(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-502527(P2021-502527A)
(43)【公表日】2021年1月28日
(54)【発明の名称】断熱モジュールおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
F16L 59/065 20060101AFI20201225BHJP
F16L 59/075 20060101ALI20201225BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20201225BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20201225BHJP
【FI】
F16L59/065
F16L59/075
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2020-524887(P2020-524887)
(86)(22)【出願日】2018年11月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月30日
(86)【国際出願番号】US2018059478
(87)【国際公開番号】WO2019090345
(87)【国際公開日】20190509
(31)【優先権主張番号】62/581,966
(32)【優先日】2017年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/658,022
(32)【優先日】2018年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519173440
【氏名又は名称】コンセプト グループ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラダクリシュナン、シュリラム
(72)【発明者】
【氏名】リード、デイビッド、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リード、アールネ、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ローチ、ピーター
【テーマコード(参考)】
3H036
【Fターム(参考)】
3H036AB33
3H036AC02
3H036AE13
(57)【要約】
【解決手段】 断熱モジュールが提供され、このモジュールは、第1のシェルおよび第1のコンポーネントであって、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有する、前記第1のシェルおよび第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを含む。また、付加製造およびその他の用途を含む、様々な用途で本開示の断熱モジュールを利用する方法が提供される。
【選択図】
図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱モジュールであって、
非導電性の第1のシェルと、
導電性の第1のコンポーネントであって、
前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、
前記第1のシェルは(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、
前記第1のコンポーネントと、
誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリア(current carrier)と
を有する、断熱モジュール。
【請求項2】
断熱モジュールであって、
導電性の第1のシェルと、
非導電性の第1のコンポーネントであって、
前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、
前記第1のシェルは(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、
前記第1のコンポーネントと、
誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリア(current carrier)とを有する、
断熱モジュール。
【請求項3】
断熱モジュールであって、
非導電性の第1のシェルと、
非導電性の第1のコンポーネントであって、
前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、
(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、
前記第1のコンポーネントと、
誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリア(current carrier)とを有する、
断熱モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、
前記第1のシェルの周囲に配置された第2の密閉された真空断熱空間を有し、当該第2の密閉された真空断熱空間は選択的に前記電流キャリアによって発生した熱を維持するように構成されているものである、断熱モジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、当該断熱モジュールは、前記第1の密閉された真空断熱空間内における流体を移送するように構成されているものである、断熱モジュール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1のシェルの周囲に配置され、前記集電体は、選択的に前記第1のシェルに接触しているか、若しくは選択的に前記第1のシェルと一体化しているものである、断熱モジュール。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1の密閉された真空断熱空間内に配置され、前記集電体は、選択的に前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントのうちの1つまたは双方に接触しているか、若しくは選択的に前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントのうちの1つまたは双方と一体化しているものである、断熱モジュール。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1のコンポーネント内に配置され、前記集電体は、選択的に前記第1のコンポーネントに接触しているか、若しくは選択的に前記第1のコンポーネントと一体化しているものである、断熱モジュール。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記集電体は、前記第1のコンポーネント内に配置された加工材料を誘導加熱するように構成されているものである、断熱モジュール。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1のシェルの外側に配置された加工材料を誘導加熱するように構成されているものである、断熱モジュール。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルはセラミックを有するものである、断熱モジュール。
【請求項12】
請求項2または3記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントはセラミックを有するものである、断熱モジュール。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントのうちの1つまたは双方は、少なくとも部分的に磁場を遮蔽するシールドを有するものである、断熱モジュール。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは内部に管腔を画定するものである、断熱モジュール。
【請求項15】
請求項14記載の断熱モジュールにおいて、内側シェルの前記管腔は近位端部と遠位端部とを画定するものである、断熱モジュール。
【請求項16】
請求項15記載の断熱モジュールにおいて、(a)前記近位端部は所定の断面を有し、(b)前記遠位端部は所定の断面を有し、(c)前記近位端部の断面は前記遠位端部の断面と異なるものである、断熱モジュール。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは管腔は、流体源と流体連通しているものである、断熱モジュール。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントの少なくとも1つは実質的に誘導加熱に対して耐性を有するものである、断熱モジュール。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは螺旋状であることを特徴とする、断熱モジュール。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、当該電流キャリアを通って流れる電流を変調するように構成された装置と連通しているものである、断熱モジュール。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記第1のコンポーネント内に配置された所定量の感熱性加工材料を有するものである、断熱モジュール。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記第1のシェルの外側に配置された所定量の感熱性加工材料を有するものである、断熱モジュール。
【請求項23】
請求項21または22記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料は金属を有するものである、断熱モジュール。
【請求項24】
請求項23記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料はワイヤであることを特徴とする、断熱モジュール。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料はポリマー材料を有するものである、断熱モジュール。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料はフラックス材料を有するものである、断熱モジュール。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記電流キャリアによって誘導加熱されるように構成された要素を有するものである、断熱モジュール。
【請求項28】
請求項27記載の断熱モジュールにおいて、前記要素は前記第1のコンポーネント内に配置されているものである、断熱モジュール。
【請求項29】
請求項27記載の断熱モジュールにおいて、前記要素は前記密閉された真空断熱空間内に配置されているものである、断熱モジュール。
【請求項30】
請求項27記載の断熱モジュールにおいて、前記要素は前記第1のシェル内に配置されているものである、断熱モジュール。
【請求項31】
請求項1記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは、缶体または管の形態であることを特徴とし、当該第1のコンポーネントの内部容積を画定する内面を有するものである、断熱モジュール。
【請求項32】
請求項31記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルは管状または缶体の形態であることを特徴する、断熱モジュール。
【請求項33】
請求項32記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントおよび前記第1のシェルは、第1の軸を中心として互いに同心上に配置されているものである、断熱モジュール。
【請求項34】
請求項32または33記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは、その内部に形成された凹部を有し、当該凹部は前記第1のコンポーネントの内部容積内に延長するものである、断熱モジュール。
【請求項35】
請求項34記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記電流キャリアの周囲に配置されたコイル用容器を有し、当該コイル用容器は前記凹部内に配置され、前記電流キャリアは少なくとも部分的に前記コイル用容器の内部に配置されるものである、断熱モジュール。
【請求項36】
請求項35記載の断熱モジュールにおいて、前記コイル用容器は内壁と、外壁と、当該内壁と外壁との間に形成された密閉された真空断熱空間とを有するものである、断熱モジュール。
【請求項37】
請求項36記載の断熱モジュールにおいて、前記断熱モジュールの前記第1の軸から径方向外側かつ直交して延びる線は、前記コイル用容器、前記凹部、前記第1のコンポーテント、および前記第1のシェルを通って延長するものである、断熱モジュール。
【請求項38】
方法であって、
前記断熱モジュールの内側シェル内に配置された加工材料の温度を誘導加熱により上昇させるために、請求項1〜37のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおける前記電流キャリアを動作させる工程を有する、方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法において、さらに、前記加工材料を流動可能にするために加熱する工程を有する、方法。
【請求項40】
請求項38または39記載の方法において、前記加工材料は、ポリマー材料、金属材料、またはそれらの任意の組み合わせである、方法。
【請求項41】
