【実施例】
【0067】
以下の非限定例は、本発明の実施形態をさらに十分に例示する。
一般実験手順
触媒反応に使用するための溶液の調製は、アルゴン雰囲気または窒素雰囲気下で行った。ガラス器具はすべて、使用前に、オーブン乾燥または火炎乾燥し、真空下で冷却して使用した。溶媒は、使用前に、少なくとも1時間、溶媒にアルゴンまたは窒素を通気することによって脱気するか、または使用前に凍結脱気した。特に明記されていない限り、前駆体化学物質はすべて、Sigma−Aldrich、Acros、Alfa Aesar、StremまたはTCIから購入し、受領したまま使用した(上記の通りさらに脱気した場合を除く)。室温または周囲温度とは、15〜25℃の温度範囲を指す。反応混合物の加熱は、油浴またはDrysyn加熱ブロックのいずれかにより行った。特に明記しない限り、報告されている温度は油浴または加熱ブロックの温度であり、内温ではなく、接触式温度計(PT−1000)を使用して測定した。真空は、Heidolph Laborota4001回転式蒸発器の使用、または高真空ラインの使用のいずれかを指す。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、事前コーティングされているプラスチック板(Kieselgel60 F254シリカ)上で行った。TLCの可視化は、UVランプ(254nm)を使用して、または1%過マンガン酸カリウム水溶液を使用して行った。フラッシュシリカクロマトグラフィーは、Kieselgel60シリカを使用して行った。
【0068】
1H、
13C、
31P、
19F NMRは、Bruker Avance300(
1Hの場合、300MHz、
13Cの場合、75MHz、
31Pの場合、121MHz、および
19Fの場合、282MHz)、Bruker Avance II400(
1Hの場合、400MHz、
13Cの場合、100MHz、
31Pの場合、161MHz、および
19Fの場合、376MHz)、またはBruker Ultrashield500(
1Hの場合、500MHz、
13Cの場合、125MHz、
31Pの場合、201MHz、および
19Fの場合、470MHz)のいずれかを使用して行った。NMR分析は、重水素化物中、室温で行った。ケミカルシフトは、百万分率(ppm)として引用する。カップリング定数Jは、Hzで引用する。多重度は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)およびm(マルチプレット)によって表示する。略称「br」は、幅広いピーク形状を意味するために使用される。
赤外スペクトルは、Pike減衰全反射(ATR)付属品を使用するShimadzu IRAffinity−1で記録した。ピークは、弱(w)、中(m)または強(s)として報告する。略称「br」は、幅広いピーク形状を意味し、「sh」は、ピーク形状が鋭いことを意味する。単位はすべてcm−1で報告する。
【0069】
質量分析(m/z)データは、University of St Andrews Mass Spectrometry facility(Micromass LCT分光計またはMicromass GCT分光計を使用)またはEPRSC National Mass Spectrometry Service Centre、Swansea(Orbitrap nano−ESI、Finnigan MAT900 XLTまたはFinnigan MAT95 XPを使用)のいずれかで、エレクトロスプレーイオン化(ESI)または電子衝撃(EI)によって取得した。値は、ダルトンでの質量対電荷比として報告する。旋光度は、ナトリウムD線、および濃度(c=g/100ml)と共に報告する好適な溶媒を使用して、室温で1dmの経路長さを有する1mlのセルを使用して、Perkin Elmer341偏光計で測定した。HPLC分析は、GalaxieワークステーションPCソフトウェアによって操作したVarian Prostarを使用して決定した。
【0070】
(S
c,R
p)−N−2−ピコリル−1−(2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエチルアミン(1)の合成
【化7】
容易に入手可能な(Sc,Rp)−N,N−ジメチル−1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(209mg、0.47mmol)[8]に、脱気した無水酢酸(152μL、1.59mmol)を加えた。この反応混合物を90℃に加熱し、この溶液は最終的に均一になった。TLC分析(EtOAc:ヘプタン、20:80、Et
3Nで不活性化)により、完全な変換が示されるまで(通常、2〜3時間)、この混合物を反応温度に保持した。この溶液を室温まで冷却し、イソプロパノール(551μL)を加えた。この溶液に、イソプロパノール(276μL)中の脱気した2−ピコリルアミン(985μL、9.55mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、TLC分析(EtOAc:ヘプタン、20:80、Et
3Nで不活性化)により、反応が完了したことを示すまで、この反応混合物を60℃〜70℃で5日間、加熱した。この反応混合物を真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、50:50、Et
3Nで不活性化シリカ)により粗生成物を精製すると、オレンジ色油状物が得られ、これをヘキサン中で結晶化させると、生成物がオレンジ色結晶として得られた(106.4mg、0.211mmol、45%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.31 (1H, d, J 4.9, NC
(ピリジン)H), 7.59-7.48 (2H, m, C
ArH), 7.43-7.26 (5H, m, C
ArH), 7.26-7.21 (2H, m, C
ArH), 7.18-7.11 (3H, m, C
ArH), 7.03-6.94 (1H, m, NC
(ピリジン)HC
(ピリジン)H), 6.55 (1H, d, J 7.8, NHCH), 4.55 (1H, br s, C
5H
3), 4.32 (1H, t, J 2.5, C
5H
3), 4.26-4.17 (1H, m, NHCH), 4.02 (5H, s, C
5H
5), 3.83 (1H, s, C
5H
3), 3.64 (2H, d, J 2.1, CArCH
2NH)および1.57 (3H, d, J 6.0, CHCH
3);
13C-{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 159.7 (s, NC
(ピリジン)CH
2), 148.7 (s, NC
(ピリジン)), 140.0 (d, J 10.04, C
Ar,PPh
2), 137.2 (d, J 9.12, C
Ar,PPh
2), 136.1 (s, C
(ピリジン)), 135.0 (d, J 20.96, 2 x C
ArH, PPh
2), 132.6 (d, J 18.88, 2 x C
ArH, PPh
2), 129.1 (s, C
(ピリジン)), 128.3 (d, J 6.31, 2 x C
ArH, PPh
2), 128.1 (d, J 6.31, 2 x C
ArH, PPh
2), 128.0 (s, C
(ピリジン)), 121.6 (s, C
ArH, PPh
2), 121.4 (s, C
ArH, PPh
2), 97.5 (d, J 25.52, C, RC
5H
3), 75.1 (d, J 8.11, C, C
5H
3P), 71.3 (d, J 4.0, CH, C
5H
3), 69.7 (s, C
5H
5), 69.5 (d, J 4.0, CH, C
5H
3), 69.2 (s, CH, C
5H
3), 52.1 (s, HNCH
2), 51.3 (d, J 7.4, NCH)および19.5 (s, CHCH
3);
31P{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: -25.1 (PPh
2).
MS: (ES+) 527.13 ((M+Na)
+, 33%), 397.08 ((M-ピコリルアミン), 100%);
IR (KBr): ν
max/cm
-1 (KBr) 3736 (w), 3438 (m), 3050 (m), 2925 (m), 1588 (m), 1568 (m), 1494 (m), 1476 (s), 1454 (s), 1374 (m), 1310 (w), 1239 (m), 1170 (m), 1139 (m), 1107 (s), 1042 (m), 1025 (m), 996 (m), 823 (m), 780 (m), 746 (s), 702 (s) cm
-1
[α
D20]: + 285.2 (c 0.25, クロロホルム).
