特表2021-503507(P2021-503507A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-503507ホスホジエステラーゼ4を阻害する化合物・製法及びその薬物用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-503507(P2021-503507A)
(43)【公表日】2021年2月12日
(54)【発明の名称】ホスホジエステラーゼ4を阻害する化合物・製法及びその薬物用途
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20210115BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20210115BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210115BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210115BHJP
【FI】
   C07F5/02 CCSP
   A61K31/69
   A61P29/00
   A61P43/00 111
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-545430(P2020-545430)
(86)(22)【出願日】2018年12月25日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月18日
(86)【国際出願番号】CN2018123420
(87)【国際公開番号】WO2019134556
(87)【国際公開日】20190711
(31)【優先権主張番号】201810007608.5
(32)【優先日】2018年1月4日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520165423
【氏名又は名称】合肥医工医葯股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520165434
【氏名又は名称】合肥恩瑞特葯業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】何 広衛
(72)【発明者】
【氏名】儲 昭興
(72)【発明者】
【氏名】許 勤龍
(72)【発明者】
【氏名】李 豊
(72)【発明者】
【氏名】劉 為中
(72)【発明者】
【氏名】莫 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】趙 炎
【テーマコード(参考)】
4C086
4H039
4H048
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086DA43
4C086GA07
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB11
4C086ZC20
4H039CA91
4H039CD20
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB20
4H048AB22
4H048BE23
4H048VA32
4H048VA77
(57)【要約】
本発明は薬物化学分野に関し、具体的にはホスホジエステラーゼ4を阻害する小分子化合物(I)、調製方法及び該化合物を含有する医薬組成物に関し、薬効試験により、本発明の化合物はPDE−4酵素の阻害活性及び炎症治療効果を有することが証明されている。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
【化1】

、R、Rは任意置換のハロゲン、C〜Cのアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、C(O)OR、COR又はORを表し、
はH、C〜Cのアルキル、アミノ又はトリフルオロメチル表し、
XはN又はCHであることを特徴とする一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
以下のいずれかの構造式を有し、
【化2】

【化3】

【化4】
又は
【化5】
ここで、R、Rの定義は請求項1と同じであることを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
以下の構造式を有し、
【化6】
ここで、R、Rの定義は請求項1と同じであることを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
薬学的に許容される塩は、一般式(I)の化合物のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩または酢酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される担体を含む薬物組成物。
【請求項6】
ホスホジエステラーゼ4を阻害する用途の薬物を調製するために用いる請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
炎症関連疾患を予防又は治療する用途の薬物を調製するために用いる請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物化学分野に関し、具体的には、ホスホジエステラーゼ4を阻害する小分子化合物、調製方法及び該化合物を含有する医薬組成物及び治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は一般的な病理学的過程であり、体表面の外傷感染、および各臓器の最も一般的で頻繁な疾患(例えば、腫れ物、悪性腫れ物、肺炎、肝炎、腎炎など)はすべて炎症性疾患に属する(非特許文献1)。現在の臨床炎症性疾患に対する治療の主な手段は外用又は全身ホルモン系薬物であり、このような薬物は顕著な副作用を有する。抗炎症活性がより強い非ホルモン系薬物を発見することは常に薬物開発者の目標である。
