(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法、多発性骨髄腫を有する対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法、及び多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/若しくは疾患進行の可能性を予測する、又はそのリスクを低下させる方法が開示される。
多発性骨髄腫を有する対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法であって、前記対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、微小残存病変陰性状態を達成するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法。
前記抗CD38抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1に記載の方法。
a)前記抗CD38抗体が、28日サイクルで週1回、サイクル1及び2の1、8、15、及び22日目に、28日サイクルで2週間に1回、サイクル3〜6の間1日目及び15日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
b)レナリドミドが、28日サイクルの1〜21日目に約10mg〜約25mgの間の用量で経口投与され、
c)デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、請求項5に記載の方法。
a)前記抗CD38抗体が、21日サイクルで週1回、サイクル1〜3の1、8、及び15日目に、21日サイクルで3週間に1回、サイクル4〜8の1日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
b)ボルテゾミブが、21日サイクルでサイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、約1.3mg/m2の用量で皮下(SC)投与され、
c)デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、請求項6に記載の方法。
デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、請求項7に記載の方法。
デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、請求項8に記載の方法。
高リスク多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、前記患者に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、前記高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法。
前記抗CD38抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項25に記載の方法。
a)前記抗CD38抗体が、28日サイクルで週1回、サイクル1及び2の1、8、15、及び22日目に、28日サイクルで2週間に1回、サイクル3〜6の間1日目及び15日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
b)レナリドミドが、28日サイクルの1〜21日目に約10mg〜約25mgの間の用量で経口投与され、
c)デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、請求項29に記載の方法。
a)前記抗CD38抗体が、21日サイクルで週1回、サイクル1〜3の1、8、及び15日目に、21日サイクルで3週間に1回、サイクル4〜8の1日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
b)ボルテゾミブが、21日サイクルでサイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、約1.3mg/m2の用量で皮下(SC)投与され、
c)デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、請求項30に記載の方法。
デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、請求項31に記載の方法。
デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、請求項32に記載の方法。
前記方法が、前記コルチコステロイド及び前記非コルチコステロイド化学療法剤を受けている対象と比較して、前記対象の1つ以上の評価項目を改善する、請求項25に記載の方法。
前記1つ以上の評価項目が、無増悪生存期間、全奏効率、非常に良好な部分奏効若しくはそれ以上、完全奏効若しくはそれ以上、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
前記抗CD38抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項52〜53のいずれかに記載の方法。
a)前記抗CD38抗体が、28日サイクルで週1回、サイクル1及び2の1、8、15、及び22日目に、28日サイクルで2週間に1回、サイクル3〜6の間1日目及び15日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
b)レナリドミドが、28日サイクルの1〜21日目に約10mg〜約25mgの間の用量で経口投与され、
c)デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、請求項57に記載の方法。
a)前記抗CD38抗体が、21日サイクルで週1回、サイクル1〜3の1、8、及び15日目に、21日サイクルで3週間に1回、サイクル4〜8の1日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
b)ボルテゾミブが、21日サイクルでサイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、約1.3mg/m2の用量で皮下(SC)投与され、
c)デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、請求項58に記載の方法。
デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、請求項55〜60に記載の方法。
前記抗CD38抗体が、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項52〜65のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
開示される方法は、本開示の一部を形成する、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。開示される方法は、本明細書に記載及び/又は図示の特定の方法に限定されないこと、更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例によって説明することのみを目的とし、請求項に記載の方法に限定することを意図しないことを理解されたい。
【0013】
特別な記述がない限り、動作に関する可能なメカニズム又は形態、あるいは改善の理由についての説明は、説明のみを意図したものである。本開示の方法は、提案されている動作に関するメカニズム又は形態、あるいは改善の理由の是非によって制限されない。
【0014】
数値の範囲が本明細書で列挙又は確立される場合、この範囲は、その端点、並びにその範囲内の全ての個々の整数及び有理数を含み、更に、これらの端点及び内部整数及び有理数の全ての様々な可能な組み合わせによって形成される、その中のより狭い範囲のそれぞれを含み、それらのより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されたかのように、記載の範囲内の値のより大きい群の小群を形成する。数値の範囲が、本明細書において記載される値よりも大きいと本明細書に記載される場合、その範囲は有限であり、本明細書に記載される本発明の文脈内で動作可能である値によって、その上限が画定される。数値の範囲が、本明細書において記載される値よりも小さいと本明細書に記載される場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によって、その下限が画定される。本発明の範囲が、範囲を定義する際に列挙される特定の値に限定されることを意図しない。範囲はいずれも包括的であり、組み合わせが可能である。
【0015】
値が、先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。特定の数値に関する言及は、文脈上他に明記されない限り、少なくともその特定の値を含むものとする。
【0016】
本明細書において、明確性のために、別々の実施形態の文脈において記載される、開示された方法の複数の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔のために単一の実施形態として記載された開示される方法の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の下位の組み合わせで提供されてもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含むものとする。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲をとおして本明細書の諸態様に関する様々な用語が使用される。別途記載のない限り、そのような用語には、当該技術分野におけるそれらの通常の意味が与えられるものとする。その他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式で解釈されるものとする。
【0019】
本明細書で使用される「約」とは、数値範囲、カットオフ、又は特定の値に関連して使用される場合、列記された値が、列挙された値から最大10%変動し得ることを示すために使用される。本明細書で使用される数値の多くが実験的に決定されるため、当業者であれば、かかる決定が、異なる実験間で異なる場合があり、多くの場合、異なるであろうことを理解するはずである。本明細書で使用される値は、この固有の変動によって過度に制限されるとみなされるべきではない。したがって、「約」という用語は、規定値からの±10%以下の変動、±5%以下の変動、±1%以下の変動、±0.5%以下の変動、又は±0.1%以下の変動を包含するために使用する。
【0020】
同様に、「を含む」という用語は、「から本質的になる」という用語及び「からなる」という用語によって包含される例を含むことを意図する。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される例を含むことを意図する。
【0021】
「CD38」とは、ヒトCD38タンパク質(UniProtKB受入番号P28907)(同義語:ADP−リボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、環状ADP−リボースヒドロラーゼ1)を指す。ヒトCD38は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。CD38は、アミノ酸残基1〜21が細胞質ドメインを表し、アミノ酸残基22〜42が膜貫通ドメインを表し、残基43〜300が細胞外ドメインを表す、シングルパスII型膜貫通タンパク質である。抗CD38抗体は、例えば、国際公開第2008/037257号、国際公開第2008/047242号、及び国際公開第2007/042309号に記載されている。
【0022】
「抗体」という用語及び同様の用語は、広義に意図されており、モノクローナル抗体(マウス、ヒト、ヒト適合化、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体など)、抗体フラグメント、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、及び一本鎖抗体を含む、免疫グロブリン分子を含む。
【0023】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4として更に細かく分類される。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちカッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
【0024】
「抗体フラグメント」とは、親完全長抗体の抗原結合特性を保持する免疫グロブリン分子の一部分を指す。例示的な抗体フラグメントは、重鎖相補性決定領域(HCDR)1、2、及び/若しくは3、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、2、及び/若しくは3、重鎖可変領域(VH)、又は軽鎖可変領域(VL)である。抗体フラグメントには、VL、VH、定常軽鎖(CL)、及び(定常重鎖1)CH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメントと、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab)
2フラグメントと、VH及びCHIドメインからなるFdフラグメントと、抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメントと、VHドメイン又はVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al.,Nature 341:544−546,1989)とが含まれる。VHドメイン及びVLドメインは、操作され、合成リンカーを介して一緒に連結して様々な種類の一本鎖抗体設計を形成することができ、ここでVH/VLドメインは、分子内で対合するか、又はVHドメイン及びVLドメインが別々の一本鎖抗体構築物によって発現される場合には分子間で対合して、一本鎖Fv(scFv)又はダイアボディなどの一価の抗原結合部位を形成する。例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に既知の技法を使用して得られ、これらのフラグメントは、完全長抗体の場合と同じ方法で、有用性についてスクリーニングされる。
【0025】
「単離された抗体」という語句は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体又は抗体フラグメントを指す(例えば、単離された抗CD38抗体は、ヒトCD38以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、単離された抗CD38抗体は、カニクイザル(Macaca fascicularis)(カニクイザル(cynomolgus))CD38などのヒトCD38のオルソログなどの他の抗原に対して交差反応性を有し得る。更に、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0026】
抗体可変領域は、3つの「抗原結合部位」によって中断された「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は、様々な用語を使用して定義される:(i)相補性決定領域(CDR)(VH内に3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVL内に3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3))は、配列可変性に基づく(Wu and Kabat,J Exp Med 132:211−50,1970、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、(ii)「超可変領域」(「HVR」又は「HV」)(VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3))は、Chothia and Lesk(Chothia and Lesk,Mol Biol 196:901−17,1987)によって定義された構造において超可変性である抗体可変ドメインの領域を指す。他の用語は、「IMGT−CDR」(Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55−77,2003)及び「特異性決定残基使用(SDRU)(Almagro Mol Recognit,17:132−43,2004)を含む。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、抗原結合部位についての標準的番号及び定義を提供する。CDR、HV、及びIMGTの表記の間の対応については、Lefranc et al.,Dev.Comparat.Immunol.27:55−77,2003に記載されている。
【0027】
「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」は、抗原結合部位として定義されたものを除く、可変領域の残りの配列である。抗原結合部位は上述のような様々な用語によって定義され得るため、フレームワークの正確なアミノ酸配列は抗原結合部位がどのように定義されたかによる。
【0028】
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位が非ヒト種に由来し、フレームワーク領域がヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体はフレームワーク領域内に置換を含む可能性があることから、かかるフレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又は生殖細胞系列遺伝子配列の完全な複製物でなくてもよい。抗体が定常領域を有する場合、その定常領域もヒト起源の配列に由来する。ヒト化抗体との関連で使用される「に由来する」とは、問題の領域の配列が、それが基づく種由来の免疫グロブリンの対応する領域の配列と少なくとも80%相同であることを意味する。
【0029】
「ヒト適応」抗体又は「ヒトフレームワーク適応(HFA)」抗体は、米国特許出願公開第2009/0118127号に記載される方法に準じて適応されたヒト化抗体を指す。ヒト適応抗体は、CDR1及びCDR2ループ並びに軽鎖CDR3ループの一部の、最大のCDR及びFR類似性、長さ適合性、及び配列類似性に基づいて、アクセプターヒトフレームワークを選択することによってヒト化される。
【0030】
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト起源の配列に由来する。ヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。そのような系は、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及び本明細書に記載されるヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウスなど、トランスジェニックの非ヒト動物を含む。「ヒト抗体」は、例えば、フレームワーク又は抗原結合部位内に天然に存在する体細胞変異又は置換の意図的な導入により、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン配列と比較したアミノ酸相違を含み得る。典型的には、「ヒト抗体」のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である。いくつかの例では、「ヒト抗体」は、例えば、Knappik et al.,J Mol Biol 296:57−86,2000)に記載される、ヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えば、Shi et al.,J Mol Biol 397:385−96,2010及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含み得る。抗原結合部位が非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0031】
単離されたヒト化抗体は合成であり得る。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来するものであるが、合成CDR及び/若しくは合成フレームワークを組み込んだファージディスプレイなどの系を用いて生成するか、又はインビトロ変異誘発を行って抗体の特性を向上させることができ、インビボのヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない抗体を得ることができる。
【0032】
「組換え抗体」には、組換え手段によって調製、発現、作製、又は単離された全ての抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子又はそれから調製されたハイブリドーマのトランスジェニック又はトランス染色体である動物(例えば、マウス)から単離された抗体(以下に更に記載される)、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離された抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリから単離された抗体、並びにヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライスすることを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製、又は単離された抗体、又はFabアーム交換を使用してインビトロで生成された抗体が含まれる。
【0033】
