特表2021-504564(P2021-504564A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-504564ガスタービン用途のための酸化耐性の高い合金
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-504564(P2021-504564A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(54)【発明の名称】ガスタービン用途のための酸化耐性の高い合金
(51)【国際特許分類】
   C22C 19/05 20060101AFI20210118BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20210118BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20210118BHJP
   C22C 1/02 20060101ALI20210118BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20210118BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20210118BHJP
【FI】
   C22C19/05 C
   B22F3/105
   B22F3/16
   C22C1/02 503G
   B33Y70/00
   C22C1/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-522672(P2020-522672)
(86)(22)【出願日】2018年10月24日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月21日
(86)【国際出願番号】EP2018079104
(87)【国際公開番号】WO2019101456
(87)【国際公開日】20190531
(31)【優先権主張番号】17203532.1
(32)【優先日】2017年11月24日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マグヌス・ハッセルクヴィスト
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA08
4K018BA04
4K018EA60
4K018KA12
(57)【要約】
ガスタービン用途のための酸化耐性の高い合金。主な構成成分としてのNi及び質量%で下記の分量又は元素:Fe:2から8、Al:6.1から6.8、Cr:12.5から15、W:1.5から4.5、Ta:2.5から5.5、Hf:1.2から2、C:0.03から0.13、B:0.005から0.02、Zr:0.005から0.02、及びSi:0.005から0.02を含むニッケルベースの超合金又はブレード用合金が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主構成成分としてのNi、及び質量%で下記の分量:
Fe: 2から8、
Al: 6.1から6.8、
Cr: 12.5から15、
W: 1.5から4.5、
Ta: 2.5から5.5、
Hf: 1.2から2、
C: 0.03から0.13、
B: 0.005から0.02、
Zr: 0.005から0.02、及び
Si: 0.005から0.02
を含むニッケルベースの合金。
【請求項2】
20から500質量ppmの間のLa、Ce及びY等の1種又は複数の反応性元素を含む、請求項1に記載の合金。
【請求項3】
硫黄を5質量ppm未満、好ましくは2質量ppm未満のレベルで含む、請求項2に記載の合金。
【請求項4】
− 1.5から3.5、好ましくは2質量%のW、
− 2.5から4.5、好ましくは3質量%のTa、及び
− 1.4から1.8、好ましくは1.5質量%のHf
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の合金。
【請求項5】
− 0.03から0.09、好ましくは0.05から0.07質量%のC、
− 0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のB及び
− 0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のZr
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の合金。
【請求項6】
− 5から7、好ましくは6質量%のFe
− 6.4から6.7、好ましくは6.5質量%のAl、及び
− 13.5から14.5、好ましくは14質量%のCr
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の合金。
【請求項7】
− 2から4、好ましくは3質量%のFe
− 6.1から6.4、好ましくは6.25質量%のAl、及び
− 13.5から14.5、好ましくは14質量%のCr
