特表2021-503178(P2021-503178A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-503178(P2021-503178A)
(43)【公表日】2021年2月4日
(54)【発明の名称】導電性パターンの製造法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/38 20060101AFI20210108BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20210108BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20210108BHJP
   C09D 11/54 20140101ALI20210108BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20210108BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20210108BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20210108BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210108BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20210108BHJP
   B05D 5/04 20060101ALI20210108BHJP
【FI】
   H05K3/38 E
   C09D11/52
   C09D11/30
   C09D11/54
   H05K3/12 610A
   B41M5/00 120
   B41M5/00 100
   B41M5/00 132
   B05D5/12 B
   B05D7/24 303C
   B05D3/02 Z
   B05D5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2020-526488(P2020-526488)
(86)(22)【出願日】2018年6月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2018065063
(87)【国際公開番号】WO2019096450
(87)【国際公開日】20190523
(31)【優先権主張番号】17201474.8
(32)【優先日】2017年11月14日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】593194476
【氏名又は名称】アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルテス・サラザール,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ステールト,クーン
(72)【発明者】
【氏名】クールテ,ビンセント
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デン・ボッシェ,カール
(72)【発明者】
【氏名】ギルベルト,ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】ディーレマンス,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラールト,ペーター
【テーマコード(参考)】
2H186
4D075
4J039
5E343
【Fターム(参考)】
2H186AA15
2H186AA17
2H186AB02
2H186AB03
2H186AB11
2H186AB28
2H186AB39
2H186AB46
2H186AB47
2H186AB51
2H186AB53
2H186AB54
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186FB56
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4D075BB94Z
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4J039AD10
4J039BA06
4J039BA39
4J039CA02
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4J039GA24
5E343AA14
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5E343GG08
(57)【要約】
基材上に導電性パターンを調製する方法であって、受容層(200)を基材(100)上に適用し、金属ナノ粒子分散物を受容層上に適用し、これにより金属パターン(300)を形成し、そして金属パターンを焼結する工程を含んでなり、受容層が1から75μmの間の粗さを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に導電性パターンを調製する方法であって、
―受容層(200)を基材(100)上に適用し、
―金属ナノ粒子分散物を受容層の少なくとも一部の上に適用し、これにより金属パターン(300)を形成し、そして
―金属パターンを焼結する
工程を含んでなり、受容層が1から75μmの間の粗さRzを有することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
受容層が白色受容層である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金属パターンの焼結が、近赤外線(NIR)照射により行われる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
受容層が第1画像(200’)に従い基材上に適用され、そして金属ナノ粒子分散物がその第1画像少なくとも一部の上に適用され、それにより金属パターン(300’)を形成する前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
受容層の厚さが10から500μmの間である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
グラフィックデザイン(400)が基材(100)と受容層(200)との間に印刷される前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
金属パターンが銀パターンである前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
銀パターンが銀インクジェットインクを噴射することにより適用される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基材が透明基材である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
基材が180℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
受容層が、UV硬化型インクジェットインクを噴射し、そして硬化することにより適用される前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
UV硬化型インクが酸化チタン顔料を含んでなる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
UV硬化型インクジェットインクが、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−(2−ビニルオキシ―エトキシ)エチル(メタ)クリレートおよびN−ビニルカプロラクタムからなる群から選択される重合性化合物を含んでなる請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに定義した方法により得られる導電性パターンを含んでなる電子装置。
【請求項15】
電子装置がタッチパネルまたはメンブレンスイッチである請求項14に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は様々な基材上への導電性パターンの調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子を含んでなるメタリック印刷(metallic printing)またはコーティング(coating)液(fluids)における興味は、所定の金属のバルク特性と比べた場合にそれらの独自な特性により過去数十年の間に増大した。例えば金属ナノ粒子の融点は、粒度の低下と共に下がり、金属ナノ粒子が印刷された電子機器、電気化学的、光学的、磁気的および生物学的応用への関心をもたらす。
【0003】
例えばインクジェット印刷により印刷できる、または高速でコートされる安定かつ濃縮されたメタリック印刷またはコーティング液の生産は、電子装置の調製を低コストで可能にできるので大変興味深い。
【0004】
メタリック印刷またはコーティングの液は、一般に金属ナノ粒子および分散媒を含んでなる金属ナノ粒子分散物(metallic nanoparticle dispersion)である。そのような金属ナノ粒子分散物は、印刷またはコーティング液として直接用いることができる。しかしながら、得られるメタリック印刷またはコーティング液の特性を最適化するために、追加の成分を金属ナノ粒子分散物に加えることが多い。
【0005】
典型的には、基材上にメタリック印刷またはコーティングの液を適用した後、硬化工程とも呼ばれる焼結工程が高温で行われ、適用されたパターンまたは層に導電性の誘導/増強が行われる。
【0006】
メタリック印刷またはコーティングの液の有機成分、例えば高分子分散剤は焼結効率を低下させ、すなわち適用されたパターンまたは層の導電率を低下させる可能性がある。この理由で、そのような有機成分を分解するためにより高い焼結温度およびより長い焼結時間が多くの場合に必要である。
【0007】
特許文献1(アグファ ゲヴエルト:Agfa Gevaert)は、特定の分散媒、例えば2−ピロリドンを含み、高分子分散剤を使用せずにより安定な分散物を生じる金属ナノ粒子分散物、例えば銀インクジェットインクを開示する。
【0008】
