(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-507755(P2021-507755A)
(43)【公表日】2021年2月25日
(54)【発明の名称】腹壁腔内にインプラントを挿入するように構成されたシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20210129BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20210129BHJP
A61N 1/378 20060101ALI20210129BHJP
【FI】
A61N1/372
A61N1/36
A61N1/378
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-534306(P2020-534306)
(86)(22)【出願日】2018年12月21日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月13日
(86)【国際出願番号】GB2018053767
(87)【国際公開番号】WO2019122934
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】62/609,230
(32)【優先日】2017年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】517155196
【氏名又は名称】ガルバニ バイオエレクトロニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハインドマーシュ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ11
4C053KK10
(57)【要約】
埋め込みシステムおよびインプラントを挿入する方法が開示される。該方法は、腹腔内に配置された器具を用いて腹壁に切開部を作製するステップを含む。該方法は、腹壁の第1の面と腹壁の第2の面との間にポケットを形成し該切開部が該ポケット内への開口部を画定するようにするステップ、該開口部を通じて、該ポケット内へと該インプラントを挿入するステップ、および該インプラントが該ポケット内に捕捉されるように、該開口部を閉鎖するステップをさらに含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔内に配置された器具を用いて腹壁に切開部を作製するステップ;
腹壁の第1の面と腹壁の第2の面との間にポケットを形成し、該切開部が該ポケットへの開口部を画定するようにするステップ;
該開口部を通じて、該ポケット内へとインプラントを挿入するステップ;および
該ポケット内に該インプラントが捕捉されるように、該開口部を閉鎖するステップ
を含む、インプラントを挿入する方法。
【請求項2】
腹腔が鎌状靭帯を含み、前記切開部を作製するステップが、鎌状靭帯が腹壁に結合する領域に前記切開部を作製するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
腹壁が前部を含み、かつ前記領域が、腹壁の該前部に鎌状靭帯が結合する部位を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポケットを形成するステップが、腹壁の前記第1の面に対して腹壁の前記第2の面を移動させるステップを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポケットを形成するステップが、該ポケット内の前記第1の面と前記第2の面との間に位置する組織を移動させるステップを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポケットを形成するステップが、該ポケットから、前記第1の面と前記第2の面との間に位置する組織を除去するステップを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記インプラントを固定するステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記インプラントを固定するステップが、該第1の面および該第2の面のうちの少なくとも一方に対して該インプラントを縫合するか、鋲留めするか、接着するか、凝固させるか、またはそれらのいずれかの組み合わせを行うステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アタッチメント機構に対して前記インプラントを固定するステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記アタッチメント機構が、内部空間および該内部空間への通路を提供するように構成された開口部を画定する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記開口部を通じて、前記内部空間へと前記インプラントを移動させるステップ;および
