特表2021-507047(P2021-507047A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-507047プリント回路基板を製造するためのソルダーマスクインキジェットインキ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-507047(P2021-507047A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】プリント回路基板を製造するためのソルダーマスクインキジェットインキ
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/38 20140101AFI20210125BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20210125BHJP
   C07D 335/16 20060101ALI20210125BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20210125BHJP
【FI】
   C09D11/38
   C09D11/101
   C07D335/16
   H05K3/28 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2020-533692(P2020-533692)
(86)(22)【出願日】2018年12月10日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2018084134
(87)【国際公開番号】WO2019121093
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】17208239.8
(32)【優先日】2017年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】593194476
【氏名又は名称】アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(71)【出願人】
【識別番号】319004951
【氏名又は名称】エレクトラ・ポリマー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ランデルズ,クライブ
【テーマコード(参考)】
4J039
5E314
【Fターム(参考)】
4J039AD08
4J039AD10
4J039BC31
4J039BC55
4J039BE27
4J039CA04
4J039EA44
4J039FA01
4J039FA02
4J039GA16
4J039GA24
5E314AA24
5E314AA27
5E314AA45
5E314BB02
5E314CC06
5E314DD06
5E314FF02
5E314FF05
5E314GG10
(57)【要約】
本発明は電子装置の製造法を提供し、ここでソルダーマスクが少なくとも1つのカチオン性重合性化合物および光開始系を含有する放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキを用いて調製され、ここで光開始系は特定のスルホニウム化合物およびチオキサントンを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置を製造する方法であって、
−導電パターンを含む誘電性基板に、放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキを噴射し、前記放射線硬化型インキジェットインキはカチオン性重合性化合物および光開始系を含んでなり、前記光開始系が式I
【化1】
式中、
YはS、O、−CH2−、CO、NR4から選択され;
R4はH、置換もしくは非置換アルキル基、および置換もしくは非置換アリール基
から選択され;
R1、R2およびR3は、H、置換もしくは非置換C1−C6直鎖もしくは分岐ア
ルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アリール基、
置換もしくは非置換O−アルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン、置換もしくは非
置換S−アルキル基、置換もしくは非置換S−アリール基、NR5R6基からなる
群から独立して選択され;
R5およびR6は、H、置換もしくは非置換直鎖もしくは分岐アルキル基、置換も
しくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アリール基からなる群から独
立して選択され;
Xは一般式MQpの基であり;
MはB,P,AsまたはSbであり;
QはF,Cl,Br,Iまたはペルフルオロフェニルであり;そして
pは4から6の整数である
によるスルホニウム化合物およびチオキサントンを含み、
―噴射されたソルダーマスクインキジェットを硬化する
工程を含む前記方法。
【請求項2】
YがOおよびSから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1およびR2が、H,置換もしくは非置換C1−C6直鎖もしくは分岐アルキル基、およびハロゲンからなる群から独立して選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
R3がアリール基である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
スルホニウム化合物が、式II
【化2】
式中、X-は請求項1に記載と同じ意味を有する
による化学構造を有する請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
カチオン性重合性化合物が、少なくとも1つのエポキシ、少なくとも1つのビニルエーテル、または少なくとも1つのオキセタン基を含む請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
カチオン性重合性化合物が、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、ポリ[(2−オキシラニル)−1,2−シクロヘキサンジオール]−2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール エーテル、2−(2)ビニルオキシエトキシ−エチル アクリレート、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール ジビニル エーテル、トリメチロール−プロパン トリビニル エーテル、トリエチレングリコール ジビニル エーテル、3−エチル−3−[(フェニルメトキシ)メチル]−オキセタンおよびビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル エーテルからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
放射線硬化型インキがさらに阻害剤を含んでなる請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
放射線硬化型インキが、さらにアクリレートまたはメタクリレート化合物を含んでなる請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
アクリレートまたはメタクリレート化合物が、トリシクロデカン ジメタノール ジアクリレートである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
硬化がUV照射を使用して行われる請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
硬化がLED照射を使用して行われる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加熱工程も含んでなる請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
