特表2021-507977(P2021-507977A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-507977オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、それを含むオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-507977(P2021-507977A)
(43)【公表日】2021年2月25日
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、それを含むオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20210129BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20210129BHJP
   C07F 17/00 20060101ALI20210129BHJP
   C07F 7/00 20060101ALN20210129BHJP
【FI】
   C08F4/6592
   C08F10/00 510
   C07F17/00CSP
   C07F7/00 A
   C07F7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2020-544723(P2020-544723)
(86)(22)【出願日】2018年11月2日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月8日
(86)【国際出願番号】KR2018013250
(87)【国際公開番号】WO2019093720
(87)【国際公開日】20190516
(31)【優先権主張番号】10-2017-0149751
(32)【優先日】2017年11月10日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン スン イ
(72)【発明者】
【氏名】スン ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒー ジュ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】ウク ジョン
【テーマコード(参考)】
4H049
4H050
4J128
【Fターム(参考)】
4H049VN06
4H049VN07
4H049VP01
4H049VQ05
4H049VQ08
4H049VR24
4H049VW01
4H049VW02
4H049VW39
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB40
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC01
4J128AC28
4J128AD06
4J128AD08
4J128AD13
4J128BA01A
4J128BA01B
4J128BB00B
4J128BB01A
4J128BC12B
4J128BC15A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB07
4J128EC02
4J128FA02
(57)【要約】
化学式1で表されるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が提供される。前記化学式1に関する説明は明細書上で定義したとおりである。
<化学式1>
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
<化学式1>
【化1】
(前記化学式1において、
Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、
〜Rは、それぞれ独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、
およびRは、それぞれ独立してC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成し、
〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成する)
【請求項2】
前記Xは、それぞれ独立してハロゲンまたはC1−20アルキルであり、
前記R〜Rは、それぞれ水素であり、
前記RおよびRは、それぞれ独立してC1−20アルキルまたはC6−20アリールであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換された脂肪族C4−20環を形成し、
前記R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換された芳香族C5−20環を形成する、請求項1に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【請求項3】
前記RおよびRは、それぞれ独立してメチル(methyl)またはフェニル(phenyl)であるか、又は互いに連結されて脂肪族C環を形成する、請求項2に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【請求項4】
前記R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換された芳香族CまたはC10環を形成する、請求項2に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【請求項5】
前記芳香族CまたはC10環は、水素、ハロゲン、C6−20アリール、C1−20アルキルシリル(alkylsilyl)、C1−20アルキルオキシ(alkyloxy)およびC1−20アルキルアミノ(alkylamino)の中の一つ以上で置換された、請求項4に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【請求項6】
前記化学式1は、下記化学式1−1ないし1−12のうち一つ以上である、請求項3又は5に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
<化学式1−1>
【化2】
<化学式1−2>
【化3】
<化学式1−3>
【化4】
<化学式1−4>
【化5】
<化学式1−5>
【化6】
<化学式1−6>
【化7】
<化学式1−7>
【化8】
<化学式1−8>
【化9】
<化学式1−9>
【化10】
<化学式1−10>
【化11】
<化学式1−11>
【化12】
<化学式1−12>
【化13】
(前記化学式1−1ないし1−12において、
Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
Xは、それぞれ独立してハロゲンまたはC1−20アルキルである)
【請求項7】
前記化学式1は、下記化学式AないしDの一つ以上である、請求項6に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
<化学式A>
【化14】
<化学式B>
【化15】
<化学式C>
【化16】
<化学式D>
【化17】
【請求項8】
下記化学式1で表される遷移金属化合物;および
助触媒化合物を含む、オレフィン重合触媒。
<化学式1>
【化18】
(前記化学式1において、
Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、
