特表2021-510784(P2021-510784A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-510784(P2021-510784A)
(43)【公表日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】組立式木材鋼材複合節点
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20210402BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   E04B1/26 G
   E04B1/58 505L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-539048(P2020-539048)
(86)(22)【出願日】2019年9月30日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月15日
(86)【国際出願番号】CN2019109296
(87)【国際公開番号】WO2020173093
(87)【国際公開日】20200903
(31)【優先権主張番号】201910144340.4
(32)【優先日】2019年2月27日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牟犇
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼斐
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼崎云
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼秉成
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB01
2E125AB16
2E125AC23
2E125AG24
2E125BB26
2E125BB28
2E125CA91
(57)【要約】
【課題】本発明は組立式木材鋼材複合節点を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は組立式木材鋼材複合節点に関し、角形管柱、木材鋼材複合梁及び角形管柱と木材鋼材複合梁を接合する梁柱接合コンポーネントを含む。角形管柱は、接続角柱及び接続側板を含み、木材鋼材複合梁は、上フランジ、下フランジ及び上フランジと下フランジを接続する木製ウェブを含み、梁柱接合コンポーネントは、中柱接合コンポーネント及び角柱接合コンポーネントを含み、特殊な構造設計により、溶接やボルト接合を回避する前提において、梁と柱の有効な接合を実現し、且つ一定の靭性及び良好な耐震性能を有し、その部材は工場で予め生産可能であり、部材の精度が高く、現場で接合し、施工が簡便であり、工程が減り、且つ施工期間の短縮に有効である。また、採用した木材鋼材複合構造は、強度が異なる材料の利用率を高めることができ、見事な接合や嵌合により木材・鋼材構造の組み合わせを協調させて、効率が良く合理的な新形態の構造を形成し、建築プレゼンテーションの豊富さや多様性を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角形管柱(1)、木材鋼材複合梁(2)及び前記角形管柱(1)と前記木材鋼材複合梁(2)を接合する梁柱接合コンポーネント(3)を含み、
前記角形管柱(1)は、接続角柱(4)及び接続側板(7)を含み、前記接続角柱(4)は鋼柱であり、前記接続側板(7)は木板であり、前記角形管柱(1)は、前記接続角柱(4)と前記接続側板(7)が接ぎ合わされることにより、中空の管柱構造が形成されており、
