特表2021-510587(P2021-510587A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-510587結石を破砕するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-510587(P2021-510587A)
(43)【公表日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】結石を破砕するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   A61B17/22 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-539761(P2020-539761)
(86)(22)【出願日】2019年1月18日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月11日
(86)【国際出願番号】EP2019051283
(87)【国際公開番号】WO2019141822
(87)【国際公開日】20190725
(31)【優先権主張番号】102018101215.2
(32)【優先日】2018年1月19日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500000485
【氏名又は名称】フェルトン ホールディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ferton Holding SA
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】ビオンダ、ピエール−アラン
(72)【発明者】
【氏名】ジロー、ジャン−イヴ
(72)【発明者】
【氏名】エバンス、ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE03
4C160MM32
(57)【要約】
結石を破砕するための装置(100)は、プローブ(20)と、プローブ(20)をその長尺延在範囲(LE)に沿って撓ませるための駆動ユニット(40)と、を備え、駆動ユニット(40)は、プローブ(20)の周期的撓みのための第1の駆動装置(41)と、プローブ(20)のパルス状撓みのための第2の駆動装置(42)と、を有し、駆動ユニット(40)は、周期的撓みとパルス状撓みを重ね合わせ可能であるように設計されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結石を破砕するための装置(100)であって、
プローブ(20)と、
前記プローブ(20)をその長尺延在範囲(LE)に沿って撓ませるための駆動ユニット(40)と、を備え、
前記駆動ユニット(40)は、前記プローブ(20)の周期的撓みのための第1の駆動装置(41)と、前記プローブ(20)のパルス状撓みのための第2の駆動装置(42)と、を有し、
前記駆動ユニット(40)は、前記第2の駆動装置(41)から前記第1の駆動装置(42)への影響が低減するように設計されることを特徴とする、
装置。
【請求項2】
前記駆動ユニット(40)は、前記周期的撓みと前記パルス状撓みを重ね合わせ可能であるように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の駆動装置(41)は、振動部(5)を介して前記プローブ(20)に作用し、及び/または前記第2の駆動装置(42)は、衝撃体(9)を介して前記プローブ(20)に作用する、ことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記第1の駆動装置(41)は、周期的振動を発生させる力を、パルス状振動を減衰するために特にローパスフィルタとして周波数選択的に設計された伝送領域(10)を介して、前記振動部(5)に伝送することを特徴とする、請求項3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記第1の駆動装置(41)の伝送体(8)と前記振動部(5)との間の前記伝送領域(10)は、例えばワッシャ(13)の形態の断面テーパを有することを特徴とし、これにより、前記第2の駆動ユニット(42)から前記第1の駆動ユニット(41)への特に力効果(force effect)である効果が低減される、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項6】
