(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-502918(P2021-502918A)
(43)【公表日】2021年2月4日
(54)【発明の名称】車両の駐車プロセスを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20210108BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20210108BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20210108BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20210108BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20210108BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
B60W30/09
B60W30/095
B60W60/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-519101(P2020-519101)
(86)(22)【出願日】2018年10月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月2日
(86)【国際出願番号】DE2018200098
(87)【国際公開番号】WO2019096357
(87)【国際公開日】20190523
(31)【優先権主張番号】102017220247.5
(32)【優先日】2017年11月14日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】エドリング・フランク
(72)【発明者】
【氏名】クランツ・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマイアー・ローベルト
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA15
3D241BA22
3D241BA32
3D241BA33
3D241BB03
3D241CD05
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3D241DB01Z
3D241DB20Z
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC04
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5H181CC14
5H181CC27
5H181KK01
5H181KK08
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL06
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
本発明は、以下のステップを包含する車両(1)の駐車プロセスを、駐車アシストシステム(4)によって制御するための方法に関する:
−車両の近く、但し、外にいる車両ユーザ(2)を捕捉するステップ;
−暫定的な車両目標地点(VZP)と暫定的な車両走行経路(VBB)を、車両スタートポジション(FSP)と車両ユーザ(2)の位置に基づいて割り出すステップ;
−概暫定的な車両目標地点(VZP)において、及び/或いは、概暫定的な車両目標地点(VZP)への概暫定的な車両走行経路(VBB)上を通る車両の移動が、車両ユーザ(2)との衝突を起こしうるか否かを確認するステップ;
−概暫定的な車両目標地点(VZP)或いは暫定的な車両目標地点(VZP)への車両(1)の移動の際に、車両ユーザ(2)との衝突がある場合に、暫定的な車両目標地点(VZP)を変更された車両目標地点(AZP)に、及び/或いは、暫定的な車両走行経路(VBB)を変更された車両走行経路(ABB)に変更するステップ;
但し、変更された車両目標地点(AZP)、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)は、この際、変更された車両目標地点(AZP)において、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)上を車両(2)が移動する際に、車両ユーザ(2)との衝突が起こらないように選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを包含する車両(1)の駐車プロセスを、駐車アシストシステム(4)によって制御するための方法:
−車両の近く、但し、外にいる車両ユーザ(2)を捕捉するステップ;
−暫定的な車両目標地点(VZP)と暫定的な車両走行経路(VBB)を、車両スタートポジション(FSP)と車両ユーザ(2)の位置に基づいて割り出すステップ;
−概暫定的な車両目標地点(VZP)において、及び/或いは、概暫定的な車両目標地点(VZP)への概暫定的な車両走行経路(VBB)上を通る車両の移動が、車両ユーザ(2)との衝突を起こしうるか否かを確認するステップ;
−概暫定的な車両目標地点(VZP)或いは暫定的な車両目標地点(VZP)への車両(1)の移動の際に、車両ユーザ(2)との衝突がある場合に、暫定的な車両目標地点(VZP)を変更された車両目標地点(AZP)に、及び/或いは、暫定的な車両走行経路(VBB)を変更された車両走行経路(ABB)に変更するステップ;
但し、変更された車両目標地点(AZP)、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)は、この際、変更された車両目標地点(AZP)において、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)上を車両(2)が移動する際に、車両ユーザ(2)との衝突が起こらないように選択される。
【請求項2】