「モノクローナル抗体」とは、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を示し、又は二重特異性モノクローナル抗体の場合には、2つの別個のエピトープに対する二重結合特異性を示す。したがって、モノクローナル抗体とは、抗体重鎖からのC末端リシンの除去などの可能な周知の改変を除いて、各重鎖及び各軽鎖のアミノ酸組成が単一である抗体集団のことを指す。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性若しくは多重特異性、又は一価、二価、若しくは多価であり得る。二重特異性抗体は、モノクローナル抗体という用語に含まれる。
【0034】
「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合する抗原の一部分を指す。エピトープは、通常、アミノ酸又は多糖類側鎖などの部位の化学的に活性な(極性、非極性、又は疎水性など)表面基からなり、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座的な空間単位を形成する連続的な、かつ/又は不連続的なアミノ酸で構成されうる。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。
【0035】
「変異体」とは、例えば、置換、挿入、又は欠失などの1つ以上の改変が参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0036】
「と組み合わせて」とは、2つ以上の治療薬が、対象に、混合物中に一緒に、又は単独の薬剤として同時に、又は単独の薬剤として任意の順序で順次に投与され得ることを意味する。
【0037】
「治療する」、「治療」、及び同様の用語は、治療的治療及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)措置の両方を指し、症状の重症度及び/又は頻度の低減、症状及び/又は症状の根本原因の排除、症状の頻度若しくは可能性及び/又は症状の根本原因の低減、多発性骨髄腫によって直接又は間接的に引き起こされる損傷の改善又は修復を含む。「治療」は、治療を受けていない対象の予想生存期間と比較して、生存期間を延長させることも含む。治療される対象には、状態若しくは疾患を有する対象、並びに状態若しくは疾患を有しやすい対象、又は状態若しくは疾患が予防される対象が含まれる。
【0038】
「治療有効量」とは、必要な投与量で必要な期間にわたって所望の治療を達成するのに有効な開示される併用療法の量を指す。治療有効量は、対象の病状、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに対象に所望の応答を誘発する併用療法の能力によって異なり得る。治療有効量の例示的な指標としては、例えば、患者の健康状態の改善、腫瘍量の減少、腫瘍の成長の停止若しくは遅延、及び/又は体内の他の場所へのがん細胞の転移の不在が挙げられる。
【0039】
「成長を阻害する」(例えば、腫瘍細胞などの細胞を指す場合)とは、併用療法の不在下で同じ細胞の成長と比較した、併用療法との接触時のインビトロ又はインビボ細胞成長における測定可能な減少を指す。インビトロ又はインビボでの細胞成長の阻害は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約99%、又は約100%であり得る。細胞成長の阻害は、様々な機構、例えば、抗体媒介ADCC、ADCP、及び/若しくはCDC、アポトーシス、壊死によって、又は細胞増殖の阻害によって生じ得る。
【0040】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」としては、あらゆる脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類が挙げられる。用語「対象」及び「患者」は、本明細書で同じ意味で用いることができる。
【0041】
以下の略語は、本開示全体をとおして使用される:骨髄穿刺液(BMA)、完全奏効(CR)、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)、ダラツムマブ、レナリノミド、及びデキサメタゾン(DRd)、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)、国際病期分類システム(ISS)、微小残存病変(MRD)、多発性骨髄腫(MM)、部分奏効(PR)、無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、レナリノミド及びデキサメタゾン(Rd)、厳密な完全奏効(sCR)、疾患進行までの期間(TTP)、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd)、非常に良好な部分奏効(VGPR)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、ボルテゾミブ(Bort)、補体依存性細胞傷害(CDC)、相補性決定領域(CDR)、定常軽鎖(CL)、(定常重鎖1)CH1ドメイン、ダラツムマブ(DARA)、重鎖CDR(HCDR)、重鎖可変領域(VH)、レナリドミド(LEN)、軽鎖CDR(LCDR)、軽鎖可変領域(VL)、患者(pts)。
【0042】
高リスク多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法
高リスク多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、その患者に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法が本明細書に開示される。
【0043】
任意の抗CD38抗体が開示される方法で使用され得る。例えば、抗CD38抗体の可変領域は、既存の抗CD38抗体から得られ、任意に、標準の方法を使用して完全長抗体としてクローニングされ得る。使用され得るCD38に結合する例示的な抗体可変領域は、国際公開第2005/103083号、同第2006/125640号、同第2007/042309号、同第2008/047242号、同第2012/092612号、同第2006/099875号、及び同第2011/154453(A1)号に記載されている。
【0044】
抗CD38抗体は、SKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)を含むヒトCD38の領域及びEKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)を含むヒトCD38の領域に結合し得る。抗CD38抗体は、配列番号2を含むヒトCD38の領域及び配列番号3を含むヒトCD38の領域に結合し、その抗体が、配列番号2内の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個の残基、及び配列番号3内の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個の残基に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号2を含むヒトCD38の領域内の少なくとも1つのアミノ酸及び配列番号3を含むヒトCD38の領域内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号2を含むヒトCD38の領域内の少なくとも2つのアミノ酸及び配列番号3を含むヒトCD38の領域内の少なくとも2つのアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号2を含むヒトCD38の領域内の少なくとも3つのアミノ酸及び配列番号3を含むヒトCD38の領域内の少なくとも3つのアミノ酸に結合する。配列番号2を含むヒトCD38の領域及び配列番号3を含むヒトCD38の領域に結合する抗体は、例えば、標準の方法を使用して、かつ本明細書に記載されるように、マウスを配列番号2及び3を含むアミノ酸配列を有するペプチドで免疫化し、例えば、ELISA又は変異誘発試験を使用して、得られた抗体をペプチドへの結合について特徴付けることによって生成され得る。
【0045】
配列番号2を含むヒトCD38の領域及び配列番号3を含むヒトCD38の領域に結合する例示的な抗CD38抗体は、DARZALEX(商標)(ダラツムマブ)であり、これは、
・配列番号12の重鎖アミノ酸配列及び配列番号13の軽鎖アミノ酸配列、
・配列番号4の重鎖可変領域(VH)及び配列番号5の軽鎖可変領域(VL)、並びに/又は
・それぞれ、配列番号6、7、及び8の重鎖相補性決定領域(CDR)1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びにそれぞれ、配列番号9、10、及び11の軽鎖相補性決定領域(CDR)1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含む。
【0046】
抗CD38抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、軽鎖CDR2配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号5のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。抗CD38抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0047】
抗CD38抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号15のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号15のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、mAb003(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,829,693号に記載される)を含み得る。
【0048】
抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号17のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、mAb024(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,829,693号に記載される)を含み得る。
【0049】
抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号19のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、MOR−202(MOR−03087)(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,088,896号に記載される)を含み得る。
【0050】
抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、イサツキシマブ(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,153,765号に記載される)を含み得る。いくつかの態様では、イサツキシマブのVH及びVLは、IgG1/κとして表され得る。
【0051】
本明細書に開示される抗体と実質的に同一の抗体が、開示される方法で使用され得る。「実質的に同一」という用語は、本明細書に開示される抗体と比較して、抗体重鎖又は軽鎖アミノ酸配列が同一であるか、又は「ごくわずかな相違」を有することを意味する。ごくわずかな相違とは、抗体の特性に悪影響を及ぼさない抗体重鎖又は軽鎖における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸の置換である。抗体配列は、例えば、Vector NTI v.9.0.0(Invitrogen,Carlsbad,CA)のAlignXモジュールの初期設定を使用してペアワイズアライメントによって比較され得る。開示される抗体のタンパク質配列を問い合わせ配列として使用して、例えば、関連配列を確認するための公開データベース又は特許データベースに対して検索を行うことができる。かかる検索を実行するために使用される例示的なプログラムは、初期設定を使用する、XBLAST若しくはBLASTPプログラム(http_//www_ncbi_nlm/nih_gov)、又はGenomeQuest(商標)(GenomeQuest(Westborough,MA))スイートである。開示される抗体と実質的に同一の抗体は、例えば、開示される抗体のアミノ酸配列に保存的修飾を行うことによって生成され得る。「保存的修飾」とは、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に有意に影響する又はこれを変えることのないアミノ酸の修飾のことを指す。保存的修飾には、アミノ酸置換、付加、及び欠失が含まれる。「保存的置換」とは、アミノ酸が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは十分に定義されており、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン)、芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、脂肪族側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、アミド(例えば、アスパラギン、グルタミン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び含硫黄側鎖(システイン、メチオニン)を有するアミノ酸を含む。更に、アラニンスキャニング変異誘発について以前に説明されているように(MacLennan et al.,(1988)Acta Physiol Scand Suppl 643:55−67、Sasaki et al.,(1988)Adv Biophys 35:1−24)、ポリペプチド内のいずれの天然残基もアラニンで置換され得る。開示される方法で使用される抗CD38抗体に行われ得る例示的な置換には、例えば、類似の電荷、疎水性、又は化学両論的特性を有するアミノ酸での保存的置換が含まれる。保存的置換は、例えば、安定性若しくは親和性を含む抗体の特性を改善するために、又は抗体エフェクター機能を改善するためにも行われ得る。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換が、例えば、抗CD38抗体の重鎖及び/又は軽鎖に行われ得る。更に、アラニンスキャニング変異誘発について以前に説明されているように(MacLennan et al.,Acta Physiol Scand Suppl 643:55−67,1998、Sasaki et al.,Adv Biophys 35:1−24,1998)、重鎖及び/又は軽鎖内のいずれの天然残基もアラニンで置換され得る。好適なアミノ酸置換は、かかる置換が所望された時点で当業者によって決定され得る。アミノ酸置換は、例えば、PCR変異誘発(米国特許第4,683,195号に開示される)によって行われ得る。変異体のライブラリは、周知の方法を使用して、例えば、11個のアミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Gly、Lys、Asn、Arg、Ser、Tyr、Trp)をコードするランダム(NNK)コドン又は非ランダムコドン(例えば、DVKコドン)を使用し、所望の特性を有する変異体についてライブラリをスクリーニングすることによって生成され得る。生成された変異体は、本明細書に記載の方法を用いて、そのCD38への結合及びADCCを誘発する能力について試験することができる。
【0052】
抗CD38抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプのものであり得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG2アイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG3アイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG4アイソタイプのものである。
【0053】
開示される方法で使用される抗CD38抗体は、例えば、ファージがヒト免疫グロブリン又はその一部分、例えば、Fab、一本鎖抗体(scFv)、又は非対合若しくは対合抗体可変領域を発現するように操作されたファージディスプレイライブラリから新たに選択される場合もある(Knappik et al.,J Mol Biol 296:57−86,2000、Krebs et al.,J Immunol Meth 254:67−84,2001、Vaughan et al.,Nature Biotechnology 14:309−314,1996、Sheets et al.,PITAS(USA)95:6157−6162,1998、Hoogenboom and Winter,J Mol Biol 227:381,1991、Marks et al.,J Mol Biol 222:581,1991)。CD38結合可変ドメインは、例えば、Shi et al(2010)J.Mol.Biol.397:385−96及び国際公開第2009/085462号に記載されるバクテリオファージpIXコートタンパク質との融合タンパク質として抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライブラリから単離され得る。抗体ライブラリをヒトCD38細胞外ドメインへの結合に関してスクリーニングし、得られた陽性クローンを更に特徴付け、クローンライセートからFabを単離した後、完全長抗体としてクローニングすることができる。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法は、当技術分野にて確立されている。例えば、米国特許第5,223,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,571,698号、米国特許第5,427,908号、米国特許第5,580,717号、米国特許第5,969,108号、米国特許第6,172,197号、米国特許第5,885,793号、米国特許第6,521,404号、米国特許第6,544,731号、米国特許第6,555,313号、米国特許第6,582,915号、及び米国特許第6,593,081号を参照されたい。
【0054】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、CD38への結合について参照抗体と競合し、この参照抗体は、
a)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3、
b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、
c)配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖、
d)DARZALEX(商標)(ダラツムマブ)、
e)配列番号14のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号15のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3、
f)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、
g)mAb003、
h)配列番号16のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号17のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3、
i)配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、
j)mAb024、
k)配列番号18のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号19のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3、
l)配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、
m)MOR−202(MOR−03087)、
n)配列番号20のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3、
o)配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVL、
p)イサツキシマブ、又は
q)a)〜p)の任意の組み合わせを含む。
【0055】
抗体は、周知のインビトロ方法を使用して、CD38への結合についての参照抗体(上記のa)〜q)の参照抗体など)との競合について評価され得る。例示的な方法では、CD38を組換えにより発現するCHO細胞を非標識参照抗体と4℃で15分インキュベートした後、過剰量の蛍光標識した試験抗体と4℃で45分インキュベートすることができる。PBS/BSA中での洗浄後、常法を用いてフローサイトメトリーにより蛍光を測定することができる。別の例示的な方法では、ヒトCD38の細胞外部分が、ELISAプレートの表面上に被覆され得る。過度の非標識参照抗体が約15分間にわたって添加され、その後、ビオチン化試験抗体が添加され得る。PBS/Tween中で洗浄後、試験ビオチン化抗体の結合を、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジンと、標準的な方法を用いて検出されたシグナルとを用いて検出し得る。この競合アッセイでは、参照抗体が標識されていてもよく、試験抗体が標識されていなくてもよい。参照抗体が試験抗体の結合を阻害するか、又は試験抗体が参照抗体の結合を少なくとも約90%、95%、又は100%阻害する場合、試験抗体は参照抗体と競合する。試験抗体のエピトープは、例えば、既知の方法を使用したペプチドマッピング又は水素/重水素保護アッセイによって、又は結晶構造決定によって更に定義され得る。
【0056】
