(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-511390(P2021-511390A)
(43)【公表日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】メサコニンおよびその関連中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 221/22 20060101AFI20210409BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20210409BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
C07D221/22
A61K31/439
A61P9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-562817(P2020-562817)
(86)(22)【出願日】2019年1月23日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2019072873
(87)【国際公開番号】WO2019144888
(87)【国際公開日】20190801
(31)【優先権主張番号】201810071927.2
(32)【優先日】2018年1月24日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520274655
【氏名又は名称】グッドドクター ファーマシューティカル グループ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王鋒鵬
(72)【発明者】
【氏名】耿越飛
(72)【発明者】
【氏名】簡錫賢
(72)【発明者】
【氏名】陳東林
(72)【発明者】
【氏名】耿福能
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA04
4C086CB09
4C086ZA36
(57)【要約】
本発明は、メサコニンおよび関連する中間体を製造するための方法に関する。具体的には、本発明のメサコニンを製造するための方法において、トリカブト植物のAconitum soongaricum Stapf.から抽出されたアコニチンを原料として使用し、アルカリ性化、アセチル化、N−脱エチル化、N−メチル化、および加水分解に供して、メサコニンを得る。本発明におけるメサコニンを製造するための方法は、操作が簡単であり、収率が高く、環境に優しくかつ汚染がなく、そして工業生産に適切である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メサコニンの製造方法であって、以下の工程を含む、方法:
(1)アコニチン(I)をエタノール中に溶解し、水酸化ナトリウムをそれに添加して加水分解し、減圧下で濃縮し、そして残渣を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出して不純物アルカロイドを除去し、アルカリ性水溶液を塩酸で酸性化し、アンモニア水またはエタノール中の水酸化ナトリウムの溶液によってpH11〜12に調整し、減圧下で濃縮乾固し、残渣をジクロロメタン−エタノールで溶解し、濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮してアコニン(II)を得る工程;
【化1】
(2)アコニン(II)をピリジン中に溶解して無水酢酸と反応させ、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣を水で希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、次いで、乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって順次分離して3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を調製する工程;
【化2】
または
アコニン(II)をp−トルエンスルホン酸の触媒下で無水酢酸と反応させ、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣を水で希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、次いで、乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって順次分離して3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を調製する工程;
【化3】
(3)3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を氷酢酸中に溶解し、N−ブロモスクシンイミドをそれに添加し、室温で撹拌し、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣にアンモニア水を添加し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、乾燥させ、そして減圧下で濃縮してN−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)を調製する工程;
【化4】
または
3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を氷酢酸中に溶解し、N−ブロモスクシンイミドをそれに添加し、室温で撹拌し、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣にアンモニア水を添加し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、乾燥させ、そして減圧下で濃縮してN−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)を調製する工程;
【化5】
(4)N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)をテトラヒドロフラン中に溶解し、室温でそれにホルムアルデヒド水溶液および氷酢酸を添加し、室温で撹拌し、NaBH(OAc)