如何なる車両ユーザ(2)との衝突を避けうる変更された車両目標地点(AZP)、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)を割り出すことができない場合には、車両(1)にシグナル(S)が出される、及び/或いは、車両ユーザ(2)に帰属している端末(3)に、駐車プロセスを可能にするためには、概車両ユーザ(2)が、現在の位置から移動しなければならないことを知らせる注意情報が伝達されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
暫定的な車両目標地点(VZP)を変更された車両目標地点(AZP)に変更するステップが、概暫定的な車両目標地点(VZP)を、少なくとも一つの、好ましくは、二つの異なった方向への変更を包含していることを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
暫定的な車両目標地点(VZP)乃至変更された車両目標地点(AZP)は、車両(1)の車両目標地点(VZP,AZP)への移動後、ドライバー側のドアが、概車両ユーザ(2)の位置に対して近い空間的関係に来る、好ましくは、2mよりも、特に好ましくは、1mよりも短い間隔を有する位置に来るように調整されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
暫定的乃至変更された車両目標地点(VZP,AZP)の調整が、駐車プロセス中にその上を概車両(1)が移動する駐車軌道を考慮して実施されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
駐車プロセス中、車両ユーザ(2)の位置が監視されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
駐車プロセス中の車両(1)の速度が、車両(1)と車両ユーザ(2)との間隔に依存して調整、特に好ましくは、減速されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
車両ユーザ(2)に帰属されている端末(3)に、車両ユーザ(2)が、どの方向に、及び/或いは、どれぐらいの距離動けば良いのかを示す視覚的な情報が、表示されることを特徴とする請求項6乃至7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも二つの暫定的な車両目標地点(VZP)が割り出され、車両ユーザ(2)が、帰属している端末(3)において、使用する暫定的な車両目標地点(VZP)を選択することを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
概端末(3)に、優先される暫定的な車両目標地点(VZP)が、グラフィック的に強調され、例えば、暫定的に選択された状態で示されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
車両ユーザ(2)の位置の捕捉が、概車両ユーザに帰属されている端末(3)、特に好ましくは、車両キー、車両使用カード、或いは、携帯通信端末の位置認識によって実施されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
概駐車アシストシステム(4)が、車両ユーザ(2)が、駐車位置に到達した後に、概駐車スペースから出られない駐車状況を捕捉できる様に構成されていることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
車両ユーザ(2)が、駐車位置に到達した後に、概駐車スペースから出られない駐車状況が認識された場合には、駐車スペース内へ侵入する前に駐車プロセスが中断され、車両ユーザに、この駐車スペースから立ち去ることが要求されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
駐車アシストシステム、周辺情報を補足する第一センサ類、並びに、車両ユーザ(2)に帰属されている端末(3)の位置を捕捉する第二センサ類を包含する車両であって、以下のステップを実施できるように構成された駐車アシストシステムを制御するための少なくとも一つの制御ユニットが備わっていることを特徴とする車両:
−車両(1)の近く、但し、外にいる車両ユーザ(2)を捕捉するステップ;
−暫定的な車両目標地点(VZP)と暫定的な車両走行経路(VBB)を、車両スタートポジション(FSP)と車両ユーザ(2)の位置に基づいて割り出すステップ;
−概暫定的な車両目標地点(VZP)において、及び/或いは、概暫定的な車両目標地点(VZP)への概暫定的な車両走行経路(VBB)上を通る車両の移動が、車両ユーザ(2)との衝突を起こしうるか否かを確認するステップ;
−概暫定的な車両目標地点(VZP)或いは暫定的な車両目標地点(VZP)への車両(1)の移動の際に、車両ユーザ(2)との衝突がある場合に、暫定的な車両目標地点(VZP)を変更された車両目標地点(AZP)に、及び/或いは、暫定的な車両走行経路(VBB)を変更された車両走行経路(ABB)に変更するステップ;
但し、変更された車両目標地点(AZP)、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)は、この際、変更された車両目標地点(AZP)において、及び/或いは、変更された車両走行経路(ABB)上を車両(2)が移動する際に、車両ユーザ(2)との衝突が起こらないように選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ユーザの位置を考慮した、駐車プロセスを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車プロセスを自動的乃至半全自動的に実施するための駐車アシストシステムは、従来の技術からも既知である。この様な駐車プロセスとしては、例えば、駐車スペースへの駐車プロセスと駐車スペースからの発車プロセスが挙げられる。ここでは、様々な駐車状況、例えば、概車両が、道路に対して略平行に、駐車スペース内へと駐車される、乃至、そこから発進される駐車状況(縦列駐車)、或いは、概車両が、道路に対して横方向にある駐車スペース内へと駐車される、乃至、そこから発進される、直角乃至斜め駐車状況が、起こり得る。
【0003】
