(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-504428(P2021-504428A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(54)【発明の名称】ホスファチジルセリン/アニオン界面活性剤/塩化カルシウムを用いたコクリエート
(51)【国際特許分類】
A61K 8/14 20060101AFI20210118BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20210118BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20210118BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20210118BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20210118BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20210118BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20210118BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20210118BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20210118BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20210118BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20210118BHJP
【FI】
A61K8/14
A61K8/55
A61K8/44
A61K8/19
A61Q19/00
A61Q19/08
A61Q17/04
A61K9/127
A61K47/24
A61K47/18
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-529596(P2020-529596)
(86)(22)【出願日】2018年11月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月9日
(86)【国際出願番号】KR2018014614
(87)【国際公開番号】WO2019107849
(87)【国際公開日】20190606
(31)【優先権主張番号】10-2017-0162564
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】519051964
【氏名又は名称】エイチ アンド エー ファーマケム カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】H&A PHARMACHEM CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ホングン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヘイン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨンア
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユジン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD02F
4C076DD15F
4C076DD23F
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4C083AB342
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4C083AC662
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4C083BB05
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4C083CC05
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4C083CC31
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、ホスファチジルセリン/アニオン界面活性剤/塩化カルシウムを用いたコクリエートに関し、より詳細には、ホスファチジルセリン、アニオン界面活性剤、塩化カルシウム、有効成分及び水を含むコクリエートに関するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスファチジルセリン0.1〜20重量%、アニオン界面活性剤0.001〜5重量%、塩化カルシウム0.0001〜2重量%、有効成分0.0005〜50重量%及び水30〜96重量%を含むコクリエート(cochleates)。
【請求項2】
ホスファチジルセリン0.5〜18重量%、アニオン界面活性剤0.01〜3重量%、塩化カルシウム0.0005〜1.8重量%、有効成分0.001〜45重量%及び水40〜95重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載のコクリエート。
【請求項3】
