2活性化(200U/mL)ヒトPBMCを3回注入して、ADCC媒介エフェクター細胞として機能させた。
図4Aに示すように、NEO−201+PBMCにより、生理食塩水+PBMCまたはヒトIgG+PBMC対照群のいずれかと比較して、両方の用量レベルで腫瘍成長の実質的な低減が誘導された。36日目では対照群のいずれのマウスにも腫瘍がなかったのに対し、10匹中1匹(10%)及び10匹中4匹(40%)のマウスについては、それぞれ、NEO−201 100μg+PBMC及びNEO−201+250μg PBMCでは触知可能な腫瘍が残存していなかった(
図4B)。さらに、マウスの別の群にヒトPBMCを追加せずにNEO−201を投与したところ、対照群と比較して腫瘍の成長の有意な減少が観察された(
図4A、C)。重要なことは、腫瘍担持マウスの体重を監視したところ、いずれの治療群においても体重の減少がないことが明らかになった(
図4D)。まとめると、これらの結果は、NEO−201が、ADCCメカニズム及び非ADCCメカニズム(CDCなど)の両方を介して、マウスにおいて重大な毒性を誘発することなく、腫瘍の成長を大幅に低減できることを示している。
【0138】
NEO−201は、異種移植腫瘍部位に局在する
【0139】
体内分布研究は、確立されたCFPAC−1異種移植腫瘍を有する雌及び雄のNU/NUヌードマウスで放射性標識NEO−201を利用して行った。これらのマウスに放射性標識抗体を静脈注射し、注射後の様々な時点で分析するために血液、臓器、腫瘍を採取した。すべての時点で、雄及び雌の両方のマウスの膵臓、脾臓、腎臓、肝臓、胃、腸、及び肺において、低レベルの放射能が発見された(
図5A、B)。しかし、正規化された放射能の取り込みは、すべての時点で他のすべての組織と比較して腫瘍で大幅に高く、腫瘍の放射能は7日目までの血液の放射能よりも20〜30倍高いレベルまで徐々に上昇した(
図5A、B)。雌及び雄の両方のマウスで、定量的に同様の結果が得られた。これらの結果は、NEO−201が優先的に標的抗原を発現する悪性組織に局在し、正常組織には蓄積しないことを示している。
【0141】
非ヒト霊長類におけるNEO−201の薬物動態及び毒性評価
【0142】
NEO−201の薬物動態及び関連する毒性を決定するために、飼育目的カニクイザルにおいて単回投与試験を実施した。カニクイザルは、系統発生学的及び生理学的の両方においてヒトと密接に関連しており、非臨床毒性評価に一般的に使用されている種であるため、選択した。雄及び雌の動物に、生理食塩水で希釈したNEO−201を5mg/kg、20mg/kg、及び49mg/kgの用量で1回静脈内注入した。これは、注入量あたりの達成可能な最高用量であった。注射前及び注射後の最大14日間の様々な時点で、すべての動物において血液試料を採取し、NEO−201レベルについて、ELISAにより血清調製物を評価した。表3に示すとおり、NEO−201の定量可能な、用量依存的な血清濃度が最後の収集時点(投与後14日)で観察された。静脈内投与について予測されたように、Tmax値は、5mg/kg群の雄1匹及び雌1匹を除いて、すべての群の大半の動物(10/12、83%)は10分でピークに達した。評価された用量範囲にわたって、ピーク(Cmax)曝露は用量比例であった。総(AUC)曝露は、最低用量での用量比例より大きく、約20mg/kg〜49mg/kgでほぼ比例した。最低用量での曝露の違いは、平均クリアランス(CL)より約2倍大きく、分布量(Vz)が少ないことに起因していた。平均半減期(HL)は、高用量で167(20mg/kg)時間または170(49mg/kg)時間であり、5mg/kg用量(46.2時間)よりも約3.7倍長かった。性差は観察されなかった。
【0143】
14日間の研究の過程で毒性を決定するための以下の観察及び検査を含む。1)定期的な臨床評価;2)摂食量及び体重の測定;ならびに3)尿検査及び血液検査(尿検査、血液学、凝固検査、血清化学、及び毒物動態学など)。
図6Aに示すとおり、いずれの投与量群も、注射前の体重から3%超える体重の変化を経験しておらず、個々のサルはいずれも7%を超える変化を経験しなかった。11日目のみ摂食量が少ない5mg/kg用量群での2匹を除くすべての動物について摂食量は変化しなかった。血清化学、尿検査、または凝固検査のいずれにおいても、ベースライン(NEO−201注射前)から15日目までに有意な変化はなかった(詳細については、材料及び方法を参照されたい)。実験室での血球数の主な変化は、ベースラインと比較した好中球数の減少であった(
