(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
ランチオニンシンテターゼC様タンパク質2経路を標的とする化合物と、その化合物を用いてインビトロで調製された免疫細胞などの細胞と、を提供する。化合物及び細胞は、感染性疾患、過剰増殖性障害、先天性代謝異常、慢性免疫代謝性疾患、自己免疫疾患、臓器移植拒絶反応、炎症性障害、及び慢性疼痛などを含む多くの状態の治療するために使用することができる。
前記接触させることが、前記前駆細胞を、前記化合物、ならびにオールトランスレチノイン酸、TGF−β、ホルボールミリステートアセテート、イオノマイシン、ラパマイシン、及びIL−2のうちの1つ以上を含む薬剤と接触させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
前記化合物依存性差異が、IL−10もしくはそのオーソログの発現の増加、FOXP3もしくはそのオーソログの発現の増加、TNFαもしくはそのオーソログの発現の減少、IFNγもしくはそのオーソログの発現の減少、Tbetもしくはそのオーソログの発現の減少、Lag3もしくはそのオーソログの発現の増加、Socs2もしくはそのオーソログの発現の増加、Irf7もしくはそのオーソログの発現の増加、P2rx7もしくはそのオーソログの発現の増加、Capn3もしくはそのオーソログの発現の増加、Ikzf2もしくはそのオーソログの発現の増加、Stat5aもしくはそのオーソログの発現の増加、Ptenもしくはそのオーソログの発現の増加、Foxo1もしくはそのオーソログの発現の増加、Phlpp1もしくはそのオーソログの発現の増加、STAT5aもしくはそのオーソログのリン酸化の増加、FOXO1リン酸化もしくはそのオーソログの増加、及びピルビン酸キナーゼ活性の増加のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
請求項13に記載の単離された細胞で動物の状態を治療する方法であって、前記状態を治療するのに十分な量の細胞を前記動物に投与することを含み、前記状態が、炎症性障害、感染性疾患、過剰増殖性障害、先天性代謝異常、慢性免疫代謝性疾患、自己免疫疾患、臓器移植拒絶反応、及び慢性疼痛を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】BT−11は大腸炎のMdr1a−/−モデルで疾患の発症を抑制する。BT−11は、疾患活動性指数を低下させる(
図1A、パネルA)。ビヒクル(
図1A、パネルB)及びBT−11治療(
図1A、パネルC)動物における生後10週のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。それぞれ10週齢の腸間膜リンパ節(
図1B、パネルD〜F)ならびに結腸固有層(
図1C、パネルG〜I)におけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図1D、パネルJ)、Il17a(
図1D、パネルK)、Mcp1(
図1E、パネルL)、Tnfa(
図1E、パネルM)、Lancl2(
図1F、パネルN)及びIl6(
図1F、パネルO)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療グループ(n=10)による統計的有意性。
【
図1B】BT−11は大腸炎のMdr1a−/−モデルで疾患の発症を抑制する。BT−11は、疾患活動性指数を低下させる(
図1A、パネルA)。ビヒクル(
図1A、パネルB)及びBT−11治療(
図1A、パネルC)動物における生後10週のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。それぞれ10週齢の腸間膜リンパ節(
図1B、パネルD〜F)ならびに結腸固有層(
図1C、パネルG〜I)におけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図1D、パネルJ)、Il17a(
図1D、パネルK)、Mcp1(
図1E、パネルL)、Tnfa(
図1E、パネルM)、Lancl2(
図1F、パネルN)及びIl6(
図1F、パネルO)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療グループ(n=10)による統計的有意性。
【
図1C】BT−11は大腸炎のMdr1a−/−モデルで疾患の発症を抑制する。BT−11は、疾患活動性指数を低下させる(
図1A、パネルA)。ビヒクル(
図1A、パネルB)及びBT−11治療(
図1A、パネルC)動物における生後10週のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。それぞれ10週齢の腸間膜リンパ節(
図1B、パネルD〜F)ならびに結腸固有層(
図1C、パネルG〜I)におけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図1D、パネルJ)、Il17a(
図1D、パネルK)、Mcp1(
図1E、パネルL)、Tnfa(
図1E、パネルM)、Lancl2(
図1F、パネルN)及びIl6(
図1F、パネルO)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療グループ(n=10)による統計的有意性。
【
図1D】BT−11は大腸炎のMdr1a−/−モデルで疾患の発症を抑制する。BT−11は、疾患活動性指数を低下させる(
図1A、パネルA)。ビヒクル(
図1A、パネルB)及びBT−11治療(
図1A、パネルC)動物における生後10週のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。それぞれ10週齢の腸間膜リンパ節(
図1B、パネルD〜F)ならびに結腸固有層(
図1C、パネルG〜I)におけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図1D、パネルJ)、Il17a(
図1D、パネルK)、Mcp1(
図1E、パネルL)、Tnfa(
図1E、パネルM)、Lancl2(
図1F、パネルN)及びIl6(
図1F、パネルO)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療グループ(n=10)による統計的有意性。
【
図1E】BT−11は大腸炎のMdr1a−/−モデルで疾患の発症を抑制する。BT−11は、疾患活動性指数を低下させる(
図1A、パネルA)。ビヒクル(
図1A、パネルB)及びBT−11治療(
図1A、パネルC)動物における生後10週のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。それぞれ10週齢の腸間膜リンパ節(
図1B、パネルD〜F)ならびに結腸固有層(
図1C、パネルG〜I)におけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図1D、パネルJ)、Il17a(
図1D、パネルK)、Mcp1(
図1E、パネルL)、Tnfa(
図1E、パネルM)、Lancl2(
図1F、パネルN)及びIl6(
図1F、パネルO)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療グループ(n=10)による統計的有意性。
【
図1F】BT−11は大腸炎のMdr1a−/−モデルで疾患の発症を抑制する。BT−11は、疾患活動性指数を低下させる(
図1A、パネルA)。ビヒクル(
図1A、パネルB)及びBT−11治療(
図1A、パネルC)動物における生後10週のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。それぞれ10週齢の腸間膜リンパ節(
図1B、パネルD〜F)ならびに結腸固有層(
図1C、パネルG〜I)におけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図1D、パネルJ)、Il17a(
図1D、パネルK)、Mcp1(
図1E、パネルL)、Tnfa(
図1E、パネルM)、Lancl2(
図1F、パネルN)及びIl6(
図1F、パネルO)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療グループ(n=10)による統計的有意性。
【
図2A】CD4+T細胞におけるLancl2の喪失は、DSSモデルにおけるBT−11効果を無効にする。DSSでの7日間のチャレンジに続く3日間の標準水での疾患活動性(
図2A、パネルA)及び体重変化(
図2A、パネルB)。ビヒクル及びBT−11で治療した野生型マウスならびにビヒクル及びBT−11で治療したLancl2ΔTマウスにおけるDSSチャレンジ7日目のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真(
図2B、パネルC)。それぞれDSSチャレンジ7日目の結腸固有層(
図2C、パネルD〜F)おけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図2C、パネルG)、Il17a(
図2C、パネルH)、Tnfa(
図2C、パネルI)、及びIl6(
図2C、パネルJ)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)及び#(P<0.05)でマーキングされた遺伝子型群(n=10)による統計的有意性。
【
図2B】CD4+T細胞におけるLancl2の喪失は、DSSモデルにおけるBT−11効果を無効にする。DSSでの7日間のチャレンジに続く3日間の標準水での疾患活動性(
図2A、パネルA)及び体重変化(
図2A、パネルB)。ビヒクル及びBT−11で治療した野生型マウスならびにビヒクル及びBT−11で治療したLancl2ΔTマウスにおけるDSSチャレンジ7日目のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真(
図2B、パネルC)。それぞれDSSチャレンジ7日目の結腸固有層(
図2C、パネルD〜F)おけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図2C、パネルG)、Il17a(
図2C、パネルH)、Tnfa(
図2C、パネルI)、及びIl6(
図2C、パネルJ)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)及び#(P<0.05)でマーキングされた遺伝子型群(n=10)による統計的有意性。
【
図2C】CD4+T細胞におけるLancl2の喪失は、DSSモデルにおけるBT−11効果を無効にする。DSSでの7日間のチャレンジに続く3日間の標準水での疾患活動性(
図2A、パネルA)及び体重変化(
図2A、パネルB)。ビヒクル及びBT−11で治療した野生型マウスならびにビヒクル及びBT−11で治療したLancl2ΔTマウスにおけるDSSチャレンジ7日目のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真(
図2B、パネルC)。それぞれDSSチャレンジ7日目の結腸固有層(
図2C、パネルD〜F)おけるTh1(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)、及びTreg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)細胞の免疫表現型検査。Ifnγ(
図2C、パネルG)、Il17a(
図2C、パネルH)、Tnfa(
図2C、パネルI)、及びIl6(
図2C、パネルJ)の結腸全体のqRT−PCRはβ−アクチンに対して正規化されている。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)及び#(P<0.05)でマーキングされた遺伝子型群(n=10)による統計的有意性。
【
図3A】BT−11は、調節性CD4+T細胞を介して主要な効果を発揮する。Rag2−/−マウスからの疾患活動性指数は、WT(
図3A、パネルA)及びLancl2−/−(
図3A、パネルB)エフェクタCD4+T細胞を、なし、WT、又はLancl2−/−調節性CD4+細胞と組み合わせて移入日から移入後6週間まで移入した。組織病理学的検査による移入後6週間での結腸切片内の白血球浸潤のスコアのまとめ(
図3B、パネルC)。それぞれ結腸固有層におけるTh1細胞(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)及び好中球(Gr1hiCD11b+)の免疫表現型分類(
図3B、パネルD及びE、
図3C、パネルF〜H)。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)による統計的有意性。
【
図3B】BT−11は、調節性CD4+T細胞を介して主要な効果を発揮する。Rag2−/−マウスからの疾患活動性指数は、WT(
図3A、パネルA)及びLancl2−/−(
図3A、パネルB)エフェクタCD4+T細胞を、なし、WT、又はLancl2−/−調節性CD4+細胞と組み合わせて移入日から移入後6週間まで移入した。組織病理学的検査による移入後6週間での結腸切片内の白血球浸潤のスコアのまとめ(
図3B、パネルC)。それぞれ結腸固有層におけるTh1細胞(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)及び好中球(Gr1hiCD11b+)の免疫表現型分類(
図3B、パネルD及びE、
図3C、パネルF〜H)。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)による統計的有意性。
【
図3C】BT−11は、調節性CD4+T細胞を介して主要な効果を発揮する。Rag2−/−マウスからの疾患活動性指数は、WT(
図3A、パネルA)及びLancl2−/−(
図3A、パネルB)エフェクタCD4+T細胞を、なし、WT、又はLancl2−/−調節性CD4+細胞と組み合わせて移入日から移入後6週間まで移入した。組織病理学的検査による移入後6週間での結腸切片内の白血球浸潤のスコアのまとめ(
図3B、パネルC)。それぞれ結腸固有層におけるTh1細胞(CD3+CD4+CD8−NK1.1−Tbet+IFNγ+)及び好中球(Gr1hiCD11b+)の免疫表現型分類(
図3B、パネルD及びE、
図3C、パネルF〜H)。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)による統計的有意性。
【
図4】BT−11はインビトロで分化したTregの安定性及び抑制機能を高める。インビトロで分化されたCD4+T細胞のサイトメトリビーズアレイによるCFSE染色(パネルA)及びTNFα(パネルB)及びIFNγ(パネルC)による24時間細胞増殖の測定は、BT−11で処理されたTregを分化した(0、0.00975、0.039、0.625μM)。BT−11での処理48時間後のTreg内でのSocs2(パネルD)、Irf7(パネルE)、Ikzf2(パネルF)、Capn3(パネルG)、Lag3(パネルH)、P2rx7(パネルI)の遺伝子発現。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図5A】BT−11は後期解糖に影響を与えて、Treg分化に影響を与える。BT−11(0、0.00975、0.039、0.625μM)で処理したWT及びLancl2−/−TregsにおけるPkm2(
図5A、パネルA)及びEno1(
図5A、パネルB)の遺伝子発現。BT−11(0、0.00975、0.039、0.156、0.625μM、左から右)で処理したWT Tregsにおけるピルビン酸キナーゼ(
図5A、パネルC)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ(
図5B、パネルF)の酵素活性。BT−11(0、0.00975、0.039、0.156、0.625μM、左から右)で処理したWT Tregsにおける細胞内PEP濃度(
図5B、パネルD)。PS−48処理(0、0.00975、0.156μM BT−11、左から右)での細胞内PEP濃度(
図5B、パネルE)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性(
図5B、パネルG)。PS−48、タプシガルギン又はDASA−58及びBT−11((0、0.00975、0.039、0.156、0.625μM、左から右)の存在下でのWT及びLancl2−/−CD4+T細胞のTregへの分化(
図5B、パネルH)。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図5B】BT−11は後期解糖に影響を与えて、Treg分化に影響を与える。BT−11(0、0.00975、0.039、0.625μM)で処理したWT及びLancl2−/−TregsにおけるPkm2(
図5A、パネルA)及びEno1(
図5A、パネルB)の遺伝子発現。BT−11(0、0.00975、0.039、0.156、0.625μM、左から右)で処理したWT Tregsにおけるピルビン酸キナーゼ(
図5A、パネルC)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ(
図5B、パネルF)の酵素活性。BT−11(0、0.00975、0.039、0.156、0.625μM、左から右)で処理したWT Tregsにおける細胞内PEP濃度(
図5B、パネルD)。PS−48処理(0、0.00975、0.156μM BT−11、左から右)での細胞内PEP濃度(
図5B、パネルE)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性(
図5B、パネルG)。PS−48、タプシガルギン又はDASA−58及びBT−11((0、0.00975、0.039、0.156、0.625μM、左から右)の存在下でのWT及びLancl2−/−CD4+T細胞のTregへの分化(
図5B、パネルH)。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図6A】BT−11の免疫代謝効果のインビボ検証。それぞれPS−48投与無しでビヒクル(
図6A、パネルA、C)及びBT−11治療(
図6A、パネルB、D)したマウスの10週齢のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。10週齢での結腸の組織学的スコア(
図6B、パネルE〜G)。それぞれ10週齢での結腸固有層(
図6B、パネルH〜J)における、総合的なCD4+、Treg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)細胞の免疫表現型検査。10週齢での結腸全体におけるPEP濃度(
図6C、パネルK)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性(
図6C、パネルL)。Ifng(
図6C、パネルM)、Tnfa(
図6C、パネルN)、Foxp3−E2(
図6C、パネルO)、Foxp3(
図6C、パネルP)、Socs2(
図6C、パネルQ)、及びCapn3(
図6C、パネルR)の結腸全体のqRT−PCRは、β−アクチンに対して正規化されている。パネルE〜Rについての条件は、(左から右に)ビヒクル、BT−11(8mg/kg)、PS−48を有するビヒクル、及びPS−48を有するBT−11(8mg/kg)である。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)による統計的有意性。
