特表2021-510404(P2021-510404A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-510404(P2021-510404A)
(43)【公表日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20210326BHJP
【FI】
   F04C18/16 A
   F04C18/16 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-536978(P2020-536978)
(86)(22)【出願日】2019年1月4日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2019050145
(87)【国際公開番号】WO2019137852
(87)【国際公開日】20190718
(31)【優先権主張番号】202018000178.3
(32)【優先日】2018年1月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508206070
【氏名又は名称】レイボルド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ドライフェルト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ナドラー,カイ
(72)【発明者】
【氏名】クリーン,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ローランド
(57)【要約】
【解決手段】乾式回転スクリュー圧縮機は、吸込チャンバを形成するハウジング(26)に2つのスクリューロータを備えている。圧縮機の圧縮機入口(28)に、好ましくは大気圧が加えられ、圧縮機の圧縮機出口(32)に、好ましくは2バール(絶対圧)を超える圧力が加えられる。スクリューロータ毎に少なくとも1つの移動要素(10, 12)が設けられ、複数の巻きを有する螺旋状の凹部を含む。1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素(10, 12)は1つのねじ山の非対称の輪郭を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込チャンバを画定して、好ましくは大気圧が存在する圧縮機入口(28)、及び好ましくは少なくとも2バール(絶対圧)、好ましくは少なくとも5バール(絶対圧)の圧力が存在する圧縮機出口(32)を有しているハウジング(26)と、
前記吸込チャンバに配置されて、複数の巻きを画定するための螺旋状の凹部を含む少なくとも1つの移動要素(10, 12)を夫々有している2つのスクリューロータと
を備えており、
1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素(10, 12)は一経路の非対称の輪郭を有しており、
前記スクリューロータは、内部冷却されるように構成されておらず、
前記ハウジング(26)は、80000 W/m2未満、好ましくは60000 W/m2未満、特には40000 W/m2未満の平均熱流量密度を前記移動要素(10, 12)の領域に有していることを特徴とするドライ圧縮式圧縮機。
【請求項2】
前記輪郭は、ブローホールが形成されないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項3】
各スクリューロータの少なくとも1つの移動要素(10, 12)の輪郭は、クインビー輪郭として構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項4】
真空ポンプの出口近くに配置された移動要素が対称の輪郭を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項5】
1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素(10, 12)、及び/又は1つのスクリューロータにつき複数の移動要素(10, 12)の場合には前記複数の移動要素は、n>(pout/pin)、好ましくはn>(pout/pin)+4が適用されるように、入口圧力(pin) に対する出口圧力(pout)の比より大きい数(n)の巻きを共通して有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項6】
入口段の送出容積(Vin) と出口段の送出容積(Vout)との設定容積比は、(Vin/Vout)=(pout/pin1/k が適用されるように、入口圧力(pin) と出口圧力(pout)との圧力比に適合されており、
nはk-0.3 からk+0.3 の値を有し、好ましくはk-0.1 とk+0.1 との間の値を有し、kは送出されるガス混合物の等方性指数であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項7】
前記移動要素は、入口段の入口容積(Vin) が小回転角範囲で予圧容積(VVK) に減少する少なくとも1つの領域を有しており、
入口容積(Vin) と予圧容積(VVK) との比は、前記ドライ圧縮式圧縮機の内部容積比(vi)に関連し、vVK =(Vin/VVK)=(vi)1/j が適用され、
j=2〜5、特にj=2.5 〜3.5 、特に好ましくはj=3であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項8】