加熱工程が80から250℃の間の温度で行われる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電子装置がプリント回路基板である請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、プリント回路板を製造するためのソルダーマスク(solder mask)インキジェットインキおよびインキジェット法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インキジェット印刷法は、プリント回路板(PCB)の製法を更に改善するために提唱されてきた。
【0003】
インキジェット印刷法およびインキジェットインキは、例えば特許文献1(Agfa)および特許文献2(Markem−Imaje)では、レジェンド印刷(legend printing)について、そして例えば特許文献3(Agfa)および特許文献4(Agfa)では、銅表面上へのエッチレジスト(etch resist)の適用について開示された。
【0004】
このようなインキジェット印刷法は、複雑さを減少させ、廃棄物を最少にすることにより、PCBの製造のコスト効率をより良くする。
【0005】
またソルダーマスクの適用に関して、インキジェット印刷法およびインキジェットインキは、例えば特許文献5(Avecia)および特許文献6(Taiyo In Manufacturing)に開示された。
【0006】
ソルダーマスクは、PCBの成形加工、組み立ておよび最終使用の期間中に複数の機能を達成する恒久的保護コーティングである。
【0007】
ソルダーマスクの主目的の一つは、組み立て工程中にはんだとの相互反応から回路を防護することである。
【0008】
またソルダーマスクは、混入物の集積から、そしてPCBの有効寿命期間中の劣化から、薄板(laminates)、穴およびトレースを防御する。
【0009】
またソルダーマスクは、PCBの構成部品とトレースとの間の既知の誘電性絶縁体としても働く。
【0010】
ソルダーマスクは、プリント回路基板の全体的可燃性を上げるべきではない。
【0011】
UV硬化型インキは、ソルダーマスクインキの設計のために好ましい。
【0012】
フリーラジカル重合性インキは迅速に硬化し、しかも高い架橋度を可能にして、優れた耐薬品性および機械的特性をもたらす。しかしフリーラジカル重合性インキは、すべての物理的性質を維持する一方で、高温のはんだ付け工程と適合させることができる硬化では、高い収縮性が問題となる恐れがあり特に困難である。
【0013】
カチオン性重合性インキは、同程度の収縮性が問題になることはなく、そして熱的後硬化(thermal post cure)と組み合わせた時に、大変良好な熱的、化学
的および物理的耐性を提供する。
【0014】
典型的なカチオン性光開始剤は、スルホニウムおよびヨードニウム化合物である。しかし特にUV LED硬化を使用した時のそのような光開始剤を用いた硬化効率は、ソルダーマスクの応用に十分とはならない。
【0015】
典型的なヨードニウムおよびスルホニウム光開始剤を用いると、カチオン性インキの、特により高温での安定性が十分ではなくなる恐れがある。
【0016】
PCBの製造におけるはんだ付け工程中に誘発される高い熱応力に耐えることが可能なソルダーマスクインキジェットインキを設計することが未だ必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2725075号明細書
【特許文献2】米国特許第7845785号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2809735号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3000853号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1543704号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1624001号明細書
【発明の概要】
【0018】
発明の要約
本発明の目的は、PCBを製造するための安定なソルダーマスクインキジェットインキを提供することであり、ここで特に優れた物理的特性を維持しながら、はんだ付け工程中の高温ストレスに耐える高品質なソルダーマスクが製造され得る。
【0019】
本発明の目的は、請求項1に記載のソルダーマスクインキジェットインキにより実現される。
【0020】
本発明のさらなる目的は、今後の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
定義
例えば一官能性重合性化合物における用語「一官能性」は、重合性化合物が1個の重合性基を含むことを意味する。
【0022】
例えば二官能性重合性化合物における用語「二官能性」は、重合性化合物が2個の重合性基を含むことを意味する。
【0023】
例えば多官能性重合性化合物における用語「多官能性」は、重合性化合物が2個より多くの重合性基を含むことを意味する。
【0024】
「アルキル」という用語は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に可能なすべての変形、すなわちメチル、エチル、3個の炭素原子に関して:n−プロピルおよびイソプロピル;4個の炭素原子に関して:n−ブチル、イソブチルおよび第3級−ブチル;5個の炭素原子に関して:n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピルおよび2−メチル−ブチル等を意味する。
【0025】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルキル基は、好ましくはC1〜C6−アルキル基である。
【0026】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルケニル基は、好ましくはC2〜C6−アルケニル基である。
【0027】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルキニル基は、好ましくはC2〜C6−アルキニル基である。
【0028】
特段の定めがない場合、置換または非置換アラルキル基は、好ましくは1、2、3個またはそれより多いC1〜C6−アルキル基を含むフェニルまたはナフチル基である。
【0029】
特段の定めがない場合、置換または非置換アルカリール基は、好ましくフェニル基またはナフチル基を含むC7〜C20−アルキル基である。
【0030】
特段の定めがない場合、置換または非置換アリール基は、好ましくはフェニル基またはナフチル基である。
【0031】
特段の定めがない場合、置換または非置換ヘテロアリール基は、好ましくは1,2または3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子またはそれらの組み合わせにより置換された5−または6−員環である。
【0032】
例えば置換されたアルキル基における「置換された」という用語は、アルキル基が通常そのような基中に存在する原子、すなわち炭素および水素以外の他の原子により置換されることができることを意味する。例えば置換されたアルキル基はハロゲン原子またはチオール基を含むことができる。非置換アルキル基は炭素および水素原子のみを含む。
【0033】
特段の定めがない場合、置換されたアルキル基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換されたアルカリール基、置換されたアリール基、および置換されたヘテロアリール基は、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよび第3級−ブチル、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−CNおよび−NO2からなる群から選択される1または複数の構成要素により置換される。
【0034】
電子装置の製造
本発明に従い電子装置を製造する方法は:
−導電パターンを含む誘電性基板に、以下に記載する放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキを噴射し;そして
−噴射したソルダーマスクインキジェットインキを硬化する、
工程を含む。
【0035】
電子装置は好ましくはプリント回路基板である。
【0036】
