(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-506363(P2021-506363A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】縫合糸通しデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20210125BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-531763(P2020-531763)
(86)(22)【出願日】2018年12月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月29日
(86)【国際出願番号】US2018065669
(87)【国際公開番号】WO2019118835
(87)【国際公開日】20190620
(31)【優先権主張番号】62/598,545
(32)【優先日】2017年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボスワース エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】フッター ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】シボドー ロバート
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB30
(57)【要約】
物体を通してある長さの縫合糸を通すための縫合糸通しデバイス。縫合糸通しデバイスは、近位端と、遠位端に延びる湾曲した遠位管部分とを有する中空管を含む。縫合糸通しデバイスはまた、中空管の近位端に取り付けられたハンドル、第一、第二、および第三の位置の間で移動可能なハンドル上のアクチュエータ、ならびに湾曲した遠位管部分内にあり、アクチュエータに接続された内部アームを含む。内部アームは、第一、第二、および第三の構成の間で移動可能である。アクチュエータが第一の位置にある時、内部アームは、第一の構成にあり、遠位管部分からある角度で遠位管部分の外へ延びる。アクチュエータが第二の位置にある時、内部アームは、第二の構成にあり、遠位管部分内に退縮する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸通しデバイスであって、
近位端と、遠位端に延びる湾曲した遠位管部分とを有する中空管と、
前記中空管の前記近位端に取り付けられたハンドルと、
第一の位置と第二の位置との間で移動可能な前記ハンドル上のアクチュエータと、
前記湾曲した遠位管部分内にあり、前記アクチュエータに接続された内部アームであって、第一の構成と第二の構成との間で移動可能である、内部アームと、を備え、
前記アクチュエータが前記第一の位置にある時、前記内部アームは、前記第一の構成にあり、前記遠位管部分からある角度で前記遠位管部分の外へ延び、
前記アクチュエータが前記第二の位置にある時、前記内部アームは前記第二の構成にあり、前記第一の構成と比較して前記遠位管部分内にさらに近位に退縮する、縫合糸通しデバイス。
【請求項2】
前記内部アームが、遠位端にフックを備えた前記遠位端を備える、請求項1に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータが前記第二の位置にある時、前記内部アームは前記第二の構成にあり、前記遠位管部分内にさらに近位に退縮する、請求項2に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項4】
前記アクチュエータが第三の位置にあり、前記遠位管部分が第三の構成にあり、前記フックが前記遠位管部分に接触し、前記フックを通して閉じた開口部を形成する、請求項3に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項5】
前記閉じた開口部を通って延びる、ある長さの縫合糸をさらに備える、請求項4に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項6】
前記長さの縫合糸が、前記閉じた開口部を通って移動不可能である、請求項5に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記ハンドルの遠位端に対して前記第一の位置と前記第二の位置との間で近位および遠位に摺動可能である、請求項1に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項8】
前記遠位管部分が、貫通点を有するテーパ状遠位先端を備える、請求項1に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項9】
前記テーパ状遠位先端から近位に延びる前記遠位管部分内に陥凹部分をさらに備える、請求項1に記載の縫合糸通しデバイス。
【請求項10】
物体を貫通してある長さの縫合糸を通すための方法であって、