該開口部を通じて該インプラントが該内部空間から出ることを防止するように、該開口部のサイズを減少させるステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記アタッチメント機構を固定するステップをさらに含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記アタッチメント機構を固定するステップが、該第1の面および該第2の面のうちの少なくとも一方に対して該アタッチメント機構を縫合するか、鋲留めするか、接着するか、またはそれらのいずれかの組み合わせを行うステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生物学的構造に電極を取り付けるステップ;および該電極に前記インプラントの電源を接続するステップ
をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記接続ステップが、前記電源および前記電極の両方に電気ケーブルを電気的に連結するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記閉鎖ステップが、前記電気ケーブルが前記ポケットから出るための経路を画定するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電源から遠隔にある電力供給源から該電源に電力を伝送するステップをさらに含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記伝送ステップが、腹壁の皮膚、および任意により、皮下組織、腹直筋鞘前葉、腹直筋、腹直筋鞘後葉、および、鎌状靭帯の腹膜面と、腹直筋鞘後葉と、斜紋筋層の腱膜と、腹横筋との間に位置する組織のうちの1種、一部または全部が、前記電力供給源と前記電源との間にあるように位置付けられた該電力供給源から、該電源へと電力を伝送することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
インプラント;および
該インプラントを受け入れるように構成された内部空間を画定するアタッチメント機構であって、該アタッチメント機構が該内部空間への通路を提供するように構成される開口部をさらに画定し、該開口部は、該インプラントが該内部空間内に配置されている場合に、該インプラントが該開口部を通じて該内部空間から出ることを防止するように閉鎖されるようにさらに構成されている、上記アタッチメント機構
を含む、腹壁により画定されるポケット内へと挿入されるように構成された埋め込みシステムであって、
該アタッチメント機構が、該ポケットを画定する腹壁の面へと固定されるように構成される、上記埋め込みシステム。
【請求項20】
前記インプラントが電源を含む、請求項19に記載の埋め込みシステム。
【請求項21】
電極および電気ケーブルをさらに含み、該電気ケーブルが、該電極へと前記電源から電力を送達するように構成される、請求項20に記載の埋め込みシステム。
【請求項22】
前記アタッチメント機構が、前記インプラントが前記開口部を通じて前記内部空間から出ることを防止しながら、該内部空間から前記電気ケーブルが出るための経路を提供するようにさらに構成される、請求項21に記載の埋め込みシステム。
【請求項23】
前記アタッチメント機構がメッシュ体を含む、請求項19〜22のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【請求項24】
前記インプラントがアンテナを含み、かつ該アンテナが、該インプラントからは遠隔にある受信機へとデータを送信するように構成される、請求項19〜23のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【請求項25】
前記アンテナが、前記インプラントからは遠隔にある受信機からデータを受信するように構成される、請求項24に記載の埋め込みシステム。
【請求項26】
前記インプラントがアンテナを含み、かつ該アンテナが、該インプラントからは遠隔にある受信機からデータを受信するように構成される、請求項19〜23のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【請求項27】
前記インプラントが、電力を受け取るためのアンテナを含み、かつ該アンテナが、該インプラントを再充電するために、該インプラントからは遠隔にある電力供給源から電力を受け取るように構成される、請求項19〜26のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【請求項28】
前記インプラントが、腹腔鏡下に、ロボット制御により、または開腹手術を介して挿入されるように構成される、請求項19〜27のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【請求項29】
前記アタッチメント機構が、少なくとも1個の縫合タブを含み、各縫合タブが、好ましくは、それを通った縫合糸を受け止めるための少なくとも1箇所の縫合穴を含む、請求項19〜28のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【請求項30】
