(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本開示は、CD70に特異的に結合するCAR(CAR)を提供する。本開示はさらに、当該CARを含む操作された免疫細胞、CARをコードする核酸、ならびに当該CAR、操作された免疫細胞、および核酸を作製する方法に関するものである。本開示はさらに、CD70を発現する悪性細胞と関連した状態(例えば、癌)の治療のための、これらCAR、およびこれらCARを含む操作された免疫細胞の使用に関する治療方法に関するものである。
細胞外リガンド−結合ドメイン、第一の膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むCluster of Differentiation 70(CD70)特異的キメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外ドメインは、CD70の細胞外ドメインに結合する一本鎖Fv断片(scFv)を含有し、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBシグナル伝達ドメインを含有する、CD70特異的CAR。
前記細胞外ドメインは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、または381に示される配列を含むVH領域由来の三つのCDRを含む前記重鎖可変(VH)領域、および配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、または380に示されるVL領域由来の三つのCDRを含む前記軽鎖可変(VL)領域、を含有する一本鎖Fv断片(scFv)を含有する、請求項1に記載のCD70特異的CAR。
前記VH領域は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379または381に示される配列を含有し、および軽鎖可変(VL)領域は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378または380に示される前記VL領域由来の三つのCDR、またはCDR内ではないアミノ酸に一つまたは複数のアミノ酸置換を伴うそのバリアントを含有する、請求項1に記載のCD70特異的CAR。
前記VH領域は、配列番号97、98または99に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号100または101に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号102に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、軽鎖可変領域(VL)は以下のCDR:配列番号217に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号218に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号219に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する、請求項1に記載のCD70特異的CAR。
前記VH領域は、配列番号18に示されるアミノ酸配列を含有し、前記VL領域は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含有する、請求項1に記載のCD70特異的CAR。
前記VH領域は、配列番号145、146または147に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号148または149に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号150に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、および軽鎖可変領域(VL)は以下のCDR:配列番号241に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号242に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号243に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する、請求項1に記載のCD70特異的CAR。
前記VH領域は、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含有し、前記VL領域は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含有する、請求項1に記載のCD70特異的CAR。
各CDRは、Kabatの定義、Chothiaの定義、Kabat定義とChothia定義の組み合わせ、AbM定義、またはCDRの接触定義に従い規定される、請求項2または3に記載のCD70特異的CAR。
前記細胞外リガンド−結合ドメインと前記第一の膜貫通ドメインの間にストークドメインをさらに含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のCD70特異的CAR。
前記ストークドメインは、ヒトCD8αのヒンジ、IgG1のヒンジ、およびFcγRIIIαのヒンジからなる群から選択される、請求項13に記載のCD70特異的CAR。
前記CD20エピトープは、配列番号293または配列番号294または配列番号609に示されるアミノ酸配列を含有する、請求項15に記載のCD70特異的CAR。
前記細胞外リガンド−結合ドメイン、前記第一の膜貫通ドメイン、および前記細胞内シグナル伝達ドメインは、一つのポリペプチド上にある、請求項1〜19のいずれか1項に記載のCD70特異的CAR。
第二の膜貫通ドメインをさらに含有し、前記第一の膜貫通ドメインおよび前記細胞外リガンド−結合ドメインは、第一のポリペプチド上にあり、および前記第二の膜貫通ドメインおよび前記細胞内シグナル伝達ドメインは、第二のポリペプチド上にあり、前記第一の膜貫通ドメインは、高アフィニティIgE受容体(FcεRI)のα鎖に由来する膜貫通ドメインを含有し、および前記第二の膜貫通ドメインは、FcεRIのγ鎖またはβ鎖に由来する膜貫通ドメインを含有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載のCD70特異的CAR。
共刺激性分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインに融合された第三の膜貫通ドメインを含有する第三のポリペプチドをさらに含有し、前記第三の膜貫通ドメインは、FcεRIのγ鎖またはβ鎖に由来する膜貫通ドメインを含有する、請求項22に記載のCD70特異的CAR。
前記免疫細胞は、炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球、またはヘルパーTリンパ球から誘導される、請求項27〜30のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
一つまたは複数の内因性遺伝子の破壊をさらに含み、前記内因性遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD52、グルココルチコイド受容体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)、CD70、または例えばprogrammed death−1(PD−1)などの免疫チェックポイントタンパク質をコードする、請求項27〜31のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
前記癌が、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項37に記載の操作された免疫細胞。
前記細胞群は、実施例4に開示されるアッセイを使用して測定されるときに、6日目で、再帰的CD70発現細胞に対し、20%よりも高いCD70発現細胞の溶解割合を達成する、請求項39に記載の細胞群。
対象においてCD70を発現する悪性細胞と関連した状態を治療する方法であって、その必要のある対象に、請求項45に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
前記癌が、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の増殖または進行を阻害する方法であって、その必要のある前記対象に、請求項45に記載の医薬組成物の前記対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
対象においてCD70を発現する悪性細胞の転移を阻害する方法であって、その必要のある前記対象に、請求項45に記載の医薬組成物の前記対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導する方法であって、その必要のある前記対象に、請求項45に記載の医薬組成物の前記対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
細胞外リガンド−結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むCluster of Differentiation 70特異的キメラ抗原受容体(CD70特異的CAR)であって、前記細胞外ドメインは、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を有するCD70の細胞外ドメインに結合する一本鎖Fv断片(scFv)を含有し、
a)前記VH領域は、配列番号18と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有し、前記VL領域は、配列番号17と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有し;または
b)前記VH領域は、配列番号34と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有し、前記VL領域は、配列番号33と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有する、CD70特異的CAR。
前記細胞外ドメインは、配列番号319と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有する、請求項52に記載のCD70特異的CAR。
前記細胞外ドメインは、配列番号327と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有する、請求項52に記載のCD70特異的CAR。
前記細胞外リガンド−結合ドメインと前記第一の膜貫通ドメインの間にストークドメインをさらに含有する、請求項56〜64のいずれか1項に記載のCD70特異的CAR。
前記ストークドメインは、ヒトCD8αのヒンジ、IgG1のヒンジ、およびFcγRIIIαのヒンジからなる群から選択される、請求項65に記載のCD70特異的CAR。
前記CD20エピトープは、配列番号293または配列番号294または配列番号609に示されるアミノ酸配列を含有する、請求項67に記載のCD70特異的CAR。
前記細胞外リガンド−結合ドメイン、前記第一の膜貫通ドメイン、および前記細胞内シグナル伝達ドメインは、一つのポリペプチド上にある、請求項56〜70のいずれか1項に記載のCD70特異的CAR。
第二の膜貫通ドメインをさらに含有し、前記第一の膜貫通ドメインおよび前記細胞外リガンド−結合ドメインは、第一のポリペプチド上にあり、および前記第二の膜貫通ドメインおよび前記細胞内シグナル伝達ドメインは、第二のポリペプチド上にあり、前記第一の膜貫通ドメインは、高アフィニティIgE受容体(FcεRI)のα鎖に由来する膜貫通ドメインを含有し、および前記第二の膜貫通ドメインは、FcεRIのγ鎖またはβ鎖に由来する膜貫通ドメインを含有する、請求項56〜70のいずれか1項に記載のCD70特異的CAR。
共刺激性分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインに融合された第三の膜貫通ドメインを含有する第三のポリペプチドをさらに含有し、前記第三の膜貫通ドメインは、FcεRIのγ鎖またはβ鎖に由来する膜貫通ドメインを含有する、請求項72に記載のCD70特異的CAR。
前記免疫細胞は、炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球、またはヘルパーTリンパ球から誘導される、請求項76〜79のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
一つまたは複数の内因性遺伝子の破壊をさらに含み、前記内因性遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD52、グルココルチコイド受容体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)、CD70、または例えばprogrammed death−1(PD−1)などの免疫チェックポイントタンパク質をコードする、請求項76〜80のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
前記癌が、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項86に記載の操作された免疫細胞。
前記細胞群は、実施例4に開示されるアッセイを使用して測定されるときに、6日目で、再帰的CD70発現細胞に対し、20%よりも高いCD70発現細胞の溶解割合を達成する、請求項88に記載の細胞群。
対象においてCD70を発現する悪性細胞と関連した状態を治療する方法であって、その必要のある対象に、請求項93に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
前記癌が、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の増殖または進行を阻害する方法であって、その必要のある前記対象に、請求項93に記載の医薬組成物の前記対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
対象においてCD70を発現する悪性細胞の転移を阻害する方法であって、その必要のある前記対象に、請求項93に記載の医薬組成物の前記対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導する方法であって、その必要のある前記対象に、請求項93に記載の医薬組成物の前記対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
【発明の概要】
【0008】
CD70に結合するキメラ抗原受容体(CAR)、ならびに当該受容体を作製する方法および使用する方法が本明細書において提供される。例えばCD70 CARを含むT細胞などの免疫細胞も本明細書において提供される。あるCD70特異的CARは、T細胞で発現されたときに、CD70との接触でT細胞を活性化するのに有効であることが示されている。有利なことに、本明細書に提供されるCD70特異的CARは、ヒトCD70に結合する。さらに有利なことには、本明細書に提供されるCD70特異的CAR−T細胞は、CD70発現細胞との接触で、細胞傷害活性を呈する。CD70に結合する抗体、ならびに当該抗体を作製する方法および使用する方法も本明細書において提供される。本明細書に提供されるCD70特異的抗体は、ヒトCD70に結合する。
【0009】
一つの態様において、本開示は、細胞外リガンド−結合ドメイン、第一の膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むCluster of Differentiation 70(CD70)特異的キメラ抗原受容体(CAR)を提供するものであり、当該細胞外ドメインは、CD70の細胞外ドメインに結合する一本鎖Fv断片(scFv)を含有する。
【0010】
一部の実施形態では、本開示は、CD70特異的CARを提供するものであり、本明細書に提供されるCARの細胞外ドメインは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、または381に示される配列を含むVH領域由来の三つのCDRを含む重鎖可変(VH)領域、および配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、または380に示されるVL領域由来の三つのCDRを含む軽鎖可変(VL)領域、を含有する。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379もしくは381に示される配列、またはCDR内ではない残基に一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を伴うそのバリアントを含有し、および/またはVL領域は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378もしくは380に示されるアミノ酸配列、またはCDR内ではないアミノ酸に一つまたは複数のアミノ酸置換を伴うそのバリアントを含有する。
