特表2021-506565(P2021-506565A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-506565より高いN2選択性を有する改善されたNH3削減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-506565(P2021-506565A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】より高いN2選択性を有する改善されたNH3削減
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20210125BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20210125BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20210125BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20210125BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20210125BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20210125BHJP
【FI】
   B01J35/04 301L
   B01J29/76 AZAB
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 228
   B01D53/94 280
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301Q
   F01N3/28 301P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-530618(P2020-530618)
(86)(22)【出願日】2018年12月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月4日
(86)【国際出願番号】IB2018059953
(87)【国際公開番号】WO2019116268
(87)【国際公開日】20190620
(31)【優先権主張番号】62/598,059
(32)【優先日】2017年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ミカレフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・コネル・パーソンズ
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングを有する触媒であって、第1の触媒コーティングが、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含み、第2の触媒コーティングが、SCR触媒を含む、触媒。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングを含む触媒であって、
前記第1の触媒コーティングが、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含み、
前記第2の触媒コーティングが、SCR触媒を含む、触媒。
【請求項2】
前記SCR触媒が、銅及びモレキュラーシーブを含むCu−SCR触媒、並びに/又は鉄及びモレキュラーシーブを含むFe−SCR触媒を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記担体が、シリカ、チタニア、及び/又はMeをドープしたアルミナ若しくはチタニアを含み、Meは、W、Mn、Fe、Bi、Ba、La、Ce、Zr、又はこれらの2つ以上の混合物から選択される金属を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記モレキュラーシーブが、FER、BEA、CHA、AEI、MOR、MFI、並びにこれらの混合物及び連晶を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記Ptが、前記第1の触媒コーティングの重量に対して、約1g/ft〜約10g/ftの量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記モレキュラーシーブが、前記第1の触媒コーティングの重量に対して、最大約2g/inの量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記第1及び第2の触媒コーティングは、排気ガスが前記第1の触媒コーティングに接触する前に、前記第2の触媒コーティングと接触するように構成されている、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
前記第2の触媒コーティングが、前記第1の触媒コーティングと完全に重なり合っている、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
前記第2の触媒コーティングが、前記第1の触媒コーティングと部分的に重なり合っている、請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
前記第1の触媒コーティング及び前記第2の触媒コーティングが、重なり合っていない、請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
前記第1の触媒コーティングが、前記モレキュラーシーブ上に白金族金属を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項12】
前記モレキュラーシーブが、金属交換モレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項13】
前記金属が銅及び/又は鉄を含む、請求項11に記載の触媒。
【請求項14】
請求項1に記載の触媒と、基材とを含む、触媒物品。
【請求項15】
前記基材が、コーディエライト、高多孔性コーディエライト、金属基材、押出SCR、ウォールフローフィルタ、フィルタ、又はSCRFである、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
a.粒子状物質、NOx、及び一酸化炭素を含む排気流を排出するディーゼルエンジンと、
b.請求項1〜15のいずれか一項に記載の触媒(「SCR/ASC」)と、
を含む、排出処理システム。
【請求項17】
前記SCR/ASCの上流に上流SCR触媒を更に含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記上流SCR触媒が、前記SCR/ASCと密接に結合されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記上流SCR触媒及び前記SCR/ASC触媒が、単一の基材上に位置し、前記上流SCR触媒が、前記基材の入口側に位置し、前記SCR/ASC触媒が、前記基材の前記出口側に位置している、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
排気流からの排出量を低減する方法であって、前記排気流を請求項1に記載の触媒と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
前記触媒が、前記第1の触媒コーティング中にモレキュラーシーブを含まないことを除いて同等である触媒と比較して、より低いピークのNO排出量をもたらす、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記触媒が、前記第1の触媒コーティング中にモレキュラーシーブを含まないことを除いて同等である触媒と比較して、ピークのNO排出量において少なくとも約25%の低減をもたらす、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディーゼルエンジン、固定ガスタービン、及び他のシステムにおける炭化水素燃焼により、NO(一酸化窒素)及びNO(二酸化窒素)を含む窒素酸化物(NO)を除去するために処理する必要のある排気ガスが生成される(形成されるNOの大部分がNOである)。NOxは、人々に多くの健康問題を引き起こすだけでなく、スモッグや酸性雨の形成などの多くの有害な環境影響を引き起こすことが知られている。排気ガス中のNOによる人と環境の両方の影響を軽減するために、好ましくは他の有害物質又は有毒物質を生成しないプロセスによって、これらの望ましくない成分を除去することが望ましい。
【0002】
