(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-508589(P2021-508589A)
(43)【公表日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】汚泥の酸化とその後の水熱炭化
(51)【国際特許分類】
C02F 11/08 20060101AFI20210212BHJP
【FI】
C02F11/08ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-533243(P2020-533243)
(86)(22)【出願日】2018年12月11日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月17日
(86)【国際出願番号】SE2018051291
(87)【国際公開番号】WO2019125275
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】1751623-8
(32)【優先日】2017年12月21日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517456923
【氏名又は名称】シー − グリーン テクノロジー エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルンドクビスト、フレドリク
(72)【発明者】
【氏名】オーデン、エリク
(72)【発明者】
【氏名】エーマン、フレドリク
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059AA08
4D059BC01
4D059BK30
4D059CC03
4D059DA47
4D059EB01
4D059EB06
4D059EB11
4D059EB16
(57)【要約】
汚泥の水熱炭化の方法であって、a)汚泥を予熱して予熱された汚泥を得る工程と、b)予熱された汚泥に酸化剤を添加する工程と、c)工程b)からの汚泥を反応器内で水熱炭化(HTC)に供して、HTC処理された汚泥を得る工程とを含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥の水熱炭化の方法であって、
a)前記汚泥を予熱して予熱された汚泥を得る工程と、
b)前記予熱された汚泥に酸素ガスなどの酸化剤を添加する工程と、
c)工程b)からの前記汚泥を反応器中で水熱炭化(HTC)処理に供して、HTC処理された汚泥を得る工程と
を含む方法。
【請求項2】
d)工程c)からの前記HTC処理された汚泥をフラッシングに供して、少なくとも1つの蒸気部分および冷却部分を得る工程をさらに含み、前記少なくとも1つの蒸気部分は工程a)の前記予熱に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記汚泥は、工程b)と工程c)の間で湿式酸化用反応器を通過する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記湿式酸化用反応器の体積は、工程c)の前記反応器の体積よりも小さい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記湿式酸化用反応器の体積は、工程c)の前記反応器の体積の10〜50%である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記湿式酸化用反応器の体積は、工程c)の前記反応器の体積の20〜40%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記汚泥は、廃水処理プラントからの都市汚泥または工業汚泥である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程c)における前記HTC処理された汚泥の温度は、180〜250℃、好ましくは180〜230℃、より好ましくは190〜225℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程c)における前記HTC処理された汚泥の温度は、工程b)において前記酸化剤が添加された前記予熱された汚泥の温度よりも少なくとも20℃高い、好ましくは少なくとも30℃高い、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程b)において前記酸化剤が追加