【実施例】
【0064】
[実施例1]健康な被験者中でのビクテグラビルの薬物動態、代謝および排泄を評価するための第1相研究の結果
研究設計
本研究の目的は、以下のとおりであった:(1)放射線標識された炭素−14([
14C]ビクテグラビルの単回経口用量の投与後におけるビクテグラビルのマスバランスを決定すること、(2)可能な場合、ビクテグラビルおよびその代謝物の薬物動態(PK)を評価すること、(3)放射線標識された[
14C]ビクテグラビルの単回経口用量の投与後におけるヒトでのビクテグラビルの代謝物プロファイルを決定すること、ならびに(4)ビクテグラビルの安全性および耐容性を評価すること。
【0065】
これは、健康な被験者中での放射線標識された[
14C]ビクテグラビルの単回、経口用量の投与後におけるビクテグラビルのPK、代謝および排泄を評価するための第1相、非盲検、単一施設、マスバランス研究であった。合計8人の患者が参加した。第一回投薬予定前の28日以内に行われたスクリーニング評価において治験責任医師によって決定されたところ、被験者は、健康な男性非喫煙者で、年齢18歳以上45歳以下、肥満度指数(BMI)19kg/m2以上30kg/m2以下であり、12誘導心電図(ECG)正常、腎機能正常、顕著な病歴なし、全般的健康状態良好であった。
【0066】
処置は、単回経口投薬後に、6〜21日の試料収集期間が続き、正確な収集の期間は放射線標識された薬物の回収に基づいた。
用量は、約40mLのエタノール溶液(4:6[v/v]水:エタノール、HClでpH調整)として経口投与された100mgのビクテグラビル(99mgの非放射線標識ビクテグラビル[ナトリウム塩形態として]プラス約100μCi[1mg]の放射線標識された[
14C]ビクテグラビル)であった。投与後に、約50mLのクランベリージュースによる各すすぎで、投薬容器を2回すすぎ、被験者に投与した。全体の研究薬溶液およびクランベリージュースリンス(合計約140mL)は、10分の枠内に服用した。
【0067】
尿、便および両試料中に回収された総[
14C]放射線量の百分率および累積百分率に対する個別データおよび要約統計をサンプリング時間ごとに提供した。尿、便および両試料中の回収された総[
14C]放射線量の個別、平均(標準偏差[SD])および中央値(第一分位数[Q1]、第三分位数[Q3])累積的百分率対時間プロファイルを、時間線形および片対数目盛りで記した。
【0068】
サンプリング時間ごとの血漿、全血、尿および便試料の個別の被験者濃度データおよび要約統計を、総[
14C]放射能に対して示した。総[
14C]放射能濃度の全血対血漿比を各被験者に対して決定し、記述統計とともに表型式で表した。さらに、サンプリング時間ごとの血漿および尿試料の個別の被験者濃度データおよび要約統計を、ビクテグラビルに対して示した。
血漿、尿および便中での[
14C]ビクテグラビル代謝物プロファイリング
【0069】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)−MS/TopCount法による代謝物プロファイリングの結果では、合計20のビクテグラビルの代謝物が同定された。これらの代謝物は、直接のグルクロン酸抱合(M15およびM58)、脱水素(M51およびM52)、ヒドロキシル化(M21、M23、M54およびM55)、フッ化物の喪失を伴うヒドロキシル化(M22およびM53)、ヒドロキシ−ビクテグラビルの硫酸抱合またはグルクロン酸抱合(M20、M35、M12、M59およびM45)、デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビルの硫酸抱合またはグルクロン酸抱合またはシステイン抱合(M56、M16、M57、M9およびM37)を含む、いくつかの生体内変換経路を通じて生成された(
図1)。
【0070】
血漿:血漿中での代謝物プロファイリングおよび定量は、各被験者について、投与後0時間〜144時間プールされた試料を用いて行った。ヒト血漿中に、ビクテグラビルおよび13の代謝物が同定された。[
14C]ビクテグラビルが主要な循環放射性成分であり、M20(ヒドロキシ−ビクテグラビル−サルフェート)およびM15(ビクテグラビル−グルクロニド)が血漿中の主要な代謝物であって、それぞれ、総放射能の血漿AUC0〜72時間(濃度時間曲線下面積)の67.9%、20.1%および8.6%を占めた。総放射能のAUC0〜72時間比率と比べた、微量な代謝物M21(ヒドロキシ−ビクテグラビル)、M52(脱水素生成物)およびM23/M51(ヒドロキシ−ビクテグラビル/脱水素生成物)AUC0〜72時間比率は、それぞれ、2.0%、0.6%および0.2%であった。投薬後144時間までに、代謝物の全てがBLQ(定量限界未満)であり、長寿命の代謝物が存在しないことを示している。
【0071】
尿:尿中での代謝物プロファイリングおよび定量は、各被験者について、投与後0時間〜96時間の期間内にプールされた試料を用いて行った。ヒト尿中には、ビクテグラビルおよび20の代謝物が同定された。M15(M58とともに同時溶出される、いずれもビクテグラビル−グルクロニド)が尿中での主要な放射性成分であり、投与された用量の21.4%を占めた。微量または微少レベルの代謝物(
図1参照)は、用量の2.2%未満であった。回収された変化していないビクテグラビルは尿中では低く(用量の3.6%)、ビクテグラビルのLC/MS/MS結果と合致していた。
【0072】
便:便中での代謝物プロファイリングおよび定量は、各被験者についてプールされた便試料を用いて行った。変化していない親、M9(デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビル−システイン抱合体)、M21/M22(ヒドロキシ−ビクテグラビル/デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビル同時溶出された)およびM23(ヒドロキシ−ビクテグラビル)は、平均で、それぞれ、投与された用量の30.6%、13.0%、8.1%および3.6%を占めた(投薬後0〜144時間以内に、8人の被験者から平均した定量)。
【0073】
代謝物の同定:LC−MS/TopCount法によって、代謝物を同定した。まず、LTQイオントラップ質量分析計およびLTQ Orbitrap高分解能質量分析計上で、標準ビクテグラビルおよび[
14C]ビクテグラビル参照標準のプロダクトイオン質量スペクトルを獲得した。次いで、これらの主要な断片化パターンを提案し、対応する断片イオンの元素組成を確認した。第二に、LC−Radio−クロマトグラム上で観察された代謝物の保持時間を、フルスキャンポジティブイオン化モードで動作するLC−MSクロマトグラム上での対応する保持時間と比較し、代謝物の分子イオンを決定した。次いで、代謝物候補の分子イオンに対して、プロダクトイオン質量スペクトルを獲得した。提案された分子イオンおよびそのプロダクトイオンの化学式を確認するために、LTQ Orbitrap高分解能質量分析計上で正確な質量スペクトルも獲得した。可能性が高い断片化経路および推定される代謝物構造を提案した(
図1)。
【0074】
代謝物M15およびM58は、LC−MSクロマトグラム上において、約25.74および25.44分で溶出し、m/z626に分子イオンを有していた。これらのイオンの正確な質量測定は、0.02〜0.2ppmの質量誤差で、C
27H
27F
3N
3O
11+の化学式を与え、親分子イオンへのC