請求項38〜40のいずれか1つに記載の方法において、前記加工材料は、前記電気キャリアによって誘導加熱される、方法。
【請求項42】
請求項38〜41のいずれか1つに記載の方法において、前記加工材料は、当該材料の相変化を達成するために加熱される、方法。
【請求項43】
請求項38〜42のいずれか1つに記載の方法において、さらに、ワークピースを付加製造するために、前記モジュール内の前記加工材料を移送する工程を有する、方法。
【請求項44】
請求項38〜43のいずれか1つに記載の方法において、さらに、前記密閉された真空断熱空間内のカバー流体(cover fluid)を移送する工程を有する、方法。
【請求項45】
請求項44記載の方法において、前記流体は液体として導入され、蒸発して気体となるものである、方法。
【請求項46】
断熱モジュールであって、
誘導加熱に対して感熱性を有する材料を有する第1のシェルであって、その内部に密閉された真空断熱空間を有するものである、前記第1のシェルと、
前記誘導加熱に対して感熱性を有する材料に誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアと
を有する、断熱モジュール。
【請求項47】
断熱モジュールであって、
密閉された真空断熱空間を有する第1のシェルと、
前記第1のシェルの内部に配置された第1のコンポーネントであって、誘導加熱に対して感熱性を有する材料を有し、消耗品を受け取るように構成されているものである、前記第1のコンポーネントと、
前記第1のコンポーネントに誘導加熱を生じさせるように構成された誘導加熱コイルと
を有する、断熱モジュール。
【請求項48】
請求項47記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは円筒状の形態を有しており、互いに同軸上に配置されているものである、断熱モジュール。
【請求項49】
請求項48記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは平らな底部を有し、前記誘導加熱コイルはこの平らな底部に配置されているものである、断熱モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、(2017年11月6日付で出願された)「Vacuum Insulated Structures Comprising Ceramic Materials(セラミック材を有する真空断熱構造)」と題する米国特許仮出願第62/581,966号および(2018年4月16日付で出願された)「Thermally−Insulted Modules And Related Methods(断熱モジュールおよび関連方法)」と題する米国特許仮出願第62/658,022号に対し優先権および利益を主張するものであり、これらの出願の全体が任意および全ての目的において、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、断熱コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば付加製造(additive manufacturing)を含む様々な応用分野において、加工材料を加熱する一方で、材料の外部環境に放出される余熱を最低限にする必要がある。別の応用分野においては、加工材料を加熱する一方で、加工材料を加熱するために使用されるモジュールの外側を比較的低温に保つ必要がある。このように当該分野においては、加工材料を加熱する一方で、加熱された加工材料の断熱をある程度保つことができる断熱モジュールが長年必要とされてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の長年の要請を受け、本開示は、付加製造および材料加工などの高性能を必要とする応用分野を含む、様々な用途への利用に適した断熱モジュールを提供する。本開示のモジュールは、加工材料の加熱を制御可能とするとともに、加工材料を断熱するものである。
【0005】
1観点において、本開示は、断熱モジュールを提供し、この断熱モジュールは、非導電性の第1のシェルと、導電性の第1のコンポーネントであって、前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、前記第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリア(current carrier)とを有する。
【0006】
また、断熱モジュールを提供し、この断熱モジュールは、導電性の第1のシェルと、非導電性の第1のコンポーネントであって、前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、前記第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを有する。
【0007】
さらに、断熱モジュールを提供し、この断熱モジュールは、非導電性の第1のシェルと、非導電性の第1のコンポーネントであって、前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、前記第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを有する。
【0008】
さらに、方法を提供し、この方法は、本開示による断熱モジュールの内側シェル内に配置された加工材料の温度を誘導加熱により上昇させるために、当該断熱モジュールにおける電流キャリアを動作させる工程を有する。
【0009】
さらに、断熱モジュールを提供し、この断熱モジュールは、誘導加熱に対して感熱性を有する材料を有する第1のシェルであって、その内部に密閉された真空断熱空間を有するものである、前記第1のシェルと、前記誘導加熱に対して感熱性を有する材料に誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを有する。
【0010】
さらに、断熱モジュールを提供し、この断熱モジュールは、密閉された真空断熱空間を有する第1のシェルと、前記第1のシェルの内部に配置された第1のコンポーネントであって、誘導加熱に対して感熱性を有する材料を有し、消耗品を受け取るように構成されているものである、前記第1のコンポーネントと、前記第1のコンポーネントに誘導加熱を生じさせるように構成された誘導加熱コイルとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本図面は必ずしも縮尺比に基づいて記載されていないが、同様の符号は異なる図面において類似コンポーネントを示す。同様の符号において末尾が異なる場合は、類似コンポーネントの異なる実施例を示す。本図面は、本明細書で説明する様々な観点を例示的に示すものであり、限定するものではない。
【
図1】
図1は、本発明による断熱空間を取り入れた構造体の部分断面図である。
【
図2】
図2は、本発明による別の構造体の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明による冷却装置の部分断面図である。
【
図5】
図5は、本発明による代替冷却装置の断面の部分斜視図である。
【
図6】
図6は、膨張チャンバを含む、
図5の冷却装置の端部断面の部分斜視図である。
【
図7】
図7は、
図4〜
図6の冷却装置の代替気体入口構造を有する冷却装置の部分断面図である。
【
図8】
図8は、本発明による容器の断面の部分斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明によるデュアー瓶の断面の斜視図である。
【
図10】
図10は、開示技術の一実施形態の切り欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、本開示の一部を形成する、添付の図面および実施例とともに以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解される。本発明は、本明細書に記載される、および/または示される特定の装置、方法、用途、条件またはパラメータに限定されるものではないこと、また本明細書で使用される技術用語は、単なる一例として特定の実施形態を説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0013】
また添付の特許請求の範囲を含めた明細書で使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数形も含んでおり、特定の数値への言及は、文脈がそうでないことを明らかに指示しない限り、少なくともその特定の値を含んでいる。用語「複数の」は、本明細書で使用される際、2つ以上を意味する。特定の範囲の値が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含める。同様に、値が、先行する「約」の使用によって近似値として表されている場合、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。全ての範囲は、包括的で組み合わせ可能であり、工程は任意の順序で実行されてよいことを理解されたい。
【0014】
明確性のために、別個の実施形態として本明細書に記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。反対に、簡潔化のために、単一の実施形態として本明細書に記載される本発明の様々な特徴は、独立して、または任意に下位の組み合わせで提供されてもよい。本明細書において引用される文献の全体が任意および全ての目的において、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
さらに、範囲によって値が言及されている場合、当該範囲内の各値および全ての値が含まれる。加えて、用語「有する(comprising)」は、標準的なオープンエンドの意味を有するが、「〜からなる(consisting)の意味も包含することを理解されたい。例えば、部分Aと部分Bとを有する装置は、部分Aおよび部分Bに加えて他の部分を含む可能性があるが、当該装置は部分Aおよび部分Bのみで構成されていてもよい。
【0016】
米国特許第7,681,299号明細書および米国特許第7,374,063号明細書(任意のおよび全ての目的のためにその全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。)に説明されるように、断熱空間の幾何学形状は、空間内の気体分子を通気孔に向けて、または空間からの他の出口に向けて誘導するようなものであってよい。真空断熱空間の幅は、空間の長さにわたって均一である必要はない。空間を画定する一方の面が、空間を画定する別の面に向かって収束するように角度を成す部分を含んでよい。断熱空間は、当該空間を形成する壁同士が接触するのを減少若しくはそのような接触を排除するための所定の材料(例えば、セラミック糸、セラミックリボンなど)を含むことができる。
【0017】
結果として、面同士を隔てる距離は、その距離が、通気孔が真空空間と連通する場所に隣接して最小になるように通気孔に隣接して変動させることができる。低分子濃度の条件における気体分子と可変距離部分との相互作用によって、気体分子が通気孔に向けて誘導される。
【0018】
空間の分子を誘導する幾何学形状により、空間を排気するために構造体の外側から引かれた真空よりも高真空度の真空が空間内に密閉されることが可能となる。本発明の幾何学形状は、気体分子が空間に進入するよりも空間から流出する確率を有意に高めるため、空間内でのより高真空度の真空のこのような幾分反直観的な結果が達成される。実際、断熱空間の幾何学形状は、チェック弁のように機能して、気体分子の一方向(通気孔によって画定される出口経路を介して)の自由な通行を促進する一方で、反対方向の通行は阻止する。
【0019】
断熱空間の幾何学形状によって実現されるより高真空度の真空に関連する別の利点は、排気された空間内でゲッタ材を必要とせずにそれが達成可能である点である。ゲッタ材なしでそのような高真空度の真空を促進させる能力により、超小型装置および幅狭の断熱空間を有し、その空間の制約のためにゲッタ材の使用が制限される装置内においてより高真空度の真空を実現する。
【0020】
例えば真空空間を画定する表面上の低放射率コーティングなどの他の真空強化特性を含むことができる。そのようなコーティングの反射面は、当分野で一般的に知られており、放射エネルギーの伝熱光線を反射する傾向がある。コーティングされた表面を通過する放射エネルギーを制限することにより、真空空間の断熱作用が高まる。
【0021】
いくつかの実施形態において、物品は、特定の距離だけ離間され、その間に断熱空間を画定する第1および第2の壁と、断熱空間と連通して気体分子の断熱空間からの出口経路を提供する通気孔とを備える。通気孔は、通気孔を通して気体分子を排気した後、断熱空間内で真空を維持するために密閉可能である。
【0022】
第1の壁と第2の壁との間の距離は、断熱空間内の気体分子が断熱空間の排気中、通気孔の方に導かれるように通気孔に隣接する断熱空間の一部において可変である。通気孔に向かう気体分子の方向により、気体分子が断熱空間に進入するよりも断熱空間から流出する確率がより高くなり、これにより断熱空間内でゲッタ材を必要とすることなく、より高真空度の真空を実現する。
【0023】
本発明による気体分子を誘導する幾何学形状を有する構造体の構築は、任意の特定のカテゴリの材料に限定されるものではない。本発明による断熱空間を取り入れる構造体を形成するのに適した材料は、例えば金属、セラミック、半金属またはそれらの混合物を含む。
【0024】
空間の収束(convergence of the space)により、以下の態様でで分子の誘導が実現される。空間の排気中に気体分子の濃度が十分低くなり、構造体の幾何学形状が一次作用になったとき、空間の可変距離部分の収束する壁が空間内の気体分子を通気孔に向けて運ぶ。
【0025】
