(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-506672(P2021-506672A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】ワイピングシステムを操作するための方法、及びワイピングシステム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/08 20060101AFI20210125BHJP
【FI】
B60S1/08 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-534350(P2020-534350)
(86)(22)【出願日】2018年11月28日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月18日
(86)【国際出願番号】EP2018082769
(87)【国際公開番号】WO2019120907
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】102017131071.1
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、オー
【テーマコード(参考)】
3D025
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AB01
3D025AC01
3D025AD02
3D025AE06
3D025AE57
3D025AG23
3D025AG28
3D025AG78
(57)【要約】
本発明は、車両ウィンドウ(1)を清掃するためのワイパーブレード(2)を備えたワイパー装置(100)を操作するための方法に関する。ワイパーブレード(2)は、ウィンドシールド(1)に沿って2つの反転ポイント(UT、OT)の間で少なくとも間接的にワイパーモータ(10)によって駆動される。2つの反転ポイント(UT、OT)の間の移動は、ワイピングサイクルを規定し、所定時間におけるワイピングサイクル数を、ワイピング頻度とする。本発明は、ワイピング頻度(f)を、車両速度(v)に依存する所定の関数(g1、g2、g3、g4)に応じて、第1の値(f1)から第2の値(f2)まで変化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドシールド(1)を清掃するためのワイパーブレード(2)を備えたワイパー装置(100)を操作するための方法であって、前記ワイパーブレード(2)は、前記ウィンドシールド(1)に沿って2つの反転ポイント(UT、OT)の間で少なくとも間接的にワイパーモータ(10)によって駆動されることによりワイピングサイクルを規定し、前記ワイピングサイクルにおいて、前記ワイパーブレード(2)は、前記ウィンドシールド(1)上で前記2つの反転ポイント(UT、OT)間を移動するように作動され、所定時間におけるワイピングサイクル数をワイピング頻度(f)とする方法において、
前記ワイピング頻度(f)を、車両速度(v)に依存する所定の関数(g1、g2、g3、g4)に応じて、第1の値(f)から第2の値(f2)まで変化させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ワイピング頻度(f)は、前記車両速度(v)が第1車両速度(v1)に到達するまで前記第1の値(f1)に等しく、
好適には、前記第1車両速度(v1)は、60km/h乃至80km/hに含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両速度(v)が第1車両速度(v1)から第2車両速度(v2)まで上昇した場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第1の値(f1)から前記第2の値(f2)に上昇し、
好適には、前記第1車両速度(v1)は60km/h乃至80km/hに含まれる、及び/又は前記第2車両速度(v2)は70km/h乃至120km/hに含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両速度(v)が前記第2車両速度(v2)を超えた場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第2の値(f2)に到達した後に減少する、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車両速度が前記第2車両速度(v2)から第3車両速度(v3)に上昇した場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第2の値(f2)から第3の値(f3)に減少し、
前記第3車両速度(v3)は前記第2車両速度(v2)より高く、且つ好適には80km/h乃至140km/hに含まれる、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記車両速度(v)が前記第2車両速度(v2)を上回る場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第3の値(f3)に到達した後、一定である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の値(f3)は、前記第1の値(f1)に等しい、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の値(f1)は、毎分少なくとも10回のワイピングサイクルである、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の値(f2)は、毎分最大で55回のワイピングサイクルである、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ワイピング頻度(f)を、前記車両速度(v)に従って連続的に変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
