特表2021-511506(P2021-511506A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-511506減衰デバイスを含む変換器アセンブリおよび変換器アセンブリを備える超音波測定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-511506(P2021-511506A)
(43)【公表日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】減衰デバイスを含む変換器アセンブリおよび変換器アセンブリを備える超音波測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20210409BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   G01F1/66 A
   H04R1/06 330
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-539757(P2020-539757)
(86)(22)【出願日】2019年1月17日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月17日
(86)【国際出願番号】IB2019050383
(87)【国際公開番号】WO2019145828
(87)【国際公開日】20190801
(31)【優先権主張番号】00084/18
(32)【優先日】2018年1月24日
(33)【優先権主張国】CH
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】514234311
【氏名又は名称】ランディス+ギア アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ジェイムス ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】ダレン ヘイ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ターセニノフ
【テーマコード(参考)】
2F035
5D019
【Fターム(参考)】
2F035DA07
5D019AA21
5D019FF00
(57)【要約】
本発明は、ワイヤ(4、5)を含むケーブル(3)を有する超音波変換器(2)を備える変換器アセンブリ(1)、および2つの変換器アセンブリ(1)を備えた超音波測定システム(20)に関する。様々な5つの温度での測定精度を改善するために、本発明では、変換器アセンブリ(1)は、接続ケーブル(3)に圧力を働かせる構造伝達音減衰デバイス(6)を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのワイヤ(4、5)を有する接続ケーブル(3)を含む超音波変換器(2、2A)を備え、
前記接続ケーブル(3)に圧力を働かせる構造伝達音減衰デバイス(6、6A)を備える変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項2】
前記減衰デバイス(6、6A)が、前記ワイヤ(4、5)それぞれの周囲に圧力を少なくとも部分的に作用させるようにして、前記ケーブル(3)に圧力を働かせるように構成される請求項1に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項3】
前記減衰デバイス(6、6A)が、前記ケーブル(3)がきつく巻き付けられる剛性要素(9)を備える請求項1または2に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項4】
前記剛性要素(9)がケーブル・クリップ(10)である請求項3に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項5】
前記減衰デバイス(6、6A)が、前記ケーブル(3)を圧縮する円筒状圧力要素(11)を備え、前記ケーブル(3)が前記円筒状圧力要素(11)内において少なくとも区画方向で配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項6】
前記ケーブル(3)の区画がループを形成し、該ループが前記円筒状圧力要素(11)内において少なくとも区画方向で配置される、請求項5に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項7】