【
図6B】BT−11の免疫代謝効果のインビボ検証。それぞれPS−48投与無しでビヒクル(
図6A、パネルA、C)及びBT−11治療(
図6A、パネルB、D)したマウスの10週齢のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。10週齢での結腸の組織学的スコア(
図6B、パネルE〜G)。それぞれ10週齢での結腸固有層(
図6B、パネルH〜J)における、総合的なCD4+、Treg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)細胞の免疫表現型検査。10週齢での結腸全体におけるPEP濃度(
図6C、パネルK)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性(
図6C、パネルL)。Ifng(
図6C、パネルM)、Tnfa(
図6C、パネルN)、Foxp3−E2(
図6C、パネルO)、Foxp3(
図6C、パネルP)、Socs2(
図6C、パネルQ)、及びCapn3(
図6C、パネルR)の結腸全体のqRT−PCRは、β−アクチンに対して正規化されている。パネルE〜Rについての条件は、(左から右に)ビヒクル、BT−11(8mg/kg)、PS−48を有するビヒクル、及びPS−48を有するBT−11(8mg/kg)である。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)による統計的有意性。
【
図6C】BT−11の免疫代謝効果のインビボ検証。それぞれPS−48投与無しでビヒクル(
図6A、パネルA、C)及びBT−11治療(
図6A、パネルB、D)したマウスの10週齢のH&E染色結腸切片の代表的な顕微鏡写真。10週齢での結腸の組織学的スコア(
図6B、パネルE〜G)。それぞれ10週齢での結腸固有層(
図6B、パネルH〜J)における、総合的なCD4+、Treg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+IL10+)、Th17(CD3+CD4+CD8−NK1.1−RORγT+IL17+)細胞の免疫表現型検査。10週齢での結腸全体におけるPEP濃度(
図6C、パネルK)及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性(
図6C、パネルL)。Ifng(
図6C、パネルM)、Tnfa(
図6C、パネルN)、Foxp3−E2(
図6C、パネルO)、Foxp3(
図6C、パネルP)、Socs2(
図6C、パネルQ)、及びCapn3(
図6C、パネルR)の結腸全体のqRT−PCRは、β−アクチンに対して正規化されている。パネルE〜Rについての条件は、(左から右に)ビヒクル、BT−11(8mg/kg)、PS−48を有するビヒクル、及びPS−48を有するBT−11(8mg/kg)である。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=10)による統計的有意性。
【
図7A】BT−11の免疫代謝効果のヒトPBMC検証。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のクローン病のドナーのPBMC内のIL10+(
図7A、パネルA)、FOXP3+(
図7A、パネルB)、TNFα+(
図7B、パネルC)、及びIFNγ+(
図7B、パネルD)細胞の割合。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のLancl2のサイレンシング内のIL10+(
図7C、パネルE)及びIFNγ+(
図7C、パネルF)細胞の割合。BT−11の存在下でTregに分化したヒトPBMCから単離されたナイーブCD4+T細胞内のLag3(
図7D、パネルG)、Socs2(
図7D、パネルH)、Irf7(
図7D、パネルI)、P2rx7(
図7D、パネルJ)、Capn3(
図7D、パネルK)、Ikzf2(
図7D、パネルL)の遺伝子発現。インビトロで分化したヒトTregのピルビン酸キナーゼ活性(
図7E、パネルM)。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後かつタプシガルギン又は外部PEP存在下でのFOXP3+(
図7E、パネルN)及びIFNγ+(
図7E、パネルO)細胞の割合。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図7B】BT−11の免疫代謝効果のヒトPBMC検証。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のクローン病のドナーのPBMC内のIL10+(
図7A、パネルA)、FOXP3+(
図7A、パネルB)、TNFα+(
図7B、パネルC)、及びIFNγ+(
図7B、パネルD)細胞の割合。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のLancl2のサイレンシング内のIL10+(
図7C、パネルE)及びIFNγ+(
図7C、パネルF)細胞の割合。BT−11の存在下でTregに分化したヒトPBMCから単離されたナイーブCD4+T細胞内のLag3(
図7D、パネルG)、Socs2(
図7D、パネルH)、Irf7(
図7D、パネルI)、P2rx7(
図7D、パネルJ)、Capn3(
図7D、パネルK)、Ikzf2(
図7D、パネルL)の遺伝子発現。インビトロで分化したヒトTregのピルビン酸キナーゼ活性(
図7E、パネルM)。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後かつタプシガルギン又は外部PEP存在下でのFOXP3+(
図7E、パネルN)及びIFNγ+(
図7E、パネルO)細胞の割合。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図7C】BT−11の免疫代謝効果のヒトPBMC検証。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のクローン病のドナーのPBMC内のIL10+(
図7A、パネルA)、FOXP3+(
図7A、パネルB)、TNFα+(
図7B、パネルC)、及びIFNγ+(
図7B、パネルD)細胞の割合。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のLancl2のサイレンシング内のIL10+(
図7C、パネルE)及びIFNγ+(
図7C、パネルF)細胞の割合。BT−11の存在下でTregに分化したヒトPBMCから単離されたナイーブCD4+T細胞内のLag3(
図7D、パネルG)、Socs2(
図7D、パネルH)、Irf7(
図7D、パネルI)、P2rx7(
図7D、パネルJ)、Capn3(
図7D、パネルK)、Ikzf2(
図7D、パネルL)の遺伝子発現。インビトロで分化したヒトTregのピルビン酸キナーゼ活性(
図7E、パネルM)。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後かつタプシガルギン又は外部PEP存在下でのFOXP3+(
図7E、パネルN)及びIFNγ+(
図7E、パネルO)細胞の割合。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図7D】BT−11の免疫代謝効果のヒトPBMC検証。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のクローン病のドナーのPBMC内のIL10+(
図7A、パネルA)、FOXP3+(
図7A、パネルB)、TNFα+(
図7B、パネルC)、及びIFNγ+(
図7B、パネルD)細胞の割合。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のLancl2のサイレンシング内のIL10+(
図7C、パネルE)及びIFNγ+(
図7C、パネルF)細胞の割合。BT−11の存在下でTregに分化したヒトPBMCから単離されたナイーブCD4+T細胞内のLag3(
図7D、パネルG)、Socs2(
図7D、パネルH)、Irf7(
図7D、パネルI)、P2rx7(
図7D、パネルJ)、Capn3(
図7D、パネルK)、Ikzf2(
図7D、パネルL)の遺伝子発現。インビトロで分化したヒトTregのピルビン酸キナーゼ活性(
図7E、パネルM)。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後かつタプシガルギン又は外部PEP存在下でのFOXP3+(
図7E、パネルN)及びIFNγ+(
図7E、パネルO)細胞の割合。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図7E】BT−11の免疫代謝効果のヒトPBMC検証。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のクローン病のドナーのPBMC内のIL10+(
図7A、パネルA)、FOXP3+(
図7A、パネルB)、TNFα+(
図7B、パネルC)、及びIFNγ+(
図7B、パネルD)細胞の割合。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後のLancl2のサイレンシング内のIL10+(
図7C、パネルE)及びIFNγ+(
図7C、パネルF)細胞の割合。BT−11の存在下でTregに分化したヒトPBMCから単離されたナイーブCD4+T細胞内のLag3(
図7D、パネルG)、Socs2(
図7D、パネルH)、Irf7(
図7D、パネルI)、P2rx7(
図7D、パネルJ)、Capn3(
図7D、パネルK)、Ikzf2(
図7D、パネルL)の遺伝子発現。インビトロで分化したヒトTregのピルビン酸キナーゼ活性(
図7E、パネルM)。BT−11(0、0.00975、0.0195、0.039、0.156、0.625μM)での24時間培養後かつタプシガルギン又は外部PEP存在下でのFOXP3+(
図7E、パネルN)及びIFNγ+(
図7E、パネルO)細胞の割合。*(P<0.05)及び**(P<0.01)でマーキングされた治療群(n=9)による統計的有意性。
【
図8】LANCL2リガンドとしてのBT−11処理により生じたC.ディフィシル感染マウス及び非感染LANCL2ノックアウトマウスにおけるマイクロバイオーム変化。
【
図9】C.ディフィシルコロニー形成ユニット、トキシンA(TcdA)及びトキシンB(TcdB)の産生、及びコントロール下の胞子形成、バンコマイシン処理、及びBT−11治療の刻み肉培地。
【
図10A】C.ディフィシル感染の炎症、死亡率、重症度の軽減におけるBT−11の効果。
【
図10B】C.ディフィシル感染の炎症、死亡率、重症度の軽減におけるBT−11の効果。
【
図10C】C.ディフィシル感染の炎症、死亡率、重症度の軽減におけるBT−11の効果。
【
図11A】IL−2お及びBT−11はCD25+FOXP3+T細胞の分化を促進する。ナイーブCD4+T細胞は、野生型マウスの脾臓から単離され、ビヒクル又はBT−11(10、100nM)治療の存在下で調節性CD4+T細胞に分化された。フローサイトメトリによる標準的な分化培地又はIL−2(10ng/mL)を含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図11A、パネルA)及びCD25+Tbet+(
図11B、パネルB)細胞への分化。フローサイトメトリによる標準的な分化培地又はIL−12(10ng/mL)を含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図11A、パネルC)及びCD25+Tbet+(
図11B、パネルD)細胞への分化。データはSEMで平均値として表示される(n=8)。治療による統計的有意性(P<0.05)はアスタリスク(*)で、IL−2/IL−12の存在は(#)で示される。
【
図11B】IL−2お及びBT−11はCD25+FOXP3+T細胞の分化を促進する。ナイーブCD4+T細胞は、野生型マウスの脾臓から単離され、ビヒクル又はBT−11(10、100nM)治療の存在下で調節性CD4+T細胞に分化された。フローサイトメトリによる標準的な分化培地又はIL−2(10ng/mL)を含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図11A、パネルA)及びCD25+Tbet+(
図11B、パネルB)細胞への分化。フローサイトメトリによる標準的な分化培地又はIL−12(10ng/mL)を含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図11A、パネルC)及びCD25+Tbet+(
図11B、パネルD)細胞への分化。データはSEMで平均値として表示される(n=8)。治療による統計的有意性(P<0.05)はアスタリスク(*)で、IL−2/IL−12の存在は(#)で示される。
【
図12A】BT−11はSTAT5のリン酸化を増加させて、安定したCD25+細胞分化を確立する。活動性疾患中の10週齢のビヒクル及びBT−11治療Mdr1a−/−マウスの結腸から単離されたCD4+T細胞におけるqRT−PCRによるSTAT5a(
図12A、パネルA)、Pten(
図12A、パネルB)、FOXO1(
図12A、パネルC)及びPhlpp1(
図12A、パネルD)の発現。媒体又はBT−11(10、100nM)を用いた、又はIL−2(10ng/mL)もしくはIL−12(10ng/mL)を用いたインビトロ分化Tregにおけるウエスタンブロットによるp−STAT5a(
図12B、パネルE)及びp−FOXO1(
図12B、パネルF)の正規化された発現。フローサイトメトリによるIL−2(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12C、パネルG)及びCD25+Tbet+(
図12C、パネルH)細胞への分化。フローサイトメトリによるIL−12(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12D、パネルI)及びCD25+Tbet+(
図12D、パネルJ)細胞への分化。データはSEMで平均値として表示される(n=8)。治療による統計的有意性(P<0.05)は、アスタリスク(*)及び阻害剤の存在(#)で示される。
【
図12B】BT−11はSTAT5のリン酸化を増加させて、安定したCD25+細胞分化を確立する。活動性疾患中の10週齢のビヒクル及びBT−11治療Mdr1a−/−マウスの結腸から単離されたCD4+T細胞におけるqRT−PCRによるSTAT5a(
図12A、パネルA)、Pten(
図12A、パネルB)、FOXO1(
図12A、パネルC)及びPhlpp1(
図12A、パネルD)の発現。媒体又はBT−11(10、100nM)を用いた、又はIL−2(10ng/mL)もしくはIL−12(10ng/mL)を用いたインビトロ分化Tregにおけるウエスタンブロットによるp−STAT5a(
図12B、パネルE)及びp−FOXO1(
図12B、パネルF)の正規化された発現。フローサイトメトリによるIL−2(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12C、パネルG)及びCD25+Tbet+(
図12C、パネルH)細胞への分化。フローサイトメトリによるIL−12(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12D、パネルI)及びCD25+Tbet+(
図12D、パネルJ)細胞への分化。データはSEMで平均値として表示される(n=8)。治療による統計的有意性(P<0.05)は、アスタリスク(*)及び阻害剤の存在(#)で示される。
【
図12C】BT−11はSTAT5のリン酸化を増加させて、安定したCD25+細胞分化を確立する。活動性疾患中の10週齢のビヒクル及びBT−11治療Mdr1a−/−マウスの結腸から単離されたCD4+T細胞におけるqRT−PCRによるSTAT5a(
図12A、パネルA)、Pten(
図12A、パネルB)、FOXO1(
図12A、パネルC)及びPhlpp1(
図12A、パネルD)の発現。媒体又はBT−11(10、100nM)を用いた、又はIL−2(10ng/mL)もしくはIL−12(10ng/mL)を用いたインビトロ分化Tregにおけるウエスタンブロットによるp−STAT5a(
図12B、パネルE)及びp−FOXO1(
図12B、パネルF)の正規化された発現。フローサイトメトリによるIL−2(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12C、パネルG)及びCD25+Tbet+(
図12C、パネルH)細胞への分化。フローサイトメトリによるIL−12(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12D、パネルI)及びCD25+Tbet+(
図12D、パネルJ)細胞への分化。データはSEMで平均値として表示される(n=8)。治療による統計的有意性(P<0.05)は、アスタリスク(*)及び阻害剤の存在(#)で示される。
【
図12D】BT−11はSTAT5のリン酸化を増加させて、安定したCD25+細胞分化を確立する。活動性疾患中の10週齢のビヒクル及びBT−11治療Mdr1a−/−マウスの結腸から単離されたCD4+T細胞におけるqRT−PCRによるSTAT5a(
図12A、パネルA)、Pten(
図12A、パネルB)、FOXO1(
図12A、パネルC)及びPhlpp1(
図12A、パネルD)の発現。媒体又はBT−11(10、100nM)を用いた、又はIL−2(10ng/mL)もしくはIL−12(10ng/mL)を用いたインビトロ分化Tregにおけるウエスタンブロットによるp−STAT5a(
図12B、パネルE)及びp−FOXO1(
図12B、パネルF)の正規化された発現。フローサイトメトリによるIL−2(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12C、パネルG)及びCD25+Tbet+(
図12C、パネルH)細胞への分化。フローサイトメトリによるIL−12(10ng/mL)及び阻害剤SF1670又はSTAT5iを含む分化培地でのCD25+FOXP3+(
図12D、パネルI)及びCD25+Tbet+(
図12D、パネルJ)細胞への分化。データはSEMで平均値として表示される(n=8)。治療による統計的有意性(P<0.05)は、アスタリスク(*)及び阻害剤の存在(#)で示される。
【
図13】エクスビボでの調節性CD4+T細胞の治療は、インビボで増大した調節効果を刺激する。マウスは、BT−11又はビヒクルで12時間エクスビボで処理されたエフェクタT細胞(Teff)及び調節性CD4+T細胞(Treg)を養子移入された。BT−11処理したTregを投与されたマウスは、累積的な疾患活動性(腸炎症)が低く、移入後5週間で結腸のCD4+T細胞集団に変化が見られた。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「アルキル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、完全飽和、直鎖、分岐鎖、又は環状炭化水素ラジカル、又はそれらの組み合わせを意味し、二価及び多価ラジカルを含み得、指定された数の炭素原子を有する(例えば、C
