特表2021-506240(P2021-506240A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴェンタ デ エスペシアリダデ キミカス エス.アー.の特許一覧

特表2021-506240ポリカルボン酸を含有する食品グレードの被覆粒子
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-506240(P2021-506240A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】ポリカルボン酸を含有する食品グレードの被覆粒子
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20210125BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210125BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20210125BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20210125BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20210125BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20210125BHJP
   A23G 4/06 20060101ALI20210125BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20210125BHJP
   A23K 40/30 20160101ALI20210125BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20210125BHJP
   A23L 29/281 20160101ALN20210125BHJP
【FI】
   A23L5/00 F
   A61K47/12
   A61K8/365
   A61K9/14
   A23L27/00 B
   A23G3/34 101
   A23G4/06
   A23K20/158
   A23K40/30 Z
   A23K20/163
   A23L29/281
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-531659(P2020-531659)
(86)(22)【出願日】2018年12月13日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月12日
(86)【国際出願番号】EP2018084845
(87)【国際公開番号】WO2019115733
(87)【国際公開日】20190620
(31)【優先権主張番号】17382850.0
(32)【優先日】2017年12月14日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520189784
【氏名又は名称】ヴェンタ デ エスペシアリダデ キミカス エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】VENTA DE ESPECIALIDADES QUIMICAS,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミレ カルセラー,ジョルディ
(72)【発明者】
【氏名】ロザノ ペレズ,カルレス
(72)【発明者】
【氏名】セグレット ポンス,ロジャー
【テーマコード(参考)】
2B150
4B014
4B035
4B041
4B047
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
2B150DA34
2B150DA35
2B150DA36
2B150DA55
2B150DC13
2B150DC14
2B150DC23
4B014GB06
4B014GB07
4B014GB13
4B014GG07
4B014GG18
4B014GK03
4B014GK04
4B014GK05
4B014GK08
4B014GL04
4B014GL10
4B014GP01
4B014GP12
4B014GQ05
4B014GQ12
4B035LC04
4B035LC16
4B035LE01
4B035LG07
4B035LG08
4B035LG09
4B035LG10
4B035LG11
4B035LK01
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP26
4B035LP36
4B041LC01
4B041LD01
4B041LE08
4B041LK07
4B041LK10
4B041LK17
4B041LP01
4B041LP10
4B041LP16
4B047LB08
4B047LE06
4B047LG08
4B047LG10
4B047LP03
4B047LP07
4B047LP09
4C076AA31
4C076BB01
4C076DD43
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG32
4C076GG33
4C083AC301
4C083AC302
4C083CC01
4C083DD16
4C083EE01
4C083FF01
(57)【要約】
食品グレードの被覆粒子であって、a)(C〜C12)ポリカルボン酸を含むコアと、b)コーティングであって、(i)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩、及び(ii)皮膜形成剤を含み、(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60であることを特徴とするコーティングとを含む、食品グレードの被覆粒子に関する。また、これらの食品グレードの被覆粒子の調製方法と、食品添加物としてのそれらの使用、並びに、それらを含む食料品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品グレードの被覆粒子であって、
a)(C〜C12)ポリカルボン酸を含むコアと、
b)コーティングであって、
(i)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、前記(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩と、
(ii)皮膜形成剤とを含み、
(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60である、前記コーティングとを含む、前記食品グレードの被覆粒子。
【請求項2】
前記コアの前記(C〜C12)ポリカルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の食品グレードの粒子。
【請求項3】
前記コーティングの前記(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩が、リンゴ酸一水素ナトリウム又はカリウム、クエン酸二水素ナトリウム又はカリウム、クエン酸一水素二ナトリウム又は二カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜2のいずれかに記載の食品グレードの粒子。
【請求項4】
前記皮膜形成剤が、グリセリド、ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステル、ソルビタン(C〜C28)脂肪エステル、セルロースエーテル、多糖、ポリオール、天然ゴム、加工デンプン、タンパク質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の食品グレードの粒子。