前記入口容積(Vin) から前記予圧容積(VVK) への圧縮を、1.5 〜3のロータ回転(巻き)の間に行うことを特徴とする請求項7に記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項9】
1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素(10, 12)、及び/又は1つのスクリューロータにつき複数の移動要素(10, 12)の場合には前記複数の移動要素は、(L/D)>(pout/2pin)−2、特に(L/D)>(pout/2pin)−1が適用される直径(D) に対する長さ(L) の比を共通して有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項10】
前記移動要素(10, 12)の巻きのピッチが異なり、好ましくは変わり、特に好ましくは圧縮機入口(28)から圧縮機出口(32)に減少することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項11】
前記スクリューロータの頭部直径及び足部直径は、好ましくは連続的に変わり、前記スクリューロータは、特に円錐状の構成であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項12】
出口圧力と入口圧力との圧力比(pout/pin)は少なくとも5であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項13】
軸芯が平行な2つのスクリューロータが設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項14】
特に前記ハウジング(26)内の前記圧縮機入口(28)に、ガス収集チャンバ(14)が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項15】
特に前記ハウジング(26)内の前記圧縮機出口(32)に、ガス収集チャンバ(14)が設けられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項16】
前記ハウジング(26)内に、転がり軸受(48)、及び好ましくは密閉部分が前記2つのスクリューロータの両側に配置されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項17】
前記2つのスクリューロータを同期させるために、同期歯車(52)が設けられていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項18】
前記スクリューロータの速度が、3,0001/minより高く、特に好ましくは4,0001/minより高く、好ましくは10,0001/min より低いことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項19】
1つの移動要素が排出側の移動要素(12)として構成されており、スクリューロータ毎に、少なくとも1つの更なる移動要素(10)が設けられていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項20】
前記移動要素(12)の上面(42)と前記吸込チャンバ(46)の内面(44)との間に、高さが0.03mm〜0.2 mmの範囲内であり、特には0.05mm〜0.1 mmの範囲内である間隙が形成されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項21】
排出側の移動要素(12)は、前記移動要素の全長に沿って一定のピッチを有していることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項22】
各スクリューロータは、前記少なくとも1つの移動要素(10, 12)を支持するロータ軸を有していることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項23】
前記スクリューロータの移動要素(10, 12)は一体構成であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項24】
前記スクリューロータ、特に1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素(10, 12)の膨張係数は前記ハウジング(26)の膨脹係数より小さく、
前記ハウジング(26)の膨脹係数は、特に前記スクリューロータ及び/又は前記少なくとも1つの移動要素(10, 12)の膨脹係数より少なくとも大きいことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項25】
前記スクリューロータは、特に液体の冷却媒体が流れる管を全く有していないことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項26】
前記スクリューロータは固体の構成であることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項27】
排出側の移動要素(12)と前記ハウジング(26)との間の前記排出側の移動要素(12)の領域における通常動作中の温度差が50 K未満であり、特に20 K未満であることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項28】