近位端と、遠位端まで延びる湾曲した遠位管部分を備えた中空管、前記中空管の前記近位端に取り付けられたハンドル、第一の位置と第二の位置の間で移動可能な前記ハンドル上のアクチュエータ、および前記湾曲した遠位管部分内にあり、前記アクチュエータに接続された内部アームを有する縫合糸通しデバイスであって、前記内部アームは第一の構成と第二の構成の間で移動可能であり、前記アクチュエータが前記第一の位置にある時、前記内部アームは前記第一の構成にあり、前記遠位管部分からある角度で前記遠位管部分の外へ延び、前記アクチュエータが前記第二の位置にある時、前記内部アームは前記第二の構成にあり、前記第一の構成と比較して前記遠位管部分内にさらに近位に退縮する、縫合糸通しデバイスを提供するステップと、
前記アクチュエータを前記第一の位置に移動させるステップと、
ある長さの縫合糸を前記内部アームと前記遠位管部分との間に位置付けるステップと、
前記アクチュエータを前記第二の位置に移動させるステップと、
前記遠位管部分を前記物体の第一の側を通して前記物体の第二の側に前進させるステップと、
前記物体の前記第二の側で前記内部アームと前記遠位管部分との間から前記縫合糸を解放するステップと、
前記アクチュエータを前記第一の位置に移動させるステップと、および
前記遠位管部分を前記物体の前記第二の側から前記物体の前記第一の側に退縮させるステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記内部アームが、遠位端にフックを備えた前記遠位端を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アクチュエータが前記第三の位置にある時、前記内部アームは前記第三の構成にあり、前記第二の構成と比較して前記遠位管部分内にさらに近位に退縮する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アクチュエータが第三の位置にあり、前記遠位管部分が第三の構成にあり、前記フックが前記遠位管部分に接触し、前記フックを通して閉じた開口部を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ある長さの縫合糸を前記内部アームと前記遠位管部分との間に位置付けるステップが、前記長さの縫合糸を前記閉じた開口部を通して延ばすステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記長さの縫合糸が、前記閉じた開口部を通って移動不可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アクチュエータが、前記ハンドルの遠位端に対して、前記第一の位置、前記第二の位置、および前記第二の位置との間で近位および遠位に摺動可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記遠位管部分が、貫通点を有するテーパ状遠位先端を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記テーパ状遠位先端から近位に延びる前記遠位管部分内に陥凹部分をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月14日に出願された、「Suture Passer Device」と題する米国仮特許出願第62/598,545号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は一般的に、外科手術装置および方法に関し、より具体的には、組織を通して縫合糸を通すための外科手術装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
外科手術手順では、縫合糸を組織に通す必要があるのが一般的である。例えば、多くの整形外科修復手順では、縫合糸を組織に通して、組織を骨と並置する必要がある。一般的に、縫合糸は針に取り付けられるか、そうでなければ針に通され、針は組織を通る。いくつかの手順では、外科手術部位の組織にアクセスすることは困難である。これらの例では、縫合糸通しデバイスは、組織の近位側を通って組織の遠位側に針を進め、または誘導し、組織の近位側を通って戻すために使用されることが多い。しかしながら、多くの従来の縫合糸通し器は、組織を通って移動するときに、縫合糸を一貫してまたは十分に固定しない。さらに、多くの従来の縫合糸通し器は、組織を通っている間、針を露出させたままにするが、これは周囲組織に追加的損傷または外傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
従って、針が組織を通過する時に、縫合糸を固定し、追加的外傷を最小限にする、組織を通って縫合糸を通すための新しい改善された方法および装置の必要性が存在する。
【0005】
