特表2021-509553(P2021-509553A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハーマン インターナショナル インダストリーズ, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2021-509553遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム
<>
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000003
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000004
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000005
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000006
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000007
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000008
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000009
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000010
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000011
  • 特表2021509553-遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-509553(P2021-509553A)
(43)【公表日】2021年3月25日
(54)【発明の名称】遠端電気通信のための車室内音響雑音消去システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20210226BHJP
【FI】
   H04R3/00 320
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-533259(P2020-533259)
(86)(22)【出願日】2018年12月31日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月17日
(86)【国際出願番号】IB2018060741
(87)【国際公開番号】WO2019130282
(87)【国際公開日】20190704
(31)【優先権主張番号】62/612,252
(32)【優先日】2017年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/613,206
(32)【優先日】2018年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512168283
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウィントン, ライリー
(72)【発明者】
【氏名】ルドヴィグ, クリス
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲンセン, ゴルム ハ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴラー, ラルス
(72)【発明者】
【氏名】リドルフ, モーテン
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220BA06
5D220BB03
5D220BC05
5D220DD03
(57)【要約】
車両内雑音消去システムは、遠端ユーザ経験を最適化し得る。雑音消去システムは、車両からのリアルタイム音響入力と共に、電気通信デバイスからのマイクロフォンを組み込んでもよい。車両に装着された小型の組み込みマイクロフォンからの音声信号は、車両内の1つ以上の望ましくない音源からの音響エネルギーを効果的にキャンセルするよう、送出電気通信信号へと処理及び混合され得る。複数のマイクロフォンは、ヘッドレストに装着されてもよく、特定のゾーンからの音を抑制し得るように、1つ以上の聞き取りゾーンからの入来音の方向の指示を与えるよう、1つ以上の方向に間隔を空けられてもよい。組み込みマイクロフォンによって捕捉された望ましくない雑音は、雑音消去システムへの直接入力として使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する雑音消去システムであって、
第1のヘッドレストに装着され、縦方向に間隔を空けられた少なくとも2つのマイクロフォンを有する少なくとも1つのマイクロフォンアレイであって、前記2つのマイクロフォンを分離する距離は、少なくとも第1の聞き取りゾーン及び第2の聞き取りゾーンを生成し、前記第2の聞き取りゾーンは、前記第1の聞き取りゾーンに対して前記縦方向に方向付けられる、前記少なくとも1つのマイクロフォンアレイと、
前記少なくとも1つのマイクロフォンアレイからの音を示すマイクロフォン信号を受信し、
前記マイクロフォン信号に基づいて、前記音が前記第1の聞き取りゾーンまたは前記第2の聞き取りゾーンから受信されるかどうかを識別するようプログラムされたデジタルシグナルプロセッサと、
を備える、前記雑音消去システム。
【請求項2】
前記マイクロフォンは、前記第1の聞き取りゾーン内に位置付けられ、前記デジタルシグナルプロセッサは、前記第2の聞き取りゾーンから受信された音を抑制するよう更にプログラムされている、請求項1に記載の雑音消去システム。
【請求項3】
前記第2の聞き取りゾーンは、前記第1の聞き取りゾーンの後方である、請求項2に記載の雑音消去システム。
【請求項4】
前記音が前記第1の聞き取りゾーンまたは前記第2の聞き取りゾーンから受信されるかどうかを識別するようプログラムされた前記デジタルシグナルプロセッサは、
前記2つのマイクロフォンからの前記マイクロフォン信号を比較し、
前記2つのマイクロフォンの各々における前記マイクロフォン信号の到達時間差に基づいて、前記第1の聞き取りゾーンまたは前記第2の聞き取りゾーンのいずれかからの前記音の方向を特定するようプログラムされている、請求項1に記載の雑音消去システム。
【請求項5】
前記マイクロフォンは、無指向性である、請求項1に記載の雑音消去システム。
【請求項6】
前記マイクロフォンは、前記第1のヘッドレストのインボード側面上に位置する、請求項1に記載の雑音消去システム。
【請求項7】
前記マイクロフォンは、前記第1のヘッドレストの底面上に位置する、請求項1に記載の雑音消去システム。
【請求項8】
