(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
癌を治療する方法であって、前記癌と診断された対象に、約240mg〜約480mgの投与量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、前記方法。
前記アンタゴニスト抗PD−1抗体又は前記その抗原結合断片が、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回投与される、請求項1に記載の方法。
前記癌が、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、胃腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肝臓癌、結腸直腸癌(CRC)、結腸癌、胆嚢癌、胆道癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、腹膜癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌(SCLC)、乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、メルケル細胞癌、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、尿路上皮癌、唾液線癌、中皮腫、肛門癌、前立腺癌、基底細胞癌、及び進行皮膚扁平上皮癌(CSCC)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
前記癌を治療するための前記1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬が、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、BRAF/MEK阻害剤、化学療法、若しくはインターフェロンアルファ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項8に記載の方法。
前記対象が、前記癌を治療するための前記1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬又はそれらの任意の組み合わせに対して、抵抗性、難治性、又は抵抗性及び難治性である、請求項8に記載の方法。
前記癌を治療するための前記1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬が、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、BRAF/MEK阻害剤、化学療法、若しくはインターフェロンアルファ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
d)、e)、及び/又はf)の前記凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlの前記アンタゴニスト抗PD−1抗体又は前記その抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、請求項18に記載の方法。
前記方法が、PD−L1高NSCLCと診断された対象群において少なくとも約30%のORR、又は前記癌におけるPD−L1発現が決定されていない対象群において少なくとも約25%のORRを達成する、請求項25に記載の方法。
前記CRCが、マイクロサテライト不安定性−高(MSI−H)CRC若しくはミスマッチ修復欠損(dMMR)CRC、又はそれらの組み合わせである、請求項6に記載の方法。
前記アンタゴニスト抗PD−1抗体又は前記その抗原結合断片が、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項6に記載の方法。
d)、e)、及び/又はf)の前記凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、請求項37に記載の医薬組成物。
d)、e)、及び/又はf)の前記凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、請求項39に記載の薬物製品。
d)、e)、及び/又はf)の前記凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、請求項41に記載の薬物製品。
前記癌が、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、胃腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肝臓癌、結腸直腸癌(CRC)、結腸癌、胆嚢癌、胆道癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、腹膜癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌(SCLC)、乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、メルケル細胞癌、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、尿路上皮癌、唾液線癌、中皮腫、肛門癌、前立腺癌、基底細胞癌、及び進行皮膚扁平上皮癌(CSCC)、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項41に記載の薬物製品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(但しそれらに限定されない)全ての刊行物は、完全に記載されているかのように参照により、本明細書に援用される。
【0013】
本明細書で使用される用語は、実施形態を記載する目的でのみ使用され、限定を意図するものではないと理解すべきである。特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0014】
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用することができるが、例示となる材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が使用される。
【0015】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
【0016】
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語において一般的に受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、特許請求される発明の「基本的かつ新しい特徴(複数可)に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲の範囲を制限する。句「備える/含む(comprising)」(又はその同等語)に関して記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」に関して独立して記載されるものを提供する。
【0017】
「アンタゴニスト(antagonist)」又は「アンタゴニスト(antagonistic)」とは、PD−1に結合すると、PD−1リガンドのPD−L1又はPD−L2によって媒介される少なくとも1つの生物活性を抑制する抗PD1抗体を指す。抗PD−1抗体は、PD−L1又はPD−L2によって媒介される少なくとも1つの生物活性が、アンタゴニストの不在下(例えば、陰性対照)においてよりも、少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%多く抑制されるとき、又はアンタゴニストの不在下における抑制と比較して抑制が統計的に有意であるとき、アンタゴニストである。PD−L1又はPD−L2の、PD−1への結合により媒介される典型的な生物活性は、抗原特異的CD4
+及び/又はCD8
+T細胞の阻害である。したがって、アンタゴニスト抗体は、PD−L1媒介抑制を軽減し、免疫応答の強化をもたらす。
【0018】
「PD−1」は、ヒトプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)を意味する。PD−1は、CD279又はPDCD1としてもまた知られている。成熟ヒトPD−1のアミノ酸配列(シグナル配列なし)を、配列番号11に示す。細胞外ドメインは配列番号11の残基1〜150にわたり、膜貫通ドメインは、配列番号11の残基151〜171にわたり、細胞質ドメインは、配列番号11の残基172〜268にわたる。
【0019】
配列番号11
PGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVVGVVGGLLGSLVLLVWVLAVICSRAARGTIGARRTGQPLKEDPSAVPVFSVDYGELDFQWREKTPEPPVPCVPEQTEYATIVFPSGMGTSSPARRGSADGPRSAQPLRPEDGHCSWPL
【0020】
「抗体」とは広い意味を持ち、任意のクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、又はサブクラスIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4に属し、カッパ(κ)及びラムダ(λ)軽鎖のいずれかを含む免疫グロブリン分子を含む。抗体としては、モノクローナル抗体、完全長抗体、抗原結合断片、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、及び、必要とされる特異性の抗原結合断片を含む、任意の他の免疫グロブリン分子の改変構成が挙げられる。「完全長抗体」とは、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH及びVLは、フレームワーク領域(framework region、FR)に散在している相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と称される超可変性の領域に更に区分され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって次の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で並ぶ3つのCDRと4つのFR断片とからなる。抗体は、免疫付与マウス若しくはラットから生成した抗体、又は本明細書に記載されるファージ若しくは哺乳類ディスプレイライブラリから識別された抗体を含む、様々な技術を使用して生成された抗体を含む。
【0021】
「相補性決定領域(CDR)」とは、抗原に結合する抗体の領域である。VHには3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)が存在し、VLには3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)が存在する。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970)J Exp Med 132:211−50)(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia(Chothia et al.(1987)J Mol Biol 196:901−17),IMGT(Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55−77)、及びAbM(Martin and Thornton(1996)J Bmol Biol 263:800−15)などの、様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と、可変領域の付番との対応が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55−77;Honegger and Pluckthun,(2001)J Mol Biol 309:657−70;International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース;ウェブソース、http://www_imgt_orgを参照のこと)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを記述することができる。本明細書で使用する場合、用語「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」は、明細書で別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
【0022】
「抗原結合断片」とは、親の完全長抗体の抗原結合特性を保持している免疫グロブリン分子の部分を指す。代表的な抗原結合断片は、重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region、HCDR)1、2、及び/又は3、軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region、LCDR)1、2、及び/又は3、VH、VL、VH及びVL、Fab、F(ab’)2、Fd、及びFv断片、並びに1つのVHドメイン又は1つのVLドメインのいずれかからなるドメイン抗体(domain antibody、dAb)である。VH及びVLドメインは、合成リンカーを介して互いに連結されて、VH/VLドメインが、分子内で、又はVH及びVLドメインが別々の鎖によって発現される場合には分子間で対形成して、一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)などの一価の抗原結合部位又はダイアボディを形成する様々な種類の一本鎖抗体の設計を形成することができる。例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、同第1992/01047号に記載されている。
【0023】
「ヒト化抗体」とは、CDR配列が非ヒト種に由来し、フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワーク内に置換を含む可能性があることから、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖系列遺伝子の配列の正確なコピーでなくてもよい。少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来し、少なくとも1つのフレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体がヒト化抗体である。ヒト化抗体は、フレームワークに置換を含むことができるため、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖細胞系遺伝子配列の厳密なコピーではない場合がある。
【0024】
「ヒト抗体」とは、ヒト対象に投与されるときに、最小の免疫応答を有するように最適化された抗体を指す。ヒト抗体の可変領域は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。抗体が定常領域又は定常領域の一部分を含む場合、当該定常領域もヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。
【0025】
抗体の可変領域が、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られる場合、ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列「に由来する」重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。このような例示的な系は、ファージ又は哺乳類細胞上にディスプレイされるヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン座位を有するマウス、ラット、又はニワトリなどのトランスジェニック非ヒト動物である。「ヒト抗体」とは、典型的には、抗体及びヒト免疫グロブリン座位を得るために使用される系間の違い、自然に生じる体細胞変異の導入、置換の、フレームワーク又はCDRへの意図的な導入により、ヒトで発現された免疫グロブリンと比較したときに、アミノ酸の違いを含有する。「ヒト抗体」は、典型的に、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によりコードされたアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えば、(Knappik et al.(2000)J Mol Biol 296:57−86)に記載される、ヒトフレームワーク配列分析から得られる、コンセンサスフレームワーク配列、又は例えば、(Shi et al.(2010)J Mol Biol 397:385−96)、及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージにディスプレイされるヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた、合成HCDR3を含有してもよい。CDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義に含まれない。
【0026】
「モノクローナル抗体」とは、抗体重鎖からのC末端リジンの除去などの、可能な周知の改変、又はアミノ酸の翻訳後修飾(複数可)、例えば、メチオニン酸化、若しくはアスパラギン若しくはグルタミンの脱アミドによる改変を除いて、各抗体鎖に単一のアミノ酸組成を有する抗体集団を指す。モノクローナル抗体は通常、1個の抗原性エピトープに特異的に結合するが、二重特異性又は多重特異性モノクローナル抗体は、2つ又は3つ以上の異なる抗原性エピトープに特異的に結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性若しくは多重特異性、又は一価、二価、若しくは多価であり得る。二重特異性抗体は、モノクローナル抗体という用語に含まれる。
【0027】
「単離された」とは、組み換え細胞などの分子が産生されるシステムの他の成分から実質的に分離及び/又は精製されている、分子の均質な集団(例えば、合成ポリヌクレオチド又は抗体などのタンパク質)に加えて、少なくとも1つの精製又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離抗体」とは、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない抗体を意味し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された抗体を包含する。
【0028】
「癌細胞」又は「腫瘍細胞」とは、in vivo、ex vivo、又は組織培養のいずれかにおいて、自然発生的な又は導入された表現型の変化を有する癌性、前癌性、又は形質転換細胞を指す。これらの変化は、必ずしも新たな遺伝物質の取り込みを伴うものではない。形質転換は、形質転換ウイルスの感染及び新たなゲノム核酸の組み込み、外因性核酸の取り込みにより発生させることもでき、自然発生的に又は発癌物質に曝露した後に発生し、それによって内因性の遺伝子が変異する場合もある。形質転換/癌は、in vitro、in vivo、及びex vivoにおける、形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣の形成、増殖、悪性病変、腫瘍特異的マーカーレベルの調節、浸潤性、ヌードマウスなどの好適な動物宿主における腫瘍の増殖などによって例示される(Freshney,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique(第3版、1994年))。
【0029】
「癌」は、身体における異常細胞の制御されていない成長を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。制御されていない細胞分裂及び成長は、隣接組織を浸潤する悪性腫瘍の形成をもたらし、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分にも転移し得る。「癌」又は「癌組織」は、腫瘍を含み得る。
【0030】
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0031】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」としては、あらゆる脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類が挙げられる。用語「対象」及び「患者」は、本明細書で同じ意味で使用することができる。
【0032】