1〜C
10は1個及び10個を含めて1個〜10個の炭素原子を意味する)。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、及びそれらの同族体、ならびにそれらの異性体、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどが含まれるが、これらに限定されない。「アルキル」という用語は、特に明記しない限り、「ヘテロアルキル」及び「シクロアルキル」として以下により詳細に定義されているアルキルの誘導体も含む。
【0018】
「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を含むことを除いて、上記で定義したアルキル基を意味する。アルケニル基の例には、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)など、ならびにより高級な同族体及び異性体が含まれる。
【0019】
「アルキニル」という用語は、それが1つ以上の三重結合を含むことを除いて、上記で定義されているようなアルキル又はアルケニル基を意味する。アルキニル基の例には、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニルなどが含まれ、より高級な同族体及び異性体が含まれる。
【0020】
「アルキレン」、「アルケニレン」、及び「アルキニレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、−CH
2CH
2CH
2CH
2−で例示されるような、それぞれアルキル、アルケニル、アルキニル基由来の2価の基を意味する。
【0021】
典型的には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、及びアルキニレン基は、1〜24個の炭素原子を有するであろう。本発明では、10個以下の炭素原子を有するそれらの基が好ましい。「低級」という用語は、「低級アルキル」又は「低級アルキレン」のように、これらの基のいずれかに適用される場合、10個以下の炭素原子を有する基を示す。
【0022】
「置換された」とは、低級アルキル、アリール、アシル、ハロゲン(例えば、CF
3などのアルキルハロ)、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アシルアミノ、チオアミド、アシルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、メルカプト、チア、アザ、オキソ、飽和及び不飽和の両方の環状炭化水素、複素環などの1つ以上の置換基をさらに含む、本明細書に記載の化学基を指す。これらの基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、及びアルキニレン部分の任意の炭素又は置換基に結合してもよい。さらに、これらの基は、炭素鎖自体から垂れ下がっていてもよく、又は炭素鎖自体に組み込まれていてもよい。
【0023】
「アリール」という用語は、本明細書では、一緒に融合、共有結合、又はジアゾ、メチレン、もしくはエチレン部分などの共通の基に結合する単一の芳香環又は複数の芳香環であり得る芳香族置換基を指すために使用される。共通の連結基はまた、ベンゾフェノンのようにカルボニルであってもよい。芳香環は、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルメチル及びベンゾフェノンなどを含んでもよい。「アリール」という用語は、「アリールアルキル」及び「置換アリール」を包含する。フェニル基の場合、アリール環はモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−換されていてもよい。より大きな環は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基を有してもよい。
【0024】
「置換アリール」は、このように、低級アルキル、アシル、ハロゲン、アルキルハロ(例えば、CF
3)、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェノキシ、メルカプト、及び芳香環に縮合した、共有結合した、又はジアゾ、メチレン、もしくはエチレン部分などの共通の基に結合した飽和及び不飽和の両方の環状炭化水素などの1つ以上の官能基を含むアリールを指す。連結基はまた、シクロヘキシルフェニルケトンにおけるようなカルボニルであってもよい。「置換アリール」という用語は、「置換アリールアルキル」を包含する。
【0025】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、本明細書では、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素原子を指すために使用される。
【0026】
本明細書では、「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を指すために使用される。
【0027】
「アミノ」という用語は、NRR´を示すために使用され、R及びR´は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はそれらの置換類縁体である。「アミノ」は、第二級及び第三級アミンを表す「アルキルアミノ」、及び基RC(O)NR´を表す「アシルアミノ」を包含する。
【0028】
本発明の方法の過程で、治療有効量の本発明の化合物を、多くの様式で哺乳動物及びヒトを含む動物に投与し得る。好ましい実施形態では、本発明の化合物は経口的又は非経口的に投与されるが、医療用化合物又はエアロゾルなどによる他の投与形態も企図される。
【0029】
経口投与の場合、化合物の有効量を、例えば、固体、半固体、液体、又は気体の状態で投与してもよい。特定の例には、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤が含まれる。しかしながら、化合物はこれらの形態に限定されない。
【0030】
本発明の化合物を錠剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液、又は懸濁液に製剤化するために、化合物は、好ましくは、結合剤、崩壊剤及び/又は潤滑剤と混合される。必要に応じて、得られた組成物を、既知の方法を使用して、希釈剤、緩衝剤、浸潤剤、保存剤及び/又は香料と混合してもよい。結合剤の例としては、結晶セルロース、セルロース誘導体、コーンスターチ、シクロデキストリン、及びゼラチンが挙げられる。崩壊剤の例としては、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。滑沢剤の例としては、タルク、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。さらに、乳糖、マンニトール等の従来から使用されている添加剤も使用してもよい。
【0031】
本発明の化合物を、直腸投与してもよい。直腸投与には、坐剤を使用してもよい。坐剤は、本発明の化合物を、体温で融解するが、室温で固体のままである薬学的に好適な賦形剤と混合することによって調製してもよい。例には、カカオバター、カーボンワックス、及びポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。得られた組成物は、当該分野で公知の方法を使用して、任意の所望の形態に成形されてもよい。
【0032】
非経口投与の場合、本発明の化合物を注射により投与してもよい。注射による投与の場合、本発明の化合物を、皮下、皮内、静脈内、又は筋肉内に注射してもよい。そのような注射用の医薬品を、例えば植物油、合成樹脂酸のグリセリド、高級脂肪酸のエステル、又は既知の方法によるプロピレングリコールなど水性又は非水性溶媒に本発明の化合物を、溶解、懸濁又は乳化することにより調製してもよい。また、必要に応じて、従来から使用されている可溶化剤、浸透圧調整剤、乳化剤、安定剤、防腐剤などの添加剤をまた、添加してもよい。必須ではないが、組成物は無菌又は滅菌されていることが好ましい。
【0033】
本発明の化合物を懸濁液、シロップ、又はエリキシルに製剤化するために、薬学的に好適な溶媒を使用してもよい。これらの中に含まれているのは水の非限定的な例である。
【0034】
本発明の化合物はまた、医薬品を調製するために、他の薬学的に好適な活性を有する追加の化合物と一緒に使用されてもよい。本発明の化合物を独立型化合物として又は組成物の一部として含む薬物を、それを必要とする対象の治療に使用してもよい。
【0035】
本発明の化合物を、化合物を液体又は微粉末の形態で、気体又は液体の噴霧剤及び、必要に応じて、膨張剤などの既知の補助剤と一緒に、エアゾール容器又はネブライザーなどの非加圧容器に装填することにより調製されるエアロゾル又は吸入剤の形態で投与してもよい。噴霧剤としては、例えば、ジクロロフルオロメタン、プロパン又は窒素の加圧ガスを使用してもよい。
【0036】
本発明の化合物を、それを必要とする哺乳動物及びヒトを含む動物に、錠剤、カプセル、溶液、又は乳濁液などの医薬組成物として投与してもよい。本発明に記載されている他の形態の化合物の、それらのエステル、その薬学的に好適な塩、それらの代謝産物、それらの構造的に関連する化合物、それらの類似体、及びそれらの組み合わせを含む、単回用量又は複数回用量での投与をまた、本発明が企図している。
【0037】
本明細書で使用している「予防する」、「治療する」、「保護する」、又は「改善する」という用語及び同様の用語には、予防及び完全な又は部分的な治療が含まれる。この用語には、症状の軽減、症状の改善、症状の重症度の軽減、疾患の発生率の低下、寛解の誘導、寛解の維持、又は治療結果を改善する患者の状態のいずれかの他の変化も含まれる。
【0038】
本発明に記載されている新しい化合物は、好ましくは、組成物の形態で使用及び/又は投与される。好適な組成物は、好ましくは、医薬組成物、食材、又は栄養補助食品である。これらの組成物は、化合物を送達するための便利な形態を提供する。本発明の組成物は、酸化又は溶解度に関する化合物の安定性を増加させるのに有効な量の抗酸化剤を含んでもよい。
【0039】
本発明の方法で投与される、又は本発明の使用において投与するための化合物の量は、任意の好適な量である。それは好ましくは1日当たり約0.00001gから約20gまで(より好ましくは、0.01gから1gまで、例えば0.05gから0.5gまで)の化合物である。好適な組成物は、適宜、製剤化され得る。生物学的に活性な薬剤の投与の当業者は、既知のかつよく理解されているパラメータに基づいて、様々な対象のための特定の投与計画を開発することができるであろう。
【0040】
本発明による好ましい組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、カプレット、多粒子(顆粒、ヘッド、ペレット及びマイクロカプセル化粒子を含む)、粉末、エリキシル、シロップ、懸濁液、炎症標的ヒドロゲル及び溶液などのヒドロゲルなどの医薬組成物である。医薬組成物は、典型的には、薬学的に許容可能な希釈剤又は担体を含むであろう。医薬組成物は、好ましくは、非経口的又は経口的投与に適合される。経口投与可能な組成物は、固体又は液体の形態であってもよく、とりわけ、錠剤、粉末、懸濁液、及びシロップの形態をとってもよい。必要に応じて、組成物は、1つ以上の香味剤及び/又は着色剤を含む。一般に、治療及び栄養組成物は、対象に対する化合物の作用を著しく妨害しない任意の物質を含んでもよい。
【0041】
そのような組成物における使用に好適な薬学的に許容可能な担体は、製薬業界でよく知られている。本発明の組成物は、0.01〜99重量%の本発明の化合物を含んでもよい。本発明の組成物は、一般に、単位剤形で調製される。好ましくは、本発明に記載されている化合物の単位投与量は1mg〜1000mg(より好ましくは、50mg〜500mg)である。これらの組成物の調製に使用される賦形剤は、当技術分野で知られている賦形剤である。
【0042】
組成物の製品形態のさらなる例は、ゼラチン、デンプン、加工デンプン、デンプン誘導体、例えばグルコース、スクロース、乳糖、果糖からなる群から選択された封入材料を含む軟らかいゲル又は硬いカプセルの形態などの栄養補助食品である。封入材料は、架橋剤又は重合剤、安定剤、抗酸化剤、感光性フィルを保護するための光吸収剤、防腐剤などを任意に含んでもよい。好ましくは、栄養補助食品中の化合物の単位投与量は1mg〜1000mg(より好ましくは、50mg〜500mg)である。
【0043】
一般に、担体という用語は、本出願を通して、記載された化合物が混合されても、それが医薬担体、食品、栄養補助食品、又は栄養補助食品であってもよい組成物を表すために使用されてもよい。上記の材料は、本発明の目的のための担体と見なされてもよい。本発明の特定の実施形態では、担体は、本発明の化合物に対して生物学的活性を殆ど又は全く有さない。
【0044】
用量:本発明の方法は、それを必要とする動物に治療有効量の化合物を投与することを含み得る。化合物の有効量は、投与される化合物の形態、投与期間、投与経路(例えば、経口又は非経口)、動物の年齢、ならびに哺乳動物及びヒトを含む動物の状態に依存する。
【0045】
例えば、動物において本明細書に記載される状態を治療又は予防するのに有効な化合物の量は、0.1〜10,000mg/kg/日の範囲であり得る。化合物の好ましい有効量は1〜5,000mg/kg/日であり、より好ましい用量は2〜100mg/kg/日である。毒物学データが示すように化合物は無毒であるため、投与する有効量の上限は重要ではない。化合物の有効量は、約7〜100日の範囲の期間、好ましくは15〜50日の期間は、最も好ましくは30〜42日期間動物に投与すると、動物における本明細書に記載の状態を治療又は予防するのに最も効果的である。
【0046】
自己免疫疾患、炎症性疾患又は代謝性疾患に繋がる免疫系の過剰活性化又は調節不全を防止するのに最も効果的な化合物の量は、0.1〜500mg/kg/日の範囲であり、好ましい投与量は1〜150mg/kg/日のであり得る。
【0047】
本発明の化合物の有効量が治療用、医療用、又は獣医用組成物で投与される場合、好ましい用量は、製剤に対して約0.01〜2.0%重量/重量の範囲である。
【0048】
特定の他の実施形態では、本発明は、LANCL2結合化合物及び構造的にも関連する化合物、例えば、化合物、そのエステル、その薬学的に好適な塩、その代謝物、その構造的に関連する化合物、又は免疫代謝疾患の治療及び予防におけるそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物の使用を提供する。
【0049】
さらに、一般に、本発明は、自己代謝、炎症、代謝又は感染症の遮断を助ける免疫代謝の経路に関する欠陥の予防又はホメオスタシスの回復に関し、関連する経路は、グルコース代謝及び貯蔵、脂肪酸代謝及び貯蔵、アミノ酸代謝及び貯蔵、カルシウム流動、サイクリックAMP代謝、炎症促進性サイトカイン(腫瘍壊死因子アルファ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−6及び単球走化性タンパク質1)の産生を制御するTLR信号伝達及びNLRシグナル伝達又はNF−κB信号伝達などの炎症性経路、及びFOXP3活性又はIL−10シグナル伝達などの調節経路を含む。この効果は、生物学的効果を誘発する、体内のさまざまな種類の細胞への化合物の曝露がもたらす。細胞は、消化管組織、免疫細胞(すなわち、マクロファージ、単球、リンパ球)、筋肉細胞、内皮細胞又は上皮細胞からのものを含んでもよいが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明は、C.ディフィシル感染などの感染症に関連する炎症を軽減又は予防するために、例えば、経口投与される本発明の化合物で対象を治療することを提供する。
【0050】
実施する場合、本発明の方法は、上記のように、任意の許容可能な形態を使用して、任意の許容可能な投与経路を介して対象に化合物を投与し、対象の体が自然なプロセスを通して化合物を標的細胞に分配することを可能にすることにより得る。上記のように、投与は、同様に、標的細胞(すなわち、処理される細胞)を含む部位(例えば、臓器、組織)への直接注射、又は体内に細胞を戻すように注射する前の化合物による細胞治療に使用される細胞の培養により得る。
【0051】
さらに、投与は任意の数のレジメンにしたがい得る。したがって、それは、実験化合物の単回用量もしくは投薬、又はある期間にわたる複数回用量もしくは投薬を含み得る。したがって、治療は、所望の結果が達成されるまで、投与ステップを1回以上繰り返すことを含み得る。特定の実施形態では、治療は、数週間、数ヶ月、又は数年などの長期間にわたって継続し得る。当業者は、当技術分野における既知のパラメータに基づいて、個人に好適な投与計画を容易に開発することが十分に可能である。本発明の化合物の投薬量は、本発明のこれらの実施形態の方法において使用されてもよい。免疫代謝性疾患の治療のために、化合物は、約0.001mg/日〜9,000mg/日の量で投与されることが好ましい。
【0052】
投与される量は、対象、疾患又は障害の段階、対象の年齢、対象の一般的な健康状態、及び医学分野の当業者によって既知でありかつ日常的に考慮されている他の様々なパラメータに応じて変化するであろう。一般的な問題として、罹患した部位の炎症の量又は影響を受ける代謝産物又はシグナルトランスデューサの濃度に検出可能な変化をもたらすために、十分な量の化合物が投与されるであろう。患者が活動的な症状を経験していない場合、探す可能性のある変化には、免疫細胞でのTNFα発現などの免疫細胞パラメータ、血中の調節性T細胞の割合、細胞によるグルコース取り込み又は細胞内のグリコーゲンの量などの代謝パラメータが含まれてもよい。好適な量は、本明細書に開示されており、追加の好適な量は、本明細書に開示された量に基づいて、過度の又は過剰の実験を行うことなくに当業者によって特定され得る。
【0053】
上記の方法を考慮して、本発明が、対象の細胞の治療などの細胞との接触に使用するためのLANCL2結合化合物による免疫代謝治療を提供することは明らかであるはずである。上記の議論は、医薬的又は医学的設定と一般に考えられるものに使用するための組成物の一部としての本発明の化合物の使用に焦点を当てている。
【0054】
免疫代謝疾患及び記載されている他の状態の治療のために本発明に記載されている化合物は、上記でより詳細に記載されているように、医薬、栄養組成物、機能性食品組成物、食物補助剤として又は細胞療法において製剤化されてもよい。
【0055】
化合物を直接投与することにより状態を治療する方法の代替又は追加として、状態は、化合物を有する前駆細胞から生成された調製細胞で治療され得る。治療することができる状態には、本明細書又は米国特許第9,556,146号に記載されている任意の状態が含まれる。治療に使用される化合物は、本明細書に開示している、もしくは本明細書に開示している任意の式に包含される任意の化合物、又は米国特許第9,556,146号に開示されている任意の式に開示又は包含される任意の化合物を含み得る。
【0056】