関連技術セクションの免責条項の説明:特定の特許/刊行物/製品がこの関連技術セクションの説明またはこの開示の他の場所で議論されている限り、これらの議論は議論された特許/刊行物/製品は特許法の目的のための先行技術であるという許可として受け取るべきではない。例えば、議論された特許/刊行物/製品の一部または全ては、十分早期でない場合があり、十分早期に開発された主題を反映していない場合があり、および/または特許法の目的のために先行技術に相当するほど、十分に可能ではない場合がある。特定の特許/刊行物/製品が、この関連技術セクションの説明および/または出願全体を通して上記で議論されている限り、その説明/開示は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、従来の縫合糸通しデバイスには、潜在的な問題および/または欠点があることを認識する。例えば、従来の縫合糸通し器は、(上記のように)組織を通って移動するときに、縫合糸を一貫してまたは十分に固定しない。従って、針が組織を通過する時に、縫合糸を固定し、追加的外傷を最小限にする、縫合糸通しデバイスの必要性が存在する。本発明の様々な実施形態は、本明細書に記載される潜在的な問題および/または欠点のうちの一つまたは複数を解決または減少させ得るという点で有利であり得る。
本開示は、縫合糸通しデバイスの発明の構成、構造、および結果として生じる機能、ならびにある長さの縫合糸を物体に通すための方法に関する。一態様によれば、縫合糸通しデバイスは、近位端と、遠位端に延びる湾曲した遠位管部分とを有する中空管を含む。縫合糸通しデバイスはまた、中空管の近位端に取り付けられたハンドル、第一の位置、第二の位置、および第三の位置の間で移動可能なハンドル上のアクチュエータ、ならびに湾曲した遠位管部分内にあり、アクチュエータに接続された内部アームを含む。内部アームは、第一の構成、第二の構成、および第三の構成の間で移動可能である。アクチュエータが第一の位置にある時、内部アームは、第一の構成にあり、遠位管部分からある角度で遠位管部分の外へ延びる。アクチュエータが第二の位置にある時、内部アームは第二の構成にあり、第一の構成と比較して遠位管部分内にさらに近位に退縮する。
【0007】
別の態様によれば、ある長さの縫合糸を物体に通する方法は、(i)近位端と、遠位端まで延びる湾曲した遠位管部分を備えた中空管、中空管の近位端に取り付けられたハンドル、第一の位置と第二の位置との間で移動可能なハンドル上のアクチュエータ、および湾曲した遠位管部分内にあり、アクチュエータに接続された内部アームを有する縫合糸通しデバイスであって、内部アームは第一の構成と第二の構成との間で移動可能であり、アクチュエータが第一の位置にある時、内部アームは第一の構成にあり、遠位管部分からある角度で遠位管部分の外へ延び、アクチュエータが第二の位置にある時、内部アームは第二の構成にあり、第一の構成と比較して遠位管部分内にさらに近位に退縮する、縫合糸通しデバイスを提供するステップと、(ii)アクチュエータを第一の位置に移動させるステップと、(iii)ある長さの縫合糸を内部アームと遠位管部分との間に位置付けるステップと、(iv)アクチュエータを第二の位置に移動させるステップと、(v)遠位管部分を物体の第一の側を通して物体の第二の側に前進させるステップと、(vi)物体の第二の側で内部アームと遠位管部分との間から縫合糸を解放するステップと、(vii)アクチュエータを第一の位置に移動させるステップと、(viii)遠位管部分を物体の第二の側から物体の第一の側に退縮させるステップとを含む(が、これらに限定されない)。
【0008】
本明細書で用語が使用され、説明されている縫合材料または縫合糸は、単一フィラメントまたはマルチフィラメント縫合糸、ならびに縫合糸の機能を実行するのに適した他の金属または非金属フィラメントまたはワイヤー状材料を含む。この材料は、生体吸収性材料および非吸収性材料の両方を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解され、評価される。添付の図面は、開示された主題の典型的な実施形態のみを示しており、従って、開示された主題は他の同等に有効な実施形態を認め得るため、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0010】
ここで添付図面を簡単に参照する。
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態による、縫合糸通しデバイスの側面概略図である。
【0012】
【
図2】
図2は、一実施形態による、縫合糸通しデバイスの遠位先端の上面概略図である。
【0013】
【
図3】
図3は、一実施形態による、第一の位置にある縫合糸通しデバイスのアクチュエータの側面概略図である。
【0014】
【
図4】
図4は、一実施形態による、第一の構成にある縫合糸通しデバイスの遠位管部分の側面概略図である。
【0015】
【
図5】
図5は、一実施形態による、第一の構成にある内部アームを備えた、縫合糸通しデバイスの遠位先端の側面斜視概略図である。
【0016】
【
図6】
図6は、一実施形態による、第二の位置にある縫合糸通しデバイスのアクチュエータの側面概略図である。
【0017】
【
図7】
図7は、一実施形態による、第二の構成にある縫合糸通しデバイスの遠位管部分の側面概略図である。
【0018】
【
図8】
図8は、一実施形態による、通す縫合糸を備えた第二の構成と第三の構成との間の縫合糸通しデバイスの遠位先端の上面斜視図である。
【0019】
【
図9】
図9は、一実施形態による、第三の位置にある縫合糸通し器のアクチュエータの側面概略図である。
