(54)【発明の名称】4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール結晶塩
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、結晶無水物または三水和物としての、4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸のトリス塩、および多形体、医薬組成物、剤形、ならびに動物における、アセチル−CoAカルボキシレート(ACC)酵素の阻害により調節される疾患、状態または障害の処置におけるその使用を提供する。
4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール結晶塩。
4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸と塩との比が、1:1である、請求項1に記載の結晶塩。
三水和物結晶塩が、8.4および9.0 2Θ、±0.2°2Θの回析角でピークを含むPXRDパターン、ならびに19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、請求項9に記載の三水和物結晶塩。
前記哺乳動物における、NAFLD、NASHおよびT2Dから選択される疾患を処置する方法であって、治療有効量の請求項1〜16のいずれか一項に記載の結晶塩を哺乳動物へ投与するステップを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
化合物1は、2つのイオン性部位、ピぺリジン環上の窒素、およびカルボン酸を含有する。本発明は、化合物1(4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸)の結晶トリス塩を提供する。本発明は、化合物1のモノ−トリス塩に関する。モノ−トリス塩の結晶形態は2つ存在し、形態1は無水結晶固体であり、形態2は三水和物結晶固体である。形態3は非晶質形態である。
【0011】
定義
用語「トリス」は、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールを意味し、これはまたTHAMおよびトロメタミンとしても知られる。化合物1のトリス塩は、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールを使用して作製された化合物1の塩を意味する。トリスは、化合物1のカルボン酸部分を伴う。別段の指定がない限り、化合物1のトリス塩に言及するとき、対イオンと化合物1とは、化学量論比、約1:1にある。
【0012】
用語「形態1」は、モノ−トリス塩としての、化合物1の無水結晶2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス)塩を意味する。形態1が、水を含まないが、材料が完全に乾燥されていない場合に、水を含む残存する溶媒が存在し得ることが意図される。
【0013】
用語「形態2」は、モノ−トリス塩としての、化合物1の三水和物結晶2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス)塩を意味する。
用語「三水和物」は、本明細書で使用される場合、約3つの水分子が含まれることを指す。
【0014】
用語「約」は、所与の値または範囲の10%内、好ましくは5%内、より好ましくは1%内を一般に意味する。あるいは、用語「約」は、当業者によって考慮されるとき、平均の、許容される標準誤差内を意味する。
【0015】
Gまたはgは、グラムであり、mgは、ミリグラムを意味する。
Hまたはhは、時間を意味する。
IPAは、イソプロピルアルコールを意味する。
【0016】
Lは、リットルである。
mLは、ミリリットルである。
MCCは、微結晶セルロースを意味する。
【0017】
RHは、相対湿度を意味する。
RTまたはrtは室温を意味し、これは周囲温度と同一である(約20〜25℃)。
1H 核磁気共鳴法(NMR)スペクトルは、すべての事例において、提案されている構造と一致した。特徴的な化学的シフト(δ)は、重水素溶媒中の残存するプロトンシグナルに対する百万分率(ppm)で示され(CHCl
3は7.27ppmで、CD
2HODは3.31ppmで)、主要なピークの指定のための従来の略語、例えばs、シングレット、d、ダブレット、t、トリプレット、q、カルテット、m、マルチプレット、br、ブロードを用いて報告される。
【0018】
ssNMRは、固相NMRを意味する。
PXRDは、粉末X線回析を意味する。
RHは、相対湿度を意味する。
【0019】
用語「実質的に同じ」は、X線粉末回析パターンを説明するのに使用されるとき、ピークが+/−0.2°2Θの標準偏差内にあるパターンを含むことを意味する。
本明細書で使用される場合、特定の結晶形態に関する用語「実質的に純粋」は、結晶形態が、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは1重量%未満の、化合物1の任意の他の物理的形態を含むことを意味する。
【0020】
pKaが低いため、化合物1の窒素においてはごくわずかの対イオンしか塩を形成しないと評価され、結果が不良であり、例えば対イオンとして硫酸を使用するときわめて吸湿性の固体が得られた。
【0021】
調べた多くの対イオンは、単離したときに塩形態を取るのではなく遊離酸となった:ヒスチジン、リジン(NaおよびCaを伴う)、L−オルニチン(Naを伴う)。アルギニン(Naを伴う)を使用する試みは、乾燥時の分離のために、遊離酸をもたらした。多くの対イオンを評価した結果を表1に示す。塩は、化合物1の原液を、対イオン源に、化合物1に対して約1:1の比で添加することによって得られた。化合物1(遊離酸として)に対するモル比を1:1とする対イオンの計算量は、対イオンを特定する欄の中に括弧内に示される。添加された対イオンの実際量は、括弧内に示され、ここで、その結果は、異なる溶液中のそれぞれの対イオンについて示される。所与の溶液中の化合物1(遊離酸として)の原液が調製され、所与の溶媒中の対イオンに添加され、次いで追加の溶媒が添加されて、表1の溶媒の下の括弧内に示される総容量を生じた。各試料は1週間観察され、その間、試料は約50℃に約3時間加熱され、撹拌しながら室温に冷却させた。メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)および酢酸イソプロパノール/酢酸エチル(IPAC/EtOAc)の実験では、試料は総計3週間観察された。表1は、この時間の間に観察されたものを示す。いくつかの試料の場合、1週間後にヘプタン2mLが添加され、これは、表1中で
*を付けて識別される。メタノールおよびアセトニトリル(ACN)の場合、原液は15mg/mLであった。エタノールの場合、原液は30mg/mLであった。IPAC/EtOAcの場合、原液は、数滴の水を含んで、IPAC50mL/EtOAc5mL中13.6mg/mLであった。総容量(vol.)は、列挙された、調べた各溶媒の下の括弧内に示される。
【0024】
固体が形成し得たかどうかの決定は、この評価における1つの因子にすぎなかった。カルシウム、カリウムおよびナトリウムを使用して塩を作製するときに結晶固体が形成したものの、その結晶固体は、吸湿性が高すぎて評価を続けることができなかった。吸湿性データは、それが主に目視を通して観察されたため、これらの塩のうちの多くで得られなかった。例えば、カルシウム塩およびカリウム塩形態はろ過紙上で回収されたため、固体材料はガムに変わった。コリン塩としての化合物1は単離され、吸湿性は、相対湿度30%で20%超の重量変化があると見出された。その上、固体は、ジエタノールアミン、ジエチルアミンおよびピペラジンの塩について得られたものの、これらの塩は追究されなかった。例えば、C.Saal、A.Becker、Euro,J.のPharm Sci 49(2013)614〜623頁、Paullekuhn,G.Steffenら、J.Med.Chem.2007、50、6665〜6682頁を参照されたい。
【0025】
さらに、固体が得られたものの、塩が実際に形成したかどうかを決定するために
1H NMRのようなさらなる評価が用いられた。いくつかの事例では、得られた固体は化合物1(遊離酸として)であり、対イオンを伴っていなかった。
【0026】
RH20%超での周囲温度で、形態2は、形態1と形態2との間で、より安定な形態である。溶媒条件は、形態1が得られるか形態2が得られるかに影響する。IPA/水中での限界水分活性0.2が結晶形態2をもたらすと決定された。水の存在下で使用されるとき、以下の溶媒が形態2をもたらす:5〜15%の水/95〜85%のアセトン、4%の水/96%のアセトニトリル、1%の水/99%の酢酸ブチル、1%の水/99%の酢酸イソプロピル、1%の水/99%の酢酸エチル、2%の水/98%のジクロロエチレン、2%の水/98%のメチルエチルケトン、3〜6%の水/97〜94%の2−メチルテトラヒドロフラン、および4%の水/96%のn−プロパノール。
【0027】