図6B)。減少は、軽度から顕著なものまで様々な程度であり、明確な用量反応は明らかにならなかった。大部分の動物にとって、改善が通常8日目までに認められたため、これは一時的な所見であった(
図6B)。15日目までに、好中球数は5mg/kg群または20mg/kg群と49mg/kg群のそれぞれで、ほぼ全体または部分的に回復することが観察された(
図6B)。15日目までの好中球数の回復は、0mg/kg動物との統計的比較に反映されている。0mg/kg動物は、3つのすべての投与量レベルで2日目に有意差があった(p<0.05)が、3つの投与群のうち2つについては8日目及び15日目において有意差はなかった(p>0.05)(
図6C)。
【0147】
以下のヒトがん腫細胞株は、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手した:結腸(COLO 205、HT−29、LS174T、SW1116、SW1463、SW480、SW620)、膵臓(ASPC−1、CFPAC−1、PANC−1)、乳房(AU−565、BT−474、BT−549、HCC1500、HCC1937、HCC38、MDA−MB−231、MDA−MB−468、SK−BR−3、T−47D、ZR−75−1)、及び肺(CALU−1、H1703、H226、H441、H520、H522、H596、HCC4006、HCC827、SK−LU−1)。すべての細胞培養は、伝播及び維持のために供給業者によって指定されているRPMI1640、DMEM、またはIMDM培養培地(Corning、Corning、NY)で維持された。培養培地には、規定の10%の米国産熱不活化HyCloneウシ胎仔血清(GE Healthcare Life Sciences,Issaquah,WA,USA)、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Corning Life Science,Manassas,VA,USA)を補充した。健康なボランティアドナー由来のPBMCは、National Institutes of Health Clinical Center Blood Bank(NCT00001846)から、適切な治験審査委員会の承認及びインフォームドコンセントの下で得た。
【0148】
ヒト化NEO−201モノクローナル抗体の作製
【0149】
Hollinshead結腸癌特異的ワクチンは、マウスでモノクローナル抗体を生成するための免疫原性物質として使用した。腫瘍関連タンパク質及びペプチドを調製するための方法は、以前に記載されている(Hollinshead、US4810781,1989)。簡潔に言えば、がん組織を細かく切り刻み、単一の細胞懸濁液を生成するために使用し、その後、低張食塩水膜の抽出、一連の遠心分離ステップ、その後の低周波超音波処理を行った。得られた膜抽出タンパク質をSephadex G−200樹脂または電気泳動法で分画し、次いで、濃縮し、定量した(Hollinshead et al,1970;Hollinshead et al.,1972;Hollinshead et al.,1985)。TAA調製物を完全フロイントアジュバントと混合し、BALB/cマウスに皮下注射した。これに続いて、2〜3週間の間隔をあけて、不完全フロイントアジュバントでの3回のブースター注射を行った。免疫化抗原に対する抗体応答についてマウス血清をELISAでテストし、強力な応答のあるマウスを使用して、脾臓からのマウスB細胞をSP2/0−Ag14骨髄腫細胞株と融合させ、成長させ、マウス免疫グロブリン(IgG)を生成した細胞を選択することにより、不死化ハイブリドーマ細胞を生成した。これらのマウスIgGから、マウスの16C3クローン(m16C3)を、ELISAにより決定されたLS174TまたはHT−29細胞由来の結腸腫瘍細胞膜抽出物との反応性に基づいて選択した。重鎖及び軽鎖IgG1をコードするcDNAは、ハイブリドーマクローン16C3 E12から単離されたRNAから決定され、ユニークであることが示された(Bristol&Kantor,US7829678,2010)。m16C3タンパク質配列は、h16C3としてヒト化され、NEO−201と命名された。ヒト化は、重鎖及び軽鎖タンパク質の両方のFab領域の相補性決定領域(CDR)の外側のマウス配列をヒトFab配列で置き換え、各鎖から3つのマウスCDR配列を保持することによりインシリコで行った。重鎖及び軽鎖のFc領域は、他のヒト化承認済みmAb産生物で使用されているヒトIgG1アイソタイプから選択した。アミノ酸配列は、CHO細胞でのタンパク質発現用に最適化されたDNAに逆翻訳させた。次に、重鎖及び軽鎖h16C3のDNAを化学合成し、哺乳動物発現プラスミドにクローニングし、哺乳動物細胞株(HEK293T及びCHO)にトランスフェクトした。組換えh16C3を発現するいくつかの安定したCHO細胞株を誘導させ、保存した。精製された組換えh16C3は、ヒト化16C3抗体が元のm16C3抗体と同様の特性を有していることを確認する研究において再検査した(Bristol&Kantor,US7829678,2010)。