前記木材鋼材複合梁(2)は、上フランジ(8)、下フランジ(11)及び前記上フランジ(8)と前記下フランジ(11)を接続する木製ウェブ(23)を含み、前記上フランジ(8)と前記下フランジ(11)は平行に設置され、前記上フランジ(8)と前記下フランジ(11)はどちらも内側にフランジ接続溝部が設けられた構造用鋼であり、前記木製ウェブ(23)の上下両側には前記フランジ接続溝部と対応するフランジ接続頭部が設けられており、前記木製ウェブ(23)は前記上フランジ(8)と前記下フランジ(11)の間に位置し、且つ上・下フランジに対して垂直に設置され、前記木製ウェブ(23)の一端は上・下フランジの側面と平らになっており、他端は上・下フランジから引っ込んでおり、且つ階段状の突き合わせ接続用挿入頭部(24)が設けられており、
前記梁柱接合コンポーネント(3)は、中柱接合コンポーネント及び角柱接合コンポーネントを含み、前記角形管柱(1)と前記木材鋼材複合梁(2)の接合を行うために用いられ、前記梁柱接合コンポーネント(3)は、前記角形管柱(1)の内径と対応する角形中実木柱(16)を含み、前記角形中実木柱(16)の側面には角形木梁が設けられており、前記角形木梁の端部には前記突き合わせ接続用挿入頭部(24)と嵌合する突き合わせ接続用挿入溝部(15)が設けられており、前記角形中実木柱(16)と前記角形木梁によって前記角形管柱(1)と前記木材鋼材複合梁(2)の接合を実現することを特徴とする、組立式木材鋼材複合節点。
【請求項2】
前記接続角柱(4)の断面は円弧形構造であり、且つ前記接続角柱(4)の両側の側稜に沿って蟻型接続孔部(5)がさらに設けられており、対応する前記接続側板(7)の側稜には前記蟻型接続孔部(5)と嵌合する蟻型接続頭部(6)が設けられており、前記接続角柱(4)と前記接続側板(7)は前記蟻型接続頭部(6)と前記蟻型接続孔部(5)によって一体に差込み接合されることを特徴とする、請求項1に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項3】
前記接続側板(7)は上側木板(71)と下側木板(72)を含み、前記上側木板(71)の下端には一字型接続頭部(10)が設けられ、前記下側木板(72)の上端には前記一字型接続頭部(10)と対応する凹型溝(9)が設けられており、前記上側木板(71)と前記下側木板(72)は差込組立形式によって前記接続角柱(4)と同じ高さに形成されることを特徴とする、請求項2に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項4】
前記中柱接合コンポーネントは、前記角形中実木柱(16)及び互いに斜対称に設置された2組の第1角形木梁を含み、前記角形中実木柱(16)の1対の対辺には正T型スライド溝(12)が設けられており、前記正T型スライド溝(12)内に前記角形中実木柱(16)を貫通する第1貫通孔(121)を有しており、これに対して前記角形中実木柱(16)の別の対辺には逆T型スライド溝(14)が設けられており、前記逆T型スライド溝(14)内に前記角形中実木柱(16)を貫通する第2貫通孔(141)を有しており、且つ前記第1貫通孔(121)は前記正T型スライド溝(12)の上部にあり、前記第2貫通孔(141)は前記逆T型スライド溝(14)の下部にあり、これにより見事な嵌合を実現させることを特徴とする、請求項1に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項5】
前記第1角形木梁は、第1角形木梁セット及び第2角形木梁セットを含み、前記第1角形木梁セットは、第1接続頭木梁(51)及び第1異形凹溝木梁(52)を含み、前記第1接続頭木梁(51)には第1長手形状接続頭部(511)が設けられており、且つ前記第1長手形状接続頭部(511)は前記第1接続頭木梁(51)本体の上縁に沿って設けられ、前記第1異形凹溝木梁(52)の上表面には前記第1長手形状接続頭部(511)の形状と対応する前記第1異形凹溝(521)が設けられており、且つ前記第1長手形状接続頭部(511)が前記第1貫通孔(121)に挿入されて前記第1異形凹溝(521)と嵌合すると、前記第1異形凹溝の両側に沿って2つの接合溝(19)が形成され、前記接合溝(19)は固定用木片(25)によって固定され、
