(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-506990(P2021-506990A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】樹脂組成物および樹脂組成物を含有する材料
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20210125BHJP
C08K 5/24 20060101ALI20210125BHJP
C08K 5/21 20060101ALI20210125BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08K5/24
C08K5/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-513512(P2020-513512)
(86)(22)【出願日】2018年9月10日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月7日
(86)【国際出願番号】EP2018074305
(87)【国際公開番号】WO2019048676
(87)【国際公開日】20190314
(31)【優先権主張番号】1803854.7
(32)【優先日】2018年3月9日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】504132032
【氏名又は名称】ヘクセル コンポジッツ、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バージ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、クリス
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BN123
4J002BN143
4J002CD01W
4J002CD02X
4J002CD05X
4J002CD06W
4J002CD06X
4J002DA037
4J002DE137
4J002DJ017
4J002DJ047
4J002DL007
4J002EP008
4J002EQ028
4J002FA047
4J002FA107
4J002FD148
4J002FD203
4J002GJ01
(57)【要約】
本発明は、樹脂組成物に関する。樹脂組成物は、アルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づくエポキシ樹脂を含む第1の多官能エポキシ成分(i)、およびエポキシ樹脂を含む第2の成分(ii)を含む。組成物は、(a)ウロン系硬化剤もしくは(b)イミダゾール系硬化剤のいずれかまたはその両方と組み合わせて、ヒドラジド系硬化剤を含む第3の成分(iii)をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物であって、
a.アルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づくエポキシ樹脂を含む第1の多官能エポキシ成分(i)、および
b.エポキシ樹脂を含む第2の成分(ii)、
を含み、
前記組成物は、
c.(a)ウロン系硬化剤もしくは(b)イミダゾール系硬化剤のいずれかまたはその両方と組み合わせて、ヒドラジド系硬化剤を含む第3の成分(iii)、
をさらに含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーが、トリアルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーが、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタントリグリシジルエーテル、p−アミノフェノールトリグリシジルエーテル、1,2,6−ヘキサントリオールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシレートトリグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、プロポキシル化グリセリントリグリシジルエーテル、および/またはそれらの組み合わせからなるモノマーの群から選択される、請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
成分(i)が、それぞれ異なる構造を有する少なくとも2つのアルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づく、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
成分(i)が、エポキシノボラック樹脂および前記エポキシノボラック樹脂とは構造が異なるフェノールノボラックエポキシ樹脂を含む、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
成分(ii)が、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aエポキシ樹脂、またはさらなるノボラックエポキシ樹脂から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