【0003】
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)は、中性顆粒細胞およびT細胞で発現する主要なPDEであり、これはPDE4阻害剤が炎症を効果的に制御できることを示唆している。炎症細胞におけるPDE4の阻害は様々な特異的な応答に影響を与え、例えば、細胞因子及び活性酸素の産生又は放出を含む炎症誘発性メディエーターが、喘息、COOPD、炎症性腸症、アトピー性皮膚炎、乾癬症及び関節リウマチの治療において顕著な効果を有する。しかし現在臨床で使用されているPDE4アイソザイム阻害剤で、例えば、ロリプラム、ピラミラスト、CDP−840、エイブリーなどは、嘔吐、肝毒性、皮膚刺激などの多かれ少なかれ副作用があり、薬物臨床試験が失敗したか、または臨床的な応用が制限される。炎症性疾患を治療するために、新しい高効率で低毒性のホスホジエステラーゼ4阻害剤を見つけることが依然として必要である。
【化1】
【0004】
特許文献1は、ホウ素を含む小分子化合物1(Crisaborole)を開示しており、PDE4酵素を阻害すると抗炎症活性がある。以前私が公開した特許文献2の化合物2(Y5)は、Crisaboroleよりも優れた抗炎症活性を示している。本発明は、一連の新しい化合物を設計および合成し、これらの化合物がCrisaboroleとY5よりも顕著に優れた効果を示すことを予期せずに発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0234981号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第106831840号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Cruz−MigoniS,Caamano J.Fat−Associated Lymphoid Clusters in Inflammation and Immunity[J].Front Immunol.2016,7:612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以前の研究に基づいて、薬効実験により、本発明の化合物がホスホジエステラーゼ4の活性を阻害し、炎症関連疾患を予防及び治療する用途を有する一般式(I)の化合物を設計および合成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、一般式(I)の化合物を開示する。
【化2】
【0010】
ここで
、R、Rは、任意置換のハロゲン、C〜Cのアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、C(O)OR、COR又はORを表す。
はH、C〜Cのアルキル、アミノ又はトリフルオロメチルを表す。
XはN又はCHである。
【0011】
本発明の好ましい化合物は以下の構造のものである。
【化3】

【化4】
【化5】
又は
【化6】

ここで、R、Rの定義は上記と同じである。
【0012】
本発明はまた、以下の化合物が好ましい。
【化7】

ここでR、Rの定義は上記と同じである。
【0013】
一部の好ましい化合物は以下の通りである。
【化8】
【化9】
【0014】
本発明の化合物及びその医薬用塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、アミノ酸又はアミノ基を含む塩基性化合物からなる塩、又は医薬に許容される無機酸又は有機酸からなる塩を選び、好ましくは、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、塩酸、硫酸、リン酸塩、臭化水素酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸又は酢酸塩である。
【0015】
本発明の化合物又はその医薬用塩と薬学的に許容される担体の薬物組成物の、炎症性疾患の治療中における調製の応用である。
【0016】
本発明の化合物を含む炎症性疾患を治療又は予防することが可能な薬物組成物は、ここで、治療有効量の式(I)の化合物、又は、その医薬用塩と薬学的に許容される担体を含む。前記薬物組成物は、通常の錠剤又はカプセル、徐放性錠剤又はカプセル、制御放出錠剤又はカプセル、顆粒剤、経口液体、シロップ、坐剤、経皮製剤、注射剤など製剤の通常の製剤形態であってもよい。
【0017】
本発明の化合物の調製方法は以下の通りである。
【化10】
【0018】
[ステップ1]
塩基触媒と窒素保護の存在下において、化合物1と2−ブロモ−5ヒドロキシベンズアルデヒドを縮合させる。使用する塩基が炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシドなどである。溶媒はDMF、DMAなどであってもよく、反応温度は100℃〜120℃である。
【0019】
[ステップ2]
化合物2をジオキサンで溶解し、続いてピナコールホウ酸塩、酢酸カリウム、パラジウム試薬を添加し、窒素雰囲気下で、100℃で2時間攪拌して反応を完了させ、化合物3を取得する。
【0020】
[ステップ3]
化合物3をメタノールで溶解し、水素化ホウ素ナトリウムをゆっくり加え、室温で5時間攪拌し、さらに3M塩酸を加え、白色固体として析出させ、化合物4を得る。
【0021】
他の化合物の調製については、上記の方法を参照すること。