(1)の代替合成
以前に公開されている手順(H Nieら(上記))に基づいた(1)の代替合成もまた、使用することができ、以下に詳述する。
【0071】
(Sc,Rp)−1−(2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエチルアミン、1−Intの合成
丸底フラスコ中の(Sc,Rp)−N,N−ジメチル−1−(2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエチルアミン(2.42g、5.48mmol、1.0当量)に無水酢酸(10mL)を加え、この混合物を100℃に加熱して2時間、保持した。周囲温度まで冷却した後、過剰の無水酢酸を真空で除去した。この残留物にメタノール/THF(1:1)混合物(48mL)および水性水酸化アンモニウム(10mL)を加えた。形成した二相混合物をアルゴン雰囲気下、60℃まで加熱し、3時間、保持し、次に、周囲温度まで冷却して戻した。揮発物を真空で除去し、残留物をジクロロメタン(3x20mL)により抽出した。この溶液をプールして、硫酸マグネシウムにより脱水し、フィルターを装備したカニューレによりろ過して濃縮した。生成物である(Sc,Rp)−1−(2−ジフェニルホスフィノ(diphenylphopshino))フェロセニルエチルアミンを、n−ヘキサン/酢酸エチルのグラジエント(4/1〜2/1)を使用するシリカクロマトグラフィー(シリカは、トリエチルアミンで不活性化した)によって精製し、中間体がオレンジ色固体として得られた(1.6g、3.87mmol、70%収率)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.58-7.54 (2H, m, C
ArH), 7.41 (3H, m, C
ArH), 7.26 (5H, m, C
ArH), 4.46 (1H, br s, C
5H
3), 4.30 (1H, m, C
5H
3), 4.25-4.21 (1H, m, NHCH), 4.04 (5H, s, C
5H
5), 3.79 (1H, s, C
5H
3), 1.46 (3H, d, J = 7.2 Hz, CHCH
3), 1.45 (2H, s, -N
H2)
13C{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 140.0 (d, J
PC = 9.7 Hz, Ar-C), 137.11 (d, J
PC = 10.0 Hz, Ar-C), 134.90 (d, J
PC = 20.3 Hz, Ar-C
ipso-P), 132.76 (d, J
PC = 17.1 Hz, Ar-C), 129.12 (Ar-C), 128.38 (Ar-C), 128.33 (Ar-C), 128.17 (Ar-C), 128.11 (Ar-C), 100.35 (d, J
PC = 24.4 Hz, Fc-C
ipso-P), 74.7 (d, J
PC = 8.3 Hz, Fc-C), 71.24 (Fc-C), 69.56 (Fc-C), 69.0 (Fc-C), 68.22 (Fc-C), 45.30 (d, J
PC = 8.6 Hz, Fc-C), 26.93 (Fc-
CH(CH
3)-N), 22.84 (Fc-CH(
CH
3)-N),
31P{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: -24.5 ppm
MS: (ES+) [C
24H
25FeNP]
+の計算値414.1069; 実測値414.1063.以前に公表されたデータと一致した(G Sheldrick, Acta Crystallogr., Sect. C, 71, 3-8 (2015))。
【0072】
丸底フラスコ中、周囲温度で(Sc,Rp)−1−(2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエチルアミン(1.06g、2.56mmol、1.0当量)を脱気した乾燥メタノール(15mL)に溶解した。ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(0.30mL、3.08mmol、1.2当量)をフラスコに加え、この混合物を周囲温度で16時間、撹拌し、この後に、イミンが沈殿した。この混合物に水素化ホウ素ナトリウム(194mg、5.13mmol、2.0当量)を加え、得られた濁りのない溶液を40℃で1.5時間、撹拌し、次に、周囲温度まで冷却して濃縮乾固した。この粗製物質をジクロロメタン(20mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(20mL)により抽出した。合わせた溶液を硫酸マグネシウムにより脱水し、フィルターを装備したカニューレによりろ過して濃縮した。この生成物をn−ヘキサン/酢酸エチル(5/1〜1/1〜0/1)のグラジエントを使用するシリカクロマトグラフィー(シリカは、トリエチルアミンを使用して不活性化した)によって精製すると、1がオレンジ色−黄色固体(0.94g、1.86mmol、73%収率)として得られた。分析データは、化合物(1)への他の合成経路を使用した、上で報告されたものと同一であることが分かった。
【0073】
マンガン錯体(S
C,R
P)−2の合成
【化8】
丸底フラスコ中、周囲温度でN−2−ピコリル(Sc,Rp)−1−(−2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエチルアミン(280mg、0.56mmol、1.2当量)をペンタカルボニルブロモマンガン(I)(128mg、0.47mmol、1.0当量)に加えた。脱気したトルエン(10mL)を加え、この混合物を加熱して還流し、16時間、この温度を維持した。この混合物を周囲温度まで冷却し、濃縮乾固した。この粗製物質を塩化メチレンに溶解し、ろ過して、不溶性物質を除去し、n−ヘキサンの添加により生成物を沈殿させて、ろ過により採集し、n−ヘキサンにより洗浄すると、所望の生成物がオレンジ色粉末(203mg、0.28mmol、60%収率)として得られた。この生成物は、微量の常磁性物質が混入していることが分かり、幅広いNMRピークを与えた。残留溶媒(トルエンおよびn−ヘキサン)は、70℃超、高真空下(0.3mmHg未満)で乾燥時間を延長した後でさえも、除去することが困難であることが分かった。大部分の重水素化溶媒への溶解度は、非常に限られていることが分かり、実際に存在するよりも多くの可溶性不純物がより多量に存在することを示している。
1H−
1H COSYおよび
1H−
13C−HSQCは、ピークの帰属を支援した。
【0074】
1H-NMR (128スキャン, アセトン-d
6) δ: 8.50(1H, br s, Py-H), 8.02 (2H, m, Py-H), 7.79-7.28 (4H, m, Ar-H), 7.25-7.15 (残存トルエン), 6.97 (4H, 見かけ上d, Ar-H), 6.77 (3H, 見かけ上d., Ar-H), 5.57 (1H, br s, Fc-C
H(CH
3)-N), 4.97 (1H, br s, Fc-H), 4.80 (1H, br s, Fc-H), 4.58 (1H, br s, Fc-H), 4.48 (1H, br s, NH), 4.30 (1H, m, Fc-H Py-C
H2-N), 3.85 (5H, br s, Fc-H), 3.72 (1H, m, Py-C
H2-N), 2.33 (残存トルエン) 1.78 (3H, br s, Fc-CH(C
H3)-N), 1.52 (残存ヘキサン), 1.29 (n-ヘキサン)
13C{
1H}-NMR (1024スキャン, アセトン-d
6) δ: 159.97 (Ar-C), 152.70 (Ar-C), 140.30 (Ar-C), 140.03 (Ar-C), 137.05 (Ar-C), 136.12 (Ar-C), 136.29 (Ar-C), 134.42 (d, JPC = , 10.3Hz, Ar-C
ipso-P), 130.37 (Ar-C), 130.29 (Ar-C), 127.95 (Ar-C), 127.87 (Ar-C), 127.50 (d, J
PC = 10.3 Hz, Ar-C
ipso-P), 124.46 (Ar-C), 120.22 (Ar-C), 92.25 (d, J
PC = 22.2 Hz, Fc-C
ipso-P), 72.4 (Fc-C), 71.30 (Fc-C), 70.64 (Fc-C), 70.32 (Fc-C), 65.30 (Py-
CH
2-N), 56.60 (Fc-
CH(CH
3)-N), 54.52 (DCM), 48.65 (Fc-CH(
CH
3)-N), 20.33 (トルエン), 14.81 (n-ヘキサン), COは認められず.
