(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-510461(P2021-510461A)
(43)【公表日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMT及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20210326BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20210326BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20210326BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20210326BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20210326BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20210326BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20210326BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20210326BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20210326BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20210326BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 C
H01L29/44 Y
H01L21/28 301B
H01L29/58 Z
H01L29/44 S
H01L29/50 J
H01L21/302 101C
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-538804(P2020-538804)
(86)(22)【出願日】2018年4月10日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月14日
(86)【国際出願番号】CN2018082576
(87)【国際公開番号】WO2019136864
(87)【国際公開日】20190718
(31)【優先権主張番号】201810031021.8
(32)【優先日】2018年1月12日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】孫 銭
(72)【発明者】
【氏名】周 宇
(72)【発明者】
【氏名】鐘 耀宗
(72)【発明者】
【氏名】高 宏偉
(72)【発明者】
【氏名】馮 美▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 輝
【テーマコード(参考)】
4M104
5F004
5F102
【Fターム(参考)】
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5F102HC15
(57)【要約】
本発明は、複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMT及びその製造方法を開示する。前記HEMTは、それぞれチャンネル層、バリア層としての第1、第2半導体、p型層としての第3半導体、ソース、ドレイン及びゲートなどを備え、ゲートに対応するバリア層の領域内にトレンチ構造が形成され、第3半導体及びゲートと嵌合してp型ゲートを形成し、また、第2半導体は、第1半導体上に順次設置された第1、第2構造層を備え、所定のエッチング剤に対して、第1構造層が第2構造層よりも高い耐エッチング性を有する。本発明に係るHEMT構造は、より正確に制御することができ、またより優れたデバイス性能を有し、たとえば、正のゲートリーク電流及びゲートしきい値電圧のスイングが大幅に改善され、デバイスしきい電圧のウエハ内の均一性が確保され、そして、より製造されやすくなり、量産に適している。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ接合、第2導電タイプを有する第3半導体、ソース、ドレイン及びゲートを備え、前記ヘテロ接合は、第1導電タイプを有する第1半導体及び第2半導体を備え、前記第2半導体は、第1半導体上に設置され且つ第1半導体よりも広いバンドギャップを有し、少なくともゲートに対応する前記第2半導体の領域内にトレンチ構造がさらに形成され、前記第3半導体は少なくとも部分的に前記トレンチ構造内に設置され、前記ソースとドレインは前記ヘテロ接合内に形成された二次元電子ガスを介して電気的に接続され、前記ゲートはソースとドレインとの間に設置され、且つ第3半導体に接続される複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTであって、
前記第2半導体は、第1半導体上に設置される第1構造層と、第1構造層上に設置される第2構造層とを備え、且つ、所定のエッチング剤に対して、前記第1構造層が第2構造層よりも高い耐エッチング性を有する、ことを特徴とするIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項2】
前記第2構造層中のAl成分の含有量が第1構造層中のAl成分の含有量よりも低く、且つ、前記第1構造層、第2構造層中のAl成分の含有量は、所定のエッチング剤が第2構造層をエッチングできるが、第1構造層をエッチングできないという条件を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項3】
前記所定のエッチング剤は、ドライエッチングプロセスに適するエッチングガスから選ばれる、ことを特徴とする請求項2に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項4】
前記エッチングガスは、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスを含む、ことを特徴とする請求項3に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項5】
前記トレンチ構造のトレンチ底部が第2構造層と第1構造層との界面にある、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項6】
前記トレンチ構造のトレンチ底部が第1構造層に入る、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項7】
前記トレンチ構造のトレンチ底部が第1半導体の上面と面一であるか、又は第1半導体に入る、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項8】
前記第1半導体、第2半導体、第3半導体はすべてIII族窒化物から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項9】
前記第1半導体はGaNを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項10】
前記第2半導体は、AlGaN、AlInGaN、AlInNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項11】
前記第3半導体は、p−GaN、p−AlGaN、p−AlInN、p−InGaN、p−AlInGaNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項12】
前記第1半導体と第2半導体との間には、挿入層がさらに設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項13】
前記第1構造層と第2構造層との間には、挿入層がさらに設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項14】
前記挿入層の材質はAlNを含む、ことを特徴とする請求項12又は13に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項15】