放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキは、インキを電子線または紫外線(UV)照射のような化学線照射に暴露することにより硬化することができる。
【0037】
好ましくは、放射線硬化型インキジェットインキはUV照射、より好ましくはUV LED硬化を使用することにより硬化される。
【0038】
この方法は、好ましくは熱処理を含む。熱処理は好ましくは硬化工程後に行われる。
【0039】
好適な態様では、熱処理は80℃から250℃の温度で行われる。温度は好ましくは100℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。ソルダーマスクの焦げを防ぐために、温度は好ましくは200℃以下である、より好ましくは160℃以下である。
【0040】
熱処理は一般に15から90分の間で行われる。
【0041】
熱処理の目的は、ソルダーマスクの重合度をさらに上げることである。
【0042】
熱処理中のこのさらなる重合は、ペルオキシド、アゾ化合物、酸無水物、およびフェノール類のようなポリマーの熱硬化を促進するラジカル開始剤、ブロック型熱酸発生剤、ブロック型酸触媒および/または熱硬化性化合物を、ソルダーマスクインキジェットインキに加えることにより加速される。
【0043】
電子装置の誘電性基板は、任意の非導電性材料でよい。基板は一般に紙/樹脂複合体または樹脂/ガラス繊維複合体、セラミック基板、ポリエステルまたはポリイミドである。
【0044】
導電性パターンは一般に、金、銀、パラジウム、ニッケル/金、ニッケル、錫、錫/鉛、アルミニウム、錫/アルミニウム、および銅のような電子装置を調製するために通常使用される金属または合金から作られる。導電性パターンは好ましくは銅から作られる。
【0045】
放射線硬化型インキジェットインキ
放射線硬化型インキジェットインキは、以下に記載するように少なくとも1つのカチオン性重合性化合物および光開始系を含んでなる。
【0046】
放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキは、さらに他の重合性化合物、接着促進化合物、着色剤、高分子分散剤、重合阻害剤、難燃剤、または界面活性剤を含んでなることができる。
【0047】
ソルダーマスクインキジェットインキは、電子線(e−beam)で硬化できるが、好ましくはUV照射、より好ましくはUV LEDからのUV照射で硬化される。ソルダーマスクインキジェットインキは、このように好ましくはUV硬化型インキジェットインキである。
【0048】
信頼性のある工業用のインキジェット印刷には、放射線硬化型インキジェットインキの粘度は、45℃で20mPa.s以下であることが好ましく、より好ましくは45℃で1から18mPa.sの間であり、そして最も好ましくは45℃で4から14mPa.sの間である。
【0049】
良好な画質および接着には、放射線硬化型インキジェットインキの表面張力は、25℃で18から70mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは25℃で20から40mN/mの範囲である。
【0050】
光開始系
光開始系は、式I
【化1】
式中、
YはS、O、−CH2−、CO、NR4から選択され;
R4はH、置換もしくは非置換アルキル基、および置換もしくは非置換アリール基
から選択され;
R1、R2およびR3は、H、置換もしくは非置換C1−C6直鎖もしくは分岐ア
ルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アリール基、
置換もしくは非置換O−アルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン、置換もしくは非
置換S−アルキル基、置換もしくは非置換S−アリール基、NR5R6基からなる
群から独立して選択され;
R5およびR6は、H、置換もしくは非置換直鎖もしくは分岐アルキル基、置換も
しくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アリール基からなる群から独
立して選択され;
Xは一般式MQpの基であり
MはB,P,AsまたはSbであり;
QはF,Cl,Br,Iまたはペルフルオロフェニルであり;そして
pは4から6の整数である
によるホスホニウム化合物およびチオキサントンを含む。
【0051】
式Iのスルホニウム化合物はチオキサンテニウム化合物とも称することができる。
【0052】
Yは好ましくはSまたはOである。
【0053】
R1およびR2は好ましくはH,置換もしくは非置換C1−C6直鎖もしくは分岐アルキル基、およびハロゲンからなる群から選択される。
【0054】
R3は好ましくは置換もしくは非置換アリール基、より好ましくは置換もしくは非置換フェニル基である。
【0055】
式Iのスルホニウム化合物はカチオン性光開始剤であり、一方、チオキサントン化合物はラジカル光開始剤である。
【0056】
カチオン性光開始剤は、適切なモノマー、オリゴマーおよびプレポリマー、例えば少なくとも1つのエポキシ、オキセタンまたはビニルエーテル基を含むようなものの重合を、化学線照射に暴露された時にブレンステッド酸の生成により開始する化学化合物である。
【0057】
ラジカル光開始剤は、化学線照射に暴露された時、フリーラジカルの形成によりモノマーおよびオリゴマーの重合を開始する化学化合物である。
【0058】
式Iに従う他の好適なスルホニウム化合物は、例えば国際公開第2003072567
号パンフレットおよび米国特許出願公開第2008138536号明細書に開示されている。
【0059】
2以上の式Iのスルホニウム化合物は、国際公開第2003072568号および同第2004055000号パンフレットに開示されるように互いに結合され得る。
【0060】
特に好適なスルホニウム化合物は、以下の式
【化2】
式中、X-は前記と同じ意味を有する
による化合物である。
【0061】
式Iの市販されているスルホニウム化合物は、IGM resinsから販売されているOmnicat(登録商標)550(10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−10−イウム ヘキサフルオロホスフェート)である。
【0062】
インキジェットインキはまた、チオキサントンまたはその誘導体を含んでなる。
【0063】
好適なチオキサントンを以下の表1に列挙する。
【表1】
【0064】
式Iのスルホニウム化合物の好適な量は、放射線硬化型インキジェットインキの総重量に対して0.01重量%−20重量%、より好ましくは0.1重量%−10重量%、そし
て最も好ましくは0.5重量%―5重量%である。
【0065】
チオキサントンの好適な量は、放射線硬化型インキジェットインキの総重量に対して0.01重量%−20重量%、より好ましくは0.1重量%−10重量%、そして最も好ましくは0.5重量%―5重量%である。
【0066】
重合性化合物
ソルダーマスクインキジェットインキは、少なくとも1つのカチオン性重合性化合物を含む。インキジェットインキはまた、ラジカル重合性化合物を含むことができる。
【0067】
カチオン性重合性化合物
カチオン性重合性化合物は、モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーであることができる。
【0068】
これらのモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーは、異なる程度の官能性を有することができる。一官能性、二官能性、三官能性およびより高い官能性モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーを使用することができる。放射線硬化型インキジェットインキの粘度は、モノマーとオリゴマーとの間の比率を変動させることにより調整することができる。
【0069】
好適な態様では、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーは少なくとも1つのエポキシ、少なくとも1つのビニルエーテル、または少なくとも1つのオキセタン基を重合性基として含む。
【0070】