周波数選択伝送用に設計された前記伝送領域(10)は、前記第2の駆動装置(42)に面する前記第1の駆動装置(41)の側の特に端面に形成されることを特徴とする、請求項4または5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記第1の駆動装置(41)と前記第2の駆動装置(42)との間に付加質量(additional mass)が設けられ、前記振動部(5)は、好ましくは基体を有し、前記振動部(5)は、特に周波数選択伝送用に設計された前記伝送領域(10)に隣接して、長尺軸(LA)に垂直に突出した突起(11)を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記第1の駆動装置(41)はピエゾ素子(43)を有し、及び/または前記第2の駆動装置(42)は電磁石(44)を有する、ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記プローブ(20)の中空領域(22)と前記振動部(5)の中空領域(21)とによって、結石片を吸引するための中空チャネル、特に断面変化のない中空チャネルを形成していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
プローブ(20)と、前記プローブ(20)をその長尺延在範囲(LE)に沿って撓ませるための駆動ユニット(40)と、を用いて、特に請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(100)を用いて、結石を破砕する方法であって、
前記駆動ユニット(40)は、第1の駆動装置(41)と第2の駆動装置(42)とを有し、
前記第1の駆動装置(41)と前記第2の駆動装置(42)によって同時に前記プローブ(20)を撓ませることを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結石を破砕するための装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば体腔から、結石を除去するためには、それらを最初に破砕する必要があり、その破砕によって、自然になくなるか、または体外に直接排出されることが可能である小さい粒子にされる。結石の破砕は、例えば、体内砕石術で、導波管として機能する(金属)プローブの近位端によって結石に作用する機械的圧縮応力および引張応力を用いて行われる。このような張力は、結石の表面から破片を剥落させることにつながり、最終的に破砕を引き起こす。
【0003】
例えば、電気的に制御される超音波トランスデューサによってプローブを励起して縦振動させる体内砕石器がよく知られている。この種の装置を用いて、通常、結石を極めて微細な破片に破砕できる。
【0004】
また、空圧駆動される衝撃部によってプローブの遠位端を作用させる砕石器も知られている。そのような衝撃波砕石器は、他の実施形態では、衝撃部の電気駆動を有することもあり、プローブチップのより高い最大振幅またはパルスを可能とし得るが、極めて微細な破砕には最適ではない。例えば、超音波トランスデューサの特別な電気駆動によって、プローブの周期的振動励起と、電圧パルスによるプローブのパルス状振動励起と、の間で切り替え可能な装置が、特許文献1で知られている。さらに、プローブの周期的撓みを発生させる第1の動作状態と、プローブのパルス状撓みを発生させる第2の動作状態と、の間で切り替えることが、特許文献2で知られている。
【0005】
しかしながら、周知の装置は、プローブによる大きな衝撃で高い最大振幅を必要とする、大きくて硬い結石を破砕することと、同時に、極めて高い周波数でプローブの低い振幅または撓みを必要とする、極めて微細な結石の破砕を可能にすることの、その両方を1つの同じ装置では実行不可能であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1163884号明細書
【特許文献2】独国特許発明第10029580号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明の目的は、これらの周知の方法の利点および欠点を考慮して、より柔軟かつ効率的な結石破砕が可能であるように、上記のタイプの装置を設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の結石を破砕するための装置、および請求項10に記載の結石を破砕する方法によって達成される。さらなる効果および特徴は、従属請求項ならびに説明および添付の図面から明らかになる。
【0009】
本発明によれば、結石を破砕するための装置、特に砕石器は、プローブと、プローブをその長尺延在範囲に沿って撓ませるための駆動ユニットまたはプローブに衝撃パルスを導入するための駆動ユニットと、を備え、駆動ユニットは、プローブの周期的撓みのための第1の駆動装置と、プローブのパルス状撓みのための第2の駆動装置と、を有する。駆動ユニットは、第2の駆動装置から第1の駆動装置への影響が低減するように設計される。「撓み」とは、本発明では、プローブへのまたはプローブを介した結石への衝撃波または衝撃の導入または伝送も意味する。
【0010】
従来技術とは対照的に、本発明により第2の駆動装置から第1の駆動ユニットへの影響を低減することで、動作中に第1の駆動装置を損傷から保護できる。さもなければ、少なくとも長期的には、第1の駆動装置の領域においても認識可能または知覚可能である第2の駆動装置によるプローブに対する強い駆動効果による損傷が予想されることになる。
