特表2021-508300(P2021-508300A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-508300自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-508300(P2021-508300A)
(43)【公表日】2021年3月4日
(54)【発明の名称】自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/00 20060101AFI20210205BHJP
   B60R 1/06 20060101ALI20210205BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20210205BHJP
   F16J 3/06 20060101ALI20210205BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20210205BHJP
【FI】
   B60R1/00 A
   B60R1/06 K
   H04N7/18 J
   F16J3/06
   B60S1/62 110A
   B60S1/62 120Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-534461(P2020-534461)
(86)(22)【出願日】2018年11月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2018082746
(87)【国際公開番号】WO2019120903
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】102017223732.5
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102018205849.0
(32)【優先日】2018年4月17日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ミーティヒ
【テーマコード(参考)】
3D025
3D053
3J045
5C054
【Fターム(参考)】
3D025AA04
3D025AC09
3D025AD11
3D025AD13
3D053FF11
3D053FF18
3D053FF29
3D053GG13
3D053HH01
3D053HH53
3D053JJ11
3D053JJ20
3D053JJ27
3D053JJ41
3D053JJ54
3D053LL35
3J045AA20
3J045CB30
3J045EA02
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE05
5C054CF02
5C054CF06
5C054HA30
(57)【要約】
本発明は、自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム(100)であって、カメラアーム(100)は、カメラアーム(100)を自動車に結合させるための第1の構造要素と、少なくとも1つのカメラ(180)を有する第2の構造要素(120)とを有している、カメラアーム(100)に関する。アタッチメントまたはカメラアームに対して、かつアタッチメントまたはカメラアームに配置された全ての要素、装置、およびモジュール、とりわけカメラに対して及ぼされる外部の有害な影響からの保護の改善を提供し、かつカメラの最適な画像領域を可能にするような、自動車のミラーの代替としてのカメラモニタシステムのカメラのためのアタッチメントを提供するために、カメラアーム(100)がさらに、第1の構造要素(110)と第2の構造要素(120)とを互いに結合させる、容積可変式の流体容器(150)と、第1の構造要素(110)と第2の構造要素(120)とを互いに結合させ、かつ第2の構造要素(120)を第1の構造要素(110)の方向に引っ張る、少なくとも1つの復元要素(155)とを有しており、これにより、第2の構造要素(120)が、流体容器(150)内に存在する流体の量を変化させることによって、第1の構造要素(110)に対して移動可能となっているようにすることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム(100)であって、
当該カメラアーム(100)は、当該カメラアーム(100)を自動車に結合させるための第1の構造要素(110)と、少なくとも1つのカメラ(180)を有する第2の構造要素(120)とを有している、
カメラアーム(100)において、
前記カメラアーム(100)はさらに、
前記第1の構造要素(110)と前記第2の構造要素(120)とを直接的に、または1つまたは複数の介在要素を介して互いに結合させる、容積可変式の流体容器(150)と、
前記第1の構造要素(110)と前記第2の構造要素(120)とを直接的に、または1つまたは複数の介在要素を介して互いに結合させ、かつ前記第2の構造要素(120)を前記第1の構造要素(110)の方向に引っ張る、少なくとも1つの復元要素(155)と、
を有しており、これにより、前記第2の構造要素(120)は、前記流体容器(150)内に存在する流体の量を変化させることによって、前記第1の構造要素(110)に対して移動可能となっていることを特徴とする、カメラアーム(100)。
【請求項2】
前記流体容器は、ロールベローズ(153)を有しているか、または実質的にロールベローズとして形成されている、請求項1記載のカメラアーム(100)。
【請求項3】