既知の駐車アシストシステムの欠点は、車両ユーザが、車内におらず、車外におり、概車両を、謂わば、遠隔操作して、駐車スペース内へと駐車する、或いは、その駐車スペースから発進させる時に、概車両ユーザの位置が、考慮されないことにある。このことにより、車両ユーザ自らが、概車両の車両走行経路内、或いは、概駐車アシストシステムによってそこに導かれるべき目標地点に立っていると言うことが起こりうる。この問題は、特に、車両ユーザが、駐車アシストシステムによって提案された車両走行経路、乃至、車両目標地点を知らない場合に起こり得る。これにより、車両が、駐車プロセスにおいて、車両ユーザとの衝突を回避するために、緊急ブレーキをかけ、概車両ユーザは、立っている場所を変えなければならないことが起こり得る。このような状況を、車両ユーザは、危険である、及び、面倒であると感じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題を出発点として、車両ユーザの位置情報に基づいて改善された駐車プロセスを可能にする駐車プロセスを制御するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項1記載の特徴を持つ方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。駐車アシストシステムを装備した車両は、並列請求項14の対象である。
【0006】
第一アスペクトによれば本発明は、駐車アシストシステムによる車両の駐車プロセスの制御を実施するための方法に関する。ここでは、概方法は、以下のステップを包含している:
先ず、車両の近く、但し、外にいる車両ユーザを捕捉する。これは、従来の技術において既知な技術、例えば、車両ユーザの車両キー、移動式端末装置(携帯電話、スマートフォン、タブレットPCなど)の位置を捕捉することにより、或いは、他のセンサ類、例えば、車両に取付けられたカメラ、レーダシステム、熱像システム、車両間通信システムなどによっても実施可能である。
【0007】
続いて、暫定的な車両目標地点と暫定的な車両走行経路が、車両スタートポジションと車両ユーザの位置に基づいて割り出される。
【0008】
暫定的な車両目標地点と暫定的な車両走行経路が定まると、概暫定的な車両目標地点において、及び/或いは、概暫定的な車両目標地点への概暫定的な車両走行経路上を通る車両の移動が、車両ユーザとの衝突を起こしうるか否かが確認される。
【0009】
概暫定的な車両目標地点或いは暫定的な車両目標地点への車両の移動の際に、車両ユーザとの衝突があり得る場合は、概暫定的な車両目標地点は、変更された車両目標地点に変更される、及び/或いは、概暫定的な車両走行経路は、変更された車両走行経路に変更される。変更された車両目標地点、及び/或いは、変更された車両走行経路は、この際、変更された車両目標地点において、及び/或いは、変更された車両走行経路上を車両が移動する際に、車両ユーザとの衝突が起こらないように選択される。これは、車両目標地点乃至車両走行経路の変更のみにより、或いは、必要な場合は、例えば、駐車プロセスの実施が不可能な場合は、車両ユーザの位置変更によって実施可能である。
【0010】
上記のステップは、駐車プロセスが終了するまで、要するに、概車両が(基から、或いは、概衝突を避けるために、選択された)車両目標地点へ移動するまで、ループとして、特に好ましくは、無限ループとして、実施されることができる。言い換えれば、車両ユーザとの衝突確認は、駐車プロセスが終了するまで実施され続ける。これにより、車両ユーザが動いて、駐車プロセス中に、位置変化が、捕捉されても、駐車プロセス(車両目標地点、車両走行経路)を、概車両ユーザの新しい位置を考慮して、必要な場合は、計画変更できる。
【0011】
概車両走行経路は、複数の工程から構成されていても良く、例えば、一つの乃至複数の前進工程と後進工程の組み合わせであることもできる。
【0012】
本発明に係る方法の根本的な長所は、駐車プロセスが、車両ユーザの位置が考慮された改善された計画に基づき、車両ユーザにとってより安全且つ効率的に実施されることである。
【0013】
ある実施例によれば、如何なる車両ユーザとの衝突を避けうる変更された車両目標地点、及び/或いは、変更された車両走行経路を割り出すことができない場合には、車両にシグナルが出される、及び/或いは、車両ユーザに帰属している端末に、駐車プロセスを可能にするためには、概車両ユーザが、現在の位置から移動しなければならないことを知らせる注意情報が伝達される。これにより、概車両ユーザは、駐車プロセスを可能にするためには、彼が動かなければならないという情報を、早期に(車両が車両ユーザに向かって走り出す前に、場合によっては、急ブレーキがかけられる前に)、得ることができる。注意情報は、視覚的乃至聴覚的な情報であることができる。尚、概注意情報が、概車両ユーザに、駐車プロセスを実施できるようにするには、どの方向へ、及び/或いは、どの程度、動かなければならないのかも伝えることができることは、特に好ましい。
【0014】
ある実施例によれば、暫定的な車両目標地点を変更された車両目標地点に変更するステップが、概暫定的な車両目標地点を、少なくとも一つの、好ましくは、二つの異なった方向への変更を包含している。これにより、変更された車両目標地点において、車両ユーザとの衝突が起こらないことを実現している。
【0015】
ある実施例によれば、暫定的な車両目標地点乃至変更された車両目標地点は、車両の車両目標地点への移動後、ドライバー側のドアが、概車両ユーザの位置に対して近い空間的関係に来る、好ましくは、2mよりも、特に好ましくは、1mよりも短い間隔を有する位置に来るように調整される。これにより、車両のドアが、例えば、それに手が届く位置に、ポジショニングされるため、概車両ユーザの概車両への乗車を楽にすることができる。
【0016】
ある実施例によれば、暫定的乃至変更された車両目標地点の調整は、駐車プロセス中にその上を概車両が移動する駐車軌道を考慮して実施される。特に好ましくは、概暫定的乃至変更された車両目標地点は、切り返し操作無く、乃至、少なく達成できる様に選択される。この様にすることで、煩雑な駐車マヌーバを効果的に回避できる。
【0017】
ある実施例によれば、駐車プロセス中、車両ユーザの位置が監視される。こうすることにより、駐車プロセス中に行われた車両ユーザの位置移動を認識できる。位置移動により衝突の危険性が発生した場合は、駐車プロセスを中断し、車両ユーザに位置を変えるように要求を出すことができる。