31P-NMR (128スキャン, アセトン-d
6) δ: 90.1 (br s) ppm
IR (ATR): 3199.91 (w), 3053.3 (w), 2358.9 (m), 2341.6 (m), 1921.0 (s), 1842.0 (s), 1712.8 (m), 1481.3 (m), 1433.1 (m), 1361.7 (w), 1232.5 (w), 1220.9 (w), 1163.1 (w), 1093.6 (m), 1051.2 (w), 999.1 (w), 829.4 (w), 758.02 (m) cm
-1
HRMS: (ESI陽イオン): 予想値[C
33H
29FeMnN
2O
3P]
+: 643.0640, 実測値: 643.0634
CHN: [C
33H
29BrFeMnN
2O
3P]の計算値: C, 54.80 %, H, 4.04 %, N, 3.87 %; 実測値C, 54.73 %, H, 4.05 %, N, 3.94 %
対イオンに臭化物を有するマンガン錯体2は、それぞれ、Na[BARF]およびヨウ化ナトリウムと反応させることにより、対応するBARFおよびヨウ化物塩へと変換することができる。
その後の水素化の実施例において、触媒として化合物(2)を使用した。
【0075】
直下の表1は、以下の水素化反応の結果を要約している(これ以降に記載):
【化9】
【0076】
【表1】
【0077】
水素化の例
(実施例1)
(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン−1−オール
(S)−エチルナプロキセン(500mg、1.94mmol、1当量、99.8%ee)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)、マンガン触媒(14mg、0.019mmol、0.01当量)および炭酸カリウム(27mg、0.19mmol、0.1当量)を、撹拌子を含有するガラス製インサートに加え、このインサートを真空/ガス導入口および投入用ポートを備えるオートクレーブに入れた。この容器を密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。投入用ポートから脱気イソプロパノール(6.3mL)を加え、このオートクレーブを水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでヘキサン/酢酸エチル(1/1)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン−1−オールが白色固体として得られた(450mg、90%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.74 (2H, t, J = 8.9 Hz, Ar-H), 7.64 (1H, s, Ar-H), 7.37 (1H, d, J = 7.7 Hz, Ar-H), 7.16 (2H, m, Ar-H), 3.94 (3H, s, -OCH
3), 3.80 (2H, d, J = 7.1 Hz, -C
H2OH), 3.12 (1H, m, C
H(CH
3)-), 1.38 (3H, d, J = 7.2 Hz, -C
H3)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 157.23 (
CAr-OCH
3), 138.63 (
CAr), 133.55 (
CAr), 129.11(
CAr), 129.03 (
CAr), 127.24 (
CAr), 126.27 (
CAr), 125.93 (
CAr), 118.93 (
CAr), 105.58 (
CAr), 68.66 (-O
CH
3), 55.33 (-
CH
2OH), 42.39 (Ar
CH(CH
3)), 17.66 (-
CH
3)
[α
D20]: -19.1 (c. 1.00, CHCl
3)
【0078】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(96/4)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel OD−Hカラムを使用して行った:t
R(S−鏡像異性体、主要体):17.0分;t
R(R−鏡像異性体、少量体):18.4分、e.e.98%。
【0079】
(実施例2)
(R)−2−フェニルブタン−1−オール
(R)−エチル2−フェニルブチレート(200mg、1.04mmol、1当量、99.0%ee)、マンガン触媒(7.5mg、0.001mmol、0.01当量)、炭酸カリウム(14mg、0.10mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を、撹拌用ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに加えた。このバイアルを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。脱気イソプロパノール(2.4mL)を加え、バイアルのセプタムに、2x18Gニードルで穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでヘキサン/酢酸エチル(1/1)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(R)−2−フェニルブタン−1−オールが無色油状物として得られた(140mg、90%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.36 (2H, m, Ph-H), 7.24 (3H, m, Ph-H), 3.78 (2H, m, C
H2OH), 2.72 (1H, m, PhC
H(C
2H
5)CH
2OH), 1.78 (1H, m, C
H2CH
3), 1.61 (1H, m, C
H2CH
3), 0.86 (3H, t, J = 7.5 Hz, -C
H3)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 142.25 (
CAr), 128.64 (
CAr), 128.12 (
CAr), 126.73 (
CAr), 67.36 (-
CH
2OH), 50.52 (Ph
CH(C
2H
5)-), 25.01 (
CH
2CH
3), 12.00 (-
CH
3)
【0080】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(98/2)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel AD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、主要体):14.9分;t
R(S−鏡像異性体、少量体):16.3分、e.e.98%。
【0081】
(実施例3)
(R)−3−フェニルブタン−1−オール
(R)−エチル3−フェニルブチレート(200mg、1.04mmol、1当量、99.0%ee)、マンガン触媒(7.5mg、0.001mmol、0.01当量)、炭酸カリウム(14mg、0.10mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を、撹拌用ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに加えた。このバイアルを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。脱気イソプロパノール(2.4mL)を加え、バイアルのセプタムに、2x18Gニードルで穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでヘキサン/酢酸エチル(1/1)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(R)−3−フェニルブタン−1−オールが無色油状物として得られた(150mg、96%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.33 (2H, m, Ph-H), 7.23 (3H, m, Ph-H), 3.58 (2H, m, C
H2OH), 2.91 (1H, m, PhC
H(CH
3)), 1.88 (2H, m, -C
H2-), 1.30 (2H, d, J = 7.8 Hz, -CH
3)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 146.82 (
CAr), 128.50 (
CAr), 126.97 (
CAr), 126.14 (
CAr), 61.23 (-
CH
2OH), 40.99 (Ph
CH(CH
3)-), 36.46 (
CH
2), 22.44 (-
CH
3)
HRMS (EI+): [C
10H
14O]の計算値: 150.1045 実測値: 150.1043
【0082】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(98/2)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel OD−Hカラムを使用して行った:t
R(S−鏡像異性体、少量体):21,2分;t
R(R−鏡像異性体、主要体):25.1分、e.e.99%。
【0083】
(実施例4)
(S)−N,N−ジベンジルバリノール
(S)−ベンジルN,N−ジベンジルバリン(289mg、0.75mmol、1当量、99.8%ee)、マンガン触媒(5.4mg、0.0075mmol、0.01当量)、炭酸カリウム(10mg、0.075mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を、撹拌用ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに加えた。このバイアルを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。脱気イソプロパノール(2.5mL)を加え、バイアルのセプタムに、2x18Gニードルで穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(110℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでヘキサン/ジエチルエーテル(4/1)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−N,N−ジベンジルバリノールが無色油状物として得られた(160mg、75%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.33 (4H, m, Ph-H), 7.27 (6H, m, Ph-H), 3.91 (2H, d, J = 13.5 Hz, PhC
H2N), 3.60 (2H, d, J = 13.5 Hz, PhC
H2N), 3.68 (1H, dd, J = 11.0 Hz / 3.6 Hz C
H2OH), 3.46 (1H, dd, J = 10.7 Hz / 4.7 Hz, C
H2OH), 2.56 (1H, m, -C
H-), 2.09 (1H, m, -C
H-), 1.17 (3H, d, J = 6.6 Hz, -CH
3), 0.91 (3H, d, J = 6.6 Hz, -CH
3)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 139.68 (
CArCH
2N), 129.22 (
CAr), 128.46 (
CAr), 127.16 (
CAr), 64.66 (-
CH
2OH), 59.24 (Ph
CH
2N), 54.20 (-
CH-), 27.63 (-
CH-), 22.80 (-CH
3), 20.14 (-CH
3)
HRMS (ES+): [C
17H
24ON
+]の計算値: 284.2009 実測値: 284.2002
【0084】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(90/10)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel OD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、少量体):7.5分;t
R(S−鏡像異性体、主要体):7.9分、e.e.99.8%。
【0085】
(実施例5)
(S)−N,N−ジベンジルフェニルアラニノール
(S)−エチルN,N−ジベンジルフェニルアラニン(670mg、1.76mmol、1当量、99.8%ee)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を脱気イソプロパノール(7.0mL)に溶解した。マンガン触媒(13.0mg、0.018mmol、0.01当量)および炭酸カリウム(24.8mg、0.10mmol、0.1当量)を、撹拌子を含有するガラス製インサートに加え、このインサートを真空/ガス導入口および投入用ポートを備えるオートクレーブに入れた。このオートクレーブを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。投入用ポートから基質溶液を加え、この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(110℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでヘキサン/ジエチルエーテル(90/10)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−N,N−ジベンジルフェニルアラニノールが白色固体として得られた(400mg、66%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.38-7.27 (12H, m, Ph-H), 7.22 (1H, m, Ph-H), 7.14 (2H, d, J = 7.7 Hz, Ph-H), 3.96 (2H, d, J = 13.8 Hz, PhC