4個の縫合タブおよび/または4箇所の縫合穴をさらに含む、請求項29に記載の埋め込みシステム。
【請求項31】
各縫合タブが、前記インプラントの本体を越えて延伸し、かつ/または該インプラントの先端もしくは外周縁に配置される、請求項29または30に記載の埋め込みシステム。
【請求項32】
前記インプラントの先端または外周縁の周囲に等間隔に配置される複数の縫合タブを含む、請求項29〜31のいずれか1項に記載の埋め込みシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インプラントを含むシステム、インプラントを挿入するように構成された1種以上の器具、および体腔内の空洞中へとインプラントを挿入する方法の実施形態に関する。より具体的には、本開示は、インプラント、インプラントを挿入するように構成された1種以上の器具、および腹壁内のポケットへとインプラントを挿入する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
患者の体内の治療標的へと刺激を送達する医療機器が存在する。例えば、心臓の1箇所以上の領域へと刺激を送達するペースメーカーなどのインプラントである。多くの場合、これらの医療機器は、機能するための電力を電源から取っている。一部の公知のインプラントは、患者の体内に皮下的に埋め込まれる。
【0003】
米国特許第7,559,900号は、筐体を含む医療機器を対象とする。その筐体は、患者の胸郭の外側に皮下的に埋め込まれる。
【0004】
米国特許第8,838,234号は、皮下除細動器を埋め込むための方法を開示する。該方法は、患者の皮膚を通して胸部に切開部を作製するステップ、皮下的経路を作製するステップ、および該皮下的経路への切開部を通して機器を移動させるステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,559,900号明細書
【特許文献2】米国特許第8,838,234号明細書
【発明の概要】
【0006】
上記の例は、皮膚を貫通することにより患者身体の内部組織にアクセスすることを含む、既存のインプラントおよび埋め込み法を例示する。そのようなアプローチは、感染の可能性を増大させることにつながり得る。腹腔内ポケットへと埋め込まれるように構成されたシステム、および腹腔内ポケットへと該システムを埋め込む方法によって、該システムの埋め込みにより生じる感染可能性を低下させることができる。
【0007】
本開示の態様によれば、インプラントを挿入する方法は、腹腔内に配置された器具を用いて腹壁に切開部を作製するステップを含む。該方法はさらに、腹壁の第1の面と腹壁の第2の面との間にポケットを形成し、該切開部がポケット内への開口部を画定するようにするステップ、該開口部を通じて、該ポケット内へとインプラントを挿入するステップ、および該ポケット内に該インプラントが捕捉されるように、該開口部を閉鎖するステップをさらに含む。
【0008】
本開示の態様によれば、腹壁により画定されたポケット内へと挿入されるように構成された埋め込みシステムは、インプラントおよびアタッチメント機構を含む。アタッチメント機構は、インプラントを受け入れるように構成された内部空間を画定し、またそのアタッチメント機構はさらに、内部空間への通路を提供するように構成された開口部を画定する。該開口部はさらに、閉鎖されるように構成され、それにより、インプラントが内部空間内に配置されている場合に、インプラントが開口部を通じて内部空間から抜け出ることを防止され、かつ/または腹部内の内容物がインプラントに接触することが防止される。アタッチメント機構は、ポケットを画定する腹壁の面に固定されるように構成される。
【0009】
上記の概要、ならびに本出願の例示的実施形態の下記の詳細な説明は、添付の図面と共に読み取る場合に、よりよく理解されるであろう。本開示を例示する目的のために、例示的実施形態が、図面中に示される。しかしながら、本出願は開示される具体的な実施形態および方法に限定されず、その目的のために特許請求の範囲が参照されることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図3は鎌状靭帯が前腹壁に結合している領域を示す図である。
【
図4】
図4は
図2に示される領域内に形成されているポケットを示す図である。
【
図7】
図7は
図5に示されるポケットへと挿入されているインプラントを示す図である。
【
図8】
図8はインプラントがポケットに連結されている状態の、
図6に示されるインプラントおよびポケットを示す図である。
【
図9】
図9はインプラントがポケットに連結され、かつポケットが閉鎖された後の、