真空空間の収束する壁の一部の幾何学形状は、チェック弁またはダイオードのような働きをするが、これは気体分子が空間に進入するよりも、空間から排出される確率が大幅に拡大されるためである。
【0026】
構造体の分子を誘導する幾何学形状が、分子の流出と進入の相対的な確率に対して有する作用は、真空空間の収束する壁の一部を粒子の流れに対抗する漏斗に類比するよって理解することができる。
【0027】
粒子の流れに対する漏斗の配向に応じて、漏斗を通過する粒子の数は大きく変動することになる。粒子の流れが、漏斗の出口ではなく、漏斗の入口の収束する面に最初に接するように漏斗が配向された場合、より多くの数の粒子が漏斗を通過することは明白である。
【0028】
漏斗のように空間から気体粒子を誘導する、断熱空間において収束する壁の出口の幾何学形状を取り入れる装置の様々な例が本明細書に提供されている。本発明の気体を誘導する幾何学形状は、収束する壁の漏斗状構造に限定されるものではなく、代替的に他の形態の気体分子を誘導する幾何学形状も利用することができることを理解されたい。
【0029】
一部の例示的な真空断熱空間(およびそのような空間を形成し利用するための関連技術)は、国際出願第PCT/US2017/020651号、第PCT/US2017/061529号、第PCT/US2017/061558号、第PCT/US2017/061540号、および米国特許出願公開第2017/0253416号、第2017/0225276号、第2017/0120362号、第2017/0062774号、第2017/0043938号、第2016/0084425号、第2015/0260332号、第2015/0110548号、第2014/0090737号、第2012/0090817号、第2011/0264084号、第2008/0121642号および第2005/0211711号に記載されており、これらは全て、任意のおよび全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。このような空間はInsulon(商標)と呼ぶことができる。但し、上述した構成は例示的にのみ示したものであり、本開示技術は、必ずしも上述した構成のいずれかに基づいて作製される必要はない。
【0030】
図面
以下、添付の非限定的な図面の詳細についてさらに説明する。
【0031】
同様の符号が同様の要素を特定する図面を参照すると、気体分子を誘導する幾何学形状を有する本発明による構造体110の端部部分が
図1に示されている。構造体110は、本発明の気体分子を誘導する幾何学形状をはっきりと示すために選択された特定の縮尺で
図1に見られる。しかしながら本発明は、示される縮尺に限定されるものではなく、小型化された装置から、極めて大きな寸法の断熱空間を有する装置まで任意の縮尺の装置に対して適用する。構造体110は、環状空間116を間に画定するようにサイズが決められ配置された内側管112と、外側管114とをそれぞれ含む。管112、114は、一端において互いに係合することで真空空間116および外部と連通する通気孔118を形成する。通気孔118は、例えば構造体110が真空チャンバ内に置かれたときなど、外側に真空が加えられる際、空間116から気体分子が流出するための排気路を提供する。
【0032】
通気孔(vent)118は、真空密閉プロセスにおける気体分子の除去の後に断熱空間内で真空を維持するために密閉可能である。その現在好ましい形態において、構造体110の空間116は、管112、114を合わせてろう付けすることによって密閉される。真空密閉構造体の排気用の通気孔を密閉するのにろう付けを使用することは当分野では一般的に知られている。通気孔118を密閉するために、ろう付けプロセスの前に、通気孔118によって画定された排気路がこの材料によって塞がれない態様で、管112と、管114との間にそれぞれの端部に隣接するようにろう付け材(図示せず)が位置決めされる。しかしながら排気プロセス中、ろう付け材を溶かすのに十分な熱が構造体100に加えられることで、ろう付け材は毛管作用によって、通気孔18によって画定された排気路へと流れ込む。流動するろう付け材が通気孔18を密閉し、排気路を閉鎖する。しかしながら、通気孔18を密閉するためのろう付けプロセスは本発明の必要条件ではない。冶金術プロセスまたは化学プロセスなど、通気孔18を密閉する代替の方法が使用される場合もある。
【0033】
構造体110の幾何学形状は、以下の態様で断熱空間116内の気体分子の運動をもたらす。分子の運動学的な挙動に関するマクスウェルの気体法則の有力な仮定は、気体分子の濃度が高いほど、気体分子と気体分子のための容器との相互作用の数と比べて、気体分子間で生じる相互作用の数が大きくなることである。このような条件下では気体分子の運動は不規則であり、故に容器の特定の形状によって影響を受けない。しかしながら例えば断熱空間の排気中に起こるように気体分子の濃度が低くなった場合、分子と分子の相互作用はもはや優勢ではなく、不規則な分子運動の上記の仮定はもはや有効ではない。本発明に対する関連として、真空空間の幾何学形状は、排気中に気体分子の濃度が低下する際、気体分子と容器との相互作用が相対的に増大することが理由で二次システム作用ではなく一次システム作用となる。
【0034】
断熱空間116の幾何学形状は、空間116内の気体分子を通気孔18に向けて誘導する。
図1に示されるように、環状空間116の幅は、構造体110の長さ全体にわたって均一ではない。代わりに、外側管114は角度を成す部分120を含んでおり、そのため外側管は、管の端部に隣接して内側の管112に向かって収束する。結果として、管112、114を隔てている半径方向の距離が、通気孔118が空間116と連通する場所に隣接して最小になるように、この距離は、通気孔118に隣接して変動する。より詳細に説明するように、低分子濃度の条件における、気体分子と、管112、114の可変距離部分との相互作用は気体分子を通気孔118に向けて導くような働きをする。
【0035】
空間の116の分子を誘導する幾何学形状は、空間を排気するために構造体110の外部に課されるものより高真空度の真空が空間116内に密閉されることを可能にする。本発明の幾何学形状は、気体分子が空間に進入するよりも空間から流出する確率を有意に高めるため、空間116内のより高真空度の真空のこのような幾分反直観的な結果が達成される。実際、断熱空間116の幾何学形状は、チェック弁のように機能して、気体分子の一方向(通気孔118によって画定される出口経路を介する)の自由な通行を促進する一方で、反対方向での通行は阻止する。
【0036】
図1に示されるように、構造体110の管114の角度を成す部分120は、管114が管112の方向に収束するのに合わせて管114の末端部にまで延長している。しかし、管には角度を成す部分が管の末端部まで一度に延長しないものも含まれるのであるから、これは必須条件ではない。例えば、管は第1の内部直径を有する第1の部分を有しており、第1の部分の角度を成す部分が第2の内部直径部分を有する第2の部分へ移行してもよいし、第1のおよび第2の部分が互いに平行であってもよい。(第2の内部直径は第1の内部直径より小さくてもよい)。
【0037】
断熱空間116の幾何学形状によって提供されるより高真空度の真空に関連付けられた重要な利点は、それが排気された空間116内でゲッタ材を必要とせずに達成可能である点である。ゲッタ材なしでそのような高真空度の真空を創り出す能力は、空間の制約がゲッタ材の使用を制限する小規模の装置または狭い幅の断熱空間を有する装置内でより高真空度の真空を実現する。
【0038】
必須ではないが、本発明による気体分子を誘導する構造を有する排気された空間内でゲッタ材が使用される場合がある。例えば真空空間を画定する表面上の低放射率コーティングなど、他の真空強化機構が含まれる場合もある。そのようなコーティングの反射面は当分野で一般的に知られており、放射エネルギーの伝熱光線を反射する傾向にある。コーティングされた表面を通り抜ける放射エネルギーの通過を制限することは、真空空間の断熱作用を高める。
【0039】
本発明による気体分子を誘導する幾何学形状を有する構造体の構築は、任意特定のカテゴリのセラミック材料に限定されるものではない。
【0040】
適切なセラミック材には、例えば、アルミナ(Al
2O
3)、ムライト、ジルコニア(ZrO
2)(イットリア安定化ジルコニア、イットリア部分安定化ジルコニア、マグネシア部分安定化ジルコニアを含む)、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、および他のガラス/セラミックの組み合わせが含まれる。
【0041】
図1に示される構造体110を再度参照すると、空間116の可変距離部分における内側管112に向かう外側管114の収束は、以下の態様で分子の誘導を実現する。空間116の排気中に気体分子の濃度が十分低くなり、構造体の幾何学形状が一次作用になったとき、空間116の可変距離部分の収束する壁が空間116内の気体分子を通気孔118に向けて運ぶ。真空空間116の収束する壁の一部の幾何学形状はチェック弁またはダイオードのような働きをするが、これは気体分子が空間116に進入するのではなく、空間から流出する確率を有意に高めるためである。
【0042】
構造体110の分子を誘導する幾何学形状が、分子の流出と進入の相対的な確率に対して有する作用は、真空空間116の収束する壁の一部を粒子の流れに対抗する漏斗に類比するよって理解することができる。粒子の流れに対する漏斗の配向に応じて、漏斗を通過する粒子の数は大きく変動することになる。粒子の流れが、漏斗の出口ではなく、漏斗の入口の収束する面に最初に接触するように漏斗が配向された場合、より多くの数の粒子が漏斗を通過することは明白である。
【0043】
図10は代替実施形態の図を提供する。この図に示されるように、断熱物品は内側管102および外側管104を含んでおり、それら管がその間に断熱空間108を画定している。内側管102は内側に管腔を画定し、当該管腔が断面(例えば、直径)106を有していてもよい。断熱空間108は密閉可能な通気孔118によって密閉可能である。
図10に示されるように、内側管102は、外側管104の方向に外側に広がり、外側管104の方向に収束する部分120を有していてもよい。
【0044】
空間108の可変距離部分において外側管104が内側管102の方向へ収束すると、以下の方法で分子の誘導が行われる。気体分子濃度が空間108の排気中に十分小さくなり、構造体の幾何学形状が一次システム効果を及ぼすようになると、空間108の可変距離部分の収束壁が空間108内の気体分子を通気孔118の方向へ運ぶ。気体分子が空間108に進入するよりも空間108から流出する確率を有意に高めるため、真空空間108の収束壁部分の幾何学形状がチェック弁またはダイオードとして機能するようになる。
【0045】
漏斗のように空間から気体粒子を誘導するために断熱空間のために収束する壁の出口の幾何学形状を取り入れる装置の様々な例が
図2〜
図7に示される。しかしながら本発明による気体を誘導する幾何学形状は、収束する壁の漏斗状になる構造に限定されるものではなく、代わりに他の形態の気体分子を誘導する幾何学形状を利用する場合もある。例えば、
図8に示され、以下でより詳細に説明されるデュワー瓶は、本発明による代替の形態の可変距離の空間幾何学形状を取り入れている。
【0046】
断熱プローブ
図2を参照すると、本発明による気体分子を誘導する幾何学形状を取り入れる構造体22が示されている。構造体110と同様に、構造体122は、環状の真空空間28を間に画定する内側管124および外側管126を含む。構造体122は、
図1の構造体110の通気孔118と、角度を成す部分120の構造と同様の、対向する端部における通気孔130、132と、外側管126の角度を成す部分134、136とを含む。
【0047】
構造体122は、例えば断熱外科用プローブにおいて有用である。そのような用途では、構造体122は、特定の標的箇所へのプローブの端部の侵入を容易にするために、図示されるように曲げられることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、構造体122の同軸に配置された管124、126は曲げられることで、構造体の対抗する端部の中心軸の間に結果として生じる角度は、おおよそ45度である。
【0048】
密閉された真空の層の断熱特性を高めるために、低放射率特性を有する光学コーティング128を内側管124の外側面に塗布することができる。光学コーティングの反射面は、コーティングされた面を通る伝熱放射の通過を制限する。光学コーティングは、銅、すなわち研磨されたとき望ましい低放射率を有する材料を含んでよい。しかしながら銅は急速な酸化を受けやすく、このことは、その放射率を増大させるために不利益となる。例えば高度に研磨された銅は、おおよそ0.02ほどの低さの放射率を有することができるのに対して、激しく酸化した銅は、おおよそ0.78ほどの高さの放射率を有する場合がある。
【0049】
酸化しやすいコーティングの塗布、清浄および保護を促進するために、光学コーティングは、排気および密閉プロセスの前に放射結合真空炉を利用して内側管124に塗布されるのが好ましい。そのような炉の上昇した温度、低圧環境において塗布された場合、存在するいかなる酸化層も消失し、高度に清浄された低放射率の面が残され、この面は、排気路が密閉される際、真空空間128内のその後の酸化に対して保護されることになる。
【0050】
図3を参照すると、本発明による気体分子を誘導する幾何学形状を取り入れる別の構造体140が示されている。
図1の構造体110と同様に、構造体140も環状の真空空間146を間に画定する内側管142および外側管144を含む。構造体140は、
図1の構造体110の通気孔118と、角度を成す部分120に対して同様の構造で、対向する端部に通気孔148、150と、外側管144の角度を成す部分152、154とを含む。好ましくは、構造体140の同軸に配置された管142、144は曲げられることで、構造体の対向する端部の中心軸の間に結果として生じる角度は、おおよそ45度である。構造体140は、
