(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-508301(P2021-508301A)
(43)【公表日】2021年3月4日
(54)【発明の名称】自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム
(51)【国際特許分類】
B60R 1/00 20060101AFI20210205BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20210205BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20210205BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20210205BHJP
【FI】
B60R1/00 A
B60R1/06 K
H04N7/18 J
B60S1/62 110A
B60S1/62 120Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-534468(P2020-534468)
(86)(22)【出願日】2018年12月11日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2018084404
(87)【国際公開番号】WO2019121177
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】102017223716.3
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102018205848.2
(32)【優先日】2018年4月17日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ミーティヒ
【テーマコード(参考)】
3D025
3D053
5C054
【Fターム(参考)】
3D025AA04
3D025AC09
3D025AD11
3D025AD13
3D053FF11
3D053FF18
3D053FF29
3D053GG13
3D053HH01
3D053HH53
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3D053JJ20
3D053JJ27
3D053JJ37
3D053LL03
3D053LL37
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE05
5C054CF02
5C054CF06
5C054HA30
(57)【要約】
本発明は、自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム(100)であって、カメラアーム(100)は、カメラアーム(100)を自動車に結合させるための第1の構造要素と、少なくとも1つのカメラ(180)を有する第2の構造要素(120)とを有しており、第2の構造要素(120)は、第1の構造要素(110)に対して旋回可能である、カメラアーム(100)に関する。アタッチメントに対して、かつアタッチメントに配置された全ての要素、装置、およびモジュール、とりわけカメラに対して及ぼされる外部の有害な影響からの保護の改善を提供し、かつカメラの最適な画像領域を可能にするような、自動車のミラーの代替としてのカメラモニタシステムのカメラのためのアタッチメントを提供するために、第2の構造要素(120)と、第1の構造要素(110)とが、旋回機構(150)を介して互いに結合されており、旋回機構が、遊星歯車装置(151)を有するようにすることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアーム(100)であって、
当該カメラアーム(100)は、当該カメラアーム(100)を自動車に結合させるための第1の構造要素(110)と、少なくとも1つのカメラ(180)を有する第2の構造要素(120)とを有しており、
前記第2の構造要素(120)は、前記第1の構造要素(110)に対して旋回可能である、
カメラアーム(100)において、
前記第2の構造要素(120)と、前記第1の構造要素(110)とは、旋回機構(150)を介して互いに結合されており、
前記旋回機構は、遊星歯車装置(151)を有していることを特徴とする、カメラアーム(100)。
【請求項2】
前記第1の構造要素(110)と、前記第2の構造要素(120)とは、前記旋回機構によって互いに直接的に結合されている、請求項1記載のカメラアーム(100)。
【請求項3】
前記第2の構造要素(120)と、前記第1の構造要素(110)とは、2つ以上の旋回機構を介して互いに結合されている、請求項1記載のカメラアーム(100)。
【請求項4】
前記旋回機構は、前記カメラアーム(100)が、互いに平行でない少なくとも2つの軸線を中心にして旋回可能となるように構成されている、請求項3記載のカメラアーム(100)。
【請求項5】
前記カメラアーム(100)は、2つ以上のカメラ(180)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項6】
少なくとも2つの前記カメラ(180)は、少なくとも2つのそれぞれ異なる画像領域をカバーする、請求項5記載のカメラアーム(100)。
【請求項7】
前記第2の構造要素(120)が、少なくとも2つの前記カメラ(180)を有している、請求項5または6記載のカメラアーム(100)。
【請求項8】
前記第1の構造要素(110)が少なくとも1つのカメラ(180)を有しており、前記第2の構造要素(120)が少なくとも1つのカメラ(180)を有している、請求項5または6記載のカメラアーム(100)。