【0020】
【
図10】
図10は、一実施形態による、第三の構成にある縫合糸通しデバイスの遠位管部分の側面概略図である。
【0021】
【
図11】
図11は、一実施形態による、湾曲した遠位管部分の曲率の線図である。
【0022】
【
図12】
図12は、一実施形態による、湾曲した遠位管部分の側面概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかしながら、本発明の態様を示しつつ、詳細な説明および特定の非限定的な例は、例示のみによって与えられ、限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明の基礎となる概念の精神および/または範囲内での様々な置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0024】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号が全体を通して同様の部分を指しており、
図1は、一実施形態による、縫合糸通しデバイス10の側面概略図を示す。縫合糸通しデバイス10は、近位端14、遠位端16、および中空管12内に位置付けられた内部アーム18を有する中空管12を備える。図示した実施形態では、中空管12は、近位端14と遠位端16との間の位置から遠位端16まで延びる湾曲した遠位管部分13を備えるが、その他の実施形態では、中空管12は近位端14から遠位端16まで延びる直線の管であってもよい。湾曲した遠位管部分13の曲率cは、上唇部分を介して湾曲した遠位管部分13の適切な配置を得ることを助ける。湾曲した遠位管部分13の様々な曲率cは、異なる手順に使用できる。湾曲した遠位管部分13の曲率cの一実施形態が、
図11に示されている。湾曲した遠位管部分13の曲率cは、半径rを有する。
図11に示す実施形態では、半径rは9.2722mmである。
図12に示すように、湾曲した遠位管部分13は、湾曲した遠位管部分13を通って中心に延びる正中線m上にオーバーバイトbを有する。一実施形態では、オーバーバイトbは、4mmである。その他の実施形態では、オーバーバイトbは、3〜5mmの範囲内である。さらに、湾曲した遠位管部分13は、上方向(
図1に示すように)または横方向(
図1の湾曲した遠位管部分13を90度回転させることにより)など、中空管12から任意の方向に延びることができる。
【0025】
縫合糸通しデバイス10はまた、中空管12の近位端14に取り付けられた近位ハンドル20を含む。内部アーム18の近位端(図示せず)は、ハンドル20に取り付けられたアクチュエータ22に直接的または間接的に接続される。図示した実施形態では、内部アーム18は、真っ直ぐな遠位端24を備える。代替的な実施形態では、内部アーム18の遠位端24は、フック26を備える(
図4)。遠位端24(またはフック26)は、湾曲した遠位管部分13の開放遠位端16を通って延び、そこから退縮するように構成される。遠位端16(またはフック26)を含む内部アーム18の移動は、アクチュエータ22の動きによって制御される。一実施形態では、アクチュエータ22は、第一の位置、第二の位置、および第三の位置の間で移動可能である一方、遠位端16(またはフック26)は、第一の構成、第二の構成、および第三の構成の間で移動可能である。
【0026】
ここで
図2を参照すると、一実施形態による、縫合糸通しデバイス10の遠位先端28の上面概略図が示されている。図示した実施形態では、縫合糸通しデバイス10の湾曲した遠位管部分13は、鋭利な遠位先端28を備える。
図2では、遠位先端28は、貫通点30まで遠位にテーパ状であり、これは組織(図示せず)またはその他の物体の第一の(例えば、近位)側を貫通するために使用される。遠位先端28は、湾曲した遠位管部分13の遠位端16の陥凹部分32(すなわち、長手方向の開口部)まで近位に延びる。
図2に示すように、陥凹部分32は、遠位管部分13の長さの一部分に沿って延びる。内部アーム18は、陥凹部分32を通って延び、陥凹部分32から遠位管部分13(または中空管12)内に退縮し得る。
【0027】
ここで
図3〜4を参照すると、一実施形態による、縫合糸通しデバイス10のアクチュエータ22および遠位管部分13のそれぞれの側面概略図が示されている。
図3に示すように、アクチュエータ22は、ハンドル20に沿って摺動可能なボタン、スイッチ、またはその他の突出部であってもよい(および本開示のレビューと併せて、当業者によって理解されるべきである、直線移動の使用、(例えば)アクチュエータ22の直線移動によって動かされる内部歯車の使用ごとの回転運動の使用、または二つの組み合わせにより、本明細書に記載の作動機能を実行するために、実質的にハンドル20の長手方向軸に沿って、遠位端および/または近位端に向かって複数の位置に摺動可能であってもよい)。第一の構成では、アクチュエータ22は、ハンドル20の遠位端34に対して、ハンドル20に沿った第一の位置にある。アクチュエータ22が第一の位置にある時、フック26および接続された内部アーム18は、
図4に示すように、遠位管部分13から外に延びる第一の構成にある。第一の構成では、内部アーム18(およびフック26)は、フック26が遠位管部分13から離間されるように、遠位管部分13からある角度で延びる。
