特表2021-504563(P2021-504563A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-504563アマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイド
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  • 特表2021504563-アマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイド 図000022
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-504563(P2021-504563A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(54)【発明の名称】アマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/18 20060101AFI20210118BHJP
【FI】
   C08G69/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-549525(P2020-549525)
(86)(22)【出願日】2018年10月30日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月5日
(86)【国際出願番号】KR2018012972
(87)【国際公開番号】WO2019107758
(87)【国際公開日】20190606
(31)【優先権主張番号】10-2017-0160742
(32)【優先日】2017年11月28日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ギョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ト、スン ホェ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジン ソ
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ハク
(72)【発明者】
【氏名】イム、ギョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドゥ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヘ ヨン
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001EA06
4J001EE09D
4J001EE53C
4J001EE58C
4J001FA03
4J001FB01
4J001FC01
4J001GA02
4J001GB02
(57)【要約】
陰イオン重合で生成される塩基性中間体及び高温重合条件で発生する副反応による分子量の上昇を防止できるように、ポリアマイドの分子量を容易に調節して狭い分子量分布を持つようにするアマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰イオン重合反応によるアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法であって、
ラクタム、前記ラクタム全体100重量部に対して、開始剤としてアルカリ金属0.01乃至20重量部、分子量調節剤として下記化学式1:
【化1】
(式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である)
で示される化合物0.3乃至10重量部、活性化剤0.002乃至7.0重量部で含む
ことを特徴とするアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【請求項2】
前記分子量調節剤は下記の化学式2乃至化学式4:
【化2】
(式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である)
【化3】
(式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である)
【化4】
(式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜10の有理数である)
で示される化合物から選択される
請求項1に記載のアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【請求項3】
前記ラクタムはラウロラクタムに限定されず、カプロラクタム、ピペリドン、ピロリドン、エナントールラクタム及びカプリルラクタムを含むことができ、場合によっては、プロピオラクタム(propiolactam)、2−ピロリドン(2−pyrrolidone)、バレロラクタム(valerolactam)、カプロラクタム(caprolactam)、ヘプタラクタム(heptanolactam)、オクタノラクタム(octanolactam)、ノナノラクタム(nonanolactam)、デカノラクタム(decanolactam)、ウンデカンラクタム(undecanolactam)及びドデカノラクタム(dodecanolactam)及び前記ラクタムのうち1種以上が含まれた混合物の
請求項1に記載の陰イオン開環重合によるポリアマイド製造方法。
【請求項4】