出口圧力の5%〜20%が存在する領域と排出側の移動要素(12)の最後の巻きとの間の距離が、前記スクリューロータの長さの少なくとも20%〜30%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜27のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【請求項29】
前記移動要素の内の少なくとも1つの縁部間の間隙が、好ましくは0.1 〜0.3 mmの間隙高さを有することを特徴とする請求項1〜28のいずれか1つに記載のドライ圧縮式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、特にスクリュー圧縮機に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ガスを圧縮するため、特に圧縮空気を提供するために、最近では主にオイルが注入されたスクリュー圧縮機を使用する。スクリュー圧縮機は、通常1つの圧縮段で1バール(絶対圧)から8.5 〜14バール(絶対圧)の圧縮を行うことができる。ここで、送出される吸込体積流量は30〜5000 m3/h の範囲内である。このようなスクリュー圧縮機は、反対方向に回転する2つのスクリューロータを備えている。スクリューロータは、移動要素が形成されるように少なくとも1つの螺旋状の深くなる部分を夫々有している。2つのスクリューロータが配置されている吸込チャンバにオイルを注入することにより、ロータと吸込チャンバのハウジング及び/又は内壁との間の間隙が密閉される。オイルを供給することにより、1つの圧縮段で特に最大14バールまでの高い圧縮圧力を実現すべく、十分な緊密性を達成することができる。更に、オイルは2つのスクリューロータ間の転がり接触を滑らかにする役目を果たす。従って、2つのスクリューロータのための同期歯車が必要ではない。更に、オイルは圧縮熱を放出する役目を果たす。この方法のみによって、低温を高効率で達成することができる。最後に、オイルは機械騒音を弱める役目を果たす。オイルの使用の本質的な不利点は、オイルが、送出されるガスに入り込むということである。オイルを圧縮空気から多段分離器を用いて除去しなければならない。その結果、このような圧縮機は複雑になり、大きな設置スペースを必要とする。特に製薬工業又は食品工業の分野のような、高純度の圧縮空気を必要とする領域での、オイルが注入されたスクリュー圧縮機の使用は不可能であるか、又は極めて複雑な多段式オイル分離器を使用するときのみ可能である。
【0003】
オイルを含まない圧縮空気を生成するために、ドライ圧縮式スクリュー圧縮機を使用することが知られている。ここで、2つのスクリューロータは、接触しないように配置され、油潤滑式歯車を介して互いに同期する。しかしながら、ドライ圧縮式スクリュー圧縮機は、1つの圧縮段が4〜5バール(絶対圧)への圧縮しかできないという欠点を有する。この理由は、特にロータとハウジングとの間の間隙を通って大きな漏れが生じるからである。従って、例えば9バール(絶対圧)の圧力に達するために、二段のスクリュー圧縮機を使用しなければならない。2つの圧縮段に加えて、圧縮空気の中間冷却が必要であり、多くの構成要素を備えて大きな設置スペースを必要とする複雑な機器になる。
【0004】
更に、いわゆる回転歯圧縮機として構成されているドライ圧縮式圧縮機が知られている。このようなドライ圧縮式圧縮機も、約9バール(絶対圧)の高圧を達成するために多段の構成としなければならないという欠点を有する。
【0005】
更に、ドライ圧縮式スピンドル圧縮機が知られている。このようなスピンドル圧縮機は、ディスプレーサの複数の巻き又はループに沿って一列に配置された複数の閉じた作業チャンバを備えている。理論上、スピンドル圧縮機が多段のスクリュー圧縮機又は回転歯圧縮機の代わりになり得るように、一段の構成を用いても高い圧縮圧力を達成すると言われている。しかしながら、一段の構成を用いて高い圧縮圧力に達することができるという証拠がなく、スピンドル圧縮機は今のところ市販されていない。スピンドル圧縮機は、例えば独国特許出願公開第102010064388号明細書、国際公開第2011/101064号パンフレット、独国特許出願公開第102012202712号明細書及び独国特許出願公開第102011004960号明細書に記載されている。
【0006】
本発明は、一段の構成を用いても特に5バール(絶対圧)を超える高圧に達することができるドライ圧縮式圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は請求項1に係るドライ圧縮式圧縮機を用いて達成される。
【0008】
本発明に係るドライ圧縮式圧縮機は、ハウジングによって画定された吸込チャンバを備えている。互いに係合する2つのスクリューロータが吸込チャンバに配置されている。これらのスクリューロータは、ガスを送出するために互いに対して反対方向に回転する。このために、各スクリューロータは、巻きを画定するための螺旋状の凹部を有する少なくとも1つの移動要素を有している。特に、スクリューロータ毎に、ロータ軸と一体に形成され得る1つの移動要素のみが設けられ得る。更に、ハウジングは、好ましくは大気圧が存在する圧縮機入口を有している。圧縮機出口には、好ましくは2バール(絶対圧)を超える圧力が存在し、5バール(絶対圧)を超える圧力が圧縮機出口に存在することが特に好ましい。
【0009】