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の合金。
【請求項8】
− 0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のSi
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の合金。
【請求項9】
− 0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のCe、La、Y
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の合金。
【請求項10】
不可避の不純物を別にして、Co、Mo、Re、Ti及びNbの少なくとも1種を含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載の合金。
【請求項11】
ソルバス温度が、1140℃と1165℃の間に抑えられるか又はであるように、更に構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の合金。
【請求項12】
下記の構成成分:
主構成成分としてのNi、
Fe: 2から8質量%、
Cr: 12から15質量%、
W: 1.5から4.5質量%、
Al: 6.1から6.8質量%、
Ta: 2.5から5.5質量%、
Hf: 1.2から2質量%、
C: 0.03から0.13質量%、
B: 0.005から0.02質量%、
Zr: 0.005から0.02質量%、
Si: 0.005から0.02質量%、
20から500質量ppmの間のY、La、Ceの1種又は複数、及び
合計で0.01から0.5質量%の間のSc、Y、アクチニド及びランタニド等の希土類
からなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の合金。
【請求項13】
構造物を付加製造するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の合金の粉体材料。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の合金の基礎材料から構造物を付加製造する方法であって、レーザー金属堆積である方法。
【請求項15】
合金「IN738LC」と比較して、向上した酸化耐性、向上した強度、例えば熱的機械的疲労強度等、及び向上した亀裂耐性、例えば熱亀裂耐性等を更に含む、請求項14に記載の方法により製造された構造物を含む構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン用途、特に前記タービンの熱ガス路に適用される構成要素のための合金に関する。合金は、粉体床に基づく方法等の耐火付加製造方法において適用又は処理されるのに好ましくは適当である。該合金は、好ましくは、ニッケルベース及び/又は超合金である。
【0002】
更に、本発明は、前記合金の粉体材料及び該合金から構造物を付加製造する方法、並びにそれぞれの成分を含む構造物に関する。
【背景技術】
【0003】
好ましくは、上記の構造物又は構成要素は、ターボ機械に、例えば、ガスタービンの流路ハードウェアに適用される構成要素を表す。したがって、該構成要素は、好ましくは超合金又はニッケルをベースにした合金、特に、析出硬化された合金で作製される。
【0004】
上記のものは、更に好ましくはローターブレード、固定子の羽根、封止構成要素、側板、ケーシング、プラットホーム、又は断熱部分、又はターボ機械の任意の他の同等の構成要素である。
【0005】
製造の文脈における用語「付加」は、相様の、生成的及び/又は積み上げ製造方法を特に示すものとする。本明細書で記載される付加製造は、迅速なプロトタイプ試作であってもよく、又はそれに関することもある。
【0006】
付加製造技法は、例えば、選択的レーザー溶融(SLM)又は選択的レーザー焼結(SLS)又は電子ビーム溶融(EBM)を含む。
【0007】
選択的レーザー溶融の方法は、例えば欧州特許第2601006Bl号に記載されている。
【0008】
付加製造方法は、プロトタイプ又は複雑で極めて繊細な構成要素、例えば迷路様の内部構造を含む軽量の設計又は冷却構成要素等の製作において有用であり及び有利であることが証明されている。更に、付加製造は、製造工程が対応するCAD/CAM及び/又は構造物のデータに直接基づいて実施され得るので、プロセス工程の短い鎖について卓越している。
【0009】
選択的レーザー溶融又は選択的レーザー焼結等の粉体床製造方法は、例えば、粉体材料から部品又は構成要素を製作、プロトタイプ試作又は製造するための比較的よく知られている方法である。そのような方法のための従来の装置又は設備は、通常、製造又はビルドプラットホームを備え、その上に基礎材料の層が供給された後、構成要素が積層されて、それが、次に、例えばレーザービームのエネルギーにより溶融されてその後固化され得る。層の厚さは、例えば、粉体床の上を、例えば自動的に移動して過剰な材料を除去するワイパーにより決定される。典型的な層厚さは、20μm又は40μmになる。製造の間に、前記レーザービームは、表面上を走査して、製造されるべき構成要素の幾何学的形状に従ってCAD−ファイルにより予め決定され得る選択された領域で粉体を溶融する。
