(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
クリックケミストリーを使用して、抗体を放射性標識する改善された方法が記載される。また、本方法によって生成される放射性標識抗体に関連する医薬組成物及び使用も記載される。
前記第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルキン基を含み、前記クリック反応パートナーの他方がアジドを含み、又は前記第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルケン基を含み、前記クリック反応パートナーの他方がジエンを含む、請求項1に記載の方法。
側鎖上の求電子物質を前記第1のクリック反応パートナーに共有結合したスルフヒドリル基と反応させて、前記修飾ポリペプチドを得ることを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記修飾ポリペプチドが、前記第1のクリック反応パートナーの部位特異的組み込みによって得られる修飾抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1〜5いずれか一項に記載の方法。
前記修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記抗体のFc−グリコシル化部位のコアGlcNac残基間のβ−1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼで抗体又はその抗原結合フラグメントをトリミングして、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及びGalTガラクトシルトランスフェラーゼ又はGalNacトランスフェラーゼ等の糖転移酵素の存在下で、前記トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントをアジド標識糖と反応させることにより、前記修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、を含む方法によって得られる、請求項7に記載の方法。
前記アジド標識糖が、UDP−N−アジドアセチルガラクトサミン(UDP−GalNaz)又はUDP−6−アジド6−デオキシGalNAcである、請求項8に記載の方法。
前記修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体又はその抗原結合フラグメントをアミダーゼで脱グリコシル化して、脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び前記脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを、微生物トランスグルタミナーゼの存在下でアジドアミンと反応させることによって、前記修飾ポリペプチドを得ること、を含む方法によって得られる、請求項7に記載の方法。
前記アジドアミンが、3−アジドプロピルアミン、6−アジドヘキシルアミン、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)テトラエチレングリコール、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)ペンタエチレングリコール、及びO−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)トリエチレングリコールから選択される、請求項11に記載の方法。
側鎖上の求電子物質を前記アジド、テトラジン又はテトラゾール基に共有結合したスルフヒドリル基と反応させて、前記修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを得ることを更に含む、請求項16に記載の方法。
前記修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記抗体のFc−グリコシル化部位のコアGlcNac残基間のβ−1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼで抗体又はその抗原結合フラグメントをトリミングして、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び糖転移酵素の存在下で、前記トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントをアジド標識糖と反応させることにより、修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、を含む方法によって得られる、請求項18に記載の方法。
前記アジド標識糖が、UDP−N−アジドアセチルガラクトサミン(UDP−GalNaz)又はUDP−6−アジド6−デオキシGalNAcである、請求項19に記載の方法。
前記修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体又はその抗原結合フラグメントをアミダーゼで脱グリコシル化して、脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び前記脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを、微生物トランスグルタミナーゼの存在下でアジドアミンと反応させることによって、前記修飾ポリペプチドを得ること、を含む方法によって得られる、請求項16に記載の方法。
前記アジドアミンが、3−アジドプロピルアミン、6−アジドヘキシルアミン、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)テトラエチレングリコール、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)ペンタエチレングリコール、及びO−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)トリエチレングリコールから選択される、請求項22に記載の方法。
前記第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルキン基を含み、前記第1及び第2のクリック反応パートナーの他方がアジドを含み、前記第3及び第4のクリック反応パートナーの一方がアルケン基を含み、前記第3及び第4のクリック反応パートナーの他方がジエンを含み、前記第1又は第2の放射性金属イオンが診断エミッタであり、前記他方が治療エミッタである、又は前記第1及び第2の放射性金属イオンの両方が治療エミッタである、請求項25に記載の方法。
腫瘍性の疾患又は障害の治療を必要とする対象における、腫瘍性の疾患又は障害の治療方法であって、前記対象に、請求項27に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
請求項1又は16に記載の方法によって調製された放射性標識抗体と、薬学的に許容可能な担体と、を含み、前記放射性標識抗体の免疫学的特性が保存されている、セラノスティック剤。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の背景において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載する。これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいかなる発明に対しても先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0022】
別の定義がなされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で引用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によって恰もその全体が本明細書に記載されているものと同様にして組み込まれる。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意すべきである。
【0024】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要としない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「含む」は、用語「含有する」又は「含む(including)」に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用するとき、用語「有する」に置き換えることもできる。
【0025】
本明細書で使用するとき、「からなる」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又はステップは除外しない。本発明の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用するとき、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する」、「含む(including)」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0026】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしの第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、本明細書で使用される用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれることが理解され、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たす。
【0027】
本出願の読者を助けるため、明細書の記載は、様々な段落若しくはセクションに分けられているか、又は本出願の様々な実施形態に向けられている。これらの分離は、段落又はセクション又は実施形態の実体を別の段落又はセクション又は実施形態の実体から切り離すものと見なされるべきではない。反対に、当業者であれば、本明細書の記載が広範な用途を有し、想到され得る様々な段落、パラグラフ、及び文章の全ての組み合わせを包含することを理解するであろう。任意の実施形態の考察は、単なる例示であることを意味するものであり、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がこれらの実施例に限定されることを示唆することを意図するものではない。
【0028】
ポリペプチドのクリック放射性標識
既知の手順とは対照的に、本発明の方法は、例えば、それを必要とする対象、例えば、ヒトにおける医療用途に好適な、放射性免疫複合体の生成のための改善された方法を提供する。特に、本明細書に記載の方法は、限定されないが、
225Ac、
111In及び
89Zrを含む金属イオンの高収率のキレート化と低DARの両方に対するプロセスを提供することにより、現在の方法の主要な制限に対処する。本発明は、放射性標識された診断目的(例えば、
89Zr若しくは
111Inで標識された場合)又は治療目的(例えば、
225Acで標識された場合)用の生産に使用できるアジド−mAb複合体等のアジド標識ポリペプチドの単一のバッチの生成を可能にし、放射性標識が、アジド標識ポリペプチドのバッチ内の同じ部位(複数の場合もある)に付着し、部位特異的修飾又はランダムアジド複合化のいずれかによって取得され得る。例えば、ランダムアジド複合化の場合、アジド修飾部位の単一分布を含むアジド標識ポリペプチドのバッチのサンプルは、本発明のクリックケミストリーを使用して、異なる目的で放射性標識することができる。
【0029】
クリックケミストリーに依拠する、「クリック放射性標識」と呼ばれる本発明の方法は、(1)第1のクリックケミストリー反応パートナー、例えば、アジド部分を含む、抗体などの修飾ポリペプチドを得ることと、(2)キレート化部分と会合した、放射性金属イオン、例えば、
225Ac、
111In、又は
89Zrを含む放射性錯体を得ることであって、ここで、キレート化部分が、第2のクリックケミストリー反応パートナー、例えば、DOTA−ジベンゾシクロオクチン(DOTA−DBCO)又はデフェロキサミン−DBCO(DFO−DBCO)などのアルキン基に共有結合されたキレート剤を含み、及び(3)アジド部分とアルキン基との間の歪み促進型アジド−アルキン付加環化反応(SPAAC)などの、修飾ペプチドのクリックケミストリー反応パートナーと、放射性錯体との間の反応を行うことと、を含む。
【0030】
本発明の方法は、低pH又は高pH及び/又は高温条件下での放射性金属のキレート化を可能にして効率を最大化することができ、これは、アルキン反応パートナーを不活性化するリスクを伴わずに達成され得る。アジド−mAbと放射性錯体との間の効率的なキレート化及び効率的なSPAAC反応により、低アジド:mAb比であっても高い放射線化学収率で放射性免疫複合体を生成することができる。本発明の方法では、微量金属を除外しなければならない唯一の工程は、キレート化部分に対する放射性金属イオンキレート化であり、抗体の生産、精製、及び複合化の工程は、金属を含まない条件下で行われる必要はない。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「クリックケミストリー」は、Sharplessによって導入された化学哲学を指し、反応基を含む小さな単位を一緒に結合することによって共有結合を迅速かつ確実に生成するように調整された化学を説明する(上記のKolb,et al.を参照されたい)。クリックケミストリーは、特定の反応を指すものではないが、自然界に見られる反応を模倣する反応を含むがこれらに限定されない概念を指す。いくつかの実施形態では、クリックケミストリー反応はモジュール式であり、広範囲であり、化学収率が高く、害のない副生成物を生成し、立体特異的であり、単一の反応生成物との反応を選択するための大きな熱力学的駆動力を示し、及び/又は生理学的条件下で実施することができる。いくつかの実施形態では、クリックケミストリー反応は、高い原子経済性を示し、単純な反応条件下で実施することができ、容易に利用可能な出発物質及び試薬を使用し、毒性溶媒を使用せず、又は水などの無害な若しくは容易に除去される溶媒を使用し、及び/又は結晶化若しくは蒸留などの非クロマトグラフィー法による単純な生成物の単離を提供する。特定の実施形態では、クリックケミストリー反応は、アジド(−N3)とアルキン又はアルキン部分との間のヒュイゲン環付加反応又は1,3−双極子付加環化反応であり、1,2,4−トリアゾールリンカーを形成する。
【0032】
一般的な態様では、本発明は、放射性金属イオンでポリペプチド、アプタマー又は小分子リガンドを標識する方法に関し、方法は、
a.第1のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドを提供することと、
b.キレート化部分に会合した放射性金属イオンを含む放射性錯体を提供することと、ここで、キレート化部分が、第2のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、