前記2つのマイクロフォンは更に、前記車両に対して横方向に分離され、前記第1の聞き取りゾーンは、相互に横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含む、請求項7に記載の雑音消去システム。
【請求項9】
前記デジタルシグナルプロセッサは、前記聞き取りサブゾーンのうちの1つから受信された音を抑制するよう更にプログラムされている、請求項8に記載の雑音消去システム。
【請求項10】
少なくとも2つのマイクロフォンを含む第2のマイクロフォンアレイを更に備え、前記少なくとも2つのマイクロフォンは、前記第1のヘッドレストの横に隣接して第2のヘッドレストの底面に装着され、前記第2のヘッドレスト内の前記2つのマイクロフォンは、前記縦方向及び前記横方向の両方に間隔を空けられる、請求項7に記載の雑音消去システム。
【請求項11】
バックミラーアセンブリに装着された少なくとも2つのマイクロフォンを含む第2のマイクロフォンアレイを更に備え、前記少なくとも2つのマイクロフォンは、前記車両に対して横方向に間隔を空けられる、請求項1に記載の雑音消去システム。
【請求項12】
前記バックミラーアセンブリ内の前記少なくとも2つのマイクロフォンは、前記第1の聞き取りゾーンが前記車両に対して前記横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含むような指向性マイクロフォンである、請求項11に記載の雑音消去システム。
【請求項13】
車両と関連付けられた通信システムに対するマイクロフォンアレイであって、前記マイクロフォンアレイは、
ヘッドレストの外面に隣接して装着された第1のマイクロフォンと、
前記ヘッドレストの前記外面に隣接して装着され、前記第1のマイクロフォンから縦方向に間隔を空けられた第2のマイクロフォンと、を備え、
少なくとも縦の距離は、前記車両に対して縦方向に方向付けられた少なくとも第1の聞き取りゾーン及び第2の聞き取りゾーンを生成するよう、前記第1のマイクロフォンを前記第2のマイクロフォンから分離する、
前記マイクロフォンアレイ。
【請求項14】
前記第1のマイクロフォン及び前記第2のマイクロフォンは、無指向性マイクロフォンである、請求項13に記載のマイクロフォンアレイ。
【請求項15】
前記第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、前記ヘッドレストのインボード側面上に位置する、請求項13に記載のマイクロフォンアレイ。
【請求項16】
前記第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、第1のヘッドレストの底面上に位置する、請求項13に記載のマイクロフォンアレイ。
【請求項17】
前記第1のマイクロフォン及び前記第2のマイクロフォンは更に、前記第1の聞き取りゾーンが前記車両に対して横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含むように横の距離だけ分離される、請求項16に記載のマイクロフォンアレイ。
【請求項18】
通信システムを有する車両に対するヘッドレストであって、
外面を有するヘッドレスト本体と、
請求項13に記載の前記マイクロフォンアレイと、
を備える、前記ヘッドレスト。
【請求項19】
前記外面は、インボード側面を含み、前記第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、前記インボード側面に装着される、請求項18に記載のヘッドレスト。
【請求項20】
前記外面は、底面を含み、前記第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、前記底面に装着される、請求項18に記載のヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体を参照することによってその開示が以下に組み込まれる、2017年12月29に出願された米国仮特許出願第62/612,252号、及び2018年1月3日に出願された米国仮特許出願第62/613,206号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、電気通信システムの遠端ユーザにおいて車両から車室内雑音を消去するシステム及びマイクロフォンヘッドレスト構成に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の車両車室音響は、車室内で発生するいずれかの音が全体的に1つの雑音刺激として感知されると断定する。干渉源の一般的な実施例は、道路の雑音、風の雑音、乗客の発話、及び多媒体の内容を含む。それらの雑音源の存在は、発話の明瞭度、信号対雑音比、及び主観的な通話品質を減少させることによって発話の感知を複雑にする。近端参加者(すなわち、音源車両の運転者または他の占有者)に対して電気通信経験を改善する多くの現代の技術が存在するが、電気通信の遠端参加者に対して通話品質を改善しようとはしてこなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つ以上のコンピュータのシステムは、システムにアクションを実行させるよう動作し、またはシステムにアクションを実行させる、システムにインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせを有することによって特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されるとき、装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。1つの全体的な態様は、第1のヘッドレストに装着され、縦方向に間隔を空けられた少なくとも2つのマイクロフォンを有する少なくとも1つのマイクロフォンアレイを含む、車両に対する雑音消去システムを含み、2つのマイクロフォンを分離する距離は、少なくとも第1の聞き取りゾーン及び第2の聞き取りゾーンを生成し、第2の聞き取りゾーンは、第1の聞き取りゾーンに対して縦方向に方向付けられる。雑音消去システムは、少なくとも1つのマイクロフォンアレイからの音を示すマイクロフォン信号を受信し、マイクロフォン信号に基づいて、音が第1の聞き取りゾーンまたは第2の聞き取りゾーンから受信されるかどうかを識別するようプログラムされたデジタルシグナルプロセッサを更に含んでもよい。この態様の他の実施形態は、各々が方法のアクションを実行するように構成された、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ以上のコンピュータ記憶装置に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0005】