図7に示されるポケットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本開示の態様が、図面を参照して詳細に説明されるが、特に記載しない限り、全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素を意味する。以下の説明の中で、特定の命名法が用いられるが、便宜の目的のみであって、限定的ではない。用語「複数の」とは、本明細書中で用いる場合、2以上を意味する。構造の「部分」および「少なくとも一部分」との用語は、構造の全体を包含する。別々の実施形態の文脈で本明細書中に記載される本開示の特定の特徴が、1つの実施形態では組み合わせて提供されることもあり得る。逆に、1つの実施形態の文脈で記載される本開示の様々な特徴が、別個に、またはいずれかの部分的組み合わせで提供される場合もあり得る。
【0012】
図1および
図2を参照して、インプラントの挿入方法は、生物学的構造4に切開部2を作製するステップを含むことができる。本開示の一態様によれば、生物学的構造4とは腹腔5であり、これは腹壁6を含むことができる。腹腔5は、鎌状靭帯8および肝臓を含むことができる。鎌状靭帯8は、腹腔5内の所定の位置に肝臓を保持する。
【0013】
切開部2は、腹壁6上の位置10に作製することができ、例えば、位置10は、鎌状靭帯8が腹壁6に結合する部位を含むことができる。腹壁6は、複数の軟組織の層を含むことができる。示される通り、腹壁6は、腹膜面12および皮膚14を含むことができ、皮膚14は、腹膜面12から前方向ADに離隔している。腹壁6は、腹膜面12から皮膚14へと前方向ADに順番に、腹膜外脂肪(extra peritoneal fat)16、腹内筋膜18、腹横筋(transverse abdominus)20、内腹斜筋(internal oblique)22、外腹斜筋(external oblique)24、スカルパ筋膜(Scarpa's fascia)26、カンパー筋膜(Camper's fascia)28、またはそれらのいずれかの組み合わせをさらに含むことができる。
【0014】
本開示の一態様によれば、切開部2を作製するステップは、腹膜面12に切開部2を作製するステップを含む。腹膜面12に切開部2を作製するステップは、前方向ADにて、皮膚14に達する前に、切開部2を終わらせるステップを含む。一実施形態では、腹膜面12に切開部2を作製するステップは、前方向ADにて、腹内筋膜18に達する前に、切開部2を終わらせるステップを含む。
【0015】
図3および
図4を参照して、埋め込みシステム100は、生物学的構造4内にポケット30を形成するように構成された器具102を含むことができる。器具102は、鉗子104、例えば、切開部2が作製される前、作製中、および作製後に、生物学的構造4を操作するように構成された内視鏡鉗子を含むことができる。切開部2を作製するステップは、開口部32の形成をもたらす。例示的実施形態に示される通り、開口部32は、前方向ADで腹膜面12を通る通路を提供するものであり得る。本方法は、開口部32を拡張するステップを含むことができる。本開示の一態様によれば、開口部32を拡張するステップは、開口部32に隣接する腹膜面12の部分34を操作しって、該部分34へと力を加えるステップを含む。示される通り、該部分34は、例えば、内側で、開口部32と隣接するものであってよい。鉗子104を介して力をかけることができ、力は、前方向ADに垂直な下方向IDに、後方向PDに、または下方向IDおよび後方向PDの両方にかけることができる。
【0016】
図5および
図6を参照して、本方法は、ポケット30を形成するステップを含むことができる。ポケット30を形成するステップは、腹壁6の第1の面38を、腹壁6の第2の面40に対して、前方向ADとは逆方向である後方向PDに、移動させるステップを含むことができる。あるいは、ポケット30を形成するステップは、腹壁6の第2の面40を、第1の面38に対して、後方向ODとは逆方向である前方向ADに、移動させるステップを含むことができる。示される通り、ポケット30を形成するステップは、皮膚14に対して、後方向PDに、腹膜面12を移動させるステップを含むことができる。ポケット30を形成するステップは、腹膜面12と皮膚14との間の組織を移動させるステップ、腹膜面12と皮膚14との間の組織を除去するステップ、またはその両方をさらに含むことができる。
【0017】
図7および
図8を参照して、埋め込みシステム100は、インプラント120を含むことができる。インプラント120は、インプラント120の追加の構成要素を内包する筐体122を含むことができる。インプラント120は、筐体122内に配置される、電源、アンテナ、またはその両方を含むことができる。電源は、インプラント120からは遠隔にある供給源から電力を受け取るように構成された充電式電池を含むことができる。例えば、電源は、インプラント120がポケット30内に配置されている場合に、電源が患者身体の外部に位置する供給源から電力を受け取ることができるように構成されることができる。本開示の一態様によれば、遠隔供給源は、インプラント120とは物理的に直接接触していない。
【0018】