H2N), 3.54 (3H, m, PhC
H2Nおよび-C
H-), 3.37 (1H, s, -OH), 3.13 (2H, m, -C
H2OH), 3.05 (1H, m, -C
H2-), 2.47 (1H, m, -C
H2-)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 139.16 (
CArCH
2N), 139.08 (
CArCH
2-), 129.04 (
CAr), 129.04 (
CAr), 127.35 (
CAr), 126.27 (
CAr), 60.88 (-
CH
2OH), 60.32 (Ph
CH
2-), 53.25 (Ph
CH
2N), 31.74 (-
CH-)
【0086】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(90/10)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel OD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、少量体):10,2分;t
R(S−鏡像異性体、主要体):13.3分、e.e.99.8%。
【0087】
(実施例6)
(S)−N,N−ジベンジルアリルグリシノール
(S)−ベンジルN,N−ジベンジルアリルグリシン(400mg、1.04mmol、1当量、98%ee)、マンガン触媒(7.5mg、0.01mmol、0.01当量)、炭酸カリウム(14mg、0.10mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を、撹拌子を含有するガラス製インサートに加え、このインサートを真空/ガス導入口および投入用ポートを備えるオートクレーブに入れた。このオートクレーブを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。投入用ポートを介して脱気イソプロパノール(6.0mL)を加え、この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでヘキサン/ジエチルエーテル(90/10)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−N,N−ジベンジルアリルグリシノールが無色油状物として得られた(212mg、76%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.36-7.26 (10H, m, Ph-H), 5.77 (1H, m, -C
H=CH
2), 5.14-5.06 (2H, m, -CH=C
H2), 3.88 (2H, d, J = 13.9 Hz, PhC
H2N), 3.47 (4H, m, PhC
H2Nおよび-C
H2OH), 3.07 (1H, s, -OH), 2.92 (1H, m, -C
H(NBn
2)-), 2.56 (1H, m, -C
H2-), 2.00 (1H, m, -C
H2-),
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 139.12 (
CArCH
2N), 135.38 (
CAr), 129.05 (
CAr), 128.53 (
CAr), 127.29 (
CAr), 117.05 (
CAr), 60.69 (-
CH
2OH), 55.68 (-CH=
CH
2), 53.22 (-
CH=CH
2), 29.66 (-
CH
2-)
【0088】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(90/10)移動相、流速0.5mL/分を使用して、Chiralcel OD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、少量体):10.9分;t
R(S−鏡像異性体、主要体):16.1分、e.e.98%。
【0089】
(実施例7)
(R)−(−)−アンブラジオール
アルゴン雰囲気下、脱気したエタノール(50mL)を、ガラス製インサートおよびマグネチックスターラーバーを含有するオートクレーブに加え、次いで、マンガン触媒(14mg、0.020mmol、0.001当量)、炭酸カリウム(276mg、2.00mmol、0.10当量)および(R)−スクラレオリド(5000mg、20.0mmol、1.0当量)を加えた。容器を密封し、水素ガスを使用して50barまで加圧し、排気した。これを2回、繰り返し、次いで、水素ガスを使用して、最終的な加圧を50barにした。この容器を90℃に予め加熱した油浴に入れて、撹拌(1000rpm)しながら、16時間、放置し、次に、周囲温度まで冷却して排気した。この反応を
1H−NMRによって分析した。濁りのない黄色溶液を15mLの体積まで濃縮し、水(75mL)を加え、生成物を沈殿させた。生成物をろ別し、水(30mL)および石油エーテル(60/40、50mL)により洗浄して乾燥すると、(R)−スクラレオルジオール(sclareoldiol)が白色固体として得られた(3.8g、75%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 3.81 (1H, m, -C
H2OH), 3.49 (1H, m, -C
H2OH), 1.90 (1H, d, J = 12.9 Hz, -C
H-), 1.66 (8H, m, 脂肪族-H), 1.45 (5H, m, 脂肪族-H), 1.22 (3H, s, -C
H3), 1.16 (1H, m, 脂肪族-H), 0.98 (1H, m, 脂肪族-H), 0.95 (1H, m, 脂肪族-H), 0.91 (3H, s,-C
H3), 0.81 (6H, s,-C
H3)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 73.16 (-C(CH
3)OH), 64.22 (-CH
2OH), 59.07, 56.01, 44.32, 41.88, 39.32, 33.42, 33.29, 27.88, 24.70, 21.49, 20.49, 18.41, 15.32 (脂肪族-C)
HRMS (EI+): [C
16H
30O
2-H
2O]の計算値: 236.2140 実測値: 236.2179
[α
D20]: -17.2 (c. 1.00, CHCl
3)
【0090】
(実施例8)
(2S)−2−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−1H−インドール−3−プロパン−1−オール
(S)−エチルN,N−ジベンジルトリプトファン(1.0g、2.42mmol、1当量、99.8%ee)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を脱気イソプロパノール(7.0mL)に溶解した。マンガン触媒(17.5mg、0.024mmol、0.01当量)および炭酸カリウム(33.5mg、0.24mmol、0.1当量)を、撹拌子を含有するガラス製インサートに加え、このインサートを真空/ガス導入口および投入用ポートを備えるオートクレーブに入れた。このオートクレーブを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。投入用ポートから基質溶液を加え、この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(110℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いで酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−N,N−ジベンジルトリプトファノールが白色固体として得られた(830mg、92%)。
【0091】
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.09 (1H, s, NH), 7.85-7.25 (12H, m, Ar-H), 7.22 (1H, t, J = 8.2 Hz, Ar-H), 7.13 (1H, t, J = 8.1 Hz, Ar-H), 6.93 (1H, s, Ar-H), 4.02 (2H, d, J = 12.9 Hz, PhC
H2N), 3.63 (2H, d, J = 12.9 Hz, PhC
H2N), 3.57 (1H, d, J = 10.2 Hz, C
H2OH), 3.47 (1H, dd, J = 10.5 Hz / 4.3 Hz, C
H2OH), 3.30 (2H, m, -C
H2-), 2.70 (1H, m, -C
H-)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 139.31 (
CArCH
2N), 136.29 (
CAr), 129.05 (
CAr), 128.54 (
CAr), 127.30 (
CAr), 122.13 (
CAr), 121.96 (
CAr), 119.31 (
CAr), 118.70 (
CAr), 112.93 (
CAr), 111.21 (
CAr), 61.00 (-
CH
2OH), 59.47 (Ph
CH
2N), 53.28 (-
CH-), 20.79 (-
CH
2-)
HRMS (ES+): [C
25H
27ON
2+]の計算値: 371.2118 実測値: 371.2110
[α
D20]: +44.5 (c. 1.00, CHCl
3)
【0092】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(90/10)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel AD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、少量体):27.0分;t
R(S−鏡像異性体、主要体):31.0分、e.e.99.8%。
【0093】
(実施例9)
(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロパン−1−オール
(S)−エチルイブプロフェン(235mg、1.00mmol、1当量、99.0%ee)、マンガン触媒(7.3mg、0.001mmol、0.01当量)、炭酸カリウム(14mg、0.10mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を、撹拌用ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに加えた。このバイアルを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。脱気イソプロパノール(2.8mL)を加え、バイアルのセプタムに、2x18Gニードルで穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでジクロロメタン/メタノール(95/5)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロパン−1−オールが無色油状物として得られた(185mg、96%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.17 (2H, d, J = 8.4 Hz, Ar-H), 7.13 (2H, d, J = 8.4 Hz, Ar-H), 3.71 (2H, d, J = 7.6 Hz, -C
H2OH), 2.95 (1H, m, ArC
H-), 2.48 (2H, d, J = 7.8 Hz,-C
H2Ar), 1.88 (1H, m, -C
H-), 1.29 (3H, d, J = 6.9 Hz, -C
H3), 0.93 (6H, d, J = 6.3 Hz, -(C
H3)
2)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 140.68 (
CAr), 140.09 (
CAr), 129.48 (
CAr), 127.17 (
CAr), 68.81 (-
CH
2OH), 45.04 (-
CH-), 42.04 (Ar
CH
2-), 30.24 (-CH-), 22.43 (-
CH
3), 17.63 (-
CH
3)
【0094】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(90/10)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel AD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、少量体):20.0分;t
R(S−鏡像異性体、主要体):21.2分、e.e.98.5%。
【0095】
(実施例10)
(S)−2−(4−クロロフェニル)−2−メチルブタン−1−オール