〜Rは、それぞれ独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、
およびRは、それぞれ独立してC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成し、
〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成する)
【請求項9】
前記Xは、それぞれ独立してハロゲンまたはC1−20アルキルであり、
前記R〜Rは、それぞれ水素であり、
前記RおよびRは、それぞれ独立してメチル(methyl)またはフェニル(phenyl)であるか、又は互いに連結されて脂肪族C環を形成し、
前記R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換された芳香族CまたはC10環を形成する、請求項8に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項10】
前記化学式1は、下記化学式1−1ないし1−12の一つ以上である、請求項9に記載のオレフィン重合触媒。
<化学式1−1>
【化19】
<化学式1−2>
【化20】
<化学式1−3>
【化21】
<化学式1−4>
【化22】
<化学式1−5>
【化23】
<化学式1−6>
【化24】
<化学式1−7>
【化25】
<化学式1−8>
【化26】
<化学式1−9>
【化27】
<化学式1−10>
【化28】
<化学式1−11>
【化29】
<化学式1−12>
【化30】
(前記化学式1−1ないし1−12において、
Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
Xは、それぞれ独立してハロゲンまたはC1−20アルキルである)
【請求項11】
前記助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物のうち一つ以上を含む、請求項8に記載のオレフィン重合触媒。
<化学式I>
【化31】
(前記化学式Aにおいて、nは2以上の整数であり、
はハロゲン原子、C1−20炭化水素基またはハロゲンで置換されたC1−20炭化水素基である)
<化学式II>
【化32】
(前記化学式Bにおいて、Dは、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、
、RおよびRは、それぞれ独立してハロゲン原子、C1−20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1−20炭化水素基またはC1−20アルコキシ基である)
<化学式III>
[L−H][Z(A)または[L][Z(A)
(前記化学式Cにおいて、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、
[L−H]および[L]は、ブレンステッド酸であり、
Zは、13族元素であり、
Aは、それぞれ独立して置換若しくは非置換されたC6−20アリール基であるか、又は置換若しくは非置換されたC1−20アルキル基である)
【請求項12】
オレフィン系単量体が請求項8ないし11のいずれか一項に記載のオレフィン重合触媒下に重合されて形成された、ポリオレフィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、それを含むオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合に用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物にシクロペンタジエニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基などのリガンドが配位結合された化合物であって、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
メタロセン触媒は、前記メタロセン化合物とメチルアルミノキサンなどの助触媒を含んで構成されるシングルサイト触媒(single−site catalyst)として、前記メタロセン触媒で重合された高分子は分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一であり、チーグラーナッタ(Ziegler−Natta)触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
ただし、商業的に利用するにはまだ多くの困難性があるので、高温でも高い安定性またはオレフィンとの優れた反応性を有する触媒の開発および経済性に基づく製造技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物とそれを含んで高温でも高い安定性とオレフィンとの優れた反応性を有するオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されることによって、低密度、高分子量などの優れた物性を有するポリオレフィンを提供することにある。
【0006】
本発明の課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の一態様によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式1で表される。
<化学式1>
【化1】
【0008】
前記化学式1において、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Xは、それぞれ独立してハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、R〜Rは、それぞれ独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、RおよびRは、それぞれ独立してC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成し、R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成する。
【0009】
前記他の課題を解決するための本発明の一態様によるオレフィン重合触媒は、下記化学式1で表される遷移金属化合物および助触媒化合物を含む。
<化学式1>
【化2】
【0010】
前記化学式1において、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Xは、それぞれ独立してハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、R〜Rは、それぞれ独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり、RおよびRは、それぞれ独立してC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成し、R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成する。
【0011】
前記他の課題を解決するための本発明の一態様によるポリオレフィンは、オレフィン単量体が前記オレフィン重合触媒下に重合されて形成される。
【0012】
その他実施例の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施例によれば、少なくとも次のような効果がある。