アンテナは、データを送信するか、データを受信するか、またはその両方を行うように構成することができる。本開示の一態様によれば、アンテナは、インプラント120に関するデータ、例えば、電源に残っている電力量を、インプラント120からは遠隔にあるデータ受信機へと送信するように構成することができる。例えば、アンテナは、インプラント120がポケット30内に配置されている場合に、アンテナが、患者身体の外部に位置するデータ受信機へとデータを送信するか、またはデータ供給源からデータを受信できるように構成することができる。一部の実施形態では、複数のアンテナが提供され得る。そのような場合には、第1のアンテナが、埋め込みシステム100と、インプラント120からは遠隔にあるデータ受信機との間の通信のために提供されることができ;また第2のアンテナが、埋め込みシステムの無線充電のために提供されることができる。埋め込みシステム100とデータ受信機との間の通信は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)、またはいずれかの他の好適な通信プロトコルを介して行うことができる。
【0019】
本方法は、インプラント120はポケット30内に位置しながら、患者の腹腔の外部に、例えば、患者身体の外部に位置する電力供給源からインプラント120の電源を充電するステップを含むことができる。本方法は、インプラント120はポケット30内に位置しながら、患者の腹腔の外部に、例えば、患者身体の外部に位置するデータ供給源からインプラント120のアンテナへとデータを送信するステップを含むことができる。本方法は、インプラント120はポケット30内に位置しながら、インプラント120のアンテナからデータを受信するステップを含むことができる。
【0020】
埋め込みシステム100は、ポケット30内にインプラント120を固定するように構成されたアタッチメント機構130を含むことができる。本開示の一態様によれば、アタッチメント機構130は、メッシュ外装132を含む。アタッチメント機構130は、インプラント120を受け入れるように構成された内部空間134を含むことができる。アタッチメント機構130は、内部空間134への経路を画定する開口部136をさらに含むことができる。アタッチメント機構130は、インプラント120が内部空間134の中に一旦配置されたら、内部空間134からのインプラント120の取り出しを防ぐために、開口部136を閉鎖することができるように構成することができる。アタッチメント機構130は、少なくとも1本の縫合糸を含むことができる。したがって、インプラント120(またはその一部分、例えば、メッシュ外装132)は、それぞれが縫合糸を受け止めるように構成された少なくとも1箇所の縫合穴と共に提供されることができる。インプラント120(またはその一部分、例えば、メッシュ外装132)は、インプラント120もしくはメッシュ外装132の主要部分を越えて延伸し、かつ/またはインプラント120もしくはメッシュ外装132の先端に配置される、少なくとも1個の縫合タブと共に提供されることができる。少なくとも1個の縫合タブは、インプラント120またはメッシュ外装132の周囲に等間隔に配置することができる。任意により、各縫合タブは、縫合穴と同一であっても同一でなくてもよい矩形開口部を有することができる。各縫合穴は、異なる縫合タブ上に配置されてもよい。一例では、アタッチメント機構130は、4本の縫合糸を含み、インプラント120またはメッシュ外装132が4個の等間隔に配置された縫合タブと共に提供され、縫合タブは、それぞれ、4本の縫合糸のうちの1つを受け止めるように構成されている縫合穴を有する。
【0021】
アタッチメント機構130は、開口部136が閉鎖されている場合に、筐体122が内部空間134から出ることを許容せずに、インプラント120の部分が内部空間134から出ることを可能にするための経路が画定されるように構成することができる。本開示の一態様によれば、埋め込みシステム100、例えば、インプラント120は、電気ケーブル140を含むことができる。埋め込みシステム100は電極を含むことができ、電気ケーブル140は電極へと電源から電力を送達するように構成することができる。
【0022】
本開示の一態様によれば、電気ケーブルは筐体122から延伸し、かつアタッチメント機構130が、開口部136が閉鎖されている場合に、電気ケーブル140が内部空間134から出るための経路を画定するように構成される。アタッチメント機構130は、腹壁6に対して、インプラント120を固定するための腹壁6の面へと固定されるように構成することができる。例示的実施形態に示される通り、アタッチメント機構130は、ポケット30内の腹壁6の表面へと縫合されるように構成されるメッシュ体138を含むことができる。メッシュ体138は、腹壁6へとアタッチメント機構130を固定するために、1本以上の縫合糸またはステープル、クリップもしくは鋲などの他の固定手段の貫通を許容するように構成された複数の穴を含むことができる。
【0023】
