特表2021-504764(P2021-504764A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 蘇州亮宇模具科技有限公司の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-504764(P2021-504764A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(54)【発明の名称】非等厚光学レンズの設計方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20210118BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20210118BHJP
【FI】
   G02B3/00 Z
   G02B3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-545840(P2020-545840)
(86)(22)【出願日】2018年10月30日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月2日
(86)【国際出願番号】CN2018104932
(87)【国際公開番号】WO2019100815
(87)【国際公開日】20190531
(31)【優先権主張番号】201711169852.3
(32)【優先日】2017年11月22日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520178825
【氏名又は名称】蘇州亮宇模具科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】廖 文亮
(72)【発明者】
【氏名】廖 香軍
(57)【要約】
非等厚光学レンズの設計方法であって、以下のステップを含む。(1)光学ソフトウェアにレンズモデルを構築する。(2)レンズモデルに照射される入射光線をシミュレーションし、入射光線が出射光線と平行であるかを比較する。(3)平行であれば、このレンズの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成し、平行でない場合、レンズモデルの入射面と出射面との間の厚さを調整して平行になるようにし、この際のこの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成する。(4)仮完成品が合格品かどうかを検査し、合格でなければステップ(2)に戻って繰り返す。本方法で作製したレンズは、収差の低減を可能にして、画像が鮮明であり、さらに、長時間使用してもめまいがしない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非等厚光学レンズの設計方法であって、
ステップS1:光学ソフトウェアにレンズモデルを構築し、前記レンズモデルの大きさを決定し、前記レンズモデルの入射面および出射面の曲率に基づいて前記レンズモデルの所定の厚さを決定することと、
ステップS2:前記レンズモデルの入射面から入射して前記レンズモデルの出射面から出射される入射光線をシミュレーションし、入射光線が出射光線と平行であるかを比較することと、
ステップS3:前記入射光線が前記出射光線と平行である場合、このレンズの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成し、前記入射光線が前記出射光線と平行でない場合、前記レンズモデルの入射面と出射面との間の厚さを調整して、前記入射光線が前記出射光線と平行になるようにし、この際のこの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成することと、
ステップS4:光源と受信スクリーンを設置し、光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録し、前記位置およびサイズが一定であることを確認し、前記仮レンズ完成品を前記光源と受信スクリーンとの間に置き、光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録して、位置およびサイズが一定であれば、前記仮レンズ完成品をレンズ完成品とし、位置およびサイズが変化すれば、ステップS2に戻り、最後に前記仮レンズ完成品を前記光源と受信スクリーンとの間に置いて、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズが一定を保つまで、ステップS2およびS3を繰り返すことと、
を含むことを特徴とする、非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項2】
前記ステップS4において、前記光源は、平行光源であり、前記入射光線は、平行光線であることを特徴とする、請求項1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項3】
S3において得られた前記仮レンズ完成品は、レンズ中心部とレンズ周辺部を有し、前記仮レンズ完成品の曲率半径は、前記レンズ中心部から前記レンズ周辺部まで徐々に増加することを特徴とする、請求項1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項4】
S3において得られた前記仮レンズ完成品用の材質は、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする、請求項3に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項5】
