特表2021-505971(P2021-505971A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-505971金属構造、その作成方法及びそれを応用した表示パネル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-505971(P2021-505971A)
(43)【公表日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】金属構造、その作成方法及びそれを応用した表示パネル
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20210122BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210122BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20210122BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210122BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20210122BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20210122BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210122BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20210122BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20210122BHJP
【FI】
   G09F9/30 317
   G09F9/00 336E
   G09F9/00 338
   G02F1/1343
   H05B33/14 A
   H05B33/14 Z
   H05B33/26 Z
   H01L27/32
   H05B33/02
   H05B33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-532745(P2020-532745)
(86)(22)【出願日】2017年12月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月12日
(86)【国際出願番号】CN2017118978
(87)【国際公開番号】WO2019119490
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】201711373560.1
(32)【優先日】2017年12月19日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501358079
【氏名又は名称】友達光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 碩宏
(72)【発明者】
【氏名】林 俊男
(72)【発明者】
【氏名】呉 佳聡
(72)【発明者】
【氏名】郭 吉庭
(72)【発明者】
【氏名】李 格睿
(72)【発明者】
【氏名】李 家宏
(72)【発明者】
【氏名】張 家銘
【テーマコード(参考)】
2H092
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H092GA29
2H092JA26
2H092JA40
2H092JA44
2H092JA46
2H092KA18
2H092KB04
2H092MA18
2H092NA01
2H092PA13
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
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3K107DD46Z
3K107FF06
3K107FF14
3K107FF15
3K107GG05
3K107GG12
3K107GG28
5C094AA10
5C094AA15
5C094BA03
5C094BA27
5C094BA43
5C094BA75
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5C094DA13
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5C094EA07
5C094FA02
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5C094GB01
5C094JA01
5C094JA08
5C094JA12
5G435AA03
5G435AA18
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE25
5G435KK05
(57)【要約】
金属構造は、パターン化モリブデンタンタル酸化物層及びパターン化金属層を含む。パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、第一基板上に設けられており、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、約2%〜12%であり、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多い。パターン化金属層は、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層上に設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属構造であって、第一基板上に設けられたパターン化モリブデンタンタル酸化物層と、パターン化金属層を含み、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、2%〜12%であり、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多く、
前記パターン化金属層は前記パターン化モリブデンタンタル酸化物層上に設けられる
ことを特徴とする金属構造。
【請求項2】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、酸素の原子百分率含有量は、5%〜60%である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項3】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、50オングストローム〜600オングストロームである
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項4】
該パターン化金属層の厚さは、50オングストローム〜10000オングストロームである
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項5】