結果として、例えば、第2の駆動装置のみを動作させる場合に、第1の駆動装置を保護するために、第2の駆動装置を駆動ユニットから機械的に切り離すこと、および/またはプローブとの接触を解除することが不可欠ではなくなる。すなわち、例えば、周期的撓みのみが誘起される第1の動作モードと、パルス状撓みのみが誘起される第2の動作モードと、の間での切り替え時に、第1の駆動装置を第2の駆動装置および/またはプローブから切り離すことは必要ない。さらに、本発明による設計によって、周期的撓みとパルス状撓みを同時に実現することさえも可能となる。
【0011】
基本的に、第2の駆動装置からの影響を低減するための設計は、第1の駆動装置への影響を低減可能な、駆動ユニットにおける任意の手段と理解される。これは、例えば、第2の駆動装置からのパルス状振動および関連した力を、それらが第1の駆動装置に入る前に、減衰することを意味する。この低減は、例えば、この手段が採用されていない駆動ユニットおよび/または逆の措置が講じられた駆動ユニットとの比較によって特定できる。この場合、例えば、第2の駆動装置によって特に力伝送振動部において励起されるパルス状振動または圧縮波を、第1の駆動装置に結合または導入される前に、この手段を用いて、(振動部に導入されたときの振幅と比較して)50%超、好ましくは70%超、より好ましくは85%超、減衰することが想定できる。好ましくは、この手段は、パルス状振動を減衰させるように機能する。
【0012】
好ましい実施形態によれば、駆動ユニットは、周期的撓みとパルス状撓みを重ね合わせ可能であるように設計されることが規定される。従って、現状技術で知られている結石破砕装置とは異なり、周期的撓みとパルス状撓みを重ね合わせるために駆動ユニットを使用可能である。すなわち、プローブの周期的撓みとパルス状撓みを、少なくとも一時的に、同時に誘起できる。このとき、第1の駆動装置と第2の駆動装置は同時にプローブに作用し、すなわち、第1の駆動装置と第2の駆動装置は同時に作動状態にある。
【0013】
例えば、第1の駆動装置と第2の駆動装置を交互にプローブに接続する必要はない。周期的成分とパルス状成分の両方を有する撓みによって、両方の動作モードを相次いで適用するのをはるかに超える程度まで、破砕の効率を大幅に向上できることが判明している。一実施形態による装置は、選択的に、または必要に応じて、周期的撓みのみが誘起される第1の動作モードと、パルス状撓みのみが誘起される第2の動作モードと、周期的撓みとパルス状撓みが重ね合わされる第3の動作モードと、の間で切り替え可能に設計される。
【0014】
基本的に、周期的撓みは、プローブにおいて定在波を発生させる振動、特に超音波振動と理解され、一方、パルス状撓みは、例えば、衝撃撓みまたは打撃撓みと理解される。この場合、好ましくは、第2の駆動装置によって発生させる撓みは、第1の駆動装置によって発生させる撓みよりも何倍も大きい。例えば、プローブはニードル形状であって、かつ好ましくは中空であり、そのニードル形状によって、プローブの長尺延在範囲を規定している。すなわち、長尺延在範囲に沿った撓みは、プローブの前後の直進運動に相当する。さらに、プローブは、交換可能であるか、または取り外し可能に駆動ユニットに接続可能であると、特に好ましい。例えば、プローブは、ネジ部を介して駆動ユニットに螺着できる。
【0015】
好ましくは、第1の駆動装置と第2の駆動装置は、プローブを取り付けた状態においてその長尺延在範囲に平行である長尺軸に沿って互いに対してオフセットして配置され、駆動ユニットにおける第2の駆動装置は、第1の駆動装置よりもプローブに近接して配置される。従って、パルス状撓みを発生させる力が、プローブに向かう途中で第1の駆動装置を通過して誘導される必要がないという効果が得られる。しかしながら、第2の駆動装置よりも第1の駆動装置をプローブに近接して配置することも想定できる。周期的撓みとパルス状撓みの所望の重ね合わせを実現するために、第1の駆動装置および第2の駆動装置はそれぞれ、長尺軸に平行な力によってプローブに作用する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、ピエゾセラミック素子で構成される第1の駆動装置は、振動部を介してプローブに作用し、かつ/または第2の駆動装置は、衝撃体を介してプローブに作用することが規定される。また、第2の駆動装置はプローブに直接作用することも想定できる。好ましくは、第1の駆動装置と第2の駆動装置は、別々に、または単独で、すなわち共通の力流媒体を介することなく、プローブに作用する。
