特表2021-509648(P2021-509648A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-509648自律走行車の意思決定のための交通ネットワークインフラストラクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-509648(P2021-509648A)
(43)【公表日】2021年4月1日
(54)【発明の名称】自律走行車の意思決定のための交通ネットワークインフラストラクチャ
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20210305BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20210305BHJP
【FI】
   B60W30/00
   B60W40/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2020-544929(P2020-544929)
(86)(22)【出願日】2018年2月28日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月23日
(86)【国際出願番号】US2018020288
(87)【国際公開番号】WO2019168530
(87)【国際公開日】20190906
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】511257078
【氏名又は名称】ニッサン ノース アメリカ,インク
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】モルタザビ、 アリ
(72)【発明者】
【氏名】シーハイス、 マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン、 リアム
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BB31
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB11Z
3D241DC20Z
3D241DC25Z
(57)【要約】
本開示のいくつかの実装形態によれば、自律走行車を制御するための方法が開示される。方法は、経路に従って交通ネットワークを横断するステップと、自律走行車の1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信するステップとを含む。また、方法は、車両センサデータに基づいて、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することを含む。自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することに応答して、方法は、通信ネットワークを介して外部リソースにインフラストラクチャデータに対する要求を送信するステップと、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信するステップと、インフラストラクチャデータ及び車両センサデータに基づいて自律走行車が実行する制御アクションを決定するステップと、制御アクションに基づいて自律走行車を制御するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通ネットワークを横断する自律走行車を制御するための方法であって、
前記自律走行車によって、経路に従って前記交通ネットワークを横断するステップと、
前記自律走行車の1つ以上のプロセッサによって、前記自律走行車の1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記車両センサデータに基づいて前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップと、
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
前記1つ以上のプロセッサによって、通信ネットワークを介してインフラストラクチャデータに対する要求を外部リソースに送信するステップであって、前記インフラストラクチャデータに対する要求は前記自律走行車の地理的位置を示すステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記外部リソースからインフラストラクチャデータを受信するステップであって、前記インフラストラクチャデータは、前記自律走行車の前記地理的位置に近接する前記交通ネットワークに沿って配置された1つ以上のインフラストラクチャセンサによって提供されるインフラストラクチャセンサデータに基づいているステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記インフラストラクチャデータ及び前記車両センサデータに基づいて前記自律走行車が実行する制御アクションを決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記制御アクションに基づいて前記自律走行車を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、
各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較すること、及び
前記各信用スコアの全てが前記閾値未満であるとの決定に応答して、前記自律走行車が前記閉塞シナリオに入ったと決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、
各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較すること、及び
前記各信用スコアの特定の信用スコアが前記閾値を超えているとの決定に応答して、
前記制御アクションとして前記特定の信用スコアが対応する候補アクションを選択すること、及び
前記制御アクションが現在のシナリオを越えて前記自律走行車を前進させないとの決定に応答して、前記車両が前記閉塞シナリオにあると決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御アクションを決定するステップは、
入力データの受信に応答して候補アクションを出力するように訓練された機械学習モデルに前記車両センサデータ及び前記インフラストラクチャデータを入力することであって、各候補アクションはそれに関連する各信用スコアを有すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、それに起因するセンサ信頼性スコアを有し、前記センサ信頼性スコアは、前記インフラストラクチャデータを出力する前記インフラストラクチャセンサの信頼度を示し、前記制御アクションを決定することは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記センサ信頼性スコアを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、位置データを含み、前記位置データは、前記インフラストラクチャデータのインスタンスを送信した前記インフラストラクチャセンサの位置を示し、前記制御アクションを決定するステップは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記位置データを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
前記車両センサデータに基づいて、前記交通ネットワークの閉塞部分の概略位置を決定するステップと、
インフラストラクチャデータに対する前記要求に前記概略位置を含めるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記インフラストラクチャデータは、対応するインフラストラクチャセンサの占有履歴を含み、前記占有履歴は、前記対応するインフラストラクチャセンサによって監視される各領域がオブジェクトによって占有された時間を示す1つ以上のタイムスタンプを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外部リソースによって、前記インフラストラクチャデータに対する要求を受信するステップと、
前記外部リソースによって、前記要求に対応する位置を決定するステップと、
前記外部リソースによって、前記要求に対応する前記位置に対応する前記インフラストラクチャデータを取得するステップと、
前記外部リソースによって、前記インフラストラクチャデータを前記自律走行車に送信するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記インフラストラクチャデータを取得するステップは、
前記外部リソースによって、前記要求に対応する前記位置を監視するインフラストラクチャセンサを識別すること、及び
前記外部リソースによって、前記インフラストラクチャセンサの占有履歴を維持するインフラストラクチャセンサオブジェクトにクエリを行うことであって、前記占有履歴は、前記インフラストラクチャセンサによって監視される各領域がオブジェクトによって占有された時間を示す1つ以上のタイムスタンプを含むこと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の車両センサを有するセンサシステムと、
コンピュータ可読命令を実行する1つ以上のプロセッサと
を備える自律走行車であって、
前記コンピュータ可読命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
前記自律走行車が交通ネットワークを横断する際に、前記センサシステムの前記1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信すること、
前記車両センサデータに基づいて、前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定すること、及び
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
通信ネットワークを介してインフラストラクチャデータに対する要求を外部リソースに送信することであって、前記インフラストラクチャデータに対する要求は前記自律走行車の地理的位置を示すこと、
前記外部リソースからインフラストラクチャデータを受信することであって、前記インフラストラクチャデータは、前記自律走行車の前記地理的位置に近接する前記交通ネットワークに沿って配置された1つ以上のインフラストラクチャセンサによって提供されるインフラストラクチャセンサデータに基づいていること、
前記インフラストラクチャデータ及び前記車両センサデータに基づいて前記自律走行車が実行する制御アクションを決定すること、及び
前記制御アクションに基づいて前記自律走行車を制御すること
を行わせる、自律走行車。
【請求項12】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、及び
各候補アクションの前記各信用スコアを閾値と比較すること、
前記各信用スコアの全てが前記閾値未満であるとの決定に応答して、前記自律走行車が前記閉塞シナリオに入ったと決定すること
を含む、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項13】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、前記各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、
各候補アクションの前記各信用スコアを閾値と比較すること、及び
前記各信用スコアの特定の信用スコアが前記閾値を超えているとの決定に応答して、
前記制御アクションとして前記特定の信用スコアが対応する候補アクションを選択すること、及び
前記制御アクションが現在のシナリオを越えて前記自律走行車を前進させないとの決定に応答して、前記車両が前記閉塞シナリオにあると決定すること
を含む、請求項12に記載の自律走行車。
【請求項14】
前記制御アクションを決定することは、
入力データの受信に応答して候補アクションを出力するように訓練された機械学習モデルに前記車両センサデータ及び前記インフラストラクチャデータを入力することであって、各候補アクションはそれに関連する各信用スコアを有すること
を含む、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項15】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、それに起因するセンサ信頼性スコアを有し、前記センサ信頼性スコアは、前記インフラストラクチャデータを出力する前記インフラストラクチャセンサの信頼度を示し、前記制御アクションを決定することは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記センサ信頼性スコアを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項14に記載の自律走行車。
【請求項16】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、位置データを含み、前記位置データは、前記インフラストラクチャデータのインスタンスを送信した前記インフラストラクチャセンサの位置を示し、前記制御アクションを決定するステップは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記位置データを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項14に記載の自律走行車。
【請求項17】
前記コンピュータ可読命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
前記車両センサデータに基づいて、前記交通ネットワークの閉塞部分の概略位置を決定すること、及び
前記インフラストラクチャデータに対する要求に前記概略位置を含めること
をさらに行わせる、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項18】