前記第2角形木梁セットは、第2接続頭木梁(53)及び第2異形凹溝木梁(54)を含み、前記第2接続頭木梁(53)には第2長手形状接続頭部(531)が設けられており、且つ前記第2長手形状接続頭部(531)は前記第2接続頭木梁(53)本体の下縁に沿って設けられ、前記第2異形凹溝木梁(54)の下表面には前記第2長手形状接続頭部(531)の形状と対応する第2異形凹溝が設けられており、且つ前記第2長手形状接続頭部(531)が前記第2貫通孔(141)に挿入されて前記第2異形凹溝と嵌合すると、同様に前記第2異形凹溝の両側に沿って2つの接合溝(19)が形成され、即ち、前記第1角形木梁セット及び前記第2角形木梁セットの設計が嵌合して、見事に一体に接合されることを特徴とする、請求項4に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項6】
前記角柱接合コンポーネントは、角形中実木柱、互いに垂直な2つの第2角形木梁(13、17)及び2つの木栓(26)を含み、前記角形中実木柱の隣接する両側それぞれにI型スライド溝(27)が設けられ、そのうち片側のI型スライド溝(27)は上部が中実木柱全体を貫通しており、別の側の前記I型スライド溝は下部が中実木柱全体を貫通しており、前記第2角形木梁(13、17)には前記I型スライド溝と嵌合するI型スライド部材(29)が設けられており、且つ前記第2角形木梁(13)の前記I型スライド部材はその上縁に沿って設けられ、前記第2角形木梁(17)の前記I型スライド部材はその下縁に沿って設けられ、前記I型スライド部材(29)の端部にはさらに前記木栓(26)と対応する木栓孔(28)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項7】
前記第1接続頭木梁(51)及び前記第1異形凹溝木梁、前記第2接続頭木梁(53)及び前記第2異形凹溝木梁(54)並びに前記第2角形木梁(13、17)の尾部には、前記木製ウェブの突き合わせ接続用挿入頭部(24)と対応する突き合わせ接続用挿入溝部(15)がさらに設けられていることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項8】
前記第1接続頭木梁(51)及び前記第1異形凹溝木梁、前記第2接続頭木梁(53)及び前記第2異形凹溝木梁(54)並びに前記第2角形木梁(13、17)の両側面には固定用挿入溝(18)がさらに設けられており、前記固定用挿入溝(18)内に固定用木片が設置されることを特徴とする、請求項7に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【請求項9】
前記木材鋼材複合節点は、エ字型スライドブロック(20)及び充填用木製ブロック(21)をさらに含み、前記第1接続頭木梁(51)及び前記第1異形凹溝木梁、前記第2接続頭木梁(53)及び前記第2異形凹溝木梁(54)並びに前記角形木梁(13、17)の下側には、T型接合溝(22)がさらに設けられており、対応する前記下フランジ(11)には前記T型接合溝(22)と対応するT型貫通孔が設けられており、前記T型接合溝(22)の内部はスライド空間を有し、前記エ字型スライドブロック(20)の下部は前記スライド空間と嵌合する接合頭部を有しており、前記エ字型スライドブロック(20)を前記T型接合溝に挿入してスライドさせてから、前記充填用木製ブロック(21)を挿入して固定させることを特徴とする、請求項8に記載の組立式木材鋼材複合節点。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造の接合技術分野に属し、具体的には組立式木材鋼材複合節点に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業化建築時代の到来により、組立式構造が未来の建築の発展を担う重要な工法となりつつある。従来の溶接やボルト接合と比べると、組立式構造の設置は、簡単な組立訓練を行うだけで施工品質を最大限に保証することができる。鋼構造建築は、軽さに優れ、塑性・靭性に優れ、自重が軽く、耐震性能に優れるなどの利点を有する。その一方で、鋼構造は熱や火に弱く、腐食しやすく、耐食性に劣り、なおかつ構造用鋼溶接部に多くの品質問題が存在している。木造建築は、高い耐久性、比較的高い耐震性能や、材料を集めやすいこと、施工速度が速いことなどの特長を有する一方、防火・防湿面に欠点がある。