【請求項9】
前記第2の構造要素(120)は、少なくとも1つのミラーを追加的に有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項10】
前記カメラアーム(100)は、センサを追加的に有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項11】
前記カメラアーム(100)は、通信装置を追加的に有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項12】
前記カメラアーム(100)は、通信用の無線アンテナ、ポジションランプ、加熱素子、カメラレンズまたはカメラカバーをクリーニングするためのクリーニング装置、のうちの1つまたは複数の装置を追加的に有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項13】
前記カメラアーム(100)は、所定の動作位置でロック可能である、請求項1から12までのいずれか1項記載のカメラアーム(100)。
【請求項14】
前記ロックは、前記カメラアーム(100)が風および走行風によって加えられた力に耐久可能となるように、ただし、比較的大きな力が加えられると前記カメラアーム(100)が前記動作位置から移動することが許可されるように構成されている、請求項13記載のカメラアーム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの遊星歯車装置を備えた旋回機構を有している、自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転者に後方視界を提供するバックミラーは、自動車に常に存在するものであり、法律によって規定されている。将来的には、通常のバックミラーは、カメラモニタシステムに取って代わられるであろう。この場合、後方視界は、カメラによって撮影された画像が自動車の運転者に対してモニタ上に表示されることによって提供される。このようなカメラベースのミラー代替システムを商用車のために使用する場合には、カメラを車体に直接的に取り付けるのではなく、車体から離間させることが有用である。すなわち、公知のバックミラーは、車体から一定の距離を有している。これによって例えば、有利な視認領域が提供される。ミラーと車体との間の距離は、通常は5cmから数10cmのオーダーであるが、例えば、振り出しが大きい多重連結車両、重量車、農業機械、鉱山車両、および鉱山機械の場合には、視認領域を特に広くするために80cmとなっている。したがって、カメラベースのミラー代替システムのカメラを、とりわけアウトサイドミラーまたはサイドミラーの代替として車両に配置する場合には、これらのカメラもまた、車体から離間させて配置することが望ましい。このために、例えば車両キャビンに取り付けることができるカメラアームを使用することができる。
【0003】
カメラが固定的に配置されている場合には、機械的な構造物に対して、カメラに対して、および、カメラと共にカメラアームに配置されているその他のモジュール、要素、ならびに装置に対して、全ての側からの力、衝突負荷、および衝撃負荷のような外部の有害な影響に対する十分な保護が提供されない。固定的なアタッチメントは、機械的な力作用による潜在的な損傷作用に対して脆弱である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、アタッチメントまたはカメラアームに対して、かつアタッチメントまたはカメラアームに配置された全ての要素、装置、およびモジュール、とりわけカメラに対して及ぼされる外部の有害な影響からの保護の改善を提供し、かつカメラの最適な画像領域を可能にするような、自動車のミラーの代替としてのカメラモニタシステムのカメラのための(カメラアームの形態の)アタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、請求項1記載のカメラアームによって解決される。本発明の概念の実施形態および発展形態は、従属請求項の対象である。
【0006】
本明細書で提案される、自動車のためのカメラベースのミラー代替システムのカメラアームは、カメラアームを自動車に結合させるための第1の構造要素と、少なくとも1つのカメラを有する第2の構造要素とを有しており、第2の構造要素は、第1の構造要素に対して旋回可能である。本明細書で提案されるカメラアームは、第2の構造要素と、第1の構造要素とが、旋回機構を介して互いに結合されており、旋回機構が、遊星歯車装置を有することを特徴とする。例えば、第2の構造要素は、第1の構造要素に対して、位置固定された軸線を中心にして旋回可能になっているのではない。好ましくは、旋回機構は、第1の構造要素に対する第2の構造要素の旋回移動がサイクロイド曲線に従うように構成されている。
【0007】
特別な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0008】
画像領域、視認領域、視界、および視野という用語は、同義語として理解されるべきである。すなわち、カメラの視認領域は、カメラが「視認」する領域を表す。カメラは、この領域を画像の形態で転送する。したがって、画像領域は、視認領域から生じる。このカメラの視認領域は、視界にも対応している。視界は、いずれにしても視野と同義である。視野角度は、視野を画定する角度として理解することができる。視野角度は、パースペクティブ(perspective)の同義語でもある。
【0009】