【0011】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号49、50または51に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号52または53に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号54に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号193に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号194に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号195に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0012】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0013】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号55、56または57に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号58または59に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号196に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号197に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号198に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0014】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0015】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号61、62または63に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号64または65に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号199に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号200に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号201に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0016】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0017】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号67、68または69に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号70または71に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号72に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号202に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号203に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号204に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0018】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0019】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号73、74または75に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号76または77に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号78に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号205に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号206に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号207に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0020】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0021】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号79、80または81に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号82または83に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号84に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号208に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号209に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号210に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0022】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0023】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号85、86または87に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号88または89に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号90に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号211に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号212に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号213に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0024】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号91、92または93に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号94または95に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号96に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号214に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号215に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号216に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0025】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0026】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号97、98または99に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号100または101に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号102に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号217に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号218に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号219に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0027】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号18に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0028】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号103、104または105に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号106または107に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号108に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号220に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号221に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号222に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0029】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0030】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号109、110または111に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号112または113に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号114に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号223に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号225に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0031】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0032】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号115、116または117に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号118または119に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号120に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号226に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号227に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号228に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0033】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0034】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号121、122または123に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号124または125に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号126に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号229に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号230に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号231に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0035】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0036】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号127、128または129に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号130または131に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号132に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号232に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号233に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号234に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0037】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号28に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0038】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号133、134または135に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号136または137に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号138に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号235に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号236に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0039】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0040】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号139、140または141に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号142または143に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号144に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号238に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号239に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号240に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0041】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号31に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0042】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号145、146または147に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号148または149に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号150に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号241に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号242に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号243に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0043】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0044】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号151、152または153に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号154または155に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号156に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号244に