(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-506796(P2021-506796A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】外傷後症候群障害の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20210125BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20210125BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20210125BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210125BHJP
C07D 239/88 20060101ALI20210125BHJP
【FI】
A61K31/517
A61K45/00
A61P25/24
A61P43/00 121
C07D239/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-532642(P2020-532642)
(86)(22)【出願日】2018年12月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月12日
(86)【国際出願番号】BR2018050461
(87)【国際公開番号】WO2019113668
(87)【国際公開日】20190620
(31)【優先権主張番号】62/598,757
(32)【優先日】2017年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519150898
【氏名又は名称】アシェ・ラボラトリオス・ファルマセウティクス・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】マスカレッロ,アレッサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ギマランイシュ,クリスティアーノ・ルッヒ・ベルネック
(72)【発明者】
【氏名】アゼベード,アティラス・フェリペ・サネッティ・デ
(72)【発明者】
【氏名】ジュニオル,マルコス・アントニオ・フェレイラ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
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4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、外傷後症候群障害(PTSD)を治療するための、3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オン、医薬として許容されるその塩、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、結晶、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、および代謝産物、ならびに外傷後症候群障害(PTSD)を治療するための、該化合物を含有する医薬組成物に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外傷後症候群障害(PTSD)を治療するための、3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オン。
【請求項2】
3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オンの医薬として許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオ異性体(diasteroisomers)、立体異性体、結晶、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、および代謝産物としての、請求項1に記載の3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オン。
【請求項3】
外傷後症候群障害の治療に対する3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オンのファルマコフォアを有意に修飾しない修飾を有する、請求項1に記載の3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オン。
【請求項4】
無機付加塩である塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩から;有機付加塩である酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩(piruvate)、乳酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、アシストレート、ベシル酸塩、トシル酸塩、キシナホ酸塩、安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ケイ皮酸塩、p−クロロベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、トリメチル酢酸塩、t−ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