本明細書では、「前駆細胞」という用語は、調製細胞を生成するために治療する開始細胞として機能する任意の細胞を一般的に指すために使用される。細胞は、幹細胞、前駆細胞、又は、例えば、全能性、多能性もしくは単能性の特性を有するが、必ずしもそうである必要はない「前駆細胞」(この用語は、幹細胞と分化した細胞との間の中間体を指すために当技術分野で使用されているため)などの調製細胞に至る分化系譜の上流の細胞であってもよい。したがって、いくつかの変形例では、前駆細胞から調製細胞を生成することは、前駆細胞を調製細胞に分化することを含む。他の変形例では、前駆細胞から調製細胞を生成することは、遺伝子発現変化などの変化を誘発することを単に含むだけである。
【0057】
調製細胞は、前駆細胞をインビトロで本発明の化合物の1つ以上と接触させ、それにより調製細胞を生成することによって、前駆細胞から生成され得る。「インビトロ」及び「エクスビボ」という用語は、「インビボ」とは対照的に、本明細書では互換的に使用され、生体外にある状態を指す。
【0058】
本発明の前駆細胞及び/又は調製細胞は免疫細胞を含んでもよい。例示的な免疫細胞には、顆粒球、肥満細胞、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、T細胞、及びB細胞などが含まれる。例示的な顆粒球には、好塩基球、好酸球、及び好中球が含まれる。
【0059】
本発明の前駆細胞及び/又は調製細胞には白血球(白血球)が含まれてもよい。例示的な白血球には、好中球、好酸球(好酸球)、好塩基球、リンパ球、及び単球が含まれる。
【0060】
本発明の前駆細胞及び/又は調製細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)又は固有層単核細胞(LPMC)を含んでもよい。例示的なPBMC及びLPMCにはリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単球が含まれる。
【0061】
本発明の前駆細胞及び/又は調製細胞はT細胞を含んでもよい。T細胞は、どのタンパク質が細胞表面に存在するかに基づいて、CD8+T細胞又はCD4+T細胞の2つの広いカテゴリーに分類される。T細胞は、感染した細胞を殺滅すること、他の免疫細胞を活性化すること又は補充することなどの複数の機能を実行する。CD8+T細胞は、細胞傷害性T細胞又は細胞傷害性リンパ球(CTL)とも呼ばれる。それらは、ウイルス感染細胞及び癌細胞を認識して除去するために重要である。主要なCD4+T細胞サブセットは、ナイーブCD4+T細胞、TH1胞、TH2細胞、TH17細胞、及びTreg細胞であり、「TH」は「Tヘルパー細胞」を指す。ナイーブCD4+T細胞は、TH1細胞、TH2細胞、TH17細胞、Treg細胞のいずれにも分化していないT細胞である。調節性T細胞(Treg)は、他のT細胞の活動を監視及び阻害する。それらは、有害な免疫活性化を防止しかつ耐性を維持し、又は体自身の細胞及び抗原に対する免疫応答を防止する。一部の変形例では、前駆細胞は、ナイーブCD4+T細胞を含み、調製細胞は、Treg細胞を含む。
【0062】
前駆細胞から調製細胞を生成することは、前駆細胞に関して調製細胞に化合物依存性差異を誘発するのに有効な時間、本発明の1つ以上の化合物の量を接触させることを含んでもよい。本明細書で使用する場合、「化合物依存性差異」は、前駆細胞を本発明の1つ以上の化合物と接触させることから生じる、前駆細胞に関する調製細胞における差異を指す。化合物依存性差異は、本発明の1つ以上の化合物の存在下又は非存在下で細胞を培地と接触させることによって決定され得、化合物依存性差異は、本発明の1つ以上の存在下で培地と接触された細胞でのみ現れる特徴である。化合物依存性差異は、種類における違いだけでなく程度の違いであってもよい。
【0063】
調製細胞における化合物依存性差異は、遺伝子発現における差異を含んでもよい。特に明記しない限り、「遺伝子発現」は、転写又は翻訳のいずれか又はすべてを指すために本明細書で広く使用されている。したがって、遺伝子発現における差異は、mRNA産生における差異、タンパク質産生における差異、又はその両方であり得る。特に明記しない限り、差異的発現を有する遺伝子を、遺伝子(例えば、FOXP3)から産生されたタンパク質を参照することにより、又は遺伝子自体(例えば、Lag3)を参照することにより、本明細書において同定してもよい。本発明の様々な変形例において、遺伝子発現における化合物依存性差異は、IL−10もしくはそのオーソログの発現の増加、FOXP3もしくはそのオーソログの発現の増加、TNFαもしくはそのオーソログの発現の減少、IFNγもしくはそのオーソログの発現の減少、Tbetもしくはそのオーソログの発現の減少、Lag3もしくはそのオーソログの発現の増加、Socs2もしくはそのオーソログの発現の増加、Irf7もしくはそのオーソログの発現の増加、P2rx7もしくはそのオーソログの発現の増加、Capn3もしくはそのオーソログの発現の増加、Ikzf2もしくはそのオーソログの発現の増加、Stat5aもしくはそのオーソログの発現の増加、Ptenもしくはそのオーソログの発現の増加、Foxo1もしくはそのオーソログの発現の増加、及び/又はPhlpp1もしくはそのオーソログの発現の増加の1つ以上を含んでもよい。オーソログには、動物種におけるオーソログが含まれてもよい。オーソログには、哺乳動物種におけるオーソログが含まれてもよい。オーソログ(上記のマウス遺伝子などについての)には、霊長類におけるオーソログが含まれてもよい。オーソログ(上記のマウス遺伝子などについての)には、ヒトにおけるオーソログが含まれてもよい。
【0064】
調製細胞における化合物依存性差異には、STAT5aもしくはそのオーソログのリン酸化の増加、FOXO1もしくはそのオーソログのリン酸化の増加、及び/又はピルビン酸キナーゼ活性の増加などの他の検出可能な差異が含まれてもよい。
【0065】
調製細胞を生成する際、前駆細胞は、約100nM、約10nM、約1nM以下から約1μM、約10μM、約100μM、約1mM以上の量の化合物と接触されてもよい。前駆細胞は、約12時間、6時間、1時間、約30分以下から約24時間、約48時間、約72時間以上の時間、化合物と接触されてもよい。
【0066】
いくつかの変形例では、PBMC又はLPMC全体が、本発明の化合物と接触される。PBMC又はLPMCは、動物から単離され得る。いくつかの変形例では、T細胞などのPBMC又はLPMCのサブタイプをPBMC又はLPMCから単離し、次に、本発明の化合物と接触させることができる。いくつかの変形例では、PBMC又はLPMCを本発明の化合物と接触させ、次に、T細胞又は特定のタイプのT細胞などの細胞のサブタイプをそこから単離する。PBMC、LPMC、及びそれらのサブタイプを単離する方法は、当技術分野で知られている。例えば、Majowicz et al.2012(Majowicz A,van der Marel S,te Velde AA,Meijer SL,Petry H,van Deventer SJ,Ferreira V.Murine CD4+CD25−cells activated in vitro with PMA/ionomycin and anti−CD3 acquire regulatory function and ameliorate experimental colitis in vivo.BMC Gastroenterol.2012 Dec 3;12:172)及びCanavan et al.20016(Canavan JB,Scotta C,Vossenkamper A,Goldberg R,Elder MJ,Shoval I,Marks E,Stolarczyk E,Lo JW,Powell N,Fazekasova H,Irving PM,Sanderson JD,Howard JK,Yagel S,Afzali B,MacDonald TT,Hernandez−Fuentes MP,Shpigel NY,Lombardi G,Lord GM.Developing in vitro expanded CD45RA+regulatory T cells as an adoptive cell therapy for Crohn’s disease.Gut.2016 Apr;65(4):584−94)を参照されたい。例えば、PMBCのサブセットは、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で単離することができる。抗CD3抗体及び抗CD28抗体は、ThermoFisher Scientific(マサチューセッツ州ウォルサム)のHuman T−Activator CD3/CD28 DYNABEADS(登録商標)などの抗CD3/抗CD28ビーズの形で提供され得る。
【0067】
調製細胞を生成することは、調製細胞を前駆細胞から分化することを含み得る。例えば、Treg細胞などの調製細胞は、ナイーブCD4+T細胞などの前駆細胞から分化させ得る。このような分化は、本発明の化合物の1つ以上に加えて、前駆細胞を分化因子と接触させることを含み得る。様々な分化因子には、オールトランスレチノイン酸、TGF−β、ホルボールミリステートアセテート、イオノマイシン、ラパマイシン、及び/又はIL−2が含まれる。いくつかの変形例では、分化は、前駆細胞中の部分に対する、調製細胞中のTreg細胞の割合を拡大することを含み得る。
【0068】
本発明の前駆細胞及び調製細胞は、単離された細胞であり得る。「単離された」又は「精製された」という用語は、元の環境、例えば自然環境から取り除かれた物質を意味する。物質が特定の組成物中に、精製工程の前に存在する濃度よりも高い又は低い濃度で存在する場合、その物質は「精製された」と言われる。
【0069】
本発明の調製細胞で状態を治療することは、状態を治療するのに十分な量で細胞を動物に投与することを含み得る。調製細胞は、非経口又は経腸を含む、化合物について上記の任意の経路又は方法を使用して投与され得る。非限定的な非経口投与の形態には、注射又は注入が含まれる。調製細胞は、血流又は体の他の部分に直接注射又は注入され得る。非限定的な腸内投与の形態には、調製細胞が消化管に入るような経口及び直腸投与が含まれる。調製細胞は、治療される動物に対して自己由来(すなわち、調製細胞が治療に使用されるのと同じ動物から採取された細胞から生成された)、又は治療される動物に対して異種(すなわち、調製細胞が治療に使用される異なる動物から生成された)であってもよい。上記のように調製細胞は、本明細書に記載されている状態のいずれかを治療する方法で使用され得る。例示的な状態には腸の炎症が含まれる。例示的な種類の腸の炎症には炎症性腸疾患が含まれる。例示的な種類の炎症性腸疾患にはクローン病及び潰瘍性大腸炎が含まれる。
【0070】
本発明の一実施形態では、免疫代謝疾患を治療する方法は、顕著な体重増加、全身性免疫抑制、クッシング様外観、骨減少症/骨粗しょう症、細胞毒性又は現在利用可能な治療(すなわち、スタチン、抗生物質、コルチコステロイド、ドキソルビシン、メトトレキサート)に共通する膵炎などの識別可能な副作用を引き起こさない治療を含む。すなわち、一部の細胞におけるLANCL2の発現及び/又は活性化及び/又は他の免疫代謝経路に影響を与えることによって、少なくとも部分的に治療効果を提供する本発明による治療方法は、治療を受けていない他の同様の対象と比較して、治療されている対象において、例えば、体液貯留による著しい体重増加を引き起こさない有益な効果を提供することが見出された。
【0071】
したがって、本発明の免疫代謝方法は、免疫細胞の代謝に影響を与えることによって炎症を軽減するための治療を提供し得る。この方法は、全身的に(すなわち、対象の体全体で)又は局所的に(例えば、細胞及びマクロファージを含むがこれらに限定されない、投与の部位又は炎症細胞の部位で)炎症を軽減し得る。免疫代謝による炎症の治療又は予防の際に、観察される可能性のある1つの影響は、グルコースの代謝における変化である。特に、この変化は、ピルビン酸による乳酸塩の産生から、免疫炎症作用に関連するトリカルボン酸回路への入口に向かう可能性がある。より具体的には、この代謝における変化は、IL17+Th17細胞又はIFNγ+Th1細胞などのエフェクタCD4+T細胞と比較して、CD4+CD25+FOXP3+又は他の調節性CD4+T細胞の割合の増加と関連し得る。別の観察された効果は、嫌気性代謝の減少及び免疫チェックポイント経路の増加の組み合わせからもたらされる細胞増殖の減少であってもよい。治療的に誘発された代謝の変化の別の影響は、脂肪酸の処理及び貯蔵の変化からもたらされるMCP−1、IL−8、又はCXCL9などの炎症性ケモカインの発現の低下である可能性がある。したがって、方法はまた、治療が施される対象の免疫応答に影響を与え又は変化させ、それによって炎症、疾患及び病理を遮断する方法と見なし得る。
【0072】
本発明は、関連する成分が胃、小腸、大腸、及び直腸を含む消化管における炎症を抑制する方法を提供する。
【0073】
本発明は、IBDに罹患している対象、又は恐らくクローン病又は潰瘍性大腸炎についての遺伝的素因を有する健康な個体がIBDを発症することを治療又は予防する方法を提供する。この方法はまた、寛解型のIBDを有する患者を治療することを含んでもよい。本発明によれば、「IBDに罹患している対象」という用語は、IBDに典型的な1つ以上の臨床症状を示す疾患又は障害を有する対象(例えば、動物、ヒト)を意味するために使用される。一般に、本発明のこの態様による治療又は予防方法は、IBDの1つ以上の症状もしくは臨床症状の治療もしくは予防、又はそのような症状もしくは症状の発症の予防に有効な量の化合物又は細胞療法を対象に投与することを含む。
【0074】
したがって、本発明の方法によれば、本発明は、IBD、腸内感染症に関連する炎症及び自己免疫疾患に関連する炎症の治療方法を提供することができる。治療方法は予防的方法であり得る。特定の実施形態では、方法は、IBD、腸内感染症に関連する炎症及び自己免疫疾患に関連する炎症を治療する方法である。他の実施形態では、方法は、IBDを予防する方法である。実施形態では、方法は、寛解型のIBDがアクティブになるのを防止する方法である。さらに他の実施形態では、方法は、IBD、腸内感染症に関連する炎症及び自己免疫疾患に関連する炎症に罹患している対象の健康状態を改善する方法である。胃腸感染症を引き起こす微生物には、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、病原性ビブリオ菌、カンピロバクタージェジュニ菌、エルシニアエンテロコリチカ菌、トキソプラズマ原虫、赤痢アメーバ及びジアルジアランブリアが含まれるが、これらに限定されない。したがって、特定の実施形態では、本発明は、IBD、腸内感染症に関連する炎症及び自己免疫疾患に関連する又はIBDを発症する危険性がある炎症、腸内感染症に関連する炎症及び自己免疫疾患に関連する炎症に苦しむ対象の健康、臓器、及び/又は組織を保護する方法を提供する。
【0075】
本発明の一実施形態では、IBDを治療する方法は、顕著な体重増加、全身性免疫抑制、クッシング様外観、骨減少症/骨粗しょう症、又は現在利用可能なIBD治療(すなわち、コルチコステロイド、腫瘍壊死因子アルファ阻害剤)に共通する膵炎などの識別可能な副作用を引き起こすことなくIBDを治療することを含む。すなわち、一部の細胞におけるLANCL2の発現及び/又は活性化に影響を与えることにより、少なくとも部分的に治療効果を提供する本発明による治療方法は、治療を受けていない他の同様の対象と比較して、治療されている対象における、例えば体液貯留による著しい体重増加を引き起こさない有益な効果を提供することが見出された。
【0076】
したがって、本発明の方法は、炎症を軽減する方法を提供することができる。この方法は、全身的に(すなわち、対象の体全体で)又は局所的に(例えば、細胞及びマクロファージを含むがこれらに限定されない、投与の部位又は炎症細胞の部位で)炎症を軽減し得る。本発明の方法による炎症の治療又は予防において、見られ得る1つの効果は、腸に浸潤する血液単球又はマクロファージ及びリンパ球の数の減少である。もう1つは、CD4
+CD25
+FoxP3
+調節性T細胞などの調節性免疫細胞集団の増加、又はリンパ球又はマクロファージの調節特性の増加(例えば、インターロイキン4(IL−4)又はIL−10の増加、又はTNF−α及びIL−6の減少)である。もう1つは、炎症性遺伝子及び/又は接着分子の存在の減少であってもよい。したがって、方法はまた、治療が施される対象の免疫応答に影響を与える又はそれを変化させる方法と見なし得る。対象は、T細胞の免疫調節又は細胞接着分子のダウンレギュレーションが望ましい結果である、炎症性腸疾患又は別の状態を有する可能性がある。
【0077】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、感染症を治療する方法を提供する。そのような感染症の非限定的な例には、ウイルス感染症、細菌感染症、及び真菌感染症が含まれる。
【0078】
ウイルス感染症の非限定的な例には、アデノウイルスなどのアデノウイルス科のウイルス、単純ヘルペス、1型、単純ヘルペス、2型、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、8型などのヘルペスウイルス科のウイルス、ヒトパピローマウイルスなどのパピロマウイルス科のウイルス、BKウイルス及びJCウイルスなどのポリオーマウイルス科のウイルス、天然痘などのポックスウイルス科のウイルス、B型肝炎ウイルスなどのヘパドナウイルス科のウイルス、ヒトボカウイルス及びパルボウイルスB19などのパルボウイルス科のウイルス、ヒトアストロウイルスなどのアストロウイルス科のウイルス、ノーウォークウイルスなどのカリシウイルス科のウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルスなどのピコルナウイルス科のウイルス、急性呼吸器症候群ウイルスなどのコロナウイルス科のウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、及び西ナイルウイルスなどのフラビウイルス科のウイルス、風疹ウイルスなどのトガウイルス科のウイルス、E型肝炎ウイルスなどのヘペウイルス科のウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのレトロウイルス科のウイルス、インフルエンザウイルスなどのオルソミクソウイルス科のウイルス、グアナリトウイルス、ジュニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルスなどのアリーナウイルス科のウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなどのブニヤウイルス科のウイルス、エボラウイルス及びマールブルグウイルスなどのフィロウイルス科のウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルスなどのパラミクソウイルス科のウイルス、狂犬病ウイルスなどのラブドウイルス科のウイルス、D型肝炎ウイルスなどの割り当てられていないウイルス、ならびに、ロタウイルス、オルビウイルス、コルチウイルス、バンナウイルスなどのレオウイルス科のウイルスからの感染症が含まれる。
【0079】