少なくとも1つのエポキシド基を含有するモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの例には、脂環式エポキシ化合物、例えばビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−アジペート,3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン カルボキシレート,ポリ[(2−オキシラニル)−1,2−シクロヘキサンジオール]−2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール エーテル,7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート;ジオール誘導体を含むエーテル誘導体、例えば1,4−ブタンジオール ジグリシジルエーテルおよびネオペンチル グリコール ジグリシジルエーテル;グリシジル エーテル、例えばn−ブチル グリシジル エーテル,蒸留ブチル グリシジル エーテル,2−エチルヘキシル グリシジル エーテル,C8−C10脂肪族グリシジル エーテル,C12−C14脂肪族グリシジル エーテル,o−クレシル グリシジル エーテル,p−三級ブチル フェニル グリシジル エーテル,ノニル フェニル グリシジル エーテル,フェニル グリシジル エーテル,シクロヘキサンジメタノール ジグリシジル エーテル,ポリプロピレン グリコール ジグリシジル
エーテル,ポリグリコール ジグリシジル エーテル,ジブロモ ネオペンチル グリコール ジグリシジル エーテル、トリメチロプロパン トリグリシジル エーテル,ヒマシ油トリグリシジル エーテル,プロポキシル化グリセリン トリグリシジル エーテル,ソルビトール ポリグリシジル エーテル,ネオデカン酸のグリシジル エステル;およびグリシジル アミン、例えばエポキシド化メタ―キシレンジアミンを含む。
【0071】
少なくとも1つのビニル エーテル基を含むモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの例には、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]1,6−ヘキサンジイルビスカルバメート,ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート,ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ−4,1−フェニレン)−ビスカルバメート,ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]スクシネート,ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレート,2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート,ビス[4−(ビニルオキシメチ
ル)シクロヘキシルメチル]グルタレート,1,4−ブタンジオール ジビニル エーテル,1,4−ブタンジオール ビニル エーテル,ブチル ビニル エーテル,tert−ブチル ビニル エーテル,2−クロロエチル ビニル エーテル,1,4−シクロヘキサンジメタノール ジビニル エーテル,1,4−シクロヘキサンジメタノール ビニル エーテル,シクロヘキシル ビニル エーテル,ジ(エチレン グリコール)ジビニル エーテル,ジ(エチレン グリコール)ビニル エーテル,トリメチロールプロパン
トリビニル エーテル,ジエチル ビニル オルトホルメート,ドデシル ビニル エーテル,エチレン グリコール ビニル エーテル,トリエチレングリコール ジビニル
エーテル,2−エチルヘキシル ビニル エーテル,エチル−1−プロペニル エーテル,エチル ビニル エーテル,イソブチル ビニル エーテル,フェニル ビニル エーテル,プロピル ビニル エーテル,トリス[4−(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテートを含む。
【0072】
少なくとも1つのオキセタン基を含むモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの例には、3,3’−オキシビス(メチレン)ビス(3−エチルオキセタン),1,4−ビス(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)ベンゼン,3−エチル−3−[(フェニルメトキシ)メチル]−オキセタン,3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)25メチル]オキセタンおよびビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルを含む。
【0073】
好適なカチオン性重合性化合物は、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート,ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル,ポリ[(2−オキシラニル)−1,2−シクロヘキサンジオール]−2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール エーテル,2−(2)ビニルオキシエトキシ−エチル アクリレート、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール ジビニル エーテル,トリメチロール−プロパン トリビニル エーテル,トリエチレングリコール ジビニル エーテル,3−エチル−3−[(フェニルメトキシ)メチル]−オキセタンおよびビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル エーテルからなる群から選択される。
【0074】
別の好適な態様では、放射線硬化型インキジェットインキは、ビニル エーテル基およびアクリレートまたはメタクリレート基を含むモノマーを含んでなる。そのようなモノマーは、欧州特許出願公開第2848659(A)号明細書の段落[0099]から[0104])に開示されている。ビニルエーテル基およびアクリレート基を含む特に好適なモノマーは、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル アクリレートである。
【0075】
特に好適な態様では、インキジェットインキは前記のビニル エーテル基およびアクリレートまたはメタクリレート基を含むモノマーおよび前記の脂環式エポキシ化合物の組み合わせを含んでなる。
【0076】
フリーラジカル重合性化合物
インキジェットインキはラジカル重合性化合物を含むことができる。これらはモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーであることができる。モノマーはまた、希釈剤とも呼ばれる。
【0077】
これらのモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーは、異なる程度の官能性を有することができる。一官能性、二官能性、三官能性およびそれより高い官能性モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーの組み合わせを含む混合物を使用することができる。放射線硬化型インキジェットインキの粘度は、モノマーとオリゴマーとの間の比率を変動させることにより調整することができる。
【0078】
好適な態様では、モノマー、オリゴマーまたはポリマーは、重合性基として少なくとも1個のアクリレート基を含む。
【0079】
好適なモノマーおよびオリゴマーは、欧州特許出願公開第1911814号明細書中の段落[0106]から[0115]に挙げられるものである。
【0080】
前記ラジカル重合性アクリレートまたはメタクリレート化合物とカチオン性重合性化合物と合わせることは、そのような組み合わせを含んでなる硬化したインキジェットインキの特性、例えばはんだ耐性(solder resistance)の改善をもたらし得ることが観察された。
【0081】
特に良好な結果は、放射線重合性インキジェットインキがトリシクロデカン ジメタノール ジアクリレートおよびカチオン性重合性化合物、例えば2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル アクリレート,ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルまたは3−エチル−3−[(フェニルメトキシ)メチル]−オキセタンを含んでなる場合に得られた。