前記インフラストラクチャデータは、対応するインフラストラクチャセンサの占有履歴を含み、前記占有履歴は、前記対応するインフラストラクチャセンサによって監視される各領域がオブジェクトによって占有された時間を示す1つ以上のタイムスタンプを含む、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項19】
交通ネットワークデータを記憶する交通ネットワークデータストアを記憶する記憶装置であって、前記交通ネットワークデータは、交通ネットワークに沿って配置された複数のインフラストラクチャセンサの位置と、前記複数のインフラストラクチャセンサの各識別子とを含む記憶装置と、
通信ネットワークを介して外部装置と通信するように構成される通信装置と、
コンピュータ可読命令を実行する1つ以上のプロセッサと
を備える車両制御サーバであって、
前記コンピュータ可読命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
複数のインフラストラクチャセンサオブジェクトを維持することであって、各インフラストラクチャセンサオブジェクトは、前記複数のインフラストラクチャセンサの各インフラストラクチャセンサに対応し、
前記対応するインフラストラクチャセンサから占有信号を受信することであって、前記占有信号は、前記対応するインフラストラクチャセンサによって監視される領域がオブジェクトによって占有されているかどうかを示すこと、及び
前記対応するインフラストラクチャセンサによって監視される領域が占有されていることを前記占有信号が示すことに応答して、前記監視される領域が占有されたことを示すように前記インフラストラクチャセンサの占有履歴を更新することであって、前記占有履歴は、固定タイムフレームの間に検出された任意の占有イベントを示すこと、
前記通信装置を介して自律走行車からインフラストラクチャデータに対する要求を受信することであって、前記インフラストラクチャデータに対する要求は位置を含むこと、
前記インフラストラクチャデータに対する要求に含まれる前記位置に基づいて前記複数のセンサから関連インフラストラクチャセンサを決定すること、
前記関連インフラストラクチャセンサに対応するインフラストラクチャセンサオブジェクトにクエリを行って、前記関連インフラストラクチャセンサの占有履歴を取得すること、及び
前記占有履歴を前記自律走行車に送信すること
を行わせる、車両制御サーバ。
【請求項20】
前記インフラストラクチャセンサの占有履歴を更新することは、
前記占有信号に基づいて占有イベントの検出すること、
前記占有イベントに対応するタイムスタンプを生成すること、及び
前記インフラストラクチャセンサの前記占有履歴に前記タイムスタンプを挿入すること
を含む、請求項19に記載の車両制御サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行車の意思決定を支援するために、交通ネットワークインフラストラクチャにクエリを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行車制御の分野では、自律走行車は、制御アクションを決定するために、車両によって収集された車両センサデータ(又は「車両データ」)に依存する。通常、自律走行車は、車両データを意思決定モジュール(例えば、機械学習モデルやルールベースのエンジン)への入力として使用して、制御アクションを識別する。自律走行車は、障害物及び/又は移動オブジェクトが自律走行車の直前の経路内にあるかどうかを決定するために多くの異なるタイプのセンサ(例えば、ビデオカメラ、レーダセンサ、及び/又はLIDARセンサ)を有し得るので、車両データは一般に信頼性がある。しかしながら、問題が生じるのは、自律走行車の感覚到達範囲又は「視野」を遮断する1つ以上のオブジェクトが存在する場合であり、この場合、自律走行車の感覚到達範囲又は「視野」は、自律走行車がそのセンサの1つ以上を介して感知することができる自律走行車に近接する領域を指す。
【発明の概要】
【0003】
本明細書には、自律走行車の意思決定を支援するための交通ネットワークインフラストラクチャの実装形態が開示されている。
【0004】
本開示のいくつかの実装形態によれば、交通ネットワークを横断する自律走行車を制御するための方法が開示される。方法は、自律走行車によって、経路に従って交通ネットワークを横断するステップと、自律走行車の1つ以上のプロセッサによって、自律走行車の1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信するステップとを含む。また、方法は、1つ以上のプロセッサによって、車両センサデータに基づいて自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップを含む。自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することに応答して、方法は、1つ以上のプロセッサによって、通信ネットワークを介して外部リソースにインフラストラクチャデータに対する要求を送信するステップと、1つ以上のプロセッサによって、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信するステップと、1つ以上のプロセッサによって、インフラストラクチャデータ及び車両センサデータに基づいて自律走行車が実行する制御アクションを決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、制御アクションに基づいて自律走行車を制御するステップとを含む。自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することに応答して、方法は、1つ以上のプロセッサによって、通信ネットワークを介して外部リソースにインフラストラクチャデータに対する要求を送信するステップと、1つ以上のプロセッサによって、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信するステップと、1つ以上のプロセッサによって、インフラストラクチャデータ及び車両センサデータに基づいて自律走行車が実行する制御アクションを決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、制御アクションに基づいて自律走行車を制御するステップとを含む。
【0005】
本開示のいくつかの実装形態によれば、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することと、各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較することと、各信用スコアの全てが閾値未満であると決定することに応答して、自律走行車が閉塞シナリオに入ったと決定することとを含む。各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、車両センサデータを考慮した候補アクションに対する信用度を示す。
【0006】
本開示のいくつかの実装形態によれば、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することと、各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較することとを含む。さらに、各信用スコアの中の特定の信用スコアが閾値より大きいと決定することに応答して、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することは、特定の信用スコアが対応する候補アクションを制御アクションとして選択することと、制御アクションが現在のシナリオを越えて自律走行車を前進させないと決定することに応答して、車両が閉塞シナリオにあると決定することとをさらに含む。
【0007】
本開示のいくつかの実装形態によれば、制御アクションを決定することは、入力データの受信に応答して候補アクションを出力するように訓練された機械学習モデルに車両センサデータ及びインフラストラクチャデータを入力することを含み、各候補アクションは、それに関連する各信用スコアを有する。さらに、いくつかの実装形態では、インフラストラクチャデータの各インスタンスは、それに起因するセンサ信頼性スコアを有し、センサ信頼性スコアは、インフラストラクチャデータを出力するインフラストラクチャセンサの信頼度を示す。これらの実装形態では、制御アクションを決定することは、インフラストラクチャデータの各インスタンスのセンサ信頼性スコアを、インフラストラクチャデータのインスタンスと共に機械学習モデルに入力することをさらに含んでもよい。本開示のいくつかの実装形態によれば、インフラストラクチャデータの各インスタンスは、位置データを含み、位置データは、インフラストラクチャデータのインスタンスを送信したインフラストラクチャセンサの位置を示す。これらの実装形態では、制御アクションを決定することは、インフラストラクチャデータの各インスタンスの位置データを、インフラストラクチャデータのインスタンスと共に機械学習モデルに入力することをさらに含んでもよい。
【0008】
本開示のいくつかの実装形態によれば、方法は、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することに応答して、車両センサデータに基づいて、交通ネットワークの閉塞部分の概略位置を決定すること、及びインフラストラクチャデータに対する要求に概略位置を含めることをさらに含む。
【0009】
本開示のいくつかの実装形態によれば、インフラストラクチャデータは、対応するインフラストラクチャセンサの占有履歴を含み、占有履歴は、対応するインフラストラクチャセンサによって監視される各領域がオブジェクトによって占有された時間を示す1つ以上のタイムスタンプを含む。
【0010】
本開示のいくつかの実装形態によれば、方法は、外部リソースによってインフラストラクチャデータに対する要求を受信するステップと、外部リソースによって、要求に対応する位置を決定するステップと、外部リソースによって、要求に対応する位置に対応するインフラストラクチャデータを取得するステップと、外部リソースによって、インフラストラクチャデータを自律走行車に送信するステップとをさらに含む。本開示のいくつかの実装形態によれば、外部リソースによって、要求に対応する位置を監視するインフラストラクチャセンサを識別すること、外部リソースによって、インフラストラクチャセンサの占有履歴を維持するインフラストラクチャセンサオブジェクトにクエリを行うことを含み、占有履歴は、インフラストラクチャセンサによって監視される各領域がオブジェクトによって占有された時間を示す1つ以上のタイムスタンプを含む。
【0011】
本開示のいくつかの実装形態によれば、自律走行車が開示される。自律走行車は、1つ以上の車両センサを有するセンサシステムと、コンピュータ可読命令を実行する1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。実行されると、コンピュータ可読命令は、自律走行車が交通ネットワークを横断し、自律走行車が車両センサデータに基づいて閉塞シナリオに遭遇したと決定するときに、1つ以上のプロセッサにセンサシステムの1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信させる。自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することに応答して、命令は、1つ以上のプロセッサに、通信ネットワークを介して外部リソースにインフラストラクチャデータに対する要求を送信させ、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信させ、インフラストラクチャデータ及び車両センサデータに基づいて自律走行車が実行する制御アクションを決定させ、制御アクションに基づいて自律走行車を制御させる。自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することに応答して、方法は、1つ以上のプロセッサによって、通信ネットワークを介して外部リソースにインフラストラクチャデータに対する要求を送信するステップと、1つ以上のプロセッサによって、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信するステップと、1つ以上のプロセッサによって、インフラストラクチャデータ及び車両センサデータに基づいて自律走行車が実行する制御アクションを決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、制御アクションに基づいて自律走行車を制御するステップとを含む。
【0012】
本開示のいくつかの実装形態によれば、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することと、各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較することと、各信用スコアの全てが閾値未満であると決定することに応答して、自律走行車が閉塞シナリオに入ったと決定することとを含む。各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、車両センサデータを考慮した候補アクションに対する信用度を示す。
【0013】
本開示のいくつかの実装形態によれば、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することと、各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較することとを含む。さらに、各信用スコアの中の特定の信用スコアが閾値より大きいと決定することに応答して、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することは、特定の信用スコアが対応する候補アクションを制御アクションとして選択することと、制御アクションが現在のシナリオを越えて自律走行車を前進させないと決定することに応答して、車両が閉塞シナリオにあると決定することとをさらに含む。
【0014】