c.第1のクリック反応パートナーが第2のクリック反応パートナーと反応することによって、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識することを可能にする条件下で、修飾ポリペプチドを放射性錯体と接触させることと、を含む。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して連結された、天然に存在する構造変異体、及びそれらの合成非天然起源のアナログで構成されるポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、任意のサイズ、構造、又は機能のポリペプチドを指す。典型的には、ポリペプチドは、少なくとも3個のアミノ酸長である。ポリペプチドは、天然起源、組み換え型、若しくは合成型、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して合成することができる。好ましい実施形態によれば、ポリペプチドは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体、又はそのフラグメント、その抗原結合フラグメント等である。好ましい実施形態によれば、抗体又はそのフラグメントは、癌抗原に特異的である。他の実施形態によれば、ポリペプチドは、遺伝子操作されたドメイン又はスキャフォルドタンパク質である。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」又は「免疫グロブリン」は広い意味で用いられ、ポリクローナル抗体を含む免疫グロブリン又は抗体分子、マウス、ヒト、ヒト適合、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体、並びにそれらの抗原結合フラグメントを含むモノクローナル抗体を含む。
【0035】
一般に抗体とは、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖であり、本明細書では「標的」と称される。抗体の構造は、公知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てることができる。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。したがって、本発明の抗体は、5つの主要なクラス又は対応する下位クラスのいずれかのものであることができる。本発明の抗体はIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4であることが好ましい。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちκ及びλのうちの一方に割り当てることができる。したがって、本発明の抗体は、κ又はλ軽鎖定常ドメインを含有することができる。特定の実施形態に従うと、本発明の抗体は、マウス抗体又はヒト抗体の重鎖及び/又は軽鎖定常領域を含む。4つのIgGサブクラスのそれぞれは、エフェクター機能として既知の異なる生物学的機能を有する。これらのエフェクター機能は、一般に、Fc受容体(FcγR)との相互作用によって、又はC1qの結合及び補体の固定によって媒介される。FcγRへの結合は、抗体依存性細胞媒介性細胞溶解をもたらし得るが、補体因子への結合は、補体媒介性細胞溶解をもたらし得る。本発明に有用な抗体は、エフェクター機能を有さないか又は最小であってもよいが、FcRnに結合するその能力を保持する。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「抗原結合フラグメント」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィド安定化Fvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv−dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、単鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部分から形成される多重特異的抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体フラグメントなどの抗体フラグメントを指す。抗原結合断片は、親抗体又は親抗体断片が結合する同じ抗原に結合することができる。本明細書で使用するとき、用語「単鎖抗体」は、約15〜約20個のアミノ酸の短いペプチドによって接続される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、この分野における従来の単鎖抗体を指す。本明細書で使用するとき、用語「単一ドメイン抗体」は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含むか、又は重鎖可変領域のみを含む、この分野における従来の単一ドメイン抗体を指す。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「スキャフォルド」又は「スキャフォルドタンパク質」は、標的結合ドメインを有し、標的に結合することができる任意のタンパク質を指す。スキャフォルドは、大部分が構造的である「フレームワーク」と、標的と接触して特異的結合を提供する「結合ドメイン」と、を含む。スキャフォルドの結合ドメインは、スキャフォルドの1つの連続配列によって定義される必要はない。特定の場合、スキャフォルドは、より大きい結合タンパク質の一部であってもよく、それ自体は、複数のスキャフォルドを含む多量体結合タンパク質の一部であってもよい。特定の結合タンパク質は、2つ以上の異なるエピトープに結合することができるという点で、二重特異的又は多重特異的であり得る。スキャフォルドは、単鎖抗体由来であってもよく、又はスキャフォルドは抗体由来でなくてもよい。
【0038】
本開示を考慮して当業者に既知のポリペプチドの化学修飾又は酵素修飾のための任意の方法を使用して、本発明のポリペプチドを、第1のクリック反応パートナーに共有結合させることができる。各ポリペプチド鎖のN末端及びリジン残基の側鎖に存在する第一級アミンと反応するアミン反応性基を、ポリペプチドのランダム修飾の方法で使用することができる。本発明での使用に好適なアミン反応性基の例としては、限定されないが、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、置換NHS、例えばスルホ−NHS、イソチオシアネート、並びにテトラ及びペルフルオロフェニルエステルが挙げられる。システイン残基の側鎖に存在するチオール又はスルフヒドリルと反応するチオール反応性基を、ポリペプチドのランダム修飾の方法で使用することができる。本発明での使用に好適なチオール反応性基の例としては、限定されないが、マレイミド、ハロアセチル、及びフェニルオキサジアゾールスルホンが挙げられる。好ましい実施形態によれば、修飾ポリペプチドは、第1のクリック反応パートナー(例えば、NHS−アジド)に共有結合した求電子物質と、リジンの側鎖、好ましくはアミノ側鎖とを反応させることによって得られる。
【0039】
本発明の方法は更に、部位特異的放射性標識ポリペプチドの産生を可能にする。本発明のクリック放射標識法は、アジド基を抗体に部位特異的に導入する確立された方法を利用することにより、放射性免疫複合体の部位特異的生成を容易にする(Li, X., et al. Preparation of well−defined antibody−drug conjugates through glycan remodeling and strain−promoted azide−alkyne cycloadditions.Angew Chem Int Ed Engl,2014.53(28):p.7179−82;Xiao,H.,et al.,Genetic incorporation of multiple unnatural amino acids into proteins in mammalian cells.Angew Chem Int Ed Engl,2013.52(52):p.14080−3)。部位特異的方法でタンパク質又は抗体に分子を付着させる方法は、技術分野において知られており、当業者に既知の抗体を部位特異的に標識する任意の方法を、本開示を考慮して本発明で使用することができる。本発明での使用に好適な抗体を部位特異的に修飾する方法の例としては、限定されないが、修飾システイン残基(例えば、THIOMAB(商標))の組み込み、非天然アミノ酸又はグリカン(例えば、セレノシステイン、p−AcPhe、ホルミルグリシン生成酵素(FGE、SMARTag(商標))など)、及び酵素法(例えば、グリコトランスフェラーゼ、エンドグリコシダーゼ、微生物又は細菌トランスグルタミナーゼ(MTG又はBTG)、ソルターゼAなど)の使用が挙げられる。好ましい実施形態によれば、修飾ポリペプチドは、最も内側のGlcNAcをそのままFcに残して、その部位でのアジド糖の部位特異的取り込みを可能にする、GlycINATOR(Genovis)などの抗体のFc−グリコシル化部位のコアGlcNac残基間のβ−1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼにより、抗体又はその抗原結合フラグメントをトリミングすることによって得られる、抗体又はその抗原結合フラグメントである。次いで、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントを、GalTガラクトシルトランスフェラーゼ又はGalNacトランスフェラーゼなどの糖転移酵素の存在下で、UDP−N−アジドアセチルガラクトサミン(UDP−GalNaz)又はUDP−6−アジド6−デオキシGalNacなどのアジド標識糖と反応させて、修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを得ることができる。他の好ましい実施形態によれば、修飾ポリペプチドは、抗体又はその抗原結合フラグメントをアミダーゼでグリコシル化することによって得られる抗体又はその抗原結合フラグメントである。次いで、得られた脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを、アジドアミン、好ましくは3−アジドプロピルアミン、6−アジドヘキシルアミン、又は任意のアジドリンカーアミン若しくは任意のアジドアルキルアミン、アジド−ポリエチレングリコール(PEG)−アミンなど、例えば、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)テトラエチレングリコール、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)ペンタエチレングリコール、O−(2−アミノエチル)−O’−(2−アジドエチル)トリエチレングリコールなどと反応させて、又は微生物トランスグルタミナーゼの存在下で反応させて、修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを得ることができる。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「アプタマー」は、高親和性でその標的に特異的に結合することができる一本鎖オリゴヌクレオチド(一本鎖DNA又はRNA分子)を指す。アプタマーは、様々な有機及び無機物質を標的とする分子として使用することができる。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「小分子リガンド」は、低分子量有機化合物を指す。本明細書で使用するとき、小分子リガンドは、約1000ダルトン未満のサイズを有する化合物を指すことができ、実験室で合成され得るか、又は天然に見られ得る化合物を指すことができる。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「クリック反応パートナー」又は「クリックケミストリーハンドル」は、クリックケミストリー反応に加わることができる反応物質又は反応性基を指す。クリック反応パートナーは、天然起源の生体分子にまれに見られ、生体分子に対して化学的に不活性であるが、例えば、アジド反応性又はアルキン反応性基と反応させた場合、反応は、生物学的に関連する条件下、例えば、過剰な熱又は過酷な反応物質の不在下などの細胞培養条件において、効率的に反応を行うことができる。一般に、クリックケミストリー反応は、互いに反応することができるクリック反応パートナーを含む、少なくとも2つの分子を必要とする。互いに反応性であるこのようなクリック反応パートナーは、本明細書ではクリックケミストリーハンドル対、又はクリックケミストリー対と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、クリック反応パートナーは、アジド及び歪を付与したアルキン、例えばシクロオクチン、又は任意の他のアルキンである。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、反応性ジエン及び好適なテトラジン求ジエン体である。例えば、トランス−シクロオクテン、ノルボルネン、又はビスシクロノネンは、クリック反応対として好適なテトラジン求ジエン体と対にすることができる。更に他の実施形態では、テトラゾールは、紫外線の存在下で活性化されていないアルケンと対になって、「光クリック」反応対と呼ばれるクリック反応対を作ることができる。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、システイン及びマレイミドである。例えば、ペプチドに由来するシステイン(例えば、GGGC)を、キレート剤(例えば、NOTA)に会合しているマレイミドと反応させることができる。他の好適なクリックケミストリーハンドルが当業者に知られている(例えば、Spicer et al.,Selective chemical protein modification.Nature Communications.2014;5:p.4740を参照されたい)。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、ホスフィン及びアジドなどのシュタウディンガーライゲーション成分である。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、テトラジンなどのジエン、及びトランス−シクロオクテン(TCO)又はノルボルネンなどのアルケンなどのディールス・アルダー反応成分である。例示的なクリック反応パートナーは、米国特許出願公開第20130266512号明細書及び国際公開第2015073746号パンフレットに記載されており、両方のクリック反応パートナーについての関連する説明は、参照により本明細書に組み込まれる。好ましい実施形態によれば、第1及び第2のクリック反応パートナーのうちの一方がアルキン基を含み、クリック反応パートナーの他方がアジドを含む。他の好ましい実施形態によれば、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルケン基を含み、クリック反応パートナーの他方がジエンを含む。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「アルキン」、「アルキン基」又は「アルキン部分」は、炭素−炭素三重結合を含む官能基を指す。アルキン部分としては、末端アルキン及び環状アルキン、好ましくはアジド基と反応性の末端アルキン及び環状アルキンが挙げられる。末端アルキンは、三重結合炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子を有する。環状アルキンは、1つ以上の三重結合を含むシクロアルキル環である。環状アルキンの例としては、限定されないが、ビシクロノニン(BCN)、ジフルオロシクロオクチン(DIFO)、ジベンゾシクロオクチン(DIBO)、ケト−DIBO、ビアリールアザシクロオクチノン(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチン(DIBAC)、ジメトキシアザシクロオクチン(DIMAC)、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)、ジフルオロベンゾシクロオクチン(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチン(MOBO)、及びテトラメトキシDIBO(TMDIBO)などのシクロオクチン及びシクロオクチン誘導体が挙げられる。