実装態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。マイクロフォンは、第1の聞き取りゾーン内に位置付けられてもよく、デジタルシグナルプロセッサは、第2の聞き取りゾーンから受信された音を抑制するよう更にプログラムされてもよい。第2の聞き取りゾーンは、第1の聞き取りゾーンの後部であってもよい。音が第1の聞き取りゾーンまたは第2の聞き取りゾーンから受信されるかどうかを識別するようプログラムされたデジタルシグナルプロセッサは、2つのマイクロフォンからのマイクロフォン信号を比較し、2つのマイクロフォンの各々におけるマイクロフォン信号の到達時間差に基づいて、第1の聞き取りゾーンまたは第2の聞き取りゾーンのいずれかからの音の方向を特定するようプログラムされてもよい。マイクロフォンは、無指向性であってもよい。マイクロフォンは、第1のヘッドレストのインボード側面上に位置してもよい。代わりに、マイクロフォンは、第1のヘッドレストの底面上に位置してもよい。2つのマイクロフォンは更に、車両に対して横方向に分離されてもよく、第1の聞き取りゾーンは、相互に横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含んでもよい。デジタルシグナルプロセッサは、聞き取りサブゾーンのうちの1つから受信された音を抑制するよう更にプログラムされてもよい。
【0006】
雑音消去システムは、少なくとも2つのマイクロフォンを含む第2のマイクロフォンアレイを更に含んでもよい。第2のマイクロフォンアレイ内のマイクロフォンは、第1のヘッドレストに横に隣接して第2のヘッドレストの底面に装着されてもよい。第2のヘッドレスト内の2つのマイクロフォンは、縦方向及び横方向の両方に間隔を空けられてもよい。
【0007】
雑音消去システムは、バックミラーアセンブリに装着された少なくとも2つのマイクロフォンを有する第2のマイクロフォンアレイを更に含んでもよい。第2のマイクロフォンアレイ内の少なくとも2つのマイクロフォンは、車両に対して横方向に間隔を空けられてもよい。バックミラーアセンブリ内の少なくとも2つのマイクロフォンは、第1の聞き取りゾーンが車両に対して横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含むような指向性マイクロフォンであってもよい。説明される技術の実装態様は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータアクセス可能媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでもよい。
【0008】
別の全体的な態様は、車両と関連付けられた通信システムに対するマイクロフォンアレイを含む。マイクロフォンアレイは、ヘッドレストの外面に隣接して装着された第1のマイクロフォンと、ヘッドレストの外面に隣接して装着され、第1のマイクロフォンから縦方向に間隔を空けられた第2のマイクロフォンと、を含んでもよい。少なくとも縦の距離は、車両に対して縦方向に方向付けられた少なくとも第1の聞き取りゾーン及び第2の聞き取りゾーンを生成するよう、第1のマイクロフォンを第2のマイクロフォンから分離してもよい。
【0009】
実装態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、無指向性マイクロフォンであってもよい。第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、ヘッドレストのインボード側面上に位置してもよい。代わりに、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、第1のヘッドレストの底面上に位置してもよい。第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは更に、第1の聞き取りゾーンが車両に対して横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含むように横の距離だけ分離されてもよい。別の全体的な態様は、外面を有するヘッドレスト本体と、マイクロフォンアレイと、を含む、通信システムを有する車両に対するヘッドレストを含んでもよい。マイクロフォンアレイは、ヘッドレストの外面に隣接して装着された第1のマイクロフォンと、ヘッドレストの外面に隣接して装着され、第1のマイクロフォンから縦方向に間隔を空けられた第2のマイクロフォンと、を含んでもよい。少なくとも縦の距離は、車両に対して縦方向に方向付けられた少なくとも第1の聞き取りゾーン及び第2の聞き取りゾーンを生成するよう、第1のマイクロフォンを第2のマイクロフォンから分離してもよい。
【0010】
実装態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。外面は、インボード側面を含んでもよく、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、インボード側面に装着されてもよい。外面は、底面を含んでもよく、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、底面に装着されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車両内の近端参加者と車両の外側に位置するリモートの、遠端参加者との間の電気通信を促進する電気通信ネットワークを例示する。
図2】本開示の1つ以上の実施形態に従った、遠端電気通信に対する車室内雑音消去システムのブロック図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態に従った、遠端電気通信に対する雑音消去方法300を表す簡易化された、例示的なフローチャートである。
図4】本開示の1つ以上の実施形態に従った、例示的なマイクロフォン配置を例示する。
図5】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車両に対するヘッドレストに基づく電気通信システムについての例示的なセットアップを例示する。
図6】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車両に対するヘッドレストに基づく電気通信システムについての別の例示的なセットアップを例示する。
図7】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車室内雑音消去システムにおける使用のための少なくとも1つのヘッドレストマイクロフォンアレイを含む車両の平面図である。
図8】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車室内雑音消去システムにおける使用のための少なくとも1つのヘッドレストマイクロフォンアレイを含む車両の別の平面図である。
図9】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車室内雑音消去システムにおける使用のための少なくとも1つのヘッドレストマイクロフォンアレイ及びバックミラーアセンブリマイクロフォンアレイを含む車両の更なる別の平面図である。