細菌感染症の非限定的な例には、炭疽菌、セレウス菌、百日咳菌、ボレリアブルグドルフェリ、ブルセラアボルトス、ブルセラカニス、ブルセラメリテンシス、ブルセラスイスカンピロバクタージェジュニクラミジアニューモニア、クラミジアトラコマチス、クラミジアシッタシ、ボツリヌス菌、クロストリジウムディフィシル、ウエルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、エンテロコッカスフェカーリス、エンテロコッカスフェシウム、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクターピロリ菌、レジオネラニューモフィラ、レプトスピラインタロガンス、リステリアモノサイトゲネス、らい菌、結核菌、マイコバクテリウムウルセランス、マイコプラズマニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、リケッチアリケッチイ、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎球菌、化膿性連鎖球菌、梅毒トレポネーマ、コレラ菌、ペスト菌、エンテロコリチカ菌、仮性結核菌、及び上記の生物の属からの他の種に加えて、上記の細菌による感染症が含まれる。
【0080】
真菌感染症の非限定的な例には、アスペルギルス症を引き起こす、アスペルギルスフミガーツスなどのアスペルギルス属の真菌、ブラストミセス症を引き起こすブラストミセスデルマティディスなどのブラストミセス属の真菌、カンジダ症を引き起こすカンジダアルビカンスなどのカンジダ属の真菌、コクシジオイデス症(渓谷熱)を引き起こすコクシジオイデス属の真菌、クリプトコッカス症を引き起こすクリプトコッカスネオフォルマンス及びクリプトコッカスガッティなどのクリプトコッカス属の真菌、白癬を引き起こす皮膚糸状菌の真菌、フザリウム種、アスペルギルス種、カンジダ種などの真菌性角膜炎を引き起こす真菌、ヒストプラズマ症を引き起こすヒストプラズマ・カプセルタムなどのヒストプラズマ属の真菌、ムコール菌症を引き起こすムコール目の真菌、出芽酵母などのサッカロミセス属の真菌、ニューモシスチス肺炎を引き起こすニューモシスチスジロベチイなどのニューモシスチス属の真菌、スポロトリクム症を引き起こすスポロトリックスシェンキイなどのスポロトリックス属の真菌による感染症が含まれる。
【0081】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、過剰増殖性障害を治療する方法を提供する。過剰増殖性障害には、癌などの制御されない細胞の増殖を伴う状態、又は腫瘍、腺腫、もしくはポリープの増殖を伴う状態が含まれる。過剰増殖性障害の非限定的な例には、大腸癌、家族性大腸腺腫症(PAP)、喉癌、甲状腺癌、胃癌、消化管癌、膵臓癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、肝細胞癌、消化管間質腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、好酸球増加症候群、肥満細胞症などが含まれる。
【0082】
本発明は、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、先天性代謝異常を治療する方法も提供する。先天性代謝異常の非限定的な例には、ウィルソン病、アンデルセン病又は他のグリコーゲン蓄積症、シスチン尿症、ファブリー病、成人発症II型シトルリン血症、ゼルウィガー症候群、分岐鎖ケト酸尿症、レッシュ・ナイハン症候群、ニーマンピック病、ファンコーニ・ビッケル病、フォンギールケ病、遺伝性果糖不耐症、フェニルケトン尿症、中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症などが含まれる。
【0083】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、慢性免疫代謝性疾患を治療する方法を提供する。慢性免疫代謝性疾患の非限定的な例には、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、肺性心疾患、心内膜炎、心筋炎、及び高血圧などの心血管疾患が含まれる。
【0084】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、炎症性自己免疫疾患などの自己免疫疾患を治療する方法を提供する。自己免疫疾患の非限定的な例には、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、ループス、全身性ループス、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、多発性硬化症、及び癌免疫療法によって誘発される自己免疫疾患などが含まれる。癌免疫療法によって誘発される自己免疫疾患の非限定的な例には、癌免疫療法によって誘発されるリウマチ性疾患が含まれる。
【0085】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、慢性炎症性疾患を治療する方法を提供する。慢性炎症性疾患の非限定的な例には、メタボリックシンドローム、肥満、前糖尿病、心血管疾患、及び2型糖尿病などが含まれる。
【0086】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、急性結腸憩室炎及び消化管の放射線誘発性炎症などの炎症性障害を治療する方法を提供する。消化管の放射線誘発性炎症の非限定的な例には、放射線直腸炎、放射線腸炎、及び放射線直腸S状結腸炎が含まれる。
【0087】
本発明はまた、1型糖尿病、2型糖尿病、及び他の型の糖尿病を含む、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて糖尿病を治療する方法を提供する。「糖尿病」又は「真性糖尿病」という用語は、対象が高血糖(すなわち、高血糖症)を有する代謝障害を包含するために使用される。高血糖状態には、膵臓が十分なインスリンを生成しない、又は細胞が生成されたインスリンに反応しないなどの様々な病因がある。糖尿病にはいくつかの認識されているサブタイプがある。1型糖尿病は、体が完全にインスリンを産生できないこと、又は体が十分なインスリンを産生できないことを特徴とする。2型糖尿病は、一般に、細胞がインスリンを適切に使用できない状態であるインスリン抵抗性に起因する。2型糖尿病は、インスリン欠乏症を併発することがある。妊娠糖尿病は、以前に糖尿病と診断されていない妊婦が高血糖症を発症したときに発生する。糖尿病のあまり一般的でない形態には、先天性糖尿病(インスリン分泌に関連する遺伝的欠陥による)、嚢胞性線維症関連糖尿病、高用量の糖質コルチコイドによって誘発されるステロイド糖尿病、及びいくつかの形態の単因性糖尿病(若年発症成人型糖尿病を含む)が含まれる。単因性糖尿病は、単一の常染色体上の優性遺伝子の変異によって引き起こされる糖尿病のいくつかの遺伝形式を含む(高血糖症を引き起こすより複雑な多遺伝子病因とは対照的に)。
【0088】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、慢性疼痛を治療する方法を提供する。慢性疼痛疾患の非限定的な例には、線維筋痛症、神経損傷、片頭痛、腰痛、腹痛などが含まれる。
【0089】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物又は細胞を用いて、追加の状態を治療する方法を提供する。これらには、慢性肉芽腫性疾患、移植片対宿主病、腫瘍壊死因子受容体関連の周期性症候群などの慢性炎症性疾患、筋萎縮性側索硬化症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊柱側弯症、進行性筋萎縮症などの筋肉消耗が含まれる。
【0090】
本明細書に記載の要素及び方法のステップは、明示的に記載されているか否かにかかわらず、任意の組み合わせで使用することができる。
【0091】
本明細書で使用される方法のステップのすべての組み合わせは、言及された組み合わせが行われる文脈によって別段に指定されていないか、又はそうではないことが明確に暗示されていない限り、任意の順序で実行することができる。
【0092】
本明細書で使用されているように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0093】
本明細書で使用される数値範囲は、具体的に開示されているか否かにかかわらず、その範囲内に含まれるすべての数及び数のサブセットを含むことが意図されている。さらに、これらの数値範囲は、その範囲内の任意の数又は数のサブセットに向けられた請求項のサポートを提供するものとして解釈されるべきである。例えば、1から10までの開示は、2から8まで、3から7まで、5から6まで、1から9まで、3.6から4.6まで、3.5から9.9までなどの範囲をサポートすると解釈されるべきである。
【0094】
本明細書に引用されているすべての特許、特許公開、及び査読済みの出版物(すなわち、「参考文献」)は、あたかも各個別の参考文献が参照により組み込まれていると具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照により明示的に組み込まれている。本開示と組み込まれた参考文献との間に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0095】
本発明は、本明細書で図示しかつ説明している部品の特定の構造及び配置に限定されず、特許請求の範囲内にあるそのような変更形態を包含することが理解される。
【0096】
分子モデリング及びLANCL2結合の例
BT−11及び関連化合物のLANCL2への結合を示す例は、米国特許第9,556,146号によって提供されていて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。予測される結合及び実際の結合(BT−11及び他の関連化合物の表面プラズモン共鳴(SPR)による)を表1A及び表1Bに示す。
表1A.BT−11及び関連化合物の予測される及び実際のSPR結合
【表1A】
表1B.BT−11及び関連化合物の予測される及び実際のSPR結合
【表1B】
【0097】
追加の化合物は、LANCL2とAutoDock Vinaの結合について実質的にスクリーニングされた(Trott et al.J Comput Chem,2010,31(2):455−61)。トップ結合ポーズの結合エネルギーは、各化合物について決定された。以前に報告されたプロトコルとパラメータ(Lu et al.J Mol Model,2011,17(3):543−53)が本分析に適用された。表2は、試験した化合物のいくつか及びそれらの予測されるLANCL2結合エネルギーを示す。
表2.化合物のLANCL2結合エネルギー。
【0098】
表3は、BT−11変異体の予測されるLANCL2親和性(kcal/molで表したトップ結合ポーズの結合エネルギー)を示す。表2の各化合物のBT−11基本構造からの変化は、本明細書の式Z−Y−Q−Y´−Z´について提供される変数にしたがって定義される。
表3.BT−11変異体のLANCL2親和性。
【0099】
表1A、1B、2、3に示すように、BT−11は広範囲の変更に対応でき、LANCL2を高い親和性で結合する。
【0100】
医薬品化学の例
BT−11及び関連化合物の合成を示す例は、米国特許第9,556,146号により提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
実験研究の例
BT−11は炎症中に免疫代謝経路を変更する
前書き
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)の両方を含む炎症性腸疾患(IBD)は、北米の160万人と全世界の400万人を苦しめ、過去5年間でほぼ15%増加している[1、2]。範囲によって変化する症状、危険因子、及び重症度を伴うIBDの複雑で多元的な性質のために、効果的な治療法の開発はゆっくりとした困難なプロセスであった[3]。現在、主要な市場治療法は、全人口のごく一部のみに利益をもたらし[4]、高い反応喪失率を示し[5]、又は癌、感染症及び死亡を含む高率の副作用を引き起こす[6、7]。したがって、未だに対処されていないIBDのためのより安全でより効果的な治療法に対する臨床的ニーズがある。
【0102】
IBDの発症に関連する一連の要因には、炎症性CD4+T細胞の不均衡及び拡大がある[8]。他のサイトカインの中で、IFNγ、TNFα、及びIL17の自然発生的な高レベルの産生は、炎症のランダムなフレアの主要な促進要因となっている[9]。対照的に、調節性CD4+T(Treg)細胞の主な役割は、この拡大、活性化及びサイトカイン産生を防ぐことである。これらの明確な利点にもかかわらず、Treg細胞はIBD患者の消化管における予想される代償増加を経験し[10]、健康な対照と比較してインビトロで正常な抑制機能を示し[11]、疾患への具体的な影響について論争を引き起こしている。最近の証拠によると、従来のマーカーで特徴付けられるTregの数は増加するが、これらの細胞は炎症性サイトカインの共産生株であるか、又はその場でFOXP3を不安定に発現する細胞である可能性がある[12から14]。この同時産生は、典型的なTreg細胞ではなく、エフェクタ/炎症性CD4+T細胞とより密接に関連する中間表現型を生み出す。さらに、Tregの拡大は、現在のIBD治療に対する反応性と関連している[15]。潜在的には、完全にコミットされたTregプロファイルの安定性をターゲットにすることにより、消化管粘膜内の自然及び誘導されたTreg細胞機能の有効性を回復できる。
【0103】
最近、細胞の代謝及び免疫の絡み合った性質が、ヒトの疾患の研究と免疫標的療法の開発の中でより顕著になっている[16]。特に、IBDなどの炎症性疾患及び自己免疫疾患は、免疫代謝調節因子の効力の主要な例として確認されている[17]。エフェクタ細胞及び調節性CD4+T細胞は、乳酸産生及びグルコース利用を促進するエフェクタ細胞との代謝機能に顕著な違いを有する[18]が、調節性細胞型は、脂肪酸とグルコース酸化との間でバランスのとれた代謝プロファイルを保持する[19]。免疫代謝と呼ばれる免疫と代謝の間のインターフェースは、新しい代謝酵素と基質がヘキソキナーゼ[20]及びGAPDH[21]からエノラーゼ[22]及びホスホエノールピルビン酸[23]への免疫学的挙動に影響を与えるmoonlighting functionを有していると確認されるため、より高い分解能及び信頼性を獲得する。IL−1β及びIFNγの産生、FOXP3の発現、カルシウムシグナル伝達に影響を与えるこれらの要素は、かつてはエネルギーを産生するだけだと考えられていたが、免疫機能に対して多くの強力な影響を及ぼす。免疫細胞の代謝を制御することにより、免疫代謝療法は炎症性サブセットへの分化及び分極化を効果的に防ぐことができる[24〜27]。
【0104】
以前に同定された腸内分泌及び筋肉細胞におけるLANCL2を介した代謝の調節[28]は、LANCL2及びBT−11の治療効果の重要な側面が、消化管におけるBT−11の作用の潜在的な免疫代謝メカニズムにある可能性があることを示唆している。すなわち、BT−11の有効性の背後にある重要な最初のステップであるLANCL2の活性化は、ABAである自然及び食品化合物のための受容体[28]、ならびに炎症におけるその役割の発見前の代謝ホルモンの産生のためのシグナルトランスデューサ[29]として、非免疫細胞で代謝効果を発揮することが最初に示された。ただし、LANCL2経路の代謝作用と免疫学的作用との結合は未だに証明されていない。そのため、LANCL2、及び他の免疫代謝標的は、炎症性疾患及び自己免疫疾患にまたがる革新的な免疫調節方法としての機構的評価に値する。
【0105】
BT−11は表面プラズモン共鳴を通じてLANCL2を標的とすることが示され、インビトロ評価及び疾患のDSSモデルを通じてIBDで治療作用があることが実証されている[30、31]。経口投与後のBT−11の作用は、全身性バイオアベイラビリティが10%未満、血漿半減期が3.1時間で、消化管粘膜に高度に限局している。さらに、ラットでの予備的な安全性試験では、1,000mg/kg p.o.の制限用量までのクリーンな安全性プロファイルが示されている[32]。有効性の早期評価は、DSSでチャレンジしたマウスの結腸における疾患活動性スコアの改善及び炎症マーカーの減少を定義する。LANCL2の活性化以外に、BT−11がIBDの疾患の重症度を低下させる根本的な作用メカニズムは現在のところ未定義である。
【0106】
次の例は、BT−11によるLANCL2の活性化が拡張し、免疫代謝メカニズムを介して調節性CD4+T細胞内の安定性を誘導し、消化管粘膜の過剰な炎症を抑制することを示している。次の例はまた、LANCL2を活性化することによるBT−11の免疫代謝効果の最初の証拠を示している。これらのデータは、多くの疾患又は状態、特に、それらに関連する炎症の免疫代謝治療におけるBT−11の使用を示唆している。
【0107】
材料及び方法
マウス。
C57BL/6バックグラウンドのRag2−/−はJackson Laboratoriesから入手した。FVBバックグラウンドのMdr1a−/−は、Taconic biosciencesから入手した。C57BL/6バックグラウンドのLancl2−/−及びLancl2fl/flは、商業的供給元とのコラボレーションを通じて生成された。Lancl2fl/flマウスは、T細胞特異的Lancl2ノックアウト動物(Lancl2
ΔT)生成するために、CD4−creトランスジェニックマウスと交配させた。安楽死は、CO
2麻痺とそれに続く二次性頸椎脱臼によって行われた。実験動物は、実験に入る時点で、年齢、性別及び体重を一致させた。すべての研究はIACUCの承認を得て行われた。
【0108】
実験的なIBDの誘導。
Mdr1a−/−モデル。Mdr1a−/−マウスは自然発生的な大腸炎を発症する。4週齢のMdr1a−/−マウスは、経口胃管栄養法によりBT−11(8mg/kg)を毎日投与され始めた。大腸炎の発症をモニターするために、マウスの体重を量り、毎週スコアを記録した。10週齢のMdr1a−/−は、ダウンストリームアッセイ用の組織の収集のために犠牲にされた。DSSモデル。Lancl2
ΔT及びLancl2発現制御において、7日間飲料水に入れたデキストラン硫酸ナトリウムが与えられた。7日後、標準の飲料水に戻された。マウスの体重を量り、毎日スコアを記録した。マウスは、実験スケジュールの7及び10日で組織収集のために安楽死させた。養子移入モデル。WT及びLancl2−/−ドナーの脾臓を粉砕し、磁気ソーティングによりCD4+フラクションのために濃縮した。CD4+CD45RB
hiCD25−(Teff)及びCD4+CD45RB
loCD25−(Treg)細胞を、FACSAriaセルソーターでソーティングした。示された実験群に基づいて、Rag2−/−受容マウスは、WT又はLancl2−/−由来の4×10
5個のTeff細胞及び1×10
5個のTreg細胞を腹腔内注射によって受けた。移入後、マウスはBT−11の治療を毎日受けた。移入後8週間で安楽死されるまで毎週、マウスの体重を量り、スコアを記録した。
【0109】
フローサイトメトリ。
結腸及び腸間膜リンパ節(MLN)は、消化のためにコラゲナーゼ(300U/mL)及びDNase(50U/mL)を含むRPMI/FBSバッファ内に収集された。得られた単一細胞懸濁液を濾過した後、免疫細胞をパーコール勾配によって精製した。細胞は、96ウェルプレートでの連続ライブ染色において、細胞外(CD45、CD3、CD4、CD8、CD19、NK1.1、CD25、F4/80、CD11b、CX3CR1、CD64)及び細胞内(Tbet、RORγT、FOXP3、IFNγ、IL17、IL10)抗体の混合物で標識された。データは、FACSDivaソフトウェアを備えたFACS Celestaフローサイトメーターを使用して取得した。
【0110】
遺伝子発現。