本発明によれば、1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素が一経路の構成であり、非対称の輪郭を有するので、本発明に係るドライ圧縮式圧縮機を用いて、一段の構成で高圧に達することができる。特に好ましい実施形態によれば、非対称の輪郭は、ブローホールが生じないように、又は小さなブローホールのみが生じるように構成されている。連続的なブローホールが存在しないので、本発明に従って好ましくは非対称の輪郭では、短絡が2つの隣り合うチャンバ間のみに生じる。特に好ましい実施形態によれば、いわゆるクインビー輪郭が非対称の輪郭として設けられている。非対称の輪郭は2つの異なる輪郭縁部を有している。2つの別々の動作工程が必要なため製造が複雑であるが、極めて緊密な作業チャンバが実現され得る。
【0010】
一経路の、場合によっては対称のロータ輪郭を設けることにより、より高い緊密性を達成することができるという利点がある。噛合する夫々の移動要素に2以上の経路を有する輪郭の場合、複数のチャンバを横切る連結部分が間隙を通して形成されるので、漏れが送出されるガス流及びエネルギー変換品質に影響を及ぼす。
【0011】
本発明に係るドライ圧縮式圧縮機の別の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの移動要素の巻きの数、又は複数の移動要素の場合にはスクリューロータの複数の移動要素の巻きの合計が、圧縮機入口の圧力に対する圧縮機出口の圧力の比より大きい。従って、n>(pout/pin)から巻きの数が得られる。尚、poutは圧縮機の出口圧力であり、pin は圧縮機の入口圧力である。巻き又はループの数が以下のように計算されることが特に好ましい。
n>(pout/pin)+4
【0012】
1つのスクリューロータにつきこのような多数の巻き又はループが設けられているため、ガスの連続的であるが、比較的遅い圧縮が達成される。そのため、圧縮中に生じる熱を容易に放出することが可能である。
【0013】
更に、入口段の理論上の送出容積(Vin) と出口段の理論上の送出容積(Vout)とのドライ圧縮式スクリュー圧縮機の設定容積比が、入口の入口圧力(pin) と出口の出口圧力(pout)との圧力比に適合されていることが好ましい。ここで、pin 及びpoutは絶対圧として定められている。vi=(Vin/Vout)=(pout/pin1/k の容積比viが好ましい。尚、nはk-0.3 からk+0.3 の値を有し、好ましくはk-0.1 とk+0.1 との間の値を有する。ここで、kは送出されるガス混合物の等方性指数である。
【0014】
別の好ましい実施形態によれば、移動要素は、チャンバの容積Vin が中間容積VVK に減少する少なくとも1つの領域又は部分を有している。
【0015】
別の好ましい実施形態又は代替的な実施形態によれば、大きな入口容積(Vin) からより小さい出口容積(Vout)への複数段(複数の作業チャンバ)の送出容積の減少を2つの領域に分割する。ここで、第1の領域では、吸込側に向かって閉じられた作業チャンバは、小回転角範囲内で特定の容積(予圧の容積VVK )に減少することが特に好ましい。ここで、VVK =x×Vin が好ましい。尚、x=0.1 〜0.5 、特にx=0.2 〜0.4 、特に好ましくはx=0.3 である。圧縮動作により、予圧は、ガスの温度を150 ℃〜200 ℃の適度な値に上昇させる。圧縮の第2の領域では、回転角に応じて、作業チャンバの容積が第1の領域よりかなり小さい程度まで減少する。第2の領域の回転角、ひいては段数は、第1の領域よりかなり大きい。第1の領域での適度な温度上昇、第2の領域での大きなハウジング表面、及びより大きな回転角による第2の領域でのガスの比較的長い滞留時間により、第2の領域では、圧縮によるガスの別の温度上昇がハウジングへの熱輸送により大幅に回避され得る。
【0016】
生じる圧縮熱をハウジングの側壁を介して容易に放出することができるように、ガスの圧縮率が選択されるため、ガスの温度が上昇しないか、又は僅かのみ上昇する。ここで、最高温度の変化は、好ましくは50℃未満であり、特に好ましくは30℃未満である。
【0017】
容積減少を選択して分割する特別な利点は、要素の十分に均一な温度分布が達成されるということである。そのため、熱的な最大負荷及び関連する大きな要素の膨張を回避することができる。
【0018】
入口容積(Vin) と予圧の容積(第1の領域から第2の領域への移行VVK )との比を圧縮機の内部容積比viに関連させることができ、この比にvVK =(Vin/VVK)=(vi)1/j が適用される。尚、j=2〜5、特にj=2.5 〜3.5 、特に好ましくはj=3である。
【0019】
特に好ましい実施形態によれば、予圧を、記載された第1の領域で1.5 〜3のロータ回転(巻き)で行う。
【0020】
好ましい実施形態によれば、第2の領域における本発明に関する多数の巻きは、ロータ毎に1つの移動要素によって実現され得る。しかしながら、例えば2つの移動要素によって、対応する数の巻きをこの排出側領域に設けることが更に可能である。本発明によれば、好ましくは送出される媒体が1つの巻きにつき僅かのみ圧縮されるこの領域に本発明に関する多数の巻きを設けることにより、ロータの内部冷却無しで圧縮することが可能である。この理由は特に、この領域での相対的に僅かな圧縮により、圧縮によって生じる移動要素の温度上昇が小さいためである。更にこの領域では、送出される媒体の高密度により、媒体を介した移動要素から圧縮機のハウジングへの優れた熱放散を実現する。
【0021】