該金属構造は、可視光範囲内の反射率が2%〜20%である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項6】
該金属構造の側面と底面との間は、10度〜80度の夾角を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項7】
表示パネルであって、第一基板と、第二基板と、表示媒体層と、パターン化モリブデンタンタル酸化物層と、パターン化金属層、を含み、
該第一基板は、外面、内面、及び、該第一基板の該外面と該内面とを接続する第一側辺を有し、且つ、該外面が該表示パネルの表示面として機能し、
該第二基板は、外面、内面、及び、該第一基板の該外面と該内面とを接続する第二側辺を有し、且つ、該第二基板の該内面は該第一基板の該内面に対向し、該第一側辺と該第二側辺は該表示パネルの同一側に位置し、該第一側辺は、実質的に該第二側辺と整合しているか、又は該第二側辺からはみ出ており、
該表示媒体層は、該第一基板と該第二基板との間に設けられており、
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、該第一基板の内面に設けられており、
該パターン化金属層は、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層と該第二基板の内面との間に設けられている
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項8】
該第二基板に光を供給するためのバックライト素子を更に含み、該第二基板は、該第一基板と該バックライト素子との間に位置し、且つ、該光は、該第二基板、該表示媒体層及び該第一基板を順に通過する
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
該パターン化金属層は、ゲート線、ゲート、共通線、データ線、ソース又はドレインの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項10】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、2%〜12%であり、且つ、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多い
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項11】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、酸素の原子百分率含有量は、5%〜60%である
ことを特徴とする請求項10に記載の表示パネル。
【請求項12】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、50オングストローム〜600オングストロームである
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項13】
第一基板を提供するステップと、
該第一基板の内面に、モリブデンタンタル酸化物からなるモリブデンタンタル酸化物層を形成するステップであって、該モリブデンタンタル酸化物において、タンタルの原子百分率含有量は、2%〜12%であり、且つ、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多いステップと、
該モリブデンタンタル酸化物層上に金属層を形成するステップと、
該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップであって、これにより、パターン化モリブデンタンタル酸化物層及びパターン化金属層が形成されるステップと、を含む
ことを特徴とする金属構造の作成方法。
【請求項14】
該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップは、
該金属層上にパターン化フォトレジスト層を形成することと、
酸性エッチング液を用いて、該パターン化フォトレジスト層をマスクとして、該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層をエッチングすることと、を含む
ことを特徴とする請求項13に記載の金属構造の作成方法。
【請求項15】
該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップは、
アルカリ性フォトレジスト剥離液を用いて、該パターン化フォトレジスト層を除去することを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の金属構造の作成方法。
【請求項16】
該モリブデンタンタル酸化物において、酸素の原子百分率含有量は、5%〜60%である
ことを特徴とする請求項13に記載の金属構造の作成方法。
【請求項17】
該第一基板上に該モリブデンタンタル酸化物層を形成するステップは、非反応性スパッタリングプロセスを行うことを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の金属構造の作成方法。
【請求項18】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、50オングストローム〜600オングストロームである
ことを特徴とする請求項13に記載の金属構造の作成方法。
【請求項19】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、可視光範囲内の反射率が2%〜20%である
ことを特徴とする請求項13に記載の金属構造の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属構造、その作成方法及びそれを応用した表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、薄型、低消費電力及び幅広い応用範囲等の特性を有するため、現在のディスプレイの主流商品になっている。より広い視覚効果を達成するために、狭額縁は、徐々に液晶表示パネルの開発目標とされている。その一方、液晶表示パネル内のリード線が外光を反射して視覚効果に影響を与えてしまうため、現在では、液晶表示パネル内にブラックマトリクス層を設けることが多いが、リード線による外光の反射を防止する反面で、開口率の低下、表示輝度の低下の問題を引き起こしている。
【0003】
そこで、表示輝度を低下させることがなく、光の反射を効果的に低減できる狭額縁や、フルフラットで額縁レスの表示パネルを如何に開発するかが、現在の目標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の複数の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層及びパターン化金属層を設けることで、アクティブ素子アレイ基板は、利用者に近接する(即ち、アクティブ素子アレイ基板は、表示面を提供する)ことができる。本発明の一部の実施形態によれば、金属構造は、パターン化モリブデンタンタル酸化物層及びパターン化金属層を含む。パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、第一基板上に設けられているが、本発明は、これに限定されない。該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、約2%〜12%であり、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多い。パターン化金属層は、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層上に設けられている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、酸素の原子百分率含有量は、約5%〜60%である。