成分(ii)が、ジシクロペンタジエン成分とフェノール成分との重付加から誘導された多官能性エポキシ樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記組成物が、少なくとも1種の二官能性エポキシ樹脂を含む成分(iv)をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、衝撃改質剤を含む成分(v)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、充填剤を含む成分(vi)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
成分(i)の平均エポキシ当量範囲が、120〜220、好ましくは150〜210、より好ましくは150〜200の範囲である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
エポキシ官能性成分(i)と(ii)との混合物が、0.86〜1.29、好ましくは1.183〜0.864、より好ましくは1.022〜1.13の範囲のi)対ii)の平均エポキシ当量化学量論比を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて5〜30重量%、好ましくは前記組成物の総重量に基づいて12〜25重量%の範囲で前記第1の成分(i)を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて5〜20重量%、好ましくは前記組成物の総重量に基づいて8〜10重量%の範囲で前記第2の成分(i)を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて20〜55重量%の範囲で1種以上の二官能性エポキシ樹脂成分を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記成分(iii)が、前記組成物の総重量に基づいて12〜20重量%の範囲にある、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ヒドラジド系硬化剤が、ジヒドラジド硬化剤であり、好ましくは前記ウロン系硬化剤(a)が、選択されたフェニル尿素である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記ウロン系硬化剤が、1,3−ジフェニル尿素、ベンジル尿素、1,1−ジメチル−3−フェニル尿素、N−エチル尿素、N−(2−クロロ−4−ピリジル)−N’−フェニル尿素、N,N’−ジベンジル尿素、N−(4−クロロフェニル)N,N−ジメチル尿素、N−(4−クロロフェニル)n,n−ジメチル尿素、N−フェニル−N,N−ジメチル尿素、2,4トルエンビスジメチル尿素、2,6トルエンビスジメチル尿素、脂環式ビス尿素、トルエンビスジメチル尿素、4,4’メチレンビス(フェニルジメチル尿素)、N,N−ジメチル−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、および/または前述の尿素の組み合わせから選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に定義の組成物を含む樹脂マトリックスおよび繊維強化材料を含む成形材料。
【請求項20】
少なくとも1種の充填剤と組み合わせて、請求項1〜19のいずれか一項に定義の組成物を含む接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物および樹脂組成物を含有する材料、特に、成形コンパウンド、接着剤、およびプリプレグの製造における硬化性マトリックスとして使用できるアルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づくエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、多くの形態で生成される。硬化性樹脂マトリックス組成物または樹脂組成物を含浸させた繊維層は、本明細書ではプリプレグとして知られている。成形コンパウンドは一般に、樹脂マトリックス組成物と組み合わせて、細断された、等方性または準等方性の形態の繊維材料を含む。これらの材料中の樹脂マトリックス組成物は、未硬化であっても部分的に硬化していてもよい。
【0003】
樹脂マトリックス組成物は、広範囲の重合性成分および添加剤から選択できる。一般的な重合性成分は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、ポリイソシアナート、およびフェノールを含む。これらの成分を含有する組成物は、一般に、それぞれエポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、ポリイソシアナート、およびフェノール組成物と呼ばれる。
【0004】
エポキシ樹脂組成物は、複合材料に広く使用される。これらの組成物中のエポキシ成分は、用いられる硬化サイクルおよび製造される完成品の性質に応じて、広範囲のエポキシ含有材料から選択される。エポキシ樹脂は、固体、液体、または半固体であり、その官能性およびエポキシ当量によって特徴付けられる。エポキシ樹脂の官能性は、反応および硬化して硬化構造を形成するために利用可能な1分子あたりの反応性エポキシ部位の数である。例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂は、2の官能性を有するが、特定のグリシジルアミンは、4を超える官能性を有することができる。EEWは、1グラム/モルのエポキシ基を含有するグラム単位のエポキシ樹脂材料の重量である。