前記活性化剤は二酸化炭素、ベンゾイルクロリド(benzoyl chloride)、N−アセチルカプロラクタム(N−acetyl caprolactam)、N−アセチルラウロラクタム(N−acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate(SIC))、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含む
請求項1に記載の陰イオン開環重合によるポリアマイド製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属は金属水素化物(metal hydride)、金属水酸化物(metal hydroxide)及び金属アルコキシド(metal alkoxide)からなる群より選択された少なくとも1種以上を含む
請求項1に記載のアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【請求項6】
前記重合反応は0.5乃至120分の範囲内で行われる
請求項1ないし5のいずれかに記載のアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【請求項7】
前記重合反応で前記ラクタムは95%以上の転化率を持つ
請求項1ないし5のいずれかに記載のアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【請求項8】
前記重合温度は180乃至300℃範囲で行われる
請求項1に記載のアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のポリアマイド製造方法で製造された
ことを特徴とするポリアマイド。
【請求項10】
前記ポリアマイドは3.0以下の分子量分布範囲を持つ
請求項9に記載のポリアマイド。
【請求項11】
前記ポリアマイドの重量平均分子量(Mw)は20,000乃至100,000以内の範囲を持つ
請求項9に記載のポリアマイド。
【請求項12】
前記ポリアマイドは線形、分枝型、超分枝型(hyperbranched)又は樹枝状(dendritic)構造である
請求項9に記載のポリアマイド。
【請求項13】
請求項9によるポリアマイドを含む車両用素材、電子機器用素材、産業用パイプ素材、建築土木用素材、3Dプリンタ用素材、繊維用素材、被服素材、工作機械用素材、医療用素材、航空用素材、太陽光素材、電池用素材、スポーツ用素材、家電用素材、家庭用素材及び化粧品用素材からなる群より選択される
ことを特徴とする部品素材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、アマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドに関し、さらに詳しくは、陰イオン重合で生成される塩基性中間体及び高温重合条件で発生する副反応による分子量の上昇を防止できるように、ポリアマイドの分子量を容易に調節して狭い分子量分布を持つようにするアマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂はアミド(−NHCO−)結合によって結合された直線型高分子であって、強靭で耐摩擦、耐摩耗、耐油、耐溶劑性などの物性に優れ溶融成形が容易で、衣服素材用、産業資材用繊維、エンジニアリングプラスチックなどとして広く用いられている。ポリアミドは分子構造によって脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂肪族環ポリアミドに分類されることができ、そのうち脂肪族ポリアミドの場合はナイロン(Nylon)、芳香族ポリアミドの場合はアラミド(Aramid)と通称することもある。
【0003】
このようなポリアミドは、様々な重合方法で製造され、ナイロン6のようにラクタムの開環重合によるもの、ナイロン6,6、ナイロン6,10及びナイロン4,6のようにジアミンと二塩基酸の重縮合によるもの、ナイロン11及びナイロン12のようにアミノカルボン酸の重縮合によるものに大きく分けられる。その他、カプロラクタムと6,10−ナイロン塩(ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸塩)との混成縮合物などの所謂共重合ナイロンが工業的に生産されており、また、分子中に側鎖、水酸基などの作用基、芳香環とヘテロ環を含む各種のポリアミドが研究されている。
【0004】
ラクタム、例えばカプロラクタムは陰イオン重合され得る。この方法は、一般に触媒、及び/又は開始剤(活性剤とも呼ばれる)を使用する(活性化された陰イオン重合)。これまで主に使用される開始剤又は活性剤はジイソシアネート又はそれらの誘導体を含む。
【0005】
特許文献1には、ビウレット基(biuret group)を含み非芳香族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを活性剤として使用してポリアマイドを製造するラクタムの活性化された陰イオン重合が記述されている。
【0006】
特許文献2には、平均3.5個を超過するNCO作用基を有するポリイソシアヌレートを成分Aとして含む組成物、及び/又は、前述の組成物を用いて表面コーティング組成物を製造する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3はキャッピングされていないポリイソシアネートを使用し(よって、反応性を顕著に減少させる)、その実施例における活性剤濃度は非常に低く(1/200〜1/50モル)、重合時間が相当遅延する。
【0008】