抗CD38抗体は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞性食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)、又はアポトーシスによってCD38発現細胞の殺傷を誘発することができる。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ADCCによってCD38発現細胞の殺傷を誘発する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ADCPによってCD38発現細胞の殺傷を誘発する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、CDCによってCD38発現細胞の殺傷を誘発する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、アポトーシスによってCD38発現細胞の殺傷を誘発する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ADCC、ADCP、CDC、及びアポトーシスの任意の組み合わせによってCD38発現細胞の殺傷を誘発する。
【0057】
「抗体依存性細胞傷害」、「抗体依存性細胞媒介細胞傷害」、又は「ADCC」は、エフェクター細胞に発現されるFcガンマ受容体(FcγR)による、抗体被覆標的細胞の、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、及び好中球などの溶解活性を有するエフェクター細胞との相互作用に依存する、細胞死を誘導する機構である。例えば、NK細胞は、FcγRIIIaを発現し、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIaを発現する。CD38発現MM細胞などの抗体被覆標的細胞の死滅は、膜孔形成タンパク質及びプロテアーゼの分泌を通してのエフェクター細胞活性の結果として生じる。抗CD38抗体のADCC活性を評価するために、この抗体は、免疫エフェクター細胞と組み合わせてCD38発現細胞に添加され得、これらが抗原/抗体複合体によって活性化されて、標的細胞の細胞溶解がもたらされ得る。細胞溶解は、溶解した細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光染料、又は天然の細胞内タンパク質)の放出によって検出され得る。そのようなアッセイの例示的なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びNK細胞が挙げられる。CD38を発現する多発性骨髄腫細胞株又は初代MM細胞を標的細胞として用いることができる。例示的なアッセイでは、ルシフェラーゼを発現するように操作したMM細胞株を抗CD38抗体とインキュベートする。新たに単離されたPBMCエフェクター細胞が40:1の標的:エフェクター細胞比で標的に添加される。PBMCの添加の4時間後、ルシフェリンが添加され、生存MM細胞から放出される結果として生じた生物発光シグナルがルミノメータ(SpectraMax,Molecular Devices)を使用して20分以内に決定され得、MM細胞のADCC割合が、式:ADCC%=1−(PBMCの不在下での平均生物発光シグナル/PBMCの存在下での平均生物発光シグナル)×100%を使用して計算され得る。開示される方法で使用される抗CD38抗体は、ADCCを約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、又は100%誘導し得る。
【0058】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」とは、標的結合抗体のFcエフェクタードメインが補体成分C1qに結合してそれを活性化し、次いで、補体カスケードを活性化して標的細胞死をもたらす、細胞死を誘導するための機構を指す。補体の活性化はまた、標的細胞表面に対する補体成分の沈着を生じさせ得、白血球への補体受容体(例えば、CR3)の結合によって、ADCCを促進する。例示的なアッセイでは、B細胞悪性腫瘍を有する患者から単離された初代BM−MNC細胞が、抗CD38抗体及び10%プールヒト血清に由来する補体で、0.3〜10μg/mLの濃度で1時間処理され、初代CD38
+ MM細胞の生存が、van der Veer et al., Haematologica 96:284−290,2011、van der Veer et al.,Blood Cancer J 1(10):e41,2011に記載される技法を使用してフローサイトメトリーによって決定され得る。MM細胞溶解の割合は、本明細書に記載されるアイソタイプ対照に対して決定することができる。開示される方法で使用される抗CD38抗体は、CDCを約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%誘導し得る。
【0059】
「抗体依存性細胞食作用」又は「ADCP」とは、マクロファージ又は樹状細胞などの食細胞による取り込みによって抗体被覆標的細胞を排除する機構を指す。ADCPは、エフェクター細胞として単球由来マクロファージを使用し、かつGFP又は他の標識分子を発現するように操作された標的細胞としてCD38を発現するDaudi細胞(ATCC(登録商標)CCL−213(商標))、B細胞白血病、又はリンパ腫瘍細胞を使用することによって評価され得る。エフェクター:標的細胞比は、例えば、4:1であり得る。エフェクター細胞は、標的細胞と共に4時間にわたり、抗CD38抗体と共に又はそれなしでインキュベートされ得る。インキュベーション後、細胞は、アクターゼを用いて剥離できる。マクロファージは、蛍光標識に結合した抗CD11b抗体及び抗CD14抗体により識別され得るが、貪食作用の割合は、標準的な方法を用いて、CD11
+及びCD14
+マクロファージにおけるGFP蛍光の割合(%)に基づいて決定され得る。開示される方法で使用される抗CD38抗体は、ADCPを約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%誘導し得る。
【0060】
抗CD38抗体のFc部分は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、又は補体依存性細胞傷害(CDC)などの抗体エフェクター機能を媒介することができる。かかる機能は、Fcエフェクタードメイン(複数可)の食作用活性若しくは溶解活性を有する免疫細胞上のFc受容体への結合によって、又はFcエフェクタードメイン(複数可)の補体系の成分への結合によって媒介され得る。典型的には、Fc結合細胞又は補体成分によって媒介される作用(複数可)は、標的細胞、例えばCD38発現細胞の阻害及び/又は枯渇をもたらす。ヒトIgGアイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4は、エフェクター機能について異なる能力を呈する。ADCCは、IgG1及びIgG3によって媒介され得、ADCPは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4によって媒介され得、CDCは、IgG1及びIgG3によって媒介され得る。
【0061】
抗CD38抗体によって誘発されるADCCは、抗体Fc内のある特定の置換によって増強され得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、アミノ酸256、290、298、312、356、330、333、334、360、378、430位、又はそれらの任意の組み合わせでのFc領域内の置換を含み、この残基番号付けは、EUインデックスに従う(米国特許第6,737,056号に記載の置換)。
【0062】
抗CD38抗体によって誘発されるADCCは、抗体オリゴ糖成分を操作することによっても増強され得る。ヒトIgG1又はIgG3は、Asn297でN−グリコシル化されており、グリカンの大部分は、二分岐G0、G0F、G1、G1F、G2、又はG2F形態である。操作されていないCHO細胞によって産生された抗体は、典型的には、少なくとも約85%のグリカンフコース含有量(すなわち、Asn297での糖鎖内のフコース単糖の量)を有する。Fc領域に付加された二分岐の複合体型オリゴ糖からのコアフコースの除去は、抗原結合又はCDC活性を変更することなく、FcγRIIIa結合の改善によって抗体のADCCを増強する。かかる修飾抗体は、培養物の浸透圧の制御(Konno et al.,Cytotechnology 64:249−65,2012);かかる改変抗体は、培養物の浸透圧の制御(Konno et al.,Cytotechnology 64:249−65,2012)、変異体CHO株Lec13の宿主細胞株としての適用(Shields et al.,J Biol Chem 277:26733−26740,2002)、変異体CHO株EB66の宿主細胞株としての適用(Olivier et al.,MAbs 2(4),2010;印刷に先立つ電子公開、PMID:20562582)、ラットハイブリドーマ細胞株YB2/0の宿主細胞株としての適用(Shinkawa et al.,J Biol Chem 278:3466−3473,2003)、特にα1,6−フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子に対する低分子干渉RNAの導入(Mori et al.,Biotechnol Bioeng 88:901−908,2004)、又はβ−1,4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII及びゴルジα−マンノシダーゼII又は強力なアルファ−マンノシダーゼI阻害剤、例えば、キフネンシン(Ferrara et al., J Biol Chem 281:5032−5036,2006、Ferrara et al., Biotechnol Bioeng 93:851−861,2006、Xhou et al.,Biotechnol Bioeng 99:652−65,2008)などの、二分岐複合型のFcオリゴ糖を有する比較的高度に脱フコシル化された抗体の発現を成功させることが報告されている様々な方法を使用して得られ得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約0%〜約15%間の、例えば、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%のフコース含有量を有する二分岐グリカン構造を有し得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%のフコース含有量を有する二分岐グリカン構造を含む。Fc領域内の置換及び減少したフコース含有量は、抗CD38抗体のADCC活性を増強することができる。
【0064】
フコース含有量は、複数の方法、例えば、1)国際公開第2008/0775462号に記載される、N−グリコシダーゼF処理試料(例えば、複合体、ハイブリッド、並びにオリゴマンノース構造及び高マンノース構造)のMALDI−TOFの使用、2)Asn297グリカンの酵素放出、その後の誘導体化、並びに蛍光検出でのHPLC(UPLC)及び/又はHPLC−MS(UPLC−MS)による検出/定量化、3)第1のGlcNAc単糖類と第2のGlcNAc単糖類との間を切断し、フコースを第1のGlcNAcに付加されたままにさせる、Endo S又は他の酵素によるAsn297グリカンの処理を伴うか又はこの処理なしでの、天然又は還元mAbのインタクトプロテイン分析、4)酵素消化(例えば、トリプシン又はエンドペプチダーゼLys−C)による抗体の構成ペプチドへの消化、その後のHPLC−MS(UPLC−MS)による分離、検出、及び定量、5)Asn297でのPNGase Fを用いた特異的酵素脱グリコシル化による抗体タンパク質からの抗体オリゴ糖の分離によって、特徴付け及び定量化され得る。このようにして放出されたオリゴ糖は、フルオロフォアで標識化され、実験的質量と理論的質量との比較によるマトリックス支援型レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析によるグリカン構造の微細な特徴付け、イオン交換HPLC(GlycoSep C)によるシアリル化度の決定、順相HPLC(GlycoSep N)による親水性基準に従うオリゴ糖形態の分離及び定量化、並びに高性能キャピラリー電気泳動レーザー誘導蛍光(HPCE−LIF)によるオリゴ糖の分離及び定量化を可能にする様々な相補的技法によって分離及び特定され得る。
【0065】
抗CD38抗体は、ある範囲の親和性(K
D)でヒトCD38に結合し得る。例えば、抗CD38抗体は、当業者によって実行される表面プラズモン共鳴又はKinexa法によって決定される、約1×10
−8M以下、例えば、5×10
−9M、1×10
−9M、5×10
−10M、1×10
−10M、5×10
−11M、1×10
−11M、5×10
−12M、1×10
−12M、5×10
−13M、1×10
−13M、5×10
−14M、1×10
−14M、5×10
−15M、又はそれらの任意の範囲若しくは値のK
DでCD38に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、1×10
−8M以下の親和性でCD38に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、1×10
−9M以下の親和性でCD38に結合し得る。
【0066】
抗体親和性は、当業者に既知のKinExA器具、ELISA、又は競合的結合アッセイを使用して測定され得る。特定の抗体/CD38相互作用の測定された親和性は、異なる条件下(例えば、浸透圧、pH)で測定された場合に異なり得る。したがって、親和性及び他の結合パラメータ(例えば、K
D、K
on、K
off)の測定は、典型的には、標準化条件及び標準化緩衝液を用いて行われる。当業者であれば、例えば、Biacore 3000又はProteOnを使用した親和性測定の内部誤差(標準偏差(SD)として測定される)が、典型的には、典型的な検出限界内の測定結果の5〜33%の範囲内であり得ることを理解するであろう。したがって、K
Dとの関連での「約」という用語は、アッセイにおける典型的な標準偏差を反映する。例えば、K
Dが1×10
−9Mの場合の典型的なSDは、±0.33×10
−9M以下である。
【0067】
多発性骨髄腫を有する対象に投与される抗CD38抗体の用量は、治療される疾患を緩和するか、又はそれを少なくとも部分的に阻止するのに十分な量(「治療有効量」)であり、約0.005mg〜約100mg/kg、例えば、約0.05mg〜約30mg/kg若しくは約5mg〜約25mg/kg、又は約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kg、若しくは約24mg/kgを含む。好適な用量としては、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgが挙げられる。
【0068】
抗CD38抗体の固定単位用量、例えば、50、100、200、500、若しくは1000mgが投与される場合もあり、又はこの用量は、患者の表面積に基づいて、例えば、500、400、300、250、200、若しくは100mg/m
2であり得る。通常、MMを治療するために1〜8回の間の用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8回)が投与され得るが、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、又はそれ以上の用量が投与される場合がある。
【0069】
抗CD38抗体の投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれ以上後に繰り返され得る。治療コースを繰り返してもよく、長期にわたる投与も同様に可能である。繰り返し投与は、同一用量であっても異なる用量であってもよい。例えば、抗CD38抗体は、静脈内注入により、8mg/kg又は16mg/kgで1週間間隔で8週間にわたって投与され、その後、8mg/kg又は16mg/kgで2週間毎に更に16週間にわたって投与され、その後、8mg/kg又は16mg/kgで4週間毎に投与され得る。
【0070】
抗CD38抗体は、例えば、6ヶ月又はそれ以上の期間にわたって週1回などの維持療法によって投与され得る。例えば、抗CD38抗体は、24、12、8、6、4、又は2時間毎の単回投与又は分割投与を用いて、若しくはこれらの併用を用いて、約0.1mg/kg〜100mg/kgの量の1日投薬量として、例えば、1日当たり0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90又は100mg/kgで、治療開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20週目のうちの少なくとも1週に、あるいはこれらの組み合わせで提供されてもよい。
【0071】
抗CD38抗体は、多発性骨髄腫の発症のリスクを低下させ、多発性骨髄腫進行における事象の発生の開始を遅延させ、かつ/又は多発性骨髄腫が寛解期に入ったときに再発のリスクを低下させるために、予防的に投与される場合もある。
【0072】
例示的なコルチコステロイドとしては、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチソール)、プレドニゾン、又はデキサメタゾンが挙げられる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドトはデキサメタゾンである。したがって、これらの方法は、対象に、抗CD38抗体、デキサメタゾン、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、約80mgで週1回投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、約40mgで週1回投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、週2回投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、週4回投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、週1回投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、経口投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドトは、デキサメタゾンである。
【0074】
例示的な非コルチコステロイド化学療法剤としては、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤が挙げられる。例示的なグルタミン酸誘導体としては、サリドマイド(Thalomid(登録商標))又はサリドマイド類似体、例えば、CC−5013(レナリドミド、Revlimid(商標))、ポマリドミド、又はCC4047(Actimid(商標))が挙げられる。いくつかの実施形態では、グルタミン酸誘導体は、レナリドミドである。したがって、これらの方法は、対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及びレナリドミドの治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、レナリノミドは、約10mg〜約25mgの間で1日1回投与される。いくつかの実施形態では、レナリノミドは、約25mgで1日1回投与される。
【0076】
例示的なプロテアソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。したがって、これらの方法は、対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及びボルテゾミブの治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ボルテゾミブは、約1.5mg/m
2で週1回投与される。いくつかの実施形態では、ボルテゾミブは、約1.3mg/m
2で週1回投与される。いくつかの実施形態では、ボルテゾミブは、約1.3mg/m
2〜約1.5mg/m
2で週1回投与される。いくつかの実施形態では、ボルテゾミブは、約1.3mg/m
2で週2回投与される。いくつかの実施形態では、ボルテゾミブは、皮下注射によって投与される。
【0078】
いくつかの実施形態では、これらの方法は、対象に、抗CD38抗体、デキサメタゾン、及びレナリドミドの治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、対象に、抗CD38抗体、デキサメタゾン、及びボルテゾミブの治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、対象に、抗CD38抗体、デキサメタゾン、レナリドミド、及びボルテゾミブの治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含み得る。
【0079】
対象は、以下の細胞遺伝学的異常:t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23、又はdel17pのうちの1つ以上を有する場合、「高リスク」として分類され得る。したがって、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、
a.t(4;14)(p16;q32)、
b.t(14;16)(q32;q23)、
c.del17p、
d.t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
e.t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
f.t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
g.t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びdel17pを含む1つ以上の染色体異常を有し得る。
【0080】
対象は、以下の細胞遺伝学的異常:t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23、又はdel17pのいずれも有さない場合、「標準リスク」として分類され得る。