【0150】
これらの実施例で使用されているNEO−201抗体配列は、次の図に含まれている。
【数1】
【0151】
発現リーダー配列、可変領域、及び定常領域の間の境界は、各配列においてスラッシュ(「/」)で区切られ、CDR配列は、太字の下線付き文字列で示される。使用された抗体配列は、示されている可変及び定常領域を含んでいた。これらの領域としては、配列番号32の重鎖CDR1、配列番号33の重鎖CDR2、配列番号34の重鎖CDR3、配列番号35の軽鎖CDR1、配列番号36の軽鎖CDR2、及び配列番号37の軽鎖CDR3が挙げられる。
【0153】
NEO−201のヒトがん腫細胞株への結合をフローサイトメトリーで分析した。細胞(1.0x10
6)を検査ごとに1μL LIVE/DEAD Fixable Aqua(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を含む1Xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、4℃で、30分間インキュベートして、生細胞対死細胞の区別を得た。次に細胞を遠心分離し、冷PBSで2回洗浄し、次に、Pacific BlueコンジュゲートNEO−201抗体(BioLegend,San Diego,CA)を含む1XPBS+1%BSA(Teknova,Hollister,CA,USA)で、4℃で30分間染色した。染色後、細胞を冷PBSで2回洗浄し、FACSVerseフローサイトメーター(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)を使用して検査した。BD FACSuiteソフトウェアを使用して細胞蛍光の分析を実施した(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)。染色値>10%陽性は、NEO−201発現に対して陽性と見なした。陽性細胞株は、定量化させた発現レベル(陽性率%xMFI)に従ってランク付けし、低(<200)、中(200〜1000)、及び高(<1000)発現の群に分類した。
【0155】
結腸試料(CO808、CO951)の組織マイクロアレイは、US Biomax(ロックビル、MD)から入手し、結腸(A303(I))、膵臓(A207(II)、A307)、胃(A209)、肺(A206(V)、A306)、乳房(A202(VI)、A712)、子宮(A212)、卵巣(A212、A213(II))、前立腺(A302(IV))、及び様々な正常(A103(VII))試料のAccuMax組織マイクロアレイは、Accurate Chemical and Scientific Corporation(Westbury,NY)から入手した。NEO−201は、製造業者の指示に従って、ビオチンタンパク質標識キット(Roche,Basel,Switzerland)を使用してビオチン化させた。スライドを60℃で20分間焼成し、キシレンにより脱パラフィンし、段階的エタノール系列で再水和した。スライドは、ペルオキシダーゼI溶液(Biocare Medical,Concord,CA)を使用して2分間過酸化ブロッキングに供し、アビジン溶液(Biocare Medical,Concord,CA)を使用して10分間アビジンブロッキングに供し、ビオチン溶液(Biocare Medica,Concord,CA)を使用して10分間ビオチンブロッキングに供し、CAS−Block組織化学試薬(Thermo Fisher Scientific,Waltham, MA)を使用して10分間タンパク質ブロッキングに供した。次に、スライドを室温で、陰性対照のビオチン化ヒトIgG1カッパ(Ancell,Bayport,MN)または1XPBSで希釈した10μg/mLのビオチン化NEO−201と2時間インキュベートした。検出は、Dakoストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を1:300で30分間、DABペルオキシダーゼ基質(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)で1〜3分間インキュベートし、ヘマトキシリンで対比染色して有効にした。各マイクロアレイ組織スポットは、以下のスケールを使用して、細胞染色強度について光学顕微鏡により評価した:0(陰性)、±(境界域)、1+(弱い)、2+(中程度)、3+(強い)。+1以上の強度で染色された細胞を含む組織スポットは、陽性として記録した。