「治療する」又は「治療」は、治療的治療及び予防的又は防止的措置の両方を指すものであり、その目的は、腫瘍細胞の成長及び/又は拡がりのような望ましくない生理学的変化又は障害を予防又は遅延(緩和)することにある。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能であろうと又は検出不可能であろうと、症状の緩和、腫瘍の大きさの収縮、疾患の程度の軽減、安定した(すなわち、悪化しない)疾患状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的であろうと又は全体的であろうと)が挙げられる。「治療」はまた、対象が治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長させることを意味し得る。治療を要する者には、既に状態若しくは疾患を有している者、及び、状態若しくは疾患を有しやすい者、又は状態若しくは疾患を予防しようとする者が含まれる。
【0033】
「治療に有効な量」は、必要な投与量及び期間で所望の治療結果を達成するための有効量を指す。治療に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す1つの治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってよい。効果的な1つの治療薬、又は治療薬の組み合わせの例示的な因子としては、例えば、患者の改善された健康が挙げられる。
【0034】
「抗PD−1抗体」は、PD−1に特異的に結合する抗体を指す。
【0035】
「特異的に結合する(specifically binds)」、又は「特異的に結合する(specific binding)」、又は「結合する」は、抗体が、抗原(例えば、PD−1)又は抗原内部のエピトープに、他の抗原に対するより高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、約1×10
−8M以下、例えば約1×10
−9M以下、約1×10
−10M以下、約1×10
−11M以下、又は約1×10
−12M以下の平衡解離定数(K
D)で抗原又はかかる抗原内部のエピトープに結合し、非特異的抗原(例えばBSAカゼイン)への結合に関しては、典型的には、そのK
Dより少なくとも100倍小さいK
Dで結合する。K
Dは、標準的な手順を使用して測定することができる。しかし、抗原又は抗原内部のエピトープに特異的に結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)、Pan troglodytes(チンパンジー、chimp)、又はCallithrix jacchus(コモンマーモセット、marmoset)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。
【0036】
「投薬量」とは、対象によって摂取される治療薬の量の情報、及び治療が対象によって摂取される治療薬の回数の頻度を指す。
【0037】
「投与量」とは、その都度摂取される治療薬の量又は分量を指す。
【0038】
「再発性」とは、治療薬による以前の治療後の改善期間後の疾患又は疾患の徴候及び症状の再開を指す。
【0039】
「難治性」とは、治療に応答しない疾患を指す。難治性疾患は、治療前又は治療開始時に治療に抵抗性であり得るか、又は難治性疾患は、治療中に耐性疾患となり得る。
【0040】
「原薬」又は「DS」とは、薬物(医薬)製品の製造において使用されることを意図し、薬物の生産に使用されるとき、その薬物製品の活性成分となる任意の物質又は物質の混合物を指す。このような物質は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、又は予防において薬理学的活性又は他の直接効果を提供するか、あるいは身体の構造又は身体機能に影響を与えることを意図する。
【0041】
「薬物製品」又は「DP」とは、必ずではないが、一般的に、不活性成分を伴って活性医薬成分(例えば、薬物物質)を含有する最終剤形、例えば、錠剤、カプセル、又は溶液を指す。
【0042】
「野生型BRAF」とは、UniProt受入番号P15056に示されるアミノ酸配列を有するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼB−rafを指す。
【0043】
「変異体」とは、1つ又は2つ以上の改変、例えば、1つ又は2つ以上の置換、挿入、又は欠失によって参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。例えば、参照BRAFポリペプチドは野生型BRAFである。変異は、周知の付番システムを使用して示され、例えば、V600Eは、位置600におけるバリンのグルタミン酸の置換を指す。
【0044】
「免疫状態」又は「免疫障害」とは、例えば、病的炎症、炎症性障害、及び自己免疫障害又は疾患を包含する。「免疫状態」はまた、免疫系による根絶に抵抗する感染、腫瘍、及び癌を含む、癌、腫瘍、及び血管新生などの感染、持続性感染、及び増殖状態を指す。
【0045】
本発明は、癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、投与のための配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を提供することと、癌と診断された対象にアンタゴニスト抗PD−1抗体を投与することと、を含む、癌を治療する方法を提供する。
【0046】
本発明は、免疫状態と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、投与のための配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を提供することと、癌と診断された対象にアンタゴニスト抗PD−1抗体を投与することと、を含む、免疫状態を治療する方法も提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、免疫状態は癌である。
【0048】
いくつかの実施形態では、免疫状態は、ウイルス感染、持続性ウイルス感染、炎症、炎症性障害、又は自己免疫障害若しくは疾患である。
【0049】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg、約160mg、約240mg、約320mg、約400mg、約480mg、約560mg、約720mg、約800mg、約880mg、又は約960mgの投薬量で投与される。
【0050】
本発明は、癌と診断された対象に、約240mg〜約480mgの投与量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、癌を治療する方法も提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回投与される。
【0052】
本発明は、免疫状態と診断された対象に、約240mg〜約480mgの投与量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、免疫状態を治療する方法も提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約240mgの投薬量で投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、約240mgの投薬量で投与される。
【0056】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、3週間に1回、約240mgの投薬量で投与される。
【0057】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、4週間に1回、約240mgの投薬量で投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、5週間に1回、約240mgの投薬量で投与される。
【0059】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、6週間に1回、約240mgの投薬量で投与される。
【0060】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約480mgの投薬量で投与される。
【0061】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、2週間に1回、約480mgの投薬量で投与される。
【0062】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、3週間に1回、約480mgの投薬量で投与される。
【0063】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、4週間に1回、約480mgの投薬量で投与される。
【0064】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、5週間に1回、約480mgの投薬量で投与される。
【0065】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、6週間に1回、約480mgの投薬量で投与される。
【0066】
癌の診断及び病期分類は、確立された診断基準を使用して腫瘍学者によって行われる。
【0067】
いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、進行固形腫瘍である。「進行固形腫瘍」は、転移性、切除不能、ステージIII、又はステージIVの固形腫瘍を指す。
【0068】
いくつかの実施形態では、癌は、肺癌、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer、NSCLC)、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、胃腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肝臓癌、結腸直腸癌(colorectal cancer、CRC)、結腸癌、胆嚢癌、胆道癌、膀胱癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、腹膜癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌(small cell lung cancer、SCLC)、乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、メルケル細胞癌、縦隔原発B細胞リンパ腫(primary mediastinal B-cell lymphoma、PMBCL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(large diffuse B-cell cell lymphoma、DLBLC)、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、尿路上皮癌、唾液線癌、中皮腫、肛門癌、前立腺癌、基底細胞癌、及び進行皮膚扁平上皮癌(cutaneous squamous cell carcinoma、CSCC)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、癌は、胸腺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、黒色腫、膀胱癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、又は結腸直腸癌(CRC)からなる群から選択される。
【0070】
いくつかの実施形態では、癌は肺癌である。
【0071】
いくつかの実施形態では、癌はNSCLCである。
【0072】
いくつかの実施形態では、癌は黒色腫である。
【0073】
いくつかの実施形態では、癌は頭頸部癌である。
【0074】
いくつかの実施形態では、癌は膀胱癌である。
【0075】
いくつかの実施形態では、癌は胃腸癌である。
【0076】
いくつかの実施形態では、癌は胃癌である。
【0077】
いくつかの実施形態では、癌は胃食道接合部癌である。
【0078】
いくつかの実施形態では、癌は食道癌である。
【0079】
いくつかの実施形態では、癌は肝臓癌である。
【0080】
いくつかの実施形態では、癌はCRCである。
【0081】
いくつかの実施形態では、癌は結腸癌である。
【0082】
いくつかの実施形態では、癌は胆嚢癌である。
【0083】
いくつかの実施形態では、癌は胆道癌である。
【0084】
いくつかの実施形態では、癌は卵巣癌である。
【0085】
いくつかの実施形態では、癌は卵管癌である。
【0086】
いくつかの実施形態では、癌は子宮頸癌である。
【0087】
いくつかの実施形態では、癌は腹膜癌である。
【0088】
いくつかの実施形態では、癌は子宮内膜癌である。
【0089】
いくつかの実施形態では、癌はSCLCである。
【0090】
いくつかの実施形態では、癌は乳癌である。
【0091】
いくつかの実施形態では、癌は膵臓癌である。
【0092】
いくつかの実施形態では、癌は腎細胞癌である。
【0093】
いくつかの実施形態では、癌はメルケル細胞癌である。
【0094】
いくつかの実施形態では、癌はPMBCLである。
【0095】
いくつかの実施形態では、癌はホジキンリンパ腫である。
【0096】
いくつかの実施形態では、癌は非ホジキンリンパ腫である。
【0097】
いくつかの実施形態では、癌はDLBLCである。
【0098】
いくつかの実施形態では、癌は多発性骨髄腫である。
【0099】
いくつかの実施形態では、癌は神経膠芽腫である。
【0100】
いくつかの実施形態では、癌は尿路上皮癌である。
【0101】
いくつかの実施形態では、癌は唾液線癌である。
【0102】
いくつかの実施形態では、癌は中皮腫である。
【0103】
いくつかの実施形態では、癌は肛門癌である。
【0104】
いくつかの実施形態では、癌は前立腺癌である。
【0105】
いくつかの実施形態では、癌は腺癌である。
【0106】
いくつかの実施形態では、癌は転移性前立腺癌である。
【0107】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、直腸、リンパ節、若しくは骨、又はそれらの任意の組み合わせに転移している。
【0108】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は再発性又は難治性前立腺癌である。
【0109】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌である。
【0110】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、アンドロゲン除去療法に感応性である。
【0111】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、アンドロゲン除去療法に感応性ではない。
【0112】
いくつかの実施形態では、癌はCSCCである。
【0113】
いくつかの実施形態では、癌は基底細胞癌である。
【0114】
いくつかの実施形態では、癌は胸腺癌である。
【0115】
本発明は、癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、対象がPD−1軸ナイーブである、癌を治療する方法も提供する。
【0116】
本発明は、癌と診断された対象に、約240mg〜約480mgの投与量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、対象がPD−1軸ナイーブである、癌を治療する方法も提供する。
【0117】
本発明は、癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、対象がPD−1軸ナイーブであり、癌の治療のための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていた、癌を治療する方法も提供する。
【0118】
本発明は、癌と診断された対象に、約240mg〜約480mgの投与量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、対象が、癌を治療するための少なくとも1つ、2つ、又は3つ以上の治療薬を以前に受けていた、癌を治療する方法も提供する。
【0119】
本発明は、癌と診断された対象に、約240mg〜約480mgの投与量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、対象がPD−1軸ナイーブであり、癌を治療するための少なくとも1つ、2つ、又は3つ以上の治療薬を以前に受けていた、癌を治療する方法も提供する。
【0120】
「PD−1軸ナイーブ」は、PD−1、PD−L1、又はPD−L2アンタゴニストで治療されていない対象を指す。例示的なPD−1、PD−L1、又はPD−L2アンタゴニストは、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、セミプリマブ(Libtayo(登録商標))、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリポリバマブ(tripolibamab)デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、若しくはエンバフォリマブ(envafolimab)、又は任意の他のPD−1、PD−L1、若しくはPD−L2アンタゴニストである。追加のこのようなアンタゴニストは既知であり、例えば、Citeline PharmaIntelligenceのウェブサイトに列挙されているものが挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、癌はPD−L1陽性である。
【0122】
いくつかの実施形態では、癌はPD−L1高である。
【0123】
いくつかの実施形態では、癌におけるPD−L1の発現は決定されない。
【0124】
「PD−L1陽性」とは、腫瘍細胞及び腫瘍浸潤炎症性細胞からなる腫瘍から得られるサンプル(パラフィン包埋ホルマリン固定腫瘍組織サンプルなど)中の細胞の少なくとも約1%がPD−L1表面発現に染色陽性である腫瘍を指す。
【0125】
「PD−L1高」とは、腫瘍から得られるサンプル(パラフィン包埋ホルマリン固定腫瘍組織サンプルなど)中の腫瘍細胞又は腫瘍浸潤炎症性細胞の少なくとも約50%がPD−L1表面発現に染色陽性である腫瘍を指す。例えば、Ventana、DAKO、又はPharmDxからの市販のキットを使用して、PD−L1陽性又はPD−L1高状態を評価することができる。これらのアッセイでは、腫瘍細胞膜上のPD−L1発現は、28−8、22C3、SP142、SP263、及び73−10などの抗PD−L1抗体を使用して評価され、PD−L1陽性腫瘍細胞の百分率を示す腫瘍割合スコア(Tumor Proportion Score、TPS)が計算される。
【0126】
「癌におけるPD−L1発現が決定されていない」は、PD−L1表面発現が評価されていない腫瘍を指す。
【0127】
いくつかの実施形態では、癌は、変異体BRAFを発現する。
【0128】
いくつかの実施形態では、変異体BRAFは、V600E変異を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、癌は、野生型BRAFを発現する。
【0130】
いくつかの実施形態では、変異体BRAFは、V600E、V600L、R462I、1463 S、G464E、G464R、G464V、G466A、G469A,N581 S、E586K,F595L,L597Q、L597R、L597S、L597V、A598V、T599E、V600R、K601E、S602D、及びA728V、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上の変異を含む(例えば、国際公開第2018/213302号を参照されたい)。
【0131】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(Mitogen-activated protein kinase、MAPK)又はRAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達は、増殖、分化、及びアポトーシスの制御に関与するいくつかの細胞シグナル伝達経路に関与する。セリン−スレオニンキナーゼBRAF遺伝子の変異の活性化は、黒色腫における最も頻繁な遺伝子改変であり、BRAF変異は、皮膚黒色腫症例の約50%及び粘膜黒色腫症例の約10〜20%で観察される(MacKiewicz and Mackiewicz,Contem Oncol 22:68−72,2018)。BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、及びエンコラフェニブなど)によるBRAF変異を保有している患者の治療は、治療に対する耐性の獲得と関連し、したがって、コビメチニブ、トラメチニブ、又はビニメチニブなどのMEK阻害剤を治療レジメンに組み合わせることができる。MEK阻害剤はまた、BRAF変異対象における単剤療法としても試験されている。