本開示のいくつかの実装形態によれば、制御アクションを決定することは、入力データの受信に応答して候補アクションを出力するように訓練された機械学習モデルに車両センサデータ及びインフラストラクチャデータを入力することを含み、各候補アクションは、それに関連する各信用スコアを有する。さらに、いくつかの実装形態では、インフラストラクチャデータの各インスタンスは、それに起因するセンサ信頼性スコアを有し、センサ信頼性スコアは、インフラストラクチャデータを出力するインフラストラクチャセンサの信頼度を示す。これらの実装形態では、制御アクションを決定することは、インフラストラクチャデータの各インスタンスのセンサ信頼性スコアを、インフラストラクチャデータのインスタンスと共に機械学習モデルに入力することをさらに含んでもよい。本開示のいくつかの実装形態によれば、インフラストラクチャデータの各インスタンスは、位置データを含み、位置データは、インフラストラクチャデータのインスタンスを送信したインフラストラクチャセンサの位置を示す。これらの実装形態では、制御アクションを決定することは、インフラストラクチャデータの各インスタンスの位置データを、インフラストラクチャデータのインスタンスと共に機械学習モデルに入力することをさらに含んでもよい。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コンピュータ可読命令は、自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したと決定することに応答して、1つ以上のプロセッサに、車両センサデータに基づいて交通ネットワークの閉塞部分の概略位置を決定させ、インフラストラクチャデータに対する要求に概略位置を含ませる。
【0016】
本開示のいくつかの実装形態によれば、インフラストラクチャデータは、対応するインフラストラクチャセンサの占有履歴を含み、占有履歴は、対応するインフラストラクチャセンサによって監視される各領域がオブジェクトによって占有された時間を示す1つ以上のタイムスタンプを含む。
【0017】
本開示のいくつかの実装形態によれば、車両制御サーバが開示される。車両制御サーバは、交通ネットワークデータを記憶する交通ネットワークデータストアを記憶する記憶装置を含んでもよい。交通ネットワークデータは、交通ネットワークに沿って配置された複数のインフラストラクチャセンサの位置と、複数のインフラストラクチャセンサの各識別子とを含む。車両制御サーバは、通信ネットワークを介して外部装置と通信するように構成される通信装置と、コンピュータ可読命令を実行する1つ以上のプロセッサとをさらに含む。命令が実行されると、命令は、1つ以上のプロセッサに、複数のインフラストラクチャセンサオブジェクトを維持させる。各インフラストラクチャセンサオブジェクトは、複数のインフラストラクチャセンサの各インフラストラクチャセンサに対応し、対応するインフラストラクチャセンサから占有信号を受信し、対応するインフラストラクチャセンサによって監視されている領域が占有されていることを示す占有信号に応答して、監視されている領域が占有されたことを示すようにインフラストラクチャセンサの占有履歴を更新するように構成される。占有信号は、対応するインフラストラクチャセンサによって監視される領域がオブジェクトによって占有されているかどうかを示し、占有履歴は、固定タイムフレームの間に検出された任意の占有イベントを示す。命令は、1つ以上のプロセッサに、通信装置を介して自律走行車からインフラストラクチャデータに対する要求を受信させ、インフラストラクチャデータに対する要求は位置を含んでおり、インフラストラクチャデータに対する要求に含まれる位置に基づいて、複数のセンサから関連インフラストラクチャセンサを決定させ、関連インフラストラクチャセンサに対応するインフラストラクチャセンサオブジェクトにクエリを行って、関連インフラストラクチャセンサの占有履歴を取得させ、自律走行車に占有履歴を送信させる。
【0018】
本開示のいくつかの実装形態によれば、インフラストラクチャセンサの占有履歴を更新することは、占有信号に基づいて占有イベントを検出すること、占有イベントに対応するタイムスタンプを生成すること、及びタイムスタンプをインフラストラクチャセンサの占有履歴に挿入することを含む。
【0019】
本開示は、添付の図面と併せて読む場合に、以下の詳細な説明から最良に理解される。慣行により、図面の様々な特徴は正確な縮尺ではないことが強調される。対照的に、様々な特徴の寸法は、明確のため任意に拡大又は縮小されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両の一部の例の概略図である。
【0021】
図2】本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両交通及び通信システムの一部の例の概略図である。
【0022】
図3】閉塞シナリオに遭遇した自律走行車の例を示す。
【0023】
図4】本開示のいくつかの実装形態による自律走行車の例示的な車両制御システムの概略図である。
【0024】
図5】自律走行車にインフラストラクチャデータを提供するように構成された外部リソースのコンポーネントの例示的な集合の概略図である。
【0025】
図6】閉塞シナリオに遭遇した自律走行車を制御するための方法の動作の例示的な集合を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書には、自律走行車(「車両」とも呼ばれる)が遭遇する閉塞シナリオに対処するための技術が開示されている。閉塞シナリオは、自律走行車のセンサシステムが、車両のセンサを妨害している障害物又は他のオブジェクトのために、自律走行車が制御アクションを決定するための信頼できる車両センサデータ(「車両データ」とも呼ばれる)を取得することができない状況を指してもよい。例えば、車両が道路に向かって左折しようとしているときに、建物が自律走行車のビデオカメラの視野を遮ることがある。建物がカメラの視野を左から遮っている場合(自律走行車の経路と交差することによる複数の車両があるかもしれない場合)、自律走行車はターンするか待機を続けるか決定できない状況にある可能性がある。別の例では、自律走行車は丘の頂上又はその近くにあってもよく、それによって車両は丘を越えて来る車両があるかどうかを決定することができない。
【0027】
閉塞シナリオに遭遇すると、自律走行車は、インフラストラクチャデータに対する要求を外部リソースに送信してもよい。要求は、自律走行車の位置及び/又は閉塞シナリオの推定位置を示してもよい。外部リソースは、通信ネットワーク(例えば、インターネット又はセルラネットワーク)を介して交通ネットワークに沿って配置されたインフラストラクチャセンサ(例えば、誘導ループ交通センサ、ビデオカメラ、レーダセンサ、オーディオセンサ、及びLIDARセンサ)と通信する1つ以上のコンピュータ装置であってもよい。インフラストラクチャセンサは、インフラストラクチャデータを外部リソースに送信する。インフラストラクチャデータは、インフラストラクチャセンサによって監視されている領域内にオブジェクト(例えば、車両)が存在するかどうかを示し得る。
【0028】
本明細書に記載の技術は、追加のシナリオに対処するためにも適用することができることに留意されたい。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャデータを長期的な計画(例えば、数分又は数マイル先)に使用することができる。こうした実装形態において、自律走行車は、車両の間近な経路に沿って回避するべき条件があるかどうかを決定するために、間近な経路に基づいてインフラストラクチャデータを要求してもよい。
【0029】
要求に応答して、外部リソースは、インフラストラクチャデータを自律走行車に送信してもよい。自律走行車は、インフラストラクチャデータを利用して、車両が実行する制御アクションを決定し得る。特に、自律走行車は、センサから得られた車両データをインフラストラクチャデータで補完して、制御アクションを決定し得る。例えば、いくつかの実装形態では、自律走行車は、機械学習モデルにインフラストラクチャデータ及び車両データを入力して、制御アクションを決定し得る。
【0030】
図1は、本明細書で開示される態様、特徴、及び要素が実装され得る自律走行車1000(「車両」1000とも呼ばれる)の一例を示す図である。車両1000は、シャーシ1100、パワートレイン1200、コントローラ1300、車輪1400/1410/1420/1430、又は車両の任意の他の要素又は要素の組み合わせを含む。簡潔のため車両1000は4つの車輪1400/1410/1420/1430を含むように示されているが、プロペラ又はトレッド等の1つ以上の任意の他の推進装置が使用されてもよい。図1において、パワートレイン1200、コントローラ1300及び車輪1400/1410/1420/1430等の要素を相互接続する線は、データ又は制御信号等の情報、電力又はトルク等の力、又は情報及び電力の両方が各要素間で伝達され得ることを示している。例えば、コントローラ1300は、パワートレイン1200から電力を受信して、パワートレイン1200、車輪1400/1410/1420/1430、又は両方と通信して、車両1000を制御してもよく、これは、車両1000を加速、減速、操縦又は他のやり方で制御することを含み得る。
【0031】
パワートレイン1200は、電源1210、トランスミッション1220、ステアリング装置1230、車両アクチュエータ1240、又はサスペンション、駆動シャフト、アクセル若しくは排気システム等のパワートレインの任意の他の要素又は要素の組み合わせを含む。別々に示されているが、車輪1400/1410/1420/1430は、パワートレイン1200に含まれてもよい。
【0032】
電源1210は、電気エネルギ、熱エネルギ又は運動エネルギ等のエネルギを提供するように動作する任意の装置又は装置の組み合わせであってもよい。例えば、電源1210は、内燃エンジン、電気モータ又は内燃エンジン及び電気モータの組み合わせ等のエンジンを含み、車輪1400/1410/1420/1430の1つ以上に原動力として運動エネルギを提供するように動作する。いくつかの実施形態では、電源1210は、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル亜鉛(NiZn)、ニッケル水素(NiMH)、リチウムイオン(Li−ion)等の1つ以上の乾電池、太陽電池、燃料電池、又はエネルギを提供することが可能な任意の他の装置等のポテンシャルエネルギ装置を含む。
【0033】
トランスミッション1220は、電源1210から運動エネルギ等のエネルギを受信して、原動力を提供するために車輪1400/1410/1420/1430にエネルギを送る。トランスミッション1220は、コントローラ1300、車両アクチュエータ1240又は両方によって制御されてもよい。ステアリング装置1230は、コントローラ1300、車両アクチュエータ1240又は両方によって制御され、車両を操縦するために車輪1400/1410/1420/1430を制御する。車両アクチュエータ1240は、コントローラ1300から信号を受信してもよく、車両1000を動作させるために電源1210、トランスミッション1220、ステアリング装置1230又はこれらの任意の組み合わせを作動又は制御してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントローラ1300は、位置決め装置1310、電子通信装置1320、プロセッサ1330、メモリ1340、ユーザインターフェース1350、センサシステム1360、電子通信インターフェース1370又はこれらの任意の組み合わせを含む。単一の装置として示されているが、コントローラ1300の任意の1つ以上の要素が任意の数の分離した物理装置に組み込まれてもよい。例えば、ユーザインターフェース1350及びプロセッサ1330は、第1の物理装置に組み込まれてもよく、メモリ1340は、第2の物理装置に組み込まれてもよい。図1には示されていないが、コントローラ1300は、バッテリ等の電源1210を含んでもよい。別個の要素として示されているが、位置決め装置1310、電子通信装置1320、プロセッサ1330、メモリ1340、ユーザインターフェース1350、センサシステム1360、電子通信インターフェース1370、又はこれらの任意の組み合わせを、1つ以上の電子装置、回路、又はチップに集積し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1330は、光プロセッサ、量子プロセッサ、分子プロセッサ、又はそれらの組み合わせを含む、信号又は他の情報を操作又は処理することが可能な現存する又は今後開発される任意の装置又は装置の組み合わせを含む。例えば、プロセッサ1330は、1つ以上の専用プロセッサ、1つ以上のデジタル信号プロセッサ、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のマイクロコントローラ、1つ以上の集積回路、1つ以上の特定用途向け集積回路、1つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、1つ以上のプログラマブル・ロジック・アレイ、1つ以上のプログラマブル・ロジック・コントローラ、1つ以上の状態機械、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。プロセッサ1330は、位置決め装置1310、メモリ1340、電子通信インターフェース1370、電子通信装置1320、ユーザインターフェース1350、センサシステム1360、パワートレイン1200、又はこれらの任意の組み合わせに動作可能に結合されてもよい。例えば、プロセッサ1330は、通信バス1380を介してメモリ1340と動作可能に結合されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1330は、外部リソースを含む遠隔地から車両1000を操作するために使用され得る遠隔操作のための命令を含む命令を実行するように構成されてもよい。遠隔操作のための命令は、車両1000に記憶され、又は交通管理センタ又はクラウド型サーバコンピュータ装置を含むサーバコンピュータ装置等の外部ソースから受信されてもよい。
【0037】