第1の駆動装置と第2の駆動装置によって生じる力がプローブに作用するときの、この切り離しによって、例えばパルス状振動を発生させる力が第1の駆動装置に及ぼす直接的な影響を低減できるので、効果的であることが分かる。例えば、第2の駆動装置からのパルス状振動は、ネジ部を介してのみ、第1の駆動装置に達し得る。好ましくは、第2の駆動装置からの力は、プローブを駆動ユニットに接続するネジ部を介してではなく、プローブに直接、例えばプローブのカラー要素に付与される。すなわち、第2の駆動装置からの力は、プローブに直接導入される。さらに、定在波を形成するための振動部は、駆動ユニットに弾性支持されると、好ましい。この場合、プローブは、好ましくは、非ポジティブロックおよび/またはポジティブロックで、振動部に接続される。例えば、プローブは、振動部に螺着され、これにより、第1の駆動装置によって励起されると、定在波はプローブと振動部の両方において形成される。
【0017】
本発明のさらなる実施形態では、第1の駆動装置は、周期的振動を発生させる力を、パルス状振動を減衰するために特にローパスフィルタとして周波数選択的に設計された伝送領域を介して、振動部に伝送することが規定される。これにより、特に第1の駆動装置と第2の駆動装置の同時動作中に第2の駆動装置によって発生させるパルス状振動であって、振動部を介して第1の駆動装置に達する経路を見いだすパルス状振動を、それらが第1の駆動装置に進入し得る前に減衰することが効果的に可能になる。これにより、パルス状振動が、特に圧力および力のピークにおいて、減衰されることなく第1の駆動装置に供給されることが回避される。その結果、さもなければパルス状振動が第1の駆動装置に持続的に導入された場合に予想されるであろう第1の駆動装置の損傷を、抑制できる。
【0018】
周波数選択設計とは、例えば伝送領域の形状および/または材質によって、特定の周波数または周波数帯域の振動を他の周波数または周波数帯域の振動よりも減衰する、伝送領域のそのような設計を意味するものと理解される。ローパスフィルタとしての設計は、第2の駆動ユニットの衝撃のパルス状振動から生じる高周波振動が減衰さらには抑制されるので、特に効果的であることが分かる。従って、周波数選択設計によって、特に第1の駆動装置と第2の駆動装置の同時起動に起因する負荷にもかかわらず、装置の機能性が持続的に確保される。
【0019】
第1の駆動装置の伝送体と振動部との間の伝送領域は、例えばワッシャの形態の断面テーパを有することが効果的に規定され、これにより、第2の駆動ユニットから第1の駆動ユニットへの特に力の効果である効果が低減される。断面テーパによって、周期的撓みまたは定在波の形成のための力または衝撃を妨げることなく振動部に伝送可能であることが効果的に確保できる一方、パルス状励起の大部分は、断面テーパで反射されることで、第1の駆動装置に導入される可能性がない。
【0020】
断面テーパによって、特に長尺軸方向に減少する断面積が、第1の駆動方向からの力を振動部に伝送するように機能することは、当業者であれば理解できる。この場合、断面テーパは階段状に形成可能であり、また、断面テーパを多段階に形成することも想定できる。さらに、組み付けられた状態で、伝送領域は、第1の駆動装置と振動部との間の例えば環状ウェブの形態のウェブ状に形成されることも想定できる。この場合、ウェブは、長尺軸に垂直な平面において不連続または連続的に形成できる。
【0021】
伝送領域は、例えば、組み付けられた状態で第1の駆動装置と振動部との間に挟持されたワッシャ、または第1の駆動装置に非ポジティブもしくは強固に装着されたワッシャである、ワッシャで実現されると、特に好ましい。例えば、ウェブは、長尺軸に垂直な方向から見て、同方向の第1の駆動装置の延在範囲の概ね半分のレベルに配置される。さらに、複数のウェブを、例えば互いに同心状に、伝送領域に配置することが想定できる。
【0022】
さらに、断面テーパは、0.02〜0.5の間の値、好ましくは0.02〜0.25の間の値、より好ましくは0.02〜0.1の間の値をとることが好ましい。この場合、断面テーパとは、特に、長尺軸方向の面積の減少を意味するものと理解される。すなわち、断面テーパを定量的に示す場合、断面テーパは、特に伝送領域に面するその端面において長尺軸に垂直に測定した第1の駆動装置の第2の断面に対する、伝送領域において長尺軸に垂直に測定した第1の断面の比として特定される。十分な減衰効果を得るためには、0.02〜0.1の間の断面テーパが特に効果的であることが判明している。この場合、伝送領域は、持続的な振動負荷によって伝送領域が変形または損傷することがないように十分に幅広に構成される。
【0023】
長尺軸方向から見て、第1の駆動装置は、両端面にそれぞれ、特に断面テーパをそれぞれ有して伝送領域を有することが想定できる。特に、周波数選択伝送用に設計された伝送領域は、第2の駆動装置に面する第1の駆動装置の側の特に端面に、またはプローブに面する端面に、形成されることが規定される。伝送領域は、第1の駆動装置の両端面のうち、プローブまたは第2の駆動装置に面する1つの端面のみに配置されると、特に効果的であることが判明している。
【0024】