6H
8O
6部分の付加が示唆された。これらの分子イオンのCIDは類似の断片化をもたらし、分子イオンからの−176Daのニュートラルロスに対応するm/z450に主要イオンを示した。m/z450のイオンのMS3は、ビクテグラビルの参照標準に合致したスペクトルを示し、M15およびM58がビクテグラビルのグルクロニドであることを示唆した。
【0075】
代謝物M54、M21およびM23は、LC−MSクロマトグラム上で、それぞれ約31.40分、33.18分および33.97分で溶出し、全てm/z466に分子イオンを有していた。これらのイオンの正確な質量測定は、0.2〜0.4ppmの質量誤差で、C
21H
19F
3N
3O
6+の化学式を与え、親分子イオンへのO原子(+16Da)の付加が示唆された。M23の分子イオンのCIDは、m/z448、423、307および289に主要イオンをもたらした。M21およびM54の分子イオンのCIDは、m/z448、423、323、305および289に主要イオンをもたらした。これらのプロダクトイオンの正確な質量測定によって、それらの化学式が確認された。MSスペクトルは、M23、M21およびM54がビクテグラビルのモノヒドロキシル化代謝物であることを示唆した。
【0076】
代謝物M20は、LC−MSクロマトグラム上において、29.92分で溶出し、m/z546に分子イオンを有していた。このイオンの正確な質量測定は、0.3ppmの質量誤差で、C
21H
19F
3N
3O
9S
+の化学式を与え、親分子イオンへのSO
4部分の付加が示唆された。この分子イオンのCIDは、親分子イオンからのSO
3部分のニュートラルロス(−80Da)に対応する、m/z466に主要イオンをもたらした。MS3スペクトルは、m/z448、423、307および289に断片イオンをもたらした。M20の質量スペクトルは、M20がビクテグラビルのヒドロキシル化された生成物の硫酸抱合体であることを示唆した。
【0077】
代謝物の定量:プールされた血漿、尿および便試料のLC−ラジオクロマトグラムを取得した。[
14C]−ビクテグラビルおよびその代謝物の定量は、ラジオクロマトグラム上の対応するピークおよび対応する試料中に回収された放射能濃度/放射線量の積算に基づいた。排泄物中のビクテグラビルおよびその代謝物の濃度は、投与された用量のパーセントとして報告した。血漿試料中に測定された濃度は、ngビクテグラビル相当/mLとして報告した。
【0078】
放射能回収率:便ホモジネートおよび血漿からの平均抽出回収率は、それぞれ95.5%および100.4%であった。乾燥された便および血漿抽出残留物からの平均再構成回収率は、それぞれ99.9%および100.3%であった。尿遠心過程からの回収率は100.8%であった。尿濃縮過程からの回収率は100.6%であった。HPLCカラムからの放射能回収率は99.3%であった。
プールされた便中のM21およびM22代謝物の分離および定量
【0079】
これら2つの代謝物は代謝物プロファイリング過程の間に同時溶出したので、プールされた便試料中のM21(ヒドロキシ−ビクテグラビル)およびM22(デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビル)を分離するために、液体クロマトグラフィーを使用した。M22は単一のピークとして溶出し、放射能が定量されたが、M21はM23と同時溶出した。M21のパーセントは、M21/M22混合物からM22を差し引くことによって計算した。
【0080】
M21およびM22は、各被験者ごとにプールされた便試料中で、投薬後144時間を通じて、平均して、それぞれ、投与量の4.8%および3.3%を占めた。収集間隔ごとにプールされた便試料中において、M21およびM22は、投薬後144時間を通じて、それぞれ、投与量の2.9%および4.1%を占めた。これらの分析は、ヒドロキシ−ビクテグラビル(M21)およびデスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビル(M22)のレベルが類似しており、投与量のおよそ3%〜4%の範囲であることを示した。
結果の要約
【0081】
薬物動態の結果:このマスバランス研究は、ビクテグラビルの回収が尿と比較して主に便に由来することを実証した。代謝は、ヒトにおいて、ビクテグラビルに対する主要な排出経路である。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)−MS/TopCount法によって、合計20のビクテグラビルの代謝物が同定された。直接のグルクロン酸抱合、ヒドロキシル化、脱フッ素、脱水素および酸化された代謝物の第II相抱合が、ビクテグラビルに対する主要な代謝経路であった。
【0082】
ヒト血漿中では、[
14C]ビクテグラビルが主要な循環放射性成分であり、M20(ヒドロキシ−ビクテグラビルのサルフェート)およびM15(ビクテグラビルのグルクロニド)が血漿中の主要な代謝物であって、それぞれ、総放射能の血漿AUC0〜72時間のおよそ67.9%、20.1%および8.6%を占めた。ヒト尿では、M15(M58とともに同時溶出、いずれもビクテグラビルの直接のグルクロニド)が主要な代謝物であった(投与量の21.4%)。時間間隔によっておよび各被験者に対してプールされた便試料中の放射能は、主に、ビクテグラビル(投与量の31%〜34%)、デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビルのシステイン抱合体(投与量の10%〜13%)、デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビルとともに同時溶出されたヒドロキシ−ビクテグラビル(同時溶出されたピークに対して投与量の7%〜8%)および微量の酸化産物によって占められた。M21(ヒドロキシル−ビクテグラビル)およびM22(デスフルオロ−ヒドロキシ−ビクテグラビル)のレベルは同様であり、それぞれ、平均して、ヒトから得た便中のM21/M22混合物中で投与量のおよそ3%〜4%の範囲であった。
[実施例2]M15、M20およびM23の合成および性質決定
【0083】
M15の調製
【化4】
【0084】
酢酸中の33%HBrとの、1のアノマー性臭素化によって、70%の結晶化された収率で臭化物2が得られた。60℃での、アセトニトリル中のAg
2CO
3の存在下における臭化物2でのフェノール3の処理によって、逆相クロマトグラフィー後に75%収率で、化合物4が生成された。メタノール/水中のトリエチルアミンでの4の脱保護は、グルクロン酸5(M15)へのきれいな転化を与えた。反応中に存在する3の量が増加し始めたので、90%転化で反応を停止した。クロマトグラフィー溶媒中に0.1%TFAを加えた逆相クロマトグラフィーによって、混合物を精製した。凍結乾燥後に、遊離の酸が単離されたが、多量の3を含有していた。中性または酸性条件のいずれかで、遊離の酸5は不安定であることが発見された。M15のトリエチルアミン塩(5)は安定であるように見受けられた。前記と同じ方法を用いて、別のバッチを精製したが、凍結乾燥前に、TFAをトリエチルアミンで中和した。化合物は、これらの条件に対して安定であったが、大量のトリフルオロ酢酸トリエチルアンモニウムを含有していた。全ての塩が除去されたわけではなかった。溶媒中にTFAを加えずに、逆相クロマトグラフィーによってこの物質を精製した。凍結乾燥後に、M15のトリエチルアミン塩(5)が高純度および24%の総収率で単離された。