【0006】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、約50
〜約600オングストロームである。
【0007】
本発明の一部の実施形態では、パターン化金属層の厚さは、約50オングストローム〜約10000オングストロームである。
【0008】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、可視光範囲内の反射率が約2%〜約20%である。
【0009】
本発明の一部の実施形態では、金属構造の側面と底面との間は、10度〜80度の夾角を有する。
【0010】
本発明の一部の実施形態によれば、表示パネルは、第一基板と、第二基板と、表示媒体層と、パターン化モリブデンタンタル酸化物層と、パターン化金属層と、を含む。第一基板は、外面、内面、及び、外面と内面とを接続する第一側辺を有し、且つ、外面が表示パネルの表示面として機能する。第二基板は、外面、内面、及び、外面と内面とを接続する第二側辺を有し、且つ、第二基板の内面は第一基板の内面に対向し、第一側辺及び第二側辺は表示パネルの同一側に位置し、第一側辺は実質的に第二側辺と整合しているか、又は第二側辺からはみ出ている。表示媒体層は、第一基板と第二基板との間に設けられている。パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、第一基板の内面に設けられている。パターン化金属層は、パターン化モリブデンタンタル酸化物層と第二基板の内面との間に設けられている。
【0011】
本発明の一部の実施形態では、表示パネルは、第二基板に光を供給するためのバックライト素子を含み、第二基板は、第一基板とバックライト素子との間に位置し、且つ、光は、第二基板、表示媒体層及び第一基板を順に通過する。
【0012】
本発明の一部の実施形態では、パターン化金属層は、ゲート線、ゲート、共通線、データ線、ソース又はドレインの少なくとも1つを含む。
【0013】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、約2%〜12%であり、且つ、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多い。
【0014】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、酸素の原子百分率含有量は、約5%〜60%である。
【0015】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、約50オングストローム〜約600オングストロームである。
【0016】
本発明の一部の実施形態によれば、金属構造の作成方法は、第一基板を提供するステップと、該第一基板の内面に、モリブデンタンタル酸化物からなるモリブデンタンタル酸化物層を形成するステップであって、該モリブデンタンタル酸化物において、タンタルの原子百分率含有量は、約2%〜12%であり、且つ、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多いステップと、該モリブデンタンタル酸化物層上に金属層を形成するステップと、該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップであって、これにより、パターン化モリブデンタンタル酸化物層及びパターン化金属層が形成されるステップと、を含む。
【0017】
本発明の一部の実施形態では、該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップは、金属層上にパターン化フォトレジスト層を形成することと、酸性エッチング液を用いて、パターン化フォトレジスト層をマスクとして、モリブデンタンタル酸化物層及び金属層をエッチングすることと、を含む。
【0018】
本発明の一部の実施形態では、モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップは、アルカリ性フォトレジスト剥離液を用いて、パターン化フォトレジスト層を除去することを含む。
【0019】
本発明の一部の実施形態では、モリブデンタンタル酸化物において、酸素の原子百分率含有量は、約5%〜60%である。
【0020】
本発明の一部の実施形態では、第一基板上に該モリブデンタンタル酸化物層を形成するステップは、非反応性スパッタリング(non−reactive sputtering)プロセスを行うことを含む。
【0021】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、約50オングストローム〜約600オングストロームである。
【0022】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、可視光範囲内の反射率が約2%〜約20%である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A図1Aは、本発明の一部の実施形態による表示パネルの断面模式図である。
図1B図1Bは、本発明の一実施例の表示パネルの上面図である。
図1C図1Cは、図1Bにおける切断線1B−1Bに沿って描かれた断面模式図である。
図1D図1Dは、図1Bにおける切断線1C−1Cに沿って描かれた断面模式図である。
図2A-E】図2A図2Eは、本発明の一部の実施形態による金属構造のその作成方法における複数の段階の断面模式図である。
図3A-D】図3A図3Dは、本発明の一部の実施形態による金属構造の走査型電子顕微鏡像である。
図4A-D】図4A図4Dは、本発明の一部の実施形態による金属構造の透過型電子顕微鏡像である。
図5図5は、本発明の一部の実施形態による金属構造の反射スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面によって本発明の複数の実施形態を開示するが、説明を明確にするために、数多くの実務上の詳細については、以下の記述においてー括して説明する。しかしながら、これらの実務上の詳細は、本発明を限定するためのものではないことが理解されるべきである。即ち、本発明の一部の実施形態では、これらの実務上の詳細は、必要ではない。また、図面を簡素化するために、一部の慣用の構造と素子については、簡単に模式的に図示する。
【0025】