、ムコン酸塩、マンデル酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩から;および金属ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ビスマス、臭化物のアルカリ付加塩から;および有機塩基である第一級、第二級、または第三級アミンとの医薬として許容される塩から;およびアミノ酸であるアルギニン、リジン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドロバミン(hydrobamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グリコサミン、テオブロミン、プリン、モルホリンとの塩から選択される、請求項2に記載の3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オンの医薬として許容される塩。
【請求項5】
外傷後症候群障害の治療を必要とする人に、治療有効量の請求項1〜4の1項に記載のキナゾリノン化合物を投与することを含む、外傷後症候群障害の治療。
【請求項6】
請求項1〜4の1項に記載のキナゾリノン化合物と1種または複数の賦形剤とを含む、外傷後症候群障害を治療する医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜4の1項に記載のキナゾリノン化合物以外に、抗うつ剤、抗不安剤、抗レトロウイルス剤、抗がん剤、抗生物質、抗糖尿病剤、血圧降下剤、鎮痛剤、抗炎症剤から選択される、少なくとも別の有効成分を含む、請求項6に記載の外傷後症候群障害を治療する医薬組成物。
【請求項8】
0.01〜5000mgの請求項1〜4の1項に記載のキナゾリノン化合物を含有する、剤形。
【請求項9】
外傷後症候群障害(PTSD)を治療するための医薬の調製における、請求項1〜4の1項に記載のキナゾリノン化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、広義には、PTSDとして公知の外傷後症候群障害の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]メンタルヘルスの病気の治療は、精神医学的/心理学的側面と薬物療法の側面の両方からの、関与するすべての複雑さおよびそれらの間の困難なバランスのために、常に難題であった。
【0003】
[0003]精神医学的/心理学的治療は、それぞれの疾患の症状、ならびに疾患の共存(不安障害、気分障害、精神障害、摂食障害、衝動制御および嗜癖障害、人格障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、ストレス反応症候群、解離性障害、虚偽性障害、性的および性別障害、チック障害など)を検出するのに高度な技能を備えた専門家を必要とするが、精神医学の薬物療法は、症状を有意に改善することができても、精神の病気を治すことはない。
【0004】
[0004]現在、それが何であるか、そしてそれがどのように現れるかにかかわらず、これらの障害の大半は、抗うつ剤および/または抗ストレス剤の薬物療法で治療される。
[0005]本発明は、具体的には、外傷的出来事への曝露に続く慢性的な不安障害である、外傷後ストレス障害(PTSD)のための薬物療法に関する。ほぼすべての人が外傷後に様々な反応を経験するが、ほとんどの人は初期症状から自然に回復する。問題を抱え続ける人は、PTSDと診断されることがある。PTSDを有する人は、危険のない状態であっても、ストレスを感じたり、怯えたりすることがある。
【0005】
[0006]外傷を与えられたすべての人が、持続的な(慢性)または短期的(急性)であってもPTSDを発症するとは限らない。PTSDを有するすべての人が危険な出来事を経てきたとは限らない。愛する人の突然の予想外の死のような経験も、PTSDを引き起こす可能性がある。症状は、通常早期に、外傷的出来事の3か月以内に始まるが、数年後に始まることもある。PTSDの症例であると見なされるためには、症状が1か月より長く続き、人間関係または仕事に支障をきたすのに十分なほど重度でなければならない。病気の経過は一様ではない。6か月以内に回復する人もいれば、症状がもっと長く続く人もいる。人によっては、状態が慢性化する。極めて典型的には、退役軍人は、PTSDの影響を受ける。
【0006】
[0007]PTSDに最も一般的に使用される薬物療法は、うつ病および不安症の症状を緩和する、よく知られた抗うつ剤である。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、フルオキセチン)は、典型的には第一選択治療であり、PTSDの治療に処方されることが多い。三環系抗うつ剤(例えば、デシプラミン)またはモノアミンオキシダーゼ阻害剤は、一般に、認容性の問題のために二次および三次戦略として用いられる。
【0007】
[0008]ベンゾジアゼピンなどの他の抗うつ薬も、PTSDの治療に推奨されている。回避、過覚醒、無感覚、および解離などの、PTSDの「中核」症状と見なされるものの治療に関するベンゾジアゼピンの有効性を裏付けるデータは知られていない。それにもかかわらず、それらは、おそらく迅速な短期的症状緩和によって不眠症および不安症などのPTSDの二次的症状にうまく対処すると推測されるために、一般に処方される。
【0008】
[0009]残念なことに、多くのPTSD患者が既存の薬理学的治療に適切に応答することができず、治療にある程度まで応答する患者は約60%、完全寛解に達する患者はおよそ20〜30%に過ぎない。よって、利用できる薬理学的療法は、PTSD患者に十分な解決策を提供しておらず、新規な治療戦略に対する重要な必要性が存在すると思われる。