前記第2半導体上に第4半導体がさらに設けられ、且つ、前記第3半導体は第4半導体を貫通して前記トレンチ構造に入る、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項16】
前記第4半導体はGaNを含む、ことを特徴とする請求項15に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項17】
前記ゲート、第3半導体及び第4半導体上に不活性化層が覆設されており、前記ソース、ドレインは不活性化層から露出している、ことを特徴とする請求項15に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項18】
前記不活性化層の材質は、窒化ケイ素、SiO2、Al2O3、窒化アルミニウムのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項17に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項19】
前記ゲートと第3半導体はショットキーコンタクト又はオーミックコンタクトを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項20】
第1導電タイプを有する第5半導体をさらに備え、前記第1半導体は第5半導体上に設けられ、かつ第5半導体とヘテロ構造を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項21】
前記第5半導体は第1半導体よりも広いバンドギャップを有する、ことを特徴とする請求項20に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項22】
前記第5半導体はAlGaNを含む、ことを特徴とする請求項21に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項23】
フィールドプレート構造無しデバイス又はフィールドプレート構造有りデバイスである、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項24】
前記第2半導体には、ソース、ドレインと嵌合するトレンチが形成されており、前記ソース、ドレインは第2半導体とオーミックコンタクトを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項25】
基板、又は基板とバッファ層をさらに備え、前記第1半導体は、基板上又は前記バッファ層上に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項26】
請求項1−26のいずれか1項に記載の複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTの製造方法であって、
順次形成される第1半導体と第2半導体を含み、前記第2半導体が順次形成される第1構造層と第2構造層を含むエピタキシャル層を成長するステップと、
前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップと、
前記トレンチ構造が第3半導体又は第2半導体と第3半導体により充填されるように、前記エピタキシャル層上に第3半導体又は第2半導体と第3半導体を成長するステップと、
ゲートの下の領域以外の第3半導体を除去するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製造するステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項27】
基板上に第1半導体、第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
基板上にバッファ層、第1半導体、第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
ゲートの下の領域内に残された第3半導体上にゲートを製造するステップと、
前記ゲート、第3半導体及び第4半導体上に連続した不活性化層を形成するステップと、
ソース、ドレインに対応する窓を不活性化層上に加工するステップと、
前記窓から第2半導体のソース・ドレイン接触領域にトレンチを加工し、さらに第2半導体とオーミックコンタクトを形成するソース、ドレインを製造するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
ドライエッチングプロセスを用いて前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップを含む、ことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
【請求項31】
前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスは、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスを含む、ことを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスに酸素ガスが混合されている、ことを特徴とする請求項31に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタデバイス、特に複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMT及びその製造方法に関し、半導体の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来のシリコンベースのMOSFETに比べて、AGaN/AlN/GaNなどのヘテロ接合に基づく高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、低いオン抵抗、高い絶縁破壊電圧、高いスイッチング周波数などのユニークな利点を有するので、様々な電力変換システムでコアデバイスとして用いることができ、省エネルギー・消費削減の点で将来性が期待でき、このため、学界や産業界から大きな注目を集めている。しかしながら、AlGaN/AlN/GaNヘテロ接合に基づくHEMTは、III族窒化物材料系の分極効果のため、一般には、いずれもディプリーション型(ノーマリオン)であり、このタイプのデバイスが回路レベルのシステムに使用されると、デバイスに対してスイッチング制御ができるように負極性ゲート駆動回路を設計する必要があり、その結果、回路の複雑さ及びコストが大幅に増大してしまう。さらに、ディプリーション型デバイスは、フェイルセーフ能力に課題があり、したがって、本格的な商業的用途を実現できない。p型ゲート技術に基づくエンハンスメント型HEMTは、この問題を解決するための実行可能な解決策であり、つまり、従来のHEMTのエピタキシャル構造に基づいて、AlGaNバリア層上にp型層をエピタキシャル成長させることで、エピタキシャルウエハ全体にpn接合を形成し、空間電荷領域(主にバリア層とチャネル層に分布している)は、チャネルでの2次元電子ガスを効果的に消耗し尽くす。エンハンスメント型HEMTは、ゲートの下の電子が空乏化することのみを必要とするため、後続のチッププロセスでは、
図1に示すように、非ゲート領域をエピタキシャルウエハ上でエッチングすることで、空乏化した2次元電子ガス(2DEG)を回復する必要がある。
【0003】
上記の選択的エッチングに基づく技術では、活性領域ヘテロ接合は一般にAlGaN/AlN/GaN構造を採用しており、デバイスの優れたノーマリオフ性能、つまりより高い正のしきい値電圧を得るために、一般的には、バリア層のAl成分は高すぎてはならず、厚さは厚すぎてはならない。その反面、チャネルのキャリア濃度が低下し、デバイスの出力特性(オン抵抗、飽和出力電流)を最適化できなくなる。したがって、従来の活性領域構造の設計では、デバイスのノーマリオフ性能と出力特性の両方の最適化を実現することは困難である。
この問題を解決するために、一部の研究者は、