【0085】
M20の調製
【化5】
工程1
【0086】
約2分にわたって、テトラヒドロフラン(2.5mL)中のクロリド硫酸2,2,2−トリクロロエチル(218mg、0.88mmol)の溶液を添加しながら、テトラヒドロフラン(10mL)中の、化合物6(333mg、0.70mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(85mg、0.70mmol)およびトリエチルアミン(0.2mL、1.44mmol)の溶液を室温で撹拌した。3.5時間後、さらなるトリエチルアミン(0.1mL、0.72mmol)およびクロリド硫酸2,2,2−トリクロロエチル(100mg、0.40mmol)を添加した。添加から1.5時間後に、酢酸エチル(50mL)で反応混合物を希釈し、水(×1)、10%クエン酸(×1)、水(×1)および塩水(×1)で洗浄した。水性画分を酢酸エチル(×1)で抽出した後、有機画分を合わせ、乾燥し(MgSO
4)、濃縮した。ジクロロメタン中の0〜10%メタノールを溶出するCombiFlash(登録商標)(40gカラム)によって残留物を精製して、458mg(95%)の化合物7を得た。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ10.40(t,J=5.8Hz,1H),8.33(s,1H),6.86(td,J=9.4,2.2Hz,1H),5.37−5.30(m,2H),4.95(s,2H),4.67(d,J=5.9Hz,2H),4.63(s,1H),4.19(dd,J=12.7,3.9Hz,1H),4.02(s,3H),3.98(dd,J=12.7,9.2Hz,1H),2.13−1.95(m,4H),1.83(qd,J=8.7,7.6,3.5Hz,1H),1.57(ddd,J=12.3,4.1,2.9Hz,1H)。
19FNMR(376MHz,クロロホルム−d)δ−110.32(dt,J=9.7,5.3Hz),−122.76(dd,J=9.9,5.6Hz),−125.40(d,J=4.7Hz)。LCMS−ESI
+(m/z):C
24H
22Cl
3F
3N
3O
9Sに対して計算された[M+H]
+:690.01;実測:690.27。
工程2
【0087】
臭化マグネシウム(180mg、0.98mmol)を添加しながら、アセトニトリル(3mL)中の化合物7(255mg、0.37mmol)の溶液を室温で撹拌した。得られた懸濁液を50℃の槽で撹拌した。30分後に、不溶性物質が溶解するまで、数滴の0.1NHClを添加しながら、反応混合物を0℃で撹拌した。得られた溶液を水(30mL)で希釈した後、ジクロロメタン(25mL×3)で生成物を抽出した。合わせた抽出物を乾燥し(Na
2SO
4)、濃縮した。ジクロロメタン中の0〜15%メタノールを溶出するCombiFlash(登録商標)(40gカラム)によって残留物を精製して、178mg(71%)の化合物8を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d
6)δ12.46(s,1H),10.44(t,J=5.9Hz,1H),8.42(s,1H),7.63(td,J=10.5,9.9,2.0Hz,1H),5.43(dd,J=9.5,4.0Hz,1H),5.36(s,2H),5.09(s,1H),4.72−4.48(m,4H),4.01(dd,J=12.7,9.5Hz,1H),1.93(s,4H),1.83(d,J=12.1Hz,1H),1.62−1.50(m,1H)。
19FNMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−110.83(dd,J=9.8,5.2Hz),−124.08(dd,J=10.9,5.5Hz),−126.44。LCMS−ESI
+(m/z):C
23H
20Cl
3F
3N
3O
9Sに対して計算された[M+H]
+:675.99;実測:676.26
工程3
【0088】
重炭酸アンモニウム(721mg、9.12mmol)および亜鉛粉末(217mg、3.32mmol)を添加しながら、メタノール(2.5mL)中の化合物8(50mg、0.074mmol)の溶液を室温で撹拌した。得られた懸濁液を室温で18時間撹拌した。室温で反応混合物を濃縮し、残留物を真空中で30分間乾燥させた。約2分間の超音波処理によって、残留固体を0.01N重炭酸アンモニウム(50mL)で粉砕し、セライトを通してろ過する前に、得られた泥状物を室温で30分間放置した。さらなる0.01N重炭酸アンモニウム(10mL)でフラスコおよびセライトパッドを洗浄した後、約200mLの、約50%水性アセトニトリル中の0.01M重炭酸アンモニウムで、続いて100%水中の0.01M重炭酸アンモニウムで予め平衡化された逆相CombiFlash(登録商標)カラム(15.5g)上に合わせたろ液および洗浄液を搭載した。溶媒A中の0〜45%溶媒B(溶媒A:100%水中の0.01M重炭酸アンモニウム;溶媒B:80%アセトニトリル水中の0.01M重炭酸アンモニウム)を溶出するCombiFlash(登録商標)を用いてカラムを溶出し、生成物含有画分を合わせ、凍結乾燥して、アンモニウム塩として31mg(75%)の化合物9(M20)を得た。LCMS−ESI
−(m/z):C
21H
22Cl
3F
3N
3O
9Sに対して計算された[M−H]
−:690.01;実測:690.27。
【0089】
M23の調製
【化6】
工程1
【0090】
エタノール(60mL)中の、2,4,6−トリフルオロ−3−メトキシベンズアルデヒド(10、2990mg、15.7mmmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1352mg、19.5mmol)および酢酸ナトリウム(1598mg、19.5mmol)の懸濁液を、室温で2.5時間、激しく撹拌した。懸濁液を水(60mL)で希釈し、氷槽で1時間撹拌した。得られた固体をろ過し、冷たい50%水性エタノールで洗浄し、真空中で一晩乾燥して、2942mg(91%)の化合物11を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.86(s,1H),8.08(s,1H),7.38(td,J=11.0,2.2Hz,1H),3.90(s,3H)。
19FNMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−117.25(dd,J=10.9,3.5Hz),−125.34(ddd,J=11.9,8.6,3.6Hz),−128.35(dd,J=8.5,2.2Hz)。LCMS−ESI
+(m/z):C
8H
7F
3NO
2に対して計算された[M+H]
+:206.04;実測:206.00。
工程2
【0091】
30分にわたって、亜鉛粉末(1500mg、7.65mmol)を滴加しながら、酢酸(6mL)中の化合物11(601mg、0.98mmol)の溶液を65℃で撹拌した。添加後、混合物を65℃で撹拌した。1.5時間後に、反応混合物をろ過し、ろ液を乾燥状態まで濃縮した。残留物を水中に溶解し、ジエチルエーテル(×1)で洗浄した。2滴の酢酸を加えた水で有機画分を抽出した後、2つの水性画分を合わせ、中性になるまで飽和水性NaHCO
3で希釈し、酢酸エチル(約25mL×5)で抽出した。抽出液を合わせ、乾燥し(MgSO
4)、濃縮して、440mg(79%)の対応する未精製アミン12を得た。LCMS−ESI