【請求項5】
前記皮膜形成剤がモノグリセリドである、請求項4に記載の食品グレードの粒子。
【請求項6】
前記コーティングが、粒子の総重量に対して10重量%〜40重量%の量で存在する、請求項1〜5のいずれかに記載の食品グレードの粒子。
【請求項7】
前記コーティングが20%〜40%の前記(C〜C12)ポリカルボン酸の前記アルカリ金属塩及び60〜80%の前記皮膜形成剤からなり、前記成分の合計量が100%に等しいものとして、前記%がコーティングの総重量に対する重量で表される、請求項1〜6のいずれかに記載の食品グレードの粒子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載される食品グレードの被覆粒子の調製方法であって、
a)前記(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、前記(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)を、適切な温度の皮膜形成剤(ii)中に分散又は溶解する工程であって、(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60である工程と、
b)工程a)の前記分散液又は溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧する工程と、
を含む、調製方法。
【請求項9】
工程a)において、前記(C〜C12)ポリカルボン酸の前記アルカリ金属塩が、予め溶解した皮膜形成剤中に分散される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程a)において、前記(C〜C12)ポリカルボン酸の前記アルカリ金属塩が水溶液の形態であり、予め溶解した皮膜形成剤で乳化される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに定義される食品グレードの被覆粒子の調製方法であって、
a´)アルカリ金属水酸化物の溶液を、(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧して(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)の層を形成する工程であって、前記(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、前記(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、工程と、
b´)(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60になるまで、皮膜形成剤(ii)を工程a´)の前記粒子に噴霧する工程と、を含む、調製方法。
【請求項12】
工程b´)において、前記皮膜形成剤が噴霧前に予め溶解される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
食品添加物としての、請求項1〜7のいずれかに定義される食品グレードの被覆粒子の使用。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかに定義される食品グレードの被覆粒子を含む食料品、飼料製品、化粧品又は医薬品。
【請求項15】
ハードキャンディ若しくはソフトキャンディ、又はチューインガムである、請求項14に記載の食料品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月14日付で出願された欧州特許出願第17382850.0号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ポリカルボン酸を含有する食品グレードの被覆粒子に関する。本発明はまた、それらの調製方法、食品添加物としてのそれらの使用、及びそれらを含む食料品に関する。
【背景技術】
【0003】
クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸等のポリカルボン酸は、食品製品に一般的に使用される添加物である。これらの酸が主に使用されている分野の1つは、例えばハードキャンディ及びソフトキャンディ、並びにチューインガムを含む製菓産業であり、強い酸味を生み出すために当該ポリカルボン酸の迅速な放出が望まれている。
【0004】
これらの吸湿性の酸は潮解性であるため、大気から水分を吸収する。さらに、これらのポリカルボン酸は、固有の酸性の性質により、幾つかの食品マトリクスに有害な相互作用を引き起こす可能性がある。例えば、ソフトゼリーキャンディの酸味料として適用する場合、ポリカルボン酸は、砂糖の反転反応を促進し、ゼリーの安定性を変化させる場合がある。
【0005】
その結果、これらの酸を環境から保護するための種々のカプセル化技術が開発されたことから、環境の水分摂取と食料品への望ましくない移行という上述の欠点を克服する。
【0006】
過去数年間、これらの酸味料をカプセル化するために、脂肪起源の保護コーティングが広く使用されてきた。脂肪コーティングの疎水性の性質は、吸湿性から保護するのに必要なバリアを提供する。しかしながら、これらのコーティングは、水媒質中で活性物質の放出が遅すぎ、味覚を損なう。
【0007】
特許文献1は、モノグリセリド、ジグリセリド、及びそれらの組み合わせを食品原料(例えば有機酸)のコーティングとして使用することを記載している。一般に、グリセリドは、通常使用される硬化脂肪(ヤシ、ヒマワリ)よりも弾性のコーティングをもたらし、それらは味がなく、良好な水分保護を可能にする。しかしながら、グリセリドは、生産中に粘着性のある挙動を示し、粒子の調製を困難にするため、例えばキャンディの製造のような特定の用途には柔らかすぎる場合がある。さらに、カプセル化された酸の良好な水分バリアを保証するために必要な量のグリセリドで被覆された粒子は、水中でのゆっくりとした放出を示し、味に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許3127434号
【特許文献2】米国特許第8431171号
【0009】
別のアプローチでは、特許文献2は、有効成分(食品グレードの酸)の保護コーティングとしての塩(例えば、リンゴ酸一水素ナトリウム)の使用を記載している。しかしながら、これらの塩で作られた層はフィルム形成特性が限られているため、大量の塩(粒子の総重量に対して少なくとも50重量%)を使用して、コアの酸を効果的に吸湿性から保護するより厚い層を作り出す必要がある。結果として、カプセル化された有機酸の酸味は、コーティングプロセスで使用される塩の量によって変化される。さらに、本発明者らは、粒子が摩擦プロセスに供された場合、大量の塩を含有するコーティング層の中程度の亀裂も観察した。したがって、特許文献2に開示されている粒子はもろく、その結果、取り扱いが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、当技術分野で知られていることから、当該酸を環境から保護するだけでなく、有効成分の迅速な放出を可能にし、先行技術の問題を克服するコーティング層を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明者らは、食品グレードの酸が、特定の比率の皮膜形成剤(例えば、モノグリセリド等)及び(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩の混合物を含有する複合コーティング層でカプセル化されると、粒子の総量に対するコーティングの量を減らすことができ、結果として得られる粒子は、従来技術の粒子と比較した場合に硬度の増加を示すことを見出した。この硬度の改善は、一方では脆性(brittelness)及び亀裂を防ぎ、他方で生産及び使用の間の操作を容易にする。