リーンバーンエンジン及びディーゼルエンジンで生成される排気ガスは、概して酸化性のものである。NOxを単体窒素(N)及び水に変換する選択的触媒還元(SCR)として知られるプロセスにおいて、触媒及び還元剤を用いてNOxを選択的に還元する必要がある。SCRプロセスでは、ガス状還元剤、典型的には無水アンモニア、アンモニア水溶液、又は尿素を排気ガス流に添加した後、排気ガスを触媒に接触させる。還元剤は触媒上に吸収され、NOは、ガスが触媒された基材の中又は上を通過するときに還元される。NOxの変換を最大化するためには、多くの場合、化学量論量を超えるアンモニアをガス流に加える必要がある。しかしながら、大気中へ過剰なアンモニアを放出すると、人々の健康及び環境に有害である。加えて、アンモニアは、特にその水性形態で苛性である。排気触媒下流の排気ラインの領域におけるアンモニアと水との凝縮により、排気システムに損傷を与える恐れのある腐食性混合物が生じる場合がある。したがって、排気ガス中のアンモニアの放出を無くす必要がある。従来の排気システムの多くでは、アンモニア酸化触媒(アンモニアスリップ触媒又は「ASC」としても知られる)が、SCR触媒の下流に設けられており、アンモニアを窒素に変換することによって排気ガスから除去する。アンモニアスリップ触媒を使用することにより、典型的なディーゼル運転サイクルにわたって90%を超えるNO変換を可能にすることができる。
【0003】
SCRによるNOx除去、及び窒素への選択的アンモニア変換の両方を提供する触媒を有することが望ましく、アンモニア変換は、車両の運転サイクルにおいて広範囲の温度にわたって起こり、最小の窒素酸化物及び亜酸化窒素の副生成物が形成される。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態によれば、触媒は、第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングを含み、第1の触媒コーティングは、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含み、第2の触媒コーティングは、SCR触媒を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、SCR触媒は、銅及びモレキュラーシーブを含むCu−SCR触媒、並びに/又は鉄及びモレキュラーシーブを含むFe−SCR触媒を含む。担体は、例えば、シリカ、チタニア、及び/又はMeをドープしたアルミナ若しくはチタニアのうちの1つ以上を含んでもよく、Meは、W、Mn、Fe、Bi、Ba、La、Ce、Zr、又はこれらの2つ以上の混合物から選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、FER、BEA、CHA、AEI、MOR、MFI、並びにこれらの混合物及び連晶を含む。いくつかの実施形態では、Ptは、第1の触媒コーティングの重量に対して、約1g/ft〜約10g/ftの量で存在する。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、第1の触媒コーティングの重量に対して、最大約2g/inの量で存在する。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の触媒コーティングは、排気ガスが第1の触媒コーティングに接触する前に、第2の触媒コーティングと接触するように構成されている。特定の実施形態では、第2の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングと完全に重なり合っている。いくつかの実施形態では、第2の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングと部分的に重なり合っている。他の実施形態では、第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングは、重なり合っていない。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティングは、モレキュラーシーブ上に白金族金属を含む。モレキュラーシーブは、金属交換モレキュラーシーブを含んでもよく、金属は、例えば、銅及び/又は鉄を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、本明細書に記載の触媒及び基材を含み得る。好適な基材としては、例えば、コーディエライト、高多孔性コーディエライト、金属基材、押出SCR、ウォールフローフィルタ、フィルタ、又はSCRFを挙げることができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排出処理システムは、a)粒子状物質、NOx、及び一酸化炭素を含む排気流を排出するディーゼルエンジンと、b)本明細書に記載の触媒(「SCR/ASC」)と、を含む。いくつかの実施形態では、システムは、SCR/ASCの上流に上流SCR触媒を含み得る。いくつかの実施形態では、上流SCR触媒は、SCR/ASCと密接に結合している。特定の実施形態では、上流SCR触媒及びSCR/ASC触媒は、単一の基材上に位置し、上流SCR触媒は、基材の入口側に位置し、SCR/ASC触媒は、基材の出口側に位置している。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排気流からの排出量を低減する方法は、排気流を本明細書に記載の触媒と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、第1の触媒コーティング中にモレキュラーシーブを含まないことを除いて同等である触媒と比較して、より低いピークのNO排出量をもたらす。いくつかの実施形態では、触媒は、第1の触媒コーティング中にモレキュラーシーブを含まないことを除いて同等である触媒と比較して、ピークのNO排出量において少なくとも約25%の低減をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1の触媒コーティングの一部と重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する触媒構成を示す。
図2】出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第1の触媒コーティングと重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する触媒構成を示す。
図3】基材の軸方向全体の長さを被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1の触媒コーティングの一部と重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する触媒構成を示す。
図4】基材の軸方向全体の長さを被覆する第1の触媒コーティングと、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第1の触媒コーティングと重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する触媒構成を示す。
図5】出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第2の触媒コーティングと、を有し、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合っていない、触媒構成を示す。
図6】出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第2の触媒コーティングと、を有し、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合っていない、触媒構成を示す。触媒は、第1の触媒コーティングの少なくとも一部を被覆する更なる触媒コーティングを含む。
図7】出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第2の触媒コーティングと、を有し、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合っておらず、それらの間に空間を有する、触媒構成を示す。
図8】第1及び第2のコーティングは、基材の出口端部に位置し得る、押出SCR基材を有する触媒構成を示す。
図9】第1の触媒コーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆しており、第2の触媒コーティングもまた、出口端部から入口端部に向かって延び、該第2の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングを完全に被覆し、少し先まで延びているが、基材の軸方向全体の長さを被覆していない、押出SCR基材を有する触媒構成を示す。