好ましい実施形態によれば、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方は、環状アルキン、好ましくはDBCOを含む。好ましい実施形態によれば、クリック反応パートナーの他方は、アジド、好ましくはNHS−アジドを含む。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語「ジエン」は、2つの炭素−炭素二重結合を有し、これらの二重結合が1,3位で結合している化合物を指す。ジエンの二重結合は、シス又はトランスのいずれかであり得る。ジエンの例としては、テトラジン又はテトラゾール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「アルケン」、「アルケン基」又は「アルケン部分」は、炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素分子を指す。特定の実施形態によれば、アルケンは、2〜100個の炭素原子を含むことができる。アルケンの例としては、ノルボルネン及びトランス−シクロオクテン(TCO)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好ましい実施形態によれば、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方は、アルケン基、好ましくはノルボルネン又はTCOを含む。好ましい実施形態によれば、他のクリック反応パートナーは、ジエン、好ましくはテトラジン又はテトラゾール基を含む。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語「共有結合した」は、少なくとも1つの共有結合を介して、ポリペプチドが第1のクリック反応パートナーに付着され、キレート剤が、少なくとも1つの共有結合を介して第2のクリック反応パートナーに付着されていることを意味する。結合は、直接、すなわちリンカーを含なくてもよく、又は間接的に、すなわちリンカーを介してもよい。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「リンカー」は、ポリペプチド又はキレート剤をクリック反応パートナーにつなぐ化学部分を指す。本開示を考慮して当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。リンカーは、例えば、単一の共有結合、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル部分、ポリエチレングリコール(PEG)リンカー、ペプチドリンカー、糖系リンカー、又はジスルフィド結合、若しくはバリン−シトルリン−PABなどのプロテアーゼ開裂部位などの開裂可能なリンカーであり得る。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「放射性金属イオン」又は「放射活性金属イオン」は、粒子及び/又は光子を放出する元素の1つ以上の同位体を指す。本開示を考慮して当業者に既知の任意の放射性金属を本発明で使用することができる。本発明での使用に好適な放射性金属の例としては、限定されないが、
32P、
47Sc、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
67Ga、
68Ga、
77As、
86Y、
89Zr、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
111In、
117Sn、
131I、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
177Lu、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
227Th、及び
255Fmが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「診断エミッタ」は、診断又は撮像用途において有用な放射性金属イオンを指す。診断エミッタの例としては、限定されないが、
62Cu、
64Cu、
67Ga、
68Ga、
86Y、
89Zr、及び
111Inなどのガンマエミッタが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「治療エミッタ」は、治療用途において有用な放射性金属イオンを指す。治療エミッタの例としては、限定されないが、ベータ又はアルファエミッタ、例えば、トリウム、ラジウム、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
177Lu、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
255Fm及び
227Thが挙げられる。好ましい実施形態によれば、放射性金属イオンは
225Acである。他の実施形態によれば、ポリペプチドは、事前標的化又はセラノスティック用途で使用するため非金属放射性標識で標識することができる。本発明における使用に適した非金属放射性標識の例としては、限定されないが、
125I及び
18Fが挙げられる。
【0049】
本明細書に記載の放射性錯体は、キレート化部分と会合した放射性金属イオンを含む。本発明の実施形態によると、キレート化部分は、クリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、本明細書では「二官能性キレータ」と呼ばれることもある。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「キレート剤」又は「キレータ」は、
225Acなどの放射性金属、又は金属が、配位結合を介してキレート化され得る化学化合物を指す。本開示を考慮して当業者に知られている任意のキレート剤を本発明で使用することができる。一実施形態では、キレート剤は大環状分子を含む。本発明での使用に好適な大環状分子を含むキレート剤の例としては、限定されないが、デフェロキサミン(DFO)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)が挙げられる。別の実施形態では、キレート剤は、開鎖配位子を含む。本発明における使用に適した開鎖配位子を含むキレート剤の例としては、限定されないが、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N、N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロヘキサデカン−N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’’−ヘキサ酢酸(HEHA)、1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタナデカン−N,N’,N’’,N’’’,N’’’’−ペンタ酢酸(PEPA)、Macropa(Thiele et al.,An Eighteen−Membered Macrocyclic Ligand for Actinium−225 Targeted Alpha Therapy.Angew Chem Int Ed Engl.2017 Nov 13;56(46):p.14712−14717)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸(TETA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラプロピオン酸(DOTPA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−テトラプロピオン酸(TETPA)、及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラメチレンホスホン酸(DOTMP)が挙げられる。好ましい実施形態によれば、キレート剤は、式(I):
【0051】
【化1】
の構造
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキルであり、
Zは、(CH2)
nYであり、
nは、1〜10であり、
Yは、第2のクリック反応パートナーに共有結合した求電子性又は求核性部分であり、
或いは、Zは水素である;並びに
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキル、又は第2のクリック反応パートナーに共有結合した求電子性又は求核性部分である)
を含む。
【0052】
好ましい実施形態によれば、キレート化部分は、式(II):
【0054】
好ましい実施形態によれば、キレート化部分は、式(III):
【0056】
一実施形態では、本発明は、本発明の方法を使用して、2つ以上の放射性金属イオンでポリペプチドを標識する方法に関する。例えば、2つの放射性金属イオンでポリペプチドを標識する方法は、
a.第1のクリック反応パートナー及び第2のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドを提供することと、
b.キレート化部分に会合した第1の放射性金属イオンを含む第1の放射性錯体を提供することと、ここで、キレート化部分が、第3のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、
c.キレート化部分に会合した第2の放射性金属イオンを含む第2の放射性錯体を提供することと、ここでキレート化部分が、第4のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、
d.第1のクリック反応パートナーが第3のクリック反応パートナーと反応し、第2のクリック反応パートナーが第4のクリック反応パートナーと反応することによって、ポリペプチドを第1及び第2の放射性金属イオンで標識することを可能にする条件下で、修飾ポリペプチドを第1及び第2の放射性錯体と接触させることと、を含む。
【0057】
好ましい実施形態によれば、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルキン基を含み、第1及び第2のクリック反応パートナーの他方がアジドを含み、第3及び第4のクリック反応パートナーの一方がアルケン基を含み、第3及び第4のクリック反応パートナーの他方がジエンを含む。
【0058】
好ましい実施形態によれば、第1又は第2の放射性金属イオンが診断エミッタであり、他方が治療エミッタである。好ましい実施によれば、第1及び第2の放射性金属イオンの両方が治療エミッタである。
【0059】
クリックケミストリー反応を実施するための条件は、技術分野において知られており、本開示を考慮して当業者に既知のクリックケミストリー反応を実施するための任意の条件を本発明で使用することができる。条件の例としては、限定されないが、pH4〜10及び温度20℃〜70℃において、1:1〜1000:1の比で、修飾ポリペプチド及び放射性錯体をインキュベートすることが挙げられる。
【0060】
本発明のクリック放射性標識方法の生成物は、本開示を考慮して当業者に既知の方法を使用して分析することができる。例えば、LC/MS分析を使用して、標識ポリペプチドに対するキレータの比を決定することができ、分析サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、ポリペプチド及びポリペプチド複合体のオリゴマー状態を決定することができ、放射線化学収率を、簡易薄層クロマトグラフィー(例えば、iTLC−SG)によって決定することができ、放射化学的純度を、サイズ排除HPLCによって測定することができる。例示的な方法は、本明細書に、例えば、以下の実施例に記載される。
【0061】
医薬組成物及び治療方法
本発明のクリック放射性標識法は、プレ標的化アプローチに改良されてもよい(Kraeber−Bodere,F.,et al.,A pretargeting system for tumor PET imaging and radioimmunotherapy.Front Pharmacol,2015.6:p.54)。まず、アジド−mAbを投与し、標的細胞に結合させ、経時的に循環から排除させるか、又は除去剤で取り除く。続いて、放射性錯体を投与し、標的部位に結合したアジド−mAbsとのSPAAC反応を受けると、残りの未結合の放射性錯体は、循環から急速に排除される(Deal,K.A.,et al.,Improved in vivo stability of actinium−225 macrocyclic complexes.J Med Chem,1999.42(15):p.2988−92)。このプレ標的化技術は、対象の標的部位における放射性金属イオン局在を強化する方法を提供する。
【0062】
したがって、別の一般的な態様では、本発明は、本発明の方法によって調製された放射性標識ポリペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。
【0063】
本明細書で使用するとき、用語「担体」は、あらゆる賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、バッファー、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有小胞、ミクロスフェア、リポソーム封入体、又は医薬製剤で使用するための技術分野では公知の他の材料を指す。担体、賦形剤又は希釈剤の特性は、特定の用途の投与経路によって決まる点は理解されよう。本明細書で使用するころの「医薬上許容できる担体」なる用語は、本発明による組成物の効果又は本発明による組成物の生物活性を妨げない無毒性材料を指す。特定の実施形態によれば、本開示を考慮して、抗体に基づく又は放射性錯体に基づく医薬組成物での使用に好適な、任意の薬学的に許容可能な担体を本発明において使用することができる。
【0064】
具体的な実施形態によれば、本明細書に記載される組成物は、対象への想定される投与経路に適するように製剤化される。例えば、本明細書に記載の組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、又は腫瘍内への投与に適するように製剤化することができる。
【0065】
特定の実施形態によれば、修飾ポリペプチド及び放射性錯体は、同じ又は異なる組成物で投与することができる。
【0066】
別の一般的な態様では、本発明は、腫瘍性の疾患又は障害の治療を必要とする対象における腫瘍性の疾患又は障害を治療する方法であって、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0067】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、治療有効用量の本発明の医薬組成物を投与することを含み、ここで、組成物は、腫瘍性の疾患又は障害に関連する細胞を標的化するための放射性標識ポリペプチドを含み、標的化すると、
225Ac及びその娘核種からのアルファ粒子が標的細胞に送達され、標的細胞に対する細胞毒性効果を引き起こし、それによって腫瘍性の疾患又は障害を治療する。
【0068】
特定の実施形態によれば、治療有効量の修飾ポリペプチド及び放射性錯体は、異なる組成物で投与される。
【0069】