メモリ1340は、プロセッサ1330によって使用される又はそれと接続される、機械可読命令又はそれに関連付けられる任意の情報を、例えば、保持、記憶、伝達又は搬送することが可能な任意の有形の非一時的コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体を含んでもよい。メモリ1340は、例えば、1つ以上の半導体ドライブ、1つ以上のメモリカード、1つ以上のリムーバブル媒体、1つ以上の読み取り専用メモリ、1つ以上のランダムアクセスメモリ、ハードディスク、フロッピーディスク、光学ディスクを含む1つ以上のディスク、磁気若しくは光学カード、又は電子情報を記憶するのに適した任意のタイプの非一時的な媒体、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0038】
電子通信インターフェース1370は、図示のような無線アンテナ、有線通信ポート、光学通信ポート、又は有線若しくは無線電子通信媒体1500とインターフェース接続することが可能な任意の他の有線若しくは無線装置であってもよい。
【0039】
電子通信装置1320は、電子通信インターフェース1370等を介して、有線又は無線電子通信媒体1500を介して信号を送信又は受信するように構成されてもよい。図1に明示されていないが、電子通信装置1320は、無線周波数(RF)、紫外線(UV)、可視光、光ファイバ、有線回線、又はこれらの組み合わせ等の任意の有線又は無線通信媒体を介して送信、受信又は送信及び受信の両方を行うように構成される。図1は、単一の電子通信装置1320及び単一の電子通信インターフェース1370を示しているが、任意の数の通信装置及び任意の数の通信インターフェースが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、電子通信装置1320は、専用の短距離通信(DSRC)装置、無線安全装置(WSU)、IEEE802.11p(Wifi−P)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0040】
位置決め装置1310は、限定されないが、車両1000の経度、緯度、高度、進行方向又は速さを含む地理情報を決定してもよい。例えば、位置決め装置は、広域補強システム(Wide Area Augmentation System;WAAS)対応米国海洋電子機器協会(National MarineElectronics Association;NMEA)装置、無線三角測量装置、又はこれらの組み合わせ等の全地球測位システム(GPS)装置を含む。位置決め装置1310は、例えば、車両1000の現在の向き、2次元又は3次元での車両1000の現在地、車両1000の現在の角度方向、又はこれらの組み合わせを表す情報を取得するために使用され得る。
【0041】
ユーザインターフェース1350は、仮想キーパッド、物理キーパッド、タッチパッド、ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロホン、ビデオカメラ、及びセンサのいずれかを含む、人間がインターフェースとして使用することが可能な任意の装置を含んでもよい。ユーザインターフェース1350は、図示のようにプロセッサ1330と、又はコントローラ1300の任意の他の要素と動作可能に結合されてもよい。単一の装置として示されているが、ユーザインターフェース1350は、1つ以上の物理装置を含み得る。例えば、ユーザインターフェース1350は、人物との音声通信を行うための音声インターフェース、及び人物との視覚及びタッチに基づく通信を行うためのタッチディスプレイを含む。
【0042】
センサシステム1360は、車両を制御するために使用され得る情報を提供するように動作し得るセンサの配列等の1つ以上のセンサを含んでもよい。センサシステム1360は、車両又はその周囲の現在の動作特性に関する情報を提供し得る。センサシステム1360は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ステアリング角センサ、トラクション関連センサ、ブレーキ関連センサ、又は車両1000の現在の動的状況の何らかの態様に関する情報を報告するように動作可能な任意のセンサ若しくはセンサの組み合わせを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、センサシステム1360は、車両1000の周囲の物理環境に関する情報を取得するように動作可能なセンサを含んでもよい。例えば、1つ以上のセンサが、道路形状、及び固定妨害物、車両、サイクリスト及び歩行者等の妨害物を検出する。いくつかの実施形態では、センサシステム1360は、現存する又は後に開発される、1つ以上のビデオカメラ、LIDARシステム、レーダシステム、レーザ感知システム、赤外線感知システム、音響感知システム、又は任意の他の適切なタイプの車載環境感知装置、又は装置の組み合わせであるか又はこれらを含み得る。いくつかの実施形態では、センサシステム1360及び位置決め装置1310が結合される。
【0044】
別に示されてはいないが、車両1000は、車両制御システムを含んでもよい。例えば、コントローラ1300が、車両制御システムを含んでもよい。車両制御システムは、車両1000の現在の状態及び車両1000に対して計画された経路を記述する情報を取得し、この情報に基づいて、車両1000に対する軌道を決定及び最適化するように動作可能であってもよい。いくつかの実施形態では、車両制御システムは、車両1000が車両制御システムによって決定された軌道に従うように車両1000を制御するように動作可能な信号を出力する。例えば、車両制御システムの出力は、パワートレイン1200、車輪1400/1410/1420/1430又は両方に供給され得る最適化された軌道であり得る。いくつかの実施形態では、最適化された軌道は、一組のステアリング角等の制御入力であってもよく、各ステアリング角は1つの時点又は位置に対応する。いくつかの実施形態では、最適化された軌道は、1つ以上の経路、線、曲線、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0045】
1つ以上の車輪1400/1410/1420/1430は、ステアリング装置1230の制御下でステアリング角に枢動される操縦された車輪、トランスミッション1220の制御下で車両1000を推進するためのトルクを与えられる推進された車輪、又は車両1000を操縦及び推進する操縦及び推進された車輪であってもよい。
【0046】
車両は、エンクロージャ、ブルートゥース(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)ラジオ装置、近距離無線通信(NFC)モジュール、液晶ディスプレイ(LCD)ディスプレイ装置、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置、スピーカ、又はこれらの任意の組み合わせ等の図1に示されていない装置又は要素を含んでもよい。
【0047】
図2は、本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両交通及び通信システム2000の一部の例示の図面である。車両交通及び通信システム2000は、図1に示された車両1000等の車両2100、及び図1に示された車両1000、歩行者、サイクリスト等の任意の交通手段の形態と共に建物等の任意の形態の構造を含み得る外部オブジェクト2110等の1つ以上の外部オブジェクトを含む。車両2100は、交通ネットワーク2200の1つ以上の部分を介して移動してもよく、1つ以上の電子通信ネットワーク2300を介して外部オブジェクト2110と通信してもよい。図2には明示されていないが、車両は、オフロード領域等の交通ネットワークに明示的に又は完全には含まれていない領域を横断してもよい。いくつかの実施形態では、交通ネットワーク2200は、誘導ループセンサ等の1つ以上の車両検出センサ2202を含んでもよく、これは交通ネットワーク2200において車両の移動を検出するために使用されてもよい。
【0048】
電子通信ネットワーク2300は、車両2100、外部オブジェクト2110及び外部リソース2400の間の音声通信、データ通信、映像通信、メッセージング通信、又はこれらの組み合わせ等の通信を提供する多重アクセスシステムであってもよい。例えば、車両2100又は外部オブジェクト2110は、電子通信ネットワーク2300を介して外部リソース2400から交通ネットワーク2200を表す情報等の情報を受信してもよい。
【0049】
外部リソース2400は、図1に示されたコントローラ1300の特徴の一部又は全てを含むコントローラ装置2410を含む。コントローラ装置2410は、車両の動きを監視し、調整し得る。コントローラ装置2410は、コントローラ装置2410と通信する車両の車両状態データを監視してもよい。コントローラ装置2410は、各車両の車両状態を維持してもよく、車両の車両状態に基づいて各車両の経路を決定してもよい。また、コントローラ装置は、車両の集合の車両状態データを監視して、交通条件(例えば、交通渋滞)の発生を検出し得る。交通条件の発生を決定すると、コントローラ装置2410は、交通条件に遭遇する可能性が高い車両(すなわち、経路が交通条件と交差する車両)を、1つ以上の要因に基づいて異なるサブグループにグループ化する。その後、異なるサブグループは、交通条件を効率的に迂回するように、異なる通過点を経由して経路変更される。コントローラ装置2410は、車両速度、車両位置、車両動作状態、車両目的地、車両経路、車両センサデータ、外部オブジェクト速度、外部オブジェクト位置、外部オブジェクト動作状態、外部オブジェクト目的地、外部オブジェクト経路及び外部オブジェクトセンサデータのいずれかを含む車両状態データ及び外部データを受信し得る。
【0050】
さらに、コントローラ装置2410は、車両2100等の1つ以上の車両又は外部オブジェクト2110等の外部オブジェクトに対する遠隔制御を確立し得る。このようにして、コントローラ装置2410は、遠隔地から車両又は外部オブジェクトを遠隔操作してもよい。コントローラ装置2410は、無線通信リンク2380等の無線通信リンク又は有線通信リンク2390等の有線通信リンクを介して、車両2100、外部オブジェクト2110又はサーバコンピュータ装置2500等の車両、外部オブジェクト又はコンピュータ装置と状態データを交換(送信又は受信)してもよい。
【0051】
サーバコンピュータ装置2500は、電子通信ネットワーク2300を介して、車両2100、外部オブジェクト2110又は外部リソース2400を含む1つ以上の車両又はコンピュータ装置と状態信号データを交換(送信又は受信)し得る1つ以上のサーバコンピュータ装置を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、車両2100又は外部オブジェクト2110は、有線通信リンク2390、無線通信リンク2310/2320/2370、又は任意の数若しくはタイプの有線若しくは無線通信リンクの組み合わせを介して通信を行ってもよい。例えば、図示のように、車両2110又は外部オブジェクト2110は、陸上無線通信リンク2310を介して、非陸上無線通信リンク2320を介して、又はこれらの組み合わせを介して通信を行う。いくつかの実装形態では、陸上無線通信リンク2310は、イーサネット(登録商標)リンク、シリアルリンク、ブルートゥース(登録商標)リンク、赤外線(IR)リンク、紫外線(UV)リンク、又は電子通信を促進可能な任意のリンクを含む。
【0053】
車両2100等の車両又は外部オブジェクト2110等の外部オブジェクトは、別の車両、外部オブジェクト又は外部リソース2400と通信してもよい。例えば、ホスト又は対象の車両2100が、直接通信リンク2370を介して又は電子通信ネットワーク2300を介して、外部リソース2400から基本安全メッセージ(basic safety message;BSM)等の1つ以上の自動車両間メッセージを受信してもよい。例えば、外部リソース2400は、300メートル等の既定のブロードキャスト範囲内のホスト車両に又は定義された地理領域にメッセージをブロードキャストしてもよい。いくつかの実施形態では、車両2100は、信号リピータ(図示せず)又は別の遠隔車両(図示せず)等のサードパーティを介してメッセージを受信する。いくつかの実施形態では、車両2100又は外部オブジェクト2110は、100ミリ秒等の既定の間隔に基づいて1つ以上の自動車両間メッセージを周期的に送信する。
【0054】
自動車両間メッセージは、車両識別情報、経度、緯度若しくは高度情報等の地理空間状態情報、地理空間位置精度情報、車両加速度情報、ヨーレート情報、速度情報、車両方位情報、ブレーキシステム状態データ、スロットル情報、ハンドル角度情報若しくは車両経路情報等の運動状態情報、又は送信車両状態に関連する車両サイズ情報、ヘッドライト状態情報、方向指示器情報、ワイパ状態データ、トランスミッション情報若しくは任意の他の情報若しくは情報の組み合わせ等の車両動作状態情報を含んでもよい。例えば、トランスミッション状態情報は、送信車両のトランスミッションがニュートラル状態、パーキング状態、前進状態又は後退状態に有るかどうかを示す。
【0055】
いくつかの実施形態では、車両2100は、アクセスポイント2330を介して電子通信ネットワーク2300と通信する。コンピュータ装置を含み得るアクセスポイント2330は、無線又は有線通信リンク2310/2340を介して、車両2100と、電子通信ネットワーク2300と、外部リソース2400と、又はこれらの組み合わせと通信するように構成されてもよい。例えば、アクセスポイント2330は、基地局、BTS(base transceiver station)、Node−B、eNode−B(enhanced Node−B)、HNode−B(Home Node−B)、無線ルータ、有線ルータ、ハブ、リレー、スイッチ、又は任意の類似の有線若しくは無線装置である。単一の装置として示されているが、アクセスポイントは、任意の数の相互接続要素を含み得る。
【0056】
車両2100は衛星2350又は他の非陸上通信装置を介して電子通信ネットワーク2300と通信してもよい。コンピュータ装置を含み得る衛星2350は、1つ以上の通信リンク2320/2360を介して、車両2100と、電子通信ネットワーク2300と、外部リソース2400と、又はこれらの組み合わせと通信するように構成されてもよい。単一の装置として示されているが、衛星は、任意の数の相互接続要素を含み得る。