(S)−エチル3−メチル−(4−クロロフェニル)−ブチレート(241mg、1.00mmol、1当量、97%ee)、マンガン触媒(7.3mg、0.001mmol、0.01当量)、炭酸カリウム(14mg、0.10mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50μL、内部標準)を、撹拌用ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに加えた。このバイアルを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。脱気イソプロパノール(2.8mL)を加え、バイアルのセプタムに、2x18Gニードルで穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れて、撹拌を1200rpmに設定して、16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。この反応混合物を蒸発乾固させて、粗生成物を100%ヘキサン、次いでジクロロメタン/メタノール(95/5)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(S)−2−(4−クロロフェニル)−2−メチルブタン−1−オールが無色油状物として得られた(181mg、91%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.32 (2H, d, J = 8.6 Hz, Ar-H), 7.26 (2H, d, J = 8.6 Hz, Ar-H), 3.95 (1H, dd, J = 10.8 /4.8 Hz, -C
H2OH), 3.83 (1H, dd, J = 10.8/4.8 Hz, -C
H2OH), 2.52 (1H, m, ArC
H-), 1.93 (1H, m,-C
H-), 1.02 (3H, d, J = 6.6 Hz, -(C
H3)
2), 0.75 (3H, d, J = 6.6 Hz, -(C
H3)
2)
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 140.33 (
CAr-Cl), 132.37 (
CAr), 130.06 (
CAr), 128.70 (
CAr), 65.06 (-
CH
2OH), 55.16 (-
CH-), 29.99 (-
CH
3), 20.86 (-
CH
3)
【0096】
キラル分析は、n−ヘキサン/イソプロパノール(99/1)移動相、流速1.0mL/分を使用して、Chiralcel AD−Hカラムを使用して行った:t
R(R−鏡像異性体、少量体):27.1分;t
R(S−鏡像異性体、主要体):34.0分、e.e.96%。
【0097】
さらなる水素化を行い、直下の表2中のデータに要約されている通り、本発明による様々な塩基の利用を例示している:
【表2】
【0098】
(R
c,S
p)−N−2−ピコリニル(picolinyl)−1−[2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−ホスフィン]−フェロセニルエチルアミン(3)の合成
【化10】
(R
c,S
p)−N,N−ジメチル−1−[2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン]−フェロセニルエチルアミン(1.0g、1.79mmol、1.0当量)を脱気した無水酢酸(5mL)に加え、室温で16時間、撹拌した。トルエンを使用して、この揮発物を真空で除去し、残留無水酢酸を共沸除去した。粗製物質を脱気した乾燥メタノール(10mL)に溶解し、2−アミノメチルピリジン(0.37mL、3.59mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を4時間、還流し、次に、室温まで冷却して揮発物を真空で除去した。この粗製物質を脱気したジクロロメタン(10mL)および脱気した水性飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)に加えた。硫酸マグネシウムを含有するSchlenkフラスコに有機層をカニューレで移送した。水層をジクロロメタン(10mL)により2回、抽出し、各層を上記の通り、同じSchlenkフラスコにカニューレで移送した。合わせた乾燥有機層を、フィルター紙を装備したカニューレを使用して丸底フラスコにろ過し、蒸発乾固させた。ジクロロメタン/メタノール(9/1)を使用して、粗製物質をカラムクロマトグラフィーによって精製すると、目的化合物が黄色泡状物(0.84g、1.35mmol、76%)として得られた。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.38 (1H, br d, J = 4.8 Hz, C
ArH), 7.40 (1H, t, J = 7.8 Hz, C
ArH), 7.22 (1H, s, C
ArH), 7.21 (1H, s, C
ArH), 7.02 (1H, t, J = 6.7 Hz, C
ArH), 6.92 (1H, s, C
ArH), 6.90 (1H, s, C
ArH), 6.59 (1H, d, J = 7.8 Hz, C
ArH), 4.54 (1H, m, Fc-H), 4.32 (1H, m, Fc-H), 4.23 (1H, m, -CH-), 4.06 (5H, s, Fc-H), 3.83 (1H, s, Fc-H), 3.77 (3H, m, -OCH
3), 3.62 (2H, br s, PyCH
2N-), 3.57 (3H, s, -OCH
3), 2.31 (6H, s, -CH
3), 2.09 (6H, s, -CH
3), 1.58 (3H, br s, CHCH
3, 水ピークと重複);
31P{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: -27.3 ppm;
HRMS: (ES+) [C
36H
42FeN
2O
2P]
+の計算値621.2328; 実測値621.2316;
【0099】
[(R
c,S
p)−N−2−ピコリニル−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−ホスフィノ)フェロセニルエチルアミン]−κN
1−κN
2−κP−トリカルボニルマンガン(I)ブロミド(4)の合成
【化11】
【0100】
アルゴン雰囲気下、室温で、(R
c,S
p)−N−2−ピコリニル−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)−フェロセニルエチルアミン(205mg、0.33mmol、1.02当量)およびブロモペンタカルボニルマンガン(I)(89mg、0.32mmol、1.0当量)を脱気したシクロヘキサン(10mL)中で撹拌した。この混合物を16時間、還流し、この時間にオレンジ色のスラリーが形成した。この混合物を室温まで冷却し、
nペンタン(20mL)で希釈してろ過し、
nペンタン(2×20mL)により洗浄して乾燥すると、表題化合物が黄色固体として得られた(200mg、0.26mmol、82%)。分析によりシクロヘキサンの存在が示された。
1H-NMR (DCM-d
2) δ: 8.60 (1H, br d, J = 4.8 Hz, C
ArH), 7.65 (1H, s, C
ArH), 7.62 (1H, s, C
ArH), 7.33 (1H, t, J = 6.9 Hz, C
ArH), 6.79 (2H, m, C
ArH), 6.29 (1H, s, C
ArH), 6.28 (1H, s, C
ArH), 5.58 (1H, m, -CH-), 4.87 (1H, s, NH), 4.62 (1H, s, Fc-H), 4.48 (1H, s, Fc-H), 4.35 (1H, s, Fc-H), 4.11 (1H, m, PyCH
2NH-), 3.85 (5H, s, Fc-H), 3.81 (3H, s, -OCH
3), 3.68 (1H, m, PyCH
2NH), 3.54 (3H, s, -OCH
3), 2.40 (6H, s, -CH
3), 1.96 (6H, s, -CH
3), 1.70 (3H, br d, J = 7.0 Hz, CHCH
3), 1.44 (シクロヘキサン);
13C{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 159.71 (C
Ar), 158.96 (C
Ar), 156.65 (C
Ar), 152.87 (C
Ar), 135.80 (C
Ar), 135.02 (C
Ar), 134.91 (d, J
PC = 11.3 Hz, C
Ar), 134.20 (C
Ar), 133.82 (C
Ar), 131.26 (C
Ar), 130.93 (d, J
PC = 10.2 Hz, C
Ar), 130.33 (d, J
PC = 11.3 Hz, C
Ar), 129.93 (d, J
PC = 10.1 Hz, C
Ar), 122.31 (C
Ar), 119.16 (C
Ar), 91.40 (d, J
PC = 19.3 Hz, Fc-C
ipso-P), 73.27 (d, J
PC = 28.9 Hz, C
Fc), 72.84 (C
Fc), 70.58 (C
Fc), 69.84 (C
Fc), 59.70 (OCH
3), 59.32 (OCH
3), 56.48 (Fc-CH(CH
3)-N), 59.27 (C
Fc), 48.66 (PyCH
2), 26.93 (シクロヘキサン), 20.43 (Fc-CH(CH
3)-N), 16.14 (Ar-CH
3), 15.54 (Ar-CH
3);
31P-{
1H}-NMR (DCM-d
2) δ: +86.8 (s);
IR (ATR): 2927.9 (w), 1924.9 (s), 1845.9 (s), 1473.6 (m), 1217.1 (w), 1111.0 (m), 1008.8 (m), 771.5 (w), 615.3 (m) cm
-;
HRMS: (ES+): 予想値[C
39H
41FeMnN
2O
3P]
+: 759.1478, 実測値: 759.1462;
【0101】
4を使用するp−フルオロ安息香酸エチルの水素化
P−フルオロ安息香酸エチル(3.5g、20.81mmol、1.0当量)をエタノール(30mL)に溶解し、この溶液にアルゴンガスを1時間、通気することにより脱気した。[(R
c,S
p)−N−2−ピコリニル−1−(−2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニルエチルアミン]−κN
1−κN
2−κP−トリカルボニルマンガン(I)ブロミド(6)(17.5mg、0.021mmol、0.001当量)および炭酸カリウム(288mg、2.08mmol、0.10当量)をオートクレーブに投入した。容器を密封し、水素ガス(5bar)で加圧し、排気した。これを2回、繰り返した。脱気したエタノール溶液を、注入用ポートから加え、撹拌を開始した(1300rpm)。容器に水素ガスを使用して20barまで加圧し、次に排気した。これを2回、繰り返した。この容器を2barの水素ガスに加圧し、90℃の内温まで加熱し、この時点で、圧力は20barまで向上し、この反応を開始した。18時間後、この容器を室温まで冷却し、大気圧に排気した。黄色溶液を
1H−NMRによって分析し、完全に変換されたことを確認した。粗製混合物を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール95/5を使用)によって精製すると、p−フルオロベンジルアルコールが無色油状物として得られた(2.36g、18.73mmol、90%)。
【0102】
4を使用する水素化のさらなる例
一般水素化手順
Schlenkフラスコに、基質(1.0当量)を1−メチルナフタレン(0.25当量)およびエタノール(3.2mL)と共に加え、少なくとも30分間、この溶液にアルゴンガスを通気させることにより脱気した。磁気ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに、触媒および塩基(0.10当量)を加えた。このバイアルに栓をして、真空/アルゴンのサイクル(3)を使用して、不活性雰囲気下に置いた。アルゴン下、脱気した基質溶液をバイアルに加えた。バイアルに2本の18Gニードルにより穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。容器を密封し、水素ガスで50barに加圧した。圧力を解除し、この手順を2回、繰り返した。最後に、この容器を水素ガス(50bar)で加圧して密封し、指定した反応温度(90℃)に予め加熱した油浴に16時間、入れた。容器を周囲温度まで冷却し、圧をゆっくりと解除した。バイアルの栓をとり、一定分量を採取して重クロロホルムにより希釈し、
1H−NMRによって分析して、内部標準として、1−メチルナフタレンを使用して変換率を評価した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(以下に詳述した通り)。
【0103】
4−フルオロベンジルアルコール
生成物を100%ヘキサン、次いでジクロロメタン/メタノール(95/5)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が無色油状物として得られた。0.001当量の4により、250mg(1.49mmol)のp−フルオロ安息香酸エチルから、170mg(1.35mmol)のp−フルオロベンジルアルコール(90%)が得られた;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.39 (2H, m, Ar-H), 7.10 (2H, m, Hz, Ar-H), 4.70 (2H, s, Ar-C
H2OH);
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 163.30 (
CAr-F), 136.59 (
CAr-CH
2OH 128.81 (
CAr-H), 115.50 (
CAr-H), 64.72 (Ar-
CH
2OH);
19F-{
1H}-NMR (CDCl
3): δ: -114.89;
HRMS (EI+): [C
7H
7FO]の計算値: 126.0481, 実測値: 126.0477.