+(m/z):C
8H
9F
3NOに対して計算された[M+H]
+:192.06;実測:191.86。
工程3
【0092】
ジクロロメタン(7mL、7mmol)中の1M三臭化ホウ素を添加しながら、ジクロロメタン(1.5mL)中の上記アミン12(440mg、2.30mmol)の溶液を室温で撹拌した。2時間後に、ジクロロメタン(1mL、1mmol)中のさらなる1M三臭化ホウ素をこの溶液に添加した。添加から2時間後に、氷槽で反応混合物を冷却し、メタノール(15mL)をゆっくり添加した。溶液を濃縮し、残留した油を、濃縮前にメタノール(約15mL)で溶解し、これを4回繰り返した。得られた残留物をメタノール中に溶解し、トリエチルアミン(1.5mL、10.76mmol)、続いて、二炭酸ジ−tert−ブチル(593mg、2.72mmol)を添加する前に、氷槽中で撹拌した。得られた混合物を0℃で2時間、次いで、室温で一晩撹拌した。得られた溶液を濃縮した後、酢酸エチル(約30mL)および水(約30mL)中に残留物を溶解し、10%クエン酸で酸性にした。2つの画分を分割し、酢酸エチル(×1)で水性画分を抽出した。有機画分を塩水(×1)で洗浄した後、有機画分を合わせ、乾燥し(MgSO
4)、濃縮した。ヘキサン中の0〜100%EAを溶出するCombiFlash(登録商標)(40gカラム)によって残留物を精製して、530mg(83%)の化合物13を得た。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ6.70(ddd,J=10.3,9.4,2.3Hz,1H),5.62(br,1H),4.89(s,1H),4.37(d,J=5.8Hz,2H),1.44(s,9H)。
19FNMR(376MHz,クロロホルム−d)δ−125.17〜−126.42(m,1F),−132.92〜−134.28(m,1F),−137.39(m,1F)。LCMS−ESI
+(m/z):C
8H
7F
3NO
3に対して計算された[M−C
4H
8+H]
+:222.04;実測:221.95。
工程4
【0093】
ジオキサン(4.8mL、19.2mmol)中の4MHClを添加しながら、ジクロロメタン(4.8mL)中の化合物13(530mg、1.91mmol)の溶液を0℃で撹拌した。添加後、混合物を室温で撹拌した。1.75時間後に、反応混合物を濃縮し、真空中で一晩乾燥する前に、残存した白色固体をトルエン(約20mL×2)と同時蒸発させて、399mg(98%)の未精製アミン塩酸塩を得た。
【0094】
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.65mL、9.47mmol)を添加しながら、ジクロロメタン(12mL)中の、酸14(600mg、1.87mmol)、上記アミンHCl塩(399mg、1.87mmol)および2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(HATU、748mg、1.97mmol)の懸濁液を室温で撹拌した。15分後に、さらなるHATU(712mg、1.87mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.65mL、9.47mmol)およびDMF(3m)を混合物に添加した。添加から15分後に、ジクロロメタンの大部分を除去するために溶液を濃縮し、残留物をメタノール(25mL)で希釈した。室温で1時間、得られた溶液を撹拌した後、メタノールの大部分を除去するために濃縮し、水性塩化アンモニウム(×2)、水性NaHCO
3(×2)および塩水(×1)で洗浄する前に、酢酸エチル(約70mL)で希釈した。水性画分を酢酸エチル(約75mL×1)で抽出した後、有機画分を合わせ、乾燥し(MgSO
4)、濃縮した。ジクロロメタン中の0〜11%メタノールを溶出するCombiFlash(登録商標)(80gカラム)によって残留物を精製して、647mg(72%)の化合物6を得た。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ10.32(t,J=5.8Hz,1H),8.33(s,1H),7.25(s,1H),6.65(ddd,J=10.7,9.4,2.2Hz,1H),5.36(dd,J=9.6,3.7Hz,2H),4.68−4.53(m,3H),4.25(dd,J=12.8,3.8Hz,1H),4.02(dd,J=13.0,9.9Hz,1H),3.99(s,3H),2.14−1.93(m,4H),1.91−1.78(m,1H),1.61−1.52(m,1H)。
19FNMR(376MHz,クロロホルム−d)δ−125.85(d,J=9.2Hz),−132.78(t,J=10.6Hz),−136.03(d,J=10.7Hz)。LCMS−ESI
+(m/z):C
22H
21F
3N
3O
6に対して計算された[M+H]
+:480.14;実測:480.27。
工程5
【0095】
アセトニトリル(約10mL)中の化合物6(300mg、0.63mmol)の溶液に、室温で臭化マグネシウム(299mg、1.63mmol)を添加し、得られた混合物を50℃の槽で20分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、水(100mL)およびジクロロメタン(100mL)で残留物を粉砕した。氷槽中に入れながら懸濁液を撹拌し、混合物を強酸性(pH、約2)にするために1NHClを添加した。不溶性生成物をろ過した後、2つの画分を分割し、ジクロロメタン(約100mL×2)で水性画分を抽出した。合わせた有機画分を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、ジクロロメタン中の0〜20%メタノールを溶出するCombiFlash(登録商標)(24gカラム)によって精製した。得られた生成物を、以前に得られた固体生成物と合わせ、メタノール中に溶解し、細片を除去するためにろ過し、濃縮して非晶質固体を得た。非晶質固体をアセトニトリル(約10mL)中で結晶化し、形成された結晶をろ過し、冷アセトニトリルで洗浄し、真空中で乾燥させて209mg(72%)の化合物15(M23)を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d
6)δ12.44(s,1H),10.33(t,J=5.7Hz,1H),10.11(s,1H),8.44(s,1H),7.27−7.01(m,1H),5.44(dd,J=9.6,4.1Hz,1H),5.09(d,J=3.8Hz,1H),4.67(dd,J=12.9,4.1Hz,1H),4.60(s,1H),4.59−4.43(m,2H),4.02(dd,J=12.7,9.6Hz,1H),1.93(d,J=5.1Hz,4H),1.84(d,J=12.1Hz,1H),1.57(dt,J=12.2,3.5Hz,1H)。
19FNMR(376MHz,DMSO−d
6)δ−127.13,−131.52(t,J=11.2Hz),−134.59(d,J=11.4Hz)。LCMS−ESI
+(m/z):C
21H
19F
3N
3O
6に対して計算された[M+H]
+:466.12;実測:466.26。
[実施例3]M15の化学構造の確認
一般的方法
【0096】
実験装置の通常の精度上の制約のために、全ての時間、遠心速度、温度および容量は近似である。別段の注記がなければ、遠心は、以下の表に要約されているとおりに行った。