図10】NH変換及びNO選択性の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の触媒は、選択的触媒還元(SCR)及びアンモニアスリップ触媒(ASC)機能を有する触媒物品に関する。触媒物品は、SCR触媒を含む層(本明細書では、第2の触媒コーティングと称され得る)と、1)担体上の白金、及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む層(本明細書では第1の触媒コーティングと称され得る)と、を有し得る。従来、このような触媒物品は、上層又は前層にSCR機能、及び底層又は後層にASC機能を含んでいた。本発明の触媒では、触媒コーティングは、排気ガスが第1の触媒コーティングと接触する前に、第2の触媒コーティングと接触するように配置されてもよい。驚くべきことに、第1及び第2の層の両方にモレキュラーシーブを含めることにより、NH変換に対する様々な利点及び有利な点が得られるだけでなく、望ましい選択性及び触媒活性を有するゾーン化されたASC構成が得られることが見出された。特に、ゼオライト及び金属ゼオライトなどのモレキュラーシーブをASCの酸化成分に組み込むことにより、NHの削減及びNへの選択性を改善することができる。
【0013】
本発明の触媒物品は、軸方向長さを有する基材上に様々な構成を有し得る。いくつかの実施形態では、触媒物品は、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1の触媒コーティングの一部と重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第1の触媒コーティングと重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、基材の軸方向全体の長さを被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1の触媒コーティングの一部と重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、基材の軸方向全体の長さを被覆する第1の触媒コーティングと、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第1の触媒コーティングと重なり合っている第2の触媒コーティングと、を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第2の触媒コーティングと、を有し、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合っていない。
【0018】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第2の触媒コーティングであって、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合っていない、第2の触媒コーティングと、出口端部から延び、第1の触媒コーティングの少なくとも一部を被覆する更なる触媒コーティングと、を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第1の触媒コーティングと、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆する第2の触媒コーティングと、を有し、第1及び第2の触媒コーティングは、重なり合っておらず、それらの間に空間を有している。
【0020】
いくつかの実施形態では、基材は押出SCRである。押出成形された基材を有するいくつかの実施形態では、押出成形された基材の少なくとも一部は、コーティングされていないまま残されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2のコーティングは、押出成形された基材の出口端部に位置してもよい。いくつかの実施形態では、第2のコーティングは、第1のコーティングよりも基材の入口端部に向かって更に延びている。
【0021】
アンモニア酸化触媒
本発明の触媒物品は、アンモニアスリップ触媒(「ASC」)とも呼ばれる1つ以上のアンモニア酸化触媒を含み得る。1つ以上のASCは、SCR触媒と共に、又はSCR触媒の下流に含まれて、過剰なアンモニアを酸化し、それが大気に放出されるのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、ASCは、SCR触媒と同じ基材上に含まれてもよく、又はSCR触媒とブレンドされてもよい。特定の実施形態では、ASC材料は、NO又はNOの形成の代わりにアンモニアの窒素への酸化を促進するように選択されてもよい。好ましい触媒材料としては、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ASCは、担体上に担持された白金及び/又はパラジウムを含み得る。いくつかの実施形態では、担体は金属酸化物を含み得る。いくつかの実施形態では、担体は、シリカ、チタニア、及び/又はMeをドープしたアルミナ若しくはチタニアを含んでもよく、Meは、W、Mn、Fe、Bi、Ba、La、Ce、Zr、又はこれらの2つ以上の混合物のリストからの金属であってもよい。いくつかの実施形態では、ASCは、ゼオライトなどのモレキュラーシーブ上に担持された白金及び/又はパラジウムを含み得る。いくつかの実施形態では、触媒は、アルミナを含むがこれに限定されない、高表面積担体上に配置されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、ASCは、1)担体上の白金族金属、及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含み得る。ASCは、1)担体上の白金族金属、及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含んでもよく、これから本質的になってもよく、又はこれからなってもよい。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブはゼオライトを含む。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、金属交換モレキュラーシーブを含み、金属は、例えば、銅及び/又は鉄を含み得る。いくつかの実施形態では、好適なモレキュラーシーブは、例えば、FER、BEA、CHA、AEI、MOR、MFI、並びにこれらの混合物及び連晶を含む。モレキュラーシーブは、以下に詳細に記載されるモレキュラーシーブのいずれかを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、ASCは、ASCの総体積に対して、約1g/ft〜約10g/ft、約1g/ft〜約5g/ft、約1g/ft〜約3g/ft、約1g/ft、約2g/ft、約3g/ft、約4g/ft、約5g/ft、約6g/ft、約7g/ft、約8g/ft、約9g/ft、又は約10g/ftの量で白金族金属を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ASCは、ASCの総体積に対して、最大約2g/in、約0.1g/in〜約2g/in、約0.1g/in〜約1g/in、約0.1g/in〜約0.5g/in、約0.2g/in〜約0.5g/in、約0.1g/in、約0.2g/in、約0.3g/in、約0.4g/in、約0.5g/in、約1g/in、約1.5g/in、又は約2g/inの量でモレキュラーシーブを含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ASCは、モレキュラーシーブ上に分布した白金族金属を含む。ASCは、モレキュラーシーブ系ASC配合物を含んでもよく、これからなってもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0026】
概ね、ASCに含まれるモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)、アルミノリン酸塩骨格(例えば、A1PO)、シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)ヘテロ原子含有アルミノケイ酸塩骨格、ヘテロ原子含有アルミノリン酸塩骨格(例えば、MeAlPO、Meが金属である)、又はヘテロ原子含有シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、MeSAPO、Meが金属である)を有するモレキュラーシーブを含み得る。ヘテロ原子(すなわち、ヘテロ原子含有骨格)は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)銅(Cu)、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば、上記ヘテロ原子含有骨格のそれぞれは、金属含有骨格であってもよい)。
【0027】