【0010】
現在、例えば、ブレード先端における縁領域等の操業中に非常に摩耗又は摩滅し易い、特にそれぞれの(ガスタービン)構成要素の領域において、酸化耐性の高い材料、好ましくは合金を提供することに対する要求がある。
【0011】
前記合金は、修復又は再研磨用途のために、特に、酸化損傷を修復するために又は事前に、例えば、新たに製作された構成要素における酸化損傷を避けるために特に望まれる。
【0012】
所望の性質を有する前記合金を提供することにおける特定の問題は、機械的強度、酸化耐性と加工性との間の有利なバランスを見いだすこと、すなわち付加製造技法により材料を溶接加工又はビルドアップすることができることである。本発明者らは、非常に高い酸化耐性及び熱的機械的疲労に対する適切な耐性を提供すると同時に、レーザークラッディング又は選択的レーザー溶融のような方法を適用するために、例えばIN738LCよりも困難でない合金を有することを望む。提供された合金は、柱状の結晶性の、方向性をもって固化した及び/又は単結晶材料の構造で提供され得る。
【0013】
上記のレーザークラッディング及び選択的レーザー溶融に加えて、提供された合金は、電子ビーム溶融、いわゆるホットボックス溶接、又は従来の鋳造方法により又はそれを用いて同様にうまく加工され得る。
【0014】
提供された合金の別な欠点は、例えば、ホットボックス溶接を使用することである。更に、非常に酸化耐性のブレード用合金「Renel42」を使用することもできる。しかし、これは、900℃超で維持される構成要素で作業する作業者により実施されることが必要な用手の方法である。明らかにこれは、自動化された方法、加工性及びセキュリティ態様の厳格な要求に関する大きな欠点を意味する。かなり酸化耐性であるブレード用合金「CM247CC」を使用するレーザークラッディングは、さらなる選択肢であるが、しかしながら、これは、非常に困難であり、したがって不経済である。非常に酸化耐性であるブレード用合金STAL18Si、又はそれに相当する材料を使用する試みは、その高いケイ素含有率が理由で不成功に終わった。
【0015】
「MCrAlY」合金も、適用されることがあるが、これらは、厚さが約0.5mmを超える構造物のビルドアップに使用するためには弱すぎる及び/又は脆弱すぎる。Coベースの「Merl72」等の溶解強化された合金は、実際、高い酸化耐性を提供すると同時に、数通りの手段によって溶接可能である。
【0016】
しかし、その機械的強度又は耐久性は、上記のブレード用合金の強度からはるかに離れている。伝統的な工業的ガスタービン合金「IN738LC」は、例えばCM247CC及びRenel42よりも溶接性が高いが、なお、それに匹敵する酸化耐性に欠ける。主な問題は、酸化耐性のための高いAl含有率と、適切な熱的機械的疲労強度を得るための強化元素の少なくとも中程度の量とを組み合わせた合金は、溶接性が劣る傾向があることである。特に、溶融状態から冷却中の熱亀裂は、克服されなければならず、粒子境界が未だ固化されていない時に、一方で、例えばガンマプライム相(γ’)がすでに固化した材料中で析出し始めて、近くの材料が強すぎて固化歪みを受け入れることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点の1つ又は複数を克服することに役立つ手段を提供すること、特に、例えば、付加ビルドアップ技法により、優れた機械的、熱的機械的又は腐蝕的性質を提供すること、及び同時に十分な加工性を有する、例えばニッケルベースの(合金)材料を提供することである。更に特に、前記合金は、好ましくは、機械的及び/又は熱的機械的強度、酸化耐性と加工性との間の有利なバランスを提供し、例えば、これらの態様の各々が高いレベルで有利に提供される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的は、独立請求項の主題により達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
タービンブレードのための材料として適切な新規なニッケルベースの合金であって、主な構成成分としてNi(ニッケル)及び、%、好ましくは質量%(質量パーセント)で下記の元素又は分量:Fe(鉄):2から8、Al(アルミニウム):6.1から6.8、Cr(クロム):12.5から15、W(タングステン):1.5から4.5、Ta(タンタル):2.5から5.5、Hf(ハフニウム):1.2から2、C(炭素):0.03から0.13、B(ホウ素):0.005から0.02、Zr(ジルコニウム):0.005から0.02、及びSi(ケイ素):0.005から0.02%を含む合金が提供される。この合金は、その高い酸化耐性及び適切な熱的機械的疲労強度とともに、更に、例えば、IN738LCに匹敵するさらに良好な熱亀裂耐性が特に卓越している。
【0020】
一実施形態では、合金は超合金である。
【0021】