図2に示すように、トレンチゲートエッチングにより、p型層再成長技術とエッチング技術を使用して、p型ゲート技術に基づくエンハンスメント型HEMTを製造している。この構造では、ゲート領域のバリア層が薄く、非ゲート領域のバリア層が厚いため、しきい値電圧とオン特性を同時に最適化できる。ただし、そのゲート領域は依然として低含有量のAl成分、薄いバリア層構造を使用しているため、p型層の正孔とチャネル層の電子のいずれに対してもバリアが低すぎ、それにより、デバイスの正のゲートリーク電流が増大し、ゲートしきい値電圧のスイングが低くなり、デバイスの実際の動作の信頼性要件を満たせないことが発生しやすく、また、トレンチゲートの製造には電気化学腐食、低速エッチング技術が使用されるため、プロセスが複雑になり、制御が難しくなり、スケールアップが不利となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来技術の課題を解決する、複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMT及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明に使用される技術案は、以下を含む。
【0006】
本発明の実施例は、複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTを提供し、このIII族窒化物エンハンスメント型HEMTは、ヘテロ接合、第2導電タイプを有する第3半導体、ソース、ドレイン及びゲートを備え、前記ヘテロ接合は、第1導電タイプを有する第1半導体及び第2半導体を備え、前記第2半導体は、第1半導体上に設置され且つ第1半導体よりも広いバンドギャップを有し、少なくともゲートに対応する前記第2半導体の領域内にトレンチ構造がさらに形成され、前記第3半導体は少なくとも部分的に前記トレンチ構造内に設置され、前記ソースとドレインは前記ヘテロ接合内に形成された二次元電子ガスを介して電気的に接続され、前記ゲートはソースとドレインとの間に設置され、且つ第3半導体に接続され、
前記第2半導体は、第1半導体上に設置される第1構造層と、第1構造層上に設置される第2構造層とを備え、且つ、所定のエッチング剤に対して、前記第1構造層が第2構造層よりも高い耐エッチング性を有する。
【0007】
さらに、前記第1構造層、第2構造層のいずれもAl成分を含有し得る。
【0008】
またさらに、前記第2構造層中のAl成分の含有量が第1構造層中のAl成分の含有量よりも低く、且つ、前記第1構造層、第2構造層中のAl成分の含有量は、所定のエッチング剤が第2構造層をエッチングできるが、第1構造層をエッチングできないという条件を満たす。
【0009】
またさらに、前記所定のエッチング剤は、ドライエッチングプロセスに適用できるエッチングガス、たとえば、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスなどであるが、これらに制限されない。
【0010】
本発明の実施例は、前記複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTの製造方法をさらに提供し、この製造方法は、
順次形成される第1半導体と第2半導体を含み、前記第2半導体が順次形成される第1構造層と第2構造層を含むエピタキシャル層を成長するステップと、
前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップと、
前記トレンチ構造が第3半導体又は第2半導体と第3半導体により充填されるように、前記エピタキシャル層上に第3半導体又は第2半導体と第3半導体を成長するステップと、
ゲートの下の領域以外の第3半導体を除去するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製造するステップと、を含む。
【0011】
さらに、前記の製造方法は、ドライエッチングプロセスを用いて前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップを含んでもよい。
【0012】
またさらに、前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスには、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスなどが含まれるが、これらに制限されず、たとえば、前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスには、酸素ガスが混合されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
従来技術に比べて、本発明のIII族窒化物エンハンスメント型HEMTは、複合バリア層構造を採用しており、例えば、チャネル層のすぐ上には高Al成分含有量のバリア層、高Al成分含有量のバリア層の上には低Al成分含有量のバリア層があり、高Al成分含有量のバリア層と低Al成分含有量のバリア層の間の高選択比を利用してエッチングし、エッチングストップを高Al成分含有量のバリア層やより高Al成分含有量のAlNなどの挿入層に直接形成することにより、高精度なトレンチゲートを作製し、そして、エッチングプロセス自体はシンプルで、効果的で制御可能であり、チャネル層の下に広いバンドギャップのバックバリア層があり、それによりしきい値電圧を上げることができる。さらに、p型層の再成長及び非ゲート領域のp型層のエッチングが順次完了した後、形成されたp型ゲート領域のバリア層は、Al成分の含有量が高いため、デバイスの正のゲートリーク電流を効果的に抑制し、ゲートしきい値電圧のスイングを向上させることができ、また、p型ゲート領域のバリア層の厚さは、エピタキシャル成長によって直接決定され、厚さを正確に制御できるため、デバイスのしきい値電圧のウエハ内の均一性を保証でき、量産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術における選択的エッチング技術に基づくp型ゲートエンハンスメント型HEMTの製造過程を示す模式図である。
【
図2】従来技術におけるトレンチゲートエッチングとp型層の再成長技術を用いたエンハンスメント型HEMTの製造過程を示す模式図である。
【
図3】本発明の一代表実施形態における複合バリア層構造に基づくエンハンスメント型HEMTの製造過程を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施例1におけるAlGaNデュアルバリア層ヘテロ接合に基づくHEMTのエピタキシャル構造の模式図である。
【
図5】酸素含有ICP技術を用いて
図4に示すデバイス構造をトレンチゲートエッチングしたときの模式図である。
【
図6】
図5に示すデバイス構造上にp型層を再成長させたときの模式図である。
【
図7】
図6に示すデバイス構造の非ゲート領域のp型層をエッチングしたときの模式図である。
【
図8】
図7に示すデバイス構造のp型層上にゲート金属が堆積されたときの模式図である。
【
図9】
図8に示すデバイス構造上に窒化ケイ素不活性化層が堆積されたときの模式図である。
【
図10】
図9に示すデバイス構造に対してオーミックコンタクト領域に窓を開設したときの模式図である。
【
図11】
図10に示すデバイス構造上にソース/ドレイン・オーミックコンタクトを製造したときの模式図である。
【
図12】
図11に示すデバイス構造上にリード電極が製造されたときの模式図である。
【
図13】本発明の実施例2におけるAlGaNマルチバリア層ヘテロ接合に基づくHEMTのエピタキシャル構造の模式図である。
【
図14】酸素含有ICP技術を用いて
図13に示すデバイス構造をトレンチゲートエッチングしたときの模式図である。
【
図15】本発明の実施例2におけるAlGaNマルチバリア層ヘテロ接合に基づくHEMT完成品の構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
従来技術の欠点に鑑み、本出願の発明者は、長期間の研究及び大量の実験を行った結果、本発明の技術案を提案できた。以下、この技術案、その実施及び原理についてさらに説明する。しかしながら、本発明の範囲内で、本発明の上記した各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴とを互いに組み合わせて、新しい又は好ましい技術案を形成することができる。ここでは、簡単のため、詳しく説明しない。