【0022】
生物学的評価は、以下の実験データにより、本発明の化合物の有益な効果を示している。
【0023】
[本発明の化合物がPDE4酵素に対する阻害作用]
Sf9昆虫細胞からN−末端GSTマーカーを用いてバキュロウイルスで表すPDE4A酵素を用いる。新たに調製したpH7.5 Trisの緩衝液の中に指定されたPDE4A酵素と1mM cAMPを添加し、酵素溶液を反応ウェルに移し、DMSO中で化合物を超音波溶解してから酵素溶液に加え、室温で10分間孵化し、基質溶液を反応ウェルに注いで反応を開始し、室温で1時間孵化し、検出トレーサー(AMP/GMP AlexaFluor 633 Tracer)と抗体(Transcreener(登録商標)AMP/GMP Antibody)を追加して反応を終了し、且つ穏やかに混合し、90分間孵化する。Ex/Em 620/688のところで蛍光偏光を測定し、1、0.1、0.01Μmの濃度で実験物をテストする。酵素活性が50%未満では、顕著な阻害活性を有すると考えられる。
【0024】
実験結果を下の表1に示す。
【表1】
【0025】
本発明の化合物のPDE4酵素に対する阻害活性を検出することにより、その結果、本発明化合物の各濃度におけるPDE4酵素に対する阻害活性はいずれもCrisaboroleとY5より優れており、ここで、化合物PD−4〜PD−9、PD−14〜PD−25、PD−28の3つの濃度におけるPDE4酵素に対する阻害率は90%を超える。
【0026】
[本発明の化合物はDNCBに皮膚炎マウスモデルを誘導する]
雌性BALB/Cマウス、体重18−22gを選択し、生物学的に7日間飼育した後、無作為にブランクグループ、モデルグループ、陽性薬Crisaboroleグループ、デキサメタゾングループ、各化合物グループに分け、各グループのマウスは8匹である。ブランクグループのマウスを除いて、残りのマウスは、1日1回、3日連続で、100μL 1%DNCB溶液[アセトン:オリーブオイル=4:1(V/V)]を、剃毛したマウスの背中の皮膚に塗布する。続いてマウスを飼育して4日後に薬を投与して治療し、各群の動物の背中に試験薬を塗抹し、ブランクグループ、モデルグループの動物に対応する溶媒を、陽性薬Crisaboroleグループ、デキサメタゾングループの動物に、対応する薬物50mg/mLを塗布し、薬物投与グループに、対応する化合物50mg/mL、マウスあたり100μLを塗抹する。薬物を4時間塗布した後に0.5%のDNCB溶液を塗布して二次励起を行い、1日1回、投与と励起処理を11回繰り返す。最後に投与して24時間後に、動物を犠牲にし、背中の皮膚(1×0.4cm)を採取し、10%ホルマリンバッファー中で固定し、病理切片を作成し、HE染色を行い、表皮層と真皮層を100倍の電子顕微鏡で観察し、それぞれ5つの領域を選択して検出し、皮膚の厚さを記録し、平均値を取ってそれぞれ最終的な表皮層の厚さと真皮層の厚さを示す。
【0027】
結果、モデルグループと比較して、本発明の化合物、デキサメタゾン及びCrisaborole、化合物Y5は、いずれもDNCBによって誘発されたアトピー性皮膚炎のマウスの皮膚表皮と真皮層の厚さ(P<0.01)を大幅に低減できることを示している。
【0028】
具体的な結果を表2に示す。
【表2】
【0029】
Crisaboroleと比べて、化合物PD−1、PD−4、PD−6、PD−7、PD−8、PD−10、PD−12、PD−14、PD−15、PD−16、PD−17、PD−21、PD−29、PD−30は、表皮の厚さ(P<0.01)を大幅に低減することができ、PD−9、PD−24、PD−25、PD−26、PD−31、PD−32、PD−33、化合物Y5は皮膚炎マウス表皮の厚さ(P<0.05)を大幅に低減することができる。化合物PD−1、PD−4、PD−6、PD−7、PD−8、PD−10、PD−12、PD−14、PD−15、PD−16、PD−17、PD−21、PD−26、PD−29、PD−30、PD−31、PD−33、化合物Y5は皮膚炎マウス真皮の厚さ(P<0.01)を大幅に低減することができ、PD−3、PD−9、PD−24、PD−25、PD−32は、皮膚炎マウス真皮の厚さ(P<0.05)を大幅に低減することができる。
【0030】
化合物Y5と比べて、化合物PD−1、PD−4、PD−6、PD−7、PD−8、PD−12、PD−14、PD−15、PD−21、PD−29は、表皮の厚さ(P<0.01)を大幅に低減することができ、化合物PD−16は表皮の厚さ(P<0.05)を大幅に低減することができる。化合物PD−4、PD−6、PD−7、PD−12、PD−14、PD−15、PD−17、PD−29は、皮膚炎マウス真皮の厚さ(P<0.01)を大幅に低減することができ、PD−1、PD−8、PD−16、PD−21、PD−33は皮膚炎マウス真皮の厚さ(P<0.05)を大幅に低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の化合物は、比較的良好な抗アトピー性皮膚炎効果を有し、部分化合物の作用活性は、Crisaboroleと化合物Y5より優れ、良好な開発の将来性を有することが示唆されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施形態1]
[PD−1の調製]
[ステップ1:中間体2の調製]
【化11】

50mLの単口瓶に、1(4.5g,21.7mmol)、ヨウ化メチル(4.58g,32.55mmol)を加え、30mLDMFを加えて溶解する。さらに炭酸カリウム(6.03g,43.4mmol)を加え、100℃で2h撹拌し、TLCで検出し反応を完了させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で3回洗浄し、有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、生成物4gを得た。収率は87.5%である。