本明細書で使用するとき、用語「治療的有効量」は、対象に所望の生物学的又は薬理的応答を惹起する活性成分又は構成成分の量を指す。治療有効量は、記載される目的に対して経験的かつ一般的な方法で決定することができる。例えば、所望によりインビトロアッセイを用いて、最適な用量範囲の特定に役立てることができる。具体的な有効量の選択は、治療又は予防される疾病、伴う症状、患者の体重、患者の免疫状態、及び当業者が知っている他の因子を含むいくつかの因子の考慮に基づいて、当業者によって(例えば、臨床試験により)決定することができる。また、製剤に用いられる正確な用量は、投与経路及び疾患の重症度に応じて決まり、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。有効量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導かれる用量応答曲線から推定することができる。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」はいずれも、腫瘍性の疾患又は障害などの放射活性金属イオンの投与が有益となり得る疾患、障害、又は病態に関連する少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善又は回復を指すことを意図するものであり、これは対象において必ずしも認識可能であるわけではないが、対象において認識可能である場合もある。「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」なる用語はまた、疾患、障害、又は病態の退縮を生じる、その進行を防止する、又は少なくともその進行を遅らせることを指す場合もある。特定の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」は、腫瘍性の疾患又は障害などの放射活性金属イオンの投与が有益となり得る疾患、障害、若しくは病態に関連する1つ又は2つ以上の症状の緩和、進展若しくは発症の予防、又はその期間の短縮を指す。具体的な実施形態では、「治療する」、「治療する」、及び「治療」は、疾患、障害、又は病態の再発の防止を指す。具体的な実施形態では、「治療する」、「治療する」、及び「治療」は、疾患、障害、又は病態を有する対象の生存率の向上を指す。具体的な実施形態では、「治療する」、「治療する」、及び「治療」は、対象における疾患、障害、又は病態の消失を指す。
【0071】
腫瘍性の疾患又は障害の例としては、限定されないが、播種性癌、固体腫瘍癌、肥大、冠動脈疾患若しくは血管閉塞性疾患、感染細胞、微生物若しくはウイルスに関連する疾患若しくは障害、又は関節リウマチ(RA)などの炎症性細胞に関連する疾患若しくは障害が挙げられる。
【0072】
本明細書で使用するところの「対象」なる用語は、動物、好ましくは哺乳動物を指す。具体的な実施形態によれば、対象は、非霊長類(例えば、ラクダ、ロバ、シマウマ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、ウサギ、モルモット、マーモセット又はマウス)、又は霊長類(例えば、サル、チンパンジー、又はヒト)を含む哺乳動物である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0073】
修飾ポリペプチド及び放射性錯体の任意の投薬スケジュールを、本開示を考慮して使用することができる。一般に、修飾ポリペプチド及び放射性錯体が異なる組成物で投与される場合、放射性錯体は、修飾抗体が投与された後の任意の時間に投与することができる。
【0074】
特定の実施形態に従えば、腫瘍性の疾患又は障害の治療で使用される組成物を、関連する腫瘍性の疾患又は障害の治療に有効な他の作用物質と組み合わせて使用することができる。
【0075】
本明細書で使用するとき、用語「併用される」は、対象への2種以上の治療薬の投与との関連において、複数の治療薬の使用を指す。「併用される」なる用語の使用は、治療が対象に投与される順序を限定しない。例えば、第1の治療薬(例えば、本明細書に記載される組成物)を、対象への第2の治療薬の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、同時に、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。
【0076】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明の方法によって調製された放射性標識抗体と、薬学的に許容可能な担体と、を含み、放射性標識抗体の免疫学的特性が保存されている、セラノスティック剤に関する。
【0077】
本明細書で使用するとき、用語「セラノスティック」は、診断及び治療の機能のいずれかを提供する能力を指す。一実施形態では、セラノスティック剤は、診断及び治療の両方の機能を提供する。別の実施形態では、セラノスティック剤は、診断機能のない活性薬剤である。更に別の実施形態では、セラノスティック剤は、診断に有用であるが治療機能のない薬剤である。
【0078】
好ましい実施形態によれば、放射性金属イオンは、診断エミッタ、好ましくは
89Zrである。他の好ましい実施形態によれば、放射性金属イオンは、治療エミッタ、好ましくは
225Acである。好ましい実施形態によれば、セラノスティック剤は、診断及び治療の両方の機能を、それを必要とする対象に提供するために使用される。
【0079】
組み合わせ及びキット
本明細書では、以下を含む組み合わせが提供される:
a.第1のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドと、
b.キレート化部分に会合した放射性金属イオンを含む放射性錯体であって、キレート化部分が、第2のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含む、放射性錯体と、を含む組み合わせ又はキットに関し、
ここで、組み合わせは、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識するために使用される。
【0080】
特定の実施形態によれば、本発明の組み合わせは、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識するために使用される反応混合物である。他の実施形態によれば、組み合わせは、in vitro又はin vivoで放射性標識ポリペプチドを生成するために使用されるパック又はキットである。所望により、薬剤若しくは生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により指定された形式の注意書き又は指示書を組み合わせに随伴させることができ、この注意書きは、ヒトへの投与に対しての製造、使用又は販売についての機関による認可を反映する。本明細書に包含される組み合わせを、上記のポリペプチドを放射性金属イオンで標識する方法、又は腫瘍性の疾患若しくは障害の治療を必要とする対象における腫瘍性の疾患若しくは障害を治療する方法において使用することができる。
【0081】
実施形態
本発明は以下の非限定的な実施形態も提供する。
【0082】
実施形態1は、放射性金属イオンでポリペプチドを標識する方法であって、
a.第1のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドを提供することと、
b.キレート化部分に会合した放射性金属イオンを含む放射性錯体を提供することと、ここで、キレート化部分が、第2のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、
c.第1のクリック反応パートナーが第2のクリック反応パートナーと反応することによって、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識することを可能にする条件下で、修飾ポリペプチドを放射性錯体と接触させることと、を含む。
【0083】
実施形態1aは、キレート剤が大環状分子を含む、実施形態1に記載の方法である。
【0084】
実施形態1bは、キレート剤が、開鎖配位子を含む、実施形態1に記載の方法である。
【0085】
実施形態2は、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルキン基を含み、クリック反応パートナーの他方がアジドを含む、実施形態1に記載の方法である。
【0086】
実施形態3は、第1のクリック反応パートナーがアジド基を含み、第2のクリック反応パートナーがアルキン基を含む、実施形態2に記載の方法である。
【0087】
実施形態3aは、アルキン基が末端アルキンを含む、実施形態2又は3に記載の方法である。
【0088】
実施形態3bは、アルキン基が、環状アルキン、好ましくはシクロオクチン又はシクロオクチン誘導体を含む、実施形態2又は3に記載の方法である。
【0089】
実施形態3cは、アルキン基がビシクロノニン(BCN:bicyclononyne)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0090】
実施形態3dは、アルキン基が、ジフルオロ化シクロオクチン(DIFO)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0091】
実施形態3eは、アルキン基がジベンゾシクロオクチン(DIBO)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0092】
実施形態3fは、アルキン基が、ビアリールアザシクロオクチン(BARAC)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0093】
実施形態3gは、アルキン基がジベンゾアザシクロオクチン(DIBAC)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0094】
実施形態3hは、アルキン基がジメトキシアザシクロオクチン(DIMAC)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0095】
実施形態3iは、アルキン基がジベンゾシクロオクチン(DBCO)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0096】
実施形態3jは、アルキン基がジフルオロベンゾシクロオクチン(DIFBO)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0097】
実施形態3kは、アルキン基がモノベンゾシクロオクチン(MOBO)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0098】
実施形態3lは、アルキン基がテトラメトキシDIBO(TMDIBO)を含む、実施形態3bに記載の方法である。
【0099】
実施形態3mは、アジド基がNHS−アジドを含む、実施形態2〜3lのいずれか1つに記載の方法である。
【0100】
実施形態4は、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルケン基を含み、クリック反応パートナーの他方がジエンを含む、実施形態1に記載の方法である。
【0101】
実施形態4aは、ジエンがテトラジン又はテトラゾール基を含む、実施形態4に記載の方法である。
【0102】
実施形態4bは、アルケン基がノルボルネンを含む、実施形態4又は4aに記載の方法である。
【0103】
実施形態4cは、アルケン基がトランス−シクロオクテン(TCO)を含む、実施形態4又は4aに記載の方法である。
【0104】
実施形態5は、ポリペプチドが、抗体又はその抗原結合フラグメントである、実施形態1〜4cのいずれか1つに記載の方法である。
【0105】
実施形態6は、抗体が、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである、実施形態5に記載の方法である。
【0106】
実施形態6aは、修飾ポリペプチドが、1つ以上のアジド基をポリペプチドにランダムに複合化させることによって得られる、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法である。
【0107】
実施形態6bは、修飾ポリペプチドが、第1のクリック反応パートナーの部位特異的組み込みによって得られる修飾抗体又はその抗原結合フラグメントである、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態6cは、修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体のFc−グリコシル化部位のコアGlcNac残基(複数の場合もある)間のβ−1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼで抗体又はその抗原結合フラグメントをトリミングして、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び糖転移酵素、好ましくはGalTガラクトシルトランスフェラーゼの存在下で、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントをアジド糖、好ましくはUDP−GalNazアジド糖基質と反応させることにより得られる、実施形態6bに記載の方法である。
【0109】
実施形態6dは、修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体又はその抗原結合フラグメントをアミダーゼで脱グリコシル化して、脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを、微生物トランスグルタミナーゼの存在下でアジドアミン、好ましくは3−アジドプロピルアミンと反応させることによって得られる、実施形態6bに記載の方法である。
【0110】
実施形態6eは、抗体が、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)又はその抗原結合フラグメントに結合する抗体であり、好ましくは抗体は、配列番号3の配列のHC CDR1配列、配列番号4のHC CDR2配列、配列番号5のHC CDR3配列、配列番号6の軽鎖(LC)CDR1配列、配列番号7のLC CDR2配列、及び配列番号8のLC CDR3配列を含む、実施形態6〜6dのいずれか1つに記載の方法である。
【0111】
実施形態6fは、抗体が、配列番号9のHC配列及び配列番号10のLC配列を含む、実施形態6eに記載の方法である。
【0112】
実施形態7は、放射性金属イオンが、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
177Lu、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
255Fm、
227Th、
62Cu、
64Cu、
67Ga、
68Ga、
86Y、
89Zr、又は
111Inである、実施形態1〜6dのいずれか1つに記載の方法である。
【0113】
実施形態7aは、放射性金属イオンが
225Acである、実施形態1〜6dのいずれか1つに記載の方法である。
【0114】
実施形態7bは、放射性金属イオンが
111Inである、実施形態1〜6dのいずれか1つに記載の方法である。
【0115】
実施形態7cは、放射性金属イオンが
89Zrである、実施形態1〜6dのいずれか1つに記載の方法である。
【0116】
実施形態8は、キレート化部分が、リンカーを介して第2のクリック反応パートナーに共有結合している、実施形態1〜7cのいずれか1つに記載の方法である。
【0117】
実施形態9は、第1のクリック反応パートナーに共有結合したスルフヒドリル基と、側鎖上の求電子物質、好ましくは、ポリペプチド上の又はポリペプチドに導入されているリジンのアミノ側鎖を反応させて、修飾ポリペプチド、好ましくはNHS−アジドを得ることを更に含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施形態10は、修飾ポリペプチドが、直接又はリンカーを介して、アジド、テトラジン、又はテトラゾール基に共有結合したポリペプチドを含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法である。
【0119】
実施形態11は、キレート剤が大環状分子、好ましくは式(I):