【0156】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)アッセイ
【0157】
ADCCアッセイは、前述の手順の変更を使用して実行した(Boyerinas et al.,2015)。製造業者のプロトコルに従って、EasySep Human NK Cell Isolation Kit(StemCell Technologies,Vancouver,BC,Canada)を使用して、正常なヒトドナーPBMCからのNK細胞の陰性選択を行った。精製したNK細胞を、L−グルタミン、10%FBS、及び抗生物質を添加したRPMI−1640培地で一晩インキュベートした。アッセイの日に、標的細胞(CFPAC−1、ASPC−1)を10μMカルセインAM細胞浸透性色素(Termo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で30分間標識した後、3.0x10
3細胞/ウェルで3回、黒壁の平底96ウェル培養プレート(#655090 Greiner bio−one,Germany)に播種した。その後、腫瘍細胞を10μg/mLのヒトIgG1アイソタイプ対照抗体(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)またはNEO−201で治療し、特に指定がない限り、エフェクター対標的(E:T)比12.5:1及び25:1でNK細胞を加えた。37℃で4時間のインキュベーション後、10μg/mLのヨウ化プロピジウム(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を各ウェルに加え、Celigo Imaging Cytometerを使用してプレートをイメージングし、分析した(Nexcelom Bioscence LLC,Lawrence,MA,USA)。生きた標的細胞(カルセインAM/PI−)を各ウェルで数え、特定のADCC溶解を次のように計算した:特異的溶解率%=100−[(平均の生きた標的数
experimental/平均の生きた標的数
control)x100]。
【0158】
補体依存性細胞毒性(CDC)アッセイ
【0159】
CDCアッセイは、前述の手順の変更を使用して実行した(Konishi et al.,2008)。ASPC−1標的細胞を上記のようにCalcein AMで標識し、5.0x10
3細胞/ウェルで黒壁の96ウェルプレートに播種した。次に、細胞を0.5または5.0μg/mL NEO−201で、37℃で15分間処理して細胞をオプソニン化し、精製したウサギ補体(MP Biomedicals,Santa Ana,CA)を各ウェルに1:8の希釈で加えた。37℃で30分間、60分間、または120分間インキュベートした後、ヨウ化プロピジウムを加え、Celigo Imaging Cytometerを使用してプレートをイメージングし、分析し、ADCC活性について上記のように比溶解を計算した。
【0161】
腫瘍は、6週齢の雌の無胸腺NU/NUヌードマウス(Charles River Laboratories International,Wilmington,MA)で、培養腫瘍細胞含有1XPBS懸濁液を、マウスの右側腹部に皮下移植することによって確立された。腫瘍のサイズが約100mm
3に到達すると、マウスを腫瘍体積で選別し、ランダムに5つの群に分けた(動物n=10)。次に、マウスにビヒクルのみ(生理食塩水)、ヒトIgG1(250μg)、またはNEO−201(100μg及び250μg)を移植後13日目、17日目、及び20日目に腹腔内注射した。マウスはまた、免疫エフェクター細胞の供給源として、14日、18日、及び21日に、IL−2で活性化された約1.0x10
7のヒトPBMCの腹腔内注射(200U/mL、培養で一晩処理)を受けた。マウスの1つの群は、NEO−201で同様に処理したが、ヒトPBMCの投与は受けなかった。腫瘍はデジタルキャリパーで2〜3日ごとに測定し、腫瘍体積は式(幅
2x長さ)/2=mm
3によって計算した。ここで、幅は2つの測定値のうち短い値とした。マウスはまた一般的な健康の総計として毎週体重を量った。IACUCガイドラインに従って、腫瘍体積が2000mm
3を超えるマウスは屠殺した。
【0163】