図面において、明確に表現するために、層、膜、パネル、領域等の厚さを拡大している。明細書全体にわたって、同一の符号は、同一の素子を示している。なお、例えば、層、膜、領域又は基板ようなの素子が、別の素子「上」に位置するか、或いは別の素子に「接続」されていると言及されている場合、別の素子上に直接位置したり、別の素子に接続されていたり、或いは中間素子が介在していることを意味する。逆に、素子が「別の素子上に直接位置する」か、或いは別の素子に「直接接続されている」と言及されている場合、中間素子が介在していないことを意味する。本明細書で使用されているように、「接続」は、物理的な接続及び/又は電気的な接続(カップリングともいう)を指し得る。ただし、電気的な接続(カップリングともいう)の場合、2つの素子の間に他の素子が介在することになる。
【0026】
なお、用語「第一」、「第二」等は、本明細書において、様々な素子、部品、領域、層、及び/又は部分を説明するために使用され得るが、これらの素子、部品、領域、層、及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、単に、一つの素子、部品、領域、層、及び/又は部分を他の素子、部品、領域、層、又は部分と区別するために使用される。したがって、以下で説明される「第一素子」、「部品」、「領域」、「層」、又は「部分」は、本明細書の教示から逸脱しない範囲で、第二素子、部品、領域、層、又は部分と名付けられ得る。
【0027】
ここで使用される用語は、あくまでも、特定の実施例を説明するためのものであり、限定的なものではない。本明細書で使用されているように、単数形となる「一つ」、「一個」、及び「該」は、文脈が明確にそうでないことを示さない場合は、「少なくとも1つ」のような複数形も含むことを意図している。「又は」は、「及び/又は」を意味する。本文で使用されているように、用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連列挙項目のありとあらゆる組み合わせを含む。なお、本明細書で使用される場合、用語「含む」及び/又は「包含」は、記載された特徴、領域、全体、ステップ、操作、素子、及び/又は部品の存在を特定するが、一つ又は複数の他の特徴、領域、全体、ステップ、操作、素子、部品、及び/又は組み合わせの存在や追加を除外しない。
【0028】
また、「下」や「底部」、及び、「上」や「頂部」のような空間的な相対語は、本明細書において、図面に示されるような一つの素子と別の要素との関係の説明に使用され得る。空間的な相対語は、図面に示される向き以外に、装置の様々な向きを包含することを意図している。例えば、図面中の装置が反転された場合、他の素子の「下」側に位置すると説明した素子は、他の素子の「上」側に位置することになる。したがって、例示的な用語である「下」は、図面の特定の向きに依存するが、上と下の向きの両方を包含し得る。同様に、図面中の装置が反転された場合、他の素子「の下」や他の素子の「下方」に位置すると説明した素子は、他の素子の「上方」に位置することになる。したがって、例示的な用語である「の下」や「下方」は、上方と下方の向きの両方を包含し得る。
【0029】
本明細書で使用される「約」又は「実質的に」は、問題となっている測定、及び、測定に関連する誤差の特定数量(即ち、測定システムの制約)を考慮して、記載された値及び当業者によって定められる特定値の許容可能な偏差範囲内の平均値を含む。例えば、「約」は、記載された値の1つ又は複数の標準偏差内、又は、±30%、±20%、±10%、±5%内であることを示し得る。さらに、本明細書で使用される「約」又は「実質的に」は、光学特性、エッチング特性又は他の特性に応じて、比較的許容可能な偏差範囲又は標準偏差を選択可能であり、必ずしも、全ての特性に1つの標準偏差を適用しなくてもよい。
【0030】
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、本発明の技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。更に理解されたいのは、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術及び本発明の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において、明確にそうであることを示さない限り、理想的な意味又は過度に正式な意味として解釈されない。
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、本発明の技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、本発明の説明で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限することを意図するものではない。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、1つ又は複数の関連する列挙項目のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0031】
図1Aは、本発明の一部の実施形態による表示パネル100の断面模式図である。表示パネル100は、第一基板120、表示媒体層130及び第二基板140を含む。表示媒体層130は、第一基板120と第二基板140との間に設けられている。表示媒体層130は、自己発光材料(例えば、有機発光層や、マイクロ発光ダイオード)、又は、非自己発光材料(例えば、液晶層や、電気泳動層)であってもよい。本実施例では、表示媒体層130を非自己発光材料(例えば、液晶層)とする例を取っており、表示パネル100には、選択的に、第二基板140に光を供給するためのバックライト素子110が更に設けられていてもよい。第二基板140は、第一基板120とバックライト素子110との間に位置し、且つ、光は、第二基板140、表示媒体層130及び第一基板120を順に通過する。本実施形態では、バックライト素子110は、サイド入光型の設計としてもよく、且つ、バックライト素子110は、光源112、導光板114又は他の適切な素子を含んでもよい。一方、光源112は、無機発光源、有機発光源、又は他の適切な材料、若しくはこれらの組み合わせを含んでもよい。一部の実施形態では、バックライト素子110は、直下型の設計としてもよく、且つ、バックライト素子110は、光源112又は他の適切な素子を含んでもよい。他の実施形態では、表示媒体層130が自己発光材料である場合、バックライト素子110が配置されなくてもよい。
【0032】
第一基板120は、外面122、内面124、及び、外面122と内面124とを接続する第一側辺126を有し、且つ、外面122は表示パネル100の表示面Iとして機能する。本発明の一部の実施形態では、第一基板120の内面124に金属構造が設けられている。これにより、表示媒体層130が制御される。例を挙げると、第一基板120は、アクティブ素子アレイ基板であってもよく、例えば、薄膜トランジスタ基板である。
【0033】
第二基板140は、外面142、内面144、及び、外面142と内面144とを接続する第二側辺146を有し、且つ、第二基板140の内面144は第一基板120の内面124に対向している。一実施例では、第一側辺126及び第二側辺146は、両方とも、表示パネル100の同一側に位置し、且つ、第一側辺126は、実質的に第二側辺146と整合しているか、或いは第二側辺146からはみ出ている。例を挙げると、第二基板140は、カラーフィルタ基板又は一般基板であってもよい。
【0034】