【0018】
ある実施例によれば、駐車プロセス中の車両の速度は、車両と車両ユーザとの間隔に依存して調整、特に好ましくは、減速されることができる。こうすることにより衝突の危険性を更に低減し、車両ユーザの安全感覚を高めることができる。
【0019】
ある実施例によれば、車両ユーザに帰属されている端末に、車両ユーザが、どの方向に、及び/或いは、どれぐらいの距離動けば良いのかを示す視覚的な情報が、表示される。これは特に、衝突シチュエーションを、補正された車両目標地点、乃至、補正された車両走行経路によって解決できない場合に実施される。これにより、駐車アシストシステムのユーザフレンドリー性を高めることができる。
【0020】
ある実施例によれば、少なくとも二つの暫定的な車両目標地点が割り出され、車両ユーザが、帰属している端末において、使用する暫定的な車両目標地点を選択する。この様にすることで、ユーザインターアクションにより、車両ユーザにとって便利な車両目標地点を見つけることができる。
【0021】
ある実施例によれば、概端末には、優先される暫定的な車両目標地点が、グラフィック的に強調され、例えば、暫定的に選択された状態で示される。この様にすることで、暫定的な車両目標地点の選択の際に、車両ユーザにサポートを提供できる。
【0022】
ある実施例によれば、車両ユーザの位置の捕捉は、概車両ユーザに帰属されている端末、特に好ましくは、車両キー、車両使用カード、或いは、携帯通信端末の位置認識によって実施される。この端末は、それを基に駐車プロセスに影響を与えることができる情報を入力するためのユーザーインターフェースとしても使用することができる。
【0023】
ある実施例によれば、駐車アシストシステムは、車両ユーザが、駐車位置に到達した後に、概駐車スペースから出られない駐車状況を捕捉する。これは、従来の技術から既知なセンサ類とデータ処理手段を用いれば可能である。この様なケースでは、例えば、駐車スペース内へ侵入する前に駐車プロセスを中断し、車両ユーザに、この駐車スペースから立ち去ることを要求できる。
【0024】
ある更なるアスペクトによれば、本発明は、駐車アシストシステム、周辺情報を補足する第一センサ類、並びに、車両ユーザに帰属されている端末の位置を捕捉する第二センサ類を包含する車両に関する。加えて、少なくとも一つの駐車アシストシステムを制御するための制御ユニットも想定されている。概制御ユニットは、以下のステップを実施するために構成されている:
−車両の近く、但し、外にいる車両ユーザを捕捉するステップ;
−暫定的な車両目標地点と暫定的な車両走行経路を、車両スタートポジションと車両ユーザの位置に基づいて割り出すステップ;
−概暫定的な車両目標地点において、及び/或いは、概暫定的な車両目標地点への概暫定的な車両走行経路上を通る車両の移動が、車両ユーザとの衝突を起こしうるか否かを確認するステップ;
−概暫定的な車両目標地点或いは暫定的な車両目標地点への車両の移動の際に、車両ユーザとの衝突がある場合に、暫定的な車両目標地点を変更された車両目標地点に、及び/或いは、暫定的な車両走行経路を変更された車両走行経路に変更するステップ;
但し、変更された車両目標地点、及び/或いは、変更された車両走行経路は、この際、変更された車両目標地点において、及び/或いは、変更された車両走行経路上を車両が移動する際に、車両ユーザとの衝突が起こらないように選択される。
【0025】
本発明において、「駐車プロセス」と言う用語は、駐車状態に至る、乃至、概駐車状態から発進するための車両のあらゆる動き、要するに、駐車・発進プロセスという意味で特に使用される。
【0026】
本発明において「端末」と言う用語は、車両ユーザに帰属させることが可能な、特に、概ユーザが携帯でき、且つ、その地理的位置が、適切なセンサ類によって捕捉可能なあらゆるユニットと言う意味で使用される。この様な端末は、例えば、車両キー、車両カード、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ラップトップ、或いは、その他の携帯可能な、特に好ましくは、電話通信端末であることができる。
【0027】
本発明において「衝突」と言う用語は、直接的衝突、即ち、車両が車両ユーザに接触した場合、及び、立っている位置を通過することが予測される場合の双方の意味で用いられる。加えて、車両ユーザとの直接的な接触はなかったが、概車両が、車両ユーザの近く(例えば、20cm未満、特に、15cm、10cm乃至5cm未満)に接近し、この駐車マヌーバを脅威に感じる様なケースも「衝突」であると解釈される。
【0028】
本発明における「近似的に」、「実質的に」、或いは、「略」と言う表現は、正確な値から、それぞれ+/−10%、好ましくは、+/−5%以内の誤差、及び/或いは、機能に対して有意性の無い誤差であると解釈される。
【0029】
本発明の発展形態、長所、及び、応用範囲は、実施例と図面の以下の説明によって示される。その際、全ての記述されている、及び/或いは、図示されている特徴は、それぞれにおいて、並びに、任意な組み合わせにおいて、各請求項、或いは、その参照元との組み合わせからは独立して、本発明の対象である。尚、請求項の内容も明細書の構成要素とする。
【0030】
以下本発明を、図面と実施例に基づいて詳しく説明する。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、車両走行経路が、車両ユーザの位置に基づいて変更される発進状況の一例を概略的に示している。
【
図2】
図2は、車両走行経路と車両目標地点が、車両ユーザの位置に基づいて変更される発進状況の一例を概略的に示している。
【
図3】
図3は、車両ユーザの位置に基づき、駐車位置からの発進が不可能であるため、車両からシグナルが発せられる発進状況の一例を概略的に示している。
【
図4】
図4は、駐車アシストシステムを装備した車両のブロック図の一例を概略的に示している。
【
図5】
図5は、駐車プロセスを制御するための方法を図解するためのフローチャートの一例を示している。
【
図6】
図6は、駐車アシストシステムによって少なくともサポートされた発進プロセスの流れを図解するためフローチャートの一例を示している。
【
図7】