図10】本開示の1つ以上の実施形態に従った、車室内雑音消去システムにおける使用のための複数の様々なヘッドレストマイクロフォンアレイを含む車両の更なるまた別の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書で開示されるが、開示される実施形態は、様々な形式及び代替的な形式で具体化され得る発明の例示であるにすぎないことを理解されよう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために一部の図面が誇張または縮小されてもよい。したがって、本明細書で開示される特定の構造的詳細及び機能的詳細は、限定的なものとして解釈されないが、本発明を色々と採用するよう当業者を教示するための代表的な基礎にすぎないものとして解釈される。
【0013】
本明細書で説明されるコントローラまたはデバイスのうちのいずれか1つ以上は、様々なプログラミング言語及び/または技術を使用して作成されたコンピュータプログラムからコンパイルまたはインタープリットされ得るコンピュータ実行可能命令を含む。概して、プロセッサ(マイクロプロセッサなど)は、例えば、メモリまたはコンピュータ可読媒体などから命令を受信し、命令を実行する。プロセシングユニットは、ソフトウェアプログラムの命令を実行することが可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読記憶媒体は、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学式記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置、またはいずれかの適切なそれらの組み合わせであってもよいが、それらに限定されない。
【0014】
本開示は、遠端ユーザ経験を最適化する車両内雑音消去システムを説明する。雑音消去システムは、電気通信交換または仮想パーソナルアシスタントとの対話などを含む、通信交換の遠端における近端発話の明瞭度を改善し得る。雑音消去システムは、車両からのリアルタイム音響入力と共に、電気通信デバイスからのマイクロフォンを組み込んでもよい。その上、自動車に装着された小型の、組み込みマイクロフォンからの音声信号は、車両内の1つ以上の望ましくない音源からの音響エネルギーを効果的に消去するよう、送出電気通信信号へと処理及び混合され得る。組み込みマイクロフォンによって捕捉された望ましくない雑音(例えば、子供が騒いでいること、及び背景の会話)に加えて、車両のインフォテインメントシステム内の既知の音声ストリームから再生している音声(例えば、音楽、効果音、及び映画音声からの対話)は、雑音消去システムへの直接入力として使用されてもよい。したがって、直接入力として、それらのストリームを送出電気通信信号から消去することができ、よって、ユーザの遠端通信者に、はるかに高い信号対雑音比、通話品質、及び発話明瞭度をもたらす。
【0015】
図1は、セルラ基地局108を介して、車両104内の近端参加者102と車両の外側に位置するリモートの、遠端参加者106との間の電気通信交換を促進する電気通信ネットワーク100を例示する。車両104は、図1では集合的に電気通信信号112として示される、入来電気通信信号及び送出電気通信信号を処理する電気通信システム110を含んでもよい。電気通信システム110は、以下で更に詳細に説明されるように、音声電気通信信号を処理するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)114を含んでもよい。別の実施形態に従って、DSP114は、電気通信システム110とは別個のモジュールであってもよい。車両インフォテインメントシステム116は、電気通信システム110に接続されてもよい。第1のトランスデューサ118またはスピーカは、入来電気通信信号を、車両車室120の内部の電気通信交換の近端参加者に送信してもよい。したがって、第1のトランスデューサ118は、近端参加者に隣接して位置してもよく、または近端参加者によって占有された特定の座席位置において局所化された音場を生成してもよい。第2のトランスデューサ122は、車両のインフォテインメントシステム116から音声(例えば、音楽、効果音、及び映画音声からの対話)を送信してもよい。
【0016】
第1のマイクロフォンアレイ124は、電気通信において近端参加者(すなわち、音源車両の運転者または別の占有者)の発話を受信するよう、車両車室120に位置してもよい。第2のマイクロフォンアレイ126は、集合的に雑音と称される、望ましくない音声源(例えば、道路の雑音、風の雑音、背景の発話、及び多媒体の内容)を検出するよう、車両車室120に位置してもよい。集合的に、電気通信システム110、DSP114、インフォテインメントシステム116、トランスデューサ118、122、及びマイクロフォンアレイ124、126は、遠端電気通信に対する車室内雑音消去システム128を形成することができる。
【0017】
図2は、図1に表された雑音消去システム128のブロック図である。図2に示されるように、遠端参加者(図示せず)からの入来電気通信信号112aは、DSP114によって受信されてもよい。DSP114は、本明細書で開示される音声アプリケーションに特有であってもよい、デジタル信号処理の動作の必要性に最適化された特殊マイクロプロセッサ及び/または集積回路の組み合わせなど、ハードウェアに基づくデバイスであってもよい。入来電気通信信号112aは、自動利得コントローラ(AGC)202において自動利得制御を受けてもよい。AGC202は、入力信号における振幅の変動に関わらず、その出力において制御された信号振幅をもたらし得る。入力−出力利得を適切な値に動的に調節し、より大きな範囲の入力信号レベルにより回路が満足に作動することを可能にするために、平均またはピーク出力信号レベルが使用される。次いで、AGC202からの出力は、損失制御を受けるよう損失コントローラ204によって受信されてもよく、それは次いで、入来電気通信信号112aを等化するようイコライザ206に渡される。等化は、電子信号内の周波数成分の間のバランスを調節する処理である。イコライザは、特定の周波数帯域、すなわち「周波数範囲」のエネルギーを強め(高め)または弱める(遮断する)。
【0018】
イコライザ206の出力は、リミッタ208によって受信されてもよい。リミッタは、指定された入力パワーまたはレベルを下回る信号が影響を受けないで通り、この閾値を上回るより強い信号のピークを減衰させることを可能にする回路である。制限することは、動的範囲の圧縮のタイプであり、それは、デバイスの出力の指定された特性(通常は振幅)が予め定められた値を上回ることが防止されるいずれかの処理である。リミッタは、突然の容積ピークが発生することを防止するよう、ライブ音及びブロードキャスト用途における安全なデバイスとして一般的である。次いで、デジタル的に処理された入来電気通信信号112a’は、電気通信交換の近端参加者への可聴的送信のために第1のトランスデューサ118によって受信されてもよい。