【0132】
BRAF状態は、例えば、シークエンシングなどの既知の方法を使用して腫瘍生検サンプルから評価することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、対象は、癌を治療するための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていたか、又はそれに不適格である。
【0134】
いくつかの実施形態では、対象は、癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の治療薬を以前に受けていた。
【0135】
様々な癌を治療するための治療法は既知であり、手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、標的療法、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0136】
非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC)などの肺癌を治療するための治療薬としては、メトトレキサート、パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標))、アファチニブ(GILOTRIF(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、アレクチニブ(ALECENSA(登録商標))、ペメトレキセド二ナトリウム(ALIMTA(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、カルボプラチン、セリチニブ(ZYKADIA(登録商標))、クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))、ラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))、ドセタキセル、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、ゲムシタビン塩酸塩(GMEZAR(登録商標))、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、メクロレタミン塩酸塩(MUSTARGEN(登録商標))、ビノレルビン酒石酸塩(NAVELBINE(登録商標))、ネシツムマブ(PORTRAZZA(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、カルボプラチン、ペメトレキセド二ナトリウム、ラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))、オシメルチニブ(TAGRISSO(登録商標))、抗CTLA4抗体、BRAF/MEK阻害剤、又はインターフェロンアルファが挙げられる。例示的な抗CTLA4抗体は、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))である。例示的なBRAF/MEK阻害剤は、ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、コビメチニブ(COTELLIC(登録商標))、トラメチニブ(MEKINIST(登録商標))、及びビニメチニブである。
【0137】
黒色腫を治療するための治療薬としては、アルデスロイキン、コビメチニブ(COTELLIC(登録商標))、ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))、タリモジーン・ラハーパレプベック(IMLYGIC(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、トラメチニブ(MEKINIST(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペグインターフェロンアルファ−2b(PEG−INTRON(登録商標)、SYLATRON(登録商標))、組換えインターフェロンアルファ−2b、及びベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))が挙げられる。
【0138】
膀胱癌を治療するための治療法としては、手術、化学療法(シスプラチン、ゲムシタビン、カルボプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、又はそれらの任意の組み合わせなど)、免疫療法(減弱したbacterium bacillus Calmette−Guerin(BCG)、インターフェロン、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、又はペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、又は放射線療法が挙げられる。腎臓癌を治療するための治療薬としては、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アルデスロイキン、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、アキシチニブ(INLYTA(登録商標))、カボザンチニブ−S−リンゴ酸塩(CABOMETYX(登録商標))、アルデスロイキン(PROLEUKIN(登録商標))、レンバチニブメシル酸塩(LenVIMA(登録商標))、ソラフェニブトシル酸塩(NeXAVAR(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、パゾパニブ塩酸塩、ソラフェニブトシル酸塩、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、及びパゾパニブ塩酸塩(VOTRIENT(登録商標))が挙げられる。
【0139】
胃癌を治療するための治療法としては、手術又は化学療法(5−フルオロウラシル又はカペシタビン、イリノテカン、ドセタキセル若しくはパクリタキセル、又はそれらの任意の組み合わせなど)が挙げられる。食道癌を治療するための治療法としては、手術、内視鏡療法、放射線療法、化学療法、又は標的免疫療法が挙げられる。
【0140】
結腸直腸癌(colorectal cancer、CRC)を治療するための治療薬には、5−フルオロウラシル及びロイコボリン、カペシタビン(XELODA(登録商標))、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ペゴラフェニブ(pegorafenib)(STIVARGA(登録商標))、トリフルリジン及びチピラシル(LONSURF(登録商標))の化学療法レジメン、FOLFOX:ロイコボリン、5−フルオロウラシル、及びオキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標))の化学療法レジメン、FOLFIRI:ロイコボリン、5−フルオロウラシル、及びイリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))の化学療法レジメン、CapeOX:カペシタビン(XELODA(登録商標))及びオキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標))の化学療法レジメン、FOLFOXIRI:ロイコボリン、5−フルオロウラシル、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標))、及びイリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))の化学療法レジメン、あるいは互いと組み合わせた、又はベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ziv−アフリベルセプト(ZALTRAP(登録商標))若しくはラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))などのVEGFを標的とする薬物と組み合わせて、上記の個々の薬剤若しくは化学療法レジメンのいずれかが含まれる。
【0141】
胸腺癌を治療するための治療法としては、手術、放射線療法、化学療法(カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド、イホスファミド、オクトレオチド、パクリタキセル、若しくはペメトレキセド、又はこれらの任意の組み合わせなど)、又はホルモン療法(副腎皮質ホルモンなど)が挙げられる。
【0142】
放射線療法としては、体外照射療法、強度変調放射線療法(intensity modulated radiation therapy、IMRT)、合焦放射線照射法、及びガンマナイフ、サイバーナイフ(Cyberlaiife)、Linac、並びに組織内放射線照射(例えば、放射性シードの埋め込み、GliaSiteバルーン)を含む、及び/又は外科手術を伴う任意の形態の放射線手術が挙げられる。
【0143】
使用され得る集中照射方法としては、定位放射線手術、分割定位放射線手術、及び強度変調放射線治療(IMRT)が挙げられる。定位放射線手術では、周囲の腫瘍ではない正常な組織を避けながら、放射線が腫瘍組織に正確に送達されることは明らかである。定位放射線手術により適用される放射線の線量は、典型的には、1Gy〜約30Gyで異なり得、例えば1〜5、10、15、20、25、最大30Gyの線量を含む中間の範囲を含み得る。非侵襲的な固定デバイスのおかげで、定位放射線は、1回の治療で送達される必要はない。治療計画は、その日毎に確実に再現され得、それにより、複数回の分割放射線量を送達することが可能となる。時間をかけて腫瘍を治療するために使用される場合、放射線手術は、「分割定位放射線手術」又はFSR(fractionated stereotactic radiosurgery)と呼ばれる。対照的に、定位放射線手術は、1回のセッションでの治療を指す。分割定位放射線手術は、高い治療可能比、すなわち、高い比率で腫瘍細胞を死滅させ、かつ正常組織への影響が少ないこと、をもたらし得る。腫瘍及び正常組織は、高い放射線量の単回照射と低い放射線量の複数回照射に対して、異なる反応を示す。多量の放射線量の単回照射では、低い放射線量の複数回照射よりも多くの正常組織が死滅し得る。したがって、低い放射線量の複数回照射では、正常組織を温存しながらより多くの腫瘍細胞を死滅させることができる。分割定位照射により適用される放射線量は、1Gy〜約50Gyの範囲で異なり得、例えば、1〜5、10、15、20、25、30、40、最大50Gyの寡分割(hypofractionated)線量を含む中間の範囲を含み得る。強度変調放射線治療(IMRT)もまた使用することができる。IMRTは、高精度三次元原体照射法(three-dimensional conformal radiation therapy、3DCRT)の改良型であり、これは、コンピュータ制御の線形加速器を使用して正確な放射線量を悪性腫瘍又は腫瘍内部の特定の部位に送達し、多葉コリメーター(multileaf collimator、MLC)を使用して、各放射線ビームの輪郭を、ビーム視点(beam's eye view、BEV)から標的の輪郭に合うように形成し、それにより多数のビームを生成する。IMRTでは、放射線ビームの強度を複数の少量に変調することにより、放射線量を、腫瘍の三次元(three-dimensional、3−D)形状に対しより精密に一致させることができる。したがって、IMRTでは、周囲の正常で重要な構造への線量を最小限に抑えつつ、より高い放射線量を腫瘍内部の領域に集中させることができる。IMRTでは、例えば、腫瘍が脆弱な構造、例えば、脊髄、主要臓器、又は血管などを覆っている場合、治療体積を腫瘍の凹んだ形状に一致させる能力が向上する。細胞コンディショナとして使用するのに好適な放射線源は、固体と液体との両方を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬は、抗CTLA4抗体、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、BRAF/MEK阻害剤、化学療法、若しくはインターフェロンアルファ、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0145】
「BRAF/MEK阻害剤」とは、BRAF及び/又はMEKによって媒介される少なくとも1つの生物活性を阻害する小分子などの分子を指す。阻害は、阻害剤の不在下(例えば、陰性対照)においてよりも、少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%大きいか、あるいは対照と比較したときに、阻害が統計学的に有意であるときであり得る。BRAF及び/又はMEKによって媒介される典型的な生物活性は、タンパク質リン酸化、細胞増殖、細胞生存、及びアポトーシスであり、標準的な方法を使用して測定することができる。
【0146】
例示的なBRAF阻害剤は、ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))、パゾパニブ、ダブラフェニブ、及びエンコラフェニブである。
【0147】
例示的なMEK阻害剤は、コビメチニブ(COTELLIC(登録商標))、トラメチニブ(MEKINIST(登録商標))、及びビニメチニブである。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象は、癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬又はそれらの任意の組み合わせに対して、抵抗性、難治性、又は抵抗性及び難治性である。
【0149】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、BRAF/MEK阻害剤、化学療法、若しくはインターフェロンα、又はそれらの任意の組み合わせに対して、抵抗性、難治性、又は抵抗性及び難治性である。
【0150】
様々な定性的及び/又は定量的方法が、疾患の再発又は難治性を決定するために使用され得る。再発又は耐性に関連し得る症状は、例えば、患者の健康状態の低下若しくはプラトー状態、固形腫瘍に関連する様々な症状の復元若しくは悪化、及び/又は1つの場所から他の臓器、組織若しくは細胞への体内の癌性細胞の拡がりである。
【0151】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約10mg/ml〜約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される。
【0152】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、生理学的に適合性の溶剤、分散媒体、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤など、例えば、塩、緩衝液、抗酸化剤、糖類、水性若しくは非水性担体、防腐剤、湿潤剤、界面活性剤若しくは乳化剤、又はそれらの組み合わせを指す。
【0153】
使用され得る例示的な緩衝液は、酢酸、クエン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、炭酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、ホウ酸、トリス緩衝剤、HEPPSO及びHEPESである。
【0154】
使用され得る例示的な抗酸化剤は、アスコルビン酸、メチオニン、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、レシチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediamine tetraacetic acid、EDTA)、ソルビトール及び酒石酸である。
【0155】
使用され得る例示的なアミノ酸は、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、グリシン、アルギニン、リシン、L−ロイシン、トリロイシン、アラニン、グルタミン酸、L−スレオニン及び2−フェニルアミンである。
【0156】
使用され得る例示的な界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート−20又はポリソルベート−80);ポリオキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン;オクチル配糖体ナトリウム(sodium octyl glycoside);ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−又はステアリル−スルホベタイン;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−又はステアリル−サルコシン;リノレイル−、ミリスチル−又はセチル−ベタイン;ラウロアミドプロピル−、コカミドプロピル−、リノレアミドプロピル−、ミリストアミドプロピル−、パルミドプロピル−又はイソステアラミドプロピル−ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリストアミドプロピル−、パルミドプロピル−又はイソステアラミドプロピル−ジメチルアミン;ナトリウム=メチルココイル−又はジナトリウム=メチルオレイル−タウレート;並びにMONAQUA(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.(Paterson,N.J.))、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、及びエチレンとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、PLURONICS(商標)、PF68など)である。
【0157】
使用され得る例示的な防腐剤は、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はそれらの混合物である。
【0158】
使用され得る例示的な糖類は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デキストラン、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、シリトール(sylitol)、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール又はイソマルツロースなどの、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖、非還元糖である。
【0159】
使用され得る例示的な塩は、酸付加塩及び塩基付加塩である。酸付加塩としては、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無毒性無機酸由来、並びに、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸類などの無毒性有機酸由来のものが挙げられる。塩基付加塩としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属由来、並びに、例えばN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの非毒性有機アミン類由来のものが挙げられる。例示的な塩は、塩化ナトリウムである。
【0160】