【0014】
本発明の遷移金属化合物を含んで高温でも高い安定性およびオレフィンとの反応性を有するオレフィン重合触媒を製造することができ、それを用いて重合されたポリオレフィンは、低密度、高分子量などの優れた物性を有することができる。
【0015】
また、本発明の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒は、合成収率が高く経済的な方法でも容易に製造できるので、商業的な実用性に優れる。
【0016】
本発明の実施例による効果は、以上で例示した内容によって制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現されるものであり、本実施例は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0018】
本明細書において、用語「CA−B」は、「炭素数がA以上B以下」であることを意味し、用語「A〜B」は、「A以上B以下」であることを意味し、用語「置換若しくは非置換された」における「置換された」は、「炭化水素化合物または炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンで置換された」ことを意味し、「非置換された」は、「炭化水素化合物または炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンで置換されていない」ことを意味する。
【0019】
本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式1で表される。
<化学式1>
【化3】
【0020】
前記化学式1において、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり得る。具体的には、Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり得る。
【0021】
Xは、それぞれ独立してハロゲン、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり得る。具体的には、Xは、それぞれ独立してハロゲンまたはC1−20アルキルであり得る。より具体的には、Xは、それぞれ独立して塩素(Cl)またはメチル(methyl)であり得る。
【0022】
〜Rは、それぞれ独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであり得る。具体的には、R〜Rは、それぞれ水素であり得る。
【0023】
およびRは、それぞれ独立してC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C6−20アリール、C1−20アルキルC6−20アリール、C6−20アリールC1−20アルキル、C1−20アルキルアミド、C6−20アリールアミドまたはC1−20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成できる。具体的には、RおよびRは、それぞれ独立してC1−20アルキルまたはC6−20アリールであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換された脂肪族C4−20環を形成できる。より具体的には、RおよびRは、それぞれ独立してメチル(methyl)またはフェニル(phenyl)であるか、又は互いに連結されて脂肪族C環を形成できる。
【0024】
〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換されたC4−20環を形成できる。具体的には、R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換された芳香族C5−20環を形成できる。より具体的には、R〜R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換された芳香族CまたはC10環を形成できる。R〜R10のうち隣り合う2個とは、RとRまたはRとR10を意味する。
【0025】
前記芳香族CまたはC10環は、水素、ハロゲン、C6−20アリール、C1−20アルキルシリル(alkylsilyl)、C1−20アルキルオキシ(alkyloxy)およびC1−20アルキルアミノ(alkylamino)の中の一つ以上で置換され得る。具体的には、前記ハロゲンはフッ素(F)であり、前記C6−20アリールはフェニルであり、前記C1−20アルキルシリルはトリメチルシリル(trimethylsilyl,−SiMe)であり、前記C1−20アルキルオキシはメンチルオキシ(methyloxy[methoxy],−OMe)であり、前記C1−20アルキルアミノはジメチルアミノ(dimethylamino,−NMe)であり得る。
【0026】
前記遷移金属化合物は、具体的には、下記化学式1−1ないし1−12のうち少なくとも一つであり得る。
<化学式1−1>
【化4】
<化学式1−2>
【化5】
<化学式1−3>
【化6】
<化学式1−4>
【化7】
<化学式1−5>
【化8】
<化学式1−6>
【化9】
<化学式1−7>
【化10】
<化学式1−8>
【化11】
<化学式1−9>
【化12】
<化学式1−10>
【化13】
<化学式1−11>
【化14】
<化学式1−12>
【化15】
【0027】
前記化学式1−1ないし1−12において、Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、それぞれ独立してハロゲンまたはC1−20アルキルであり得る。
【0028】
例示的な実施例において、前記遷移金属化合物は、下記化学式AないしDの一つ以上であり得る。
<化学式A>
【化16】
<化学式B>
【化17】
<化学式C>
【化18】
<化学式D>
【化19】
【0029】
本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒は、前記例示した遷移金属化合物のうち一つ以上と助触媒化合物を含み得る。
【0030】
助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物のうち一つ以上を含み得る。
<化学式I>
【化20】
【0031】
前記化学式Iにおいて、nは2以上の整数であり、Rはハロゲン原子、C1−20炭化水素基またはハロゲンで置換されたC1−20炭化水素基であり得る。具体的には、前記Rはメチル、エチル、n−ブチルまたはイソブチルであり得るが、これに限定されるものではない。
<化学式II>
【化21】
【0032】
前記化学式IIにおいて、Dは、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、R、RおよびRは、それぞれ独立してハロゲン原子、C1−20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1−20炭化水素基またはC1−20アルコキシ基であり得る。具体的には、前記Dがアルミニウムである時、前記R、RおよびRは、それぞれ独立してメチルまたはイソブチルであり得、前記Dがホウ素である時、前記R、RおよびRは、それぞれペンタフルオロフェニルであり得るが、これに限定されるものではない。
<化学式III>
[L−H][Z(A)または[L][Z(A)
【0033】