一実施形態では、合金はブレード用合金である。
【0022】
一実施形態では、合金は、20から500質量ppm(質量で百万分の部)の間の1種又は複数の(反応性)元素、例えば、La(ランタン)、Ce(セリウム)及びY(イットリウム)等を含む。前記(反応性)元素は特に、合金に特定の又は更に向上した酸化耐性を与える。
【0023】
一実施形態では、合金は、5質量ppm未満、好ましくは2質量ppm未満のレベルでS(硫黄)を含む。前記(遊離の)硫黄は金属/酸化物の界面の密着を低下させ、したがって循環酸化耐性を低下させるので、硫黄のレベルは特に低く保たれる。
【0024】
一実施形態では、合金は、1.5から3.5、好ましくは2質量%のWを含む。
【0025】
一実施形態では、合金は、2.5から4.5、好ましくは3質量%のTaを含む。
【0026】
一実施形態では、合金は1.4から1.8、好ましくは1.5質量%のHfを含む。
【0027】
これらの実施形態は、合金の有利な(機械的)強化を可能にする。
【0028】
一実施形態では、合金は、0.03から0.09、好ましくは0.05から0.07質量%のCを含む。
【0029】
一実施形態では、合金は、0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のBを含む。
【0030】
一実施形態では、合金は、0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のZrを含む。
【0031】
これらの実施形態は、合金、又は場合により最終構成要素の粒子境界の有利な(機械的)強化を可能にする。
【0032】
B及びZrは、合金又は場合により最終の構成要素に十分なクリープ延性を与えるために特に提供される。しかしながら、これらの元素も、鋳造、SLM又はレーザークラッディング等の構成要素の形成又はビルドアップ中における熱亀裂を避けるために制限されるべきである。
【0033】
一実施形態では、合金は、5から7、好ましくは6質量%のFeを含む。
【0034】
一実施形態では、合金は、6.4から6.7、好ましくは6.55質量%のAlを含む。
【0035】
一実施形態では、合金は、13.5から14.5、好ましくは14質量%のCrを含む。
【0036】
これらの実施形態の各々は、合金の全体的な機械的、熱的機械的又は構造の性質について、特に有益である。
【0037】
(代替的)一実施形態において、合金は、2から4、好ましくは3質量%のFeを含む。
【0038】
一実施形態では、合金は、6.1から6.4、好ましくは6.25質量%のAlを含む。
【0039】
一実施形態では、合金は、13.5から14.5、好ましくは14質量%のCrを含む。
【0040】
前の3つの実施形態に対する代替であるこれらの実施形態の各々も、合金の全体的な機械的、熱的機械的又は構造の性質について、特に有益である。
【0041】
一実施形態では、合金は、0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のSiを含む。Siは、保護酸化物スケール又はシェルの形成を特に改善及び/又は助長する。同時に、ケイ素のレベルは、例えば付加ビルドアップ中及び/又は熱処理等のビルドアップ加工技法後における熱亀裂の形成を避けるために、制限されるべきである。
【0042】
一般的に、Hf分量/レベルが高ければ有利であるが、一方、Zr及びSiレベルは、例えば、固化中に粒子境界に残存する流体の量を低下させるために、かなり低い。
【0043】
一実施形態では、合金は、0.005から0.015、好ましくは0.01質量%のCe、La、Yを含む。
【0044】
Zr及びCeは、実際に有用な及び有益な硫黄除去剤であるが、同時に、鋳造、SLM又はレーザークラッディング等、構成要素の形成又はビルドアップ中における熱亀裂の形成を避けるために、ある程度制限されるべきである。
【0045】
一実施形態では、合金は、不可避の不純物を別にして、元素Co、Mo、Re、Ti及びNbの少なくとも1種又はいずれも含まない。
【0046】
一実施形態では、合金は、元素Co、Mo、Re、Ti及びNbの大部分を含まない。
【0047】
一実施形態では、合金は、元素Co、Mo、Re、Ti及びNbを全く含まない。
【0048】
一実施形態では、合金は、低又は中程度のレベルのCoを含み、Re、Ti、及びNbは含まず、Taは、ある一定量のFeとの組み合わせて主な強化元素として使用される。
【0049】
一実施形態では、合金は、ソルバス固相線温度が、1140℃と1165℃の間、例えば1150℃等に抑えられるか又はであるように構成されている。特に、ソルバス温度は、更に低くするべきではなく、その理由は、1050℃という使用温度における適切な熱機械的疲労(TMF)耐性を確立するために、妥当な量のγ’面が必要とされるからである。それ故、所与の範囲における固相線温度は、合金の強度と熱亀裂耐性の間のバランス又は最適の動作点を見いだすことを可能にする。
【0050】
しかしながら、同様のソルバス温度を約1150℃に有しながら、更により高い酸化耐性を提供するために、Al及びFeのレベル(上記のレベルと比較して)を更に高くすることは可能である。