【0097】
【表1】
血漿
【0098】
本実施例で使用された血漿試料は、分析前および分析後に、およそ−70℃で保存した。投薬の8時間後に、重量で0.4gの各試料を含む、男性被験者から取得した血漿試料をプールした。液体シンチレーション計数(LSC)によって、プールされた試料中の放射能を決定した。
【0099】
およそ1gのプールされた血漿試料を、3mLの、アセトニトリル(ACN)中の0.2%(v/v)ギ酸(FA)と合わせ、超音波処理し、渦撹拌して混合し、遠心し、上清を除去した。抽出を繰り返し、各上清を合わせた。抽出回収率を決定するために、LSCによって2つ組みの分割試料を分析すると、抽出回収率は96.6%であった。
【0100】
窒素下で、合わせた上清を乾燥するまで蒸発させ、350μLの逆浸透水:アセトニトリル(ACN)中の0.2%(v/v)ギ酸(FA):メタノール:(4:1:2、v:v:v)中に再構成した。試料を超音波処理し、渦撹拌で混合し、遠心し、再構成回収率を決定するために、LSCによって2つ組みの分割試料を分析すると、再構成回収率は104%であった。固体シンチラントを含有する96ウェルプレート中に、10秒間隔で溶出画分を収集しながら、再構成された試料をLC−MSによって分析した。TopCount分析を用いて各ウェル中の放射能を測定し、放射能計数に基づいて、放射化学プロファイルを作製した。
M15標準との血漿試料の同時クロマトグラフィ−
【0101】
40μLのプールされた8時間血漿試料を40μLのM15の標準溶液(500ng/mL)と合わせることによって、さらなる血漿試料を調製した。以下の機器および条件を用いるLC−MSによって、試料を分析した:
【表17】
【0102】
代謝物の同定
【0103】
ヒト血漿の試料をLC−MSを使用することによって分析し、代謝物M15が標準と同じ成分であることを確認した。血漿試料の分析から得られたM15の構造、親質量および特徴的なプロダクトイオンが表2に記されている。代表的な正確な質量データの要約が表3に記されている。
【0104】
標準的な溶液中のM15に対する抽出イオンクロマトグラムが
図2に記されている。プールされた血漿試料中のM15に対するラジオクロマトグラムおよび抽出イオンクロマトグラムが、
図3に記されている。標準、プールされた血漿試料および同時注射試料を比較する抽出イオンクロマトグラムが、
図4に記されている。M15および標準M15が同一の成分であることを確認するために、M15標準溶液およびヒト血漿試料を別々に分析し、同時注射した。個別に分析した場合、M15の保持時間は、M15標準溶液およびヒト血漿試料において、それぞれ、26.24分および26.28分であった(
図1および
図2)。M15標準溶液および血漿試料を同時注射すると、
図4に示されているように、26.28分の保持時間を有する単一のピークが観察された。
【0105】
M15の標準溶液の分析から得られたM15の代表的なMSプリカーサーおよびMS/MSプロダクトイオン質量スペクトルが
図5に示されている。MSプリカーサーイオン質量スペクトルは、m/z626にプロトン化された分子イオンを示す。MS/MSプロダクトイオン質量スペクトルは、m/z450、289、261および145に断片イオンを示す。研究試料の分析から得られた代謝物M15の代表的なMSプリカーサーおよびMS/MSプロダクトイオン質量スペクトルが
図6に示されており、MS/MSプロダクトイオン質量スペクトルは、標準のものと実質的に同じである。代謝物M15の元素組成は、正確な質量分析を用いて確認され、表3に示されている。
【0106】
【表2-1】
【表2-2】
【0107】
【表3】
【0108】
[実施例4]M20の化学構造の確認
実験装置の通常の精度上の制約のために、全ての時間、遠心速度、温度および容量は近似である。別段の注記がなければ、遠心は、およそ2800×gの速度で、10分間、室温で行った。
溶液
【0109】
試料調製手順のために以下の溶液を使用した。
【表4】
血漿
【0110】
投薬の8時間後に、200μLの各試料を含む、男性被験者から取得した血漿試料をプールした。液体シンチレーション計数(LSC)によって、プールされた各試料中の放射能を決定した。
【0111】
プールされた血漿試料を、3mLの、アセトニトリル(ACN)中の0.2%(v/v)ギ酸(FA)と合わせ、超音波処理し、渦撹拌して混合し、遠心し、上清を除去した。抽出を繰り返し、各上清を合わせた。抽出回収率を決定するために、LSCによって2つ組みの分割試料を分析すると、抽出回収率は98.6%であった。窒素下で、合わせた上清を乾燥するまで蒸発させ、350μLの逆浸透水:メタノール:ACN中の0.2%(v/v)FA(4:2:1、v:v:v)中に再構成した。試料を超音波処理し、渦撹拌で混合し、遠心し、再構成回収率を決定するために、LSCによって2つ組みの分割試料を分析すると、再構成回収率は100%であった。固体シンチラントを含有する96ウェルプレート中に、10秒間隔で溶出画分を収集しながら、再構成された試料をLC−MSによって分析した。TopCount分析を用いて各ウェル中の放射能を測定し、放射能計数に基づいて、放射化学プロファイルを作製した。
M20標準との血漿試料の同時クロマトグラフィ−
【0112】
100μLの再構成された8時間プールされた血漿試料を50μLのM20の標準溶液と合わせることによって、さらなる試料を調製した。得られた試料は、およそ1:1比のビクテグラビル:M20を含有した。以下の機器および条件を用いるLC−MSによって、試料を分析した。
【表18-1】
【表18-2】
代謝物の同定
【0113】
標準としてのおよび血漿試料中のM20の構造、親質量および特徴的なプロダクトイオンが表5に記されている。代表的な正確な質量データの要約が表6に記されている。
【0114】
標準的な溶液中のM20に対する抽出イオンクロマトグラムが
図7に記されている。プールされた血漿試料中のM20に対する抽出イオンクロマトグラムおよびラジオクロマトグラムが、
図8に記されている。標準、プールされた血漿試料および同時注射試料を比較する抽出イオンクロマトグラムが、
図9に記されている。標準溶液のM20およびM20が同一の成分であることを確認するために、M20標準溶液およびヒト血漿試料を別々に分析し、同時注射した。個別に分析した場合、M2の保持時間は、M20標準溶液およびヒト血漿試料において、それぞれ、36.96分および37.94分であった(
図9)。M20標準溶液および血漿試料を同時注射すると、37.29分の保持時間を有する単一のピークが観察された。
【0115】
M20のプロトン化された分子イオンは、m/z546に観察された(データは示さず)。M20の標準溶液の分析から得られたM20の代表的なプロダクトイオン質量スペクトルが
図10に示されている。質量スペクトルは、m/z466(SO
3の喪失)、307(m/z289プラス水)、289および161にプロダクトイオンを示した。ヒト血漿試料から得られたM20の代表的なプロダクトイオン質量スペクトルが
図11に示されており、標準のものと実質的に同一である。M20の元素組成は、正確な質量分析を用いて確認され、表6に示されている。
【表5】
【表6】
【0116】
[実施例5]BIC、M15、M20およびM23のヒトMRP2阻害可能性のインビトロでの評価
アッセイ方法