本明細書におけるモレキュラーシーブの説明では、白金系金属の担体として、及び/又は担体上の白金系金属とブレンドされた成分として好適であり得るモレキュラーシーブについて記載する。いくつかの実施形態では、ASC中に存在するモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)を有するモレキュラーシーブを含む、又はそれから本質的になる。
【0028】
モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格(例えば、モレキュラーシーブはゼオライトである)を有する場合、典型的には、モレキュラーシーブは、5〜200(例えば10〜200)、10〜100(例えば10〜30又は20〜80)、例えば12〜40、又は15〜30のシリカとアルミナとのモル比(SAR)を有する。いくつかの実施形態では、好適なモレキュラーシーブは、>200、>600、又は>1200のSARを有する。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、約1500〜約2100のSARを有する。
【0029】
典型的には、モレキュラーシーブは微孔性である。微孔性モレキュラーシーブは、直径が2nm未満の細孔を有する(例えば、「微孔性」のIUPAC定義に従う[Pure&Appl.Chem.,66(8),(1994),1739−1758を参照されたい])。
【0030】
ASCに含まれるモレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ(例えば、8個の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば、10個の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば、12個の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0031】
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、LTA、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群から選択される骨格型コード(FTC:Framework Type Code)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、LTA、SFW、KFI、DDR及びITEからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのCHAによって表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのAEIによって表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのCHAで表される骨格を有する場合、ゼオライトはチャバザイトであり得る。
【0032】
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、−PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、−SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI、及びSTTからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER及びMFI、特にMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのFER又はMFIによって表される骨格を有する場合、ゼオライトはフェリエライト、シリカライト、又はZSM−5であり得る。
【0033】
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、−RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、BEA、MAZ、MOR、及びOFFからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、BEA、MOR、及びMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのBEA、FAU又はMORによって表される骨格を有する場合、ゼオライトは、βゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX、又はモルデナイトであってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約10重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約6重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約4重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.3重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1重量%、白金族金属及び担体の総重量の約2重量%、白金族金属及び担体の総重量の約3重量%、白金族金属及び担体の総重量の約4重量%、白金族金属及び担体の総重量の約5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約6重量%、白金族金属及び担体の総重量の約7重量%、白金族金属及び担体の総重量の約8重量%、白金族金属及び担体の総重量の約9重量%、又は白金族金属及び担体の総重量の約10重量%の量で担体上に存在する。担体が非ゼオライト担体を含む場合、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.05重量%〜約1重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約1重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約0.7重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.1重量%〜約0.5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.2重量%〜約0.4重量%、又は白金族金属及び担体の総重量の約0.3重量%の量で担体上に存在し得る。担体がゼオライト担体を含む場合、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%〜約10重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%〜約7重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1重量%〜約5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約2重量%〜約4重量%、又は白金族金属及び担体の総重量の約0.3重量%の量で担体上に存在し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、第1の触媒コーティング中のASC組成物及び第2の触媒コーティング中のASC組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の触媒コーティング中のASC組成物は、互いに同じ配合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の触媒コーティング中のASC組成物は、互いに異なる配合物を含み得る。
【0036】
SCR触媒
本発明のシステムは、1つ以上のSCR触媒を含み得る。
【0037】
本発明の排気システムは、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガスに導入するためのインジェクタの下流に位置決めされたSCR触媒を含み得る。SCR触媒は、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を注入するために、インジェクタのすぐ下流(例えば、インジェクタとSCR触媒との間に介在する触媒が存在しない)に位置決めされてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、SCR触媒は、基材及び触媒組成物を含む。基材は、フロースルー基材又は濾過基材であり得る。SCR触媒がフロースルー基材を有する場合、基材はSCR触媒組成物を含んでもよい(すなわち、SCR触媒は押出によって得られる)、又はSCR触媒組成物は、基材上に配置又は担持されてもよい(すなわち、SCR触媒組成物は、ウォッシュコーティング法によって基材上に適用される)。
【0039】