以前に記載された手順(Patel et al.,2013)を用いて、放射性標識NEO−201(Comparative Biosciences,Sunnyvale,CA)を使用して、腫瘍担持マウスで生体内分布研究を評価した。簡潔に述べると、雄及び雌の無胸腺NU/NUヌードマウス(Charles River Laboratories International,Wilmington,MA)の脇腹に、4.0x10
6CFPAC−1細胞を含む200μL 1XPBS懸濁液を皮下注射した。生着後14日目に、マウスに20μCiの
125I標識NEO−201を静脈内注射し、1日後、2日後、4日後、または7日後に剖検した。血液、腫瘍組織、及び内臓(肺、腎臓、肝臓、脾臓、膵臓、腸、及び胃)を各時点(動物n=4)で採取し、すべての組織の重量を量り、ガンマカウンターを用いて、組織内の放射能を測定した。各マウスのデータは最初にcpm/mg組織として計算し、次に組織cpm値を血中cpm値に対して正規化した。
【0164】
カニクイザルにおける単回投与毒性試験
【0165】
NEO−201の単回投与後の薬物動態及び毒性についてNEO−201を試験するために、単回投与毒性試験を飼育目的カニクイザルで実施した。研究期間は、用量投与から15日であり、サルを研究室に順応させるために用量投与前にさらに14日間隔離した。注入ポンプ及びカテーテル延長チューブ付きのプラスチック製使い捨てシリンジを使用して、0mg/kg、5mg/kg、20mg/kg、及び49mg/kgの用量レベルで(これは、抗体の達成可能な最高濃度であった)、生理食塩水で希釈したNEO−201をゆっくりと静脈内注入(約30分±5分の注入)して、8匹の雄及び雌の動物(2匹/性別/群)に投与した。以下の時点でNEO−201を受けたすべての動物から血液試料を採取した:投与前、10分、1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、168時間、及び336時間。血清は、薬物動態学分析及び毒物学分析のために血液試料から調製した。全血を細胞分析に使用した。血清中のNEO−201レベルは、製造業者の指示に従って、Human Therapeutic IgG1 ELISA kit(Cayman Chemical,Ann Arbor,MI)を用いてELISAで測定した。
【0166】
臨床検査には、血液学及び凝固(ベースライン(BL)、2、8、15日目);CBC及び差分、活性化部分トロンボプラスチン時間、フィブリノーゲン及びプロトロンビン時間;血清化学(BL、2、8、15日目):アルブミン、アルカリホスファターゼ、ALT、AST、総ビリルビン、カルシウム、総コレステロール、クレアチンキナーゼ、クレアチニン、グルコース、無機リン、総タンパク質、トリグリセリド、ナトリウム、カリウム、塩化物、グロブリン、アルブミン/グロブリン比、BUN;尿検査(BL、15日目):色、透明度、グルコース、ケトン、潜血、タンパク質、ビリルビン、亜硝酸塩、pH、ウロビリノーゲン、白血球、体積、比重;生物分析(ELISAを使用)−(BL、10分、1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、168時間、及び336時間)、Phoenix WinNonlinバージョン6.1ソフトウェア(Certara USA,Princeton,NJ)を用いて、2群〜4群を含めた。動物の体重測定値を記録し(BL、7、及び14)、好中球数を評価した(BL、2、8、15日目)。
【0168】
データはGraphPad Prismを使用して分析した(GraphPad Software,La Jolla,CA)。2つの群間の比較はT検定によって行い、p<0.05は統計的に有意であると見なした。グラフは、三連で行った1つの代表的な実験からの平均±SDを示している。
【0170】
ALT−803は、NEO−201媒介ADCCを強化する
【0171】
ALT−803は、IL−15受容体α/IgG1 Fc融合タンパク質に結合したIL−15変異体(IL−15N72D)からなる新規のIL−15スーパーアゴニスト複合体である。本実施例では、ALT−803がNEO−201によってADCCを調節する能力について試験を行う。
【0173】
NK細胞は、正常なドナーから単離され、エフェクター細胞として使用される前に48時間様々な濃度のALT−803で処理され、NEO−201抗原を発現するヒトがん腫細胞株を、in vitro非放射性ADCCアッセイにおいて標的として利用した。ALT−803がNK細胞の表現型に影響を及ぼし、NK細胞の遺伝子発現を調節する能力を、フローサイトメトリーとNanostring分析をそれぞれ使用して評価した。