表示パネル100は、フレキシブル回路板150、回路板160及び筐体170を更に含んでもよい。フレキシブル回路板150は、第一基板120に貼り合わせられ、第一基板120及び第二基板140上の回路を回路板160に接続するためのものである。筐体170は、上述した表示パネル100の様々な素子を収納するためのものである。ここで、第一基板120(例えば、アクティブ素子アレイ基板)を利用者に近接するように設ける(例えば、第一基板120が表示面I(例えば、図1Aの白抜き矢印箇所)を提供する)ことで、フレキシブル回路板150等の回路構成を遮蔽するためにフレーム(図示せず)の追加設定を減らし、ひいては、狭額縁の効果を達成することができる。
【0035】
図1Bは、本発明の一実施例の表示パネル100の部分上面図である。図1Cは、図1Bにおける切断線1B−1Bに沿って描かれた断面模式図である。図1Dは、図1Bにおいける切断線1C−1Cに沿って描かれた断面模式図である。図1A図1Dを、併せて参照されたい。
【0036】
表示パネル100は、データ線DL、ゲート線GL、ゲート誘電体層GI、アクティブ素子AD及び画素電極PEを含む。これらは第一基板120の内面124に設けられてもよい。一部の実施例では、表示パネル100は、選択的に、共通線CL又は他の適切な配線を更に含んでもよい。データ線DLとゲート線GLとは、複数の画素領域PAを画定するように、互い違いに配置されているが、これに限定されない。一部の実施例では、1つの画素領域PAは、少なくとも1つのアクティブ素子ADと、少なくとも1つの画素電極PEを含み、且つ、画素電極PEがアクティブ素子ADに電気的に接続される。一部の実施例では、1つの画素領域PAは、少なくとも1本のデータ線DL、少なくとも1本のゲート線GL、又は、他の適切な配線を含んでもよい。
【0037】
アクティブ素子ADは、半導体層SL、ゲートGE、ソースSE、ドレインDEを含む。ソースSE、ドレインDEは、それぞれ、半導体層SLの両端に電気的に接続され、ゲートGEは、半導体層SLの両端を導通させるかどうかを制御するためのものである。ゲートGEと半導体層SLとは、ゲート誘電体層GIによって分離されている。一部の実施形態では、ゲートGEはゲート線GLに電気的に接続され、ソースSEはデータ線DLに電気的に接続され、ドレインDEは画素電極PEに電気的に接続されている。これにより、アクティブ素子ADは、ゲート線GLの制御を介してデータ線DLと画素電極PEとを導通させることができる。本実施形態では、好ましくは、アクティブ素子ADは、ボトムゲート型薄膜トランジスタ(Bottom Gate−TFT)であり、例えば、ゲートGEは半導体層SLと第一基板120の内面124との間に位置する。他の実施例では、アクティブ素子ADは、トップゲート型薄膜トランジスタ(Top Gate−TFT)であり、例えば、半導体層SLがゲートGEと第一基板120の内面124との間に位置してもよい。
【0038】
また、画素電極PEとアクティブ素子ADとの間には、保護層180が設けられていてもよい。ここで、ゲート誘電体層GI及び保護層180には、絶縁材料が用いられており、絶縁材料としては、無機材料(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素又は他の適切な材料)、有機材料(例えば、無色又は着色フォトレジスト、ポリイミド、ベンゾシクロブテン又は他の適切な材料)、又は、他の適切な材料を含む。
【0039】
ここで、第一基板120(例えば、アクティブ素子アレイ基板)が利用者に近接している(例えば、アクティブ素子アレイ基板が表示面I(例えば、図1Aの白抜き矢印箇所)を提供している)ため、第一基板120上の各金属層及び/又は合金層の材料は、光を反射し易く、視覚効果に影響を与えてしまう。本発明の複数の実施形態では、低反射層(例えば、金属又は合金層)を設けることで、反射率を低下させてもよい。一つの好ましい実施例では、第一基板120は、ブラックマトリクス(Black Matrix)を追加的に設定しないことで、表示パネル100の開口率を向上させてもよいが、本発明は、これに限定されず、当業者は、実際の需要に応じて選択可能である。
【0040】
具体的には、図1C及び図1Dを参照すると、本発明の一部の実施形態では、第一基板120の内面124上のゲート線GL、選択的に設けることが可能な共通線CL、アクティブ素子ADのゲートGE、又は他の適切な配線、若しくは、これらの配線のいずれか一方は、パターン化金属層320’により形成してもよい。このパターン化金属層320’と第一基板120の内面124との間には、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’が更に設けられている。例を挙げると、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’は、第一基板120の内面124とパターン化金属層320’との間に設けられ、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’とパターン化金属層320’とは、金属構造300と総称される。ここで、パターン化金属層320’は、単層又は多層構造としてもよく、且つ、パターン化金属層320’の材料は、金属、合金、又はその塩類、若しくは、反射率を持つ他の材料を含んでもよい。パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’も、単層又は多層構造であってもよい。
【0041】
本発明の一部の実施形態では、第一基板120の内面124上のデータ線DL、アクティブ素子ADのソースSE、ドレインDE、又は他の適切な配線、若しくは、これらの配線のいずれか一方は、パターン化金属層420’により形成されてもい。ボトムゲート型薄膜トランジスタ(Bottom Gate−TFT)を例とする場合、このパターン化金属層420’とゲート誘電体層GIとの間には、パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’が更に設けられている。例を挙げると、パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’は、ゲート誘電体層GI上に設けられ、パターン化金属層420’は、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’上に設けられている。トップゲート型薄膜トランジスタ(Top Gate−TFT)を例とする場合、このパターン化金属層420’と第一基板120の内面124との間には、パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’が更に設けられている。例を挙げると、パターン化金属層420’は、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’上に設けられている。パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’とパターン化金属層420’とは、金属構造400と総称される。ここで、パターン化金属層420’は、単層又は多層構造としてもよく、且つパターン化金属層420’の材料は、金属、合金、又はその塩類、若しくは、反射率を持つ他の材料を含んでもよい。パターン化モリブデンタンタル酸化物層410’も、単層又は多層構造であってもよい。