3を添加し、撹拌を継続し、アンモニア水を添加し、水で希釈し、次いで、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、水で洗浄し、乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮して3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)を調製する工程;
【化6】
または
N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)をテトラヒドロフラン中に溶解し、室温でそれにホルムアルデヒド水溶液および氷酢酸を添加し、室温で撹拌し、NaBH(OAc)
3を添加し、撹拌を継続し、アンモニア水を添加し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、水で洗浄し、乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮して3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)を調製する工程;
【化7】
(5)3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)または3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)をエタノール溶液中に溶解し、水酸化ナトリウムを添加してメサコニン誘導体とそれぞれ反応させ、塩酸でpH4〜5に調整し、次いで、アンモニア水またはエタノール中の水酸化ナトリウムの溶液でpH9〜12に調整し、不溶性物質を濾別し、減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン−エタノールで溶解し、吸引濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮してメサコニン(IX)を得る工程。
【化8】
【請求項2】
アコニチン(I)が以下の方法によって調製される、請求項1に記載の方法:
トリカブト植物の根を破砕した後、硫酸−エタノール水溶液を添加して還流下で抽出し;抽出物を減圧下で濃縮して固体抽出物を得;固体抽出物を水で希釈し、そしてアルカリ性化の後、酢酸エチルで抽出し、そして溶媒を回収して酢酸エチル抽出物を得;酢酸エチル抽出物を酸溶解、濾過、アルカリ性化、および沈殿に供してアコニチン(I)を得る。
【請求項3】
硫酸−エタノール水溶液の総質量に基づいて、硫酸の含有量が1〜10%であり、そしてエタノールの含有量が80〜90%である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
硫酸−エタノール水溶液の総質量に基づいて、硫酸の含有量が5%であり、そしてエタノールの含有量が85%である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
トリカブト植物が、Aconitum soongaricum Stapf.またはAconitum karakolicum Rapaicsである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
その構造式が式(V)として示される、N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン。
【化9】
【請求項7】
その構造式が式(VI)として示される、N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン。
【化10】
【請求項8】
その構造式が式(VII)として示される、3,14,15−トリアセチルメサコニン。
【化11】
【請求項9】
その構造式が式(VIII)として示される、3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン。
【化12】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、合成の分野、特に、メサコニンおよび関連する中間体を製造するための方法に関する。
【0002】
[背景技術]
漢方薬のトリカブトは、Aconitum carmichaeli Debx.の細根から得られる加工品であり、これは、陽を回復させ、風冷湿気を除去し、経線を加温して疼痛を緩和することによる虚脱からの救出の効果を有する(volume 1, Chinese pharmacopoeia, 2015 edition)。そしてそれは、臨床において有名な漢方薬として広く使用されている。
【0003】
以下の文献において記録されているように、研究により、メサコニンがトリカブトの主要な強心活性成分であることが見出されている:Xiu-Xiu Liu, et al, Chem. Pharm. Bull, 2012, 60(1), 144-149; Xi-Xian Jian, et al, Nat. Prod. Commun, 2012, 7(6), 713-720; 中国特許, 2012, 第CN102146057B号; Zhong-Tang Zhang, et al, Nat. Prod. Commun, 2015, 10(12),2075-2084。それゆえ、メサコニンは、抗心不全薬に発展する見込みを有する。
【0004】
メサコニンは、C
24H
39NO
9の分子式およびCAS番号:6792−09−2とともに、N−メチル−1α,6α,16β,18−テトラメトキシル−4−メチル−アコニット−3α,8β,13β,14α,15α−ペントールの化学名を有し、そして以下の構造式によって表される構造を有する。
【0006】
中国特許第CN102146057B号は、メサコニンの製造方法を開示しており、ここで、メサコニンは、完全アセチル化、N−脱エチル化、N−メチル化および加水分解を経て、トリカブト植物のAconitum soongaricum Stapf.由来のアコニチンを原料として使用することによって得られる。しかし、この製造方法は、高度に毒性のアコニチンおよびメサコニチンを含み、これは、安全な生産に導かない。
【0007】
既存の技術の欠陥を克服するために、操作が簡単で、収率が高く、環境に優しくかつ汚染がなく、そして工業化に適切であるメサコニンの製造プロセスを開発することが必要である。