【0175】
ALT−803での処理により、NEO−201陽性のがん腫細胞に対して、NEO−201によって媒介されるADCC活性が有意に増強された(
図8、
図11)。ALT−803の効果は用量依存的であり、ビヒクル対照処理と比較して、試験を行ったすべての用量で統計的有意性を達成した。ALT−803によりNK細胞を処理することで、ADCC活性が最小限であるドナーからのADCC活性も増強され、未処理のNK細胞と比較して、ADCC応答を開始するために必要とされるNEO−201の有効量が減少した(
図12)。さらに、抗CD16ブロッキング抗体及び抗TIM3ブロッキング抗体を使用することにより、ADCC活性のブロックが可能になる(
図12)。
【0176】
25ng/mlのALT−803で48時間処理したNK細胞の表現型分析は、ALT−803がTIM3及びNKG2Dの発現ならびにCD16/CD56陽性NK細胞におけるグランザイムB及びCD107aの平均蛍光強度(MFI)を増強することを示した(
図9)。
【0177】
ALT−803を様々な濃度で48時間処理したヒトNK細胞のNanostring分析は、ALT−803が62遺伝子のmRNA発現を調節できることを示した(ビヒクル対照と比較して1.6 log
2の倍率変化が有意であると見なした)。
【0178】
ALT−803処理により、NK活性化受容体、NK細胞毒性に関与する因子、サイトカイン及びその受容体など43の遺伝子のmRNA発現が上方制御され、NK阻害受容体、及びアポトーシスの活性化に関与する因子など19の遺伝子のmRNA発現が下方制御された。
【0179】
したがって、ALT−803により、NEO−201によって媒介されるヒトがん腫細胞に対するADCC活性が増強される。ADCC活性の増強は、一部は、TIM3、NKG2D、グランザイムB、及びCD107a陽性NK細胞の発現の増加、ならびにNKの活性化及び細胞毒性に関与する転写産物の調節が要因であり得る。
【0180】
要約すると、正常なドナーから単離されたNK細胞をALT−803により処理することで、NEO−201によって媒介されるADCC活性が増強され得る。正常なドナーから単離されたALT−803処理NK細胞の表現型分析により、ALT−803がCD16/CD56陽性NK細胞でのTIM−3及びNKG2Dの発現が増強され得ることが示された。正常なNK細胞をALT−803で処理することにより、CD16/CD56陽性NK細胞におけるグランザイムBのMFIも増加する。正常なNK細胞をALT−803で処理することにより、試験を行った2名のドナーのうちの1名で、CD16/CD56陽性NK細胞のCD107aのMFIも増加する。TIM−3は、インターフェロンガンマ産生を増強する誘導性ヒトNK細胞受容体である。また、成熟マーカーでもある。ALT−803による処理後のNEO−201によって媒介されたADCC活性の増強は、TIM−3陽性、NKG2D陽性のグランザイムB陽性、及びCD107a陽性のNK細胞の発現の増加が要因の一部であり得るが、この理論は、制限することを意図するものではない。NK細胞をALT−803で処理することにより、低濃度のNEO−201によって媒介されるADCC活性が増強され得る。低濃度のMabは、NK細胞がALT−803で処理されたときにADCC活性を媒介するために使用することができ、また高濃度のNEO−201を使用したALT−803処理を行わない場合のNK細胞と比較して、同等レベルの細胞毒性となり得る。この結果は、がん治療のための臨床試験において、より少ない用量のMabをALT−803と組み合わせて使用できることを示唆している。
【0182】
NEO−201は、阻害性CEACAM5/CEACAM1免疫チェックポイント経路のブロックを介して、腫瘍細胞のNK細胞依存性死滅を増強する。
【0183】
PD−1及びCTLA−4などのエフェクター細胞阻害性受容体を標的とするチェックポイントブロッキング抗体を使用した免疫療法では、いくつかの腫瘍型において、いくつかの劇的で耐久性のある応答が引き出される。がん胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)は、免疫細胞及び腫瘍細胞によって発現される細胞表面タンパク質であり、PD−1及びCTLA−4と同様にT細胞機能を阻害できる。CEACAM1は、ナチュラルキラー(NK)細胞機能の強力な阻害剤でもある。NK細胞上のCEACAM1と腫瘍細胞上のCEACAM1またはCEACAM5との間での結合は、NKG2Dによる活性化シグナル伝達を阻害し、これにより、NK細胞の細胞溶解を防ぎ、腫瘍細胞がNK死滅を回避できるようになる。