特許文献4は多重作用性活性剤の前駆体としてゴム(すなわち、弾性重合体)を使用し、したがって、その結果として生成されたPAは最大1.12GPaで硬質ではない。前記活性剤は高いMwを有し、ここでは、多量の活性剤が必要である(20%以上)。二官能性活性剤と多官能性活性剤の混合物が使用され、よって、生成されたポリアマイドは架橋された物質ではない。
【0009】
また、特許文献5では、押出機によるラクタムの陰イオン重合技術として一定の吐出量(output)及び均一な粘度と物性を得るために押出機本体(body)と押出機ダイ(die)の間に定量ポンプ(metering pump)を設置した方法で、粘度の不均一性を機械的に解決しようとしたが根本的な解決策ではない。
【0010】
特許文献6では、熱分解によって粘度が不安定な問題と構造的に不規則な分岐構造(disorderly branching structure)の形成を指摘しているが、合成した重合体の分解(decomposition)を防ぐために、より酸性を持つ添加剤で問題の解決を試みているのみで、不均一な分岐構造の解決に対する言及は皆無である。ちなみにポリアマイド陰イオン重合時に発生する分岐副反応に関しては、非特許文献1〜2で詳細に言及している。
【0011】
特に、特許文献7では、より均一な製品を得るために触媒と開始剤(反応促進剤)を同時に含有する溶液液体システム(solution liquid system)を導入している。ここでは、溶液システムを導入して一定の品質を有する均一な製品を得て、再現性の高い結果を得たと述べているが、反応押出方法に適用するには溶媒除去の問題などにより効率的ではない問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US4754000号(Bayer AG)
【特許文献2】EP1091991号(BASF AG)
【特許文献3】US3423372号
【特許文献4】EP0156129号
【特許文献5】US4067861号(1978年)
【特許文献6】US3878173号(1975年)
【特許文献7】US5747634号(1998年)
【特許文献8】US6713596B1
【特許文献9】大韓民国登録特許第10−1533891号
【特許文献10】大韓民国登録特許第10−1349063号
【特許文献11】大韓民国登録特許第10−0322263号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M. P. Stevens、‘Polymer Chemistry’、2nd Ed.、Oxford University Press、p429(1990)
【非特許文献2】G. Odian、‘Principles of Polymerization’、2nd Ed.、John Wiley&Sons、p541(1981)
【非特許文献3】METHOD FOR ANIONIC POLYMERIZATION OF LACTAMS(Atofina)J.Applied Polymer Science、2003、90、344−351、IN−situ Formation and Compounding of Polyamide 12 by Reactive Extrusion
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明は、上記の従来技術の問題点と過去から求められてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0015】
本願発明の目的は、陰イオン重合で生成される塩基性中間体及び高温重合条件で発生する副反応による分子量の上昇を防止できるように、ポリアマイドの分子量を容易に調節して狭い分子量分布を持つようにするアマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドを提供することにある。
【0016】
本願発明の他の目的は、触媒として溶媒を使用しない環境に優しい工程方法で従来の重合方法に比べて低温かつ短い重合反応時間内に高い転化率を有し均一な分子量の高分子重合が可能なアマイド系−分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本願発明によるアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法は、
陰イオン重合反応によるアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法であって、
ラクタム、前記ラクタム全体100重量部に対して、開始剤としてアルカリ金属0.01乃至20重量部、分子量調節剤として下記化学式1で示される化合物0.3乃至10重量部、活性化剤0.002乃至7.0重量部で含むアマイド系分子量調節剤を含むことができる。
【0018】
【化1】
【0019】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である。
【0020】
本発明の好ましい一例で、前記分子量調節剤は下記の化学式2乃至化学式4で示される化合物から選択されることを特徴とするアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法。
【0021】
【化2】
【0022】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である。
【0023】
【化3】
【0024】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である。
【0025】
【化4】