前記円筒状圧力要素(11)が、弾性スリーブ(12)、縮着チューブ、シュリンク・ディスクまたはブッシング(13)である請求項5または6に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項8】
前記減衰デバイス(6、6A)が、前記ケーブル(3)が中を通って延在する、凝固した媒体の要素(14)を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項9】
前記減衰デバイス(6、6A)を用いて、前記ワイヤ(4、5)の少なくとも一方が前記ワイヤ(4、5)の他方に圧力を働かせる請求項1から8のいずれか一項に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項10】
前記ワイヤ(4、5)の少なくとも一方に圧力を働かせるノット(7)を備える請求項1から9のいずれか一項に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項11】
前記ケーブル(3)に沿って、前記減衰デバイス(6、6A)が前記ケーブル(3)の前記超音波変換器(2、2A)とは反対側の端部よりも前記超音波変換器(2、2A)に近い請求項1から10のいずれか一項に記載の変換器アセンブリ(1、1A)。
【請求項12】
変換器アセンブリ(1)の少なくとも1つが請求項1から11のいずれか一項に記載の変換器アセンブリ(1)である、2つの変換器アセンブリ(1、1A)を備えた超音波測定システム(20)。
【請求項13】
前記ケーブル(3)に沿って、前記超音波変換器(2)によって放射される超音波(U)が前記ケーブル(3)を通る移動時間が測定経路(P)に沿った前記超音波変換器(2、2A)間の移動時間の半分よりも短いようにして、前記超音波変換器(2)と前記減衰デバイス(6)との間の距離(D)が寸法決めされる請求項12に記載の超音波測定システム(20)。
【請求項14】
前記2つの変換器アセンブリ(1、1A)が互いに対して固定の距離(F)で形成され、前記1つの変換器アセンブリ(1)の前記ケーブル(3)に沿って、前記超音波変換器(2)と前記減衰デバイス(6)との間の距離(D)が、前記ケーブル(3)の前記超音波変換器(2)と前記減衰デバイス(6)との間の区画(22)を前記変換器アセンブリの他方(1A)と容易に接触させることができないように寸法決めされる、請求項12または13に記載の超音波測定システム(20)。
【請求項15】
前記少なくとも2つの変換器アセンブリ(1、1A)が両方とも、請求項1から11のいずれか一項にしたがって形成され、前記それぞれの変換器アセンブリ(1、1A)の前記超音波変換器(2、2A)と前記減衰デバイス(6、6A)との間の区画(22、22A)の長さ(L、LA)の合計が、前記変換器アセンブリ(1、1A)の間の自由経路(P)の長さ(B)よりも短い請求項12または13に記載の超音波測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのワイヤを有する接続ケーブルを含む超音波変換器を備える変換器アセンブリに関する。更に、本発明は、2つの変換器アセンブリを含む超音波測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
変換器アセンブリ、および2つの変換器アセンブリを備えた超音波測定システムは、良く知られている。例えば、超音波変換器は、気体もしくは液体のような媒体の流量を判定するのに、または流れる媒体中の気泡もしくは粒子を検出するのに使用される。しかしながら、現行の変換器アセンブリおよび測定システムでは、測定および検出精度はそれぞれの媒体の温度に伴って変動する。したがって、結果として、既知の変換器アセンブリおよび測定システムを十分な測定および検出精度で使用できる温度範囲は、非常に限定されている。
【発明の概要】
【0003】
上述の不利な点に鑑みて、本発明の基礎をなす目的は、従来技術による変換器アセンブリおよび測定システムよりも広い温度範囲内で、改善された測定および検出精度で使用することができる、変換器アセンブリおよび測定システムを提供することである。
【0004】
上述の変換器アセンブリの場合、変換器アセンブリが、接続ケーブルに圧力を働かせる構造伝達音減衰デバイスを備えるという点で、目的が達成される。上述の測定システムの場合、変換器アセンブリの少なくとも1つが本発明による変換器アセンブリであるという点で、目的が達成される。
【0005】