前記ロールベローズ(153)は、エラストマ材料から形成されている、請求項2記載のカメラアーム(100)。
【請求項4】
前記復元要素(155)は、ばねとして形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項5】
前記復元要素(155)は、渦巻きばねとして形成されている、請求項4記載のカメラアーム(100)。
【請求項6】
前記カメラアーム(100)は、前記流体容器(150)内の流体(157)として圧縮空気を使用するように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項7】
前記流体容器(150)は、二重壁状に形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項8】
前記流体容器(150)は、充填された前記流体容器(150)内の前記流体(157)が、円筒周壁の形状を取るように形成されている、請求項7記載のカメラアーム(100)。
【請求項9】
前記カメラアーム(100)は、2つ以上のカメラ(180)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項10】
少なくとも2つの前記カメラ(180)は、少なくとも2つのそれぞれ異なる画像領域をカバーする、請求項9記載のカメラアーム(100)。
【請求項11】
前記第2の構造要素(120)が、少なくとも2つの前記カメラ(180)を有している、請求項9または10記載のカメラアーム(100)。
【請求項12】
前記第1の構造要素(110)が少なくとも1つのカメラ(180)を有しており、前記第2の構造要素(120)が少なくとも1つのカメラ(180)を有している、請求項9または10記載のカメラアーム(100)。
【請求項13】
前記第2の構造要素(120)は、少なくとも1つのミラーを追加的に有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項14】
前記カメラアーム(100)は、センサを追加的に有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項15】
前記カメラアーム(100)は、通信装置を追加的に有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項16】
前記カメラアーム(100)は、通信用の無線アンテナ、ポジションランプ、加熱素子、カメラレンズまたはカメラカバーをクリーニングするためのクリーニング装置、のうちの1つまたは複数の装置を追加的に有している、請求項1から15までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアームであって、このカメラアームは、第1の構造要素と、第2の構造要素と、容積可変式の流体容器とを有しており、容積可変式の流体容器は、第1の構造要素と第2の構造要素とを互いに結合させ、第2の構造要素は、流体容器内に存在する流体の量を変化させることによって、第1の構造要素に対して移動可能となっている、カメラアームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転者に後方視界を提供するバックミラーは、自動車に常に存在するものであり、法律によって規定されている。将来的には、通常のバックミラーは、カメラモニタシステムに取って代わられるであろう。この場合、後方視界は、カメラによって撮影された画像が自動車の運転者に対してモニタ上に表示されることによって提供される。このようなカメラベースのミラー代替システムを商用車のために使用する場合には、カメラを車体に直接的に取り付けるのではなく、車体から離間させることが有用である。すなわち、公知のバックミラーは、車体から一定の距離を有している。これによって例えば、有利な視認領域が提供される。ミラーと車体との間の距離は、通常は5cmから数10cmのオーダーであるが、例えば、振り出しが大きい多重連結車両、重量車、農業機械、鉱山車両、および鉱山機械の場合には、視認領域を特に広くするために80cmとなっている。したがって、カメラベースのミラー代替システムのカメラを、とりわけアウトサイドミラーまたはサイドミラーの代替として車両に配置する場合には、これらのカメラもまた、車体から離間させて配置することが望ましい。このために、例えば車両キャビンに取り付けることができるカメラアームを使用することができる。
【0003】
カメラが固定的に配置されている場合には、機械的な構造物に対して、カメラに対して、および、カメラと共にカメラアームに配置されているその他のモジュール、要素、ならびに装置に対して、全ての側からの力、衝突負荷、および衝撃負荷のような外部の有害な影響に対する十分な保護が提供されない。固定的なアタッチメントは、機械的な力作用による潜在的な損傷作用に対して脆弱である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、アタッチメントまたはカメラアームに対して、かつアタッチメントまたはカメラアームに配置された全ての要素、装置、およびモジュール、とりわけカメラに対して及ぼされる外部の有害な影響からの保護の改善を提供し、かつカメラの最適な画像領域を可能にするような、自動車のミラーの代替としてのカメラモニタシステムのカメラのための(カメラアームの形態の)アタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、請求項1記載のカメラアームによって解決される。本発明の概念の実施形態および発展形態は、従属請求項の対象である。
【0006】