【0003】
木材鋼材複合構造は、鋼構造と木構造を組み合わせる方法を用いて建築された構造系であり、こうした構造系は従来の木構造系よりも丈夫で耐久性があり、また現代の純粋な鋼構造よりもさらに豊富で多彩であり、建築設計の実践においてより広範に応用されている。木材鋼材構造の節点における組立、中継ぎ及び連結方法の選択は、構造的整合性や信頼性に直接影響を与えるが、例えば特許文献1が開示している組立式木材鋼材複合梁柱節点構造及びその施工方法や、特許文献2が開示している組立式木材鋼材構造接合節点などは、木材と鋼材の組み合わせによって耐荷力や設計の実現可能性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第108978869A号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第108547379A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が提出する組立式木材鋼材複合節点は、異なる材料の利用率、並びに節点取り付けの製品化、標準化及びプレハブ化を実現するとともに、現場での溶接施工によって生じる品質問題を効果的に回避し、施工効率を高める。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術案を用いて実現したものである。組立式木材鋼材複合節点であって、角形管柱、木材鋼材複合梁及び角形管柱と木材鋼材複合梁を接合する梁柱接合コンポーネントを含む。
【0007】
角形管柱は、接続角柱及び接続側板を含み、接続角柱は鋼柱であり、耐食性が高く、接続側板は木板であり、鋼構造と比べると、単位質量における耐荷力がより高く、構造全体の重量をある程度軽減し、全体の寿命を向上させることができ、角形管柱は、接続角柱と接続側板が接ぎ合わされることにより、中空の管柱構造が形成されている。
【0008】
木材鋼材複合梁は、上フランジ、下フランジ及び上フランジと下フランジを接続する木製ウェブを含み、上フランジと下フランジは平行に設置され、上フランジと下フランジはどちらも内側にフランジ接続溝部が設けられた構造用鋼であり、木製ウェブの上下両側にはフランジ接続溝部と対応するフランジ接続頭部が設けられており、木製ウェブは上フランジと下フランジの間に位置し、且つ上・下フランジに対して垂直に設置され、木製ウェブは2枚を含み、且つ配管敷設の便のため、またフランジの局部座屈の発生を防止するため、一定の間隔をあけて設置され、木製ウェブの一端は上・下フランジの側面と平らになっており、他端は上・下フランジから引っ込んでおり、且つ階段状の突き合わせ接続用挿入頭部が設けられている。
【0009】
梁柱接合コンポーネントは、中柱接合コンポーネント及び角柱接合コンポーネントを含み、角形管柱と木材鋼材複合梁の接合を行うために用いられるが、梁柱接合コンポーネントは、角形管柱の内径と対応する角形中実木柱を含み、角形中実木柱の側面には角形木梁が設けられており、角形木梁の端部には突き合わせ接続用挿入頭部と嵌合する突き合わせ接続用挿入溝部が設けられており、角形中実木柱と角形木梁によって角形管柱と木材鋼材複合梁の接合を実現する。
【0010】
さらに、接続角柱の断面は円弧形構造であり、且つ接続角柱の両側の側稜に沿って蟻型接続孔部がさらに設けられており、対応する接続側板の側稜には蟻型接続孔部と嵌合する蟻型接続頭部が設けられており、接続角柱と接続側板は蟻型接続頭部と蟻型接続孔部によって一体に差込み接合される。
【0011】
さらに、各木材の長さが一定ではないことを考慮して、材料をより活用するために、接続側板は高さの異なる木板を接ぎ合わせることにより構成されており、接続側板は上側木板と下側木板を含み、上側木板の下端には一字型接続頭部が設けられ、下側木板の上端には一字型接続頭部と対応する凹型溝が設けられており、上側木板と下側木板は差込組立形式によって接続角柱と同じ高さに形成される。
【0012】