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号245に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号246に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0045】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号35に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0046】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号157、158または159に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号160または161に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号162に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号247に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号248に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号249に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0047】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0048】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号163、164または165に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号166または167に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号168に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号250に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号251に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号252に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0049】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0050】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号169、170または171に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号172または173に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号174に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号253に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号254に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号255に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0051】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0052】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号175、176または177に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号178または179に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号180に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号256に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号257に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号258に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0053】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号44に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号43に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0054】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号181、182または183に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号184または185に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号186に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号259に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号260に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号261に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0055】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号45に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0056】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号187、188または189に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号190または191に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号192に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3を含有し、VL領域は、配列番号262に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号263に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号264に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3を含有する。
【0057】
一部の実施形態では、VH領域は、配列番号48に示されるアミノ酸配列を含有し、VL領域は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0058】
一部の実施形態では、各CDRは、Kabatの定義、Chothiaの定義、Kabat定義とChothia定義の組み合わせ、AbM定義、またはCDRの接触定義に従い規定される。
【0059】
一部の実施形態では、各CDRは、Kabatの定義、Chothiaの定義、拡張定義(extended definition)、Kabat定義とChothia定義の組み合わせ、AbM定義、CDRの接触定義、および/またはCDRのコンフォメーション定義(conformational definition)に従い規定される。
【0060】
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含有する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含有する。一部の実施形態では、CARはさらに、第二の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。一部の実施形態では、第二の細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含有する。一部の実施形態では、CARは、第一のCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインおよび第二の4−1BB細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。
【0061】
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含有する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含有する。一部の実施形態では、CARはさらに、2個の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。一部の実施形態では、CARはさらに、3、4、5または6個の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。一部の実施形態では、CARは、第一の細胞内シグナル伝達ドメインおよび第二の細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、当該第二の細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含有する。一部の実施形態では、CARは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインおよび4−1BB細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。
【0062】
一部の実施形態では、CARは、細胞外リガンド−結合ドメインと第一の膜貫通ドメインの間にストーク(stalk)ドメインを含有してもよい。一部の実施形態では、ストークドメインは、ヒトCD8αのヒンジ、IgG1のヒンジ、およびFcγRIIIαのヒンジからなる群から選択される。一部の実施形態では、ストークドメインは、ヒトCD8αのヒンジ、ヒトIgG1のヒンジ、またはヒトFcγRIIIαのヒンジである。
【0063】
一部の実施形態では、CARは、CD20のエピトープを含有してもよい。一部の実施形態では、CD20のエピトープは、配列番号293または配列番号294または配列番号609に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0064】
一部の実施形態では、CARは、表5に列記される配列番号311〜334に示されるアミノ酸配列を含有してもよい。一部の実施形態では、CARは、配列番号319または配列番号327に示されるアミノ酸配列を含有してもよい。
【0065】
一部の実施形態では、第一の膜貫通ドメインは、CD8α鎖の膜貫通ドメインを含有する。
【0066】
一部の実施形態では、CARは、CD70に特異的ではない別の細胞外リガンド−結合ドメインを含有してもよい。
【0067】
一部の実施形態では、細胞外リガンド−結合ドメイン、第一の膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインは、一つのポリペプチド上にある。
【0068】
一部の実施形態では、CARは、第二の膜貫通ドメインを含有してもよく、当該第一の膜貫通ドメインおよび当該細胞外リガンド−結合ドメインは、第一のポリペプチド上にあり、当該第二の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインは、第二のポリペプチド上にあり、当該第一の膜貫通ドメインは、高アフィニティIgE受容体(FcεRI)のα鎖に由来する膜貫通ドメインを含有し、第二の膜貫通ドメインは、FcεRIのγ鎖またはβ鎖に由来する膜貫通ドメインを含有する。
【0069】
一部の実施形態では、CARは、共刺激性分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインに融合された第三の膜貫通ドメインを含有する第三のポリペプチドを含有してもよく、当該第三の膜貫通ドメインは、FcεRIのγ鎖またはβ鎖に由来する膜貫通ドメインを含有する。
【0070】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるCD70特異的CARをコードする核酸配列を含有する単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0071】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるCD70特異的CARをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを提供する。
【0072】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるCD70特異的CARを、その細胞表面膜で発現する操作された免疫細胞を提供する。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、CD70に特異的ではない別のCARを含有してもよい。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、自殺ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有してもよい。一部の実施形態では、自殺ポリペプチドは、RQR8である。
【0073】
一部の実施形態では、操作された免疫は、炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球、またはヘルパーTリンパ球から誘導される。
【0074】
一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、一つまたは複数の内因性遺伝子が破壊されていてもよく、当該内因性遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD52、グルココルチコイド受容体(GR:glucocorticoid receptor)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK:deoxycytidine kinasae)、CD70、または例えばprogrammed death−1(PD−1)などの免疫チェックポイントタンパク質をコードする。
【0075】
一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、健常なドナーから取得される。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、患者から取得される。
【0076】
別の態様では、本開示は、医薬品としての使用のための、本明細書に記載されるCD70特異的CARをその細胞表面膜で発現する操作された免疫細胞を提供する。一部の実施形態では、医薬品は、癌治療における使用のための医薬品である。一部の実施形態では、医薬品は、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌の治療のための医薬品である。
【0077】
別の態様では、本開示は、免疫細胞を操作する方法を提供するものであり、当該方法は、免疫細胞を提供すること、および本明細書に記載されるCD70特異的CARを少なくとも一つ、当該細胞表面上で発現させること、を含む。一部の実施形態では、当該方法は、免疫細胞を提供すること、当該細胞に、当該CD70特異的CARをコードするポリヌクレオチドを少なくとも一つ導入すること、および当該細胞内で当該ポリヌクレオチドを発現させること、を含む。
【0078】
一部の実施形態では、当該方法は、免疫細胞を提供すること、当該細胞に、当該CD70特異的CARをコードするポリヌクレオチドを少なくとも一つ導入すること、およびCD70に特異的ではない他のCARを少なくとも一つ導入すること、を含む。
【0079】
別の態様では、本開示は、悪性細胞に関連した状態に罹患する対象を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に記載されるCD70特異的CARを当該表面上で発現する免疫細胞を提供すること、および当該患者に、当該免疫細胞を投与すること、を含む。
【0080】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される操作された免疫細胞を含有する医薬組成物を提供する。
【0081】
別の態様では、本開示は、対象においてCD70を発現する悪性細胞と関連した状態を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に、本明細書に記載される操作された免疫細胞を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、状態は、癌である。一部の実施形態では、癌は、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌である。
【0082】