【0051】
有益な合金組成のための別の可能性は、TCP相(トポロジカル最密充填相)の析出を850℃まで可能にして、Cr含有率を13.5%に低下させ、合金のさらなるマトリクス及び粒子強化を可能にすることである。
【0052】
一実施形態では、合金は、下記の構成成分:基礎の又は主な構成成分としてNi、Fe:2から8質量%、Cr:12から15質量%、W:1.5から4.5質量%、Al:6.1から6.8質量%、Ta:2.5から5.5質量%、Hf:1.2から2質量%、C:0.03から0.13質量%、B:0.005から0.02質量%、Zr:0.005から0.02質量%、Si:0.005から0.02質量%、20質量ppmと500質量ppmの間のY、La、Ceの1種又は複数、及び、任意選択で、合計で0.01質量%と0.5質量%の間のSc、Y、アクチニド及びランタニド等の希土類で(排他的に)構成されているか又はそれらからなる。Sc、Y、アクチニド及びランタニドは、例えば、それらが硫黄のような不純物を引き付け、中和する方法が類似している。
【0053】
本発明のさらなる態様は、前記構造物の付加製造のための説明された合金の粉体材料に関する。
【0054】
粉体は、特にSLM用途の場合に、例えば、少なくとも80%までの程度で10から80μm、好ましくは40から60μmの範囲にわたる粉体サイズ分布を含むことができ、粉体粒子は、少なくとも広範に、合成又は製作方法、すなわち、ガス又は流体噴霧に特徴的である球形の形態を含む。
【0055】
本発明のさらなる態様は、合金又は基礎材料から、構造物及び/又は構成要素を付加製造する方法に関する。
【0056】
一実施形態では、方法は、レーザー金属堆積又はレーザークラッディングである。これは好ましい実施形態である。
【0057】
別の実施形態において、方法は、選択的レーザー溶融、選択的レーザー焼結又は電子ビーム溶融方法であり、ここで、粉体の選択的固化のために使用されるエネルギービーム、好ましくはレーザービームの走査速度は、400mm/秒から2000mm/秒より選択される。
【0058】
一実施形態では、方法は、インベストメント鋳造又は精密鋳造等の鋳造方法である。
【0059】
本発明のさらなる態様は、上記の構造物(上記方法により製造された)であるか又はそれを含む構成要素に関し、ここで、構成要素は、例えば「IN738LC」と比較して、向上した酸化耐性、向上した強度、例えば熱的機械的疲労強度等、及び向上した亀裂耐性、例えば熱亀裂耐性等を含む。
【0060】
説明された合金及び/又は説明された粉体に関する利点又は実施形態は、方法及び/又は構成要素にも関係することができて、逆もまた同様である。
【0061】
本発明で提示される新規な合金は、高い酸化耐性及び適切なTMF強度を有し、更に有利な熱亀裂耐性、少なくともIN738LCレベルの熱亀裂耐性を有する新しいブレード用合金である。
【0062】
本明細書で記載された合金は、IN738LCとほぼ同じ様式で溶融状態から冷却するガンマプライム析出を容易にする。特に、ソルバス温度がIN738LCと同じレベルに低下して、すでに固化した材料が、IN738LCと同じ様式で固化歪みを受け入れることを可能にする。ここで最も重要な元素は、ソルバス温度を抑制するFeの使用である。それに加えて、Hfのレベルは高く、それに対してZr及びSiのレベルは低いため、例えば、固化中に粒子境界に残存する流体の量を低下させる。
【0063】
上の記載に加えて又は代替で、本発明で提示される合金は、基礎構成成分としてのニッケル、及び好ましくは質量%で下記の(元素記号より前の)分量/元素:3Fe、14Cr、2W、6.2Al、3Ta、1.5Hf、0.08C、0.01B、0.01Zr、0.01Si及び0.01Ceを含むか又はそれらで構成され得る。6.2%Al、3%Ta及び1.5%Hfでは、本発明で提示される合金は、高いγ’含有率の合金である。前記卓越したγ’含有率は有利である。
【0064】
上記のように、同様のソルバス温度を約1150℃で有しながら、Al及びFeレベルを更に増大させて更により高い酸化耐性を提供することが可能である。したがって、提供される合金は、基礎構成成分としてニッケル、及び好ましくは質量%で下記の(元素記号より前の)分量/元素:6Fe、14Cr、2W、6.6Al、3Ta、1.5Hf、0.05C、0.01B、0.01Zr、0.01Si及び0.01Ceを含むか又はそれらで構成され得る。
【0065】
別の可能性は、TCP析出を850℃まで可能にして、Cr含有率を13.5%に低下させ、より多くのマトリクス及び粒子強化を可能にする。したがって、提供される合金は、基礎構成成分としてのニッケル、及び好ましくは質量%で下記の(元素記号より前の)分量/元素:6Fe、13.5Cr、3.5W、6.2Al、4.5Ta、1.5Hf、0.05C、0.01B、0.01Zr、0.01Si及び0.01Ceを含むか又はそれらで構成され得る。
【0066】
本発明の保護の範囲は、本明細書で上に記載された例に限定されない。本発明は、各新規な特性及び特性の各組み合わせで具体化され、これは特に、請求項に明記されている任意の特徴のあらゆる組み合わせを、この特徴又は特徴のこの組み合わせが請求項又は実施例に明示的に明記されていなくても含む。