【0019】
図2にも示されるように、雑音キ消去システム128は、第1のマイクロフォンアレイ124及び第2のマイクロフォンアレイ126を含んでもよい。第1のマイクロフォンアレイ124は、電気通信交換の近端参加者(すなわち、音源車両の運転者または別の占有者)から発話を受信するよう、車両車室に戦略的に位置する複数の小型の、組み込みマイクロフォンを含んでもよい。第1のマイクロフォンアレイ124は、近端参加者にできるだけ近くに位置付けられると共に、反射面からできるだけ遠くに位置付けられてもよい。例えば、第1のマイクロフォンアレイ124は、図4に示されるように、ヘッドレストまたはヘッドライナなどに組み込まれてもよい。第2のマイクロフォンアレイ126は、集合的に雑音と称される、望ましくない音声源(例えば、道路の雑音、風の雑音、背景の発話、及び多媒体の内容)を検出するよう、車両車室に戦略的に位置する複数の小型の、組み込みマイクロフォンを含んでもよい。
【0020】
第1のマイクロフォンアレイ及び第2のマイクロフォンアレイの両方の入力、近端発話、ならびに雑音はそれぞれ、DSP114を使用して処理されてもよい。第1のマイクロフォンアレイ124からの第1の音声信号のセット209(すなわち、近端発話を示す)は、ビームフォーミングのために第1のビームフォーマ210に供給されてもよく、第2の音声信号のセット211(すなわち、雑音を示す)は、第2のビームフォーマ212に供給されてもよい。ビームフォーミングまたは空間フィルタリングは、指向性信号送信または受信のためにセンサアレイにおいて使用される信号処理技術である。これは、特定の角度にある信号が強め合う干渉を経験し、その他が弱め合う干渉を経験する方式において、アレイ内の要素を組み合わせることによって達成される。空間選択性を達成するよう送信端及び受信端の両方においてビームフォーミングが使用され得る。無指向性受信/送信と比較した改善は、アレイの指向性として知られている。送信するときのアレイの指向性を変更するために、ビームフォーマは、波面において強め合う干渉及び弱め合う干渉のパターンを生成するよう、各々の送信機において信号の位相及び相対振幅を制御する。受信するとき、異なるセンサからの情報は、放射の予測されるパターンが優先的に観察される方式において組み合わされる。
【0021】
第1のビームフォーマ210は、第1のマイクロフォンアレイ124によって検出された近端発話を示す近端発話信号213を出力してもよい。代わりに、近端発話信号213は、DSP114によって、第1のマイクロフォンアレイ124または第1のマイクロフォンアレイ内の個々のマイクロフォンから直接受信されてもよい。第2のビームフォーマ212は、第2のマイクロフォンアレイ126によって検出された予測不可能な、背景雑音を示す雑音信号218を出力してもよい。代わりに、雑音信号218は、DSP114によって、第2のマイクロフォンアレイ126または第2のマイクロフォンアレイ内の個々のマイクロフォンから直接受信されてもよい。
【0022】
近端発話信号213は、遠端参加者106からのデジタル的に処理された入来電気通信信号112a’と共に、エコーキャンセラ214によって受信されてもよい。エコーキャンセルは、既に存在した後のエコーを除去することによって、ボイス品質を改善する電話方式での方法である。主観的な品質を改善することに加え、この処理は、エコーがネットワークにわたって移動することを防止することによって、無音抑制を通じて達成される能力を増大させる。音響エコー(時間と共に相当に変化することがある、マイクロフォンによって反射及び記録される拡声器からの音)ならびにラインエコー(例えば、音響エコーよりもはるかに少なく変化する、送信ワイヤと受信ワイヤとの間の結合によって生じる電気インパルス、インピーダンス不整合、電気的反射など)を含む、特有の特性を有する様々なタイプ及び原因のエコーが存在する。しかしながら、実際には、全てのタイプのエコーに対処するために同一の技術が使用され、よって、音響エコーキャンセラは、ラインエコーと共に音響エコーをキャンセルすることができる。エコーキャンセルは、送信された信号または受信された信号において、何らかの遅延により再び現れる元々送信された信号を最初に認識することを伴う。エコーが認識されると、送信された信号または受信された信号からそれを減じることによってそれを除去することができる。この技術は全体的に、デジタルシグナルプロセッサまたはソフトウェアを使用してデジタル的に実装されるが、アナログ回路においても実装されることができる。
【0023】
エコーキャンセラ214の出力は、ノイズ・サプレッサ216において第2のビームフォーマ212からの雑音信号218(すなわち、予測不可能な雑音)及びインフォテインメントシステム116からのインフォテインメント音声信号220(すなわち、予測可能な雑音)と混合されてもよい。ノイズ・サプレッサ216において近端発話信号213を雑音信号218及び/またはインフォテインメント音声信号220と混合することは、車両104内の1つ以上の望ましくない音源からの音響エネルギーを効果的にキャンセルすることができる。車両のインフォテインメントシステム116内の既知の音声ストリーム(例えば、音楽、効果音、及び映画音声からの対話)から再生している音声は、予測可能な雑音と考えられてもよく、雑音消去システム128の直接入力として使用されてもよく、近端発話信号213からキャンセルまたは抑制されてもよい。その上、組み込みマイクロフォンによって捕捉された追加の望ましくない雑音及び予測不可能な雑音(例えば、子供が騒いでいること、及び背景の会話)も、雑音消去システム128への直接入力として使用されてもよい。望ましくない雑音は、送出電気通信信号112bとして遠端参加者に通信される前に、雑音信号218及びインフォテインメント音声信号220に基づいて、ノイズ・サプレッサ216によって近端発話信号213からキャンセルまたは抑制されてもよい。雑音抑制は、捕捉された信号から背景雑音を除去する音声プリプロセッサである。
【0024】
雑音抑制された、近端発話信号213’は、ノイズ・サプレッサ216から出力されてもよく、エコーサプレッサ222において遠端参加者からの処理された入来電気通信信号112a’と混合されてもよい。エコーキャンセルのようなエコー抑制は、エコーが生じるのを防止し、または既に存在した後のエコーを除去することによって、ボイス品質を改善する電話方式での方法である。エコーサプレッサは、回路上で1つの方向に向かうボイス信号を検出し、次いで、他の方向にかなり多くの損失を挿入することによって作動する。通常、回路の遠端にあるエコーサプレッサは、回路の近端から生じるボイスを検出するときにこの損失を加える。この加えられた損失は、スピーカがそれらの自身のボイスを聞くことを防止する。
【0025】