前記レンズは、非球面レンズであり、前記非球面レンズは、半楕円形、台形の脚が弧状に変形した形状、矩形であることを特徴とする、請求項3に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項6】
光学ソフトウェアにおける最後に作成されたレンズ完成品のモデルに基づいて、当該レンズの最後の完成品を生産するための金型を作製することを特徴とする、請求項1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2017年11月22日であり、出願番号が2017111698523であり、発明の名称が「非等厚光学レンズの設計方法」である中国特許出願の優先権を要求しており、その内容の全部が引用により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、非等厚光学レンズの設計方法に関する。
【背景技術】
【0003】
レンズは、鏡の心とも言われ、表装した後の画心であり、鏡の枠内に挟み込むのに適しているため、鏡の心と呼ばれる。その形式として横でも縦でもよく、簡単で便利である。近代的な科学技術の発展に伴い、レンズの応用は、すでに各業界および私達の日常生活に深く入り込んでいる。しかし、多くのレンズは、その設計原理によって、厚さを均一に作製されているため、結像が鮮明ではなく、また、収差をなくすことができないといった問題があるなど、その視覚効果は多くの人の要望を満たしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、非等厚光学レンズの設計方法を提案し、レンズの入射面と出射面との間の厚さを調整することにより、鮮明に結像し、収差を低減する効果を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、非等厚光学レンズの設計方法であって、
ステップS1:光学ソフトウェアにレンズモデルを構築し、前記レンズモデルの大きさを決定し、前記レンズモデルの入射面および出射面の曲率に基づいて前記レンズモデルの所定の厚さを決定することと、
ステップS2:前記レンズモデルの入射面から入射して前記レンズモデルの出射面から出射される入射光線をシミュレーションし、入射光線が出射光線と平行であるかを比較することと、
ステップS3:前記入射光線が前記出射光線と平行である場合、このレンズの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成し、前記入射光線が前記出射光線と平行でない場合、前記レンズモデルの入射面と出射面との間の厚さを調整して、前記入射光線が前記出射光線と平行になるようにし、この際のこの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成することと、
ステップS4:光源と受信スクリーンを設置し、光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録し、前記位置およびサイズが一定であることを確認し、前記仮レンズ完成品を前記光源と受信スクリーンとの間に置き、光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録して、位置およびサイズが一定であれば、前記仮レンズ完成品をレンズ完成品とし、位置およびサイズが変化すれば、ステップS2に戻り、最後に前記仮レンズ完成品を前記光源と受信スクリーンとの間に置いて、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズが一定を保つまで、ステップS2およびS3を繰り返すことと、
を含む。
【0006】
さらに、前記ステップS4において、前記光源は、平行光源であり、前記入射光線は、平行光線である。
【0007】
さらに、S3において得られた前記仮レンズ完成品は、レンズ中心部とレンズ周辺部を有し、前記仮レンズ完成品の曲率半径は、前記レンズ中心部から前記レンズ周辺部まで徐々に増加する。
【0008】
さらに、S3において得られた前記仮レンズ完成品用の材質は、プラスチックまたはガラスである。
【0009】
さらに、前記レンズは、非球面レンズであり、前記非球面レンズは、半楕円形、台形の脚が弧状に変形した形状、矩形である。
【0010】
さらに、光学ソフトウェアにおける最後に作成されたレンズ完成品のモデルに基づいて、当該レンズの最後の完成品を生産するための金型を作製する。
【0011】
本発明は、レンズの入射面と出射面との間の厚さを調整することにより、入射光線が出射光線と平行になるようにして、鮮明に結像し、収差を低減するという、有益な効果を達成する。
【0012】
上記の説明は、本発明の技術案の概要にすぎない。本発明の技術的手段をより明確に理解し、実施することができるよう、以下、本発明の好適な実施例に加え、図面と併せて以下のように詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の非等厚光学レンズの設計方法のフローチャートである。
図2a】受信スクリーンが光源から0.5mの箇所に位置する場合の照度分布である。
図2b】受信スクリーンが光源から1mの箇所に位置する場合の照度分布である。
図2c】受信スクリーンが光源から2mの箇所に位置する場合の照度分布である。
図3a】等厚レンズを示す。
図3b】光源から等厚レンズを経て0.5m離れた受信スクリーンでの照度分布である。