医薬組成物中の医薬的に許容される担体(単数又は複数)の量は、担体(単数又は複数)の活性及び製剤の所望の特性、例えば安定性及び/又は最小酸化に基づいて実験的に決定され得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒスチジンを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mM〜約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM〜約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM〜約30mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM〜約20mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM〜約15mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM〜約10mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM又は約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、スクロースを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1%(w/v)〜約20%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2%(w/v)〜約18%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約4%(w/v)〜約16%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約6%(w/v)〜約14%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約6%(w/v)〜約12%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約6%(w/v)〜約10%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%(w/v)、約8%(w/v)、約9%(w/v)、約10%(w/v)、約11%(w/v)、約12%(w/v)、約13%(w/v)、約14%(w/v)、約15%(w/v)、約16%(w/v)、約17%(w/v)、約18%(w/v)、約19%(w/v)、又は約20%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約8%(w/v)の濃度のスクロースを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート−20を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)〜約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート−20(PS−20)を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)〜約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート−20(PS−20)を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)〜約0.06%(w/v)の濃度のポリソルベート−20(PS−20)を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、又は約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート−20(PS−20)を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.04%(w/v)の濃度のポリソルベート−20(PS−20)を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、EDTAを含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1μg/ml〜約50μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5μg/ml〜約50μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5μg/ml〜約30μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5μg/ml〜約20μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5μg/ml〜約15μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5μg/ml〜約10μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1μg/ml、約2μg/ml、約3μg/ml、約4μg/ml、約5μg/ml、約6μg/ml、約7μg/ml、約8μg/ml、約9μg/ml、約10μg/ml、約11μg/ml、約12μg/ml、約13μg/ml、約14μg/ml、約15μg/ml、約16μg/ml、約17μg/ml、約18μg/ml、約19μg/ml、約20μg/ml、約21μg/ml、約22μg/ml、約23μg/ml、約24μg/ml、約25μg/ml、約26μg/ml、約27μg/ml、約28μg/ml、約29μg/ml、約30μg/ml、約31μg/ml、約32μg/ml、約33μg/ml、約34μg/ml、約35μg/ml、約36μg/ml、約37μg/ml、約38μg/ml、約39μg/ml、約40μg/ml、約41μg/ml、約42μg/ml、約43μg/ml、約44μg/ml、約45μg/ml、約46μg/ml、約47μg/ml、約48μg/ml、約49μg/ml、又は約50μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20μg/mlの濃度のEDTAを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約10mg/ml〜約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、ヒスチジン、スクロース、ポリソルベート−20、及びEDTAを含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される。
【0195】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約10mg/ml〜約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される。
【0196】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約10mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される。
【0197】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される。
【0198】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約90mg〜約240mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与するために提供される。
【0199】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約90mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与するために提供される。
【0200】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約240mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与するために提供される。
【0201】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、再構成されると、約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、液体である。
【0203】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、凍結液である。
【0204】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥粉末である。
【0205】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1ml〜約20mlの体積で提供される。
【0206】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約6ml、約7ml、約8ml、約9ml、約10ml、約11ml、約12ml、約13ml、約14ml、約15ml、約16ml、約17ml、約18ml、約19ml、又は約20mlの体積で提供される。
【0207】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約3mlの体積で提供又は再構成される。
【0208】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約3.3mlの体積で提供又は再構成される。
【0209】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約8mlの体積で提供又は再構成される。
【0210】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約8.6mlの体積で提供又は再構成される。
【0211】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約8.8mlの体積で提供又は再構成される。
【0212】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約3.3mlの体積の、約10mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される。
【0213】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体は、セトレリマブである。セトレリマブは、次のアミノ酸配列:配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、配列番号6のLCDR6、配列番号7のVH、配列番号8のVL、配列番号9のHC、及び配列番号10のLCを特徴とするIgG4/κ抗体である。
【0214】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約3.3mlに再構成されるとき、約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、約90mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与されるか、又は投与するために提供される。
【0215】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体は、セトレリマブである。
【0216】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、約8.6mlに再構成されるとき、約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、約240mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与されるか、又は投与するために提供される。
【0217】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体は、セトレリマブである。
【0218】
「凍結乾燥(Lyophilization)」、「凍結乾燥された(lyophilized)」、及び「凍結乾燥された(freeze-dried)」とは、乾燥される材料が最初に凍結され、次いで、氷又は凍結溶剤が真空環境で昇華によって除去されるプロセスを指す。賦形剤は、保存時の凍結乾燥製品の安定性を強化するために、事前凍結乾燥製剤に含まれてもよい。
【0219】
「再構成する(Reconstitute)」、「再構成された(reconstituted)」又は「再構成(reconstitution)」とは、凍結乾燥製剤中のタンパク質が再構成された製剤中に分散されるように、凍結乾燥製剤を希釈剤に溶解することを指す。再構成された製剤は、投与、例えば非経口投与)に好適であり、任意に皮下投与に好適であり得る。いくつかの実施形態では、希釈剤は、注射用滅菌水(sterile water for injection、sWFI)である。
【0220】
「医薬組成物」、「医薬製剤」又は「製剤」とは、液体又は固体(例えば、凍結乾燥)形態のいずれかの活性成分(例えば、抗PD−1抗体)と1つ又は2つ以上の賦形剤との組み合わせを指す。
【0221】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、静脈内注入により投与される。
【0222】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、投与前に約100ml〜1000mlの体積に希釈される。
【0223】
いくつかの実施形態では、静脈内注入期間は、約20分〜約80分である。
【0224】
いくつかの実施形態では、静脈内注入期間は、約20、約30、約40、約50、約60、約70、又は約80分である。
【0225】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、1回又は2回以上の皮下注射により投与される。
【0226】
本発明は、癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、対象がPD−1軸ナイーブであり、癌の治療のための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていた、かつ/若しくはそれに不適格であるか、又はそれらの任意の組み合わせである、癌を治療する方法も提供する。
【0227】
いくつかの実施形態では、本方法は、癌と診断された対象群において、少なくとも15%の全奏功率(overall response rate、ORR)を達成する。ORRは、部分奏功(partial response、PR)又は完全奏功(complete response、CR)を達成する対象の百分率として定義される。ORRは、固形腫瘍の応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors、RECIST)v1.1、又は選択された進行固形腫瘍を有する対象におけるirRCにより評価されてもよい(Wolchok et al.(2009)Clin Cancer Res 15:7412−20からのirRC=−IRRC=免疫関連応答基準)。
【0228】
いくつかの実施形態では、少なくとも約15%のORRが、約1.5ヶ月以上の中央値の治療期間後に達成される。
【0229】
いくつかの実施形態では、少なくとも約15%のORR、約1ヶ月以上、約2ヶ月以上、約3ヶ月以上、約4ヶ月以上、約5ヶ月以上、約6ヶ月以上、約7ヶ月以上、約8ヶ月以上、約9ヶ月以上、約10ヶ月以上、約11ヶ月以上、又は約12ヶ月以上の中央値の治療期間後に達成される。
【0230】
いくつかの実施形態では、本方法は、癌と診断された対象群において、少なくとも約19%のORRを達成する。
【0231】
いくつかの実施形態では、癌はNSCLCである。
【0232】
いくつかの実施形態では、本方法は、PD−L1高NSCLCと診断された対象群において少なくとも約30%のORR、又は癌におけるPD−L1発現が決定されていない対象群において少なくとも約25%のORRを達成する。
【0233】
いくつかの実施形態では、本方法は、PD−L1高NSCLCと診断された対象群において少なくとも約35%のORRを達成する。
【0234】
いくつかの実施形態では、癌は黒色腫である。
【0235】
いくつかの実施形態では、本方法は、又は黒色腫と診断された対象群において少なくとも約25%のORRを達成する。
【0236】
いくつかの実施形態では、黒色腫は、非ぶどう膜黒色腫である。
【0237】
いくつかの実施形態では、本方法は、非ぶどう膜黒色腫と診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0238】
いくつかの実施形態では、本方法は、MSI−H CRCと診断された対象群において少なくとも約35%のORRを達成する。
【0239】
いくつかの実施形態では、本方法は、dMMR CRCと診断された対象群において少なくとも約35%のORRを達成する。
【0240】
本発明は、結腸直腸癌(CRC)と診断された対象に、CRCを治療するのに十分な時間にわたって、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、CRCを治療する方法も提供する。
【0241】
本発明は、ミスマッチ修復欠損(mismatch repair-deficient、dMMR)結腸直腸癌(CRC)又は高レベルマイクロサテライト不安定性(high-level microsatellite instability、MSI−H)CRCと診断された対象に、dMMR CRC又はMSI−H CRCを治療するのに十分な時間にわたって、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、dMMR CRC又はMSI−H CRCを治療する方法も提供する。
【0242】
結腸直腸癌(CRC)の約15%は、腫瘍内のマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability、MSI)を特徴とする、DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)を有する。dMMR/MSIを有する腫瘍は、典型的には、MMR遺伝子のうちの1つにおける生殖細胞系変異、又は同じ経路の体細胞不活性化から生じる。dMMR/MSI腫瘍には、リンチ症候群及び散発性MSI−H CRCとも呼ばれる、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌(hereditary non-polyposis colorectal cancer、HNPCC)が含まれる。リンチ症候群は、MMR遺伝子MLH1、MSH2、MSH6、若しくはPMS2、又はMSH2のエピジェネティックな不活性化における生殖細胞系変異によって引き起こされる。散発性MSI−H CRCは、MLH1プロモーターのメチル化によって引き起こされることが多い。MSI−H腫瘍のサブセットは、MMR遺伝子自体に改変を有さないが、代わりに、MMR遺伝子をサイレンシングすることができる様々なmiRNAsを過剰発現する。例えば、miRNA−21は、MSH2及びMSH6 mRNAを標的とするMSI−H CRCにおいて過剰発現されることが分かった。
【0243】
MSI−H CRCは、マイクロサテライトマーカーの安定性を検出する腫瘍組織サンプルのポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)を使用して検出することができる。CRCは、評価された少なくとも5つのマーカーを有するマイクロサテライトマーカーのうちの30%以上に不安定性が示される場合、MSI−Hとして分類される。国立がん研究所(National Cancer Institute)は、MSIスクリーニングのための5つのマイクロサテライトのパネル、BAT25及びBAT26(モノヌクレオチド反復)、D2S123、D5S346、並びにD17S250(ジヌクレオチド反復)を推奨している。dMMRは、腫瘍組織の免疫組織化学を使用して検出することができる。CRCは、少なくとも1つのMMR遺伝子MLH1、MSH2、MSH6、又はPMS2の喪失が腫瘍組織において検出される場合、dMMRとして分類される。
【0244】
いくつかの実施形態では、CRCは、ステージIIのCRC又はステージIIIのCRCである。例えば、American Joint Committee on Cancer(AJCC)TNMシステム及び腫瘍学者による診断を使用するCRC病期分類が既知である。
【0245】
いくつかの実施形態では、CRCと診断された対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、若しくはイリノテカン、又はそれらの任意の組み合わせによる治療に難治性である。
【0246】
いくつかの実施形態では、CRCと診断された対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、若しくはイリノテカン、又はこれらの任意の組み合わせによる治療後に再発性腫瘍を有する。
【0247】
様々な定性的及び/又は定量的方法が、疾患の再発又は難治性を決定するために使用され得る。再発又は難治性疾患に関連し得る症状は、例えば、患者の健康状態の低下若しくはプラトー状態、腫瘍に関連する様々な症状の復元若しくは悪化、及び/又は1つの場所から他の臓器、組織、若しくは細胞への体内の癌性細胞の拡がりである。
【0248】
本発明は、胸腺癌と診断された対象に、胸腺癌を治療するのに十分な時間にわたって、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0249】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、胸腺癌を治療するのに十分な時間にわたって、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法を提供する。