【0057】
電子通信ネットワーク2300は、音声、データ、又は任意の他のタイプの電子通信装置を提供するように構成される任意のタイプのネットワークであってもよい。例えば、電子通信ネットワーク2300は、ローカル領域ネットワーク(LAN)、ワイド領域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、モバイル若しくはセルラ電話ネットワーク、インターネット、又は任意の他の電子通信システムを含む。電子通信ネットワーク2300は、トランスミッション・コントロール・プロトコル(TCP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)、インターネット・プロトコル(IP)、リアルタイム・トランスポート・プロトコル(RTP)、ハイパー・テキスト・トランスポート・プロトコル(HTTP)、又はこれらの組み合わせ等の通信プロトコルを使用してもよい。単一の装置として示されているが、電子通信ネットワークは、任意の数の相互接続要素を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、車両2100は、電子通信ネットワーク2300、アクセスポイント2330又は衛星2350を介して、外部リソース2400と通信する。外部リソース2400は、車両2100等の車両、外部オブジェクト2110等の外部オブジェクト、又はサーバコンピュータ装置2500等のコンピュータ装置からのデータを交換(送信又は受信)することができる1つ以上のコンピュータ装置を含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、車両2100は、交通ネットワーク2200の一部又は状態を識別する。例えば、車両2100は、速度センサ、車輪速度センサ、カメラ、ジャイロスコープ、光学センサ、レーザセンサ、レーダセンサ、音響センサ、又は交通ネットワーク2200の一部若しくは状態を決定若しくは識別することが可能な任意の他のセンサ若しくは装置又はこれらの組み合わせを含む図1に示されたセンサシステム1360等の1つ以上の車載センサ2102を含んでもよい。
【0060】
車両2100は、交通ネットワーク2200を表す情報、1つ以上の車載センサ2102、又はこれらの組み合わせ等の電子通信ネットワーク2300を介して伝達される情報を使用して、交通ネットワーク2200の1つ以上の部分を横断してもよい。外部オブジェクト2110は、車両2100に関して先に記載された通信及びアクションの全て又は一部の能力を有してもよい。
【0061】
簡潔のため、図2は、ホスト車両としての車両2100、外部オブジェクト2110、交通ネットワーク2200、電子通信ネットワーク2300、及び外部リソース2400を示している。しかしながら、任意の数の車両、ネットワーク又はコンピュータ装置が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、車両交通及び通信システム2000は、図2に示されていない装置、ユニット又は要素を含む。車両2100又は外部オブジェクト2110は単一の装置として示されているが、車両は、任意の数の相互接続要素を含み得る。
【0062】
電子通信ネットワーク2300を介して外部リソース2400と通信する車両2100が示されているが、車両2100(及び外部オブジェクト2110)は、任意の数の直接又は間接通信リンクを介して外部リソース2400と通信してもよい。例えば、車両2100又は外部オブジェクト2110は、ブルートゥース(登録商標)通信リンク等の直接通信リンクを介して外部リソース2400と通信してもよい。簡潔のため、図2は1つの交通ネットワーク2200及び1つの電子通信ネットワーク2300を示しているが、任意の数のネットワーク又は通信装置が使用されてもよい。
【0063】
図3は、交通ネットワーク3100を横断中に閉塞シナリオ3110に遭遇した自律走行車3000の例を示す。図示の例では、建物3120及び樹木3130が自律走行車3100の感知をブロックしている。その結果、自律走行車3100は、その提案された経路3140に沿って進むべきか否かを決定することができない。特に、建物3120及び樹木3130によって、車両3100のセンサシステムが、自律走行車3140の経路3100と交差する可能性のある潜在的な移動オブジェクト(例えば、車両3150)が存在するかどうかを決定することが妨げられる。さらに、閉塞シナリオ3110が自律走行車3100の進行方向への感覚到達範囲を遮断した場合、自律走行車3100は、非移動又は低速移動障害物(図示せず)が車両3140の直近経路3100にあるかどうかを決定することができない。閉塞シナリオ3110に遭遇した結果、自律走行車3100は、自律走行車3100のセンサシステムによって収集された車両データに基づいて、車両が実行するべき制御アクションを決定することができない場合がある。いくつかのシナリオでは、自律走行車は、所望のアクションを遂行できない結果となる制御アクションを決定し得る。例えば、制御アクションは、自律走行車に、より長く待機するように、徐々に前進するように、又は非常にゆっくり移動するように指示し得る。説明のために、車両をより長く待機させ、徐々に前進させ、又はゆっくりと前進させる制御アクションは全て、車両が制御アクションを決定できなかった状況と見みなされ得る。別の言い方をすれば、車両は、自律走行車が閉塞シナリオを正常に通過する結果となる制御アクションを決定することができない。さらに、図3の閉塞シナリオは、自律走行車3100の視界を遮るオブジェクトの結果であるが、閉塞シナリオは、交通ネットワークの幾何学的形状によっても生じ得ることに留意されたい。例えば、交差点の角度によって、自律走行車3100が、交通ネットワーク上を走行している他のオブジェクトを感知することを妨げられる場合にも、閉塞シナリオに遭遇し得る。
【0064】
図3に示すシナリオでは、建物3120及び樹木3130が自律走行車3100の感覚到達範囲又は視野を遮断するために、自律走行車3100は、車両3150又は他の移動オブジェクトがその経路3140と交差するように設定されているかどうかを決定することができない。このシナリオでは、自律走行車3100は、車両のセンサシステムから取得した車両データを車両のアクション決定モジュールに入力してもよい。アクション決定モジュールは、1つ以上の候補アクションを決定するように構成された自律走行車3100の任意のコンポーネントであってもよく、各候補アクションは、車両が実行し得る異なるアクションを定義し、それに起因する各信用スコアを有してもよい。信用スコアは、提供されたデータが与えられた場合に、アクション決定モジュールが候補アクションに対して有する信用度の指標であってもよい。いくつかの実装形態では、自律走行車は、候補アクションの各信用スコアが閾値を下回る場合、候補アクションのいずれも選択しない。言い換えれば、自律走行車は、アクション決定モジュールが候補アクションのいずれかに必要な信用度を有していない場合には、アクションをとらない。車両は、より長く待機すること、徐々に前進すること、又はゆっくりと移動すること等の保守的なアクションをとり得ることに留意されたい。これらのシナリオでは、実行される制御アクションが閉塞シナリオを越えて車両を前進させないので、依然として車両は制御アクションを決定することができないと判断してもよい。
【0065】
自律走行車3100が、自律走行車3100のアクション決定モジュールが車両データのみに基づいて制御アクションを決定する能力に影響を及ぼす閉塞シナリオに遭遇すると、自律走行車3100は、外部リソース3160からインフラストラクチャデータを要求してもよい。外部リソース3160は、交通ネットワーク3000を横断する車両及び/又はインフラストラクチャセンサ3180からデータを収集する1つ以上のコンピュータ装置の集合であってもよい。インフラストラクチャセンサ3180は、交通ネットワーク3000に沿って又は近接して配置され、外部リソース3160と通信する任意のセンサであってもよい。インフラストラクチャセンサ3180の例としては、限定されないが、誘導ループ交通センサ(又は「ループセンサ」)、ビデオカメラ、レーダセンサ、オーディオセンサ、及びLIDARセンサが含まれ得る。インフラストラクチャデータに対する要求は、自律走行車3100の地理的位置及び/又は閉塞シナリオに対応する推定位置(例えば、交通ネットワークのブロックされた部分の推定位置)を含んでもよい。要求の受信に応答して、外部リソースは、車両の位置/閉塞シナリオの位置に対応するインフラストラクチャデータを返す。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャデータは、検出イベント及びタイムスタンプの位置を示してもよい。例えば、車両3150がインフラストラクチャセンサ3180を通過すると、インフラストラクチャセンサ3180は、センサ空間が通信ネットワーク3160を介して占有されていることを示す信号を外部リソース3170に送信してもよい。例えば、インフラストラクチャセンサ3180は、センサ空間が占有されているときに第1の信号値を送信し、センサ空間が占有されていないときに第2の信号値を送信してもよい。インフラストラクチャセンサ3180から信号を受信し、インフラストラクチャセンサ3180の地理的位置を知ることによって、外部リソース3160は、潜在的に移動するオブジェクトがインフラストラクチャセンサを通過したときを決定してもよい。例えば、外部リソース3160は、占有イベントに対応するタイムスタンプを決定してもよい。要求が自律走行車及び/又は閉塞シナリオの位置を示す場合、インフラストラクチャデータに対する要求の受信に応答して、外部リソース3160は、要求に関連する任意の時空関連データを検索してもよい。例えば、外部リソース3160は、要求に応答するインフラストラクチャデータ内の直前の5秒(又は任意の他の適切な時間)の占有イベントの位置及びタイムスタンプを含んでもよい。さらに、外部リソースは、インフラストラクチャセンサによって検出されたオブジェクトに関する速度情報を提供してもよい。速度情報は、インフラストラクチャセンサ3180によって決定されてもよく、又は複数のインフラストラクチャセンサ3160から受信したインフラストラクチャデータに基づいて外部リソース3160によって補間されてもよい。
【0066】
自律走行車3100は、外部リソース3160からインフラストラクチャデータを受信し、車両センサから取得した車両データと、外部リソース3160から受信したインフラストラクチャデータとに基づいて、1つ以上の候補アクションを再度決定する。例えば、自律走行車3100は、車両データ及びインフラストラクチャデータをアクション決定モジュールに入力してもよく、次に、アクション決定モジュールは、各候補アクションに起因する信用スコアを有する1つ以上の候補アクションを出力する。1つ以上の候補アクションが閾値より大きいと仮定すると、自律走行車は最も高い信用スコアを有する候補アクション(又は必須の信用スコアを有する別の候補アクション)を制御アクションとして選択し得る。制御アクションの選択に応答して、自律走行車は制御アクションを実行し得る。
【0067】
いくつかのシナリオでは、自律走行車3100は、インフラストラクチャデータを受信した後で、閉塞シナリオ(例えば、車両が待機を続けるか、又は前方に少しずつ進む)を越えて車両を進行させる候補アクションを依然として選択することができない場合があることに留意されたい。これらのシナリオにおいて、自律走行車3100は、制御アクションを選択することが可能になるまで、インフラストラクチャデータを受信し続けてもよい。代替的に、自律走行車3100は、車両の制御を車両内の乗客に委ねてもよい。
【0068】
図4は、本開示のいくつかの実装形態による自律走行車(例えば、図1の自律走行車1000、図3の自律走行車3100)の例示的な車両制御システム4000を示す。車両制御システム4000は、自律走行車の1つ以上のプロセッサ(例えば、図1のプロセッサ1330)によって実行されてもよい。車両制御システム4000は、自律制御モジュール4010、アクション決定モジュール4020、及び車両制御モジュール4030を含んでもよい。車両制御システム4000は、センサシステム4100(例えば、図1のセンサシステム1360)及び通信装置4200(例えば、図1の通信装置1320)から入力を受信してもよい。
【0069】
いくつかの実装形態では、自律制御モジュール4010は、センサシステム4100から車両データを受信する。例えば、自律制御モジュール4010は、1つ以上のビデオカメラ、LIDARシステム、レーダシステム、レーザ感知システム、赤外線感知システム、音響感知システム、又は任意の他の適切なタイプの車載環境感知装置、又は装置の組み合わせから車両データを受信してもよい。自律制御モジュール4010は、車両データをアクション決定モジュール4020に渡し得る。
【0070】
いくつかの実装形態では、アクション決定モジュール4020は、車両データ(及びいくつかのシナリオではインフラストラクチャデータ)を受信し、受信したデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定する。アクション決定モジュール4020は、候補アクションを決定するための任意の適切な技術を実装してもよい。例えば、アクション決定モジュール4020は、受信したデータに基づいて候補アクションを決定する機械学習モデル及び/又はルールベースのエンジンを実装してもよい。機械学習モデルの例には、部分観測マルコフ決定過程、ニューラルネットワーク、ディープニューラルネットワーク、決定木等が含まれる。受信データに応答して、アクション決定モジュール4020は、1つ以上の候補アクションを決定する。自律走行車の制御の文脈において、候補アクションの例は、限定されないが、「右折」、「左折」、「左に向きを変える」、「右に向きを変える」、「直進」、「加速」、「減速」又は「停止」を含んでもよい。
【0071】
いくつかの実装形態では、アクション決定モジュール4020は、受信データを機械学習モデル又はルールベースのエンジンに入力して、1つ以上の候補アクションを決定し得る。最初に、アクション決定モジュール4020は、車両データ(すなわち、センサシステム4100から得られたデータ)を機械学習モデル又はルールベースのエンジンに入力し得る。後述するように、いくつかのシナリオでは、アクション決定モジュール4020は、アクション決定モジュール4020が車両データのみに基づいて制御アクションを決定することができない場合、インフラストラクチャデータ又はその他の外部データ(すなわち、他の自律走行車から得られた車両データ)を機械学習モデル又はルールベースのエンジンにさらに入力してもよい。入力されたデータに応答して、機械学習モデル又はルールベースのエンジンは、1つ以上の候補アクションを出力する。