追加的に、前記ワイピング頻度(f)を、雨センサ(20)により検出される前記ウィンドシールド(1)上の水の量(Q)に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
車両のウィンドシールドを清掃するためのワイパー装置(100)であって、前記ワイパー装置(100)は、少なくとも1つのワイパーブレード(2)を有し、前記ワイパーブレード(2)は、前記ウィンドシールド(1)に沿って2つの反転ポイント(UT、OT)の間で少なくとも間接的にワイパーモータ(10)によって駆動可能であり、前記2つの反転ポイント(UT、OT)間での移動はワイピングサイクルを規定し、所定時間におけるワイピングサイクル数をワイピング頻度(f)とし、且つ車両速度(v)の変化に応じて前記ワイピング頻度(f)を変化させるための制御装置(50)を有し、前記ワイピング頻度(f)は、好適には請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法に応じて可変である、
ワイパー装置(100)。
【請求項13】
前記制御装置(50)は、前記ワイパーモータ(10)の回転速度(n)を変化させるように構成される、
ことを特徴とする請求項12に記載のワイパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従うワイピングシステムを操作するための方法に関する。更に、本発明は、本発明による方法を実施するためのワイピングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1のプリアンブルの特徴を有するワイピングシステムを操作するための方法は、既に実際に知られている。既知の方法は、車両のフロントウインドウを清掃するためのものであって、従来より使用されるウィンドウワイパー駆動部は、3つの速度段を有している。これらの速度段は、水で濡れた車両のウィンドウの状態に応じてドライバーにより個別に作動される。典型的に、3つの位置は、インターバル位置と、それぞれが異なる速度を有する2つのワイピング段とを備えている。異なるワイピング段は、2つの反転ポイントの間で前後に移動するウィンドウワイパーが、所定の時間内に車両のウィンドウを異なる程度で掃引する、すなわち、異なるワイピング頻度を有するという事実により区別される。この目的のために、例えば、ウィンドウワイパー用モータが、ワイピング頻度が低いワイピング段より、ワイピング頻度が高いワイピング段においてより高い回転速度を有することが提供される。
【0003】
現行車両の車両フロントガラスの領域は、できるだけ燃費を抑えるだけでなく、運転の安全性のためにも頻繁に最適化されている。この目的のために、走行中に車両のフロントウインドウの領域に当たる降雨が、Aピラーを横方向に通過してサイドウインドウの領域に進入するのではなく、ルーフ上又はフロントエンジンフードの方向に流れるようになされることが重要である、又は所望とされている。このため、現行の車両のAピラーは、水がフロントウインドウからサイドウインドウの方向にオーバーフローすることを防ぐように、水に対するストリップ状排水要素を有するように設計されていることが多い。ここで、車両によっては、ワイピング段中に、すなわちウィンドウワイパーが反転ポイント間を移動する所定のワイピング頻度において、雨が一定の状態で運転速度を上昇させると、Aピラーの領域において車両のフロントウインドウの高さ全体に水が蓄積するという問題が知られている。この臨界速度範囲は、空気抵抗を理由として、水がエンジンフードの方向にもう流れることができない一方で、空気抵抗から作用する力、又はAピラーの領域に位置する水の入射流が、この水をAピラーの領域からルーフ上に導出させるにはまだ十分でない、という事実により特徴付けられる。これにより、特にウィンドウワイパーのAピラーから逆方向に移動する間に、すなわち、上方の反転ポイントから下方の反転ポイントへの方向の移動中に、水がAピラーの領域からフロントウインドウの領域内のドライバーの視界を通過することになる。このような安全性に関わり得る状態は、例えばドライバーがより高いワイパー速度又はワイピング頻度を選択することによってしか解決できない。しかしながら、これは、ドライバー側の付加的努力に関連する。
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を有するワイピングシステムを操作するための本発明による方法は、特に危険な車両速度範囲における前述の視覚的な障害が、ドライバーの手動介入がなくても少なくとも低減され得るとともに、適切な適用により通常完全に回避され得るという利点を有する。この目的のために、本発明は、ワイパーブレードが車両のウィンドウを清掃するワイピング頻度を、第1の値から車両速度に応じた所定の関数に対応する第2の値に変化させることを提案する。