別の態様では、本開示は、CD70を発現する悪性細胞を有する対象において、腫瘍の増殖または進行を阻害する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に対し、本明細書に記載される操作された免疫細胞を含む医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む。
【0083】
別の態様では、本開示は、対象においてCD70を発現する悪性細胞の転移を阻害する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に対し、本明細書に記載される操作された免疫細胞を含む医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む。
【0084】
別の態様では、本開示は、CD70を発現する悪性細胞を有する対象において、腫瘍の退縮を誘導する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に、本明細書に記載される操作された免疫細胞を含む医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む。
【0085】
一部の実施形態では、上述の方法のいずれかは、例えばモノクローナル抗体および/または化学療法剤などの一つまたは複数の追加の療法を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、モノクローナル抗体は例えば、抗PD−1抗体または抗PD−L1抗体など、チェックポイント阻害物質に結合する抗体であってもよい。一部の実施形態では、上記方法のいずれかは、例えばスニチニブ(sunitinib)またはアキシチニブ(axitinib)などの受容体チロシンキナーゼ(Receptor Tyrosine Kinase)阻害剤を投与することをさらに含む。
【0086】
一部の実施形態では、本開示は、細胞外リガンド−結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含有するCD70特異的CARを提供するものであり、当該細胞外ドメインは、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を有するCD70の細胞外ドメインに結合する一本鎖Fv断片(scFv)を含有し、この場合において当該VH領域は、配列番号18と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有し、および当該VL領域は、配列番号17と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有し、または当該VH領域は、配列番号34と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有し、および当該VL領域は、配列番号33と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有する。
【0087】
一部の実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号319と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号327と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通するアミノ酸配列を含有する。
【0088】
一部の実施形態では、本開示は、CD70特異的CARをコードするポリヌクレオチドを提供するものであり、この場合において当該ポリヌクレオチドは、配列番号297と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通し、および配列番号298と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通する核酸配列を含有するか、または配列番号307と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通し、および配列番号308と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%共通する核酸配列を含有する。
【0089】
一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合する抗原結合分子を含有するCARを提供するものであり、この場合において当該抗原結合分子は、配列番号49〜51、55〜57、61〜63、67〜69、73〜75、79〜81、85〜87、91〜93、97〜99、103〜105、109〜111、115〜117、121〜123、127〜129、133〜135、139〜141、145〜147、151〜153、157〜159、163〜165、169〜171、175〜177、181〜183、187〜189、382〜384、388〜390、394〜396、400〜402、406〜408、412〜414、418〜420、424〜426、430〜432、436〜438、442〜444、448〜450、454〜456、460〜462、466〜468、472〜474、478〜480、484〜486、490〜492、496〜498、502〜504、および508〜510からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する可変重鎖CDR1、配列番号52、53、58、59、64、65、70、71、76、77、82、83、88、89、94、95、100、101、106、107、112、113、118、119、124、125、130、131、136、137、142、143、148、149、154、155、160、161、166、167、172、173、178、179、184、185、190、191、385、386、391、392、397、398、403、404、409、410、415、416、421、422、427、428、433、434、439、440、445、446、451、452、457、458、463、464、469、470、475、476、481、482、487、488、493、494、499、500、505、506、511、および512からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する可変重鎖CDR2、配列番号54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、387、393、399、405、411、417、423、429、435、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、および513からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する可変重鎖CDR3、配列番号193、196、199、202、205、208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、244、247、250、253、256、259、262、514、517、520、523、526、529、532、535、538、541、544、547、550、553、556、559、562、565、568、571、574、および577からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する可変軽鎖CDR1、配列番号194、197、200、203、206、209、212、215、218、221、224、227、230、233、236、239、242、245、248、251、254、257、260、263、515、518、521、524、527、530、533、536、539、542、545、548、551、554、557、560、563、566、569、572、575、および578からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する可変軽鎖CDR2、ならびに配列番号195、198、201、204、207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、243、246、249、252、255、258、261、264、516、519、522、525、528、531、534、537、540、543、546、549、552、555、558、561、564、567、570、573、576、および579からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する可変軽鎖CDR3、のうちの少なくとも一つを含有する。
【0090】
一部の実施形態では、抗原結合分子は、それぞれ配列番号49〜51、52〜53、54;55〜57、58〜59、60;61〜63、64〜65、66;67〜69、70〜71、72;73〜75、76〜77、78;79〜81、82〜83、84;85〜87、88〜89、90;91〜93、94〜95、96;97〜99、100〜101、102;103〜105、106〜107、108;109〜111、112〜113、114;115〜117、118〜119、120;121〜123、124〜125、126;127〜129、130〜131、132;133〜135、136〜137、138;139〜141、142〜143、144;145〜147、148〜149、150;151〜153、154〜155、156;157〜159、160〜161、162;163〜165、166〜167、168;169〜171、172〜173、174;175〜177、178〜179、180;181〜183、184〜185、186;187〜189、190〜191、192;382〜384、385〜386、387;388〜390、391〜392、393;394〜396、397〜398、399;400〜402、403〜404、405;406〜408、409〜410、411;412〜414、415〜416、417;418〜420、421〜422、423;424〜426、427〜428、429;430〜432、433〜434、435;436〜438、439〜440、441;442〜444、445〜446、447;448〜450、451〜452、453;454〜456、457〜458、459;460〜462、463〜464、465;466〜468、469〜470、471;472〜474、475〜476、477;478〜480、481〜482、483;484〜486、487〜488、489;490〜492、493〜494、495;496〜498、499〜500、501;502〜504、505〜506、507;または508〜510、511〜512、513のうちの一つから選択されるCDRH1、CDRH2およびCDRH3のアミノ酸配列を含有する可変重鎖ドメイン、ならびにそれぞれ配列番号193、194、195;196、197、198;199、200、201;202、203、204;205、206、207;208、209、210;211、212、213;214、215、216;217、218、219;220、221、222;223、224、225;226、227、228;229、230、231;232、233、234;235、236、237;238、239、240;241、242、243;244、245、246;247、248、249;250、251、252;253、254、255;256、257、258;259、260、261;262、263、264;514、515、516;517、518、519;520、521、522;523、524、525;526、527、528;529、530、531;532、533、534;535、536、537;538、539、540;541、542、543;544、545、546;547、548、549;550、551、552;553、554、555;556、557、558;559、560、561;562、563、564;565、566、567;568、569、570;571、572、573;574、575、576;および577、578、579のうちの一つから選択されるCDRL1、CDRL2およびCDRL3のアミノ酸配列を含有する可変軽鎖ドメイン、を含有する。
【0091】
一部の実施形態では、抗原結合分子は、それぞれ配列番号49〜51、52〜53、54、193、194、195;55〜57、58〜59、60、196、197、198;61〜63、64〜65、66、199、200、201;67〜69、70〜71、72、202、203、204;73〜75、76〜77、78、205、206、207;79〜81、82〜83、84、208、209、210;85〜87、88〜89、90、211、212、213;91〜93、94〜95、96、214、215、216;97〜99、100〜101、102、217、218、219;103〜105、106〜107、108、220、221、222;109〜111、112〜113、114、223、224、225;115〜117、118〜119、120、226、227、228;121〜123、124〜125、126、229、230、231;127〜129、130〜131、132、232、233、234;133〜135、136〜137、138、235、236、237;139〜141、142〜143、144、238、239、240;145〜147、148〜149、150、241、242、243;151〜153、154〜155、156、244、245、246;157〜159、160〜161、162、247、248、249;163〜165、166〜167、168、250、251、252;169〜171、172〜173、174、253、254、255;175〜177、178〜179、180、256、257、258;181〜183、184〜185、186、259、260、261;187〜189、190〜191、192、262、263、264;382〜384、385〜386、387、514、515、516;388〜390、391〜392、393、517、518、519;394〜396、397〜398、399、520、521、522;400〜402、403〜404、405、523、524、525;406〜408、409〜410、411、526、527、528;412〜414、415〜416、417、529、530、531;418−420、421〜422、423、532、533、534;424〜426、427〜428、429、535、536、537;430〜432、433〜434、435、538、539、540;436〜438、439〜440、441、541、542、543;442〜444、445〜446、447、544、545、546;448〜450、451〜452、453、547、548、549;454〜456、457〜458、459、550、551、552;460〜462、463〜464、465、553、554、555;466〜468、469〜470、471、556、557、558;472〜474、475〜476、477、559、560、561;478〜480、481〜482、483、562、563、564;484〜486、487〜488、489、565、566、567;490〜492、493〜494、495、568、569、570;496〜498、499〜500、501、571、572、573;502〜504、505〜506、507、574、575、576;および508〜510、511〜512、513、577、578、579のうちの一つから選択されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含有する。
【0092】
一部の実施形態では、抗原結合分子は、それぞれ配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、および380のうちの一つから選択されるCDRH1、CDRH2およびCDRH3のアミノ酸配列を含有する可変軽鎖ドメイン、ならびにそれぞれ配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、および381のうちの一つから選択されるCDRL1、CDRL2およびCDRH3のアミノ酸配列を含有する可変重鎖ドメイン、を含有する。
【0093】
一部の実施形態では、抗原結合分子は、それぞれ配列番号1および2;3および4;5および6;7および8;9および10;11および12;13および14;15および16;17および18;19および20;21および22;23および24;25および26;27および28;29および30;31および32;33および34;35および36;37および38;39および40;41および42;43および44;45および46;47および48;338および339;340および341;342および343;344および345;346および347;348および349;350および351;352および353;354および355;356および357;358および359;360および361;362および363;364および365;366および367;368および369;370および371;372および373;374および375;376および377;378および379;ならびに380および381のうちの一つから選択される軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインのアミノ酸配列を含有する。
【0094】
別の態様では、本開示は、Cluster of Differentiation 70(CD70)に特異的に結合する抗体を提供するものである。
【0095】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、662、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379もしくは381に示されるVH領域、および/または配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、661、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378もしくは380に示されるVL領域を含有する。