驚くことに、機械的圧力をワイヤに作用させることによって、測定精度は低下しないか、または少なくとも温度による低下は小さくなる。ケーブルのワイヤ、および特にそのコーティング、例えばポリテトラフルオロエチレンまたは別の絶縁体、例えばプラスチック材料は、超音波を構造伝達音として伝達する。例えば、超音波変換器とは反対側に配置されたケーブルの端部で、構造伝達音が反射され、次にケーブルを介して超音波変換器に返されて、そこで測定音として不正確に感知されることがある。媒体を移動する音の速度は媒体の温度に伴って変化するので、例えば別の変換器アセンブリによって放射される実際の超音波測定信号の受信と、反射した構造伝達音の受信との時間差が変化し、測定または検出精度が温度を変数として周期的に変化する。圧力をケーブルに働かせることによって、実際の超音波測定信号が超音波変換器に達することが予期される特定の時間窓の外で超音波変換器に達するように、構造伝達音を減衰または反射させることができる。そのため、測定または検出精度は、周期的に低下せず、または少なくとも従来技術と比較して温度変化によって減少する。
【0006】
本発明による解決策は、所望に応じて組み合わせることができ、また更に、いずれの場合もそれ自体が有利である、更なる以下の実施形態によって改善することができる。別段の指定がない限り、実施形態は互いに容易に組み合わせることができる。
【0007】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、減衰デバイスは、各ワイヤの周囲に少なくとも部分的にまたは区画方向でまたは更には完全に圧力を作用させるようにして、圧力をケーブルに働かせるように構成される。したがって、ケーブルの、また特にワイヤの少なくとも1つもしくは更には全ての周囲のほぼ全体に作用させた場合、構造伝達音の伝達率は、周囲に沿ってある程度または更には完全に低減されてもよく、減衰デバイスの効果が改善されてもよい。
【0008】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、減衰デバイスは、ケーブルが周りにきつく巻き付けられる剛性要素を備える。剛性要素を設け、剛性要素にケーブルをきつく巻き付けることによって、減衰デバイスが簡単に提供されてもよく、更には既存の変換器アセンブリに追加されてもよい。
【0009】
例えば、剛性要素にきつく巻き付けられたケーブルの部分は、剛性要素に対して容易に移動できないことがある。例えば、剛性要素にきつく巻き付けられたケーブルの部分は、ケーブルのきつく巻き付けられていない別の部分よりも張っているかまたは歪むことがある。したがって、剛性要素にきつく巻き付けられたケーブルの部分の機械的応力は、ケーブルのきつく巻き付けられていない別の部分の機械的応力よりも高くてもよい。
【0010】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、剛性要素はケーブル・クリップである。そのため、ケーブル・クリップにより、例えば測定システムの保持部でケーブルを固定し、したがって他の要素から離しておくことができるので、測定および検出精度を改善するだけでなく、構造伝達音が別の要素に、例えば別の変換器アセンブリに放射または伝達されるのを回避することが可能であってもよい。ケーブル・クリップは単純に、保持部の上または中にクリップ留めされてもよく、プラスチックで形成されてもよく、コスト効率が良い形で製造可能である。
【0011】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、減衰デバイスは、ケーブルを押圧または圧縮する円筒状圧力要素を備え、ケーブルは、少なくとも区画方向で円筒状圧力要素内に配置される。そのため、減衰デバイスに必要な追加の設置空間は、最小限に低減されてもよく、または更には、円筒状圧力要素として形成される減衰デバイスに、追加の設置空間は不要であってもよい。ケーブルを少なくとも区画方向で円筒状圧力要素内に配置することによって、ケーブルの長さ方向に沿ったならびに/または円周方向に沿った、ケーブルのいくつかの位置あるいはケーブルの連続区画で、圧力を働かせることができ、それによって減衰デバイスの効果が更に改善される。
【0012】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、ケーブルの区画はループを形成し、ループは少なくとも区画方向で円筒状圧力要素内に配置される。ループを形成することによって、ケーブルの長さ方向に沿った、ケーブルのより多くの位置あるいはより長い連続区画で、圧力を作用させることが可能であってもよく、それによって減衰デバイスの効果が更に改善される。