【0120】
【化4】
の構造
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキルであり、
Zは、(CH2)
nYであり、
nは、1〜10であり、
Yは、第2のクリック反応パートナーに共有結合した求電子性又は求核性部分であり、
或いは、Zは水素である;並びに
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキル、又は第2のクリック反応パートナーに共有結合した求電子性又は求核性部分である)
を含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法である。
【0121】
実施形態12は、キレート化部分が式(II):
【0122】
【化5】
の構造を含む、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法である。
【0123】
実施形態12aは、キレート化部分が、開鎖配位子を有するキレート剤を含み、好ましくは、キレート化部分が式(III):
【0124】
【化6】
の構造を含む、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法である。
【0125】
実施形態12bは、キレート化部分が、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)、デフェロキサミン(DFO)、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロヘキサデカン−N、N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’’−ヘキサ酢酸(HEHA)、1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタナデカン−N,N’,N’’,N’’’,N’’’’−ペンタ酢酸(PEPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Macropa(Thiele et al.,An Eighteen−Membered Macrocyclic Ligand for Actinium−225 Targeted Alpha Therapy.Angew Chem Int Ed Engl.2017 Nov 13;56(46):p.14712−14717)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸(TETA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラプロピオン酸(DOTPA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−テトラプロピオン酸(TETPA)、及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラメチレンホスホン酸(DOTMP)からなる群から選択されるキレート剤を含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法である。
【0126】
実施形態12cは、キレート剤が、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)を含む、実施形態12bに記載の方法である。
【0127】
実施形態12dは、キレート剤がデフェロキサミン(DFO)を含む、実施形態12bに記載の方法である。
【0128】
実施形態13は、放射性金属イオン、好ましくは
225Ac、
111In又は
89Zrを用いて、ポリペプチド、好ましくは抗体又はその抗原結合フラグメントを標識する方法であって、
a.アジド、テトラジン、又はテトラゾール基に共有結合したポリペプチド、又は抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含む、修飾ポリペプチド、好ましくは修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを提供することと、
b.放射性金属イオン、好ましくはキレート化部分に会合した
225Ac、
111In又は
89Zrを含む放射性錯体を提供することと、ここで、キレート化部分が、アルキン又はアルケン基に共有結合したキレート剤を含み、並びに
c.アジド、テトラジン、又はテトラゾール基がアルキン又はアルケン基と反応することによって、ポリペプチド又は抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性金属イオン、好ましくは
225Ac、
111In、又は
89Zrで標識することを可能にする条件下で、修飾ポリペプチド又は抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性錯体と接触させること、を含み、
キレート剤が、式(I):
【0129】
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキルであり、
Zは、(CH2)
nYであり、
nは、1〜10であり、
Yは、アルキン基に共有結合した求電子性又は求核性部分であり、
或いは、Zは水素である;並びに
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキル、又はアルキン基に共有結合した求電子性又は求核性部分である)
の構造を含む、方法である。
【0130】
実施形態13aは、キレート剤が、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)を含む、実施形態13に記載の方法である。
【0131】
実施形態13bは、キレート化部分が式(II):
【0132】
【化8】
の構造を含む、実施形態13に記載の方法である。
【0133】
実施形態13dは、放射性金属イオン、好ましくは
225Ac、
111In又は
89Zrを用いて、ポリペプチド、好ましくは抗体又はその抗原結合フラグメントを標識する方法であって、
a.アジド、テトラジン、又はテトラゾール基に共有結合したポリペプチド、又は抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含む、修飾ポリペプチド、好ましくは修飾抗体又はその抗原結合フラグメントを提供することと、
b.放射性金属イオン、好ましくはキレート化部分に会合した
225Ac、
111In又は
89Zrを含む放射性錯体を提供することと、ここで、キレート化部分が、アルキン又はアルケン基に共有結合したキレート剤を含み、並びに
c.アジド、テトラジン、又はテトラゾール基がアルキン又はアルケン基と反応することによって、ポリペプチド又は抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性金属イオン、好ましくは
225Ac、
111In、又は
89Zrで標識することを可能にする条件下で、修飾ポリペプチド又は抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性錯体と接触させること、を含み、
ここで、キレート剤が、開鎖配位子、好ましくは、デフェロキサミン(DFO)を含む、方法である。
【0134】
実施形態14は、キレート剤が、リンカーを介してアルキン又はアルケン基に共有結合している、実施形態13〜13Cのいずれか1つに記載の方法である。
【0135】
実施形態15は、アジド、好ましくはNHS−アジドに共有結合したスルフヒドリル基と、側鎖上の求電子物質、好ましくは、ポリペプチド上の又はポリペプチド好ましくは、抗体又はその抗原結合フラグメントに導入されているリジンのアミノ側鎖を反応させて、修飾ポリペプチド、又は抗体若しくはその抗原結合フラグメントを得ることを更に含む、実施形態13〜14のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態16は、ポリペプチド、好ましくは抗体又はその抗原結合フラグメントが、リンカーを介してアジドに共有結合している、実施形態13〜15のいずれか1つに記載の方法である。
【0137】
実施形態17は、ポリペプチドが、抗体又はその抗原結合フラグメントであり、放射性金属イオンが、
225Ac、
111In又は
89Zrであり、キレート化部分が式(II):
【0138】
【化9】
の構造を含む、実施形態13に記載の方法である。
【0139】
実施形態17aは、ポリペプチドが、その抗体又は抗原結合フラグメントであり、放射性金属イオンが、
225Ac、
111In又は
89Zrであり、キレート化部分が式(III):
【0140】
【化10】
の構造を含む、実施形態13cに記載の方法である。
【0141】
実施形態17bは、ポリペプチドが、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)又はその抗原結合フラグメントに結合する抗体であり、好ましくは抗体は、配列番号3の配列のHC CDR1配列、配列番号4のHC CDR2配列、配列番号5のHC CDR3配列、配列番号6の軽鎖(LC)CDR1配列、配列番号7のLC CDR2配列、及び配列番号8のLC CDR3配列を含む、実施形態13〜17aのいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態17cは、抗体が、配列番号9のHC配列及び配列番号10のLC配列を含む、実施形態17bに記載の方法である。
【0143】
実施形態18は、2つの放射性金属イオンでポリペプチドを二重に標識する方法であって、
a.第1のクリック反応パートナー及び第2のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドを提供することと、
b.キレート化部分に会合した第1の放射性金属イオンを含む第1の放射性錯体を提供することと、ここで、キレート化部分が、第3のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、
c.キレート化部分に会合した第2の放射性金属イオンを含む第2の放射性錯体を提供することと、ここでキレート化部分が、第4のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含み、
d.第1のクリック反応パートナーが第3のクリック反応パートナーと反応し、第2のクリック反応パートナーが第4のクリック反応パートナーと反応することによって、ポリペプチドを第1及び第2の放射性金属イオンで標識することを可能にする条件下で、修飾ポリペプチドを第1及び第2の放射性錯体と接触させることと、を含む。
【0144】
実施形態19は、第1及び第2のクリック反応パートナーの一方がアルキン基を含み、第1及び第2のクリック反応パートナーの他方がアジドを含み、第3及び第4のクリック反応パートナーの一方がアルケン基を含み、第3及び第4のクリック反応パートナーの他方がジエンを含む、実施形態18に記載の方法である。
【0145】
実施形態20は、第1又は第2の放射性金属イオンが診断エミッタであり、他方が治療エミッタである、実施形態18又は19に記載の方法である。
【0146】
実施形態21は、第1及び第2の放射性金属イオンの両方が治療エミッタである、実施形態18又は19に記載の方法である。
【0147】
実施形態21aは、診断エミッタが、
62Cu、
64Cu、
67Ga、
68Ga、
86Y、
89Zr、又は
111Inである、実施形態20又は21に記載の方法である。
【0148】
実施形態21bは、治療エミッタが、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
177Lu、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
255Fm、又は
227Thである、実施形態20〜21aのいずれか1つに記載の方法である。
【0149】
実施形態22は、実施形態1〜21bのいずれか1つに記載の方法によって調製された放射性標識ポリペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物である。
【0150】
実施形態23は、疾患又は障害、特に腫瘍性の疾患又は障害の治療又は診断を必要とする対象において、疾患又は障害、特に腫瘍性の疾患又は障害を治療又は診断する方法であって、実施形態22の組成物を対象に投与することを含む方法である。
【0151】
実施形態24は、医薬組成物が、順次投与される2つの組成物を含み、第1の組成物が修飾ポリペプチドを含み、第2が放射性錯体(複数の場合もある)を含む、実施形態23に記載の方法である。
【0152】
実施形態25は、実施形態1〜21bのいずれか1つに記載の方法によって調製された放射性標識抗体と、薬学的に許容可能な担体と、を含み、放射性標識抗体の免疫学的特性が保存されている、セラノスティック剤である。
【0153】
実施形態26は、放射性金属イオンが、診断エミッタ、好ましくは
89Zrである、実施形態25に記載のセラノスティック剤である。
【0154】
実施形態27は、放射性金属イオンが、治療エミッタ、好ましはく
225Acである、実施形態25に記載のセラノスティック剤である。
【0155】
実施形態27aは、放射性金属イオンが
111Inである、実施形態25に記載のセラノスティック剤である。
【0156】
実施形態27bは、ポリペプチドが、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)又はその抗原結合フラグメントに結合する抗体であり、好ましくは抗体は、配列番号3の配列のHC CDR1配列、配列番号4のHC CDR2配列、配列番号5のHC CDR3配列、配列番号6の軽鎖(LC)CDR1配列、配列番号7のLC CDR2配列、及び配列番号8のLC CDR3配列を含む、実施形態25〜27aのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0157】
実施形態27cは、セラノスティック剤が、配列番号9のHC配列及び配列番号10のLC配列を含む、実施形態27bに記載の方法である。
【0158】
実施形態27dは、放射性標識抗体が式(IV):
【0159】
【化11】
式(IV)(DOTA−Ac−DBCO−タンパク質)の式を有するか、或いは、
225Acが、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
177Lu、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
255Fm、
227Th、
62Cu、
64Cu、
67Ga、
68Ga、
86Y、
89Zr、又は
111Inなどの別の放射性金属イオンで置換されている、実施形態25〜27cのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0160】
実施形態27eは、放射性標識抗体が式(V):
【0161】
【化12】
式(V)(DOTA−In−DBCOタンパク質)
の式を有する、実施形態25〜27cのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0162】
実施形態27fは、放射性標識抗体が式(VI):
【0163】
【化13】
式(VI)(DFO−Zr DBCO−タンパク質)の式を有するか、或いは、
89Zrが、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
177Lu、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
255Fm、
227Th、
62Cu、
64Cu、
67Ga、
68Ga、
86Y、又は