【0096】
一部の実施形態では、抗体は、(i)配列番号49、50、51、55、56、57、61、62、63、67、68、69、73、74、75、79、80、81、85、86、87、91、92、93、97、98、99、103、104、105、109、110、111、115、116、117、121、122、123、127、128、129、133、134、135、139、140、141、145、146、147、151、152、153、157、158、159、163、164、165、169、170、171、175、176、177、181、182、183、187、188、189、382、383、384、388、389、390、394、395、396、400、401、402、406、407、408、412、413、414、418、419、420、424、425、426、430、431、432、663、664、665、436、437、438、442、443、444、448、449、450、454、455、456、460、461、462、466、467、468、472、473、474、478、479、480、484、485、486、490、491、492、496、497、498、502、503、504、508、509、または510に示される配列を含むVH CDR1;(ii)配列番号52、53、58、59、64、65、70、71、76、77、82、83、88、89、94、95、100、101、106、107、112、113、118、119、124、125、130、131、136、137、142、143、148、149、154、155、160、161、166、167、172、173、178、179、184、185、190、191、385、386、391、392、397、398、403、404、409、410、415、416、421、422、427、428、433、434、666、667、439、440、445、446、451、452、457、458、463、464、469、470、475、476、481、482、487、488、493、494、499、500、505、506、511、または512に示される配列を含むVH CDR2;およびiii)配列番号54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、387、393、399、405、411、417、423、429、435、668、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、または513に示される配列を含むVH CDR3、を含む重鎖可変(VH)領域;ならびに/または(i)配列番号193、196、199、202、205、208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、244、247、250、253、256、259、262、514、517、520、523、526、529、532、535、538、669、541、544、547、550、553、556、559、562、565、568、571、574、または577に示される配列を含むVL CDR1;(ii)配列番号194、197、200、203、206、209、212、215、218、221、224、227、230、233、236、239、242、245、248、251、254、257、260、263、515、518、521、524、527、530、533、536、539、670、542、545、548、551、554、557、560、563、566、569、572、575、または578に示される配列を含むVL CDR2;および(iii)配列番号195、198、201、204、207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、243、246、249、252、255、258、261、264、516、519、522、525、528、531、534、537、540、671、543、546、549、552、555、558、561、564、567、570、573、576、または579に示される配列を含むVL CDR3、を含む軽鎖可変(VL)領域、を含有する。
【0097】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、662、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、または381に示されるVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域、および/または配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、661、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、または380に示されるVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域、を含有する。
【0098】
さらなる態様では、本開示は、開示される抗体を用いた核酸、ベクター、宿主細胞、医薬組成物、作製方法、および状態の治療方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0138】
本明細書の開示内容は、CD70(例えばヒトCD70)に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)、およびCARを含有する免疫細胞(例えば、CAR−T細胞)を提供するものである。本開示はさらに、これらCARをコードするポリヌクレオチド、これらCAR−T細胞を含有する組成物、ならびにこれらCARおよびCAR−T細胞の作製方法および使用方法を提供する。本開示はさらに、例えば癌など、対象において悪性のCD70発現と関連した状態を治療する方法も提供する。
【0139】
一般的技術
本開示の組成物および方法は、別段の指示がない限り、当分野の技術範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来的技術を採用する。こうした技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、second edition(Sambrook et al.、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait、ed.、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis、ed.、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney、ed.、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、and D.G.Newell、eds.、1993〜1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press、Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell、eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos、eds.、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.、eds.、1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction、(Mullis et al.、eds.、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.、eds.、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.、ed.、IRL Press、1988〜1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean、eds.、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra、eds.、Harwood Academic Publishers、1995)などの文献で完全に説明されている。
【0140】
定義
本明細書において使用される場合、「細胞外リガンド−結合ドメイン」という用語は、リガンドに結合する能力を有するオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。一部の例示的な実施形態では、ドメインは、細胞表面分子と相互作用する能力を有するであろう。例えば、細胞外リガンド−結合ドメインは、特定の疾患状態と関連した標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択されてもよい。
【0141】
「ストーク(stalk)ドメイン」または「ヒンジドメイン」という用語は、本明細書において相互交換可能に使用され、CARにおいて、膜貫通ドメインと細胞外リガンド−結合ドメインを連結させる機能を果たす任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。特に、ストークドメインは、細胞外リガンド−結合ドメインに対し、高い柔軟性とアクセスし易さを提供するために使用される。
【0142】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクターシグナル伝達機能シグナルを伝え、細胞が専門的機能を実行するよう指示を出すタンパク質の部分を指す。
【0143】
本明細書において使用される場合、「共刺激性分子」とは、例えばT細胞などの免疫細胞上の同系結合パートナーを指し、共刺激性リガンドに特異的に結合することによって、例えば限定されないが、増殖などの細胞による共刺激性反応を介在する。共刺激性分子としては限定されないが、MHCクラスI分子、BTLA分子、およびTollリガンド受容体が挙げられる。共刺激性分子の例としては、CD27、CD28、CD8、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、lymphocyte function−associated antigen−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、およびCD83と特異的に結合するリガンドなどが挙げられる。
【0144】
「共刺激性リガンド」とは、例えばT細胞などの免疫細胞上の同系共刺激性シグナル分子に特異的に結合する抗原提示細胞上の分子を指し、ペプチドを搭載したMHC分子とTCR/CD3複合体の結合により生じた一次シグナルに加えて、限定されないが、増殖活性化、分化などを含むT細胞反応が介在するシグナルが生じさせる。共刺激性リガンドとしては、CD7、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、PD−L1、PD−L2、4−1BBL、OX40L、inducible costimulatory igand(ICOS−L)、intercellular adhesion molecule(ICAM、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA−G、MICA、M1CB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、およびB7−H3に特異的に結合するリガンド、が挙げられるがこれらに限定されない。共刺激性リガンドは、特に例えば限定されないが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、lymphocyte function−associated antigen−1(LFA−1)、CD2、CD7、LTGHT、NKG2C、B7−H3、CD83に特異的に結合するリガンドなどのT細胞上に存在する共刺激性分子に特異的に結合する抗体も包含する。
【0145】
「抗体」は、少なくとも一つの抗原認識部位を介して、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的への特異的結合ができる免疫グロブリン分子である。本明細書において使用される場合、当該用語は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、その断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv)、一本鎖(scFv)抗体およびドメイン抗体(例えば、サメ抗体およびラクダ科抗体を含む)、ならびに抗体を含む融合タンパク質、ならびに抗原認識部位を備える免疫グロブリン分子の任意の他の改変構造を包含する。抗体は、IgG、IgA、IgE、IgD、またはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体を含み、抗体は任意の特定のクラスである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには五つの主なクラスがある。IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、ならびにこれらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に分割されてもよい。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構造が公知である。
【0146】
本明細書において使用される場合、抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、特異的に所与の抗原(例えば、CD70)に結合する能力を保持するインタクトな抗体の一つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片によって実施され得る。抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含される結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)
2、VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから成るFv断片、単一ドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al.,Nature 341:544−546,1989)、および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0147】
標的(例えば、CD70タンパク質)に「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書において相互交換可能に使用される)抗体、抗原結合断片、抗体結合体、またはポリペプチドは、当分野においてよく理解された用語であり、そうした特異的な結合または優先的な結合を決定するための方法も当分野に公知である。分子は、別の細胞または物質よりも特定の細胞または物質と、より頻繁に、より早く、長い期間および/もしくは高いアフィニティで反応する、または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を呈すると言われる。他の物質との結合よりも高いアフィニティ、アビディティで、より早く、および/または長い期間、結合する場合、抗体は、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、CD70エピトープに特異的に、または優先的に結合する抗体は、他のCD70エピトープまたは非CD70エピトープに結合するよりも高いアフィニティ、アビディティで、より早く、および/または長い期間、当該エピトープに結合する抗体である。この定義を読むことで、例えば第一の標的に特異的に、または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第二の標的に特異的に、または優先的に結合しても、または結合しなくてもよいことが理解されるであろう。したがって「特異的結合」または「優先的結合」は必ずしも排他的結合を必須とはしない(が、排他的結合も含み得る)。必ずではないが一般的に、結合に対する参照とは、優先的結合を意味する。
【0148】
抗体の「可変領域」とは、抗体軽鎖の可変領域、または抗体重鎖の可変領域を単独で、あるいは組み合わせで指す。当分野で知られるように、重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としても知られる三つの相補性決定領域(CDR)によって接続された四つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖のCDRは、FRによって近接して保持され、そして他の鎖のCDRとともに抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。CDRを決定する技術は少なくとも二つある:(1)異種間配列多様性に基づく方法(すなわち、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda MD);および(2)抗原−抗体複合体の結晶研究に基づく方法(Al−lazikani et al.,1997,J.Molec.Biol.273:927−948)。本明細書において使用される場合、CDRとは、いずれか方法により規定されるCDR、または両方の方法の組み合わせにより規定されるCDRを指す場合がある。
【0149】