【0013】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、円筒状圧力要素は、弾性スリーブ、縮着チューブ(shrink−on tube)、シュリンク・ディスク、およびブッシングの少なくとも1つである。円筒状圧力要素が、弾性スリーブ、縮着チューブ、またはシュリンク・ディスクの場合、ケーブルは、円筒状圧力要素の一端または両端から突出してもよく、それによって変換器アセンブリの設置が容易になってもよい。円筒状圧力要素がブッシングの場合、ケーブルは、円筒状圧力要素の一端のみから突出してもよく、それによって必要に応じてケーブル長さを単純に低減することが可能になってもよい。圧力を作用させる区画は、ブッシングに押し込まれ、それによって圧力が発生してもよい。別の方法として、またはそれに加えて、ブッシングは、ケーブルがブッシングの内部にある状態で、弾性的および/または可塑的に圧縮もしくは圧搾されてもよい。例えば、ブッシングはプラスチックの圧着フェルールであってもよい。
【0014】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、減衰デバイスは、凝固した媒体の要素を含み、ケーブルはそこを通って延在する。媒体を適用する際、媒体は、液体状態または可塑的に変形可能な状態であってもよく、適用後に固化または硬化する。例えば、媒体は散逸媒質であってもよい。液体または可塑的に変形可能な状態の凝固した要素を形成する媒体を適用する場合、媒体を簡単にケーブルと密着させてもよい。ワイヤおよび/またはケーブルを密着させる場合、媒体は、ほぼ完全にもしくはほぼギャップなしでまたは更には完全にもしくはギャップなしで、ケーブルおよび/またはワイヤの周囲に接触する。ワイヤが互いに接触する範囲でのみ、接触ギャップが残ってもよい。そのため、減衰デバイスの効果を更に改善することができる。
【0015】
固化または硬化の際、媒体は収縮することがあり、それによって要素がケーブルおよび/またはワイヤに作用させる圧力が増加する。それに加えて、ケーブルが互いに接触し、接触ギャップをもたらす場合、収縮する媒体によってワイヤが互いに押圧されることがあり、そのことが、接触ギャップであっても構造伝達音の伝播を更に低減する助けとなる。
【0016】
媒体は、プラスチック材料、シーラント材料(例えば、シーラント・パテ)、結合材料(例えば、接着剤、熱接着剤、もしくはブル・タックなど)を含むか、または更にはそれから成ってもよい。特に、要素が射出成形によって形成される場合、媒体は、熱可塑性樹脂を含んでもよく、または更にはそれから成ってもよい。
【0017】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、減衰デバイスは、ワイヤの他方に圧力を働かせるワイヤの少なくとも1つを備える。ワイヤの一方がワイヤの他方に圧力を働かせるので、減衰デバイスの効果は、追加の要素なしで少なくとも部分的または完全に達成されてもよく、それによって変換器アセンブリの複雑さおよびコストが低減される。あるいは、追加の要素の1つが提供された場合、圧力を他方に働かせるワイヤの1つは、減衰デバイスの効果を更に改善してもよい。
【0018】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、減衰デバイスは、圧力をワイヤに働かせるノットを備える。ノットは、ケーブルの周りで、特に2つのワイヤの周りで結ばれたストランドによって形成されてもよい。別の方法として、またはそれに加えて、減衰デバイスは、結ばれたストランドと同じまたは少なくとも類似の効果を有してもよい、レース、ケーブル・タイ、またはジップ・タイを備えてもよい。
【0019】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、ノットは、ワイヤの少なくとも一方によって、または両方によって形成されてもよい。例えば、ノットは、ケーブルによって形成されるオーバーハンド・ノットである。そのため、既存の変換器アセンブリであっても、追加の材料コストなしに改善することができる。
【0020】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、ノットおよび/またはレース、ケーブル・タイ、もしくはジップ・タイは、ケーブルおよび/またはワイヤをしっかりと押圧し、それによって圧力を働かせる。したがって、減衰デバイスの設計が単純化されてもよい。