【0081】
細胞遺伝学的異常は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によって検出され得る。両方の染色体転座において、がん遺伝子は、染色体14q32上のIgH領域に転座され、これらの遺伝子の調節障害がもたらされる。t(4;14)(p16;q32)は、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)及び多発性骨髄腫SETドメイン含有タンパク質(MMSET)(別名、WHSC1/NSD2)の転座を伴い、t(14;16)(q32;q23)は、MAF転写因子C−MAFの転座を伴う。17p欠失(del17p)は、p53遺伝子座の喪失を伴う。
【0082】
対象は、未処置の多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、又は難治性多発性骨髄腫を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、高リスク難治性及び/又は再発性多発性骨髄腫を有する。
【0083】
治療方法は、コルチコステロイド及び非コルチコステロイド化学療法剤を受けている対象と比較して、対象の1つ以上の評価項目(outcome measurement)を改善することができる。例示的な評価項目は、無増悪生存期間、全奏効率、非常に良好な部分奏効若しくはそれ以上(very good partial response or better)、完全奏効若しくはそれ以上(complete response or better)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0084】
これらの方法は、それらの対象において微小残存病変陰性(minimal residual disease-negativity)を達成することができる。微小残存病変陰性状態は、0.01%(10
−4)、0.001%(10
−5)、0.0001%(10
−6)、又はそれらの組み合わせの感度で決定され得る。陰性の微小残存病変(negative minimal residual disease)は、対象由来の骨髄穿刺液試料中の骨髄腫細胞の量を評価することによって検出され得る。
【0085】
抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤は、任意の好都合な時間枠にわたって投与され得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤は、同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤は、任意の順序で順次に投与される。例示的な投与スケジュールとしては、以下が挙げられる。
・ダラツムマブは、サイクル1〜3の場合、週1回(1、8、及び15日目)、サイクル4〜8の間、4週間に1回(1日目)、その後、4週間に1回、16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され得る。ボルテゾミブは、サイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、1.3mg/m
2の用量で皮下(SC)投与され得る。デキサメタゾンは、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量で経口投与され得る。
・ダラツムマブは、サイクル1及び2の間、8週間にわたって週1回(1、8、15、及び22日目)、16週間にわたって2週間に1回(1及び15日目)(サイクル3〜6)、その後、4週間に1回、16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され得る。レナリドミドは、クレアチニンクリアランスが60mL/分を超える場合、各サイクルの1〜21日目に25mgの用量で(又はクレアチニンクリアランスが30〜60mL/分である場合、1日10mgの用量で)経口投与され得、デキサメタゾンは、40mgの用量で週1回投与され得る。ダラツムマブ群について、デキサメタゾンの用量が分割されてもよく、デキサメタゾンは、注入関連反応の予防薬として注入前に20mgの用量で投与されてもよく、20mgが翌日に投与されてもよい。
【0086】
抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤は、任意の形態の放射線療法、例えば、外照射療法、強度変調放射線療法(IMRT)、及び任意の形態の放射線手術、例えば、ガンマナイフ、サイバーナイフ、Linac、及び組織内照射(例えば、放射性シードの埋め込み、GliaSiteバルーン)、並びに/又は外科手術と一緒に投与され得る。
【0087】
抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤は、自家造血幹細胞移植(AHSC)と一緒に投与され得る。
【0088】
対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法
多発性骨髄腫を有する対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法であって、その対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、微小残存病変陰性状態を達成するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法も提供される。
【0089】
微小残存病変陰性状態は、0.01%(10
−4)、0.001%(10
−5)、0.0001%(10
−6)、又はそれらの組み合わせの感度で決定され得る。いくつかの実施形態では、微小残存病変陰性は、対象由来の骨髄穿刺液試料中の骨髄腫細胞の量を評価することによって検出される。
【0090】
微小残存病変陰性状態を達成することに加えて、この方法は、無増悪生存事象も減少させる。
【0091】
対象は、未処置の多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、又は難治性多発性骨髄腫を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、高リスク難治性及び/又は再発性多発性骨髄腫を有する。高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、早期に再発し、不良予後及び転帰を有することが知られている。
【0092】
いくつかの実施形態では、対象は、高リスク多発性骨髄腫を有する。対象は、以下の細胞遺伝学的異常:t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23、又はdel17pのうちの1つ以上を有する場合、「高リスク」として分類され得る。したがって、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、
a.t(4;14)(p16;q32)、
b.t(14;16)(q32;q23)、
c.del17p、
d.t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
e.t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
f.t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
g.t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びdel17pを含む1つ以上の染色体異常を有し得る。
【0093】
治療方法について上で開示される抗CD38抗体のいずれも、多発性骨髄腫を有する対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法で使用され得る。
【0094】
抗CD38抗体は、SKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)を含むヒトCD38の領域及びEKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)を含むヒトCD38の領域に結合し得る。
【0095】
抗CD38抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、軽鎖CDR2配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号5のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。抗CD38抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0096】
抗CD38抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号15のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号15のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、mAb003(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,829,693号に記載される)を含み得る。
【0097】
抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号17のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、mAb024(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,829,693号に記載される)を含み得る。
【0098】
抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号19のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、MOR−202(MOR−03087)(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,088,896号に記載される)を含み得る。
【0099】
抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、イサツキシマブ(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,153,765号に記載される)を含み得る。いくつかの態様では、イサツキシマブのVH及びVLは、IgG1/κとして表され得る。
【0100】
治療方法について上で開示されるコルチコステロイド及び非コルチコステロイド化学療法剤のいずれも、多発性骨髄腫を有する対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法で使用され得る。好適なコルチコステロイドとしては、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチソール)、プレドニゾン、又はデキサメタゾンが挙げられる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドトはデキサメタゾンである。好適な非コルチコステロイド化学療法剤としては、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤が挙げられる。例示的なグルタミン酸誘導体としては、サリドマイド(Thalomid(登録商標))又はサリドマイド類似体、例えば、CC−5013(レナリドミド、Revlimid(商標))、ポマリドミド、又はCC4047(Actimid(商標))が挙げられる。いくつかの実施形態では、グルタミン酸誘導体は、レナリドミドである。好適なプロテアソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。
【0101】
再発及び/若しくは疾患進行の可能性を予測する、又はそのリスクを低下させる方法
多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行の可能性を予測する方法、並びに多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行のリスクを低下させる方法が提供される。
【0102】
多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行の可能性を予測する方法は、
対象における微小残存病変状態を測定することを含み、対象が、抗CD38抗体の治療有効量を受けており、
微小残存病変陽性状態が、再発及び/又は疾患進行の可能性を示す。
【0103】
多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行の可能性を予測する方法は、
対象における微小残存病変状態を測定することを含み、対象が、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を受けており、
微小残存病変陽性状態が、再発及び/又は疾患進行の可能性を示す。
【0104】
多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行のリスクを低下させる方法は、
対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を投与して、微小残存病変陰性状態を達成することを含み、残存病変陰性状態が、再発及び/又は疾患進行のリスクの低下を示す。
【0105】
対象は、未処置の多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、又は再発性及び難治性多発性骨髄腫を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、高リスク難治性、再発性、又は再発性及び難治性多発性骨髄腫を有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、対象は、高リスク多発性骨髄腫を有する。対象は、以下の細胞遺伝学的異常:t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23、又はdel17pのうちの1つ以上を有する場合、「高リスク」として分類され得る。したがって、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、
a.t(4;14)(p16;q32)、
b.t(14;16)(q32;q23)、
c.del17p、
d.t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
e.t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
f.t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
g.t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びdel17pを含む1つ以上の染色体異常を有し得る。
【0107】
治療方法について上で開示される抗CD38抗体のいずれも、多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行の可能性を予測する方法、並びに多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行のリスクを低下させる方法で使用され得る。
【0108】
抗CD38抗体は、SKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)を含むヒトCD38の領域及びEKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)を含むヒトCD38の領域に結合し得る。
【0109】
抗CD38抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、軽鎖CDR2配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号5のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。抗CD38抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0110】
抗CD38抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号15のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号15のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、mAb003(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,829,693号に記載される)を含み得る。
【0111】
抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号17のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、mAb024(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,829,693号に記載される)を含み得る。
【0112】
抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号19のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、MOR−202(MOR−03087)(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,088,896号に記載される)を含み得る。
【0113】
抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVHの重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3、並びに配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含み得る。抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗CD38抗体は、イサツキシマブ(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,153,765号に記載される)を含み得る。いくつかの態様では、イサツキシマブのVH及びVLは、IgG1/κとして表され得る。
【0114】
治療方法について上で開示されるコルチコステロイド及び非コルチコステロイド化学療法剤のいずれも、多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行の可能性を予測する方法、並びに多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行のリスクを低下させる方法で使用され得る。好適なコルチコステロイドとしては、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチソール)、プレドニゾン、又はデキサメタゾンが挙げられる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドトはデキサメタゾンである。好適な非コルチコステロイド化学療法剤としては、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤が挙げられる。例示的なグルタミン酸誘導体としては、サリドマイド(Thalomid(登録商標))又はサリドマイド類似体、例えば、CC−5013(レナリドミド、Revlimid(商標))、ポマリドミド、又はCC4047(Actimid(商標))が挙げられる。いくつかの実施形態では、グルタミン酸誘導体は、レナリドミドである。好適なプロテアソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。
【0116】
実施形態1.多発性骨髄腫を有する対象において微小残存病変陰性状態を達成する方法であって、対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、微小残存病変陰性状態を達成するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法。
【0117】
実施形態2.抗CD38抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、実施形態1に記載の方法。
【0118】
実施形態3.コルチコステロイドが、デキサメタゾンである、実施形態1〜2に記載の方法。
【0119】
実施形態4.非コルチコステロイド化学療法剤が、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤である、実施形態1〜3に記載の方法。
【0120】
実施形態5.グルタミン酸誘導体が、レナリドミドである、実施形態4に記載の方法。
【0121】
実施形態6.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブである、実施形態4に記載の方法。
【0122】
実施形態7.
抗CD38抗体が、28日サイクルで週1回、サイクル1及び2の1、8、15、及び22日目に、28日サイクルで2週間に1回、サイクル3〜6の間1日目及び15日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
レナリドミドが、28日サイクルの1〜21日目に約10mg〜約25mgの間の用量で経口投与され、
デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、実施形態5に記載の方法。
【0123】
実施形態8.