【0005】
換言すれば、ワイピング頻度を速度に依存して(自動的に)変化させる、ということを意味している。この目的のために、ドライバーが対応する手動介入を実施することは要求されない。逆に、入力変数としてワイパー駆動部の制御装置に供給される車両速度を適切に考慮することにより、対応するワイピング頻度が速度依存関数に応じて選択及び設定され得る。
【0006】
車両のウィンドウを清掃するためのワイピングシステムを操作するための本発明による方法の有利な発展例は、従属請求項に規定される。本発明の範囲は、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び/又は図面に開示された少なくとも2つの特徴の全ての組合せを包含する。
【0007】
「先行技術」のセクションに記載された実質的な事項に関して、特に、ワイピング頻度は、第1車両速度に達するまで第1の値を有し、第1車両速度は、好適には60km/h乃至80km/hであることが提供される。
【0008】
また、第1車両速度において第1ワイピング頻度から開始したワイピング頻度を、第2車両速度への上昇に伴って第2ワイピング頻度に上昇させ、第1車両速度は、好適には60km/h乃至80km/hである、及び/又は第2車両速度は70km/h乃至120km/hであることが提供され得る。
【0009】
最後の提案の発展例において、第2ワイピング頻度に到達した後、ワイピング頻度を、第2車両速度を超えて更に増加する車両速度(v)において更に減少させることが提供される。
【0010】
本方法の更なる変形例では、速度を第2車両速度から第3車両速度に上昇させた場合、ワイピング頻度は第2ワイピング頻度から第3ワイピング頻度に減少し、第3車両速度は、好適には80km/h乃至140km/hであることが提供される。これは、所定の速度からは、Aピラーの領域に蓄積した水は、増大した走行又は空気抵抗を理由としてルーフ上に導出されるため、車両のフロントウインドウの領域における視覚的な障害を引き起こさない、という事実を考慮している。
【0011】
また、車両速度が第3車両速度を超えた場合、ワイピング頻度は、第3ワイピング頻度に到達した後、一定であることが提供され得る。
【0012】
対処すべき視覚的な障害の作用は、運転速度とともに一定的に又は直線的に増大する作用であることが多いため、車両速度が変化した場合に、ワイピング頻度を一定的に変化させることが更に提供される。これにより、特に、ワイピングシステムの機械的負荷が比較的低くなり得るとともに、回転速度が例えば速度の増加に伴って連続的に、すなわち段階的でなく増加するワイパーモータの作動が比較的単純になり得る。
【0013】
ここで、ワイピング頻度を線形関数に基づいて変化させることが特に好適である。ここで、この線形関数は、ワイピング頻度を所定の車両速度まで増加させることだけでなく、車両速度の更なる上昇に伴い、ワイピング頻度を元の値に減少させることにも関する。
【0014】
以上に説明した本発明による方法は、ワイパーモータの回転速度を変化させることで変化するワイピング頻度により、非常に単純な態様で実施され得る。この目的は、ワイパーモータが、ワイパーモータの回転速度を連続的に変化させ得る対応する回転速度レギュレータを有するだけで達成される。
【0015】
更なる特に好適な方法では、追加的に、ワイピング頻度を、雨センサにより検出される車両のウィンドウ上の水量に応じて変化させることが提供される。これにより、環境条件が変化した際のワイピング動作が更に最適に適合され得る。
【0016】
また、本発明は、本発明による方法に従って動作するように設計されたワイピングシステムを備える。ワイピングシステムは、車両のウィンドウに沿った2つの反転ポイント間における所定のワイピング頻度を有するワイパーモータにより少なくとも間接的に移動可能である少なくとも1つのワイパーブレードと、ワイピング頻度を速度に応じて変化させるための制御装置と、により特徴付けられる。
【0017】
ウィンドウワイピングシステムにおいて、制御装置が、ワイパーモータの回転速度を変化させることによりワイピング頻度を速度に適合させるように設計されていると特に好適である。
【0018】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好適な例示としての実施形態についての以下の説明及び図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】車両のフロントウインドウを清掃するためのワイピングシステムの簡略図。
【
図2】ワイパーブレードが車両のフロントウインドウに沿って移動するワイピング頻度の速度に依存する変化を説明するための図。
【
図3】
図2の態様におけるワイピング頻度の更なる可能な速度依存適合の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同一の要素又は同一の機能を有する要素は、図面上で同じ参照符号で示される。
【0021】
図1に、車両のフロントウインドウの形態にある車両ウィンドウ1を清掃するためのワイピングシステム100をかなり簡略化して示す。車両ウィンドウ1は、2つのAピラー2、3により横方向に画定されている。Aピラー2、3は、車両ウィンドウ1上に存在する水や雨が、
図1に示す車両のサイドウインドウの領域に流れ出してドライバーに対して視覚的な障害を生じさせ得ることなく、車両ウィンドウ1の下縁部4の方向において、又は車両ウィンドウ1の上縁部5の方向であって車両のルーフ(同じく図示せず)を超える方向のいずれかに流れ得るように特に設計されている。この目的のために、Aピラー2、3は、車両ウィンドウ1の方向における排出ストリップ等の形状に設計されている。