第1の駆動装置と第2の駆動装置との間に付加質量が設けられると好ましく、その場合、振動部は、好ましくは基体を有し、振動部は、特に周波数選択伝送用に設計された伝送領域に隣接して、基体から長尺軸に垂直に突出した突起を有する。第1の駆動装置と第2の駆動装置との間に付加質量を導入することは、第1の駆動装置に対する第2の駆動装置の影響をさらに減衰または低減できる有効な手段であることが判明している。付加質量は、好ましくは、振動部の一体部分として設計される。この場合、突起の領域において長尺軸に垂直に測定した振動部の断面は、突起の外側の振動部の断面の1.2倍超、好ましくは1.5倍超、より好ましくは1.8倍超であることが想定できる。特に、突起は、一種のドライバを形成しており、これにより、振動部を周期的振動のために励起または動作させる。好ましくは、長尺軸方向に測定した突起の長さと、長尺軸方向に測定した振動部の長さまたは全長と、の間の比は、0.1〜0.5の間の値、好ましくは0.25〜0.4の間の値、より好ましくは0.28〜0.38の間の値をとる。突起のこの比較的大きな寸法によって、パルス状振動が第1の駆動装置に結合し得る前に通過しなければならない、より大きい質量が効果的に得られる。
【0025】
さらなる実施形態では、プローブの中空領域と振動部の中空領域とによって、結石片を吸引するための中空チャネルを、特に断面変化のない中空チャネルを形成することが規定される。好ましくは、プローブの中空領域は、その断面が変化することなく、振動部の中空領域に合流している。この目的のため、振動部とプローブは、特に螺合により接続されたときにプローブの中空領域が振動部の中空領域にアラインされるように設計される。この場合、動作中に、中空チャネルを介して、結石破砕片を効果的に吸引できる。
【0026】
第1の駆動装置は少なくとも1つのピエゾ素子を有し、かつ/または第2の駆動装置は特に電気コイルの形態の少なくとも1つの電磁石を有すると、効果的である。特に、互いに隣接配置または積層された複数のピエゾ素子は、共にピエゾスタックを形成し、これにより、効果的に、超音波振動を確実に提供できる。ただし、ピエゾ素子は、特にピエゾスタックに導入されるパルス状振動によって、破損しやすい。この点において、ピエゾ素子については、伝送領域の周波数選択設計が特に効果的であることが判明しており、これにより、好ましくはセラミック材料で構成されるピエゾ素子を破損または他の損傷から保護できる。第2の駆動装置を用いて、好ましくは10〜100gの間の重量のプロジェクタイルを加速でき、この場合、1〜30Hzの間の周波数で、衝撃体に対してプロジェクタイルを加速できる。特に適切な周波数は5〜15Hzの間である。1〜5m/sの間の衝撃速度が得られる。衝撃体としてアンビルを設けることが好ましく、これがプローブに当接して、衝撃パルスをプローブに伝送する。
【0027】
好ましくは金属伝送体である伝送体を、伝送領域とピエゾ素子との間に設けると、好ましい。伝送体は、特に長尺軸方向において第1の駆動装置の終端を形成する。伝送体によって、伝送領域のテーパ断面がピエゾ素子に直接隣接しないことが確保される。最後に、ピエゾ素子には、ピエゾ素子の不測の破損を防ぐために、大面積かつ平坦である接触面が必要である。この接触面に、伝送体を設けることができ、これにより、伝送領域のテーパ断面が、ピエゾ素子に危険を及ぼすことはない。
【0028】
本発明のさらなる態様は、プローブと、プローブをその長尺軸に沿って撓ませるための駆動ユニットと、を用いて、特に先行する請求項のいずれか一項に記載の装置を用いて、結石を破砕する方法であり、この場合、駆動ユニットは、第1の駆動装置と第2の駆動装置とを有し、第1の駆動装置と第2の駆動装置によって同時にプローブを撓ませる。本発明による装置について記載されたすべての特徴およびその利点は、本発明による方法にも同様に適用でき、その逆も可能である。
【0029】
効果的には、この装置は、駆動ユニットが配置されるハウジングを有するハンドインスツルメントを備える。効果的には、この装置は、さらに、例えば固定ユニットの形態の供給ユニットを備え、これは、例えば電気、空気、および/または他の媒体のための供給ラインを介して、ハンドインスツルメントに接続されている。また、固定ユニットは、効果的には、ハンドインスツルメントなどの動作モードを変更するようにも設計できる。
【0030】
言うまでもなく、動作モードなどは、ハンドインスツルメント自体で調整可能とすることもできる。効果的には、プローブは、その一端がガイドチューブまたはガイドチャネルの内部に収容され、このガイドチューブまたはガイドチャネルを介して、プローブのチップすなわちその遠位端は、破砕対象の結石に接触可能であるように前方に突き出る。効果的には、ガイドチューブは、これとプローブとの間に環状チャネルが形成されるように寸法設定され、この環状チャネルに、吸引ポンプを接続できる。この場合、環状チャネルは、砕石術の開始時に吸引ポンプが接続されると、ガイドチューブの端に結石を保持する吸引チャネルを形成し、これにより、プローブチップにおいて伝送される衝撃エネルギーは、正確に結石を標的とした効果を有し得る。さらに、環状チャネルは、環状チャネルの断面よりも小さいサイズの結石片のための吸引チャネルを構成し得る。あるいは、好ましくは、中空プローブをガイドチューブ内に配置することもでき、これにより、プローブ自体で吸引チャネルを提供する。不可欠なのは、駆動ユニットが、プローブの周期的撓み用と同時にパルス状撓み用に設計されることである。