【0005】
エポキシ樹脂組成物は、一般に、炭素繊維、ガラス繊維、ケブラー、および/またはアラミド繊維などの繊維強化材を重ね合わせて積層材を形成する金型内で硬化される。次いで、この系は、加熱することにより金型内で硬化されるが、多くの場合、圧力も印加される。
【0006】
硬化エポキシ樹脂組成物は、望ましい機械的特性を有するが、これらの特性は、改質剤および添加剤を含めることによりさらに高めることができる。例えば、エポキシ樹脂系中にその靭性を高めるために衝撃改質剤を含めることはよく知られている。提案されている典型的な衝撃改質剤は、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、およびナイロン66を含むポリアミド、またはポリエーテル、ポリスルホン、およびコアシェルゴムなどの熱可塑性材料である。
【0007】
複合材料に必要な特性は、硬化時に、所望のガラス転移温度(Tg)を有し、使用する用途に応じて望ましい機械的特性も有することである。特定の用途では、Tgが湿気または湿度の高い条件下で保持されることが重要である。
【0008】
エポキシ組成物は、触媒および/または硬化剤も含み、これらはまた、エポキシ樹脂の性質、製造される製品、および必要な硬化サイクルに従って選択される。
【0009】
大量生産率をサポートする複合材料の硬化には、非常に短い硬化サイクルが必要である。2.5分の硬化サイクルにより、金型あたり年間約166000個の部品の製造率を提供できる(30秒のアンロード−再ロード時間および95%の使用率を想定)。熱硬化性材料は、熱可塑性樹脂に比べて優れた機械的性能および耐クリープ性を有するため、構造部品に使用することが望ましい。これらの用途では、熱硬化性マトリックスは、硬化温度で離型できるように十分に高い初期硬化Tgを有さなければならない。硬化Tg能力がより高いと、より高い硬化温度で硬化可能であり、硬化温度が高くなると、反応性が温度とともに増加するため、硬化サイクルがより速くなる。
【0010】
調製され、繊維プリフォームに注入される多成分混合エポキシ組成物を用いて、より低い温度での非常に速い硬化を実現できる。しかしながら、これには追加の混合および計量装置が必要であり、これは複雑さが増し、その結果大量生産環境ではコストがかかる可能性のある障害が発生する。さらに、これらの方法は、追加の前のステップで、乾燥繊維プリフォームの構築を必要とする。この乾燥プリフォームは、生成に時間がかかり、必要とされる複雑形状の金型に正確に位置付けることが困難であり得る。したがって、繊維強化材および硬化性樹脂組成物の両方を含有するプリプレグ材料は、大量の構造部品製造のためにより好ましい。そのような材料は、硬化のために金型に簡単に配置できる自動化プロセスで切断、方向付け、および積層することができる。
【0011】
室温(21℃)で安定(潜在性)のままであり、かつ選択された硬化温度で高速硬化する硬化性の熱硬化性マトリックス組成物は、典型的には、ウロン系硬化剤によって促進される潜在性アミン硬化剤を使用する。初期硬化には効果的であるが、これらの硬化剤は、潜在性アミンとウロンとの組み合わせが高レベルの水分吸収およびマトリックス可塑化の影響を受けやすいため、使用Tg温度が低くなる可能性があるため望ましくない。
【0012】
硬化エポキシ樹脂組成物は、70℃の水に14日間暴露した場合、80℃未満のTg(「湿潤Tg」と呼ばれる)を保持する。追加の硬化剤/促進剤を使用することにより、さらに速い硬化性組成物を作製しようとすると、通常、70℃未満の湿潤Tgを有する硬化樹脂組成物が得られる。どちらの場合も、初期の「乾燥」硬化Tgに対する割合として保持される湿潤Tgは、60%未満である。構造部品の多くの産業用途では、車両部品および航空機部品など、日光に暴露される可能性のある耐荷重構造部品には通常85℃を超える湿潤Tgが必要であるため、この性能は不十分である。
【0013】
本発明は、前述の問題を取り除くもしくは少なくとも軽減すること、および/または全般的に改善を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0014】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲の請求項のいずれか1つで定義される樹脂組成物、成形材料、および接着剤が提供される。
【0015】
本発明の一実施形態では、
a.アルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づくエポキシ樹脂を含む第1の多官能エポキシ成分(i)、および
b.エポキシ樹脂を含む第2の成分(ii)、
を含む樹脂組成物であって、
組成物は、
c.(a)ウロン系硬化剤もしくは(b)イミダゾール系硬化剤のいずれかまたはその両方と組み合わせて、ヒドラジド系硬化剤を含む第3の成分(iii)、
をさらに含む、組成物が提供される。
【0016】
一実施形態では、この組成物は、130℃を超える乾燥Tgおよび100℃を超える高温湿潤Tg(14日間70℃で水に暴露された硬化サンプル、つまり「湿潤Tg」)で、170℃で2分以下に少なくとも95%の硬化を提供すると同時に、構造用途に望ましい機械的特性を有する。
【0017】
一実施形態では、E’Tgは、乾燥Tgでは135〜145℃、好ましくは140〜144℃の範囲であり、湿潤Tgでは100〜110℃、好ましくは100〜105℃の範囲である。