【0022】
例えば、ワイピングシステム100は、それぞれがワイパーブレード13、14を有する2つのウィンドウワイパー11、12を備えている。ウィンドウワイパー11、12、又はそれらのワイパーアームは、ワイパーモータ20に、象徴的にのみ示すワイパー結合部18を介して接続されている。ワイパーモータ20又はその駆動シャフトは、回転速度nで回転するように設計されている。ワイパーモータ20の駆動シャフトの回転は、ワイパー結合部18で連結されていることにより、2つのウィンドウワイパー11、12又はそれらのワイパーブレード13、14が、それ自体既知の態様で、反転ポイントUTとOTとの間で前後に移動するという効果をもたらす。これは、ワイピングサイクルを構成する。ここで、単位時間当たりの2つのワイパーブレード13、14の車両ウィンドウ1に沿った前後移動のワイピング頻度f、したがって、ワイピングサイクル数は、ワイパーモータ20の回転速度nに依存する。特に、ワイパーモータ20の回転速度nが2倍になると、ワイピング頻度fも同様に2倍高くなるという比例関係が存在している。
【0023】
また、雨センサ22が、選択的に車両ウィンドウ1の上縁部5の領域に配置され、車両ウィンドウ1の領域におけるその検出フィールド(図示せず)の領域に存在する水量Qを検出するように設計されている。検出された水量Qは、ワイピングシステム100の制御装置50に入力変数として供給される。同様に、センサ(図示せず)又は他の方法により、例えば車輪の回転数を介して検出される車両速度vが、制御装置50に入力変数として供給される。制御装置50は、ワイパーモータ20を作動させて特にその回転速度nに影響を及ぼすように設計されている。
【0024】
図2において、制御装置50によるワイパーモータ20の作動、したがってその回転速度nと、車両速度vに対するワイピング頻度fとの関係がプロットされている。特に、ワイピング頻度fのグラフg
1が、例えば50km/hである所定の車両速度v
1まで一定であるとともに、f
1であることが理解される。車両速度v
1から、ワイピング頻度fは、直線的に上昇し、例えば75km/hである車両速度v
2において値f
2になる。ワイピング頻度fは、車両速度v
2においてその最大値に達する。更に車両速度が上昇すると、グラフg
1のワイピング頻度fは再び減少し、例えば100km/hである車両速度v
3において元のワイピング頻度f
1になる。車両速度v
3からは、ワイピング頻度fは一定のままである。
【0025】
ワイパーモータ20を速度に依存して作動させることにより、回転速度n、又は車両ウィンドウ1がワイパーブレード13、14により清掃されるワイピング頻度fの線形変化がもたらされ、v
1とv
3との間の特に危険な速度範囲、特にv
2付近の範囲において、Aピラー2、3からドライバーの視野の方向に流れる水が、ドライバーに対する視覚的な障害が最小限とされる、又は排除されるような速度で、Aピラー2、3の領域に再び戻されるという効果が得られる。
【0026】
当然ながら、ワイパーモータ20の回転速度n又はワイピング頻度fの速度に依存する適合は、各車両のタイプに適合させる必要があり、
図2で限定される関数fのグラフg
1に限定されるものではない。したがって、完全なる例として、
図3は、ワイピング頻度fの速度依存変化の更なる3つのグラフg
2乃至g
4を示している。したがって、グラフg
2は、2つの車両速度v
1とv
3との間において、階段状又はステップ状のプロファイルを有している。このプロファイルにおいて、ワイピング頻度fは、車両速度v
2の付近の領域においてワイピング頻度f
2であるその最大値に達するまで段階的に上昇している。これに対し、グラフg
3は、車両速度v
1とv
3との間において線形ではなく、湾曲した一定の曲線プロファイルを備えている。グラフg
1と同様に、グラフg
2及びg
3の両者とも、
図2に対応して車両速度v
2に対して鏡面対称となるように設計されているが、これは必ずしもそうである必要はない。したがって、
図3は、更に完全なる例として、車両速度v
1とv
2との間においてワイピング頻度fが
図2と類似して直線的に上昇して、車両速度v
2においてその最大値に達するグラフg
4を示している。車両速度v
2から、ワイピング頻度fは同様にその他のグラフg
1乃至g
3に類似して再び減少するが、ワイピング頻度f
1である元の値ではなく、2つの値f
1とf
2との間にある値f
3になる。
【0027】
以上に説明したグラフg
1乃至g
4は、検出された雨量Qが増加すると、例えば各曲線プロファイルを直線的に上昇させる、又はY軸(ワイピング頻度f)の方向に変位させるように、雨センサ22を介して制御装置50により修正される。
【0028】
以上に説明したワイピングシステム100又はその動作モードは、本発明の概念から逸脱することなく、種々の態様において変更又は修正可能である。したがって、ウィンドウワイパー11、12の停止位置における下方の反転ポイントUTは、ワイピング動作中の反転ポイントUTと異なり得ることを特に言及しておく。必要に応じて、上方の反転ポイントOTも、速度に依存する態様で適合させることも可能である。
【0029】
1 車両ウィンドウ
2、3 Aピラー
4 下縁部
5 上縁部
11、12 ウィンドウワイパー
13、14 ワイパーブレード