【0042】
これによって、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’、410’は、第一基板120の外面122から表示パネル100に入った光がパターン化金属層320’、420’で反射されて、視聴者の視覚効果に影響を与えてしまうことを防止できる。
【0043】
ここで、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’、410’の厚さは、約50オングストローム〜約600オングストロームであってもよく、パターン化金属層320’、420’の厚さは、約50オングストローム〜約10000オングストロームであってもよいが、これに限定されない。
【0044】
本発明の一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310、410において、タンタルの原子百分率(atomic percent)含有量は、約2%〜約12%であり、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多い。この含有量にすることで、パターン化過程におけるパターン化モリブデンタンタル酸化物層のオーバーエッチング(over etching)の問題を低減又は解消することができる。一部の実施形態では、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’、410’において、酸素の原子百分率含有量は、約5%〜約60%であってもよい。モリブデンタンタル酸化物に他の元素や不純物がない場合、モリブデン原子百分率+タンタル原子百分率+酸素原子百分率の合計は、概ね100%(単位無し)に等しい一方、モリブデンタンタル酸化物に他の元素や不純物がある場合、前記の原子百分率の合計に、他の元素又は不純物の合計を更に足すと、概ね100%(単位無)に等しくなる。
【0045】
本実施例では、選択的に、第二基板140上に設けられた共通電極CEを更に含んでもよいが、本発明は、これに限定されず、共通電極CEは、第一基板120又は第二基板140の一方に選択的に設けられてもよい。ここで、上下電極の配置を例としているが、本発明は、これに限定されない。一部の実施形態では、前記金属構造300、400は、横方向電界効果液晶表示パネル(In−Plane−Switching、IPS)パネルに配置されてもよい。或いは、他の実施形態では、前記金属構造300、400は、マルチドメイン垂直配向型(Multi−domain Vertical Alignment、MVA)液晶表示パネルに配置されてもよい。
【0046】
図2A図2Eは、本発明の一部の実施形態による金属構造300のその作成方法における複数の段階の断面模式図である。以下、金属構造300の制造方法を詳しく述べる。
【0047】
図2Aを参照する。第一基板120を提供して、第一基板120の内面124に、モリブデンタンタル酸化物からなるモリブデンタンタル酸化物層310を形成し、モリブデンタンタル酸化物層310の厚さは、約50オングストローム〜約600オングストロームであってもよい。本発明の一部の実施形態では、第一基板120上にモリブデンタンタル酸化物層310を形成するステップは、非反応性スパッタリング(non−reactive sputtering)プロセス、又は、反応性スパッタリング(reactive sputtering)プロセスを行うことを含む。一実施例では、非反応性スパッタリングプロセスを例とする場合、物理気相堆積法(physical vapor deposition;PVD)を用いてもよい。本実施例では、反応性ガス(例えば、酸素ガス、窒素ガス、又は他の適切なガス、若しくは、これらのガスの混合物)を通気せずに物理気相堆積を行うと、モリブデンタンタル酸化物層310の成膜の均一性を向上させることができる。
【0048】
図2Bを参照する。モリブデンタンタル酸化物層310上に金属層320を形成する。金属層320の厚さは、約50オングストローム〜約10000オングストロームであってもよい。金属層320の材料は、アルミニウム、銅、銀、チタン、モリブデン、タンタル、ニオブ、マグネシウム、亜鉛又はプラセオジムの少なくとも1つ、これらの材料の金属複合層、これらの材料の合金、これらの材料の塩類、又は、他の適切な金属導電材料であってもよい。本実施例では、金属層320は、単層の金属層であるが、本発明は、これに限定されず、金属層320は、金属材料の積層構造、又は、他の材料と金属材料との積層構造であってもよい。
【0049】
図2C図2Eを参照する。モリブデンタンタル酸化物層310及び金属層320に対してパターニングプロセスを行い、これにより、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’及びパターン化金属層320’が形成され、両者は、金属構造300と総称される。
【0050】
具体的には、まず、図2Cを参照すると、金属層320上にパターン化フォトレジスト330を形成する。パターン化フォトレジスト330は、フォトレジスト層を塗布し、該フォトレジスト層を部分的に露光し、露光された/露光されなかったフォトレジスト層を取り除くことにより形成してもよい。パターン化フォトレジスト330は、ポジ型のフォトレジスト又はネガ型のフォトレジストであってもよいが、本発明は、これに限定されない。
【0051】
次に、図2Dを参照すると、パターン化フォトレジスト330をマスクとして、金属層320及びモリブデンタンタル酸化物層310をエッチングして、パターン化金属層320’及びパターン化モリブデンタンタル酸化物層310’を形成する。両者は、金属構造300と総称される。前述のように、パターン化金属層320’は、ゲート線GL、選択的に設けることが可能な共通線CL、アクティブ素子ADのゲートGE(図1B図1Dを参照)又は、他の適切な配線のいずれか1つを含んでもよい。一部の実施形態では、このエッチングは、例えば、過酸化水素水、硫酸や両者の組み合わせのような酸性エッチング液を用いて行われるが、これに限定されず、金属構造300の成分に応じて、適切なエッチング液の成分を選択してもよい。
【0052】
更に、図2Eを参照すると、他の層体がパターン化金属層320’上に設けられやすくなるように、パターン化フォトレジスト330を除去する。一部の実施形態では、パターン化フォトレジスト330の除去は、アルカリ性フォトレジスト剥離液を用いて行うことが好ましい。酸性エッチング液及びアルカリ性フォトレジスト剥離液を経て、金属構造300における第一基板120に近接する側(例えば、金属構造300のパターン化モリブデンタンタル酸化物層310’)アンダーカット(undercut)の問題が生じる恐れがある。このアンダーカットの問題は、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’内のタンタル原子百分率含有量を調整することで改善することが可能であり、図3A図3D及び図4A図4Dを参照されたい。一部の実施形態では、理想的に、金属構造300の側面300Aと底面300Bとの間は、約10度〜約80度の夾角Qを有する。
【0053】