特許文献2(アグファ ゲヴエルト)は、銀ナノ粒子、液体担体および特定の分散物安定化化合物を含んでなる金属ナノ粒子分散物を開示する。
【0009】
導電性パターンの基材への接着がしばしば問題となる。幾つかの基材上へは十分な接着を実現できるが、他方ではこの接着を許容出来ない可能性がある。
【0010】
例えば特許文献3(アグファ ゲヴエルト)でITO基材について提案されているように、接着促進剤を金属ナノ粒子分散物に加えることは、様々な基材への接着を改善するための1つの方法である。
【0011】
例えば銀層またはパターンの近赤外線(NIR)焼結は、一般にそのような層またはパターンの導電性を上げる。しかし透明基材を使用する場合、NIR焼結の効率は下がることが多い。加えて基材のガラス転移温度(Tg)がNIR焼結中に達成される温度より低い場合には、基材の変形が起こる可能性がある。結果として印刷パターンの鮮明度および
導電性が良くない影響を受ける恐れがある。
【0012】
例えばインクジェット印刷により導電性パターンが適用された異なる基材を使用する時の別の問題は、使用した基材への印刷解像度の依存性である。
【0013】
このようにパターンの基材への接着、NIR焼結段階の効率、および結果としてパターンの導電性およびパターンの印刷解像度が異なる基材上で十分な、異なる基材上での導電性パターンの調製法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2671927(A)号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3037161(A)号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3099146(A)号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、様々な基材上で高い導電性、十分な接着および良好な解像度を有する導電性パターンの調製法を提供することである。
【0016】
この目的は、請求項1に記載の方法により実現される。
【0017】
本発明のさらなる利点および態様は、以下の記載および従属請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の態様により調製された導電性パターンの概略的表示を表す。
図2】本発明の別に態様により調製された導電性パターンの概略的表示を表す。
図3】本発明のさらに別に態様により調製された導電性パターンの概略的表示を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、高分子基材および箔という用語は、自立性のポリマーに基づくシートを意味し、それは1層または2層以上の接着層、例えば下塗り層を伴う場合がある。基材および箔は通常、押出法で製造される。
【0020】
本明細書で使用する場合、層という用語は自立性ではないと考えられ、(高分子)支持体または箔の上にそれをコーティングまたは噴霧することにより製造される。
【0021】
PETはポリエチレンテレフタレートの略語である。
【0022】
アルキルという用語は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に可能なすべての変形、すなわちメチル、エチル、3個の炭素原子に関して:n−プロピルおよびイソプロピル;4個の炭素原子に関して:n−ブチル、イソブチルおよび第3級−ブチル;5個の炭素原子に関して:n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピルおよび2−メチル−ブチル等を意味する。
【0023】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルキル基は、好ましくはC1〜C6−アルキル基である
【0024】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルケニル基は、好ましくはC2〜C6−アルケニル基である。
【0025】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルキニル基は、好ましくはC2〜C6−アルキニル基である。
【0026】
特段の定めがない場合、置換または非置換アラルキル基は、好ましくは1、2、3個またはそれより多いC1〜C6−アルキル基を含むフェニルまたはナフチル基である。
【0027】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルカリール基は、好ましくはアリール基、好ましくはフェニル基またはナフチル基を含むC1〜C6−アルキル基である。
【0028】
特段の定めがない場合、置換または非置換アリール基は、好ましくは置換または非置換フェニル基またはナフチル基である。
【0029】
環式基は少なくとも1個の環構造を含み、単環式または1個以上の一緒に融合した環を意味する多環式基の場合がある。
【0030】
複素環式基は、その環(1もしくは複数)のメンバーとして少なくとも2種類の元素の原子を有する環式基である。複素環式基の対立概念は同素環式基であり、その環構造は炭素のみから作られている。特段の定めがない場合、置換または非置換複素環式基は、好ましくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子またはそれらの組み合わせから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子により置換された好ましくは5員環または6員環である。
【0031】
脂環式基は、環原子が炭素原子からなる非芳香族同素環式基である。
【0032】
ヘテロアリール基という用語は、環構造中に炭素原子ならびに窒素、酸素、セレンおよび硫黄から独立して選択される1個以上のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含んでなる単環式または多環式芳香環を意味する。ヘテロアリール基の好適な例にはピリジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、(1,2,3,)−および(1,2,4)−トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリルおよびオキサゾリルが含まれるが、これらに限られない。ヘテロアリール基は非置換であるか、または1、2個もしくはそれより多い適した置換基で置換されることができる。好ましくはヘテロアリール基は単環式環であり、ここで環は1〜5個の炭素原子および1〜4個のヘテロ原子を含んでなる。
【0033】
例えば置換されたアルキル基における置換されたという用語は、アルキル基が通常そのような基中に存在する原子、すなわち炭素および水素以外の他の原子により置換されることができることを意味する。例えば置換されたアルキル基はハロゲン原子またはチオール基を含むことができる。非置換アルキル基は炭素および水素原子のみを含む。
【0034】
特段の定めがない場合、置換されたアルキル基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換されたアルカリール基、置換されたアリール基、置換されたヘテロアリール基および置換された複素環式基は、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、1−イソブチル、2−イソブチルお
よび第3級−ブチル、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−CNおよびNO2からなる群から選択される1個以上の置換基により置換される。
【0035】
導電性パターンの調製法
基材上に導電性パターンを調製する方法であって、
―受容層(receiving layer)を基材上に適用し、
―金属ナノ粒子分散物を受容層の少なくとも一部の上に適用し、これにより金属パターン(metallic pattern)を形成し、そして
―金属パターンを焼結する
工程を含んでなり、受容層が1から75の間の粗さ(roughness)Rzを有することを特徴とする。
【0036】
1から75の間の粗さを有する受容層を、基材と金属パターンとの間に挿入することがパターンの改善された接着、およびパターンのより良い印刷解像度をもたらすことが観察された。
【0037】
受容層は好ましくは白色受容層である。そのような白色受容層の存在は、より効率的なNIR硬化を生じ、パターンのより高い導電性をもたらすことが観察された。
【0038】
受容層がコーティングとして基材上に適用され(図1、200)、実質的に全基材を覆う(図1,100)。次に金属ナノ粒子分散物がその受容層の少なくとも一部の上に適用される(図1、300)。
【0039】
しかし受容層は基材上に画像通りに適用することもできる。
【0040】
例えば受容層は第1画像(図2、200’)に従い基材上に適用されることができる(図2、100)。次いで金属ナノ粒子分散物がその第1画像の少なくとも一部の上に適用される(図2、300’)。
【0041】
受容層は改善された接着、解像度および効率的なNIR硬化を確実にするために、図2に表すように金属ナノ粒子分散物よりもわずかに広く印刷されることが好ましい。
【0042】
これは追加のインクの使用が最少で実現され得る。なぜならばインクジェット装置の高い配置性能により、受容層に必要なパターン(第1画像)は金属パターン(例えば銀回路構成(silver circuitry))を単に「太くする」または「広くする」ことにより作成できるからである。
【0043】
受容層は好ましくは、インクジェット印刷によりUV硬化型インクジェットインクとして基材に適用される。
【0044】
UV硬化型インクジェットインクは、好ましくは十分な粗さRzの受容層を得、そして様々な基材上への受容層の十分な接着を実現する。得られるRzはインクジェットインクの拡展性(spreading property)を調整することにより、またはUV硬化パラメータを調整することにより至適化することができる。
【0045】
UV硬化型インクジェットインクが好適であるが、熱硬化型インクを使用することができ、そして同様な粗面層を熱硬化パラメータを調整することにより達成することができる。
【0046】
金属パターンは、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、グラビアオフセット印刷等のような印刷法により受容層に提供されることが好ましい。
【0047】