本方法は、アタッチメント機構130の開口部136を通じて、アタッチメント機構130の内部空間134へと、インプラント120を挿入するステップを含むことができる。本方法は、インプラント120、アタッチメント機構130、またはその両方を、ポケット30内へと挿入するステップを含むことができる。本方法は、埋め込みシステム100がポケット30内にある場合に、腹壁6へと埋め込みシステム100を取り付けるステップを含むことができる。本開示の一態様によれば、腹壁6に埋め込みシステム100を取り付けるステップは、アタッチメント機構130を、腹壁6へと、例えば、縫合するか、鋲留めするか(吸収性鋲、永続性鋲、またはその両方を用いて)、接着するか、またはそれらのいずれかの組み合わせにより、内部空間134内に配置されたインプラント120を有するアタッチメント機構130を腹壁6に取り付けるステップを含むことができる。本開示の別の態様によれば、腹壁6に埋め込みシステム110を取り付けるステップは、例えば、インプラント120を、腹壁6に直接的に縫合することにより、腹壁6にインプラント120を直接的に取り付けるステップを含むことができる。
【0024】
本方法は、アタッチメント機構130がポケット30内にある場合に、腹壁6にアタッチメント機構130を取り付けるステップを含むことができる。一実施形態によれば、腹壁6にアタッチメント機構130を取り付けるステップは、インプラント120をアタッチメント機構130に固定するステップ、およびアタッチメント機構130を腹壁6に固定するステップを含むことができる。例えば、アタッチメント機構130が少なくとも1本の縫合糸を含み、かつインプラント120(またはその一部分、例えば、メッシュ外装132)が対応する縫合タブおよび縫合穴を有する場合に、各縫合糸は対応する縫合穴により配置されることができる。続いて、縫合糸を、その中間点で、縫合タブへと縛り付けることができる。このことは、後続の操作の途中で、縫合糸が外れるリスクを低下させる。
【0025】
縫合糸の配置後、インプラント120を、縫合タブのそれぞれの中の矩形開口部を把持するように構成される腹腔鏡支持鉤を用いて保持することができる。これは、腹腔内へとトロカールを通してインプラント120を誘導するために用いられる。続いて、ポケット30内で、インプラント120の向きおよび位置を決定する。これには、最初にポケット内でインプラント120を配置することが必要であり得る。続いて、インプラント120の最頭側延伸部(cranial most extent)を決定し、かつ、それぞれが2〜3mmの長さを有する切開部を、約2cm間隔で皮膚に作製する。これらの切開部は、インプラント120の先端の所望の位置に対応する少なくとも1箇所の開口部を形成する。
【0026】
経筋膜縫合糸貫通器(transfascial suture passer)、例えば、Carter-Thomason式縫合糸貫通器またはEndoClose縫合糸貫通器を、開口部のそれぞれを通じて導入し、筋膜を通して前進させる。4箇所の縫合穴を有するインプラント120に関しては、2本の縫合糸を用いて、各縫合糸の一方の端部を、2個の最頭側(cranial most)縫合タブ上の対応する縫合穴を通して配置する。続いて、各縫合糸の端部を把持し、ポケット30内へとインプラント120を引き寄せるために用いる。次いで、各縫合糸の端部を、皮膚より上でつかむ。次に、縫合糸貫通器を、同じ開口部を通じて導入し、それ以前に配置した縫合糸よりも約5〜10mm側方で筋膜に通す。続いて、縫合糸のそれぞれの第2の端部を、この側方にずらした穴から外に出す。その後、このプロセスを、最尾側の2本の縫合糸に対して繰り返すことができる。同様の方法を、異なる数の縫合糸を用いて行うこともできる。
【0027】
続いて、ポケット30内の所定の位置にインプラント120を固定するために、縫合糸を締め付ける。インプラント120の安全性を、筋膜とインプラント120との間にプローブを通すことにより確認する。インプラント120の安定性が満足の行くものと判断されたら、縫合糸を切断する。
【0028】
別の例では、腹壁6にアタッチメント機構130を取り付けるステップは、アタッチメント機構130(例えば、メッシュの小区画)へとインプラント120を縫合するステップ、および腹壁6にアタッチメント機構130を縫合するか、鋲留めするか(吸収性鋲、永続性鋲、またはその両方を用いて)、接着するか、またはそれらのいずれかの組み合わせを行うステップを含むことができる。本開示の一態様によれば、アタッチメント機構130は、追加の固定要素を用いることなく、腹壁6へとそれ自体が貼り付くかまたは自己留置するように構成される。
【0029】
本方法は、インプラント120の筐体122が、開口部136を通じて内部空間134から出ることを防止するように、アタッチメント機構130の開口部136を閉鎖するステップを含むことができる。
【0030】
本方法は、生物学的構造、例えば、脾神経(splenic nerve)へと、電極を取り付けるステップを含むことができる。本方法はさらに、例えば、電源および電極の少なくとも1つに電気ケーブルを連結することにより、インプラント120の電源へと電極を接続するステップを含むことができる。
【0031】
図9を参照して、本方法は、インプラント120がポケット30の内部にある場合に、開口部32を通じてポケット30からインプラント120が出ることを防止するように、ポケット30を閉鎖するステップを含むことができる。ポケット30を閉鎖するステップは、インプラント120、アタッチメント機構130、またはその両方を、いずれかの腹腔内の内容物から分離するステップをさらに含み得る。本開示の一態様によれば、閉鎖ステップは、第1の面38を第2の面40へと鋲留めするステップを含むことができる。閉鎖ステップは、埋め込みシステム100の部分がポケット30から出るための経路を提供するステップを含むことができる。