【0016】
本発明の実施例の一態様による複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTは、ヘテロ接合、第2導電タイプを有する第3半導体、ソース、ドレイン及びゲートを備え、前記ヘテロ接合は、第1導電タイプを有する第1半導体及び第2半導体を備え、前記第2半導体は、第1半導体上に設置され且つ第1半導体よりも広いバンドギャップを有し、少なくともゲートに対応する前記第2半導体の領域内にトレンチ構造が形成され、前記第3半導体は少なくとも部分的に前記トレンチ構造内に設置され、前記ソースとドレインは前記ヘテロ接合内に形成された二次元電子ガスを介して電気的に接続され、前記ゲートはソースとドレインとの間に設置され、且つ第3半導体に接続され、前記第2半導体は、第1半導体上に設置される第1構造層と、第1構造層上に設置される第2構造層とを備え、且つ、所定のエッチング剤に対して、前記第1構造層が第2構造層よりも高い耐エッチング性を有する。
【0017】
一般的には、上記した第1導電タイプ、第2導電タイプは、それぞれn型、p型であってもよい。
【0018】
さらに、前記第1構造層、第2構造層はいずれもAl成分を含有し得る。
【0019】
またさらに、前記第2構造層中のAl成分の含有量が第1構造層中のAl成分の含有量よりも低く、且つ前記第1構造層、第2構造層中のAl成分の含有量は、所定のエッチング剤が第2構造層をエッチングできるが、第1構造層をエッチングできないという条件を満たす。
【0020】
またさらに、前記所定のエッチング剤は、ドライエッチングプロセスに適用できるエッチングガス、たとえば、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスなどであってもよいが、これらに制限されない。前記エッチングガスの代表例として、Cl
2/N
2/O
2;酸素ガスを含有するほかのCl系エッチング混合ガス、たとえば、Cl
2/BCl
3/N
2/O
2、BCl
3/N
2/O
2、Cl
2/O
2など;Cl基、F基を含有するエッチング混合ガス、たとえばCl
2/BCl
3/SF
6、Cl
2/SF
6など;一般的なCl系エッチングガス、たとえばCl
2、Cl
2/BCl
3などがある。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記トレンチ構造のトレンチ底部が第2構造層と第1構造層との界面にあるようにしてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記トレンチ構造のトレンチ底部が第1構造層に入るようにしてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記トレンチ構造のトレンチ底部が第1半導体の上面と面一であるか、又は第1半導体層に入るようにしてもよい。
【0024】
さらに、前記第1半導体、第2半導体、第3半導体は、すべてIII族窒化物から選ばれるようにしてもよい。
【0025】
たとえば、前記第1半導体はGaNなどを含み得るが、これらに制限されない。
【0026】
たとえば、前記第2半導体はAlGaN、AlInGaN、AlInNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み得るが、これらに制限されない。
【0027】
たとえば、前記第3半導体はp−GaN、p−AlGaN、p−AlInN、p−InGaN、p−AlInGaNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み得るが、これらに制限されない。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記第1半導体と第2半導体との間には、挿入層がさらに設けられている。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記第1構造層と第2構造層との間には、挿入層がさらに設けられている。
【0030】
さらに、前記挿入層の材料はAlNなどを含むが、それに制限されない。
【0031】
いくつかの実施例では、上記第1半導体、第2半導体は、それぞれチャンネル層、バリア層とみなされ得る。第1構造層、第2構造層は、それぞれ下バリア層、上バリア層とみなされ得る。
【0032】
それに対応して、上記バリア層は、デュアルAl成分AlGaN複合バリア層構造、AlN挿入層を備えるサンドイッチ型AlGaNバリア層構造、AlInNベースバリア層、AlInGaNベースバリア層又はこれらの組み合わせなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0033】
さらに、いくつかの実施例では、隣接するチャンネル層のバリア層が高Al成分含有量を有する場合、バリア層のAl成分はエピタキシャル成長方向の各種の関数であり得、高Al成分含有量のバリア層中のAl成分は、必ずしも一定であると限らず、エネルギーバンド構造、応力、2DEG濃度などを調整できるように分布してもよい。
【0034】
加えて、いくつかの実施例では、AlN挿入層をバリア層の一部とする場合、AlNをエッチング終了層として、バリア層全体をエッチングし、チャンネル層に到達するか、又はチャンネル層に入るようにしてもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、上記第3半導体はp型層とみなされ得る。
【0036】
上記いくつかの実施例では、バリア層は、複合層状構造を有するものであり、即ち、低Al成分含有量のバリア層とチャンネル層との間に高Al成分含有量のバリア層がエピタキシャル成長されており、それにより、たとえば、正のゲートリーク電流を減少させたり、ゲートしきい値電圧のスイングを向上させたりするなど、デバイスのゲート特性を効果的に向上させる一方、デバイスの製造には、高、低Al成分含有量のバリア層の間の高選択比を利用してエッチングし、高Al成分含有量のバリア層にエッチングストップを直接形成することにより、高精度なトレンチゲートを作製し、そして、エッチングプロセス自体はシンプルで、効果的で制御可能である。
【0037】
さらに、前記第2半導体上に第4半導体がさらに設けられ、且つ前記第3半導体は第4半導体を貫通して前記トレンチ構造に入る。
【0038】
好ましくは、前記第4半導体はGaNなどを含むが、これに制限されない。
【0039】
いくつかの実施例では、上記第4半導体は、キャップ層とみなされ得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記ゲート、第3半導体及び第4半導体上に不活性化層がさらに覆設されており、前記ソース、ドレインは不活性化層から露出している。
【0041】
好ましくは、前記不活性化層の材料は、窒化ケイ素、SiO
2、Al
2O
3、窒化アルミニウムのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含むが、これに制限されない。
【0042】
さらに、前記ゲートと第3半導体はショットキーコンタクト又はオーミックコンタクトを形成する。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記HEMTは、第1導電タイプを有する第5半導体をさらに備え、前記第1半導体は、第5半導体上に設置され、且つ第5半導体とヘテロ構造を形成する。好ましくは、前記第5半導体は、第1半導体よりも広いバンドギャップを有する。
【0044】
さらに、前記第5半導体は、AlGaNなどを含むが、これに制限されない。
【0045】
いくつかの実施例では、上記第5半導体は、バックバリア層とみなされることもでき、上記第1半導体とともにチャンネル層構造を構成し、それによりエンハンスメント型HEMTのしきい電圧が向上する。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記HEMTは、フィールドプレート構造無しデバイス又はフィールドプレート構造有りデバイスである。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記第2半導体には、ソース、ドレインと嵌合するトレンチが形成されており、前記ソース、ドレインは第2半導体とオーミックコンタクトを形成する。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記III族窒化物エンハンスメント型HEMTは、基板をさらに備えてもよく、第1半導体は基板上に形成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記的III族窒化物エンハンスメント型HEMTは、基板とバッファ層をさらに備えてもよく、前記バッファ層、第1半導体は順次基板上に形成される。