【手続補正書】
【提出日】2020年8月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
一実施形態では、合金は、下記の構成成分:基礎の又は主な構成成分としてNi、Fe:2から8質量%、Cr:12から15質量%、W:1.5から4.5質量%、Al:6.1から6.8質量%、Ta:2.5から5.5質量%、Hf:1.2から2質量%、C:0.03から0.13質量%、B:0.005から0.02質量%、Zr:0.005から0.02質量%、Si:0.005から0.02質量%、20質量ppmと500質量ppmの間のY、La、Ceの1種又は複数、並びに、任意選択で、合計で0.01質量%と0.5質量%の間のSc、Y等の希土類、アクチニド及びランタニドで(排他的に)構成されているか又はそれらからなる。Sc、Y、アクチニド及びランタニドは、例えば、それらが硫黄のような不純物を引き付け、中和する方法が類似している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主構成成分としてのNi、並びに質量%で下記の分量:
Fe: 2から8、
Al: 6.1から6.8、
Cr: 12.5から15、
W: 1.5から4.5、
Ta: 2.5から5.5、
Hf: 1.2から2、
C: 0.03から0.13、
B: 0.005から0.02、
Zr: 0.005から0.02、及び
Si: 0.005から0.02
を含むニッケルベースの合金。
【請求項2】
20から500質量ppmの間の1種又は複数の反応性元素を含む、請求項1に記載の合金。
【請求項3】
硫黄を5質量ppm未満のレベルで含む、請求項2に記載の合金。
【請求項4】
− 1.5から3.5質量%のW、
− 2.5から4.5質量%のTa、及び
− 1.4から1.8質量%のHf
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の合金。
【請求項5】
− 0.03から0.09質量%のC、
− 0.005から0.015質量%のB及び
− 0.005から0.015質量%のZr
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の合金。
【請求項6】
− 5から7質量%のFe
− 6.4から6.7質量%のAl、及び
− 13.5から14.5質量%のCr
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の合金。
【請求項7】
− 2から4質量%のFe
− 6.1から6.4質量%のAl、及び
− 13.5から14.5質量%のCr
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の合金。
【請求項8】
− 0.005から0.015質量%のSi
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の合金。
【請求項9】
− 0.005から0.015質量%のCe、La、Y
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の合金。
【請求項10】
不可避の不純物を別にして、Co、Mo、Re、Ti及びNbの少なくとも1種を含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載の合金。
【請求項11】
ソルバス温度が、1140℃と1165℃の間に抑えられるか又はであるように、更に構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の合金。
【請求項12】
下記の構成成分:
主構成成分としてのNi、
Fe: 2から8質量%、
Cr: 12から15質量%、
W: 1.5から4.5質量%、
Al: 6.1から6.8質量%、
Ta: 2.5から5.5質量%、
Hf: 1.2から2質量%、
C: 0.03から0.13質量%、
B: 0.005から0.02質量%、
Zr: 0.005から0.02質量%、
Si: 0.005から0.02質量%、
20から500質量ppmの間のY、La、Ceの1種又は複数、並びに
合計で0.01から0.5質量%の間の希土類、アクチニド及びランタニ
からなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の合金。
【請求項13】
構造物を付加製造するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の合金の粉体材料。
【請求項14】
請求項1から1のいずれか一項に記載の合金の基礎材料または請求項13に記載の粉体材料から構造物を付加製造する方法であって、レーザー金属堆積である方法。
【請求項15】
合金「IN738LC」と比較して、向上した酸化耐性、向上した強度、及び向上した亀裂耐性を更に含む、請求項14に記載の方法により製造された構造物を含む構成要素。
【国際調査報告】