【0082】
重合阻害剤
放射線硬化型インキジェットインキは、インキの耐熱性を改善するために好ましくは少なくとも1つの阻害剤を含む。
【0083】
適切な重合阻害剤は、フェノール型酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定化剤、リン型酸化防止剤、通常は(メタ)クリレートモノマーに使用されるハイドロキノンモノメチル
エーテル、およびハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2,6−ジ−tert ブチル―4−メチルフェノール(=BHT)およびフェノチアジンも使用することができる。
【0084】
適切な市販の阻害剤は、例えばSumitomo Chemical Co.Ltd.により生産されているSumilizer(商標)GA−80、Sumilizer(商標)GMおよびSumilizer(商標)GS;Rahn AGからのGenorad(商標)16、Genorad(商標)18およびGenorad(商標)22;Ciba Specialty ChemicalsからのIrgastab(商標)UV10およびIrgastab(商標)UV22、Tinuvin(商標)460およびCGS20;Kromachem LtdからのFloorstab(商標)UV範囲(UV−1、UV−2、UV−5およびUV−8);Cytec Solvay GroupからのAdditol(商標)S範囲(S100、S110、S120およびS130)およびPTZである。
【0085】
好適な阻害剤はGenorad(商標)16またはGenorad(商標)22であり、Genorad(商標)22が特に好適である。
【0086】
阻害剤は好ましくは重合阻害剤である。
【0087】
これら重合阻害剤の過剰な添加は硬化速度を下げるので、重合を防止することができる量をブレンド前に決定することが好ましい。重合阻害剤の量は、放射線硬化型インキジェットインキの総重量に基づき5重量%未満が好ましく、より好ましくは3重量%未満である。
【0088】
難燃剤
放射線硬化型インキジェットインキは難燃剤を含んでなることができる。原理的に得られるソルダーマスクの物理特性に悪い影響を及ぼさない限り、任意の難燃剤を使用できる。
【0089】
放射線硬化型インキジェットインキは、好ましくは式Iによる難燃剤を含んでなる:
【化3】
式中、
1は置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルカリール基、置換または非置換アラルキル基および置換または非置換アリール基からなる群から独立して選択され;
2はOR4、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルカリール基、置換または非置換アラルキル基および置換または非置換アリール基からなる群から選択され;
3はOR5、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルカリール基、置換または非置換アラルキル基および置換または非置換アリール基からなる群から選択され;
4およびR5は置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルカリール基、置換または非置換アラルキル基および置換または非置換アリール基からなる群から選択され;
ただしR1からR5の少なくとも1つは、置換または非置換アリール基を表す。
【0090】
好適な態様では、R1からR5の少なくとも2つが置換または非置換アリール基により表される。
【0091】
最も好適な態様では、R1からR5は置換または非置換アリール基を表す。
【0092】
本発明による難燃剤は、ホスフェートまたはホスホネートからなる群から選択される2以上の官能基を含んでなることができる。
【0093】
好適な態様では難燃剤の分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは1500以下、そして最も好ましくは1000以下である。
【0094】
特に好適な態様では、本発明の難燃剤はハロゲンを含まない。
【0095】
最も好適な態様では、本発明の難燃剤はヘテロ原子によりさらに置換されない。
【0096】
本発明による別の特に好適な難燃剤は、式IIの化学構造を有する:
【化4】
式中
R6からR9は、置換または非置換アリール基を独立して表し、そしてLは芳香族炭素原子を介してホスフェート基に結合した二価の連結基を表す。
【0097】
好ましくは式IIの難燃剤は、ビスフェノールA,ビスフェノールAP,ビスフェノールB,ビスフェノールBP,ビスフェノールC,ビスフェノールE,ビスフェノールF,ビスフェノールG,ビスフェノールM,ビスフェノールS,ビスフェノールP,ビスフェノールPH,ビスフェノールTMC,ビスフェノールZおよびレゾルシノールからなる群から選択される二官能性フェノール化合物ジホスフェートエステルである。
【0098】
R6からR9は、好ましくはフェニル基を表す。
【0099】
本発明による難燃剤を表2に与えるがそれらに限定するものではない。
【表2-1】
【表2-2】
【0100】
放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキ中の難燃剤の量は、インキジェットインキの総重量に対して好ましくは0.25重量%から20重量%の間、より好ましくは1重量%から15重量%の間、最も好ましくは1重量%から10重量%の間である。
【0101】
前記の難燃剤に加えて、放射線硬化型インキジェットは、他の難燃剤を含んでなることができる。
【0102】
着色剤
ソルダーマスクインキジェットインキは実質的に無色のインキジェットインキであるが、好ましくは放射線硬化型インキジェットは少なくとも1種の着色剤を含む。
【0103】
ソルダーマスクインキジェットインキの着色剤は顔料または染料でよいが、好ましく顔料である。
【0104】
着色顔料はHERBST,Willy et al.著,Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications,第3版.Wiley−VCH,2004.ISBN 3527305769により開示されているものから選ぶことができる。
【0105】
適切な顔料は、国際公開第2008/074548号パンフレットの段落[0128]
から[0138]に開示されている。
【0106】
インキジェットインキ中の顔料粒子は、インキジェット印刷装置を通過する、特に吐出ノズルでのインキの自由な流れを可能にするのに十分に小さくなければならない。また最大色濃度のため、ならびに沈降を遅らせるためにも小さい粒子を用いることが望ましい。最も好ましくは平均顔料粒度(average pigment particle size)は150nm以下である。顔料粒子の平均粒度は、好ましくは動的光散乱法の原理に基づきBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusで測定される。
【0107】
PCBでは、ソルダーマスクは一般に青色または緑色の着色を有する。青色顔料は好ましくはフタロシアニン系の1種である。青色顔料の例は、C.I.Pigment Blue 1,15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、24および60である。
【0108】
緑色顔料は一般に青色と黄色またはオレンジ色顔料との混合物であるか、あるいはハロゲン化フタロシアニン、例えば銅またはニッケル臭素化フタロシアニンのような緑色顔料自体でよい。
【0109】
好適な態様では、着色剤は放射線硬化型インキジェットインキの総重量に基づき0.2重量%〜6.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜2.5重量%の量で存在する。
【0110】
高分子分散剤
放射線硬化型インキジェット中の着色剤が顔料ならば、放射線硬化型インキジェットインキは顔料を分散するために好ましくは分散剤を含み、より好ましくは高分子分散剤を含む。
【0111】