図3c】光源から等厚レンズを経て1m離れた受信スクリーンでの照度分布である。
図3d】光源から等厚レンズを経て2m離れた受信スクリーンでの照度分布である。
図4a】非等厚レンズを示す。
図4b】光源から非等厚レンズを経て0.5m離れた受信スクリーンでの照度分布である。
図4c】光源から非等厚レンズを経て1m離れた受信スクリーンでの照度分布である。
図4d】光源から非等厚レンズを経て2m離れた受信スクリーンでの照度分布である。
図5】AR光学マスクレンズの第1立体図である。
図6】AR光学マスクレンズの第2立体図である。
図7】AR光学マスクレンズの第3立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面および実施例を基に、本発明の具体的な実施形態をさらに詳細に記載する。以下の実施例は、本発明を説明するために用いられるが、本発明の範囲を制限するためには用いられない。
【0015】
図1を参照する。本発明の好適な実施例に係る非等厚光学レンズの設計方法は、以下のステップを含む。
S1:光学ソフトウェアにレンズモデルを構築し、レンズモデルの大きさを決定し、レンズモデルの入射面および出射面の曲率に基づいてレンズモデルの所定の厚さを決定する。
S2:レンズモデルの入射面から入射してレンズモデルの出射面から出射される入射光線をシミュレーションし、入射光線が出射光線と平行であるかを比較する。
S3:入射光線が出射光線と平行である場合、このレンズの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成する。入射光線が出射光線と平行でない場合、レンズモデルの入射面と出射面との間の厚さを調整して、入射光線が出射光線と平行になるようにし、この際のこの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成する。
S4:光源と受信スクリーンを設置する。光源をオンにし、受信スクリーンを光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録し、位置およびサイズが一定であることを確認する。そして、仮レンズ完成品を光源と受信スクリーンとの間に置き、光源をオンにし、受信スクリーンを光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録する。位置およびサイズが一定であれば、仮レンズ完成品をレンズ完成品とする。位置およびサイズが変化すれば、ステップS2に戻る。最後に仮レンズ完成品を光源と受信スクリーンとの間に置いて、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズが一定を保つまで、ステップS2およびS3を繰り返す。
【0016】
本実施例において、光源は、平行光源であり、入射光線は、平行光線である。平行光源として、長さ40mmの細くて小さく、「口」字型に囲む計4本の光源を設置する。光源をオンにし、光源から0.5m、1m、2m離れた箇所に受信スクリーンを置いて、受信スクリーンでの投射光線パターンの位置およびサイズが変化するかを観察する。光源と受信スクリーンとの間に如何なるものも置かれない場合、投射光線の受信スクリーンでの位置およびサイズは、図2a〜図2cに示すようになり、受信スクリーンと光源の距離が変化しても、投射光線の受信スクリーンでの位置およびサイズは、いずれも変化しない。
【0017】
図3a〜図3dを参照する。光源と受信スクリーンとの間に、厚さ3mmの等厚レンズを置く。光源をオンにし、光源から0.5m、1m、2m離れた箇所に受信スクリーンを置いて、受信スクリーンでの投射光線パターンの位置およびサイズが変化するかを観察する。結果として、光源からの光が平行光線であっても、光線が等厚レンズを通過した後、出射光線は入射光線と平行でなく、しかも受信スクリーンと光源との距離が増大するにつれて、出射光線と入射光線との距離も増大する。さらに、図3dに示すように、受信スクリーンが光源から2m離れた場合、一部のエリアの光線は、受信できなくなる。
【0018】
図4a〜図4dを参照する。光源と受信スクリーンとの間に、厚さが3mmから2mに徐々に変化した非等厚レンズを置く。光源をオンにし、光源から0.5m、1m、2m離れた箇所に受信スクリーンを置いて、受信スクリーンでの投射光線パターンの位置およびサイズが変化するかを観察する。結果として、受信スクリーンと光源との距離が変化しても、投射光線の受信スクリーンでの位置およびサイズは、いずれも変化しない。
【0019】
もちろん、他の実施例では、レンズの厚さは、他の値であってもよい。
【0020】
実験結果に基づき、光学ソフトウェアにおける最後に作成されたレンズ完成品のモデルを基に、当該レンズの最後の完成品を生産するための金型を作製し、作製された金型をレンズの大規模な作製に用いる。レンズは、レンズ中心部とレンズ周辺部を有し、レンズの曲率半径は、レンズ中心部からレンズ周辺部まで徐々に増加する。レンズの材質は、プラスチックまたはガラスである。レンズは、非球面レンズであり、非球面レンズは、半楕円形、台形の脚が弧状に変形した形状、矩形である。本実施例において、レンズは、AR光学マスクレンズである。
【0021】
AR光学マスクレンズは、曲面パネル1と曲面パネル1の周縁に沿って均一に分布する複数のバックル2を含む。曲面パネル1は、本体および本体の両側から延伸する円弧部12を含む。本体と円弧部12の両方によって、半閉鎖の収容空間が囲まれる。曲面パネル1の厚さと円弧半径は、円弧部12から本体に向かって順次増大する。円弧部12の厚さの範囲は、1.32〜2.31mmで、かつ本体から離れた一方から本体に近い他方まで、順次増加する。本体の厚さの範囲は、2.31〜2.35mmである。本発明のAR光学マスクレンズは、厚さが変化に富んでいるため、厚さの異なる多変曲率(すなわち、自由曲率)のAR光学マスクレンズの設計によって、収差の低減や消去が可能であり、鮮明に結像し、さらに長時間使用してもめまいがしない。