【0026】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜10の有理数である。
【0027】
本発明の好ましい一例で、前記アルカリ金属は金属水素化物(metal hydride)、金属水酸化物(metal hydroxide)及び金属アルコキシド(metal alkoxide)からなる群より選択された少なくとも1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本発明の好ましい一例で、前記ラクタムは、好ましくはラウロラクタムであり得るが、これに限定されず、カプロラクタム、ピペリドン、ピロリドン、エナントールラクタム及びカプリルラクタムを含むことができ、場合によっては、プロピオラクタム(propiolactam)、2−ピロリドン(2−pyrrolidone)、バレロラクタム(valerolactam)、カプロラクタム(caprolactam)、ヘプタラクタム(heptanolactam)、オクタノラクタム(octanolactam)、ノナノラクタム(nonanolactam)、デカノラクタム(decanolactam)、ウンデカンラクタム(undecanolactam)及びドデカノラクタム(dodecanolactam)及び前記ラクタムのうち1種以上が含まれ得る。
【0029】
本発明の好ましい一例で、前記活性化剤は二酸化炭素、ベンゾイルクロリド(benzoyl chloride)、N−アセチルカプロラクタム(N−acetyl caprolactam)、N−アセチルラウロラクタム(N−acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate(SIC))、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0030】
本発明の好ましい一例で、前記重合反応は実験用反応器を基準として0.5乃至120分の範囲内で行われ得る。ここで、前記重合反応時間は特に制限されず、投入される化合物の重量又は反応器のサイズ及び種類によって適切に調節され得ることは無論である。
【0031】
本発明の好ましい一例で、前記重合反応で前記ラクタムは95%以上の転化率を持って重合され得る。
【0032】
本発明の好ましい一例で、前記重合温度は180乃至300℃範囲で行われ得る。
【0033】
一方、本発明は、上記の製造方法で製造されたポリアマイドを提供する。
【0034】
本発明の好ましい一例で、前記ポリアマイドは3.0以下の分子量分布範囲を持つことができる。
【0035】
本発明の好ましい一例で、前記ポリアマイドの重量平均分子量(Mw)は20,000乃至100,000以内の範囲を持つことができる。
【0036】
本発明の好ましい一例で、前記ポリアマイドは線形、分枝型、超分枝型(hyperbranched)又は樹枝状(dendritic)構造であり得る。
【0037】
一方、本発明は、前記ポリアマイドを含んで製造される車両用素材、電子機器用素材、産業用パイプ素材、建築土木用素材、3Dプリンタ用素材、繊維用素材、被服素材、工作機械用素材、医療用素材、航空用素材、太陽光素材、電池用素材、スポーツ用素材、家電用素材、家庭用素材及び化粧品用素材からなる群より選択される部品素材を提供する。
【0038】
具体的な例で、前記部品素材を含む製品は車両用エアダクト、プラスチック/ゴム化合物、接着剤、ライト、高分子光学繊維、燃料フィルタキャップ、ラインシステム、電子機器のケーブル、反射体、ケーブルのシース、光学繊維、電線保護管、コントロールユニット、ライト、パイプ用管、ライナー、パイプコーティング剤、油田探査ホース、3Dプリンタ、マルチフィラメント、スプレーホース、バルブ、ダクト、パルプ、ギア、医療用カテーテル、航空機用難燃材、太陽電池保護板、化粧料、高硬度フィルム、スキーブーツ、ヘッドセット、メガネフレーム、歯ブラシ、水さし又はアウトソールであるが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0039】
以上、説明した通り、本発明は、陰イオン重合で生成される塩基性中間体及び高温重合条件で発生する副反応による分子量の上昇を防止できるように、ポリアマイドの分子量を容易に調節及び狭い分子量分布を有するポリアマイドを製造できる。
【0040】
また、本発明は、触媒として溶媒を使用しない環境に優しい工程方法で従来の重合方法に比べて低温かつ短い重合反応時間内に高い転化率を有し均一な分子量の高分子重合が可能な効果がある。
【0041】
また、本発明は、重合時間が短くバルク重合が可能で連続工程によって生産性を大きく向上させて製造工程の効率及び製造コストを大幅に低減させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明によって製造された重合試料のレオメータ(Rheometer)分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
後述する本発明に対する説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として参照する。これらの実施例は当業者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明される。本発明の様々な実施例は、互いに異なるが相互排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載される特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施例として具現され得る。