図7は、駐車アシストシステムによって少なくともサポートされた駐車プロセスの流れを図解するためフローチャートの一例を示している。
【
図8】
図8は、それにユーザへの位置変更の要求が表示されるグラフィカル・ユーザ・サーフェースを備えた端末の一例を示している。
【
図9】
図9は、それに車両目標地点を定めるための選択肢が表示されるグラフィカル・ユーザ・サーフェースを備えた端末の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から3は、車両1の駐車プロセスが、駐車アシストシステムによって制御される駐車シナリオの例を示している。これらの駐車シナリオは、それぞれ、車両1が、道路FBに対して直角な駐車スペースに駐まっている駐車位置からの発進状況に関するものである。尚、本発明を、車両1が、道路FBに対して平行な、或いは、本質的に平行な、乃至、斜めの駐車スペースに関する駐車シナリオにおいても応用できることは、言うまでも無い。
【0033】
それぞれの駐車シナリオの如何は問わず、車両1の駐車アシストシステムによって、車両ユーザ2が、端末3を用いて、駐車プロセス、乃至、発進プロセスを遠隔操作することが可能になっている。この際、車両ユーザ2と帰属している端末3は、車両1の内部には無く、概車両ユーザ2と帰属している端末3は、車両1の空間的近傍、例えば、10m未満、特に、6m未満に位置している。
【0034】
概端末3は、一般的な無線通信接続を介して車両1とつながっていることができ、端末3と車両1との間では、少なくとも、一方向、好ましくは、双方向のデータ伝達を実施できる。無線通信接続としては、例えば、以下のような伝達方法を採用することができる:Bluetooth、WLAN、ZigBee、NFC、Wibree或いは、WiMAX。代案的には、光学的通信接続も原則的には考え得る。
【0035】
概端末3は、車両キー、通信端末、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどによって構成されていることができる。通信端末を用いる場合、概端末は、これを介して、車両1と、特に、概車両1の駐車アシストシステムとデータ交換を実施するアプリケーション(APP)を有していることが好ましい。
【0036】
図4は、駐車アシストシステム4を備えた車両1の概略的なブロック図を示している。概駐車アシストシステム4は、既知の如く、これを用いて駐車アシスト機能が制御される制御ユニット4.1を有している。加えて、これを用いて車両1の空間的周辺部にあるオブジェクトを捕捉できる周辺捕捉センサ類4.2も想定されている。このようなオブジェクトは、例えば、駐車している車両、建物、縁石などであることができる。概周辺捕捉センサ類4.2は、特に、一台乃至複数台のカメラ、超音波センサ、少なくとも一つのレーダセンサなどを包含していることができる。
【0037】
概周辺捕捉センサ類4.2は、制御ユニット4.1と接続されている。これにより、周辺捕捉センサ類4.2によって捕捉された情報は、制御ユニット4.1に伝達され、これを基に、空いている駐車スペースを見つけることができる。
【0038】
加えて、概車両1は、車両ユーザ2の立っている位置、並びに、より好ましくは、彼に帰属されている、即ち、空間的に近くにある端末3の位置を捕捉するためのセンサ類4.3を有している。概センサ類4.3は、特に好ましくは、車両キー乃至概車両1にとって既知な車両ユーザ2の通信端末がある位置を、概車両ユーザ2が、立っている位置を割り出すために、捕捉することができる。
【0039】
また、概センサ類4.3は、車両ユーザ2が、駐車スペースに対して、駐車アシスト機能が、駐車プロセスの終了時点に目指している車両目標地点に対して、乃至、駐車プロセス中に使用される車両1の移動経路(軌道)に対してどのような相対位置にいるのかを制御ユニット4.1によって捕捉できるように制御ユニット4.1と接続されていることができる。例えば、制御ユニット4.1を用いれば、車両1の周りの周辺領域地図を作成することができるが、この際、車両ユーザ2も、この周辺領域地図内に、包含されている。
【0040】
図1には、発進プロセスの一例が、概略的に描かれている。ここでは、車両1は、道路FBに対して直角な駐車スペースから、車両1の周辺部にいるユーザ2の遠隔操作により発進しようとしている。その際、概車両は、車両スタートポジションFSPから車両走行経路上を動いて、車両1が、発進プロセスの最後に至る車両目標地点へと移動する。
【0041】
図1に示唆されている如く、車両1は、車両スタートポジションFSPを出て車両目標地点に至る動きにおいて、車両ユーザ2が立っている車両走行経路上を移動することになり得る。よって、車両ユーザ2との衝突が起こり得る。
【0042】
以下においては、「車両走行経路」と言う用語は、一工程のみの車両走行経路としてだけでなく、複数工程からなる車両走行経路、即ち、複数回の前進工程及び/或いは後進工程から構成される車両走行経路とも解釈される。
【0043】
図2は、駐車アシストシステム4によって、車両ユーザ2との衝突が起こり得る車両目標地点、即ち、車両ユーザ2が、そこに立っている車両目標地点が、選択された、更なる実施例を示している。
【0044】
車両ユーザ2との衝突を回避するために、概駐車アシストシステム4は、
図5に示されているフローチャートに従った衝突回避方法を実行することができるように構成されていることができる。
【0045】
先ず、車両1の外にはいるが、車両1に対して位置的に近い場所にいる車両ユーザ2の位置が、捕捉される(S10)。
【0046】
続いて、駐車アシストシステム4は、暫定的な車両目標地点VZPと暫定的な車両走行経路VBBを割り出す(S11)。概暫定的な車両目標地点VZPは、駐車アシストシステム4のみによって、或いは、車両ユーザ2、特に、駐車アシストシステム4と車両ユーザ2との、端末3を用いたインターアクションも用いて、定められることができる。
【0047】
暫定的な車両目標地点VZPを定めた後、駐車アシストシステム4によって、車両ユーザ2との衝突の危険性の有無が確認される(S12)。この衝突危険性確認には、特に好ましくは、車両ユーザ2が、暫定的な車両目標地点VZPにいるか否か、及び/或いは、暫定的な車両走行経路VBBが、車両ユーザ2の位置と交差しているか、即ち、暫定的な車両走行経路VBBが、車両ユーザ2の位置を通過しているか否かを確認することも包含されている。