【0018】
さらなる実施形態では、樹脂組成物は、0.2〜1.6分、好ましくは0.4〜1.0分の範囲で、ASTM D2471に従ってDEAを使用して測定される発熱エンタルピーのピーク時間を有する。
【0019】
別の実施形態では、E’’Tgは、乾燥Tgについては140〜175℃、好ましくは140〜170℃の範囲であり、湿潤Tgについては105〜125℃、好ましくは110〜120℃の範囲である。
【0020】
硬化率(硬化%)は、上記のような方法に従って測定される。乾燥Tgは、ASTM E1640に従って5℃/分の昇温速度を使用して測定され(動的機械分析(DMA)によるガラス転移温度の割り当ての標準試験方法)、保持または高温湿潤Tgは、未加工の樹脂組成物を170℃で2分間等温硬化し、硬化組成物を70℃で14日間水に暴露した後、5℃/分の昇温速度を使用する同じ測定標準ASTM E1640に従ってサンプルのTgを測定することで測定される。
【0021】
損失弾性率E’’は、5℃/分の昇温速度で動的機械分析(DMA)を使用して、ASTM E1640に従って測定される。高温湿潤損失弾性率E’’wは、硬化組成物を70℃の温度の水に14日間浸漬した後、5℃/分の昇温速度で同じ標準に従って測定される。
【0022】
貯蔵弾性率E’は、5℃/分の昇温速度で動的機械分析(DMA)を使用して、ASTM E1640に従って測定される。高温湿潤損失弾性率E’wは、硬化組成物を70℃の温度の水に14日間浸漬した後、5℃/分の昇温速度で同じ標準に従って測定される。
【0023】
対応するTg値は、ASTM E1640で概説されているように、乾燥サンプルおよび高温湿潤処理されたサンプルの両方の貯蔵弾性率および損失弾性率から導出される。
【0024】
別の実施形態では、アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーは、トリアルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーである。アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーは、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタントリグリシジルエーテル、p−アミノフェノールトリグリシジルエーテル、1,2,6−ヘキサントリオールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシレートトリグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、プロポキシル化グリセリントリグリシジルエーテル、および/またはそれらの組み合わせからなるモノマーの群から選択される。
【0025】
好ましくは、成分(i)は、それぞれ異なる構造を有する少なくとも2種のアルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づく。成分(i)は、エポキシノボラック樹脂、およびエポキシノボラック樹脂と構造が異なるフェノールノボラックエポキシ樹脂を含んでもよい。
【0026】
成分(i)の平均エポキシ当量範囲は、120〜220、好ましくは150〜215、より好ましくは150〜200の範囲である。
【0027】
別の実施形態では、成分(ii)は、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、またはさらなるノボラックエポキシ樹脂から選択される。
【0028】
好ましくは、成分(ii)は、ジシクロペンタジエン成分とフェノール成分との重付加から誘導される多官能性エポキシ樹脂を含む。
【0029】
さらなる実施形態では、組成物は、追加のエポキシ樹脂成分を含んでもよい。組成物は、少なくとも1種の二官能性エポキシ樹脂を含む成分(iv)を含んでもよい。好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜32%、より好ましくは28〜41重量%の範囲の、および/または前述の重量範囲の組み合わせの1種以上の二官能性エポキシ樹脂成分を含む。
【0030】
有利には、本発明者らは、平均エポキシ当量対アミン化学量論比について、0.86〜1.29の範囲、好ましくは1.183〜0.864の範囲、より好ましくは1.022〜1.13の範囲であることを見出した。
【0031】
さらに別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて5〜30重量%、好ましくは組成物の総重量に基づいて12〜25重量%の範囲の第1の成分(i)を含む。
【0032】
組成物は、組成物の総重量に基づいて5〜20重量%、好ましくは組成物の総重量に基づいて8〜10重量%の範囲で第2の成分(i)を含んでもよい。
【0033】
本発明の別の実施形態では、成分(iii)は、組成物の総重量に基づいて12〜20重量%の範囲にある。
【0034】
さらなる実施形態では、ヒドラジド系硬化剤は、ジヒドラジド硬化剤であり、好ましくは、ウロン系硬化剤(a)は、フェニル尿素から選択される。本発明者らは、ジヒドラジド硬化剤、フェニル尿素を含むウロン系硬化剤、および脂環式エポキシ樹脂の組み合わせにより、170℃を超える温度で硬化時に130℃を超える硬化Tgおよび所定の温度を超える保持Tg(または湿潤Tg)を有すると同時に、硬化損失弾性率E’’が130℃を超える値であり、高温湿潤損失弾性率E’’wが120℃を超える値である高速硬化組成物が生じることを発見した。