次いで、エコーサプレッサ222からの出力は、自動利得コントローラ(AGC)224において自動利得制御を受けてもよい。AGC224は、入力信号における振幅の変動に関わらず、その出力において制御された信号振幅をもたらし得る。入力−出力利得を適切な値に動的に調節し、より大きな範囲の入力信号レベルにより回路が満足に作動することを可能にするために、平均またはピーク出力信号レベルが使用される。次いで、AGC224からの出力は、近端発話信号を等化するようイコライザ226によって受信されてもよい。等化は、電子信号内の周波数成分の間のバランスを調節する処理である。イコライザは、特定の周波数帯域、すなわち「周波数範囲」のエネルギーを強め(高め)または弱める(遮断する)。
【0026】
イコライザ226からの出力は、損失制御を受けるよう損失コントローラ228に送信されてもよい。次いで、出力は、快適雑音ジェネレータ(CNG)230を通過してもよい。CNG230は、信号が受信されない期間の間に快適雑音を挿入するモジュールである。不連続送信(DTX)と関連してCNGが使用されてもよい。DTXは、サイレント期間の間に送信機がオフに切り替えられることを意味する。したがって、背景音響雑音は、受信端(例えば、遠端)において急激に消滅する。これは、受信当事者(例えば、遠端参加者)に対して非常に悩ましいことがある。受信当事者は、サイレント期間が幾分か長い場合、ラインが機能しないとさえ考えることがある。それらの問題を克服するために、送信がオフに切り替えられるかどうかに関わらず、受信端(すなわち、遠端)において「快適雑音」が生成されてもよい。快適雑音は、CNGによって生成される。快適雑音が発話期間の間に送信された背景音響雑音の快適雑音と良好に整合する場合、発話期間の間の隙間は、受信当事者が会話の間の切り替えに気付かないような方式において埋められ得る。雑音が定期的に変化するので、快適雑音ジェネレータ230は、規則的に更新されてもよい。
【0027】
次いで、CNG230からの出力は、電気通信システムによって、送出電気通信信号112bとして電気通信交換の遠端参加者に送信されてもよい。送出電気通信信号からの雑音入力を直接キャンセルすることによって、ユーザの遠端通信者に、はるかに高い信号対雑音比、通話品質、及び発話明瞭度をもたらし得る。
【0028】
電気通信交換の遠端参加者において近端発話明瞭度を改善すると示され、説明されたが、いずれかの通信交換の遠端において近端発話明瞭度を改善するために雑音消去システム128が採用されてもよい。例えば、雑音消去システム128は、遠端(すなわち、仮想パーソナルアシスタンス(VPA))における発話認識を最適化するために、仮想パーソナルアシスタンスアプリケーションと関連して使用されてもよい。したがって、背景(望ましくない)雑音は同様に、VPAとの通信交換の近端発話から抑制またはキャンセルされてもよい。
【0029】
図3は、遠端電気通信に対する雑音消去方法300を表す簡易化された、例示的なフローチャートである。ステップ305において、近端発話は、第1のマイクロフォンアレイ124などのマイクロフォンアレイによって雑音消去システム128において受信されてもよい。一方、雑音消去システム128は、ステップ310において提供されるような、第2のマイクロフォンアレイ126からの予測不可能な雑音及び/またはインフォテインメントシステム116からの予測可能な雑音など、望ましくない音源からの音声入力ストリームを受信してもよい。近端発話は、電気通信交換の遠端参加者による受信のために送出電気通信信号112bへと処理されてもよい。したがって、ステップ315において、近端発話信号は、既に存在した後のエコーを除去することによって、ボイス品質を改善するようエコーキャンセリング動作を受けてもよい。前に説明されたように、エコーキャンセルは、送信された信号または受信された信号において、何らかの遅延により再び現れる元々送信された信号を最初に認識することを伴う。エコーが認識されると、送信された信号または受信された信号からそれを減じることによってそれを除去することができる。
【0030】
近端発話信号は、ステップ310において受信された雑音入力及び遠端参加者に対する入来電気通信信号と共にノイズ・サプレッサにおいて受信されてもよい(ステップ320)。雑音キャンセリングの間、雑音は、ステップ325において提供されるように、近端発話信号からキャンセルまたは抑制されてもよい。ステップ330において、近端発話信号における発話の明瞭度は、外来音によるマスキングの効果を削減またはキャンセルすることによって回復されてもよい。次いで、近端発話信号は、ステップ335において提供されるように、入来電気通信信号を使用してエコー抑制を受けてもよい。前に説明されたように、エコーキャンセルのようなエコー抑制は、エコーが生じるのを防止し、または既に存在した後のエコーを除去することによって、ボイス品質を改善する電話方式での方法である。近端発話信号は、電気通信ネットワークを介して送出電気通信信号として遠端参加者に送信される(ステップ345)前に、ステップ340において追加の音声フィルタリングを受けてもよい。一方、入来電気通信信号は、スピーカを通じて車両車室内で再生されてもよい(ステップ350)。
【0031】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、車両104の車室120内の例示的なマイクロフォン配置を例示する。例えば、近端発話をピックアップする、第1のマイクロフォンアレイ124からの第1のマイクロフォン124aは、1つ以上のヘッドレスト410に組み込まれてもよい。雑音をピックアップする、第2のマイクロフォンアレイ126からの第2のマイクロフォン126aは、1つ以上のヘッドレスト410またはヘッドライナ(図示せず)などに組み込まれてもよい。示されるように、できるだけユーザの口に近い、車両車室120に対して乗客の内部に向かって位置付けられたマイクロフォンは、車両車室に対して乗客の外側に位置付けられたマイクロフォンと比較して、信号内の反射エネルギーを最小化し得る。これは、車両車室に対して乗客の外側に位置付けられたマイクロフォンが、車両車室120を囲むガラスなどの反射面412からより多くの反射エネルギーを受信する場合があることを理由とする。近端発話信号内の反射エネルギーを最小化することは、電気通信の遠端における発話明瞭度を増大させ得る。図4に示されるマイクロフォンの配置及び/または位置は、実施例にすぎない。マイクロフォンアレイの厳密な位置は、車両の内部の境界及びカバレッジエリアに依存する。
【0032】
図5は、車両に対するヘッドレストに基づく電気通信システムについての例示的なセットアップを例示する。電気通信交換の近端発話を受信する第1の前向きマイクロフォンアレイ502は、前方乗客ヘッドレスト506の前方504の近くに配置されてもよい。背景の発話を含む雑音を受信する第2の後向きマイクロフォンアレイ508は、前方乗客ヘッドレスト506の背面510の近くに配置されてもよい。図6は、車両に対するヘッドレストに基づく電気通信システムについての別の例示的なセットアップを例示する。電気通信交換の近端発話を受信する第1の前向きマイクロフォンアレイ602は、前方乗客ヘッドレスト606の前方604の近くに配置されてもよい。背景の発話を含む雑音を受信する第2の前向きマイクロフォンアレイ608は、後方乗客ヘッドレスト612の前方610の近くに配置されてもよい。図4と同じように、図5及び6に例示されるマイクロフォンアレイの厳密な位置は、車両の内部の境界及びカバレッジエリアに依存する。