【0104】
1−ヒドロキシメチルナフタレン
生成物を100%ヘキサン、次いで酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が白色固体として得られた。0.01当量の4により、300mg(1.50mmol)の1−ナフタレン酸エチルから、165mg(1.05mmol)の1−ヒドロキシメチルナフタレン(70%)が得られた;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.15 (1H, d, J = 7.5 Hz, Ar-H), 7.91 (1H, d, J = 7.9 Hz, Ar-H), 7.85 (1H, d, J = 8.4 Hz, Ar-H), 7.56 (3H, m, Ar-H), 7.48 (1H, m, Ar-H), 5.17 (2H, d, J = 3.9 Hz, Ar-C
H2OH), 1.91 (1H, m, Ar-CH
2O
H);
13C -{
1H}-DEPT NMR (CDCl
3) δ: 136.26 (
CAr-CH
2-), 133.80 (C
Ar), 131.23 (
CAr), 128.69 (
CAr), 128.61 (
CAr) 126.37 (
CAr), 125.91 (
CAr), 125.91 (
CAr), 125.36 (
CAr), 123.66 (
CAr), 63.72 (-
CH
2OH);
HRMS (EI+): [C
11H
10O]の計算値: 158.0732 実測値158.0729.
【0105】
(R)−スクラレオジオール
粗製反応溶液を1/3の体積となるまで濃縮してろ過し、無機物質を除去した。母液を水により希釈して、生成物を白色固体として沈殿させて、これをろ過により単離して、水およびヘキサンにより洗浄して空気乾燥した。0.001当量の4により、(R)−スクラレオリド(300mg、1.20mmol、1.0当量)から、228mgのスクラレオジオール(0.9mmol、75%単離収率)が得られた。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 3.81 (1H, m, -C
H2OH), 3.49 (1H, m, -C
H2OH), 1.90 (1H, d, J = 12.9 Hz, -C
H-), 1.66 (8H, m, 脂肪族-H), 1.45 (5H, m, 脂肪族-H), 1.22 (3H, s, -C
H3), 1.16 (1H, m, 脂肪族-H), 0.98 (1H, m, 脂肪族-H), 0.95 (1H, m, 脂肪族-H), 0.91 (3H, s,-C
H3), 0.81 (6H, s,-C
H3);
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 73.16 (-C(CH
3)OH), 64.22 (-CH
2OH), 59.07, 56.01, 44.32, 41.88, 39.32, 33.42, 33.29, 27.88, 24.70, 21.49, 20.49, 18.41, 15.32 (脂肪族-C);
HRMS (EI+): [C
16H
30O
2-H
2O]の計算値: 236.2140 実測値: 236.2179;
[α]
D20: -17.2 (c. 1.00, CHCl
3).
【0106】
(R
c,S
p)−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)−フェロセニルエチルアミンL−酒石酸塩(5)の合成
【化12】
(R
c,S
p)−N,N−ジメチル−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)−フェロセニルエチルアミン(6.3g、11.3mmol)を脱気した無水酢酸(30mL)中、室温で、または16時間、撹拌した。揮発物を蒸発によって除去し、粗製アセテートをメタノール(60mL)およびTHF(60mL)の脱気した混合物に溶解した。水性水酸化アンモニウム(30質量%、60mL)を加え、この混合物を2時間、60℃まで加熱し、次に、室温まで冷却し、すべての揮発物を真空で除去した。この粗製混合物を脱気した飽和水性炭酸水素ナトリウム(60mL)により処理し、脱気したジクロロメタン(3x60mL)により抽出した。アルゴン雰囲気下、有機抽出物を、硫酸マグネシウムを含有するSchlenkフラスコにカニューレで移送した。合わせた抽出物を、フィルター紙を装備したカニューレを使用してフラスコにろ過し、溶媒を除去した。粗製物質を脱気したエタノール(60mL)に溶解し、L−酒石酸(1.44g、9.6mmol、0.85当量)を加えた。この混合物をアルゴン雰囲気下で加熱して還流し、体積が半分になるまで蒸留し、室温まで冷却して、ジエチルエーテル(200mL)を添加することにより、生成物塩を沈殿させた。ろ過により単離し、ジエチルエーテルで洗浄すると、表題化合物が黄色固体として得られた(6.0g、8.8mmol、78%の収率)。
1H-NMR (MeOD) δ: 7.29 (1H, s, C
ArH), 7.27 (1H, s, C
ArH), 6.87 (1H, s, C
ArH), 6.86 (1H, s, C
ArH), 4.97 (7H, br s, H2O, -OH, -NH
2, CO
2H), 4.69 (1H, s, Fc-H), 4.56 (2H, br s, -C
H-およびFc-H), 4.43 (2H, m, HO
2C(C
H)
2CO
2H), 4.12 (1H, m, Fc-H), 4.05 (5H, s, Fc-H), 3.77 (3H, s, -OCH
3), 3.71 (3H, s, -OCH
3), 2.32 (6H, s, -CH
3), 2.20 (6H, s, -CH
3), 1.79 (3H, br d, J = 8.1 Hz, CHCH
3);
13C{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 158.33 (s, C
Ar), 157.40 (s, C
Ar), 135.41 (s, C
Ar), 135.23 (s, C
Ar), 134.06 (d, J
PC = 5.9 Hz, C
Ar), 132.68 (s, C
Ar), 132.53 (s, C
Ar), 131.46 (d, J
PC = 5.8 Hz, C
Ar), 131.02 (d, J
PC = 7.3 Hz, C
Ar), 130.07 (d, J
PC = 9.7 Hz, C
Ar), 91.02 (d, J
PC = 26.8 Hz, Fc-C
ipso-P), 76.3 (d, J
PC = 11.3 Hz, C
Fc), 72.80 (C
Fc), 72.37 (HO
2C(
CHOH)
2CO2H), 70.05 (C
Fc), 69.77 (C
Fc), 69.19 (C
Fc), 58.83 (-OCH
3), 57.83 (-OCH
3), 46.30 (d, J
PC = 9.7 Hz, Fc-
CH(CH
3)-N), 19.15 (Fc-CH(
CH
3)-N), 14.88 (Ar-
CH
3);
31P{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: -28.7 (s);
IR (ATR, cm
-1): 2927.9 (m), 2358.9 (w), 2160.3 (m), 2019.5 (w), 1473.6 (m), 1273.0 (m), 1217.1 (s), 1109.1 (s), 1072.4 (s), 1010.7 (s), 817.8 (m), 678.9 (m), 607.6 (m);
HRMS: (ES+) [C
30H
37FeNO
2P]
+の計算値530.1906; 実測値530.1890;
【0107】
4−(ジメチルアミノ)ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(6)の合成
【化13】
2−ジメチルアミノエタノール(1.7mL、17.0mmol、2.1当量)を
nヘキサン(20mL)に溶解し、不活性雰囲気下で−10℃に冷却した。この冷却溶液に、N−ブチルリチウム(1.6M、20mL、32mmol、3.9当量)をゆっくりと加えた。生成した濁りのない無色溶液を−10℃で30分間、撹拌し、次に、4−ジメチルアミノピリジン(1.0g、8.2mmol、1.0当量)を固体として加えた。この黄色スラリーを−10℃で2時間、撹拌し、次に、−78℃まで冷却し、THF(15mL)中のジメチルホルムアミド(1mL、12.9mmol、1.6当量)を加えた。1時間後、1M水性塩酸(50mL)を加え、この混合物を室温まで温め、層を分離した。水層は、pH1を有することが分かり、ジエチルエーテル(3x50mL)により抽出した。有機抽出物を廃棄した。固体炭酸水素ナトリウムを使用して、pHを7に調節し、この混合物を再度、ジエチルエーテル(3x50mL)により抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムにより脱水し、ろ過して濃縮乾固すると、表題化合物が淡褐色油状物(0.65g、4.3mmol、53%)として得られた。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 10.01 (1H, s, -C
HO), 8.40 (1H, d, J = 6.0 Hz, C
ArH), 7.20 (1H, d, J = 2.8 Hz, C
ArH), 6.68 (1H, dd, J = 6.0 / 2.8 Hz, C
ArH), 6.10 (1H, d, J = 2.1 Hz, C
ArH), 3.09 (6H, s, -N(C
H3)
2);
13C-{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 194.59 (-
CHO), 154.70 (C
Ar), 152.95 (C
Ar), 150.05 (C
Ar), 109.87 (C
Ar), 104.37 (C
Ar), 39.24 (-N(
CH
3)
2).