【0184】
NEO−201は、CEACAMファミリーのメンバーに結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)などの自然免疫機構を活性化して、腫瘍細胞を死滅させることができる。この調査は、NEO−201がCEACAM1阻害経路をブロックして、NK細胞に抗腫瘍機能を回復させるか否かを判断するために設計した。
【0186】
ヒト腫瘍細胞株を用いたin vitroアッセイを実施して、NEO−201が結合したCEACAMファミリーのメンバーを特定した。機能アッセイを実施して、CEACAM1を発現し、CD16がなく、かつADCCを媒介する能力のない、NK細胞株NK−92による腫瘍細胞のin vitro死滅を強化するNEO−201の能力を評価した。
【0187】
死滅アッセイは、前述の手順の変更を使用して、実施した(David et al.,2017)。簡潔に述べると、膵癌(ASPC−1、BxPC−3、CFPAC−1)及び結腸癌(LS174T)由来の標的細胞を、10μMのカルセインAM細胞浸透性色素(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で30分間標識し、その後、三連で3.0x10
3細胞/ウェルで、黒壁の平底96ウェル培養プレートに播種した。その後、腫瘍細胞を10μg/mLのヒトIgG1アイソタイプ対照抗体(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)またはNEO−201で処理し、エフェクター対標的(E:T)比1.5625:1、3.125:1、6.25:1、及び12.5:1でナチュラルキラー(NK)細胞株NK−92を加えた。37℃で16時間のインキュベーション後、ヨウ化プロピジウム(PI;Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を最終濃度1.67μg/mLで各ウェルに加え、プレートを遠心し、Celigo Imaging Cytometer(Nexcelom Bioscence LLC,Lawrence,MA,USA)を使用してイメージングし、GraphPad Prism 7ソフトウェア(GraphPad Software,La Jolla,CA)を用いて分析した。生きた標的細胞(カルセインAM/PI−)を各ウェルで数え、特異的溶解を次のように計算した:特異的溶解率%=100−[(平均の生きた標的数
experimental/平均の生きた標的数
control)x100]。
【0189】
NEO−201は、CEACAM5及びCEACAM6の異なるバリアントには反応するが、CEACAM1またはCEACAM8には反応しないことが判明した。発現プロファイリングでは、様々なNEO−201+細胞株細胞により、異なるレベルのCEACAM5/6の陰性形態及びこれらの分子のNEO−201反応性バリアント形態が発現することが明らかになった。機能的に、NEO−201処理により、CEACAM5を発現したNEO−201+腫瘍細胞に対してNK−92細胞の細胞溶解活性が増強されたが、CEACAM6のみを発現したNEO−201+細胞に対しては増強されなかった(
図13)。
【0191】
NEO−201は、CEACAM5/6の腫瘍関連バリアントと反応し、腫瘍細胞CEACAM5とNK細胞CEACAM1との間の相互作用をブロックして、NK細胞毒性のCEACAM1依存性阻害を逆行させ得る。
【0192】
略語
抗体依存性細胞傷害(ADCC)、時間0から無限大までの血漿中濃度時間曲線下面積(AUCinf)、時間0から無限大までの血漿中濃度−時間曲線下の線量正規化面積(AUCinf/D)、ベースライン(BL)、補体依存性細胞毒性(CDC)、クリアランス(CL)、観察された最大血漿中濃度(Cmax)、用量正規化測定最大血漿濃度(Cmax/D)、エストロゲン受容体(ER)、半減期(HL)、免疫組織化学(IHC)、ナチュラルキラー(NK)、非小細胞肺癌(NSCLC)、末梢血単核細胞(PBMC)、プロゲステロン受容体(PR)、腫瘍関連抗原(TAA)、観察された最大血漿濃度時間(Tmax)、分布容積(Vz)。
【0193】
参考文献
以下のリストの各文書を含む、本明細書で引用される各文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
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【表1】
【表2】
【表3】