【0072】
出力された各候補アクションは、それに起因する信用スコアを有してもよい。信用スコアは、それぞれのアクションに対する信用度を示してもよい。例えば、閉塞シナリオがある場合の右折の候補アクションに起因する比較的低い信用スコア(例えば、1の中の0.4)は、アクション決定モジュール4020が候補アクションに対して高度に信頼していないことを示している。
【0073】
自律制御モジュール4010は、1つ以上の候補アクション及びそれらの対応する信用スコアを受信し、候補アクションの1つを制御アクションとして選択するかどうかを決定する。自律制御モジュール4010は、各信用スコアを閾値と比較してもよく、ここで閾値は、候補アクションの最小信用スコアを定義している。閾値は、経験的に又は任意の他の適切なやり方で決定されてもよい。信用スコアの少なくとも1つが閾値より大きい(又は等しい)場合、自律制御モジュール4010は、1つ以上の候補アクションから制御アクションを選択する。例えば、自律制御モジュール4010は、最も高い信用スコアを有する候補アクションを選択してもよい。代替的に、自律制御モジュール4010は、必要な信用スコアを有し、自律走行車の動作を最も妨害しない候補アクションを選択してもよい。いくつかの実装形態では、自律制御モジュール4010は、車両が閉塞シナリオを越えて前進することにならない制御アクションを決定してもよいことに留意されたい。例えば、車両が閉塞シナリオを越えて車両を前進させる制御アクションを決定することができない場合、自律制御モジュール4010は、車両をより長く待機させるか、徐々に前進させるか、又は非常にゆっくり前進させる制御アクションを決定してもよい。これらのシナリオにおいて、自律制御モジュール4010は、選択された制御アクションが車両を閉塞シナリオを越えて前進させないので、制御アクションを決定することができなかったと見なしてもよい。
【0074】
信用スコアのいずれも閾値を超えないか又は等しくない場合、及び/又は自律制御モジュール4010が、閉塞シナリオを越えて車両を前進させる制御アクションを決定できない場合(例えば、もっと長く待つか、又はゆっくり前に進む)、自律制御モジュール4010は、外部リソースからインフラストラクチャデータを要求する。例えば、自律制御モジュール4010は、インフラストラクチャデータに対する要求を生成し、その要求を外部リソースに送信してもよい。自律制御モジュール4010は、例えば車両のGPS装置から車両の地理的位置を取得し得る。自律制御モジュール4010は、インフラストラクチャデータに対する要求に車両の地理的位置を含んでもよい。いくつかの実装形態では、自律制御モジュール4010(又は関連コンポーネント)は、閉塞シナリオに対応する位置を推定してもよい。言い換えると、自律制御モジュール4010は、センサシステム4100が信頼可能な車両データを取得できなかった領域の位置を推定してもよい。自律制御モジュール4010は、自律走行車の地理的位置、自律走行車の方位、及び/又はセンサデータを利用して、閉塞シナリオに対応する位置を推定してもよい。例えば、自律制御モジュール4010は、車両の地理的位置及び車両のLIDARセンサからのセンサ読み取り値を使用して、閉塞シナリオを生成している障害物の位置を推定し得る。障害物の位置及び自律走行車の向きに基づいて、自律制御モジュール4010は、センサシステム4100が信頼可能な車両データを取得できなかった領域の位置を推定してもよい。いくつかの実装形態では、自律制御モジュール4010は、インフラストラクチャデータに対する要求に閉塞シナリオの推定位置を含め得る。
【0075】
インフラストラクチャデータに対する要求を送信することに応答して、自律制御モジュール4010は、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信する。インフラストラクチャデータは、遮蔽される領域に関する様々な情報を示してもよい。例えば、インフラストラクチャデータは、最近占有されたセンサの地理的位置(例えば、オブジェクトがインフラストラクチャセンサによって検出された場所)を示してもよい。この例では、インフラストラクチャデータは、オブジェクトが領域内で検出されたときを示すタイムスタンプをさらに含んでもよい。さらに、インフラストラクチャセンサの数及び構成に応じて、インフラストラクチャデータは、検出されたオブジェクトの速度をさらに含んでもよい。追加的に又は代替的に、インフラストラクチャは、様々なインフラストラクチャセンサから得られるビデオデータ、レーダデータ、及び/又はLIDARデータを含んでもよい。これらの例では、外部リソースは、ビデオデータ、レーダデータ、及び/又はLIDARデータをストリーミングしてもよく、このデータは、データがいつ捕捉されたかを示すタイムスタンプを含んでもよい。いくつかの実装形態では、外部リソースは、アクション決定モジュール4020に直接入力する準備ができているように、インフラストラクチャデータを構造化する。
【0076】
自律制御モジュール4010は、インフラストラクチャデータの受信に応答して、(要求が送信されてから)新たに取得した車両データと共に、インフラストラクチャデータをアクション決定モジュール4020に渡す。アクション決定モジュール4020は、車両データ及びインフラストラクチャデータを機械学習モデル又はルールベースのエンジンに入力する。機械学習モデル又はルールベースエンジンにインフラストラクチャデータ及び車両データを入力することに応答して、機械学習モデル又はルールベースエンジンは、各候補アクションがそれに起因する信用スコアを有する1つ以上の候補アクションを出力する。自律制御モジュール4010は、候補アクション及び対応する信用スコアを受信し、各信用スコアを閾値と比較する。信用スコアの少なくとも1つが閾値より大きい(又は等しい)場合、自律制御モジュール4010は、1つ以上の候補アクションから制御アクションを選択する。例えば、自律制御モジュール4010は、最も高い信用スコアを有する候補アクションを選択してもよい。代替的に、自律制御モジュール4010は、必要な信用スコアを有し、自律走行車の動作を最も妨害しない候補アクションを選択してもよい。信用スコアのいずれも閾値を超えない場合、自律制御モジュール4010は、自律制御モジュール4010が制御アクションを選択することが可能になるまで、更新されたインフラストラクチャデータを要求/待機してもよい。追加的に又は代替的に、自律制御モジュール4010は、自律走行車の制御を車両内の乗客に委ねてもよい。
【0077】
自律制御モジュール4010は、制御アクションの選択に応答して、そのアクションを車両制御モジュール4030に出力する。車両制御モジュール4030は、制御アクションを受信し、1つ以上の様々な車両システムにコマンドを出力する。例えば、「右に曲がる」アクションの受信に応答して、車両制御モジュール4030は、ステアリングシステムに、車両のステアリングコラムをわずかに右に向けるように命令する。別の例では、「減速」アクションを受信することに応答して、車両制御モジュール4030は、電力システムに、車両の1つ以上のモータによる電力出力を低減するように命令してもよい。車両制御モジュール4030は、受信したアクションに対応するコマンドを任意の適切なやり方で決定してもよい。例えば、車両制御モジュール4030は、アクションをコマンドに関連付けるルックアップテーブルを利用してもよい。他の実装では、車両制御モジュール4030は、アクションに応答して1つ以上のコマンドを出力するルールの集合を利用してもよい。コマンドを決定することに応答して、車両制御モジュール4030は、対応する車両システムにコマンドを発行する。
【0078】
いくつかの実装形態では、自律制御モジュール4010(又は別のコンポーネント)は、自律走行車の電源投入時に外部リソースとの通信セッションを開始してもよい。一旦確立されると、自律制御モジュール4010は、要求を送信し、外部リソースからデータを効率的に受信し得る。さらに、インフラストラクチャデータに対する要求を外部要求に送信することによって、インフラストラクチャデータを継続的に受信するのとは対照的に、自律走行車によって消費されるネットワーク帯域幅の量及び使用されるコンピュータリソースが大幅に削減される。
【0079】
さらに、いくつかの実装形態では、外部リソースは、インフラストラクチャデータに対する要求に応答して、外部車両データをさらに提供してもよい。外部車両データは、自律走行車に近接しかつ外部リソースと通信している他の自律走行車から取得されたデータであってもよい。これは、自律走行車に近接する他の車両のタイムスタンプ付き地理的位置、他の車両の速度、他の車両によって検出されたオブジェクトの推定位置等を含んでもよい。図5は、外部リソース5000(例えば、図2の外部リソース2400)の構成例を示す。外部リソース5000は、分散して又は個別に動作する1つ以上のプロセッサを含む処理システム5100を含む車両制御サーバであってもよい。処理システム5100は、インフラストラクチャ監視モジュール5110及び応答モジュール5120を実行してもよい。処理システム5100は、図示しない追加のコンポーネントを実行してもよい。
【0080】
外部リソース5000は、ストレージシステム5200をさらに含んでもよい。ストレージシステム5200は、1つ以上の記憶装置(例えば、フラッシュメモリ装置、ハードディスクドライブ等)を含んでもよい。記憶装置は、互いに同じ物理的位置に配置されてもよく、又はネットワークを介して分散されて接続されてもよい。ストレージシステム5200は、交通ネットワークデータストア5210を記憶してもよい。
【0081】
外部リソース5000は、通信ネットワーク(例えば、インターネット及び/又はセルラネットワーク)を介して1つ以上の外部装置(例えば、自律走行車)と外部リソース5000との間で有線及び/又は無線通信を行う通信装置5300をさらに含んでもよい。
【0082】
交通ネットワークデータストア5210は、交通ネットワークデータを記憶する。交通ネットワークデータは、交通ネットワークの特徴を記述する任意のデータであり得る。交通ネットワークデータは、道路(例えば、街路、高速道路、脇道、路地等)、道路に沿った移動の方向、道路上の通行権、交通標識(例えば、譲れの標識、一時停止標識等)、信号機データ、車線データ(例えば、車線の数、合流点等)、道路に沿った制限速度、道路に沿った期待速度又は速さ、道路に沿った期待速度又は速さの範囲、既知の障害物、外部オブジェクト、及びその他の適切なデータを定義してもよい。いくつかの実装形態では、交通ネットワークデータは、地理位置情報をキーとするデータベースに編成されてもよい。このようにして、応答モジュール5120及び/又はインフラストラクチャ監視モジュール5110は、車両の位置に基づいて、車両の経路に関する交通ネットワークデータを検索してもよい。
【0083】
交通ネットワークデータストア5210は、交通ネットワークに沿って配置されたインフラストラクチャセンサに関する情報をさらに記憶してもよい。インフラストラクチャセンサの例には、限定されないが、ビデオカメラ、レーダセンサ、LIDARセンサ、オーディオセンサ、及び誘導ループ交通センサが含まれる。交通ネットワークデータストア5210は、各インフラストラクチャセンサの地理的位置と、インフラストラクチャセンサによって監視される領域に対応する地理的位置又はジオフェンスとを含み得る。
【0084】
いくつかの実装形態では、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、交通ネットワークに沿って配置されたインフラストラクチャセンサの状態を監視する。各インフラストラクチャセンサについて、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、インフラストラクチャセンサと通信し、又は通信を実施し、センサの状態(例えば、占有履歴)を維持してもよい。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、それぞれのセンサによって監視されている領域がオブジェクトによって占有されているか、又は空であるかを決定するように構成される。これらの実装形態のいくつかにおいて、インフラストラクチャセンサ(例えば、誘導ループ交通センサ)は、占有信号をインフラストラクチャ監視モジュール5110と通信してもよく、第1の値(例えば、1)は、インフラストラクチャセンサによって監視されている領域が占有されていることを示し、第2の値(例えば、0)は、インフラストラクチャセンサによって監視されている領域が空であることを示す。監視対象領域が占有されていることを信号が示すたびに、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、占有イベントに対応するタイムスタンプを決定してもよい。
【0085】
各インフラストラクチャセンサについて、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、監視期間(例えば、直前の分又は直前の30秒)の間、センサの占有履歴を維持してもよい。占有履歴は、監視期間中に検出された全ての占有イベントを示してもよい。例えば、占有履歴は、監視期間中に検出された各占有イベントのタイムスタンプを含んでもよい。インフラストラクチャ監視モジュール5110は、監視期間内にもはや存在しない占有イベントをパージしてもよい。例えば、占有イベントが古くなると(例えば、1分以上経過)、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、その占有イベントをインフラストラクチャセンサの占有履歴から除去してもよい。
【0086】