される前記予熱された汚泥の温度は、145〜195℃、例えば150〜190℃、好ましくは165〜190℃である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程c)の前記反応器における平均滞留時間は、0.25〜8時間、好ましくは0.5〜2時間である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程b)で添加される酸化剤の量は、湿式酸化反応が前記汚泥の高位発熱量(HHV)を5〜49%、好ましくは5〜20%、より好ましくは6〜15%減少させる量である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、汚泥、特に廃水処理プラントからの都市汚泥または工業汚泥の水熱炭化の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚泥は通常、地方自治体または工業廃水処理プラントで廃水処理をした後に残るものである。地方自治体の廃水処理プラントは都市からの廃水を処理し、一方、工業廃水処理プラントは様々な工業プロセス、例えばパルプおよび製紙工場、工業用食品生産施設などからの廃水を処理する。畜産、例えば大規模な養豚も、廃水および汚泥のかなりの発生源である。本開示の実施形態は、これらすべての分野で有用であろう。
【0003】
廃水処理の技術は一般的なレベルでは類似しているが、処理する廃水の流れの特性、基本設計、局所的な要件、環境への配慮に応じた特定の解決策が含まれている。スウェーデンの大規模なプラントにおいて、廃水処理プロセスは、多くの場合、機械的な前処理と、その後の一次(沈殿)および二次(好気)処理工程を含む。いくつかのケースでは、異なる形態の三次処理がまた、処理水中の残りの問題となる物質、例えば薬物残基、毒性の有機物質を除去するために施される。小規模なプラントでは、これらのステージのうちの1つ以上がしばしば省略され得る。
【0004】
使用中のほとんどすべての廃水処理プラントは、処理する必要がある汚泥を生成する。汚泥は、脱水後にプラントから直接回収される(好気性汚泥)か、またはバイオガス生産のためにまず嫌気的に処理され、そこで汚泥の一部が分解され、残りを嫌気性汚泥として回収する。
【0005】
世界中の廃水処理プラントは、毎年数億メートルトンの汚泥を生成し、その量は急速に成長している。スウェーデンでは、年間の乾燥固形物のトンで表した総汚泥量(tDS/y)は2010年に25万と報告されており、現在の数値はそれ以上であると推定されている。したがって、汚泥処理は社会にとって非常に大きな課題であり、現在の解決策はコストが高く、多くの場合、環境への悪影響も伴う。
【0006】
欧州連合は1986年から、廃水汚泥の処理と処分を規制するいくつかの指示を採用し、例えば、埋立地としての汚泥の使用、リンの回収、汚泥の焼却などの様々な局面に対処している。様々な指示が個々の加盟国内の国内法に反映され、例えばスウェーデンでは、2005年以降、埋立地での汚泥の処分が禁止されている。
【0007】
今日、廃水汚泥の主な用途は、農業および林業/造林における施肥、地盤建設プロジェクトのためのプラント土壌への混合および埋立地の被覆および復元、エネルギー回収による焼却、化学物質の回収と肥料の生産、そして最終的には埋立地であるが、汚泥が堆肥化などの特定の前処理を受けている場合である。
【0008】
エネルギー回収および煙道ガスと灰の適切な処理による、有害化学物質の破壊と重金属の安全な処理のための汚泥の焼却は、魅力的な代替手段として残っている。ただし、汚泥の正確な組成は、流入する廃水の組成と廃水処理プラントのタイプに依存している。高濃度の有機および/または生物学的成分を含む汚泥は、一般的に脱水することが困難である。含水率は非常に高いことが多いため、発電プラントで焼却した場合の正味の発熱量は非常に低いか、またはさらにはマイナスでさえあり、しばしば化石燃料であるサポート燃料の追加が必要になる場合がある。
【0009】
C−Green Technology ABは、水熱炭化(HTC:HydroThermal Carbonization)の工程を含む汚泥の処理プロセスを開発した。リンは、燃焼前のバイオ燃料から、または燃焼後の灰から抽出され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多くの水熱炭化(HTC)システムの運転には、例えば電気またはガスの形態の外部エネルギーの供給が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、HTC反応の前に予熱された汚泥に酸化剤を添加することにより、汚泥のHTC処理における外部エネルギーの連続供給の必要性を無くすことができることを見出した。酸化剤の添加は、汚泥の部分的な湿式酸化をもたらす。部分的な湿式酸化は発熱性であり、HTC反応の所望の温度に達するのに十分な熱を生成する。この単純な酸化形態は、実行するのが比較的簡単で安価である。