化合物1はまた、溶解度に関しても困難に直面した。表2は、化合物1(遊離酸として)および様々な塩の溶解度を示す。化合物1(遊離酸として)は、通例の経口投与用の剤形を作製するには許容されない形態であることが判明した。化合物1(遊離酸として)は結晶であったものの、熱力学的溶解度は一致しなかった。カルシウム塩は、低pHにおいて、溶解度が過度に低かった。
【0029】
化合物1(遊離酸として)が一致した結果をもたらさなかったため、塩形態が追究され、限定なしに、遊離酸が複数の非化学両論的な水和物/溶媒和物として存在し得ると考えられた。表2に見られるように、遊離酸の溶解度は、各pHでの3種のバッチの間で多様であった。
【0030】
表3に示されるように、薬物動態学研究において、遊離酸とトリス塩とを比較するさらなる作業が行われた。化合物1のモノ−トリス塩は、それが形態1であっても形態2であっても、類似の薬物動態を有した。化合物1のモノ−トリス塩は、化合物1(遊離酸として)よりもはるかに良好な薬物動態を有した。懸濁液は無水形態1で調製されたが、水性媒体と仮定すると、三水和物形態2もまた、おそらく存在するであろう。懸濁液中に存在する形態は同定されなかった。
【0032】
形態1は、無水物であり、周囲温度において水分活性約0.2未満(20%RH)で熱力学的に安定である。形態1は、
図1に示されるのと実質的に同じPXRDパターンを有する。形態1の特徴的なPXRDピーク(2Θ±0.2°2Θで表される)は、9.6、10.7および11.3においてである。
図1中のPXRDパターンについてのピーク位置および強度が表4に示される。
【0034】
形態1は、
図2に示されるのと実質的に同じラマンスペクトルを有する。形態1は、特徴的なラマンピークシフト(cm
−1で表される)を、568、698、989、1218、1511、1561および1615、±2cm
−1で有する。
図2中の形態1のピーク位置(±2cm
−1)および正規化された強度(W=弱い、M=中程度、S=強い)が表5に列挙される。
【0036】
形態1は、
図3に示されるのと実質的に同じ
13CssNMRスペクトルを有する。形態1は、特徴的な
13CssNMR化学シフト(ppmで表される)を、22.9、146.2、157.9、161.9および172.9、±0.2ppmで有する。
図3に示される形態1の
13C化学シフト(±0.2ppm)が表6に列挙される。
【0038】
形態2は、三水和物であり、周囲温度および相対湿度20%で、水分活性が約0.2超と熱力学的に安定である。形態2は、
図4に示されるのと実質的に同じPXRDパターンを有する。形態2の特徴的なPXRDピーク(2Θ±0.2°2Θで表される)は、8.4、9.0、10.5、15.0および24.7においてである。
図4中のPXRDパターンのピーク位置および強度が表7に示される。
【0040】
形態2は、
図5に示されるのと実質的に同じラマンスペクトルを有する。形態2は、特徴的なラマンピークシフト(cm
−1で表される)を、562、692、984、1225、1507、1557および1610、±2cm
−1で有する。
図5中の形態2のピーク位置(±2cm
−1)および正規化された強度(W=弱い、M=中程度、S=強い)が表8に列挙される。
【0042】
形態2は、
図6に示されるのと実質的に同じ
13CssNMRスペクトルを有する。形態2は、特徴的な
13CssNMR化学シフト(ppmで表される)を、19.2、149.5、155.6、163.8および188.3、±0.2ppmで有する。
図6に示される形態2の
13C化学シフト(±0.2ppm)が表9に列挙される。
【0044】
本明細書で提供される開示に基づき、当業者であれば、形態1および形態2のそれぞれが、多様な組み合わせにおいて、いくつかの異なるスペクトルピークまたはパターンによって独自に同定され得ることを認めるであろう。以下に記載するのは、形態1と形態2とを別々に同定するのに使用され得る特徴的なピーク値の例示的な組み合わせであるが、これらの例示的組み合わせが本明細書に開示の他のピーク値の組み合わせを限定するものとは決して見られるべきでない。
【0045】
本発明の一側面は、4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸(化合物1)の結晶2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール塩を提供する。
【0046】
本発明の別の側面は、4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸(化合物1)と塩との比が1:1である、化合物1の結晶塩を提供する。
【0047】
本発明の別の側面は、化合物1の無水結晶塩としての結晶塩(形態1)を提供する。
本発明の別の側面は、化合物1の三水和物結晶塩としての結晶塩(形態2)を提供する。
【0048】
本発明の別の側面は、9.6、10.7および11.3 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターンを有する、形態1を提供する。
本発明の別の側面は、
図1に示されるのと実質的に同じ、2Θで表されるピークを含むPXRDパターンを有する、形態1を提供する。
【0049】
本発明の別の側面は、1511、1561および1615cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、形態1を提供する。
本発明の別の側面は、989、1218、1511、1561および1615cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、形態1を提供する。
【0050】
本発明の別の側面は、568、698、989、1218、1511、1561および1615cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、形態1を提供する。
【0051】
本発明の別の側面は、
図2に示されるのと実質的に同じピークシフト(cm
−1で表される)を含むラマンスペクトルを有する、形態1を提供する。
本発明の別の側面は、22.9、146.2および161.9ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルを有する、形態1を提供する。
【0052】
本発明の別の側面は、22.9、146.2、157.9、161.9および172.9ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルを有する、形態1を提供する。
【0053】
本発明の別の側面は、
図3に示されるのと実質的に同じ化学シフト(ppmで表される)を含む
13CssNMRスペクトルを有する、形態1を提供する。
本発明の別の側面は、1561および1615cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、ならびに22.9、146.2または161.9ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0054】
本発明の別の側面は、1511および1561cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、ならびに22.9、146.2または161.9ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0055】
本発明の別の側面は、1615cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、および22.9、146.2または161.9ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0056】
本発明の別の側面は、1561cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、および22.9、146.2または161.9ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0057】
本発明の別の側面は、22.9および161.9ppm、±0.2ppmでの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトル、ならびに1511、1561または1615cm
−1、±2cm
−1で少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0058】
本発明の別の側面は、146.2および161.9ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトル、ならびに1511、1561または1615cm
−1、±2cm
−1で少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0059】
本発明の別の側面は、9.6および10.7 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターン、ならびに1511、1561または1615cm