【0012】
さらに、以下の例に示されているように、複合コーティング層の疎水性の性質により、コアの酸の周囲にカプセル化膜を形成することができ、貯蔵寿命中に本発明の粒子が良好な安定性を示すように、水分バリアとして作用して良好な吸湿性保護を提供する。
【0013】
さらに、本発明の粒子は、カプセル化された酸の迅速な放出を可能にし、酸の味が変化しないという更なる利点を有する。これは、ハード/ソフトキャンディ及びチューインガム等、食品グレードの酸の迅速な放出が、強く長く続く酸味を提供する必要がある用途で特に関心が高い。
【0014】
したがって、本発明の或る態様は、食品グレードの被覆粒子であって、
a)(C〜C12)ポリカルボン酸を含むコアと、
b)コーティングであって、
(i)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸アルカリ金属塩と、
(ii)皮膜形成剤と、
を含み、
(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60である、コーティングとを含む、食品グレードの被覆粒子に関する。
【0015】
本発明はさらに、上記の粒子を調製するための簡単で迅速な方法に関する。したがって、本発明の第2の態様は、上に定義される食品グレードの被覆粒子の調製方法に関し、
a)上に定義される(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)を適切な温度の皮膜形成剤(ii)中に分散又は溶解する工程であって、ここで、(i)及び(ii)の間の重量比は20:80〜40:60である工程と、
b)工程a)の分散液又は溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧する工程と、を含む。
【0016】
本発明の第3の態様は、上に定義される食品グレードの被覆粒子の調製方法に関し、
a´)アルカリ金属水酸化物の溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧して、上に定義される(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)の層を形成する工程と、
b´)(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60になるまで、皮膜形成剤(ii)を工程a´)の粒子に噴霧する工程、を含む。
【0017】
上に定義される本発明の粒子は、食料品を調製するために使用され得る。したがって、本発明の更なる態様は、食品添加物としての食品グレードの被覆粒子の使用、及び任意に更なる可食性成分と共に食品グレードの被覆粒子を含む食料品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願において本明細書で使用される全ての用語は、特に明記しない限り、当該技術分野で知られている通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は以下に記載されており、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって適用されることが意図されている。
【0019】
特に明記しない限り、組成物の成分に関して本明細書で言及される全てのパーセンテージは、成分の合計量が100%に等しいものとして、粒子又はコーティングの総重量に対する重量で表される。
【0020】
本発明の目的では、「約」又は「およそ」という用語は、明示される値の±10%の値の範囲を指す。例えば、「約20」又は「およそ20」という表現は、20の±10%、すなわち18〜22までを含む。
【0021】
本発明の目的では、室温は20℃〜25℃を指す。
【0022】
本明細書で使用される「食品グレード(food−grade、食品品質)」という用語は、ヒト又は動物の消費に適合するか、又は少なくとも食品と接触することを許可されていることのいずれかを意味する。本明細書で使用される「可食性」という用語は、非毒性で消費に適していることを意味する。
【0023】
本発明の粒子は、コア−シェルマイクロカプセルの形態であり、すなわち、それらは、コア及びコーティングを含む。本発明の目的では、「カプセル化(された)」及び「被覆(された)」という用語は区別なく使用され、(C〜C12)ポリカルボン酸を含むコアがコーティングで完全に囲まれているという事実を指す。
【0024】
「コーティング」及び「シェル」という用語は、本明細書では区別なく使用され、コアを覆う層を指す。「単一成分」コーティング又はシェルという用語は、本明細書では、コーティング又はシェルが(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩又は皮膜形成剤の1つのみを含有するという事実を指す。「複合」コーティング又はシェルという用語は、本明細書では、コーティング又はシェルが、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩と皮膜形成剤の両方の組み合わせを含有するという事実を指す。
【0025】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、本発明は、コア及び単一コーティング層からなる(すなわち、コアは、1つのみのコーティング層で覆われている)食品グレードの粒子に関し、コア及びコーティング層の組成は本明細書に記載される通りである。
【0026】
本発明の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、本発明の粒子は実質的に丸みを帯びている。
【0027】
一般に、本発明の粒子は、それらが使用される用途に応じて、100μm〜1000μm、より詳しくは300μm〜700μmの平均粒子径を有する。本明細書で使用される平均粒子径は、D50(Dv(50)とも呼ばれる)に対応し、これは、サンプル内の物質の総体積の50%以下を含むサイズ分布のポイントである。平均粒子径は、振動ふるい(Filtra製のFTL−0200)を使用して測定することができる。
【0028】
本発明の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、本発明の粒子は、100μm〜1000μm、より詳しくは200μm〜800μm、更に詳しくは300μm〜600μmの平均粒子径を有する。
【0029】
本発明の粒子では、コアは(C〜C12)ポリカルボン酸を含み、コーティングは(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩を含む。コアのポリカルボン酸及びコーティング中に存在する塩の形態のポリカルボン酸は、同じであっても異なっていてもよい。
【0030】
本発明の目的では、「(C〜C12)ポリカルボン酸」という用語は、4個〜12個の炭素原子及び2個以上のカルボン酸基を含有する非環式又は環式のポリカルボン酸を指す。ポリカルボン酸は飽和であっても不飽和であってもよい。(C〜C12)ポリカルボン酸の例として、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩」という用語は、少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、1つのカルボキシル基は塩の形である、上に定義される(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩を指す。アルカリ金属塩の例としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、コアは、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される(C〜C12)ポリカルボン酸を含み、より詳しくは、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、更に詳しくは、コアに含まれる(C〜C12)ポリカルボン酸はリンゴ酸である。