ホスファチジルセリン1〜15重量%、アニオン界面活性剤0.1〜2重量%、塩化カルシウム0.001〜1.5重量%、有効成分0.002〜40重量%及び水50〜94重量%を含むことを特徴とする請求項2に記載のコクリエート。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルコースカルボン酸ナトリウム及びココイルメチルタウリンナトリウムからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコクリエート。
【請求項5】
前記アニオン界面活性剤が、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項4に記載のコクリエート。
【請求項6】
前記有効成分が、保湿剤、美白剤、抗シワ剤、紫外線遮断剤、育毛剤、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はペプチド、抗炎症剤、ニキビ治療剤、殺菌剤、女性ホルモン剤、角質溶解剤及び天産物からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のコクリエート。
【請求項7】
前記保湿剤が、クレアチン、ポリグルタミン酸、乳酸ナトリウム、ヒドロプロリン、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セラミド、フィトステリル、コレステロール、シトステロール、プルラン及びプロテオグリカンからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項8】
前記美白剤が、アルブチン及びアルブチン誘導体、コウジ酸、ビサボロール、ナイアシンアミド、ビタミンC及びビタミンC誘導体、プラセンタ及びアラントインからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項9】
前記抗シワ剤が、レチノール、レチノール誘導体、アデノシン、カンゾウ抽出物、オタネニンジン抽出物及びコウライニンジン抽出物からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項10】
前記紫外線遮断剤が、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体及びサリチル酸誘導体からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項11】
前記育毛剤が、血行促進剤又は局所刺激剤であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項12】
前記血行促進剤が、センブリエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体及びガンマオリザノールからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載のコクリエート。
【請求項13】
前記局所刺激剤が、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ及びニコチン酸ベンジルエステルからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載のコクリエート。
【請求項14】
前記ビタミン又はその誘導体が、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB1,B2,B6、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンD、ビタミンH、ビタミンK、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン、パンテノール、コエンザイムQ10及びイデベノンからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項15】
前記アミノ酸又はペプチドが、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、リシン、トリプトファン、アミノ酸エキス、上皮細胞成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、トリペプチド−1銅、トリペプチド−29、トリペプチド−1、アセチルヘキサペプチド−8、ニコチノイルトリペプチド−35、ヘキサペプチド−12、ヘキサペプチド−9、パルミトイルペンタペプチド−3、パルミトイルペンタペプチド−4、パルミトイルテトラペプチド−7、パルミトイルトリペプチド−29、パルミトイルトリペプチド−1、ノナペプチド−7、トリペプチド−10シトルリン(citrulline)、sh−ポリペプチド−15、パルミトイルトリペプチド−5、ジアミノプロピオノイルトリペプチド−33、r−スパイダーポリペプチド−1及びジペプチド−8からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項16】
前記抗炎症剤が、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、β−グルカン及びカンゾウからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項17】
前記ニキビ治療剤が、エストラジオール、エストロゲン、エチニルエストラジオール、トリクロサン及びアゼライン酸からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項18】
前記殺菌剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及びハロカルバンからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項19】