さらに、中柱接合コンポーネントは、角形中実木柱及び互いに斜対称に設置された2組の第1角形木梁を含み、角形中実木柱の1対の対辺には正T型スライド溝が設けられており、正T型スライド溝内に角形中実木柱を貫通する第1貫通孔を有している。これに対して角形中実木柱の別の対辺には逆T型スライド溝が設けられており、逆T型スライド溝内に角形中実木柱を貫通する第2貫通孔を有しており、且つ第1貫通孔は正T型スライド溝の上部にあり、第2貫通孔は逆T型スライド溝の下部にあり、これにより見事な嵌合が実現する。
【0013】
さらに、第1角形木梁は、第1角形木梁セット及び第2角形木梁セットを含み、第1角形木梁セットは、第1接続頭木梁及び第1異形凹溝木梁を含み、第1接続頭木梁には第1長手形状接続頭部が設けられており、且つ第1長手形状接続頭部は第1接続頭木梁本体の上縁に沿って設けられる。第1異形凹溝木梁の上表面には第1長手形状接続頭部の形状と対応する第1異形凹溝が設けられており、且つ第1長手形状接続頭部が第1貫通孔に挿入されて第1異形凹溝と嵌合すると、第1異形凹溝の両側に沿って2つの接合溝が形成され、接合溝は固定用木片によって固定される。
【0014】
第2角形木梁セットは、第2接続頭木梁及び第2異形凹溝木梁を含み、第2接続頭木梁には第2長手形状接続頭部が設けられており、且つ第2長手形状接続頭部は第2接続頭木梁本体の下縁に沿って設けられ、第2異形凹溝木梁の下表面には第2長手形状接続頭部の形状と対応する第2異形凹溝が設けられており、且つ第2長手形状接続頭部が第2貫通孔に挿入されて第2異形凹溝と嵌合すると、同様に第2異形凹溝の両側に沿って2つの接合溝が形成される。即ち、第1角形木梁セット及び第2角形木梁セットの設計が嵌合して、見事に一体に接合される。
【0015】
さらに、角柱接合コンポーネントは、角形中実木柱、互いに垂直な2つの第2角形木梁及び2つの木栓を含み、角形中実木柱の隣接する両側それぞれにI型スライド溝が設けられ、そのうち片側のI型スライド溝は上部が中実木柱全体を貫通しており、別の側のI型スライド溝は下部が中実木柱全体を貫通しており、第2角形木梁にはI型スライド溝と嵌合するI型スライド部材が設けられており、且つ第2角形木梁のI型スライド部材はその上縁に沿って設けられ、また第2角形木梁のI型スライド部材はその下縁に沿って設けられ、I型スライド部材の端部にはさらに木栓と対応する木栓孔が設けられている。
【0016】
さらに、第1接続頭木梁及び第1異形凹溝木梁、第2接続頭木梁及び第2異形凹溝木梁並びに第2角形木梁の尾部には、木製ウェブの突き合わせ接続用挿入頭部と対応する突き合わせ接続用挿入溝部がさらに設けられており、長手形状接続頭部を備えた木梁を中実木柱に通して対応する異形凹溝を備えた木梁と接合し、且つ接合箇所の接合溝内に固定用木片を挿入して一体に接合し、I型スライド部材を備えた角形木梁をI型スライド溝に沿って中実木柱に接合し、木栓を用いて一体に固定する。
【0017】
さらに、接合強度をより高めるため、第1接続頭木梁及び第1異形凹溝木梁、第2接続頭木梁及び第2異形凹溝木梁並びに第2角形木梁の両側面には、固定用挿入溝がさらに設けられており、固定用挿入溝内に固定用木片が設置される。固定用木片を固定用挿入溝に挿入して組み合わせることにより、上・下フランジを木梁の上下側に固定させて嵌合させることが実現する。
【0018】
さらに、木材鋼材複合節点は、エ字型スライドブロック及び充填用木製ブロックをさらに含み、第1接続頭木梁及び第1異形凹溝木梁、第2接続頭木梁及び第2異形凹溝木梁並びに角形木梁の下側には、T型接合溝がさらに設けられており、対応する下フランジにはT型接合溝と対応するT型貫通孔が設けられており、T型接合溝の内部はスライド空間を有し、エ字型スライドブロックの下部はスライド空間と嵌合する接合頭部を有しており、エ字型スライドブロックをT型接合溝に挿入してスライドさせてから、充填用木製ブロックを挿入して固定させ、梁フランジと梁柱接合コンポーネントを接合させることにより、穿孔などの方法によって生じる応力集中現象を効果的に低減させる。
【発明の効果】
【0019】
従来技術と比較すると、本発明は以下の優位点及び好ましい効果を有する。
【0020】