【0008】
[発明の概要]
本発明の目的は、操作が簡単で、収率が高く、環境に優しくかつ汚染がなく、そして工業生産に適切である、メサコニンの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のメサコニンの製造方法は、以下の工程を含む:
(1)アコニチン(I)をエタノール(例えば、95%エタノール)中に溶解し、水酸化ナトリウムをそれに添加して加水分解し、減圧下で濃縮し、そして残渣を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出して不純物アルカロイドを除去し、アルカリ性水溶液を塩酸で酸性化し、アンモニア水またはエタノール中の水酸化ナトリウムの溶液でpH11〜12に調整し、減圧下で濃縮乾固し、残渣をジクロロメタン−エタノール(6:1〜12:1、好ましくは9:1、V/V)で溶解し、濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮してアコニン(II)を得ること;
【0011】
(2)アコニン(II)をピリジン中に溶解して無水酢酸と反応させ、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣を水で希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、次いで、乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって順次分離して3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を調製すること;
【0013】
または
アコニン(II)をp−トルエンスルホン酸の触媒下で無水酢酸と反応させ、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣を水で希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、次いで、乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって順次分離して3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を調製すること;
【0015】
(3)3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を氷酢酸中に溶解し、N−ブロモスクシンイミドをそれに添加し、室温で撹拌し、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣にアンモニア水を添加し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、乾燥させ、そして減圧下で濃縮してN−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)を調製すること;
【0017】
または
3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を氷酢酸中に溶解し、N−ブロモスクシンイミドをそれに添加し、室温で撹拌し、減圧下で濃縮して残渣を得、残渣にアンモニア水を添加し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、乾燥させ、そして減圧下で濃縮してN−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)を調製すること;
【0019】
(4)N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)をテトラヒドロフラン中に溶解し、室温でそれにホルムアルデヒド水溶液および氷酢酸を添加し、室温で撹拌し、NaBH(OAc)
3を添加し、撹拌を継続し、アンモニア水を添加し(pH9〜10に調整する)、水で希釈し、次いで、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、水で洗浄し、乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮して3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)を調製すること;
【0021】
または
N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)をテトラヒドロフラン中に溶解し、室温でそれにホルムアルデヒド水溶液および氷酢酸を添加し、室温で攪拌し、NaBH(OAc)
3を添加し、攪拌を継続し、アンモニア水を添加し(pH9〜10に調整する)、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、水で洗浄し、乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮して3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)を調製すること;
【0023】
(5)3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)または3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)をエタノール(例えば、95%エタノール)溶液中に溶解し、水酸化ナトリウムを添加してメサコニン誘導体とそれぞれ反応させ、塩酸でpH4〜5に調整し、次いで、アンモニア水またはエタノール中の水酸化ナトリウムの溶液でpH9〜12に調整し、不溶性物質を濾別し、減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン−エタノール(6:1〜12:1、好ましくは9:1、V/V)で溶解し、吸引濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮してメサコニン(IX)を得ること。
【0025】
本発明の一実施形態において、アコニチン(I)は、以下の方法によって調製され得る:
トリカブト植物の根を破砕した後、硫酸−エタノール水溶液を添加して還流下で抽出し;抽出物を減圧下で濃縮して固体抽出物を得;固体抽出物を水で希釈し、そしてアルカリ性化の後、酢酸エチルで抽出し、そして溶媒を回収して酢酸エチル抽出物を得;酢酸エチル抽出物を酸溶解、濾過、アルカリ性化および沈殿に供してアコニチン(I)を得る。
【0026】
本発明の一実施形態において、硫酸−エタノール水溶液の総質量に基づいて、硫酸の含有量は1〜10%であり得、エタノールの含有量は80〜90%であり得、好ましくは、硫酸の含有量は5%であり得、エタノールの含有量は85%であり得る。
【0027】
本発明の一実施形態において、トリカブト植物は、Aconitum soongaricum Stapf.またはAconitum karakolicum Rapaicsであり得る。
【0028】
さらに、本発明のメサコニンは、以下の工程によって製造される:
(1)トリカブト植物のAconitum soongaricum Stapf.の根を破砕した後、5%硫酸−85%エタノールの水溶液を添加して、還流下で抽出し;抽出物を減圧下で濃縮して、固体抽出物を得;固体抽出物を水で希釈し、そしてアルカリ性化の後、酢酸エチルで抽出し、そして溶媒を回収して、酢酸エチル抽出物を得;酢酸エチル抽出物を酸溶解、濾過、アルカリ性化、および沈殿に供して、全アルカロイドを得ること(ここで、全アルカロイドにおける主成分はアコニチン(I)である);
【0030】
(2)全アルカロイドを95%エタノール中に溶解し、全アルカロイド中のアコニチン(I)の総量に対して3〜5倍のモル量の水酸化ナトリウムをそれに添加し、室温で1〜2時間反応させ、減圧下で濃縮して、95%エタノールを除去し、残渣を5〜10倍量の水で希釈し、ジクロロメタンで抽出して、不純物アルカロイドを除去し、アルカリ性水溶液を塩酸でpH5に調整し、そしてアンモニア水またはエタノール中の水酸化ナトリウムの溶液でpH11〜12に調整し、減圧下で濃縮乾固し、そして残渣をジクロロメタン−無水エタノール(9:1、V/V)で溶解し、濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮して、アコニン(II)を得ること;
【0032】
(3)アコニン(II)をピリジン中に溶解し、アコニン(II)を6〜8モルの無水酢酸と還流下で2〜3時間反応させ、減圧下で濃縮して、残渣を得、残渣を水で希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、そして無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−エタノール=200:1)によって順次分離して、3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を得ること;
【0034】
または
アコニン(II)を6〜8モルの無水酢酸と還流下3〜4時間p−トルエンスルホン酸の触媒下で反応させ、減圧下で濃縮して、残渣を得、残渣を水で希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって順次分離(石油エーテル−アセトン(10:1〜2:1)によって溶出)して、3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を調製すること;
【0036】
(4)3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を10倍量の氷酢酸中に溶解し、3〜5モルのN−ブロモスクシンアミドと室温で撹拌しながら2〜3時間反応させ、減圧下で濃縮して、残渣を得、強アンモニア水でpH9〜10に調整し、ジクロロメタンで2回抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)を得ること;
【0038】
または
3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を10倍量の氷酢酸中に溶解し、3〜5モルのN−ブロモスクシンアミドと室温で撹拌しながら2〜3時間反応させ、減圧下で濃縮して、残渣を得、強アンモニア水でpH9〜10に調整し、ジクロロメタンで2回抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)を得ること;
【0040】
(5)N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)をテトラヒドロフラン中に溶解し、12モルの40%ホルムアルデヒド水溶液および1〜2モルの氷酢酸と室温で攪拌しながら30〜60分間反応させ、2〜3モルのトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、室温で30〜60分間攪拌し、強アンモニア水でpH9〜10に調整し、水を添加することによって希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮して、3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)を得ること;
【0042】
または
N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)をテトラヒドロフラン中に溶解し、12モルの40%ホルムアルデヒド水溶液および1〜2モルの氷酢酸と室温で撹拌しながら30〜60分間反応させ、2〜3モルのトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、室温で30〜60分間撹拌し、強アンモニア水でpH9〜10に調整し、水を添加することによって希釈し、次いで、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合わせ、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮して、3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)を得ること;
【0044】