SCR触媒が濾過基材を有する場合、それは、本明細書で略語「SCRF」と称される、選択的触媒還元フィルタ触媒である。SCRFは、濾過基材及び選択的触媒還元(SCR)組成物を含む。本出願全体でのSCR触媒の使用への言及は、該当する場合、SCRF触媒の使用も含むと理解される。
【0040】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。このようなSCR触媒配合物は、当該技術分野において既知である。
【0041】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。金属酸化物系SCR触媒配合物は、耐火性酸化物上に担持されたバナジウム若しくはタングステン又はこれらの混合物を含む。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0042】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)、セリア(例えば、CeO)、からなる群から選択される耐火性酸化物上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)、並びにセリウム及びジルコニウムの混合酸化物又は複合酸化物(例えば、CeZr(1−x)、x=0.1〜0.9、好ましくはx=0.2〜0.5)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0043】
耐火性酸化物がチタニア(例えば、TiO)である場合、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば、金属酸化物系SCR配合物の)0.5〜6重量%であり、及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)の濃度は3〜15重量%である。より好ましくは、バナジウムの酸化物(例えば、V)及びタングステンの酸化物(例えば、WO)は、チタニア(例えば、TiO)上に担持される。
【0044】
耐火性酸化物がセリア(例えばCeO)である場合、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば、金属酸化物系SCR配合物の)0.1〜9重量%であり、及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)の濃度は0.1〜9重量%である。
【0045】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)、及び所望によりタングステン酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0046】
選択的触媒還元組成物は、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、所望により遷移金属交換モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを含む。SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。
【0047】
概ね、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)、アルミノリン酸塩骨格(例えば、A1PO)、シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)、ヘテロ原子含有アルミノケイ酸塩骨格、ヘテロ原子含有アルミノリン酸骨格(例えば、MeAlPO、Meが金属である)、又はヘテロ原子含有シリコアルミノリン酸塩骨格を有する(例えば、MeAPSO、Meが金属である)モレキュラーシーブを含み得る。ヘテロ原子(すなわち、ヘテロ原子含有骨格)は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば、上記ヘテロ原子含有骨格のそれぞれは、金属含有骨格であってもよい)。
【0048】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)を有するモレキュラーシーブを含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0049】
モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格(例えば、モレキュラーシーブはゼオライトである)を有する場合、典型的には、モレキュラーシーブは、5〜200(例えば、10〜200)、好ましくは10〜100(例えば、10〜30又は20〜80)、例えば、12〜40、より好ましくは15〜30の、シリカとアルミナとのモル比(SAR)を有する。
【0050】
典型的には、モレキュラーシーブは微孔性である。微孔性モレキュラーシーブは、直径が2nm未満の細孔を有する(例えば、「微孔性」のIUPAC定義に従う[Pure&Appl.Chem.,66(8),(1994),1739−1758)を参照されたい])。
【0051】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、小細孔モレキュラーシーブ(例えば、8個の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば、10個の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば、12個の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0052】
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、LTA、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、LTA、SFW、KFI、DDR及びITEからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのCHAによって表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのAEIによって表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのCHAで表される骨格を有する場合、ゼオライトはチャバザイトであってもよい。
【0053】
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、−PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、−SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI、及びSTTからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER及びMFI、特にMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのFER又はMFIによって表される骨格を有する場合、ゼオライトはフェリエライト、シリカライト、又はZSM−5であってもよい。
【0054】
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、−RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、BEA、MAZ、MOR、及びOFFからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、BEA、MOR、及びMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのBEA、FAU又はMORによって表される骨格を有する場合、ゼオライトは、βゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX、又はモルデナイトであってもよい。
【0055】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、好ましくは遷移金属交換モレキュラーシーブを含む。遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムからなる群から選択され得る。
【0056】
遷移金属は銅であってもよい。銅交換されたモレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の有利な点は、そのような配合物が、優れた低温NO還元活性を有することである(例えば、鉄交換されたモレキュラーシーブの低温NO還元活性よりも優れたものにできる)。Cu−SCR触媒配合物としては、例えば、Cu交換SAPO−34、Cu交換CHAゼオライト、Cu交換AEIゼオライト、Cu交換FERゼオライト、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0057】