前記化学式IIIにおいて、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L−H]または[L]は、ブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して置換若しくは非置換されたC6−20アリール基であるか、又は置換若しくは非置換されたC1−20アルキル基であり得る。具体的には、前記[L−H]はジメチルアニリニウムカチオンであり得、前記[Z(A)は[B(Cであり得、前記[L]は[(CC]であり得るが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記オレフィン重合触媒は担体をさらに含み得る。
【0035】
担体は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物を担持できるものであれば特に制限されない。例示的な実施例において、担体は炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライト、塩化マグネシウムなどであり得る。
【0036】
担体にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物および助触媒化合物を担持する方法としては、物理的吸着方法または化学的吸着方法が用いられる。
【0037】
例示的な実施例における物理的吸着方法は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法またはオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥してオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が担持された担体を製造し、これとは別に助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥して助触媒化合物が担持された担体を製造した後、これらを混合する方法などであり得る。
【0038】
例示的な実施例における化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物を先に担持させた後、助触媒化合物にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を担持させる方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面のヒドロキシ基(−OH))と触媒化合物を共有結合させる方法などであり得る。
【0039】
遷移金属化合物を含む主触媒化合物の担持量の総和は、担体1gを基準に0.001mmol〜1mmolであり得、助触媒化合物の担持量は、担体1gを基準に2mmol〜15mmolであり得る。
【0040】
しかし、このような担体は必須として含まなければならないものではなく、必要に応じてその使用の有無を適宜選択できる。
【0041】
上述したような本発明のオレフィン重合触媒下にオレフィン系単量体を重合させてポリオレフィンを形成できる。
【0042】
ポリオレフィンは、例えばフリーラジカル(free radical)、カチオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応によって重合された単独重合体(homopolymer)または共重合体(copolymer)であり得るが、これに制限されるものではない。
【0043】
例示的な実施例において、ポリオレフィンは、気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法などで製造できる。ポリオレフィンが溶液重合法またはスラリー重合法で製造される場合に使用できる溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のようなC5−12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒;これらの混合物などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0044】
オレフィン系単量体は、C2−20α−オレフィン(α−olefin)、C1−20ジオレフィン(diolefin)、C3−20シクロオレフィン(cyclo−olefin)およびC3−20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選ばれる一つ以上であり得る。
【0045】
例示的な実施例において、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ハプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセンおよび1−ヘキサデセンなどであり得、ポリオレフィンは、前記例示したオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体であるか、又は2種以上含む共重合体であり得る。
【0046】
好ましくは、ポリオレフィンは、エチレンと1−オクテンが共重合された共重合体であり得るが、これに限定されるものではない。
【0047】
本発明の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒は、高温で安定性を有し、オレフィン、特にα−オレフィンとの反応性に優れるため、オレフィンを重合することが容易であり、ポリオレフィンの収率が高く経済性に優れ、また、低密度、高分子量のポリオレフィンの製造が可能である。
【0048】
これは特に本発明の遷移金属化合物のうちR〜R10の隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換された芳香族CまたはC10環を形成する場合、相対的に電子が豊富であり、オレフィンの(共)重合反応性が向上することに起因するものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0049】
以下、本発明のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物のうち前記化学式AないしDで表される化合物に対する具体的な製造例について叙述する。
【0050】
<製造例1>化学式Aの化合物の製造
製造例1−1:1,1’−binaphthyl−2,2’−dicarboxylic acidの製造
2,2’−dibromo−1,1’−binaphthyl(3.85g、9.34mmol)をTHF(40mL)に希釈した溶液にt−BuLi(15.8g、41.1mmol、1.7M in pentane)を−78℃で添加した後1時間攪拌した。COガスを−78℃で3分間注入した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。0℃で10%HClを添加して反応を終結した後真空下でTHFを除去した。酢酸エチル(Ethyl acetate)で抽出して有機層を分離し、クロロホルム(chloroform)で再結晶して下記のようなH−NMRスペクトルを有する白色固体化合物である2,2’−dibromo−1,1’−binaphthyl 3.49g(quant.)を得た。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ12.4(s,2H),8.11−8.00(m,6H),7.54(t,2H),7.27(t,2H),6.87(d,2H).