図2の構造体122と同様に、内側管142の外面に塗布された光学コーティング156を含む。
【0051】
同軸に配置された管(例えば
図2および
図3のプローブ構造体122および140のように真空空間を形成する管)が曲げ荷重を受けると、加重されている間に内側管と外側管との間に接触が生じる可能性がある。曲げ荷重が取り除かれた後、互いから離れる、または「スプリングバック」するために同軸の管がこのような態様で屈曲する傾向は、管が互いから離れることを保証するのに十分であり得る。しかしながら、接触が少しでも存続している場合は、内側管と外側管との間に有害な「熱短絡(thermal shorting)」が起り、真空空間が意図する断熱機能が損なわれる可能性がある。そのような熱短絡に対する保護を提供するために、
図3の構造体140は、スペーサ材の層158を含んでおり、これは好ましくは、セラミックまたは他の低伝導率の材料のマイクロファイバを有する糸または紐を巻き付けることによって形成される。スペーサ層158は、管同士の直接の接触を制限する保護バリアを提供する。
【0052】
図1から
図3の構造体の各々は、スタンドアローン構造として構築することができる。あるいは、
図1から
図3の断熱構造体は、別の装置または別のシステムの一体式の部品を形成する場合もある。また、
図1から
図3に示される断熱構造体は、やや小規模の寸法から極めて長い直径まで変動する直径を有し、また変動する長さを有する断熱配管を実現するようにサイズが決められ、そのように配置することができる。加えて、先に説明したように、本発明の気体分子を誘導する幾何学形状は、ゲッタ材を必要とせずに高真空度の真空の形成を可能にする。空間内にゲッタ材をなくすことは、ひときわ小さい幅を有する真空断熱空間を可能にする。
【0053】
ジュール=トムソン装置
図4を参照すると、装置160の外側の領域を断熱するために、本発明による気体分子を誘導する幾何学形状を取り入れる冷却装置160が示されている。冷却装置60は、気体が膨張する際に温度が下がるジュール=トムソン効果を利用して冷却される。第1および第2の同軸に配置された管164および166は、それらの間に環状の気体入口168を画定する。管164は、管166に向かって収束する角度を成す部分170を含む。管164、166の収束する壁の一部は、管164の端部に隣接して流れ制御リストリクタまたはディフューザ172を形成する。
【0054】
冷却装置160は、実質的に球形の部分178によって端部で閉鎖された円筒形の部分176を有する外側ジャケット174を含む。外側ジャケット174の円筒形の部分176は、管166と同軸に配置されてそれらの間に環状の断熱空間182を画定する。管166は、排気路86に隣接して外側ジャケット174に向かって収束する角度を成す部分84を含む。断熱空間182の可変距離は、
図1〜
図3に示される構造体のものとは異なっているが、その理由は、外側の要素に向かって、すなわち円筒形の部分176に向かって収束するのが内側要素、すなわち管164であるためである。しかしながら、気体分子を誘導する断熱空間182の可変距離部分の機能は、
図1〜
図3の構造体の断熱空間に関して上記で説明したものと全く同じである。
【0055】
環状入口168は、相対的に高い圧力と、低い速度を有する気体をディフューザ172に導き、そこで気体は膨張チャンバ180内で膨張され冷却される。結果として、冷却装置160の端部は冷却される。膨張した低温/低圧は、内側管164の内部を通って排気される。このような方法での内側管164を経由する低温の気体の戻りは、気体入口168の内部の入口の気体を急冷させる。しかしながら真空断熱空間182は急冷された高圧側による熱の吸収を遅らせ、これにより全体のシステムの効率に貢献している。このような熱の吸収の緩和は、管166の外面上に放射性の放射エネルギー遮蔽材のコーティングを塗布することによって高められてよい。本発明は、高圧/低速領域から低圧/低温領域への熱伝達を強化し、また高圧の気体の流れを効果的に冷却するのに必須である急冷領域の必要条件に起因してこれまでは不可能であったサイズの縮小も実現する。
【0056】
ディフューザ172を形成する管164の角度を成す部分170は、入口の気体によって加えられる圧力に応答して曲がるように適合されてよい。この方法において、ディフューザ172によって管164と管166との間に画定される開口のサイズは、入口168の内部の気体の圧力の変動に応答して変化してよい。管164の内面88は、膨張チャンバ180から相対的に低圧の気体を除去するために排気ポート(図示せず)を提供する。
【0057】
図5および
図6を参照すると、ジュール=トムソン冷却装置192を取り入れる極低温冷却器190が示されている。極低温冷却器190の冷却装置192は、
図4の装置の同様であり、高圧の気体入口198を間に画定する管194および196と、管194の内部の低圧排気ポート100とを含む。冷却装置190のための気体の供給は、入口パイプ102を介して冷却器190に送達される。外側ジャケット104は、冷却装置の外側部分を断熱するために管196と共に断熱空間106を形成する。外側ジャケット104は、排気路109に隣接して管196に向かって収束する角度を成す部分108を含む。排気路109に隣接する収束する壁は、先に記載した方法で真空空間106の排気および密閉を行う。
【0058】
図6を参照すると、極低温冷却器190の冷却装置192は、管194と管196との間に画定される流れ制御ディフューザ112を含む。外側ジャケット104の実質的に球形の端部部分114は膨張チャンバ116を形成し、その中で気体入口198からの膨張する気体が装置192の端部を冷却する。
【0059】
図7を参照すると、環状の気体入口197を間に画定する同軸に配置された管193、195を含む冷却装置191が示されている。外側ジャケット199は、管193、195を取り囲む実質的に円筒形の部分101と、管193、195の端部に隣接して膨張チャンバ105を画定する実質的に半球の端部部分103とを含む。示されるように、管195は、気体入口197と外側ジャケット199との間に断熱空間109を形成するために、外側ジャケット199の内面に接続された角度を成す、または湾曲した端部部分105、107を含む。気体の供給源から入口空間197に気体を取り入れるために、供給管111が管195の端部部分107に隣接して外側ジャケットに接続される。
【0060】
膨張チャンバ105に隣接する冷却装置191の気体入口197の構造は、膨張チャンバ内に気体を送達するために気体入口から環状の脱出路が設けられた
図4から
図6に示される冷却装置のものとは異なる。代わりに冷却装置191の管193は、管193、195の端部に隣接して管195に固定されて気体入口の端部を閉鎖する。気体入口197から膨張チャンバ105内に気体を注入するために、通気孔113が膨張チャンバ105に隣接して管193の中に設けられる。好ましくは通気孔113は、管193の円周の周りに均一に離間される。装置191の構造は、製造を簡素化する一方で、気体入口197から膨張チャンバ105内への気体のより正確な流れを実現する。
【0061】
相対的に大きな熱伝導率を有する材料、好ましくは銅のコーティング115が、管193の内面の少なくとも一部に形成されて管193への熱エネルギーの効率的な伝達を促進する。
【0062】
環状装置以外の装置
図1〜
図7の断熱構造体の各々は環状の断熱真空空間を含む。しかしながら環状の真空空間は、本発明の必要条件ではなく、これは幅広い種類の構造上の構成における潜在的な利用を有する。
図8を参照すると、例えば実質的に矩形の内部貯蔵仕切り122を有する真空断熱貯蔵容器120が示されている。仕切り122は、例えば断熱されるべき空間の境界を画定する壁124など実質的に平面の壁を含む。断熱空間128は、壁124と、壁124から接近して離間される第2の壁126との間に画定される。接近して離間された壁(図示せず)は、仕切り122を画定する残りの壁に隣接して含まれることで容器の壁に隣接して断熱空間を形成する。断熱空間は、別々に密閉することができる、あるいは互いに接続される場合もある。
図1〜
図7の断熱構造体と同様の態様で、気体分子を出口通気孔に向かって誘導するために、断熱空間128の収束する壁の一部(連続する場合)、または複数の断熱空間の複数の収束する壁の一部(別々に密閉される場合)が設けられる。しかしながら断熱貯蔵容器120において、断熱空間128の収束する壁の一部は環状ではない。
【0063】
図8の真空断熱貯蔵容器120は、入力エネルギーとして周辺エネルギーと対流しか利用しない、無期限で再生式の/自己持続式の冷却/加熱能力を達成することが可能な容器を提供する。よって可動部品は必要とされない。貯蔵容器120は、先に記載した態様で真空構造体の断熱能力を高めるために真空の断熱覆いの中に放射性の放射エネルギー遮蔽材を含むことができる。
【0064】
貯蔵容器120はまた、熱電気(TE)冷却器または加熱器組立体を駆動するための電位貯蔵システム(バッテリ/コンデンサ)および比例積分導関数(PID)温度制御システムを含むことができる。貯蔵容器のTE発電機部分は好ましくは、TEシステムに関して必要な温度勾配を維持するために、必要な対流ポートならびに熱/光収集コーティングおよび/または材料を収容する衝撃および衝突に対して抵抗力のある外側スリーブの中に備わっている。TE冷却器または加熱器、およびその制御パッケージは好ましくは、貯蔵容器120のためのヒンジ式カバーの取り外し可能な区切られた部分に取り付けられる。吸熱性の化学反応装置(例えば「化学調理器具」)もまた、その反応速度が温度に関連することが理由で、高い度合いの成果を伴って使用することができ、その有効寿命は、断熱バリアを横切る熱流束が例外的に低いことが理由で引き延ばされる。
【0065】
商業的に利用可能なTE発電機装置は、20度Kの勾配の装置の場合おおよそ1mW/in
2を生成することが可能であり、40度Kの勾配の装置の場合おおよそ6mW/in
2を生成することが可能である。非線形の効率曲線がこのような装置の場合一般的である。これは、この主のシステムに関する高い周辺温度の冷却用途の場合、非常に望ましいが、低温の加熱用途の場合は問題を生じさせる場合がある。
【0066】
ハイエンドの冷却器は、おおよそ60%の変換効率を有する。例えば10インチの直径で10インチの高さ、314in
2の表面積および20度Kの勾配の対流を有する容器は、おおよそ30mWの総放散能力を有することになる。40度Kの勾配の対流を有する同一の機械設計を有するシステムは、おおよそ150mWの放散能力を有することになる。
【0067】
上記に記載した断熱容器120に関する潜在的な使用の例には、生血清、ドナー器官の輸送、発熱製品の貯蔵および輸送、温度に影響を受けやすい電子機器の熱的な隔離が含まれる。
【0068】
分子を誘導する代替の幾何学形状
本発明は、
図1〜
図8に示される断熱構造体に取り入れられる収束する幾何学形状に限定されるものではない。
図9を参照すると、本発明による気体分子を誘導する幾何学形状の代替の形態を取り入れるデュアー瓶130が示されている。デュアー瓶130は、円筒形のネック134に接続された丸みがつけられた底部132を含む。デュアー瓶130は、デュアー瓶のための内部138を画定する内壁136を含む。外壁140は、特定の距離だけ内壁136から離間されて、底部132およびネック134を囲むように延在する断熱空間142をそれらの間に画定する。通気孔144が底部132の外壁140の中に配置され、断熱空間142と連通することで空間142の排気中に気体分子のための出口経路を提供する。
【0069】
通気孔144の反対側の内壁136の下方部分146は、内部138に向かって、かつ通気孔144から離れるようにくぼんでいる。くぼんだ部分146は、内壁136と外壁140との間の距離が可変である、断熱空間142の対応する部分148を形成する。内壁136のくぼんだ部分146は、通気孔144と向かい合わせに断熱空間142内に凹状の湾曲面150を提示する。好ましくは内壁136のくぼんだ部分146は、くぼんだ部分の任意の場所における凹状の湾曲面150に対する垂線が概ね通気孔144の方に向けられるように湾曲される。この方法において、内壁136の凹状の湾曲面150は、通気孔144に焦点が合わされている。焦点を合わせた面150によって実現される通気孔144に向かう気体分子の誘導は、リフレクタに向けられた別々の光線から集束させた光のビームを返すリフレクタに似ている。低気体分子濃度の条件では、構造体は一次システム作用になり、焦点を合わせた面150によって実現する誘導作用は、通気孔144に向けて的を絞る態様で気体分子を導くような働きをする。このような方法での内壁136の焦点を合わせた面150による通気孔144の目標設定は、気体分子が、断熱空間142に進入する代わりに、断熱空間142から流出する確率を高め、これによりデュアー瓶130の外部に加えられる真空よりもより高真空度の真空を断熱空間内に形成する。
【0070】
図11Aは、本開示の物品の非制限的な一部切り取り図である。
【0071】
図11Aに示されるように、断熱モジュールは第1のシェル1102を有することができる。モジュールは第1のコンポーネント1106をさらに有していてもよい。図示されているように、第1のコンポーネント1106は管であってもよいが、第1のコンポーネント1106は(例えば、円筒状の)中実体(solid)であってもよいので、それは必須条件ではない。密閉された真空断熱空間1104が第1のシェル1102と第1のコンポーネント1106の間に配置されてもよい。例示的な密閉された真空断熱空間(および斯かる空間を形成および使用するための関連技術)は、PCT/US2017/020651、PCT/US2017/061529、PCT/US2017/061558、PCT/US2017/061540、並びに米国特許出願第2017/0253416号、第2017/0225276号、第2017/0120362号、第2017/0062774号、第2017/0043938号、第2016/0084425号、第2015/0260332号、第2015/110548号、第2014/0090737号、第2012/0090817号、第2011/0264084号、第2008/0121642号、および第2005/0211711号に見出される(それら全て、あらゆる目的のためにその全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