遷移金属は、モレキュラーシーブの外部表面上の骨格外部位に存在してもよく、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞、若しくはケージ内に存在してもよい。
【0058】
典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの0.10〜10重量%の量、好ましくは遷移金属交換モレキュラーシーブの0.2〜5重量%の量で遷移金属を含む。
【0059】
概ね、選択的触媒還元触媒は、0.5〜4.0g/in、好ましくは1.0〜3.0g/inの総担持量で選択的触媒還元組成物を含む。
【0060】
SCR触媒組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物と、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物との混合物を含み得る。好適な金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)、及び所望によりタングステン酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、これからなってもよく、又はこれから本質的になってもよい。好適なモレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを含み得る。
【0061】
SCR触媒がSCRFである場合、濾過基材は、好ましくはウォールフローフィルタ基材モノリスであってもよい。ウォールフローフィルタ基材モノリス(例えば、SCR−DPF)は、典型的には、60〜400セル/平方インチ(cpsi)のセル密度を有する。ウォールフローフィルタ基材モノリスは、100〜350cpsi、より好ましくは200〜300cpsiのセル密度を有することが好ましい。
【0062】
ウォールフローフィルタ基材モノリスは、0.20〜0.50mm、好ましくは0.25〜0.35mm(例えば、約0.30mm)の壁厚(例えば、平均内部壁厚)を有し得る。
【0063】
概ね、コーティングされていないウォールフローフィルタ基材モノリスは、50〜80%、好ましくは55〜75%、より好ましくは60〜70%の多孔率を有する。
【0064】
コーティングされていないウォールフローフィルタ基材モノリスは、典型的には、少なくとも5μmの平均細孔径を有する。平均細孔径は、10〜40μm、例えば15〜35μm、より好ましくは20〜30μmであることが好ましい。
【0065】
ウォールフローフィルタ基材は、対称セル設計又は非対称セル設計を有し得る。
【0066】
SCRFの場合、概ね、選択的触媒還元組成物は、ウォールフローフィルタ基材モノリスの壁内に配置されている。加えて、選択的触媒還元組成物は、入口チャネルの壁上に、及び/又は出口チャネルの壁上に配置されてもよい。
【0067】
コーティング及び構成
本発明の実施形態は、SCR触媒を含むコーティング、及びASCを含むコーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、SCR触媒は、第2の触媒コーティングに含まれ、ASCは、第1の触媒コーティングに含まれる。第2の触媒コーティングは、SCR触媒を含んでもよく、これから本質的になってもよく、又はこれからなってもよい。第1の触媒コーティングは、1)担体上の白金族金属、及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含んでもよく、これから本質的になってもよく、又はこれからなってもよい。いくつかの実施形態では、ASC技術におけるモレキュラーシーブ及び金属交換モレキュラーシーブの使用により、NH除去及びN選択性の両方を改善し得る。このようなコンセプトは次の理由により機能することができる。その理由としては、特に約400℃未満で、NHを除去して酸化反応に対抗する代替のメカニズムが導入されるためである。NOがNH酸化の主な生成物であるのは、これらの温度である。驚くべきことに、酸化層中にアンモニア吸蔵成分を含めることにより、NHが酸化又は吸蔵され得るものであり、高温ではNHが放出され、その後NOxを除去するように機能するため、利点をもたらし得ることが見出された。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングは重なり合って、3つのゾーン:主にNOxを除去する第1のゾーン、主にアンモニアをNに酸化する第2のゾーン、並びに一酸化炭素及び炭化水素を主に酸化する第3のゾーンを形成する。いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングは、2つのゾーン:主にNOxを除去する第1のゾーン、及び主にアンモニアをNに酸化する第2のゾーンを形成するように構成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、SCR触媒は、銅及びモレキュラーシーブを含むCu−SCR触媒、並びに/又は鉄及びモレキュラーシーブを含むFe−SCR触媒を含む。典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの0.10〜10重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの0.10〜8重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの0.20〜7重量%の量で、好ましくは遷移金属交換モレキュラーシーブの0.2〜5重量%の量で遷移金属を含む。概ね、選択的触媒還元触媒は、0.5〜4.0g/in、好ましくは1.0〜3.0g/inの総担持量で選択的触媒還元組成物を含む。
【0070】
本明細書に記載されるように、第1の触媒コーティングは、1)担体上の白金族金属、及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティングは、担体上に白金を含み、担体は、金属酸化物、ガンマアルミナ、シリカ(12%)チタニア(88%)などのシリカチタニア、シリカ、チタニア、及び/又はMeをドープしたアルミナ若しくはチタニアを含み、Meは、W、Mn、Fe、Bi、Ba、Fa、Ce、Zr、又はこれらの2つ以上の混合物のリストからの金属であり得る。いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティングは、ゼオライトなどのモレキュラーシーブ上に担持された白金を含み得る。このような担体に好適なモレキュラーシーブは、例えば、FER、BEA、CHA、AEI、MOR、MFI、並びにこれらの混合物及び連晶を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティング中のモレキュラーシーブはゼオライトである。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、金属交換モレキュラーシーブを含み、金属は、例えば、銅及び/又は鉄を含み得る。いくつかの実施形態では、好適なモレキュラーシーブは、例えば、FER、BEA、CHA、AEI、MOR、MFI、並びにこれらの混合物及び連晶を含む。
【0072】
第1の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングの総体積に対して、約1g/ft〜約10g/ft、約1g/ft〜約5g/ft、約1g/ft〜約3g/ft、約1g/ft、約2g/ft、約3g/ft、約4g/ft、約5g/ft、約6g/ft、約7g/ft、約8g/ft、約9g/ft、又は約10g/ftの量の白金を含み得る。第1の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングの総体積に対して、約0.1g/in〜約5g/in、約0.2g/in〜約4g/in、約0.2g/in〜約0.5g/in、約1g/in〜約5g/in、約2g/in〜約4g/in、約0.1g/in、約0.2g/in、約0.3g/in、約0.4g/in、約0.5g/in、約1g/in、約1.5g/in、約2g/in、約3g/in、約4g/in、又は約5g/inの量のモレキュラーシーブを含み得る。担体がモレキュラーシーブを含まない場合、第1の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングの総体積に対して、約0.1g/in〜約2g/in、約0.1g/in〜約1g/in、約0.1g/in〜約0.5g/in、約0.2g/in〜約0.5g/in、約0.1g/in、約0.2g/in、約0.3g/in、約0.4g/in、約0.5g/in、約1g/in、約1.5g/in、又は約2g/inの量のモレキュラーシーブを含み得る。担体がモレキュラーシーブを含む場合、第1の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングの総体積に対して、約0.1g/in〜約5g/in、約1g/in〜約5g/in、約1.5g/in〜約4.5g/in、約2g/in〜約4g/in、約0.1g/in、約0.5g/in、約1g/in、約2g/in、約3g/in、約4g/in、又は約5g/inの量のモレキュラーシーブを含み得る。