【0044】
したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするものでなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項らが主張するものと均等な全ての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。
【0045】
また、本明細書で特に言及がない限り、“置換”乃至“置換された”は、本発明の作用基のうち1つ以上の水素原子がハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又は−I)、ハイドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、置換又は非置換されたアルキル基、置換又は非置換された脂環族有機基、置換又は非置換されたアリール基、置換又は非置換されたアルケニル基、置換又は非置換されたアルキニル基、置換又は非置換されたヘテロアリール基、及び置換又は非置換されたヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されたことを意味し、前記置換基らは互いに連結されて環を形成することもできる。
【0046】
本発明で、前記“置換”は特に言及がない限り、水素原子がハロゲン原子、炭素数1乃至20の炭化水素基、炭素数1乃至20のアルコキシ基、炭素数6乃至20のアリールオキシ基などの置換基に置換されたことを意味する。
【0047】
また、前記“炭化水素基”は特に言及がない限り、線形、分枝型又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基を意味し、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などは線形、分枝型又は環状であり得る。
【0048】
また、本明細書で特に言及がない限り、“アルキル基”とは、C1乃至C30アルキル基を意味し、“アリール基”とは、C6乃至C30アリール基を意味する。本明細書で、“ヘテロ環基”とは、O、S、N、P、Si及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘテロ原子を1つの環内に1つ乃至3つ含有する基を意味し、例えば、ピリジン、チオフェン、ピラジンなどを意味するが、これに制限されない。
【0049】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して詳細に説明する。
【0050】
上述のように、従来の陰イオン重合では、陰イオン重合で生成される塩基性中間体及び高温重合条件で発生するブランチング(Branching)反応や架橋反応(Cross−linking)のような副反応による分子量の上昇による高分子の高粘度現象を解決するには限界があった。
【0051】
よって、本発明では、陰イオン重合反応によるアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法であって、
ラクタム、前記ラクタム全体100重量部に対して、開始剤としてアルカリ金属0.01乃至20重量部、分子量調節剤として下記化学式1で示されるアミド系化合物0.3乃至10重量部、活性化剤として二酸化炭素0.002乃至7.0重量部で含むアマイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造方法を提供して前述した問題点に対する解決案を模索した。
【0052】
【化5】
【0053】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である。
【0054】
ここで、本発明によれば、上記化学式1で示される分子量調節剤は下記の反応式1で製造できる。
【0055】
【化6】
【0056】
また、本発明によれば、前記分子量調節剤は下記化学式2で示されるウレア系化合物を含むことができる。
【0057】
【化7】
【0058】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である。
【0059】
ここで、本発明によれば、上記化学式2で示される分子量調節剤は下記の反応式2で製造できる。
【0060】
【化8】
【0061】
また、本発明によれば、前記分子量調節剤は下記化学式3で示されるウレア系化合物を含むことができる。
【0062】
【化9】
【0063】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜20の有理数である。
【0064】
ここで、本発明によれば、上記化学式3で示される分子量調節剤は下記の反応式3で製造できる。
【0065】
【化10】
【0066】
また、本発明によれば、前記分子量調節剤は下記化学式4で示されるウレア系化合物を含むことができる。
【0067】
【化11】
【0068】
式中、前記R及びRは互いに同じ又は異なることができ、ヘテロ原子を含む置換基であるか、又はそれぞれ水素、炭素数1乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルキル、炭素数2乃至10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル、炭素数6乃至20のアリル、炭素数7乃至21のアルキルアリル、炭素数7乃至21のアリルアルキル、炭素数3乃至10のシクロアルキル、炭素数1乃至10のアルコキシ、炭素数6乃至20のアリルオキシ、炭素数1乃至10のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリルシリル又はハロゲンで、前記nはそれぞれ独立的に0〜10の有理数である。