本明細書で提案される、自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアームは、カメラアームを自動車に結合させるための第1の構造要素と、少なくとも1つのカメラを有する第2の構造要素とを有しており、さらに、第1の構造要素と第2の構造要素とを直接的に、または1つまたは複数の介在要素を介して互いに結合させる、容積可変式の流体容器と、第1の構造要素と第2の構造要素とを直接的に、または1つまたは複数の介在要素を介して互いに結合させ、かつ第2の構造要素を第1の構造要素の方向に引っ張る、少なくとも1つの復元要素とを有している。第2の構造要素は、流体容器内に存在する流体の量を変化させることによって、第1の構造要素に対して移動可能となっている。
【0007】
特別な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0008】
容積可変式の流体容器は、流体容器内の流体の量が増加するにつれて伸展し、容積可変式の流体容器内の流体の量が減少するにつれて収縮する。
【0009】
第2の構造要素は、カメラアームの流体容器が作動流体によって充填されている場合、すなわち、最大またはほぼ最大の充填状態、例えば、95%超または99%超の充填量を有する場合に、第1の構造要素から最大限に離れた位置を取る。
【0010】
流体容器が、所定の最小量よりも少ない流体を含む場合には、第2の構造要素は、第1の構造要素から最小限に離れた位置を取る。なぜなら、流体容器の充填状態が少ない場合には、復元要素が、流体容器の伸展に対抗する力を発揮するからであり、したがって、第2の構造要素は、流体容器から流体が流出すると、第1の構造要素から最小距離の位置へと移動する。
【0011】
本明細書で提案されるカメラアームの特に有利な実施形態では、容積可変式の流体容器は、流体容器が入れ子式の伸展領域を有するという点で、可変の体積を収容するために適している。例えば、流体容器の一部を、複数の互いに重なり合う同心円状の円筒周壁要素を備える、円筒形の入れ子式の領域として形成することができる。
【0012】
特に有利な実施形態では、流体容器は、少なくとも一部の領域において弾性の壁を有している。すなわち、この実施形態では、容積可変式の流体容器は、伸展可能である。
【0013】
画像領域、視認領域、視界、および視野という用語は、同義語として理解されるべきである。すなわち、カメラの視認領域は、カメラが「視認」する領域を表す。カメラは、この領域を画像の形態で転送する。したがって、画像領域は、視認領域から生じる。このカメラの視認領域は、視界にも対応している。視界は、いずれにしても視野と同義である。視野角度は、視野を画定する角度として理解することができる。視野角度は、パースペクティブ(perspective)の同義語でもある。
【0014】
本明細書で提案されるカメラアームの特に有利な実施形態では、流体容器は、ロールベローズを有しているか、または実質的にロールベローズとして形成されている。これによって、特に有利には、このようなカメラアームのコンパクトでロバストな性質がもたらされる。
【0015】
ロールベローズを有する容積可変式の流体容器を有するか、または実質的にロールベローズとして形成されている容積可変式の流体容器を有している、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、ロールベローズは、エラストマ材料から形成されている。これによって、特に有利には、環境影響に対して特に耐性のあるカメラアームがもたらされる。
【0016】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、復元要素は、ばねとして形成されている。復元要素としてばねを使用する場合の利点は、その幅広い可用性と、コストの低さとである。
【0017】
ばねとして形成されている復元要素を有している、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、復元要素は、渦巻きばねとして形成されている。復元要素としての渦巻きばねは、特に有利には、良好に選択可能な動作範囲にわたって線形のばね定数を提供する。
【0018】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、容積可変式の流体容器は、流体として圧縮空気を使用するように構成されている。流体として圧縮空気を使用する場合の特別な利点は、一方では、流体の補充を省略することができることにある。なぜなら、圧縮空気は、実際にあらゆるところで得られるからである。他方では、車両には、いずれにせよ圧縮空気用のインフラストラクチャが装備されていることが多いので、圧縮空気は、流体として特に有利である。このことは、とりわけトラックおよび農業車両のような商用車だけでなく、鉱山業の車両にも当てはまる。さらに、まさにトラックの場合には、キャビンの屋根に、ひいては従来のミラーの近傍に、すなわちミラー代替システムの使用場所の近傍に、シグナルホーンが設けられていることが多い。
【0019】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、容積可変式の流体容器は、二重壁状に形成されている。二重壁状の実施形態は、特に有利には、特にロバストな性質を有することができるか、または他方では、二重壁状の容器の2つの壁の間のみに作動流体を配置し、それによって容器の内部に流体のない空間を形成することを可能にすることができる。
【0020】