【0031】
この場合、特に効果的なのは、パルス状撓みが周期的撓みよりも大きいことである。この場合、撓みとは、プローブまたはプローブチップが前後に動く距離または最大振幅を意味する。これにより、空圧駆動される振動部を有する装置の利点と、電気制御される超音波トランスデューサを有する装置の利点を、本発明による駆動ユニットによって、1つの装置に統合できる。
【0032】
効果的には、ピエゾスタックは概ね管状であり、すなわち、その長尺軸に沿って、中央に開口または通路を有する。上記のガイドチューブは、ピエゾスタックの開口内に配置されるか、または、開口によってガイドチャネルが画成され、その中に振動部が配置される。
【0033】
従って、効果的には、ピエゾスタックの長尺方向は、装置の長尺軸に沿って延在する。効果的には、長尺方向または軸方向を横切るピエゾスタックの断面もしくは外郭は、概ね丸形であり、特に概ね円形である。例えば、楕円形または角形の設計など、他の形状も想定できる。上記の幾何学的特徴は、ピエゾ素子のそれぞれにも同じように適用されるものと理解される。ピエゾ素子は基本的に、機械的な動きを実現するために、例えば2つの電極を介して電圧を印加することにより、ピエゾ効果を用いるコンポーネントである。ピエゾ素子の相対的な膨張または機械的な動きは、電界強度に比例し、所与の電圧では、電界強度が高いほど、2つの電極間の距離は小さい。
【0034】
多層ピエゾ素子すなわちピエゾスタックの場合、これは、電極を間に挟んだ積層配置によって実現されることが好ましい。ピエゾ素子の典型的な数は、2〜8枚の間であり、この場合、特に偶数枚のみを用いる。効果的には、ピエゾスタックの外側のプラス電極とマイナス電極は、相互接続または電気的に接続される。効果的には、丸形または概ね円形の形態のピエゾスタックまたはピエゾ素子は、約15〜30mmの、好ましくは約20mmの外径を有する。ピエゾスタックまたはピエゾ素子の内径は、好ましくは5〜10mmの、非常に好ましくは約8〜9mmの内径を有する。その板厚は、好ましくは約3〜7mm、非常に好ましくは約4〜6mmである。ピエゾスタックの特に好ましい形態は、4枚のピエゾ素子で構成され、約20mmの外径および約8.5mmの内径を有し、この場合、ピエゾ素子の厚さは、好ましくは約4mmである。
【0035】
効果的には、この装置は、ピエゾスタックが長尺軸に沿って約10〜50mmの長さを有するように設計される。好ましくは、その長さは、約15〜30mm、より好ましくは約15〜18mmである。(上記の内径および外径と組み合わせて)この長さのピエゾスタックを用いて、プローブの最適な周期的撓みを得られることが、実験によって示されている。効果的には、ピエゾスタックは、同時にハウジングまたはハウジング要素として機能し得る絶縁層で囲まれている。言うまでもなく、ピエゾ素子は、すべてが同じ厚さである必要はなく、ピエゾ素子の厚さは、好ましくは様々に異なる設計にすることもできる。同様に、様々に異なる材料のピエゾ素子を用いることもできる。これは、外径および/または内径にも同様に当てはまり、これらは、同じく軸方向に沿って一定である必要はない。
【0036】
好ましくは、この装置は、周期的撓みの際にプローブの遠位端が結石破砕用に設計された長尺軸方向に概ね正弦波状の動きをするように、かつ、周期的撓みの周波数が約15〜50kHz、より好ましくは25kHzであるように、かつ、長尺延在範囲におけるプローブの遠位端の(ピーク間)撓みが約5〜100μmの範囲であるように、設計される。
【0037】
さらに、この装置は、好ましくは、パルス状撓みの際に遠位端において結石破砕用に設計された圧力パルスが導入されるように、かつ、パルス状撓みの周波数が約1〜100Hz、好ましくは1〜30Hzの間であるように、かつ、レスト位置からのプローブの遠位端の軸方向の撓みが約50〜200μmの範囲、好ましくは75μm〜150μmの間であるように、設計される。
併用動作時、すなわち両方の駆動を同時に作動させるときには、好ましくは、レスト位置から75〜250μmの振幅を、理想的には100〜150μmの間の振幅を実現する。従って、周期的励起は、パルス状撓みよりも桁違いに高い周波数で行うことが効果的である。効果的には、周期的撓みまたはその周波数は、周知の超音波トランスデューサの範囲内にある。パルス状撓みの場合のプローブの撓みまたは最大振幅は、周期的撓みの場合よりも顕著に高い。パルス状撓みの利点は、空圧駆動される振動部の範囲内にあることである。ピエゾスタックに装着された電極を介して電圧を印加可能であり、これにより電界を発生させる。
【0038】
ピエゾスタックまたはピエゾ素子の膨張は、数ある中でも特に電界強度に依存する。印加電圧の大きさまたは電界の大きさによって、撓み、すなわち最大振幅が決まり得る。基本的に、現状技術の回路構成を、ピエゾスタックまたはピエゾ素子の制御のために使用できる。これらは、ハンドインスツルメントに組み込むことができる。しかしながら、それらは、上述の固定ユニットの一部であることが特に好ましい。
【0039】