【0035】
任意選択の一実施形態では、組成物は、イミダゾール硬化剤の形態の追加の硬化剤を含んでもよい。代替的には、ウロン系硬化剤は、イミダゾール硬化剤で置き換えられてもよい。
【0036】
しかしながら、好ましい実施形態では、組成物中にイミダゾールは存在しない。
【0037】
本発明の別の実施形態では、繊維強化材料と組み合わせて上記の樹脂組成物を含む成形材料が提供される。繊維強化材料は、プリプレグを形成するための織布または多軸布として、トウプレグを形成するための樹脂組成物を含浸させるための個々の繊維トウとして、または成形コンパウンドを形成するための細断繊維、短繊維、もしくはフィラメントとして、異なる形態で提供されてもよい。
【0038】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1種の充填剤と組み合わせて、前述の請求項のいずれかに定義の組成物を含む接着剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書に記載の樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、エポキシノボラック、およびジヒドラジド硬化剤とウロン系硬化剤との組み合わせを含むいくつかのエポキシ樹脂を含有する。好ましくは、ウロン系硬化剤は、アリール尿素またはアルキルアリール尿素を含み;より好ましくは、ウロン系硬化剤はフェニル尿素を含む。
【0040】
組成物は、高速硬化することができると同時に、そのTg、保持Tg、および機械的特性により、産業構造用途、特に自動車構造用途での使用を可能にする。
【0041】
樹脂組成物は、好ましくは、アルキロールアルカントリグリシジルエーテルモノマーに基づくエポキシ樹脂を含む第1の多官能エポキシ成分(i)、エポキシ樹脂を含む第2の成分(ii)、およびウロン系硬化剤と組み合わせてヒドラジド系硬化剤を含む第3の成分(iii)を含む。
【0042】
アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマー
アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーは、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタントリグリシジルエーテル、p−アミノフェノールトリグリシジルエーテル、1,2,6−ヘキサントリオールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシレートトリグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、プロポキシル化グリセリントリグリシジルエーテルからなるモノマーの群から選択される。好ましい実施形態では、アルキロールアルケントリグリシジルエーテルモノマーは、エポキシノボラック樹脂およびエポキシノボラック樹脂と構造が異なるフェノールノボラックエポキシ樹脂を含む。
【0043】
硬化剤
ウロン系硬化剤は、1,3−ジフェニル尿素、ベンジル尿素、1,1−ジメチル−3−フェニル尿素、N−エチル尿素、N−(2−クロロ−4−ピリジル)−N’−フェニル尿素、N,N’−ジベンジル尿素、N−(4−クロロフェニル)N,N−ジメチル尿素、N−(4−クロロフェニル)n,n−ジメチル尿素、N−フェニル−N,N−ジメチル尿素、2,4トルエンビスジメチル尿素、2,4トルエンビスジメチル尿素、脂環式ビス尿素、トルエンビスジメチル尿素、4,4’メチレンビス(フェニルジメチル尿素)、N,N−ジメチル−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、および/または前述の尿素の組み合わせから選択され得る。好ましい実施形態では、ウロン系硬化剤は、1,1−ジメチル−3−フェニル尿素である。
【0044】
イミダゾール系硬化剤は、式(I)で表される化合物からなる群から選択され得る:
【化1】
式中、R1は水素原子、C1−C10アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、またはシアノエチル基を表し、R2〜R4は水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C20アルキル基、ヒドロキシ基で置換されたC1−C20アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、またはC1−C20アシル基を表し;破線の部分は、単結合または二重結合を表す。
【0045】
硬化剤は、以下のイミダゾール類、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、および2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、およびイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、イミダゾリン類、例えば、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、および2−フェニル−4−メチルイミダゾリン、および2−メチルイミダゾリン、または2−フェニルイミダゾリン、1−イソプロピル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、イソプロピル−2−アリールイミダゾール、1−イソプロピル−2−アリールイミダゾリン、ならびに/または前述のイミダゾールの組み合わせのうちの1種以上から選択され得る。