ビクテグラビルおよびその代謝物(M15、M20およびM23)による肝臓排出輸送体多剤耐性タンパク質2(MRP2;ABCC2)の阻害を以下のアッセイで調べた。輸送体阻害アッセイに対する細胞および実験条件は、以下の表7に要約されている。BICは、例えば、国際公開第2014/100212号に記載されている手法にしたがって合成することができる。M15、M20およびM23は、本明細書に記載されている手法にしたがって調製した。全ての他の材料は、SOLVO Biotechnologyによって購入され、実験は、その認証されたISO9001:2008システムのSOLVO標準操作手順書(SOPs)にしたがって実施した。ロットおよび製品情報は、SOLVO Biotechnologyによって記録された。
【表7】
【0117】
(E
217βG)エストラジオール−17β−グルクロニド
膜小胞中での輸送の阻害
【0118】
ATPの不存在下または存在下で、膜小胞調製物(全タンパク質:50μg/ウェル)およびモデル基質とともに試験化合物および陽性対照をインキュベートした。反応混合物を15分間、37℃で予めインキュベートした。別個に予めインキュベートされた25μLの12mM MgATPまたはAMPアッセイ緩衝液(バックグラウンド対照用)の添加によって反応を開始した。200μLの氷冷した洗浄緩衝液の添加および96ウェルプレートに載せたガラスファイバーフィルター(フィルタープレート)を介した即座のろ過によって、5分後に反応を停止させた。フィルターを洗浄し、乾燥させ、ろ過された小胞内部の基質の量を液体シンチレーションによって決定した。陽性対照阻害剤を平行して試験した。輸送体発現を欠く対照膜を陰性対照として使用した。全てのアッセイは、2つ組みで行った。
【0119】
割合的輸送活性は、以下の式から算出した。
活性%=(A−B)/(C−D)×100
式中、AはTAおよびATPの存在下での基質の転位した量であり、Bは、TAの存在下での基質の転位した量であり、Cは、溶媒およびATPの存在下での基質の転位した量であり、Dは、溶媒の存在下での基質の転位した量である。
輸送体アッセイでのIC
50決定
【0120】
IC
50は、最大の輸送体特異的輸送を50%阻害するために必要とされる被験物質濃度として定義される。IC
50値は、GraphPad Prism 5(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA)を使用して、可変ヒル係数を有するS字形曲線への、%阻害対濃度の非線形適合を用いて算出した。%阻害が、試験された最高の濃度で50%未満であった場合には、IC
50は決定しなかった。<20%の相対阻害結果および試験された最高濃度まで濃度依存的輸送観察なしに対しては、阻害観察されず(NIO)を報告する。
【0121】
阻害データは、表8に要約されている。200μMでの陽性対照ベンズブロマロンは、各アッセイにおいて≧99%阻害を示した。BICは、最大100μMまでの濃度で、MRP2媒介性E
217βGの阻害を示した。M15およびM20は、それぞれ、256μMおよび45μMの算出されたIC
50値で、E217βGのMRP2媒介性輸送の用量依存性阻害を示した。M20に関しては、調査された最高濃度300μMで、アッセイ緩衝液中に沈殿が観察された。M23は、100μMの最高試験濃度で、MRP2媒介性輸送の43%阻害を示した。
【表8】
【0122】
[実施例6]BIC、M15、M20およびM23のヒトOATP阻害可能性のインビトロでの評価
アッセイ方法
ヒト取り込み輸送体有機陰イオン輸送ポリペプチド1B1、1B3および2B1(OATP1B1、OATP1B3、OATP2B1;SLC)のBICおよびその代謝物(M15、M20およびM23)による阻害を以下のアッセイで調べた。
【0123】
輸送体阻害アッセイに対する細胞および実験条件は、以下の表9に要約されている。BICは、例えば、国際公開第2014/100212号に記載されている手法にしたがって合成することができる。M15、M20およびM23は、本明細書に記載されている手法にしたがって調製した。
【表9】
【0124】
(HEK293FT)SV40巨大T抗原で形質転換された急速に成長しているヒト胎児由来腎臓細胞
(E
217βG)エストラジオール−17β−グルクロニド
(E3S)エストロン−3−サルフェート
(MDCKII)メイディン・ダービー・イヌ腎臓サブクローンII
プローブ基質としてFluo−3を使用するOATP1B1およびOATP1B3阻害アッセイ
【0125】
野生型またはヒトOATP1B1もしくはOATP1B3をコードする遺伝子を形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、1,000mg/L、D−グルコース、L−グルタミン、25mMHEPES緩衝液および110mg/Lピルビン酸ナトリウム、1%Pen/Strep、10%ウシ胎児血清、0.05mg/mLL−プロリンおよび0.5mg/mLのジェネテシンG−418を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中に維持した。37℃、90%湿度および5%CO
2に設定された恒温槽中に細胞を維持した。透明な底を有するBioCoatポリ−D−リジン被覆された96ウェル黒色細胞培養プレート中に、1×10
5細胞/ウェルの密度で、OATP1B1またはOATP1B3を過剰発現するCHO細胞を播種した。タンパク質発現レベルを増加させるために、OATP1B1およびOATP1B3細胞に酪酸ナトリウム(10mM)を添加し、集密状態になるまで細胞を一晩増殖させた。アッセイ緩衝液は、142mMNaCl、5mMKCl、1mMKH
2PO
4、1.2mMMgSO
4、1.5mMCaCl
2、5mMグルコースおよび12.5mMHEPES(pH7.4)を含有した。培地の除去後および試験化合物を添加する前に、37℃のアッセイ緩衝液で細胞を2回洗浄した後、アッセイ緩衝液とともに0.5時間の事前インキュベーションを行った。化合物スパイキング溶液を作製するために、250倍の最終試験濃度で、試験化合物をDMSO中に系列希釈した。次いで、2μMFluo−3を含有するアッセイ緩衝液中に化合物を添加し、細胞とともに1時間インキュベーションを行った。Fluo−3および試験化合物を含有するアッセイ緩衝液の除去後、200μLの氷冷したアッセイ緩衝液で細胞を3回洗浄し、次いで、1mMCaCl
2溶液中に0.05%SDSを含有する溶解緩衝液中において、室温で15分間溶解した。485nmの励起および530nmの発光でFluo−3蛍光に対して、基質蓄積を測定した。
プローブ基質として
3H−E
217βGを使用するOATP1B1およびOATP1B3阻害アッセイ
【0126】
HEK293FT偽細胞およびOATP形質移入細胞(それぞれ1×10
5細胞)を、アッセイ前に24時間播種した。様々な濃度の試験化合物または陽性対照リファンピシンの存在下で、HK緩衝液中の1μM
3H−E
217βGとともに、予めすすがれた細胞(ells)を3分間インキュベートした。実験後、クレブス・ヘンゼライト緩衝液で細胞をすすぎ、0.1MNaOHで溶解した。液体シンチレーション読み取り装置によって、細胞内部の基質の量を決定した。
OATP2B1阻害アッセイ
【0127】
MDCKII偽細胞およびOATP2B1形質移入細胞(それぞれ1×10
5細胞)を、アッセイ前に24時間播種した。様々な濃度の試験化合物または陽性対照フルバスタチンの存在下で、HK緩衝液中の0.2μM