二重壁状に形成された容積可変式の流体容器を有している、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、流体容器は、充填された流体容器内の流体が、円筒周壁の形状を取るように形成されている。充填された状態において、流体が全体として円筒周壁の形状を取るという流体容器の性質は、管のような形状を有する円筒周壁が、特に良好な機械的な剛性を有しているという点で特に有利である。流体と、流体の圧力とが、充填された状態において流体容器の形状を維持する。この形状は、特に効率的である。
【0021】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、2つ以上のカメラを有している。これによって、一方では、ただ1つの視野をカバーすることを企図した場合に、画像内容に関して追加的な情報、例えば深度情報を得ることが可能となるという特別な利点がもたらされる。他方で、特に有利には、それぞれ異なる画像検出特性を有する複数のカメラを組み合わせることができる。すなわち、例えば、望遠特性を有するカメラと、広角特性を有するカメラとを組み合わせることができる。
【0022】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、少なくとも2つのカメラは、少なくとも2つのそれぞれ異なる視野をカバーする。これによって、一方では、特に有利には、複数の異なる視野角度をただ1つのカメラアームから複数のカメラによってカバーすることが可能となる。他方で、特に有利には、それぞれ異なる画像検出特性を有する複数のカメラを組み合わせることができる。すなわち、例えば、遠くまで、場合によっては地平線まで到達する狭い画像領域のための望遠特性を有するカメラと、広い画像領域のための広角特性を有するカメラとを組み合わせることができる。
【0023】
2つ以上のカメラを有しており、かつ少なくとも2つのカメラが、少なくとも2つのそれぞれ異なる画像領域をカバーするか、または少なくとも部分的に同じ1つの画像領域をカバーするという、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第2の構造要素が、少なくとも2つのカメラを有している。これによって、一方では、特に有利には、カメラが、車両から特に遠く離間されて配置される。他方では、これによってさらに、特に有利には、例えば保守作業時または修理作業時に第2の構造要素を交換することにより、少なくとも2つのカメラが一気に一度で交換されるようになる。
【0024】
2つ以上のカメラを有しており、かつ少なくとも2つのカメラが、少なくとも2つのそれぞれ異なる視野をカバーするか、または少なくとも部分的に同じ1つの視野をカバーするという、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第1の構造要素が少なくとも1つのカメラを有しており、第2の構造要素が少なくとも1つのカメラを有している。これによって、互いに非常に異なっている複数の画像領域を、少なくとも2つのカメラによってカバーすることが可能となるという特別な利点がもたらされる。
【0025】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第2の構造要素は、少なくとも1つのミラーを追加的に有している。これによって、特に有利には、例えば、ミラー代替システムの給電に関して問題が発生した場合、またはその他の誤動作が発生した場合に、緊急用にミラーを使用して、視認性を保証することが可能となる。
【0026】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、センサを追加的に有している。これによって、特に有利には、これらのセンサを、車両の、そうでなければアクセス不可能であった位置にも配置することが可能となる。なぜなら、カメラアームは、車両自体から突出しているからである。さらに、使用されるセンサは、例えば、特に有利には、そのようなアームに距離センサ、例えば超音波センサを配置して、衝突する可能性のある障害物が制御装置によって検出された際にこのアームを折り畳ませることによって、これらのセンサが装備されたカメラアームの機能の改善または拡張を可能にすることができる。このような距離警告装置は、例えば、乗用車の駐車補助装置として使用される超音波距離警告装置の形態で入手することができる。
【0027】
好ましくは、第2の構造要素が、1つまたは複数の追加的なセンサを有している。
【0028】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、通信装置を追加的に有している。これによって、特に有利には、このようにして装備されたカメラアームを、通信のために利用することを可能にすることができる。この文脈における通信装置は、例えば、ランプ、ライト、ライトインジケータおよび/またはスピーカおよび/またはマイクロフォンであり得る。
【0029】
好ましくは、第2の構造要素が、通信装置を有している。
【0030】
本明細書で提案されるカメラアームの特に有利な実施形態は、通信用の無線アンテナ、ポジションランプ、加熱素子、カメラレンズまたはカメラカバーをクリーニングするためのクリーニング装置、のうちの1つまたは複数の装置を追加的に有している。カメラアームに追加的な装置を配置することにより、装置の状況に応じて種々の利点がもたらされる。例えば、無線アンテナを配置することによって、特に有利には、アンテナの受信特性および送信特性の改善を可能にすることができる。加熱素子は、特に有利には、カメラまたはカメラアームに対する氷の付着防止または水の蓄積防止を提供することができる。カメラレンズまたはカメラカバーをクリーニングするためのクリーニング装置は、特に有利には、カメラの動作を改善することができる。ポジションライトは、特に有利には、カメラアームに配置され、これによって、特に有利には、カメラアームによって占められている位置に対して注意を向けることができる。