本案に記載の複合節点は、部材を工場で予め生産することができ、部材の精度が高く、現場で接合し、施工が簡便であり、工程が減り、且つ施工期間の短縮に有効である。また、採用した木材鋼材複合構造は、強度が異なる材料の利用率を高めることができ、見事な接合や嵌合によって木材・鋼材構造の組み合わせを協調させて、効率が良く合理的な新形態の構造を形成し、局部大鋼構造の補助を通して木構造自体のイノベーションを開拓する自由度を効果的に開放し、建築プレゼンテーションの豊富さや多様性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例1の中柱複合節点の全体構造概略図である。
図2】本発明の実施例1に記載の角形管柱の第1平面構造概略図である。
図3】本発明の実施例に記載の角形管柱の第2平面構造概略図である。
図4】本発明の実施例1に記載の接続側板の下側木板構造概略図である。
図5】本発明の実施例1に記載の接続側板の上側木板構造概略図である。
図6図4図5の組み合わせ後の構造概略図である。
図7】実施例1の中柱・梁柱接合コンポーネントの構造概略図である。
図8】実施例1における木材鋼材複合梁と中柱・梁柱接合コンポーネントの接合構造概略図である。
図9】実施例1中、下フランジがエ字型スライドブロックによって固定される構造概略図である。
図10】本発明の実施例1の中柱複合節点の取付構造分解概略図である。
図11】本発明の実施例2の角柱複合節点の全体構造概略図である。
図12】本発明の実施例2の角柱・梁柱接合コンポーネントの構造概略図である。
図13】実施例2における木材鋼材複合梁と角柱・梁柱接合コンポーネントの接合構造概略図である。
図14】本発明の実施例2の角柱複合節点の取付構造分解概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面と実施例に基づき、本発明の上記目的、特徴及び優位点についてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0023】
組立式木材鋼材複合節点であって、図1及び図10に示す通り、角形管柱1、木材鋼材複合梁2及び角形管柱1と木材鋼材複合梁2を接合する梁柱接合コンポーネント3を含む。
【0024】
角形管柱1は接続角柱4及び接続側板7を含み、図2及び図3に示す通り、角形管柱1は4つの接続角柱4及び4つの接続側板7が接ぎ合わされることにより、中空の管柱構造が形成されており、そのうち、接続角柱4は鋼柱であり、耐食性が高く、接続側板7は木板である。木材鋼材複合柱は、純粋な鋼構造と比べて単位質量における耐荷力がより高く、構造全体の重量をある程度軽減し、全体の寿命を向上させることができる。接続角柱4の断面は90°の円弧形構造であり、且つ接続角柱4の両側の側稜に沿って蟻型接続孔部5がさらに設けられており、対応する接続側板7の側稜には蟻型接続孔部5と対応する蟻型接続頭部6が設けられており、接続角柱4と接続側板7は接続頭部6と接続孔部5によって一体に差込み接合される。さらに、各木材の長さが一定ではないことを考慮して、材料をより活用するために、接続側板7は高さの異なる木板を接ぎ合わせることにより構成されており、図4図5に示す通り、接続側板7は上側木板71と下側木板72を含み、上側木板71の下端には一字型接続頭部10が設けられ、下側木板72の上端には一字型接続頭部10と対応する凹型溝9が設けられており、上側木板71と下側木板72は差込組立形式によって接続角柱4と同じ高さに形成される。接ぎ合わせ後の構造概略図は図6に示す通りである。
【0025】
図8に示す通り、木材鋼材複合梁2は、上フランジ8、下フランジ11及び上フランジ8と下フランジ11を接続する木製ウェブ23を含み、上フランジ8と下フランジ11は平行に設置され、上フランジ8と下フランジ11はどちらも内側にフランジ接続スライド溝部が設けられた構造用鋼であり、木製ウェブ23の上下両側にはフランジ接続スライド溝部と対応するフランジ接続頭部が設けられており、木製ウェブ23は上・下フランジの間に位置し、且つ上・下フランジに対して垂直に設置され、木製ウェブ23は2枚を含み、且つ一定の間隔をあけて設置される。図8に示す通り、木製ウェブ23の外側の一端は上・下フランジの側面と平らになっており、他端は上・下フランジから内側に引っ込んでおり、且つ階段状の突き合わせ接続用挿入頭部24が設けられている。2つの木製ウェブの間を一定間隔に設置する設計は配管敷設に都合がよく、従来のエ形梁と比べると、フランジが局部的に座屈することがなく、材料の利用率を効果的に高めることができる。