適切な高分子分散剤は2つのモノマーのコポリマーであるが、3,4,5またはさらにそれ以上のモノマーを含むことができる。高分子分散剤の特性は、モノマーの性質およびそれらのポリマー中での分布の双方に依存する。コポリマー分散剤は好ましくは以下のポリマー組成を有する:
―統計的に重合されたモノマー(例えばモノマーAおよびBがABBAABABに重合);
―交互重合化モノマー(例えばモノマーAおよびBがABABABABに重合);
―グラジエント(テーパー型)重合化モノマー(例えばモノマーAおよびBがAAABAABBABBBに重合);
―ブロックコポリマー(例えばモノマーAおよびBがAAAAABBBBBBに重合)、ここで各ブロックのブロック長(2,3,4,5またはそれ以上)が高分子分散剤の分散能に重要となる;
―グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは、重合骨格と骨格に付いた重合側鎖からなる);および
―これらポリマーの混合形、例えばブロックグラジエントコポリマー。
【0112】
適切な高分子分散剤は、欧州特許出願公開第1911814号明細書の「分散剤」、より詳細には[0064]から[0070]および[0074]から[0077]に列挙されている。
【0113】
市販の高分子分散剤の例は以下の通りである:
・BYK CHEMIE GMBHから入手可能なDISPERBYK(商標)分散剤;・NOVEONから入手可能なSOLSPERSE(商標)分散剤;
・EVONIKからのTEGO(商標)DISPERS(商標)分散剤;
・MUENZING CHEMIEからのEDAPLAN(商標)分散剤;
・LYONDELLからのETHACRYL(商標)分散剤;
・ISPからのGANEX(商標)分散剤;
・CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEX(商標)およびEFKA(商標)分散剤;
・DEUCHEMからのDISPONER(商標)分散剤;および
・JOHNSON POLYMERからのJONCRYL(商標)分散剤。
【0114】
界面活性剤
放射線硬化型インキジェットは少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。
【0115】
界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性または両イオン性であることができ、そして通常、放射線硬化型インキジェットインキの総重量に基づき1重量%未満の総量で加えられる。
【0116】
適切な界面活性剤は、フッ素化界面活性剤、脂肪酸塩、高級アルコールのエステル塩、高級アルコールのアルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩およびリン酸エステル塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、およびそれらのアセチレングリコールおよびエチレンオキシド付加物(例えばポリオキシエチレン ノニルフェニル エーテル、およびAIR PRODUCTS & CHEMICALS INC.から入手可能なSURFYNOL(商標)104、104H、440,465およびTG)を含む。
【0117】
好適な界面活性剤は、フッ素系界面活性剤(例えばフッ素化炭化水素)、およびシリコーン界面活性剤から選択される。シリコーン界面活性剤は好ましくはシロキサンであり、そしてアルコキシル化、ポリエーテル修飾化、ポリエーテル修飾化ヒドロキシ官能性、アミン修飾化、エポキシ修飾化されることができ、および他の修飾またはそれらの組み合わせであることができる。好適なシロキサンはポリマー性、例えばポリジメチルシロキサンである。
【0118】
好適な市販のシリコーン界面活性剤には、BYK ChemieからのBYK(商標)333およびBYK(商標)UV3510およびEvonik IndustriesからのTego Rad 2100を含む。
【0119】
好適な態様では、界面活性剤は重合性化合物である。
【0120】
好適な重合性シリコーン界面活性剤には(メタ)クリレート化シリコーン界面活性剤を含む。最も好ましくは(メタ)クリレート化シリコーン界面活性剤はアクリル化シリコーン界面活性剤であり、なぜならばアクリレートはメタクリレートより反応性が大きいからである。
【0121】
好適な態様では、(メタ)クリレート化シリコーン界面活性剤は、ポリエ−テル修飾化(メタ)クリレート化ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル修飾化(メタ)クリレート化ポリジメチルシロキサンである。
【0122】
好ましくは界面活性剤は、放射線硬化型インキジェットインキの総重量に基づき0から3重量%の量で放射線硬化型インキジェットインキ中に存在する。
【0123】
インキジェットインキの調製
顔料を含む(pigmented)放射線硬化型インキジェットインキの調製は、当業者には周知である。好適な調製法は国際公開第2011/069943号パンフレットの段落[0076]から[0085]に開示されている。
【0124】
インキジェット印刷装置
放射線硬化型インキジェットインキは、インキの小液滴を制御された様式でノズルに通して基板に吐出する1もしくは複数のプリントヘッドにより噴射されることができ、この基板はプリントヘッド(1もしくは複数)に対して移動している。
【0125】
インキジェット印刷システムのための好ましいプリントヘッドは圧電ヘッドである。圧電インキジェット印刷は、圧電セラミック変換器に電圧がかけられる時のその動きに基づく。電圧の適用は、プリントヘッド中の圧電セラミック変換器の形を変化させて空隙を作り、次いでそれはインキで満たされる。再び電圧が取り除かれると、セラミックはその最初の形に膨張し、プリントヘッドからインキ滴を吐出する。しかしながら、本発明に従うインキジェット印刷方法は圧電インキジェット印刷に制限されない。他のインキジェットプリントヘッドも使用でき、そして連続型のような種々のタイプを含む。
【0126】
インキジェットプリントヘッドは通常、移動するインキ受容層表面を横切って横方向に前後を走査する。インキジェットプリントヘッドは戻って印刷しないことが多い。二方向印刷は高い面積処理量を得るために好ましい。別の好適な印刷法は「シングルパス印刷法(single pass printing process)」により、この方法は頁幅のインキジェットプリントヘッドまたはインキ受容層表面の幅全体を覆う多数のずらして配置されたインキジェットプリントヘッドを使用することにより行うことができる。シングルパス印刷法では、インキジェットプリントヘッドは、通常は静止したままであり、そしてインキ受容層表面がインキジェットプリントヘッド下を移送される。
【0127】
硬化装置
放射線硬化型組インキジェットインキは、それらを化学線、例えば電子線または紫外線照射に暴露することにより硬化され得る。好ましくは放射線硬化型インキジェットインキは、紫外線照射により、より好ましくはUV LED硬化を使用して硬化される。
【0128】
インキジェット印刷では、硬化手段は、噴射の直後に硬化性液体が硬化放射線に暴露されるように、一緒に移動しているインキジェットプリンターのプリントヘッドと組み合わせて配置されることができる。
【0129】
そのような配置では、UV LEDを除いて、プリントヘッドに接続され、そして一緒に移動する十分に小さい放射線源を備えることは難しい。したがって静止した固定放射線源、例えば、光ファイバーの束または内部反射性の柔軟な管のような、可撓性の放射線伝導手段により放射線源に接続された硬化UV−光線源を使用することになる。
【0130】
あるいはまた、化学線は放射線ヘッド上に鏡を含む鏡の配置により、固定源から放射線ヘッドに供給されることができる。
【0131】
放射線源はまた、硬化される基板上を横切って横に延伸する細長い放射線源でもよい。それは、プリントヘッドにより形成される画像のその次の列が、段階的にまたは連続的にその放射線源の下方を通過するように、プリントヘッドの横断路に隣接することができる。
【0132】
発光の一部が光開始剤または光開始系により吸収可能である限り、高圧もしくは低圧水銀ランプ、冷陰極管、不可視光線、紫外線LED、紫外線レーザーおよび閃光のような任意の紫外線源が放射線源として使用され得る。これらの中で好適な線源は、300から400nmの主要波長を有する比較的波長の長いUV貢献(UV−contribution)を示すものである。具体的にはUV−A光源は、光線の散乱が低いためにより効率的な内部の硬化をもたらすので好ましい。