特に有利な実施形態では、カメラアームの第1の構造要素と、第2の構造要素とが、旋回機構によって互いに直接的に結合されており、すなわち、旋回機構は、カメラアームの第1の構造要素と、第2の構造要素との間の連結部を形成している。この構成によって特に有利には、さらなるパーツを省略することが可能となり、これによって、カメラアームのコストおよび質量を低減し、構造をコンパクトにすることが可能となる。
【0010】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第2の構造要素と、第1の構造要素とは、2つ以上の旋回機構を介して互いに結合されている。すなわち、このようなカメラアームは、例えば、複数の旋回機構を有することができる。これは、例えば、2つ以上の遊星歯車装置を意味する。あるいは、遊星歯車装置と、遊星歯車装置ではない旋回機構、例えばボールジョイントまたはアキシャルジョイントを備えた旋回機構とを有する組み合わせでもよい。この実施形態は、特に有利には、このようなカメラアームの可動性を拡張することを可能にする。
【0011】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第2の構造要素と、第1の構造要素とは、旋回機構と、追加的な構造要素とを介して互いに結合されている。追加的な構造要素を使用することによって、特に有利には、カメラアームを種々のやり方で車両に取り付けることが可能となり、比較的広範囲な設置場所に適するようになる。
【0012】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、旋回機構は、カメラアームが、互いに平行でない少なくとも2つの軸線を中心にして旋回可能となるように構成されている。これによって特に有利には、カメラアームは、三次元で移動することが可能となり、三次元から作用する有害な力作用を回避することが可能となるので、このような力作用に対して脆弱ではなくなる。互いに平行でない軸線を有する2つの旋回機構が装備されたカメラアームは、車両から垂直方向に、かつ進行方向を横断する方向に延在している場合、すなわち、このカメラアームの長手軸線が車両キャビンの壁に対して垂直である場合には、少なくとも2つの旋回機構を介してアームを全体的に畳み込むことによって、例えば、長手軸線に沿って発生する力を吸収することができる。すなわち、例えば、第2の構造要素に配置可能なそのようなカメラアームの、車両から最も遠く離れた点が、キャビンの壁により近づけられる。第1の旋回機構が、垂直軸線を中心とした旋回動作または水平平面上での旋回動作を許可する場合には、例えば、この第1の旋回機構においてアームが旋回することにより、第1の旋回機構は、カメラアームの第2の構造要素において走行方向に対して平行に発生する外部の力に耐久することができる。第1の旋回機構は、この平面に対して垂直方向に発生する力には屈することができない可能性がある。しかしながら、第2の旋回機構が、第1の旋回機構の旋回軸線に対して平行でない軸線を中心にして、すなわち、第1の旋回機構の移動平面に対して平行でない平面上で旋回することができるので、アームは、第2の旋回機構のおかげで、この方向に発生する力にも屈することが可能となる。したがって、これによって全体としてさらに、特に有利には、種々の外部の力作用に対するカメラアームのロバスト性が間接的に増加し、その結果、この外部の力作用による損傷作用が最小限に抑えられる。
【0013】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、2つ以上のカメラを有している。これによって、一方では、ただ1つの視野をカバーすることを企図した場合に、画像内容に関して追加的な情報、例えば深度情報を得ることが可能となるという特別な利点がもたらされる。他方で、特に有利には、それぞれ異なる画像検出特性を有する複数のカメラを組み合わせることができる。すなわち、例えば、望遠特性を有するカメラと、広角特性を有するカメラとを組み合わせることができる。
【0014】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、少なくとも2つのカメラは、少なくとも2つのそれぞれ異なる視野をカバーする。これによって、一方では、特に有利には、複数の異なる視野角度をただ1つのカメラアームから複数のカメラによってカバーすることが可能となる。他方で、特に有利には、それぞれ異なる画像検出特性を有する複数のカメラを組み合わせることができる。すなわち、例えば、遠くまで、場合によっては地平線まで到達する狭い画像領域のための望遠特性を有するカメラと、広い画像領域のための広角特性を有するカメラとを組み合わせることができる。
【0015】
2つ以上のカメラを有しており、かつ少なくとも2つのカメラが、少なくとも2つのそれぞれ異なる画像領域をカバーするか、または少なくとも部分的に同じ1つの画像領域をカバーするという、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第2の構造要素が、少なくとも2つのカメラを有している。これによって、一方では、特に有利には、カメラが、車両から特に遠く離間されて配置される。他方では、これによってさらに、特に有利には、例えば保守作業時または修理作業時に第2の構造要素を交換することにより、少なくとも2つのカメラが一気に一度で交換されるようになる。
【0016】
2つ以上のカメラを有しており、かつ少なくとも2つのカメラが、少なくとも2つのそれぞれ異なる視野をカバーするか、または少なくとも部分的に同じ1つの視野をカバーするという、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第1の構造要素が少なくとも1つのカメラを有しており、第2の構造要素が少なくとも1つのカメラを有している。これによって、互いに非常に異なっている複数の画像領域を、少なくとも2つのカメラによってカバーすることが可能となるという特別な利点がもたらされる。