【0033】
[ステップ2:中間体3の調製]
【化12】

50mLの単口瓶に2(4.2g,20mmol)、2−ブロモ−5ヒドロキシベンズアルデヒド(4g,20mmol)を加え、50mLDMFを加えて溶解する。さらに炭酸カリウム(2.56g,8mmol)を加え、窒素雰囲気下100℃で一晩撹拌し、TLC検出し反応を完了させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で3回洗浄し、有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、カラムクロマトして生成物1.5gを得た。収率は20%である。
【0034】
[ステップ3:中間体4の調製]
【化13】
50mLの単口瓶に3(1.46g,3.79mmol)、ピナコールホウ酸塩(1.16g,4.55mmol)を加え、20mLのジオキサンを加えて溶解する。さらに酢酸カリウム(1.3g,7.58mmol)、パラジウム試薬(277mg,0.38mmol)を加え、窒素雰囲気下100℃で2時間撹拌し、TLC検出し反応を完了させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で3回洗浄し、有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、カラムクロマトして生成物1.6gを得た。収率は97%である。
【0035】
[ステップ4:PD−1の調製]
【化14】

50mLの単口瓶に4(1.6g,3.79mmol)を加え、20mLメタノールを加えて溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(168mg,4.55mmol)をゆっくり加え、室温で0.5h撹拌する。さらに3M塩酸を加え、白い固体を析出させ、続いて2時間反応し、吸引濾過し、水で3回洗浄し、乾燥して生成物PD−1(0.8g,63%)を得た。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.20−9.22(m,2H),8.10−8.12(m,1H),7.74−7.90(m,3H),7.44−7.46(s,1H),7.32(d,1H),7.22−7.25(m,1H),5.01(s,2H),3.96(s,3H)。
【0036】
[実施形態2]
[PD−2の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロルキノリン−5−カルボン酸を原料として、PD−2(70mg,収率が13%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:13.42(s,1H),9.33−9.35(d,1H),9.22(s,1H),8.08−8.14(m,1H),7.81−7.88(m,2H),7.73−7.77(m,1H),7.42−7.44(d,1H),7.32(s,1H),7.23−7.25(m,1H),5.02(s,2H)。
【0037】
[実施形態3]
[PD−3の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロロキノリン−5−カルボン酸エチルエステルを原料としてPD−3(70mg,13%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.20−9.22(m,2H),8.11−8.14(d,1H),7.74−7.90(m,3H),7.44−7.46(d,1H),7.32(s,1H),7.23−7.25(m,1H),5.01(s,2H),4.41−4.46(m,2H),1.38−1.42(m,3H)。
【0038】
[実施形態4]
[化合物PD−4の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロロ−6−シアノキノリンを原料として、PD−4(56mg,10%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.24(s,1H),8.86(s,1H),8.53−8.55(d,1H),7.94−7.97(m,1H),7.82−7.84(d,1H),7.75−7.77(d,1H),7.46−7.48(d,1H),7.34(s,1H),7.24−7.26(d,1H),5.03(s,2H)。
【0039】
[実施形態5]
[PD−5の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロロキノリン−4−カルボン酸メチルエステルを原料として、PD−5(34.0mg,62.8%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.22(s,1H),8.49(d,J=8.28Hz,1H),7.82(d,J=7.78Hz,1H),7.71−7.77(m,2H),7.67(s,1H),7.56−7.63(m,1H),7.33(s,1H),7.25(dd,J=8.03,1.51Hz,1H),5.02(s,2H),4.00(s,3H)。
【0040】
[実施形態6]
[化合物PD−6の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロロ−6−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−6(104mg,77.6%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.24(s,1H),8.63−8.65(d,1H),8.49(s,1H),7.90−7.93(m,1H),7.81−7.84(m,1H),7.46−7.48(d,1H),7.34(s,1H),7.24−7.27(m,1H),5.03(s,2H)。