【0051】
製造例1−2:7H−dibenzo[c,g]fluoren−7−oneの製造
前記製造例1−1で製造した1,1’−binaphthyl−2,2’−dicarboxylic acid(3.02g、8.82mmol)と無水酢酸(acetic anhydride,30mL)を混合して140℃で1時間30分攪拌した。真空下で無水酢酸(acetic anhydride)を除去した後、残った反応液を300℃で3時間攪拌した。ジクロロメタン(Dichloromethane)で濾過した後カラムクロマトグラフィー(hexane:dichloromethane=1:1,v/v)により下記のようなH−NMRスペクトルを有する赤色固体化合物である7H−dibenzo[c,g]fluoren−7−one 1.17g(47%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.37−8.33(m,2H),7.92−7.87(m,2H),7.83(d,2H),7.77(d,2H),7.60−7.55(m,4H).
【0052】
製造例1−3:7H−dibenzo[c,g]fluoreneの製造
前記製造例1−2で製造した7H−dibenzo[c,g]fluoren−7−one(641mg、2.29mmol)、N・HO(2.86g、57.2mmol)およびKOH(385mg、6.86mmol)をジエチレングリコール(diethylene glycol,30mL)に分散させた溶液を170℃で3時間攪拌した。0℃で10%HClを添加して反応を終結した後生成された固体を濾過した。真空下で乾燥して下記のようなH−NMRスペクトルを有する暗褐色固体化合物である7H−dibenzo[c,g]fluorene 603mg(99%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.73(d,2H),7.97(d,2H),7.86(d,2H),7.73(d,2H),7.59−7.48(m,4H),4.13(s,2H).
【0053】
製造例1−4:(7H−dibenzo[c,g]fluorene) lithiumの製造
前記製造例1−3で製造した7H−dibenzo[c,g]fluorene(585mg、2.20mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,50mL)に希釈した溶液にn−BuLi(980mg、2.30mmol、1.6M in Hexane)を−30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後、真空下で乾燥して黄土色固体化合物である(7H−dibenzo[c,g]fluorene) lithium 598mg(100%)を得た。
【0054】
製造例1−5:9−[1−(2,4−Cyclopentadien−1−yl)−1−cyclobutyl]−7H−dibenzo[c,g] fluoreneの製造
前記製造例1−4で製造した(7H−dibenzo[c,g]fluorene) lithium(596mg、2.19mmol)をジエチルエーテル(35mL)に分散させた溶液に5−cyclobutylidene−1,3−cyclopentadiene(518mg、4.38mmol)をジエチルエーテル(10mL)に希釈した溶液を−30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて3日間攪拌した。反応終結後、ジエチルエーテルとaqueous NHClで抽出して有機層を分離した。ヘキサンで再結晶して下記のようなH−NMRスペクトルを有する白色固体化合物である9−[1−(2,4−Cyclopentadien−1−yl)−1−cyclobutyl]−7H−dibenzo[c,g] fluorene 654mg(78%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.56−8.47(m,2H),7.95−7.89(m,2H),7.79−7.76(m,4H),7.50−7.44(m,4H),5.96−5.81(m,1H),5.74−5.67(m,1H),5.59−5.50(m,1H),4.42(d,1H),2.99−2.79(m,2H),2.58−2.44(m,2H),2.39−2.02(m,2H),2.01−1.94(m,2H).