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothiaの定義、KabatおよびChothiaの両方の蓄積、AbM定義、接触定義、および/もしくはコンフォメーション定義、または当分野において公知のCDR決定の任意の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、Kabatらにより最初に規定された超可変領域として規定される場合もある。例えば、Kabat et al.,1992,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,Public Health Service,NIH,Washington D.Cを参照のこと。CDRの位置は、Chothiaらにより最初に報告された構造的ループ構造として規定される場合もある。例えば、Chothia et al.,Nature 342:877−883,1989を参照のこと。CDR特定の他の方法としては、「AbM定義」が挙げられる。この方法は、Kabat法とChothia法の間を取り、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアを使用して導かれる(現在では、Accelrys(登録商標))。または、観察された抗原接触に基づくCDRの「接触定義」も挙げられ、この方法は、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.,262:732−745,1996に記載されている。別の方法は、本明細書においてCDRの「コンフォメーション定義」と呼称されており、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的に貢献する残基として規定され得る。例えば、Makabe et al.,Journal of Biological Chemistry,283:1156−1166,2008を参照のこと。さらに他のCDR境界の定義は、厳密には上述の方法の一つに従っていない場合があるが、Kabat CDRの少なくとも一部とは重複している。それでも特定の残基または残基群、さらには全CDRがそれほど抗原結合に影響を与えないという予測、または実験結果を鑑みると、それらは短すぎる、または長すぎる場合がある。本明細書において使用される場合、CDRとは、方法の組み合わせを含む当分野に公知の任意の方法により規定されるCDRを指す場合がある。本明細書において使用される方法は、これら方法のいずれかに従い規定されたCDRを利用する場合がある。複数のCDRを含有する任意の所与の実施形態に関し、CDRは、Kabat、Chothia、拡張(Extended)、AbM、contact(接触)、および/またはコンフォメーション定義のいずれかに従い規定され得る。
【0150】
本明細書において使用される場合、「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体群から取得される抗体を指す。すなわち、当該群を構成する個々の抗体は、わずかに存在し得る可能性がある自然発生的な突然変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に指向する。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に指向する。「モノクローナル」という修飾語句は、実質的に均質な抗体群から取得されたときの抗体の特徴を示すが、任意の特定の方法による抗体の産生が必要とはみなされないものとする。例えば本開示に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature 256:495,1975により最初に報告されたハイブリドーマ法により作製されてもよく、または例えば米国特許第4,816,567号に記載される組み換えDNA法により作製されてもよい。モノクローナル抗体は、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554,1990に記載される技術を使用して作製されたファージライブラリーから単離されてもよい。
【0151】
本明細書において使用される場合、「ヒト化した」抗体とは、非ヒト免疫グロブリン由来の配列を最小限含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)
2、または抗体の他の抗原結合部分配列など)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。一部の例示的実施形態では、ヒト化抗体は、受容体の相補的決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、および容量を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換されるヒトイムノグロブリン(受容体抗体)である。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基で置換される。さらにヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、輸入されるCDR配列またはフレームワーク配列においても存在しないが、抗体性能のさらなる改善または最適化のために含有される残基を含む場合がある。概してヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的にすべてを含有し、その中で、CDR領域のすべて、または実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、そしてFRのすべて、または実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。さらにヒト化抗体は、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域または定常ドメイン(Fc)の少なくとも一部を含有するのが最適である。例示的実施形態は、WO99/58572に記載されるように改変されたFc領域を有する抗体である。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に対し改変された一つまたは複数のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2またはCDR H3)を有し、それらは元の抗体の一つまたは複数のCDRから「誘導された」一つまたは複数のCDRとも呼ばれる。
【0152】
本明細書において使用される場合、「ヒト抗体」とは、ヒトによって生成される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、および/または当業者に公知のヒト抗体、もしくは本明細書に開示されたヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも一つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも一つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。そのような例の一つは、マウス軽鎖およびヒト重鎖のポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当分野で知られている様々な技術を使用して生成することができる。一部の実施形態では、ヒト抗体はファージライブラリーから選択され、当該ファージライブラリーはヒト抗体を発現する(Vaughan et al.,Nature Biotechnology,14:309−314,1996;Sheets et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:6157−6162,1998;Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381,1991;Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581,1991)。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座位が内因性座位の代わりにトランスジェニック導入された動物の免疫化によっても作製されることができる。例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が、部分的もしくは完全に破壊された、または不活性化されたマウスの免疫化によっても作製されることができる。この方法は、米国特許第 5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、および第5,661,016号に記載されている。あるいはヒト抗体は、標的抗原に対して指向される抗体を生成するヒトBリンパ球を不死化することによって調製されてもよい(そうしたBリンパ球は個体から採取されてもよく、またはcDNAのシングルセルクローニングから採取されてもよく、またはインビトロで免疫化されてもよい)。例えば、Cole et al.Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、p.77,1985;Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95,1991;および米国特許第 5,750,373号を参照のこと。
【0153】
「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列が一つの種に由来し、定常領域配列は別の種に由来する抗体を指すことが意図され、例えば、可変領域配列はマウス抗体に由来し、定常領域配列はヒト抗体に由来する抗体などである。
【0154】
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において相互交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸鎖を指す。一部の実施形態では、比較的短いアミノ酸鎖(例えば、10〜100アミノ酸)を指す。鎖は、直鎖状または分枝状であってもよく、改変アミノ酸を含んでもよく、および/または非アミノ酸が割り込んでもよい。さらに当該用語は、自然に改変されたアミノ酸鎖、または以下の介入により改変されたアミノ酸を包含する:例えばジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または例えば標識構成要素との結合などの他の任意の操作もしくは改変。この定義にはさらに、例えば一つまたは複数のアミノ酸アナログ(例えば非天然アミノ酸などを含む)ならびに当分野に公知の他の改変を含有するポリペプチドが含有される。ポリペプチドは、一本鎖または関連鎖として生じ得ると理解される。
【0155】
「一価抗体」は、一分子当たり、一つの抗原結合部位を含有する(例えば、IgGまたはFab)。一部の例では、一価抗体は複数の抗原結合部位を有し得るが、当該結合部位は異なる抗原に由来する。
【0156】
「二価抗体」は、一分子当たり、二つの抗原結合部位を含有する(例えば、IgG)。一部の例では、当該二つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。しかし二価抗体は、二特異性である場合もある。
【0157】
本開示の抗体は、当分野に公知の技術、例えば組み換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、またはそうした技術の組み合わせ、または当分野で容易に知り得る他の技術を使用して作製され得る(例えば、Jayasena,S.D.,Clin.Chem.,45:1628−50,1999 and Fellouse,F.A.,et al,J.MoI.Biol.,373(4):924−40,2007を参照のこと)。
【0158】
当分野において知られるように、本明細書において相互交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドもしくは改変塩基、および/またはそれらのアナログ、またはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼにより鎖に組み込まれ得る任意の基質であってもよい。ポリヌクレオチドは、例えばメチル化ヌクレオチドおよびそのアナログなどの改変ヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造への改変は、鎖の組立の前または後に行われる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素により割り込まれてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば標識構成要素との結合などにより、多量体化後にさらに改変されてもよい。他のタイプの改変としては例えば、アナログを用いた天然ヌクレオチドの一つまたは複数の「キャップ」置換、例えば非荷電結合(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバミン酸塩など)および荷電結合(例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を用いるなどのヌクレオチド間の改変、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなど)のペンダント部分を含有するもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を用いたもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、改変結合を用いたもの(例えば、アルファアノマー核酸など)ならびにポリヌクレオチドの非改変型が挙げられる。さらに糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれかを、例えばホスホン酸基、リン酸基などにより置換してもよく、標準的な保護基により保護してもよく、または活性化させて、追加のヌクレオチドへの追加的な結合の準備をしてもよく、または固形支持体へ結合させてもよい。5’末端OHおよび3’末端OHは、リン酸化されてもよく、またはアミン、もしくは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換されてもよい。他のヒドロキシルは、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはさらに、例えば2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖アナログ、アルファまたはベータ−アノマー糖、例えばアラビノース、キシロースもしくはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログ、および例えばメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシドアナログを含む、当分野に一般的に公知のリボース糖またはデオキシリボース糖のアナログ型を含有してもよい。一つまたは複数のホスホジエステル結合が、代替的な結合基により置き換えられてもよい。そうした代替的な結合基としては限定されないが、P(O)S(チオエート)、P(S)S(ジチオエート)、(O)NR
2(アミデート)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH
2(ホルムアセタール(formacetal))によりリン酸塩が置換される実施形態が挙げられ、この場合、各RまたはR’は独立して、H、または置換アルキルもしくは非置換アルキル(1〜20個のC)であり、任意で、エーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジル(araldyl)を含有する。ポリヌクレオチド中のすべての結合が同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含む、本明細書において言及されるすべてのポリヌクレオチドに適用される。
【0159】
当分野において知られるように、抗体の「定常領域」とは、抗体軽鎖の定常領域、または抗体重鎖の定常領域を単独で、または組み合わせで指す。
【0160】
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物が無い)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%純粋である物質を指す。
【0161】
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクターに対するレシピエントであってもよく、またはレシピエントである個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の子孫物を含み、当該子孫物は、自然の、偶発的な、または意図的な変異により、元の親細胞と完全に同一であるとは限らない場合がある(形態において、またはゲノムDNAの相補体において)。宿主細胞には、本開示のポリヌクレオチドをインビボでトランスフェクトされた細胞が含まれる。
【0162】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」とは、自然免疫応答および/もしくは適応免疫応答の開始ならびに/または実施に機能的に関与する造血系起源の細胞を指す。
【0163】
当分野において知られるように、「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。「Fc領域」は、天然配列のFc領域またはバリアントのFc領域であってもよい。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、Cys226の位置のアミノ酸残基、またはPro230の位置のアミノ酸残基から、そのカルボキシル末端に及ぶと規定される。Fc領域中の残基の番号付けは、KabatにあるEUインデックスの番号である。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991。免疫グロブリンのFc領域は一般的に、CH2とCH3の二つの定常領域を含有する。