【0046】
ヒドラジド系硬化剤は、以下の化学構造を有するジヒドラジドであり得る:
【化2】
式中、Rは(−CH
2−)
nまたは(−Ar−)を含み;nは0〜10の数であり;Arは芳香環である。
【0047】
好ましくは、ヒドラジド硬化剤は、芳香族ヒドラジド、脂肪族ヒドラジド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0048】
ヒドラジド硬化剤は、アジピン酸ジヒドラジド(adipic dihydrazide)、アジピン酸ジヒドラジド(adipic acid dihydrazide)、3,4−ジアミノベンズヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、4−アミノ安息香酸ヒドラジド、(+)−ビオチンアミドヘキサン酸ヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、マレイン酸ヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキシルジヒドラジド、4,4’−(プロパン−1,3−ジイルビスオキシ)ジ安息香酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、および/またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0049】
様々な添加剤が組成物に含まれてもよい。
【0050】
衝撃改質剤
組成物は、衝撃改質剤を含んでもよい。衝撃改質剤は、エポキシ樹脂組成物の固有の脆性および亀裂伝播を補償する目的で、エポキシ樹脂組成物の衝撃強度を改善するために広く使用される。衝撃改質剤は、CTBNゴム(カルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリル)などのゴム粒子、またはポリマーシェルに包まれたゴムもしくは他のエラストマー化合物を含有するコアシェル粒子を含んでもよい。ゴム粒子に対するコアシェル粒子の利点は、効果的な強化のためにゴムコアの粒子サイズが制御されており、グラフトポリマーシェルがエポキシ樹脂組成物との接着性および適合性を保証することである。そのようなコアシェルゴムの例は、EP0985692およびWO2014062531に開示されている。
【0051】
代替の衝撃改質剤には、メチルアクリレート系ポリマー、ポリアミド、アクリル、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、およびポリエーテルスルホンが含まれ得る。
【0052】
充填剤
さらに、組成物は、組成物の流動特性を高めるために1種以上の充填剤を含んでもよい。適切な充填剤は、タルク、マイクロバルーン、フロック、ガラスビーズ、シリカ、ヒュームドシリカ、カーボンブラック、繊維、フィラメントおよびリサイクル誘導体、ならびに二酸化チタンを含んでもよい。
【0053】
重要かつ好ましくは、フェノキシポリマー成分は、本発明の組成物中には存在しない。本発明者らは、フェノキシポリマー成分が存在しないことにより、所望のE’Tg、E’’Tg(乾燥および高温湿潤処理されたサンプルの両方について)が達成されると同時にまた、120℃を超える温度、好ましくは170℃の温度で硬化した場合、有利な高速硬化特性を有する組成物を提供可能であることを見出した。これにより、本発明の組成物は、圧縮成形の用途および圧縮成形部品の大量生産に特に適したものとなる。
【0054】
デジタル走査熱量測定を使用して硬化度を測定するために、硬化反応中に放出される熱は、完全に硬化するための総熱量に関連している。これは、以下のように測定できる。基準樹脂組成物サンプルを10℃/分の速度で10℃〜250℃まで加熱して完全に硬化させ(100%)、発生した熱ΔHiを記録する。次いで、基準樹脂組成物サンプルと同じ組成の特定の樹脂サンプルの硬化度は、これらの条件でサンプルを加熱し、この硬化反応により発生する熱ΔHeを測定することによって、組成物サンプルを所望の温度および所望の速度で所望の時間、硬化させることにより測定することができる。このとき、硬化度(硬化%)は、以下によって定義される:
硬化%=[(ΔHi−ΔHe)/ΔHi]×100[%](−)
式中、ΔHiは10℃〜250℃で完全に硬化するまで加熱された未硬化樹脂によって発生する熱であり、ΔHeは所望の温度に至るまで所望の速度で加熱されたある程度の硬化樹脂によって発生する熱である。
【0055】
乾燥Tgおよび高温湿潤Tgのガラス転移温度は、動的機械分析を使用して、貯蔵弾性率および損失弾性率の両方から導出することができる。
【0056】
動的機械分析(DMA)では、プローブされている樹脂組成物サンプルが時変変形に供され、サンプル応答が測定される。DMA実験では、正弦波の時変歪み(制御された変形)がサンプルに印加される:
γ=γ
οsin(ωt) (i)
式中、γは印加された歪みであり、γοは歪み振幅であり、ωは周波数である。
【0057】
DMA機器は、結果として生じる応力を測定する:
σ=σ
οsin(ωt+δ) (ii)
式中、σは合応力であり、σοは応力振幅であり、δは位相角である。