【0033】
図7〜10は、車両104などの車両の車室120内の、雑音消去システム128(図示せず)に対するサンプルマイクロフォン構成の様々な平面図を表す。図1及び2と関連して説明されたマイクロフォン及びマイクロフォンアレイと同じように、図7〜10に示される様々なマイクロフォンアレイ及び/または個々のマイクロフォンは、車内通信システムまたは電気通信システム110など、車両通信システムに関連して作動するようデジタルシグナルプロセッサ114と通信してもよい。例えば、図7は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、第1のサンプルマイクロフォン構成を表す車両104の平面図である。示されるように、雑音消去システム128(図示せず)は、少なくとも2つのマイクロフォン、第1のマイクロフォン710a及び第2のマイクロフォン710bを含む少なくとも1つのマイクロフォンアレイ710を含んでもよい。第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンは、間隔を空けた位置において第1のヘッドレスト714の外面712に装着されてもよい。第1のヘッドレスト714は、運転者の側面ヘッドレストであってもよい。
【0034】
第1のヘッドレスト714の外面712は、インボード側面716及びアウトボード側面718を含んでもよい。インボード側面716は、アウトボード側面718よりも車両車室120の中心に近くてもよく、アウトボード側面718は、反射面412を含む車両104の側面により近い(図4を参照)。図7に示されるように、第1のマイクロフォン710a及び第2のマイクロフォン710bは、第1のヘッドレスト714のインボード側面716上で同じ高さに位置付けられてもよい。第1のマイクロフォン710a及び第2のマイクロフォン710bは、車両104に対して少なくとも縦方向に間隔を空けられてもよい。よって、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンを分離する距離は、縦方向に方向付けられた少なくとも第1の聞き取りゾーン720及び第2の聞き取りゾーン722を生成するための、少なくとも縦の距離Xを含んでもよい。マイクロフォンアレイ710内の2つのマイクロフォンの間の縦の距離Xは、全体的に前方または背後の入来音の方向の指示を与え得る。したがって、第1の聞き取りゾーン720は、前方座席列を取り囲む領域など、乗客車室120の前部領域を含んでもよく、第2の聞き取りゾーン722は、後方乗客座席を取り囲む領域など、第1の聞き取りゾーン720の後部に方向付けられた領域を含んでもよい。実施形態では、第1のマイクロフォン710aと第2のマイクロフォン710bとの間の縦の距離Xは、約1インチであってもよいが、マイクロフォンの間の他の距離は、前部または後方の入来音の方向の指示を与えるために採用されてもよい。
【0035】
デジタルシグナルプロセッサ114は、図2に示されるように、マイクロフォンアレイ710からの音を示すマイクロフォン信号を受信し、マイクロフォン信号に基づいて、音が第1の聞き取りゾーン720または第2の聞き取りゾーン722の方向から受信されるかどうかを識別するようプログラムされてもよい。例えば、デジタルシグナルプロセッサ114は、第1のマイクロフォン710a及び第2のマイクロフォン710bからのマイクロフォン信号を比較してもよく、2つのマイクロフォンの各々におけるマイクロフォン信号の到達時間差に基づいて、第1の聞き取りゾーンまたは第2の聞き取りゾーンのいずれかからの音の方向を特定してもよい。その上、デジタルシグナルプロセッサ114は、望ましくないまたは妨げる背景雑音と同等化される場合がある、第2の聞き取りゾーン722(の方向)からの音を示すマイクロフォン信号を抑制またはキャンセルしてもよい。一方、デジタルシグナルプロセッサ114は、通信交換における遠端参加者への望ましい近端発話と同等化される場合がある、第1の聞き取りゾーン720(の方向)からの音を示すマイクロフォン信号を送信してもよい。
【0036】
実施形態に従って、第1のマイクロフォン710a及び第2のマイクロフォン710bは、無指向性マイクロフォンであってもよい。別の実施形態に従って、第1のマイクロフォン710a及び第2のマイクロフォン710bは、対応する聞き取りゾーンの方向における指向性を有する指向性マイクロフォンであってもよい。したがって、第1の聞き取りゾーン720からの音を遠端参加者に送信し得て、第2の聞き取りゾーン722からの音を抑制し得るように、入来音は、マイクロフォンの指向性に基づいて減衰されてもよい。
【0037】
図8は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、別のサンプルマイクロフォン構成を表す車両104の平面図である。示されるように、雑音消去システム128(図示せず)は、第1のヘッドレスト814の外面812の底面811に装着された少なくとも2つのマイクロフォン、第1のマイクロフォン810a及び第2のマイクロフォン810bを含む、少なくとも第1のマイクロフォンアレイ810を含んでもよい。図7と同様に、第1のマイクロフォン810a及び第2のマイクロフォン810bは、車両104に対して縦方向に間隔を空けられてもよい。よって、第1のマイクロフォン810a及び第2のマイクロフォン810bを分離する距離は、縦方向に方向付けられた少なくとも第1の聞き取りゾーン820及び第2の聞き取りゾーン822を生成するための、少なくとも縦の距離Xを含んでもよい。図7に関して説明されたように、デジタルシグナルプロセッサ114は、図2に示されるように、マイクロフォンアレイ810からの音を示すマイクロフォン信号を受信し、マイクロフォン信号に基づいて、音が第1の聞き取りゾーン820または第2の聞き取りゾーン822の方向から受信されるかどうかを識別するようプログラムされてもよい。その上、デジタルシグナルプロセッサ114は、望ましくないまたは妨げる背景雑音と同等化される場合がある、第2の聞き取りゾーン822(の方向)からの音を示すマイクロフォン信号を抑制またはキャンセルしてもよい。一方、デジタルシグナルプロセッサ114は、通信交換における遠端参加者への望ましい近端発話と同等化される場合がある、第1の聞き取りゾーン820(の方向)からの音を示すマイクロフォン信号を送信してもよい。
【0038】