前記女性ホルモン剤が、エストラジオール、エチニルエストラジオール及びイソフラボンからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項20】
前記角質溶解剤が、硫黄、サリチル酸、AHA、BHA及びレゾルシンからなるから選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項21】
前記天産物が、イチョウ葉抽出物、マンサク抽出物、オドリコソウ抽出物、フタバムグラ抽出物、ダイオウ抽出物、カンゾウ抽出物、アロエ抽出物、カモミール抽出物、ローズヒップ抽出物、トチノキ抽出物、コウライニンジン抽出物、ヘチマ抽出物、キュウリ抽出物、ノリ抽出物、ワカメ抽出物、コンブ抽出物、アサ抽出物、カタツムリ抽出物、ナガイモ抽出物、ヒノキチオール及びβ−カロテンからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のコクリエート。
【請求項22】
抗酸化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のコクリエート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスファチジルセリン/アニオン界面活性剤/塩化カルシウムを用いたコクリエートに関し、より詳細には、ホスファチジルセリン、アニオン界面活性剤、塩化カルシウム、有効成分及び水を含むコクリエートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有効成分を安定化させ、経皮吸収効率を高めるために、機能性化粧品への経皮送達システム(TDS)の利用に関する取り組みや研究が盛んに行われている。このような経皮送達システムは主に、界面活性剤、脂質、高分子などの素材からの有効成分を含有する小胞体を製造して適用するために使用される。これらの脂質は、生体膜の構成成分に長所があるため、化粧品素材として広く利用されている。
【0003】
注目を集めている脂質を用いた送達システムの一つにコクリエート(cochleates)技術がある。コクリエート技術は、疎水性薬物の治療学的経口送達のために開発され、負電荷を帯びるリン脂質二重層と多重カチオン性金属イオンが螺旋構造を形成する。コクリエートの開発初期には、リポソームとは異なり、それらは水のない内部構造を有していたが、最近では、水を含む構造も開発されている。
【0004】
コクリエート技術は、1970年代半ばに開発され、薬物送達に使用されてきた。コクリエートは、経口使用の可能性と安定性の向上により、薬物送達において非常に注目を集めてきた。コクリエートは、リン脂質からなるリポソームの二重層とカチオンのイオン相互作用によって形成され、それらの間の相互作用を最小限に抑えるために螺旋状のシリンダーのような細長い形状を形成する(
図1)。コクリエートは、凍結乾燥において安定的であり、薬物又はペプチドをリン脂質二重層に安定的にカプセル化し、それらを外部環境(例えば、浸透現象、pH、酵素、温度条件など)から保護することができる。コクリエートは、螺旋状の棒の形状と堅い構造の独特の物性により、化粧品成分の優れた送達システムとして役立つことが期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の技術的課題は、有効成分を安定して効率的に送達することができる新しい送達システムとしてホスファチジルセリン/アニオン界面活性剤/塩化カルシウムを用いたコクリエートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、本発明は、ホスファチジルセリン0.1〜20重量%、アニオン界面活性剤0.001〜5重量%、塩化カルシウム0.0001〜2重量%、有効成分0.0005〜50重量%及び水30〜96重量%を含むコクリエート(cochleates)を提供する。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明によれば、ホスファチジルセリン0.1〜20重量%、アニオン界面活性剤0.001〜5重量%、塩化カルシウム0.0001〜2重量%、有効成分0.0005〜50重量%及び水30〜96重量%を含むコクリエートが提供される。
【0008】
本発明のコクリエートは、ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)を0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜18重量%、より好ましくは1〜15重量%の量で含む。
ホスファチジルセリンは、細胞膜の構成成分であるリン脂質であり、2つの脂肪酸がグリセロールの最初と二番目の炭素原子にエステル結合し、セリンがホスホジエステル結合を介してグリセロールの3番目炭素原子に結合される。ホスファチジルセリンは、様々な方法で抽出できるが、好ましくは、大豆から抽出したレシチンから製造することができる。本発明のコクリエートにおいて、ホスファチジルセリンは、リン脂質二重膜を形成する。本発明において、ホスファチジルセリンが0.1重量%未満又は20重量%を超える量で含まれる場合、コクリエートの形成に問題があり得る。
【0009】
本発明のコクリエートは、アニオン界面活性剤を0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の量で含む。
本発明において、アニオン界面活性剤は、好ましくは、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルコースカルボン酸ナトリウム及びココイルメチルタウリンナトリウムであり、最も好ましくはステアロイルグルタミン酸ナトリウムである。本発明において、アニオン界面活性剤は、コクリエートを形成するための前工程としてホスファチジルセリンの二重層によって形成されるリポソームの形成を助けることができ、その結果、安定なコクリエートを形成することができる。本発明において、アニオン界面活性剤が0.001重量%未満又は5重量%を超える量で含まれる場合、コクリエートの形成に問題があり得る。