【0041】
[実施形態7]
[化合物PD−7の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロロ−5−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−7(105.0mg,59.9%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.23(s,1H),8.54(d,J=9.03Hz,1H),7.93−8.00(m,2H),7.79−7.86(m,2H),7.52(d,J=9.29Hz,1H),7.35(s,1H),7.26(d,J=7.78Hz,1H),5.03(s,2H)。
【0042】
[実施形態8]
実施形態1の方法を参照して、2,7−クロロ−5−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−8(33.5mg,39.9%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.23(s,1H),8.54(d,J=9.03Hz,1H),7.93−8.00(m,2H),7.79−7.86(m,2H),7.52(d,J=9.29Hz,1H),7.35(s,1H),7.26(d,J=7.78Hz,1H),5.03(s,2H)。
【0043】
[実施形態9]
[化合物PD−9の合成]
実施形態1の方法を参照して、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−6−シアノ−キノリンを原料として、PD−9(87mg,48%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.27(s,1H),8.49(s,1H),8.12−8.14(d,1H),7.99(s,1H),7.84−7.92(m,2H),7.40(s,1H),7.30−7.32(m,1H),5.04(s,2H)。
【0044】
[実施形態10]
[PD−10の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロキノリン−6−カルボン酸メチルエステルを原料として、PD−12(43mg,41%)を製造して得る。1HNMR(400MHz,DMSO) δ9.22(s,1H),8.70−8.58(m,2H),8.12(dd,J=8.8,1.7Hz,1H),7.82(d,J=7.9Hz,1H),7.71(d,J=8.8Hz,1H),7.40(d,J=8.8Hz,1H),7.33(s,1H),7.24(d,J=8.0Hz,1H),5.02(s,2H),3.91(s,3H)。
【0045】
[実施形態11]
[PD−11の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロキノリン−5−アミドを原料として、PD−13(37mg,32%)を製造して得る。1HNMR(400MHz,DMSO) δ9.24(s,1H),8.83(d,J=9.1Hz,1H),8.12(s,1H),7.82(d,J=8.0Hz,1H),7.76−7.59(m,4H),7.40−7.29(m,2H),7.23(d,J=7.9Hz,1H),5.02(s,2H)。
【0046】
[実施形態12]
[PD−12の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−5−アセチルキノリンを原料として、PD−12(35mg,31%)を製造して得る。1HNMR(400MHz,DMSO) δ9.21(s,1H),9.07(d,J=9.2Hz,1H),8.15(dd,J=7.2,1.2Hz,1H),7.79(dd,J=12.3,7.8Hz,3H),7.40(d,J=9.3Hz,1H),7.30(d,J=1.4Hz,1H),7.22(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),5.01(s,2H),2.74(s,3H)。
【0047】
[実施形態13]
[PD−13の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−6−アミドキノリンを原料として、PD−13(55mg,45%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.22(s,1H),8.51(d,J=8.8Hz,2H),8.12(d,J=10.3Hz,2H),7.83(d,J=7.9Hz,1H),7.68(d,J=8.8Hz,1H),7.48(s,1H),7.40−7.29(m,2H),7.24(d,J=9.1Hz,1H),5.03(s,2H)。
【0048】
[実施形態14]
[PD−14の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−6−アセチルキノリンを原料として、PD−14(60mg,51%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.23(s,1H),8.71(d,J=1.9Hz,1H),8.62(d,J=8.8Hz,1H),8.14(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),7.83(d,J=8.0Hz,1H),7.70(d,J=8.8Hz,1H),7.41(d,J=8.8Hz,1H),7.34(d,J=1.4Hz,1H),7.25(dd,J=7.9,2.0Hz,1H),5.03(s,2H),2.70(s,3H)。