【0133】
UV照射は一般に以下のようにUV−A、UV−BおよびUV−Cに分類される:
・UV−A:400nmから320nm、
・UV−B:320nmから290nm、
・UV−C:290nmから100nm。
【0134】
好適な態様では、放射線硬化型インキジェットインキはUV LEDにより硬化される。インキジェット印刷装置は、好ましくは360nmより長い波長をもつ1もしくは複数のUV LED、好ましくは380nmより長い波長を持つ1もしくは複数のUV LED、そして最も好適には約395nmの波長をもつUV LEDを含む。
【0135】
さらに異なる波長または照度(illuminance)の2つの光源を連続的にまたは同時に使用してインキ画像を硬化することが可能である。例えば、第1のUV源はとりわけ260nmから200nmの範囲のUV−Cが豊富となるように選択されることができる。次に第2のUV−源は、UV−Aが豊富な、例えば、ガリウムドープランプ、またはUV−AとUV−Bの両方が高い異なるランプであることができる。2種のUV−源の使用は、例えば急速な硬化速度および高い硬化度のような利点を有することが分かった。
【0136】
硬化を促進するために、インキジェット印刷装置はしばしば、1もしくは複数の酸素除去(depletion)ユニットを含む。酸素除去ユニットは、硬化環境内の酸素濃度を低下させるために、調整可能な位置に、および調整可能な不活性ガス濃度で窒素または他の比較的不活性なガス(例えば、CO2)のブランケットを配置する。残留酸素レベルは通常、わずか200ppmに維持されるが、一般には200ppmから1200ppmの範囲である。
【実施例】
【0137】
材料
以下の実施例中に使用されるすべての材料は、別記されない限り、ALDRICH
CHEMICAL Co.(ベルギー)およびACROS(ベルギー)のような標準的な入手先から容易に入手可能であった。使用された水は脱イオン水であった。
【0138】
2005は、IGM樹脂から入手可能な7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ―3−イルメチル―7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレートである。
【0139】
S−140は、LAMBSON SPECIALTY CHEMICALSから入手可能な3−エチル−3−[(フェニルメトキシ)メチル]−オキセタンである。
【0140】
CHDVEは、Sigma−Aldrichから入手可能な1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルである。
【0141】
221は、Toa Gosei Co.LtdからARON OXETANE OXT−221として入手可能なビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルである。
【0142】
BL550は、10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−10−イウム ヘキサフルオロホスフェート(20重量%)、プロピレンカーボネート(25重量%)および7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル 7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(55重量%)を含んでなる液体光開始剤ブレンドであり、IGM樹脂からOmnicat BL550として入手可能である。
【0143】
ITXは、LAMBSON SPECIALTY CHEMICALSからのSpeedcure(商標)ITXであり、イソプロピル チオキサントン異性体の混合物である。
【0144】
TTA3150 solは、VEEA中のTTA3150の50重量%溶液である。
【0145】
TTA3150は、Jiangsu Tetrachemから入手可能なポリ[(2−オキシラニル)−1,2−シクロヘキサンジオール]−2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール エーテルである。
【0146】
VEEAは、日本のNIPPON SHOKUBAIから入手可能な2−(ビニルエトキシ)エチル アクリレートである。
【0147】
DETXは、Nippon Kayakuからのジエチル チオキサントンである。
【0148】
938solは、Speedcure938の2005/プロピレンカーボネート中の20%溶液である。
【0149】
938_50solは、Speedcure938のプロピレンカーボネート中の50%溶液である。
【0150】
Speedcure938は、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートであり、LAMBSON SPECIALTY CHEMICALSから入手可能なカチオン性光開始剤である。
【0151】
Speedcure902Dは、グリシジルエーテル反応性希釈剤中のトリアリールスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート塩の混合物の40%溶液であり、LAMBSON SPECIALTY CHEMICALSから入手可能なカチオン性光開始剤である。
【0152】
Speedcure976は、プロピレンカーボネート中のトリアリールスルホニウム
ヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物の50%溶液であり、LAMBSON SPECIALTY CHEMICALSから入手可能なカチオン性光開始剤である。
【0153】
992solは、Speedcure992の2005/プロピレンカーボネート中の20%溶液である。
【0154】
Speedcure992は、プロピレンカーボネート中のトリアリールスルホニウム
ヘキサフルオロホスフェート塩の混合物の40%溶液であり、LAMBSON SPECIALTY CHEMICALSから入手可能なカチオン性光開始剤である。
【0155】
G16は、Rahn AGから入手可能なGenorad(商標)16である。
【0156】
T2100solは、VEEA中のT2100の5重量%溶液である。
【0157】
T2100は、Evonik IndustriesからTego(商標)Rad 2100として入手可能なポリシロキサン アクリレートスリップ剤である。
【0158】
INHIBは、表3に従う組成を有する重合阻害剤を形成する混合物である。
【表3】
【0159】
Cupferron(商標)ALは、WAKO CHEMICALS LTDからのアルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンである。
【0160】
Ebecryl 1360 AKは、ALLNEXからのポリシロキサン ヘキサアクリレートスリップ剤である。
【0161】
DPGDAは、ジプロピレンジアクリレートであり、ARKEMAからSartomer SR508として入手可能である。
【0162】
833Sは、トリシクロデカン ジメタノール ジアクリレートであり、SartomerからSartomer833Sとして入手可能である。
【0163】
Cyanは、SUN CHEMICALSから入手可能なシアン顔料、SUN
FAST BLUE15:4である。
【0164】
Yellowは、BASFからの黄色顔料のCROMOPHTAL YELLOW D
1085Jである。
【0165】
Disperbyk 162は、分散剤であり、BYK(ALTANA)から入手可能な溶液から沈殿された。
【0166】
方法
ソルダーマスクインキジェットインキのコーティング/プリント
ソルダーマスクインキジェットインキのUV硬化、接着性、溶剤およびはんだ耐性を評価するために、インキを25μの塗り厚で、ブラッシ済み(brushed)銅フォイル(35μ)上に塗布し、そしてUV硬化した。さらにコーティングを150℃で60分間熱硬化した。
【0167】
塗布したインキジェットインキは、UV硬化後に硬化速度/硬化効率について、そして熱硬化後に接着性および溶剤耐性のような最終的特性について評価した。
【0168】
ソルダーマスクインキジェットインキの硬化効率