【0021】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、ケーブルに沿って、減衰デバイスは、ケーブルの超音波変換器とは反対側の端部よりも超音波変換器に近い。例えば、減衰デバイスと超音波変換器との間の距離は、ケーブルの全長の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または更には5%未満である。したがって、超音波変換器から反射して超音波変換器に戻る構造伝達音の移動時間が十分に短縮されてもよく、または構造伝達音が他の要素に伝達されるのを回避して、測定または検出精度に影響しないようにすることができる。
【0022】
変換器アセンブリの可能な実施形態によれば、変換器アセンブリは、1つまたは2つ以上の減衰デバイスを備えてもよく、複数の、例えば少なくとも2つの減衰アセンブリが存在する場合、減衰アセンブリは全て同じであってもよく、または減衰アセンブリのうち少なくとも選択されたものが、異なるタイプのもの、特に本明細書に記載する要素のいずれかであってもよい。そのため、変換器アセンブリの設計は、柔軟な形で設置または他の状況に適合可能であってもよく、測定または検出誤差の低減が達成されてもよい。
【0023】
超音波測定システムの可能な実施形態によれば、ケーブルに沿って、超音波変換器と減衰デバイスとの間の距離は、超音波変換器から放射される超音波がケーブルを通る移動時間が、移動時間の半分未満になるように、例えば、測定経路に沿った超音波変換器間の移動時間の40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または更には5%未満になるように寸法決めされる。特に、予め選択された時点で、例えば同時に、両方の変換器が超音波を放射する場合、反射された構造伝達音の可能な到着は、広い温度範囲であっても、他のそれぞれの超音波変換器から放射された測定音が超音波変換器に達することが予期される時間窓の大幅に外側であってもよい。
【0024】
超音波測定システムの可能な実施形態によれば、2つの変換器アセンブリは互いに対して固定の距離で形成され、1つの変換器アセンブリのケーブルに沿って、超音波変換器と減衰デバイスとの間の距離は、ケーブルの超音波変換器と減衰デバイスとの間の区画を変換器アセンブリのそれぞれ他方と容易に接触させることができないように寸法決めされる。そのため、それぞれの超音波変換器によって生じる構造伝達音が伝播することができる、ケーブルの超音波変換器と減衰デバイスとの間の区画は、それぞれ他方のケーブルに接触することができないので、構造伝達音を放射した超音波変換器に対する音の反射だけでなく、他のそれぞれの超音波変換器への構造伝達音の伝達も防止することができ、大きい測定誤差または不正確な検出のリスクがやはり低減される。
【0025】
超音波測定システムの可能な実施形態によれば、少なくとも2つの変換器アセンブリは両方とも、本発明にしたがって形成および/または配置され、それぞれの変換器アセンブリの超音波変換器と減衰デバイスとの間における区画の長さの合計は、変換器アセンブリ間の自由経路の長さよりも短い。あるいは、ケーブルそれぞれの超音波変換器と減衰デバイスとの間の各区画の長さは、変換器アセンブリ間の自由経路の長さの半分よりも短く、例えば40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または5%未満である。したがって、変換器アセンブリのいずれも、ケーブルが互いに接触している場合であっても、他のそれぞれの変換器アセンブリに構造伝達音を直接伝達しない。
【0026】
超音波測定システムの可能な実施形態によれば、超音波測定システムは、超音波によって媒体の流量を測定するように構成された流量計である。そのため、流量は、本質的に媒体の温度とは関係なく、一定の精度で測定されてもよい。
【0027】
以下、更に詳細に例示的な形で、有利な実施形態を用いて図面を参照して本発明について記載する。記載する実施形態は、単なる可能な構成であるが、上述したような個々の特徴は、互いに独立して提供することができ、または図面では省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】変換器アセンブリの例示的実施形態を示す図である。
図3】変換器アセンブリの別の例示的実施形態を示す図である。
図4】変換器アセンブリの更に別の例示的実施形態を示す図である。
図5】変換器アセンブリの更なる例示的実施形態を示す図である。
図6】2つの変換器アセンブリを含む超音波測定システムの例示的実施形態を示す図である。
図7】変換器アセンブリのワイヤを通る断面の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
形態および/または機能が互いに対応する要素については、以下、同じ参照番号を使用する。
【0030】