金属パターンは銀パターン、例えば銀回路が好ましい。
【0048】
金属ナノ粒子分散物を適用するための好適な印刷法は、インクジェット印刷法である。
【0049】
金属ナノ粒子分散物はこのように、インクジェットインクが好ましく、より好ましいのは銀インクジェットインクである。
【0050】
受容層の粗さRzは、1から75μmの間であり、好ましくは2μmから60μmの間であり、より好ましくは5から50μmの間である。
【0051】
受容層の粗さRaは、好ましくは0.5から20μmの間であり、より好ましくは1から15μmの間であり、最も好ましくは2から10μmの間である。
【0052】
受容層の厚さは好ましくは10から500μmの間、より好ましくは20から350μmの間、最も好ましくは30から250μmの間である。
【0053】
原理的に、任意の基材を本発明による方法で使用することができる。
【0054】
基材は金属、ガラス、紙または高分子支持体でよい。
【0055】
好適な基材を以下に記載する。
【0056】
焼結工程
パターンが受容層上に適用された後に、硬化工程とも呼ばれる焼結工程が実施される。この焼結工程期間中に、溶媒は蒸発し、そして金属粒子は一緒に焼結する。金属の粒子間にいったん連続的な浸透性(percolating)網目が形成されると、パターンの導電性が上がる。
【0057】
従来の硬化は一般に熱を適用することにより実施される。硬化温度および時間は、使用される支持体および金属パターンの組成に依存する。
【0058】
硬化工程は200℃未満、好ましくは180℃未満、より好ましくは150℃未満、最も好ましくは130℃未満の温度で実施することができる。
【0059】
硬化時間は、選択する温度、支持体および金属パターンの組成に応じて60分未満、好ましくは2〜30分の間、そしてより好ましくは3〜20分の間であることができる。
【0060】
低い硬化温度を使用することができる場合、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリスチレン(PS)のような高温の熱処理に耐えることができない高分子基材を基材として使用することができる。
【0061】
減少した硬化時間は、1時間あたり金属層またはパターンのより高い生産をもたらすことができる。
【0062】
しかし熱を適用することによる従来の焼結の代わりに、またはそれに加えて、アルゴン
レーザー、マイクロ波照射、UV照射もしくは低圧アルゴンプラズマへの曝露、光(photonic)硬化、プラズマもしくはプラズマ強化電子線、レーザービームまたはパルス電流焼結のような代替の焼結方法を使用することができる。
【0063】
特に好適な態様では、焼結工程は近赤外線(NIR)硬化により行われる。
【0064】
NIR硬化は、NIR照射、好ましくは700から2500nmの間の照射を使用する照射硬化である。
【0065】
照射硬化技術は、材料の加熱が材料自体による直接吸収により実現されるので、エネルギー効率の利点を提供する。すなわちオーブン全体を予め温める必要がない。
【0066】
コーティングまたはパターンの金属、例えば銀はNIR照射の吸収体として作用することができる。
【0067】
NIR照射の吸収を増すために、NIR吸収化合物を金属層またはパターンに加えることができる。そのようなNIR吸収化合物は、NIR吸収顔料、例えばカーボンブラックまたはTiO2、またはNIR吸収染料、例えばシアニン染料であることができる。
【0068】
しかしNIR吸収体を金属層またはパターンに加えることは、金属粒子の浸透ネットワークを妨害することにより焼結工程に悪影響を及ぼすかもしれない。
【0069】
ここで今、金属層またはパターンが上に適用されるとNIR硬化効率にも影響を及ぼす基材の種類が観察された。NIR硬化効率は透明基材が使用される場合に効率が低くなり、そのような基材上の金属層またはパターンの導電性の低下をもたらすようである。
【0070】
そのような透明基材上に白色受容層を使用することにより、NIR硬化効率の上昇が観察され、そのような基材上の金属層またはパターンの高い導電性をもたらす。
【0071】
さらに低い熱安定性基材上に白色受容層を使用する場合、基材のTgより高い温度でのNIR焼結工程を基材の変形なしに行うことができる。
【0072】
導電性をさらに上げ、または硬化温度を下げるために、欧州特許出願公開第2821164(A)号明細書(アグファ―ゲヴエルト)に開示されているように、銀層またはパターンを、金属層またはパターンの硬化中に酸または酸を放出することができる酸前駆体を含有する溶液と接触させることが有利となり得る。
【0073】
受容層
受容層は、浸漬(dip)コーティング、ナイフコーティング、押出しコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、スライドホッパーコーティングおよびカーテンコーティングのような任意の従来のコーティング技術により基材上に適用され得る。
【0074】
受容層はまた、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、タンポン印刷、バルブジェット印刷、グラビアオフセット印刷等のような任意の印刷法により基材上に適用され得る。
【0075】
受容層は、好ましくはインクジェット印刷により基材上に適用される。
【0076】
白色受容層は、好ましくは白色顔料を含んでなる。
【0077】
白色照射硬化型インクジェットインク
白色受容層は、好ましくは白色照射硬化型組成物を噴射および硬化することにより基材上に適用される。
【0078】
白色照射硬化型組成物は、好ましくは白色UV硬化型組成物、より好ましくは白色UV硬化型インクジェットインク、最も好ましくは白色フリーラジカルUV硬化型インクジェットインクである。
【0079】
しかし白色UV硬化型カチオン重合性インクジェットインクも使用することができる。また電子線硬化型インクジェットインクまたは熱硬化型インクジェットインクを使用して白色受容層を形成することができる。
【0080】
十分な粗さRzを持つ受容層を得るために、UV硬化型インクジェットインクが好適である。
【0081】
得られるRzは、白色インクジェットインクの拡展性を調製することにより、またはUV硬化性パラメータを調整することにより至適化することができる。
【0082】
白色UV硬化型インクジェットインクは、好ましくは白色顔料、フリーラジカル重合性モノマー、および光開始系を含んでなる。また白色UV硬化型インクジェットインクは、分散剤、阻害剤、界面活性剤および/または溶剤を含んでなることができる。
【0083】
白色顔料
白色受容層は、好ましくは白色顔料を含む。
【0084】
白色顔料は高い屈折率を有し、好ましくは1.60より高い屈折率、好ましくは2.00より高い屈折率、より好ましくは2.50より高い屈折率、そして最も好ましくは2.60より高い屈折率を有する。
【0085】
そのような白色顔料は一般に、大変高い被覆力(covering power)を有する。残念ながらそのような白色顔料はまた、一般に高い沈降度および速度を現わす。
【0086】
高い屈折率を有する適切な白色顔料を表1に与える。白色顔料は単独で、または組み合わせて使用することができる。最も好適な白色顔料は、二酸化チタンである。
【表1】
【0087】
酸化チタンは、アナタース型、ルチル型およびブロックカイト型の結晶形で存在する。
【0088】
アナタース型は比較的低い密度を有し、そして微細粉末に容易に粉砕され、一方、ルチル型は比較的高い屈折率を有し、高い被覆力を現わす。これらのうちのいずれも本発明に有用である。特性を可能なかぎり使用し、そしてそれらの用途に従い選択するようにすることが好適である。低い密度および小さい粒度を有するアナタース型の使用は優れた分散安定性、インク貯蔵安定性および排出性(ejectability)を達成することができる。少なくとも2つの異なる結晶形を組み合わせて使用することができる。アナタース型およびルチル型を組み合わせた使用は高い着色力を現わし、酸化チタンの総量を減らすことができ、インクの改善された貯蔵安定性および排出性能を導く。
【0089】
酸化チタンの表面処理には、水性処理または気相処理を適用でき、そしてアルミナ―シ
リカ処理剤が通常、使用される。未処理―、アルミナ処理―、またはアルミナ―シリカ処理―酸化チタンを使用できる。
【0090】
インクジェットインクの顔料粒子は、インクがインクジェット印刷装置を通って、特に排出ノズルで自由に流動できるように十分小さくなるべきである。また沈降を遅くするために小さい粒子を使用することも望ましい。
【0091】
酸化チタンの数平均粒子径は、好ましくは50から500nm、より好ましくは150から400nm、そして最も好ましくは200から350nmである。平均直径が50nm未満である時は十分な隠ぺい力が得られず、そして平均直径が500nmを越える時はインクの貯蔵能および噴出適性が低下する傾向がある。
【0092】
白色受容層は、白色インクジェットインクの総重量に対して好ましくは5重量%から40重量%、より好ましくは8重量%から30重量%、そして最も好ましくは10重量%から25重量%の量で白色顔料を含む。
【0093】
UV硬化型インクジェットインクの粘度は、好ましくは45℃および1000s-1の剪断速度で20mPa.sより小さく、より好ましくは45℃および1000s-1の剪断速度で1から15mPa.sの間である。
【0094】
白色UV硬化型インクジェットインクは基材上での良好な拡展性を得るために、さらに少なくとも1つの界面活性剤を含むこともできる。白色インクジェットインクの表面張力は、好ましくは25℃で18mN/mから70mN/mの範囲、より好ましくは25℃で20mN/mから40mN/mの範囲、そして最も好ましくは25℃で22mN/mから30mN/mの範囲である。
【0095】
フリーラジカル重合性モノマー
これまで、そしてこれから使用するフリーラジカル重合性モノマーという用語は、モノマーだけでなくオリゴマーおよびプレ―ポリマーも含む。
【0096】
フリーラジカル重合できる任意のモノマーおよびオリゴマーは、フリーラジカルUV硬化型白色インクジェットインクに使用できる。モノマーおよびオリゴマーは、異なる程度の重合官能性を有することができ、そしてモノ―、ジ―、トリ―およびより高次の重合官能性モノマーの組み合わせを含む混合物を使用できる。UV硬化型インクジェットインクの粘度は、モノマー間の比率を変動させることにより調整できる。
【0097】