3H−E3Sとともに、予めすすがれた細胞を2分間インキュベートした。実験後、クレブス・ヘンゼライト緩衝液で細胞をすすぎ、0.1MNaOHで溶解した。液体シンチレーション読み取り装置によって、細胞内部の基質の量を決定した。
【0128】
OATP阻害アッセイに対するデータ解析
以下の式にしたがって、パーセント阻害を計算した:
%阻害=[1−{[OATP]i−[WT]ni}/{[OATP]ni−[WT]ni}]*100
式中:
[OATP]iは、OATP1B1、OATP1B3またはOATP2B1細胞のいずれかに対する、試験化合物の存在下での基質蓄積を表し、
[OATP]niは、それぞれ、OATP1B1、OATP1B3またはOATP2B1細胞のいずれかに対する、試験化合物の不存在下での基質蓄積を表し、
[WT]niは、それぞれ、野生型細胞または偽細胞に対する、試験化合物の不存在下での基質蓄積を表す。
輸送体アッセイでのIC
50決定
【0129】
IC
50は、実施例5に記載されている手法にしたがって決定した。各輸送体に対する陽性対照阻害剤は、各アッセイにおいて>80%阻害を示した。アッセイが行われたBIC、M15、M20およびM23の最高濃度は、それぞれ、100、100、300および100μMであった。<20%阻害を有する化合物または用量依存性阻害が観察されなかった化合物については、IC
50は決定されなかった。結果は、NIO(相互作用観察されず(no interaction observed))として報告されている。
【0130】
BICは、100μMの最高試験濃度で、OATP1B1媒介性エストラジオール−17β−グルクロニド(E
217βG)輸送の阻害を示さなかった。BICは、最高の試験濃度100μMで、OATP2B1細胞によるエストロン−3−サルフェート取り込みの17%を阻害した。BICに対するデータは、表10に要約されている。
【表10】
【0131】
M15は、100μMの最高試験濃度で、Fluo−3輸送のOATP1B1媒介性輸送の39%阻害を示し、Fluo−3輸送のOATP1B3媒介性輸送の阻害を示さなかった。M15に対するデータは、表11に要約されている。
【0132】
【表11】
【0133】
M20は、100μMの最高試験濃度で、エストラジオール−17β−グルクロニド(E
217βG)輸送のOATP1B1媒介性輸送の12%阻害およびエストラジオール−17β−グルクロニド(E
217βG)輸送のOATP1B3媒介性輸送の49%阻害を示した。M20は、90.1μMのIC
50値でOATP1B1媒介性Fluo−3輸送を阻害し、100μMでOATP1B3媒介性Fluo−3輸送の18%を阻害した。M20は、最高の試験濃度100μMで、OATP2B1細胞によるエストロン−3−サルフェート取り込みの26%を阻害した。M20に対するデータは、表12に要約されている。
【表12】
*アッセイ緩衝液中に、300μMの試験濃度で、試験化合物の沈殿が観察された。300μMでのデータは、IC
50値の決定のために使用しなかった。
【0134】
M23は、99.9μMのIC
50値でOATP1B1媒介性Fluo−3輸送を阻害し、100μMの最高試験濃度でFluo−3輸送のOATP1B3媒介性輸送の20%を阻害した。M23に対するデータは、表13に要約されている。
【表13】
【0135】
総じて、BICは、最大100μMまでの濃度で、OATP1B1、OATP1B3およびOATP2B1媒介性輸送に対して用量依存性阻害を示さなかった。M15、M20およびM23は、それぞれ、>100、90.1および99.9μMのIC
50でOATP1B1媒介性Fluo−3輸送を阻害した。M15、M20およびM23は、最大100μMまでの濃度で、OATP1B3媒介性Fluo−3輸送に最小限の阻害を示すか、または阻害を示さなかった。M20は、OATP1B1媒介性E
217βG輸送の用量依存性阻害を示さなかったが、>100μMのIC
50で、OAT1B3媒介性E
217βG輸送およびOATP2B1媒介性エストロン−3−サルフェート輸送の両方を阻害した。最高試験濃度で20%以下の阻害については、IC
50値は報告しなかった。
[実施例7]ヒト肝臓ミクロソームビリルビングルクロン酸抱合に対するビクテグラビルおよびその代謝物の阻害可能性のインビトロでの評価
【0136】
本実施例では、ビリルビングルクロン酸抱合によるアッセイによって、ビクテグラビルおよびその代謝物、M15、M20およびM23がヒト肝臓ミクロソームUGT1A1の触媒活性を低下させる可能性を判定した。このアッセイでは、ビクテグラビルおよびその代謝物の存在下および不存在下でビリルビン基質からの酵素特異的代謝物形成の速度を定量し、それらのIC50値を決定した。本研究は、ビクテグラビルおよび/またはその代謝物が他の薬物とのおよび内在性化合物との薬物動態的相互作用を経る可能性が存在するかどうかを評価するのに有用である。このアッセイでは、IC50値を決定する意図で、ビリルビンの抱合に関与する主要なヒトグルクロン酸抱合酵素であるウリジン二リン酸グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)の活性に対するビクテグラビルおよびその代謝物の阻害効果をインビトロで評価した。
材料
【0137】
BICは、例えば、国際公開第2014/100212号に記載されている手法にしたがって合成することができる。M15、M20およびM23は、本明細書に記載されている手法にしたがって調製した。アッセイにおいて使用した他の試薬は、アタザナビル(Toronto Research Chemicals、North York ON)を除いて、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)またはBD Biosciences(Woburn、MA)から購入した。ヒト肝臓ミクロソーム画分は、BD Biosciences(Woburn、MA)によって提供された。ビリルビン基質は、アッセイを開始する直前に新鮮な状態で調製した。
酵素阻害アッセイ
【0138】
ビリルビンは、UGT1A1によって代謝され、2つのアシルモノグルクロニドおよびアシルジグルクロニドを生成する。標的プロピオネート(C8またはC12)のいずれが最初に代謝されるかについての明瞭な選好性は存在しない。アタザナビルは、この活性の強力な選択的阻害剤であることが実証されており、したがって、適切な陽性対照である。このアッセイに対する条件は、ミクロソームタンパク質濃度およびインキュベーション時間に関して線形であると決定された。アッセイ条件下において、ビリルビンモノグルクロニド形成に対するK
Mは0.98μMであることが決定され、ここで使用された0.8μMの基質濃度はK
M以下であった。ミクロソームUGT1A1活性は、2つ組みで決定した。最終反応混合物は、0.2mg/mL肝臓ミクロソームタンパク質、100μgアラメチシン/mgミクロソームタンパク質、5mMUDP−グルクロン酸、5mM塩化マグネシウム、5mMD−サッカリン酸1,4−ラクトン(SACLAC)、0.8μMビリルビンおよび0.1Mリン酸カリウム緩衝液pH7.4から構成された。希釈されたミクロソーム画分を、アラメチシン、塩化マグネシウムおよびSACLACとともに、氷上で15分間インキュベートした。次いで、基質および阻害剤を添加し、混合物を0.5分間、37℃に加温した。リン酸カリウム緩衝液中のUDPグルクロン酸の添加によって、反応を開始した。振盪しながら、光に曝露せずに、2分間、37℃でインキュベーションを継続した。200nM2−(N−(2−エチルフェニル)メチルスルホンアミド)−N−(2−(ピリジン−2−イルチオ)エチル)アセトアミドを内部標準として含有する、メタノール中の200mMアスコルビン酸の一容量の添加によって、反応を停止させた。3600rpmで5分間、4℃で試料を遠心し、ビリルビンからのモノグルクロニド形成をモニターするために、上清の分割試料をLC−MS/MSにかけた。