【0050】
上記基板は、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウムなどを含み得るが、これらに制限されない。
【0051】
上記バッファ層は、GaNなどの材料、Al成分の含有量が勾配的に変化しているAlGaNバッファ層、又は両方の組み合わせであってもよいが、これらに制限されない。
【0052】
本発明の実施例の別の態様による前記複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTの製造方法は、
順次形成される第1半導体と第2半導体を含み、前記第2半導体が順次形成される第1構造層と第2構造層を含むエピタキシャル層を成長するステップと、
前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップと、
前記トレンチ構造が第3半導体又は第2半導体と第3半導体により充填されるように、前記エピタキシャル層上に第3半導体又は第2半導体と第3半導体を成長するステップと、
ゲートの下の領域以外の第3半導体を除去するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製造するステップと、を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記製造方法は、基板上に第1半導体、第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0054】
さらに、前記製造方法は、基板上にバッファ層、第1半導体、第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記製造方法は、
ゲートの下の領域内に残された第3半導体上にゲートを製造するステップと、
前記ゲート、第3半導体及び第4半導体上に連続した不活性化層を形成するステップと、
ソース、ドレインに対応する窓を不活性化層上に加工するステップと、
前記窓から第2半導体のソース・ドレイン接触領域にトレンチを加工し、さらに第2半導体とオーミックコンタクトを形成するソース、ドレインを製造するステップと、をさらに含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記製造方法は、ドライエッチングプロセスを用いて前記絵ピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップをさらに含んでもよい。
【0057】
好ましくは、前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスは、上記的Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0058】
さらに、上記第3半導体は、MOCVD、MBE(Molecular Beam Epitaxy、分子線エピタキシー)などのプロセスにより再成長させ得るが、これらに制限されない。また、上記第3半導体は、マグネシウムなどの元素がドーピングされてもよく、ドーピング濃度については、単一ドーピング濃度又はエピタキシャル成長方向に対する関数であってもよいが、これらに制限されない。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記製造方法は、堆積技術により前記不活性化層を形成するステップを含んでもよく、ここで、堆積技術は、PECVD、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、低圧化学気相堆積)、ALD(Atom Layer Deposition、原子層堆積)、PEALD(Plasma Enhanced Atom Layer Deposition、プラズマ強化原子層堆積)などから選択できるが、これらに制限されない。
【0060】
さらに、上記ゲートを形成する金属は、TiN、W、Ni/Au、Pd/Auなどのショットキー又はオーミックコンタクトゲート金属であってもよいが、これらに制限されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、自己整合技術などによって上記ゲートを直接製造してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、まず、ソース、ドレインなどを製造し、次にゲートを製造してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、オーミックコンタクトの高温製造プロセス又はオーミックコンタクトの低温製造プロセスなどによって、上記オーミックコンタクトを形成することができる。
【0064】
特定の実施例では、前記製造方法は、複合バリア層構造を使用し、即ち、低Al成分含有量のバリア層とチャンネル層との間に高Al成分含有量のバリア層をエピタキシャル成長させることによって、たとえば、正のゲートリーク電流を減少させたり、ゲートしきい値電圧のスイングを向上させたりするなど、デバイスのゲート特性を効果的に向上させる一方、ドライエッチング技術だけで、Al成分含有量の異なるバリア層の間の選択性を利用してエッチングし、高Al成分含有量のバリア層にエッチングストップを直接形成することにより、高精度なトレンチゲート構造を製造することができ、さらに、p型層の再成長とエッチング技術によってトレンチp型ゲート構造を形成することもできる。このようにして、一方では、プロセスの難度を大幅に低下させ、プロセスの安定性を向上させ、他方では、p型ゲート領域のバリア層の厚さは、エピタキシャル成長によって直接決定され、厚さを正確に制御できるため、デバイスのしきい値電圧の均一性を大幅に向上できる。
【0065】
以下、複数の実施例にて本発明の技術案をさらに詳しく説明する。
【0066】
実施例1
Al
0.15Ga
0.85N/Al
0.30Ga
0.70Nデュアルバリア層に基づくHEMTの製造方法は、以下のステップを含む。
【0067】
ステップS1:AlGaNデュアルバリア層ヘテロ接合に基づくHEMTのMOCVDエピタキシャル成長。上バリア層は、低Al成分含有量のAlGaNバリア層であり、Al成分が15%、厚さが20〜35nmであり、下バリア層は、高Al成分含有量のAlGaNバリア層であり、Al成分が30%、厚さが5〜10nmである。AlN挿入層は約1nmであり、GaNチャンネル層は50〜200nmである。HEMTのエピタキシャル構造は
図4に示される。バッファ層は、GaNなどの材料又はAl成分が勾配的に変化しているAlGaNバッファ層、又は両方の組み合わせであってもよく、基板は、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム又は窒化アルミニウムなどの材料であってもよい。
【0068】
ステップS2:トレンチゲートエッチング。フォトレジストAZ5214をマスクとして、ICP(Inductive Coupled Plasma、誘導結合プラズマ)エッチング技術によってトレンチゲートエッチングを行う。エッチング混合ガスは塩素ガス/酸素ガス/窒素ガスである。エッチング混合ガスの流量及び流量比(塩素ガスの流量は10〜100sccmであり、酸素ガスの流量は塩素ガスの流量の5%〜80%であり、窒素ガスの流量は塩素ガスの流量の15%〜75%である)、エッチングチャンバーの圧力(10〜100mTorr)、RFパワー(10〜100W)、ICPパワー(300〜2500W)を調整することによって、低Al成分含有量のバリア層Al
0.15Ga
0.85Nをエッチングするとともに、高Al成分含有量のバリア層Al
0.30Ga
0.70Nでエッチングを終了させる。エッチング表面に形成された(Al,Ga)O
x耐エッチング層を酸溶液で除去する。形成したデバイスの構造は
図5に示される。
【0069】