抗CD38抗体が、21日サイクルで週1回、サイクル1〜3の1、8、及び15日目に、21日サイクルで3週間に1回、サイクル4〜8の1日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
ボルテゾミブが、21日サイクルでサイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、約1.3mg/m2の用量で皮下(SC)投与され、
デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、実施形態6に記載の方法。
【0124】
実施形態9.デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、実施形態7に記載の方法。
【0125】
実施形態10.デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、実施形態8に記載の方法。
【0126】
実施形態11.対象が、再発性又は難治性多発性骨髄腫を有する、実施形態1〜10に記載の方法。
【0127】
実施形態12.対象が、高リスク多発性骨髄腫を有する、実施形態1〜11に記載の方法。
【0128】
実施形態13.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32)、
t(14;16)(q32;q23)、
del17p、
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びdel17pを含む1つ以上の染色体異常を有する、実施形態12に記載の方法。
【0129】
実施形態14.微小残存病変陰性状態が、0.01%、0.001%、0.0001%、又はそれらの組み合わせの感度で決定される、実施形態1〜13に記載の方法。
【0130】
実施形態15.抗CD38抗体が、配列番号2を含むヒトCD38の領域及び配列番号3を含むヒトCD38の領域に結合する、実施形態1〜14に記載の方法。
【0131】
実施形態16.抗CD38抗体が、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態1〜15に記載の方法。
【0132】
実施形態17.抗CD38抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態1〜16に記載の方法。
【0133】
実施形態18.抗CD38抗体が、
配列番号14のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、又は
配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの、重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含む、実施形態1〜13に記載の方法。
【0134】
実施形態19.抗CD38抗体が、
配列番号14のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、又は
配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態18に記載の方法。
【0135】
実施形態20.コルチコステロイドが、デキサメタゾン又はプレドニゾンである、実施形態1〜2に記載の方法。
【0136】
実施形態21.微小残存病変陰性が、対象由来の骨髄穿刺液試料中の骨髄腫細胞の量を評価することによって検出される、実施形態1〜20に記載の方法。
【0137】
実施形態22.方法が、無増悪生存事象も減少させる、実施形態1〜21に記載の方法。
【0138】
実施形態23.グルタミン酸誘導体が、レナリドミド、サリドマイド、又はポマリドミドである、実施形態4に記載の方法。
【0139】
実施形態24.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブである、実施形態4に記載の方法。
【0140】
実施形態25.高リスク多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、患者に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を、高リスク多発性骨髄腫を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法。
【0141】
実施形態26.抗CD38抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、実施形態25に記載の方法。
【0142】
実施形態27.コルチコステロイドが、デキサメタゾンである、実施形態25〜26に記載の方法。
【0143】
実施形態28.非コルチコステロイド化学療法剤が、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤である、実施形態25〜27に記載の方法。
【0144】
実施形態29.グルタミン酸誘導体が、レナリドミドである、実施形態28に記載の方法。
【0145】
実施形態30.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブである、実施形態28に記載の方法。
【0146】
実施形態31.
抗CD38抗体が、28日サイクルで週1回、サイクル1及び2の1、8、15、及び22日目に、28日サイクルで2週間に1回、サイクル3〜6の間1日目及び15日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
レナリドミドが、28日サイクルの1〜21日目に約10mg〜約25mgの間の用量で経口投与され、
デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、実施形態29に記載の方法。
【0147】
実施形態32.
抗CD38抗体が、21日サイクルで週1回、サイクル1〜3の1、8、及び15日目に、21日サイクルで3週間に1回、サイクル4〜8の1日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
ボルテゾミブが、21日サイクルでサイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、約1.3mg/m2の用量で皮下(SC)投与され、
デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、実施形態30に記載の方法。
【0148】
実施形態33.デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、実施形態31に記載の方法。
【0149】
実施形態34.デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、実施形態32に記載の方法。
【0150】
実施形態35.抗CD38抗体が、配列番号2を含むヒトCD38の領域及び配列番号3を含むヒトCD38の領域に結合する、実施形態25〜34に記載の方法。
【0151】
実施形態36.抗CD38抗体が、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態25〜35に記載の方法。
【0152】
実施形態37.抗CD38抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態25〜36に記載の方法。
【0153】
実施形態38.抗CD38抗体が、配列番号14のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、又は配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの、重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含む、実施形態25に記載の方法。
【0154】
実施形態39.抗CD38抗体が、
配列番号14のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、又は
配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態38に記載の方法。
【0155】
実施形態40.コルチコステロイドが、デキサメタゾン又はプレドニゾンである、実施形態25に記載の方法。
【0156】
実施形態41.コルチコステロイドが、デキサメタゾンである、実施形態25に記載の方法。
【0157】
実施形態42.非コルチコステロイド化学療法剤が、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤である、実施形態25に記載の方法。
【0158】
実施形態43.グルタミン酸誘導体が、レナリドミド、サリドマイド、又はポマリドミドである、実施形態42に記載の方法。
【0159】
実施形態44.グルタミン酸誘導体が、レナリドミドである、実施形態42に記載の方法。
【0160】
実施形態45.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブである、実施形態42に記載の方法。
【0161】
実施形態46.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブである、実施形態42に記載の方法。
【0162】
実施形態47.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32)、
t(14;16)(q32;q23)、
del17p、
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びdel17pを含む1つ以上の染色体異常を有する、実施形態25に記載の方法。
【0163】
実施形態48.対象が、高リスク難治性又は再発性多発性骨髄腫を有する、実施形態25に記載の方法。
【0164】
実施形態49.方法が、コルチコステロイド及び非コルチコステロイド化学療法剤を受けている対象と比較して、対象の1つ以上の評価項目を改善する、実施形態25に記載の方法。
【0165】
実施形態50.1つ以上の評価項目が、無増悪生存期間、全奏効率、非常に良好な部分奏効若しくはそれ以上、完全奏効若しくはそれ以上、又はこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態49に記載の方法。
【0166】
実施形態51.方法が、対象において微小残存病変陰性を達成する、実施形態25に記載の方法。
【0167】
実施形態52.多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行のリスクを低下させる方法であって、
対象に、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を投与して、微小残存病変陰性状態を達成することを含み、残存病変陰性状態が、再発及び/又は疾患進行のリスクの低下を示す、方法。
【0168】
実施形態53.多発性骨髄腫を有する対象における再発及び/又は疾患進行の可能性を予測する方法であって、
対象における微小残存病変状態を測定することを含み、対象が、抗CD38抗体、コルチコステロイド、及び非コルチコステロイド化学療法剤の治療有効量を受けており、
微小残存病変陽性状態が、再発及び/又は疾患進行の可能性を示す、方法。
【0169】
実施形態54.抗CD38抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、実施形態52〜53のいずれかに記載の方法。
【0170】
実施形態55.コルチコステロイドが、デキサメタゾンである、実施形態52〜54に記載の方法。
【0171】
実施形態56.非コルチコステロイド化学療法剤が、グルタミン酸誘導体又はプロテアソーム阻害剤である、実施形態52〜55に記載の方法。
【0172】
実施形態57.グルタミン酸誘導体が、レナリドミドである、実施形態56に記載の方法。
【0173】
実施形態58.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブである、実施形態56に記載の方法。
【0174】
実施形態59.
抗CD38抗体が、28日サイクルで週1回、サイクル1及び2の1、8、15、及び22日目に、28日サイクルで2週間に1回、サイクル3〜6の間1日目及び15日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
レナリドミドが、28日サイクルの1〜21日目に約10mg〜約25mgの間の用量で経口投与され、
デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、実施形態57に記載の方法。
【0175】
実施形態60.
抗CD38抗体が、21日サイクルで週1回、サイクル1〜3の1、8、及び15日目に、21日サイクルで3週間に1回、サイクル4〜8の1日目に、その後、4週間に1回、約16mg/kgの用量で静脈内注入として投与され、
ボルテゾミブが、21日サイクルでサイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、約1.3mg/m2の用量で皮下(SC)投与され、
デキサメタゾンが、週1回、約20mg〜約40mgの間の用量で投与される、実施形態58に記載の方法。
【0176】
実施形態61.デキサメタゾンが、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量でIV又はPO投与される、実施形態55〜60に記載の方法。
【0177】
実施形態62.対象が、再発性又は難治性多発性骨髄腫を有する、実施形態52〜61に記載の方法。
【0178】
実施形態63.対象が、高リスク多発性骨髄腫を有する、実施形態52〜62に記載の方法。
【0179】
実施形態64.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32)、
t(14;16)(q32;q23)、
del17p、
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びdel17pを含む1つ以上の染色体異常を有する、実施形態63に記載の方法。
【0180】
実施形態65.抗CD38抗体が、配列番号2を含むヒトCD38の領域及び配列番号3を含むヒトCD38の領域に結合する、実施形態52〜64に記載の方法。
【0181】
実施形態66.抗CD38抗体が、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態52〜65に記載の方法。
【0182】
実施形態67.抗CD38抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態52〜66に記載の方法。
【0183】
実施形態68.抗CD38抗体が、
配列番号14のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、又は