特に食品包装の用途に使用するモノマーおよびオリゴマーは、好ましくは不純物を含まないか、ほとんど含まず、より特別には毒性または発がん性不純物を含まない精製された化合物である。不純物は通常、重合性化合物の合成中に得られる誘導化合物である。精製法はモノマーおよびオリゴマーを製造する当業者には周知である。しかし幾つかの化合物、例えば重合阻害剤または安定化剤を無害な量で純粋な重合性化合物に意図的に加えることができる場合もある。
【0098】
特に好適なモノマーおよびオリゴマーは、欧州特許出願公開第1911814(A)号明細書(アグファ)の[0106]から[0115]に列挙されているものである。
【0099】
種々の基材上への接着を改善するために、白色UV硬化型インクジェットインクは、好ましくはイソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)クリレートおよびN−ビニルカプロラクタムからなる群から選択される重合性化合物を含んでんなる。
【0100】
分散剤
分散剤は好ましくは高分子分散剤である。分散剤は顔料型インクジェットインク、例えばフリーラジカルUV硬化型白色インクジェットインク中の顔料の沈降を遅らせるために使用される。
【0101】
適切な高分子分散剤は2つのモノマーのコポリマーであるが、3,4,5またはさらにそれ以上のモノマーを含むことができる。高分子分散剤の特性は、モノマーの性質およびそれらのポリマー中での分布の双方に依存する。コポリマー分散剤は好ましくは以下のポリマー組成を有する:
―統計的に重合されたモノマー(例えばモノマーAおよびBがABBAABABに重合);
―交互重合化モノマー(例えばモノマーAおよびBがABABABABに重合);
―グラジエント(テーパー型)重合化モノマー(例えばモノマーAおよびBがAAABAABBABBBに重合);
―ブロックコポリマー(例えばモノマーAおよびBがAAAAABBBBBBに重合)、ここで各ブロックのブロック長(2,3,4,5またはそれ以上)が高分子分散剤の分散能に重要となる;
―グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは、重合骨格と骨格に付いた重合側鎖からなる);および
―これらポリマーの混合形、例えばブロックグラジエントコポリマー。
【0102】
適切な高分子分散剤は、具体的な参照として本明細書に編入する欧州特許出願公開第1911814(A)号明細書(アグファ)の「分散剤」の項目、より詳細には[0064]から[0070]および[0074]から[0077]に列挙されている。
【0103】
高分子分散剤は、好ましくは500から30000の間、より好ましくは1500から10000の間の数平均分子量Mnを有する。
【0104】
高分子分散剤は、好ましくは100,000より小さい、より好ましくは50,000より小さい、そして最も好ましくは30,000より小さい重量平均分子量Mwを有する。高分子分散剤は、好ましくは2より小さい、より好ましくは1.75より小さい、そして最も好ましくは1.5より小さい多分散性PDを有する。
【0105】
市販の高分子分散剤の例は以下の通りである:BYK CHEMIE GMBHから販売されているDISPERBYK(商標)分散剤;NOVEONから販売されているSOLSPERSE(商標)分散剤;EVONIKからのTEGO(商標)DISPERS(商標)分散剤;MUNZING CHEMIEからのEDAPLAN(商標)分散剤;LYONDELLからのETHACRYL(商標)分散剤;ISPからのGANEX(商標)分散剤;CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEX(商標)およびEFKA(商標)分散剤;DEUCHEMからのDISPONER(商標)分散剤;およびJOHNSON POLYMERからのJONCRYL(商標)分散剤。
【0106】
特に好適な高分子分散剤には、NOVEONからのSolsperse(商標)分散剤、CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのEfka(商標)分散剤およびBYK CHEMIE GMBHからのDisperbyk(商標)分散剤を含む。特に好適な分散剤は、NOVEONからのSolsperse(商標)32000、35000および39000分散剤である。
【0107】
高分子分散剤は、好ましくは顔料の重量に基づき2重量%から600重量%、より好ましくは5重量%から200重量%、最も好ましくは50重量%から90重量%の量で使用される。
【0108】
光開始系
白色UV硬化型インクジェットインクは、好ましくはUV光暴露下で重合反応を開始するための光開始剤を含む。光開始剤はモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーがポリマーを形成するよりも、活性化するために必要なエネルギーが少ない。光開始剤は好ましくはフリーラジカル開始剤、より詳細にはNorrishI型開始剤またはNorrishII型開始剤である。
【0109】
フリーラジカル光開始剤は、UV照射に暴露された時、フリーラジカルの形成によりモノマーおよびオリゴマーの重合を開始する化学化合物である。NorrishI型開始剤は励起後に開裂する開始剤であり、即座に開始ラジカルを生じる。NorrishII型開始剤は、UV照射により活性化される光開始剤であり、そして実際の開始フリーラジカルになる第二化合物から水素を引き抜くことによりフリーラジカルを形成する。この第二化合物は重合相乗剤または共開始剤(co−initiator)と呼ばれる。共開始剤は、UV照射により活性化されないので光開始剤ではない。I型およびII型光開始剤の両方が、本発明において単独または組み合わせて使用され得る。
【0110】
適切な光開始剤はCRIVELLO,J.V.,et al.VOLUME III:Photoinitiators for Free Radical Cationic.2nd edition.Edited by BRADLEY,G..London,UK:John Wiley and Sons Ltd,1998.p.287−294に開示されている。
【0111】
光開始剤の具体例には、限定するわけではないが以下の化合物またはそれらの組み合わせを含むことができる:ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、例えばイソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ―2−メチル―1−フェニルプロパン―1−オン、2−ベンジル―2−ジメチルアミノ―(4−モルホリノフェニル)ブタン―1−オン、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル―1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンまたは5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン。
【0112】
適切な市販されている光開始剤には、CIBA SPECIALTY CHEMICALSから販売されているIrgacure(商標)184、Irgacure(商標)500、Irgacure(商標)369、Irgacure(商標)1700、Irgacure(商標)651、Irgacure(商標)819、Irgacure(商標)1000、Irgacure(商標)1300、Irgacure(商標)1870、Darocur(商標)1173、Darocur(商標)2959、Darocur(商標)4265およびDarocur(商標)ITX、BASF AGから販売されているLucerin(商標)TPO、LAMBERTIから販売されているEsacure(商標)KT046、Esacure(商標)KIP150、Esacure(商標)KT37およびEsacure(商標)EDB、SPECTRA GROUP Ltdから販売されているH−Nu(商標)470およびH−Nu(商標)470Xを含む。
【0113】
さらに光感受性を増強するために、UV硬化型インクはさらに共開始剤を含むことがで
きる。共開始剤の適切な例は、3つのグループに分類できる:1)三級脂肪族アミン、例えばメチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンおよびN−メチルモルホリン;(2)芳香族アミン、例えばアミルパラジメチルアミノベンゾエート、2−n−ブトキシエチル―4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;および(3)(メタ)クリル化アミン、例えばジアルキルアミノアルキル(メタ)クリレート(例えばジエチルアミノエチルアクリレート)またはN−モルホリノアルキル−(メタ)クリレート(例えば、N−モルホリノエチル−アクリレート)。
【0114】
好適な共開始剤は、アミノベンゾエートである。
【0115】
阻害剤
白色UV硬化型インクジェットインクは、重合阻害剤を含むことができる。
【0116】
適切な重合阻害剤は、フェノール型酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定化剤、リン型酸化防止剤、通常は(メタ)クリレートモノマーに使用されるハイドロキノンモノメチルエーテル、およびハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロールも使用することができる。
【0117】
適切な市販の阻害剤は、例えばSumitomo Chemical Co.Ltd.により生産されているSumilizer(商標) GA−80、Sumilizer(商標) GMおよびSumilizer(商標) GS;Rahn AGからのGenorad(商標) 16、Genorad(商標) 18およびGenorad(商標) 20;Ciba Specialty ChemicalsからのIrgastab(商標) UV10およびIrgastab(商標) UV22、Tinuvin(商標) 460およびCGS20;Kromachem LtdからのFloorstab(商標) UV範囲(UV−1、UV−2、UV−5およびUV−8)、Cytec Surface SpecialtiesからのAdditol(商標) S範囲(S100、S110、S120およびS130)。
【0118】
これら重合阻害剤の過剰な添加は硬化に対するインクの感受性を下げるので、重合を防止することができる量をブレンド前に決定することが好ましい。重合阻害剤の量は、白色インクジェットインクの総重量に基づき2重量%未満が好ましい。