【0058】
粘弾性の性質(粘性成分および弾性成分の両方)によるほとんどの樹脂組成物では、位相角と呼ばれる粘性成分の寄与による位相遅れがある。位相角は、動的係数を計算するのに使用されるため重要である。
【0059】
小さな歪み振幅および時間に依存しないポリマー(線形粘弾性レジーム)では、得られた応力は、(動的)貯蔵弾性率(E’)および(動的)損失弾性率(E”)の観点から記述できる:
σ=γ
ο[E’sin(ωt)+E”cos(ωt)] (iii)
【0060】
したがって、貯蔵弾性率(E’)および損失弾性率(E”)は、(iii)から導出される以下の式を使用して計算できる:
【数1】
【0061】
典型的なDMA実験は、所望の最終温度まで加熱による線形昇温速度を備えた正確な温度制御オーブンを使用して、温度の関数としてE’およびE’’を測定することである。典型的な加熱速度は、2〜5℃/分の範囲である。
【0062】
DMAによってガラス転移温度Tgを割り当てるための標準試験は、ASTM E1640で見出され、貯蔵弾性率、損失弾性率、および損失弾性率と貯蔵弾性率との比であるtanδから導出される:
【数2】
【0063】
DMAによって導出されたそれぞれの弾性率およびtanδダイアグラムから、貯蔵弾性率(E’Tg)、損失弾性率(E’’Tg)、およびtanδ(tanδTg)に関連する異なるガラス転移温度を容易に特定できる。
【0064】
ASTM標準E1640で定義および解説されているように、以下のパラメータを使用して、DMA樹脂組成物サンプルのTgにラベル付けすることができる:
E’Tg:最低温度で生じ、転移温度以下の貯蔵弾性率曲線への接線に対応する交差接線、および遷移に関連するS字状変化によるほぼ中間の変曲点での貯蔵弾性率曲線への接線に対応する交差接線によって識別される。
【0065】
E’’Tg:中間温度で生じ、E’’曲線での最大値として識別される。
【0066】
タンデルタ(tanδ)Tg:最高温度で生じ、タンデルタ曲線の最大値として識別される。
【実施例】
【0067】
ここで、本発明の諸実施形態を、単なる例として説明する。
【0068】
以下の構成成分を、諸例の組成物の調製に使用した。
成分 説明
MY 721 トリグリシジルエーテル系エポキシ、平均EEW 113(Huntsman)
Epikote 615 エポキシノボラック樹脂、平均EEW 175(Hexion)
DEN 438 ノボラックエポキシ平均EEW 180(Olin)
GT 6071 ビスフェノールAエポキシ平均EEW 457(Huntsman)
GT 7071 ビスフェノールAエポキシ平均EEW 512(Huntsman)
MX153 平均EEW 269のビスフェノールA DER331に分散したコアシェルゴム(Kaneka)
DW0137 カーボンブラック充填剤(Dow)
Epikote 828 ビスフェノールAエポキシ、平均EEW 187(Hexion)
ADH アジピン酸ジヒドラジド(ACCI)
U52 2,4トルエンビスジメチル尿素と2,6トルエンビスジメチル尿素とのブレンド(Alzchem)
PDU フェニルジメチル尿素(ACCI)
U500 2,4トルエンビスジメチル尿素(Alzchem)
556 脂環式エポキシ樹脂、平均EEW 252(Huntsman)
2E4MZ 2−エチル−4−メチルイミダゾール(Alzchem)
【0069】
諸例では、以下のパラメータを測定した:
パラメータ(単位) 説明
硬化速度(秒) ASTM D2471−誘電解析(DEA)を使用したピークまでの時間および95%の硬化までの時間
Tg(℃) 標準ASTM E1640に従ってDMAから測定した、硬化樹脂マトリックス組成物のガラス転移温度
湿潤Tg(℃) 硬化樹脂組成物を70℃の水に2週間浸漬、ASTM E1640に従ってDMAから測定したTg
E’Tg(℃) 5℃/分の昇温速度でASTM E1640に従って決定され、貯蔵弾性率E’から導出された、乾燥および高温湿潤処理されたサンプルのTg
E’’Tg(℃) ASTM E1640に従って、損失弾性率E’’から5℃/分の昇温速度で決定された、乾燥および高温湿潤処理されたサンプルの場合
E’’保持率(%) E’’湿潤Tg/E’’ Tg*100
E’保持率(%) E’湿潤Tg/E’ Tg*100
【0070】
ノボラックエポキシ成分を加熱し、その後、他のエポキシ樹脂成分にブレンドし、続いて表1に概説した組成物の他の構成成分をブレンドすることにより、様々な樹脂組成物を調製した。
【0071】
例1〜6の組成物を以下の表1に記載する。各例の各組成についてのすべての量は、組成物の総重量に基づく重量%である。
【表1】
【0072】
例1〜6の樹脂組成物を170℃の温度に暴露し、発熱がピークになるまでの時間および硬化が95%に達するまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0073】
組成物を170℃の温度に3分間暴露して、組成物を硬化させた後、いくつかの追加パラメータに加えて、Tgおよび湿潤Tgも測定した。
【表3】
【0074】
このように、本発明の樹脂組成物は、130℃を超える硬化Tgおよび100℃を超える高温湿潤Tgと共に、(DSC(デジタル走査熱量測定)またはDEA(誘電性硬化モニタリング)を使用して測定した場合)170℃にて2分未満で少なくとも95%の硬化まで硬化することができ、したがって、構造用途にとって望ましい機械的特性を提供できる。
【国際調査報告】