ステップS3:p型層の再成長。p−GaN厚さが5〜300nmであり、マグネシウムのドーピング濃度の範囲が10
18〜10
21/cm
3であるp型層をMOCVDによりエピタキシャル成長させる。形成したデバイスの構造は
図6に示される。
【0070】
ステップS4:非ゲート領域におけるp型層のエッチング。ICPエッチング技術によって、非ゲート領域のp型層をエッチングする。形成したデバイスの構造は
図7に示される。
【0071】
ステップS5:ゲート金属の堆積。マグネトロンスパッタリングを用いて、厚さ50〜200nmのTiNを堆積する。形成したデバイスの構造は
図8に示される。
【0072】
ステップS6:不活性化層の堆積。PECVD誘電体層堆積技術によって、厚さ10〜500nmのSiN
x不活性化層を堆積する。形成したデバイスの構造は
図9に示される。
【0073】
ステップS7:不活性化層の開口窓。RIE(Reactive Ion Etch、反応性イオンエッチング)でSiN
xをエッチングすることで、オーミックコンタクトの窓開けを行う。形成したデバイスの構造は
図10に示される。
【0074】
ステップS8:ソース・ドレインオーミックコンタクト。製造条件:ソース・ドレイン接触領域にトレンチエッチングをした後、厚さ20nm/130nm/50nm/150nmの金属Ti/Al/Ni/Auを堆積し、アニーリング条件として、890℃、30s、窒素ガスの雰囲気とした。形成したデバイスの構造は
図11に示される。
【0075】
ステップS9:リード電極。製造条件:金属Ni/Au、厚さ50nm/400nm。形成したデバイスの構造は
図12に示される。
【0076】
実施例2
Al
0.15Ga
0.85N/AlN/Al
0.30Ga
0.70Nマルチバリア層に基づくHEMTの製造方法は、以下のステップを含む。
【0077】
ステップS1:AlGaNマルチバリア層ヘテロ接合、つまり、AlN挿入層を備えるサンドイッチ型AlGaNバリア層構造に基づくHEMTのMOCVDエピタキシャル成長。上バリア層は、低Al成分含有量のAlGaNバリア層であり、Al成分が15%、厚さが20〜35nmであり、下バリア層は、高Al成分含有量のAlGaNバリア層であり、Al成分が30%、厚さが5〜10nmであり、両方の間は、厚さ約1〜2nmのAlN薄層であり、この層は、エッチングの自動停止のためにより広いプロセスウィンドウズを提供し、トレンチゲートエッチングプロセスをより安定的かつ確実にするという役割を果たす。加えて、AlN挿入層は約1nmであり、GaNチャンネル層は50〜200nmである。HEMTのエピタキシャル構造は
図13に示される。ここで、バッファ層は、GaNなどの材料、又はAl成分が勾配的に変化しているAlGaNバッファ層、又は両方の組み合わせであってもよく、基板は、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム又は窒化アルミニウムなどの材料であってもよい。
【0078】
ステップS2:トレンチゲートエッチング。フォトレジストAZ5214をマスクとして、ICP(Inductive Coupled Plasma、誘導結合プラズマ)エッチング技術によってトレンチゲートエッチングを行う。エッチング混合ガスは塩素ガス/酸素ガス/窒素ガスである。エッチング混合ガスの流量及び流量比(塩素ガスの流量は10〜100sccmであり、酸素ガス流量は塩素ガスの流量の5%〜70%であり、窒素ガスの流量は塩素ガスの流量の15%〜75%である)、エッチングチャンバーの圧力(10〜100mTorr)、RFパワー(10〜200W)、ICPパワー(300〜2500W)を調整することによって、低Al成分含有量のバリア層Al
0.15Ga
0.85Nをエッチングするとともに、AlNでエッチングを終了させる。エッチング表面に形成された(Al,Ga)O
x耐エッチング層を酸溶液で除去する。形成したデバイスの構造は
図14に示される。
【0079】
ステップS3〜S9:実施例1のステップS3〜S9と同様。チップ全体のプロセスが行われたデバイスは
図15に示される。
【0080】
加えて、上記実施例のデュアルAl成分AlGaN複合バリア層構造、AlN挿入層を備えるサンドイッチ型AlGaNバリア層構造などは、AlInNベースバリア層、AlInGaNベースバリア層又はこれらの組み合わせなど、ほかのバリア層構造に変更してもよい。
【0081】
上記実施例におけるエッチングガスも、Cl
2/BCl
3/N
2/O
2、BCl
3/N
2/O
2、Cl
2/O
2、Cl
2/BCl
3/SF
6、Cl
2/SF
6、Cl
2、Cl
2/BCl
3など、Cl系、F系エッチングガス又はこれらの組み合わせに変更してもよい。
【0082】
上記実施例におけるp−GaN層も、p−AlGaN、p−AlInN、p−InGaN、p−AlInGaN又はこれらの複合構造など、ほかのp型層に変更してもよく、また、MBEなどのプロセスで製造され得る。
【0083】
上記実施例では、不活性化層の材料は、酸化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウムなどとしてもよく、この場合、堆積技術はLPCVD、ALD、PEALDなどとされてもよい。
【0084】
上記実施例におけるp型ゲートは、自己整合技術などを用いて直接製造されてもよい。
【0085】
上記実施例では、ソース、ドレイン、ゲートの製造の順番は、必要に応じて調整してもよく、たとえば、まず、ソース、ドレインを製造し、次にゲートを製造するようにしてもよい。
【0086】
上記実施例におけるゲート金属は、W、Ni/Au、Pd/Auなど、ショットキー又はオーミックコンタクト金属などのほかの金属材料としてもよい。
【0087】
また、上記実施例におけるフィールドプレート構造無しデバイスは、フィールドプレート構造有りのデバイスとしてもよい。
【0088】
上記替代形態によるHEMTデバイスも、非常に優れた性能を示す。
【0089】
前記のように、本発明の上記実施例では、複合バリア層構造が使用され、つまり高、低Al成分含有量のバリア層の間の高選択比を利用してエッチングし、エッチングストップを高Al成分含有量のバリア層又はより高Al成分含有量のAlN挿入層に直接形成することにより、高精度なトレンチゲートを作製し、そして、エッチングプロセス自体はシンプルで、効果的で制御可能であり、チャネル層の下に広いバンドギャップのバックバリア層があり、それによりしきい値電圧を上げることができる。さらに、p型層の再成長及び非ゲート領域のp型層のエッチングが順次完了した後、形成されたp型ゲート領域のバリア層は、Al成分の含有量が高いため、デバイスの正のゲートリーク電流を効果的に抑制し、ゲートしきい値電圧のスイングを向上させることができる。また、p型ゲート領域のバリア層の厚さは、エピタキシャル成長によって直接決定され、厚さを正確に制御できるため、デバイスのしきい値電圧のウエハ内の均一性を保証でき、量産に適している。
【0090】
なお、上記の実施例は、本発明の技術的概念及び特徴を説明するために過ぎず、その目的は、当業者が本発明の内容を理解し、それに基づいて実施できるようにすることであり、本発明の特許範囲を限定するものではない。本発明の精神を逸脱することなくなされたすべての同等の変化又は修正は、本発明の特許範囲内に含まれるべきである。
【0091】
[付記]
[付記1]
ヘテロ接合、第2導電タイプを有する第3半導体、ソース、ドレイン及びゲートを備え、前記ヘテロ接合は、第1導電タイプを有する第1半導体及び第2半導体を備え、前記第2半導体は、第1半導体上に設置され且つ第1半導体よりも広いバンドギャップを有し、少なくともゲートに対応する前記第2半導体の領域内にトレンチ構造がさらに形成され、前記第3半導体は少なくとも部分的に前記トレンチ構造内に設置され、前記ソースとドレインは前記ヘテロ接合内に形成された二次元電子ガスを介して電気的に接続され、前記ゲートはソースとドレインとの間に設置され、且つ第3半導体に接続される複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTであって、
前記第2半導体は、第1半導体上に設置される第1構造層と、第1構造層上に設置される第2構造層とを備え、且つ、所定のエッチング剤に対して、前記第1構造層が第2構造層よりも高い耐エッチング性を有する、ことを特徴とするIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0092】