塗布したインキジェットインキは、硬化速度について視覚および接触により評価し、そして1(大変乾燥)から5(湿潤)の点数を与えた。
【0169】
X−ハッチ接着(X−hatch adhesion)
X−ハッチ接着は、ソルダーマスクコーティング中の4×4グリッドパターンをメスを使用して切断することにより測定した。グリッドの断片は、1mm離して切断した。グリッドを切断した後、接着は粘着テープ(Scotch 600)を表面に適用し、そして剥がすことにより評価した。
【0170】
視覚評価は、1(大変良好な接着)から5(大変劣る接着)の範囲の接着品質を生じた。
【0171】
はんだ耐性の評価
ソルダーマスクインキジェットインキのはんだ耐性を、SOLDER CONNECTIONから入手可能な、“K”等級の63:37錫/鉛のはんだを充填したL&M PRODUCTSから入手可能なSPL600240 Digital Dynamic Soldr Pot(デジタルダイナミックはんだ付け槽)を使用して評価した。はんだの温度は260℃に設定した。
【0172】
SOLDER CONNECTIONからのはんだ接着用溶剤(solder flux)SC7560Aを、サンプルの表面(すなわち、銅表面上のソルダーマスクインキジェットインキのコーティング)上に綿球を使用して適用して、ここでX−ハッチ接着試験を行い表面を清浄化した。はんだ接着用溶剤ははんだ付け槽の上に、サンプルを1分間置くことにより乾燥させた。
【0173】
はんだの噴流(wave)を発生させ(created)、そしてサンプルを噴流上に4回通し(5秒/1回)、その後サンプルをすすぎ、そして室温に冷却した。
【0174】
次にソルダーマスクインキジェットインキの銅表面への接着は、前記X−ハッチ接着法で評価した。
【0175】
粘度
インキの粘度は、Spindle#18を100rpmの速度でBrookfield
DV−II+Pro粘度計を使用して25℃で測定した。
【0176】
工業的インキジェット印刷に関して、25℃でSpindle#18を使用した100rpmでの粘度は、好ましくは3から40mPa.sである。より好ましくは、45℃および1000s-1の剪断速度での粘度は15mPa.s未満である。
【0177】
貯蔵安定性
貯蔵安定性は、60℃で7日および28日貯蔵した後に、ソルダーマスクの25℃での粘度の上昇を測定することにより評価した。
【0178】
シアンおよびイエロー顔料分散物CPDおよびYPDの調製
表5による組成を有する濃縮シアンおよびイエローおよび顔料分散物(それぞれCPDおよびYPD)を調製した。
【表4】
【0179】
CPDおよびYPDは、以下のように調製した:138gの2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル アクリレート、2gの溶液[ジプロピレン グリコール ジアクリレート中に4重量%の4−メトキシフェノール、10重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールおよび3.6重量%のアルミニウム−N−ニトロソ フェニルヒドロキシル アミンを含む]、200gの溶液[2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル アクリレート中に30重量%のDisperbyk 162を含む]、および60gのシアン(CPDに)または60gのイエロー(YPDに)を、DISPERLUX(商標)分散機を使用して混合した。撹拌を30分、続行した。容器は、900gの0.4mmイットリウム安定化ジルコニウムビーズ(TOSOH Coからの「高い耐摩耗性ジルコニア粉砕媒体」)を充填したNETZSCH MiniZetaミルにつないだ。混合物をミルで120分間、循環し(45分の滞留時間)、そしてミルの回転速度は約10.4m/sであった。完全な粉砕工程中、ミル中の着色剤は60℃未満の温度に維持された。粉砕後、分散物を容器に入れた。
【0180】
得られた濃縮顔料分散物CPDおよびYPDは、Malvern(商標)ナノ−Sで測定した時、それぞれ80nmおよび131nmの平均粒度を、そして25℃および10s-1の剪断速度でそれぞれ51mPa.sおよび114mPa.sの粘度を現わした。
【実施例1】
【0181】
この実施例は光開始剤の種類が、それを含むインキジェットインキの安定性および硬化効率に及ぼす影響について具体的に説明する。
【0182】
放射線硬化型インキCOMP−01からCOMP−04およびINV−01の調製
放射線硬化型インキCOMP−01からCOMP−04およびINV−01は、表6に従い調製した。
【表5】
【0183】
インキジェットインキの硬化効率は、前記のように試験した。硬化はPhoseon FireEdge FE300 395nm LED源を使用して行い500mJ/cm2を与え、ILT390放射計を使用して測定した。
【0184】
結果を表7に示す。
【表6】
【0185】
表7の結果から、本発明によるヨードニウム塩およびホスホニウム塩を含んでなる放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキ(COMP−04およびINV−01)は、光開始剤としてトリアリールスルホニウム塩を有するもの(COMP−01からCOMP−03)よりも大変良好な硬化効率を有することが明らかである。
【0186】
インキジェットインキの安定性は、4および7日後の(60℃での)インクの粘度上昇(Δvisc)を測定することにより評価した。結果を表8に示す。
【表7】
【0187】
表8の結果から、スルホニウム塩を光開始剤として含んでなる放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキ(COMP−01からCOMP−03、およびINV−01)は、光開始剤としてヨードニウム塩を含有するもの(COMP−04)より大変良好な安定性を有することが明らかである。
【0188】
前記の結果から、一方では光開始剤としてヨードニウム塩を含んでなる放射線硬化型インキジェットインキが良好な硬化効率を有するが、インキ安定性が悪いと結論付けることができる。他方では、周知のトリアリールスルホニウム塩を含んでなる放射線硬化型インキジェットインキが良好なインキの安定性を有するが、硬化効率は不十分である。式1のスルホニウム化合物を含んでなる本発明の放射線硬化型インキジェットインキのみが、良好な硬化効率とインキの安定性の両方を特徴とする。
【実施例2】
【0189】
この実施例は、カチオン性インキジェットインキの硬化効率に及ぼすカチオン性およびラジカル光開始剤を使用することの相乗効果を具体的に説明する。
【0190】
放射線硬化型インキCOMP−05からCOMP−08およびINV−02およびINV−03の調製
比較の放射線硬化型インキCOMP−05からCOMP−08および本発明の放射線硬化型インキジェットインキINV−02およびINV−03は、表9に従い調製した。
【表8】
【0191】
インキジェットインキの硬化効率を前記のように試験した。硬化はUV Process Incからの395nm LED源を用いて行った。
【0192】
結果を表10に示す。
【表9】
【0193】
表10の結果から、カチオン性およびラジカル光開始剤の両方を含んでなる本発明の放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキは、カチオン性光開始剤のみ、またはフリーラジカル光開始剤のみを含有する配合物よりも良い硬化効率を有することが明らかで
ある。
【実施例3】
【0194】
この実施例は、カチオン性およびラジカル光開始剤の組み合わせを含んでなるインキジェットインキの安定性における改善を具体的に説明する。
【0195】
放射線硬化型インキCOMP−09およびCOMP−10およびINV−04およびINV−05の調製
比較の放射線硬化型インキCOMP−09からCOMP−11および本発明の放射線硬化型インキジェットインキINV−04およびINV−05は、表11に従い調製した。
【表10】
【0196】
インキの安定性は、7日および28日後に(60℃で)でインクの粘度上昇(Δvisc)を測定することにより評価した。結果を表12に示す。
【表11】
【0197】
表12の結果から、カチオン性およびラジカル光開始剤の両方を含んでなる本発明の放射線硬化型ソルダーマスクインキジェットインキは、良好な安定性を有することが明らかである。
【国際調査報告】