【0048】
衝突危険性確認が、衝突状況を認識した場合、暫定的な車両目標地点VZPは、変更された車両目標地点AZPに変更される、即ち、駐車プロセス後に車両1が到達する目標地点が、変更された車両目標地点AZPにおいて、車両ユーザ2との衝突が起こらない様にずらされる。代案的乃至付加的には、駐車アシストシステム4により、暫定的な車両走行経路VBBが、変更された車両走行経路ABBに変更され(
図2)、概変更された車両走行経路ABB上において、車両ユーザ2との衝突が起こらない様にされることも可能である(S13)。
【0049】
上記のステップは、一回のルーチンで処理されることもできるが、代案的には、ループ、特に好ましくは、駐車プロセスが終了するまで、即ち、概車両が、車両目標地点に移動するまで、無限ループとして、実施されることもできる。
【0050】
図6は、駐車アシスト機能にサポートされた発進プロセスにおける衝突回避方法の実施例を示している。
【0051】
先ず、遠隔操作され、駐車アシストシステムによってサポートされた発進プロセスが、開始される(S20)。その際、車両ユーザは、車両の外にいることが好ましい。概自動発進プロセスの開始は、例えば、車両ユーザに帰属された端末、例えば、スマートフォン、乃至、車両キーを用いてスタートされることができる。
【0052】
概自動発進プロセスの開始後、先ず、車両ユーザの立っている位置が確認される(S21)。車両ユーザの立っている位置は、好ましくは、帰属されている端末の位置を探知することによって確認される。この探知には、従来の技術から既知、且つ、この目的に適したあらゆる探知方法を用いることができる。これにより、駐車アシスト機能は、車両ユーザの立っている位置を、車両目標地点を割り出す時と車両目標地点へ移動する時に、考慮することができる。
【0053】
続いて、駐車アシストシステムによって、暫定的な車両目標地点VZPが割り出される(S22)。これは、(車両ユーザ2が介入することなく)駐車アシストシステムによってのみ自動的に、或いは、少なくとも部分的に、車両ユーザ2が、関与することにより(部分自動的に)、実施されることができる。例えば、
図9に示されているごとく、端末3に複数の暫定的な車両目標地点VZPの候補を表示し、車両ユーザ2が、これらのうちのどの車両目標地点を優先するか選択できるようにすることも可能である。例えば、車両ユーザ2に、駐車アシストシステムは、どの車両目標地点を推奨しているかを示すために、車両目標地点の一つを(
図9では、楕円状の破線により)強調することも可能である。概暫定的な車両目標地点VZPは、(車体前後軸が、道路FBに対して平行、乃至、本質的に平行に向けられている)平行発進状況(縦列駐車からの発進状況)なのか、或いは、(車体前後軸が、道路FBに対して直角、乃至、本質的に直角に向けられている)直角駐車位置からの発進状況のいずれなのかに依存して、選択されることができる。
【0054】
暫定的な車両目標地点VZPの確定後には、暫定的な車両目標地点VZPにおいて、車両ユーザ2との衝突が起こり得るか否か、即ち、車両ユーザ2が、駐車アシストシステムが、暫定的な車両目標地点VZPとして決めた位置にいるか否かが、確認される(S23)。暫定的な車両目標地点VZPが、車両ユーザ2の位置と衝突しない場合、概方法は、ステップS27から継続される。
【0055】
車両ユーザ2の位置と暫定的な車両目標地点VZPとの間に衝突がある場合(
図2参照)、そこにおいて衝突状況の無い変更された目標地点を見つける試みが実施される。言い換えれば、暫定的な車両目標地点VZPを、そこにおいて車両ユーザ2との衝突がない変更された車両目標地点AZPに移す、乃至、ずらすことが試みられる。この変更された車両目標地点AZPは、特に、暫定的な車両目標地点VZPに沿って、少なくとも一つの空間方向(例えば、道路FBの縦方向、或いは、道路FBの縦方向に対して横方向)、好ましくは、少なくとも二つの互いに直行して伸びる空間方向(例えば、道路FBの縦方向と道路FBの縦方向に対して横方向)にずらすことにより、得ることができる。
【0056】
このような移動/ずらしの後、変更された車両目標地点AZPが、車両ユーザとの衝突が有るか否かに関して確認する(S25)。ステップS24とS25は、この際、複数回反復され、複数の異なる変更された車両目標地点AZPが、車両ユーザ2との衝突に関して確認される。衝突の無い車両目標地点が見つからない場合、車両ユーザに、現在の位置から、或いは、彼の立っている場所を変えるようにと要求が出される(S26)。これは、車両1自体が乃至端末3が出力する聴覚的乃至視覚的シグナルによって実施されることができる。例えば、端末3によれば、車両ユーザ2が、どこへ乃至どの方向に動けば良いのかを示すこともできる。この位置変更指示では、特に、車両ユーザ2がどの位置にいることが、望まれる車両目標地点(暫定的な車両目標地点VZP乃至変更された車両目標地点AZP)に至る車両1の衝突のない動きを実現するのに適しているかを考慮することができる。
【0057】
好ましい、しかしながらオプション的な実施形態では、暫定的な車両目標地点VZP乃至変更された車両目標地点AZPを、車両ユーザ2が、車両1に楽に乗車できる用にずらすことが可能か否かも確認される(S27)。その際、車両1の車両目標地点が、ドライバー側の車両ドアが、車両ユーザが立っている場所に合わせて選択できるか否かも確認される。例えば、概車両目標地点を、車両ドアのドアレバーが、車両ユーザの手の届く範囲(例えば、半径1m未満、特に、0.5m未満)に配置されるように選択することが試みられる。よって、ステップS27の後、最終的な車両目標地点が確定される。これは、暫定的な車両目標地点VZP、(衝突回避のためにずらした)変更された車両目標地点AZP、或いは、車両ユーザ乗車地点に合わせた車両目標地点のいずれかであることができる。
【0058】