【0250】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、胸腺癌を治療するのに十分な時間にわたって、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0251】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0252】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約80mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0253】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約160mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0254】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約240mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0255】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約320mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0256】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約400mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0257】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約480mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0258】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約560mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0259】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約720mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0260】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約800mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0261】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約880mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0262】
本発明はまた、胸腺癌と診断された対象に、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、約960mgの投薬量で、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含むアンタゴニスト抗PD1抗体を投与することを含む、胸腺癌を治療する方法も提供する。
【0263】
いくつかの実施形態では、胸腺癌は、胸腺腫である。
【0264】
いくつかの実施形態では、胸腺腫は、A型胸腺腫である。
【0265】
いくつかの実施形態では、胸腺腫は、AB型胸腺種である。
【0266】
いくつかの実施形態では、胸腺腫は、B1型胸腺種である。
【0267】
いくつかの実施形態では、胸腺腫は、B2型胸腺腫である。
【0268】
いくつかの実施形態では、胸腺腫は、B3型胸腺種である。
【0269】
いくつかの実施形態では、胸腺癌は、胸腺癌腫である。
【0270】
いくつかの実施形態では、胸腺癌腫は、低悪性度の胸腺癌腫である。
【0271】
いくつかの実施形態では、胸腺癌腫は、高悪性度の胸腺癌腫である。
【0272】
いくつかの実施形態では、胸腺癌は、転移性胸腺癌腫である。
【0273】
いくつかの実施形態では、胸腺癌は、肺、リンパ節、心臓、又は骨に転移している。
【0274】
いくつかの実施形態では、対象は、手術、放射線療法、化学療法、又はホルモン療法で治療されている。
【0275】
いくつかの実施形態では、対象は、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド、イホスファミド、オクトレオチド、パクリタキセル、若しくはペメトレキセド、又はそれらの任意の組み合わせで治療されている。
【0276】
胸腺癌は、例えば、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology、ASCO)病期分類システムに従って病期分類され得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、IgG1、IgG2、及びIgG3、又はIgG4アイソタイプである。
【0279】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、IgG4アイソタイプである。
【0280】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、IgG4アイソタイプであり、EUインデックスに従う残基付番で位置228にプロリンを含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体は、nG4m(a)アロタイプである。
【0282】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、抗体エフェクター機能又は抗体半減期を調節するために、Fc領域に少なくとも1つの置換を有する。
【0283】
いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗PD−1抗体は、配列番号9の重鎖及び配列番号10の軽鎖を含む。
【0284】
本発明はまた、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む約10mg/mLのアンタゴニスト抗PD−1抗体、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート20、及び約20μg/ml及びEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物も提供する。
【0286】
配列番号2
GIIPIFDTANYAQKFQG
【0287】
配列番号3
PGLAAAYDTGSLDY
【0291】
配列番号7
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARPGLAAAYDTGSLDYWGQGTLVTVSS
【0292】
配列番号8
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVRSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRNYWPLTFGQGTKVEIK
【0293】
配列番号9
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARPGLAAAYDTGSLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0294】
配列番号10
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVRSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRNYWPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0295】
本発明はまた、約10mg/ml〜約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約90mg〜約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、
約90mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、又は
約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤を含む医薬組成物も提供する。
【0296】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む。
【0297】
本発明はまた、約10mg/ml〜約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約90mg〜約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、
約90mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、又は
約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤を含む薬物製剤も提供する。
【0298】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、注射用滅菌水(sWFI)に再構成される。
【0300】
本発明はまた、約3.3mlの体積で、約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む薬物製品も提供する。
【0301】
本発明はまた、約3.3mlに再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、約90mgのセトレリマブを含む凍結乾燥製剤を含む薬物製品も提供する。
【0302】
本発明はまた、約8.6mlに再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、約240mgのセトレリマブを含む凍結乾燥製剤を含む薬物製品も提供する。
【0303】
本発明はまた、癌の治療のための、約10mg/ml〜約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
約90mg〜約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、
約90mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、又は
約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤を含む薬物製品も提供する。
【0304】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、薬物製品は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、胃腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肝臓癌、結腸直腸癌(CRC)、結腸癌、胆嚢癌、胆道癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、腹膜癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌(SCLC)、乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、メルケル細胞癌、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、尿路上皮癌、唾液線癌、中皮腫、肛門癌、前立腺癌、基底細胞癌、及び進行皮膚扁平上皮癌(CSCC)、又はそれらの任意の組み合わせの治療のために提供される。
【0306】
いくつかの実施形態では、薬物製品は、NSCLC、黒色腫、膀胱癌、腎細胞癌、SLCL、CRC、胃癌、前立腺癌、又は食道癌の治療のために提供される。
【0307】
いくつかの実施形態では、薬物製品は、PD−L1高NSCLCの治療のために提供される。
【0308】
いくつかの実施形態では、薬物製品は、MSI−H CRC又はdMMR CRCの治療のために提供される。
【0309】
いくつかの実施形態では、薬物製品は、非ぶどう膜黒色腫の治療のために提供される。
【0310】
いくつかの実施形態では、薬物製品は、
2週間に1回、約240mgの投薬量で、
4週間に1回、約480mgの投薬量で、又は
初期投与量として約240mg、続いて初期投与量の6週間後に約480mgの第2の投与量、その後4週間に1回、約480mg、又は
初期投与量として約240mg、続いて初期投与量の6週間後に約480mgの第2の投与量、その後2週間に1回、約240mg、投与される。
【0311】
いくつかの実施形態では、薬物製品薬物製品は、静脈内投与により、若しくは皮下投与により、又はそれらの組み合わせにより投与される。
【0312】
本発明の方法で使用される抗体の生成
本発明の方法で使用されるアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片は、様々な技術を使用して生成され得る。例えば、Kohler及びMilsteinのハイブリドーマ法を使用して、モノクローナル抗体を生成することができる。ハイブリドーマ法において、マウス又は他の宿主動物(例えばハムスター、ラット、若しくはサル)を、PD−1の細胞外ドメインなどのヒト及び/又はカニクイザルPD−1抗原で免疫付与し、続いて、標準的な方法を使用して、骨髄腫細胞で免疫付与した動物の脾臓細胞を融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する。1つの不死化ハイブリドーマ細胞から生じるコロニーを、所望の特性(例えば、結合の特異性、交差反応性又はその欠如、抗原への親和性、及びアンタゴニスト活性などの機能性)を有する抗体の産生のためにスクリーニングしてよい。
【0313】
ヒト受容体フレームワークの選別を含む例示的なヒト化技術としては、CDRグラフト化(米国特許第5,225,539号)、SDRグラフト化(米国特許第6,818,749号)、リサーフェシング(Padlan,(1991)Mol Immunol 28:489−499)、特異性決定残基のリサーフェシング(米国特許出願公開第2010/0261620号)、ヒトフレームワーク適応(米国特許第8,748,356号)、又は超ヒト化(米国特許第7,709,226号)が挙げられる。これらの方法では、CDRの長さの類似性若しくはカノニカル構造の同一性、又はこれらの組み合わせに基づいて、親フレームワークに対する全体的な相同性に基づき選択され得るヒトフレームワークに、親抗体のCDR又はCDR残基のサブセットを移植する。
【0314】
ヒト化抗体は、国際公開第1090/007861号及び同第1992/22653号に記載されているものなどの技術によって、結合親和性を保存するように変化させたフレームワーク支持残基を組み込むことによって(復帰変異)、又は任意のCDRに変異を導入して、例えば抗体の親和性を改善することによって、所望の抗原に対するその選択性又は親和性を改善するように更に最適化させてもよい。
【0315】
自身のゲノムにヒト免疫グロブリン(immunoglobulin、Ig)座位を有する、マウス又はラットなどのトランスジェニック動物を使用してPD−1に対する抗体を生成することができ、これらは例えば、米国特許第6,150,584号、国際公開第1999/45962号、同第2002/066630号、同第2002/43478号、同第2002/043478号、及び同第1990/04036号に記載されている。このような動物の内在的な免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させてもよく、相同又は非相同組み換えを使用して、導入染色体(transchromosome)を使用して、又はミニ遺伝子を使用して、少なくとも1つの完全な又は部分的なヒト免疫グロブリン遺伝子座を動物のゲノムに挿入してもよい。Regeneron(http://_www_regeneron_com)、Harbour Antibodies(http://_www_harbourantibodies_com)、Open Monoclonal Technology,Inc.(OMT)(http://_www_omtinc_net)、KyMab(http://_www_kymab_com)、Trianni(http://_www.trianni_com)、及びAblexis(http://_www_ablexis_com)などの企業は、上記の技術を使用して、選択抗原を標的としたヒト抗体を提供するべく取り組んでいる場合がある。
【0316】
抗体はファージディスプレイライブラリから選択することができ、ここでファージは、ヒト免疫グロブリン、あるいは例えばFab、一本鎖抗体(scFv)、又は非対化若しくは対化抗体可変領域などのそれらの部分を発現するよう改変されている。本発明の抗体は、例えば、Shi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385−96及び国際公開第09/085462号)に記載されているバクテリオファージpIXコートタンパク質との融合タンパク質として抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライブラリから単離され得る。ライブラリを、ヒト及び/又はカニクイザルPD−1のファージ結合についてスクリーニングして、得られた陽性クローンの特性評価を更に行い、Fabをクローンの溶解物から単離し、完全長のIgGとして発現させることができる。
【0317】
抗体のCDRは、任意のヒトフレームワーク上にグラフト化されてもよく、得られた抗体の機能性を試験することができる。例えば、抗体JNJ−63723283は、ヒト生殖細胞系遺伝子IGHV1−69及びIGKV3−11に由来するフレームワークを含む。あるいは、JNJ−63723283 HCDRは、他のIGHV1生殖細胞系遺伝子サブグループフレームワークにグラフト化されてもよく、LCDRは、他のIGKV3生殖細胞系遺伝子サブグループフレームワークにグラフト化されてもよく、得られた抗体は所望の機能性について試験される。ヒト生殖細胞系遺伝子配列は周知であり、例えば、ImMunoGeneTics Information System(登録商標)から検索することができる。
【0318】
免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、組み換えタンパク質生成などの任意の好適な技術を使用して実施することができる。免疫原性抗原は、精製タンパク質、あるいは全細胞又は細胞若しくは組織抽出物を含むタンパク質混合物の形態で動物に投与されてもよく、抗原は、当該抗原又はその一部分をコードしている核酸から動物の体内で新規に(de novo)形成されてもよい。
【0319】
抗体の産生方法
大規模で抗体を産生する方法は既知である。抗体は、例えば、既知の方法を使用して培養されたCHO細胞において産生され得る。抗体は、精製プロセスにおける第1の工程として遠心分離又は濾過によって固体を除去することにより、培養培地から単離及び/又は精製することができる。抗体は、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、サイズ排除、及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ)、ゲル濾過、遠心分離、又は溶解度差、エタノール沈殿、又は抗体の精製のための任意の他の利用可能な技術を含む標準的な方法によって更に精製することができる。フッ化フェニルメチルスルホニル(phenyl methyl sulfonyl fluoride、PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン、又はアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤は、精製プロセス中の抗体の分解を低減又は排除するために、任意の又は全ての段階で添加することができる。当業者であれば、精製されるポリペプチド又はタンパク質の特性、ポリペプチド又はタンパク質が発現される細胞の特性、及び細胞が成長した培地の組成に応じて、正確な精製技術が異なることを理解するであろう。
【0320】
本発明の更なる実施形態
本明細書の他の箇所の開示に従う、本発明の特定の更なる実施形態を以下に記載する。本明細書に開示される本発明に関連するものとして上述された本発明の実施形態の特徴は、これらの番号付けされた更なる実施形態のうちの1つ1つにもまた関係する。
1)アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片であって、癌を有する対象を治療する際に使用するための、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、アンタゴニスト抗PD−1抗体は、約240mg〜約480mgの投与量で投与される、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