【0072】
モジュールは所定量の加工材料1110を含んでいてもよい。加工材料1110は感熱性であってもよい(例えば、加工材料1110は、熱に晒された場合に相変化(固体から液体へ、固体から蒸気へ、固体から煙へなど)を行ってもよい)。加工材料1110は固体であってもよいが、半固体であってもよい。例えば、加工材料1110は液化のために加熱されてもよい。あるいは、加工材料1110は蒸発させるためまたは煙にするために加熱されてもよい。加工材料1110は燃焼されてもよいが、例えば、ヒートノットバーンで、燃焼なしに加熱されてもよい。
【0073】
本発明のモジュールは、図示されていないが、1つ以上のセンサ―を有していてもよい。センサーは、例えば、温度センサー、圧力センサー、湿度センサーなどであってもよい。上記センサー以外のセンサーも想定されている。例えば、本開示のモジュールは、第1のコンポーネント1106内の温度をモニターする温度センサーであってもよい。温度センサーは、加工材料1110の周りの環境の温度をモニターするように構成されていてもよい。温度センサーは、
図11Aに示される要素1114および1118(これらの要素については本明細書で以下詳細に説明する)のいずれかまたは双方の温度をモニターするように構成されていてもよい。
【0074】
加工材料1110は、細孔部、チャネル、または他の空隙を内部に有していてもよい。加えて、加工材料1110は単一の「ユニボディ」加工材料(例えば、インゴットまたはワイヤ)であってもよいが、複数部分からなる材料(例えば、個々のセグメント、粒子、フレークなど)であってもよい。加工材料1110は燃焼可能なカートリッジまたはインサートであってもよい。
【0075】
ポリマー材料は適切な加工材料と考えられるが、モジュール内に配置可能な加工材料に制限はない。加工材料は金属、ワックスなどを有していてもよい。
【0076】
本開示のモジュールは集電体1112を有していてもよい。図示されているように、集電体はコイルであってもよいし、いくつかの実施形態では、
図11Aに示されるように、第1のシェル1102の周りに配置されていてもよい。特定の実施形態に限定されるものではないが、集電体は、本開示の内側(またはその外側)に誘導加熱を誘導する誘導コイルとして構成されていてもよい。モジュールは、磁気遮蔽の1つ以上の部分を有していてもよい(斯かる遮蔽は、磁場、および/または電場あるいは電流からモジュールの1つ以上の要素を遮蔽するのに使用できる)。集電体1112はコイル状である必要はないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、集電体1112は、互いに反対側に配置され、電流の交互適用または連続適用によって、中間に配置された材料(加工材料、加熱材として使用される金属要素など)の誘導加熱が生じるような1つ以上のワイヤ形状であってもよい。
【0077】
コイル状の集電体は、コイル内に配置された加工材料の誘導加熱を生じさせるのに斯かる構成が使用可能であるので、特に適していると考えられる。特定の理論に制限されるものではないが、電源(例えば、固体RF)は集電体を通して電流を送ることができる。電流の周波数は一定であってもよいし、可変であってもよい。比較的分厚い加工材料(例えば、直径50mm以上の棒)には、約5kHz〜約30kHzの範囲の周波数が有用であり得る。比較的小さい加工材料または比較的浅い熱の透過が望ましい場合には、約100kHz〜約400kHzの範囲の周波数が有用であり得る。特別小さい加工材料には、400kHz以上の周波数が有用であり得る。
【0078】
集電体は冷却されてもよい(例えば、空気冷却でもよいし、さらには液体冷却でさえよい)。集電体は中実(すなわち、空洞がない)でもよいが、空洞を有する構成であってもよい。
【0079】
加工材料は集電体内に配置してよい。集電体は変圧器一次側として機能し、(加熱対象の)加工材料は短絡二次側となる。次に、加工材料内に循環渦電流が誘導される。渦電流は加工材料の電気抵抗に抗して流れ、その結果、集電体と加工材料間に、物理的接触なしに熱が発生する。
【0080】
追加熱がヒステリシス(磁気部分が集電体を通過する際に発生する内部摩擦)によって磁気部分内に発生する可能性がある。磁気加工材料は、誘導子内で急速に変化する磁場に対して電気抵抗を自然に発生させる。この抵抗が内部摩擦を発生させ、その結果、熱が生じる。加工材料の加熱過程において、誘導子と加工材料間に接触の必要性は全くない。加熱対象の加工材料は、電源から離れた位置に配置されてもよい。
【0081】
モジュールは第1の要素1108を有していてもよい(斯かる要素の使用は任意であることは理解されたい)。斯かる第1の要素は金属製であってもよく、第1のコンポーネント1106内に配置されてもよい。第1の要素はワイヤであってもよいし、リボン、コイル、層、コーティングであってもよいし、あるいは本質的に任意の形態であってよい。いくつかの実施形態において、第1の要素1108は、第1のコンポーネント1106の管腔の部分的な周辺に延長するスリーブまたは環状体であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の要素は集電体によって誘導加熱される。
【0082】
いくつかの実施形態において、モジュールは第2の要素1114を有してもいてよい。第1の要素1108および第2の要素1114は同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態において、第1の要素および第2の要素のいずれかまたは双方が集電体によって誘導加熱される。例えば、第1の要素1108および第2の要素1114のいずれかまたは双方が、金属または誘導加熱可能な他の材料で形成されていてもよい。
【0083】
モジュールは、必須条件ではないが、加工材料1110が第1の要素1108および/または第2の要素1114に接触するように構成されていてもよい。一例として、加工材料1110は、第1の要素1108および第2の要素1114を通して、対流熱および/または放射熱によって加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のコンポーネント1106は集電体1112によって誘導加熱される。いくつかの実施形態では、加工材料1110は誘導加熱可能である、あるいは誘導加熱可能なコンポーネント(例えば、金属)を有している。
【0084】
図示されているように、第1のコンポーネント1106は内部に管腔(符号なし)を画定していてもよい。
図11Aに示される例示的実施形態では、加工材料1110は第1のコンポーネント1106の管腔内に配置されている。加工材料1110は、例えば、カートリッジまたはモジュール内に挿入される他のインサートによって、モジュール内に摺動自在に導入できる。
【0085】
しかし、第1の要素1108および第2の要素1114は自由選択であって必須条件ではないことを理解されたい。例えば、シェル1102はセラミック(または誘導加熱の影響を受けない他の材料)で形成されており、第1のコンポーネント1106は誘導加熱の影響を受ける材料(例えば、金属)で形成されていてもよい。斯かるやり方により、集電体1112の動作によって第1のコンポーネント1116の誘導加熱が発生し、その結果、加工材料1110が加熱される。いくつかの実施形態においては、シェル1102および第1のコンポーネント1116の双方が誘導加熱に影響を受けず、第1の要素1108および第2の要素1114のいずれかまたは双方が、集電体1102の動作によって誘導加熱される。(斯かる実施形態においては、第1の要素1108および第2の要素1114のいずれかまたは双方が金属または誘導加熱の影響を受ける他の材料である)。
【0086】
いくつかの実施形態では、シェル1102および第1のコンポーネント1106の双方が、誘導加熱の影響を受ける材料で形成されている。(シェル1102および第1のコンポーネント1106が同じ材料で形成されているか否かは必須条件ではない。)いくつかの実施形態においては、シェル1102は誘導加熱の影響を受ける材料で形成されており、第1のコンポーネント1106は誘導加熱の影響を受けない材料で形成されている。本明細書の他の箇所に記載されているように、シェル1102は誘導加熱の影響を受けない材料で形成され、第1のコンポーネント1106は誘導加熱の影響を受ける材料で形成されている。(シェル1102および第1のコンポーネント1106は、シェル1102の方が第1のコンポーネント1106よりも誘導加熱の影響を受け易いように構成されていてもよいし、シェル1102および第1のコンポーネント1106は、第1のコンポーネント1106の方がシェル1102よりも誘導加熱の影響を受け易いように構成されていてもよい。)
【0087】
図11Aにおいて、加工材料1110は第1のコンポーネント1106の管腔内に位置するように示されているが、加工材料1110は、例えば、環状体、管、または少なくとも部分的にシェル1102を取り囲む他の形体としてシェル1102の外部に配置できるので、これは必須条件ではない。斯かるいくつかの実施形態において、シェル1102は誘導加熱の影響を受ける材料で形成されていてもよい。斯かるやり方により、集電体はシェル1102の誘導加熱を達成するやり方で使用でき、その結果、シェル1102の近くに配置された加工材料が加熱される。
【0088】
斯かるいくつかの実施形態において、要素(例えば、金属製の環状体、コーティング、または層)がシェル1102の近くに配置される。斯かる要素は誘導加熱の影響を受けるものであってよい。斯かるやり方により、集電体は要素(およびシェル1102の材料次第ではシェル1102の要素)の誘導加熱を達成するやり方で使用でき、その結果、シェル1102の近くに配置された加工材料が加熱される。
【0089】
いくつかの実施形態において、モジュールは、シェル1102の外部に配置された材料およびシェル1102内に配置された材料の加熱を達成するように動作する。本開示のモジュールは、シェル1102と第1のコンポーネント1106間の真空空間1104を活用することにより、異なる材料を異なる加熱レベルで加熱できる。例えば(
図11Aを参照すると)、シェル1102の外部の材料は(真空空間1104によって)第1のコンポーネント1106内の材料から断熱されているので、シェル1102の外部に配置された材料は、第1のレベルの加熱でシェル1102(および/またはシェル1102の外部に配置された要素)により誘導加熱でき、第1のコンポーネント1106内に配置された材料は第2のレベルの加熱で誘導加熱できる。
【0090】
本開示のモジュールは、加工材料1110を受け取り、モジュール内の適所に加工材料1110を維持するための受容コンポーネント(例えば、保持体)(図示しない)を有していてもよい)。受容コンポーネントは、第1のコンポーネント1106から少し離れた位置に加工材料1110を維持できる。あるいは、受容コンポーネントは、例えば、加工材料がシェル1102を少なくとも部分的に取り囲むチューブまたはスリーブとして提供する場合には、シェル1102近くの加工材料を維持するように構成されていてもよい。
【0091】
代替実施形態が
図11Bに示してある。
図11Bに示されるように、モジュールは第1のシェル1102を有していてもよい。モジュールは第1のコンポーネント1106をさらに有していてもよい。図示されているように、第1のコンポーネント1106は管であってもよいが、第1のコンポーネント1106は中実(例えば、円筒状)でもあり得るので、これは必須条件ではない。第1のシェル1102と第1のコンポーネント1106との間には、密閉された真空断熱空間1104を配置し得る。
【0092】
モジュールは所定量の加工材料1110を含んでいてもよい。加工材料1110は感熱性であってもよい(例えば、加工材料1110は、ある温度に晒された場合に相変化を行ってもよい)。加工材料1110は固体であってもよいが、半固体であってもよい。
【0093】
加工材料1110は、細孔部、チャネル、または他の空隙を内に有していてもよい。加えて、加工材料1110は単一の「ユニボディ」加工材料(例えば、インゴットまたはワイヤ)であってもよいが、複数部分からなる材料(例えば、個々のセグメント、粒子、フレークなど)であってもよい。ポリマー加工材料は適切な加工材料と考えられるが、モジュール内に配置可能な加工材料に制限はない。
【0094】
本開示のモジュールは集電体112を有していてもよい。図示されているように、集電体はコイルであってもよいし、いくつかの実施形態では、
図11Bに示されるように、断熱空間1104内に配置されていてもよい。特定の実施形態に限定されるものではないが、集電体は、本開示の内側(またはその外側)に誘導加熱を誘導する誘導コイルとして構成されていてもよい。
【0095】
モジュールは要素1114を有していてもよい(斯かる要素の使用は任意である)。斯かる第1の要素は金属製であってもよく、第1のコンポーネント1106内に配置されてもよい。第1の要素はワイヤであってもよいし、リボン、コイルであってもよいし、あるいは本質的に任意の形態であってよい。いくつかの実施形態において、第1の要素は集電体によって誘導加熱される。
【0096】