(6)3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)または3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)を5%〜10%水酸化ナトリウムエタノール溶液によって加水分解し、そして濃塩酸でpH4〜5に調整し、次いで、エタノール中の水酸化ナトリウムの希釈溶液でpH9〜12に調整し、不溶性物質を濾別し、減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン/無水エタノール(9:1、V/V)で溶解し、吸引濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮して、メサコニン(IX)を得ること。
【0046】
本発明はまた、メサコニンを製造するための方法において使用される中間体を提供し、詳細は以下のとおりである:
その構造式が式(V)として示される、N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン。
【0048】
その構造式が式(VI)として示される、N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン。
【0050】
その構造式が式(VII)として示される、3,14,15−トリアセチルメサコニン。
【0052】
その構造式が式(VIII)として示される、3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン。
【0054】
全アルカロイド中のアコニチンは、特定の毒性を有する。本発明のメサコニンを製造するための方法において、まず、全アルカロイド中のアコニチン(I)におけるベンゾイル基を加水分解して、式IIの無毒性中間体(アコニン)を得、続いてアセチル化、N−脱エチル化、およびN−メチル化を順次行って、式IIIの無毒性中間体(3,14,15−トリアセチルアコニン)、式IVの中間体(3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン)、式Vの中間体(N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン)、式VIの中間体(N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン)、式VIIの中間体(3,14,15−トリアセチルメサコニン)および式VIIIの中間体(3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン)をそれぞれ得ることによって、毒性中間体の使用は回避され、そして製造安全性は確実にされる。本発明のメサコニンの製造方法において使用される上記の中間体は、無毒性であるだけでなく、プロセスを、操作が簡単であり、そして良好な精製効果を有するものにもする。
【0055】
[実施形態]
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、しかし、それらは本発明の範囲に対する制限または限定を構成するものではない。
【0056】
実施例1.トリカブト植物のAconitum soongaricum Stapf.からの全アルカロイドの抽出
(1)Aconitum soongaricum Stapf.の乾燥根10kgを取り、破砕し、そして20メッシュのふるいを通してふるいにかけた;
(2)トリカブト植物のAconitum soongaricum Stapf.の粉末を、80L、36L、および24Lの5%硫酸および85%エタノールの水溶液で3回還流下で抽出し、毎回2時間抽出し、濾過し、そして濾液を合わせた;
(3)濾液を減圧下で濃縮し、流体抽出物の相対密度が1.05〜1.10になるまでエタノールを回収し、そして0.46kgの流体抽出物を収集した;
(4)1.4Lの水を添加することによって流体抽出物を希釈し、アンモニア水でアルカリ性化し、pH10に調整し、抽出器中に入れ、そして酢酸エチル(2L×3回)で抽出し、毎回5〜10分間撹拌し、そして抽出物を収集した;
(5)減圧下での濃縮によって酢酸エチルを回収し、そして129gの全アルカロイドを得た。全アルカロイドをサンプリングし、そして全アルカロイドにおけるアコニチンの含有量をHPLC法によって決定した。全アルカロイドにおけるアコニチン(I)の総量は、全アルカロイドにおけるその含有量および全アルカロイドの湿重量に基づいて約42.5gであると算出され、そして収率は約0.42%であった。
【0057】
実施例2:メサコニンの調製
(1)アコニン(II)の調製
【0059】
100gの全アルカロイド(33gのアコニチンを含む)を取り、そして500mLの95%エタノールで溶解し、次いで、7.2g(78mmol)の水酸化ナトリウムをそれに添加し、混合物を2時間室温で撹拌し、そして溶媒を減圧下で回収して、120gの固体を得た。固体を1000mLの水で希釈し、そしてジクロロメタン(500mL×2)で抽出した。水層を濃塩酸でpH5に調整し、次いで、エタノール中の水酸化ナトリウムの希釈溶液でpH11〜12に調整し、そして減圧下で濃縮乾固して、90gの固体を得、これを900mLのジクロロメタン−無水エタノール(9:1、V/V)中で加熱することによって溶解し、濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮し、そして固体(22.5g)を所望の化合物として得た。
【0060】
収率:86%、白色無定型粉末、C
25H
41NO
9。
【0061】
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ:0.99(3H、t、NCH
2CH
3)、3.15、3.20、3.25、3.50(各3H、s、4xOCH
3)、3.59(1H、dd、J=12.0、4.0Hz、H−3β)、3.71(1H、d、J=3.77(1H、d、J=8.0Hz)、4.09(1H、d、J=8.0Hz、H−15β)、4.32(1H、d、J=4.0Hz、H−14β);
13C NMR(100MHz、CD
3OD)δ:13.8(q)、35.5(t)、38.8(t)、43.1(d)、44.5(s)、47.5(d)、48.3(t)、49.5(d)、50.1(t)、50.3(d)、51.1(s)、56.2(q)、58.2(q)、59.1(q)、61.6(q)、62.1(d)、70.7(d)、75.3(t)、77.7(s)、79.5(s)、79.7(d)、82.3(d)、84.2(d)、85.0(d)、93.1(d);
ESI−MS m/z(%):500(100)[M+H]
+。
【0062】