ここで、金属構造300(図1B図2Eを参照)の作成方法のみに言及しているが、理解されたいのは、金属構造400(図1Bを参照)も、同様な作成方法(図3A図3Dを参照)により形成されることが可能であることである。パターン化金属層420’(図1Bを参照)は、データ線DL及びアクティブ素子ADのソースSE又はドレインDE、或いは他の適切な配線のいずれか1つであってもよい。パターン化金属層420’の材料は、パターン化金属層320’と実質的に同じ又は異なってもよい。例を挙げると、パターン化金属層420’(図1Bを参照)の材料は、アルミニウム、銅、銀、チタン、モリブデン、タンタル、ニオブ、マグネシウム、亜鉛又はプラセオジムの少なくとも1つ、これらの材料の金属複合層、これらの材料の合金、これらの材料の塩類、又は、他の適切な金属導電材料であってもよい。パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’、410’は、原子百分率が実質的に同じ又は異なる材料としてもよい。金属構造400(図1Bを参照)の他の詳細は、金属構造300の作成方法と大体同じであり、ここでは繰り返さない。
【0054】
図3A図3Dは、本発明の一部の実施形態による様々な原子比率の金属構造300(図2Dを参照)のエッチング後且つフォトレジスト除去前の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)像である。図3A図3Dにおいて、金属構造300(図2Dを参照)のパターン化モリブデンタンタル酸化物層310’のタンタル(tantalum;Ta)の原子比率は、それぞれ、約0%、約2%、約4%及び約6%である。これらの図面から分かるように、タンタルの原子比率が約0%である場合、金属構造300には、明らかなアンダーカット(undercut)がある。図3Aに示すように、マークUCに示す箇所では、金属構造300のエッジに溝が存在し、第一基板120と繋がっていない。これは、アンダーカット現象である。タンタルの原子比率の増加につれて、アンダーカットの度合は、徐々に低下する。図3B図3Dに示すように、金属構造300のエッジにおける溝は、タンタルの原子比率の増加につれて小さくなる。
【0055】
図3A図3Dにおいて、金属構造300(図2Dを参照)が酸性エッチング液のみを経ており、アルカリ性フォトレジスト剥離液をまだ経ていないが、アンダーカットの度合とタンタルとの関係が既に分かる。
【0056】
図4A図4Dは、本発明の一部の実施形態による様々な原子比率の金属構造300(図2Eを参照)のフォトレジスト除去後の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)像である。図4A図4Dにおいて、金属構造300(図2Eを参照)のパターン化モリブデンタンタル酸化物層のタンタル(tantalum;Ta)の原子比率は、それぞれ、約6%、約8%、約10%及び約12%である。これらの図面から分かるように、タンタルの原子比率の増加につれて、アンダーカット(undercut)の度合は、徐々に低下する。ただし、タンタルの原子比率の増加につれて、必要となるエッチング時間も徐々に長くなる。本実施例では、パターン化金属層320’の材料が銅である場合を例とすると、図3A図3D内の金属構造300(図2Eを参照)エッチングは、それぞれ、約108秒、約120秒、約135秒、約148秒のエッチング時間を経ないと、金属構造300をパターン化する効果を達成できないが、このエッチング時間は、試験条件によって異なり得るが、この例は、材料の組成の違いによるエッチング時間の相対的な関係についての説明に過ぎない。
【0057】
これにより、本発明の一部の実施形態では、モリブデンタンタル酸化物中タンタルの原子百分率含有量は、アンダーカット(undercut)の度合を軽減してプロセスの効率を向上させるために、約2%〜12%になるように設けられている。この設計では、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多くなる。本発明の一部の実施形態では、モリブデンタンタル酸化物において、酸素の原子百分率含有量は、約5%〜60%である。ここで、モリブデンタンタル酸化物内のタンタル、モリブデン、酸素の原子百分率は、エネルギー分散アナライザー(Energy Dispersive Spectroscopy;EDS)で、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’(図2D図2Eを参照)内の元素の含有量を分析して得られる。
【0058】
図5は、本発明の一部の実施形態による金属構造300の反射スペクトル図である。番号1〜4は、それぞれ、パターン化モリブデンタンタル酸化物層310’(図2Eを参照)のタンタル(tantalum;Ta)の原子比率がそれぞれ約6%、約8%、約10%及び約12%である場合の金属構造300(図2Eを参照)の反射率を表す。同図に示すように、金属構造300(即ち、パターン化金属層320’及びパターン化モリブデンタンタル酸化物層310’)は、可視光範囲内の反射率が概ね2%〜20%であり、環境光の反射を低減して、視聴者の視覚効果に影響を与えてしまうことを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の複数の実施形態では、アクティブ素子アレイ基板を利用者に近接するように設ける(即ち、アクティブ素子アレイ基板が表示面を提供する)ことで、回路構成がディスプレイの額縁を占めてしまうことを回避し、ひいては、狭額縁の効果を達成することができる。更に、アクティブ素子アレイ基板において、低反射層を金属層と基板との間に位置するように設計することで、環境光の反射を低減して、より良好な視覚効果を達成することができる。これにより、本発明の実施形態における表示パネルは、狭額縁や、フルフラット且つ額縁レス(four side bezel−less)で、表示輝度を低下させることなく、光の反射を有効に防止する効果を達成することができる。
【0060】
勿論、本発明は、他の様々な実施例を有することが可能であり、本発明の精神及びその本質から逸脱することなく、当業者は、本発明に従って様々な対応する変更及び変形を行えるが、これらの対応する変更及び変形は、全て本発明の請求項の保護範囲に属すべきである。
【符号の説明】
【0061】
100 :表示パネル
320’ :パターン化金属層
110 :バックライト素子
330 :パターン化フォトレジスト
112 :光源
400 :金属構造
114 :導光板
410’ :パターン化モリブデンタンタル酸化物層
120 :第一基板
420’ :パターン化金属層
122 :外面
DL :データ線
124 :内面
GL :ゲート線
126 :第一側辺
CL :共通線
130 :表示媒体層
GI :ゲート誘電体層
140 :第二基板
AD :アクティブ素子
142 :外面
PE :画素電極
144 :内面
PA :画素領域
146 :第二側辺
SL :半導体層
150 :フレキシブル回路板
GE :ゲート
160 :回路板
SE :ソース
170 :筐体
DE :ドレイン
180 :保護層
Q :夾角
300 :金属構造
1B−1B :切断線
310 :モリブデンタンタル酸化物層
1C−1C :切断線
310’ :パターン化モリブデンタンタル酸化物層
UC :マーク