出口圧力の5%〜20%が存在する領域と排出側のロータ端部との間に少なくとも6、特には少なくとも8、特に好ましくは少なくとも10の巻きが設けられるように、スクリューロータ及び少なくとも1つの移動要素が構成されていることが好ましい。ここで、排出側のロータ端部は圧縮機出口の領域である。ここで、好ましい実施形態によれば、この領域での本発明に関する多数の巻きは、ロータ毎に設けられた1つの排出側移動要素に設けられ得る。しかしながら、例えば、対応する数の巻きを2つの移動要素のこの排出側領域に設けることが更に可能である。本発明によれば、送出される媒体が相対的に僅かのみ圧縮される領域に本発明に関する多数の巻きを設けることにより、ロータの内部冷却無しで圧縮することが可能である。この理由は、特にこの領域での相対的に僅かな圧縮により、圧縮によって生じる移動要素の温度上昇がより小さいためである。更にこの領域では、送出される媒体の高密度により、媒体を介した移動要素から圧縮機のハウジングへの優れた熱放散を実現する。
【0022】
更に、好ましくは多数の巻きにより、ハウジングとの熱交換のための大きな表面積が使用可能である。
【0023】
好ましくは少なくとも6、特には少なくとも8、特に好ましくは少なくとも10の巻きが排出側の移動要素に設けられていることが特に好ましい。
【0024】
更に、本発明に従って内部冷却無しでスクリューロータを構成するために、排出側の移動要素が、少なくとも6、特には少なくとも8、特に好ましくは少なくとも10の巻きで2バール(絶対圧)を超える平均作動圧力を有することが好ましい。特に、圧縮機内に一定の圧力勾配を実現しようとしている。従って、圧力は、多くの巻き、特に6〜10の巻きに亘って徐々に上昇すべきである。
【0025】
従って、本発明によれば、内部冷却無しのロータ又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金のハウジングの場合であっても、特に排出側領域で少なくとも1つの移動要素の表面と吸込チャンバの内部との間に、高さが0.03mm〜0.2 mm、特に0.05mm〜0.1 mmの冷却間隙を設けることが、好ましくは可能である。このような比較的大きな間隙高さは、上述したように、特に6、好ましくは8、特に好ましくは10の最後の巻きの本発明に関する構成により設けられ得る。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、直径に対して相対的に長いスクリューロータが選択されている。特に、1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素、又は1つのスクリューロータにつき複数の移動要素の場合には前記複数の移動要素は共通して、(L/D)>(pout/2pin)−2、特に(L/D)>(pout/2pin)−1が適用される直径Dに対する長さLの比を有する。
【0027】
特に多くのチャンバを有する長いロータを設けることにより、熱放散に使用可能な領域が増大する。その結果としてもたらされる優れた熱交換により、圧縮ガスのガス温度は比較的低い。多くのチャンバを設けることにより、隣り合うチャンバ間の圧力差が小さく、ひいては大きな緊密性が達成され得るという利点が更にある。入口から出口側に段毎に送出容積をこのように減らすため、圧縮処理は熱力学の点から特に効果的であり、ガス温度は比較的低いままである。ここで、過剰圧縮又は再空気混和による圧縮が生じないように、内部容積比が入口圧力に対する出口圧力の比に適合されていることが特に好ましい。
【0028】
巻きのピッチを変えることにより、内部容積比を達成することができる。巻きのピッチが圧縮機入口から圧縮機出口に減少する及び/又はより急になるように、巻きのピッチが特に変化することが好ましい。ピッチは連続的及び/又は段階的に変化可能である。
【0029】
ピッチの変化に加えて、又はピッチの変化の代わりに、輪郭の頭部直径又は足部直径が連続的又は段階的に変化可能である。ここでも、ロータが円錐状の構成を有するように、特にピッチの連続的な変化と組み合わせた頭部直径又は足部直径の連続的な変化が特に好ましい。
【0030】
特に好ましい実施形態によれば、出口圧力と入口圧力との圧力比は少なくとも5である。特に好ましい実施形態によれば、出口圧力は少なくとも2バール(絶対圧)、特には少なくとも5バールである。
【0031】
別の特に好ましい実施形態によれば、ドライ圧縮式圧縮機は、好ましくは圧縮機のハウジング内の圧縮機入口及び/又は圧縮機出口にガス収集チャンバを夫々備えている。
【0032】
更に、ドライ圧縮式圧縮機が2本の軸を備えた圧縮機であることが好ましい。狭い間隙が移動要素間、及び移動要素と吸込チャンバの内壁との間の両方で実現され得るように、2本の軸は好ましくは両側で支持されている。2本のロータ軸は、好ましくは吸込チャンバの外側に配置された同期歯車によって同期することが好ましい。軸受をグリース及び/又はオイルによって潤滑することができる。同様に、歯車をグリース及び/又はオイルによって潤滑することができる。軸受及び同期歯車の両方が好ましくは吸込チャンバの外側に配置されているので、このような潤滑が可能であり、ひいては送出されるガスをオイルによって汚染することを回避する。
【0033】
ハウジングがアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されていることが好ましい。ここで、ハウジングのためにアルミニウム合金AlSi7Mg 又はアルミニウム合金AlMg07,5Siが特に好ましい。特に、スクリューロータの材料の熱膨脹係数(膨張係数)がハウジングの材料の膨張係数より小さい。スクリューロータの膨脹係数が12×10-6 1/K より小さいことが特に好ましい。このような膨張係数は、鉄又は鋼の材料から形成されているロータで達成され得る。