【0033】
本発明の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、コーティングは、リンゴ酸一水素ナトリウム又はカリウム、クエン酸二水素ナトリウム又はカリウム、クエン酸一水素二カリウム又は二カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩を含むさらにより詳しくは、コーティングは、リンゴ酸一水素ナトリウム又はカリウムからなる群から選択される(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩を含む。
【0034】
本発明の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、コアのポリカルボン酸及びコーティング内に存在する塩の形態のポリカルボン酸は同じである。
【0035】
上述のように、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)と皮膜形成剤(ii)との間のコーティング中の重量比は、20:80〜40:60である。本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、(i)と(ii)の間のコーティングにおける重量比は25:75〜35:65である。別の実施形態では、(i)と(ii)の間のコーティングにおける重量比は、20:80、又は25:75、又は30:70、又は35:65、又は40:60である。
【0036】
本発明の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、コーティングは、(i)(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩、及び(ii)皮膜形成剤からなる。より詳しい実施形態では、(i)及び(ii)の重量%の合計は100%となるように、(i)及び(ii)は、コーティングの総重量に対して、それぞれ、20重量%〜40重量%及び60重量%〜80重量%の量でコーティング内に存在する。別のより詳しい実施形態では、(i)及び(ii)は、(i)及び(ii)の重量%の合計がコーティングの100%となるように、コーティングの総重量に対して、それぞれ、25重量%〜35重量%及び65重量%〜75重量%の量でコーティング内に存在する。別のより詳しい実施形態では、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩及び皮膜形成剤は、コーティングの総重量に対してそれぞれ、20重量%〜80重量%、又は25重量%〜75重量%、又は30重量%及び70重量%、又は35重量%及び65重量%、又は40重量%及び60重量%の量でコーティング内に存在する。
【0037】
本発明の粒子のコーティングは、皮膜形成剤を更に含む。皮膜形成コーティング剤は、表面上に連続的で均一な保護皮膜を形成するように設計されている。皮膜形成剤の主な目的は、通路を作る(to aisle)若しくは内部粒子を外部環境から保護する、又は粒子が放出されるまで粒子が行うはずの物理的若しくは化学的作用を遅らせることであり、これは、コーティング剤が溶ける又は溶解する特定の条件に寄与する。
【0038】
皮膜形成能を有するコーティング剤は、コーティングが個々の結晶の存在なしに表面上で冷却又は乾燥される場合に、均一で連続的な固体層を生成することができなければならない。また、コーティング剤の量が非常に少ない場合でも、環境との相互作用(融解、吸湿性、酸化等)の少なくとも50%を減少させる又はその時間を遅延させることができなければならない。
【0039】
典型的な皮膜形成剤は、液体/溶融コーティング材料、又はコーティングプロセス中に揮発する液体、好ましくは水中のコーティング材料の溶液を含む。
【0040】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、皮膜形成剤は乳化特性を有する。
【0041】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、皮膜形成剤は、グリセリド、ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステル、ソルビタン(C〜C28)脂肪エステル、水溶性セルロース化合物(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース)を含むセルロースエーテル、多糖(例えば、マルトデキストリン)、ポリオール(例えば、マルチトール、ソルビトール)、天然ゴム(例えば、アラビアゴム、アカシアゴム)、加工デンプン、タンパク質(例えばカゼイン、ゼラチン)、(C〜C12)ポリカルボン酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、ソルビン酸、アスコルビン酸)のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0042】
グリセリド又はアシルグリセロールは、グリセロールと(C〜C28)脂肪酸から形成されるエステルであり、生物学的又は工業的に生産され得る。本発明の目的では、「(C〜C28)脂肪酸」という用語は、直鎖又は分岐鎖のいずれかであり、飽和又は不飽和であり、4個〜28個の炭素原子を含む、長い脂肪族鎖を有するカルボン酸を指す。脂肪酸の例としては、ステアリン酸、セロチン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、モンタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
エステル化されるグリセロールのヒドロキシル官能基の数に応じて、グリセリドはモノグリセリド(1つの脂肪酸分子でエステル化された1つのヒドロキシル官能基)、ジグリセリド(2つの脂肪酸分子でエステル化された2つのヒドロキシル官能基)、及びトリグリセリド(3つの脂肪酸分子でエステル化された3つのヒドロキシル官能基)に分類される。
【0044】
グリセロールには第一級と第二級の両方のアルコール基が含まれているため、異なるタイプのモノグリセリド及びジグリセリドが形成される場合がある。モノグリセリドは、脂肪酸が第一級アルコールに結合している1−モノアシルグリセロール、又は脂肪酸が第二級アルコールに結合している2−モノアシルグリセロールとなる場合がある。ジグリセリドは、脂肪酸が第二級アルコールと、第一級アルコールの1つとに結合している1,2−ジアシルグリセロール、又は脂肪酸が第一級アルコールに結合している1,3−ジアシルグリセロールとなる場合がある。
【0045】
ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステルは、重合グリセロールを可食性の脂肪、油、又は脂肪酸と反応させることによって形成される混合部分エステルであり、脂肪酸は先に定義される通りである。ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステルは以下の式を有し得、
【化1】