【0069】
ここで、本発明によれば、上記化学式4で示される分子量調節剤は下記の反応式4で製造できる。
【0070】
【化12】
【0071】
具体的には、以下、本発明によるアミイド系分子量調節剤を含むポリアマイド製造に含まれる組成物を説明する。
【0072】
まず、本発明による前記ラウロラクタムはポリアマイドを製造するためのモノマーとして好ましく用いられることができる。ただし、これに限定されず、例えば、カプロラクタム、ピペリドン、ピロリドン、エナントールラクタム及びカプリルラクタムを含むことができ、場合によっては、プロピオラクタム(propiolactam)、2−ピロリドン(2−pyrrolidone)、バレロラクタム(valerolactam)、カプロラクタム(caprolactam)、ヘプタラクタム(heptanolactam)、オクタノラクタム(octanolactam)、ノナノラクタム(nonanolactam)、デカノラクタム(decanolactam)、ウンデカンラクタム(undecanolactam)及びドデカノラクタム(dodecanolactam)を含むことができる。
【0073】
本発明による前記アルカリ金属触媒は、ポリアマイドを製造するための開始剤であって前記ラウロラクタム陰イオン形成を許容する化合物として、金属水素化物(metal hydride)、金属水酸化物(metal hydroxide)及び金属アルコキシド(metal alkoxide)からなる群より選択された少なくとも1種以上を含むことができる。
【0074】
具体的な例で、前記金属水素化物は水素化ナトリウム(sodium hydride)及び水素化カリウム(potassium hydride)を含むことができ、前記金属水酸化物は水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)及び水酸化カリウム(potassium hydroxide)を含むことができ、前記金属アルコキシドはカリウムtert−ブトキシド(potassium tert−butoxide)及びアルミニウムイソプロポキシド(aluminum isopropoxide)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0075】
例えば、 前記金属アルコキシドはナトリウムカプロラクタメート又はカリウムカプロラクタメート、アルカリ土類金属カプロラクタメート、例えば、マグネシウムブロマイドカプロラクタメート、マグネシウムクロライドカプロラクタメート、又はマグネシウムビスカプロラクタメート、アルカリ金属、例えば、ナトリウム又はカリウム、アルカリ金属塩基、例えば、ナトリウム塩基、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、ナトリウムプロパンオラート、又はナトリウムブタノラート、又は、例えば、カリウム塩基、例えば、水素化カリウム、カリウム、水酸化カリウム、カリウムメタノラート、カリウムエタノラート、カリウムプロパンオラート、カリウムブタノラート、又はそれらの混合物からなる群、好ましくはナトリウムカプロラクタメート、カリウムカプロラクタメート、マグネシウムブロマイドカプロラクタメート、マグネシウムクロライドカプロラクタメート、マグネシウムビスカプロラクタメート、水素化ナトリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムエタノラート、ナトリウムメタノラート、ナトリウムプロパンオラート、ナトリウムブタノラート、水素化カリウム、カリウム、水酸化カリウム、カリウムメタノラート、カリウムエタノラート、カリウムプロパンオラート、カリウムブタノラート、又はそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。また、水素化ナトリウム、ナトリウム、及びナトリウムカプロラクタメート、及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0076】
このような金属触媒は固体の形態又は溶液として用いられることができ、触媒を固体の形態で用いることが好ましい。触媒は好ましくは触媒が溶解され得るラウロラクタム溶融物に添加される。これらの触媒は特に迅速な反応をもたらし、これにより、本発明によるポリアマイドのための製造工程の効率を増加させることができる。
【0077】
ここで、本発明によれば、前記アルカリ金属触媒は前記ラウロラクタム全体100重量部に対して、0.01乃至20重量部で含むことができる。好ましくは0.03乃至10重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.05乃至5.0重量部で含むことができる。
【0078】
この時、前記アルカリ金属触媒が0.01重量部未満で添加される場合は未重合又は反応速度の低下問題が生じる場合があり、前記アルカリ金属触媒が20重量部を超過する場合は分子量の低下問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0079】
次に、本発明による前記分子量調節剤は好ましくは上記化学式1乃至化学式4の化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上を含むことができる。
【0080】