【0028】
ここで
図5を参照すると、一実施形態による、第一の構成にある内部アーム18を備えた、縫合糸通しデバイス10の遠位先端28の側面斜視概略図が示されている。示すように、第一の構成では、内部アーム18(およびフック26)は、陥凹部分32からある角度で突出する。これにより、内部アーム18の遠位端24(またはフック26)と遠位管部分13との間に空間が作られ、縫合糸(図示せず)が捕捉される。一実施形態では、縫合糸は、クリップ様またはクランプ様の様式で、内部アーム18の遠位端24と遠位管部分13との間に捕捉される。代替的な実施形態では、縫合糸はフック26に捕捉される。内部アーム18は、内部アーム18が第二および第三の構成にある時に、遠位管部分13の内部表面(図示せず)によって所定位置に保持されない場合、外側に延びるように付勢され得る。
【0029】
ここで
図6〜7を参照すると、一実施形態による、縫合糸通しデバイス10のアクチュエータ22および遠位管部分13のそれぞれの側面概略図が示されている。
図6に示すように、第二の構成では、アクチュエータ22は、ハンドル20の遠位端34に対して、ハンドル20に沿った第二の位置にある。アクチュエータ22が第一の位置から第二の位置へと移動する時、内部アーム18のフック26は、縫合糸(図示せず)がフック26内に維持された状態で、第一の構成から第二の構成へと遠位管部分13に向かって回転する。アクチュエータ22が第二の位置にある時、内部アーム18は、
図7に示すように、遠位管部分13から部分的に外に延びる第二の構成にある。
【0030】
内部アーム18が第二の構成にある時、フック26と遠位管部分13の遠位先端28との間の空間は最小限であるか存在しない。
図7に示すように、フック26は、遠位先端28に接触して、フック26を介して閉じた開口部36を作り出し、縫合糸(図示せず)をフック26内に固定し得る。縫合糸(図示せず)は、縫合糸(図示せず)がフック26から滑るまたは落ちることができないように、フック26内に固定される。代わりに、閉じた開口部36は、縫合糸(図示せず)が閉じた開口部36内で摺動することを可能にする。従って、縫合糸(図示せず)は、フック26から完全に脱落することなく、閉じた開口部36を通って自由に摺動することができる。
【0031】
ここで
図9〜10を参照すると、一実施形態による、縫合糸通しデバイス10のアクチュエータ22および遠位管部分13のそれぞれの側面概略図が示されている。
図9に示すように、第三の構成では、アクチュエータ22は、その遠位端34に対して、ハンドル20に沿った第三の位置にある。一実施形態では、アクチュエータ22は、第一の位置で最も遠位であり、第三の位置で最も近位であり、第二の位置は、第一の位置と第三の位置との間にある。内部アーム18の伸長および退縮させるのに適したアクチュエータ22のその他の代替的な相対位置決めを使用できる。アクチュエータ22が第二の位置から第三の位置へと移動する時、内部アーム18のフック26は、遠位管部分13内で第二の構成から第三の構成へと退縮する。
【0032】
ある長さの縫合糸38が閉じた開口部36を通って伸長する時、縫合糸38は、
図8に示すように、遠位管部分13の中へと近位に引っ張られる。
図8では、内部アームは第二の構成と第三の構成との間にあり、従って固定された縫合糸38を有するフック26は、ほぼ完全に遠位管部分13内に退縮している。アクチュエータ22が第三の位置にある時、内部アーム18は第三の構成にあり、
図10に示すように、フック26の大部分は、遠位管部分13内に退縮している。内部アーム18が第三の構成にある時、フック26の閉じた開口部36を通って延びる縫合糸38は、遠位管部分13内に引っ張られてロックされる。
【0033】
使用時に、アクチュエータ22は、第一の位置に移動し、内部アーム18を遠位管部分13から伸長させて第一の構成を達成する。次に、縫合糸38は、フック26(または真っ直ぐな遠位端24)と遠位管部分13との間に配置される。その後、アクチュエータ22は、第二の位置に移動し、内部アームを遠位管部分13に向かって回転させて、第二の構成を達成する(アクチュエータもデバイスの近位端に向かって近位に移動し得る)。遠位管部分13がフック26を備える実施形態では、縫合糸38はフック26内でロックされる。縫合糸38は、縫合糸38を引っ張ることなく、使用者が縫合糸通しデバイス10を組織の第一(例えば、近位)側に向けて進めることができるように、フック26内で摺動可能である。
【0034】
その後、アクチュエータ22は、第三の位置に移動し、内部アーム18を遠位管部分13内に近位に退縮させ、第三の構成を達成する。縫合糸38が第三の構成で遠位管部分13内に固定された状態で、縫合糸通しデバイス10は、図示されていないが、遠位先端28の貫通点30で(第一の通過位置で)、組織の第一の側を貫通するよう進められる。遠位管部分13が組織の第二の(例えば、遠位)側から延びると、アクチュエータ22は第一の位置に進み、内部アーム18を遠位管部分13から外へ伸長させ、第一の構成を達成する。第一の構成では、縫合糸38は、縫合糸通しデバイス10から解放される。