式中、nの平均値は2〜20であり、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して脂肪酸部分又は水素である。ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステルの例としては、ヘキサグリセリルミリステート、デカグリセリルミリステート、ヘキサグリセリルオレエート、デカグリセリルオレエート、ヘキサグリセリルラウレート、デカグリセリルラウレート、デカグリセリルステアレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ソルビタン(C〜C28)脂肪エステル(Spansとしても知られている)は、ソルビタンと脂肪酸とのエステルであり、脂肪酸は先に定義される通りである。ソルビタン(C〜C28)脂肪エステルの例としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
多糖は、基本的に単糖繰り返し単位及び/又は誘導体化単糖繰り返し単位からなる主鎖を含むポリマーである。ポリマーは、長い直鎖から高度に分岐したものまで構成することができる。多糖の例としては、デンプン、加工デンプン、アミロペクチン、加工アミロペクチン、アミロース、加工アミロース、キトサン、キチン、グアーガム、マルトデキストリン、加工グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース(D−グルコースの長い線状ポリマー)、カルボキシアルキル化セルロース及びカルボキシメチルセルロース等の修飾セルロース、酸化多糖、硫酸化多糖、カチオン性多糖、ペクチン、アラビアゴム、カラヤゴム、キサンタン、カラギーナン、寒天及びアルギン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。多糖は構造皮膜を形成することができる。それらの構造に応じて、多糖は水に可溶又は不溶となり得る。
【0048】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、皮膜形成剤は、グリセリド、ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステル、ソルビタン(C〜C28)脂肪エステル、多糖、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。より詳しくは、皮膜形成剤は、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリグリセリル(C〜C28)脂肪エステル、ソルビタン(C〜C28)脂肪エステル、多糖、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0049】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせて、グリセリドは、ステアリン酸、セロチン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、モンタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びそれらの組み合わせのグリセリドからなる群から選択される。より詳しくは、グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらにより詳しくは、グリセリドはモノグリセリドであり、更により具体的には、モノグリセリドは1−モノアシルグリセロールである。本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、グリセリドはグリセロールモノステアレート(2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカノエート)である。本発明の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、グリセリドはジステアリン酸グリセロール、より詳しくは、(2−ヒドロキシ−3−オクタデカノイルオキシプロピル)オクタデカノエート又は(3−ヒドロキシ−2−オクタデカノイルオキシプロピル)オクタデカノエートである。
【0050】
本発明の特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、コーティングは粒子中に、総粒子重量に対して10重量%〜40重量%の量で存在する。より特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、コーティングは、粒子中に、総粒子重量に対して10重量%〜30重量%、より詳しくは15重量%〜25重量%の量で存在する。
【0051】
先に言及したように、本発明はまた、上に定義される食品グレードの粒子の調製方法にも関する。複合シェルを得るための幾つかの形態、すなわち、(i)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩の皮膜形成剤への分散又は溶解と(ii)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩溶液の皮膜形成剤への乳化、又は(iii)コア表面をin situで中和し、続いて皮膜形成剤を噴霧して穴を埋めることによるポリカルボン酸のアルカリ金属塩の生成がある。
【0052】
典型的には、採用されるコーティング媒質は、液体/溶融コーティング材料、又はコーティングプロセス中に揮発する液体、好ましくは水にコーティング材料を溶かした溶液であってもよい。
【0053】
したがって、上に定義される食品グレードの被覆粒子の調製方法であって、
a)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)を、適切な温度の皮膜形成剤(ii)中に分散又は溶解する工程であって、ここで、(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60である工程と、
b)工程a)の分散液又は溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧する工程と、を含む、調製方法は、本発明の一部を形成する。
【0054】
特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程a)を、30℃〜100℃、より詳しくは30℃〜60℃の温度で行う。
【0055】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程a)において、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩を予め溶融させた皮膜形成剤に分散させる。
【0056】
代替の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程a)において、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩は、水溶液の形態であり、予め溶融させた皮膜形成剤で乳化される。通常、達成される濃度が高いほど、時間処理(time−processing)に適している。
【0057】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b)を、30℃〜60℃、より詳しくは35℃〜50℃の温度で行う。
【0058】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b)を、最終生成物1kg当たり5g/分〜20g/分の流量で行う。
【0059】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b)を、1.0bar〜3.5bar、より詳しくは1.5bar〜3.5bar、更により詳しくは2bar〜3barの噴霧圧力のもとで行う。
【0060】
本発明はまた、上に定義される食品グレードの被覆粒子の調製方法であって、