結腸及び細胞からの全RNAは、Qiagen RNeasyミニキットを使用して生成された。 cDNAは、BioRad iScript cDNA合成キットを使用して生成された。標準曲線は、Taq DNAポリメラーゼを用いた標準PCR反応からの精製産物の連続希釈と、それに続くQiagen MinElute PCR精製キットを使用した精製によって生成された。発現レベルは、BioRad CFX96サーマルサイクラでSybrGreenスーパーミックスを用いた定量的でリアルタイムのPCR、それに続く上述のようなβ−アクチンの発現に対する正規化により得られた[33]。
【0111】
組織病理学。
H&E染色された結腸切片は、10%緩衝ホルマリン内に収集されて、パラフィン中に埋め込まれた結腸の部分から調製された。スライドは、オリンパスの顕微鏡により当局認定の獣医病理学者によって検査され、画像はImage−Proソフトウェアで収集された。白血球浸潤、上皮侵食、及び粘膜肥厚について、試料のスコアを記録した(0〜4)。
【0112】
代謝分析。
結腸及び細胞をアッセイ特異的緩衝液内に懸濁させて、10秒間均質化させた。ホモジネートを10,000xgで10分間遠心分離した。酵素活性アッセイのために、上澄みを収集して播種した。試料を酵素発現剤及び基質と混合した。NADH産生の比色検出は、Gen5ソフトウェアと組み合わせたBioTekμQuantプレートリーダを使用して測定された。PEPアッセイでは、上清を過塩素酸媒介精製を使用して除タンパク質を行った。試料をプレーティングし、プローブ、コンバータ、発現剤混合物と混合した。PEP濃度は、プレートリーダでの吸光度の定量化によって測定された。
【0113】
インビトロCD4+T細胞培養。
WTマウス及びLancl2−/−マウスの脾臓を切除して粉砕し、単一の細胞懸濁液を生成した。CD4+T細胞フラクションは、BD IMagシステムを用いた磁気ソーティングを介したネガティブセレクションにより濃縮された。ナイーブCD4+T細胞は、ビオチン化CD62L抗体とのインキュベーションと、それに続くストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズへの結合によって得られた。ナイーブ細胞を、オールトランスレチノイン酸及び精製TGF−βを含む完全なIMDM培地で抗CD3コーティングされた組織培養プレート内で48時間インキュベートして、Tregへの分化を刺激した[18]。指示された濃度のBT−11を含む培地に0〜48時間、細胞を播種した。代謝モジュレータ、PS−48(5μM)、DASA−58(10μM)、及びタプシガルギン(10nM)を0時間で追加した。コアッセイでは、CD4+フラクション及びTregを上記のように生成し、同じウェル内に1:1の比率で2×10
5個の細胞をそれぞれBT−11なしで播種し、24時間一緒にインキュベートした。アッセイの6時間前に、細胞をPMA及びイオノマイシンで刺激した。フローサイトメトリ、遺伝子発現、及び代謝アッセイによるダウンストリーム分析のために、プレートから細胞を収集した。
【0114】
ヒトPBMCの単離及び培養。
匿名化された新鮮な全血を販売業者から入手した。血液を希釈し、LeukoSepチューブでPBMCフラクションを精製した。残りの赤血球を低張溶液により溶解した。細胞を、完全なRPMI培地の抗CD3でコーティングされたウェルに播種し、BT−11と共に24時間インキュベートした。siRNA実験では、先ず、細胞を、OriGene 3−mer LANCL2 siRNA又はViromerGreenトランスフェクション試薬内に懸濁したスクランブルコントロールと共に6時間インキュベートした。6時間後、細胞を洗浄し、BT−11を含む新鮮な培地に再懸濁した。アッセイの6時間前に、細胞をPMA及びイオノマイシンで刺激した。BT−11治療から48時間後、フローサイトメトリ、遺伝子発現、及び代謝アッセイのために細胞を収集した。
【0115】
統計分析。
データは平均値とSEMとして表される。パラメトリックデータは、ANOVAを使用して分析され、それに続いてScheffe´の多重比較テストが行われた。SAS(SAS Institute(ノースカロライナ州ケアリー)の一般的な線形モデル手順を使用して、ANOVAを実行した。遺伝子型と治療を比較する2×2の要因配置を使用した。統計的有意性は、P<0.05で決定された。
【0116】
結果
BT−11は、IBDのMdr1a−/−モデルにおける炎症の組織病理学的細胞及び分子マーカーを低減する。
Mdr1a−/−マウスは、4週齢から始まり、6週間にわたって、8mg/kgのBT−11又はビヒクルを毎日経口投与された。BT−11による経口治療は、6週間にわたって疾患の発症を防止し(
図1A、パネルA)、10週齢での結腸白血球浸潤、上皮びらん、及び粘膜肥厚を低減した(
図1A、パネルB及びC)。フローサイトメトリにより、Th1(CD4+Tbet+IFNγ+)細胞及びTh17(CD4+RORγT+IL17+)細胞の有意な(P<0.05)減少が、BT−11治療により、結腸固有層(LP)(
図1B、パネルD及びE)ならびに腸間膜リンパ節(MLN)(
図1C、パネルG及びH)内で発生した。対照的に、BT−11は、結腸LPでCX3CR1+マクロファージ(CX3CR1+F4/80
hiCD11b+CD64+)を含むIL−10産生細胞サブセットの割合を増加させ、結腸LP及びMLNでTreg細胞(CD4+FOXP3+IL10+)を誘導した(
図1B、パネルF、
図1C、パネルI)。炎症性サイトカイン、IFNγ(
図1D、パネルJ)、IL17A(
図1D、パネルK)、IL6(
図1F、パネルO)、TNFα(
図1E、パネルM)、及びMCP1(
図1E、パネルL)は、結腸遺伝子発現及びサイトメトリビーズアレイによって検証された。さらに、BT−11による経口治療は、結腸全体Lancl2をアップレギュレートした(
図1F、パネルN)。BT−11は、予防的に機能することに加えて、治療的に与えられると、症状が現れた後7週齢で効果を発揮する。
【0117】
CD4+T細胞におけるLANCL2の発現が、BT−11の治療効果には必要である。
LANCL2のCD4特異的欠失のマウス(Lancl2fl/flCD4cre+、Lancl2
ΔT)はcre−lox技術を用いて生み出された。Lancl2
ΔT及びLancl2発現対照は、DSSに7日間に曝露され、経口BT−11又はビヒクル対照で処理された。CD4+T細胞におけるLANCL2の喪失は、BT−11の効力を無効にした(
図2A〜2C)。Lancl2
ΔTは、疾患活動性の増加、体重の減少及び結腸組織病理学的障害の重症度の増大を示した(
図2A、パネルA及びB、
図2B、パネルC)。細胞レベルでは、BT−11で治療されたLancl2
ΔTは、結腸LPのTh1及びTh17細胞に特徴的減少を誘導することができないだけでなく、IL−10産生CX3CR1+マクロファージを展開できなかった(
図2C、パネルD及びF)。BT−11治療及び未治療Lancl2
ΔTマウスは、大腸内での高レベルの炎症性サイトカインを発現した(
図2C、パネルG〜J)。
【0118】
BT−11による経口治療は、Treg依存性メカニズムにおいて炎症を抑制する。
BT−11の作用の細胞メカニズム及びその治療効果のT細胞依存性をさらに特徴付けるために、野生型(WT)又はLancl2−/−(KO)ドナーからRag2−/−マウスへのエフェクタ(Teff)及び調節(Treg)CD4+T細胞の同時移入を採用した(
図3A〜3C)。WT Teffが移入される実験群間で、WT Tregが同時移入される群のみが、疾患活動性(
図3A、パネルA及びB)、組織病理学的評価(
図3B、パネルC)、結腸LPにおけるTh1(
図3B、パネルD)及び好中球(
図3B、パネルE)集団ならびに炎症性サイトカインの発現(
図3C、パネルF及びH)を含むすべての測定にわたるBT−11治療による一貫した炎症の減少を経験した。特に、WT Teff/KO Treg群は、炎症の細胞特性又は組織病理学的特徴付けにおいてBT−11治療の利点を示さなかった。同様に、経口BT−11治療は、KO Teffの同時移入を用いても、WT Treg細胞のレシピエントにおいて有効性を示した。これらのマウスは、WT Teff/WT Treg群と同等の疾患活動性、白血球浸潤、Th1、及び好中球測定値を有していた。これらの知見は、DSSでチャレンジしたLancl2
ΔTマウスにおける有効性の損失と組み合わせて、BT−11の作用メカニズムがTreg細胞内のLANCL2活性化によるものであることをさらに検証するものである。
【0119】
BT−11によるTregの治療は抑制能力及び表現型安定性を高める。
養子移入モデルからの知見を直接検証するために、CD4+細胞及びTreg細胞のコアッセイを実施した。WT及びKOドナーからのTreg細胞を、Treg分化培地(ATRA、TGFβ)内で培養して、BT−11で2日間治療するために単離した。2日後に、細胞を収集し、新たに収集したCFSE標識CD4+T細胞を播種した。BT−11で治療されたWT Tregは、サイトメトリビーズアレイで測定されたTNFα及びIFNγの発現に加えて、WT細胞及びKO細胞の両方の増殖指数を低下させた(
図4、パネルA〜C)。対照的に、BT−11によるKO Tregの前治療では、どちらの測定値にも変化はもたらされなかった。BT−11で前治療されたWT Tregも、24時間のコアッセイ期間後、Treg(FOXP3+IL10+)表現型のより大きな保持を示した。この現象を検査するために、Socs2、Capn3、Irf7、Lag3、Ikzf2、及びP2rx7を含むTreg表現型[34]の安定性を定義する一連の遺伝子の発現をアッセイした(
図4、パネルD〜I)。Socs2、Capn3、Irf7、及びLag3は、BT−11治療の48時間後にWT Tregの用量依存的な増加を示し、0.625μMのBT−11の用量での発現の有意なアップレギュレートをもたらした。P2rx7は低用量では効果を示さなかったが、0.625μMのBT−11の用量では有意にアップレギュレートされた(P<0.05)。一方、Ikzf2は遺伝子型の有意差を示す唯一の遺伝子であった。Treg細胞表現型保持の観察と組み合わせて、これらの発現結果は、BT−11によるLANCL2の活性化がTreg関連遺伝子の安定した発現を誘導することを示唆している。
【0120】
BT−11は、グルコースフラックスコントロールの免疫代謝メカニズムを通じてTreg細胞の安定性を誘導する。
グルコース代謝におけるLANCL2の以前の含意[35、36]及びCD4+T細胞の分化における代謝プロファイルの重要性のために、解糖に対するBT−11の効果を検査した。2つの解糖系酵素Pkm2及びEno1の発現は、インビトロでTreg細胞におけるLANCL2の喪失によって有意に変化した(
図5A、パネルA及びB)。機能的な酵素活性は、BT−11治療で大きな変化をもたらした。酵素活性をアッセイするとき、0.625μMで治療されたWT Tregは、ピルビン酸キナーゼ活性の増加を示した(
図5A、パネルC)。ピルビン酸キナーゼの基質であるホスホエノールピルビン酸(PEP)の濃度は、ビヒクル治療対照と比較して、BT−11治療Tregで有意に低かった(
図5B、パネルE)。さらに、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の活性によって証明されるように、トリカルボン酸(TCA)サイクルへの入り口は、BT−11治療によって、特に、0.156μM及び0.625μMの用量で刺激された(
図5B、パネルF)。BT−11が誘導するPEP及びPDH活性の低下は、PDHの小分子阻害剤であるPS−48での治療によって無効にされた(
図5B、パネルG及びH)。これは、解糖経路に対するBT−11介在性効果がTCAサイクルに向かう基質の効率的な進行に依存していることを示唆している。PS−48での治療は、BT−11によって生成されたTregの分化の増加を無効にする(
図5B、パネルD)。さらに、タプシガルギンによるSERCAシグナル伝達の阻害は、Treg細胞分化におけるBT−11誘発増加を減少させ、DASA−58によるピルビン酸キナーゼ活性の刺激は、治療及び未治療細胞の両方で高レベルの分化を促進し、CD4+T細胞分化におけるエンドステージ解糖プロセスの重要性を示す。
【0121】
BT−11の代謝効果の阻害は、IBDでのMdr1a−/−マウスにおける効力を無効にする。
インビトロ免疫代謝の知見を検証するために、Mdr1a−/−マウスにPS−48又はビヒクル対照の腹腔内注射を毎週行った。以前に観察されたように、BT−11を経口投与し、ビヒクル注射を行ったマウスは、疾患活動性、組織病理学(
図6A、パネルA〜D)、及びCD4+T細胞集団(
図6B、パネルE〜G)で予想された傾向を示した。インビトロでの代謝変化は、10週齢の結腸内で、PEP濃度の低下及びBT−11治療によるPDH活性の増加によって検証された(
図6B、パネルH及びI)。さらに、Treg細胞安定性関連遺伝子の発現は、BT−11治療によりアップレギュレートされた(
図6B、パネルJ、
図6C、パネルK〜O)。PS−48は、臨床的、細胞的、代謝的測定全体で、BT−11によって誘発される変化を効果的にブロックした。PS−48注射により、非BT−11治療及びBT−11治療マウスは、組織学、CD4+T細胞集団、及び代謝測定値において差は見られなかった。DSSモデル内でも同様のパターンが観察された。
【0122】
BT−11は、クローン病のドナーから単離されたPBMCに抗炎症効果を誘発する。
全血は、臨床的に軽度から中等度の疾患として分類されたクローン病患者から得られた。BT−11で治療した場合、単離されたPBMCでは、IL−10+細胞及びFOXP3+細胞の割合は高く、TNFα+細胞及びIFNγ+細胞の割合は低かった(
図7A、パネルA及びB、
図7B、パネルC及びD)。ヒト細胞におけるBT−11のLANCL2特異性を実証するために、PBMCにLancl2 siRNA又はスクランブルコントロールをトランスフェクトした。siRNAトランスフェクション後、IL10+細胞及びIFNγ+細胞に対するBT−11の効果は失われた(
図7C、パネルE及びF)。PBMCフラクションから、ナイーブCD4+T細胞が得られ、BT−11の存在下でTregに分化した。マウス細胞内で観察されたように、BT−11は、用量依存性フラクションで安定性関連Tregマーカーのアップレギュレーションを誘発した(
図7D、パネルG〜L)。さらに、ピルビン酸キナーゼ及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性の代謝パターンがヒトTreg内で観察された(
図7E、パネルM)。タプシガルギンは、BT−11で治療されたPBMCにおけるFOXP3+細胞の誘導の増加を防止した(
図7E、パネルN)。一方、BT−11は、増強されたPEP濃度の存在下で、細胞がエフェクタ表現型への関与の増加させることを防止した(
図7E、パネルO)。これらの結果は、BT−11の有効性のヒトへの翻訳可能性を示している。
【0123】
討論
BT−11は、IBD及び他の炎症性疾患に対して経口活性で、局所的に作用するファーストインクラスの治療薬である。この研究を通じて、IBDの3つの別個のマウスモデルで治療効果を実証し、LANCL2を介してBT−11の作用の新しい免疫代謝メカニズムを定義する。BT−11は、消化管内の局所作用のために設計及び最適化された物理化学的特性を備えた小分子治療薬であり、全身性副作用のリスクを最小限に抑える。1,000mgBT−11/kgの限界用量までのラットの良性の安全性プロファイル[32]は、潜在的な副作用のリスクが低いことをさらに示している。BT−11はLANCL2経路を標的とし、これは、その活性化を無益にするいずれの遺伝的変異も有するとは言われていないために、上皮及び免疫細胞の消化管粘膜内で強く発現する免疫調節の新しいメカニズムを利用している。本稿では、BT−11がIBDの根本的な課題であるエフェクタと調節性CD4+T細胞の不均衡に影響を与えることによって機能することを確認している。さらに、BT−11は消化管におけるLANCL2の低レベルの発現を上昇させて救済し、IBDにおける炎症によって引き起こされるいずれの機能異常も回復できることを示す。
【0124】
明確な動物モデルの欠如は、IBDなどの多因子性疾患における新規治療法の開発における特徴的な問題である。この目的を達成するために、化学的、細胞的、遺伝的誘導方法を含む確立されたモデルでBT−11の有効性を検証した。BT−11は、DSSモデルで上皮細胞バリア機能の喪失及び細菌の移行があっても、活発な炎症を抑制し、一過性の上皮傷害の存在下で粘膜の恒常性を維持する能力を示唆している。一方、養子移入モデルでは、BT−11は、認識されていない環境下でT細胞により駆動される炎症をブロックする能力を示す。有害ではない抗原に対してはIBDの病因に対して一般的に提案されている要素の認識はないので、この能力は治療を成功させるために重要である。
【0125】
Mdr1a−/−モデルは、特にヒトの翻訳可能性の有望なモデルである。免疫無防備状態のマウスを生成する他の疾患の遺伝モデルとは異なり、Mdr1a−/−マウスは免疫能力があり[37]、この欠落は代わりに分子を流出させて細胞のストレスを防ぐ細胞の能力に影響を及ぼす。廃棄物及び副産物の蓄積は、上皮細胞のライフサイクルの調節不全を引き起こし、炎症性サイトカイン及びケモカインの分泌を増加させる。したがって、それは、上皮内で発生する一次開始事象を伴う、疾患の慢性的かつ自然発生的な発症を提供する。さらに、MDR1遺伝子はIBDについての新たなリスク対立遺伝子であり、糖質コルチコイドに基づく治療に対する反応性に影響する[38、39]。MDR1遺伝子内の特定の多型である1236Tも、CD患者の切除手術のリスク増加と関連付けられた[40]。この遺伝子の非存在下で治療効果を提供するBT−11の能力は、遺伝子異常の存在下での頑健性の重要な指標であり、ヒトの翻訳における効果を示唆している。
【0126】
免疫代謝の学際的な分野での進歩は、自己免疫疾患、消化器疾患及び癌の発生の理解に益々結び付き、治療法開発のための新たな潜在的機会を提供する。後期解糖におけるBT−11の作用メカニズムの関与は、Treg細胞の分化及び安定性ならびに寛解の誘導において特に3倍の重要性を持っている。第一に、Eno1の転写が増加すると、FOXP3−E2の発現が減少し、FOXP3のアイソフォームはより高い抑制能力と関係している[22]。遊離エノラーゼ自体は、変化したFOXP3発現に関連している可能性があるが、FOXP3プロモーターの転写リプレッサーであるMBP1は、Eno1遺伝子から転写された代替アイソフォームである[41]。解糖内の全体的なEno1転写及び酵素アイソフォームの占有が減少することにより、MBP1発現が減少し、FOXP3発現の阻害が防止される。第二に、乳酸産生とTCAサイクルへの移行とのバランスは、Teff(自己免疫疾患に対する寄与)とTreg(自己免疫疾患の治療又は予防)CD4+T細胞サブセットとの間の重要な分裂であり、この分裂を制御する複数の要因が、自己免疫疾患又は炎症性疾患の影響を受けた組織におけるTreg集団及び耐性を生成及び維持する。第三に、PEPを効率的に処理してピルビン酸にする能力は、妨げられないSERCAシグナル伝達の要件である[19、23]。SERCA経路を介した適切なシグナル伝達は、FOXP3の転写活性化因子の活性のためのチェックポイントであり、ヒストンアセチル化を介してサイレンサー部位であるCNS2領域に結合するSTAT3の能力に影響する[42]。これらのヒストン修飾は、Treg細胞の分裂におけるFOXP3の継続的な発現のために不可欠であり、それらが失われると、腸炎を抑制することができなくなる[43、44]。メチル化パターンの変化により、Tregは、炎症性サイトカインとIBDに関連する中間表現型の同時産生の影響を受け易くなる[45]。細胞内PEPの蓄積は、乳酸塩の生成から小胞体ストレスの生成までの複数の炎症経路を促進し[46、47]、炎症性免疫細胞の生成及び上皮細胞の生存に寄与する。CD4+T細胞におけるSERCAシグナル伝達の影響はIBDでは現在未開拓であるが、阻害されたSERCA機能は、以前に、結腸及び小腸の収縮性の低下に結び付けられ、機械感覚行動の変化に繋がっている[48]。