(2)3,14,15−トリアセチルアコニン(III)の調製
【0064】
10.0g(20mmol)のアコニン(II)を取り、そして7.1g(70mmol)の無水酢酸および100mLのピリジンと混合し、そして混合物を還流下で2.5時間反応させ、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を170mLの水で希釈し、そして希釈物をアンモニア水でpH9〜10にアルカリ性化し、ジクロロメタン(80ml×3)で抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、固体を得、次いで、固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、そしてジクロロメタン−無水エタノール(200:1)によって溶出して、10.7gの所望の化合物を得た。
【0065】
収率:85.6%、白色無定型粉末、C
31H
47NO
12。
【0066】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.13(3H、t、J=7.2Hz、NCH
2CH
3)、2.06、2.07、2.18(各3H、s、3XOAc)、3.20、3.23、3.27、3.56(各3H、s、4XOCH
3)、4.65(1H、d、J=5.2、H−14β)、4.88(1H、t、J=8.8Hz、H−3β)、5.25(d、J=6.0Hz、H−15β);
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ:13.4(q)、20.8(q)、21.1(q)、21.1(q)、31.9(t)、36.2(t)、40.6(d)、42.0(s)、44.5(d)、45.5(d)、47.4(t)、48.9(t)、49.5(d)、49.5(s)、56.1(q)、57.8(q)、58.7(q)、60.6(d)、61.3(q)、71.4(d)、71.7(t)、74.3(s)、76.5(s)、78.6(d)、81.7(d)、82.8(d)、87.2(d)、88.3(d)、170.1(s)、170.9(s)、173.3(s);
ESI−MS m/z(%):626(100)[M+H]
+。
【0067】
(3)3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)の調製
【0069】
150mg(0.31mmol)のアコニン(II)を取り、そして1mLの無水酢酸中に溶解し、そして176mg(0.93mmol)のp−トルエンスルホン酸をそれに室温で撹拌しながら添加した。反応溶液を120℃に加熱し、3〜4時間反応させ、減圧下で濃縮して、大部分の溶媒を蒸発させ、得られた残渣を20mLの水で希釈し、5mLのアンモニア水でpH9〜10に調整し、そしてジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過し、そして減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、そして石油エーテル−アセトン(10:1〜2:1)によって溶出して、161mgの所望の化合物を得た。
【0070】
収率:75%、白色無定型粉末、C
35H
51NO
14。
【0071】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.14(3H、t、J=7.2Hz、NCH
2CH
3)、1.94(3H、s、OAc)、2.04、2.08(各3H、s、2xOAc)、2.10、2.13(各3H、s、2xOAc)、3.19、3.21、3.25、3.33(各3H、s、4xOCH
3)、4.05(1H、d、J=6.0Hz、H−6β)、4.84(1H、d、J=5.2Hz、H−14β)、4.88(1H、dd、J=12.4、6.8Hz、H−3β)、5.84(1H、d、J=6.0Hz、H−15β);
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ:13.5(q)、21.1(q)、21.1(q)、21.2(q)、21.3(q)、22.0(q)、31.9(t)、36.0(t)、41.1(d)、42.1(s)、43.7(d)、45.0(d)、45.5(d)、47.0(t)、48.8(t)、49.8(s)、56.1(q)、58.7(q)、58.8(q)、60.3(q)、61.0(d)、71.2(t)、71.3(d)、76.3(d)、78.2(d)、80.7(s)、81.4(d)、83.7(d)、88.2(d)、88.8(s)、168.4(s)、169.6(s)、170.2(s)、170.3(s)、170.7(s);
ESI−MS m/z(%):710(100)[M+H]
+。
【0072】
(4)N−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)の調製
【0074】
10.0g(17mmol)の3,14,15−トリアセチルアコニン(III)を取り、そして100mLの氷酢酸中に溶解し、それに9.9g(66mmol)のN−ブロモスクシンイミドを添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮して、固体を得た。固体を少量のジクロロメタンで溶解し、150mLの水を添加した後、溶液を強アンモニア水でpH10にアルカリ性化し、そしてジクロロメタン(80ml×2)で抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、10.5gの固体を得た。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、そして石油エーテル−アセトン(2:1)によって溶出して、6.4gの所望の化合物を得た。
【0075】
収率:67.0%、白色無定型粉末、C
29H
43NO
12。
【0076】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:2.05、2.08、2.27(各3H、s、3XOAc)、3.24、3.25、3.29、3.57(各3H、s、4XOCH
3)、4.68(1H、d、J=4.8Hz、H−14β)、5.09(1H、t、J=6.4Hz、H−3β)、5.25(1H、d、J=6.4Hz、H−15β);