配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLの、重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3を含む、実施形態52〜64に記載の方法。
【0184】
実施形態69.抗CD38抗体が、
配列番号14のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号16のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVL、
配列番号18のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVL、又は
配列番号20のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号21のアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態68に記載の方法。
【0185】
実施形態70.コルチコステロイドが、デキサメタゾン又はプレドニゾンである、実施形態52〜54に記載の方法。
【0186】
実施形態71.グルタミン酸誘導体が、レナリドミド、サリドマイド、又はポマリドミドである、実施形態56に記載の方法。
【0187】
実施形態72.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブである、実施形態56に記載の方法。
【実施例】
【0188】
本明細書に開示した実施形態のいくつかを更に説明するために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、例示を目的とするものであって、本開示の実施形態を制限するものではない。
【0189】
実施例1.研究デザインNCT02136134(CASTOR)
本研究の目的は、VELCADE(登録商標)(ボルテゾミブ)及びデキサメタゾンのみと比較して、VELCADE(登録商標)(ボルテゾミブ)及びデキサメタゾンと組み合わせたときのダラツムマブの投与の、再発性又は難治性多発性骨髄腫を有する参加者への効果を評価することである。本研究は、多施設無作為化非盲検実薬対照第3相試験であった。事前特定中間分析については、Palumpo et al.,NEJM 375:754−66,2016に記載されている。本研究の臨床試験番号は、NCT02136134である。
【0190】
適格性
多発性骨髄腫の少なくとも1つの前治療を受けたことがあり、かつその少なくとも1つの前治療に少なくとも部分奏効を示した、確認された進行性多発性骨髄腫(国際骨髄腫ワーキンググループIMWG基準に従う)を有する患者が適格であった。
【0191】
除外基準
ダラツムマブ又は他の抗CD38療法を以前に受けていた患者、ボルテゾミブに不応性であるか、又はボルテゾミブの許容できない副作用を有した患者、1000細胞/mm
3未満の好中球数、7.5g/dL未満のヘモグロビン、75,000/mm
3未満の血小板数、1.73m
2体表面積当たり20mL/分未満のクレアチニンクリアランス、正常範囲の上限の2.5倍又はそれ以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベル、及び正常範囲の上限の1.5倍又はそれ以上のビリルビンレベルを有した患者、別のプロテアソーム阻害剤に不応性の疾患を有した患者、又はグレード2又はそれ以上の末梢神経障害若しくは神経障害性疼痛を有した患者を本研究から除外した。
【0192】
試験治療
498名の患者を1:1の比率で無作為に割り当て、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd、「ダラツムマブ群」)又はボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd、「対照群」)を与えた。無作為化を、国際病期分類システム(ISS)、前治療プログラムの数(1対2又は3対3超)、及び以前のVELCADE(登録商標)治療(「いいえ」対「はい」)によって層別した。
【0193】
ダラツムマブを、サイクル1〜3の場合、週1回(1、8、及び15日目)、サイクル4〜8の間、3週間に1回(1日目)、その後、4週間に1回、16mg/kgの用量で静脈内注入として投与した。VELCADE(登録商標)を、サイクル1〜8の1、4、8、及び11日目に、1.3mg/m
2の用量で皮下(SC)投与した。デキサメタゾンを、1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mg、1サイクル当たり160mgの総用量で経口投与した。
【0194】
一次評価項目
無作為化を行った日から疾患進行又は死(いずれか先に起こった方)が発生した日までの期間として定義する、無増悪生存期間(PFS)。
【0195】
二次評価項目
疾患進行までの期間(TTP)、全奏効率(ORR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)又はそれ以上を示す患者の割合、奏効持続期間、奏効までの期間、及び全生存期間(OS)。TTPを、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)基準に定義される、無作為化を行った日から進行の兆候を最初に確認した日までの期間として定義する。全奏効率を、IMWG基準による、厳密な完全奏効(sCR)、完全奏効、非常に良好な部分奏効(VGPR)、又は部分奏効(PR)として定義する。奏効持続期間を、IMWG基準に定義される、奏効を最初に確認した日から進行性疾患の兆候を最初に確認した日までとして計算する。奏効までの期間を、研究治療の最初の投与日から奏効の観察を最初に確認した日までとして定義する。VGPRを、24時間当たり100mg未満で血中骨髄腫タンパク質(M−タンパク質)及び尿中骨髄腫タンパク質の90%超の減少として定義する。OSを、無作為化を行った日から参加者の死が発生した日までとして測定する。
【0196】
加えて、VGPR以上を達成する参加者における微小残存病変(MRD)を有する参加者の割合を、骨髄穿刺検体の分析によって評価する。
【0197】
安全性評価
安全性評価には、有害事象、臨床検査室検査、バイタルサイン、及び心電図記録の評価が含まれる。有害事象を米国国立がん研究所有害事象共通用語規準バージョン4.03に従ってグレード分類した。
【0198】
統計データ
1つの事前特定中間分析を用いた群逐次デザインを使用して、プライマリーエンドポイントを評価した。プライマリーエンドポイントの中間分析時のO’Brien−Fleming中止境界値を、データカットオフ日に観察された事象の数に基づいて、Lan−DeMetsアルファ消費関数を使用して計算した。有効性分析は、無作為化を受けた全ての患者を含む、治療企図集団に基づいた。セカンダリーエンドポイントを、層別lorank検定を使用して、DVdとVdとの間で比較した。ハザード比及び対応する95%信頼区間を、層別Cox回帰モデルを使用して推定し、唯一の説明変数として扱った。カプラン・マイヤー法を使用して、分布を推定した。層別Cochran−Mantel−Haenszelカイ二乗検定を使用して、群間差を試験した。
【0199】
2016年1月11日のデータカットオフ日の中間結果
データカットオフ日の時点で、DVd群の243名の患者及びVd群の237名の患者が少なくとも1用量の試験治療を受けていた。DVd群の74名の患者及びVd群の104名の患者が、進行性疾患又は有害事象のため、治療を中断していた。これらの2つの群の治療企図患者における患者の人口動態、疾患、及び臨床的特徴を表1に示す。国際病期分類システム(ISS)病期分類は、血清β2−マイクログロブリンとアルブミンとの組み合わせに基づいて導き出されたものである。ISSは、3つのステージ、すなわち、ステージI(1リットル当たり3.5mg(1リットル当たり300nmol)未満の血清β2−マイクログロブリンレベル及び1デシリットル当たり3.5g又はそれ以上のアルブミンレベル)、ステージII(ステージIでもステージIIIでもない)、及びステージIII(1リットル当たり5.5mg(1リットル当たり470nmol)又はそれ以上の血清β2−マイクログロブリン)からなる。より高いステージは、より重度の疾患を示す。
【0200】
有効性
全奏効率は、DVd群では82.9%であり、Vdでは63.2%であった(p<0.001)。表2は、奏効について評価することができた患者間の奏効の要約を示す。
【0201】
【表1】
【0202】
【表2】
【0203】
安全性
DVd群及びVd群の大半の患者は、治療開始後に少なくとも1つの有害事象を有した(それぞれ、98.8%及び95.4%)。グレード3又は4有害事象がDVd群においてVd群よりも高率で観察された(76.1%対62.4%)。DVd群及びVd群で報告された最も一般的なグレード3又は4有害事象のうちの3つは、血小板減少症(それぞれ、45.3%及び32.9%)、貧血症(それぞれ、14.4%及び16.0%)、及び好中球減少症(それぞれ、12.8%及び4.2%)であった。
【0204】
少なくとも1つの有害事象のため治療を中断した患者の割合は、DVd群及びVd群で同様であった(それぞれ、7.4%及び9.3%)。治療中断に至った最も一般的な有害事象(いずれかの群の患者の少なくとも1%に生じる)は、末梢感覚神経障害(それぞれ、0.4%及び2.5%)及び肺炎(それぞれ、1.2%及び0.4%)であった。死に至った有害事象は、DVd群では13名の患者(5.3%)、Vd群では14名の患者(5.9%)に報告され、これらの事象は、主に患者の身体健康の一般的な悪化の結果であった(それぞれ、0.4%及び1.3%)。いずれかの治療群の2名又は3名以上の患者に報告された死に至った他の有害事象は、肺炎(DVd群では1名の患者、Vd群では2名の患者)、虚血性脳卒中(それぞれ、2名の患者及び0名の患者)、及び呼吸不全(それぞれ、2名の患者及び0名の患者)であった。免疫原性の症例はDVd群では報告されず、溶血の症例はいずれの治療群にも報告されなかった。ダラツムマブに関連したいずれかのグレードの注入関連反応が患者の45.3%に報告され、これらの患者の98.2%では、事象は最初の注入中に生じた。注入関連反応は主にグレード1又は2事象に限定され、少なくとも1つのグレード3事象が21名の患者(8.6%)に報告され、グレード4事象は報告されなかった。注入関連反応として治験責任医師によって確認された最も一般的な有害事象項は、呼吸困難(10.7%)、気管支痙攣(9.1%)、及び咳(7.0%)であった。2名の患者が注入関連反応のため治療を中断され、一方の患者には気管支痙攣が生じ、他方の患者には気管支痙攣、喉頭水腫、及び発疹が生じた。
【0205】
実施例2.研究デザインNCT02076009(POLLUX)
本研究の目的は、レナリノミド及びデキサメタゾンのみと比較して、レナリノミド及びデキサメタゾンと組み合わせたときのダラツムマブの投与の、再発性又は難治性多発性骨髄腫を有する参加者への効果を評価することであった。本研究は、多施設無作為化非盲検実薬対照第3相試験であった。事前特定中間分析については、Dimopoulos et al.,NEJM 375:1319−312016に記載されている。本研究の臨床試験番号は、NCT02076009である。
【0206】
適格性
多発性骨髄腫の少なくとも1つの前治療を受けたことがあり、かつその少なくとも1つの前治療に少なくとも部分奏効を示した、確認された進行性多発性骨髄腫(国際骨髄腫ワーキンググループIMWG基準に従う)を有する患者が適格であった。
【0207】
除外基準
ダラツムマブ又は他の抗CD38療法を以前に受けていた患者、レナリノミドに不応性であるか、又はレナリノミドの許容できない副作用を有した患者、1000細胞/mm
3未満の好中球数、7.5g/dL未満のヘモグロビン、75,000/mm
3未満の血小板数、1.73m
2体表面積当たり20mL/分未満のクレアチニンクリアランス、正常範囲の上限の2.5倍又はそれ以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベル、及び正常範囲の上限の1.5倍又はそれ以上のビリルビンレベル、又は30mL/分未満のクレアチニンクリアランスを有した患者を除外した。
【0208】
試験治療
患者を1:1の比率で無作為に割り当て、ダラツムマブ、レナリノミド、及びデキサメタゾン(DRd、「ダラツムマブ群」)又はレナリノミド及びデキサメタゾン(Rd、「対照群」)を与えた。無作為化を、国際病期分類システム(ISS)、前治療プログラムの数(1対2又は3対3超)、及び以前のレナリノミド治療(「いいえ」対「はい」)によって層別した。
【0209】
ダラツムマブを、サイクル1及び2の間、8週間にわたって週1回(1、8、15、及び22日目)、16週間にわたって2週間に1回(1及び15日目)(サイクル3〜6)、その後、4週間に1回、16mg/kgの用量で静脈内注入として投与した。両群に、クレアチニンクリアランスが60mL/分を超える場合、レナリドミドを各サイクルの1〜21日目に25mgの用量で(又はクレアチニンクリアランスが30〜60mL/分である場合、1日10mgの用量で)経口投与し、デキサメタゾンを40mgの用量で週1回投与した。DRd群について、デキサメタゾンの用量を分割し、デキサメタゾンを注入関連反応の予防薬として注入前に20mgの用量で投与し、20mgを翌日に投与した。
【0210】
一次評価項目
無作為化を行った日から疾患進行又は死(いずれか先に起こった方)が発生した日までの期間として定義する、無増悪生存期間(PFS)。
【0211】
二次評価項目
疾患進行までの期間(TTP)、全奏効率(ORR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)又はそれ以上を示す患者の割合、奏効持続期間、奏効までの期間、及び全生存期間(OS)。TTPを、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)基準に定義される、無作為化を行った日から進行の兆候を最初に確認した日までの期間として定義する。全奏効率を、IMWG基準による、厳密な完全奏効(sCR)、完全奏効、非常に良好な部分奏効(VGPR)、又は部分奏効(PR)として定義する。奏効持続期間を、IMWG基準に定義される、奏効を最初に確認した日から進行性疾患の兆候を最初に確認した日までとして計算する。奏効までの期間を、研究治療の最初の投与日から奏効の観察を最初に確認した日までとして定義する。VGPRを、24時間当たり100mg未満で血中骨髄腫タンパク質(M−タンパク質)及び尿中骨髄腫タンパク質の90%超の減少として定義する。OSを、無作為化を行った日から参加者の死が発生した日までとして測定する。
【0212】
加えて、VGPR以上を達成する参加者における微小残存病変(MRD)を有する参加者の割合を、骨髄穿刺検体の分析によって評価する。
【0213】
統計データ
1つの事前特定中間分析を用いた群逐次デザインを使用して、プライマリーエンドポイントを評価した。プライマリーエンドポイントの中間分析時のO’Brien−Fleming中止境界値を、データカットオフ日に観察された事象の数に基づき、Lan−DeMetsアルファ消費関数を使用して計算した。有効性分析は、無作為化を受けた全ての患者を含む、治療企図集団に基づいた。セカンダリーエンドポイントを、層別lorank検定を使用して、DRdとRdとの間で比較した。ハザード比及び対応する95%信頼区間を、層別Cox回帰モデルを使用して推定し、唯一の説明変数として扱った。カプラン・マイヤー法を使用して、分布を推定した。層別Cochran−Mantel−Haenszelカイ二乗検定を使用して、群間差を試験した。