【0055】
製造例1−6:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
前記製造例1−5で製造した9−[1−(2,4−Cyclopentadien−1−yl)−1−cyclobutyl]−7H−dibenzo[c,g] fluorene(319mg、0.83mmol)をジエチルエーテル(35mL)に希釈した溶液にn−BuLi(741mg、1.74mmol、1.6M in Hexane)を−30℃でゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後、真空下で乾燥して黄土色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium 368mg(quant.,ether adduct)を得た。
【0056】
製造例1−7:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichlorideの製造
前記製造例1−6で製造したCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(342mg、0.86mmol)をトルエン(40mL)に分散させた溶液にHfCl(277mg、0.86mmol)をトルエン(5mL)に分散させた溶液を−30℃でゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後、ヘキサンで洗浄して下記のようなH−NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride 335mg(61%)を得た。
H−NMR(C,300MHz):δ9.10(d,2H),7.69(d,2H),7.39−7.24(m,8H),6.02(t,2H),5.44(t,2H),2.90−2.77(m,2H),2.58(t,2H),2.26−2.14(m,1H),1.88−1.74(m,1H).
【0057】
製造例1−8:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethylの製造
前記製造例1−7で製造したCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride(273mg、0.43mmol)をトルエン(20mL)に分散させた溶液にMeMgBr(448mg、1.30mmol、3.0M in diethyl ether)をトルエン(5mL)に希釈した溶液を−30℃でゆっくり添加した後70℃で還流(reflux)させながら4時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後ヘキサンで洗浄して下記のようなH−NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethyl(下記化学式Aの化合物) 182mg(71%)を得た。
H−NMR (C,300MHz):δ9.22(d,2H),7.73(d,2H),7.46−7.22(m,8H),6.03(t,2H),5.40(t,2H),2.90−2.80(m,2H),2.68−2.58(m,2H),2.34−2.18(m,1H),1.92−1.84(m,1H),−1.37(s,6H).
<化学式A>
【化22】
【0058】
<製造例2>化学式Bの化合物の製造
製造例2−1:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
前記製造例1−6で製造したCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(127mg、0.32mmol)をトルエン(10mL)に分散させた溶液にZrCl(74mg、0.32mmol)をトルエン(3mL)に分散させた溶液を−30℃でゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後、ヘキサンで洗浄して下記のようなH−NMRスペクトルを有する橙色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Bの化合物) 128mg(74%)を得た。
H−NMR(C,300MHz):δ9.15(d,2H),7.72(d,2H),7.42−7.30(m,8H),6.11(t,2H),5.52(t,2H),2.92−2.82(m,2H),2.60(t,2H),2.28−2.16(m,1H),1.92−1.82(m,1H).
<化学式B>
【化23】
【0059】
<製造例3>化学式Cの化合物の製造
製造例3−1:2,2−[(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] propaneの製造
前記製造例1−4で製造した(7H−dibenzo[c,g]fluorene) lithium(893mg、3.28mmol)をジエチルエーテル(35mL)に分散させた溶液に6,6−dimethylfulvene(522mg、4.92mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,5mL)に希釈した溶液を−78℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、ジエチルエーテルとaqueous NHClで抽出して有機層を分離した。カラムクロマトグラフィー(hexane 100%)により下記のようなH−NMRスペクトルを有する象牙色固体化合物である2,2−[(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] propane 907mg(74%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.61(d,2H),7.91(d,2H),7.74−7.66(m,2H),7.52−7.46(m,4H),7.41(d,1H),7.32(d,1H),7.00−6.64(m,1H),6.57−6.45(m,1H),6.16−5.87(m,1H),4.33(d,1H),3.24−3.08(m,2H),1.08(s,3H),1.07(s,3H).