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ:21.0(q)、21.1(q)、21.2(q)、30.4(t)、35.1(t)、40.4(d)、41.4(t)、42.6(s)、43.3(d)、44.0(d)、49.3(t)、54.5(s)、55.2(q)、56.1(q)、57.8(q)、58.8(q)、61.4(d)、72.1(d)、74.2(t)、74.4(s)、76.7(s)、78.5(d)、80.3(d)、82.6(d)、86.8(d)、87.9(d)、170.1(s)、170.7(s)、174.2(s);
ESI−MS m/z(%):598(100)[M+H]
+。
【0077】
(5)N−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)の調製
【0079】
10.0g(14mmol)の3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(IV)を取り、そして100mLの氷酢酸中に溶解し、9.9g(66mmol)のN−ブロモスクシンイミドをそれに添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮して、固体を得た。固体を少量のジクロロメタンで溶解し、150mLの水を添加した後、溶液を強アンモニア水でpH10にアルカリ性化し、そしてジクロロメタン(80ml×2)で抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、8.5gの固体を得た。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、そして石油エーテル−アセトン(2:1)によって溶出して、6.5gの所望の化合物を得た。
【0080】
収率:67.7%、白色無定型粉末、C
33H
47NO
14。
【0081】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.94(3H、s、OAc)、2.03、2.07(各3H、s、2xOAc)、2.14、2.16(各3H、s、2xOAc)、3.22(3H、s、OMe)、3.26(6H、s、2xOMe)、3.32(3H、s、OMe)、4.86(1H、d、J=5.2Hz、H−14β)、5.02(1H、dd、J=9.6、5.6Hz、H−3β)、5.84(1H、d、J=6.0Hz、H−15β);
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ:21.0(q)、21.1(q)、21.3(q)、21.3(q)、22.1(q)、31.6(t)、34.7(t)、41.1(t)、41.2(d)、42.7(s)、42.8(d)、44.5(d)、49.3(s)、51.4(d)、55.7(q)、55.8(q)、58.7(q)、58.8(q)、61.1(d)、71.8(d)、73.0(t)、76.3(d)、78.2(d)、80.5(s)、80.6(d)、83.8(d)、87.8(d)、88.4(s)、168.3(s)、169.7(s)、170.3(s)、170.4(s)、170.6(s);
ESI−MS m/z(%):682(100)[M+H]
+。
【0082】
(6)3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)の調製
【0084】
10g(17mmol)のN−デスエチル−3,14,15−トリアセチルアコニン(V)を取り、そして25mLのテトラヒドロフラン中に溶解し、そして2mlの40%ホルムアルデヒド水溶液および1mLの氷酢酸を室温で添加し、この温度で30分間撹拌を継続した。次いで、7.1g(33.5mmol)のNaBH(OAc)
3を添加し、そして30分間撹拌を継続した。溶液を強アンモニア水でpH9に調整し、15mLの水で希釈し、20mLのジクロロメタンで2回抽出した。抽出物を合わせ、次いで、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮乾固して、5.5gの固体を得た。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、そしてクロロホルム−メタノール(9:1)によって溶出して、5.41gの所望の化合物を得た。
【0085】
収率:53.1%、白色無定型粉末、C
30H
45NO
12。
【0086】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:2.05、2.07、2.21(各3H、s、3XOAc)、2.32(s、NCH
3)、3.20、3.25、3.27、3.54(各3H、s、4XOCH
3)、4.65(d、J=3.2Hz、H−14β)、4.88(t、J=4.4Hz、H−3β)、5.24(d、J=6.0Hz、H−15β);
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ:20.9(q)、21.0(q)、21.1(q)、31.9(t)、36.0(t)、40.7(d)、42.3(s)、42.5(q)、44.4(d)、44.8(d)、48.4(d)、49.5(s)、49.9(t)、56.5(q)、57.8(q)、58.7(q)、61.2(q)、62.0(d)、72.1(d)、71.5(t)、74.3(s)、76.3(s)、78.5(d)、81.8(d)、82.6(d)、87.2(d)、88.3(d)、170.1(s)、170.9(s)、173.4(s);
ESI−MS m/z(%):612(100)[M+H]
+。
【0087】
(7)3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)の調製
【0089】
10g(14.6mmol)のN−デスエチル−3,8,13,14,15−ペンタアセチルアコニン(VI)を取り、そして25mLのテトラヒドロフラン中に溶解し、そして2mLの40%ホルムアルデヒド水溶液および1mLの氷酢酸を室温で添加し、30分間撹拌した。次いで、7.1g(33.5mmol)のNaBH(OAc)