【0119】
界面活性剤
白色UV硬化型インクジェットインクは、少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性または両イオン性であることができ、そして好ましくはインクの総重量に基づき3重量%未満の総量で、そして特にセイフガード液または白色インクジェットインクの総重量に基づき全体で1重量%未満で加えられる。
【0120】
好適な界面活性剤は、フルオロ界面活性剤(例えばフッ素化炭化水素)、およびシリコーン界面活性剤から選択される。シリコーン界面活性剤は好ましくはシロキサンであり、そしてアルコキシル化、ポリエステル修飾化、ポリエーテル修飾化、ポリエーテル修飾化ヒドロキシ官能化、アミン修飾化、エポキシ修飾化されることができ、および他の修飾またはそれらの組み合わせであることができる。好適なシロキサンはポリマー性、例えばポリジメチルシロキサンである。
【0121】
好適な市販のシリコーン界面活性剤には、BYK ChemieからのBYK(商標)
333およびBYK(商標)UV3510を含む。
【0122】
好適な態様では、界面活性剤は重合性化合物である。
【0123】
好適な重合性シリコーン界面活性剤には(メタ)クリレートシリコーン界面活性剤を含む。最も好ましくは(メタ)クリレート化シリコーン界面活性剤はアクリル化シリコーン界面活性剤であり、なぜならばアクリレートはメタクリレートより反応しやすいからである。
【0124】
好適な態様では、(メタ)クリレートシリコーン界面活性剤は、ポリエ−テル修飾化(メタ)クリレート化ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル修飾化(メタ)クリレート化ポリジメチルシロキサンである。
【0125】
好適な市販の(メタ)クリレート化シリコーン界面活性剤には:CytecからのEbecryl(商標)350、シリコーンジアクリレー;すべてBYK Chemieで製造されているポリエーテル修飾化アクリレート化ポリジメチルシロキサンBYK(商標)UV3500およびBYK(商標)UV3530、ポリエステル修飾化アクリレート化ポリジメチルシロキサンBYK(商標)UV3570;EVONIKからのTego(商標)Rad2100、Tego(商標)Rad2200N、Tego(商標)Rad2250N、Tego(商標)Rad2300、Tego(商標)Rad2500、Tego(商標)Rad2600およびTego(商標)Rad2700、Tego(商標)RC711;すべてChisso Corporationにより製造されているSilaplane(商標) FM7711、Silaplane(商標)FM7721、Silaplane(商標)FM7731、Silaplane(商標)FM0711、Silaplane(商標)FM0721、Silaplane(商標)FM0725、Silaplane(商標)TM0701、Silaplane(商標)TM0701T;ならびにすべてGelest,Inc.で製造されているDMS−R05,DMS−R11,DMS−R18,DMS−R22,DMS−R31,DMS−U21,DBE−U22,SIB1400,RMS−044,RMS−033,RMS−083,UMS−182,UMS−992,UCS−052,RTT−1011およびUTT−1012を含む。
【0126】
好適な態様では、セイフガード液には界面活性剤を含み、これはまたセイフガード液およびフリーラジカルUV硬化型白色インクジェットインクにも存在する。
【0127】
より好適な態様では、セイフガード液中の1もしくは複数の界面活性剤は、白色UV硬化型インクジェットインク中の1もしくは複数の界面活性剤と同一でよい。
【0128】
溶剤
白色UV硬化型インクジェットインクは、好ましくは非水性インクである。用語「非水性」とは水を含まない液体担体を指す。しかし時に少量で、一般にインクの総重量に基づき5重量%未満の量で存在することができる。この水は意図的に加えられたものではなく、例えば極性有機溶媒のような他の成分を介して混入物として組成物に入ったものである。5重量%より多い水の量では非水性液体およびインクを不安定にする傾向があり、水分量は放射硬化型組成物またはインクの総重量に基づき1重量%未満であることが好ましく、そして最も好ましくは水は全く存在しない。
【0129】
白色UV硬化型インクジェットインクは、有機溶媒のような揮発性成分を含まないことが好ましい。しかし少量の有機溶媒を包含してUV硬化後の基材表面への接着を改善することが有利な場合もある。この場合、加えた溶媒は溶媒耐性およびVOCの問題を引き起こさない範囲の任意の量であることができ、そして好ましくは0.1重量%−10.0重
量%、そして特に好ましくは0.1重量%―5.0重量%であり、それぞれ硬化型インクの総重量に基づく。
【0130】
白色UV硬化型インクジェットインクは、最も好ましくは有機溶媒または水を含まない。
【0131】
金属ナノ粒子分散物
金属ナノ粒子分散物は、好ましくは金属ナノ粒子および液体担体を含んでなる。金属ナノ粒子分散物は、好ましくはさらに分散物―安定化化合物(DSC)を含んでなる。
【0132】
金属ナノ粒子分散物は、好ましくは銀インク、例えば銀フレキソまたはスクリーンインクであるが、より好ましくは銀インクジェットインクである。
【0133】
金属ナノ粒子分散物はさらに、その特性をさらに至適化するために高分子分散剤および添加剤をさらに含んでなることができる。
【0134】
分散物―安定化化合物(DSC)
銀インクジェットインクは、好ましくは銀ナノ粒子、液体担体および式I、II、IIIまたはIV
【化1】
[式中、
Qは、置換または非置換5または6員複素芳香族環の形成に必要な原子を示し;
Mは、プロトン、一価カチオン性基およびアシル基からなる群から選ばれ;
R1およびR2は、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルカリール基、置換または非置換アラルキル基、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール基、ヒドロキシル基、チオエーテル、エーテル、エステル、アミド、アミン、ハロゲン、ケトンおよびアルデヒドからなる群から独立して選択され;
R1およびR2は、5〜7員環の形成に必要な原子を示す場合があり;
R3〜R5は、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルカリール基、置換または非置換アラルキル基、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール基、ヒドロキシル基、チオール、チオエーテル、スルホン、スルホキシド、エーテル、エステル、アミド、アミン、ハロゲン、ケトン、アルデヒド、ニトリルおよびニトロ基からなる群から独立して選択され;
R4およびR5は5〜7員環の形成に必要な原子を示す場合がある]
に従う分散物−安定化化合物(DSC)を含んでなる。
【0135】
分散物−安定化化合物は好ましくは式Iに従う化合物である。
【0136】
分散物−安定化化合物は、より好ましくはQが5員複素芳香環の形成に必要な原子を示す式Iに従う化合物である。
【0137】
特に好ましい分散物−安定化化合物は、Qがイミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールおよびテトラゾールからなる群から選択される5員複素芳香環である式Iに従う化合物である。
【0138】
本発明に従う分散物−安定化化合物の幾つかの例を以下の表2に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0139】
分散物−安定化化合物は、好ましくはN,N−ジブチル−(2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1H−テトラゾール−1−イル−アセトアミド、5−ヘプチル−2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ−(1,5−a)ピリミジン−7−オールおよびS−[5−[(エトキシカルボニル)アミノ]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]O−エチルチオカーボネートからなる群から選択される。
【0140】
式I〜IVに従う分散物−安定化化合物は、好ましくは非高分子化合物である。本明細書で用いられる非高分子化合物は、好ましくは1000未満、より好ましくは500未満、最も好ましくは350未満の分子量を有する化合物を意味する。
【0141】
銀インクジェットインク中の銀(Ag)の総重量に対する重量%として表される分散物安定化化合物(DSC)の量は、好ましくは0.005から10.0の間、より好ましくは0.0075〜から5.0の間、最も好ましくは0.01から2.5の間である。
【0142】
銀の総重量に対する分散物−安定化化合物の量が少なすぎると、安定化効果は低すぎる場合があり、一方、分散物−安定化化合物の量が多すぎると銀インクジェットインクを用いて得られるコーティングまたはパターンの導電率に不利に影響する場合がある。
【0143】
金属ナノ粒子
本発明の金属ナノ粒子分散物は、金属ナノ粒子を含んでなる。
【0144】
金属ナノ粒子は、1もしくは複数の金属を元素または合金の状態で含んでなる。金属は好ましくは、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、パラジウム、白金、錫、亜鉛、チタン、クロム、タンタル、タングステン、鉄、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、アルミニウムおよび鉛からなる群から選択される。銀、銅、モリブデン、アルミニウム、金、銅またはそれらの組み合わせに基づく金属ナノ粒子は、特に好適である。最も好適な金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子である。
【0145】
分散された銀ナノ粒子は、透過型電子顕微鏡を用いて測定される150nm未満、好ま
しくは100nm未満、より好ましくは50nm未満、最も好ましくは30nm未満の平均粒度または平均粒径を有する。
【0146】
インクジェット中の銀ナノ粒子の量は、好ましくは銀インクジェットインクの総重量に対して少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%、特に好ましくは少なくとも20重量%である。
【0147】