第1の駆動装置および第2の駆動装置は高熱が発生するので、特に液体冷却で、ハンドインスツルメントおよび/または作動ユニットを冷却すると、好ましい。この目的のため、好ましい実施形態では、ハンドインスツルメントは、例えば水のような適切な冷却液を誘導できるキャビティおよび液体接続を有する。この場合、冷却液をハンドインスツルメント内の適切な場所で冷却可能であり、または冷却液を供給ユニットに供給して、そこで冷却可能である。通常、冷却回路は、閉回路である。
【0040】
さらなる効果および特徴は、添付の図面を参照して、本発明による装置および本発明によるプローブの好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で、相互に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による、結石を破砕するための装置の好ましい実施形態の概略図である。
図2図1の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、結石を破砕および/または除去するための装置100を概略的に示している。例えば、結石は、装置100を用いて破砕できる腎臓結石または尿路結石である。このような装置100の必須の構成要素は、ニードル形状かつ好ましくは中空のプローブ20と、プローブ20をその長尺延在範囲LEに沿って撓ませるための駆動ユニット40である。この場合、特に、駆動ユニット40からの励起がプローブ20に伝送されることが規定され、これにより、動作時に結石に面するとともに駆動ユニット40から離間したプローブ20の第1の近位端によって、結石または結石の一部を破砕する。
【0043】
様々に異なるプローブタイプの間で変更するために、プローブ20は、好ましくはインタフェース15、例えばネジ部を介して、取り外し可能に駆動ユニット40に接続できる。図1に示す実施形態では、駆動ユニット40は、特に結石片を吸引できる吸引領域18と、ハンドル領域19と、を特に有するハンドヘルド装置またはハンドインスツルメント12に組み込まれることが規定される。さらに、駆動ユニット40は、プローブ20の周期的撓みのための第1の駆動装置41と、プローブ20のパルス状撓みのための第2の駆動装置42と、を有すると、好ましい。第1の駆動装置41は、長尺軸LAに沿って振動する振動部5を介してプローブ20に作用するとともに、この場合、特に振動部5およびプローブ20において特に定在波を形成すると、特に好ましい。
第1の駆動装置41からの特に超音波振動である振動を伝送するために、振動部5とプローブ20は、動作状態において、長尺軸LAの方向から見て互いにアラインされて配置されるとともに、長尺軸LAに平行な方向から見て、それらの端面を介して互いに当接して配置される。特に、振動部5の中空領域21と、プローブ2の別の中空領域22とは、例えば粉砕または破砕された結石片の吸引または除去を中空領域21および別の中空領域22を介して可能とするために、互いにアラインされて構成される。さらに、駆動ユニット40は、その冷却のために冷却装置(図示せず)を有することが想定できる。
【0044】
好ましくは、第1の駆動装置41は、ピエゾスタック、すなわち互いに隣接したピエゾ素子43の配列を有する。特に、積層されたピエゾ素子43は、長尺軸LAに垂直な平面において振動部5の周囲を取り囲む環状板として構成される。例えば、積層されたピエゾ素子43は、長尺軸LAに沿って振動部5のガイドチャネルの一部を形成する。この場合、振動部5は、積層されたピエゾ素子を、好ましくは中央で貫通する。特に、定在波を形成するための振動部5は、駆動ユニット40に弾性支持されると、好ましい。さらに、振動部5は、特に概ね棒状の基体である基体から長尺軸LAに対して垂直に突出した突起11またはドライバを有する。この突起11は、長尺軸LAの方向に突起11の境界を規定する端側または前側によって伝送領域10に当接しており、この伝送領域は、長尺軸LAの方向に第1の駆動装置41の前側と反対側に配置されている(図2を参照)。伝送領域10を介して、第1の駆動装置41からの力は振動部5に導入または伝送されて、これにより、振動部5において、ひいては隣接するプローブ20においても、定在波を発生させる。
【0045】
第1の駆動装置41の他に、さらに、プローブ20のパルス状撓みのための第2の駆動装置42が設けられる。第2の駆動装置42は、長尺軸LAの方向から見て、第1の駆動装置41からオフセットして配置されており、第2の駆動装置42は、好ましくは第1の駆動装置41よりもプローブ20に近接して配置される。例えば、第2の駆動装置42は、プローブ20に面した振動部セクション18の端に配置され、第1の駆動装置41は、プローブ20から離間した振動部セクション42の端に配置される。特に、振動部5の突起11は、長尺軸LAの方向から見て、第1の駆動装置41と第2の駆動装置42との間に配置される。
【0046】