加熱されていない汚泥ではなく予熱された汚泥に酸化剤を添加する利点は、高温になるほどより速い湿式酸化プロセスをもたらすことである(湿式酸化への速度は温度に依存している)。120℃を超える温度では、高温になると汚泥内の酸素ガスの溶解度も増加し、これは湿式酸化をさらに促進する(酸素ガスが酸化剤の場合)。さらに、汚泥の粘度は高温で実質的に低くなり、酸化剤との効率的な混合が可能になる。
【0012】
したがって、汚泥の水熱炭化の方法であって、
a)汚泥を予熱して予熱された汚泥を得る工程と、
b)予熱された汚泥に酸化剤を添加する工程と、
c)工程b)からの汚泥を反応器内で水熱炭化(HTC)処理に供して、HTC処理された汚泥を得る工程とを含む方法が提供される。
【0013】
酸化剤は、好ましくは酸素ガスである。「酸素ガス」は、少なくとも80体積%の酸素、好ましくは少なくとも95体積%の酸素を含むガスを指す。したがって、工程b)の「酸素ガスの追加」は、空気の追加を網羅しない(空気の酸素含有量は21体積%しかないため)。空気の代わりに酸素ガスを使用する利点は、反応器に追加される不活性ガスがより少ないことである。別の利点は、より効率的な湿式酸化反応である。
【0014】
当業者によって理解されるように、本方法は連続的な方法である。
【0015】
工程b)で酸化剤が添加される予熱された汚泥の温度は、通常、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも145℃、例えば145〜195℃である。より好ましくは、それは、少なくとも150℃、例えば150〜190℃である。最も好ましくは、それは、少なくとも165℃、例えば165〜190℃である。
【0016】
本開示の汚泥は、好ましくは、廃水処理プラントからの都市汚泥または工業汚泥である。
【0017】
汚泥の乾燥固形分(「総固形分」とも呼ばれる)は、通常1〜35%、例えば2〜35%、例えば3〜32%である。汚泥が嫌気性汚泥の場合、乾燥固形分は通常13〜32%である。汚泥が好気性汚泥の場合、乾燥固形分は通常5〜15%である。灰分含有量は、汚泥の乾燥重量の通常10〜75%、例えば12〜50%、例えば30〜50%である。汚泥の高位発熱量(HHV)は、通常3.5〜21MJ/kg(乾燥重量)、例えば6〜17MJ/kg(乾燥重量)である。
【0018】
本開示の湿式酸化は、汚泥のHHV全体を消費しないという意味で部分的である。通常、それは汚泥のHHVの50%未満を消費し、好ましくは、汚泥のHHVの5〜20%、例えば6〜15%を消費する。工程b)で添加される酸化剤の量は、それに応じて適合され得る。
【0019】
本開示は、リン(P)の分離を促進する。したがって、本開示の汚泥は、好ましくはリンを、例えば汚泥の乾燥重量の0.5〜9%の量、例えば汚泥の乾燥重量の1〜9%、例えば汚泥の乾燥重量の1.5〜9%含む。
【0020】
さらに、処理された汚泥は湿式酸化プロセスの燃料として利用される。最終的なHTC石炭も、通常は燃料として使用される。したがって、本開示の汚泥は、好ましくは、炭素(C)を、例えば、汚泥の乾燥重量の9〜46%の量、例えば汚泥の乾燥重量の20〜46%含む。
【0021】
本開示の湿式酸化は、別個の反応器を必要としない。その代わりに、部分を酸化剤と、例えば酸素ガスミキサーを使用して混合すればよい。したがって、一実施形態では、工程c)の反応器とは別個の反応器は、酸化剤と予熱された汚泥との間の反応に使用されない。そのような一実施形態に必要な機器は、比較的単純であり、したがって安価であり得る。しかしながら、より良好なプロセス制御を達成するために、汚泥が工程b)と工程c)の間の湿式酸化用の反応器を通過することを可能にすることは有益であり得る。そのような反応器内での保持時間は、通常、工程c)の反応器内での保持よりも短い。例えば、湿式酸化用の反応器内での保持時間は10〜60分、例えば20〜40分とすることができる。したがって、湿式酸化用の反応器の体積は、通常、工程c)の反応器の体積よりも小さい。例えば、湿式酸化用の反応器の体積は、工程c)の反応器の体積の10〜50%、例えば20〜40%とすることができる。