【0035】
縫合糸38が組織の第二の側に解放されると、アクチュエータ22は、第三の位置に移動し、内部アーム18が周囲の組織を妨害したりまたは周囲の組織に引っ掛かったりしないように、内部アーム18を遠位管部分13内に近位に退縮させることができる。その後、遠位管部分13は組織を通って第一の側に引き戻される。縫合を完了するために、遠位管部分13(まだ第三の構成にある)は、組織上の隣接する第二の通過位置を通過する。組織の第二の側に来ると、アクチュエータ22は第一の位置に移動し、内部アーム18を伸長および回転させて第一の構成にする。内部アーム18のフック26(または遠位端24)は、フック26の閉じた開口部36などで、組織の第二の側の縫合糸を捕捉するために使用される。その後、アクチュエータ22は、第三の位置に移動し、縫合糸38を遠位管部分13内に固定し、第三の構成を達成する。その後、遠位管部分13は、組織から退縮する。このプロセスは、本開示のレビューと併せて、当業者によって理解されるべきであり、任意の数の縫合を完了するために必要に応じて繰り返すことができる。
【0036】
本明細書で定義され使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するために理解されるべきである。
【0037】
本明細書で様々な実施形態が説明され、図示されてきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施し、および/または結果および/または一つもしくは複数の利点を得るための様々な他の手段、および/または構造を容易に想起するであろうし、そのような変形および/または変更の各々は、本明細書に記載の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、教示が使用される一つまたは複数の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多数の同等物を単に通常の実験を用いて認識することができ、または確認することができる。従って、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付した特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、実施形態は、具体的に説明および請求された以外のその他の方法で、実行できることが理解されよう。本開示の実施形態は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に含まれる。
【0038】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える(comprise)」(および「備える(comprises)」や「備える(comprising)」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「有する(has)」や「有する(having)」などのhaveの任意の形式)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」などのincludeの任意の形式)、および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」や「包含する(containing)」などのcontainの任意の形式)は、オープンエンドのリンク動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、一つまたは複数のステップまたは要素を「備える(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法またはデバイス。同様に、一つまたは複数の特徴を「備える(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、またはデバイスの要素は、それら一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成されるデバイスまたは構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0039】
以下の特許請求の範囲の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の特許請求の要素と組み合わせて、機能を実行するための構造、材料または行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明に開示された形態で網羅的または限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つまたは複数の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適した様々な修正を有する様々な実施形態について本発明の一つまたは複数の態様を理解できるように選択および説明された。
【手続補正書】
【提出日】2019年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】