【0009】
[0010]加えて、抗うつ剤の薬物療法がPTSDの薬理学的一次治療を構成しており、多くの患者が有益な薬効を示さないことから、抗うつ剤と追加的な薬物との併用が必要であり得ることが示唆されている。実際に、PTSDにおける症候群の不均一性、ならびに複雑な精神医学的合併症(例えば、うつ病または物質乱用との)によって、薬物療法の併用が必要とされているという考えがさらに裏付けられる。したがって、PTSDおよびその複雑な精神医学的合併症の効果的な治療に関する現在の共通認識は、治療の併用である。
【0010】
[0011]しかし、PTSDなどの複雑な行動障害を治療するための薬物療法の併用には欠点がないわけではない。何故なら、薬物−薬物相互作用だけでなく、1組の代わりに2組の薬物の副作用に対処しなければならないからである。
【0011】
[0012]よって、利用できる薬理学的療法は、PTSD患者に十分な解決策を提供しておらず、新規な治療戦略に対する重要な必要性が存在すると思われる。
【発明の概要】
【0012】
[0013]研究調査によって、ある種のキナゾリノン化合物が、PTSDの症状に対する治療に現在用いられる薬物よりも、PTSDの症状に対して効果的で副作用の少ない治療をもたらすことが見出された。
【0013】
[0014]本発明のキナゾリノン化合物は、以下の構造を有する、3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オンである:
[0015]
【0015】
[0016]本発明のキナゾリノン化合物の意味の範囲内には、医薬として許容されるその塩、鏡像異性体、ジアステレオ異性体(diasteroisomers)、立体異性体、結晶、水和物、および溶媒和物も、それらがPTSD治療に関する化合物の活性を有意にもたらすという条件で含まれる。本発明のキナゾリノン化合物の意味の範囲内には、そのプロドラッグおよび代謝産物も含まれ、さらには、当業者であればわかるように、PTSDに対する分子のファルマコフォアを有意に修飾しない、わずかな修飾を有する遊離塩基分子(例えば、置換基の包含)も含まれる。
【0016】
[0017]他のいかなる選択肢も排除するものではないが、本発明のキナゾリノン化合物の適切な塩は、医薬として許容されるその酸付加塩、例えば、無機付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、および医薬として許容される有機付加塩(additions salts)、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩(piruvate)、乳酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、アシストレート、ベシル酸塩、トシル酸塩、キシナホ酸塩、安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ケイ皮酸塩、p−クロロベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、トリメチル酢酸塩、t−ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、ムコン酸塩、マンデル酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩である。
【0017】
[0018]他のいかなる選択肢も排除するものではないが、本発明のキナゾリノン化合物の適切な塩は、医薬として許容されるそのアルカリ付加塩、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ビスマス、臭化物など)、または有機塩基、例えば、第一級、第二級、もしくは第三級アミン(例えば、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、N−メチル−D−グルカミン)との、およびアミノ酸塩、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドロアミン(hydro amine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、テオブロミン、プリン、モルフィン(morphine)との医薬として許容される塩である。
【0018】
[0019]前記キナゾリノン化合物、すなわち本発明は、公知の方法によって調製することができる。例えば、それは、以下の図表1に示されるように調製することができる:
[0020]
【0020】
[0021]式中、R1は水素であり、R2はメトキシフェニルである。
[0022]
図1に従って、本発明の化合物は、アントラニル酸から、オルトギ酸エチルおよびモノエタノールアミンを使用して、中間体3−(2−ヒドロキシエチル)キナゾリン−4(3H)−オンを形成して得ることができる。この中間体を塩化チオニルと反応させると塩素化誘導体が形成され、それを次に置換ピペラジンフェニルと縮合させると所望の化合物が得られる。他の合成代替手段を使用して、結果に悪影響を及ぼすことなくそれを得るができる。
【0021】
[0023]本発明の一態様は、前記のキナゾリノン化合物である。
[0024]本発明の別の態様は、PTSDの治療を必要とする人に治療的有効量のキナゾリノン化合物を投与することによって特徴付けられる、PTSDの治療である。
【0022】