【0026】
本実施例中、梁柱接合コンポーネント3は中柱接合コンポーネントであり、図7に示す通り、全木造構造を採用しており、溶接やボルト接合を回避する前提において、梁と柱の有効な接合を実現し、且つ一定の靭性及び良好な耐震性能を有している。
【0027】
続けて図7を参照して、中柱接合コンポーネントは、角形中実木柱16、互いに斜対称に設置された2組の第1角形木梁を含む。角形中実木柱16の1対の対辺には正T型スライド溝12が設けられており、正T型スライド溝12内に角形中実木柱16を貫通する第1貫通孔121を有している。これに対して角形中実木柱16の別の対辺には逆T型スライド溝14が設けられており、逆T型スライド溝14内に角形中実木柱16を貫通する第2貫通孔141を有しており、本実施例中、第1貫通孔121は正T型スライド溝12の上部にあり、第2貫通孔141は逆T型スライド溝の下部にあり、これにより見事な嵌合が実現する。第1角形木梁は、第1角形木梁セット及び第2角形木梁セットを含み、第1角形木梁セットは、第1接続頭木梁51及び第1異形凹溝木梁52を含み、第1接続頭木梁51には第1長手形状接続頭部511が設けられており、且つ第1長手形状接続頭部511は第1接続頭木梁51本体の上縁に沿って設けられ、且つ第1接続頭木梁51に設けられた第1長手形状接続頭部511の端面はT型スライド溝と対応しており、第1異形凹溝木梁52の上表面には第1長手形状接続頭部511の形状と対応する第1異形凹溝521が設けられており、且つ第1長手形状接続頭部511が第1貫通孔に挿入されて第1異形凹溝521と嵌合すると、第1異形凹溝の両側に沿って2つの接合溝19が形成される。第2角形木梁セットは、第2接続頭木梁53及び第2異形凹溝木梁54を含み、第2接続頭木梁53には第2長手形状接続頭部531が設けられており、且つ第2長手形状接続頭部531は第2接続頭木梁53本体の下縁に沿って設けられ、且つ第2長手形状接続頭部531の端面は逆T型スライド溝の表面と対応しており、第2異形凹溝木梁52の下表面には第2長手形状接続頭部531の形状と対応する第2異形凹溝が設けられており、且つ第2長手形状接続頭部511が第2貫通孔に挿入されて第2異形凹溝と嵌合すると、同様に第2異形凹溝の両側に沿って2つの接合溝が形成される。即ち、第1角形木梁セット及び第2角形木梁セットの設計が嵌り合い、一体に嵌合される。また、4つの木梁(51、52、53、54)の尾部には、木製ウェブの突き合わせ接続用挿入頭部24と対応する突き合わせ接続用挿入溝部15がさらに設けられている。長手形状接続頭部を備えた木梁を中実木柱に通して対応する異形凹溝を備えた木梁と接合し、且つ接合箇所の接合溝内に固定用木片を挿入して一体に接合する。
【0028】
図8の木材鋼材複合梁2と梁柱接合コンポーネント3の接合概略図に示す通り、木製ウェブ23の突き合わせ接続用挿入頭部24を突き合わせ接続用挿入溝部15内に挿入するが、接合強度をより高めるため、4つの木梁の両側面には固定用挿入溝18がさらに設けられており、固定用木片25を固定用挿入溝18に挿入して組み合わせることにより、上・下フランジを木梁の上下側に固定させて嵌合させることが実現する。図9の下フランジ11と梁柱接合コンポーネント3の接合部分概略図に示す通り、4つの木梁の下側にはT型接合溝22が設けられており、対応する下フランジにはT型接合溝と対応するT型貫通孔が設けられており、T型接合溝22の内部はスライド空間を有し、エ字型スライドブロック20の下部はスライド空間と嵌合する接合頭部を有しており、エ字型スライドブロック20をT型接合溝に挿入して左にスライドさせてから(図9に示す方向を基準とする)、充填用木製ブロック21を挿入して固定させ、梁フランジと梁柱接合コンポーネントを接合させることにより、穿孔などの方法によって生じる応力集中現象を効果的に低減させる。
【0029】