a´)アルカリ金属水酸化物の溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧して、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)の層を形成する工程と、
b´)(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60になるまで、皮膜形成剤(ii)を工程a´)の粒子に噴霧する工程と、を含む、調製方法に関する。
【0061】
特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程a´)を、30℃〜100℃、より詳しくは30℃〜60℃の温度で行う。
【0062】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程a´)を、最終生成物1kg当たり5g/分〜20g/分の流量で行う。
【0063】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程a´)を1.0bar〜3.5bar、より詳しくは1.5bar〜3.5bar、更により詳しくは2bar〜3barの噴霧圧力のもとで行う。
【0064】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b´)を、30℃〜60℃、より詳しくは35℃〜50℃の温度で行う。
【0065】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b´)では、皮膜形成剤を噴霧前に予め溶融する。
【0066】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b´)を、最終生成物1kg当たり5g/分〜20g/分の流量で行う。
【0067】
別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、工程b´)は、1.0bar〜3.5bar、より詳しくは1.5bar〜3.5bar、更により詳しくは2bar〜3barの噴霧圧力のもとで行われる。
【0068】
本発明の粒子に関連して上述の特定の実施形態は、プロダクトバイプロセスの実施形態にも適用される。
【0069】
本発明はまた、
a)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸アルカリ金属塩を、適切な温度の皮膜形成剤(ii)中に分散又は溶解する工程であって、(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60である工程と、
b)工程a)の分散液又は溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧する工程と、
を含む方法によって取得可能な食品グレードの被覆粒子であって、
a)(C〜C12)ポリカルボン酸を含むコアと、
b)コーティングであって、
(i)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩と、
(ii)皮膜形成剤とを含むコーティングと、
を含み、(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60である、
食品グレードの被覆粒子に関する。
【0070】
本発明はまた、
a´)アルカリ金属水酸化物の溶液を(C〜C12)ポリカルボン酸に噴霧して、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である(C〜C12)ポリカルボン酸のアルカリ金属塩(i)の層を形成する工程と、
b´)(i)及び(ii)の重量比が20:80〜40:60になるまで、皮膜形成剤(ii)を工程a´)の粒子に噴霧する工程と、
を含む方法によって取得可能な、
a)(C〜C12)ポリカルボン酸を含むコア、及びb)コーティングであって、
(i)(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が酸の形態であり、(C〜C12)ポリカルボン酸の少なくとも1つのカルボン酸基が塩の形態である、(C〜C12)ポリカルボン酸アルカリ金属塩と、
(ii)皮膜形成剤とを含むコーティングと、を含み、
(i)及び(ii)の間の重量比が20:80〜40:60であることを特徴とする、
食品グレードの被覆粒子に関する。
【0071】
粒子の調製方法に関連して、及び粒子自体に関連して上述した特定の実施形態は、プロダクトバイプロセスの実施形態にも当てはまる。
【0072】
本明細書では、本発明の「方法に取得可能な」食品グレードの被覆粒子という表現は、その調製方法により食品グレードの被覆粒子を定義するために使用され、先に定義される工程a)及びb)、又はi)〜iii)、又はa´)及びb´)を含む調製方法を通じて得ることができる組成物を指す。本発明の目的では、「取得可能な」、「得られる(得られた)」という表現、及び同様の等しい表現は区別なく使用され、いずれにしても、「取得可能な」という表現は「得られる(得られた)」という表現を包含する。
【0073】
本発明の粒子は、様々な食料品の調製に使用することができる。したがって、本発明はまた、食品添加物としての上に定義される食品グレードの被覆粒子の使用、及び任意に更なる可食性成分と共に上に定義される食品グレードの被覆粒子を含む食料品に関する。
【0074】
特定の一実施形態では、任意に上記又は下記の様々な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、食料品は菓子製品、より詳しくはハード若しくはソフトキャンディ、又はチューインガムである。
【0075】
本発明の粒子を、飼料製品、化粧品及び医薬品の調製にも使用することができる。したがって、本発明はまた、上に定義される食品グレードの被覆粒子を含む飼料製品、化粧品及び医薬品に関する。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む」及びその単語の変形は、その他の技術的特徴、付加物、構成要素、又は工程を排除することを意図するものでない。さらに、「含む」という単語は、「からなる」の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点、特徴は、本明細書の検討により当業者に明らかとなるか、又は本発明の実施によって習得され得る。以下の実施例は、実例として提供され、それらは、本発明の限定を意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載される特定の及び好ましい実施形態の全ての可能性のある組み合わせを包含する。
【実施例】
【0077】
実施例1−溶解モノグリセリドに分散させたリンゴ酸一水素ナトリウムを含む複合シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0078】
噴霧ノズルを備えた造粒機/ミキサー/流動床装置を使用した。最初に、リンゴ酸(800g)をコアとして使用し、装置に添加して、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃の制御された温度の乾燥空気によって流動化した。この実施例において使用した可食性皮膜形成剤は、溶解モノグリセリド中に20%〜40%重量/重量で分散されたポリカルボン酸のアルカリ金属塩の混合物であった。特に、リンゴ酸一水素ナトリウム(60g)を、融点(100℃)超に予熱されたステアリン酸の溶解モノグリセリド(140g)(2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカノエート、VEROL N90)にミキサーで細かく分散させた。加熱した分散液(200g)をコアに噴霧し、製品温度を30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃に維持した。ポンプの流量は5g/分〜10g/分であり、噴霧圧は3barであった。この可食性フィルム形成コーティングは、30分後に完成した。得られた粒子は、化合物の総重量のおよそ20%重量の量で薄いコーティングを含んでいた。コーティング(複合シェル)は、約30%重量のリンゴ酸一水素ナトリウム及び約70%重量のステアリン酸のモノグリセリドを含有した。