銀ナノ粒子は、好ましくは欧州特許出願第2671927(A)号明細書の段落[0044]〜[0053]および実施例に開示されている方法により調製される。
【0148】
高分子分散剤
金属ナノ粒子分散物は、高分子分散剤を含有することができる。
【0149】
高分子分散剤は一般に、分子の一部分にいわゆるアンカー基を含有し、それが分散されるべき銀粒子上に吸着する。高分子分散剤は、分子の別の部分に液体賦形剤とも呼ばれる分散媒および最終的な印刷またはコーティング液中に存在するすべての成分と適合性のあるポリマー鎖を有する。
【0150】
高分子分散剤は、典型的にアクリル酸、メタクリル酸、ビニルピロリジノン、ビニルブチラール、酢酸ビニルまたはビニルアルコールモノマーから調製されるホモ−またはコポリマーである。
【0151】
欧州特許出願公開第2468827号(A)明細書に開示される、熱重量分析により測定される300℃未満の温度で95重量%分解する高分子分散剤も使用することができる。
【0152】
しかしながら好ましい態様では、金属ナノ粒子分散物は、分散物の総重量に対して5重量%未満の高分子分散剤、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の高分子分散剤を含んでなる。特に好ましい態様では、分散物は高分子分散剤を全く含まない。
【0153】
液体担体
金属ナノ粒子分散物は液体担体を含んでなる。
【0154】
液体担体は、好ましくは有機溶媒である。有機溶媒はアルコール、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、カルビトール、セロソルブおよび
高級脂肪酸エステルから選択することができる。
【0155】
適したアルコールにはメタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ブタノール、t−ブタノールを含む。
【0156】
適切な芳香族炭化水素にはトルエンおよびキシレンを含む。
【0157】
適したケトンにはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2,4−ペンタンジオンおよびヘキサ−フルオロアセトンを含む。
【0158】
グリコール、グリコールエーテル、N,N−ジメチル−アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドも使用することができる。
【0159】
金属ナノ粒子分散物の性質を至適化するために有機溶媒の混合物を使用することできる
【0160】
好適な有機溶媒は高沸点溶媒である。本明細書で言及する高沸点有機溶媒は、水の沸点より高い沸点(>100℃)を有する溶媒である。
【0161】
好適な高沸点溶剤を表3に示す。
【表3】
【0162】
特に好ましい高沸点溶媒は、2−フェノキシ−エタノール、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、n−ブタノール、2−ピロリドンおよびそれらの混合物である。
【0163】
金属ナノ粒子分散物は、好ましくは銀インクの総重量に基づいて少なくとも25重量%の、より好ましくは少なくとも40重量%の2−フェノキシエタノールを含んでなる。
【0164】
添加剤
印刷特性を最適化するために、ならびにまたそれが用いられる用途に依存して、還元剤、湿潤剤/均染剤、ディウェッティング剤(dewetting agent)、レオロジー改質剤、接着剤、粘着剤、保湿剤、噴射剤、硬化剤、殺生物剤または酸化防止剤のような添加剤を前記の金属ナノ粒子分散物に加えることができる。
【0165】
金属ナノ粒子分散物は界面活性剤を含んでなることができる。好適な界面活性剤は、両方とも修飾ウレアの溶液であるByk(商標)410および411ならびに高分子量ウレア修飾化中極性ポリアミドの溶液であるByk(登録商標)430である。
【0166】
界面活性剤の量は、金属ナノ粒子分散物の総量に対して好ましくは0.01重量%から10重量%の間、より好ましくは0.05重量%から5重量%の間、最も好ましくは0.1重量%から0.5重量%の間である。
【0167】
欧州特許出願公開第2821164号(A)明細書に開示されているような少量の無機酸の金属、または金属ナノ粒子分散物から形成される金属層またはパターンの硬化の間にそのような酸を生成することができる化合物を加えることが有利となり得る。より高い導電性および/またはより低い硬化温度が、そのような金属ナノ粒子分散物から形成される層またはパターンで観察された。
【0168】
より高い導電性および/またはより低い硬化温度は、欧州特許出願公開第3016763号(A)明細書に開示されている式X
【化2】
[式中、
Xは置換または非置換環の形成に必要な原子を示す]
に従う化合物を含有する金属ナノ粒子分散物を用いる場合にも得ることができる。
【0169】
式Xに従う特に好適な化合物は、アスコルビン酸またはエリソルビン酸誘導体化合物である。
【0170】
金属ナノ粒子分散物の調製
金属ナノ粒子分散物、例えば銀インクジェットインクの調製は、一般的に撹拌、高剪断混合、超音波処理またはそれらの組み合わせのような均一化方法の使用により金属ナノ粒子に液体担体、好ましくは分散物―安定化化合物および任意の添加剤を加えることを含んでなる。
【0171】
銀インクジェットインクが作られる銀ナノ粒子は、一般的に銀ナノ粒子のペーストまたは高度に濃縮された分散物である。
【0172】
金属ナノ粒子の好適な調製方法は欧州特許出願公開第2671927(A)号明細書に
開示されている。
【0173】
分散物−安定化化合物のすべてまたは一部を、銀ナノ粒子の調製方法の間に加えるとより良い結果が得られることが観察された。銀ナノ粒子の調製の間に加えられる分散系安定化化合物は、銀ナノ粒子へのそれらの吸着の故に、調製方法において1回以上の洗浄工程が行われても、少なくとも部分的に最終的な銀ナノ粒子分散物中に保持されることになる。
【0174】
均一化工程は、最高100℃の高温で行うことができる。好ましい態様では、均一化工程は60℃以下の温度で行われる。
【0175】
インクジェット印刷装置
インクジェット印刷により導電性パターンまたは受容層を作製するために、装置の種々の態様を使用することができる。
【0176】
平台印刷装置において、支持体は平台上に準備される。銀インクジェット液の液滴がプリントヘッドから支持体上に噴射される。
【0177】
プリントヘッドは、動いている支持体(y−方向)を横切って横方向(x−方向)に行ったり来たりスキャンするのが一般的である。そのような二方向印刷はマルチ−パス印刷と呼ばれる。
【0178】
別の好適な印刷方法はいわゆるシングルパス印刷法であり、その方法ではプリントヘッドまたは複数の互い違いのプリントヘッドが支持体の幅全体をカバーする。そのようなシングルパス印刷法では、プリントヘッドは通常静止したままであるが、支持体がプリントヘッドの下を移動する(y−方向)。
【0179】
最大のドット配置精度(dot placement accuracy)を得るために、プリントヘッドは可能な限り支持体の表面近くに置かれる。プリントヘッドと支持体表面との間の距離は、好ましくは3mm未満、より好ましくは2mm未満、最も好ましくは1mm未満である。
【0180】
プリントヘッドと支持体表面との間の距離はドット配置精度に影響する可能性があるので、支持体の厚さを測定し、プリントヘッドと支持体表面との間の距離を支持体の厚さの測定値に基づいて適合させることが有利となり得る。
【0181】
静止プリントヘッドと印刷装置上に取り付けられた支持体表面との間の距離は、例えば支持体の起伏または支持体表面における他の不規則性のために、支持体全体にわたって変動する恐れがある。従って支持体の表面トポグラフィーを測定し、そして測定された表面トポグラフィーの差を、支持体上の硬化性流体の液滴のいわゆる噴射時間(firing
time)を制御するか、またはプリントヘッドと支持体表面の間の距離を調整することにより補償することも有利となり得る。平版印刷支持体の表面トポグラフィーを測定するための測定装置の例は、ISO12635:2008(E)に開示されている。
【0182】
好適な態様では、インクジェット印刷装置は、例えば真空により支持体をいわゆる押さえ込み(hold−down)区域内に押さえ込むために、真空室のような押さえ込み手段を支持体の下に有する。より好適な態様では、支持体下の複数の真空室のような独立して作用する押さえ込み手段により、支持体は支持体に対して押さえ込まれ、複数の真空室は支持体への真空圧を強化するように独立して制御されて1つ以上の押さえ込み区域が支持体上に生ずる。支持体の押さえ込みは、噴射される液滴の配置および位置の精度を強化
する。
【0183】
プリントヘッド
UV硬化型インクジェットインクおよび銀インクジェットインクは、インクの小液滴を制御された様式でノズルに通してインク受容層表面に排出する1もしくは複数のプリントヘッドにより噴射されることができ、この面はプリントヘッド(1もしくは複数)に対して移動している。
【0184】
インクジェット印刷系のための好ましいプリントヘッドは圧電ヘッドである。圧電インクジェット印刷は、圧電セラミック変換器に電圧が適用されるときのその動きに基づく。電圧の適用は、プリントヘッド中の圧電セラミック変換器の形を変化させて空隙を作り、次いでそれはインクで満たされる。再び電圧が取り除かれると、セラミックはその最初の形に膨張し、プリントヘッドからインク滴を排出する。しかしながら、本発明に従うインクジェット印刷方法は圧電インクジェット印刷に制限されない。
【0185】
好適なプリントヘッドは、50pL以下、例えば35pL以下または25pL以下の体積を有する滴を排出する。より大きい体積を有する液滴は、印刷された受容層により高い粗さを生じることが観察された。
【0186】
別の好適なプリントヘッドは、通過流(throughflow)圧電インクジェットプリントヘッドである。通過流圧電インクジェットプリントヘッドは、流れに撹乱効果および悪い液滴配置(drop placement)を引き起こす可能性がある液中の凝集を避けるために、液の連続流がプリントヘッドの液路(liquid channels)を通って循環しているプリントヘッドである。通過流圧電インクジェットプリントヘッドの使用により悪い液滴配置を避けることは支持体上の導電性パターンの質を向上させることができる。そのような通過流プリントヘッドを用いる別の利点は、噴射されるべき硬化可能な流体のより高い粘度限界、流体の組成的変動の範囲を拡げることである。
【0187】