2)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回投与される、実施形態1に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
3)アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片が、
a)2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、若しくは6週間に1回、約240mgの投薬量で、
b)2週間に1回、約240mgの投薬量で、
c)3週間に1回、約240mgの投薬量で、
d)4週間に1回、約240mgの投薬量で、
e)5週間に1回、約240mgの投薬量で、
f)6週間に1回、約240mgの投薬量で、
g)2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、若しくは6週間に1回、約480mgの投薬量で、
h)2週間に1回、約480mgの投薬量で、
i)3週間に1回、約480mgの投薬量で、
j)4週間に1回、約480mgの投薬量で、
k)5週間に1回、約480mgの投薬量で、又は
l)6週間に1回、約480mgの投薬量で投与される、実施形態1又は2に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
4)癌が固形腫瘍である、実施形態1又は2に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
5)固形腫瘍が、進行固形腫瘍である、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
6)癌が、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、胃腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肝臓癌、結腸直腸癌(CRC)、結腸癌、胆嚢癌、胆道癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、腹膜癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌(SCLC)、乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、メルケル細胞癌、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、尿路上皮癌、唾液線癌、中皮腫、肛門癌、前立腺癌、基底細胞癌、及び進行皮膚扁平上皮癌(CSCC)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
7)対象が、PD−1軸ナイーブである、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
8)対象が、癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の治療薬を以前に受けていた、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
9)癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬が、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、BRAF/MEK阻害剤、化学療法、若しくはインターフェロンアルファ、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
10)対象が、癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬又はそれらの任意の組み合わせに対して、抵抗性、難治性、又は抵抗性及び難治性である、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
11)癌を治療するための1つ、2つ、又は3つ以上の以前の治療薬が、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、BRAF/MEK阻害剤、化学療法、若しくはインターフェロンアルファ、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
12)癌が、PD−L1陽性である、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
13)癌が、PD−L1高である、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
14)癌におけるPD−L1の発現が決定されていない、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
15)癌が、変異体BRAFを発現する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
16)変異体BRAFが、V600E変異を含む、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
17)癌が、野生型BRAFを発現する、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
18)アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片が、
a)約10mg/ml〜約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される、
b)約10mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される、
c)約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与するために提供される、
d)約90mg〜約240mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与するために提供される、
e)約90mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与するために提供される、又は
f)約240mgのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤として投与するために提供される、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
19)d)、e)、及び/又はf)の凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
20)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、静脈内注入により投与される、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
21)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、皮下注射により投与される、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
22)方法が、癌と診断された対象群において、少なくとも約15%の全奏功率(ORR)を達成する、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
23)少なくとも約15%のORRが、約1.5ヶ月以上の中央値の治療期間後に達成される、実施形態22に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
24)方法が、癌と診断された対象群において少なくとも約19%のORRを達成する、実施形態22又は23に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
25)癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態6に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
26)方法が、PD−L1高NSCLCと診断された対象群において少なくとも約30%のORR、又は癌におけるPD−L1発現が決定されていない対象群において少なくとも約25%のORRを達成する、実施形態25に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
27)方法が、PD−L1高NSCLCと診断された対象群において少なくとも約35%のORRを達成する、実施形態25又は26に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
28)癌が、黒色腫である、実施形態6に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
29)方法が、黒色腫と診断された対象群において少なくとも約25%のORRを達成する、実施形態28に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
30)黒色腫が、非ぶどう膜黒色腫である、実施形態28又は29に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
31)方法が、非ぶどう膜黒色腫と診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する、実施形態30に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
32)CRCが、マイクロサテライト不安定性−高(MSI−H)CRC若しくはミスマッチ修復欠損(dMMR)CRC、又はそれらの組み合わせである、実施形態31に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
33)CRCが、ステージIIのCRC又はステージIIIのCRCである、実施形態32に記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
34)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態1〜33のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
35)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである、実施形態1〜34のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
36)アンタゴニスト抗PD−1抗体が、配列番号9の重鎖及び配列番号10の軽鎖を含む、実施形態1〜35のいずれか1つに記載の使用のためのアンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片。
37)医薬組成物であって、
a)約10mg/ml〜約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
b)約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
c)約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
d)約90mg〜約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、
e)約90mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、又は
f)約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤を含む、医薬組成物。
38)d)、e)、及び/又はf)の凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、実施形態37に記載の医薬組成物。
39)薬物製品であって、
a)約10mg/ml〜約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
b)約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
c)約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
d)約90mg〜約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、
e)約90mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、又は
f)約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤を含む、薬物製品。
40)d)、e)、及び/又はf)の凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、実施形態39に記載の薬物製品。
41)薬物製品であって、癌を有する対象を治療する際に使用するための、
a)約10mg/ml〜約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
b)約10mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
c)約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)、
d)約90mg〜約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、
e)約90mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤、又は
f)約240mgのセトレリマブ、及び1つ若しくは2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む凍結乾燥製剤を含む、薬物製品。
42)d)、e)、及び/又はf)の凍結乾燥製剤が、再構成されると、約30mg/mlのセトレリマブ、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%(w/v)のポリソルベート−20、及び約20μg/mlのEDTA(pH6.5)を含む、実施形態41に記載の薬物製品。
43)癌が、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、胃腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肝臓癌、結腸直腸癌(CRC)、結腸癌、胆嚢癌、胆道癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、腹膜癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌(SCLC)、乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、メルケル細胞癌、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、尿路上皮癌、唾液線癌、中皮腫、肛門癌、前立腺癌、基底細胞癌、及び進行皮膚扁平上皮癌(CSCC)、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態41に記載の薬物製品。
44)
a)NSCLCが、PD−L1高NSCLCであるか、
b)CRCが、MSI−H CRC若しくはdMMR CRCであるか、又は
c)黒色腫が、非ぶどう膜黒色腫であるか、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態43に記載の薬物製品。
45)薬物製品が、
a)2週間に1回、約240mgの投薬量で、
b)4週間に1回、約480mgの投薬量で、又は
c)初期投与量として約240mg、続いて初期投与量の6週間後に約480mgの第2の投与量、その後4週間に1回、約480mg、又は
d)初期投与量として約240mg、続いて初期投与量の6週間後に約480mgの第2の投与量、その後2週間に1回、約240mg、投与される、実施形態41に記載の薬物製品。
46)薬物製品が、静脈内投与により、若しくは皮下投与により、又はそれらの組み合わせにより投与される、実施形態41に記載の薬物製品。
47)癌を治療する方法であって、癌と診断された対象に、2、3、4、5、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、方法。
48)癌と診断された対象に、2、3、4、5、又は6週間に1回、約80mg〜約1000mgの投薬量で、投与のための、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を提供することと、癌と診断された対象に、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含む、実施形態47に記載の方法。
49)癌が、進行固形腫瘍である、実施形態48に記載の方法。
50)対象が、癌を治療するための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていたか、又はそれに不適格である、実施形態47〜49のいずれか1つに記載の方法。
51)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、2、3、4、5、又は6週間に1回、約80mg、約160mg、約240mg、約320mg、約400mg、約480mg、約560mg、約720mg、約800mg、約880mg、又は約960mgの投薬量で投与される、実施形態47〜50のいずれか1つに記載の方法。
52)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、2週間に1回、約240mgの投薬量で、又は4週間に1回、約480mgの投薬量で投与される、実施形態47〜51のいずれか1つに記載の方法。
53)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、約10mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%のポリソルベート−20、及び約20μg/ml及びEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において提供される、実施形態47〜52のいずれか1つに記載の方法。
54)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、静脈内注入により投与される、実施形態47〜53のいずれか1つに記載の方法。
55)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、投与前に、約100ml〜1000mlの体積に希釈される、実施形態47〜54のいずれか1つに記載の方法。
56)静脈内注入期間が、約20分〜約80分である、実施形態47〜55のいずれか1つに記載の方法。
57)静脈内注入期間が、約20、約30、約40、約50、約60、約70分、又は約80分である、実施形態47〜56のいずれか1つに記載の方法。
58)癌が、胸腺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、黒色腫、膀胱癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、及び結腸直腸癌(CRC)からなる群から選択される、実施形態47〜57のいずれか1つに記載の方法。
59)胸腺癌が、胸腺腫、胸腺癌腫、若しくは転移性胸腺癌、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態47〜58のいずれか1つに記載の方法。
60)胸腺腫が、A型胸腺腫、AB型胸腺腫、B1型胸腺腫、B2型胸腺腫、又はB3型胸腺腫である、実施形態47〜59のいずれか1つに記載の方法。
61)胸腺癌腫が、低悪性度の胸腺癌腫又は高悪性度の胸腺癌腫である、実施形態47〜60のいずれか1つに記載の方法。
62)胸腺癌が、肺、リンパ節、心臓、又は骨に転移している、実施形態47〜61のいずれか1つに記載の方法。
63)対象が、手術、放射線療法、化学療法、又はホルモン療法で治療されている、実施形態47〜62のいずれか1つに記載の方法。
64)化学療法が、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド、イホスファミド、オクトレオチド、パクリタキセル、若しくはペメトレキセド、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態47〜63のいずれか1つに記載の方法。