【0032】
例示的実施形態に示される通り、閉鎖ステップは、埋め込みシステム100の部分(例えば、電気ケーブル)が外に出られる経路を提供するステップを含む。本開示の一態様によれば、ポケット30から外に出る埋め込みシステム100の部分は、他の腹腔内処置のために用いられる位置に配置することができる。例えば、埋め込みシステム100の部分は、腹腔鏡バンドを設置するために一般的に用いられる位置(例えば、胃の上部、または上側部分)に配置することができる。他の処置で用いられる位置での埋め込みシステム100の部分の配置は、埋め込みシステム100の埋め込みに対する長期安全性プロフィールを改善し得る。
【0033】
図1〜9を参照して、本開示の一態様によれば、本方法は、皮膚14にて切開部を作製することなく、その全体を実行することができる。別の実施形態によれば、器具102は、トロカールを含むことができる。器具102は、トロカールを通じて挿入するように構成されたカメラ(例えば、5mmカメラ)をさらに含むことができる。本方法は、埋め込み完了の24時間以内に、埋め込みが実施された施設から患者を退院させるステップを含むことができる。
【0034】
以下は、本発明の実施形態の非包括的リストであり、これらは、特許請求されてもされなくてもよい。
【0035】
1. 腹腔内に配置された器具を用いて腹壁に切開部を作製するステップ;腹壁の第1の面と腹壁の第2の面との間にポケットを形成し、該切開部が該ポケット内への開口部を画定するようにするステップ;該開口部を通じて、かつ該ポケット内へと、インプラントを挿入するステップ;および該ポケット内に該インプラントが捕捉されるように、該開口部を閉鎖するステップを含む、インプラントを挿入する方法。
【0036】
2. 腹腔が鎌状靭帯を含み、前記切開部を作製するステップが、鎌状靭帯が腹壁に結合する領域に前記切開部を作製するステップを含む、実施形態1の方法。
【0037】
3. 腹壁が前部を含み、前記領域が、腹壁の該前部に鎌状靭帯が結合する部位を含む、実施形態1または2の方法。
【0038】
4. 前記ポケットを形成するステップが、腹壁の前記第1の面に対して腹壁の前記第2の面を移動させるステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0039】
5. 前記ポケットを形成するステップが、該ポケット内の前記第1の面と前記第2の面との間に位置する組織を移動させるステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0040】
6. 前記ポケットを形成するステップが、該ポケットから、前記第1の面と前記第2の面との間に位置する組織を除去するステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0041】
7. 前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記インプラントを固定するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0042】
8. 前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記インプラントを固定するステップが、該第1の面および該第2の面のうちの少なくとも一方に対して該インプラントを縫合するか、鋲留めするか、接着するか、またはそれらのいずれかの組み合わせを行うステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0043】
9. アタッチメント機構に対して前記インプラントを固定するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0044】
10. 前記アタッチメント機構が、内部空間および該内部空間への通路を提供するように構成された開口部を画定する、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0045】
11. 前記開口部を通じて、前記内部空間へと前記インプラントを移動させるステップ;および該開口部を通じて該インプラントが該内部空間から出ることを防止するように、該開口部のサイズを減少させるステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0046】
12. 前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記アタッチメント機構を固定するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0047】
13. 前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に対して前記アタッチメント機構を固定するステップが、該第1の面および該第2の面のうちの少なくとも一方に対して該アタッチメント機構を縫合するか、鋲留めするか、接着するか、またはそれらのいずれかの組み合わせを行うステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0048】