111Inなどの別の放射性金属イオンで置換されている、実施形態25〜27cのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0164】
実施形態27gは、放射性標識抗体が式(VII):
【0165】
【化14】
式(VII)(DOTA−Zr−DBCO−タンパク質)
の式を有する、実施形態25〜27cのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0166】
実施形態27hは、放射性標識抗体が3未満のキレータ:抗体比(CAR)を有する、実施形態25〜27gのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0167】
実施形態27iは、放射性標識抗体が2のキレータ:抗体比(CAR)を有する、実施形態25〜27hのいずれか1つに記載のセラノスティック剤である。
【0168】
実施形態28は、
a.第1のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドと、
b.キレート化部分に会合した放射性金属イオンを含む放射性錯体であって、キレート化部分が、第2のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含む、放射性錯体と、を含む組み合わせ又は好ましくはキットに関し、
ここで、組み合わせは、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識するために使用される。
【0169】
実施形態28aは、キレート剤が大環状分子を含む、実施形態28の組み合わせ又はキットである。
【0170】
実施形態28bは、キレート剤が、開鎖配位子を含む、実施形態28に記載の組み合わせである。
【0171】
実施形態29は、in vitroで第1及び第2のクリック反応パートナー間の反応を介して、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識するために使用される、実施形態28に記載の組み合わせ又はキットである。
【0172】
実施形態30は、in vivoで第1及び第2のクリック反応パートナー間の反応を介して、ポリペプチドを放射性金属イオンで標識するために使用される、実施形態28に記載の組み合わせ又はキットである。
【0173】
実施形態31は、第1のクリック反応パートナーに共有結合したポリペプチドを含む修飾ポリペプチドを含む、組成物である。
【0174】
実施形態32は、キレート化部分に会合した放射性金属イオンを含む放射性錯体を含む組成物であって、キレート化部分が、第2のクリック反応パートナーに共有結合したキレート剤を含む、組成物である。
【0175】
実施形態32aは、キレート剤が大環状分子を含む、実施形態32に記載の組成物である。
【0176】
実施形態32bは、キレート剤が、開鎖配位子を含む、実施形態32に記載の組成物である。
【0177】
実施形態33は、ポリペプチドが、抗体又はその抗原結合フラグメントである、実施形態28〜30のいずれか1つに記載の組み合わせ若しくはキット、又は実施形態31若しくは32に記載の組成物である。
【0178】
実施形態33aは、抗体が、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)又はその抗原結合フラグメントに結合することができ、好ましくは抗体は、配列番号3の配列のHC CDR1配列、配列番号4のHC CDR2配列、配列番号5のHC CDR3配列、配列番号6の軽鎖(LC)CDR1配列、配列番号7のLC CDR2配列、及び配列番号8のLC CDR3配列を含む、実施形態33に記載の方法。
【0179】
実施形態33bは、抗体が、配列番号9のHC配列及び配列番号10のLC配列を含む、実施形態33aに記載の組み合わせ又はキット又は組成物である。
【0180】
実施形態33cは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、アジド基に共有結合している、実施形態33a又は33bに記載の組み合わせ又はキット又は組成物である。
【0181】
実施形態33dは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、アジド基にランダムに共有結合している、実施形態33cの組み合わせ又はキット又は組成物である。
【0182】
実施形態33eは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、アジド基に部位特異的に共有結合している、実施形態33cの組み合わせ又はキット又は組成物である。
【0183】
実施形態33fは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体のFc−グリコシル化部位のコアGlcNac残基(複数の場合もある)間のβ−1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼで抗体又はその抗原結合フラグメントをトリミングして、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び糖転移酵素、好ましくはGalTガラクトシルトランスフェラーゼの存在下で、トリミングされた抗体又はその抗原結合フラグメントをアジド糖、好ましくはUDP−GalNazアジド糖基質と反応させることを含む方法を介してアジド基に共有結合されている、実施形態33eに記載の組み合わせ又はキット又は組成物である。
【0184】
実施形態33gは、修飾抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体又はその抗原結合フラグメントをアミダーゼで脱グリコシル化して、脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを得ること、及び脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを、微生物トランスグルタミナーゼの存在下でアジドアミン、好ましくは3−アジドプロピルアミンと反応させることを含む方法によって得られる、実施形態33eに記載の組み合わせ又はキット又は組成物である。
【0185】
実施形態34は、放射性金属イオンが、
225Ac、
111In又は
89Zrを含む、実施形態33〜33gのいずれか1つに記載の組み合わせ、キット又は組成物である。
【0186】
実施形態35は、キレート剤が、大環状分子、好ましくは式(I):
【0187】
【化15】
の構造
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキルであり、
Zは、(CH2)
nYであり、
nは、1〜10であり、
Yは、アルキン基に共有結合した求電子性又は求核性部分であり、
或いは、Zは水素である;並びに
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立してCHQCO
2Xであり、
Qは、独立して、水素、C
1〜C
4アルキル又は(C
1〜C
2アルキル)フェニルであり、
Xは、独立して、水素、ベンジル、C
1〜C
4アルキル、又はアルキン基に共有結合した求電子性又は求核性部分である)
を含む、実施形態34に記載の組み合わせ、キット又は組成物である。
【0188】
実施形態36は、求電子性又は求核性部分が、リンカーを介してアルキン基に共有結合している、実施形態35に記載の組み合わせ、キット又は組成物である。
【0189】
実施形態37は、キレート化部分が式(II):
【0190】
【化16】
の構造を含む、実施形態35又は36に記載の組み合わせ、キット又は組成物である。
【0191】
実施形態37aは、キレート化部分が、開鎖配位子を有するキレート剤を含み、好ましくはキレート化部分が式(III):
【0192】
【化17】
の構造を含む、実施形態34に記載の組み合わせ、キット又は組成物である。
【0193】
実施形態38は、ポリペプチドが、リンカーを介してアジドに共有結合している、実施形態34〜37のいずれか1つに記載の組み合わせ、キット又は組成物である。
【0194】
実施形態39は、疾患又は障害、特に腫瘍性の疾患若しくは障害を治療又は診断する方法であって、実施形態25〜27dのいずれか1つに記載のセラノスティック剤、又は実施形態28及び33〜38のいずれか1つに記載の組み合わせを対象に投与することを含む、方法である。
【0195】
実施形態40は、疾患又は障害、特に腫瘍性の疾患又は障害を、疾患又は障害、特に腫瘍性疾患又は障害の治療又は診断を必要とする対象において治療又は診断する方法であって、実施形態31の組成物及び実施形態32の組成物を対象に投与することを含み、好ましくはポリペプチドが抗体である、方法である。
【実施例】
【0196】
以下の本発明の実施例は、本発明の本質を更に説明するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求項によって定められる点を理解されたい。
【0197】
実施例1:アジド/ハンドルの抗体へのランダム複合化
モノクローナル抗体(mAb):「PSMB127」と表され、本明細書では「抗PSMA mAb」と称されるヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合するヒトIgG4抗体は、配列番号3の配列の重鎖(HC)CDR1配列、配列番号4のHC CDR2配列、配列番号5のHC CDR3配列、配列番号6の軽鎖(LC)CDR1配列、配列番号7のLC CDR2配列、及び配列番号8のLC CDR3配列を有し、また配列番号9のHC配列及び配列番号10のLC配列を有する。抗PSMA mAbを発現させ、標準クロマトグラフィー法を用いて精製した。
【0198】
本明細書で「対照mAb」と称される抗PMSA mAbのヒトIgG4 S228P/F234A/L235A(IgG4−PAA)抗体アイソタイプ対照は、配列番号1のHC配列及び配列番号2のLC配列を有する。市販の抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)、セツキシマブ(アービタックス)、ペルツズマブ(パージェタ)、及びパニツムマブ(ベクティビックス)をそれぞれRoche、Lilly、Roche、及びAmgenら購入した。マウス抗ヒトHer2 mAbをBioXCell(カタログ番号BE0277)から得た。トラスツズマブ、ペルツズマブ、及び抗ヒトHer2 mAbは、ヒトHer2に結合する。セツキシマブ及びパニツムマブは、ヒトEGFRに結合する。
【0199】
複合化:10mM酢酸ナトリウムpH5.2、リン酸緩衝生理食塩水pH7、又は他の相溶性バッファー中の抗体の原液(1〜10mg/mL)を、20%(重量/重量)の1M炭酸ナトリウムバッファーpH9と混合しして最終pHを約9にした。NHS−PEG4−アジド(Thermoカタログ番号26130)をDMSOに溶解して最終濃度を100mMにし、0.2%(重量/重量)の原液を添加して、mAbに対して約3〜10のモル過剰を生成した。反応物を22℃で10分間インキュベートした後、1M Tris(pH7.5)を添加しながらクエンチして、最終濃度を50mM Trisにした。
【0200】
精製:7K MWのカットオフ(Thermo)を有するZeba脱塩カラム、透析、標準タンパク質A親和性クロマトグラフィー、又は別の適合性のある方法などの方法を使用して、アジド−mAb複合体を精製し、相溶性バッファー(PBS;20mM HEPES 150mM、NaCl pH7.5;又は10mM酢酸ナトリウムpH5.2)に交換した。精製後、50K MWカットオフ(Millipore)を有するAmicon濃縮装置を使用して、複合体を10〜20mg/mLに濃縮した。
【0201】
LC/MS分析:キレータ:抗体比(CAR)を、Agilent PLRP−Sカラム(300−Angstrom、2.1x150mm、カタログ番号PL1912−3301)を備えたAgilent G6224 MS−TOF装置を用いるLC/MS分析によって決定した(表1)。質量スペクトルを、質量140〜170kDaに対するm/z範囲2000〜3200にわたって最大エントロピーアルゴリズムを使用してデコンボリューションした。
【0202】
分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):分析的SECを行い、抗体及び抗体複合体のオリゴマー状態を決定し、複合化プロセスが凝集をもたらさなかったことを確認した。Tosoh TSKgel G3000SWxl(Tosoh Bioscience #08541)7.8mm×30cmカラムを備えたAgilent 1200シリーズHPLCを使用した。移動相1×PBS、流量0.8ml/ml、注入量:15μL、タンパク質濃度0.1〜2mg/mL。
【0203】
【表1】
【0204】
実施例2:アジド/ハンドルの非抗体ポリペプチドへのランダム複合化
非抗体ポリペプチド:トランスフェリン、ヒトホロ−トランスフェリンを、R&D Systems(カタログ番号2914−HT)から購入し、水に溶解して10mg/mLにした。ヒト表皮成長因子(EGF)であるEGFを、Sino Biological(カタログ番号10605−HNAE)から購入した。
【0205】
複合化:10mM酢酸ナトリウムpH5.2、リン酸緩衝生理食塩水pH7、又は他の相溶性バッファー中のポリペプチドの原液(1〜10mg/mL)を、20%(重量/重量)の1M炭酸ナトリウムバッファーpH9と混合しして最終pH約9にした。NHS−PEG4−アジド(Thermoカタログ番号26130)をDMSOに溶解して最終濃度を100mMにし、0.2%(重量/重量)の原液を添加して、タンパク質に対して約3〜10のモル過剰を生成した。反応物を22℃で10分間インキュベートした後、1M Tris pH7.5でクエンチしながら、最終濃度を50mMにした。複合化効率を表2に示す。
【0206】
【表2】
【0207】
実施例3:アジド糖の抗体グリカンへの部位特異的組み込み
抗体グリカンを、Fcグリコシル化部位(複数の場合もある)内のコアGlcNac残基間のβ−1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼであるGlycINATOR(Genovis)でトリミングし、後でアジド糖の部位特異的組み込みに使用することができる、最も内側のGlcNacをFc上にそのまま残した。より具体的には、カラム(Genovis)に充填されたアガロースビーズ上に固定化したGlycINATORを、Tris緩衝生理食塩水pH7.4(TBS)中で平衡化した。5〜10mg/mLのmAb 1mLを樹脂に添加し、室温で1時間ロッカー(rocker)上でインキュベートし、100Xgで1分間回転させることにより溶出した。カラムを0.5mLのTBSで3回溶出した。トリミングされたmAbを含む溶出液をプールし、供給されたバッファー添加剤(Genovis)をUDP−GALNazアジド糖基質及びGalTガラクトシルトランスフェラーゼ酵素と共に添加した。反応混合物を、30℃で一晩撹拌した。最終的なアジドmAbを、AKTA Avant機器でmAb選択カラム(GE)を用いて精製した。アジド修飾をLC−MSによって確認し、CARが正確に2であると決定した。
【0208】
実施例4:3−アジドプロピルアミンの微生物トランスグルタミナーゼ(MTG)による部位特異的組み込み