【0060】
製造例3−2:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
前記製造例3−1で製造した2,2−[(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] propane(519mg、1.39mmol)をジエチルエーテル(10mL)に希釈した溶液にn−BuLi(1.24mg、2.93mmol、1.6M in Hexane)を−30℃でゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium 600mg(quant.,ether adduct)を得た。
【0061】
製造例3−3:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichlorideの製造
前記製造例3−2で製造したIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(566mg、1.47mmol)をトルエン(40mL)に分散させた溶液にHfCl(472mg、1.47mmol)をトルエン(10mL)に分散させた溶液を−30℃でゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後、ヘキサンで洗浄して下記のようなH−NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride 549mg(60%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.84(d,2H),7.95(d,2H),7.88−7.82(m,2H),7.61−7.54(m,4H),7.49(d,2H),6.30(t,2H),5.88(t,2H),2.48(s,6H).
【0062】
製造例3−4:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethylの製造
前記製造例3−3で製造したIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride(400mg、0.65mmol)をトルエン(20mL)に分散させた溶液にMeMgBr(468mg、1.36mmol、3.0M in diethyl ether)をトルエン(2mL)に希釈した溶液を−30℃でゆっくり添加した後、70℃で還流(reflux)させながら2時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後、ヘキサンで洗浄して下記のようなH−NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethyl(下記化学式Cの化合物) 241mg(64%)を得た。
<化学式C>
【化24】
【0063】
<製造例4>化学式Dの化合物の製造
製造例4−1:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
前記製造例3−2で製造したIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(176mg、0.46mmol)をトルエン(20mL)に分散させた溶液にZrCl(107mg、0.46mmol)をトルエン(5mL)に分散させた溶液を−30℃でゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後、ヘキサンで洗浄して下記のようなH−NMRスペクトルを有する赤褐色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)−(7H−dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Dの化合物) 107mg(44%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.87(d,2H),7.95−7.84(m,4H),7.62−7.50(m,6H),6.37(t,2H),5.94(t,2H),2.48(s,6H).
<化学式D>
【化25】
【0064】
<製造例5>化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1−オクテン共重合体の合成
前記製造例1で製造した化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1−オクテンを共重合した。
先に、2Lオートクレーブ反応器にヘキサン溶媒(1L)と1−オクテン(45g)を加えた後、反応器の温度を70℃に予熱した。次に、トリイソブチルアルミニウム化合物で処理した前記製造例1の化学式2の遷移金属化合物(4x10−6M)を触媒貯蔵タンクに入れた後、高圧のアルゴン圧力を加えて反応器に入れ、2.4x10−5Mのジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒を高圧アルゴン下で反応器に入れた。
反応器内の総圧力が30barを維持するようにエチレン圧力を調整しながらエチレンガスを注入した後、重合反応を5分間行った。重合反応の間の反応熱は、反応器内部の冷却コイルにより除去して重合温度を90℃で極力一定に維持した。
重合反応後、残ったガスを抜き、高分子溶液を反応器の下部に排出させた後、過量のエタノールを加えて冷却させて沈殿を誘導した。得られた高分子をエタノールおよびアセトンでそれぞれ2〜3回洗浄した後、80℃真空オーブンで12時間以上乾燥して[エチレン]−[1−オクテン]共重合体を得た。
【0065】
以上、例示した化学構造式と製造例などを参照して本発明の思想に属する実施例を具体的に説明した。ただし、本発明の思想は例示した化学構造式と製造例などに制限されるものではなく、本発明の思想は例示した化学構造式と製造例などに基づいて多様に変形できる。例示した化学構造式と製造例などは発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明の思想の権利範囲は請求項の範疇によってのみ定義される。したがって、上記実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【国際調査報告】