【0214】
2016年3月7日のデータカットオフ日の中間結果
データカットオフ日の時点で、DRd群の286名の患者及びRd群の283名の患者が少なくとも1用量の試験治療を受けていた。DRd群の66名の患者及びRd群の132名の患者が、主に進行性疾患又は有害事象のため、治療を中断していた。これらの2つの群の治療企図患者における患者の人口動態、疾患、及び臨床的特徴を表3に示す。国際病期分類システム(ISS)病期分類は、血清β2−マイクログロブリンとアルブミンとの組み合わせに基づいて導き出されたものである。ISSは、3つのステージ、すなわち、ステージI(1リットル当たり3.5mg(1リットル当たり300nmol)未満の血清β2−マイクログロブリンレベル及び1デシリットル当たり3.5g又はそれ以上のアルブミンレベル)、ステージII(ステージIでもステージIIIでもない)、及びステージIII(1リットル当たり5.5mg(1リットル当たり470nmol)又はそれ以上の血清β2−マイクログロブリン)からなる。より高いステージは、より重度の疾患を示す。
【0215】
【表3】
【0216】
有効性
フォローアップ中央値13.5ヶ月時点で、疾患進行又は死の合計169の事象が(DRd群では53名の患者[18.5%]に対して、Rd群では116名の患者[41.0%]に)報告された。DRd群対Rd群の疾患進行又は死のハザード比は、0.37であった(95%信頼区間[CI]、0.27〜0.52、P<0.001(層別ログランク検定による))。12ヶ月時点でのカプラン・マイヤー無増悪生存率は、DRd群では83.2%(95%CI、78.3〜87.2)、Rd群では60.1%(95%CI、54.0〜65.7)であった。無増悪生存期間中央値は、Rd群の18.4ヶ月(95%CI、13.9〜推定不能)と比較して、DRd群では達成されなかった(95%CI、推定不能)。同様に、疾患進行事象までの期間分析では、合計148の事象が(DRd群では44名の患者[15.4%]に対して、Rd群では104名の患者[36.7%]に)観察された(ハザード比:0.34、95%CI、0.23〜0.48、P<0.001)。12ヶ月時点での無増悪生存率は、Rd群の63.2%(95%CI、57.1〜68.8)と比較して、DRd群では85.7%(95%CI、80.9〜89.4)であった。表4は、奏効について評価することができた患者間の奏効の要約を示す。
【0217】
【表4】
【0218】
安全性
安全性集団について治療中のいずれかのグレードの最も一般的な有害事象(いずれかの群の患者の15%超)及びグレード3又は4の有害事象(いずれかの群の患者の5%超)は、好中球減少症、貧血症、血小板減少症、発熱性好中球減少症、リンパ球減少症、下痢、疲労、上気道感染症、便秘、咳、筋痙攣、鼻咽頭炎、嘔気、発熱、不眠症、呼吸困難、背痛、嘔吐、無力症、末梢浮腫、及び肺炎であった。DRd群対Rd群において10%又はそれ以上の頻度で生じた有害事象は、好中球減少症、下痢、上気道感染症、及び咳であり、これらの大半は、DRd群の治療へのより長期の曝露に起因した。深部静脈血栓症がDRd群の患者の1.8%及びRd群の患者の3.9%に報告された。Rd群の37.0%と比較して、DRd群では、患者の51.9%が、グレード3又は4の好中球減少症を有した。グレード3又は4の血小板減少症が、それぞれ、患者の12.7%及び13.5%に生じた。治療中断に至った有害事象を有した患者の割合は、これらの2つの群で同様であり、DRd群では6.7%であり、Rd群では7.8%であった。死に至った有害事象が、DRd群では11名の患者(3.9%)、Rd群では15名の患者(5.3%)に生じた。死に至った最も一般的な有害事象は、急性腎損傷(DRd群では患者の0.4%、Rd群では患者の1.1%)、敗血性ショック(それぞれ、1.1%及び0.4%)、及び肺炎(各群0.7%)であった。
【0219】
いずれかのグレードのダラツムマブ注入関連反応の発生率は47.7%であり、この反応の92%が最初の注入中に生じた。これらの反応は、主にグレード1又は2のものであり、合計15名の患者(5.3%)がグレード3の注入反応を有し、グレード4又は5の事象を有した患者はいなかった。最も一般的な注入関連反応は、咳(患者の8.5%)、呼吸困難(8.5%)、及び嘔吐(5.7%)であった。1名の患者がグレード3の注入関連事象のためダラツムマブを中断したが、回復し、レナリドミド及びデキサメタゾン治療を受け続けた。
【0220】
実施例3.高リスク患者における再発性又は難治性多発性骨髄腫患者(RRMM)におけるレナリドミド及びデキサメタゾン又はボルテゾミブ及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの有効性
方法
分析セットは、1〜3ラインの前治療(1〜3PL亜群)を受けたPOLLUX試験(実施例2)及びCASTOR試験(実施例1)からの患者の亜群分析を含んだ。細胞遺伝学的異常を、無作為化前のスクリーニング来院時に、現地検査室評価に基づいて、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によって決定した。高リスク細胞遺伝学的異常を有する患者には、以下の異常:t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23、又はdel17pのうちの1つ以上を有した患者が含まれた。標準リスク患者を、細胞遺伝学的検査を受け、高リスク基準を満たさなかった者として定義した。
【0221】
結果:POLLUX
1〜3PL亜群(DRd:n=272、Rd:n=264)において、PFSがRdよりもDRdで有意に改善され(中央値:未到達[NR]対18.4ヶ月、HR、0.36、95%CI、0.25〜0.50、P<0.0001)、12ヶ月PFS率は、それぞれ、83.2%対60.4%と推定された。進行までの期間も、DRdでRdよりも有意に長く(中央値:NR対18.4ヶ月、HR:0.32、95%CI、0.22〜0.46、P<0.0001)。ORR(94%対77%)、非常に良好な部分奏効(VGPR)又はそれ以上の率(76%対45%)、及び完全奏効(CR)又はそれ以上の率(44%対20%)も、それぞれ、DRdでRdよりも有意に高かった(全てP<0.0001)。レスポンダー間で、VGPR又はそれ以上までの期間中央値は、DRd群では2.8ヶ月、これに対してRd群では2.9ヶ月であり、CR又はそれ以上までの期間中央値は、それぞれ、6.7ヶ月対7.5ヶ月であった。
【0222】
高リスク細胞遺伝学的異常を有する1〜3PL亜群における患者について(各治療群n=33)、DRdでRdよりも有意に長いPFSが観察された(中央値:NR対8.3ヶ月、HR:0.30、95%CI、0.14〜0.67、P=0.0019)。有意に高いORR(91%対69%、P=0.0267)、VGPR又はそれ以上の率(73%対28%、P=0.0004)、及びCR又はそれ以上の率(36%対9%、P=0.0104)が、それぞれ、DRdで治療した高リスク細胞遺伝学的状態を有した患者でRdの場合に対して達成された。
【0223】
図1は、各亜群における無増悪で生存している対象の割合を経時的に示す。
【0224】
結果:CASTOR
フォローアップ中央値は7.4ヶ月であった。1〜3ラインの前治療(1〜3PL)亜群(DVd:n=229、Vd:n=219)において、DVdでPFSがVdよりも有意に長く(中央値:未到達[NR]対7.3ヶ月、HR:0.39、95%CI、0.28〜0.55、P<0.0001)、12ヶ月PFS率は、それぞれ、62.2%対29.3%と推定された。1〜3PL患者間の進行までの期間(TTP)中央値は、それぞれ、NR対7.4ヶ月であった(HR:0.29、95%CI、0.20〜0.43、P<0.0001)。全奏効率(ORR)は、DVdでVdよりも有意に高く(84%対67%、P<0.0001)、非常に良好な部分奏効(VGPR)又はそれ以上のより高い率に関連した(62%対32%、P<0.0001)。
【0225】
標準リスク細胞遺伝学的状態を有した1〜3PL患者間で、PFSがDVdでVdよりも有意に長く(HR:0.38、95%CI、0.25〜0.58、P<0.0001)、12ヶ月PFS率は、それぞれ、58.7%対27.0%と推定された。PFSも、DVdを受けた高リスク細胞遺伝学的異常を有する患者においてVdの場合よりも有意に長く(HR:0.46、95%CI、0.22〜0.97、P=0.0367)、12ヶ月PFS率は、それぞれ、63.2%対26.7%と推定された。最後に、MRD陰性患者の率は、1〜3PL亜群間で、全ての評価閾値(10
−4、10
−5、及び10
−6)で有意に高かった(4倍又はそれ以上)。
【0226】
図2は、各亜群における無増悪で生存している対象の割合を経時的に示す。
【0227】
結論
DARAのRdへの追加により、高リスク細胞遺伝学的異常を有したRRMM患者における転帰が有意に改善され、DARAのVdへの追加は、これらの患者におけるPFS及び奏効率の改善への有望な傾向を示した。注目すべきことに、DRdで治療した高リスク患者におけるPFSの転帰は、Rdのみで治療した標準リスク患者におけるPFSの転帰に少なくとも匹敵した。これらの結果は、Rdと組み合わせてCD38を標的とすることが、高リスク細胞遺伝学的状態に関連した不良転帰の打開の助けとなり得ることを示唆する。
【0228】
実施例4.MRD分析
MRD試料収集及び処理
POLLUX研究では、MRD状態を、この奏効を維持した対象について、疑わしいCRの時点で、並びに疑わしいCR後3ヶ月及び6ヶ月時点で評価した(治療コホートに対して盲検)。CASTOR研究では、MRDを、疑わしいCRの時点で評価し(治療コホートに対して盲検)、MRD陰性に達した対象の場合、追加の分析をVdバックグラウンド療法終了時(研究療法開始の6ヶ月後)に、及び最後にVdバックグラウンド療法終了の6ヶ月後(研究療法開始の開始の12ヶ月後)に行った。MRDアッセイを、骨髄穿刺液(BMA)を使用して行い、ClonoSEQ(商標)アッセイ(Adaptive Biotechnologies,Seattle,WA,USA)によって評価した。簡潔には、骨髄単核細胞を、収集の48時間以内に、Covance Central Laboratory Services(Indianapolis,IN,U.S.A、Geneva,Switzerland、Singapore)で、Lymphoprep(Ficoll)分離によって2〜3mLのBMAから単離した。細胞を乾燥ペレットとして−70℃で保管した。Lymphoprep単離が典型的には試料中の顆粒球の95%超を除去するが、この試料を赤血球(RBC)溶解によって処理した場合にこれらの細胞が保持されることに留意されたい。正常な骨髄では、顆粒球は細胞画分の25〜50%を占め、Lymphoprep分離は、分析する試料中の総細胞数を不釣合に減少させる。これは、RBC溶解を使用する他の研究が、2倍高い共通項を有し、POLLUX研究及びCASTOR研究におけるMRD決定よりも厳密ではないため、これらの研究においてMRD陰性率の差につながり得る。
【0229】
ゲノムDNAを単離し、IGH完全(IGH−VDJH)、IGH不完全(IGH−DJH)、及び免疫グロブリンκ遺伝子座(IGK)の一組の多重化遺伝子座特異的プライマーセットを使用して増幅した。増幅産物を配列決定に供し、試料中の異なるクローン型の配列及び頻度を得た。診断時に得た試料中の遺伝子再編成のための骨髄腫クローンを定義するために、5%の頻度閾値(すなわち、5%超の頻度で存在したいずれのクローン型も骨髄腫クローンに由来するとみなした)を適用した。高頻度骨髄腫クローンを有する臨床試料におけるMRDを、IGH−VDJH、IGH−DJH、及び/又は以前に説明されているIGKアッセイ(Vij R,Mazumder A,Klinger M,et al.Deep sequencing reveals myeloma cells in peripheral blood in majority of multiple myeloma patients.Clin Lymphoma Myeloma Leuk.2014;14:131−139)を使用して評価した。診断時に特定された骨髄腫由来の配列を、分析した対象毎のフォローアップ試料におけるMRDの存在を評価するための標的として使用した。MRD定量化のために、複数の配列決定リードを反応物中の再編成されたB細胞毎に評価した。試料中の総がん由来分子の絶対量を決定した時点で、最終MRD測定値を計算し、100万細胞当量当たりのがん由来の分子の数を得た。2つ以上の腫瘍クローンが存在した場合、最も高いMRD値を有するクローンを報告した。
【0230】
データ分析法
臨床データ
POLLUX研究及びCASTOR研究の臨床カットオフ日からの入力データセットをこの分析に使用した。全てのデータ分析及び関連グラフの生成を、Rソフトウェアのみを使用して行った。分析集団は、全ての無作為化対象を含んだITT集団であった。この分析で報告された最良奏効は、IMWG奏効及び疾患進行基準に従うコンピュータアルゴリズムによる最良確認奏効であった。
【0231】
MRDデータ
MRDデータの技術的側面
各対象由来のベースライン診断用試料を使用して、5%超の頻度で存在した骨髄腫クローンを特徴付けた。高頻度の骨髄腫クローンを特定することができなかった場合、試料は較正失敗であった。POLLUX研究及びCASTOR研究において、それぞれ、75%及び77%の較正率が、これらのMM対象におけるスクリーニング時に収集したBMA試料を使用したMRDアッセイで観察された(表5)。これらの試料が再発性又は難治性MM対象由来であるという事実が、新たに診断されたMM対象試料で観察された較正率よりも高い較正率に寄与することができた。加えて、これらの研究が、再発性又は難治性MM対象の世界的研究におけるMRDの最初の前向き評価に相当するため、この較正率は、学術研究状況下に対して現実世界での技術適用の反映であり得る。
【0232】
【表5】
【0233】
MRD状態を10
−4、10
−5、及び10
−6の感度閾値で決定した。重要なことには、それぞれ、少なくとも10,000、100,000、及び1,000,000の細胞インプット当量の厳密な基準が、各閾値でのMRD状態の決定に必要である。POLLUX研究及びCASTOR研究の両方における試料のサブセットについて、インプット細胞数は、10
−5又は10
−6の必要な閾値に達せず、それ故に、MRDコールは、「MRD曖昧性」として定義され、評価した閾値での試料においてMRD陽性としてカウントした(表6)。
【0234】
MRDデータ処理
MRD状態コール、総インプット細胞当量、及びクローンカウントデータを臨床データカットオフ日から得た。総インプット細胞当量、クローンカウントデータ、並びにクローン頻度を含む個々の受容体についてのMRDデータは、供給業者(Adaptive Biotechnologies)から提供されたものであり、これをCyberlabデータレポジトリに保存した。
【0235】