【0164】
当分野で使用される場合、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するものである。一部の実施形態では、FcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに一部の実施形態では、FcRは、IgG抗体に結合するFcR(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これら受容体のアレルバリアントおよび代替的スプライス型を含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(活性化受容体)、およびFcγRIIB(阻害性受容体)が含まれ、それらは類似したアミノ酸配列を有するが、その細胞質ドメインが主に異なっている。FcRは、Ravetch and Kinet,Ann.Rev.Immunol.,9:457−92,1991;Capel et al.,Immunomethods,4:25−34,1994;およびde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.,126:330−41,1995に概要されている。「FcR」はさらに新生児受容体であるFcRnを含み、これは胎児への母体IgGの移送に貢献している(Guyer et al.,J.Immunol.,117:587,1976;and Kim et al.,J.Immunol.,24:249,1994)。
【0165】
抗体に関して本明細書において使用される場合、「競合する」という用語は、第一の抗体、またはその抗原結合断片(または部分)が、第二の抗体またはその抗原結合部分の結合と充分に類似した様式でエピトープに結合し、それにより、第二の抗体の非存在下での第一の抗体の結合と比較して、第二の抗体の存在下では、その同系エピトープとの第一の抗体の結合の結果が、検出可能に低下することを意味する。第二の抗体のそのエピトープへの結合も、第一の抗体の存在下で検出可能に低下する場合もあり得るが、必ずではない。すなわち第一の抗体は、そのエピトープへの第二の結合を阻害し得るが、第二の抗体による、その各エピトープへの第一の抗体の阻害は伴わない。しかしながら、各抗体がその同系のエピトープまたはリガンドとの他の抗体の結合を同程度に、より強く、またはより弱く検出可能に阻害する場合、当該抗体は、その各エピトープの結合に関し、互いに「交差競合する」といわれる。競合抗体および交差競合抗体の両方が本開示に包含される。そうした競合または交差競合が発生する機序に関わらず(すなわち立体障害、立体構造変化、または共通エピトープもしくはその一部への結合など)、当業者であれば、本明細書に示される教示に基づき、そうした競合抗体および/または交差競合抗体が包含されること、および本明細書に開示される方法に有用であり得ると認識するであろう。
【0166】
本明細書において使用される場合、「自家」とは、患者の治療に使用される細胞、細胞株、または細胞群が、当該患者を起源とすることを意味する。
【0167】
本明細書において使用される場合、「同種」とは、患者の治療に使用される細胞、または細胞群が、当該患者を起源とするのではなく、ドナーに由来することを意味する。
【0168】
本明細書で使用される場合、「治療」とは、有益または望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本開示の目的に対し、有益または望ましい臨床結果には、以下のうちの一つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない:腫瘍細胞または癌細胞の増殖の減少(または破壊)、腫瘍細胞の転移の阻害、例えば腎細胞癌(RCC)リンパ腫、白血病またはグリオーマなどのCD70を発現する腫瘍のサイズの縮小または減少、CD70関連疾患(例えば、癌)の寛解、CD70関連疾患(例えば、癌)から生じる症状の減少、CD70関連疾患(例えば、癌)を患う者の生活の質の向上、CD70関連疾患(例えば、癌)を治療するために必要な他の薬物の投与量の減少、CD70関連疾患(例えば、癌)の進行の遅延、CD70関連疾患(例えば、癌)の治癒、および/またはCD70関連疾患(例えば、癌)を有する患者の生存の延長。
【0169】
「改善する」とは、CD70特異的CARまたはCD70特異的CAR−T細胞を投与しない場合と比較して、一つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。「改善する」には、症状の持続期間の短縮または減少も含まれる。
【0170】
本明細書で使用される場合、薬剤、化合物、または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」は、任意の一つ以上の有益または所望の結果を効果するのに十分な量である。予防的使用に関しては、有益な結果または望ましい結果には、疾患、その合併症、およびの疾患の発生中に現れる中間的な病理学的表現型の生化学的、組織学的ならびに/または行動上の症状を含む、疾患のリスクの排除もしくは低下、疾患の重症度の低減、または疾患の発生の遅延が含まれる。治療用途に対し、有益または望ましい結果としては、例えば患者の様々なCD70関連の疾患もしくは状態(例えば多発性骨髄腫)の一つまたは複数の症状の発生率の低下または改善、当該疾患を治療するために必要とされる他の薬剤の投与量の減少、別の薬剤の効果の強化、および/またはCD70関連疾患の進行の遅延などの臨床結果が挙げられる。有効な投与量は、1回以上の投与で投与することができる。本開示の目的に対し、薬剤、化合物または医薬組成物の有効用量は、直接または間接的に予防的処置または治療的処置を実現するために充分な量である。臨床状況で理解されるように、薬剤、化合物、または医薬組成物の有効な投与量は、別の薬剤、化合物、または医薬組成物と併せて達成されてもよく、または達成されなくてもよい。したがって、「有効な投与量」は、一つ以上の治療薬を投与する状況で考慮される場合があり、一つ以上の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成される可能性がある場合、または達成される場合、単一剤は有効量で与えられると考えられうる。
【0171】
「個体」、「患者」、または「対象」は、哺乳動物であり、一部の実施形態では、ヒトである。哺乳動物としては限定されないが、ヒト、サル、ブタおよび他の家畜動物、スポーツ動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモットを含む齧歯類が挙げられる。対象は哺乳動物であり、本明細書において当該用語は相互交換可能に使用される。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、非ヒト霊長類である。一部の実施形態では、対象は、ヒト、または例えばカニクイザルなどのサルである。
【0172】
本明細書において使用される場合、「ベクター」とは、対象の一つもしくは複数の遺伝子または配列を送達することができる、および一部の実施形態では、宿主細胞において対象の一つもしくは複数の遺伝子または配列を発現することができる構築物を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤に関連するDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、およびプロデューサー細胞などの特定の真核細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
本明細書で使用される場合、「発現制御配列」は、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する。発現制御配列は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター、またはエンハンサーなどのプロモーターであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に操作可能に連結される。
【0174】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容可能な担体」または「医薬受容可能な賦形剤」という用語は、活性成分と組み合わせられたとき、生物活性を保持するための成分を有するとともに、対象の免疫系と非反応性である任意の材料を含む。例としては、限定されないが、リン酸緩衝食塩水溶液、水、油/水乳濁液などの乳濁液、および種々のタイプの湿潤剤などの標準的な医薬担体が挙げられる。エアロゾルまたは非経口投与のための例示的な希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または通常の生理食塩水(0.9%)である。こうした担体を含む組成物は、公知の従来的方法により処方されている(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th edition、A.Gennaro、ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990;and Remington、The Science and Practice of Pharmacy 21st Ed.Mack Publishing、2005を参照)。
【0175】
本明細書において使用される場合、「k
on」という用語は、抗原に抗体またはscFvまたはCARが会合する速度定数を指す。
【0176】
本明細書において使用される場合、「k
off」という用語は、抗体/抗原複合体から抗体またはscFvまたはCARが解離する速度定数を指す。
【0177】
本明細書において使用される場合、「K
D」という用語は、抗体−抗原またはscFv−抗原またはCAR−抗原の相互作用の平衡解離定数を指す。
【0178】
本明細書の「約」の値またはパラメータは、当該値またはパラメータを本質的に指向する実施形態を含む(および記述する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。数値範囲は、当該範囲を規定する数を含む。
【0179】
用語「含む」を用いて本明細書に記載されているいかなる実施形態においても、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載された他の類似の実施形態もまた提供されることが理解される。
【0180】
本発明の態様または実施形態が、マーカッシュ群または他の代替的な群で記載されている場合、本発明は、概して列挙される群全体のみならず、当該個々の群の各メンバー、および当該主要群の可能性のあるすべての亜群の各メンバー、そして当該群メンバーの一つまたは複数を欠いた主要群も包含する。本発明はさらに、請求される本発明の群メンバーのいずれかの一つまたは複数の明白な除外を予期するものである。
【0181】
本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、他に定義されない限り、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が制御する。本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」または「含む(comprises)」などの変形は、述べられた整数または整数の群の包含を意味するが、他の任意の整数または群の除外は意味しないことが理解される。文脈によって別途要求されない限り、単数の用語は複数の用語を含むものとし、複数の用語は単数形を含むものとする。
【0182】
本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することもできるが、例示的な方法および材料が本明細書に記載される。材料、方法、および例は例示的のみであり、限定することを意図していない。
【0183】
CD70特異的CAR、およびその作製方法
本開示は、CD70(例えば、ヒトCD70(例えば、配列番号335))に結合するCAR、例えばブダペスト条約の規定のもと寄託され、アクセッション番号:P32970−1を割り当てられたものを提供する。本明細書において提供されるCD70特異的CARは、一本鎖CARおよび多鎖CARを含む。一部の実施形態では、CARは、モノクローナル抗体の抗原結合性能を利用することで、非MHC拘束性の様式で、T細胞の特異性および反応性をCD70へと再指向化させる能力を有している。非MHC拘束性の抗原認識は、CARを発現するT細胞に、抗原処理に非依存性の抗原認識能力を与え、それによって腫瘍回避の主要機序がバイパスされる。
【0184】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるCARは、細胞外リガンド−結合ドメイン(例えば、一本鎖可変断片(scFv))、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。一部の実施形態では、本明細書において提供されるCARは、「ヒンジ」ドメインまたは「ストーク」ドメインをさらに含有し、それらは細胞外リガンド−結合ドメインと膜貫通ドメインの間に置かれてもよい。一部の実施形態では、細胞外リガンド−結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインは、一つのポリペプチド中にある。すなわち、一本鎖中にある。多鎖のCARおよびポリペプチドも本明細書において提供される。一部の実施形態では、多鎖CARは、膜貫通ドメインと少なくとも一つの細胞外リガンド−結合ドメインを含む第一のポリペプチド、および膜貫通ドメインと少なくとも一つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む第二のポリペプチドを含有し、この場合においてそれらポリペプチドは一緒に組み立てられて多鎖CARを形成する。一部の実施形態では、CARは、例えば低分子(例えば、AP1903)またはタンパク質(例えば、Epo、Tpo、またはPD−1)などにより誘導される。一部の実施形態では、CD70特異的な多鎖CARは、IgEの高アフィニティ受容体(FcεRI)に基づく。肥満細胞および好塩基球上で発現されたFcεRIは、アレルギー反応を誘発する。FcεRIは、一つのαサブユニット、一つのβサブユニット、および二つのジスルフィド結合型γサブユニットから構成される四量体の複合体である。αサブユニットは、IgE結合ドメインを含有する。βサブユニットおよびγサブユニットは、シグナル伝達を介在するITAMを含有する。一部の実施形態では、FcRα鎖の細胞外ドメインが削除され、CD70特異的細胞外リガンド−結合ドメインで置き換えられる。一部の実施形態では、多鎖CD70特異的CARは、CD70に特異的に結合するscFv、CD8αヒンジ、およびFcRβ鎖のITAMを含有する。一部の実施形態では、CARは、FcRγ鎖を含んでも含まなくてもよい。
【0185】
一部の実施形態では、細胞外リガンド−結合ドメインは、標的抗原(すなわちCD70)特異的なモノクローナル抗体の軽鎖可変(VL)領域と重鎖可変(VH)領域を含有するscFvを含有し、それら領域は柔軟なリンカーにより結合されている。一本鎖可変領域断片は、短い結合ペプチドを使用することにより、軽鎖および/または重鎖の可変領域を結合させることにより作製される(Bird et al.,Science 242:423−426,1988)。結合ペプチドの例は、アミノ酸配列(GGGGS)
3(配列番号296)を有するGSリンカーであり、このリンカーは、一つの可変領域のカルボキシ末端と、他方の可変領域のアミノ末端の間でおよそ3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーも設計され、使用される(Bird et al.,1988、上記参照)。他の例示的リンカーとしては概して含まれる、他のGSリンカーとしては概して、(GGGGS)xが挙げられ、式中、xは、1、2、3、4、5である(配列番号613)。一部の実施形態では、xは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または約20未満の任意の整数である。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)
4(配列番号602)である。一部の実施形態では、リンカーは、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号612)であり、Whitlow et al,Protein Eng.(1993)6(8):989−895に記載されている。一般的にリンカーは、短い柔軟なポリペプチドであってもよく、一部の実施形態では、約20個以下のアミノ酸残基から構成される。リンカーも、例えば薬剤の付加または固形支持体への付加といった追加機能を目的として改変され得る。一本鎖バリアントは、組換えにより、または合成により、作製されてもよい。scFvの合成による作製については、自動化合成装置を使用することができる。scFvの組み換えによる作製については、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する適切なプラスミドを、例えば酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞などの真核細胞、または大腸菌などの原核細胞といった適切な宿主細胞に導入することができる。対象のscFvをコードするポリヌクレオチドは、例えばポリヌクレオチドのライゲーションといった日常的な操作によって作製されることができる。得られるscFvは、当分野で公知の標準的なタンパク質精製技術を使用して単離することができる。