【0022】
酸化剤が酸素ガスである場合、それは、本方法により処理される乾燥汚泥1トン当たり60〜260kg、好ましくは本方法により処理される乾燥汚泥1トン当たり100〜200kg、より好ましくは本方法により処理される乾燥汚泥1トン当たり110〜150kgの量で添加され得る。
【0023】
工程c)からのHTC処理汚泥は、フラッシング(flashing)により冷却され得る。このようなフラッシングは、好ましくは工程a)の予熱に使用される少なくとも1つの蒸気部分を提供する。一実施形態では、フラッシングは、工程a)の予熱における汚泥の連続加熱に使用される異なる温度の少なくとも2つ、例えば少なくとも3つの蒸気部分を提供する。
【0024】
そのような一実施形態では、
・工程c)からのHTC処理された汚泥をフラッシングに供して、冷却された部分と少なくとも1つの蒸気部分を得るフラッシング装置と、
・少なくとも1つの蒸気部分を工程a)の予熱用の予熱装置に送るための蒸気輸送装置とを含む装置を使用することができる。
【0025】
フラッシング装置は、異なる温度の蒸気部分を提供するために直列に配置された少なくとも2つ、例えば少なくとも3つのフラッシング容器を含むことができる。さらに、予熱装置は、直列に配置された少なくとも2つ、例えば少なくとも3つの蒸気ミキサー、例えばベンチュリミキサーを含むことができる。蒸気送達装置は、汚泥を段階的に予熱することができるように、フラッシング容器を蒸気ミキサーに接続することが好ましい。
【0026】
工程c)におけるHTC処理された汚泥の温度は、180〜250℃、好ましくは180〜230℃、より好ましくは190〜225℃である。
【0027】
汚泥を反応器内のHTC処理の温度に到達させるには予熱は不十分であるため、湿式酸化の工程が実行される。工程c)のHTC処理された汚泥の温度は、通常、工程b)で酸化剤が添加された予熱された汚泥の温度よりも少なくとも20℃高い(例えば、20〜65℃高い)、好ましくは少なくとも30℃高い(例えば、30〜65℃高い)。
【0028】
工程c)の反応器における平均滞留時間は、典型的には0.25〜8時間、好ましくは0.5〜2時間である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示に係る方法の異なる例示的な実施形態を示す。
【
図2】本開示に係る方法の異なる例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示に係る方法の第1の例示的な実施形態が
図1に概略的に示されている。汚泥は、地方自治体の廃水処理プラント、工業プロセス、または農業や畜産の施設であり得る発生源から受け取る(A)。汚泥は、プラントから直接、またはシステムの一部を形成する貯蔵タンクから受け取ることができる。汚泥は、典型的には、約30℃の初期温度と約30%の乾物含有量を有する。例えば同じプロセス/システムからの液体流による任意選択の初期加熱(図示せず)の後、汚泥は予熱装置101内で予熱される。予熱は、好ましくは、直列に配置された第1の蒸気ミキサー102、第2の蒸気ミキサー103、第3の蒸気ミキサー104などの蒸気の段階的追加により行われる。各蒸気ミキサー102、103、104の下流には、ポンプ102p、103p、104pが配置されている。予熱装置101の後、約175℃の温度を有する予熱された汚泥が得られる。
【0031】
酸素ガスは、予熱された汚泥の部分的な湿式酸化を達成するために、酸素ガスミキサー105内で予熱された汚泥に添加される。酸素ガスミキサーは、酸素タンク(図示せず)に接続されている。酸素ガスの量は、システムで処理される乾燥汚泥1トン当たり約130kgとすることができる。湿式酸化は瞬間的ではない。むしろ、汚泥が酸素ガスミキサー105の下流を流れるときに、それは進行しているであろう。
【0032】
酸素の添加後、汚泥は、汚泥の水熱炭化(HTC)のために反応器106に送られる。反応器106の上流セクションでは、湿式酸化反応が進行している可能性があり、これは、通常、反応器106の下流セクションよりも反応器106の上流セクションにおいて温度が低いことを意味する。反応器の下流セクションでは、温度は通常205〜215℃の範囲内である。
【0033】