図8に示されるように、第1のマイクロフォン810a及び第2のマイクロフォン810bはまた、車両104に対して横方向に間隔を空けられてもよい。よって、第1のマイクロフォン810a及び第2のマイクロフォン810bを分離する距離は、第1の聞き取りゾーン820が車両104に対して横方向に方向付けられた2つの聞き取りサブゾーンを含むような横の距離Yを更に含んでもよい。例えば、第1の聞き取りサブゾーン820aは、運転者の座席824を囲む領域を取り囲んでもよく、第2の聞き取りサブゾーン820bは、前方の乗客の座席826を囲む領域を取り囲んでもよい。第1のマイクロフォンアレイ810内の2つのマイクロフォン810a、bの間の横の距離Yは、全体的に左または右の入来音の方向の指示を与えてもよく、その結果、デジタルシグナルプロセッサ114は、マイクロフォン信号に基づいて、音が第1の聞き取りサブゾーン820aまたは第2の聞き取りサブゾーン820bの方向から受信されるかどうかを更に識別し得る。その上、デジタルシグナルプロセッサ114は、望ましくないまたは妨げる背景雑音と同等化される場合もある、第2の聞き取りゾーン820b(の方向)からの音を示すマイクロフォン信号を抑制またはキャンセルするようプログラムされてもよい。一方、デジタルシグナルプロセッサ114は、通信交換における遠端参加者への望ましい近端発話と同等化される場合がある、第1の聞き取りゾーン820a(の方向)からの音を示すマイクロフォン信号を送信してもよい。
【0039】
図8に更に示されるように、雑音消去システムは、第1のヘッドレスト814に横方向に隣接した、第2のヘッドレスト832の底面830に装着された少なくとも2つのマイクロフォン、第1のマイクロフォン828a及び第2のマイクロフォン828bを含む、第2のマイクロフォンアレイ828を含んでもよい。第2のマイクロフォンアレイの構成は、第1のマイクロフォンアレイの構成のミラーであってもよい。したがって、第2のマイクロフォンアレイ828内の第1のマイクロフォン828a及び第2のマイクロフォン828bはまた、全体的に左または右の入来音の方向の更なる指示を与えるよう、縦方向及び横方向の両方に間隔を空けられてもよく、その結果、デジタルシグナルプロセッサ114は、マイクロフォン信号に基づいて、音が第1の聞き取りサブゾーン820aまたは第2の聞き取りサブゾーン820bの方向から受信されるかどうかを更に識別し得る。第1のマイクロフォンアレイ及び/または第2のマイクロフォンアレイ内のマイクロフォンは、無指向性マイクロフォンまたは指向性マイクロフォンのいずれかであってもよい。
【0040】
図9は、図8に示された3つのゾーン構成と同様の更なる別のサンプルマイクロフォン構成を表す。示されるように、第1のマイクロフォンアレイ910は、図7に示されたマイクロフォンアレイなど、ヘッドレスト914のインボード側面916に装着されてもよい。図7と同様に、第1のマイクロフォンアレイ910は、前部または後方の入来音の方向の指示を与えるよう、縦方向に或る距離だけ分離された、間隔を空けられた位置においてインボード側面916上に位置付けられた第1のマイクロフォン910a及び第2のマイクロフォン910bを含んでもよい。よって、前に説明されたように、第1のマイクロフォン910a及び第2のマイクロフォン910bの縦の分離は、縦方向に方向付けられた第1の聞き取りゾーン920及び第2の聞き取りゾーン922を生成し得る。第1のマイクロフォン934a及び第2のマイクロフォン934bを含む第2のマイクロフォンアレイ934は、左または右の入来音の方向の指示を与えるよう、第2のヘッドレスト(図8にあるような)ではなくバックミラーアセンブリ936に配置されてもよく、その結果、デジタルシグナルプロセッサ114は、マイクロフォン信号に基づいて、音が第1の聞き取りサブゾーン920aまたは第2の聞き取りサブゾーン920bの方向から受信されるかどうかを更に識別し得る。第1のマイクロフォンアレイ910内の第1のマイクロフォン910a及び第2のマイクロフォン910bは、無指向性マイクロフォンであってもよい。その上、第2のマイクロフォンアレイ934内の第1のマイクロフォン934a及び第2のマイクロフォン934bは、指向性マイクロフォンであってもよい。
【0041】
図10は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、更なる別のサンプルマイクロフォン構成を表す車両1004の平面図である。示されるように、車両1004は、座席の3つの列を含んでもよい。図10に例示されるマイクロフォン構成は、図7〜9に関して上記説明された様々な構成の組み合わせを採用してもよい。例えば、座席の第1の列1040は、図8に例示されたものなど、第1のヘッドレスト1014内の第1のマイクロフォンアレイ1010及び第2のヘッドレスト1030内の第2のマイクロフォンアレイ1028を含んでもよい。したがって、第1のマイクロフォンアレイ1010及び第2のマイクロフォンアレイ1028の各々におけるマイクロフォンは、各々の対応するヘッドレストの底面1011に装着されてもよく、縦方向及び横方向の両方に間隔を空けられてもよい。横の間隔は、前に説明されたように、横方位を有する第1の聞き取りサブゾーン1020a及び第2の聞き取りサブゾーン1020bを含む第1の聞き取りゾーン1020を生成し得る。その上、縦の間隔は、第1の聞き取りゾーン1020の後方の第2の聞き取りゾーン1022を生成し得る。
【0042】
座席の第2の列1044内の少なくとも1つのヘッドレスト1042は、図7に表されたマイクロフォンアレイ710と同様の第3のマイクロフォンアレイ1046を含んでもよい。したがって、第3のマイクロフォンアレイ1046内のマイクロフォンは、ヘッドレスト1042のインボード側面1016に装着されてもよく、座席の第3の列1052を取り囲む、第2の聞き取りゾーン1022の後方の第3の聞き取りゾーン1050を生成するよう、少なくとも縦方向に間隔を空けられてもよい。車両1004は、全体的に車両の中心線に沿った、車両の天井またはヘッドライナ(図示せず)に位置付けられた追加のマイクロフォンアレイ1054を含んでもよい。それらの追加のマイクロフォンアレイ1054は、無指向性であってもよい、3個または4個の(示されるような)マイクロフォンを含んでもよい。図10に示された全ての様々なマイクロフォンアレイは、雑音消去システム128の一部を形成してもよく、図7〜9と関連して説明されたのと同様の方式においてデジタルシグナルプロセッサ114と協働してもよい。加えて、図10に示されたヘッドレストのうちの1つ以上は、少なくとも1つのスピーカ1056を更に含んでもよい。ヘッドレスト装着スピーカ1056は、通信交換の遠端参加者からの音を送信するために採用されてもよい。
【0043】
例示的な実施形態が上記説明されたが、これらの実施形態は、発明の全ての可能な形式を説明することを意図していない。むしろ、明細書で使用される用語は、限定ではなく説明の用語であり、発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよいことが理解されよう。加えて、実施形態を様々に実装する特徴は、発明の更なる実施形態を形成するよう組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】