【0031】
好ましくは、第2の構造要素が、無線アンテナ、ポジションライト、加熱素子などのような追加的な装置を有している。
【0032】
無線アンテナを、例えばデジタル通信のために利用することができ、例えば、車車間通信もしくは路車間通信のために利用することができ、または移動体無線もしくはワイヤレスローカルエリアネットワーク接続のために利用することができ、またはDSRCのために利用することができ、またはNFCのために利用することができ、または移動体無線(例えば、GSM、UMTS、LTE、2G、3G、4G、5G、LTE light、2.5Gなど)のために利用することができ、またはGNSS信号および同様のシステム(例えば、Galileo、GPS、Glonass、Beidou、QZSS、GAGANなど)の信号を受信するために利用することができ、またはデジタルラジオDABを受信するために利用することができる。アンテナをカメラアームに組み込むことによって、受信の改善という特別な利点がもたらされる。
【0033】
通信用の無線アンテナは、例えばWiMAX、WiFi、NFC、またはBluetoothを介してインフラストラクチャまたは他の車両と通信するためのアンテナであってもよい。
【0034】
以下では、本発明を、図面に基づいてより詳細に説明する。図面では、同一または同様の要素には同じ参照記号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1の動作状態における、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図である。
図2図1と同一ではあるが(第1の動作状態とは異なる)第2の動作状態における、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図である。
図3】第1の動作状態における、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図である。
図4図3と同一ではあるが(第1の動作状態とは異なる)第2の動作状態における、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、第1の動作状態における、本発明によるカメラアーム100を示しており、この第1の動作状態では、カメラアームが展開された位置、すなわち、例えばカメラアーム100を配置可能な自動車の走行動作のための動作位置にある。ここでは、容積可変式の流体容器150が、流体157によって充填されており、カメラアーム100の第2の構造要素120は、第1の構造要素110から最大限の距離を取っている。示されている図では、第2の構造要素120に少なくとも2つのカメラ180と、2つの追加的なセンサ185とが配置されている。復元要素155は、ここでは大きく伸展されており、ばね、例えば渦巻きばねして形成されている。第1の構造要素110内には、流体弁112が配置されており、この流体弁112は、流体容器150内の流体157の量を変化させる際に使用される。図示の実施例では、容積可変式の流体容器150の壁は、伸展可能な材料、例えばエラストマ材料から形成することができる。これによって、流体157の量を変化させなくても、カメラアーム100にはわずかな柔軟性が備わっており、これによって、ロバスト性が向上する。図1に示すカメラアームは、ロールベローズ153を備えた流体容器150を有している。
【0037】
流体容器150の壁材料が損傷を受けて流体157が流出すると、復元要素155が、カメラアームの第1の構造要素110に向かってカメラアーム100の第2の構造要素120を引っ張る。なお、カメラアームの第1の構造要素110は、車両に、例えばキャビンに固定的に結合させることができる。したがって、この場合には、カメラアーム100は、アームが引っ込められている動作状態を取り、この動作状態を保護状態と呼ぶこともできる。しかしながら、この状態を、流体容器150の損傷が存在せずとも、流体157の量を変化させることによって達成することができる。
【0038】
図2は、そのような、カメラアーム100が引っ込められている状態、すなわち、第2の構造要素120が、カメラアーム100の第1の構造要素110にできるだけ密接して位置している状態を示している。図2は、図示されている状況が意図的に引き起こされたものであるのか、または流体容器150の損傷によって引き起こされたものであるのかは問わない。いずれの場合でも、流体容器150内の流体157の量は、同様に最小の状態である。この状況では、復元要素155は、完全に収縮している。すなわち、復元要素155が、第2の構造要素120を第1の構造要素110の方に引き寄せている。
【0039】
図1および2は、同一のカメラアームを示しており、図1は展開された状態、すなわち動作状態を示している。これに対して図2は、カメラアームの保護状態、すなわちカメラアームが引っ込められている状態を示している。
【0040】
図3および図4も同様に、1つは動作状態(図3)、もう1つは保護状態(図4)にある同一のカメラアームを示している。図3および4のカメラアームは、二重壁状であるという点で、図1および2に示されたカメラアーム100とは異なっている。図示の実施形態では、流体容器150は、この流体容器150が充填された状態において、流体が全体として円筒周壁の形状を有するように形成されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】