−1、±2cm
−1で少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0060】
本発明の別の側面は、9.6および10.7 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターン、ならびに22.9、146.2または161.9ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態1を提供する。
【0061】
本発明の別の側面は、8.4、9.0、10.5 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターンを有する、形態2を提供する。
本発明の別の側面は、8.4、9.0、10.5、15.0および24.7 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターンを有する、形態2を提供する。
【0062】
本発明の別の側面は、
図4に示されるのと実質的に同じピーク(2Θで表される)を含むPXRDパターンを有する、形態2を提供する。
本発明の別の側面は、1507、1557および1610cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、形態2を提供する。
【0063】
本発明の別の側面は、984、1225、1507、1557および1610cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、形態2を提供する。
本発明の別の側面は、562、692、984、1225、1507、1557および1610cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、形態2を提供する。
【0064】
本発明の別の側面は、
図5に示されるのと実質的に同じピークシフト(cm
−1で表される)を含むラマンスペクトルを有する、形態2を提供する。
本発明の別の側面は、19.2、149.5および163.8ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルを有する、形態2を提供する。
【0065】
本発明の別の側面は、19.2、149.5、155.6、163.8および188.3ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルを有する、形態2を提供する。
【0066】
本発明の別の側面は、
図6に示されるのと実質的に同じ化学シフト(ppmで表される)を含む
13CssNMRスペクトルを有する、形態2を提供する。
本発明の別の側面は、
8.4および9.0 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターン、
1557および1610cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、ならびに
19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトル
からなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0067】
本発明の別の側面は、
8.4および10.5 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターン、
1507および1610cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、ならびに
19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトル
からなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0068】
本発明の別の側面は、1557cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、および19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0069】
本発明の別の側面は、1610cm
−1、±2cm
−1にピークシフトを含むラマンスペクトル、および19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0070】
本発明の別の側面は、19.2および149.5ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトル、ならびに1507、1557または1610cm
−1、±2cm
−1で少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0071】
本発明の別の側面は、149.5および163.8ppm、±0.2ppmで化学シフトを含む
13CssNMRスペクトル、ならびに1507、1557または1610cm
−1、±2cm
−1で少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0072】
本発明の別の側面は、8.4および9.0 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターン、ならびに1507、1557および1610cm
−1、±2cm
−1で少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0073】
本発明の別の側面は、8.4および9.0 2Θ、±0.2°2Θの回析角にピークを含むPXRDパターン、ならびに19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmで少なくとも1つの化学シフトを含む
13CssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメータ−を有する、形態2を提供する。
【0074】
本発明はまた、
薬品としての使用のための、本明細書に記載されている形態1および/または形態2を含む化合物1の結晶塩、
治療有効量の、形態1および/または形態2を含む化合物1の結晶塩を、NAFLD、NASHおよびT2Dを含む疾患を処置するために哺乳動物に投与することを含む方法、ならびに
本明細書に記載されている形態1および/または形態2を含む化合物1の結晶塩の、NAFLD、NASHおよびT2Dを含む疾患を処置するための薬品の製造のための、使用
も含む。
【0075】
本発明のさらなる側面は、本明細書に記載されている形態1または形態2を含む医薬組成物を提供する。さらなる側面では、本発明は、形態1もしくは形態2を含む経口剤形、または本明細書に記載されている医薬組成物の任意の1種を提供する。例えば、一態様では、経口剤形は、錠剤、丸剤またはカプセル剤である。例えば、一態様では、経口剤形は、錠剤またはカプセル剤である。
【0076】
本発明の化合物および/または前記化合物を含有する組成物のための投薬レジメンは、患者のタイプ、年齢、体重、性別および医学的状態、状態の重症度、投与経路、ならびに利用される特定の化合物の活性度を含む多様な因子に基づく。そのため、投薬レジメンは、広く多様であり得る。体重約100kgを有する正常な成人ヒトの場合、典型的な1日投与量は、体重1kg当たり約0.001mg〜約10mgの範囲内が典型的に十分であり、好ましくは約0.01mg/kg〜約5.0mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg〜約1mg/kgである。ただし、一般の投与範囲内のいくらかの多様性が、処置される対象の年齢および体重、企図される投与経路および投与される特定の化合物などに応じて必要とされ得る。特定の患者のための投薬量範囲および最適な投薬量の決定は、良好には、本開示の利益を有する当業者の能力の範囲内にある。本発明の化合物は、徐放性製剤、制御放出性製剤および遅延放出性製剤において使用され得、これらの形態はまた、当業者に周知であることも特記される。
【0077】
別の側面では、本発明は、医薬組成物を含む。このような医薬組成物は、形態1または形態2を、薬学的に許容される担体と共に含む。他の薬理学的に活性な物質もまた存在し得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」としては、生理学的に適合性である任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に許容される担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどのうちの1種または複数、ならびにこれらの組み合わせが挙げられ、かつ組成物中に、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールもしくはソルビトールなどのポリアルコールが挙げられ得る。湿潤剤などの薬学的に許容される物質、または湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝剤などの少量の補助物質が、抗体または抗体部分の、貯蔵寿命または有効性を高める。