続いて、この最終車両目標地点に、この駐車状況において、通常用いられる標準発進軌道(暫定的な車両走行経路VBB)を介して、衝突無く、到達可能か否かが確認される(S28)。この標準発進軌道上に衝突危険性が無い場合、車両1は、最終車両目標地点に、この標準発進軌道を用いることにより、移動される(S29)。これは、直接、乃至、車両ユーザ2の端末3への入力(例えば、「駐車プロセス開始」)によって、実施されることができる。この際、車両ユーザ2の位置は、計画された車両走行経路内に概ユーザが入ってこないように監視される。車両走行経路内に概ユーザが入ってきてしまった場合、発進プロセスが、中断される、乃至、車両1から警告音が発せられる。
【0059】
標準発進軌道において、車両ユーザ2との衝突が起こり得る場合(
図1参照)、車両を、その上では、車両ユーザ2との衝突が無い変更された車両走行経路ABBへ移行させることが、可能か否かが確認される(S30)。
【0060】
仮に、この様な変更された車両走行経路ABBが存在する場合、車両1は、その上を通って最終車両目標地点へと移動する(S31)。これも、直接、乃至、車両ユーザ2の端末3への入力(例えば、「駐車プロセス開始」)によって、実施されることができる。この際、車両ユーザ2の位置は、計画された車両走行経路内に概ユーザが入ってこないように監視される。概ユーザが、車両走行経路に入って来た場合、発進プロセスが、中断される、或いは、概車両1から警告シグナルが発せられる、或いは、更に変更された車両走行経路上において、衝突が無い場合には、この軌道が、採用される。
【0061】
衝突の無い車両走行経路が存在しない場合、発進プロセス用に車両ユーザ2の位置を考慮しない車両走行経路が、選択される。これは、例えば、各々の駐車状況において用いることのできる標準発進軌道であることができる。
【0062】
車両1と車両ユーザ2との衝突を、概車両走行経路上において回避するために、車両ユーザ2には、発進プロセスを可能にするために、立っている場所を移動するようにと、警告が発せられる(S32)。この警告は、例えば、聴覚的、乃至、車両自体による警告であることができる。代案的乃至付加的に、端末3上に、視覚的情報、例えば、地図が、表示され、これを用いて、車両ユーザには、駐車プロセスを可能にするためには、どの方向に動けば良いかが伝達される。
【0063】
ユーザが立っている位置を変えた後、車両1は、最終車両目標地点に移動する(S33)。これも、直接、乃至、車両ユーザ2の端末3への入力(例えば、「駐車プロセス開始」)によって、実施されることができる。この際も、車両ユーザ2の位置は、計画された車両走行経路内に概ユーザが入ってこないように監視される。概ユーザが、車両走行経路に入って来た場合、発進プロセスは、中断される、或いは、概車両1から警告シグナルが発せられる、或いは、更に変更された走行軌道上において、衝突が無い場合には、この軌道が、採用される。
【0064】
好ましくは、車両1と車両ユーザ2との間の衝突確認は、駐車プロセスが終了するまで、実施され続ける。これにより、駐車プロセス中に車両ユーザ2が移動した場合でも、車両ユーザ2の立っている位置を考慮して車両走行経路の計画変更を実施できる。これにより、例えば、車両1の後進中に、車両ユーザ2が車両走行経路に入って来た場合、概車両を、車両ユーザ2の手前で停止し、車両1の予定前の停止を、例えば、次の前進工程の際に、より強くハンドルを切ることによって補整することが可能になる。
【0065】
図7は、駐車アシスト機能にサポートされた駐車プロセスにおける衝突回避方法の実施例を示している。先ず、ステップS40において、駐車プロセスを実行する遠隔操作される駐車アシストプログラムがスタートされる。これは、例えば、端末3、例えば、車両1のリモコン乃至スマートフォンなどによって実施できる。
【0066】
続いて、車両ユーザ2によって、駐車プロセス終了後にそこに車両1が駐車される目標駐車位置が選択される(S41)。例えば、端末3のグラフィック・ユーザサーフェイスに、その中から、車両ユーザ2が、一つの目標駐車位置を選択する複数の目標駐車位置が与えられていることもできる。
【0067】
車両ユーザ2が、車両1を離れた後(S42)、自動駐車プロセスがスタートされる(S43)、即ち、駐車アシストシステムが、車両1の外にいる車両ユーザ2の位置を考慮しつつ、車両1を、選択された目標駐車位置に誘導することを試みる。
【0068】
その際、先ず、暫定的な車両目標地点VZPが割り出される(S44)。これは、(車両ユーザ2が介入することなく)駐車アシストシステムによってのみ自動的に、或いは、少なくとも部分的に、車両ユーザ2が、関与することにより(部分自動的に)、実施されることができる。概暫定的な車両目標地点VZPは、(車体前後軸が、道路FBに対して平行、乃至、本質的に平行に向けられている)平行駐車状況(縦列駐車状況)なのか、或いは、(車体前後軸が、道路FBに対して直角、乃至、本質的に直角に向けられている)直角駐車位置への駐車状況のいずれなのかに依存して、選択されることができる。
【0069】
暫定的な車両目標地点VZPの確定後には、暫定的な車両目標地点VZPにおいて、車両ユーザ2との衝突が起こり得るか否か、即ち、車両ユーザ2が、駐車アシストシステムが、暫定的な車両目標地点VZPとして決めた位置にいるか否かが、確認される(S45)。暫定的な車両目標地点VZPが、車両ユーザ2の位置と衝突しない場合、概方法は、ステップS49から継続される。
【0070】
車両ユーザ2の位置と暫定的な車両目標地点VZPの間に衝突がある(車両ユーザ2が、例えば、駐車スペース内に立っている)場合、目標地点をずらすことが、可能か否かが確かめられる(S46)。言い換えれば、暫定的な車両目標地点VZPを、変更された車両目標地点AZPに移動させる、乃至、ずらすことが試みられる。この変更された車両目標地点AZPは、特に、暫定的な車両目標地点VZPに沿って、少なくとも一つの空間方向(例えば、道路FBの縦方向、或いは、道路FBの縦方向に対して横方向)、好ましくは、少なくとも二つの互いに直行して伸びる空間方向(例えば、道路FBの縦方向と道路FBの縦方向に対して横方向)にずらすことにより、得ることができる。
【0071】