アジド基は、記載のとおり、本質的にGln295位で抗体に対して部位特異的に配置された(Dennler et al.Transglutaminase−based chemo−enzymatic conjugation approach yields homogeneous antibody−drug conjugates.Bioconj Chem 2014 Mar 19;25(3):p.569−78)。抗PSMA mAbを、最も内側のGlcNac残基と、高マンノース、ハイブリッド、及び複合オリゴ糖のアスパラギン残基との間で切断し、保存されている(例えば、Fc Asn297)及び保存されていない(例えば、Fab N−グリカン)両方のグリコシル化部位に由来するN−グリカンを含む、全てのN−グリカンの完全な脱グリコシル化及び放出を可能にするアミダーゼである、Rapid PNGase F(New England Biolabs)で脱グリコシル化した。酢酸ナトリウムバッファー(pH5.2)中、1mg/mLの抗体10mLを、5μLのPNGase Fと共に37℃で一晩インキュベートし、脱グリコシル化をLC−MSにより確認した。PNGase Fを4サイクルの濃縮で除去し、Amiconデバイス(50KDaカットオフ)で希釈した。3−アジドプロピルアミン(3−APA;クリックケミストリーツール)の複合化については、0.5M HEPES pH7.5を2%(重量/重量)添加することにより、脱グリコシル化mAb(0.5〜1mg/mL)をpH7〜7.5にした。100当量の3−APAを、MTGであるアクチビンTIトランスグルタミナーゼ(Ajinomoto)5〜10%重量/体積と共に添加した。反応物を37℃で1〜4時間インキュベートした後、標準クロマトグラフィー法を用いてmAbSelect Sureカラムでアジド修飾mAbを精製した。複合体をLC−MSによって手特性評価し、CARが2であると判定した。
【0209】
実施例5:二官能性キレータ(BFC)への放射性金属のキレート化
225Ac−DOTA−Ga−DBCOの合成:
225Ac(NO
3)
3をOak Ridge National Laboratoryから購入した。1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン、1−(グルタル酸)−4,7,10−トリ酢酸−(3−アミノ−プロパン酸)ジベンゾシクロ−オクチン(DOTA−Ga−DBCO)をカスタム合成した。合成はBernhard et al.Chem.Eur.J.2012,18,7834−7841に基づいた。DBCO−アミン(3−アミノ−1−[(5−アザ−3,4:7,8−ジベンゾシクロオクタ−1−イン)−5−イル]−1−プロパノン(Sigma)をDOTA−GA無水物と反応させ、生成物を逆相HPLCで精製した。
【0210】
アクチニウム−225の定量は、Capintec CRC−55TW線量キャリブレータを使用して達成され、これにより、
225Ac(NO
3)
3を0.1N HClに溶解して10mCi/mLの溶液を作製した。プラスチックバイアル中の酢酸テトラメチルアンモニウム(1M溶液、7.5μL、7.5μmol)、DOTA−GA−DBCO(1mg/mL水溶液、2.5μL、3.4nmol)及びNaOH(0.1N、2.5μL、0.25μmol)の溶液に、
225Ac(NO
3)
3(0.1N HCl 5μL中10mCi/mL、50μCi、0.0038nmol)を添加した。混合物のpHはpH紙により約6.5であることが観察された。バイアルを、80℃及び290rpmで30分間振盪ブロック上に置き、バイアルを室温まで冷却した。
【0211】
111In−DOTA−GA−DBCOの合成:0.05M HCl中の
111InCl3をGE Healthcareから購入した。プラスチックバイアル中の酢酸テトラメチルアンモニウム(1M溶液、7.5μL、7.5μmol)、DOTA−GA−DBCO(1mg/mL水溶液、2.5μL、3.4nmol)及びHCl(0.1N、5μL)の溶液に、0.05N HCl中の
111InCl
3(5μL、Capintec CRC−55TW線量キャリブレータによる測定で104.3μCi、0.0022nmol)を添加した。混合物のpHはpH紙により約5.5であることが観察された。バイアルを、60℃及び290rpmで30分間振盪ブロック上に置き、バイアルを室温まで冷却した。
【0212】
89Zr−DFO−DBCOの合成:
89Zrシュウ酸塩を3D Imagingから購入した。DFO−DBCOは、Macrocyclics(テキサス州プレイノ、カタログ番号B−773)から購入し、DMSOに溶解して0.5mg/mLにし、水で25μg/mLに希釈した。
【0213】
2mCiのZr−89を金属を含まないマイクロ遠心管に移し、1Mのシュウ酸を添加して合計容量を80μLにした。12μLの2M炭酸カリウムを2μLずつ添加し、混合物をバブリングが停止するまでピペット先端で撹拌した。次に、120μLの1M HEPESを加え、続いて300μLの水を添加した。溶液のpHを試験し、必要に応じてpHを6〜6.5まで上昇させるために追加の2M炭酸カリウムを添加した。136μLのDFO−DBCOストック(3.4μg)を加え、反応物を室温で1時間インキュベートした。0.5μLの反応物を、TLC Greenストリップ(Biodex)上にスポットし、20%NaClで溶出することによって分析した。溶出後、Zr−89の大部分がベースラインに留まることを確実にするため、PerkinElmer Cyclone Plus蛍光体イメージャーでストリップをスキャンし、DFO−DBCOによるキレート化を示した。
【0214】
89Zr−DOTA−GA−DBCOの合成:水に、Sep−pak Light QMA強陰イオン交換カートリッジ(ジオールシリカ上のアクリル酸/アクリルアミドコポリマー、表面感応性:C(O)NH(CH
2)
3N(CH
3)
3+Cl
−、孔径300Å、粒子径37〜55μm、イオン交換容量230μeq/グラム)、MeCN(6mL)を添加し、続いて0.9%生理食塩水(10mL)、次に水(10mL)を添加した。1.0Mシュウ酸(2μL、290μCi)中の
89Zr(ox)
2の溶液を、プレコンディションしたカートリッジに添加した。次いで、カートリッジを脱イオン水(20ml)で洗浄して過剰なシュウ酸を除去した後、1.0M HCl(水性)(各100μL)で
89ZrCl
4をカラムから溶出し、248μCi(86%)の回収率で合計容量400μlを取得し、放射能の大部分は画分3にあった。次いで、合わせた有機抽出物を蒸発乾燥固した。
【0215】
10μLのDOTA−GA−DBCO(1.0mg/mLの金属を含まない水、10μg、13.6nmol)を
89ZrCl
4(268uCi、50μL)に添加した。DOTA−GA−DBCO/
89Zrの溶液を150μLの1.0M HEPESで希釈した。混合物のpHをpH7.5に調整した(Pandya et al.,Zirconium tetraazamacrocycle complexes display extraordinary stability and provide a new strategy for zirconium−89−based radiopharmaceutical development.Chem Sci.2017 Mar 1;8(3):p.2309−2314)。次いで、溶液を90℃で60分間インキュベートした。
89Zr−DOTA−GA−DBCO錯体の収率は、1%NH
4OH溶液で溶出されるSPC25カラム(Sigma Aldrich部品番号SPC25120−50G)により98%と決定された。キレート化されていない
89Zrはカラム上に留まるが、
89Zr−DOTA−GA−DBCO錯体は溶出される。
【0216】
実施例6:抗PSMA mAbのクリック標識放射性複合体の合成
本発明の方法による、放射線標識抗体の概略図について、
図1及び
図2を参照されたい。
【0217】
PBS又は他の相溶性バッファー(10〜20mg/mL)中の抗PSMA mAb−ジベンゾ−[1,2,3]−トリアゾロアゾシン−Ga−DOTA−225Ac(部位特異的、CAR=2):ランダム又は部位特異的アジド修飾抗体(部位特異的、CAR=2又はランダム、1〜4の平均CAR)を、記載されるとおりに生成した
225Ac−DOTA−GA−DBCOの溶液に添加した。混合物の最終pHはpH紙により約6.5であった。反応溶液を穏やかに撹拌し、15mLのNaOAcバッファー、10mM、pH6〜6.5、又は別の相溶性のバッファーでプレコンディショニングしたPD−10カラム(GE Healthcare)で精製する前に、室温で3時間放置した。反応混合物を、プレコンディショニングされたPD−10カラムのリザーバにピペットで移し、溶出液をプラスチック管に回収した。反応バイアルをNaOAcバッファーで洗浄し(0.2mLで3回)、洗浄液をPd−10カラムのリザーバにピペットで移し、溶出液を回収した。NaOAcバッファーをPD−10カラムのリザーバに連続的に適用し、溶出液をプラスチック管に回収し、溶出液の合計10mLを回収するまで、各管に約1mLの溶出液を回収した。
【0218】
回収した各分画の純度を、移動相としてクエン酸塩−H
2O−MeOH溶液を使用するiTLC−SG(Agilent)によって評価した。純粋な画分(複数の場合もある)を合わせて、10mMのNaOAcバッファー中で最終生成物を得た。生成物溶液を、化学的及び放射線化学的純度についてHPLCにより分析した。標準曲線を使用して、生成物溶液中の抗体濃度をUV吸収により測定した。次いで、Capintec CRC−55TW線量キャリブレータを使用して、生成物溶液の放射能を定量した。
【0219】
AC−225キレート化の品質管理:精製した生成物の品質管理としてジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を使用するキレート化チャレンジを用いた。10mMのNa
5DTPA水溶液を、
225Ac標識mAbを含有するサンプル溶液に添加して、[DPTA]/[mAb]=500〜1,000にした。50mMのNa
5DTPA水溶液を、
225Ac標識mAbを含有する溶液中の精製生成物のアリコートに添加して、[DPTA]/[mAb]=50,000〜100,000にした。2つの混合物を、室温及び290rpmで30分間振盪ブロック上に置いた。混合物をiTLC−SG上にスポットし、クエン酸塩−H
2O−MeOHを移動相として展開した。これらの条件下で、遊離
225Acは溶媒フロントに移動し、結合した
225Ac−mAbはベースラインに留まる。
【0220】
抗PSMA mAb−ジベンゾ−[1,2,3]−トリアゾロアゾシン−GA−DOTA−
111Inの合成:10mM NaOAc中のランダム又は部位特異的アジド修飾抗PSMA mAb(部位特異的、CAR=2又はランダム、1〜4の平均CAR)を、記載されるとおりに生成した
111Ac−DOTA−GA−DBCOの溶液に添加した。反応溶液を穏やかに撹拌し、PD−10カラムを通過させる前に、室温で2時間放置した。PD−10カラムを、カラムにより15mLのNaOAcバッファー、10mM、pH6〜6.5を通過させてプレコンディショニングし、洗浄液を廃棄した。次いで、反応混合物を、プレコンディショニングされたPD−10カラムのリザーバにピペットで移し、溶出液をプラスチック管に回収した。反応バイアルをNaOAcバッファーで洗浄し(0.2mLで3回)、洗浄液をPD−10カラムのリザーバにピペットで移し、溶出液を回収した。NaOAcバッファーをPD−10カラムのリザーバに連続的に適用し、溶出液をプラスチック管に回収し、溶出液の合計10mLを回収するまで、各管に約1mLの溶出液を回収した。
【0221】
回収した各画分の純度を、10mM EDTA水溶液(pH=5〜6)を移動相として用いてiTLC−SGによって評価した。純粋な画分(複数の場合もある)を合わせて、10mMのNaOAcバッファー中で最終生成物を得た。生成物溶液を、化学的及び放射線化学的純度についてHPLCにより分析した。標準曲線を使用して、生成物溶液中の抗体濃度をUV吸収により測定した。次いで、Capintec CRC−55TW線量キャリブレータを使用して、生成物溶液の放射能を定量した。
【0222】
In−111キレート化の品質管理:精製した生成物の品質管理としてDTPAを使用するキレート化チャレンジを用いた:10mMのNa
5DTPA水溶液を、
111In標識化mAbを含有するサンプル溶液に添加して、[DTPA]/[mAb]=1000〜10,000にした。混合物を、室温及び290rpmで30分間振盪ブロック上に置いた。混合物をiTLC−SG上にスポットし、10mM EDTA水溶液(pH=5〜6)を移動相として展開した。遊離
111In又は緩く結合した
111は溶媒フロントに移動し、しっかりと結合した
111In−mAbはベースラインに留まる。
【0223】
抗PSMA mAb−ジベンゾ−[1,2,3]−トリアゾロアゾシン−DFO−ZR−89の合成
10mM HEPES 50mM NaCl pH7.5、又は他の相溶性バッファー中のランダムアジド修飾抗PSMA mAb(1〜4の平均CAR、同様の手順を部位特異的アジド−mAbにより実施することができる)800μgを、記載されるとおりに生成した
89Zr−DFO−DBCO溶液に添加し、37℃で1.5時間インキュベートした後、PD−10カラムを通過させた。PD−10カラムを、15mLの等張生理食塩水をカラムに通し、洗浄液を廃棄した。次いで、反応混合物を、プレコンディショニングされたPD−10カラムのリザーバにピペットで移し、溶出液をプラスチック管に回収した。生理食塩水をPD−10カラムのリザーバに連続的に適用し、溶出液をプラスチック管に回収し、合計10mLの溶出液を回収するまで、各管に約0.5mLの溶出液を回収した。各画分及びカラム上に残った物質の放射能を、線量キャリブレータで測定した。生成物のピーク、通常は画分4〜7をプールして最終生成物を得た。生成物溶液を、化学的及び放射線化学的純度についてHPLCにより分析した。標準曲線を使用して、生成物溶液中の抗体濃度をUV吸収により測定した。線量キャリブレータを使用して、生成物溶液の放射能を定量した。
【0224】
抗PMSA mAb−DOTA−
89Zrの合成
20mMHEPES 50mM NaClpH7.5(10.1mg/mL、200μL、約13.5nmol)中のランダムアジド複合化により修飾されたアジド修飾抗PSMA mAb複合体(CAR=1〜4)を、上記のとおり生成した
89Zr−DOTA−GA−DBCOの溶液に添加した。混合物の最終pHを7.0に調整した。反応溶液を37℃で2時間インキュベートし、続いて0.9%生理食塩水、HEPESバッファー、又はPBSのいずれかでPD−10カラム(GE Healthcare)で精製して、64%で生成物
89Zr−DOTA−mAbを得た。
【0225】
Zr−89キレート化の品質管理:Zr−DFO−mAbについては、精製した生成物をHPLCのみで分析した。これらの複合体は、DTPA又はEDTAでチャレンジしたときにZr−89を保持しなかった。Zr−DOTA−mAbにEDTAを33mMに添加してチャレンジし、室温で一晩インキュベートした。PD−10カラムを通過させることによってチャレンジ後の複合体を分析すると、放射能の80%を保持することがわかった。
【0226】
実施例7:クリック標識放射性複合体の分析的特性評価
放射線化学変換の決定
放射化学変換(%RA変換;表3〜5を参照されたい)を、iTLC−SG(シリカゲル(SG)を含浸したバインダレスガラスマイクロファイバークロマトグラフィー紙を使用する簡易薄層クロマトグラフィー(iTLC))によって決定した。%RA変換値は、(放射性出発物質及び副生成物の異なる保持時間の)生成物ピークの放射線シグナルの積分値を、ベースライン及び溶媒フロントの間に存在する全ての放射線シグナルピークを積分するときに得られる値で除算することによって計算される。次いで、この生成物の割合を変換率として表す。
【0227】
Ac−225を組み込んだ生成物については、約0.1〜1μCiの
225Acを含むサンプル溶液を、下端から約2cmのiTLC−SGストリップのベースラインにスポットした。iTLC−SGストリップを、クエン酸−水−メタノール移動相(20mL 0.4Mクエン酸三ナトリウム/3mL 2N HCl/2.3mL MeOH)を使用して展開し、室温で乾燥させ、分析前に最低6時間保管した(225Ac及び全ての娘核種の永年平衡に達する)。99mTc設定を使用して、Bioscan AR2000放射線TLC撮像スキャナを使用してiTLC−SGをスキャンした。