【0078】
固体剤形の経口投与は、例えば、所定量の本発明の少なくとも1種の化合物をそれぞれが含有する硬カプセル剤または軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤または錠剤などの個別の単位において提示されてもよい。別の態様では、経口投与は、散剤または顆粒剤の形態にあってもよい。別の態様では、経口剤形は、舌下の、例えばロゼンジ剤である。このような固体剤形では、式Iの化合物は、1種または複数の補助剤と通常組み合わされる。このようなカプセル剤または錠剤は、制御放出性製剤を含有してもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例では、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよく、または腸溶コーティングで調製されてもよい。
【実施例】
【0079】
化合物1の調製において、本明細書に記載されている調製方法のうちのいくつかが遠隔官能基(例えば、第一級アミン、第二級アミン、式Iの前駆体におけるカルボキシル)の保護を必要とし得ることが特記される。このような保護への必要性は、遠隔官能基の性質、および調製方法の条件に応じて多様となる。このような保護への必要性は、当業者によって直ちに決定される。このような保護/脱保護方法の使用はまた、当業者内にある。保護基およびそれらの使用の一般的記載については、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991を参照されたい。さらに、本発明は、本明細書で提供されている、多様であり得る特定の合成方法に限定されることはない。
中間体1:1−イソプロピル−4,6−ジヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−7(1H)−オン、ヒドロクロリド塩
【0080】
【化1】
【0081】
ステップ1.tert−ブチル9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカ−7−エン−3−カルボキシレート
【0082】
【化2】
【0083】
乾燥した反応器へ、tert−ブチル4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレート(108kg)、シクロヘキサン(1080L)およびピロリジン(64.8kg)を25〜30℃で装入した。混合物を5〜10分撹拌し、次いで、12〜16時間加熱して還流させ、その間、Dean−Stark trapを用いて水を回収した。次いで、反応混合物を、50〜60℃に冷却し、その温度で真空を適用して過度なピロリジンおよびシクロヘキサンを蒸留した。次いで、反応混合物を25〜30℃に冷却し、シクロヘキサン(648L)、続いてメチルビニルケトン(49.63kg)を装入した。混合物を12〜16時間撹拌し、次いでろ過し、ろ液を、清浄で乾燥した反応器中へ装入した。溶液を10〜15℃に冷却し、次いで、酢酸(54.75kg)の水(54L)溶液をゆっくりと添加し、温度を15℃未満に維持した。添加の終了時に、混合物を25〜30℃に加温し、12〜16時間撹拌した。層を分離して水性を酢酸エチル(324L)で抽出した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム(32.34kg)の水(324L)溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで脱水した。固体を酢酸エチル(54L)で洗浄し、合わせたろ液を、減圧下約40℃未満で濃縮した。n−ヘプタン(216L)を反応器中に装入し、蒸留を、乾燥するまで減圧下40℃未満で継続した。混合物を25〜30℃に冷却し、n−ヘプタン(216L)を反応器中へ装入した。混合物を1〜2時間撹拌し、その後、固体が形成した。次いで、その固体をろ過し、n−ヘプタン(54L)で洗浄し、40〜50℃で10〜12時間乾燥させて、所望の材料が生成した(90.1kg、収率67%)。
ステップ2:(E)−tert−ブチル10−((ジメチルアミノ)メチレン)−9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカ−7−エン−3−カルボキシレート
【0084】
【化3】
【0085】
清浄で乾燥した反応器へ、tert−ブチル9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカ−7−エン−3−カルボキシレート(50kg)、N,N−ジメチルホルムアミド(500L)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(135kg)を、窒素雰囲気下25〜30℃で装入した。反応混合物を5〜10分撹拌し、次いで、120〜130℃に20時間加熱した。次いで、混合物を50〜60℃に冷却し、溶媒を高真空下60℃未満で蒸留した。ミックス−キシレン(200L)を45℃未満で装入し、溶媒を高真空下60℃未満で蒸留した。この操作をミックス−キシレン(200L)の別のロットで繰り返した。次いで、トルエン(200L)を反応器中へ装入し、溶媒を高真空下60℃未満で蒸留した。この操作を、トルエン(200L)の第2のロットで繰り返した。次いで、メチルtert−ブチルエーテル(100L)を30℃未満で装入し、溶媒を高真空下40℃未満で蒸留した。混合物を15〜20℃に冷却し、メチルtert−ブチルエーテル(100L)を20℃未満で装入した。混合物を20〜30分間撹拌し、固体をろ過し、メチルtert−ブチエーテル(50L)で洗浄し、真空なしで50〜55℃で10時間乾燥させて、所望の化合物を得た(52.1kg、収率87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 7.48 (s, 1H), 6.57 (d, J=9.97 Hz, 1H), 5.99 (d, J=10.16 Hz, 1H), 3.32-3.51 (m, 4H), 3.06 (s, 6H), 2.72 (s, 2H), 1.57-1.66 (m, 2H), 1.41-1.53 (m, 11H).
ステップ3.tert−ブチル1−イソプロピル−1,4−ジヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
【0086】
【化4】
【0087】
清浄で乾燥した反応器へ、(E)−tert−ブチル10−((ジメチルアミノ)メチレン)−9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカ−7−エン−3−カルボキシレート(80kg)、トルエン(704L)およびトリメチルアミン(16L)を25〜30℃で装入した。反応混合物を70〜80℃に加温し、イソプロピルヒドラジンヒドロクロリド塩のメタノール(1.25当量、総量141kg)溶液を4〜5時間かけて添加した。次いで、反応混合物を70〜80℃で8〜10時間撹拌し、その後、15〜25℃に冷却した。次いで、クエン酸(48kg)の水(480L)溶液をゆっくりと添加し、内部温度を25℃未満に維持した。酢酸エチル(208L)を添加し、混合物を10分間撹拌した。層を分離し、有機層を、続けて、クエン酸(48kg)の水(480L)溶液、次いで水(320L)のみで洗浄した。合わせた水性層を酢酸エチル(320L)で抽出した。次いで、合わせた有機層を硫酸ナトリウム(8kg)で脱水し、溶媒を、減圧下40℃未満で蒸発させて乾燥させた。ジクロロメタン(240L)を反応器中へ装入し、混合物を透明になるまで25〜30℃で撹拌した。活性化炭素(1.84kg)、ケイ酸マグネシウム(1.84kg)およびシリカゲル(32kg、100〜200メッシュ)を25〜30℃で続けて装入し、不均一な混合物を1時間撹拌した。次いで、スラリーを、Hyflow床上でろ過し、Hyflowスーパーセル(8kg)とジクロロメタン(40L)とを混合して調製した。ケークをジクロロメタン(120Lで3回)で洗浄した。合わせたろ液を反応器中へ装入し戻し、溶媒を減圧下40℃未満で蒸発させた。次いで、n−ヘプタン(160L)を装入し、減圧下40℃未満で蒸留した。n−ヘプタン(200L)を反応器中へ装入し、混合物を0〜5℃に冷却した。12〜15時間撹拌した後、固体を0℃でろ過し、冷却(0〜5℃)n−ヘプタン(160L)で洗浄し、真空下40〜50℃で乾燥させて標記化合物を得た(82.4kg、収率75%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 7.25 (s, 1H), 6.42 (dd, J=10.05, 0.49 Hz, 1H) 5.84 (d, J=9.95 Hz, 1H), 4.42-4.52 (m, 1H), 3.36-3.53 (m, 4H), 2.62 (s, 2H) 1.56-1.68 (m, 2H) 1.45-1.55 (m, 17H).