320 :金属層
I:表示面
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
【手続補正書】
【提出日】2020年6月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属構造であって、第一基板上に設けられたパターン化モリブデンタンタル酸化物層と、パターン化金属層を含み、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、2%〜12%であり、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多く、
前記パターン化金属層は前記パターン化モリブデンタンタル酸化物層上に設けられる
ことを特徴とする金属構造。
【請求項2】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、酸素の原子百分率含有量は、5%〜60%である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項3】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、50オングストローム〜600オングストロームである
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項4】
該パターン化金属層の厚さは、50オングストローム〜10000オングストロームである
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項5】
該金属構造は、可視光範囲内の反射率が2%〜20%である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項6】
該金属構造の側面と底面との間は、10度〜80度の夾角を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の金属構造。
【請求項7】
表示パネルであって、第一基板と、第二基板と、表示媒体層と、パターン化モリブデンタンタル酸化物層と、パターン化金属層、を含み、
該第一基板は、外面、内面、及び、該第一基板の該外面と該内面とを接続する第一側辺を有し、且つ、該外面が該表示パネルの表示面として機能し、
該第二基板は、外面、内面、及び、該第基板の該外面と該内面とを接続する第二側辺を有し、且つ、該第二基板の該内面は該第一基板の該内面に対向し、該第一側辺と該第二側辺は該表示パネルの同一側に位置し、該第一側辺は、実質的に該第二側辺と整合しているか、又は該第二側辺からはみ出ており、
該表示媒体層は、該第一基板と該第二基板との間に設けられており、
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、該第一基板の内面に設けられ、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、タンタルの原子百分率含有量は、2%〜12%であり、且つ、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多く、
該パターン化金属層は、該パターン化モリブデンタンタル酸化物層と該第二基板の内面との間に設けられている
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項8】
該第二基板に光を供給するためのバックライト素子を更に含み、該第二基板は、該第一基板と該バックライト素子との間に位置し、且つ、該光は、該第二基板、該表示媒体層及び該第一基板を順に通過する
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
該パターン化金属層は、ゲート線、ゲート、共通線、データ線、ソース又はドレインの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項10】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層において、酸素の原子百分率含有量は、5%〜60%である
ことを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項11】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、50オングストローム〜600オングストロームである
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル。
【請求項12】
第一基板を提供するステップと、
該第一基板の内面に、モリブデンタンタル酸化物からなるモリブデンタンタル酸化物層を形成するステップであって、該モリブデンタンタル酸化物において、タンタルの原子百分率含有量は、2%〜12%であり、且つ、モリブデンの原子百分率含有量及び酸素の原子百分率含有量は、両方とも、タンタルの原子百分率含有量よりも多いステップと、
該モリブデンタンタル酸化物層上に金属層を形成するステップと、
該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップであって、これにより、パターン化モリブデンタンタル酸化物層及びパターン化金属層が形成されるステップと、を含む
ことを特徴とする金属構造の作成方法。
【請求項13】
該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップは、
該金属層上にパターン化フォトレジスト層を形成することと、
酸性エッチング液を用いて、該パターン化フォトレジスト層をマスクとして、該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層をエッチングすることと、を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の金属構造の作成方法。
【請求項14】
該モリブデンタンタル酸化物層及び該金属層に対してパターニングプロセスを行うステップは、
アルカリ性フォトレジスト剥離液を用いて、該パターン化フォトレジスト層を除去することを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の金属構造の作成方法。
【請求項15】
該モリブデンタンタル酸化物において、酸素の原子百分率含有量は、5%〜60%である
ことを特徴とする請求項12に記載の金属構造の作成方法。
【請求項16】
該第一基板上に該モリブデンタンタル酸化物層を形成するステップは、非反応性スパッタリングプロセスを行うことを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の金属構造の作成方法。
【請求項17】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層の厚さは、50オングストローム〜600オングストロームである
ことを特徴とする請求項12に記載の金属構造の作成方法。
【請求項18】
該パターン化モリブデンタンタル酸化物層は、可視光範囲内の反射率が2%〜20%である
ことを特徴とする請求項12に記載の金属構造の作成方法。
【国際調査報告】