追加的に又は代替的に、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、インフラストラクチャセンサ又はインフラストラクチャセンサの集合がそのような情報を収集することができることを条件として、インフラストラクチャセンサによって検出された各オブジェクトの速さ/速度情報を維持してもよい。例えば、インフラストラクチャセンサがLIDAR又はレーダセンサである場合、インフラストラクチャセンサは車両の速度を決定することが可能であってもよい。インフラストラクチャセンサは、この情報を外部リソースに送信してもよい。インフラストラクチャ監視モジュール5110は、検出されたオブジェクトの速さ/速度情報を受信してもよく、占有履歴と共に車両の速度を維持してもよい。
【0087】
占有履歴を維持することに加えて、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、各インフラストラクチャセンサの信用スコアを維持してもよい。信用スコアは、各インフラストラクチャセンサの責任の程度を示してもよい。例えば、センサが、他の近くのインフラストラクチャセンサと矛盾する読み取り値を一貫して提供している場合(例えば、センサは領域が占有されていないことを示す占有信号を一貫して出力しているが、センサの前後の他のインフラストラクチャセンサは矛盾する占有信号を出力する)、センサの信用スコアは減少してもよい。センサの信用スコアが他のインフラストラクチャセンサの信用スコアと比較して相対的に低い場合、信用スコアは自律走行車の意思決定に影響を及ぼし得る。
【0088】
インフラストラクチャ監視モジュール5110は、任意の適切なやり方で各インフラストラクチャの状態(例えば、占有履歴)を維持してもよい。例えば、インフラストラクチャ監視モジュール5110は、それぞれのインフラストラクチャごとに、各インフラストラクチャセンサオブジェクト(例えば、コンテナ)をインスタンス化してもよい。各インフラストラクチャセンサオブジェクトは、通信装置を介して各インフラストラクチャセンサと直接通信するように構成されてもよい。各インフラストラクチャセンサオブジェクトは、占有イベントの検出に応答してタイムスタンプを生成し、検出された占有イベントに基づいて各インフラストラクチャセンサの占有履歴を維持するための命令をさらに含んでもよい。さらに、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、それぞれの占有履歴に関するクエリに応答するようにさらに構成されてもよい。このようなクエリに応答して、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、その占有履歴を出力してもよい。
【0089】
インフラストラクチャセンサオブジェクトは、追加の機能を実行するように構成されてもよい。例えば、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、各占有イベントのタイムスタンプ、占有イベントを捕捉したインフラストラクチャセンサのタイプ、及び検出された占有イベントの地理的位置を示すように収集されたインフラストラクチャデータを構造化するように構成されてもよい。別の例では、1つ以上のインフラストラクチャセンサオブジェクトは、より複雑なインフラストラクチャデータを補間するために互いに相互通信するように構成されてもよい。例えば、互いに近接する2つ以上のインフラストラクチャセンサに対応する2つ以上のインフラストラクチャセンサオブジェクトは、オブジェクトが2つ以上のセンサ間を移動するときを決定するために通信するように構成されてもよい。この例では、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、インフラストラクチャセンサ間の距離と、各インフラストラクチャセンサで検出された占有イベントの各タイムスタンプとに基づいて、オブジェクトの速度を決定してもよい。
【0090】
応答モジュール5120は、交通ネットワーク上を走行する自律走行車からの要求に応答するように構成されてもよい。交通ネットワークに沿って走行する各自律走行車について、応答モジュール5120は、外部リソース5000と各自律走行車との間の通信を実施するための通信セッションを生成してもよい。通信セッションを生成すると、応答モジュール5120は自律走行車から要求(又はその他の通信)を受信してもよく、データ(インフラストラクチャデータ等)を自律走行車に送信してもよい。
【0091】
いくつかの実装形態では、応答モジュール5120は、自律走行車からインフラストラクチャデータに対する要求を受信し、その要求に応答するインフラストラクチャデータを返すように構成される。これらの実装形態のいくつかにおいて、応答モジュール5120は、インフラストラクチャデータに対する要求を受信し、どのインフラストラクチャセンサがその要求に関連するかを決定する。上述のように、インフラストラクチャデータに対する要求は、自律走行車の地理的位置、閉塞シナリオに対応する推定位置、及び/又は他の情報(例えば、自律走行車の現在の経路)を含んでもよい。応答モジュール5120は、車両の地理的位置及び/又は閉塞シナリオの推定位置を使用して、交通ネットワークデータストア5210にクエリを行って、存在する場合、どのインフラストラクチャセンサが車両の地理的位置/閉塞シナリオの位置に関連するかを決定してもよい。交通ネットワークデータストア5210は、0個以上の関連インフラストラクチャセンサの識別子を返してもよい。
【0092】
関連インフラストラクチャセンサを決定することに応答して、応答モジュール5120は、関連インフラストラクチャセンサに対応するインフラストラクチャデータを取得してもよい。いくつかの実装形態では、応答モジュール5120は、各関連インフラストラクチャセンサの対応するインフラストラクチャセンサオブジェクトにクエリを行って、各関連インフラストラクチャセンサの占有履歴(又はその他のインフラストラクチャデータ)を取得してもよい。応答モジュール5120は、オープン通信セッションを介して、占有履歴を自律走行車に送信してもよい。いくつかの実装形態では、応答モジュール5120は、自律走行車が閉塞シナリオを迂回するまで、関連インフラストラクチャセンサに対する占有データを送信し続けてもよい。自律走行車がその目的地に到達し、及び/又は電源がオフになると、応答モジュール5120は自律走行車との通信セッションを終了してもよい。
【0093】
図6は、外部リソース(例えば、図5の外部リソース5000)から取得したインフラストラクチャデータを使用して自律走行車(例えば、図1の自律走行車1000)を制御するための方法6000の動作の一例を示す。
【0094】
工程6100において、自律走行車は、自律走行車のセンサシステムから車両データを受信する。例えば、自律走行車は、車両内に配置された1つ以上のセンサから1つ以上のセンサ信号を受信してもよい。センサのタイプの例としては、限定されないが、ビデオカメラ、オーディオセンサ、LIDARS、レーダ、モーションセンサ、加速度計、及び/又はジャイロスコープが含まれる。自律走行車は、車両が交通ネットワークを横断している間、車両データを継続的に収集してもよい。
【0095】
工程6110において、自律走行車は、車両データに基づいて、それが閉塞シナリオにあると決定する。上述したように、閉塞シナリオは、障害物が車両のセンサシステムの「視野」をブロックしているときに発生し得る。自律走行車は、自律走行車が現在の車両データに基づいて制御アクションを決定することができない場合に、自律走行車が閉塞シナリオにあると決定してもよい。例えば、自律走行車は、1つ以上の候補アクションを決定するために、機械学習モデル又はルールベースのエンジンを利用してもよい。最初に、自律走行車は、機械学習モデル又はルールベースのエンジンに車両データを入力し、次に、1つ以上の候補アクションを出力してもよい。各候補アクションは、それに起因する信用スコアを有してもよい。自律走行車は、各信用スコアを閾値と比較してもよい。いずれの候補スコアも閾値を超えない場合、自律走行車は、それが閉塞シナリオにあると決定してもよい。自律走行車は、他の適切なやり方で閉塞シナリオにあると決定してもよい。例えば、自律走行車は、車両の「視野」を妨げる障害物があるか否かを決定するために、車両の1つの視点から補足された画像と、同じ視点に対応するLIDARデータとを比較してもよい。
【0096】
工程6120において、車両が閉塞シナリオにあると決定することに応答して、自律走行車はインフラストラクチャデータに対する要求を外部リソース(例えば、図5の外部リソース5000)に送信する。インフラストラクチャデータに対する要求は、自律走行車の地理的位置及び/又は閉塞シナリオに対応する推定位置(例えば、閉塞領域の推定位置)を含んでもよい。自律走行車は、例えば、車両のGPSユニットから車両の地理的位置を取得し得る。自律走行車は、インフラストラクチャデータに対する要求に車両の地理的位置を含んでもよい。いくつかの実装形態では、自律走行車は、閉塞シナリオに対応する位置を推定してもよい。言い換えると、自律走行車は、センサシステムが信頼可能な車両データを取得できなかった領域の位置を推定してもよい。自律走行車は、自律走行車の地理的位置、自律走行車の方位、及び/又は車両データを利用して、閉塞シナリオに対応する位置を推定してもよい。例えば、車両は、車両の地理的位置及び車両のLIDARセンサからのセンサ読み取り値を使用して、閉塞シナリオを生成している障害物の位置を推定し得る。障害物の位置及び自律走行車の向きに基づいて、自律走行車は、センサシステムが信頼可能な車両データを取得できなかった領域の位置を推定してもよい。いくつかの実装形態では、自律走行車は、車両インフラストラクチャデータに対する要求に閉塞シナリオの推定位置を含め得る。自律走行車は、通信ネットワーク(例えば、インターネット及び/又はセルラネットワーク)を介して、インフラストラクチャデータに対する要求を外部リソースに送信してもよい。いくつかの実装形態では、自律走行車は、自律走行車と外部リソースとの間で確立される通信セッションを介して、インフラストラクチャデータに対する要求を送信してもよい。
【0097】
工程6130において、外部リソースは、交通ネットワークに沿って配置されたインフラストラクチャセンサからインフラストラクチャデータを受信する。インフラストラクチャセンサの例には、限定されないが、ビデオカメラ、レーダセンサ、LIDARセンサ、オーディオセンサ、及び誘導ループ交通センサが含まれる。各インフラストラクチャセンサは、通信ネットワークを介して外部リソースと通信するように構成することができる。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャセンサは、インフラストラクチャによって監視されている領域がオブジェクト(例えば、車両、歩行者、サイクリスト等)によって現在占有されているかどうかを示す占有信号を送信するように構成されてもよい。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャセンサは、生のセンサデータ(例えば、ビデオストリーム、LIDARストリーム、レーダストリーム等)を外部リソースに送信してもよい。これらの実装形態において、外部リソースは、センサによって監視されている領域がオブジェクトによって占有されているかどうかを決定するように構成されてもよい。外部リソースは、インフラストラクチャセンサからインフラストラクチャデータを継続的に受信してもよい。
【0098】
外部リソースは、各インフラストラクチャセンサの状態を維持してもよい。いくつかの実装形態では、外部リソースは、各インフラストラクチャセンサの占有履歴を維持する。各占有履歴は、インフラストラクチャセンサ(例えば、直前の分や30秒)の最近の履歴に一時的に限定されてもよい。いくつかの実装形態では、外部リソースは、各インフラストラクチャセンサごとにインフラストラクチャセンサオブジェクトを実行/維持してもよい。各インフラストラクチャセンサオブジェクトは、通信装置を介して各インフラストラクチャセンサと直接通信するように構成されてもよい。各インフラストラクチャセンサオブジェクトは、占有イベントの検出に応答してタイムスタンプを生成するための命令、及び検出された占有イベントに基づいて各インフラストラクチャセンサの占有履歴を維持するための命令をさらに含んでもよい。さらに、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、それぞれの占有履歴に関するクエリに応答するようにさらに構成されてもよい。このようなクエリに応答して、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、その占有履歴を出力してもよい。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、各占有イベントのタイムスタンプ、占有イベントを捕捉したインフラストラクチャセンサのタイプ、及び検出された占有イベントの地理的位置を示すように収集されたインフラストラクチャデータを構造化するように構成されてもよい。
【0099】
いくつかの実装形態では、1つ以上のインフラストラクチャセンサオブジェクトは、より複雑なインフラストラクチャデータを補間するために互いに相互通信するように構成されてもよい。例えば、互いに近接する2つ以上のインフラストラクチャセンサに対応する2つ以上のインフラストラクチャセンサオブジェクトは、オブジェクトが2つ以上のセンサ間を移動するときを決定するために通信するように構成されてもよい。この例では、インフラストラクチャセンサオブジェクトは、インフラストラクチャセンサ間の距離と、各インフラストラクチャセンサで検出された占有イベントの各タイムスタンプとに基づいて、オブジェクトの速度を決定してもよい。
【0100】
工程6140において、外部リソースは、自律走行車からインフラストラクチャデータに対する要求を受信する。外部リソースは、通信ネットワークを介して要求を受信してもよい。いくつかの実装形態では、外部リソースは、外部リソースと通信しかつ交通ネットワークを横断するように構成された各自律走行車との通信セッションを開く。外部リソースは、通信セッションを介してインフラストラクチャデータ(及びその他の通信)に対する要求を受信してもよい。
【0101】