【0228】
In−111キレートについては、下側端からおよそ2cmのiTLC−SGストリップのベースラインに、約0.5〜2.5μCiの
111Inを含むサンプル溶液をスポットした。10mMのEDTA pH5〜6を移動相として用いてiTLC−SGストリップを展開した後、室温で乾燥させた。In−111設定を使用して、Bioscan AR2000放射線TLC撮像スキャナを使用して、乾燥したiTLC−SGをスキャンした。
【0229】
Zr−89キレートの場合、%RA変換は、線量キャリブレータでカウントして決定されるとおり、生成物ピークに対する放射能を、PD−10カラムにおける放射能を含む総放射能で割ることで決定した。
【0230】
放射性標識タンパク質の放射化学純度を決定する
Ac−225及びIn−111キレートの放射化学的純度(%RA純度、表3〜4を参照されたい)を、SE−HPLC(サイズ排除HPLC)によって決定した。Ac−225については、Tosoh TSKgelカラム(G3000SW×l7.8mm×30cm、5μm)を使用し、カラムをDPBSバッファー(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)で溶出させた。流量:0.7mL/分、20分の運転、室温。HPLC後、溶出液を予め番号付けしたバイアルに回収し、各バイアルに0.5分又は1分の溶出液画分を回収した。溶出液を含むバイアルを室温で6時間超放置して、
225Acがその娘核種との永続平衡に達することを可能にした。次いで、各バイアル内の放射能を、Capintec CRC−55TWウェルカウンタで計数した。バイアル内の放射能に基づいて、放射性クロマトグラムを再構成した。
【0231】
In−111については、Tosoh TSKgelカラム(G3000SW×l7.8mm×30cm、5μm)を使用した。カラムをDPBSバッファー(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)で溶出させた。流量:0.7mL/分、20分の運転、室温。上記のHPLCシステム及びPerkin Elmer放射性フロー検出器Radiomatic 625TRを使用して放射能検出を行い、In−111設定を使用する0.5mLのフローセル及び1.4mL/分の流量で使用するUltima FloTM Mカクテルを備えている。
【0232】
Zr−89(表5を参照されたい)については、Tosoh TSKgelカラム(G3000SW×l7.8mm×30cm、5μm)を使用した。カラムを、クエン酸塩緩衝生理食塩水で溶出させた。流量:1mL/分、20分の運転、室温。上記のHPLCシステム及びBioscan Flow Count機器に連結されたBeckmanフローフロースルー検出器を使用して、放射能の検出を行った。
【0233】
【表3】
*工程1は、アクチニウム−225のDOTA−GA−DBCOへのキレート化である。
**工程2は、タンパク質に対する二官能性キレートのクリック反応である。
【0234】
【表4】
*工程1は、インジウム−111のDOTA−GA−DBCOへのキレート化である。
**工程2は、タンパク質に対する二官能性キレートのクリック反応である。
【0235】
【表5】
【0236】
実施例8:修飾mAbとDOTA−GA−DBCOとのクリック反応
1〜10mg/mLのランダム及び部位特異的アジド−mAb(抗PSMA mAb、セツキシマブ、パニツムマブ、トラツズマブ、ペルツズマブ)を、5倍〜20倍の過剰のキレート化していないDOTA−GA−DBCOと混合し、室温又は37℃で1〜24時間インキュベートした。mAbをZeba脱塩脱水カラム(Thermo)で脱塩し、Amicon遠心分離機(Millipore)で濃縮し、バッファーで再希釈し、再度濃縮して、残りのDBCO−DOTAを全て除去した。全ての遊離アジドのDBCO−DOTAとの完全なクリック反応を、LC−MSにより確認した。
【0237】
実施例9:修飾mAbとDFO−DBCOとのクリック反応
1〜10mg/mLのランダム及び部位特異的抗PSMA mAbアジド−mAbを、5倍〜20倍の過剰のキレート化されていないDOTA−GA−DFOと混合し、室温又は37℃で1〜24時間インキュベートした。mAbをZeba脱塩脱水カラム(Thermo)で脱塩し、Amicon遠心分離機(Millipore)で濃縮し、バッファーで再希釈し、再度濃縮して、残りのDBCO−DFOを全て除去した。全ての遊離アジドとDBCO−DFOとの完全なクリック反応を、LC−MSにより確認した。
【0238】
実施例10:細胞結合(FACS)
アジド修飾抗体、DOTA−DBCO−アジド修飾抗体、及びDFO−DBCO−アジド修飾抗体の細胞結合を、表1に記載の複合体の親mAbと比較した。mAb標的を発現する細胞株を、濃度範囲の抗体又は複合体で処理し、結合をフローサイトメトリーによって測定した。パニツムマブ及びセツキシマブ複合体をEGFR+A431細胞への結合について評価した。ハーセプチン及びペルツズマブを、HER2+SK−BR−3細胞への結合について評価した。抗PSMA mAbを、PSMA+C4−2b細胞への結合について評価した。
【0239】
細胞株:C4−2B細胞、ヒト前立腺癌細胞株をJanssen Oncology(ペンシルベニア州スプリングハウス)から入手した。ヒト類表皮癌細胞株であるA431細胞、及びヒト乳癌細胞株であるSK−BR−3細胞を、もともとはATCC(バージニア州マナッサス)由来の細胞を用いるJanssen BioTherapeutics(ペンシルベニア州スプリングハウス)から入手した。EGFR受容体陰性MOLM−13ヒト急性骨髄性白血病浮遊細胞を、20%熱不活化ウシ胎児血清(Gibco)を添加したRPMI1640+25mM Hepes(Gibco)で維持した。細胞を、10%FBS(Gibo、マサチューセッツ州ウォルサム)を含むRPMI1640+25mM HEPES(Gibo、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて増殖させた。
【0240】
フローサイトメトリー:酵素を含まない細胞解離バッファー(Gibco、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用してフラスコから細胞を剥離させ、40μmフィルタ(Falcon)で濾過した。96ウェルU底プレートに、1ウェル当たり5X10
4個の細胞を播種した。細胞を、BSA染色バッファー(BD Bioscience、カリフォルニア州サンノゼ)で希釈した複合抗体又は親抗体と共に、4℃で1時間インキュベートした。細胞を、染色バッファーで2回洗浄した。次いで、細胞を暗所にて4℃で30分間、AlexaFluor647タグ付き抗ヒトIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共にインキュベートした。2次抗体を、3%ロバ血清(Rockland Immunochemicals)を含有する染色バッファーで1:200に希釈した。最後の10分間のインキュベーションでは、SYTOX(商標)Green Nucleic Acid Stain(ThermoFisher)を最終濃度30nMで細胞に添加した。細胞を染色バッファーで2回洗浄した後、染色バッファー中の最終容量25μL/ウェルで再懸濁し、iQue Screenerフローサイトメータ(Intellicyt)で読み取った。データを分析するために、ForeCytソフトウェアを使用した。高核酸染色を伴う事象を除外することにより、生細胞を決定した。平均蛍光強度(MFI:Mean fluorescence intensity)を生細胞で決定し、抗体濃度vsMFIの対数としてGraphPad Prism 7(GraphPad Software)でグラフ化した。非線形回帰曲線フィットをデータに加え、EC
50値を計算した。
【0241】
試験した全てのmAb及び複合体について、親mAb及び修飾mAbは、同様の細胞結合を示した(表6)。
【0242】
【表6】
【0243】
実施例11:In−111細胞結合アッセイ
細胞結合を、表4に記載のIn−111放射性標識タンパク質を用いて放射測定アッセイで測定した。抗PSMA mAb及びトランスフェリンを、C4−2B細胞(PSMA+及びトランスフェリン+)で試験した。セツキシマブ及びパニツムマブを、A431細胞(EGFR+)及びMOLM−13細胞(EGFR−)に対して試験した。
【0244】
接着細胞を、酵素不含細胞解離バッファー(Gibco)で剥離した。剥離した接着細胞及び回収された浮遊細胞を計数し、冷染色バッファー(BD Biosciences)で洗浄した。200μLの染色バッファー中の様々な数の細胞を、微小遠心管に添加し、氷上に置いた。0.5μCiのIn−111標識タンパク質を各管に添加し、氷上で1時間インキュベートした。細胞を冷PBS(Gibco)で洗浄し、未結合の抗体を除去し、500μLの冷PBS中に再懸濁した。サンプルを計数バイアルに移し、ガンマ計数(Hidex Automatic Gamma Counter)によって細胞関連放射能を測定した。
【0245】
試験サンプルからのカウント毎分(CPM:Counts per minute)を、既知量のIn−111標識タンパク質を使用して作成した線形回帰を用いてCPM値を使用し、In−111μCiに変換した。μCi境界値を、以下の計算を使用して、モル結合(Moles Bound)に変換した:(μCi結合/比放射能)/MW mAb又はタンパク質。各データ点は、3重の反応の平均±SDである。
【0246】
クリック標識In−111抗PSMA mAb及びIn−111トランスフェリンは、C4−2B細胞に結合し、細胞数が増加すると細胞関連放射能が増加した(
図3A)。クリック標識In−111抗EGFR抗体であるパニツムマブ及びセツキシマブはA431細胞に結合し、細胞数が増加すると細胞関連放射能が増加した。陰性対照MOLM−13細胞では、クリック標識抗EGFR抗体の特異的結合は検出されなかった(
図3B)。
【0247】
実施例12:インジウム細胞取り込みアッセイ
C4−2B細胞におけるIn−111クリック標識抗PSMA mAbの内在化の動態を決定した。
【0248】
細胞を、60mmディッシュ(Corning)当たり3×10
6細胞で播種し、37℃の加湿CO
2インキュベータ内に一晩置いた。播種培地を除去し、2mLの冷染色バッファー(BD Bioscience)で置き換えた。次いで、ディッシュを氷上に置いた。0.5μCiのIn−111標識抗体を各ディッシュに添加し、氷上で1時間インキュベートした。細胞を冷PBS(Gibco)で洗浄し、細胞表面から未結合の抗体を除去した。以下に記載されるとおり、様々な時点で、細胞を表面膜結合放射能及び細胞内放射能についてアッセイした。
【0249】
酸洗浄ストリッピング手順を用いて表面結合放射能をストリッピングした:1.5mLのストリッピングバッファー(50mmグリシン、150mm NaCl pH2.7、25μg/mLまで添加されたペプシン(Amresco)を含む)を細胞に加え、ディッシュを氷上で15分間インキュベートした。ストリッピングバッファーを計数バイアルに移した。細胞を冷PBSで洗浄し、洗浄液を計数バイアルに移した。放射能をガンマ計数(Hidex Automatic Gamma Counter)によりアッセイした。表面膜結合放射能を、ストリッピングバッファー+PBS洗浄液の合計として決定した。
【0250】
細胞溶解物を調製することによって細胞内放射能をアッセイした:表面結合放射能をストリップし、細胞を洗浄した後、1.5mLの1M NaOH(Teknova)を細胞に加え、ディッシュを氷上で5分間インキュベートした。表面ストリップ細胞溶解物を、計数バイアルに移した。皿を冷PBSで洗浄し、洗浄液を計数バイアルに移した。放射能をガンマ計数(Hidex Automatic Gamma Counter)によりアッセイした。細胞内放射能を、表面ストリップ細胞溶解物+PBS洗浄液の合計として決定した。
【0251】
時間=0のサンプルについて、細胞を、氷上での初期抗体結合直後の表面膜結合放射能及び細胞内放射能についてアッセイした。10分間、30分間、1時間及び2時間のサンプルについて、初期抗体結合後に3mLの細胞培養培地を各ディッシュに添加し、ディッシュを37℃の加湿CO
2インキュベータに入れた。各時点でディッシュをインキュベータから取り出し、氷上に置いた。細胞培養培地を計数バイアルに移し、細胞を冷PBSで洗浄した。PBS洗浄液を計数バイアルに回収した。細胞を、記載されるとおりに、表面膜結合放射能及び細胞内放射能についてアッセイした。各時点で、細胞溶解前に、ストリッピングバッファーの代わりにPBSで細胞をインキュベートすることにより、ストリッピングされていないサンプルを作製した。これらのサンプルを使用して、ストリッピング効率を評価し、結果をストリッピングしたサンプルと比較した。
【0252】
試験サンプルからのCPMを、既知量のIn−111標識mAbを使用して作成した線形回帰からのCPM値を用いてμCi In−111に変換した。細胞表面膜上(ストリッピングされたサンプル)及び細胞内(溶解したサンプル)のIn−111 mAbの局在率(%)を、以下の式:局在率%=100
*(サンプルμCi/平均合計μCi)を使用して決定し、ここで合計μCiは、インキュベーション培地、PBS洗浄液、グリシンリンス、及び溶解した細胞を含む全ての回収されたサンプルの合計を指す。各データ点は、3重の反応の平均±SDである。
【0253】
表面結合したIn−111は、細胞表面から急速に消失し、細胞内に再分配された。ストリッピング技術は、時間0において、細胞表面関連放射能の約80%を放出し、インキュベーションの終わりまでに、20%のみがストリッピングによって放出され、放射能の60%超が細胞溶解物中にあった(
図4)。
【0254】
実施例13:マウス腫瘍異種移植モデルにおける有効性
抗PSMA mAb−DOTA−AC−225の線量決定研究:雄性NSGマウス(1群当たりn=8)に10
6LNCap細胞を皮下移植し、腫瘍を100〜150mm
3に増殖させた。マウスに、放射能範囲(10nCi、25nCi、70nCi、200nCi)の抗PSMA mAb−アジド−DOTA−
225Ac又はアイソタイプ対照、対照mAb−アジド−DOTA−
225Acの単回用量を静脈内注射した。マウス1匹当たりの注入量を、コールド抗体で合計10μgのタンパク質にした。腫瘍測定及び体重を1週間に2回記録した。腫瘍サイズが1,500mm
3を超えたときに動物を安楽死させたか、又は体重減少が20%を超えたときに安楽死させた。
【0255】
抗PSMA mAb−DOTA−Ac−225は、特に高放射線量の単回投薬後の腫瘍増殖阻害を示し、また全ての線量でアイソタイプ対照よりも優れた腫瘍増殖阻害を示す(
図5A)。いずれの線量の対照mAb放射性複合体も、ビヒクル対照と同様の生存曲線を有した(
図5B;表7);抗PSMA mAb複合体は、放射線量が増加すると生存率が増加し、明らかな用量反応を示した(
図5C;表7)。209日後に試験を終了すると、3匹のいずれも抗PSMA mAb200nCi群からのマウスが残り、検出可能な腫瘍を示さなかった。
【0256】
【表7】
【0257】
本発明の実施形態は、単なる例示であることを意図しており、当業者は、本発明の特定の手順に対する多数の等価物を、日常的な実験のみを用いて認識するか、又は確認することができるであろう。かかる等価物はいずれも、本発明の範囲内であると見なされ、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【0258】
本明細書に引用される全ての参照(特許出願、特許又は文献を含む)は、その全体を参照することにより、それぞれの個別の文献又は特許若しくは特許出願書があらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示した場合と同程度にあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。