ステップ4.1−イソプロピル−4,6−ジヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−7(1H)−オン、ヒドロクロリド塩
【0088】
【化5】
【0089】
清浄で乾燥した反応器へ、tert−ブチル1−イソプロピル−1,4−ジヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(60kg)およびメタノール(600L)を25〜30℃で装入した。N−ブロモサクシニミド(32.4kg)を5部分において25〜30℃で30〜40分かけて添加し、撹拌を30〜60分間続けた。チオ硫酸ナトリウム五水和物(5.4kg)の水(102L)溶液をゆっくりと添加し、内部温度を30℃未満に維持した。混合物を20〜30分間撹拌し、次いで、溶媒を減圧下45℃未満で蒸発させた。残渣を25〜30℃に冷却し、2−メチルテトラヒドロフラン(420L)を水(90L)と一緒に反応器中へ装入した。混合物を15〜20分間撹拌し、次いで層を分離し、水性層を2−メチルテトラヒドロフラン(120L)でさらに抽出した。合わせた有機抽出物を、25〜30℃で15〜20分間、水酸化ナトリウム(4.8kg)の水(120L)溶液で処理した。層を分離し、有機層を、水(120L)、続いて塩化ナトリウム(12kg)の水(120L)溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム(6kg)で脱水した。ろ過後、ケークを2−メチルテトラヒドロフラン(30L)で洗浄し、合わせたろ液を反応器中へ装入し戻した。溶媒を、減圧下45℃未満で完全に蒸留し、残渣をテトラヒドロフラン(201L)に可溶化させた。清浄で乾燥した別の反応器へ、カリウムtert−ブトキシド(60.6kg)およびテトラヒドロフラン(360L)を25〜30℃で装入した。その混合物へ、残渣のテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと添加し、温度を30℃未満に維持した。次いで、反応混合物を60〜65℃に加温し、その温度で1〜2時間保った。完了したら、混合物を0〜10℃に冷却し、塩酸(1N、196L)の溶液でゆっくりとクエンチし、内部温度を10℃未満に維持した。反応混合物を25〜30℃に加温させ、酢酸エチル(798L)を装入した。15〜20分間撹拌した後、層を分離し、水性層を酢酸エチル(160L)でさらに抽出した。合わせた有機層を水(160L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(8kg)で脱水し、ろ過し、ケークを酢酸エチル(300L)で洗浄した。溶媒を、減圧下45℃未満で完全に蒸留し、反応器中へ、25〜30℃で酢酸エチル(540L)を、続いてメタノール(156L)を装入した。混合物を0〜5℃に冷却し、この点において塩化アセチル(79.8kg)をゆっくりと添加し、温度を特定の範囲内に維持した。次いで、混合物を20〜25℃に加温させ、撹拌しながらこの温度で4〜5時間保った。得られたスラリーをろ過し、固体を酢酸エチル(120L)で洗浄し、次いで40〜45℃で8〜10時間乾燥させて、所望の粗生成物を供給した(33.5kg、収率65%)。
【0090】
清浄で乾燥した反応器中25〜30℃でこの粗固体(56.8kg)をメタノール(454.4L)に可溶化させて最終精製ステップを実施した。溶液を30〜45分間撹拌し、次いで、清浄で乾燥した反応器中へ、0.2ミクロンカートリッジフィルターを通して25〜30℃で通過させた。メタノールを、約1volの溶媒が残るまで、減圧下50℃未満で蒸留した。反応混合物を25〜30℃に冷却し、新しいアセトニトリル(113.6L)を0.2ミクロンカートリッジフィルターを通して装入した。溶媒を、約1volの溶媒が残るまで、減圧下50℃未満で蒸留した。反応混合物を25〜30℃に冷却し、新しいアセトニトリル(190L)を、反応器中へ、0.2ミクロンカートリッジフィルターを通して装入した。混合物を65〜70℃に加温して45分間撹拌し、次いで25〜30℃に冷却して1時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、ケークを冷却(15℃)アセトニトリル(56.8L)で洗浄した。固体を減圧下40〜50℃で8時間乾燥させて中間体1を得た(36.4kg、収率64%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 7.43 (s, 1H), 5.32-5.42 (m, 1H), 3.15-3.25 (m, 4H), 2.89 (s, 2H), 2.64 (s, 2H), 1.69-1.90 (m, 4H), 1.37-1.45 (m, 6H);ESI[M+H]
+=248。
中間体2:2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)フェニル)−6−メトキシイソニコチン酸
【0091】
【化6】
【0092】
清浄で乾燥した反応器へ、2,6−ジクロロイソニコチン酸(30kg)およびメタノール(120L)を20〜25℃で装入した。スラリーを5分間撹拌し、次いで65℃に加熱した(還流)。次いで、ナトリウムメトキシドのメタノール(30%、87.2kg)溶液を、添加漏斗によって少なくとも4時間かけてゆっくりと装入した。漏斗をメタノール(15L)で濯ぎ、撹拌を65℃で少なくとも15時間継続した。次いで、混合物を45℃に冷却し、残存容量が約90Lになるまで減圧下で蒸留した。次いで、重炭化カリウム(28.2kg)および炭酸カリウム(21.6kg)の水(180L)溶液を反応器中へ40〜45℃で装入した。水性溶液を含有する反応器を水(21L)で濯ぎ、洗浄液を反応混合物中へ装入した。混合物を、約240Lの残存容量まで、減圧下80℃未満で蒸留し、次いで20〜25℃に冷却した。
【0093】
清浄で乾燥した別の反応器へ、tert−ブチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロラン−2−イル)ベンゾエート(52.3kg)およびジオキサン(340kg)を装入し、完全な溶解まで2〜25℃で撹拌した。次いで、かつての反応器の含有物を40℃に加熱して完全な溶解度を確実し、この新しい反応器中へ移した。反応混合物を20〜25℃に冷却し、真空/窒素サイクルによって脱酸素化ステップを実施した。混合物を0〜10℃にさらに冷却し、反応器中へ、酢酸パラジウム(0.65kg)、続いて窒素流下でトリフェニルホスフィン(2.46kg)を装入した。混合物を20〜25℃に加温し、真空/窒素サイクルによって別の脱酸素化ステップを実施した。次いで、混合物を80℃に加熱し、この温度で少なくとも18時間維持した。混合物を20〜25℃に冷却し、次いで、反応器中へ、メチルtert−ブチルエーテル(133.2kg)および水(30L)を続けて装入した。層を分離し、水性を水(110L)で希釈し、次いで、メチルtert−ブチルエーテル(110L)で抽出した。合わせた有機抽出物をクエン酸(52kg)の水(84L)溶液で洗浄し、層を分離した。水性層をメチルtert−ブチルエーテル(88.8kg)でさらに抽出し、有機層を合わせ、次いで、塩化ナトリウム(43kg)の第3の水(80L)溶液で3回洗浄した。最終的な層分離の後、有機層を、木炭カートリッジを含有するパルフィルターを通してろ過し、ケークをメチルtert−ブチルエーテル(11.2kg)で洗浄した。ろ液を減圧下50℃未満で蒸留して約90Lまで減らし、次いで、続けてヘプタン(120L)で50℃未満において共蒸留して約120Lまで減らした。次いで、混合物を1時間かけて20〜25℃に冷却し、次いで、この温度でさらに1時間撹拌した。スラリーをろ過し、ケークを、ヘプタンで3回(3×18L)、次いでアセトニトリルで3回(3×18L)、洗浄した。得られた湿った固体を真空下および窒素流下で45℃未満において少なくとも15時間乾燥させて中間体2を得た(44.6kg、収率87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 8.13 (s, 2H), 8.09 (s, 2H), 7.97 (d, J=1.17 Hz, 1H), 7.34 (d, J=0.98 Hz, 1H), 4.08 (s, 3H), 1.61 (s, 9H);ESI[M+H]