いくつかの実施形態において、当該要素は集電体によって誘導加熱される。モジュールは、必須条件ではないが、加工材料1110が要素1114に接触するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、第1のコンポーネント1106は集電体1112によって誘導加熱される。いくつかの実施形態において、加工材料1110は誘導加熱可能である、あるいは誘導加熱可能なコンポーネント(例えば、金属)を有している。
【0097】
さらなる代替実施形態が
図11Cに示してある。
図11Cに示されるように、モジュールは第1のシェル1102を有していてもよい。モジュールは第1のコンポーネント1106をさらに有していてもよい。図示されているように、第1のコンポーネント1106は管であってもよいが、第1のコンポーネント1106は中実(例えば、円筒状)でもあり得るので、これは必須条件ではない。第1のシェル1102と第1のコンポーネント1106との間には、密閉された真空断熱空間1104を配置し得る。
【0098】
モジュールは所定量の加工材料1110を含んでいてもよい。加工材料1110は感熱性であってもよい(例えば、加工材料1110は、ある温度に晒された場合に相変化を行ってもよい)。
【0099】
加工材料1110は固体であってもよいが、半固体であってもよい。加工材料1110は、細孔部、チャネル、または他の空隙を内に有していてもよい。加えて、加工材料1110は単一の「ユニボディ」加工材料(例えば、インゴットまたはワイヤ)であってもよいが、複数部分からなる材料(例えば、個々のセグメント、粒子、フレークなど)であってもよい。ポリマー加工材料は適切な加工材料と考えられるが、モジュール内に配置可能な加工材料に制限はない。
【0100】
本開示のモジュールは集電体112を有していてもよい。図示されているように、集電体はコイルであってもよいし、いくつかの実施形態では、第1のコンポーネント1106内に配置されていてもよい。特定の実施形態に限定されるものではないが、集電体は、本開示の内側(またはその外側)に誘導加熱を誘導する誘導コイルとして構成されていてもよい。
【0101】
モジュールは要素1114を有していてもよい(斯かる要素の使用は任意である)。斯かる第1の要素は金属製であってもよく、第1のコンポーネント1106内に配置されてもよい。(便宜上、
図11Bおよび
図11Cは、第1のコンポーネント内に配置された要素を各々1つだけ示している。しかし、本開示のモジュールは斯かる要素をゼロ、1、2、またはそれ以上有してもよいことは理解されたい。)
第1の要素はワイヤであってもよいし、リボン、コイルであってもよいし、あるいは本質的に任意の形態であってよい。いくつかの実施形態において、第1の要素は集電体によって誘導加熱される。
【0102】
いくつかの実施形態において、当該要素は集電体によって誘導加熱される。モジュールは、必須条件ではないが、加工材料1110が要素1114に接触するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、第1のコンポーネント1106は集電体1112によって誘導加熱される。いくつかの実施形態において、加工材料1110は誘導加熱可能である、あるいは誘導加熱可能なコンポーネント(例えば、金属)を有している。
図11Cに示されるように、集電体1112は第1のコンポーネント1106の管腔内に配置されてもよい。
【0103】
別の実施形態が非制限的な
図12Aに提供されている。図に示されるように、本開示のモジュールは第1のコンポーネント1203を有していてもよい。第1のコンポーネント1203は誘導加熱の影響を受ける材料、例えば、鉄系金属または鉄系金属を含む材料で形成されていてもよい。
【0104】
第1のコンポーネント1203は、例えば、管、円筒、缶体、または他の形状で提供されてもよい。第1のコンポーネント1203は、第1のコンポーネント1203をモジュール内に位置付けるのに使用される特徴1202(例えば、フランジ)を有していてもよい。非制限的な
図12に示されるように、フランジ1202はモジュールの位置付け特徴1212および1213に係合している。位置付け特徴は、例えば、フランジ、突起、リッジ、スロット、タブ、溝などであってよい。第1のコンポーネント1203は、1つ以上の皺、波形、または温度変化に応答して拡張または縮小する他の特徴を有していてもよい。特定の理論に限定されるものではないが、斯かる特徴は、温度変化に起因する第1のコンポーネント内の応力を(例えば、拡張によって)調節し、第1のコンポーネントの加熱および/または冷却に伴って、第1のコンポーネントがモジュールの他の要素に対して行使するかもしれない力を減少または排除することができる。
第1のコンポーネント1203は第1のシェル1219内に配置されてもよい。シェル1219は外壁1212および内壁1210を有していてもよい。必須条件ではないが、第1のコンポーネント1203と内壁1210との間の距離を最小化するように各コンポーネントを配置してもよい。第1のシェル1219は管状の構成であってもよいが、底部を有する、または底部と頂部を有する缶状に形成されていてもよい。第1のシェル1219は断面が円形であってもよいが、第1のシェル1219は他の断面(例えば、多角形、卵形など)を有し得るので、これは必須条件ではない。
【0105】
第1のシェル1219の外壁1212および内壁1210のいずれかまたは双方が、誘導加熱の影響を受ける材料(例えば、鉄系物質)を有していてもよい。いくつかの実施形態、例えば、第1のシェル1219の一部が誘導加熱の影響を受ける実施形態おいては、第1のコンポーネント1203は自由選択が可能である。
【0106】
密閉された真空空間1211が、第1のシェル1219の外壁1212と内壁1210との間に画定されていてもよい。適切な斯かる空間が本明細書の他の箇所において記載されている。内壁1210は、非鉄系で誘導加熱の影響を受けない材料で形成されていてもよい。同様に、外壁1212も、非鉄系で誘導加熱の影響を受けない材料で形成されていてもよい。セラミック系材料が斯かる非鉄系材料として使用できる。第1のシェル1219は上部縁1215を有していてもよい。
【0107】
図12に示されるように、モジュールはカップ1205を有していてもよく、その場合、該カップは第1のコンポーネント1203内に形成されていてもよい。図に示されるように、カップ1205は、第1のコンポーネント1203が底部を有する缶状の場合に第1のコンポーネント1203の一部(例えば、第1のコンポーネント1203の底部)における凹部(袋状または陥入部とも言及される)として形成されてもよい。缶体は末端部1216を有していてもよい。末端部1216は先端部、リッジ、または材料を貫通するのに役立つ他の特徴を有していてもよい。本開示のモジュールと連携して使用される消耗品は末端部1216が適合可能な凹部または他の特徴を有していてもよい。末端部は、第1のコンポーネント1203の末端部からある距離離れた場所に位置付けられていてもよい。例えば、末端部は、カップと同軸である第1のコンポーネント1203の中心軸に沿って測定された場合に、第1のコンポーネント1203の末端部に対してある距離離れた場所に位置付けられていてもよい。
図12に示されているように、カップ1205は、例えば、第1のコンポーネント1203の表面1207を通して、第1のコンポーネント1203の壁に接続されていてもよい(いくつかの実施形態においては、カップ1205は第1のコンポーネント1205の一部であってもよい)。いくつかの実施形態においては、第1のコンポーネント1203は単一の材料として形成されており、その単一の材料がカップ1205を画定している。図には示されてないが、第1のコンポーネント1203は、当該第1のコンポーネントに形成された1つ以上の開口部を有していてもよい。
【0108】
さらに、図示されているように、第1のコンポーネント1203は内部容積1220を画定していてもよい。内部容積1220は、第1のコンポーネント1203の内面によって画定されていてもよい。図示されているように、例示的第1のコンポーネント1203の内面は、第1のコンポーネント1203の内面1240並びにカップ1205の表面1221によって画定されている。内部容積1220は加工材料(例えば、消耗品)を少なくとも部分的に収容するのに使用できる。図示されているように、内部容積は高さ1272を画定してもよい。
【0109】
モジュールは誘導コイル1206を有していてもよい。加熱コイルは、1つ以上のリード線と電気的に通じていてもよい(
図12には例示的なリード線1217および1218が示してある)。誘導コイル1206はコイル用容器1208に少なくとも部分的に囲まれている。コイル用容器1208は、密閉された真空空間(符号なし)を中間に画定する内壁および外壁を有していてもよい。コイル用容器1208は管状の構成であってもよいが、
図12Aの1204として示されているように、管状の壁と頂部を有する缶状の構成であってもよい。
【0110】
コイル用容器1208はセラミック材料を有していてもよく、磁気的に透過性であってもよい。斯かるやり方により、誘導コイル1206の電流はカップ1205の加熱を達成でき、それと同時に磁場がコイル用容器1208を横切る際の損失量を減少させることができる。コイル用容器1208は、密閉された真空空間を中間に画定するセラミック製の壁を有していてもよい(適切な斯かる空間が本明細書の他の箇所に記載されている)。いくつかの実施形態においては、カップ1205とコイル用容器1208との間に、密閉された真空空間が存在していてもよい。
【0111】
図12Bに示されるように、消耗品1201はモジュール内に挿入され、内部容積1220内に少なくとも部分的に含まれていてもよい。末端部1216は消耗品1201内部に延長していてもよい。本明細書の他の箇所にも記載されているように、末端部1216は先端部、リッジ、波形、縁、または消耗品1201に挿通されるように構成された他の態様で構成されていてもよい。消耗品1201は固体を有していてもよいが、流体(例えば、液体であってもよいし、さらに気体であってもよい)を有していてもよい。モジュールは、フランジ、ジグ、カラー、または消耗品を適所に維持するように構成された他の要素を有していてもよい。モジュールは、消耗品の導入および/または取り出しを可能にする開口部(および/または閉鎖部)(図示しない)を有していてもよい。閉鎖部は一例として断熱材であってもよい(閉鎖部は、密閉された真空空間を有する壁(壁と壁の間にその空間が画定される))を有していてもよい。(適切な斯かる空間が本明細書の他の箇所に記載されている。)閉鎖部は、誘導加熱の影響を受けない非鉄系材料で形成されていてもよい。
【0112】
図示されているように、末端部1216は、内部容積1220の末端部からある距離1270の位置に配置されていてもよい。距離1270と高さ1272の比は、例えば、1対1000から1:1までであってよい。いくつかの実施形態では、末端部1216は、内部容積1220を越えて延長していてもよい。
【0113】
動作工程において、誘導コイル1206は第1のコンポーネント1203の加熱が生じるように動作させることができ、その結果、消耗品1201の加熱が生じる。誘導コイル1206を消耗品1201内の効果的な位置に有することにより、利用者は消耗品1201を(カップ1205に影響を与える誘導加熱を通して)内側から、並びに(消耗品1201に接触するまたはそれに面する第1のコンポーネント1203部分の誘導加熱を通して)外側から加熱できる。従って、斯かる構成は消耗品1201の効果的な加熱を提供する。開示されている構成は、(第1のシェル1219の断熱機能を通して)加熱された消耗品と利用者との間の断熱を維持しつつ、(誘導加熱を通して)消耗品の加熱を提供するものである。
【0114】
いくつかの実施形態において、消耗品1201は誘導加熱に影響を受ける所定量の材料(例えば、所定量の鉄系材料)を含む。いくつかの実施形態では、誘導コイルは、消耗品内の斯かる材料の加熱を達成するように動作する。
【0115】
本構成は、誘導加熱されたカップ1205および第1のコンポーネント1203から、コイル1216を断熱するようにも機能する。斯かる断熱は、コイル用容器1208の断熱機能によって達成される。本明細書の他の箇所に記載されているように、モジュールは消耗品1201の燃焼を達成するように動作できるが、消耗品を燃焼なしで加熱させるように動作させることも可能である。
【0116】
本開示のモジュール(および本明細書に引用されている任意の文献)は、追加量の伝熱材(例えば、金属、カーボンブラック、黒鉛(熱分解黒鉛を含む)など)を有してもよい。斯かる伝熱材は、例えば、
図12Aに示されているような第1のコンポーネント1203の表面1240に沿って、表面1221に沿って、あるいは他の場所で、改善された熱の伝達が有利な場合に使用されてもよい。
【0117】
図12Aを参照すると、さらなる実施形態が記載されている。一例として、第1のコンポーネント1203は必ずしも提供される必要はない。斯かる実施形態において、第1のシェル1219の内側表面1210は、誘導加熱の影響を受ける材料(例えば、鉄系金属)を有していてもよい。斯かる実施形態では、誘導コイル1206は、第1のシェル1219の内側表面1210の誘導加熱を達成するような位置に配置されてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態において(図示されない)、コイル1206は第1のコンポーネント1203上に提供されるか、またはそれに統合されていてもよいし、あるいはさらに第1のシェル1219上またはその内部に提供されてもよい。コイル1206はコイル状の丸ワイヤとして提供されるか、コイル状のテープまたはフラット導体として提供されてもよい。コイル1206は表面1207上に配置されてもよいし、さらには当該表面に統合されていてもよい。例えば、第1のコンポーネント1203が「缶体」として提供され、コイル1206が缶体の「底部」に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、第1のコンポーネント1203はカップ1205を含まない(例えば、第1のコンポーネントが、内部に向かって袋状になっていない、若しくは陥入していない平らな底部を有する缶体として提供される場合など)。コイル1026は第1のコンポーネント1203の近くに配置されてもよい(いくつかの実施形態では、コイル1206はコイル用容器1218内には配置されていない)。