65)CRCが、マイクロサテライト不安定性−高(MSI−H)CRC若しくはミスマッチ修復欠損(dMMR)CRC、又はそれらの組み合わせである、実施形態47〜64のいずれか1つに記載の方法。
66)CRCが、ステージIIのCRC又はステージIIIのCRCである、実施形態47〜65のいずれか1つに記載の方法。
67)対象が、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、若しくはイリノテカン、又はそれらの任意の組み合わせでの治療に難治性であるか、又はそれでの治療後に再発性CRCを有する、実施形態47〜66のいずれか1つに記載の方法。
68)対象が、PD−1軸ナイーブである、実施形態47〜67のいずれか1つに記載の方法。
69)対象が、PD−1軸ナイーブであり、かつ癌を治療するための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていた、実施形態47〜68のいずれか1つに記載の方法。
70)癌が、PD−L1陽性である、実施形態47〜69のいずれか1つに記載の方法。
71)癌が、PD−L1高である、実施形態47〜70のいずれか1つに記載の方法。
72)方法が、癌と診断された対象群において、少なくとも約15%の全奏功率(ORR)を達成する、実施形態47〜71のいずれか1つに記載の方法。
73)方法が、MSI−H CRCと診断された対象群において少なくとも約35%のORR、dMMR CRCと診断された対象群において少なくとも約35%のORR、PD−L1高NSCLCと診断された対象群において少なくとも約30%のORR、若しくは黒色腫と診断された対象群において少なくとも約25%のORR、又はそれらの任意の組み合わせを達成する、実施形態47〜72のいずれか1つに記載の方法。
74)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態47〜73のいずれか1つに記載の方法。
75)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、IgG1、IgG2、及びIgG3、又はIgG4アイソタイプである、実施形態47〜74のいずれか1つに記載の方法。
76)アンタゴニスト抗PD−1抗体が、配列番号9の重鎖及び配列番号10の軽鎖を含む、実施形態47〜75のいずれか1つに記載の方法。
77)配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含む、約10mg/mLのアンタゴニスト抗PD−1抗体、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクローロース、約0.04%のポリソルベート−20、並びに約20μg/ml及びEDTA(pH6.5)を含む、医薬組成物。
78)胸腺癌を治療する方法であって、胸腺癌と診断された対象に、胸腺癌を治療するのに十分な時間にわたって、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、方法。
79)胸腺癌が、胸腺腫、胸腺癌腫、若しくは転移性胸腺癌、又はそれらの任意の組み合わせである、任意の実施形態78に記載の方法。
80)胸腺腫が、A型胸腺腫、AB型胸腺腫、B1型胸腺腫、B2型胸腺腫、又はB3型胸腺腫である、任意の実施形態78又は79に記載の方法。
81)胸腺癌腫が、低悪性度の胸腺癌腫又は高悪性度の胸腺癌腫である、実施形態78〜80のいずれか1つに記載の方法。
82)胸腺癌が、肺、リンパ節、心臓、又は骨に転移している、実施形態78〜81のいずれか1つに記載の方法。
83)対象が、手術、放射線療法、化学療法、若しくはホルモン療法、又はそれらの任意の組み合わせで治療されているか、又は治療される、実施形態78〜82,のいずれか1つに記載の方法。
84)化学療法が、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド、イホスファミド、オクトレオチド、パクリタキセル、若しくはペメトレキセド、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態78〜83のいずれか1つに記載の方法。
85)対象が、PD−1軸ナイーブであり、癌を治療するための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていた、及び/若しくはそれを受けるのに不適格である、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態78〜84のいずれか1つに記載の方法。
86)対象が、PD−1軸ナイーブであり、かつ癌を治療するための少なくとも1つの治療薬を以前に受けていた、実施形態78〜85のいずれか1つに記載の方法。
87)癌が、PD−L1陽性である、実施形態78〜86のいずれか1つに記載の方法。
88)癌が、PD−L1高である、実施形態78〜87のいずれか1つに記載の方法。
89)方法が、癌と診断された対象群において、少なくとも約15%の全奏功率(ORR)を達成する、実施形態78〜88のいずれか1つに記載の方法。
90)アンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片が、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態78〜89のいずれか1つに記載の方法。
91)アンタゴニスト抗PD−1抗体が、IgG1、IgG2、及びIgG3、又はIgG4アイソタイプである、実施形態78〜90のいずれか1つに記載の方法。
92)アンタゴニスト抗PD−1抗体が、配列番号9の重鎖及び配列番号10の軽鎖を含む、実施形態78〜91のいずれか1つに記載の方法。
93)アンタゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合断片が、約10mg/mlのアンタゴニスト抗PD−1抗体又はその抗原結合断片、約10mMのヒスチジン、約8.0%(w/v)のスクロース、約0.04%のポリソルベート−20、及び約20μg/ml及びEDTA(pH6.5)を含む医薬組成物において提供される、実施形態78〜92のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
次に、本発明を以下の特定の非限定的な実施例を参照して説明する。
実施例1.進行癌を有する対象における、高PD−1モノクローナル抗体であるJNJ−63723283(セトレリマブ)の安全性、薬物動態、薬力学、及び臨床活性を評価するためのファースト・イン・ヒューマン、非盲検、第1/2相試験(NCT02908906)
これは、パート1においてJNJ−63723283についてRP2D(複数可)を確立し、パート2においてRP2D(複数可)の安全性及び有効性を評価するための、ファースト・イン・ヒューマン(first-in-human、FIH)、第1/2相、非盲検、多施設研究である。パート1は、投薬量漸増コホート及び薬物動態/薬力学コホートからなる。パート2では、パート1で決定された1つ又は2つ以上のRP2D(複数可)が、NSCLC、黒色腫、膀胱癌、腎臓癌、小細胞肺癌(SCLC)、胃/食道癌、MSI−H又はdMMR CRC、及び胸腺腫(胸腺癌腫を含む)を含む選択された固形腫瘍の種類において評価される。JNJ−63723283の全体的な安全性は、安全評価チーム(Safety Evaluation Team、SET)によって評価される。対象は、疾患の進行、容認できない毒性、同意の取り下げ、又は研究終了まで、JNJ−63723283を受け続ける。
【0322】
主目的:
●JNJ−63723283の推奨される第2相投薬量(複数可)(RP2D[複数可])を同定するため(パート1)
●NSCLC、黒色腫、腎臓癌、膀胱癌、SCLC、胃/食道癌、高レベルマイクロサテライト不安定性(MSI−H)又はミスマッチ修復欠損(dMMR)結腸直腸癌(CRC)、及び胸腺腫(パート2)を含む選択された進行癌を有する対象におけるRP2D(複数可)でのJNJ−63723283の抗腫瘍活性を評価するため
【0323】
副次的目的:
●進行固形腫瘍を有する対象におけるJNJ−63723283の安全性を特徴付けるため
●静脈内投与されたJNJ−63723283の薬物動態を特徴付けるため
●JNJ−63723283の免疫原性を評価するため
●JNJ−63723283の臨床活性を評価するため
【0324】
主要エンドポイント(複数可)
●投薬量制限毒性(dosage-limiting toxicity、DLT)の頻度及び重症度
●選択された進行固形腫瘍を有する対象における、固形腫瘍の応答評価基準(RECIST)v1.1による全奏功率(ORR)
【0325】
副次的エンドポイント(複数可)
●JNJ−63723283の安全性プロファイル(安全性パラメータには、有害事象[adverse event、AE]及び免疫関連AE[irAE]、バイタルサイン測定、臨床検査室値、並びに心電図[electrocardiogram、ECG]が含まれるが、これらに限定されない)
●観察された最高血清濃度(Cmax)、2つの規定されたサンプリング点t1及びt2間の濃度−時間曲線下面積(AUCt1−t2)、半減期(T1/2)、IV投与後の薬物の全身総クリアランス(CL)、定常状態における分布容積(volume of distribution at steady-state、Vss)、及び蓄積比(R)が挙げられるが、これらに限定されない血清JNJ−63723283薬物動態パラメータ
●抗JNJ−63723283抗体の存在、及び血清JNJ−63723283濃度に対する効果
●免疫関連応答基準(Immune-Related Response Criteria、irRC)によるORR、応答期間(duration of response、DOR)、臨床的有用率(clinical benefit rate、CBR)、並びにRECIST v.1.1及びirRCの両方による無増悪生存期間、並びにOS
【0326】
探索:
●末梢T細胞に対するJNJ−63723283受容体占有、及び末梢T細胞のex vivo刺激に対するサイトカイン応答の定量化を含む、JNJ−63723283の薬力学を特徴付けるため
●JNJ−63723283の薬物動態、薬力学、AEプロファイル、及び臨床活性間の関係を探索するため
【0327】
対象集団
対象は≧18歳でなければならず、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)の一般状態スコアが0又は1でなければならない。全ての対象は、転移性又は切除不能である、リンパ腫を除く組織学的又は細胞学的に確認された固形腫瘍を有し、標準的な治療オプションを以前に受けていたか、又はそれに不適格であった。更に、対象は、抗PD−1又は抗PD−L1抗体による治療を以前に受けていない(すなわち、抗PD−1及び抗PD−L1ナイーブ)。パート2では、対象は、次の選択された腫瘍の種類:PD−L1高NSCLC、膀胱、胃/食道、黒色腫、腎臓、SCLC、MSI−H、又はdMMR CRCのうちの1つを有する。
【0328】
投薬量及び投与
試験薬は、最初に、2週間に1回、IV注入を介して投与される。投薬量漸増は、80mgの開始投薬量で開始して、160mg、240mg、320mg、400mg、480mg、560mg、640mg、720mg、及び800mgの投薬量で継続してもよい。投与スケジュール及び注入期間は、新たな安全性、薬物動態、及び薬力学/バイオマーカーデータに基づいて、並びにSETによって確認されるように変更することができる。パート1では、代替の投薬量及びスケジュール(例えば、3週間又は4週間に1回の投与)が探索され得る。JNJ−63723283の1つ又は2つ以上のRP2D(複数可)をパート2で評価することができる。
【0329】
安全性の評価
安全性は、身体検査、ECOG一般状態、臨床検査室試験、バイタルサイン、心電図、AEモニタリング、及び併用薬剤使用によって評価される。心エコー図又はマルチゲート収集スキャンが、スクリーニング時に評価される。その後の評価は、臨床的に示される場合に行われる。AEの重症度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI CTCAE、バージョン4)を使用して評価される。
【0330】
有効性の評価
治療に対する応答は、RECIST v1.1及びirRCに従って治験責任医師により評価される。有効性の評価は、以下を含む:コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)スキャン及び/又は磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、身体検査、及び必要に応じて他の手順。
【0331】
統計的方法
パート1の目的は、進行固形腫瘍を有する対象におけるRP2D(複数可)を同定することである。投薬量漸増は、過投与量制御を伴う漸増(Escalation with Overdosage Control、EWOC)原理を用いた、統計モデル、ベイズロジスティック回帰モデル(Bayesian Logistic Regression Model、BLRM)に基づく修正された連続再評価法(Continual Reassessment Method、mCRM)によってサポートされる。治療される対象の総数は、探索される投薬量レベルの数、及び各投薬量レベルで登録された対象者の数に依存する。
パート2では、RP2D(複数可)で投与されるRECIST v1.1によるJNJ−63723283のORRが、選択された固形腫瘍を有する対象において少なくとも15%であると仮定される。また、MSI−H/dMMR CRCについては35%のORR、PD−L1高NSCLCについては30%のORR、及び黒色腫については25%のORRであると仮定する。胸腺腫のORRは、仮説生成研究のためである。有効性のための中間モニタリングが行われる。
【0332】
薬物動態及び免疫原性サンプリングの理論的根拠
血清サンプルは、パート1及びパート2において、JNJ−63723283濃度について収集及び分析され、この濃度−時間データからの基本薬物動態パラメータの推定が行われる。薬物動態は、利用可能な臨床安全性、薬物動態、及び有効性データ、並びに非臨床的又は競合試験において観察される任意の有効濃度閾値に対して評価される。薬物動態又は薬物動態/薬力学分析及びモデリングは、パート2で使用するためのRP2Dレジメンの選択を補助するために使用される。免疫原性(すなわち、ADA)は、薬物動態及び安全性に対する影響について評価される。JNJ−63723283の血清グリコフォームプロファイルも特徴付けられる。
【0333】
薬力学及びバイオマーカーサンプリングの理論的根拠
JNJ−63723283は、末梢血及び腫瘍組織におけるT細胞の活性化と一致する表現型変化を誘導することが予想される。薬力学の評価は、活性化及び増殖マーカーの評価、並びに末梢血中のT細胞のサイトカインプロファイルに基づく。末梢血サンプルを使用して、ex vivoボ刺激アッセイにおける免疫細胞の応答を定量化することもできる。PD−1多型は、抗PD−1抗体の効果に影響を及ぼし得るため、PD−1多型は、臨床活性との可能な相関について評価され得る。JNJ−63723283は、ヒト対象への投与後の循環免疫細胞に対するPD−1への結合を実証することが予想される。循環CD3+T細胞上のJNJ−63723283によるPD−1受容体占有は、フローサイトメトリーを使用して測定される。投薬量依存性、ピーク占有、プラトー占有、及びプラトーにおける占有期間を含む特性を、実現可能として評価する。
【0334】
パート2のPD−L1試験の理論的根拠
PD−1のリガンドであるPD−L1の発現は、NSCLC癌を含む複数の腫瘍の種類における臨床活性の強化と相関する。パート2では、PD−L1試験用の腫瘍組織は、全ての腫瘍種類に必要である。これは、臨床応答を腫瘍組織上のPD−L1発現と相関させるために必要である。
【0335】
パート2のMSI又はdMMR試験の理論的根拠
他の腫瘍と比較して、MSI−H及びdMMR CRCは、DNA変異の頻度が高く、また免疫浸潤のレベルが高く、したがって、PD−1遮断療法の影響を受けやすい。パート2のCRC群について、MSI−H又はdMMRの事前スクリーニングが必要である。
【0336】
投与量
JNJ−63723283の推奨されるFIH開始投薬量レジメンは、2週間ごとにIV注入として投与される80mgである。JNJ−63723283薬理学の更なる特徴付けのために、2週間ごとに投与することに加えて、3週間、4週間、又は6週間ごとなどの追加の投与間隔をパート1において探索することができる。投与された最大投薬量は、800mgであると計画されているが、新たなデータに基づいてより低い又はより高くてもよい。最初に、60(±10)分の注入で静脈内投与する。注入に関する反応がない場合、後続の注入は、30(−5/+10)分にわたって静脈内投与されてもよい。安全性への懸念により、注入を一時停止又は遅くする必要がある場合、より長い注入時間が発生する場合がある。また、30(−5/+10)分よりも速い≧100mLの希釈薬物製品、又は60(±10)分よりも速い≧250mLの希釈薬物製品を投与することは推奨されない。
【0337】
組み入れ基準
可能性のある対象はそれぞれ、この試験に包含されるために、下記の基準全てを満たす必要がある:
1.≧18歳
2.評価可能な疾患を有する
2a.パート2について、CT(又はCTが禁忌である場合、磁気共鳴映像法[MRI])によってベースラインで正確に評価することができ、RECIST v1.1により反復評価に好適である、少なくとも1つの測定可能な病変
3.2.癌の種類:
研究のパート1:
転移性又は切除不能であり、かつ適切な分子標的療法を含む標準的な治療オプションを以前に受けていた、又はそれに不適格であった(例えば、上皮成長因子受容体[epidermal growth factor receptor、EGFR]変異NSCLCを有する、又は未分化リンパ腫チロシンキナーゼ[anaplastic lymphoma tyrosine kinase、ALK]再構成を伴うNSCLCを有する対象)、リンパ腫を除く任意の種類の進行又は難治性の悪性固形腫瘍を有する。
研究のパート2:
次の切除不能なステージIII又はIVの悪性固形腫瘍のうちの1つの組織学的又は細胞学的に確認された診断、かつ適切な分子標的療法を含む標準的な治療オプションを以前に受けていた、又はそれに不適格であった(例えば、EGFR変異NSCLCを有する、又はALK再構成を伴うNSCLCを有する対象):
●NSCLC
○スポンサーによって指定された地方実験室又は中央実験室によって実施されるPD−L1免疫組織化学(IHC)試験による、PD−L1高腫瘍サンプル(≧50%の腫瘍細胞がPD−L1に対して陽性染色された)
○進行/転移性NSCLCに対する白金含有化学療法による少なくとも1回の以前の治療時又はその後の確認された疾患進行
○進行NSCLCの治療のための全身レジメンを以前に3回以下受け、以前の最後の治療時又はその後に疾患が進行する(RECIST v1.1に基づく)。
●膀胱癌(尿路上皮癌)
●腎細胞癌
●胃/食道癌
●黒色腫
●SCLC
●MSI−H又はdMMR CRC
○ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、次世代シークエンシング、又はスポンサーによって指定された地方実験室若しくは中央実験室によって実施されるIHC試験による、MSI−H又はdMMR
○フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンでの治療後に進行
4.Eastern Cooperative Oncology Group[ECOG]の一般状態が0又は1である
5.2.血液製剤の補助なしで以下のような臓器及び骨髄機能を有する:
ヘモグロビン≧8.5g/dL、ANC≧1.5×109/L、血小板≧75.0×109/L、AST及びALT≦3×ULN(又は肝臓に腫瘍関与を有する対象については≦4×ULN)、総ビリルビン≦1.5×ULNa、血清クレアチニン≦1.5×ULN、又は計算されたGFR≧50mL/分/1.73mm2、左室駆出率が正常な制度的制限内にある;5(±3)分間隔で実施された3回の評価の平均に基づいて、補正QT間隔(QTcF又はQTcB)≦480msec6.1.正常範囲内の甲状腺機能実験室値を有する。注記:甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone、TSH)が正常範囲内にない場合、対象は、T3(総又は遊離型のいずれか)及び遊離型T4が正常範囲内にある場合には、依然として適格であり得る。
7.妊娠する可能性のある女性は、高感度妊娠試験を使用して、スクリーニング時に陰性血清妊娠試験を受けなければならない。
8.研究中及び試験薬の最後の投薬量の5ヶ月後までの試験後、臨床研究に参加している対象の地方条例と一致する避妊法を使用する意思がある。
a.妊娠する可能性のある女性は、地方条例と一致する非常に有効な避妊方法(一貫してかつ正しく使用された場合、1年に<1%の故障率)を2つ使用することに同意しなければならない。
b.妊娠する可能性のある女性と性的に活発であり、精管切除をしていない男性は、バリア避妊法の使用に同意しなければならない。