インクジェット印刷ヘッドは通常、移動するインク受容層表面を横切って横方向に前後を走査する。インクジェット印刷ヘッドは戻って印刷しないことが多い。二方向印刷は高い面積処理量を得るために好ましい。別の好適な印刷法は「シングルパス印刷法(single pass printing process)」であり、この方法は頁幅のインク−ジェット印刷ヘッドまたはインク−受容層表面の幅全体を覆う多数のずらして配置されたインクジェット印刷ヘッドを使用することにより行うことができる。シングルパス印刷法では、インクジェット印刷ヘッドは、通常は静止したままであり、そして基材表面がインクジェット印刷ヘッド下を移送される。
【0188】
受容層は、マルチパス印刷法のシングルパスに応用されることができる。マルチパス印刷法には受容層に十分な厚さがあることが好ましくなる。
【0189】
硬化装置
照射硬化型組成物は、それを適切な照射に暴露することにより硬化される。
【0190】
UV硬化型インキジェットインクは、紫外線照射に曝露することにより硬化される。硬化手段は、噴射の直後に硬化照射が適用されるように、一緒に移動しているUV硬化型インクジェットプリンターの白色インクプリントヘッドと組み合わせて配置されることができる。そのような急速な硬化は「ピン硬化(pin curing)」と呼ばれることがあり、そしてドットのサイズを制御することにより画質を強化するために使用される。好ましくはそのような硬化手段は1もしくは複数のUV LEDからなる。そのような配置では、プリントヘッドに接続され、そして共に移動することになるために十分に小さい他
の種類の硬化手段を備えることが難しくなる恐れがある。したがって静止した固定照射源、例えば、光ファイバーの束または内部反射性の柔軟な管のような、可撓性の照射伝導手段により照射源に接続された硬化UV−光線源を使用することができる。あるいはまた、化学線はプリントヘッドの上方に鏡を含む鏡の配置により、固定源から照射ヘッドに供給されることができる。
【0191】
照射源はまた、硬化される基剤上を横切って横に延伸する細長い照射源でよい。それは、プリントヘッドにより形成される画像のその次の列が、段階的にまたは連続的にその照射源の下方を通過するように、プリントヘッドの横断路に隣接することができる。
【0192】
放たれた光の一部が光開始剤または光開始系により吸収可能である限り、高圧もしくは低圧水銀ランプ、冷陰極管、不可視光線、紫外線LED、紫外線レーザーおよび閃光のような任意の紫外線源が照射源として使用され得る。これらの中で好適な照射源は、300ないし400nmの主要波長を有する比較的波長の長いUV貢献(UV−contribution)を示すものである。具体的には、UV−A光源は、より効率的な内部の硬化をもたらす光線の散乱が低いために好ましい。
【0193】
UV照射は一般に以下のようにUV−A、UV−BおよびUV−Cと分類される:
・UV−A:400nmないし320nm、
・UV−B:320nmないし290nm、
・UV−C:290nmないし100nm。
【0194】
好適な態様では、インクジェットプリンターは360nmより長い波長をもつ1もしくは複数のUV LED、好適には380nmより長い波長を持つ1もしくは複数のUV LED、そして最も好適には約395nmの波長をもつUV LEDを含む。
【0195】
さらに異なる波長または照度(illuminance)の2つの光源を連続的にまたは同時に使用して画像を硬化することが可能である。例えば、第1のUV源はとりわけ260nmないし200nmの範囲のUV−Cが豊富なように選択されることができる。次に第2のUV−源は、UV−Aが豊富な、例えば、ガリウムドープランプ、またはUV−AとUV−Bとの両方が高い異なるランプであることができる。2種のUV−源の使用は、例えば急速な硬化速度および高い硬化度のような利点を有することが分かった。
【0196】
硬化を促進するために、インクジェットプリンターはしばしば、1もしくは複数の酸素除去(depletion)ユニットを含む。酸素除去ユニットは、硬化環境内の酸素濃度を低下させるために、調整可能な位置および調整可能な不活性ガス濃度を伴う、窒素または他の比較的不活性なガス(例えば、CO2)のブランケットを配置する。残留酸素レベルは通常、わずか100ppmに維持されるが、一般には200ppmないし1200ppmの紫外線照射範囲にある。
【0197】
適用
白色受容層を使用する本発明による方法を用いて、高度に導電性の金属層またはパターンを、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルアクリレート(PMMA)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン―6,6、ポリエステル、ポリビニルクロライド(PVC)またはポリスチレン(PS)のような高温に耐えられない基材上に実現することができる。
【0198】
そのような基材は、基材に適用された金属パターンが高温で焼結された時に変形または融解する可能性がある。また、金属パターンのNIR硬化も、特に金属パターンが存在す
る基材の領域で、変形または融解を生じる恐れがあることが観察された。金属パターン、例えば銀パターンは焼結中に使用したNIR照射を吸収し、そしてそれを熱に変換し、それにより基材の変形または融解を誘導するようである。基材と金属パターンとの間に提供される本発明による白色受容層は、NIR硬化中に生じる熱から基材を保護するようである。
【0199】
そのような基材は、好ましくは180℃未満の、より好ましくは150℃未満の、最も好ましくは110℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0200】
硬化した受容層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは基材のTgより高い。
【0201】
しかし本発明による方法は、180℃以上のTgを有するポリマー(例えばポリアミド)、ガラスまたは金属のような、より高温に耐える基材にも使用することができる。
【0202】
この方法はまた、導電性金属パターンを、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)基材のような透明基材に施すこともできる。金属パターンがそのような透明基材に本発明による白色受容層無しで印刷される場合、NIR硬化は金属パターンの高導電性をもたらさない。
【0203】
白色受容層がそのような透明基材に適用され、そして金属パターンが白色受容層上に印刷される場合、NIR硬化でより高い導電性を得ることができる。この説明は、白色受容層がNIR照射を金属パターンに向けて反射する、とすることが可能であろう。
【0204】
白色受容層が、導電性パターンが印刷される基材の領域のみに適用される場合、導電性パターンが提供されないそのような領域は透明なままである。
【0205】
この方法を用いて、高度に導電性のパターンがPCBの調製に通常使用されるFR−4基材上に提供されることができる。この方法は導電性パターンを、良好な接着、高い導電性および良好な解像を有するそのようなFR−4基材上に提供する。
【0206】
これはタッチパネルまたはいわゆるメンブレンスイッチに使用できる。
【0207】
そのようなメンブレンスイッチ(図3,2)では、透明基材(100)、例えばPET基材が「タッチ」パネルとして使用される。グラフィックデザイン(400)は一般に基材の「内」面に印刷される(透明基材を通して見ると見える)。次いで白色受容層(200)がグラフィックデザイン(400)と導電性パターン(300)との間に配置される。
【0208】
スペーサー層はグラフィックデザインと導電性パターンとの間に適用できるが、白色受容層もスペーサー層として作用できる。
【0209】
透明基材を通して見る時に導電性パターン(例えば銀回路)を視覚から隠すために、白色受容層の厚さを至適化することができ、例えば上げる。また黒色層を基材と白色受容層との間に挿入して、金属パターンをさらに良く隠すことも可能である。黒色層も白色受容層と同様に各画像通りに適用することができる。
【0210】
PET基材の「外」面上に反射防止層をPET基材に適用することができる。導電性パターンは、PET基材の外面をタッチすることにより活性化される。
【実施例】
【0211】
材料
以下の実施例で用いられるすべての材料は、他に特定しなければALDRICHCHEMICALCo.(ベルギー)およびACROS(ベルギー)のような標準的な供給源から容易に入手可能であった。用いた水は脱イオン水であった。
【0212】
AgInk−01は、導電性銀インクジェット印刷インクSI−J20xであり、アグファ ゲヴエルトから販売されている。
【0213】
Wh04は、アグファ ゲヴエルトからDIPAMAT(商標)LegendインクWh04として市販されているUV硬化型白色インクジェットインクである。
【0214】
FWh01は、アグファ ゲヴエルトからDIPAMAT(商標)LegendインクFWh01として市販されているUV硬化型白色インクジェットインクである。
【0215】
G4ホワイトは、アグファ グラフィックスからANAPURNA500UVインクとして市販されているUV硬化型白色インクジェットインクである。
【0216】
G5ホワイトは、アグファ グラフィックスからANUVIA050ホワイトとして市販されているUV硬化型白色インクジェットインクである。
【0217】
G5カラーは、アグファ グラフィックスからANAPURNA500UVインクとして市販されているUV硬化型カラーインクジェットインクである。
【0218】
CurJet062は、以下の表4による組成を有するUV硬化型白色インクジェットインクである。
【表4】
【0219】
TPOは、RAHN AGにより供給される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
【0220】
Autotex Velvet150ポリエステルは、MacDermidからの高品質触感(textured)のポリエステル(厚さ150μm)である。
【0221】
Tronox CR−834は、KERR−McGEEコーポレーションから販売されているTi02顔料である。
【0222】
Disperbyk−162は、BYK CHEMIEから販売されている湿潤剤である。
【0223】
フェノキシエチルアクリレートは、SpecialChemからSR339として入手可能な単官能性アクリレートである。
【0224】
TBCHはSpecialChemからSR217として入手可能な4−tert.ブチルシクロヘキシルアクリレートである。