【0034】
吸込チャンバに配置された2つのスクリューロータは、螺旋状の凹部を有する少なくとも1つの移動要素を有している。螺旋状の凹部は複数の巻きを画定している。本発明によれば、少なくとも1つの移動要素は鋼又は鉄の合金から形成されている。従って、移動要素を含むスクリューロータが鋼又は鉄の合金から形成されていることが特に好ましい。ハウジングも、鋼若しくは鉄の合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成されている。
【0035】
各移動要素は、移動要素の長さ全体に亘って同一の外形を有する少なくとも1つの螺旋状の凹部を有していることが好ましい。外形は移動要素毎に異なっていることが好ましい。従って、個々の移動要素は、好ましくは一定のピッチ及び変わらない外形を有している。そのため、製造がかなり簡略化され、製造コストを大幅に下げることができる。
【0036】
吸込み能力を更に高めるために、吸込側の移動要素、つまり特に送出方向に見て第1の移動要素の外形は、好ましくは非対称の構成である。外形及び/又は輪郭の非対称な構成によって、漏れ領域、いわゆるブローホールが特に完全に消失し得るか、又は少なくともより小さい断面を有し得るように、縁部が構成され得る。特に適した非対称の輪郭は、いわゆる「クインビー輪郭」である。このような輪郭は、製造するのが比較的困難であるが、連続的なブローホールが存在しないという利点を有する。短絡が2つの隣り合うチャンバ間のみに生じる。このような輪郭は、異なる輪郭縁部を有する非対称の輪郭であり、縁部の非対称性のために2つの縁部を2つの異なる作業工程で製造する必要があるので、製造のために少なくとも2つの作業工程が必要である。
【0037】
排出側の移動要素、特に送出方向に見て最後の移動要素は、好ましくは対称の外形を有している。対称の外形により、特に製造がより簡単であるという利点がある。特に、対称の外形を有する2つの縁部を、回転式エンドフライス又は回転式側フライスを用いて1つの作業工程で製造することができる。このような対称の輪郭はブローホールを有するが、ブローホールは連続的であり、つまり2つの隣り合うチャンバ間に存在しないだけではない。ブローホールの大きさは、ピッチの減少と共に減少する。従って、好ましい実施形態によれば、排出側の移動要素が吸込側の移動要素より、好ましくは更に吸込側の移動要素と排出側の移動要素との間に配置された移動要素より小さなピッチを有するので、このような対称の輪郭が、特に排出側の移動要素のために設けられ得る。このような対称の輪郭の緊密性が多少より低くても、対称の輪郭は、製造がかなり簡単であるという利点がある。特に、対称の輪郭を1つの作業工程で好ましくは単純なエンドフライス又は側フライスを使用して製造することが可能である。そのため、コストが大幅に下がる。特に適した対称の輪郭は、いわゆる「サイクロイド輪郭」である。
【0038】
少なくとも2つのこのような移動要素を設けることにより、対応するスクリュー圧縮機は、低い電力消費量で高い出口圧力を生成可能になる。更に熱負荷が低い。ピッチが一定で外形が変わらない本発明に係る構成を有する少なくとも2つの移動要素を圧縮機内に配置することにより、ピッチが変わる移動要素を備えた圧縮機と本質的に同一の結果になる。高い設定容積比で、1つのロータにつき3又は4の移動要素が設けられ得る。
【0039】
特に好ましい実施形態によれば、到達可能な出口圧力を上昇させるため、並びに/又は電力消費量及び/若しくは熱負荷を下げるため、排出側の移動要素、つまり特には送出方向に見て最後の移動要素は多数の巻きを有している。多数の巻きにより、スクリューロータとハウジングとの間に一定の性能でより大きな間隙を受け入れることが可能になる。ここで、間隙は、0.05〜0.3 mmの冷却間隙の幅を有し得る。本発明によれば、排出側の移動要素は一定のピッチ、好ましくは更に対称の外形を有し得るので、多数の出口巻き又は排出側の移動要素の多数の巻きの製造が安価になる。出口側で非対称の輪郭を使用することができる。このため、多数の巻きを設けることが受け入れられるように、容易で安価な製造が可能になる。この排出側の移動要素又は最後の移動要素は、6を超える数の巻き、特に8を超える数の巻き、特に好ましくは10を超える数の巻きを有していることが好ましい。特に好ましい実施形態によれば、対称の輪郭を使用することにより、フライスを使用して輪郭の両方の縁部を同時的に切断することができるという利点がある。ここで、フライス加工中のフライスの変形又は歪み、及びそのため生じる不正確さが回避されるように、フライスは夫々の対向する縁部によって支持される。
【0040】
製造コストを更に下げるために、移動要素及びロータ軸を一体に形成することが特に好ましい。
【0041】
別の好ましい実施形態によれば、隣り合う移動要素間のピッチの変化は不連続であるか又は不規則である。場合によっては、ツール出口としての機能を果たす円筒状のチャンバが2つの移動要素間に画定されるように、2つの移動要素は長手方向に互いに離れて配置されている。2つの移動要素のこのような配置は、螺旋状のラインを製造するツールがこの領域で容易に取り除かれ得るので、一体に形成されるロータを製造するために特に有利である。移動要素が互いに別々に製造されて、その後、軸に取り付けられる場合、ツール出口、特にこのような円筒状の領域を設ける必要がない。
【0042】