14. 生物学的構造に電極を取り付けるステップ;および該電極に前記インプラントの電源を接続するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0049】
15. 前記接続ステップが、前記電源および前記電極の両方に電気ケーブルを電気的に連結するステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0050】
16. 前記閉鎖ステップが、前記電気ケーブルが前記ポケットから出るための経路を画定するステップを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0051】
17. 前記電源から遠隔にある電力供給源から該電源に電力を伝送するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0052】
18. 前記伝送ステップが、腹壁の皮膚、および任意により、皮下組織、腹直筋鞘前葉、腹直筋(rectus abdominus muscle)、腹直筋鞘後葉、および鎌状靭帯の腹膜面と腹直筋鞘後葉との間に位置する組織のうちの1種、一部または全部が、前記電力供給源と前記電源との間にあるように位置付けられた該電力供給源から、該電源へと電力を伝送することを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0053】
19. インプラント;および該インプラントを受け入れるように構成された内部空間を画定するアタッチメント機構であって、該アタッチメント機構が該内部空間への通路を提供するように構成された開口部をさらに画定し、該開口部は、該インプラントが該内部空間内に配置されている場合に、該インプラントが該開口部を通じて該内部空間から出ることを防止するように閉鎖されるようにさらに構成されている、上記アタッチメント機構を含む、腹壁により画定されるポケット内へと挿入されるように構成された埋め込みシステムであって、該アタッチメント機構が、該ポケットを画定する腹壁の面へと固定されるように構成される、上記埋め込みシステム。
【0054】
20. 前記インプラントが電源を含む、実施形態19の埋め込みシステム。
【0055】
21. 電極および電気ケーブルをさらに含み、該電気ケーブルが、該電極へと前記電源から電力を送達するように構成される、実施形態19または20の埋め込みシステム。
【0056】
22. 前記アタッチメント機構が、前記インプラントが前記開口部を通じて前記内部空間から出ることを防止しながら、該内部空間から前記電気ケーブルが出るための経路を提供するようにさらに構成される、実施形態19〜21のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0057】
23. 前記アタッチメント機構がメッシュ体を含む、実施形態19〜22のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0058】
24. 前記インプラントが、データを送信および/または受信するためのアンテナを含み、かつ該アンテナが、該インプラントからは遠隔にある受信機へとデータを送信するように構成される、実施形態19〜23のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0059】
25. 前記アンテナが、前記インプラントからは遠隔にある受信機からデータを受信するように構成される、実施形態19〜24のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0060】
26. 前記インプラントがアンテナを含み、かつ該アンテナが、該インプラントからは遠隔にある受信機からデータを受信するように構成される、実施形態19〜25のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0061】
27. 前記インプラントが、電力を受け取るためのアンテナを含み、かつ該アンテナが、該インプラントを再充電するために、該インプラントからは遠隔にある電力供給源から電力を受け取るように構成される、実施形態19〜26のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0062】
28. 前記インプラントが、腹腔鏡下に、ロボット制御により、または開腹手術を介して挿入されるように構成される、実施形態19〜27のいずれか1つの埋め込みシステム。
【0063】
上記の実施形態に対して、その広範な発明概念から逸脱することなく、変更を加え得るであろうことは、当業者には理解されるであろう。したがって、本開示は、開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲により規定される通りの本開示の精神および範囲内での改変を網羅すると意図されることが、理解される。
【国際調査報告】