【0049】
[実施形態15]
[PD−15の合成]
実施形態1の方法に従い、2,7−ジクロロ−6−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−15(35mg,33.2%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.27(s,1H),8.01(d,J=8.8Hz,1H),7.84(d,J=7.9Hz,1H),7.64(d,J=8.9Hz,1H),7.35(m,2H),6.97(d,J=7.9Hz,1H),6.48(d,J=8.0Hz,1H),5.03(s,2H)。
【0050】
[実施形態16]
[PD−16の合成]
実施形態1の方法に従い、2,7−ジクロロ−6−シアノキノリンを原料として、PD−16(57mg,38%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.24(s,1H),8.76(s,1H),8.54(d,J=8.9Hz,1H),7.94(s,1H),7.82(d,J=7.9Hz,1H),7.48(d,J=8.9Hz,1H),7.34(s,1H),7.25(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),5.02(s,2H)。
【0051】
[実施形態17]
[PD−17の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−4,6−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−17(57mg,38%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.21(s,1H),8.76−8.73(m,1H),8.54(d,J=8.9Hz,1H),7.94(s,1H),7.82−7.73(m,1H),7.43(d,J=8.9Hz,1H),7.30(s,1H),7.19(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),5.02(s,2H)。
【0052】
[実施形態18]
[PD−18の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−4−トリフルオロメチルキノリン−6カルボン酸メチルエステルを原料として、PD−18(37mg,38%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.11(s,1H),8.46(s,1H),8.10(d,J=8.8Hz,1H),7.77(s,1H),7.72−7.65(m,2H),7.15(d,J=8.0Hz,1H),4.89(s,2H),3.79(s,3H)。
【0053】
[実施形態19]
[PD−19の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−6−アセチルキノリンを原料として、PD−19(107mg,68%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.26(s,1H),8.54(s,1H),8.30(d,J=8.8Hz,1H),7.95−7.82(m,3H),7.40(s,1H),7.31(dd,J=8.0,1.4Hz,1H),5.05(s,2H),2.72(s,3H)。
【0054】
[実施形態20]
[PD−20の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−4−フルオロキノリン−6−カルボン酸メチルエステルを原料として、PD−20(43mg,41%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.30(s,1H),8.06−8.08(d,1H),7.81−7.84(d,1H),7.62−7.64(d,1H),7.28−7.34(m,2H),6.97−6.99(m,2H),5.04(s,2H),3.45(s,3H)。
【0055】
[実施形態21]
[PD−21の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−4−フルオロ−6−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−21(67mg,48%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.26(s,1H),8.03(d,J=8.8Hz,1H),7.81−7.84(m,2H),7.68−7.63(m,1H),7.28−7.34(m,2H),6.48(d,J=8.0Hz,1H),5.03(m,1H)。
【0056】
[実施形態22]
[PD−22の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−4−フルオロ−6−シアノキノリンを原料として、PD−22(51mg,31%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.24(s,1H),8.08(d,J=8.8Hz,1H),7.83(d,J=8.8Hz,1H),7.67−7.62(m,1H),7.34(d,J=8.0Hz,2H),6.99(d,J=8.0Hz,1H),6.48(d,J=8.0Hz,1H),5.01(m,1H)。
【0057】
[実施形態23]