【0010】
本発明のコクリエートは、塩化カルシウムを0.0001〜2重量%、好ましくは0.0005〜1.8重量%、より好ましくは0.001〜1.5重量%の量で含む。
本発明において、塩化カルシウムのカルシウムイオンは、ホスファチジルセリンの二重層とのイオン相互作用によりコクリエートを形成し、ホスファチジルセリンの二重層間のブリッジとして機能する。本発明において、塩化カルシウムが0.0001重量%未満又は2重量%を超えて含まれる場合、コクリエートの形成に問題があり得る。
【0011】
本発明のコクリエートは、有効成分を0.0005〜50重量%、好ましくは0.001〜45重量%、より好ましくは0.002〜40重量%の量で含む。本発明において、有効成分の量が0.0005重量%未満のとき、有効成分による効能が弱くなる可能性があり、有効成分の量が50重量%を超えると、コクリエートの形成に問題があり得る。
本発明において、有効成分に応じて特別な制限はない。本発明において、有効成分の例としては、保湿剤、美白剤、抗シワ剤、紫外線遮断剤、育毛剤、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はペプチド、抗炎症剤、ニキビ治療剤、殺菌剤、女性ホルモン剤、角質溶解剤及び天産物からなる群から選ばれる一つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、オイル、ワックス、バター、パラフィン、ステアリン酸などの高級脂肪酸、エチルヘキサン酸セチルなどのエステル、シリコーンなどの美容成分も有効成分として使用することができる。
保湿剤の例には、クレアチン、ポリグルタミン酸、乳酸ナトリウム、ヒドロプロリン、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セラミド、フィトステリル、コレステロール、シトステロール、プルラン、プロテオグリカンなどが挙げられるが、これらに制限されない。美白剤の例には、アルブチン及びアルブチン誘導体、コウジ酸、ビサボロール、ナイアシンアミド、ビタミンC及びビタミンC誘導体、プラセンタ、アラントインなどが挙げられるが、これらに制限されない。抗シワ剤の例には、レチノール、レチノール誘導体、アデノシン、カンゾウ抽出物、オタネニンジン抽出物、コウライニンジン抽出物などが挙げられるが、これらに制限されない。紫外線遮断剤の例には、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体(例えば、メトキシ桂皮酸オクチル)、サリチル酸誘導体などが挙げられるが、これらに制限されない。育毛剤は特に限定されないが、血行促進剤及び/又は局所刺激剤が好ましい。血行促進剤の例には、センブリエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ガンマオリザノールなどが挙げられるが、これらに制限されない。局所刺激剤には、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなどが挙げられるが、これらに制限されない。ビタミン又はその誘導体の例には、ビタミンA(レチノール)及びその誘導体、ビタミンB1,B2,B6、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンD、ビタミンH、ビタミンK、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン、パンテノール、コエンザイムQ
10、イデベノンなどが挙げられるが、これらに制限されない。アミノ酸又はペプチドの例には、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、リシン、トリプトファン、アミノ酸エキス、上皮細胞成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、トリペプチド−1銅、トリペプチド−29、トリペプチド−1、アセチルヘキサペプチド−8、ニコチノイルトリペプチド−35、ヘキサペプチド−12、ヘキサペプチド−9、パルミトイルペンタペプチド−3、パルミトイルペンタペプチド−4、パルミトイルテトラペプチド−7、パルミトイルトリペプチド−29、パルミトイルトリペプチド−1,ノナペプチド−7、トリペプチド−10シトルリン、sh−ポリペプチド−15、パルミトイルトリペプチド−5、ジアミノプロピオノイルトリペプチド−33、r−スパイダーポリペプチド−1、ジペプチド−8などが挙げられるが、これらに制限されない。抗炎症剤の例には、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、β−グルカン、カンゾウなどが挙げられるが、これらに制限されない。ニキビ治療剤の例には、エストラジオール、エストロゲン、エチニルエストラジオール、トリクロサン、アゼライン酸などが挙げられるが、これらに制限されない。殺菌剤の例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバンなどが挙げられるが、これらに制限されない。女性ホルモン剤には特に制限されないが、エストロゲンが好ましい。エストロゲンとしては、エストラジオール、エチニルエストラジオール、植物性エストロゲンであるイソフラボンなどが好ましい。角質溶解剤の例には、硫黄、サリチル酸、AHA、BHA、レゾルシンなどが挙げられるが、これらに制限されない。天産物の抽出物又はそれから得られる成分の例には、マンサク、オドリコソウ、フタバムグラ、ダイオウ、カンゾウ、アロエ、カモミール、ローズヒップ、トチノキ、コウライニンジン、ヘチマ、キュウリ、ノリ、ワカメ、アサ、カタツムリ、ナガイモなどの抽出物、又はヒノキチオール、β−カロテンなどが挙げられるが、これらに制限されない。さらに、酵母抽出物、コラーゲン、エラスチン、DHA、EPA、香料成分などを用いてもよい。