図1は、超音波変換器2と、2つのワイヤ4、5を含む接続ケーブル3とを含む、変換器アセンブリ1の例示的実施形態を概略斜視図で示している。超音波変換器2は、ケーブル3を介して適切な電気信号を供給されると、超音波を放射するように構成される。超音波を外部源から受信すると、超音波変換器2は、電気信号を生成し、ケーブル3を介して電気信号を出力するように構成される。
【0031】
変換器アセンブリ1は、ケーブル3に沿って配置され、圧力をケーブル3に、特にワイヤ4、5に働かせる、構造伝達音減衰デバイス6を備える。減衰デバイス6は、特に、ワイヤ4、5の周囲の少なくとも一部または周囲全体に圧力を作用させるようにして、圧力をケーブル3に働かせるように構成されてもよい。
【0032】
ケーブル3に沿って、減衰デバイス6は超音波変換器2までの距離Dを有する。距離Dは、変換器2と、ケーブル3の変換器とは反対側の端部をプリント回路基板(図示なし)などの電気装置もしくはデバイスに接続可能である、コネクタなどの接続点との間で測定した、ケーブル3の全長の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または更には5%未満であってもよい。
【0033】
図1の例示的実施形態では、減衰デバイス6は、ワイヤ4、5の少なくとも1つを備え、更にはそれから成る。特に、減衰デバイス6は、ノット7を形成するワイヤ4、5の両方を備えてもよい。ノット7は減衰要素8として指定されてもよい。特に、ワイヤ4、5は、例えばハンドオーバー・ノット7に、きつく結ばれてもよい。ノット7によるワイヤ4、5の絡み合わされたまたは撚り合わされた構成により、ワイヤ4、5の周囲にほぼ完全にまたは全体的に圧力が作用してもよい。ケーブル3によって形成されるノット7の代わりに、またはそれに加えて、減衰デバイス6は、別の要素、例えばストランドのノットとして形成される減衰要素を備えてもよく、ワイヤ4、5は、そのノット、またはケーブル3を取り囲むとともに圧力を働かせる更に別の減衰要素、例えばレースもしくはジップ・タイに配置されるとともに、それによってきつく押圧される。
【0034】
図2は、変換器アセンブリ1の別の例示的実施形態を概略斜視図で示している。簡潔にするため、図1の例示的実施形態との違いのみについて以下で見ていく。図2に示される例示的実施形態では、減衰デバイス6は、ケーブル3がきつく巻き付けられる剛性要素9を備える。例えば、ケーブル3の剛性要素9にきつく巻き付けられる部分は、剛性要素9に対して自由に動くことができず、ケーブル3のケーブル3にきつく巻き付けられていない他の区画よりも大きい機械的張力、歪み、または応力に晒されてもよい。剛性要素9は任意の剛性要素であってもよい。特に、剛性要素9はケーブル・クリップ10であってもよく、ケーブル3は、ケーブル・クリップ10の側面または脚部に巻き付けられてもよい。
【0035】
図3は、変換器アセンブリ1の別の例示的実施形態を概略斜視図で示している。簡潔にするため、図1および2の例示的実施形態との違いのみについて以下で見ていく。図3の例示的実施形態の減衰デバイス6は、ケーブル3を押圧する円筒状圧力要素11を備え、ケーブル3は、少なくとも区画方向で円筒状圧力要素11に配置される。ケーブル3の区画はループを形成してもよく、ループは、少なくとも区画方向で円筒状圧力要素11に配置される。例えば、円筒状圧力要素11は縮着チューブまたはシュリンク・ディスクであってもよい。図3の例示的実施形態では、円筒状圧力要素11は弾性スリーブ12として示されている。ケーブル3は、円筒状圧力要素11の一方の開放端から、または両方の開放端から突出してもよい。
【0036】
図4は、図3の変換器アセンブリ1の別の例示的実施形態を概略斜視図で示している。簡潔にするため、図3の上述の例示的実施形態との違いのみについて以下に記載する。図4の例示的実施形態の円筒状圧力要素11は、フェルールまたはブッシング13として形成される。ケーブル3は、円筒状圧力要素11の一方の開放端から突出してもよい。ケーブル3はブッシング13に押し込まれてもよく、またはブッシング13がケーブル3に押し付けられてもよい。例えば、ブッシング13はプラスチックの圧着フェルールであってもよい。
【0037】
図5は、変換器アセンブリ1の別の例示的実施形態を概略斜視図で示している。簡潔にするため、上述の例示的実施形態との違いのみについて以下で見ていく。図3の例示的実施形態の減衰デバイス6は、凝固した媒体の要素14を備え、そこを通ってケーブル3が延在する。
【0038】