c.女性及び男性は、試験中及び試験薬の最後の投薬量の5ヶ月後までの試験後、それぞれ、精子又は卵(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意しなければならない。
9.このプロトコルに指定された禁止事項及び制限事項を守る意思があり、それが可能でなければならない。
10.それぞれの対象(又は対象の法的代理人)は、各自が研究の目的とそれに必要な手順を理解し、研究に参加する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(informed consent form、ICF)に署名する必要がある。同意は、対象の疾患に対する標準的なケアの一部ではない、任意の試験関連試験又は手順の開始前に得なければならない。
11.パート2に登録された対象は、相関研究のために利用可能な腫瘍組織を有しなければならない。新鮮な腫瘍生検が好ましい。アーカイブ組織は、次の基準を満たさなければならない:収集から5年以内の暗所又はアーカイブ腫瘍ブロックで、2℃〜8℃で保管された、切片から4ヶ月以内のアーカイブ切片。前述のアーカイブ組織基準を満たす組織を有さない対象は、新鮮な生検を受けなければならない。
【0338】
除外基準
可能性のある対象で、以下の基準のいずれかに該当する者は、この試験の参加から除外される:
1.IV抗生物質が必要である進行中若しくは活動性感染、症候性うっ血性心不全(New York Heart AssociationのクラスIII〜IV)、不安定狭心症、心不整脈、制御不良な高血圧若しくは糖尿病、又は研究要件の遵守を制限するであろう精神病/社会的状況が挙げられるが、これらに限定されない、制御されない併発疾患を有する
2.抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、又は抗PD−L2抗体による治療を以前に受けた
3.任意の局所又は全身性の抗新生物療法、放射線療法(限定された緩和照射を除く)、又は14日以内又は4半減期のいずれか長い方で、試験薬投与の開始前の28日間の最大休薬期間までの治験用抗癌剤による治療。
4.修正項2により改変された基準。
4.1.無症候性でない限り、脳又は軟膜転移を有する、治療されている、脳病変内にキャビテーション又は出血の証拠がないX線撮影により確認されるように、>4週間安定しており、かつ長期(>2週間)の全身性副腎皮質ホルモン療法を必要としない。対象は、酵素を誘導する抗てんかん薬を受けることを許可されていない。
5.治療割り当て時に、脱毛症、以前の抗癌療法に関連する抹消神経障害、及び安定貧血(すなわち、スクリーニングの2週間以内に支持輸血を必要とせずに、非輸血Hbが≧8.5g/dL)を除き、AEから回復していない(すなわち、≦等級1又はベースライン)
6.修正項2により改変された基準
6.1.全身性ステロイド薬又は免疫抑制薬を必要とする活動性自己免疫疾患、又は確認された自己免疫疾患の病歴を有する。
注記:白斑又は消散した小児喘息/アトピーを有する対象は、この基準の例外である。気管支拡張薬又は局所ステロイド注射の断続的使用を必要とする対象は、研究から除外されない。ホルモン補充に安定した甲状腺機能低下症を有する対象は、研究から除外されない。病原菌の治療時に消散した急性感染性疾患(例えば、ライム関節炎)の一過性自己免疫徴候の病歴を有する対象は、研究から除外されない。
7.免疫療法による以前の治療からの等級3以上の毒性作用
8.タンパク質ベースの療法に対して、又は任意の有意な薬物アレルギーの病歴(アナフィラキシ、肝毒性、又は免疫媒介性血小板減少症若しくは貧血)を有する、又はJNJ−63723283賦形剤(治験薬概要書を参照)に対して既知のアレルギー、過敏症、若しくは不耐性を有する
9.試験薬の計画された第1の投薬量の2週間以内に、副腎皮質ホルモン(>10mg/日の投薬量のプレドニゾン又は同等物)などの全身性薬物の免疫抑制投薬量を受けた
10.この研究に登録している間、又は試験薬の最後の投薬量の後5ヶ月以内に、妊娠している又は母乳を与えている又は妊娠する計画をしている女性
11.この研究に登録している間、又は試験薬の最後の投薬量の後5ヶ月以内に、子供の父親となる計画をしている男性。
12.治験責任医師の意見では参加が対象の最善の利益にならない(例えば、幸福を危うくする)か、又はプロトコルに規定された評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させる可能性がある条件を有する
13.投与前4週間以内に大手術(例えば、全身麻酔が必要)を受けたか、又は手術から完全に回復していないか、又は対象が研究に参加する予定の期間若しくは試験薬の投与の最後の投薬量の後4週間以内に手術を計画している。
注記:局所麻酔下で施行される外科治療が計画されている対象は、参加可能である
14.修正項2により改変された基準
14.1.スクリーニング時にB型肝炎表面抗原(hepatitis B surface antigen、HBsAg)、B型肝炎コア抗体、又はC型肝炎抗体(抗HCV)陽性によって決定される、活動性又は慢性のB型肝炎又はC型肝炎疾患。陽性である場合、活動性感染を除外するための定量的レベルの更なる試験が必要とされる。
15.ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)抗体陽性の病歴があるか、スクリーニング時にHIV陽性を示す
16.修正項2により改変された基準
16.1.試験薬の第1の投薬量の28日以内前に生ワクチンをワクチン接種した。
毎年の不活化インフルエンザワクチンは許容される。
注記:治験責任医師は、全ての研究登録基準がスクリーニング時に満たされていることを確実にするべきである。
スクリーニング後であるが、試験薬の最初の投薬量が与えられる前に、全ての適格性基準を満たすことができないような、対象の臨床状態が変化する場合(任意の利用可能な検査結果又は追加の医療記録の受領を含む)、対象は、研究への参加から除外されるべきである。
【0339】
許可される薬剤
研究全体をとおして、治験責任医師は、適切なサポートケアを提供するために必要と考えられる、付随する併用薬又は治療(栄養サポート、代謝障害の補正、最適な症状制御、及び疼痛管理を含む)を処方することができる。対象は、骨疾患のためのビスホスホネート又はデノスマブの使用を継続してもよい。非癌関連状態(例えば、糖尿病のためのインスリン及びホルモン補充療法)のホルモンの同時使用は容認される。適切な予防及びIRRの管理を提供するために治験責任医師が必要と考える、付随する薬剤(例えば、アセトアミノフェン/パラセタモール又はジフェンヒドラミン)は許可される。
【0340】
加えて、以下の薬剤は、研究中に投与されてもよい:
●臨床的に示されるように、施設基準に従って、かつ治験責任医師が必要と考える、標準的なサポートケア療法(制吐薬、止瀉薬、抗コリン作用薬、鎮痙薬、解熱剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、抗生物質、及び他の抗菌剤、ヒスタミン受容体[H2]アンタゴニスト又はプロトンポンプ阻害剤、並びに疾患の症状又は徴候を治療することを意図した他の薬剤)。
●確認された感染性合併症は、標準的な施設の慣習に従って、所与の感染状態のための治療を行う治験責任医師によって適切であると考えられる、経口若しくはIV抗生物質又は他の抗感染剤で治療されるべきである。
●National Comprehensive Cancer Network/European Organization for Research and Treatment of Cancer(NCCN/EORTC)のガイドラインに従う、推奨される治療期間中に発生した血液学的毒性の管理のための成長因子サポート。
【0341】
バイオマーカー
ベースラインにおける腫瘍組織
スポンサー又はスポンサーの被指名人により、同意する対象から入手可能な(アーカイブ又は新鮮な)腫瘍組織が、パート1の全ての対象に対して要請され、IHCによるPD−L1発現のバイオマーカー分析のためにパート2の全ての対象から必要である。PD−L1試験の事前スクリーニングは、パート2におけるNSCLC対象に必要とされ、スポンサーによって指定された地方実験室により、又は中央実験室により実施されてもよい。全てのCRC対象について、MSI又はdMMR試験の事前スクリーニングも、スポンサーによって指定された地方実験室又は中央実験室により必要とされる。地方試験結果は、主としてスポンサーの被指名人の実験室によって確認される。地方結果と中央結果との間に不一致ある場合、中央結果が分析に使用される。直近の腫瘍生検からの腫瘍組織は、過去5年間(好ましい)以内に収集されたホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixed paraffin embedded、FFPE)組織ブロック、又は研究参加前の4ヶ月以内に処理され、暗所で2℃〜8℃で保管されていた、最低15の未染色スライドであるべきである。MSI−H分析をサポートするために、追加の5つのスライドがCRC患者から収集される。施設が十分な材料を有さない場合、パート2の対象の新鮮な腫瘍生検が必要とされる。全血をCRC患者から収集して、腫瘍組織MSI及びdMMR試験をサポートする。この血液収集は、MSI/dMMR試験に利用されるアッセイプラットフォームの開発により、停止されてもよい。
【0342】
試験薬の物理的記述
薬物製品1(Drug Product 1、DP1):本研究に供給されるJNJ−63723283 DP1研究材料は、フリップオフキャップを有する血清ストッパー及びアルミニウムシールの付いた8Rガラスバイアル内の無菌の凍結液である。JNJ−63723283臨床試験材料の各バイアルに、3.3mLの10mg/mL溶液のJNJ−63723283(10mMのヒスチジン中の10%の過充填、8.0%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート20、20μg/mlのEDTA、pH 6.5、例えば、30mg/バイアルの送達可能量を含む)を充填する。
【0343】
薬物製品2(DP2):本研究に供給されるJNJ−63723283 DP2研究材料は、フリップオフキャップを有する血清ストッパー及びアルミニウムシールの付いた8Rガラスバイアル内の無菌の凍結乾燥製剤である。JNJ−63723283臨床研究材料の各バイアルは、バイアルあたり90mgを含有し、再構成後は、10mMのヒスチジン、8.0%(w/v)のスクロース、0.04%のポリソルベート20(w/v/)、20μg/mlのEDTA(pH6.5)中30mg/mL溶液のJNJ−63723283である。
【0344】
DP3:JNJ−63723283は、フリップオフキャップを有する血清ストッパー及びアルミニウムシールの付いた30mLのガラスバイアル内の無菌の凍結乾燥製剤としても供給される。JNJ−63723283臨床研究材料の各バイアルは、バイアルあたり240mgを含有し、再構成後は、10mMのヒスチジン、8.0%(w/v)のスクロース、0.04%のポリソルベート20(w/v/)、20μg/mlのEDTA(pH6.5)中30mg/mL溶液のJNJ−63723283である。
【0345】
実施例2.進行癌を有する患者におけるJNJ−63723283の第1/2相試験の中間結果(NCT02908906)
臨床データカットオフの2017年12月11日に、研究のパート1において、2週間に1回(Q2W)、80mg、240mg、460mg、若しくは800mgの研究薬で、又は4週間に1回(Q4W)、480mgで、38名の患者を治療した。パート1の患者の個体群統計及びベースライン疾患特性を表1に示す。12人(32%)の患者は治療を続け、26人(68%)は研究治療を中止した(表2)。治療期間の中央値は、51日間(1〜297日間の範囲)であった。
【0348】
安全性
●投与量制限毒性(DLT)
−240mg Q2W:治験責任医師によって考慮された、研究26日目に胸膜癒着を必要とするNSCLCを有する患者における等級3の胸膜滲出は、研究薬投与に対する時間的関係のため、研究薬に関連する可能性がある。
−800mg Q2W:一回用量の試験薬を受けた14日後に、重症筋無力症に続発する胸腺腫を有する患者における等級5の呼吸困難。
●最も一般的なAEは、貧血、疲労、及び嘔吐(それぞれ26%、表3)であり、最も一般的な等級3〜4のAEは、胸膜滲出、低ナトリウム血症、貧血、及び高血圧(それぞれ8%)であった。
●観察された重篤なAEには、胸膜滲出(10%)及び呼吸困難(8%)が含まれた。
−免疫関連AE(irAE)は、患者の37%において報告され、最も一般的なirAEsは、発疹、甲状腺機能低下、及び呼吸困難(それぞれ5%)であった。
−3人の患者が、可能性がある/おそらく等級3の治療関連肺炎、ミオパチー、及びアラニンアミノトランスフェラーゼ増加により治療を中止した。
【0350】
予備的効力
Q2Wで240mgの投薬量の患者4人(NSCLC、胃癌、胸腺腫、及びマイクロサテライト不安定性結腸癌)及びQ4Wで480mgの投薬量(胃癌)の患者1人が、部分奏功(PR)を達成した。胸腺腫を有する患者は、免疫介在性肝炎による研究中止の2ヶ月後に遅延応答を有した。18人(55%)の応答評価可能な患者が、RECIST v1.1に基づいて、安定した疾患(stable disease、SD)又はそれ以上を達成した(表4は、治験責任医師が評価した最良の全奏功を示す。
【0352】
薬物動態及び受容体占有
投薬された対象におけるJNJ−63723283の血清濃度は、線形及び投薬量に比例したPKと一致した。表5は、第1の投薬量の後に80mg、240mg、及び480mgのJNJ−63723283を投薬した患者におけるJNJ−63723283の予備的PKパラメータを示す。
図1は、JNJ−63723283の平均血清濃度−時間プロファイルを示す。循環CD3
+T細胞上のPD−1受容体の飽和は、第1の投薬量後に実証され、全ての投薬量レベル(80mg〜480mgの範囲)及び全ての頻度(Q2W〜Q4Wの範囲)において、投与間隔全体をとおして維持された。循環CD3
+T細胞上のPD−1受容体の飽和率(%)を
図2に示す。循環CD3
+T細胞上のPD−1受容体の飽和率(%)を
図3に示す。
【0354】
治療された患者におけるT細胞機能
治療された患者からのPBMCは、試験した全ての投薬量及び時点のex vivo SEB刺激アッセイにおいて、ほぼ最大のT細胞活性化を示した。
図4は、Q2Wで240mg又はQ4Qで480mgの抗体を受けた患者における、投薬量1の前及び2時間後(D1−前、D1−2時間)、投薬量1後のフォローアップ(D1−FU)、投薬量2の前(D2−前)、投薬量3の前(D3−前)、及び治療終了時(EOT)のSEBに応答したT細胞活性化を示す。
【0355】
方法:JNJ−63723283薬力学の調節は、T細胞活性化の指標として、治療前及び治療後のex vivo SEB(ブドウ球菌腸毒素B)刺激全血サンプルにおいて、IL−2発現を評価することによって特徴付けられた。簡潔に、血液サンプルをRPMI 1640培地で1:10に希釈し、続いて、それぞれ、IL−2発現の最大及び内因性レベルを表す、100ng/mlのSEB+10μg/mlのJNJ−63723283又はアイソタイプ対照とともに4日間インキュベーションした。次いで、アイソタイプとJNJ−63723283のex vivo治療血液サンプルとの間のIL−2発現レベルの比率を計算して、最大T細胞活性化を示す比率1でPD調節の程度を評価した。
【0356】
結論
●JNJ−63723283は、他の抗PD−1抗体に匹敵する安全プロファイルを示した。
●Q2Wで240mgのRP2Dは、第2相で評価され、RP2Dは、様々な臨床設定における柔軟性を可能にするために、Q4Wで480mgの代替的なレジメンで投与されてもよい。
●以前に治療した進行癌を有する患者において予備的な抗腫瘍活性が観察され、5人の患者(15%)がPRを達成し、13人の患者(39%)がSDを達成した。
●JNJ−63723283は、評価された投与量範囲内で線形及び投与量に比例したPKを示した。
●JNJ−63723283は、試験した全ての投与量レベルで、及び全ての投与頻度全体をとおして、ex vivo SEB刺激アッセイにおいて、飽和可能なPD−1 RO及び強化されたT細胞活性を実証した。
●追加の投与量レベル及び投与頻度を探索することができる。
●この試験は、JNJ−63723283の安全性、PK、及び臨床活性を更に特徴付けるために進行中である。
【0357】
実施例3.進行癌を有する患者におけるJNJ−63723283の第1/2相試験の中間結果(NCT02908906)
臨床データカットオフの2018年12月4日に、研究のパート1/2において、2週間に1回(Q2W)、80mg、240mg、460mg、若しくは800mgの研究薬DP1で、又は4週間に1回(Q4W)、480mgの研究薬DP1若しくはDP2で、198人の患者を治療した。パート1及びパート2の対象の患者個体群統計及びベースライン疾患特性を表6に示す。
【0359】
表7は、パート2における黒色腫患者の変異状態、以前の療法の数及び種類を示す。表8は、パート2におけるNSCLC患者のPD−L1状態、以前の療法の数及び種類を示す。表9は、CRCにおけるMSI(マイクロサテライト不安定性)状態(中央試験結果)を示す。
【0363】
安全性
●報告された最も一般的なTE−AE(Treatment Emergent Adverse Event、治療期間中に発生した有害事象)は、無力症(22.2%)、疲労(19.2%)、下痢(18.2%)、呼吸困難(18.2%)、発熱(17.7%)、食欲減退(16.7%)、貧血(16.7%)、悪心(15.7%)、腰痛(14.1%)、ALT増加(12.6%)、せき(12.1%)、嘔吐(11.6%)、AST増加(11.6%)、腹痛(10.1%)、便秘(10.1%)であった。
●報告された最も一般的な等級3〜4のTE−AEは、貧血(6.6%)、呼吸困難(5.1%)、胸膜滲出(2.5%)、発熱(5.1%)、低ナトリウム血症(3.0%)、高アミラーゼ血症(2.5%)、腹痛(2.5%)、腸閉塞症(2.5%)、疲労(2.5%)、一般的な身体の健康悪化(2.5%)、ALT増加(3.0%)、AST増加(3.0%)、GGT増加(3.0%)、及び高血圧(3.0%)であった。
●重篤なTEAEは、対象のほぼ50%で観察された。最も一般的なTE SAEは、呼吸困難(5.1%)、胸膜滲出(3.5%)、腸閉塞症(3.5%)、一般的な身体の健康悪化(3.0%)、及び発熱(3.0%)であった。
●免疫関連AE(irAE)は、患者の35.9%において報告された。
●注入関連反応(Infusion Related Reaction、IRR)は、全ての対象の14.1%、及びQ2Wの240mgの投与量を受けた対象の13.6%において報告された。2つのIRRを除いた全てが、CTCAE等級1/2であった。1人の対象のみが、等級3の高血圧事象のIRRにより、注入を完了しなかった。
【0364】
表10は、パート1/2における報告された有害事象の概要を示す。表11は、>10%の対象に生じる有害事象を示す。
【0367】
パート2の対象において観察された予備的有効性。
240mg、Q2W投薬量(NSCLC、黒色腫、及びMSI−H/dMMR CRC)での140人の患者が、2018年12月4日のデータセットに基づく応答評価について評価可能であった。4人(2.9%)の患者が、完全奏功(CR)を達成し、23人(16.4%)が部分奏功(PR)を達成した。73人(52.1%)の応答評価可能な患者は、RECIST v1.1.に基づいて、安定した疾患(SD)又はそれ以上を達成した。以下のORRは、組織学的サブタイプによって観察された:PDL1+≧50%のNSCLCにおいて37.5%、非ぶどう膜黒色腫において32.6%、及びMSI−H/dMMR CRCにおいて12.5%。中央により確認されたMSI−H CRCを有する患者では、ORRは16.7%.に増加した。(表12は、治験責任医師が評価した最良の全奏功及び関連する80%信頼区間を示す。)
【0369】
結論
●JNJ−63723283は、他の抗PD−1抗体に匹敵する、免疫感受性進行癌における安全性プロファイルを示した。
●JNJ−63723283は、評価された用量範囲内で線形及び用量に比例したPKを示した。
●JNJ−63723283は、試験した全ての投与量レベルで、及び全ての投与頻度全体をとおして、ex vivo SEB刺激アッセイにおいて、飽和可能なPD−1 RO及び強化されたT細胞活性を実証した。
●Q2Wで240mgのRP2Dは、第2相で評価され、RP2Dは、様々な臨床設定における柔軟性を可能にするために、Q4Wで480mgの代替的なレジメンで投与されてもよい。
●追加の投与量レベル、投与経路(皮下注射)、及び投与頻度を探索することができる。
●進行癌を有する患者は、全体として19%のORRを達成した。組織学的サブタイプにより、観察されたORRは、PDL1+NSCLCにおいて37.5%であり、非ぶどう膜黒色腫において32.6%であり、MSI−H/dMMRにおいて13%であった。
●フォローアップは、中央により確認されたMSI−H CRCコホートで進行中である
●試験は、Q2W.で240mgのRP2Dでの、JNJ−63723283の安全性、PK、及び臨床活性を更に特徴付けるために進行中である。