【0079】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FIL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0080】
実施例2−溶解したモノグリセリドに乳化したリンゴ酸一水素ナトリウムを含む複合シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0081】
実施例1の手順を繰り返したが、複合シェルは、溶解したモノグリセリドとポリカルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液との間のエマルジョンによって生成されたという違いがある。複合シェルを生成するための条件は、実施例1とはかなり異なっていた。ここで、塩(リンゴ酸一水素ナトリウム)を予め水に溶解し、又は蒸留水(47g)中32%重量/重量(45g)の水酸化ナトリウム溶液でリンゴ酸(48g)をin situで中和して得た。40%〜44%のリンゴ酸一水素ナトリウム(140g)を含む熱水溶液を、高剪断ミキサーを使用しておよそ90℃の温度で、ステアリン酸の溶解モノグリセリド(2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカノエート、VEROL N90)(140g)に乳化した。乳化した溶液をコアに噴霧し、製品温度を30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃に維持した。ポンプの流量は5g/分〜10g/分であり、噴霧圧は3barであった。この可食性フィルム形成コーティングは、30分後に完成した。得られた粒子は、化合物の総重量のおよそ20%重量の量で薄いコーティングを含んでいた。コーティング(複合シェル)は、約30%重量のリンゴ酸一水素ナトリウム及び約70%重量のステアリン酸のモノグリセリドを含有した。
【0082】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FIL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0083】
実施例3−リンゴ酸一水素ナトリウム(in situで生成)及びモノグリセリドを含む複合シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0084】
実施例1の手順を繰り返したが、複合シェルがin situで生成されたという違いがあった。最初に、リンゴ酸(800g)をコアとして使用し、装置に添加して、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃の制御された温度の乾燥空気によって流動化した。32%重量/重量(50g)の水酸化ナトリウム水溶液を予熱せずにコアに噴霧した。ポンプの流量は10g/分であり、噴霧圧は3barであった。加熱された入口空気は、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃の温度で製品の流動化を維持した。この湿潤プロセスにより、5分後にコア上にリンゴ酸塩(リンゴ酸水素ナトリウム)コーティング部分をin situ生成することができ、塩の割合が約7%に達した。これに続いて、グリセリドを以下の条件で噴霧して、複合シェル保護を作りだした。すなわち、ステアリン酸のモノグリセリド(2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカノエート、VEROL N90)(130g)を融点(100℃)超に加熱した。溶解した溶液をコアに噴霧し、製品温度を30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃に維持した。ポンプの流量は5g/分〜10g/分であり、噴霧圧は3barであった。この可食性フィルム形成コーティングは、20分後に完成した。得られた粒子は、化合物の総重量のおよそ20%重量の量で薄いコーティングを含んでいた。コーティング(複合シェル)は、約7%重量のリンゴ酸一水素ナトリウム及び約13%重量のステアリン酸のモノグリセリドを含有した。
【0085】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FTL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0086】
比較例4−モノグリセリドを含む単一成分シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0087】
実施例1の手順を繰り返したが、コーティングが乳化皮膜形成剤(単一成分シェル)からのみ形成されるという違いがあった。この場合、ステアリン酸のモノグリセリド(2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカノエート、VEROL N90)(200g)を融点(100℃)超に加熱した。溶解した溶液をリンゴ酸のコア(800g)に噴霧し、予め装置に添加して、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃の制御された温度の乾燥空気によって流動化した。噴霧中、製品温度を30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃に維持した。ポンプの流量は5g/分〜10g/分であり、噴霧圧は3barであった。この可食性フィルム形成コーティングは、20分後に完成した。コーティング(単一成分シェル)は、粒子の総重量に対しておよそ20%重量の量で存在した。
【0088】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FTL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0089】
比較例5−リンゴ酸一水素ナトリウムを含む単一成分シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0090】
実施例1の手順を繰り返したが、米国特許第8431171号に記載されるように、コーティングがポリカルボン酸のアルカリ金属塩(リンゴ酸一水素ナトリウム)のみからノズルスプレーを備える流動床に形成されるという違いがあった。リンゴ酸(500g)を流動床に添加し、乾燥空気で流動化し、60℃まで加熱した。90℃の水中の40%のリンゴ酸一水素ナトリウムの温かい水溶液(先に実施例2に記載される通り蒸留水(400g)中32%重量/重量(385g)の水酸化アルカリ溶液でリンゴ酸(415g)をin situで中和することにより作製)を60℃に予熱したコアに噴霧した。ポンプの平均流量は15g/分であり、噴霧圧は3barであった。加熱された入口空気は、約60℃の温度で製品の流動化を維持した。リンゴ酸一水素ナトリウム溶液の噴霧を20分後に停止して、溶液が噴霧されたリンゴ酸315gを得た。コーティング(単一成分シェル)は、前の実施例と同じ量で存在し、粒子の総重量に対しておよそ20%重量であった。