18 ワイパー結合部
20 ワイパーモータ
22 雨センサ
50 制御装置
100 ワイピングシステム
n 回転速度
f、f
1、f
2、f
3 ワイピング頻度
v、v
1、v
2、v
3 車両速度
Q 水量
g
1、g
2、g
3、g
4 グラフ
【手続補正書】
【提出日】2020年8月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドシールド(1)を清掃するためのワイパーブレード(13、14)を備えたワイパー装置(100)を操作するための方法であって、前記ワイパーブレード(13、14)は、前記ウィンドシールド(1)に沿って2つの反転点(UT、OT)の間で少なくとも間接的にワイパーモータ(20)によって駆動されることによりワイピングサイクルを規定し、前記ワイピングサイクルにおいて、前記ワイパーブレード(13、14)は、前記ウィンドシールド(1)上で前記2つの反転点(UT、OT)間を移動するように作動され、所定時間におけるワイピングサイクル数をワイピング頻度(f)とする方法において、
前記ワイピング頻度(f)を、車両速度(v)に依存する所定の関数(g1、g2、g3、g4)に応じて、第1の値(f)から第2の値(f2)まで変化させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ワイピング頻度(f)は、前記車両速度(v)が第1車両速度(v1)に到達するまで前記第1の値(f1)に等しく、
好適には、前記第1車両速度(v1)は、60km/h乃至80km/hに含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両速度(v)が第1車両速度(v1)から第2車両速度(v2)まで上昇した場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第1の値(f1)から前記第2の値(f2)に上昇し、
好適には、前記第1車両速度(v1)は60km/h乃至80km/hに含まれる、及び/又は前記第2車両速度(v2)は70km/h乃至120km/hに含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両速度(v)が前記第2車両速度(v2)を超えた場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第2の値(f2)に到達した後に減少する、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車両速度が前記第2車両速度(v2)から第3車両速度(v3)に上昇した場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第2の値(f2)から第3の値(f3)に減少し、
前記第3車両速度(v3)は前記第2車両速度(v2)より高く、且つ好適には80km/h乃至140km/hに含まれる、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記車両速度(v)が前記第2車両速度(v2)を上回る場合、前記ワイピング頻度(f)は、前記第3の値(f3)に到達した後、一定である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の値(f3)は、前記第1の値(f1)に等しい、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の値(f1)は、毎分少なくとも10回のワイピングサイクルである、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の値(f2)は、毎分最大で55回のワイピングサイクルである、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ワイピング頻度(f)を、前記車両速度(v)に従って連続的に変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
追加的に、前記ワイピング頻度(f)を、雨センサ(22)により検出される前記ウィンドシールド(1)上の水の量(Q)に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
車両のウィンドシールドを清掃するためのワイパー装置(100)であって、前記ワイパー装置(100)は、少なくとも1つのワイパーブレード(13、14)を有し、前記ワイパーブレード(13、14)は、前記ウィンドシールド(1)に沿って2つの反転点(UT、OT)の間で少なくとも間接的にワイパーモータ(20)によって駆動可能であり、前記2つの反転点(UT、OT)間での移動はワイピングサイクルを規定し、所定時間におけるワイピングサイクル数をワイピング頻度(f)とし、且つ車両速度(v)の変化に応じて前記ワイピング頻度(f)を変化させるための制御装置(50)を有し、前記ワイピング頻度(f)は、好適には請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法に応じて可変である、
ワイパー装置(100)。
【請求項13】
前記制御装置(50)は、前記ワイパーモータ(20)の回転速度(n)を変化させるように構成される、
ことを特徴とする請求項12に記載のワイパー装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】