【0119】
例示的な実施形態
以下の実施形態は例示的にのみ示すものであり、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲を必ずしも限定するものではない。
【0120】
実施形態1。断熱モジュールであって、非導電性の第1のシェルと、導電性の第1のコンポーネントであって、前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、前記第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリア(current carrier)とを有するものである、断熱モジュール。
【0121】
前記第1のシェルは、例えばセラミックなどの誘電材料で形成されている。結晶性セラミックスおよび非結晶性セラミックスが好適であると考えられる。前記第1のシェルおよびコンポーネントは鑞接することが可能であるが、適切な鑞接技術については当業者に周知であり、またその例示的な技術の一部が本明細書の他の部分で引用された文献に提供されている。
【0122】
いくつかの実施形態において、前記第1のコンポーネントは管であってもよい。前記第1のコンポーネントは(例えば、円筒状の)中実体(solid)であることも可能である。いくつかの実施形態において、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、同心管として同軸上に配置されている。前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、(例えば、円形、楕円形、多角形などの)同一の断面形状を有することができるが、同一形状を有することは必須ではない。一例として、前記第1のシェルの断面形状は六角形でもあってもよく、前記第1のコンポーネントの断面形状は円形であってもよい。前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、相互に同軸上に配置される必要はないことを理解されたい。
【0123】
前記第1のコンポーネントは、例えばセラミックなどの誘電材料を有することができる。しかしながら、前記第1のコンポーネントは、誘導加熱が可能な金属または他の材料を有することができるため、このような誘電材料は必須ではない。
【0124】
実施形態2。断熱モジュールであって、導電性の第1のシェルと、非導電性の第1のコンポーネントであって、前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、前記第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを有するものである、断熱モジュール。
【0125】
前記第1のシェルは、例えばステンレス鋼、合金などの金属を有することができる。しかしながら、前記第1のシェルは完全に金属である必要はなく、いくつかの実施形態においてサーメット材料を有することができる。
【0126】
前記非導電性の第1のコンポーネントは、例えばセラミックなどの誘電材料を有することができる。結晶性セラミックスおよび非結晶性セラミックスを使用してもよい。
【0127】
実施形態3。断熱モジュールであって、非導電性の第1のシェルと、非導電性の第1のコンポーネントであって、前記第1のシェルは前記第1のコンポーネントの周囲に配置され、(a)密閉された真空断熱空間を有するものであり、(b)前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは、その間に第1の密閉された真空断熱空間を有し、前記第1のコンポーネントは、密閉された真空断熱空間、または(a)、(b)、(c)のいずれか1つ若しくはそれ以上を有するものである、前記第1のコンポーネントと、誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを有するものである、断熱モジュール。特定の理論に制限されるものではないが、前記電流キャリアは、前記モジュールの追加コンポーネント、前記モジュールに接触する消耗品、またはその任意の組み合わせの誘導加熱を生じさせることができる。
【0128】
実施形態4。実施形態1〜3のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記第1のシェルの周囲に配置された第2の密閉された真空断熱空間を有し、当該第2の密閉された真空断熱空間は選択的に前記電流キャリアによって発生した熱を維持するように構成されている。一例として、これは3つの同心(内側、中央、外側)の管の形態を取ることができ、その場合、第1の密閉された真空断熱空間は内側の管と中央の管との間にあり、第2の密閉された真空断熱空間は中央の管と外側の管との間にある。
【0129】
実施形態5。実施形態1〜4のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、当該断熱モジュールは、前記第1の密閉された真空断熱空間内における流体を移送するように構成されている。流体を流入および流出させるための1若しくはそれ以上の出入口を前記当該断熱モジュールに設けてもよい。
【0130】
実施形態6。実施形態1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1のシェルの周囲に配置され、前記集電体は、選択的に前記第1のシェルに接触しているか、若しくは選択的に前記第1のシェルと一体化している。バリア層またはコーティングを用いて前記集電体と前記第1のシェルとの間の接触を防止することもできる。また、いくつかの実施形態では、前記集電体は前記第1のシェルに接触、若しくは前記第1のシェルと一体化させてもよい。
【0131】
実施形態7。実施形態1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1の密閉された真空断熱空間内に配置され、前記集電体は、選択的に前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントのうちの1つまたは双方に接触しているか、若しくは選択的に前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントのうちの1つまたは双方と一体化している。
【0132】
一例として、前記集電体は、前記第1のシェルおよび/または前記第1のコンポーネントの材料の内部に形成されてもよい。これは、前記集電体の材料の周囲に前記第1のシェルの材料(例えばセラミック)を成形することによって達成できる。前記集電体は前記第1のシェル(および/または前記第1のコンポーネント)に接合してもよいが、これは必須ではない。
【0133】
いくつかの実施形態において、前記集電体は、前記第1のシェルおよび/または前記第1のコンポーネントの1若しくはそれ以上の場所において少なくとも部分的に内部に延長しているか、若しくは前記第1のシェルおよび/または前記第1のコンポーネントを貫通して延長している。一例として、前記第1のシェルは、前記集電体が延長する1若しくはそれ以上の孔部を含んでもよい。一例として、前記集電体は前記第1のシェルの材料を貫通して延長させるのではなく、前記第1のシェルの周囲に巻装させてもよい。
【0134】
実施形態8。実施形態1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1のコンポーネント内に配置され、前記集電体は、選択的に前記第1のコンポーネントに接触しているか、若しくは選択的に前記第1のコンポーネントと一体化している。前記集電体は前記第1のコンポーネントに接合することができる。いくつかの実施形態において、前記集電体は、前記第1のコンポーネントの1若しくはそれ以上の場所において少なくとも部分的に内部に延長しているか、若しくは前記第1のコンポーネントを貫通して延長している。
【0135】
一例として、例示的な
図1Cに示すように、前記集電体は、前記第1のコンポーネントの管腔内にコイルとして巻装することができる。前記集電体は、前記第1のコンポーネントの管腔内に延長させることが可能なため、前記第1のコンポーネントまたは前記第1のシェルの材料を貫通して延長させる必要はない。
【0136】
実施形態9。実施形態1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記集電体は、前記第1のコンポーネント内に配置された加工材料を誘導加熱するように構成されている。一例として、加工材料は前記第1のコンポーネントの管腔内に配置されてもよい。
【0137】
加工材料自体の内部に直接誘導加熱を生じさせることで加熱を行ってもよい。このような加熱は、加工材料が誘導加熱することが可能な(例えば、金属などの)特定のコンポーネントを含む実施形態に適用できる。また、前記集電体が所定の要素(例えば、
図1Cの要素114)を加熱することで前記加工材料を加熱することもできる。さらに、前記第1のシェルおよび/または前記第1のコンポーネントの少なくとも一部を誘導加熱することで加熱を行ってもよい。
【0138】
本開示のモジュールにおいて利用するのに好適な加工材料は、例えば金属、ポリマーなどを含む。植物系材料(例えばタバコ、草本系材料など)も好適な加工材料である。加熱下において流動性があり、冷却下では再凝固する加工材料は、付加製造への適用に適しているため、特に好適である。熱により喫煙可能および/または一部蒸発する加工材料もまた好適である。
【0139】
加工材料は、液体、半固体、またはその他の非固体の形態であってもよい。そのような実施形態においては、加工材料は、例えば、カプセル、カートリッジ、またはその他の容器などの容器内に備えられてもよい。このような容器は、加工材料の加熱により発生した煙および/または蒸気を通過させるように構成された1若しくはそれ以上の細孔部、開口部、または通路を含むことができる。いくつかの実施形態において、前記モジュールは、容器(例えば、カプセル)内に配置された材料(例えば、液体)を加熱するために、容器に挿通されるように構成することができる(代替的に加工材料は消耗品であってもよい)。加工材料は、例えば円筒状、円板状、プラグ形状など所望の形状に成形することができる。加工材料は、当該材料を所定位置に維持するように構成された、例えばリッジ部などの位置決め形状部(locating feature)と係合するように成形されてもよい。本開示によるモジュールは、加工材料または消耗品を加熱することにより生成される1若しくはそれ以上の製品を利用者が吸入することを可能とする1若しくはそれ以上の通路または空間を含んでもよいことを理解されたい。
【0140】
実施形態10。実施形態1〜5のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、前記第1のシェルの外側に配置された加工材料を誘導加熱するように構成されている。前記加工材料は、例えば前記第1のシェルの外側に配置された環状体またはコイルとして提供することができる。このような加工材料の周囲にさらなる(例えば第2の)シェルを配置し、このさらなるシェルにより前記第1のシェルの外側に配置された加工材料の周囲にさらなる密閉された真空空間が画定される。
【0141】
実施形態11。実施形態1記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルはセラミックを有する。
【0142】
実施形態12。実施形態2または3記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントはセラミックを有する。
【0143】
実施形態13。実施形態1〜12のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントのうちの1つまたは双方は、少なくとも部分的に磁場を遮蔽するシールドを有する。このようなシールドは、例えば、磁場遮蔽材料、またはファラデー箱であってもよい。前記シールドは受動的または能動的にすることができ、例えば、ソレノイドまたはヘルムホルツコイルを使用できる。
【0144】
実施形態14。実施形態1〜13のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは内部に管腔を画定する。このような態様は、例えば、前記第1のコンポーネントが管状である実施形態において考えられる。
【0145】
実施形態15。実施形態14記載の断熱モジュールにおいて、内側シェルの前記管腔は近位端部と遠位端部とを画定する。前記管腔はその長さに沿った一定の断面を有することができるが、可変の断面を有してもよい。
【0146】
実施形態16。実施形態15記載の断熱モジュールにおいて、(a)前記近位端部は所定の断面を有し、(b)前記遠位端部は所定の断面を有し、(c)前記近位端部の断面は前記遠位端部の断面と異なる。
【0147】
前記モジュールは、一端部または両端部にノズルを含むことができる。このようなノズルは、加熱された加工材料および/または前記モジュールを通じて移送される加工材料を分注するように構成することができる。前記管腔は一端部から他端部に亘って幅狭(またはフレア状)であってもよい。
【0148】
実施形態17。実施形態14〜16のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは管腔は、流体源と流体連通している。このような流体としては、例えば洗浄液、フラックス、冷却液などが考えられる。
【0149】
実施形態18。実施形態1〜17のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントの少なくとも1つは実質的に誘導加熱に対して耐性を有する。