媒体を適用する際、媒体は、液体状態または可塑的に変形可能な状態であって、次に適用後に固化または硬化されてもよく、それによって凝固した要素14を形成する。例えば、媒体は散逸媒質であってもよい。液体または可塑的に変形可能な状態の凝固した要素14を形成する媒体を適用する場合、媒体を簡単にケーブル3と、特にワイヤ4、5と密着させてもよい。ケーブル3および/またはワイヤ4、5を密着させる場合、媒体は、ほぼ完全にもしくはまたはほぼギャップなしでまたは更には完全にもしくはギャップなしで、ケーブル3および/またはワイヤ3、4の周囲に接触してもよい。ワイヤ4、5が互いに接触する範囲でのみ、接触ギャップが残ってもよい。そのため、減衰デバイス6の効果を更に改善することができる。
【0039】
固化または硬化の際、媒体は収縮することがあり、それによって、凝固した要素14がケーブル3および/またはワイヤ3、4に作用させる圧力が増加してもよい。それに加えて、ワイヤ3、4が互いに接触し、接触ギャップをもたらす場合、収縮する媒体によってワイヤ3、4が互いに押圧されることがあり、そのことが、接触ギャップであっても構造伝達音の伝播を更に低減する助けとなる。媒体は、プラスチック材料、シーラント材料(例えば、シーラント・パテ)、結合材料(例えば、接着剤、熱接着剤、もしくはブル・タックなど)を含んでもよい。特に、要素が射出成形によって形成される場合、媒体は熱可塑性樹脂を含んでもよい。
【0040】
図6は、2つの変換器アセンブリ1、1Aを含む超音波測定システム20の例示的実施形態を、チューブ21の断面図で概略的に示している。例えば、超音波測定システム20は、チューブ21を流れる媒体の流量を超音波で測定するように構成された流量計である。変換器アセンブリ1、1A、特にそれらの超音波変換器2、2Aの構成は、既知の流量計の構成に対応してもよい。2つの変換器アセンブリ1、1Aの少なくとも1つ、例えば変換器アセンブリ1は、上述した例示的実施形態のいずれかにしたがって形成される。
【0041】
変換器アセンブリ1のケーブル3に沿って、超音波変換器2と減衰デバイス6との間の距離Dは、超音波変換器1によって放射される超音波Uがケーブル3を通る移動時間が、測定経路Mに沿った超音波変換器2、2Aの間の移動時間の半分よりも短いように、寸法決めされてもよい。チューブ21を通って流れる媒体の流路Rに沿って、2つの変換器アセンブリ1、1Aは、互いに対して固定の距離Fで形成されてもよい。1つの変換器アセンブリ1のケーブル3に沿って、超音波変換器2と減衰デバイス6との間のケーブル3の区画22の長さLは、ケーブル3の区画22が他方の変換器アセンブリ1Aと容易に接触できないようにして、寸法決めされてもよい。
【0042】
図6に示されるように、少なくとも2つの変換器アセンブリ1、1Aは両方とも、図1〜6の例示的実施形態のいずれかにしたがって形成されてもよく、それぞれの変換器アセンブリ1、1Aの超音波変換器2、2Aと減衰デバイス6、6Aとの間の区画22、22Aの長さL、LAの合計は、変換器アセンブリ1、1Aの間の自由経路Pの長さBよりも短い。あるいは、区画22、22Aそれぞれの長さL、LAは、変換器アセンブリ1、1Aの間の自由経路Pの長さBの50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または更には5%未満であってもよい。
【0043】
図7は、上述の実施形態のいずれか1つによる変換器アセンブリ1、1Aのワイヤ4の概略断面図を示している。単純にするため、変換器アセンブリ1のワイヤ4のみを示し、記載する。変換器アセンブリ1の他方のワイヤ5、および変換器アセンブリ1Aのワイヤ4、5のいずれか1つは、記載し図示するワイヤ4に対応してもよい。ワイヤ4は、例えばアルミニウムまたは銅のストランドを含む、導電性金属で形成されたコア30を備える。コア30を介して、電気信号を超音波変換器1との間で伝導することができる。コア30の側面31は、絶縁コーティング32、例えばポリテトラフルオロエチレンで、被覆されているものとして示されている。
【符号の説明】
【0044】
1、1A 変換器アセンブリ
2、2A 超音波変換器
3 ケーブル
4、5 ワイヤ
6、6A 減衰デバイス
7 ノット
8 減衰要素
9 剛性要素
10 ケーブル・クリップ
11 円筒状圧力要素
12 弾性スリーブ
13 ブッシング
14 凝固した媒体の要素
20 超音波測定システム
21 チューブ
22、22A 超音波変換器と減衰デバイスとの間の区画
30 コア
31 コアの側面
32 絶縁コーティング
B 自由経路の長さ
D 距離
F 固定の距離
L、LA 区画の長さ
M 測定経路
P 自由経路
R 媒体の流路
U 超音波
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】