[付記2]
前記第2構造層中のAl成分の含有量が第1構造層中のAl成分の含有量よりも低く、且つ、前記第1構造層、第2構造層中のAl成分の含有量は、所定のエッチング剤が第2構造層をエッチングできるが、第1構造層をエッチングできないという条件を満たす、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0093】
[付記3]
前記所定のエッチング剤は、ドライエッチングプロセスに適するエッチングガスから選ばれる、ことを特徴とする付記2に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0094】
[付記4]
前記エッチングガスは、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスを含む、ことを特徴とする付記3に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0095】
[付記5]
前記トレンチ構造のトレンチ底部が第2構造層と第1構造層との界面にある、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0096】
[付記6]
前記トレンチ構造のトレンチ底部が第1構造層に入る、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0097】
[付記7]
前記トレンチ構造のトレンチ底部が第1半導体の上面と面一であるか、又は第1半導体に入る、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0098】
[付記8]
前記第1半導体、第2半導体、第3半導体はすべてIII族窒化物から選ばれる、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0099】
[付記9]
前記第1半導体はGaNを含む、ことを特徴とする付記8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0100】
[付記10]
前記第2半導体は、AlGaN、AlInGaN、AlInNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする付記8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0101】
[付記11]
前記第3半導体は、p−GaN、p−AlGaN、p−AlInN、p−InGaN、p−AlInGaNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする付記8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0102】
[付記12]
前記第1半導体と第2半導体との間には、挿入層がさらに設けられている、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0103】
[付記13]
前記第1構造層と第2構造層との間には、挿入層がさらに設けられている、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0104】
[付記14]
前記挿入層の材質はAlNを含む、ことを特徴とする付記12又は13に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0105】
[付記15]
前記第2半導体上に第4半導体がさらに設けられ、且つ、前記第3半導体は第4半導体を貫通して前記トレンチ構造に入る、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0106】
[付記16]
前記第4半導体はGaNを含む、ことを特徴とする付記15に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0107】
[付記17]
前記ゲート、第3半導体及び第4半導体上に不活性化層が覆設されており、前記ソース、ドレインは不活性化層から露出している、ことを特徴とする付記15に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0108】
[付記18]
前記不活性化層の材質は、窒化ケイ素、SiO
2、Al
2O
3、窒化アルミニウムのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする付記17に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0109】
[付記19]
前記ゲートと第3半導体はショットキーコンタクト又はオーミックコンタクトを形成する、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0110】
[付記20]
第1導電タイプを有する第5半導体をさらに備え、前記第1半導体は第5半導体上に設けられ、かつ第5半導体とヘテロ構造を形成する、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0111】
[付記21]
前記第5半導体は第1半導体よりも広いバンドギャップを有する、ことを特徴とする付記20に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0112】
[付記22]
前記第5半導体はAlGaNを含む、ことを特徴とする付記21に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0113】
[付記23]
フィールドプレート構造無しデバイス又はフィールドプレート構造有りデバイスである、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0114】
[付記24]
前記第2半導体には、ソース、ドレインと嵌合するトレンチが形成されており、前記ソース、ドレインは第2半導体とオーミックコンタクトを形成する、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0115】
[付記25]
基板、又は基板とバッファ層をさらに備え、前記第1半導体は、基板上又は前記バッファ層上に形成されている、ことを特徴とする付記1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【0116】
[付記26]
付記1−26のいずれか1つに記載の複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTの製造方法であって、
順次形成される第1半導体と第2半導体を含み、前記第2半導体が順次形成される第1構造層と第2構造層を含むエピタキシャル層を成長するステップと、
前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップと、
前記トレンチ構造が第3半導体又は第2半導体と第3半導体により充填されるように、前記エピタキシャル層上に第3半導体又は第2半導体と第3半導体を成長するステップと、
ゲートの下の領域以外の第3半導体を除去するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製造するステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【0117】
[付記27]
基板上に第1半導体、第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする付記26に記載の製造方法。
【0118】
[付記28]
基板上にバッファ層、第1半導体、第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする付記27に記載の製造方法。
【0119】
[付記29]
ゲートの下の領域内に残された第3半導体上にゲートを製造するステップと、
前記ゲート、第3半導体及び第4半導体上に連続した不活性化層を形成するステップと、
ソース、ドレインに対応する窓を不活性化層上に加工するステップと、