【0017】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、第2の構造要素は、少なくとも1つのミラーを追加的に有している。これによって、特に有利には、例えば、ミラー代替システムの給電に関して問題が発生した場合、またはその他の誤動作が発生した場合に、緊急用にミラーを使用して、視認性を保証することが可能となる。
【0018】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、センサを追加的に有している。これによって、特に有利には、これらのセンサを、車両の、そうでなければアクセス不可能であった位置にも配置することが可能となる。なぜなら、カメラアームは、車両自体から突出しているからである。さらに、使用されるセンサは、例えば、特に有利には、そのようなアームに距離センサ、例えば超音波センサを配置して、衝突する可能性のある障害物が制御装置によって検出された際にこのアームを折り畳ませることによって、これらのセンサが装備されたカメラアームの機能の改善または拡張を可能にすることができる。このような距離警告装置は、例えば、乗用車の駐車補助装置として使用される超音波距離警告装置の形態で入手することができる。
【0019】
好ましくは、第2の構造要素が、1つまたは複数の追加的なセンサを有している。
【0020】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、通信装置を追加的に有している。これによって、特に有利には、このようにして装備されたカメラアームを、通信のために利用することを可能にすることができる。この文脈における通信装置は、例えば、ランプ、ライト、ライトインジケータおよび/またはスピーカおよび/またはマイクロフォンであってよい。
【0021】
好ましくは、第2の構造要素が、通信装置を有している。
【0022】
本明細書で提案されるカメラアームの特に有利な実施形態は、通信用の無線アンテナ、ポジションランプ、加熱素子、カメラレンズまたはカメラカバーをクリーニングするためのクリーニング装置、のうちの1つまたは複数の装置を追加的に有している。カメラアームに追加的な装置を配置することにより、装置の状況に応じて種々の利点がもたらされる。例えば、無線アンテナを配置することによって、特に有利には、アンテナの受信特性および送信特性の改善を可能にすることができる。加熱素子は、特に有利には、カメラまたはカメラアームに対する氷の付着防止または水の蓄積防止を提供することができる。カメラレンズまたはカメラカバーをクリーニングするためのクリーニング装置は、特に有利には、カメラの動作を改善することができる。ポジションライトは、特に有利には、カメラアームに配置され、これによって、特に有利には、カメラアームによって占められている位置に対して注意を向けることができる。
【0023】
好ましくは、第2の構造要素が、無線アンテナ、ポジションライト、加熱素子などのような追加的な装置を有している。
【0024】
無線アンテナを、例えばデジタル通信のために利用することができ、例えば、車車間通信もしくは路車間通信のために利用することができ、または移動体無線もしくはワイヤレスローカルエリアネットワーク接続のために利用することができ、またはDSRCのために利用することができ、またはNFCのために利用することができ、または移動体無線(例えば、GSM、UMTS、LTE、2G、3G、4G、5G、LTE light、2.5Gなど)のために利用することができ、またはGNSS信号および同様のシステム(例えば、Galileo、GPS、Glonass、Beidou、QZSS、GAGANなど)の信号を受信するために利用することができ、またはデジタルラジオDABを受信するために利用することができる。アンテナをカメラアームに組み込むことによって、受信の改善という特別な利点がもたらされる。
【0025】
通信用の無線アンテナは、例えばWiMAX、WiFi、NFC、またはBluetoothを介してインフラストラクチャまたは他の車両と通信するためのアンテナであってもよい。
【0026】
本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態は、所定の動作位置でロック可能である。これによって、特に有利には、カメラアームを、例えば走行動作のための位置に確実にロックすることが可能となる。
【0027】
カメラアームが、所定の動作位置でロック可能であるという、本明細書で提案されるカメラアームのさらなる特に有利な実施形態では、ロックは、カメラアームが風および走行風によって加えられた力に耐久可能となるように、ただし、比較的大きな力が加えられるとカメラアームが動作位置から移動することが許可されるように構成されている。これによって、特に有利には、カメラアームは、通常の走行動作中には動作位置に留まるが、衝突またはその他の有害な外部の力作用の発生時には回避を行い、これによって損傷作用が最小限に抑えられる。
【0028】
以下では、本発明を、図面に基づいてより詳細に説明する。図面では、同一または同様の要素には同じ参照記号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1の移動状態における、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図である。
【
図2】
図1と同一ではあるが(第1の移動状態とは異なる)第2の移動状態における、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、遊星歯車装置151を備えた旋回機構を有する、本発明によるカメラアーム100の例示的な実施形態の断面図を示している。