好ましくは、第2の駆動装置42は、長尺軸LAに沿ってプロジェクタイル6を加速させる電磁石を有する。プロジェクタイル6は、好ましくは、環状板の形状に設計されるとともに、ピエゾ素子43と同様に、長尺軸LAに垂直な平面において振動部5を被覆または包囲する。動作時に、プロジェクタイル6は、例えばアンビルである衝撃体9に対して加速され、この場合、衝撃体9は、例えばプローブ20のカラー要素に衝撃パルスを伝送する。好ましくは、プローブ20のパルス状撓みは、第1の駆動装置41の振動部5を力流媒体または力伝送器として用いることなく、第2の駆動装置42によって誘起される。すなわち、周期的撓みとパルス状撓みを重ね合わせるために、第1の駆動装置41と第2の駆動装置42はそれぞれ、共通の力流媒体を共有することなく、プローブ20に作用する。
【0047】
プローブ20の周期的撓みとパルス状撓みを同時に実現する、すなわちプローブ20のパルス状撓みと周期的撓みを重ね合わせると、すなわちプローブ20のパルス状撓みと周期的撓みが並行して実現されると、効果的な結石破砕のために特に効果的であることが判明している。
プローブ20に対する第2の駆動装置42の力効果は、第1の駆動装置41のそれと比較して何倍も高いので、第2の駆動装置41が発生させるパルス状振動は、第1の駆動装置41に影響を及ぼす可能性がある。これは、第1の駆動装置41と第2の駆動装置42が共通の力流媒体を介してプローブ20の撓みを発生させるのではない場合にも当てはまる。この場合、パルス状振動は、例えばネジ部を介して、第1の駆動装置41に到達する。
【0048】
第1の駆動装置41の損傷を抑制する目的で、第2の駆動装置42から切り離すために、伝送領域1を振動の周波数選択伝送用に、特にローパスフィルタとして設計することが規定される。図示の実施形態では、伝送領域10は、この場合、断面ステップまたは断面テーパとして設計されている。
図2は、第1の駆動装置41と振動部5との間の伝送領域10を、特に振動部5の突起11を、詳細に示している。断面テーパとは、特に、力が伝送される断面が、第1の駆動装置から振動部5に力が伝送される方向に、すなわち長尺軸に沿った方向に、変化していること、好ましくは小さくなっていること、を意味する。特に、断面テーパは、特に伝送領域10に面するその端面において長尺軸LAに垂直に測定した第1の駆動装置41の第2の断面Q2に対する、伝送領域10において長尺軸に垂直に測定した第1の断面Q1の比によって、定量化できる。このような断面テーパの結果として、第2の駆動装置42によって発生させるパルス状振動の、さもなければ第1の駆動装置41に想定外に供給される可能な限り大きな割合が、反射される。これにより、効果的に、第1の駆動装置41の損傷を抑制する。
【0049】
例えば、第2の駆動装置42から切り離すために、第1の駆動装置41における伝送領域10は、(長尺軸方向から見て)前側に、ウェブとして形成できる。この場合、回転方向から見て、ウェブは閉じているか、または不連続であることが想定できる。また、第2の駆動装置42から切り離すために、第1の駆動装置41の共振周波数に同調させた例えばワッシャ13の形態の減衰要素を、伝送領域10に配置することも想定できる。例えば、第1の駆動装置41と振動部5との間にワッシャ13を配置または挟持し、これを介して、第1の駆動装置41からの動きを振動部5に伝送する。第1の駆動装置の共振周波数に合わせて減衰要素を設計する目的で、例えば、ワッシャ13を形成するために、様々に異なるインピーダンスの弾性材料の組み合わせを提供することが規定される。さらに、プローブまたは第2の駆動装置42に面する伝送領域10を、特にこれのみを限定的に、振動の周波数選択伝送用に設計すると、好ましい。
【0050】
第1の駆動装置のピエゾ素子43の損傷をさらに回避するために、ピエゾ素子43と伝送領域10との間に伝送体8を設ける。伝送体8は、ピエゾ素子43に対して平坦かつ大面積で当接するように設計される。すなわち、伝送領域10は、さもなければ伝送領域10に設けられた断面テーパによってピエゾ素子43が破壊されるので、ピエゾ素子43に直接隣接していない。
【0051】
さらに、第1の駆動装置41からの動きまたは力は、周波数選択伝送用に設計された伝送領域10に隣接して長尺軸LAに垂直に突出する突起11を有する振動部5によって、振動部5の領域に伝送されると、好ましい。好ましくは、長尺軸ALの方向に測定した突起11の長さL2と、長尺軸LAの方向に測定した振動部5の長さL1と、の間の比は、0.1〜0.5の間の値、好ましくは0.25〜0.4の間の値、より好ましくは0.28〜0.38の間の値をとる。
【符号の説明】
【0052】
5 振動部
6 プロジェクタイル
8 伝送体
9 衝撃体
10 伝送領域
11 突起
12 ハンドインスツルメント
13 ワッシャ
15 インタフェース領域
18 吸引領域
19 ハンドル領域
20 プローブ
21 振動部の中空領域
22 プローブの中空領域
40 駆動ユニット
41 第1の駆動装置
42 第2の駆動装置
43 ピエゾ素子
44 電磁石
100 装置
L1 振動部の長さ
L2 突起の長さ
LA 長尺軸
LE 長尺延在範囲
Q1 第1の断面
Q2 第2の断面
図1
図2
【国際調査報告】