+=330。
中間体3:tert−ブチル4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)ベンゾエート
【0094】
【化7】
【0095】
丸底フラスコへ、2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)フェニル)−6−メトキシイソニコチン酸(中間体2、15.2g、46.2mmol)および酢酸エチル(140mL)を装入した。1,1’−カルボニルジイミダゾール(8.98g、55.4mmol)を1部分において添加し、室温で1時間撹拌した。1−イソプロピル−4,6−ジヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−7(1H)−オンヒドロクロリド(中間体1、14.8g、52.2mmol)、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.1mL、52.2mL)を添加し、反応物を室温で18時間撹拌した。水性2M HCl(40mL)、続いて1M硫酸水素カリウム(40mL)およびヘプタン50mLを添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を分離漏斗へ移した。有機相を分離し、水(20mL)、飽和重炭酸ナトリウム(30mL)、水(20mL)、ブライン(20mL)で続けて洗浄し、硫酸マグネシウム20gおよびシリカゲル10gで脱水し、ろ過し、真空中で濃縮した。濃縮の終了に向けて固体が形成し始めた。残渣を酢酸エチル40mL中80℃で撹拌し、ヘプタン(120mL)をゆっくりと滴下添加した。混合物を80℃で1時間撹拌し、次いで、1時間にわたって撹拌しながらゆっくりと室温に冷却し、室温で18時間撹拌した。固体を、ろ過によって回収し、水および酢酸エチル−ヘプタン(1:3)で洗浄し、真空下50℃で18時間乾燥させて中間体3を得た(19.64g、収率76%)。
中間体3の代替的調製:
清浄で乾燥した反応器へ、アセトニトリル(219kg)および2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)フェニル)−6−メトキシイソニコチン酸(中間体2、34.8kg)を20〜25℃で装入した。混合物を5分間撹拌し、次いで、1,1−カルボジイミダゾール(18.9kg)を3連続部分において装入した。スラリーを20〜25℃で少なくとも1時間さらに撹拌し、次いで、反応器中へ、1−イソプロピル−4,6−ジヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−7(1H)−オンヒドロクロリド塩(中間体1、33.0kg)、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(20.5kg)を、ポンプによって装入した。試薬用ポンプならびに反応器の壁をアセトニトリル(13.7kg)で洗浄し、撹拌を20〜25℃で少なくとも2時間継続した。完了したら、混合物に、tert−ブチル4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)ベンゾエート(中間体3、209g)をシード添加し、少なくとも30分間撹拌した。結晶化が開始したことを確認した後、クエン酸一水和物(58.5kg)の水(257L)溶液を1時間かけて装入した。得られたスラリーを20〜25℃で少なくとも2時間さらに撹拌し、次いでろ過し、ケークを、アセトニトリル(68.4kg)と水(87L)との混合物で洗浄した。この洗浄液を、反応器を濯ぐのにも使用した。固体を減圧下55℃未満で乾燥させ、中間体3を得た(43.44kg、収率73%)。
化合物1(遊離酸として):4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸
【0096】
【化8】
【0097】
丸底フラスコへ、tert−ブチル4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)ベンゾエート(3.7g、6.6mmol)およびトルエン(25mL)を装入した。85%リン酸(3.0mL)を撹拌しながら滴下添加し、反応物を60℃に4時間加熱した。無色の濃厚なガムが形成した。反応物を室温に冷却し、水を添加した。白色固体を観察した。トルエン有機層を廃棄し、水性相および固体を取りおいた。酢酸エチルを添加し(60mL)、4N NaOH溶液を添加してpHを約7に調整した。層を分離して水性を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空中で濃縮して白色固体を得た。これらを酢酸エチル(80mL)に50℃で溶解し、ヘプタン(90mL)をゆっくりと添加した。熱を除去し、混合物を室温に冷却し、16時間撹拌した。得られた固体を、ろ過によって回収し、母液で濯ぎ、乾燥させて標記化合物を白色固体として得た(化合物1の遊離形態、2.15g、収率65%)。
化合物1(遊離酸として)の代替的調製:
清浄で乾燥した反応器へ、アセトニトリル(130.4kg)およびtert−ブチル4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)ベンゾエート(中間体3、20.72kg)を20〜25℃で装入した。混合物を5分間撹拌し、次いで、p−トルエンスルホン酸(8.5kg)を、穏やかな窒素スウィープ下、装入した。反応混合物を70℃に加温し、この温度で少なくとも6.5時間維持した。完了したら、混合物を40℃に冷却し、化合物1(104g)をシード添加し、水(83L)を少なくとも1時間かけてゆっくりと装入した。混合物を40℃で最短4時間さらに撹拌し、次いで、2時間かけて20〜25℃に冷却した。少なくとも2時間さらに撹拌してから、ろ過し、ケークをアセトニトリル(33kg)および水(41L)の溶液で濯いだ。この洗浄液を、反応器を濯ぐのにも使用した。得られた固体を減圧下55℃未満で乾燥させて化合物1を得た(16.5kg、収率89%)。
形態1−化合物1の無水モノ−トリスの調製:
【0098】
【化9】
【0099】
バイアルへ、4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸(151mg、0.300mmol)およびエタノール3mLを装入した。混合物を80℃に5分間加熱して固体を溶解し、次いで室温に冷却した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(39mg、0.32mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。ヘプタン(2.25mL)を滴下添加してスラリーを得、それを50℃に加熱して透明な溶液を得た。混合物を、撹拌しながら一晩室温に冷却した。白色固体を観察し、混合物をさらなる3日間撹拌した。材料をろ過し、真空オーブン内50℃で一晩乾燥させて形態1を得た(151mg、0.242mmol、収率81%)。
形態1−化合物1の無水モノ−トリスの代替的調製:
清浄で乾燥した反応器へ、エタノール(83L)を装入し、続いて化合物1(9.43kg)およびトリス(2.55kg)を添加し、その間、混合物を20〜25℃の温度に維持した。タンクの壁をエタノール(2L)で濯ぎ、得られた混合物を65〜70℃で加熱し、この温度で、すべての固体が溶解するまで少なくとも30分間維持し、次いで45〜50℃に冷却した。10μmインラインのポロプロピレンフィルターを通した温かいろ過を実施し、反応器ならびにフィルターをエタノール(9L)で洗浄した。n−ヘプタン(24L)を同じインラインフィルターを通して温溶液中へ装入し、混合物に、エタノール(0.5L)中4−(4−(1−イソプロピル−7−オキソ−1,4,6,7−テトラヒドロスピロ[インダゾール−5,4’−ピペリジン]−1’−カルボニル)−6−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸無水トリス塩(100g)を45〜50℃でシード添加した。この温度を少なくとも2時間保ち、その後、20〜25℃に少なくとも2時間かけて冷却した。撹拌を少なくとも5日間継続した。次いで、スラリーをろ過し、ケークをエタノール(13L)とn−ヘプタン(6L)との混合物で洗浄した。固体を減圧下45℃未満で少なくとも12時間乾燥させて実施例1を得た(11.7kg、収率77%)。
形態2−化合物1のモノ−トリス塩の三水和物の調製:
【0100】
【化10】
【0101】
形態2を、形態1から転換して得た。50mL EasyMax反応器中へ、形態1(1.7214g、2.760mmol)、イソプロパノール(16.50mL、215.8mmol)および水(688μL、38.190mmol)を添加した。混合物を反応器ジャケット温度25℃で約72時間撹拌した(300rpm)。次いで、反応混合物を40℃で15分にわたり加温し、40℃で約24時間保ち、一度に20℃に冷却して試験用試料を取り出した。形態の混合物をPXRDで見て、それによって、追加の水(688μL、38.190mmol)を添加した。撹拌速度を400rpmに上げ、スラリーを6時間撹拌させ、次いで15℃に冷却した。固体を60mL/40Mフィルター上で単離し、96/4のイソプロパノール/水で洗浄した。得られた材料は、PXRDによって、形態2と一致した。
形態2−化合物1のモノ−トリス塩の三水和物の代替的調製:
清浄で乾燥した反応器へ、イソプロパノール(60.4kg)を装入し、化合物1(16.68kg)およびトリス(4.42kg)を添加し、その間、混合物を20〜25℃の温度で維持した。混合物を5分間撹拌し、次いで水(6.7kg)を装入し、スラリーを55℃に加温した。今や透明な溶液を、清浄で乾燥した予加温した反応器(50〜55℃)中に、インライン10μmポリプロピレンフィルターを通してろ過した。次いで、溶液に、化合物1のモノ−トリス塩を三水和物(167g)としてシード添加した。シードが持続していることを確認した後、混合物を少なくとも2時間かけて15℃に冷却し、次いで最短16時間、15℃に維持した。スラリーをろ過し、ケークを冷却イソプロパノール(13.1kg)で洗浄した。次いで、固体を減圧下25℃未満で乾燥させて形態2のみを得た(22.1kg、収率98%)。
【0102】
形態2の中に3つの水分子が存在することを確認するために、Bruker D8 Venture回析計を用いて室温でデータを収集した。
図7を参照されたい。構造を、単斜クラス空間群P2
1/c(Version5.1、Bruker AXS、1997)におけるSHELXソフトウェアスイートを用いた固有のフェージングによって解明した。構造を、続けて、フルマトリックス最小二乗法によって精緻化した。すべての非水素原子を見出し、異方性変位パラメータ−を用いて精緻化した。
【0103】
窒素および酸素上に位置する水素原子をフーリエ差マップから見出し、制限した距離で精緻化した。残存する水素原子を、計算した位置の中に置き、それらの担体原子上に乗せた。
【0104】
最終的なR指数は7.2%であった。最終差フーリエは、欠けているまたは位置違いの電子密度は示さなかった。
表10は、形態2に関して収集したデータを提供する:
【0105】
【表10】
【0106】
薬学動態研究:
薬学動態研究を、オスの(絶食の)カニクイザル(各製剤当たりn=2)において実施した。形態1と形態2とを比較するために経口ピルを調製した。別個に、化合物1のトリス塩と化合物1の遊離酸とを比較するために懸濁液を調製した。投薬を、それぞれ2、5または10mg/kgを含有する経口用量として投与した。一連の血液試料を、0、0.25、0.5、1、2、4、7および24時間の時点で、大腿静脈を介してシリンジにより回収し、K
3EDTAバキュテナー中へ移した。次いで、血液試料を遠心分離し、血漿を取り込み、分析まで−20℃または−80℃で貯蔵した。
経口投与用の固体錠剤:
経口錠剤を、形態1または形態2と、64重量%の結晶セルロース(Avicel PH102)、32重量%のラクトース一水和物(Fast Flo 316)、3重量%のデンプングリコール酸ナトリウム(Explotab(商標登録))および1重量%のステアリン酸マグネシウムを含有した賦形剤の標準ブレンドとを混合して調製した。適当量の形態1または形態2のいずれかを乳鉢中へ移した。次いで、その乳鉢に、対応量の賦形剤ブレンドを幾何級数的に添加し、乳棒を用いてそれぞれ形態1または形態2と完全に混合した。混合物を容器に移し、タービュラミキサーにおいて5分間ブレンドして、賦形剤と混合したそれぞれの形態1または形態2を含有するブレンドを得た。形態1の場合、ブレンドは、19重量%の形態1と81重量%の賦形剤ブレンドとを含有した。形態2の場合、ブレンドは、21重量%の形態2と79重量%の賦形剤ブレンドとを含有した。
【0107】
錠剤を調製するために、各ブレンドを、0.2362’’の標準的な丸い凹型ツーリングを備えたKorsch XP−1 一地点打錠機へ移した。錠剤を圧縮して100mgの錠剤重量を達成し、標的錠剤の硬度は、1分当たり15個の錠剤の打錠速度で、4kpから9kpの間であった。
経口投与用懸濁液:
代表的なバッチサイズの0.5%(w/v)メチルセルロース(Methocel(商標登録)A4M)溶液1Lを調製するために、脱イオン水およそ0.4Lを80〜90℃に加熱し、その後、メチルセルロース(Methocel(商標登録)A4M)5gを添加し、粒子が完全に濡れるまで完全に混合した。次いで、混合物を熱から取り出した。次いで、冷水(0.6L)を添加し、その間、すべてのメチルセルロース粒子が溶解するまで氷浴中で連続的に撹拌した。
【0108】
遊離酸から調製した化合物1の10mg/mL懸濁液:化合物1(220mg)の遊離酸を乳鉢中へ移した。固体粉末を、乳棒を用いてすりつぶした(塊が壊れた)。0.5%w/vメチルセルロース(Methocel(登録商標)A4M)2mLを粉末に滴下添加した。ビヒクルと遊離酸とをよく混合して、滑らかなペーストを形成した。ビヒクルの残部を少量のアリコートで添加し、その間、均一な懸濁液が得られるまで混合した。懸濁液を、ドロッパーを用いて30mLガラス瓶へ移し、容量22mLに作り上げて、化合物1の遊離酸の濃度10mg/mLを達成した。pHは6.04であると測定した。ポリソルベート80(Tween(商標登録)80)22μLを懸濁液に添加した。0.5%w/vメチルセルロース(Methocel(登録商標)A4M)中の化合物1の遊離酸10mg/mL、0.1%v/vポリソルベート80(Tween(商標登録)80)の製剤を得た。
【0109】
化合物1のトリス塩から調製した化合物1の2.5mg/mL懸濁液:形態1(157mg)を乳鉢へ移した。固体粉末を、乳棒を用いてすりつぶした(塊が壊れた)。少量の0.5%w/vメチルセルロース(Methocel(商標登録)A4M)を粉末に添加して滑らかなペーストを形成した。ビヒクルの残部を少量のアリコートで添加して、その間、均一な懸濁液が得られるまで混合した。懸濁液を容器へ移し、最終容量50mLへ作り上げた。いくつかのクランプを観察したが、およそ1時間撹拌した後、軽質懸濁液を得た。
分析データ:
吸湿性:
吸湿性を、TA Instruments製またはSurface Measurement Systems製の動的蒸気吸収器具を用いて測定した。各形態の試料を、各RHレベルで、5分で重量変化0.001%以下の重量平衡(プラトーとして見られる)に達するか、または120分の最大時間のいずれかまで、増加的RHレベルへ曝露した。5分で0.001%の重量平衡または120分の短い方の後、次いで試料を次のRHレベルへ曝露した。形態1では重量が失われ得た初期の乾燥期間が存在し、形態2では乾燥は利用しなかった。このプロセスは、10%RHで開始し、RHを20%RHに増加し、次いで各インターバル後に10%RH増加とする(5分で0.001%以下の平衡または120分、いずれか早い方)。90%RHで、RHは、同じ平衡基準を用いて10%RHに逆転し戻った。吸湿性は、90%RHで測定した重量獲得%の係数として測定する。形態1は、90%RH/25℃で約1%の吸湿性を有する。形態2もまた、90%RH/25℃で約1%の吸湿性を有する。
表2に示す熱力学的溶解度:
表2で確認する遊離酸または塩としての化合物1は、乾燥粉末として受け取り、0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備えたWhatman Mini−Uniprepシリンジレスフィルターデバイス中へ予備秤量した。所望の媒体450μLをフィルターに添加し、室温で24時間かき混ぜた。24時間後、試料をろ過し、ろ液を、定量化のための窒素検出器中へ注入した
緩衝剤の調製:
・ pH1.2:NaCl1.0gを秤量し、ビーカーへ移す。HPLCグレード水約450mLを添加してNaClを溶解させる。溶液を、36.6%HClでpH1.2へ滴定する。溶液を500mL容量フラスコへ移し、HPLCグレード水で500mLにする。
・ pH6.5:50mMのNaPO
4二塩基約250mLを、50mMのNaPO
4一塩基約500mLでpH6.5へ滴定する。終了時の総容量は、50mMのNaPO
4一塩基を50mMのNaPO
4二塩基に添加するときに溶液がpH6.5に達する点を有する、容量である。
・ pH7.4:50mMのNaPO
4二塩基約200mLを、50mMのNaPO
4一塩基約50mLでpH7.4へ滴定する。終了時の総容量は、50mMのNaPO
4一塩基を50mMのNaPO
4二塩基に添加するときに溶液がpH7.4に達する点を有する、容量である。
粉末X線回析:
粉末X線回析分析を、Cu照射源を備えたBruker AXS D4 Endeavor回析計を用いて行った。発散スリットを0.6mmに設定し、一方で、第2のオプティクスには可変スリットを用いた。回析した放射線は、PSD−Lynx Eye検出器によって検出した。X線チューブの電圧は40kVに、アンペア数は40mAに設定した。データは、ステップサイズ0.037°および10秒のステップ当たりの時間を用いて、3.0〜40.0°2ΘのCU(k−α平均)で、Θ−2Θ角度計において収集した。試料を、ケイ素低バックグラウンド試料ホルダー中に入れて調製し、回収する間、回転させた。データを、Bruker DIFFRAC Plusソフトウェアを用いて収集し、EVA diffract plusソフトウェア(version4.2.1)により分析を実施した。PXRDデータファイルは、ピークサーチ処理の前には処理しなかった。EVAソフトウェア中のピークサーチアルゴリズムを用いて、閾値1で選択したピークを、事前のピーク割当を作製するために使用した。妥当性を確保するために、調整を手動で行った:自動割当の成果を目視でチェックし、ピーク位置をピーク最大に調整した。相対強度3%以上を有するピークを一般に選んだ。分解されなかったまたはノイズと一致したピークは、選択しなかった。PXRDからのピーク位置に伴う典型的な誤差を、USPにおいて+/−0.2°2Θまでと記述した(USP−941)。
FT−ラマン:
ラマンスペクトルを、FT−IRベンチに取り付けたNicolet NXR FT−ラマン補機を用いて収集した。分光計に1064nmのNd:YVO4レーザーおよび液体窒素で冷却するゲルマニウム検出器を装備した。データ獲得前に、ポリスチレンを使用して、機器性能および較正検証を行った。形態1または形態2の試料を、スペクトル収集の間に静的であったガラスNMRチューブにおいて分析した。錠剤試料を錠剤試料ホルダー中で回収し、インタクトな錠剤上の1つのスポットを分析した。スペクトルをレーザーパワー0.5Wおよび512の共添加スキャンを用いて収集した。収集範囲は3700−100cm
−1とした。これらのスペクトルを分解能2cm
−1およびHapp−Genzelアポディゼーションを用いて記録した。上記のラマン法を利用すると、スペクトル測定に伴う可能な多様度は、±2cm
−1である。試料(ニートAPIと薬剤製品との両方)を周囲条件(約23℃および30%から60%の間のRH)で回収した。形態1は乾燥剤と共に貯蔵すべきであり、一方で、形態2は周囲条件(15〜30℃および周囲湿度)で貯蔵してもよい。
【0110】
強度スケールを、ピークピック処理の前に、1に正規化した。ピークを、Thermo Nicolet Omnic9.7.46ソフトウェアを用いて手動で確定した。ピーク位置をピーク最大でピック処理し、各側に傾斜が存在した場合はピークをそれ自体として確定するのみとし、ピーク上のショルダーは含めなかった。形態1または形態2の場合、ピークピック処理の間、感度80での絶対閾値0.004〜0.017を利用した。ピーク位置は、標準的な実践法を用いて最も近い整数へ丸めた(0.5は切り上げ、0.4は切り下げ)。正規化したピーク強度でのピークは、(1〜0.75)は強いと標識し、(0.74〜0.30)は中程度と標識し、(0.29〜0)は弱いと標識した。
固相NMR:
固相NMR(ssNMR)分析を、Bruker−BioSpin Avance III 500 MHz(周波数
1H)NMR分光計中に位置させたBruker−BioSpin CPMAS probeにおいて行った。形態1の材料を、標準ドライブキャップで封止した4mmローター中へパッケージングし、そのスペクトルを周囲温度で収集した。形態2の材料を、o−リングを含有するドライブキャップで封止した4mmローター中へパッケージングして脱水を防いだ。形態2スペクトルを25℃で収集した(PbNO
3の化学シフトにより較正した)。パッケージングしたローターを、マジックアングルで方向付けし、15.0kHzでスピンさせた。
13CssNMRスペクトルを、プロトン脱カップリング架橋極性化マジックアングルスピニング(CPMAS)実験を用いて収集した。80〜90kHZの相修飾プロトン脱カップリング領域を、スペクトル獲得中に適用した。架橋極性化接触時間を2msに、リサイクル遅延を10秒に設定した。スキャンの数を、シグナル対ノイズの適切な比を得るように調節した。炭素化学シフトスケールを、結晶アダマンタンの外部標準における
13C CPMAS実験を用い、その高磁場共鳴を29.5ppmに設定して、照合した(ニートTMSから決定した)。
【0111】
自動ピークピック処理を、Bruker−BioSpin TopSpin version3.5ソフトウェアを用いて実施した。一般に、事前のピーク選択のために相対強度5%の閾値を用いた。自動ピークピック処理の成果を目視でチェックして妥当性を確実し、必要に応じて補正を手動で行った。特定の
13C固相NMRピーク値を本明細書で報告しているものの、機器、試料および試料準備の相違に起因してこれらのピーク値の範囲が存在する。これは、固相NMRの技術分野においてピーク位置に固有の変動があるため、通常の実践である。
13C化学シフトのx軸値の典型的な変動は、結晶固体の場合、±0.2ppmの桁である。本明細書で報告する固相NMRピーク高さは、相対強度である。固相NMR強度は、CPMAS実験パラメータ−の実際のセットアップ、および試料の熱履歴に応じて多様であり得る。