ここで、本発明によれば、前記分子量調節剤は前記ラウロラクタム全体100重量部に対して、0.3乃至10重量部で含むことができる。好ましくは0.4乃至0.7重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.5乃至3.0重量部で含むことができる。
【0081】
この時、前記分子量調節剤が0.3重量部未満で添加された場合はゲル化(架橋、ブランチング反応)問題が生じる場合があり、前記分子量調節剤が10重量部を超過する場合は分子量の低下問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0082】
これと関連して、図1に示したように、上記のように製造された重合試料のレオメータ(Rheometer)測定結果で上記の分子量調節剤を含む重合試料の場合は粘度が減少することを確認し、これより前記分子量調節剤を上記範囲で含む場合に有効に分子量を調節できる。
【0083】
最後に、本発明によれば、前記活性化剤として好ましくは二酸化炭素(CO)であり得るが、これに限定されず、例えば、ベンゾイルクロリド(benzoyl chloride)、N−アセチルカプロラクタム(N−acetyl caprolactam)、N−アセチルラウロラクタム(N−acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate(SIC))、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0084】
二酸化炭素は前記ラウロラクタム全体100重量部に対して、0.002乃至7.0重量部で含むことができる。好ましくは0.005乃至0.5重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.01乃至0.1重量部で含むことができる。
【0085】
この時、前記二酸化炭素が0.002重量部未満で添加された場合は未重合又は反応速度の低下問題が生じる場合があり、前記二酸化炭素が7.0重量部を超過する場合はゲル化(gelation)又は解重合(depolymerization)問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0086】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例(example)を提示する。ただし、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明が下記の実験例によって限定されることはない。
【実施例】
【0087】
[実施例]
<実施例1>
分子量調節剤としてアセトアニリド(Acetanilide)を用いた重合試料の製造
フラスコ内の水分を除去するために真空状態で60℃に維持されているフラスコに真空を解除した後、ラウロラクタム20g、Acetanilide0.14g、NaH0.02gを入れて真空下で温度を160℃まで昇温させた。その後、反応温度を230℃に設定し窒素ガスを入れながら前記物質らが鎔融されるとともに発生する水素ガスを除去した後、二酸化炭素3.4mlを注入して30分間反応させた。最終的には、30分経過後、ギ酸水溶液(ギ酸:蒸溜水=1:1)をフラスコに入れて反応を終了させ、下記表1による含有量を持つ試料を回収した。これを使用して分子量及び分子量分布度(PDI:polydispersity index)を確認し、その結果を表2に表した。
【0088】
【表1】
【0089】
<実施例2>
分子量調節剤としてウレア(urea)を用いた重合試料の製造
分子量調節剤としてUrea0.12gを用いたことを除けば実施例1と同じ方法で反応させた。
【0090】
<実施例3>
分子量調節剤としてウレア(urea)を用いた重合試料の製造
分子量調節剤としてUrea0.18gを用いたことを除けば実施例1と同じ方法で反応させた。
【0091】
<実施例4>
分子量調節剤としてウレア(urea)を用いた重合試料の製造
分子量調節剤としてUrea0.24gを用いたことを除けば実施例1と同じ方法で反応させた。
【0092】
<実施例5>
分子量調節剤としてウレア(urea)を用いた重合試料の製造
分子量調節剤としてdi−urea0.27gを用いたことを除けば実施例1と同じ方法で反応させた。
【0093】
<実施例6〜11>
上記表1のように組成物の含有量比を異ならせた点を除けば実施例1と同じ方法で重合試料を製造した。
【0094】
<実施例12〜13>
下記表2のように組成物の含有量比と種類を異ならせて重合条件を設定した点を除けば実施例1と同じ方法で重合試料を製造した。
【0095】
【表2】
【0096】
[比較例]
<比較例1>
分子量調節剤を添加しなかったことを除けば実施例1と同じ方法で反応させた。
【0097】
<比較例2>
分子量調節剤としてEBS0.15gを用いたことを除けば実施例1と同じ方法で反応させた。
【0098】
【表3】
【0099】
上記表3に示したように、分子量調節剤を添加しない比較例1の場合、実施例1に比べて目標分子量から離れた高分子量と高い分子量分布の結果を表した。ただし、分子量調節剤としてEBSを使用した比較例2の場合、実施例1に比べて相対的に低い分子量を示したが、分子量分布では目標分子量分布範囲を表した。
【0100】
以上、本発明の実施例による図面を参照して説明したが、本発明の属する分野における通常の知識を持つ者であれば上記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形を行うことが可能である。

図1
【国際調査報告】