【0108】
(R
c,S
p)−N−[4−(ジメチルアミノ)ピリジン−2−メチル]−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)フェロセニルエチルアミンL−酒石酸塩(7)の合成
【化14】
(R
c,S
p)−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)フェロセニルエチルアミン(2.1g、4.0mmol、1.0当量)を4−(ジメチルアミノ)ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(0.60g、4.0mmol、1.0当量)により処理し、脱気した乾燥メタノール(20mL)中、室温で2時間、撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(303mg、8.0mmol、2.0当量)を加え、得られた混合物を不活性雰囲気下、室温でさらに2時間、撹拌した。揮発物を真空で除去し、粗製物質を飽和水性炭酸水素ナトリウム(20mL)に加え、ジクロロメタン(3x20mL)により抽出した。硫酸マグネシウムを含有するSchlenkフラスコに抽出物をカニューレで移送した。フィルター紙を備えるカニューレを使用して乾燥した合わせた有機抽出物をろ過し、濃縮すると、(R
c,S
p)−N−[4−(ジメチルアミノ)ピリジン−2−メチル]−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)−フェロセニルエチルアミンがオレンジ色発泡体として得られた(2.6g、3.92mmol、98%)。先に記載した通り(化合物3の合成を参照されたい)、200mg(0.30mmol、1.0当量)をイソプロパノール(5mL)中、45mg(0.30mmol、1.0当量)のL−酒石酸により処理すると、表題化合物が黄色固体として得られた(147mg、0.18mmol、60%)。
【0109】
1H-NMR (MeOD) δ: 7.81 (1H, br s, Py-H), 7.25 (1H, s, C
ArH), 7.23 (1H, s, C
ArH), 6.91 (1H, s, C
ArH), 6.90 (1H, s, C
ArH), 6.77 (1H, br s, Py-H), 6.36 (1H, br s, Py-H), 4.94 (12H, br s, H
2O, -OH, -NH
2, CO
2H), 4.64 (1H, s, Fc-H), 4.48 (3H, br s, HO
2C(C
H)
2CO
2HおよびFc-H), 4.43 (1H, br s,-C
H(CH
3)-), 4.04 (5H, s, Fc-H), 4.02 (1H, s, Fc-H), 3.76 (3H, -OCH
3), 3.61 (3H, s, -OCH
3), 3.53 (2H, m, -CH
2Py), 3.13 (6H, s, -N(C
H3)
2), 2.30 (6H, s, -CH
3), 2.09 (6H, s, -CH
3), 1.79 (3H, br d, J = 7.5 Hz, CHC
H3);
13C{
1H}-NMR (MeOD) δ: 158.09 (s, C
Ar), 157.24 (s, C
Ar), 151.59 (s, C
Ar), 139.09 (s, C
Ar), 135.25 (s, C
Ar), 135.08 (s, C
Ar), 134.75 (d, J
PC = 8.6 Hz, C
Ar), 133.0 (s, C
Ar), 132.84 (s, C
Ar), 131.30 (d, J
PC = 6.6 Hz, C
Ar), 130.81 (d, J
PC = 6.6 Hz, C
Ar), 130.49 (d, J
PC = 8.6 Hz, C
Ar), 105.83 (C
Ar), 103.75 (s, C
Ar), 94.64 (d, J
PC = 26.4 Hz, Fc-C
ipso-P), 76.06 (d, J
PC = 8.2 Hz, C
Fc), 72.72 (HO
2C(
CHOH)
2CO
2H), 71.57 (C
Fc), 69.53 (C
Fc), 69.24 (C
Fc), 69.19 (C
Fc), 58.83 (-OCH
3), 57.83 (-OCH
3), 51.74 (d, J
PC = 10.4 Hz, Fc-
CH(CH
3)-N), 45.79 (s, -
CH
2Py), 38.67 (s, -N(
CH
3)
2), 17.70 (Fc-CH(
CH
3)-N), 14.78 (Ar-
CH
3);
31P-{
1H}-NMR (CDCl3) δ: -28.4 (s);
IR (ATR): 2922.2 (w), 2358.9 (w), 1639.5 (m), 1556.6 (m), 1473.6 (w), 1273.0 (w), 1217.1 (s), 1111.0 (s), 1006.8 (s), 817.8 (m), 609.5 (m) cm
-1;
HRMS: (ES+) [C
38H
47FeN
3O
2P]
+の計算値664.2750; 実測値664.2733
【0110】
[(R
c,S
p)−N−(4−(ジメチルアミノ)ピリジン−2−メチル)−1−(−2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニルエチルアミン]−κN
1−κN
2−κP−トリカルボニルマンガン(I)ブロミド(8)の合成
【化15】
アルゴン雰囲気下、室温で、(R
c,S
p)−N−(4−ジメチルアミノピリジン−2−メチル)−1−(2−ビス(4−メトキシ−3,5−ジメチル−フェニル)ホスフィン)フェロセニルエチルアミン(2.4g、3.62mmol、1.02当量)およびブロモペンタカルボニルマンガン(I)(975mg、3.55mmol、1.0当量)を脱気したシクロヘキサン(50mL)中で撹拌した。この混合物を16時間、還流し、この時間にオレンジ色のスラリーが形成した。この混合物を室温まで冷却し、
nヘキサン(40mL)により希釈してろ過し、
nヘキサン(20mL)により洗浄した。粗製物質をジクロロメタン(10mL)に溶解し、ろ過した。
nヘキサン(30mL)を加え、生成物が沈殿するまで、得られた混合物をゆっくりと蒸発させた。この生成物をろ過して、
nヘキサンにより洗浄して乾燥すると、表題化合物が黄色固体として得られた(2.87g、3.27mmol、92%)。分析により、分離することができない2つの化学種が示された。
【0111】
1H-NMR (DCM-d
2) δ(主成分): 8.04 (1H, br d, J = 7.5 Hz, C
ArH), 7.65 (1H, s, C
ArH), 7.63 (1H, s, C
ArH), 6.33 (1H, C
ArH 副成分と重複), 6.01 (2H, s, C
Ar, 副成分と重複), 5.58 (1H, d, J = 6.9 Hz, -CH-, 副成分と重複), 4.84 (1H, s, NH), 4.60 (1H, s, Fc-H), 4.45 (1H, s, Fc-H), 4.33 (1H, s, Fc-H), 3.95 (1H, m, PyCH
2NH-, 副成分と重複), 3.84 (5H, s, Fc-H, 副成分と重複), 3.80 (3H, s, -OCH
3, 副成分と重複), 3.58 (1H, m, PyCH
2NH, 副成分と重複), 3.52 (3H, s, -OCH
3), 2.86 (6H, s, -N(CH
3)
2, 副成分と重複) 2.39 (6H, s, -CH
3), 1.98 (6H, s, -CH
3, 副成分と重複), 1.68 (3H, br d, J = 6.9 Hz, CHC
H3, 副成分と重複); δ(副成分): 7.69 (1H, s, C
ArH), 7.67 (1H, s, C
ArH), 7.37 (1H, br d, J = 6.2 Hz, C
ArH) 6.33 (1H, C
ArH 主成分と重複), 6.01 (2H, s, C