【0150】
実施形態19。実施形態1〜18のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは螺旋状であることを特徴とする。1つの電流キャリアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のループを含むことができる。
【0151】
実施形態20。実施形態1〜19のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記電流キャリアは、当該電流キャリアを通って流れる電流を変調するように構成された装置と連通している。
【0152】
このような装置は、例えば前記電流キャリアを通過する電流を変調するように構成された制御可能な電流源を含む。電流源の制御は手動でも可能だが自動にすることもできる。
一例として、モジュールは特定範囲内の温度で加工材料を加熱するように構成することができる。
【0153】
実施形態21。実施形態1〜20のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記第1のコンポーネント内に配置された所定量の感熱性加工材料を有する。このような材料は、例えば、金属、ポリマーなどを含んでもよい。
【0154】
実施形態22。実施形態1〜21のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記第1のシェルの外側に配置された所定量の感熱性加工材料を有する。
【0155】
実施形態23。実施形態21または22記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料は金属を有する。
【0156】
実施形態24。実施形態23記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料はワイヤであることを特徴とする。
【0157】
実施形態25。実施形態21〜24のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料はポリマー材料を有する。
【0158】
実施形態26。実施形態22〜25のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、前記感熱性加工材料はフラックス材料を有する。
【0159】
実施形態27。実施形態1〜26のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記電流キャリアによって誘導加熱されるように構成された要素を有する。このような要素は、例えばワイヤ、リボンなどであってもよい。前記要素は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ジスプロシウム、鋼などの金属を有する。
【0160】
前記要素は、直線状または線形状であってもよいが、曲線状、屈曲状またはそのた非線形状であってもよい。いくつかの実施形態において、前記要素は前記電流キャリアによって誘導加熱され、この要素の加熱によって前記断熱モジュール内に配置された加工材料が加熱される。一例として、前記要素は誘導加熱され、この要素の加熱によって加工材料が加熱される。
【0161】
本開示によるモジュールは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の要素を含むことができる。同様に、本開示によるモジュールは、1つ、2つ、またはそれ以上の集電体を含むことができる。このように、モジュールはその内部における異なる要素を誘導加熱するように構成されている。これにより、モジュール内で場所および/または経時的に変化する加熱プロファイルをもたらすことができる。
【0162】
実施形態28。実施形態27記載の断熱モジュールにおいて、前記要素は前記第1のコンポーネント内に配置されている。
【0163】
実施形態29。実施形態27記載の断熱モジュールにおいて、前記要素は前記密閉された真空断熱空間内に配置されている。
【0164】
実施形態30。実施形態27記載の断熱モジュールにおいて、前記要素は前記第1のシェル内に配置されている。
【0165】
実施形態31。実施形態1記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは、缶体または管の形態であることを特徴とし、当該第1のコンポーネントの内部容積を画定する内面を有する(
図12Aは、当該実施形態の非限定的な例を提供する)。
【0166】
実施形態32。実施形態31記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルは管状または缶体の形態であることを特徴する。
【0167】
実施形態33。実施形態32記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントおよび前記第1のシェルは、第1の軸を中心として互いに同心上に配置されている。
【0168】
実施形態34。実施形態32または33記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは、その内部に形成された凹部を有し、当該凹部は前記第1のコンポーネントの内部容積内に延長する。
【0169】
実施形態35。実施形態34記載の断熱モジュールにおいて、さらに、前記電流キャリアの周囲に配置されたコイル用容器を有し、当該コイル用容器は前記凹部内に配置され、前記電流キャリアは少なくとも部分的に前記コイル用容器の内部に配置される。
【0170】
実施形態36。実施形態35記載の断熱モジュールにおいて、前記コイル用容器は内壁と、外壁と、当該内壁と外壁との間に形成された密閉された真空断熱空間とを有する。
【0171】
実施形態37。実施形態36記載の断熱モジュールにおいて、前記断熱モジュールの前記第1の軸から径方向外側かつ直交して延びる線は、前記コイル用容器、前記凹部、前記第1のコンポーテント、および前記第1のシェルを通って延長する。
【0172】
この態様は
図12Cにおいて図示されており、
図12Cでは、第1の軸1250および当該第1の軸から径方向外側かつ直交して延びる線1252を示す。図示するように、線1252は、コイル用容器1208、凹部(カップ1205)、第1のコンポーテント、および第1のシェル1219を通って延長する。このように、線1252に沿って外側に移動するにつれて誘導量が低減する。
【0173】
実施形態38。方法であって、前記断熱モジュールの内側シェル内に配置された加工材料の温度を誘導加熱により上昇させるために、実施形態1〜37のいずれか1つに記載の断熱モジュールにおける前記電流キャリアを動作させる工程を有する、方法。
【0174】
実施形態39。実施形態38記載の方法において、さらに、前記加工材料を流動可能にするために加熱する工程を有する。
【0175】
実施形態40。実施形態38または39記載の方法において、前記加工材料は、ポリマー材料、金属材料、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記加工材料は、内部に金属部分を含むポリマーを有する。このような加工材料では、金属部分が誘導加熱に対して感熱性を有し、それにより材料全体が加熱されるため、誘導加熱することができる。
【0176】
実施形態41。実施形態38〜40のいずれか1つに記載の方法において、前記加工材料は、前記電気キャリアによって誘導加熱される。
【0177】
実施形態42。実施形態38〜41のいずれか1つに記載の方法において、前記加工材料は、当該材料の相変化を達成するために加熱される。このような相変化は、固体から液体への変化であるが、固体から気体/蒸気(例えば、揮発)である場合もある。
【0178】
実施形態43。実施形態38〜42のいずれか1つに記載の方法において、さらに、ワークピースを付加製造するために、前記モジュール内の前記加工材料を移送する工程を有する。例示的なワークピースは、例えば、歯車、ハウジング、シェル、管、楔形状体、レンズ、ストラップ、つまみ部分、ハンドルなどを含む。
【0179】
前記缶体の移送は、機械的(例えば、プランジャーまたはその他の機械的要素によって)行われる。当該移送はまた、重力または加圧力によって行うこともできる。
【0180】
実施形態44。実施形態38〜43のいずれか1つに記載の方法において、さらに、前記密閉された真空断熱空間内のカバー流体(cover fluid)を移送する工程を有する。このようなカバー流体は液体または気体であってもよく、前記真空断熱空間内に存在する熱を吸収するために用いられる。
【0181】
実施形態45。実施形態44記載の方法において、前記流体は液体として導入され、蒸発して気体となる。このような方法では、液体は気化し、それにより前記真空断熱空間内に存在する熱が吸収される。
【0182】
実施形態46。断熱モジュールであって、誘導加熱に対して感熱性を有する材料を有する第1のシェルであって、その内部に密閉された真空断熱空間を有するものである、前記第1のシェルと、前記誘導加熱に対して感熱性を有する材料に誘導加熱を生じさせるように構成された電流キャリアとを有する、断熱モジュール。
【0183】
このようなモジュールは、例えば、モジュールの内部に挿入された消耗品を所定位置に維持するように構成された、治具、カラー、またはその他のモジュールを含む。前記モジュールにおいて提供されるその他の特徴は上述の他の実施形態において記載されている。
【0184】
実施形態47。断熱モジュールであって、密閉された真空断熱空間を有する第1のシェルと、前記第1のシェルの内部に配置された第1のコンポーネントであって、誘導加熱に対して感熱性を有する材料を有し、消耗品を受け取るように構成されているものである、前記第1のコンポーネントと、前記第1のコンポーネントに誘導加熱を生じさせるように構成された誘導加熱コイルとを有する、断熱モジュール。
【0185】
実施形態48。実施形態47記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のシェルおよび前記第1のコンポーネントは円筒状の形態を有しており、互いに同軸上に配置されている。
【0186】
実施形態49。実施形態48記載の断熱モジュールにおいて、前記第1のコンポーネントは平らな底部を有し、前記誘導加熱コイルはこの平らな底部に配置されている。
【0187】
本開示のモジュールは、サイズにおいて制限はなく、利用者のニーズの応じて実質的にいかなるサイズであってもよい。一例として、本開示によるモジュールは、いくつかの実施例おいて例えば、約10mm〜約20mmの直径を画定する。本開示によるモジュールは、実質的にいかなる長さを有していてもよい。一例として、本開示によるモジュールは、例えば約20mm〜約200mmの長さを有することができる。
【0188】
モジュールはまた、集電体と通電する電力源を有することができる。このような電力源は、例えば、電池またはその他のコンデンサであってもよい。電力源は、充電式、または使い捨てであってもよい。モジュールは携帯、据え付け、または「プラグイン」の形態であってもよい。
【0189】
本開示のモジュールは、広範囲の用途で使用可能であることを理解されたい。本モジュールの非限定的な用途としては、例えば、付加製造、材料加工(例えば、材料の相変化、基材からの1若しくはそれ以上の材料の熱による分離など)などが挙げられる。本開示によるモジュールは様々なシステムの組み込むことができる。
【0190】
そのようなシステムの1つは付加製造システムである。当該システムにおいて、本開示によるモジュールは、加工材料を(熱により)流動可能とした後、分注することができる。物品またはワークピースを積層造形するために、分注を事前にプログラムされたスケジュールに基づいて制御可能である。一例として、本開示によるモジュールは、第1のコンポーネント106の内部に形成された管腔を有することができる。この管腔は、供給された感熱性加工材料を収容(または、当該加工材料と流体連通)する。前記モジュールは、(例えば、集電体に電気を流して前記加工材料を誘導加熱することにより)動作され、前記加工材料を流動状態にすることができる。この流動性材料は、(例えば、重力、機械的な力により)制御可能は方法で前記モジュールの外部に移送される。一例として、(初期状態または加熱状態のいずれかの)加工材料をモジュール内で、またはモジュールの外部に前進させるためのプランジャー、堤体(dam)、またはその他の空間前進要素を含むことができる。
【0191】
また、本開示によるモジュールは、反応性および非反応性のシステムを含む材料加工システムに組み込むことができる。一例として、本開示によるモジュールは、加工材料の基材を加熱して、基材から1若しくはそれ以上のコンポーネントを分離するために使用することができる。基材は、当該基材が特定の温度で加熱された際、(例えば、流動可能となり)当該基材から遊離される(第1の)コンポーネントと、当該基材が特定の温度で加熱された際、実質的に変化しない(第2の)コンポーネントとを含むことができる。本開示によるモジュール内で前記基材を誘導加熱することにより、利用者は前記基材から前記第1のコンポーネントを遊離することができる。
【0192】
本開示のモジュールを利用する別の例示的な材料加工システムにおいて、加工材料の基材は、独立して熱反応性、または相互に熱反応性の1つ、2つ、若しくはそれ以上のコンポーネントを含む。本開示によるモジュール内で前記基材を誘導加熱することにより、利用者は前記加工材料の基材の1若しくはそれ以上のコンポーネントを反応させることができる。このような反応により、利用者によって取集可能な反応生成物を生じさせることができる。
【0193】
また、本開示のモジュールは、消費者製品の用途を含む、他の加熱用途に利用することが可能である。本開示によるモジュールは、噴霧器、加湿器、燃焼器などに組み込むことができる。
【国際調査報告】