本発明の好ましい態様によれば、2つの隣り合う移動要素間のピッチが変わる位置にツール出口が設けられていない。ピッチが変わる領域では、両方の縁部が、好ましくはツールを取り除くために切れ目又は凹部を有している。このような切れ目は、局所的な切れ目又は凹部であるので、圧縮機の圧縮能力に顕著な影響を及ぼさない。
【0043】
本発明に係る圧縮機のスクリューロータは、特に複数の移動要素を有している。これらの移動要素は同一の直径又は異なる直径を有してもよい。ここで、排出側の移動要素の直径が吸込側の移動要素の直径より小さいことが好ましい。
【0044】
移動要素がロータ軸とは別に製造される場合、移動要素は圧入によってロータ軸に取り付けられる。ここで、移動要素の互いに対する角度位置を定めるために位置決めピンのような要素を設けることが好ましい。
【0045】
スクリューロータが特に鋼又は鉄の合金から一体に形成されていることが特に好ましい。スクリューロータは、少なくとも1つの移動要素を支持するロータ軸を更に有し得る。このため、特に複数の移動要素を設けるとき、これらの移動要素を互いに別々に製造して、その後、特に圧入又は焼き嵌めによってロータ軸に連結することができるという利点がある。ここで、個々の移動要素の角度位置を定めるために嵌合ピンなどを設けることが可能である。
【0046】
1つのスクリューロータにつき複数の移動要素が設けられる場合、移動要素を一体に形成することが可能である。
【0047】
本発明によれば、スクリューロータは、内部冷却されるように構成されていないことが好ましい。従って、スクリューロータは、特に液体の冷却媒体が流れる管を全く有していないことが特に好ましい。しかしながら、スクリューロータは、例えば重量を減らす、均衡を保つなどのために孔又は管を有することができる。スクリューロータが固体の構成であることが特に好ましい。
【0048】
更にハウジングが、80,000W/m2未満、好ましくは60,000W/m2未満、特には40,000W/m2未満の平均熱流量密度を移動要素の領域に有することが好ましい。平均熱流量密度は、圧縮領域の壁面に対する圧縮能力の比である。
【0049】
本発明に係るドライ圧縮式スクリュー圧縮機では、ガスアフタークーラ、及び/又は、圧縮によって生成される凝縮物を分離するための凝縮物分離器、及び/又は消音器が圧縮機出口に更に設けられてもよい。更に、入口空気フィルタ又は入口消音器を圧縮機入口に設けることが可能である。
【0050】
本発明に係る圧縮機を用いて、圧縮機の少なくとも1つの動作点に対して少なくとも70パーセント、好ましくは少なくとも85パーセントの容積効率を達成し得ることが特に好ましい。決定的要因は、理論上可能な体積流量と実際に達成された体積流量との比である。本発明に係る圧縮機によって達成されるように適合された高い容積効率は、圧縮機の優れた緊密性の指標である。
【0051】
更に、本発明に係る圧縮機は、少なくとも45パーセント、好ましくは少なくとも60パーセントの高い等温効率因子を有することが好ましい。等温効率因子は、理想的な等温圧縮能力と実際の圧縮能力との比である。等温効率因子は更に、圧縮機の優れた緊密性及び優れた冷却の指標である。
【0052】
更に、ドライ圧縮式圧縮機がモータによって平均速度で作動することが好ましい。特に、速度は3,000 1/min より高く、特に好ましくは4,000 1/min を超える。他方では、速度は好ましくは10,000 1/minより低い。
【0053】
例えば、従来の非同期モータの3,000 1/min の範囲内の比較的低い速度では、大きなロータ直径を使用しなければならない。このため、送出されるガスの容積と漏れ面積との比が不利になる。この比はロータ直径に略比例する。他方では、10,000 1/minを超える非常に高い速度は、複数のロータ又は移動要素の均衡に非常に高い要求を必要とする。これは、一経路のねじ山の場合には達成するのが困難である。更に、高い速度により電力密度が高くなると、圧縮機の冷却がますます困難になる。速度が非常に高く、歯間隙が非常に小さい場合の別の欠点は、ガス経路の高いガス摩擦である。そのため、エネルギー効率が低下する。本発明に係る平均速度では、緊密性、均衡、ガス摩擦及び熱伝達又は温度レベルの優れた折衷案を達成することができる。
【0054】
ガス及び要素を低温に維持するためにハウジングを集中的に冷却することが好ましい。本発明に係る圧縮機の実施形態では、ハウジングの集中的な冷却を、場合によってはロータの内部冷却無しで達成することができる。低いガス温度は圧縮動作を減らし、ひいては圧縮機の電力消費に好ましい効果がある。
【0055】
本発明の好ましい態様によれば、ロータ及び/又は移動要素は、動作上の安全性に影響を及ぼすことなく間隙高さを減らすために、例えばPTFE又は硫化モリブデンに基づく層で被覆され得る。
【0056】
以下に、本発明を、添付図面を参照して好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明に係るスクリュー圧縮機のスクリューロータの好ましい実施形態を示す平面略図である。
図2】非対称の輪郭を有する移動要素を示す断面略図である。
図3】対称の輪郭を有する移動要素を示す断面略図である。
図4】スクリュー圧縮機を示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1図3に示されているスクリューロータは、図4に示されているような本発明に係るスクリュー圧縮機に使用され得る。
【0059】