Ar, 主成分と重複), 5.95 (1H, s, C
ArH), 5.58 (1H, d, J = 6.9 Hz, -CH-, 主成分と重複), 4.93 (1H, s, NH), 4.69 (1H, s, Fc-H), 4.57 (1H, s, Fc-H), 3.95 (1H, m, PyCH
2NH-, 主成分と重複), 3.84 (5H, s, Fc-H, 主成分と重複), 3.80 (3H, s, -OCH
3, 主成分と重複), 3.58 (4H, m, PyCH
2NHおよび-OCH
3, 主成分と重複), 2.86 (6H, s, -N(CH
3)
2, 主成分と重複) 2.43 (6H, s, -CH
3), 1.98 (6H, s, -CH
3, 主成分と重複), 1.68 (3H, br d, J = 6.9 Hz, CHC
H3, 主成分と重複);
13C{
1H}-NMR (DCM-d
2) δ(主成分): 231.84 (d, J
PC = 22 Hz, CO), 230.02 (d, J
PC = 23.5 Hz, CO), 158.37 (C
Ar), 153.95 (C
Ar), 151.64 (C
Ar), 150.48 (C
Ar), 140.70 (d, J
PC = 34 Hz, C
Ar), 136.85 (C
Ar), 136.43 (C
Ar), 134.25 (d, J
PC = 10.0 Hz, C
Ar), 130.61 (d, J
PC = 8.6 Hz, C
Ar), 130.27 (C
Ar), 127.80 (C
Ar), 127.48 (d, J
PC = 10.1 Hz, C
Ar), 106.90 (C
Ar), 101.93 (C
Ar), 91.87 (d, J
PC = 18.6 Hz, Fc-C
ipso-P), 72.70 (C
Fc), 70.66 (C
Fc), 56.69 (Py-
CH
2-N), 48.73 (Fc-
CH(CH
3)-N), 39.22 (-N(
CH
3)
2), 20.58 (Fc-CH(
CH
3)-N); δ (副成分): 159.82 (C
Ar), 154.31 (C
Ar), 150.48 (C
Ar), 134.51 (d, J
PC = 10.6 Hz, C
Ar), 131.47 (C
Ar), 131.16 (C
Ar), 128.83 (C
Ar), 128.10 (d, J
PC = 8.6 Hz, C
Ar), 127.68 (C
Ar), 107.84 (C
Ar), 102.96 (C
Ar), 92.51 (d, J
PC = 23.1 Hz, Fc-C
ipso-P), 73.21 (C
Fc), 71.42 (C
Fc), 70.94 (C
Fc), 70.07 (C
Fc), 58.04 (Py-
CH
2-N), 49.79 (Fc-
CH(CH
3)-N), 39.37 (-N(
CH
3)
2), 19.64 (Fc-CH(
CH
3)-N);
31P-{
1H}-NMR (DCM-d
2) δ: +89.1 (s, 主成分), 43.6 (br s, 副成分);
IR (ATR): 2953.0 (w), 2918.3 (w), 2895.2 (w), 2025.3 (s), 1942.3 (m), 1909.5 (s), 1830.5 (s), 1616.4 (s), 1473.6 (m), 1276.9 (m), 1219.0 (m), 1111.0 (s), 1008.8 (s), 839.0 (s), 617.2 (s) cm
-1;
HRMS: (ESI陽イオン): 予想値[C
41H
46FeMnN
3O
5P]
+: 802.1900, 実測値: 802.1889;
【0112】
p−フルオロ安息香酸エチルの水素化における2〜8の間の触媒活性の比較
P−フルオロ安息香酸エチル(3.5g、20.81mmol、1.0当量)をエタノール(30mL)に溶解し、アルゴンガスの通気を1時間、使用して脱気した。触媒(0.021mmol、0.001当量)および炭酸カリウム(288mg、2.08mmol、0.10当量)を、オーバーヘッド式撹拌器、内部温度計およびガスビュレットを装備したオートクレーブに投入した。容器を密封し、水素ガス(5bar)で加圧し、排気した。これを2回、繰り返した。脱気したエタノール溶液を、注入用ポートから加え、撹拌を開始した(1300rpm)。容器に水素ガスを使用して20barまで加圧し、次に、排気した。これを2回、繰り返した。この容器を水素ガスで2barまで加圧し、90℃の内温まで加熱し、この時点で、圧力は20barまで向上し、この反応を開始した。ガス取り込みをビュレット中の圧力の低下によってモニタリングした。ガスの取り込みが2時間超、観察されなくなると、この反応は完了したと見なした。この容器を室温まで冷却して排気し、内容物を濃縮乾固して、
1H−NMRによって分析し、完全に変換したことを確認した。ある時間点におけるガス取り込み量を全取り込み量によって除算し、この結果に100を乗算して変換率を得ることにより、取り込み量曲線を変換率に変換した。これらのデータから、基質および生成物濃度を算出し、それらからターンオーバー頻度(TOF、以下の表3を参照されたい)を算出した。
【0113】
【表3】
【0114】
触媒2および8は、弱塩基(炭酸カリウム)の存在下、p−フルオロ安息香酸エチルの水素化を首尾よく触媒した。触媒8は、70℃および50℃の温度で有効であり、これにより、水素化に使用する温度にある程度の順応性が許容され、一層高い温度で不安定なエステルを対象にするほど基質の範囲が潜在的に広がる。
【0115】
8を使用する(R)−スクラレオリドの水素化
(R)−スクラレオリド(300mg、1.20mmol、1当量)、触媒8(2.1mg、0.002mmol、0.002当量)、炭酸カリウム(17mg、0.12mmol、0.1当量)および1−メチルナフタレン(約50mL、内部標準)を、撹拌用ビーズを含有するマイクロ波用バイアルに加えた。このバイアルを密封して、排気し、アルゴンを再充填した。これを2回、繰り返した。脱気したエタノール(2.4mL)を加え、バイアルのセプタムに、2x18Gニードルで穴をあけて、アルゴン雰囲気下、ステンレス鋼製オートクレーブに入れた。この容器を水素ガス(50bar)で加圧し、大気に排気した。これを2回、繰り返した。水素ガスを使用して圧力を50barに設定し、オートクレーブを密封して、予め加熱した油浴(50℃)に入れた。撹拌を1200rpmに設定し、この反応を16時間、放置した。反応後、この容器を周囲温度まで冷却し、大気に排気し、この反応物を
1H−NMRにより分析して、内部標準(1−メチルナフタレン)を使用して変換率を見積もった。水を加えて、生成物を沈殿させて、これをろ別してヘキサンにより洗浄し、生成物を白色固体として得た(229mg、75%)。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 3.81 (1H, m, -C
H2OH), 3.49 (1H, m, -C
H2OH), 1.90 (1H, d, J = 12.9 Hz, -C
H-), 1.66 (8H, m, 脂肪族-H), 1.45 (5H, m, 脂肪族-H), 1.22 (3H, s, -C
H3), 1.16 (1H, m, 脂肪族-H), 0.98 (1H, m, 脂肪族-H), 0.95 (1H, m, 脂肪族-H), 0.91 (3H, s,-C
H3), 0.81 (6H, s,-C
H3);
13C -{
1H}-NMR (CDCl
3) δ: 73.16 (-C(CH
3)OH), 64.22 (-CH
2OH), 59.07, 56.01, 44.32, 41.88, 39.32, 33.42, 33.29, 27.88, 24.70, 21.49, 20.49, 18.41, 15.32 (脂肪族-C);
[α]
D20: -17.2 (c. 1.00, CHCl
3);
HRMS (EI+): [C
16H
30O
2-H
2O]の計算値: 236.2140 実測値: 236.2179.