【0022】
本体は、円弧部12に接近して設けられた第1本体11と、円弧部12から離れて設けられた第2本体10を含む。第1本体11の厚さは、円弧部12に近い一方から、円弧部12から離れた他方まで、順次増加する。第2本体10の厚さは、円弧部12に近い一方から第2本体10の中心線まで、順次減少する。なお、ここに記載したのは、単に好適な実施例に過ぎない。他の実施例において、屈折率実験により、波状の曲面パネル1が得られる。曲面パネル1の厚さが順次的に増加または減少するのではなく、曲面パネル1を無数のセグメントに分割する。各セグメントは、大きな差がない厚さを有し、各セグメントを組み合わせて波状の曲面パネル1を形成する。例えば、曲面パネルをN個のセグメントに分割し、N−1段目の厚さを値aとした場合、N−2段目とN段目の厚さは、いずれもaよりも大きくともよく、曲面パネル1の全体としては、順次に増加または減少する。これにより、収差の低減または除去が可能であり、鮮明に結像する。
【0023】
本体の内壁の曲率半径の範囲は、6.3〜432.3mmであり、外壁の曲率半径の範囲は、6.0〜531.3mmであり、いずれも第1本体11の円弧部12に近い一方から第2本体10の中心線まで順次増加した後、減少する。円弧部12の内壁の曲率半径範囲は、6.3〜11.1mmであり、外壁の曲率半径範囲は、6.0〜11.5mmであり、いずれも円弧部12の第1本体11から離れた一方から第1本体11に近い他方まで順次減少した後、増加する。厚さと同様に、異なる曲率を離間的に設定しても、対応する厚さに適応することができ、前述の波状の曲面パネル1の線がより滑らかになり、外面の触感が良くなり、より効果的に収差を低減できる。
【0024】
バックル2は、曲面パネル1から突出するように設けられる。バックル2は、曲面パネル1に対し垂直に伸びる係止ブロックと、係止ブロック側から係止ブロックの内部へ凹む溝を含む。本発明のAR光学マスクレンズは、バックル2の構造により、対応する他のAR光学マスクレンズの部分と嵌合し、構造が簡単で、取り外しが容易で、修理が容易である。
【0025】
AR光学マスクレンズは、さらに、曲面パネル1の側壁に開けられた固定穴(符号なし)を含み、固定穴を介してAR光学マスクレンズの他の部分と固定することができる。本発明のAR光学マスクレンズの構造は、簡単で空間利用率が高い。
【0026】
以上のように、本発明の非等厚光学レンズの設計方法は、レンズの入射面と出射面との間の厚さの調整により、入射光線と出射光線を平行にして、鮮明に結像し、収差を低減する効果を達成し、さらに長時間使用してもめまいがしない。
【0027】
以上に記載した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができる。記載を簡潔にするために、上記の実施例における各技術的特徴のすべてのあり得る組み合わせについては記載していない。ただし、これらの技術的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、すべて本明細書に記載された範囲と見なされるべきである。
【0028】
以上の記載した実施例は、単に本発明の複数の実施形態のみを表しており、その記載は具体的で詳細であるが、それによって本発明の特許請求の範囲に対する制限として理解されてはならない。なお、当業者にとって、本発明の思想を逸脱しない前提で、更なる複数の変形や改良も可能であり、それらは、すべて本発明の保護範囲に属するものである。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲を基準とするべきである。
【0029】
(付記)
(付記1)
非等厚光学レンズの設計方法であって、
ステップS1:光学ソフトウェアにレンズモデルを構築し、前記レンズモデルの大きさを決定し、前記レンズモデルの入射面および出射面の曲率に基づいて前記レンズモデルの所定の厚さを決定することと、
ステップS2:前記レンズモデルの入射面から入射して前記レンズモデルの出射面から出射される入射光線をシミュレーションし、入射光線が出射光線と平行であるかを比較することと、
ステップS3:前記入射光線が前記出射光線と平行である場合、このレンズの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成し、前記入射光線が前記出射光線と平行でない場合、前記レンズモデルの入射面と出射面との間の厚さを調整して、前記入射光線が前記出射光線と平行になるようにし、この際のこの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成することと、
ステップS4:光源と受信スクリーンを設置し、光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録し、前記位置およびサイズが一定であることを確認し、前記仮レンズ完成品を前記光源と受信スクリーンとの間に置き、光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録して、位置およびサイズが一定であれば、前記仮レンズ完成品をレンズ完成品とし、位置およびサイズが変化すれば、ステップS2に戻り、最後に前記仮レンズ完成品を前記光源と受信スクリーンとの間に置いて、受信スクリーンでの光線の位置およびサイズが一定を保つまで、ステップS2およびS3を繰り返すことと、