【0031】
図1は、第1の移動状態における、本発明によるカメラアーム100を示しており、この第1の移動状態では、カメラアームは、展開された位置、すなわち、例えばカメラアーム100を配置可能な自動車の走行動作のための動作位置にある。
【0032】
この実施形態では、第1の構造要素110は、内側歯列112が設けられた切欠部を有している。第1の構造要素110はさらに、第1の回転軸受、すなわち、内部に収容されている要素が第1の回転軸線153を中心にして回転することを可能にする軸受を有している。第1の回転軸受のこの第1の回転軸線153は、内側歯列112と同軸上に配置されている。この第1の回転軸受には、遊星歯車装置151の回転盤155が収容されており、この回転盤155は、第1の回転軸線153を中心にして第1の構造要素110に対して回転可能であり、第2の回転軸線157を備えた第2の回転軸受を有している。第2の回転軸線157は、第2の回転軸受の回転軸線である。第2の回転軸線157は、偏心しており、すなわち、第1の回転軸線153に対してオフセットされて回転盤155に配置されている。カメラアーム100の第2の構造要素120は、外側歯列を備えた歯車122を有している。第2の構造要素120は、歯車122の回転軸線が第2の回転軸線157と同軸上に位置するように、回転盤155に配置されている。それと同時に、歯車122を備えた第2の構造要素120と、回転盤155と、内側歯列112を備えた第1の構造要素110とは、歯車122の歯が内側歯列112に噛み合うように、かつ逆も同様となるように配置されている。
【0033】
言い換えると、内側歯列112を備えた第1の構造要素110の切欠部と、この切欠部の内部で同軸上に支持されている回転盤155とが、回転盤155に偏心的に支持されている第2の構造要素120および歯車122と一緒に、1つの遊星歯車装置151を形成しており、この遊星歯車装置151は、旋回機構として、第2の構造要素120が第1の構造要素110に対して旋回することを可能にする。
【0034】
この場合には、例えば回転盤155に、このシャフトが第2の回転軸線157と同軸上に位置するように、つまり、回転盤155に対して偏心的に位置するように、ひいては、回転軸受として使用可能となるように、シャフトを配置することができる。図示の実施例では、歯車122は、このシャフトを介して第2の回転軸線157上に収容されることができる。
【0035】
遊星歯車装置151は、内側歯列112と、外側歯列を備えた歯車122と、回転盤155とを有する伝動部分を介して、第1の回転軸線153および第2の回転軸線157を中心とした組み合わせ運動を仲介する。
【0036】
例えば、第2の構造要素120は、歯車122と一体に構成されている。別の例では、第2の構造要素120と歯車122とを別個に製造してもよく、製造後に、例えば溶接、接着、ねじ留め、またはその他の一般的な結合技術によって堅固に結合させてもよい。
【0037】
図示の例示的な実施形態では、第2の構造要素120は、2つのカメラ180を有している。好ましくは、これら2つのカメラ180は、それぞれ異なる視野角度および/または画像領域を撮影する。
【0038】
カメラアーム100の第1の構造要素110は、接触面111を有しており、この接触面111は、カメラアームが自動車に取り付けられているときに自動車に接触する。
【0039】
図2は、別の第2の移動状態における、本発明によるカメラアーム100の同一の実施形態を示している。ここでは、第2の構造要素120は、第1の構造要素110の、自動車に接触可能な接触面111に対して平行な位置にある。例えば、先行する段落で説明したように、カメラアーム100の
図1に示した移動状態から開始して第2の構造要素120に外部の力が作用することよって、
図2に示した移動状態を達成することができる。
【0040】
例えば、第2の構造要素120に外部の力が作用し、第1の構造要素に対して第2の構造要素120を、
図1および2に示した見方で時計回りに延在する第1の回転方向270へと移動させると、第1の構造要素110に対する、第2の構造要素120のこの移動に伴って直接的に、内側歯列112に対する、歯車122の移動が生じる。なぜなら、歯車122が第2の構造要素120に堅固に結合されており、内側歯列112が第1の構造要素110の切欠部内に配置されているからである。したがって、内側歯列112に対する歯車122の回転移動は、結果的に、内側歯列112上での歯車122の転がり移動を生じさせ、この転がり移動において、今度はこの歯車122が、第1の構造要素110に対して回転盤155を回転させる。なぜなら、第2の回転軸線157上の歯車122は、偏心的に回転盤155に配置されているからである。これは、つまり、第2の回転軸線157は、第1の構造要素110に対して、
図1および2に示した見方で反時計回りに延在する第2の回転方向277へと移動するということを意味する。第1の回転方向270は、常に、第2の回転方向277とは逆向きである。
【0041】
第2の移動状態は、例えば、本発明によるカメラアームの折り畳み位置に対応しており、このような折り畳み位置は、例えば、本発明によるカメラアーム100が装備された車両が狭幅な状態で走行している際に、障害物との衝突を回避するために取ることができる。これは、例えば、折り畳まれた動作位置である。他方で、そのような移動状態は、さほど動作のためではない位置を表すこともでき、例えば、非動作中の駐車車両を表すこともできる。例えば、
図2に示した移動状態は、カメラアームと障害物との衝突、およびその結果としてのカメラアームの回避移動の結果としても取ることができる。
【国際調査報告】