[PD−23の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ナフタレンを原料として、PD−23(72mg,52%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d),9.24(s,1H),8.08(d,J=8.8Hz,1H),7.83(d,J=8.8Hz,1H),7.67−7.53(m,2H),7.34(d,J=8.0Hz,2H),6.99−6.93(m,2H),6.43(d,J=8.0Hz,1H),5.02(m,1H)。
【0058】
[実施形態24]
[PD−24の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−ナフタレン−5−カルボン酸メチルエステルを原料として、PD−24(57mg,38%)を製造して得る。HNMR (400MHz,DMSO) δ9.15(s,1H),8.81(d,J=9.4Hz,1H),8.16−8.04(m,2H),7.77(d,J=8.6Hz,1H),7.64−7.55(m,2H),7.47(dd,J=9.3,2.7Hz,1H),7.16−7.05(m,2H),4.94(s,2H),3.94(s,3H)。
【0059】
[実施形態25]
[PD−25の合成]
実施形態1の方法に従い、2−クロロ−6−シアノナフタレンを原料として、PD−25(37mg,28%)を製造して得る。HNMR (400MHz,DMSO) δ9.22(s,1H),8.59(s,1H),8.15(d,J=9.0Hz,1H),8.03(d,J=8.6Hz,1H),7.84−7.73(m,2H),7.58−7.46(m,2H),7.20−7.09(m,2H),4.98(s,2H)。
【0060】
[実施形態26]
[PD−26の合成]
実施形態1の方法に従い、2,4−ジクロロ−6−シアノキノリンを原料として、PD−26(43mg,36%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.23(s,1H),8.35(d,J=9.2Hz,1H),7.81(d,J=8.8Hz,1H),7.62(d,J=8.0Hz,1H),6.92(d,J=9.2Hz,1H),6.78−6.63(m,2H),6.46(d,J=9.2Hz,1H),5.04(m,1H)。
【0061】
[実施形態27]
[PD−27の合成]
実施形態1の方法に従い、2,4−ジクロロキノリン−6−カルボン酸メチルエステルを原料として、PD−27(63mg,36%)を製造して得る。HNMR(400MHz,DMSO) δ9.34(s,1H),8.91(d,J=1.8Hz,1H),8.35(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),8.09(d,J=8.8Hz,1H),7.92(d,J=8.0Hz,1H),7.46(d,J=1.6Hz,1H),7.38(dd,J=8.0,2.1Hz,1H),6.67(s,1H),5.06(s,2H),3.96(s,3H)。
【0062】
[実施形態28]
[PD−28の合成]
実施形態1の方法に従い、2,4−ジクロロ−6−トリフルオロメチルキノリンを原料として、PD−28(23mg,16%)を製造して得る。HNMR 400MHz(DMSO−d) δ:9.22(s,1H),8.34(d,J=9.2Hz,1H),7.82(d,J=8.8Hz,1H),7.58(d,J=8.0Hz,1H),6.97(d,J=9.2Hz,1H),6.78−6.62(m,2H),6.51(d,J=9.2Hz,1H),5.04(m,1H)。
【0063】
(付記)
(付記1)
下記一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
【化15】
、R、Rは任意置換のハロゲン、C〜Cのアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、C(O)OR、COR又はORを表し、
はH、C〜Cのアルキル、アミノ又はトリフルオロメチル表し、
XはN又はCHであることを特徴とする一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0064】
(付記2)
以下のいずれかの構造式を有し、
【化16】

【化17】
【化18】
又は
【化19】
ここで、R、Rの定義は付記1と同じであることを特徴とする付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0065】
(付記3)
以下の構造式を有し、
【化20】

ここで、R、Rの定義は付記1と同じであることを特徴とする付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0066】
(付記4)
薬学的に許容される塩は、一般式(I)の化合物のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩または酢酸塩であることを特徴とする付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0067】
(付記5)
付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される担体を含む薬物組成物。
【0068】
(付記6)
ホスホジエステラーゼ4を阻害する用途の薬物を調製するために用いる付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0069】
(付記7)
炎症関連疾患を予防又は治療する用途の薬物を調製するために用いる付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【国際調査報告】