スクリュー圧縮機の好ましい実施形態によれば、スクリューロータは、圧縮の方向に、つまり図1の左から右に変わる及び/又は可変なピッチを有している。第1の移動要素を画定している第1の吸込側領域10では、約50〜150 mm/回転の大きなピッチが設けられている。ここで、ピッチは、第1の吸込側領域10、つまり予圧領域で入口ピッチの55〜65%、つまり約30〜100 mm/回転に変わる。第2の移動要素12に対応する第2の排出側領域12では、ピッチはかなり小さくなる。この第2の排出側領域では、ピッチは10〜30mm/回転の範囲内である。従って、図示された実施形態では、1つのスクリューロータにつき少なくとも1つの移動要素は、可変ピッチ、好ましくは連続的に変わるピッチを有するスクリューロータによって画定されている。これは、送出方向に見て一列に配置された複数の移動要素に相当する。
【0060】
図示された好ましい実施形態では、入口領域及び出口領域の両方にガス収集チャンバ14が夫々設けられている。
【0061】
更に、一体化されたスクリューロータは2つの軸受座16及び軸端部18を有している。軸端部18は、例えば駆動のための歯車に連結されている。
【0062】
同様に、個々の移動要素10, 12が互いに別々に製造され、例えば押し付けによってロータ軸に別々に取り付けられることが可能である。ここで、軸受座16及び軸端部18はロータ軸20の一体の構成要素になり得る。ここで、連続的なロータ軸20は移動要素10, 12の材料とは異なる材料から形成され得る。
【0063】
更に、円錐状のロータが設けられ得る。本発明によれば、ロータは複数の移動要素を有している。ここでも、複数の移動要素が可変ピッチによって実現されていることが特に好ましい。円錐状のロータも一経路の構成である。
【0064】
図2は、非対称の輪郭(例えばクインビー輪郭)の断面略図を示す。図示された非対称の輪郭はいわゆるクインビー輪郭である。断面図は、互いに噛合する2つのスクリューロータを示し、スクリューロータの長手方向が図面の面と垂直である。ロータの反対方向の回転が2つの矢印15によって示されている。移動要素の長手軸芯に垂直に延びている面17に関して、縁部19及び縁部21の輪郭はロータ毎に異なる構成である。従って、対向する縁部19, 21を互いに別々に製造する必要がある。しかしながら、この幾分より複雑で難しい製造により、連続的なブローホールが存在しないが、短絡が2つの隣り合うチャンバ間のみに生じるという利点がある。
【0065】
このような非対称の輪郭は吸込側の移動要素10に設けられていることが好ましい。
【0066】
図3の断面略図は、ここでも反対方向に回転する(矢印15)2つの移動要素及び/又は2つのスクリューロータを示す。対称軸芯17に関して、各移動要素の縁部23は対称の構成である。図3に示されている対称の外形の好ましい例示的な実施形態はサイクロイド輪郭である。
【0067】
図3に示されているような対称の輪郭は、排出側の移動要素12に設けられていることが好ましい。
【0068】
更に3以上の移動要素を設けることが可能である。これらの移動要素は、場合によっては異なる頭部直径及び対応する足部直径を有することが可能である。ここで、より大きな頭部直径を有する移動要素が、入口、つまり吸込側の領域でより大きな吸込み能力を実現する、及び/又は設定容積比を増加させるために、入口、つまり吸込側に配置されていることが好ましい。更に、上述した実施形態の組合せが可能である。例えば、一若しくは複数の移動要素がロータ軸と一体に形成されることができるか、又は追加の移動要素が別に製造され、その後、ロータ軸に取り付けられることができる。
【0069】
図4に示されている本発明に係るスクリュー圧縮機の好ましい実施形態の概略図では、図1に示されているような2つのスクリューロータがハウジング26に配置されている。圧縮機のハウジング26は入口28を有しており、入口28を通して、ガスが、矢印30によって示された方向に取り込まれる。更に、圧縮機のハウジング26は排出側の出口32を有しており、出口32を通して、ガスが、矢印38によって示された方向に排出される。本発明に係るスクリュー圧縮機は、空気を圧縮空気チャンバで圧縮することが好ましい。
【0070】
2つの移動要素12の上面42と、圧縮機のハウジング26によって画定された吸込チャンバ46の内面44との間に、高さが好ましくは0.03mm〜0.2 mmの範囲内であり、特に0.05mm〜0.1 mmの範囲内である間隙が形成されている。
【0071】
移動要素の縁部間の間隙は、好ましくは0.1 〜0.3 mmの間隙高さを有している。
【0072】
図示された例示的な実施形態では、圧縮機のハウジング26は2つのハウジングカバー47によって閉じられている。図4に示されている左側のハウジングカバー47は2つの軸受支えを有しており、2つの軸受支えには、2本のロータ軸を夫々支持するための玉軸受48が配置されている。図4の右側には、2本のロータ軸の軸ジャーナル50がハウジングカバー47を通って突出している。外側では、2つの軸ジャーナル50に歯車52が夫々配置されている。図示された例示的な実施形態では、2つの歯車52は、2つのスクリューロータを互いに同期させるために互いに噛合する。更に、図4の右側のハウジングカバー47では、スクリューロータを支持するための2つの軸受48が配置されている。ハウジング壁47に、図示されていない密閉部分が軸受48に加えて設けられている。
【0073】
図4に示されている下側の軸は駆動軸であり、駆動軸は図示されていない駆動モータに連結されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】