【0012】
本発明のコクリエートは、水を30〜96重量%、好ましくは40〜95重量%、より好ましくは50〜94重量%の量で含む。
本発明のコクリエートは、必要に応じて添加剤、例えば、抗酸化剤をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコクリエートは、有効成分が堅い構造内で非常に安定した形態で効率的に送達し、生体利用率を高めることにより、少量の有効成分でも優れた効能を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】コクリエートを電子顕微鏡で撮影した写真である。
【
図3】コクリエートの粒子径の大きさをPhotal ELS−Zを使用して測定した結果である。
【
図4】コクリエートの粒子を低温電子顕微鏡で撮影した写真である。
【
図5】コクリエートの安定度測定のために、ゼータ電位をPhotal ELS−Zを利用して測定した結果である。
【
図6】コクリエートの安定度をタービスキャンで測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明の保護範囲は実施例に限定されないことを理解しなければならない。
実施例1〜18:様々な有効成分を含有するコクリエートの製造
下記表1〜18の組成で各成分を用いて、1,000バールの高圧マイクロフルイダイザーに5回連続的に通すことによって製造した。
【0016】
実施例1:植物天産物を含有するコクリエートの製造
【0018】
実施例2:海洋天産物を含有するコクリエートの製造
【0020】
実施例3:オイルを含有するコクリエートの製造
【0022】
実施例4:ワックスを含有するコクリエートの製造
【0024】
実施例5:バターを含有するコクリエートの製造
【0026】
実施例6:パラフィンを含有するコクリエートの製造
【0028】
実施例7:高級脂肪酸を含有するコクリエートの製造
【0030】
実施例8:エステルを含有するコクリエートの製造
【0032】
実施例9:シリコーンを含有するコクリエートの製造
【0034】
実施例10:保湿剤を含有するコクリエートの製造
【0036】
実施例11:美白剤を含有するコクリエートの製造
【0038】
実施例12:紫外線遮断剤を含有するコクリエートの製造
【0040】
実施例13:ビタミンを含有するコクリエートの製造
【0042】
実施例14:アミノ酸及びペプチドを含有するコクリエートの製造
【0044】
実施例15:ペプチドを含有するコクリエートの製造
【0046】
実施例16:抗炎症剤を含有するコクリエートの製造
【0048】
実施例17:ニキビ治療剤を含有するコクリエートの製造
【0050】
実施例18:殺菌剤を含有するコクリエートの製造
【0052】
比較例:レチノールを含有する一般的なリポソームの製造
下記表19の組成に従い、成分を容器に導入した。得られた混合物を1,000バールの高圧マイクロフルイダイザーに5回連続的に通した後、冷却及び脱気してリポソームを得た。
【0054】
実験例1:粒子分布の測定
実施例2で製造されたコクリエートの粒子分布をPhotal ELS−Zを使用して測定し、その結果を
図3に示した。測定結果からコクリエートの平均粒径が359.3nmであることが分かる。
【0055】
実験例2:低温電子顕微鏡撮影
実施例2で製造されたコクリエートを撮影した。粒径が非常に細かいため、一般的な光学顕微鏡では撮影することができなかった。そのため、低温電子顕微鏡(JEM1010、JEOL社製、日本)を利用して撮影した(
図4)。
図4から、コクリエートがよく形成されていることが分かる。
【0056】
実験例3:コクリエートの安定性の測定
実施例2で製造されたコクリエートの安定性測定のために、ゼータ電位をPhotal ELS−Zを利用して測定した。測定結果から粒子の電位が−75.36mVであり、コクリエートが安定していることが分かる(
図5)。
【0057】
実験例4:コクリエートの安定性の測定
実施例2で製造されたコクリエートの安定度測定のために、タービスキャンを使用して測定した。測定結果からコクリエートが安定していることが分かる(
図6)。
【0058】
実験例5:コクリエートの経皮吸収促進効果の実験
人工皮膚であるNeoderm(Tego Science社製、韓国)をFranzタイプ拡散セル(Lab fine instruments社製、韓国)に取り付けて実験した。Franzタイプ拡散セルのレセプタ容器(5mL)に、50mMリン酸塩緩衝液(pH7.4,0.1M NaCl)を加えた。次に、拡散セルを32℃、600rpmで混合、分散させ、実施例13で製造されたレチノール含有コクリエート及び比較例の一般的なリポソーム50μLをそれぞれドナー容器に加えた。所定時間に吸収・拡散を行い、吸収・拡散を行った皮膚の面積は0.64cm
2であった。有効成分の吸収と拡散が終了した後、吸収されずに皮膚に残った残留物を乾燥したKimwipes(登録商標)又は10mLのエタノールで洗浄した。有効成分を吸収・拡散させた皮膚をチップ−タイプホモジナイザーで均質化し、皮膚に吸収されたレチノールを4mLのジクロロメタンで抽出した。次に、抽出物を0.45μmナイロン膜フィルタでろ過した。含有量は以下の条件でHPLC法により測定し、その結果を表20に示した。
【国際調査報告】