図10は、本実施例中で示す中柱組立式梁柱複合節点の具体的な取付過程概略図である。
【0030】
ステップ1:梁柱接合コンポーネント3と角形管柱をそれぞれ組み立てる。角形管柱は上部角形管柱と下部角形管柱を含む。
【0031】
ステップ2:組み立てられた梁柱接合コンポーネント3を組み立てられた下部角形管柱に挿入する。
【0032】
ステップ3:木製ウェブの突き合わせ接続用挿入頭部を角形木梁端部の突き合わせ接続用挿入溝部内に挿入する。
【0033】
ステップ4:上・下フランジをフランジ接続スライド溝部と木製ウェブの上下両側のフランジ接続スライド溝部により接合し、上フランジは1組の固定用木片により接合して固定し、両側は固定用木片により固定し、下側はエ字型スライドブロックと充填用木製ブロックによって下フランジと角形木梁を一体に接合する。
【0034】
ステップ5:組み立てられた上部角形管柱に梁柱接合コンポーネント上部の角形中実木柱を挿入する。
【実施例2】
【0035】
実施例1と異なる点として、中柱・梁柱接合コンポーネントが角柱接合コンポーネントにより代替されているが、角柱接合コンポーネントについては、図11及び図14に示す通り、中柱接合コンポーネントと類似の設計原理が採用されており、図12に示す通り、角柱接合コンポーネントも同様に、角形中実木柱、互いに垂直な2つの第2角形木梁(13、17)及び2つの木栓26を含む。角形中実木柱の隣接する両側それぞれにI型スライド溝27が設けられ、そのうち片側のI型スライド溝27は上部が中実木柱全体を貫通しており、別の側のI型スライド溝は下部が中実木柱全体を貫通しており、第2角形木梁13及び17にはI型スライド溝と嵌合するI型スライド部材29が設けられており、且つ第2角形木梁13のI型スライド部材29はその上縁に沿って設けられ、また第2角形木梁17のI型スライド部材29はその下縁に沿って設けられ、I型スライド部材の端面形状はI型スライド溝27の端面形状と対応しており、I型スライド部材29の端部にはさらに木栓26のサイズと対応する木栓孔28が設けられている。本実施例中、第2角形木梁13及び17の下側にも同様に1つのT型接合溝が設けられており、尾部は、木製ウェブの突き合わせ接続用挿入頭部と対応する突き合わせ接続用挿入溝部を備えており、中柱接合コンポーネントと同じ設計及び組立方式を採用して固定し、角形木梁はI型スライド溝に沿って中実木柱に接合され、木栓を用いて一体に固定される。
【0036】
本発明と純粋な木構造の比較は以下の通り。(1)同じ断面において、木材鋼材複合構造は鋼の横剛性が大きいため、構造の鉛直方向における耐荷力を向上させることができる。(2)且つ鋼構造と比較した場合、本実施例では柱側板に木構造を採用し、角形管柱は中空であることで、単位質量における耐荷力がより高く、構造全体の重量をある程度軽減し、全体の寿命を向上させることができる。(3)梁のフランジの引っ張り、ウェブのせん断については、エ形梁と比べると、本発明はフランジ部分が局部的に座屈することがなく、角形木梁と比べて材料の利用率がより高い。(4)簡単な接合によって全体の組み立てが行われ、地震作用下において、部材の交換がより容易である。鋼材と木材を組み合わせて形成された木材鋼材複合構造は、地震作用下において、木材自体が一定の靭性を有する故に、良好な耐震性能を有することができる。(5)工場で全部材の加工が完了し、現場ではすべて組み立てによって接合され、完全なプレハブ化施工を実現しており、現場での溶接によって生じかねない品質問題が回避され、施工期間が短縮される。
【0037】
上述は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明のその他の形態を限定するものではなく、当業者が上記で開示した技術内容に基づいて同等の効果が得られる改変又は改造を行い、実施例を他の分野に応用するとしても、すべて本発明の技術案の内容を逸脱することはなく、本発明の技術的要素に基づいて以上の実施例に対して行う何らかの簡単な修正、同等変化及び改造はいずれも本発明の技術案の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】