液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)
【0139】
Shimadzu UFLC XR UPLCシステムを分析のために使用した。使用したカラムは、60℃に維持されたThermo−Hypersil Gold1.9μm C18カラム(30×2.1mm)であった。移動相は、0.7mL/分で拍出されるA:0.1%(v/v)ギ酸を含有する水、およびB:0.1%(v/v)ギ酸を含有するアセトニトリルであった。溶出は、2分にわたる一連の線形グラジエントによって達成された。質量分析計は、ポジティブイオンモードで作動するエレクトロスプレーインターフェースを備えたApplied Biosciences SCIEX QTRAP 5500トリプル四重極質量分析計であった。定量は、代謝物/内部標準ピーク面積比(PAR)によった。自動回収装置中に格納された抽出された試料は、ビリルビングルクロニド信号の不安定性を示した。低下は、約0.1%/分であった。
データ解析
LC−MS/MS分析
【0140】
ビリルビングルクロニド標準は市販されていないので、ビリルビンモノグルクロニドおよびジグルクロニドピークはそれらのMS特性によって同定した。モノグルクロニドおよびジグルクロニドに対して、それぞれ、m/z761.2/475.1および937.2/475.1のMS/MS遷移([M+H]+)。2つのモノグルクロニドに対するPAR値は定量のために合算した。阻害剤の存在下でのPAR値を、ビヒクル対照(ビクテグラビル、M15、M20、M23または陽性対照阻害剤なし)のPAR値と比較し、活性は残存する対照活性の百分率として表した。
IC
50決定
【0141】
代謝物の形成の速度から反応速度を計算し、ビヒクル対照(100%活性)で見られた反応速度と比較した。GraphPad Prism7.03を用いた非線形回帰およびS字形3パラメータ阻害モデルによって、IC
50値を計算した。試験化合物による弱い阻害のため、意味のあるIC
50値を生成するために、モデルの下方プラトー値(UGT1A1が完全に阻害された場合の残存活性)を拘束する必要があった。試験期間の間、アタザナビルの阻害能力は4回決定され、各濃度は、各決定において2つ組みで試験した。全ての実行から得られたデータをプールし、下方プラトー値を決定するためにグローバルフィットを行った。最良適合値は、10.96%残存活性(標準誤差2.94%)であった。下方プラトーをこの値に拘束した非線形回帰によって、ビクテグラビルおよびその代謝物のIC
50値を計算した。アタザナビルに関しては、この陽性対照阻害剤に対する要約幾何平均および乗法標準偏差を生成するために、4つの2つ組みの実行から得たIC
50値を合算した。
結果
【0142】
ヒト肝臓ミクロソームビリルビンモノグルクロン酸抱合の活性に対するビクテグラビル、M15、M20およびM23の阻害的効果を評価した。阻害的効力の要約および陽性対照阻害剤アタザナビルに対する要約が、表14に記されている。陽性対照阻害剤アタザナビルは、予想通り、UGT1A1活性を低下させ、アッセイに対する満足のできるインキュベーション条件を確認した(表1)。4つの実行に対して得られたアタザナビルに対する幾何平均IC
50値は1.2μMであった。300μMまでのビクテグラビルおよびそのグルクロニド代謝物(M15)の濃度は、UGT1A1活性に対してほとんどまたは全く阻害的効果を有していなかった(阻害<2%)。これらの2つの試験化合物の高い濃度では、酵素活性の穏やかな刺激が存在し、200μMビクテグラビルで76%、200μMのM15では21%の最大増加に達した。ビクテグラビル代謝物M20およびM23は、それぞれ、153および256μMのIC
50値を有するヒト肝臓ビリルビングルクロン酸抱合の弱い阻害剤であった。
【表14】
NIO 阻害観察されず(濃度範囲0〜300μMにわたって、<2%阻害)
a.2つ組みの実行における4つの測定に対する幾何平均および乗法標準偏差
b.フィッティングは収束しなかった。試験された最大濃度は300μMであった。
c.8つの2つ組みのデータ点を用いた最良適合値
【0143】
300μMまでの濃度では、ヒト肝臓ミクロソームビリルビングルクロン酸抱合(UGT1A1によって触媒される活性)に対するビクテグラビルまたはM15の阻害効果はほとんどまたは全く存在しなかった。M20およびM23は、それぞれ、153μMおよび256μMの算出されたIC
50値を有する弱い阻害剤であった。
[実施例8]異なる種から得た凍結保存された肝細胞中で検出されたBICの代謝物
【0144】
代謝物を同定し、その存在量を決定し、非臨床的な種をヒトと比較するために、凍結保存された肝細胞を、放射線標識されたBICとともに4時間インキュベートした。凍結保存された肝細胞中での[
14C]BIC(20μM)とのインキュベーション後における親薬物および同定された代謝物の百分率が表15に要約されており、代謝物の提案された特定性が
図12に示されている。代謝経路には、ヒドロキシル化(3つの変異形)、N−脱アルキル化および直接のグルクロン酸抱合が含まれた。全てのヒト代謝物が、非臨床種にも観察された。肝臓代謝酵素の全種類が提示されている肝細胞系を使用すると、BICの代謝はサルおよびイヌでは大規模であったが、ラットおよびヒトではこれより低いように見受けられた。
【表15】
[実施例9]異なる種でのインビボBIC代謝
【0145】
マウス、ラット、サルおよびヒトへの[
14C]BICの単回経口投与後に、ビクテグラビル代謝を決定した。[
14C]BICのインビボ経口投与後に得られたプールされた血漿、尿、胆汁および便の試料の特性が明らかにされ、同定された代謝物の包括的なリストが、トランスジェニックマウス、Wistar−Hanラット、サルおよび健康なヒト被験体において与えられている。総合した結果は、BICが肝臓代謝後に便および尿中への排泄によって主に除去されることを実証する。代謝経路には、ヒドロキシル化、酸化的脱フッ素、直接のグルクロン酸抱合および酸化後の第II相抱合が含まれた。サルでは、BICは、ラットおよびヒトと比べてより大きな程度で、酸化的経路を通じて代謝された。[
14C]BICの経口投与後における血漿プロファイルの結果が、以下の表16に示されている。
【表16-1】
【表16-2】
ND=検出されず
a AUCプール血漿=トランスジェニックマウスでは、0時から投薬後48時間まで、ラットでは0時から投薬後168時間まで、サルでは0時から投薬後72時間まで、ヒト被験者では0時から投薬後72時間までの、血漿
14C濃度−時間曲線下面積。
b その他=他の代謝物の合計;マウスでは、各成分<1%、ラット、サルおよびヒトでは、<1.5%。
c M51とともに同時溶出。
【0146】
刊行物、特許および特許文書を含む全ての参考文献は、個別に参照により組み込まれているのと同様に、参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、様々な実施形態および技術を参照している。しかしながら、本開示の精神および範囲の中に留まりながら、多くの変形および改変が為され得ることを理解すべきである。