このような移動/ずらしの後、変更された車両目標地点AZPが、車両ユーザとの衝突が有るか否かに関して確認する(S47)。ステップS46とS47は、この際、複数回反復され、複数の異なる変更された車両目標地点AZPが、車両ユーザ2との衝突に関して確認される。衝突の無い車両目標地点が見つからない場合、車両ユーザに、現在の位置から、或いは、彼の立っている場所を変えるようにと要求が出される(S48)。これは、車両1自体が乃至端末3が出力する聴覚的乃至視覚的シグナルによって実施されることができる。例えば、端末3によれば、車両ユーザ2が、どこへ乃至どの方向に動けば良いのかを示すこともできる。この位置変更指示では、特に、車両ユーザ2がどの位置にいることが、望まれる車両目標地点(暫定的な車両目標地点VZP乃至変更された車両目標地点AZP)に至る車両1の衝突のない動きを実現するのに適しているかを考慮することができる。
【0072】
ステップ47乃至S48の後、そこに車両1が、駐車プロセス後に導かれる最終車両目標地点が確定される。この最終車両目標地点は、先に定めた暫定的な車両目標地点VZP、乃至、変更された車両目標地点AZPであることができる。特に、概暫定的な車両目標地点VZPは、ステップS45において、暫定的な車両目標地点VZPにおいて衝突が無いと確認された場合、或いは、車両ユーザ2が、ステップS48において、元来は車両ユーザ2と衝突したであろう暫定的な車両目標地点VZPにおいて衝突が無くなるように移動した場合に、最終車両目標地点として、定められることができる。
【0073】
ステップS49では、この最終車両目標地点に、この駐車状況において、通常用いられる標準駐車軌道(暫定的な車両走行経路VBB)を介して、衝突無く、到達可能か否かが確認される(S49)。言い換えれば、駐車アシストシステムによって、標準基準値(カーブ半径、駐車工程の数など)に応じて定められ、それに沿って車両1を運転でき、且つ、その上で車両ユーザ2との衝突が無い駐車走行経路、乃至、駐車軌道が存在するか否かが、確認される。
【0074】
この標準駐車軌道上に衝突危険性が無い場合、車両1は、最終車両目標地点に、この標準駐車軌道を用いることにより、移動される(S50)。これは、直接、乃至、車両ユーザ2の端末3への入力(例えば、「駐車プロセス開始」)によって、実施されることができる。この際、車両ユーザ2の位置は、計画された車両走行経路内に概ユーザが入ってこないように監視される。車両走行経路内に概ユーザが入ってきてしまった場合、発進プロセスが、中断される、乃至、車両1から警告音が発せられる。
【0075】
標準駐車軌道において、車両ユーザ2との衝突が起こり得る場合、車両を、その上では、車両ユーザ2との衝突が無い変更された車両走行経路ABBへ移行させることが、可能か否かが確認される(S51)。
【0076】
仮に、この様な変更された車両走行経路ABBが存在する場合、車両1は、その上を通って最終車両目標地点へと移動する(52)。これも、直接、乃至、車両ユーザ2の端末3への入力(例えば、「駐車プロセス開始」)によって、実施されることができる。この際、車両ユーザ2の位置は、計画された車両走行経路内に概ユーザが入ってこないように監視される。車両走行経路内に概ユーザが入ってきてしまった場合、発進プロセスが、中断される、乃至、車両1から警告音が発せられる。
【0077】
衝突の無い車両走行経路が存在しない場合、駐車プロセス用に車両ユーザ2の位置を考慮しない車両走行経路が、選択される。これは、例えば、各々の駐車状況において用いることのできる標準駐車軌道であることができる。
【0078】
車両1と車両ユーザ2との衝突を、概車両走行経路上において回避するために、車両ユーザ2には、駐車プロセスを可能にするために、立っている場所を移動するようにと、警告が発せられる(S53)。この警告は、例えば、聴覚的、乃至、車両1自体による警告であることができる。代案的乃至付加的に、端末3上に、視覚的情報、例えば、地図が、表示され、これを用いて、車両ユーザ2には、駐車プロセスを可能にするためには、どの方向に動けば良いかが伝達される。
【0079】
車両ユーザ2が立っている位置を変え、続いて、車両1が、最終車両目標地点に移動する(S54)。これも、直接、乃至、車両ユーザ2の端末3への入力(例えば、「駐車プロセス開始」)によって、実施されることができる。この際も、車両ユーザ2の位置は、計画された車両走行経路内に概ユーザが入ってこないように監視される。車両走行経路内に概ユーザが入ってきてしまった場合、発進プロセスが、中断される、乃至、車両1から警告音が発せられる。
【0080】
好ましくは、概駐車アシストシステムは、車両1が、駐車スペースに導かれてしまったとしたら、車両ユーザ2が、概駐車スペース内に閉じ込められてしまうであろう状況を捕捉するための手段を有している。これは、三方に境界乃至壁を有しているガレージ等で起こり得るケースである。更なる例としては、一方(例えば、駐車スペースの前方の狭い側)が、壁などによって、且つ、側方が、駐車している車両によって区切られている直角駐車状況も挙げられる。
【0081】
概車両1が、駐車アシストシステムによってこの様な駐車スペースに導かれてしまった場合、車両ユーザ2は、概駐車スペースに閉じ込められてしまう。この様な状況を回避できる様にするため、概駐車アシストシステムは、駐車スペースが、三方向において、車両ユーザ2が、駐車プロセス終了後、概駐車スペースから出ることができない様な駐車状況を捕捉できるように構成されていることができる。
【0082】
概駐車アシストシステムが、この様な駐車状況を認識した場合、駐車プロセスを駐車スペースの前で中断、乃至、終了し、概車両1が、概駐車スペースの前方に間隔(例えば、0.5m、1m乃至1.5m)をもって止まる様にできる。続いて、車両ユーザ2には、概駐車スペースから出るように要求される。これは、例えば、車両1自体の、聴覚的乃至視覚的なシグナル、或いは、端末3における聴覚的乃至視覚的な注意によって実施できる。これにより、車両ユーザ2の駐車スペース内での「閉じ込め」を、効果的に回避することができる。
【0083】
本発明は、上記実施例によって説明された。しかしながら、特許請求項に定義されている請求範囲を逸脱することなく、数多くの変更やヴァリエーションが可能であることは、言うまでも無いことである。
【符号の説明】
【0084】
1 車両
2 車両ユーザ
3 端末
4 駐車アシストシステム
4.1 制御ユニット
4.2 周辺捕捉センサ類
4.3 捕捉センサ、車両ユーザの場所用
ABB 変更された車両走行経路
AZP 変更された車両目標地点
FB 車線
FSP 車両スタートポジション
S シグナル
VBB 暫定的な車両走行経路
VZP 暫定的な車両目標地点
【国際調査報告】