供給業者によって提供されたクローンカウント及び頻度を以下のように計算した。
【0236】
【数1】
(式中、分子は、がんB細胞数を表し、分母は、総細胞数(=がんB細胞+B細胞+非B細胞)を表す)
【0237】
【数2】
(式中、分子は、がんB細胞数を表し、分母は、総B細胞数(=がんB細胞+B細胞)を表す)
【0238】
再試験した試料のデータを、供給業者による説明書に従って、頻度を平均化し、クローンカウントを合計することによって要約した。
【0239】
各MRD評価試料について、MRD状態コールが、3つの異なる試料の検出限界閾値(10
−4、10
−5、又は10
−6)毎に、「MRD陰性」、「MRD陽性」、又は「MRD曖昧性」のいずれかであると決定した。検出したクローン数が1未満であり、かつインプット細胞数が検出限界閾値(10
−4、10
−5、又は10
−6のうちのいずれか)以上であった場合、「MRD陰性」の試験結果を得た。検出したクローン数が1以上であるか、又はITT集団においてMRD評価なしであった場合、「MRD陽性」の試験結果を得た。検出したクローン数が1未満であったが、総インプット細胞当量が(10
−4、10
−5、又は10
−6のいずれかの)必要な感度レベルに達しなかった場合、「MRD曖昧性」の試験結果を得た。
【0240】
亜群間でMRD陰性カウントを比較した場合、MRDコールをMRD陰性又はMRD陽性に二分し、MRD陽性には、試験され、かつ全ての時点で陽性であるか、又は曖昧性と認められた対象、又は試験されなかった対照を含めた。
【0241】
【表6】
【0242】
結果
一次MRD結果
簡潔には、ITT集団について、DRd群は、Rd群と比較してより高いMRD陰性発生率を示した。DRd群の対象の29パーセント(29%)が10
−4の閾値でMRD陰性状態を達成したのに対して、Rd群では7.8%であった(Mantel−Haenszelオッズ比=4.88、95%CI:2.94、8.08、p=<0.0001)。同様に、CASTOR研究の場合、DVdで治療した対象は、Vdで治療した対象(3%)と比較して、より高いMRD陰性発生率(14%)を示した(Mantel−Haenszelオッズ比推定値=5.56、95%CI:2.37、13.04、p=<0.0001)。探索的分析として、MRD率を2つのより厳密な閾値、10
−5及び10
−6でも評価した。POLLUX研究では、MRD陰性率は、両方のより低い閾値でRd群の対照と比較してDrd群の対象において有意に高かった。CASTOR研究では、DVdは、両方のより低い閾値でVdと比較してMRD陰性率の増加を有したが、10
−5閾値でのみ有意であった。
【0243】
全最良確認奏効コール及びMRD状態
POLLUX研究の場合、Rdで治療した対象と比較してDRdで治療した対象に、CASTOR研究の場合、Vdで治療した対象と比較してDVdで治療した対象に、奏効に統計的に有意な改善が観察された。
【0244】
POLLUX研究及びCASTOR研究におけるダラツムマブ組み合わせ群でのより高いORR(データ示さず)に加えて、より高いMRD陰性状態発生率が両研究におけるダラツムマブ組み合わせ群で検出された(
図3)。POLLUX研究では、DRdで治療した場合、sCR又はCRの最良確認臨床応答を示した75名の対象(ITTの26%)(それぞれ、38名及び37名の対象)が、10
−4の閾値でMRD陰性状態に達した。Rd治療群において、sCR又はCRの最良確認臨床応答を示した20名の対象(ITTの7%)(各々10名の対象)が、10
−4でMRD陰性に達した(表7)。
【0245】
CASTOR研究では、DVdで治療した場合、sCR又はCRの最良確認臨床応答を示した25名の対象(ITTの10%)(それぞれ、5名及び20名)が、10
−4でMRD陰性状態に達した。Vdで治療した場合、10
−4閾値でのMRD陰性が、sCR又はCRの最良確認臨床応答を示した7名の対象(ITTの3%)(それぞれ、3名及び4名の対象)に観察された(表7)。両研究において10
−5及び10
−6感度閾値で、MRD陰性カウントが減少した。ダラツムマブを含むレジメンは、バックグラウンド療法にかかわらず、対照群と比較してMRD陰性率の3倍又はそれ以上の増加を一貫して示した。
【0246】
【表7】
【0247】
経時的な微小残存病変
POLLUX研究では、MRD評価を、この奏効を維持した対象について、疑わしいCRの時点で、並びに疑わしいCR後3ヶ月及び6ヶ月時点で行った(治療コホートに対して盲検)。CASTOR研究では、ITT集団における対象のMRDを、疑わしいCRの時点で(治療コホートに対して盲検)、Vdバックグラウンド療法終了時(研究開始の6ヶ月後)に、及びVdバックグラウンド療法の6ヶ月後(研究開始の12ヶ月後)に評価した。経時的なMRD評価により、臨床応答に関してMRD奏効の深さ及び持続期間の治験が可能になった(データ示さず)。
【0248】
両研究に見られるように、疑わしいCRを示した対象におけるMRDを評価し、これらの治療群においてMRD陰性状態が、CR又はsCRへの臨床応答変化と同時に対象の過半数に観察された。部分奏効(PR)、安定した疾患(SD)、又は最小奏効(MR)の臨床応答を示した限られた数の対象由来の骨髄試料を、不注意にも、VGPR以上の奏効を示した対象を対象としたMRD分析のために発送した。予想したとおり、これらの対象はMRD陽性を示したが、ダラツムマブ組み合わせ群(DRd及びDVd)の各々で1名の対象由来の1つの試料は例外であった。
【0249】
MRD陰性状態を示したが、最良臨床応答がVGPR未満であったPOLLUX研究におけるこの1名の対象は、ベースライン形質細胞腫に罹患しており、36%の最大減少を達成した。VGPR奏効が治験責任医師によって評価されたにもかかわらず(データ示さず)、中心アルゴリズムによる最良奏効はMRであった。MRD陰性のより低い閾値(10
−5及び10
−6)では、この対象は、MRD陽性であった(データ示さず)。
【0250】
MRD陰性状態を達成したCASTOR研究におけるこの1名の対象の更なる評価により、スクリーニング時に特定されたインデックスクローンがMRD陰性状態に低下した(骨髄細胞の81.9%から0.4%まで)が、スクリーニング時に低レベルで存在した非関連骨髄腫クローンが検査時に優性になった(7%)ことが明らかになった。これは、この対象が治験責任医師及び中心アルゴリズムによる現在の奏効として進行性疾患を有したが、10
−4の階層的閾値でMRD陰性としてカウントされる理由を説明する(データ示さず)。MRD陰性のより低い閾値(10
−5及び10
−6)では、この対象は、MRD陽性であった(データ示さず)。
【0251】
MRD状態及び無増悪生存期間
治療群のいずれかでMRD陰性状態を達成した対象は、試験した3つ全ての閾値でMRD陽性対象と比較してより少ないPFS事象を経験した(POLLUXの場合、
図4A、
図4B、及び
図4C、CASTORの場合、
図5A、
図5B、及び
図5C)。MRD陽性のままであった対象のうち、両研究において、標準治療レジメン、Rd、及びVdと比較してダラツムマブ組み合わせ群のPFSの改善が観察された。
【0252】
MRD状態及び前治療のライン
POLLUX研究において、最大4ラインの前治療を受けたDRdで治療した対象が、10
−4でMRD陰性状態に達し、1ラインの前治療を受けた対象が最も高い率であった(n=41、14.3%ITT、表8)。Rdで治療した場合、前治療のラインの各々においてより低い率でMRD陰性状態に達し、対象は1又は2ラインの前治療を受け、2名のみの対象(ITTの0.7%)が4+ラインの前治療を受けた。3ラインの前治療を受けた対象は、MRD陰性状態に達しなかった。検出閾値10
−5及び10
−6で同様のパターンが観察された。
【0253】
CASTOR研究では、DVdで治療した場合、10
−4で最も高いMRD陰性率に達した(n=20、8%)。2又は3ラインの前治療を受けた対象は、より低いMRD陰性率を示した(それぞれ、n=10、ITTの4%、及びn=4、ITTの1.6%)。Vd治療群では、1又は2ラインの前治療を受けた対象のみがMRD陰性状態に達した(それぞれ、n=4、1.6%、及びn=3、1.2%)。同様の傾向が10
−5で観察された。10
−6で、DVd治療群における3+ラインの前治療を受けた対象及びVd治療群における2+ラインの前治療を受けた対象は、MRD陰性状態に達しなかった。
【0254】
【表8】
【0255】
MRD事例研究例
これらの研究から、多くのMRD事例研究例を特定し、個々の腫瘍クローン配列が個々の対象における治療時にどのように挙動するかを治験するためにClonoSEQ(商標)アッセイを使用することができることを示した。
【0256】
MRD陰性状態を維持したMRD陰性レスポンダー
POLLUX研究では、MRDを、この奏効を維持した対象について、治療時の複数の時点で、すなわち、疑わしいCRの時点で、並びに疑わしいCR後3ヶ月及び6ヶ月時点で評価した。多数の対象(その過半数がDRd群であった)が疑わしい完全奏効の時点でMRD陰性状態に達し、それを経時的に維持した。
図6A及び
図6Bは、2つのかかる対象のMRDプロファイルを示す。
【0257】
部分及び非レスポンダーにおけるMRD陽性
PR、SD、又はMRの臨床応答を示した対象の限られた数の試料を、不注意にも、VGPR以上の奏効を示した対象のみを対象としたMRD分析のために発送した。臨床的に予想したとおり、これらの対象、並びに特定することができた他の対象は、MRD陰性状態に達せず、それらのクローン受容体頻度は高いままであった。
図7A、
図7B、
図7C、及び
図7Dは、4名のかかる対象のMRDプロファイルを示す。
【0258】
再発治療時のMRD
クローン応答、その後の増殖が、最初に臨床応答を示し、その後、進行性疾患を経験した一部の対象に観察された。
図8A及び
図8Bは、2名のかかる対象のMRDプロファイルを示す。これらの対象において、MRD診断用クローンがCRの時点で減少し、その後、クローン頻度が増加し、進行性疾患が後に臨床的に検出された。これらの事例は、MRD検査を、再発及び進行の初期兆候を含む疾患奏効の高感度尺度として使用することができたことを示唆する。
【0259】
奏効の深さの増加
一部の対象は、迅速な臨床応答、並びにクローン頻度の大幅低下を示したが、疑わしいCRの時点で最初の評価時にMRD陰性に達しなかった。これらの対象はMRD陰性に達するのにより多くの時間を要したが、最終的にはその後の時点でMRD陰性になった。
図9A及び
図9Bは、2名のかかる対象のMRDプロファイルを示す。
【0260】
緩徐なレスポンダー
個々のMRDクローン受容体が明らかに減少し、興味深いことに、いくつかは異なる率で減少したCR又はsCRの臨床応答状態に達したが、MRD陽性のままであった多くの対象を特定した。
図10A、
図10B、
図10C、及び
図10Dは、4名のかかる対象のMRDプロファイルを示す。
【0261】
高リスク及び標準リスク対象におけるMRD陰性
分析セットは、本明細書に記載されるように細胞遺伝学的異常状態に基づいて高リスク対象又は標準リスク対象と分類されたPOLLUX試験(実施例2)及びCASTOR試験(実施例1)からの対象の亜群分析を含んだ。MRD陰性を閾値10
−4、10
−5、及び10
−6で別個に評価した。
【0262】
POLLUXでは、有意に高い割合の標準リスク対象が、10
−4MRD閾値(p<0.0001、48名の患者(DRd)対14名の患者(Rd))及び10
−5MRD閾値(p<0.005、34名の患者(DRd)対8名の患者(Rd))でMRD陰性に達した(
図11A)。標準リスク対象において10
−6MRD閾値では統計的有意性には達しなかった(15名の患者(DRd)対5名の患者(Rd))。有意に高い割合の高リスク対象が、10
−4MRD閾値(p<0.05、6名の患者(DRd)対0名の患者(Rd))及び10
−5MRD閾値(p<0.05、5名の患者(DRd)対0名の患者(Rd))でMRD陰性に達した(
図11B)。標準リスク対象において10
−6MRD閾値では統計的有意性には達しなかった(4名の患者(DRd)対0名の患者(Rd))。
【0263】
CASTORでは、有意に高い割合の標準リスク対象が、10
−4MRD閾値(p<0.005、20名の患者(DVd)に対して4名の患者(Rd))及び10
−5MRD閾値(p<0.05、11名の患者(DVd)に対して3名の患者(Rd))でMRD陰性に達した(
図12A)。標準リスク対象において10
−6MRD閾値では統計的有意性には達しなかった(4名の患者(DVd)に対して1名の患者(Rd))。有意に高い割合の高リスク対象が、10
−5MRD閾値(p<0.05、5名の患者(DVd)対0名の患者(Rd))でMRD陰性に達した(
図12B)。高リスク対象(4名の患者(DRd)対0名の患者(Rd))において10
−4MRD閾値(5名の患者(DVd)対1名の患者(Rd))又は10
−6MRD閾値(4名の患者(DVd)対0名の患者(Rd))では統計的有意性には達しなかった。
【0264】
MRD事例タイプ:結論
これらのプロットは、奏効を更にカテゴリー化し、表現型を回避するための縦断的MRD分析の潜在的有用性を強調する。加えて、どの患者が治療中に増悪するかに関して患者を特定することができ、次の治療のより早期の治療介入を可能にし得る。
【0265】
結論
バックグラウンド療法又は閾値にかかわらず、微小残存病変陰性率は、所定の階層的閾値10
−4で、対照群と比較してダラツムマブを含むレジメンにおいて有意に高く(POLLUX研究ではDRd:29%対Rd:7.8%、CASTOR研究ではDVd:14%対Vd:3.0%)、MRD陰性率は少なくとも3倍高かった。また、より厳密な閾値10
−5での追加の評価により、対照群と比較してダラツムマブを含むレジメンが有意に高いMRD陰性率に達することが示された。更に、これらのMRDデータは、この困難な患者集団における奏効の深さを促進するダラツムマブを含むレジメンの能力を強調する。また、10
−6で、DVdは、Vdと比較して、MRD陰性率の増加を引き起こしたが、統計的有意性には達しなかった。
【0266】
要約すると、これらの2つの研究は、再発性又は難治性MM第3相臨床研究状況におけるMRDの最初の無作為化対照予測評価に相当し、ダラツムマブを含む療法がMM対象における深いレベルの臨床応答を顕著に引き起こすことができることを示した。バックグラウンド療法にかかわらず、ダラツムマブを含むレジメンは、対照群と比較して、全ての評価閾値でMRD陰性率の3倍又はそれ以上の増加を一貫して示した。重要なことには、MRD陰性状態に達した対象が低いPFS事象率を示したため、ダラツムマブの追加によって引き起こされた深い臨床応答が、長期転帰の改善をもたらす可能性がある。
【0267】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して、多数の変更及び修正を加えることができ、そのような変更及び修正を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれる、そのような等価的な変形の全てを網羅することが意図されている。
【0268】
本明細書に引用又は記載されている各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全文において本明細書に参考として組み込まれる。
【0269】
【表9-1】
【0270】
【表9-2】