【0127】
Treg細胞安定性関連遺伝子のパネル全体の発現増加は、FOXP3活性又は転写因子の上流制御へのBT−11の直接的な影響を示唆している。遺伝子が一緒になってより優れた抑制能力及び安定性を示す一方で、これらの下流の標的は疾患に重要な個々の影響を与える。Irf7はFOXP3発現を増加させることができ[49]、その欠如は大腸炎の重症度を悪化させる[50]。Lag3は抑制能力のための重要な表面分子であり、その発現はIBDにおけるTregベースの治療の有効性を大幅に高める[51]。Socs2はIFNγ発現をダウンレギュレートすることができ[52]、抗原提示細胞の活性化を行うことができる[53]。全体として、BT−11は、より安定した抗炎症性Treg細胞集団の確立を促進する、規制及び抗炎症行動の増大をもたらす。
【0128】
コアッセイでCD4+増殖の抑制を増加させることにより、分化に加えてBT−11治療がTreg細胞の行動に利益をもたらすという証拠を提供する。本稿内の結果は主にiTregの作用に焦点を当てているが、自然発生のTregの集団に対するBT−11の評価は、治療法に対する追加の洞察を提供する。特に、Ikzf2遺伝子ならびにnTreg及びiTregの識別のための候補マーカーによってコードされたHeliosは[54,55]、nTreg細胞の産生におけるLANCL2活性化のための潜在的な役割を示唆するLANCL2の発現によって影響される。IBDの発症及び疾患の重症度の再燃は、食事摂取量の小さな変化と、従来の無害な抗原に対する反応性の自然発生を伴う共生腸の微生物叢に関連している。現在の知識では、BT−11による経口治療について、これらの状況で局所耐性を誘発及び回復することが期待されている。
【0129】
検証済みのマウス細胞及びIBDのモデルでの治療効果に加えて、ヒトの翻訳の可能性をサポートするために、BT−11はヒトPBMCで強力な効果を促進する。BT−11は、中等度から重度の疾患を持つクローン病患者から得られた細胞において、2つの顕著な炎症性サイトカインであるTNFα及びIFNγの産生を減少させる。TNFα発現の自然な減少を誘発する能力は、中等度から重度のクローン病患者内で抗TNFα生物製剤と同様の治療空間を占める可能性を示唆している。サイトカイン産生及び細胞分化の劇的な変化は別として、LANCL2特異性及び免疫代謝経路の観点から、特定された作用メカニズムがマウス細胞からヒト細胞に翻訳されることを示している。共有された作用メカニズムは、疾患及び病理学の前臨床モデルから臨床試験への治療効果の翻訳の実現可能性を確立する。この研究と以前の取り組み[31、32]を通じて、BT−11は、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び他の状態を治療するためのより安全でより効果的な経口治療法に対する未だ満たされていない臨床的ニーズに取り組むための有望な治療法として浮上している。LANCL2を介した新しい免疫代謝メカニズムを利用して、BT−11は、治療のために特異な空間を占める。
【0130】
データは、C.ディフィシル感染症、他の細菌性疾患、及び他の感染症などの感染症;家族性腺腫性ポリポーシス、大腸癌、他の消化管の癌、及び他の癌などの過剰増殖性障害;アンデルセン病、他のグリコーゲン蓄積症、及び他の先天性代謝異常などの先天性代謝異常;アテローム性動脈硬化症、他の心血管疾患、高血圧症、及び他の免疫代謝疾患などの慢性免疫代謝性疾患;ループス、多発性硬化症、癌免疫療法によって誘発されるリウマチ性疾患、他の癌免疫療法によって誘発される自己免疫疾患、及び他の自己免疫疾患などの自己免疫疾患;臓器移植拒絶反応;急性結腸憩室炎、放射線直腸炎、放射線腸炎、及び放射線直腸S状結腸炎などの消化管の放射線誘発性炎症、及び他の炎症性障害などの炎症性障害;ならびに線維筋痛症及び他の種類の慢性痛などの慢性痛;を治療するための、本明細書に記載のBT−11もしくは他のLANCL2結合化合物、又は本明細書に記載のBT−11又は他のLANCL2結合化合物で活性化された細胞の効果を示す。
【0131】
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【0132】
BT−11の経口投与による免疫代謝メカニズムを用いたC.ディフィシル感染症の治療
前書き
クロストリジウムディフィシル感染症(CDI)率の増加は、抗生物質選択因子、感染制御対策の失敗、及び現在の治療法の欠陥を際立たせている。バンコマイシン及びメトロニダゾールを用いる抗菌療法では、85〜90%の予想奏効率が得られ、それに伴って両方の薬剤に対する再発リスクは20〜25%になる[1〜3]。メトロニダゾールは、低コストであり、バンコマイシン耐性の選択圧が低いため、第一選択療法として好ましい。しかしながら、両方の治療により、C.ディフィシルに対するコロナイゼーション抵抗性を提供する正常な結腸微生物叢は完全に破壊される[4、5]。最近の研究では、CDIの治療に対するメトロニダゾールの有効性が、準最適一次反応及び予想を上回る再発率の両方の点で、疑問視されている[6、7]。したがって、抗生物質を含まず、抗生物質の管理及びマイクロバイオームの保存を促進する化合物を最適化することが、新しく、タイムリーにかつ緊急に必要とされている。次の例では、免疫代謝作用を利用してC.ディフィシル感染を治療する。
【0133】
方法
C.ディフィシル動物モデル。
この研究は、以前に報告されたクロストリジウムディフィシル感染症のモデルにしたがった[11、13、14]。細菌による攻撃の前に、飲料水中の抗生物質の混合物、すなわち、コリスチン850U/mL(4.2mg/kg)、ゲンタマイシン0.035mg/mL(3.5mg/kg)、メトロニダゾール0.215mg/mL(21.5mg/kg)、及びバンコマイシン0.045mg/mL(4.5mg/kg)でマウスを治療し、続いて感染の1日前にクリンダマイシン32mg/kgを腹腔内注射した。感染性の課題は、強制飼養を介してブルセラ培地でC.ディフィシル株VPI10463(ATCC43255)10
7cfu/マウスを用いることであった。
【0134】
フローサイトメトリ。
結腸及び腸間膜リンパ節(MLN)は、消化のためにコラゲナーゼ(300U/mL)及びDNase(50U/mL)を含むRPMI/FBSバッファ内に収集された。得られた単一細胞懸濁液を濾過した後、免疫細胞をパーコール勾配によって精製した。細胞は、96ウェルプレートでの連続ライブ染色において、細胞外(CD45、CD3、CD4、CD8、CD19、NK1.1、CD25、F4/80、CD11b、CX3CR1、CD64)及び細胞内(Tbet、RORγT、FOXP3、IFNγ、IL17、IL10)抗体の混合物で標識された。データは、FACSDivaソフトウェアを備えたFACS Celestaフローサイトメーターを使用して取得した。
【0135】
遺伝子発現。
結腸及び細胞からの全RNAは、Qiagen RNeasyミニキットを使用して生成された。cDNAは、BioRad iScript cDNA合成キットを使用して生成された。標準曲線は、Taq DNAポリメラーゼを用いた標準PCR反応からの精製産物の連続希釈と、それに続くQiagen MinElute PCR精製キットを使用した精製によって生成された。発現レベルは、BioRad CFX96サーマルサイクラでSybrGreenスーパーミックスを用いた定量的でリアルタイムのPCR、それに続く上述のようなβ−アクチンの発現に対する正規化により得られた[12]。
【0136】
組織病理学。
H&E染色された結腸切片は、10%緩衝ホルマリン内に収集されて、パラフィン中に埋め込まれた結腸の部分から調製された。スライドは、オリンパスの顕微鏡により当局認定の獣医病理学者によって検査され、画像はImage−Proソフトウェアで収集された。白血球の浸潤、上皮の侵食、及び粘膜の肥厚について、試料のスコアを記録した(0〜4)。
【0137】
細菌の再単離。
切除された結腸から結腸内容物を収集した。試料をブルセラブロスで均質化し、68℃で1時間インキュベートした。試料を10,000rpmで30秒間遠心し、上清を回収した。上清を段階的に希釈し(1:10、1:100、1:1000)、クロストリジウムディフィシル選択的サプリメントを含むオキソイドクロストリジウムディフィシル寒天プレートに播種した。BD EZ嫌気性容器システムキットを使用して、プレートを嫌気性条件下37℃で2日間インキュベートした。コロニーを計数し、試料の重量と比較して正規化した。
【0138】
結果
LANCL2は、消化管の微生物叢に影響を与える。
C.ディフィシル感染マウスにおけるLANCL2の活性化は、ビヒクルと比較して、dpi4でのbaiCD含有量を有意に増加させる(
図8、パネルA)。優勢な酪酸ファミリーであるラクノスピラ科とルミノコッカス科は、感染していないマウスでLANCL2が失われると減少する(
図8、パネルB)。さらに、抗菌ペプチドDefB1及びS100A8の発現は、CDIでアップレギュレートされることがわかった[11]。したがって、共生微生物叢のダイナミクスは、C.ディフィシルに反応して存在する炎症によって妨げられ、免疫調節に基づく治療法が微生物叢が介在するC.ディフィシルの拡大及びコロニー形成の阻害にプラスの効果があることを示している[9]。
【0139】
BT−11は、C.ディフィシルに対する抗菌特性を有していない。
C.ディフィシルを、嫌気性条件下の刻んだ肉培地内でインキュベートし、BT−11、ビヒクル、又は陽性対照としてのバンコマイシンを含有させた。BT−11を1μg/mL、10μg/mL、100μg/mLで試験した。結果を
図9に示す。試験したBT−11の濃度は、接種後24時間でコロニー形成単位の減少を誘発しなかった。一方、10μg/mLのバンコマイシンは、コロニー形成単位を95%、すなわち、400万から20万未満に減少させた。BT−11への曝露は、毒素A又は毒素Bの産生、又はC.ディフィシルが胞子を形成する能力を変化させなかった。
【0140】
BT−11は、疾患の重症度を軽減し、死亡を防ぐ。
C.ディフィシル感染マウスには、感染後に8mg/kgのBT−11を投与した。結果を
図10A〜10Cに示す。2日目以降、BT−11で治療されたマウスは症状のレベルが低くなり、その結果、疾患活動性スコアが低下した。BT−11は、死亡率に対する完全な保護を提供し、ビヒクルで治療された対照において60%の生存率が観察された。しかしながら、BT−11は、結腸内のC.ディフィシルの負担の減少を誘発しなかった。BT−11は、結腸内の白血球の浸潤の減少を含む結腸の病理を減少させた。粘膜固有層内で、BT−11は、好中球、Th1及びTh17細胞を減少させながら、調節性T細胞を増加させた。
【0141】
討論
LANCL2は、免疫介在性[8]疾患及び感染性[9]疾患の治療標的として浮上している。LANCL2は、消化(GI)管の上皮及び免疫細胞で発現された。LANCL2活性化及びBT−11治療は、免疫及び代謝の境界での反応を調節し、これらの免疫代謝メカニズムが治療作用を発揮する。これらのデータは、CDIを改善するためにBT−11で免疫代謝メカニズムを活性化する実現可能性を示している。CDIにおける疾患の病因は、部分的にその毒素によって引き起こされるだけでなく、炎症促進性免疫応答の調節不全が原因であることを考慮に入れて、抗炎症性C.ディフィシル療法としてBT−11でLANCL2を標的化することの有効性を評価した。データは、BT−11による経口治療が、CDIを有するマウスの死亡率に対する完全な保護、疾患活動性の低下、及び炎症の減少をもたらすことを示している。
【0142】
CDIにおける疾患の病因への免疫学的寄与の中で最も重要なのは、炎症性で組織を損傷するTh17細胞と調節性Treg細胞との間の不均衡である。重要なこととして、BT−11がCD4+T細胞内の免疫代謝経路に影響して、制御性細胞種の分化及び安定性を促進することをここに示した。FOXP3発現の安定性を高めるこれらの免疫代謝経路は、CDI中に治療作用を提供するために非常に重要である。非常に強力な細菌由来の毒素のために、消化管粘膜はますます炎症性の環境になってしまう。この環境の変化により、恒常性に関与する細胞、及びマイクロバイオームへの耐性はこれらの能力を失い、共生微生物叢の異常性が悪化する。BT−11及び免疫代謝メカニズムにより、BT−11治療は、炎症状態の存在下で抑制機能を保持し、疾患を予防する調節細胞を促進する。抗生物質後の共生フローラの補充が促進されることで、微生物叢自体は、C.ディフィシルの成長を打ち負かして抑制できます。
【0143】
本発明の調製細胞を動物に投与することが、この実施例に示しているBT−11の直接投与の効果を模倣することになるであろうと予測される。
【0144】
参考文献
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【0145】
大腸癌の治療におけるBT−11の治療的作用
大腸癌は世界で3番目に多い癌であり、2015年に940万人以上が罹患している。癌の進行における代謝は、腫瘍細胞自体の挙動及び腫瘍細胞と免疫系との間の相互作用の両方の一因となっている。よく知られた腫瘍細胞の特徴は、酸素の存在下でさえ嫌気性解糖を好むワールブルグ効果である。このグルコースの乳酸への代謝には、細胞の成長及び増殖のために高速エネルギー源を提供し、微小環境を酸性化し、細胞毒性免疫細胞に必要な代謝基質を消費するという、癌細胞についての多面的な利点がある。最近、このプロセスを標的とすることが、腫瘍の進行、成長、及び転移を制御する有効な手段であることが解明された。癌細胞は免疫細胞にアネルギー及びアポトーシスを誘発することができ、認識後の癌細胞の排除を助ける酸化的リン酸化への切り替えを防ぐ。この代謝プロファイルの切り替えにより、CD8+細胞からの抗腫瘍応答を増強できるメモリT細胞の発生が可能になる。したがって、免疫代謝を標的とすることは、腫瘍細胞の増殖を制限すると同時に、免疫介在性の癌細胞の排除を可能にする治療を意味する。
【0146】
BT−11は、結腸直腸癌及び他の癌の治療に安全で細胞毒性のない選択肢を提供する。癌細胞を殺滅することを直接目的とする他の治療法とは異なり、BT−11は、免疫系からの記憶応答を刺激しながら、細胞増殖を制限する強力な免疫代謝効果を誘発することができる。細胞へのBT−11の投与は、乳酸脱水素酵素の活性及び乳酸の生成を低下させる一方、酸化的リン酸化経路を増加させる。BT−11介在性の乳酸代謝の阻害はさらに、細胞増殖の低下と関連していて、腫瘍細胞の進行の拡大を制限する。さらに、これらの代謝の影響は、腫瘍微小環境の変調を防ぎ、完全に確立された免疫回避戦略の可能性を低下させる。さらに、BT−11の免疫細胞代謝への直接的な影響により、酸化的リン酸化が増加し、細胞の記憶状態への移行を可能にする。BT−11は、メモリCD4+T細胞の発生を誘発することが示されてきた。組み合わされた腫瘍及び免疫細胞の効能により、BT−11は、結腸直腸癌及び他の癌の治療において代替可能な化学療法の選択肢である。本発明の調製された細胞を動物に投与することは、この実施例に記載しているBT−11の効果を模倣することになるであろうと予測される。
【0147】
アテローム性動脈硬化症におけるプラーク形成及び動脈炎症の予防
アテローム性動脈硬化症は、動脈壁内の線維性プラークによる動脈の狭窄を特徴とする心血管疾患である。アテローム性動脈硬化症は、肥満、高血圧、貧しい食生活に起因する米国の主要な死因であり、心臓発作、脳卒中、腎不全の発生の一因となっている。アテローム性動脈硬化症は、内皮細胞によって分泌される炎症性メディエーターと高濃度の低密度リポタンパク質による白血球の活性化によって引き起こされる最も重要な免疫代謝疾患である。時間が経つと、この活性化により、動脈壁に血小板、コレステロール、結晶化カルシウムが沈着する。高脂血症の状態での修飾リポタンパク質への継続的な曝露は、細胞内ストレスの慢性的な蓄積のために、炎症性マクロファージの分極化をもたらす。SREBP、LXR、PPARなどの主要な転写因子の刺激が変化すると、NF−κB、NLR及び他の炎症経路が活性化される。心血管疾患における免疫代謝のもう1つの重要な調節因子はAMPKである。二次免疫細胞による炎症性メディエーターの発現の増加は、免疫細胞のAMPK活性を低下させ、かつ脂質酸化の速度を低下させる。AMPK活性の低下は、CREB転写因子活性及び抗炎症性IL−10産生の活性化などの有益な免疫応答の直接的な混乱につながる。シグナル伝達の混乱はまた、エネルギーのための脂肪酸の利用を減少させ、細胞のカルシウム流動を調節不全にすることにより、プラークの形成に直接一因となる。
【0148】
LANCL2は、AMPKとCREBの活動、及びIL−10の産生とカルシウムシグナル伝達の調節に関連する上流シグナル伝達要素である。その天然に存在するリガンドであるアブシジン酸は、高脂肪摂食中のPPAR活性及び抗炎症反応の変調に関連している。BT−11は、ヒト末梢血単核細胞に投与すると、炎症誘発性のアテローム性動脈硬化症関連サイトカインであるIFNγ及びTNFαの発現を低下させ、また、IL−10産生増加させる。これらの効果と絡み合って、BT−11は免疫細胞の酸化能力を高め、カロリー過剰の環境下で代謝ホメオスタシスを維持する能力を示唆している。BT−11は、アテローム性動脈硬化症の影響を受ける免疫経路と代謝経路の両方に影響を与えることにより、アテローム性動脈硬化症の病理と疾患を治療し、動脈壁における細胞、細胞断片及び代謝物の継続的な補充と沈着を防ぐ。本発明の調製された細胞を動物に投与することは、この実施例に記載しているBT−11の効果を模倣することになるであろうと予測される。
【0149】
アンデルセン病におけるグリコーゲン代謝の変調
アンデルセン病は、グリコーゲン貯蔵の欠陥に関連する先天性代謝異常である。これは、グリコーゲンの分岐に関与する酵素をコードするGBE1遺伝子の欠陥と変異によって引き起こされる。分岐していないグリコーゲンは、溶解度が低く、心臓と肝臓内での沈殿と蓄積につながる。追加の証拠は、免疫細胞がこの異常なグリコーゲンに反応し始めることを示している。ポリグルコサンに反応する抗体は、アンデルセン病及びラフォラ病患者の心臓及び肝臓組織から単離された。免疫細胞によるポリグルコサンの取り込み及び反応性は、心臓及び肝臓組織への損傷を悪化させ、患者の健康の悪化を加速する可能性がある。これは、アンデルセン病患者におけるキトトリオシダーゼの上昇によってさらにサポートされる。キトトリオシダーゼは、防御反応及び慢性肝疾患中にマクロファージによって産生される酵素及び炎症マーカーである。
【0150】
BT−11及び他の関連するLANCL2リガンドは、グルコースの効率的で制御された酸化と整合しているが、LANCL2の活性化は、グルコースの恒常性に関連している。BT−11又は他のリガンドによるLANCL2の活性化は、アンデルセン病患者のグリコーゲンの蓄積を緩和する。防御応答の調節はBT−11又は他の関連するリガンドの利点にも寄与している。抗体とキトトリオシダーゼの産生は、免疫系が分岐していないグリコーゲンを異物として認識し、炎症の増加につながることを示唆している。BT−11及び他の関連するリガンドは、典型的な抗原に対する耐性を誘導することができる。免疫寛容が維持されると、分岐していないグリコーゲンが分泌され、体から除去され得る。本発明の調製された細胞を動物に投与することは、この実施例に記載しているBT−11の効果を模倣することになるであろうと予測される。