工程6150において、外部リソースは、インフラストラクチャデータに対する要求に応答する。いくつかの実装形態では、外部リソースは、要求に関連する1つ以上のインフラストラクチャセンサを決定する。上述のように、インフラストラクチャデータに対する要求は、自律走行車の地理的位置、閉塞シナリオに対応する推定位置、及び/又は他の情報(例えば、自律走行車の現在の経路)を含んでもよい。外部リソースは、車両の地理的位置及び/又は閉塞シナリオの推定位置を使用して、交通ネットワークデータストア(例えば、図5の交通ネットワークデータストア5210)にクエリを行って、存在する場合、どのインフラストラクチャセンサが車両の地理的位置及び/又は閉塞シナリオの位置に関連するかを決定してもよい。データストアは、0個以上の関連インフラストラクチャセンサの識別子を返してもよい。
【0102】
関連インフラストラクチャセンサを決定することに応答して、外部リソースは、関連インフラストラクチャセンサに対応するインフラストラクチャデータを取得してもよい。いくつかの実装形態では、外部リソースは、各関連インフラストラクチャセンサの対応するインフラストラクチャセンサオブジェクトにクエリを行って、各関連インフラストラクチャセンサの占有履歴(又はその他のインフラストラクチャデータ)を取得してもよい。外部リソースは、オープン通信セッションを介して、各関連インフラストラクチャセンサの占有履歴を自律走行車に送信してもよい。
【0103】
工程6160において、自律走行車は、外部リソースからインフラストラクチャデータを受信する。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャデータは、自律走行車及び/又は閉塞シナリオの地理的位置に近接するか又は関連する1つ以上のインフラストラクチャセンサの占有履歴を含む。
【0104】
工程6170において、自律走行車は、受信したインフラストラクチャデータに基づいて制御アクションを決定する。インフラストラクチャデータの受信に応答して、自律走行車は、車両データ及びインフラストラクチャデータを、機械学習モデル又はルールベースのエンジンに入力してもよい。機械学習モデル又はルールベースエンジンにインフラストラクチャデータ及び車両データを入力することに応答して、機械学習モデル又はルールベースエンジンは、各候補アクションがそれに起因する信用スコアを有する1つ以上の候補アクションを出力する。いくつかの実装形態では、自律走行車は、各信用スコアを閾値と比較する。信用スコアの少なくとも1つが閾値より大きい(又は等しい)場合、自律走行車は、1つ以上の候補アクションから制御アクションを選択する。例えば、自律走行車は、最も高い信用スコアを有する候補アクションを選択してもよい。代替的に、自律走行車は、必要な信用スコアを有し、自律走行車の動作を最も妨害しない候補アクションを選択してもよい。信用スコアがいずれも閾値を超えない場合、自律走行車は、更新されたインフラストラクチャデータを要求/待機してもよい。追加的に又は代替的に、自律走行車は、自律走行車の制御を車両内の乗客に委ねてもよい。
【0105】
工程6180において、自律走行車は、選択された制御アクションに基づいて自身を制御する。制御アクションの選択に応答して、自律走行車は、制御アクションに基づいて、1つ以上の様々な車両システムに対する1つ以上のコマンドを決定する。自律走行車は、受信したアクションに対応するコマンドを任意の適切なやり方で決定してもよい。例えば、自律走行車は、アクションに応答して1つ以上のコマンドを出力するコマンド又はルールの集合にアクションを関連付けるルックアップテーブルを利用してもよい。自律走行車は、コマンドの決定に応答して、対応する車両システムにコマンドを発行する。
【0106】
自律走行車及び外部リソースは、自律走行車が閉塞シナリオを迂回するまで、関連インフラストラクチャセンサのインフラストラクチャデータ(例えば、占有履歴)を送信/受信し続けてもよいことに留意されたい。方法6000は、自律走行車が目的地に到達する及び/又は電源が切れるまで、実行され続けてもよい。自律走行車がその目的地に到達し、及び/又は電源がオフになると、外部リソースは自律走行車との通信セッションを終了してもよい。
【0107】
本開示は、特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本開示は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な変更及び同等の構成を包含することを意図しており、その範囲は、全てのそのような変更及び同等の構成を包含するように、法律の下で許容される最も広い解釈に一致されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020年10月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通ネットワークを横断する自律走行車を制御するための方法であって、
前記自律走行車によって、経路に従って前記交通ネットワークを横断するステップと、
前記自律走行車の1つ以上のプロセッサによって、前記自律走行車の1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記車両センサデータに基づいて前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップであって、前記1つ以上の車両センサの中の少なくとも1つのセンサの視野が閉塞され、それによって前記交通ネットワークの対応する部分が閉塞部分になるステップと、
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
前記1つ以上のプロセッサによって、通信ネットワークを介してインフラストラクチャデータに対する要求を外部リソースに送信するステップであって、前記インフラストラクチャデータに対する要求は前記自律走行車の地理的位置を示すステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記要求に対する応答を受信するステップであって、前記応答は前記外部リソースからインフラストラクチャデータを含んでおり、前記インフラストラクチャデータは、前記自律走行車の前記地理的位置に近接する前記交通ネットワークに沿って配置された1つ以上のインフラストラクチャセンサによって提供されるインフラストラクチャセンサデータに基づいており、前記インフラストラクチャデータは、前記交通ネットワークの前記閉塞部分における外部オブジェクトを示すステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記インフラストラクチャデータ及び前記車両センサデータに基づいて前記自律走行車が実行する制御アクションを決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記制御アクションに基づいて前記自律走行車を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、
各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較すること、及び
前記各信用スコアの全てが前記閾値未満であるとの決定に応答して、前記自律走行車が前記閉塞シナリオに入ったと決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定するステップは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、
各候補アクションの各信用スコアを閾値と比較すること、及び
前記各信用スコアの特定の信用スコアが前記閾値を超えているとの決定に応答して、
前記制御アクションとして前記特定の信用スコアが対応する候補アクションを選択すること、及び
前記制御アクションが現在のシナリオを越えて前記自律走行車を前進させないとの決定に応答して、前記車両が前記閉塞シナリオにあると決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御アクションを決定するステップは、
入力データの受信に応答して候補アクションを出力するように訓練された機械学習モデルに前記車両センサデータ及び前記インフラストラクチャデータを入力することであって、各候補アクションはそれに関連する各信用スコアを有すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、それに起因するセンサ信頼性スコアを有し、前記センサ信頼性スコアは、前記インフラストラクチャデータを出力する前記インフラストラクチャセンサの信頼度を示し、前記制御アクションを決定することは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記センサ信頼性スコアを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、位置データを含み、前記位置データは、前記インフラストラクチャデータのインスタンスを送信した前記インフラストラクチャセンサの位置を示し、前記制御アクションを決定するステップは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記位置データを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
前記車両センサデータに基づいて、前記交通ネットワークの前記閉塞部分の概略位置を決定するステップと、
インフラストラクチャデータに対する前記要求に前記概略位置を含めるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の車両センサを有するセンサシステムと、
コンピュータ可読命令を実行する1つ以上のプロセッサと
を備える自律走行車であって、
前記コンピュータ可読命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
前記自律走行車が交通ネットワークを横断する際に、前記センサシステムの前記1つ以上の車両センサから車両センサデータを受信すること、
前記車両センサデータに基づいて、前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することであって、前記1つ以上の車両センサの中の少なくとも1つのセンサの視野が閉塞され、それによって前記交通ネットワークの対応する部分が閉塞部分になること、及び
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
通信ネットワークを介してインフラストラクチャデータに対する要求を外部リソースに送信することであって、前記インフラストラクチャデータに対する要求は前記自律走行車の地理的位置を示すこと、
前記要求に対する応答を受信することであって、前記応答は前記外部リソースからインフラストラクチャデータを含むことであって、前記インフラストラクチャデータは、前記自律走行車の前記地理的位置に近接する前記交通ネットワークに沿って配置された1つ以上のインフラストラクチャセンサによって提供されるインフラストラクチャセンサデータに基づいており、前記インフラストラクチャデータは、前記交通ネットワークの前記閉塞部分における外部オブジェクトを示すこと、
前記インフラストラクチャデータ及び前記車両センサデータに基づいて前記自律走行車が実行する制御アクションを決定すること、及び
前記制御アクションに基づいて前記自律走行車を制御すること
を行わせる、自律走行車。
【請求項9】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、及び
各候補アクションの前記各信用スコアを閾値と比較すること、
前記各信用スコアの全てが前記閾値未満であるとの決定に応答して、前記自律走行車が前記閉塞シナリオに入ったと決定すること
を含む、請求項に記載の自律走行車。
【請求項10】
前記自律走行車が閉塞シナリオに遭遇したことを決定することは、
前記車両センサデータに基づいて1つ以上の候補アクションを決定することであって、各候補アクションは、それに起因する各信用スコアを有し、前記各信用スコアは、前記車両センサデータを考慮した前記候補アクションに対する信用度を示すこと、
各候補アクションの前記各信用スコアを閾値と比較すること、及び
前記各信用スコアの特定の信用スコアが前記閾値を超えているとの決定に応答して、
前記制御アクションとして前記特定の信用スコアが対応する候補アクションを選択すること、及び
前記制御アクションが現在のシナリオを越えて前記自律走行車を前進させないとの決定に応答して、前記車両が前記閉塞シナリオにあると決定すること
を含む、請求項に記載の自律走行車。
【請求項11】
前記制御アクションを決定することは、
入力データの受信に応答して候補アクションを出力するように訓練された機械学習モデルに前記車両センサデータ及び前記インフラストラクチャデータを入力することであって、各候補アクションはそれに関連する各信用スコアを有すること
を含む、請求項に記載の自律走行車。
【請求項12】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、それに起因するセンサ信頼性スコアを有し、前記センサ信頼性スコアは、前記インフラストラクチャデータを出力する前記インフラストラクチャセンサの信頼度を示し、前記制御アクションを決定することは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記センサ信頼性スコアを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項13】
インフラストラクチャデータの各インスタンスは、位置データを含み、前記位置データは、前記インフラストラクチャデータのインスタンスを送信した前記インフラストラクチャセンサの位置を示し、前記制御アクションを決定するステップは、前記インフラストラクチャデータの各インスタンスの前記位置データを前記インフラストラクチャデータのインスタンスと共に前記機械学習モデルに入力することをさらに含む、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項14】
前記コンピュータ可読命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
前記自律走行車が前記閉塞シナリオに遭遇したと決定したことに応答して、
前記車両センサデータに基づいて、前記交通ネットワークの前記閉塞部分の概略位置を決定すること、及び
前記インフラストラクチャデータに対する要求に前記概略位置を含めること
をさらに行わせる、請求項に記載の自律走行車。
【国際調査報告】