[0025]本発明の別の態様は、前記のキナゾリノン化合物と1種または複数の賦形剤とを含む、PTSDを治療する医薬組成物である。
[0026]使用されるべき、または医薬組成物を調製する賦形剤の選択は、一般に、投与経路のタイプ、賦形剤と活性成分との物理的および化学的適合性、医薬提示物を調製する方式、およびその有効性への影響を考慮して行われる。これらの賦形剤は当技術分野で公知であり、この件における技術専門家によって広く使用される文献に(例えば、Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations−1a6巻−2004−Sarfaraz K.Niazi−CRC Press and Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishingに)記載されている。
【0023】
[0027]治療用に使用および投与するために、本発明のキナゾリノン化合物は、従来の技法および適正な賦形剤を使用して、経口、非経口、経鼻、直腸、経粘膜、および経皮投与に適した組成物に製剤化されてもよい。
【0024】
[0028]本発明のキナゾリノン化合物を含む剤形に関して特別な制約はない。例えば、経口投与用の固体として、適切な剤形は、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、顆粒剤、散剤、小丸剤、凍結乾燥物、および同様の提示物であり得る。経口投与用の液体として、適切な剤形は、液剤、分散剤、懸濁剤、エマルジョン、油剤、シロップ剤などであり得る。液体剤形は、静脈内、筋肉内、皮下、および皮内などの注射に使用されてもよい。
【0025】
[0029]剤形の他の例は、リポソームおよびナノ粒子、または当業者に公知の任意の他の投与態様を含む。剤形は、本発明のキナゾリノン化合物の即時、制御、または遅延放出をもたらすことができる。
【0026】
[0030]本発明の別の態様は、例えば、0.01〜5000mgの本発明のキナゾリノン化合物を含有し、治療の間に毎日1回以上投与することができる、上記のような剤形である。
【0027】
[0031]特定の実施形態では、本発明の組成物は、キナゾリノン化合物以外に、例えば、抗うつ剤、抗不安剤、抗レトロウイルス剤、抗がん剤、抗AIDS剤、抗生物質、抗糖尿病剤、血圧降下剤、鎮痛剤、抗炎症剤から選択される、少なくとも別の有効成分を含んでもよい。
【0028】
[0032]別の態様では、本発明は、PTSDを治療するための医薬品の調製における上記のキナゾリノン化合物の使用に関する。
[0033]別の態様では、本発明は、PTSDを治療するための上記のキナゾリノン化合物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】[0034]−脳領域内のc−fos陽性神経細胞の数である。
図1Aに例示される脳領域は、青斑核である。
図1Bに例示される脳領域は、扁桃体である。
図1Cに例示される脳領域は、視床下部である。
図1Dに例示される脳領域は、分界条床核(bed nuclei stria terminalis)である。この実験は、3つの異なる群を含んでいた(群当たりn=10):単一長期ストレスプロトコルに供されていないマウス(偽)、単一長期ストレスプロトコルに供されたマウス(SPS)、および単一長期ストレスプロトコルに供されたが、30mg/kgでのIA1−29と名付けられた3−(2−(4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エチル)キナゾリン−4(3H)−オンで事前処置されたマウス(IA1−29+SPS)。
【実施例】
【0030】
[0035]本発明のキナゾリノンをIA1−29と名付け、長期ストレス刺激の後に脳で生じる活性化を模倣したin vivoモデルで試験した。
[0036]脳の活性化における30mg/kgのIA1−29の経口投与の効果を、単一長期ストレス(SPS)モデルに供されたマウスで評価した。SPSプロトコルは、複数のストレス要因を組み合わせた、よく確立されたPTSDのモデルである(身体の拘束、強制水泳、捕食者の匂い、およびエーテル麻酔(Borghans&Homberg、2015;Yamamotoら、2009))。特定の脳領域の活性化は、個々の神経細胞における細胞の活性化のマーカーとして使用することができる即時性遺伝子産物であるc−fosタンパク質を発現している神経細胞の数を数えることによって決定した。興味深いことに、ストレス反応に関与する鍵となる脳領域におけるSPS誘導c−fos発現は、IA1−29の事前投与によって抑制された。これらの領域の一部におけるc−fos陽性神経細胞の数は、
図1に視覚化することができる。この実験は、3つの異なる群を含んでいた(群当たりn=10):SPSプロトコルに供されていないマウス(偽)、SPSモデルに供されたマウス(SPS)、およびSPSプロトコルにかけられたが、30mg/kgでのIA1−29で事前処置された動物(IA1−29+SPS)。
図1に例示される脳領域は、青斑核(
図1A)、扁桃体(
図1B)、視床下部(
図1C)、および分界条床核(
図1D)である。群間の統計解析は、ANOVA、続いてボンフェローニ事後検定によって行った。
*は、SPS群と偽群の間でp<0.05。
#は、IA1−29+SPS群とSPS群の間でp<0.05。
【0031】
[0037]当業者であれば、本明細書に含まれる説明および例によって本明細書の利点を即座に理解し、添付の発明の範囲を逸脱することなく本発明の同等の実施形態を提示することができるであろう。
【国際調査報告】