【0073】
図1を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第2の触媒コーティングが、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1の触媒コーティングの一部と重なり合うように構成されてもよい。
【0074】
図2を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第2の触媒コーティングが、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第1の触媒コーティングと重なり合うように構成されてもよい。
【0075】
図3を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第2の触媒コーティングが、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1の触媒コーティングの一部と重なり合うように構成されてもよい。
【0076】
図4を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、基材の軸方向全体の長さを被覆し、第2の触媒コーティングが、基材の軸方向全長を被覆し、第1の触媒コーティングと重なり合うように構成されてもよい。
【0077】
図5を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第2の触媒コーティングが、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合わないように構成されてもよい。
【0078】
図6を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第2の触媒コーティングが、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1及び第2の触媒コーティングは重なり合わず、触媒が、第1の触媒コーティングの少なくとも一部を被覆する更なる触媒コーティングを含むように構成されてもよい。
【0079】
図7を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含む第1の触媒コーティングと、SCR触媒を含む第2の触媒コーティングと、を含み得る。触媒物品は、第1の触媒コーティングが、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第2の触媒コーティングが、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆し、第1及び第2の触媒コーティングが重なり合わず、第1のコーティングと第2のコーティングとの間に隙間が存在するように構成されてもよい。
【0080】
図8を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、押出SCR触媒上のコーティングを含み得る。1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを有する第1の触媒コーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆してもよく、SCR触媒を有する第2の触媒コーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆してもよく、第2の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングの全て又は一部を被覆する。
【0081】
図9を参照すると、本発明の実施形態の触媒物品は、押出SCR触媒上にコーティングされてもよい。1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを有する第1の触媒コーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆してもよく、SCR触媒を有する第2の触媒コーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の軸方向全体の長さ未満を被覆してもよく、第2の触媒コーティングは、第1の触媒コーティングを被覆し、第1の触媒コーティングの少し先まで延びているが、基材の軸方向全体の長さを被覆していない。
【0082】
DOC
本発明の触媒物品及びシステムは、1つ以上のディーゼル酸化触媒を含み得る。酸化触媒、特にディーゼル酸化触媒(DOC)は、当該技術分野において周知である。酸化触媒は、COをCOに酸化するように、そして気相炭化水素(HC)及びディーゼル粒子状物の有機成分(可溶性有機成分)を、CO及びHOに酸化するように設計されている。典型的な酸化触媒には、アルミナ、シリカ−アルミナ、及びゼオライトなどの、高表面積無機酸化物担体上の、白金及び所望によりパラジウムも含まれる。
【0083】
基材
本発明の触媒は、それぞれ、フロースルー基材又はフィルタ基材を更に含んでもよい。一実施形態では、触媒は、フロースルー基材又はフィルタ基材上にコーティングされてもよく、好ましくは、ウォッシュコート手順を用いてフロースルー基材又はフィルタ基材上に堆積されてもよい。
【0084】
SCR触媒とフィルタとの組み合わせは、選択的触媒還元フィルタ(SCRF触媒)として知られている。SCRF触媒は、SCR及び微粒子フィルタの機能を組み合わせた単一基材デバイスであり、所望に応じて本発明の実施形態に好適である。本出願全体にわたるSCR触媒の説明及び参照は、該当する場合、SCRF触媒も含むと理解される。
【0085】
フロースルー基材又はフィルタ基材は、触媒/吸着剤成分を含有することができる基材である。基材は、好ましくはセラミック基材又は金属基材である。セラミック基材は、任意の好適な耐火材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、メタロアルミノケイ酸塩(コーディエライト及びスポジュメン(spudomene)など)、又はこれらのいずれか2つ以上の混合物若しくは混合酸化物で作製されていてもよい。コーディエライト、マグネシウムアルミノケイ酸塩、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0086】
金属基材は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びに鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを他の痕跡量金属に加えて含有するフェライト合金で作製されていてもよい。
【0087】
フロースルー基材は、好ましくは、基材を通って軸方向に走り、かつ基材の入口又は出口から全体にわたって延びている、多くの小さな平行薄壁チャネルを有するハニカム構造を有するフロースルーモノリスである。基材のチャネル断面は、任意の形状であってもよいが、好ましくは正方形、正弦波形、三角形、矩形、六角形、台形、円形、又は楕円形である。フロースルー基材はまた、触媒が基材壁に浸透することを可能にする高多孔性のものであってもよい。
【0088】
フィルタ基材は、好ましくはウォールフローモノリスフィルタである。ウォールフローフィルタのチャネルは、交互に遮断される。このことにより、排気ガス流が入口からチャネルに入り、その後、チャネル壁を通って流れ、出口につながる異なるチャネルからフィルタを出ることができる。したがって、排気ガス流中の微粒子は、フィルタ内に捕捉される。
【0089】
触媒/吸着剤は、ウォッシュコート手順などの任意の既知の手段によって、フロースルー基材又はフィルタ基材に添加されてもよい。
【0090】
還元剤/尿素インジェクタ
システムは、SCR及び/又はSCRF触媒の上流で排気システムに窒素系還元剤を導入するための手段を含み得る。窒素系還元剤を排気システムに導入するための手段は、SCR又はSCRF触媒のすぐ上流にある(例えば、窒素系還元剤を導入するための手段とSCR又はSCRF触媒との間に介在する触媒が存在しない)ことが好ましい場合がある。
【0091】
還元剤は、還元剤を排気ガスに導入するための任意の好適な手段によって、流れる排気ガスに添加される。好適な手段としては、インジェクタ、噴霧器、又はフィーダーが挙げられる。このような手段は、当該技術分野において周知である。
【0092】
システムで使用するための窒素系還元剤は、アンモニア自体、ヒドラジン、又は尿素、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びギ酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニア前駆体であり得る。尿素は特に好ましい。