反応器106からのHTC処理された汚泥は、フラッシング装置107でフラッシングに供され、フラッシング装置107は、予熱装置101で汚泥を予熱するために使用される少なくとも1つの蒸気部分を生成する。好ましくは、フラッシング装置107は、異なる温度の蒸気部分を生成するために直列に配置されたいくつかのフラッシング容器を含む。例えば、フラッシング装置107は、予熱装置101の第3の蒸気ミキサー104に送られる比較的高温の蒸気部分を生成する第1のフラッシング容器108と、予熱装置101の第2の蒸気ミキサー103に送られる中程度の温度の蒸気部分を生成する第2のフラッシング容器109と、予熱装置101の第1の蒸気ミキサー102に送られる比較的低温の蒸気部分を生成する第3のフラッシング容器110とを含むことができる。
【0034】
フラッシング装置107の下流で得られた冷却されたスラリーは、脱水され(図示せず)、少なくとも1つの液体流(流入する汚泥の初期の加熱および/または希釈に使用できる)およびHTC石炭を含む濃厚な部分が得られる。
【0035】
システム100は、プロセスをコールドスタートするために、電気ヒーターなどの外部熱を使用するヒーター111を含むことができる。ヒーター111は、好ましくは、酸素ガスミキサーの下流であるが、反応器106の上流に配置される。
【0036】
本開示に係るシステムの第2の例示的な一実施形態が
図2に概略的に示されている。汚泥は、地方自治体の廃水処理プラント、工業プロセス、または農業や畜産の施設であり得る発生源から受け取る(A)。汚泥は、プラントから直接、またはシステムの一部を形成する貯蔵タンクから受け取ることができる。汚泥は、典型的には、約30℃の初期温度と約30%の乾物含有量を有する。例えば同じプロセス/システムからの液体流による任意選択の初期加熱(図示せず)の後、汚泥は予熱装置101内で予熱される。予熱は、好ましくは、直列に配置された第1の蒸気ミキサー102、第2の蒸気ミキサー103、第3の蒸気ミキサー104などの蒸気の段階的追加により行われる。各蒸気ミキサー102、103、104の下流には、ポンプ102p、103p、104pが配置されている。予熱装置101の後、約175℃の温度を有する予熱された汚泥が得られる。
【0037】
酸素ガスは、予熱された汚泥の部分的な湿式酸化を達成するために、酸素ガスミキサー105内で予熱された汚泥に添加される。酸素ガスミキサーは、酸素タンク(図示せず)に接続されている。酸素ガスの量は、システムで処理される乾燥汚泥1トン当たり約130kgである。湿式酸化は瞬間的ではない。したがって、酸素ガスミキサー105の下流に湿式酸化用の反応器112が配置される。このような反応器112内での汚泥の滞留時間は、約30分とすることができ、これは湿式酸化反応に十分であると考えられる。
【0038】
湿式酸化用の反応器112からの湿式酸化された汚泥の温度は、通常200〜215℃である。この湿式酸化された汚泥は、汚泥の水熱炭化(HTC)用の反応器106に送られる。温度は、発熱反応(例えば、HTC反応および場合によっては残留酸素による酸化)および熱損失のために、HTC反応器106の異なる位置の間でわずかに変動する可能性がある。HTC反応器106内の汚泥の保持時間は、約1.5時間、すなわち湿式酸化用の反応器112内での保持時間よりも約3倍長くすることができる。したがって、HTC反応器の体積は、湿式酸化用の反応器106の体積よりも3倍大きくすることができる。
【0039】
反応器106からのHTC処理された汚泥は、フラッシング装置107でフラッシングに供され、フラッシング装置107は、予熱装置101で汚泥を予熱するために使用される少なくとも1つの蒸気部分を生成する。好ましくは、フラッシング装置107は、異なる温度の蒸気部分を生成するために直列に配置されたいくつかのフラッシング容器を含む。例えば、フラッシング装置107は、予熱装置101の第3の蒸気ミキサー104に送られる比較的高温の蒸気部分を生成する第1のフラッシング容器108と、予熱装置101の第2の蒸気ミキサー103に送られる中程度の温度の蒸気部分を生成する第2のフラッシング容器109と、予熱装置101の第1の蒸気ミキサー102に送られる比較的低温の蒸気部分を生成する第3のフラッシング容器110とを含むことができる。
【0040】
フラッシング装置107の下流で得られた冷却されたスラリーは、脱水され(図示せず)、少なくとも1つの液体流(流入する汚泥の初期の加熱および/または希釈に使用できる)およびHTC石炭を含む濃厚な部分が得られる。
【0041】
システム100は、プロセスをコールドスタートするために、電気ヒーターなどの外部熱を使用するヒーター111を含むことができる。ヒーター111は、好ましくは、酸素ガスミキサーの下流であるが、反応器106の上流に配置される。
【国際調査報告】