【0151】
線維筋痛症における代謝性及び炎症性異常の回復
線維筋痛症は、全身に広範な痛みを引き起こす疾患である。この病気は米国内で300万人以上を苦しめ、この病気には治療法はない。この病気によって引き起こされる慢性的な痛み、疲労、気分の変化を軽減することを目的とするセロトニン摂取阻害剤、鎮痛剤、及び非ステロイド性抗炎症薬が現在の治療法に含まれている。最近、線維筋痛症患者は、好中球誘引ケモカイン、IL−8、及び広範な炎症マーカーC−反応性タンパク質などの炎症マーカーのレベルが上昇していることが確認されている。特に、線維筋痛症患者のグリア細胞は、ケモカイン及びサイトカインのプロファイルが変化していて、疾患の症状及び病因に免疫系が関与していることを示している。さらに、線維筋痛症患者の免疫細胞の代謝は、健常者と比較して変化している。線維筋痛症の単核細胞は、スーパーオキシドの形成及び脂質の過酸化の増加と組み合わさって、ミトコンドリアの膜電位及びコエンザイムQ10が減少した。これらの変化は、炎症性の高い免疫細胞及び全体的な酸化ストレスの象徴である。さらに、疼痛の重症度及び他の症状は、調節反応に関連する単球亜集団を有する線維筋痛症患者において逆相関していた。
【0152】
LANCL2又は他の免疫代謝経路を標的とするBT−11及び他の関連化合物は、免疫細胞内の特定の代謝経路によって引き起こされる酸化ストレスを低減させる。この酸化ストレスの低減及びスーパーオキシドの生成は、神経細胞の過剰活性化及びグリア細胞の刺激を減らして、炎症性ケモカインを生成することができる。また、LANCL2の活性化は、単球及び他の単核細胞の規制サブセットへの分極に影響を与え得る。これらの細胞サブセットは、抗炎症反応、組織の恒常性及び創傷治癒に関連している。免疫細胞の代謝プロファイル及び調節単球サブセットの極性化に対する複合的な効果により、BT−11は線維筋痛症及び他の慢性疼痛障害の治療の新規かつ理想的な候補になる。本発明の調製細胞を動物に投与することは、この実施例に記載しているBT−11の効果を模倣することになるであろうと予測される。
【0153】
炎症性疾患の治療のためのCD4+T細胞のエクスビボ治療
BT−11は、免疫代謝シグナル伝達を介して、インビトロの細胞の表現型プロファイル及びインビボの免疫応答を変化させる。特に、BT−11は、CD4+T細胞を形作って、FOXP3の発現を増加させ、抑制能力を増加させ、炎症状態にあるこれらの調節細胞の安定性を増加させる。したがって、BT−11でエクスビボ処理された細胞の養子移入は、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、及び本明細書に記載されている他の疾患などの、不十分なCD4+T細胞応答を伴う炎症性疾患及び障害の治療に有益である。
【0154】
方法
磁気ソーティングにより、ナイーブCD4+T細胞をマウスの脾臓から単離した。単離した細胞を、Treg分化培地中の抗CD3/抗CD28被覆96ウェルプレートでインキュベートした。Treg分化培地は、ウシ胎仔血清、HEPES、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン、及び分化剤を添加したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)の培地(ThermoFisher Scientific)であった。Treg分化因子は、10nMオールトランスレチノイン酸及び5ng/mLTGF−βであった。10ng/mLのIL−2又はIL−12を添加した場合と添加しない場合のTreg分化培地での分化を比較する追加の実験を行った。アッセイ前の48時間の間、分化培地内で10nMのビヒクル又は100nMのBT−11で細胞をインキュベートした。アッセイの前に、細胞をPMA及びイオノマイシンで6時間刺激した。
【0155】
移植実験では、ドナーの脾臓を粉砕し、磁気ソーティングによりCD4+フラクションのために濃縮した。CD4+CD45RB
hiCD25−(Teff)及びCD4+CD45RB
loCD25+(Treg
g)細胞を、FACSAriaセルソーターでソーティングした。単離されたTregは、ビヒクル又はBT−11(100nM)の存在下で12時間培養された。単離されたTeffは、ビヒクル中で12時間培養された。示された実験群に基づいて、Rag2−/−受容マウスは、ビヒクル又はBT−11治療群から4×10
5個のTeff細胞及び1×10
5個のTreg細胞を腹腔内注射によって受けた。移入後5週間で安楽死されるまで毎週、マウスの体重を量り、スコアを記録した。
【0156】
結腸粘膜固有層リンパ球及び培養細胞を、96ウェルプレート(6×10
5細胞/ウェル)に播種し、上述のようにフローサイトメトリにより免疫表現型検査のために処理した。手短に言えば、細胞を、細胞外マーカー、すなわち、CD45、CD4、CD3、CD25、CD8に対する蛍光色素標識抗体とともにインキュベートした。二次染色を必要とする試料は、二次抗体、又はストレプトアビジン結合蛍光色素と共にインキュベートした。次に、試料を固定し、透過化した。細胞を細胞内マーカー、すなわち、Tbet、IFNγ、IL10、FOXP3、IL17、RORγTと共にインキュベートした。データはBD FACS Celestaフローサイトメーターで取得し、FACS Divaソフトウェア(BD Pharmingen)を使用して分析した。
【0157】
結果
BT−11の有効性に対するCD25+FOXP3+調節性CD4+T細胞の重要性により、それらの分化に対するBT−11の直接的な影響及びを炎症状態で表現型を保持する能力特定することを目的とした。ナイーブCD4+T細胞は、上記の方法にしたがって、IL−2の存在下又は非存在下で、インビトロでTregに分化された。BT−11処理(100nM)は、IL−2の非存在下でのCD25+FOXP3+サブタイプの確立を有意に増加させ、この差は、IL−2の追加によってさらに強調された(
図11A、パネルA)。10nMという低い濃度で、BT−11は、IL−2の存在下で多くのCD25+FOXP3+細胞を著しく誘導した。これらの分化条件下では、低レベルの混合CD25+Tbet+サブタイプのみが観察され、これはBT−11によって統計的に変更されなかった(
図11B、パネルB)。注目すべきは、BT−11の存在下では存在しなかった、わずかな数値の増加が、IL−2の添加により、ビヒクルで治療された対照において起こったことである。一方、BT−11は、IL−12治療試料で有意に高いレベルのCD25+FOXP3+細胞を保持した(
図11A、パネルC)。これは、BT−11の非存在下でのIL−12治療試料におけるCD25+FOXP3+細胞の抑制とは対照的である(
図11A、パネルC)。IL−12の追加はまた、すべての群でCD25+Tbet+細胞の増加も誘発したが、BT−11はこの混合サブセットに対して用量依存的な保護を提供した(
図11B、パネルD)。
【0158】
インビボでBT−11によって変調されるシグナル伝達経路を特定するために、10週齢の大腸炎の症状で、ビヒクル及びBT−11治療Mdr1a−/−マウスから結腸CD4+T細胞を単離した。CD4+T細胞では、経口BT−11治療により、IL−2シグナル伝達経路の2つのメンバーであるStat5a(
図12A、パネルA)及びFoxo1(
図12A、パネルC)の有意に高い発現が得られた。一方、Pten(
図12A、パネルB)及びPhlpp1(
図12A、パネルD)の発現はわずかに増加したが、有意ではなかった。インビトロで、STAT5aは、基本的なTreg分化培地及びIL−2又はIL−12のいずれかが補充されたTreg分化培地内のBT−11治療試料においてより高い速度でリン酸化される(
図12B、パネルE)。FOXO1は、基本的なTreg分化培地とIL−2を含むTreg分化培地の両方で同様に影響を受けるが、IL−12を含むTreg分化培地では影響を受けない(
図12B、パネルF)。PTEN(SF1670)又はSTAT5(STAT5i)についての阻害剤の存在下でも細胞は分化した。IL−2(
図12C、パネルG、H)又はIL−12(
図12D、パネルI、J)の両方を含むTreg分化培地では、STAT5iの追加により、CD25+FOXP3+及びCD25+Tbet+細胞に対するBT−11の影響が防止された。対照的に、SF1670は、IL−2含有培地でのCD25+Tbet+細胞に対するBT−11の影響のみを防止した(
図12C、パネルH)。
【0159】
Rag2−/−マウスは成熟T及びBリンパ球が欠乏している。したがって、これらのマウスについては、自己寛容、微生物の恒常性、及び全体的な免疫調節のメカニズムを開発できない。ナイーブCD4+T細胞をRag2−/−マウスに移入すると、炎症性腸疾患を含むが、それに限定されない、活性な炎症性自己免疫疾患において経験するものと同様の様式で、移入された細胞がインビボで増殖し、炎症表現型に分化することにより、これらのメカニズムが存在しないために発生する腸炎が誘発される。BT−11によりエクスビボで治療された調節細胞の移行が恒常性及び免疫調節のメカニズムを受容動物に付与するという仮説を立て、事実であることが判明した。
【0160】
BT−11(100nM)を用いてエクスビボで治療されたTregの養子移入は、全体的な疾患の重症度を低下させ、移入後5週間の試験された制限期間、免疫の利益の維持を提供した(
図13)。疾患の全体的な改善に加えて、BT−11を用いたTregのエクスビボ治療により、結腸固有層細胞の表現型が変化した。BT−11治療Treg群では、IFNγ産生及びIL−17+RORγT+CD4+T細胞が減少した。一方、CD25+Tregが増加し、安定性の増加と制御細胞の創始者集団として機能する能力の増加が示された。さらに、IL−2/STAT5シグナル伝達軸との相互作用は、移入された細胞の影響を増幅するサイトカイン及びケモカインの微小環境下での重要な変化を促進する。
【0161】
これらの結果は、インビボで投与された場合の免疫細胞に対するBT−11の効果がエクスビボで免疫細胞を治療する場合に再現できることを示している。本発明の調製細胞を動物に投与することは、IBDなどの炎症性疾患を超えて、本明細書に記載される状態のいずれかを治療するのに有効であるであろうと予測される。
【0162】
本発明の態様の例示的な実施形態
1.化合物又は前駆細胞を化合物と接触させることによって生成される調製細胞により動物の状態を治療する方法であって、有効量の化合物又は調製細胞を動物に投与することを含み、状態が感染症、過剰増殖性障害、先天性代謝異常、慢性免疫代謝性疾患、自己免疫疾患、臓器移植拒絶反応、炎症性障害、及び慢性疼痛の少なくとも1つであり、化合物が、
式Z−Y−Q−Y´−Z´の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルを含み、式中、
Zは、
Yは、
Qは、ピペラジン−1,4−ジイル;2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイル;2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−2,5−ジイル;1,4−ジアゼパン−1,4−ジイル;ベンゼン−1,4−ジアミン−N
1,N
4−ジイル;エタン−1,2−ジアミン−N
1,N
2−ジイル;N
1,N
2−ジアルキルエタン−1,2−ジアミン−N
1,N
2−ジイル;プロパン−1,3ジアミン−N
1,N
3−ジイル;N
1,N
3−ジアルキルプロパン−1,3−ジアミン−N
1,N
3−ジイル;1,4−ジアミノアントラセン−9,10−ジオン−1,4−ジイル;C
6アレーン−1,4−ジアミン−N
1,N
4−ジイル(前記アレーンは、2、3、5、又は6位において、1〜4個の置換基で置換され、置換基は、−C(O)O(C
1〜C
6)アルキル、OH、O(C
1〜C
6)アルキル、(C
1〜C
6)アルキル、CF
3、F、Cl、及びBrからなる群から独立して選択される)、又は置換ピペラジン−1,4−ジイル(前記ピペラジンは、2、3、5、又は6位において、1〜8個の置換基で置換され、置換基は、(C
1〜C
6)アルキル、アリール、アリール(C
1〜C
6)アルキル、C(O)OH、及びC(O)O(C
1〜C
6)アルキルからなる群から独立して選択される)であり、
Y´は、
又は単結合であり、
Z´は、
又はR
5であり、
Y´は、Z´がR
5である場合にのみ単結合であり、
A
1及びA
1´は、存在する場合、各々独立してN、N(C
1〜C
6)アルキル、O、S、又はCR
6であり、
A
2及びA
2´は、存在する場合、各々独立してN又はCR
7であり、
A
3及びA
3´は、存在する場合、各々独立してNR
8、O、又はSであり、
A
4及びA
4´は、存在する場合、各々独立してN又はCR
9であり、
A
5及びA
5´は、存在する場合、各々独立してN又はCR
10であり、
A
6及びA
6´は、存在する場合、各々独立してN又はCR
11であり、
R
1、R
1´、R
2、R
2´、R
3、R
3´、R
4、R
4´、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、及びR
11は、存在する場合、各場合において、水素;アルキル;ハロ;トリフルオロメチル;ジアルキルアミノ(各アルキルは、独立して選択される)、−NH
2;アルキルアミノ;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;ヘテロシクロアルキル;、−C(O)OH、−C(O)O(C
1〜C
6)アルキル、(C
1〜C
6)アルキル、−CF
3、F、Cl、及びBrからなる群から独立して選択される、1もしくは2つの置換基で置換された置換ヘテロシクロアルキル;ならびに置換ヘテロアリールアルキルからなる群から独立して選択され、
置換ヘテロアリールアルキルは、−NH
2、−NH(C
1〜C
6)アルキル、−NH((C
1〜C
6)アルキル)
2からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換され、各アルキルは、アルキル;ハロ;アリール;−SO
2R
12、−OR
13、−ハロ、−CN、−CF
3、アミノアルキル−、−S(O)R
14、及びアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換された置換アリール;ヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;アルキル、−CF
3、F、Cl、及びBrからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換された置換アリール;アルキルアミノ−;ヘテロシクロアルキル−アルキル−アミノ−;アルキルアミノアルキルアミノ−;−NHC(O)OR
15;−NHC(O)NR
16R
17;−C(O)NR
16R
17;アルキル、ハロ、CN、NH
2、−NH(C
1−C
6アルキル)、−N(C
1−C
6アルキル)
2からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された置換ヘテロアリールから独立して選択され、各アルキルは、−CF
3、ならびに−S(O)
2R
15及びCNらなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換され、
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、及びR
17は、それぞれ独立して、C
1−C
6アルキル;独立して選択されたC
1−C
6アルキルを含むジアルキルアミノ;−NH
2;アルキルアミノ;ヘテロシクロアルキル;−C(O)O(C
1−C
6アルキル)及びC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換された置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、あるいは、
化合物は、式A−B−C、又はその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルを含み、式中、
Aは、
Bは、
Cは、
A
7、A
8、A
9、A
10、A
11、A
12、A
13、及びA
14は、CH、CR
18、及びNから各々独立して選択され、
A
15、A
16、A
17、A
18、A
19、及びA
20は、CH、CR
19、N、NR
20、O、及びSから各々独立して選択され、ただし、A
15、A
16、及びA
17の1つのみがN、NR
20、O、又はSであり得、A
18、A
19、及びA
20の1つのみがN、NR
20、O、又はSであり得、
R
18及びR
19は、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ジアルキルアミノから各々独立して選択され、各C
1−C
6アルキルは、独立して、−NH
2、アルキルアミノ、ヘテロシクロアルキル、及び置換ヘテロシクロアルキルから選択され、置換ヘテロシクロアルキルは、−C(O)O(C
1−C
6アルキル)及びC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択される1又は2つの置換基で置換され、複数のCR
18を有する化合物では、各R
18は独立して選択され、複数のCR
19を有する化合物では、各R
19は独立して選択され、
R
20は、C
1〜C
6アルキルである。
【0163】
2.感染症が細菌性疾患を含む、実施形態1に記載の方法。
【0164】
3.細菌性疾患がC.ディフィシル感染を含む、実施形態2の方法。
【0165】
4.過剰増殖性障害が癌を含む、実施形態1の方法。
【0166】
5.癌が消化管の癌を含む、実施形態4の方法。
【0167】
6.消化管の癌が大腸癌を含む、実施形態5の方法。
【0168】
7.過剰増殖性障害が家族性腺腫性ポリポーシスを含む、実施形態1の方法。
【0169】
8.先天性代謝異常がグリコーゲン蓄積症を含む、実施形態1の方法。
【0170】
9.グリコーゲン蓄積症がアンデルセン病を含む、実施形態8の方法。
【0171】
10.慢性免疫代謝性疾患が心血管疾患を含む、実施形態1の方法。
【0172】
11.心血管疾患がアテローム性動脈硬化症を含む、実施形態10の方法。
【0173】
12.慢性免疫代謝性疾患が高血圧を含む、実施形態1の方法。
【0174】
13.自己免疫が全身性エリテマトーデス及び多発性硬化症の少なくとも1つを含む、実施形態1の方法。
【0175】
14.自己免疫疾患が癌免疫療法誘発自己免疫疾患を含む、実施形態1の方法。
【0176】
15.癌免疫療法によって誘発される自己免疫疾患が、癌免疫療法によって誘発されるリウマチ性疾患を含む、実施形態14の方法。
【0177】
16.炎症性障害が急性結腸憩室炎を含む、実施形態1の方法。
【0178】
17.炎症性障害が、消化管の放射線誘発性炎症を含む、実施形態1の方法。
【0179】
18.消化管の放射線誘発性炎症が、放射線直腸炎、放射線腸炎、及び放射線直腸S状結腸炎のうちの少なくとも1つを含む、実施形態17の方法。
【0180】
19.慢性疼痛が線維筋痛を含む、実施形態1の方法。
【0181】
20.状態が炎症性腸疾患を含む、実施形態1の方法。
【0182】
21.状態がクローン病を含む、実施形態1の方法。
【0183】
22.状態が潰瘍性大腸炎を含む、実施形態1の方法。