前記窓から第2半導体のソース・ドレイン接触領域にトレンチを加工し、さらに第2半導体とオーミックコンタクトを形成するソース、ドレインを製造するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする付記28に記載の製造方法。
【0120】
[付記30]
ドライエッチングプロセスを用いて前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップを含む、ことを特徴とする付記26に記載の製造方法。
【0121】
[付記31]
前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスは、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスを含む、ことを特徴とする付記30に記載の製造方法。
【0122】
[付記32]
前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスに酸素ガスが混合されている、ことを特徴とする付記31に記載の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2020年7月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ接合、第2導電タイプを有する第3半導体、ソース、ドレイン及びゲートを備え、前記ヘテロ接合は、第1導電タイプを有する第1半導体及び第2半導体を備え、前記第2半導体は、前記第1半導体上に設置され且つ前記第1半導体よりも広いバンドギャップを有し、少なくとも前記ゲートに対応する前記第2半導体の領域内にトレンチ構造がさらに形成され、前記第3半導体は少なくとも部分的に前記トレンチ構造内に設置され、前記ソースと前記ドレインは前記ヘテロ接合内に形成された二次元電子ガスを介して電気的に接続され、前記ゲートは前記ソースと前記ドレインとの間に設置され、且つ前記第3半導体に接続される複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTであって、
前記第2半導体は、前記第1半導体上に設置される第1構造層と、前記第1構造層上に設置される第2構造層とを備え、且つ、所定のエッチング剤に対して、前記第1構造層が前記第2構造層よりも高い耐エッチング性を有する、ことを特徴とするIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項2】
前記第2構造層中のAl成分の含有量が前記第1構造層中のAl成分の含有量よりも低く、且つ、前記第1構造層、前記第2構造層中のAl成分の含有量は、前記所定のエッチング剤が前記第2構造層をエッチングできるが、前記第1構造層をエッチングできないという条件を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項3】
前記所定のエッチング剤は、ドライエッチングプロセスに適するエッチングガスから選ばれ、前記エッチングガスは、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスを含む、ことを特徴とする請求項2に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項4】
前記トレンチ構造のトレンチ底部が前記第2構造層と前記第1構造層との界面にあり、或いは前記第1構造層に入り、或いは前記第1半導体の上面と面一であるか、又は前記第1半導体に入る、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項5】
前記第1半導体、前記第2半導体、前記第3半導体はすべてIII族窒化物から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項6】
前記第1半導体はGaNを含み、前記第2半導体は、AlGaN、AlInGaN、AlInNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、前記第3半導体は、p−GaN、p−AlGaN、p−AlInN、p−InGaN、p−AlInGaNのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項7】
前記第1半導体と前記第2半導体との間には、挿入層がさらに設けられ、或いは、前記第1構造層と前記第2構造層との間には、挿入層がさらに設けられ、前記挿入層の材料はAlNを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項8】
前記第2半導体上に第4半導体がさらに設けられ、且つ、前記第3半導体は前記第4半導体を貫通して前記トレンチ構造に入り、及び/又は、第1導電タイプを有する第5半導体をさらに備え、前記第1半導体は前記第5半導体上に設けられ、かつ前記第5半導体とヘテロ構造を形成し、前記第5半導体は前記第1半導体よりも広いバンドギャップを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項9】
前記第4半導体はGaNを含み、又は前記第5半導体はAlGaNを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項10】
前記ゲート、前記第3半導体及び前記第4半導体上に不活性化層が覆設されており、前記ソース、前記ドレインは不活性化層から露出し、前記不活性化層の材料は、窒化ケイ素、SiO2、Al2O3、窒化アルミニウムのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項11】
前記ゲートと前記第3半導体はショットキーコンタクト又はオーミックコンタクトを形成し、及び/又は前記第2半導体には、前記ソース、前記ドレインと嵌合するトレンチが形成されており、前記ソース、前記ドレインは前記第2半導体とオーミックコンタクトを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物エンハンスメント型HEMT。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の複合バリア層構造に基づくIII族窒化物エンハンスメント型HEMTの製造方法であって、
順次形成される前記第1半導体と前記第2半導体を含み、前記第2半導体が順次形成される前記第1構造層と前記第2構造層を含むエピタキシャル層を成長するステップと、
前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップと、
前記トレンチ構造が前記第3半導体又は前記第2半導体と前記第3半導体により充填されるように、前記エピタキシャル層上に前記第3半導体又は前記第2半導体と前記第3半導体を成長するステップと、
前記ゲートの下の領域以外の前記第3半導体を除去するステップと、
前記ソース、前記ドレイン及び前記ゲートを製造するステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
基板上にバッファ層、前記第1半導体、前記第2半導体及び第4半導体を成長することで、前記エピタキシャル層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ゲートの下の領域内に残された第3半導体上にゲートを製造するステップと、
前記ゲート、前記第3半導体及び前記第4半導体上に連続した不活性化層を形成するステップと、
前記ソース、前記ドレインに対応する窓を前記不活性化層上に加工するステップと、
前記窓から前記第2半導体のソース・ドレイン接触領域にトレンチを加工し、さらに前記第2半導体とオーミックコンタクトを形成する前記ソース、前記ドレインを製造するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
ドライエッチングプロセスを用いて前記エピタキシャル層に前記トレンチ構造を加工するステップを含み、前記ドライエッチングプロセスに使用されるエッチングガスは、Cl系エッチングガス及び/又はF系エッチングガスを含み、且つ前記エッチングガスに酸素ガスが混合されている、ことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【国際調査報告】