【0091】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FTL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0092】
比較例6−リンゴ酸一水素ナトリウムを含む単一成分シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0093】
比較例5の手順を繰り返したが、単に選択された特性におけるコーティング量間の違いを見るために、コーティングを20%〜35%に増加させるという違いがあった。
【0094】
手順は全く同じであり、40%のリンゴ酸水素ナトリウムの高温溶液によるコーティング時間のみを45分に延長し、675gの溶液が噴霧されたリンゴ酸を得た。コーティング(単一成分シェル)は、粒子の総重量に対して重量で35%に増加した。
【0095】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FTL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0096】
比較例7−リンゴ酸一水素ナトリウムを含む単一成分シェルでコーティングされたリンゴ酸
【0097】
比較例5の手順を繰り返したが、単に選択された特性におけるコーティング量間の違いを見るために、コーティングを20%から50%に増加させるという違いがあった。
【0098】
手順は全く同じであり、40%のリンゴ酸水素ナトリウムの高温溶液によるコーティング時間のみを80分に延長し、1200gの溶液が噴霧されたリンゴ酸を得た。コーティング(単一成分シェル)は、粒子の総重量に対して重量で50%に増加した。
【0099】
得られたカプセル化リンゴ酸の粒子径プロファイルを、振動ふるい(FTL−0200、Filtra製)によって決定した。粒子の大部分、およそ80%〜85%は、300μm〜425μmのサイズを示した。
【0100】
粒子の特性評価
塩(リンゴ酸一水素ナトリウム及びリンゴ酸二ナトリウム)及び完全に水素化されたポリカルボン酸形態(リンゴ酸)の間の異なるpH値を使用して、本発明の粒子(実施例1〜実施例3)と並んで従来技術の粒子(比較例4〜比較例7)に存在する塩の割合を決定した。
【0101】
pHの測定は、1%重量/体積の各試験済み製品を25℃の脱イオン水に溶解することで行った。溶液をpH読み取り(CRISON micropH2002)の数分前に安定させた。
【0102】
表1に、純粋な酸及びそれらの塩のpH値を示し、これらをそれぞれ、(a)リンゴ酸、(b)リンゴ酸一水素ナトリウム、(c)リンゴ酸二ナトリウムのa、b、及びcとし、併せて種々の試験済み粒子について得られたpH値を示す。pH値が低いほど、塩の前にあるリンゴ酸の割合が高く、味の変化が少ないことを示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表からわかるように、実施例1〜実施例3は、塩含有量が全製品の10%重量/重量未満であるpH値を示す。実施例4では、製品に塩は含まれていない。最後に、塩の含有量が他よりも高い実施例7では、pHは酸によって首尾一貫しておよそ3.2とされ、部分的に水素化されたポリカルボン酸がおよそ50%の割合の塩を形成する。
【0105】
安定性アッセイ
本発明の実施例1〜実施例2と並んで比較例4〜比較例7の安定性を、制御された温度及び湿度のチャンバー内で行った。亀裂に対するシェルの延性を、予めサンプルを40rpmで30分間振とうすることによって評価し、続いてマイクロカプセル化された製品を、相対湿度(R.T.)85%の制御されたチャンバーに数日間維持する。吸湿性傾向を水の捕捉値として測定した。吸湿性傾向が高いほど、有効成分のコーティング保護が低くなることを示す。この場合、コーティングの保護が低下するのは、摩擦アッセイ中に発生したコーティングの亀裂による。
【0106】
表2に得られた結果を示す。値3は、チャンバー条件(25℃、85%R.T.)で3日後に製品によって捕捉された水を示す。値2は、チャンバー条件(25℃、85%R.T.)で7日後に製品によって捕捉された水を示す。値1は、チャンバー条件(25℃、85%R.T.)で15日後に製品によって捕捉された水を示す。値0は、15日後に製品に変化がないことを示す。
【0107】
【表2】
【0108】
表1に示されるように、本発明の製品は、摩擦後、ゼロ又は非常に低い吸湿性傾向を示し、これは、粒子の脆性の尺度であり、結果として、より良好なコーティング保護である。さらに、リンゴ酸がモノグリセリドを含む単一成分のシェルでコーティングされている場合(比較例4)、吸湿性傾向は見られなかったが、本発明者らはこれらの粒子が柔らかすぎて取り扱いも困難であることを見出した。
【0109】
一方、リンゴ酸がリンゴ酸一水素ナトリウムの単一成分シェルでコーティングされている場合(比較例5〜比較例7)、コーティングは粒子の総重量に対しておよそ20%重量で存在し、粒子は3日後に幾らかの吸湿性傾向を示した。リンゴ酸一水素の単一成分シェルを含有する比較例の吸湿性を低減するために、コーティングの厚さを粒子の総重量に対しておよそ50%重量で大幅に増やす必要があり(35%で20%と同じ結果が観察された)、この場合であっても、吸湿性傾向は本発明の粒子よりも高いことが分かった。しかしながら、この方法では、良好な保護を得るために塩の含有量を50%まで増加させる必要があり、結果として、粒子の味が変化し、望ましくない。
【0110】
動的蒸気収着等温線
得られた製品の吸湿性傾向を評価及び比較するため、動的蒸気吸着(DVS)等温線分析を行った(AquaLab蒸気吸着分析器(VSA))。この分析により、一定温度での相対湿度の種々の条件でのサンプルの水分活性及び重量変化を判断することができる。DVS分析の結果を表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
R.H.が増加すると、本発明の粒子は、コーティングなしのリンゴ酸よりも有意に低い蒸気圧(したがって、より低い吸湿性傾向)を示すことが示された。したがって、本発明の粒子は、良好な貯蔵寿命及び吸湿性保護を示す。
【0113】
リンゴ酸のソフトキャンディ(ゼラチンベースのゲル)への移行
本発明の粒子中のリンゴ酸のカプセル化の程度を評価するため、リンゴ酸のソフトキャンディ(ゼラチンベースのゲル)への移行アッセイを実施した。
水中で35%(重量/重量)のゼラチン250ブルームを含有する600gのゲルの塊を80℃で調製した。並行して、砂糖、グルコースシロップ、及び水の混合物を116℃で調製し、80℃で冷却した。その後、両方の溶解物を混合し、メチルレッド指示薬を溶液に加えた。最終的な混合物をガラス管に分配し、24時間放置して固化させた。各サンプルからの同じ量のリンゴ酸(本発明の実施例1〜実施例3の純粋なリンゴ酸及びカプセル化リンゴ酸の粒子)をゼラチンチューブの上部に散布し、室温(25℃)及び37℃で10日間及び20日間インキュベートした。リンゴ酸の移行を視覚的に評価し、ゼラチンの上部からの移行の前線の距離を、25℃に保ったチューブで10日目、15日目及び20日目、37℃に保ったチューブで5日目及び10日目に測定した。移行アッセイの結果を以下に示す。
【0114】
【表4】
【0115】
コーティングされたリンゴ酸サンプルと比較して、温度と時間の両方で、純粋なリンゴ酸のゼラチンマトリックス上への移行が多く観察された。これらのサンプルでは、時間の経過に伴うゲルから固体製品への水の優勢な移行と並んで、色が濃くなることも観察され、これは、より高いリンゴ酸濃度とより低いpHを示す。したがって、本発明の粒子は、コーティングの割合がより低く、塩の含有量がより少ないカプセル化されたリンゴ酸の良好な貯蔵寿命及び吸湿性保護を示し、被覆粒子のゲルへの制御された移行を維持する。
【0116】
引用文献一覧
欧州特許第3127434号
米国特許第8431171号
【国際調査報告】