【0225】
ViClは、BASFから入手可能なN−ビニルカプロラクタムである。
【0226】
Genomer1122は、RAHNから入手可能な単官能性ウレタンアクリレートである。
【0227】
CN963B80は、ARKEMAから入手可能な二官能性脂肪族ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0228】
Esacure KT046は、FRATELLI LAMBERTIから入手可能な光開始剤である。
【0229】
Tegoglide410は、EVONIKから入手可能な均染剤である。
【0230】
Stab UV10は、AZELISから入手可能な安定化剤である。
【0231】
INHIBは、表5による組成を有する重合阻害剤を形成する混合物である。
【表5】
【0232】
DPGDAは、ARKEMAからSartomerSR508として入手可能なジプロ
ピレンジアクリレートである。
【0233】
Cupferron(商標)ALは、WAKO CHEMICALS LTDからのアルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンである。
【0234】
測定法
白色受容層ブレードコーティングの調製
全ての白色受容層ブレードコーティングサンプルは、2つの「脚(feet)」(脚間の距離=20cm)に取り付けた磨いたステンレス鋼のロッドを使用することにより調製した。次いでコーティング厚は、4〜100μmの範囲の一般的コーティング厚を可能にする使用したブレードにより定めた。
【0235】
この例では、厚さ20μmのブレードコーティングが調製された。
【0236】
コーティング工程の後、コーティングはそれをFusion UV硬化装置(Dバルブ、ランプ出力100%)を通すことにより硬化し、この操作は20m/分の速度で流れるテーブルベルトの援助を用いて行い、硬く、そして非粘着性の(完全に重合した)コーティングを生じた。
【0237】
受容層の表面の粗さの測定
Raは測定したサンプル長の平均の粗さである。Rzは各サンプル長における最高ピークと最低の谷との間の平均距離である。RaおよびRzの両方を、機械的な表面粗さテスター(Taylor Hobson(Ametek)から入手できるSurtonic S128)を使用することにより測定した。
【0238】
各報告値は、調製された受容層の8mmの距離に沿ってx−およびy−方向の両方に行った6回の測定の平均を表す。
【0239】
銀コーティングの導電率
4点コリニアプローブ(four−point collinear probe)を用いて銀コーティングの表面抵抗(SER)を測定した。表面もしくはシート抵抗を次式:
SER=(π/ln2)*(V/I)
[式中、
SERはΩ/平方で表される層の表面抵抗であり;
πは3.14におよそ等しい数学定数であり;
ln2は2の自然対数に等しい数学定数であり、0.693におよそ等しく;
Vは4点プローブ測定機器の電圧計により測定される電圧であり;
Iは4点プローブ測定機器により測定されるソース電流である]
により算出した。
【0240】
各サンプルに関し、コーティングの異なる位置で6回の測定を行い、そして平均値を算出した。
【0241】
コーティングの銀含有率MAg(g/m2)をWD−XRFにより決定した。
【0242】
次いで次式:
【数1】
【0243】
[式中、
σAgは銀の比導電率(6.3×107S/mに等しい)であり、σcoatはAgコーティングの比導電率であり、そしてρAgは銀の密度(1.049g×107g/m3)である]を用いて銀のバルク導電率(bulk conductivity)の割合として導電率を計算することにより、コーティングされた層の導電率を決定した。
【0244】
粘度測定
他に提供しない限り、粘度はTA Instrumentsからの例えばDHR−2Rheometer(二重壁リング)のような市販の粘度計を使用して、25℃で1000s-1の剪断速度で測定した。
【実施例1】
【0245】
5種の基材S−01からS−05は、表4による5種の受容層をAnapurna M2540i FB(BULB)プリンター(アグファから)を用いてAutotex Velvet150ポリエステルに印刷することにより調製した。
【0246】
銀の正方形(2cm×2cm)は、Konica Minolta30pLプリントヘッド(KM1024iLHE)(Efab=14μm、Eshift=35μm)を備えたCeraprinter(MGI ceradropから)を使用して、各基材の受容層に銀インクジェットインクAgInk−01を印刷した。
【0247】
全てのサンプルはAdphos NIRランプ(100%出力だが、異なるNIR焼結速度)を使用して表6に従い焼結した。
【0248】
銀パターンの導電性および接着性を表7に示す。
【表6】
【表7】
【0249】
表7の薄片状(flaked)とは、NIR焼結工程中に銀層(および/または受容層)が部分的または完全に基材から除かれたことを意味する。
【0250】
表7の結果から、高い導電性は受容層を持つ基材を使用したINV−01でのみ得られることが明らかである。
【0251】
さらにより良い接着性も受容層を持つ基材を用いて得られる。
【実施例2】
【0252】
基材S−06からS−14は、表8による白色インクをAutotex Velvet150ポリエステルに印刷することにより調製した。
【0253】
S−06からS−11は、表8による印刷条件を使用して、シングルパスのMicrocraftプリンターを用いて白色インクをポリエステルの片側に印刷することにより調製した。
【0254】
S−12およびS−13は、Anapurna M2540i FB(BULB)プリンター(アグファから)を用いてマルチパス様式で白色インクをポリエステルの片側にインクジェット印刷することにより調製した。
【0255】
S−14は前記のようにブレードコーティングすることにより白色インクをポリエステルの片側に調製した。
【0256】
銀の正方形(2cm×2cm)は、Konica Minolta30pLプリントヘッド(KM1024iLHE)(Efab=14μm、Eshift=35μm)を備えたCeraprinter(MGI ceradropから)を使用して、各基材の受容層に銀インクジェットインクAgInk−01を印刷し、そしてNIRランプ(100%出力、10mm/sのプラットフォーム速度)を使用して焼結した。
【表8】
【0257】
銀パターンの導電性および接着性を表9に示す。
【表9】
【0258】
表9の結果から、1から75の間のRzを有する受容層上に印刷された銀パターンは、1未満のRzを有する受容層上に印刷された銀パターンよりも高い導電性を生じることが明らかである。
【実施例3】
【0259】
基材S−15からS−18は、表10による白色インクをAutotex Velvet150ポリエステルに適用することにより調製した。
【0260】
S−16およびS−17は、Anapurna M2540i FB(BULB)プリンター(アグファから)を用いて表10の印刷条件を使用して、白色インクをポリエステルの片側に印刷することにより調製した。
【0261】
S−15およびS−18は白色インクをポリエステルの片側に前記のようにブレードコーティングすることにより調製した。
【0262】
銀の正方形(2cm×2cm)は、Konica Minolta30pLプリントヘッド(KM1024iLHE)(Efab=14μm、Eshift=35μm)を備えたCeraprinter(MGI ceradropから)を使用して、各基材の受容層に銀インクジェットインクAgInk−01を印刷し、そしてNIRランプ(100%出力、10mm/sのプラットフォーム速度)で焼結した。
【表10】
【0263】
銀のパターンは、Konica Minolta30pLプリントヘッド(KM1024iLHE)(Efab=14μm、Eshift=35μm)を備えたCeraprinter(MGI ceradropから)を使用して、各基材の受容層に銀インクジェットインクAgInk−01を印刷し、そしてNIRランプ(100%出力、10mm/sのプラットフォーム速度)を使用することにより焼結した。
【0264】
白色受容層の粗さおよび銀液滴の飛沫径(splat diameter)を表11に示す。
【0265】
銀液滴の飛沫径は、所定の基材に沈着した液滴の直径に相当する。
【表11】
【0266】
表11の結果から、銀液滴の飛沫径は白色受容層の粗さが上昇した時に低下することが明らかである。そのような飛沫径の低下は、より高い印刷解像度を生じる。
【実施例4】
【0267】
この実施例は本発明の白色受容層を、高温に耐えない基材に適用することを具体的に説明する。
【0268】
G5ホワイトコーティングは、Anapurna M2540iFB(BULB)プリンター(アグファから)を用いて表12の印刷条件を使用して、ポリスチレンからなる白色コインに適用した。コインは直径2cmおよび厚さ3mmであった。
【0269】
銀パターンは、G5ホワイトコーティングを含むか、または含まないコイン上に、Konica Minolta KM1024iLHE30pLプリントヘッド(飛沫径=70μm、Efab=14μm、Eshift=35μm)を備えたCeraprinter(MGI ceradropから)を使用して印刷し、そしてNIRランプ(50%出力だが、異なるNIR焼結速度)を使用することにより表12に従い焼結した。オーブン焼結は100℃で30分間後にコインが劇的に変形したので使用できなかった。G5ホワイトコーティングを含むコインには、銀パターンをG5ホワイトコーティング上に印刷した。
【0270】
銀パターンの導電性および接着性を表12に示す。
【表12】
【0271】
G5ホワイトコーティングを含まない全てのコインについて、銀で被覆された基材はNIR焼結後に融解したが、これはG5ホワイトコーティングを含んでなるコインには当てはまらなかった。
【0272】
NIR硬化条件はやや穏やか(moderate)であるので、銀パターンはNIR照射を吸収し、そして恐らくそれを熱に変換し、基材の融解を生じたと思われる。
【0273】
G5ホワイトコーティングは、NIR焼結中に銀パターンにより生じる熱から基材を保護するようである。
【0274】
表12から、高い導電性がG5ホワイトコーティングを含んでなるコインでのみ得られることが明らかである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】