【0093】
排気システムはまた、NOxを低減するために、排気ガスへの還元剤の導入を制御するための手段を備えてもよい。好ましい制御手段は、電子制御ユニット、所望によりエンジン制御ユニットを含んでもよく、また、NO還元触媒の下流に位置するNOxセンサを更に含んでもよい。
【0094】
システム及び方法
本発明の排出処理システムは、粒子状物質、NOx、及び一酸化炭素を含む排気流を排出するディーゼルエンジンと、本明細書に記載の触媒物品と、を含み得る。システムは、触媒物品の上流にSCR触媒を含み得る。いくつかの実施形態では、SCR触媒は、触媒物品と密接に結合している。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び触媒物品は、単一の基材上に位置し、SCR触媒は、基材の入口側に位置し、触媒物品は、基材の出口側に位置する。
【0095】
本発明の方法は、本明細書に記載されるように、排気流を触媒物品と接触させることを含み得る。
【0096】
利点
従来、触媒物品には、上層又は前層にSCR機能、及び底層又は後層にASC機能が含まれていた。本発明の実施形態の触媒では、触媒コーティングは、排気ガスが第1の触媒コーティングと接触する前に、第2の触媒コーティングと接触するように配置されてもよい。驚くべきことに、第1及び第2の層の両方にモレキュラーシーブを含めることにより、NH変換、並びに望ましい選択性及び触媒活性を有するゾーン化されたASC構成に、様々な利点及び有利な点がもたらされることが見出された。特に、ゼオライト及び金属ゼオライトなどのモレキュラーシーブをASCの酸化成分に組み込むことにより、NTL削減、並びにNへの選択性を改善することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の触媒コーティング中にモレキュラーシーブを含めることで、NH除去のための代替メカニズムを導入して、酸化反応に対抗することによって、利点をもたらし得る。いくつかの実施形態では、このような利点は、NOがNH酸化の主な生成物である温度、例えば約400℃未満で特に有利である。驚くべきことに、酸化層中にアンモニア吸蔵成分を含めることにより、NHが酸化又は吸蔵され得るものであり、高温ではNHが放出され、その後NOxを除去するように機能するため、利点をもたらし得ることが見出された。
【0098】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「触媒」への言及は、2種以上の触媒の混合物などを含む。
【0099】
用語「アンモニアスリップ」は、SCR触媒を通過する未反応のアンモニアの量を意味する。
【0100】
用語「担体」は、触媒が固定されている材料を意味する。
【0101】
用語「焼成する」又は「焼成」は、空気又は酸素中で材料を加熱することを意味する。この定義は、焼成のIUPAC定義と一致するものである。(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,第2版(「Gold Book」)。A.D.McNaught及びA.Wilkinsonにより編集。Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)。XMLオンライン改訂版:http://goldbook.iupac.org(2006−)、M.Nic,J.Jirat,B.Kosataにより作成、A.Jenkinsより更新版が編纂される。ISBN 0−9678550−9−8.doi:10.1351/goldbook。)焼成は、金属塩を分解し、触媒内の金属イオンの交換を促進し、また触媒を基材に接着させるために行われる。焼成に使用される温度は、焼成される材料中の成分に依存し、概して約1〜8時間で約400℃〜約900℃である。場合によっては、約1200℃の温度まで焼成を行うことができる。本明細書に記載されるプロセスを伴う用途では、焼成は概ね、約400℃〜約700℃の温度で約1〜8時間、好ましくは約400℃〜約650℃の温度で約1〜4時間行われる。
【0102】
様々な数値要素の範囲又は複数の範囲が指定されている場合、特に指定しない限り、範囲又は複数の範囲に値を含めることができる。
【0103】
用語「N選択性」は、アンモニアの窒素への変換率を意味する。
【0104】
用語「ディーゼル酸化触媒」(DOC)、「ディーゼル発熱触媒」(DEC)、「NOx吸収剤」、「SCR/PNA」(選択的触媒還元/受動的NOx吸着剤)、「コールドスタート触媒」(CSC)、及び「三元触媒」(TWC)は、燃焼プロセスから排気ガスを処理するために使用される様々な種類の触媒を説明するために使用される、当該技術分野において周知の用語である。
【0105】
用語「白金族金属」又は「PGM」は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムを指す。白金族金属は、好ましくは白金、パラジウム、ルテニウム、又はロジウムである。
【0106】
用語「下流」及び「上流」は、排気ガスの流れが基材又は物品の入口端部から出口端部に向かう触媒又は基材の配置方向を説明する。
【実施例1】
【0107】
以下を含む触媒Aを調製した。
【0108】
【表1】
【0109】
ゼオライト又は結合剤を下層に含有しないという点で触媒Aとは異なる、比較触媒Bを調製した。
【0110】
触媒A及び触媒Bを、NH変換及びN選択性について試験した。図10に示すように、触媒A及び触媒Bは、同等のNH変換率を示すが、触媒A(下層にゼオライトを含む)は、触媒Bと比較して、ピークのNO排出量において25%の低減をもたらす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2020年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の触媒コーティング及び第2の触媒コーティングを含む触媒であって、
前記第1の触媒コーティングが、1)担体上のPt及び2)モレキュラーシーブのブレンドを含み、
前記第2の触媒コーティングが、SCR触媒を含む、触媒。
【請求項2】
前記担体が、シリカ、チタニア、及び/又はMeをドープしたアルミナ若しくはチタニアを含み、Meは、W、Mn、Fe、Bi、Ba、La、Ce、Zr、又はこれらの2つ以上の混合物から選択される金属を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記モレキュラーシーブが、FER、BEA、CHA、AEI、MOR、MFI、並びにこれらの混合物及び連晶を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記Ptが、前記第1の触媒コーティングの重量に対して、約1g/ft〜約10g/ftの量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記モレキュラーシーブが、前記第1の触媒コーティングの重量に対して、最大約2g/inの量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記第1及び第2の触媒コーティングは、排気ガスが前記第1の触媒コーティングに接触する前に、前記第2の触媒コーティングと接触するように構成されている、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記第2の触媒コーティングが、前記第1の触媒コーティングと重なり合っている、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
前記第1の触媒コーティング及び前記第2の触媒コーティングが、重なり合っていない、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
前記第1の触媒コーティングが、前記モレキュラーシーブ上に白金族金属を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
前記モレキュラーシーブが、金属交換されていない、請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
a.粒子状物質、NOx、及び一酸化炭素を含む排気流を排出するディーゼルエンジンと、
b.請求項1〜10のいずれか一項に記載の触媒(「SCR/ASC」)と、
を含む、排出処理システム。
【請求項12】
前記SCR/ASCの上流に上流SCR触媒を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記上流SCR触媒が、前記SCR/ASCと密接に結合されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
排気流からの排出量を低減する方法であって、前記排気流を請求項1に記載の触媒と接触させることを含む、方法。
【国際調査報告】