を含むことを特徴とする、非等厚光学レンズの設計方法。
【0030】
(付記2)
前記ステップS4において、前記光源は、平行光源であり、前記入射光線は、平行光線であることを特徴とする、付記1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【0031】
(付記3)
S3において得られた前記仮レンズ完成品は、レンズ中心部とレンズ周辺部を有し、前記仮レンズ完成品の曲率半径は、前記レンズ中心部から前記レンズ周辺部まで徐々に増加することを特徴とする、付記1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【0032】
(付記4)
S3において得られた前記仮レンズ完成品用の材質は、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする、付記3に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【0033】
(付記5)
前記レンズは、非球面レンズであり、前記非球面レンズは、半楕円形、台形の脚が弧状に変形した形状、矩形であることを特徴とする、付記3に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【0034】
(付記6)
光学ソフトウェアにおける最後に作成されたレンズ完成品のモデルに基づいて、当該レンズの最後の完成品を生産するための金型を作製することを特徴とする、付記1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非等厚光学レンズの設計方法であって、
ステップS1:光学ソフトウェアにレンズモデルを構築し、前記レンズモデルの大きさを決定し、前記レンズモデルの入射面および出射面の曲率に基づいて前記レンズモデルの所定の厚さを決定することと、
ステップS2:前記レンズモデルの入射面から入射して前記レンズモデルの出射面から出射される入射光線を前記光学ソフトウェアによりシミュレーションし、入射光線が出射光線と平行であるかを比較することと、
ステップS3:前記入射光線が前記出射光線と平行である場合、前記レンズモデルの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成し、前記入射光線が前記出射光線と平行でない場合、前記レンズモデルの入射面と出射面との間の厚さを調整して、前記入射光線が前記出射光線と平行になるようにし、この際のこの入射面および出射面の曲率と厚さとを記録し、仮レンズ完成品を作成することと、
ステップS4:前記光学ソフトウェアに光源と受信スクリーンを設置し、前記光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、前記受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録し、前記位置および前記サイズが一定であることを確認し、前記仮レンズ完成品を前記光源と前記受信スクリーンとの間に置き、前記光源をオンにし、前記受信スクリーンを前記光源から異なる距離の箇所に置き、前記受信スクリーンでの光線の位置およびサイズを記録して、位置およびサイズが一定であれば、前記仮レンズ完成品をレンズ完成品とし、位置およびサイズが変化すれば、前記ステップS2に戻り、最後に前記仮レンズ完成品を前記光源と前記受信スクリーンとの間に置いて、前記受信スクリーンでの光線の位置およびサイズが一定を保つまで、前記ステップS2および前記ステップS3を繰り返すことと、
を含むことを特徴とする、非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項2】
前記ステップS4において、前記光源は、平行光源であり、前記入射光線は、平行光線であることを特徴とする、請求項1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項3】
前記ステップS3において得られた前記仮レンズ完成品は、レンズ中心部とレンズ周辺部を有し、前記仮レンズ完成品の曲率半径は、前記レンズ中心部から前記レンズ周辺部まで徐々に増加することを特徴とする、請求項1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項4】
前記ステップS3において得られた前記仮レンズ完成品の材質は、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする、請求項3に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項5】
前記非等厚光学レンズは、非球面レンズであり、半楕円形台形の脚が弧状に変形した形状矩形のうちのいずれかの形状であることを特徴とする、請求項3に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【請求項6】
前記光学ソフトウェアにおける最後に作成された前記レンズ完成品のモデルに基づいて、前記非等厚光学レンズの最後の完成品を生産するための金型を作製することを特徴とする、請求項1に記載の非等厚光学レンズの設計方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3a
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4a
【国際調査報告】