3を添加し、そして30分間撹拌を継続した。溶液を強アンモニア水でpH9に調整し、15mLの水で希釈し、20mLのジクロロメタンで2回抽出した。抽出物を合わせ、次いで、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で順次濃縮乾固して、6.5gの固体を得た。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、そしてクロロホルム−メタノール(9:1)によって溶出して、6.1gの所望の化合物を得た。
【0090】
収率:59.8%、白色無定型粉末、C
34H
49NO
14。
【0091】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.95(3H、s、OAc)、2.04、2.08(各3H、s、2xOAc)、2.14(6H、s、2xOAc)、2.43(3H、s、NMe)、3.19、3.23、3.26、3.33(各3H、s、4xOMe)、4.06(1H、d、J=6.4Hz、H−6β)、4.86(1H、d、J=5.2Hz、H−14β)、4.90(1H、dd、J=12.4、6.0Hz、H−3)、5.83(1H、d、J=6.0Hz、H−15β);
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ:21.1(q)、21.3(q)、21.3(q)、22.0(q)、26.9(q)、31.9(t)、35.8(t)、41.2(q)、42.4(s)、42.7(d)、43.8(d)、44.1(d)、44.8(d)、49.6(t)、49.9(s)、56.4(q)、58.7(q)、58.8(q)、60.9(q)、61.9(d)、71.1(t)、71.2(d)、76.3(d)、78.3(d)、80.7(s)、81.5(d)、83.6(d)、88.2(d)、88.7(s)、168.4(s)、169.5(s)、170.1(s)、170.2(s)、170.7(s);
ESI−MS m/z(%):696(100)[M+H]
+。
【0094】
方法1:3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)からのメサコニン(IX)の調製
10g(16.3mmol)の3,14,15−トリアセチルメサコニン(VII)を取り、そして75mLの95%エタノール溶液中に溶解した。次いで、2.29g(57.2mmol)の水酸化ナトリウムを添加し、そして混合物を30分間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、濃塩酸でpH5に調整し、次いで、エタノール中の水酸化ナトリウムの希釈溶液でpH11〜12に調整した。不溶性物質を濾別し、そして濾液を減圧下で濃縮して、固体を得た。固体を110mLのジクロロメタン−無水エタノール(9:1、V/V)中に溶解し、吸引濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮乾固して、7.22gのメサコニンを91.1%の収率で得た。
【0095】
方法2:3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)からのメサコニン(IX)の調製
10g(14.4mmol)の3,8,13,14,15−ペンタアセチルメサコニン(VIII)を取り、そして75mlの95%エタノール溶液中に溶解した。次いで、2.29g(50.4mmol)の水酸化ナトリウムを添加し、そして混合物を30分間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、濃塩酸でpH5に調整し、次いで、強アンモニア水でpH9に調整した。不溶性物質を濾別し、そして濾液を減圧下で濃縮して、9.5gの固体を得た。固体を95mLのジクロロメタン−無水エタノール(9:1、V/V)中に溶解し、吸引濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮乾固して、6.2gのメサコニンを90.0%の収率で得た。
【0096】
上記のメサコニンは、以下の物理化学的性質を有する:
メサコニン:白色固体、比旋光度は
【0098】
である;分子式はC
24H
39NO
9である;水およびメタノール中に易溶性であり、エタノール中に可溶性であり、イソプロパノール中にわずかに可溶性であり、アセトン、クロロホルム中に非常にわずかに可溶性である。十分な二次元NMRおよび他のスペクトル分析によって、構造式は式(IX)として決定される。
【0100】
メサコニンのスペクトルデータは以下のとおりである:
IR(KBr):3424cm
−1、2932cm
−1、2892cm
−1、2821cm
−1、1639cm
−1、1453cm
−1、1106cm
−1;
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:3.07(1H、dd、J=8.4,6.0Hz、H−1β),3.75(1H、m、H−3β),4.15(d、J=6,8Hz、H−6β),3,93(1H、d.J=5.2Hz、H−14β),4.49)(1H、t、J=5.6Hz、H−15β),3.19(1H、d、J=6.0Hz、H−16),2.91(1H,s、H−17),3.65,3.74(各1H、ABq,J=9.6Hz,H
2−18),2.48,2.79(各1H、ABq,J=11.2Hz,H
2−19),2.34(3H、s、NCH
3)、3.26(3H、s、OCH
3−1)、3.34(3H、s、OCH
3−6)、3.64(3H、s、OCH
3−16)、3,32(3H、s、OCH
3−18);
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ:82.6(C−1)、33.8(C−2)、71.5(C−3)、43.4(C−4)、46.5(C−5)、83.2(C−6)、46.4(C−7)、78.8(C−8)、48.8(C−9)、41.6(C−10)、50.1(C−11)、36.9(C−12)、76.3(C−13)、78.7(C−14)、81.5(C−15)、90.7(C−16)、62.5(C−17)、76.8(C−18)、49.8(C−19)、42.5(NCH
3)、56.3(OCH
3−1)、57.9(OCH
3−6)、61.3(OCH
3−16)、59.1(OCH
3−18);
ESI−MS m/z(%):486(100)[M+H]
+;
HR−ESI−MS:擬分子量の測定値は486.2699であり、そして計算値は486.2644である。
【国際調査報告】