【0186】
別の態様では、CD70に特異的に結合するCARが提供され、この場合において当該CARは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46または48に示されるVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域、および/または配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45または47に示されるVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域、を含有する細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。一部の実施形態では、VHおよびVLは、柔軟なリンカーにより互いに結合される。一部の実施形態では、柔軟なリンカーは、配列番号296に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0187】
一部の実施形態では、本開示のCARは、表1に列記される部分的軽鎖配列のいずれか一つ、および/または表1に列記される部分的重鎖配列のいずれか1つ、を有する細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。表1において、下線の配列は、Kabatに従うCDR配列であり、太字は、Chothiaに従うCDR配列である。
【表1】
【0188】
また本明細書において、CD70に対するCARの細胞外リガンド−結合ドメインのCDR部分(Chothia、Kabat CDRおよびCDR接触領域を含む)も提供される。CDR領域の決定は、当分野の技術範囲内にある。一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDRとChothia CDRの組み合わせ(「混合CR」または「拡張CDR」とも呼ばれる)であり得ることを理解されたい。一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDRである。他の実施形態では、CDRは、Chothia CDRである。言い換えると、複数のCDRを伴う実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、組み合わせCDR、またはそれらの組み合わせのいずれかであり得る。表2A〜2Bは、本明細書に提供されるCDR配列の例を提供する。
【表2A】
【表2B】
【0189】
本開示は、表1または2A〜2Bに示される配列を含むCARおよびポリペプチドに対する改変を包含しており、その特性に大きな影響を与えない改変を有する機能的に同等のCAR、ならびに活性および/もしくはアフィニティが強化された、または減少されたバリアントが含まれる。例えばアミノ酸配列は、CD70に対し所望の結合アフィニティを有する抗体が得られるように変異されてもよい。ポリペプチドの改変は当分野では日常的に実施されており、本明細書において詳細に記載する必要はない。改変ポリペプチドの例としては、アミノ酸残基の保存的置換を有するポリペプチド、機能的活性を著しく悪化させて変化させない、またはそのリガンドに対するポリペプチドのアフィニティを成熟させる(強化する)アミノ酸の一つもしくは複数の欠失または付加を有するポリペプチド、または化学的アナログが使用されたポリペプチドが挙げられる。
【0190】
アミノ酸配列挿入には、1残基から数百以上の残基を含有するポリペプチドの長さの範囲のアミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合を含み、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列間挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体、またはエピトープタグに融合された抗体が挙げられる。抗体分子のその他の挿入バリアントとしては、酵素またはポリペプチドの、抗体N末端または抗体C末端への融合が挙げられ、それにより血液循環中の抗体の半減期が延長される。
【0191】
置換バリアントは、抗体分子中の少なくとも一つのアミノ酸残基が除去され、その位置に異なる残基が挿入されている。置換突然変異誘導に対し最も大きな関心が持たれる部位としては、超可変領域が挙げられるが、FRの改変も予期される。保存的置換は、「保存的置換」の見出しで、表3に示されている。そのような置換により生物活性に変化が生じる場合、より大きな置換変化は、表3において「例示的置換」で表示され、またはアミノ酸のクラスに関して以下に詳述されるように、そうした置換変化が導入され、産物はスクリーニングされ得る。
【表3】
【0192】
一部の実施形態では、本開示は、CD70に結合し、本明細書に記載されるCARとCD70に対する結合に関して競合する細胞外リガンド−結合ドメインを含有するCARを提供するものであり、31H1、63B2、40E3、42C3、45F11、64F9、72C2、2F10、4F11、10H10、17G6、65E11、P02B10、P07D03、P08A02、P08E02、P08F08、P08G02、P12B09、P12F02、P12G07、P13F04、P15D02、P16C05、10A1、10E2、11A1、11C1、11D1、11E1、12A2、12C4、12C5、12D3、12D6、12D7、12F5、12H4、8C8、8F7、8F8、9D8、9E10、9E5、9F4または9F8の配列を含むScFvを含む細胞外ドメインを含むCARが含有される。
【0193】
一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号20に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号19に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号22に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号21に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号28に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号27に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号36に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号35に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号46に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号45に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号18に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号17に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合するCARを提供するものであり、当該CARは、配列番号34に示される配列を含むVH領域、および/または配列番号33に示される配列を含むVL領域、を含有する。一部の実施形態では、本開示は、CDR接触領域に基づいたCD70抗体に対する抗体のCDR部分を含有するCARも提供する。CDR接触領域は、抗原に対する特異性を抗体に与える抗体の領域である。一般的に、CDR接触領域は、CDR中の残基位置、および特定の抗原に結合する抗体の適切なループ構造を維持するために制約を受けるVernierゾーンを含む。例えば、Makabe et al.,J.Biol.Chem.,283:1156−1166,2007を参照のこと。CDR接触領域の決定は、当分野の技術範囲内にある。
【0194】
本明細書に記載されるCD70(例えばヒトCD70)に対するCD70特異的CARのリガンド結合ドメインの結合アフィニティ(KD)は、例えば約0.1〜約1000nMであってもよく、例えば約0.5nM〜約500nM、または例えば約1nM〜約250nMであってもよい。一部の実施形態では、結合アフィニティは、1000nm、750nm、500nm、400nm、300nm、250nm、200nm、100nm、90nm、80nM、70nM、60nm、50nM、45nM、40nM、35nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、10nM、8nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5.5nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.3nMまたは0.1nMのおよそいずれかである。
【0195】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCD70特異的CARのリガンド結合ドメインのscFvのCD70に対する結合アフィニティ(KD)は、約10nM〜約100nM、約10nM〜約90nM、約10nM〜約80nM、約20nM〜約70nM、約25nM〜約75nM、または約40nM〜約110nMである。一部の実施形態では、本段落に記載されるscFvの結合アフィニティは、ヒトCD70に対する結合アフィニティである。
【0196】
一部の実施形態では、結合アフィニティは、1000nm、900nm、800nm、250nM、200nM、100nM、50nM、30nM、20nM、10nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5nMのおよそいずれか未満である。
【0197】
本開示によるCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、標的への細胞外リガンド−結合ドメインの結合の後の細胞内シグナル伝達に関与しており、免疫細胞の活性化および免疫反応を生じさせる。細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが発現されている免疫細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも一つを活性化させる能力を有する。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性であってもよく、またはサイトカイン分泌を含むヘルパー活性であってもよい。
【0198】
一部の実施形態では、CARにおける使用のための細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば限定されないが、協調して作用して抗原受容体会合後のシグナル伝達を開始させるT細胞受容体および共受容体の細胞質配列、ならびにこれら配列の任意の誘導体またはバリアント、および同じ機能的能力を有する任意の合成配列であってもよい。細胞内シグナル伝達ドメインは、以下の二つの別個のクラスの細胞質シグナル伝達配列を含有する:抗原依存性の一次活性化を開始させる配列、および抗原依存性の様式で作用して、二次シグナルまたは共刺激性シグナルを生じさせる配列。一次細胞質シグナル伝達配列は、immunoreceptor tyrosine−based activation motifsのITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAMは、syk/zap70クラスのチロシンキナーゼの結合部位としての役割を果たす様々な受容体の細胞質内尾部に存在する、明確に定義されたシグナル伝達モチーフである。本開示で使用されるITAMの例としては、非限定的な例として、TCRζ、FcRγ、FcRβ、FcRε、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するITAMが挙げられる。一部の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号272または683に示されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも80%、少なくとも90%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCD3ζシグナル伝達ドメインを含有してもよい。一部の実施形態では、本開示のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激性分子のドメインを含有する。
【0199】
一部の実施形態では、本開示のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、41BB(GenBank:AAA53133)およびCD28(NP_006130.1)の断片からなる群から選択される共刺激性分子の一部を含有する。一部の実施形態では、本開示のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号271または682、および配列番号275に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、95%、97%または99%の配列同一性を含有するアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態では、本開示のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号271または682に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、95%、97%または99%の配列同一性、および/または配列番号276に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、95%、97%または99%の配列同一性を含有するアミノ酸配列を含有する。
【0200】
CARは、細胞の表面膜上で発現される。ゆえにCARは、膜貫通ドメインを含有し得る。本明細書に開示されるCARに対する適切な膜貫通ドメインは、(a)一部の実施形態では、例えば限定されないが、Tヘルパー(T
h)細胞、細胞傷害性T(T
C)細胞、T制御性(T
reg)細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ球細胞などの免疫細胞である細胞の表面で発現される能力を有し、および/または(b)リガンド−結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインと相互作用して、所定の標的細胞に対し、免疫細胞の細胞性反応を誘導する能力を有する。膜貫通ドメインは、天然源から、または合成源から誘導されてもよい。膜貫通ドメインは、任意の膜結合型タンパク質または膜貫通型タンパク質から誘導されてもよい。非限定的な例として、膜貫通ポリペプチドは、例えばCD3複合体を構成するα、β、γまたはδポリペプチドなどのT細胞受容体の下位配列またはサブユニット、IL−2受容体p55(α鎖)、p75(β鎖)、もしくはFc受容体、特にFcγ受容体IIIのサブユニット鎖であるγ鎖、またはCDタンパク質であってもよい。あるいは膜貫通ドメインは、合成であってもよく、例えばロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含有してもよい。一部の実施形態では、当該膜貫通ドメインは、ヒトCD8α鎖(例えば、NP_001139345.1)から誘導される。膜貫通ドメインは、細胞外リガンド−結合ドメインと当該膜貫通ドメインの間にストーク(stalk)ドメインをさらに含有し得る。ストークドメインは、最大で300アミノ酸を含有してもよく、一部の実施形態では、10〜100アミノ酸、または一部の実施形態では、25〜50アミノ酸を含有してもよい。ストーク領域は、例えばCD8、CD4、CD28、4−1BBまたはIgG(特にIgGのヒンジ領域)の細胞外領域のすべて、もしくは一部、または抗体重鎖定常領域のすべてもしくは一部などの天然分子のすべてまたは一部から誘導されてもよい。あるいはストークドメインは、天然ストーク配列に相当する合成配列であってもよく、または全体的に合成的なストーク配列であってもよい。一部の実施形態では、当該ストークドメインは、ヒトCD8α鎖(例えば、NP_001139345.1)の一部である。別の特定の実施形態では、当該ヒンジおよび膜貫通ドメインは、ヒトCD8α鎖の一部を含み、一部の実施形態では、配列番号268および270からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCARのストークドメインは、CD8α、IgG1、またはFcγRIIIαの下位配列、特にCD8α、IgG1、またはFcγRIIIαのいずれかのヒンジ領域を含有する。一部の実施形態では、ストークドメインは、ヒトCD8αのヒンジ、ヒトIgG1のヒンジ、またはヒトFcγRIIIαのヒンジを含有する。一部の実施形態では、本明細書に開示されるCARは、CD70に特異的に結合する細胞外リガンド−結合ドメインを含有し得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるCARは、scFv、ヒトCD8αのヒンジおよび膜貫通ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、ならびに4−1BBシグナル伝達ドメインを含有する。
【0201】
表4は、本明細書に開示されるCARに使用され得るドメインの例示的な配列を提示する。
【表4】
【0202】
標的抗原の下方制御または変異は、癌細胞で普遍的に観察されており、抗原消失性の回避バリアントを生じさせる。ゆえに腫瘍回避を相殺し、免疫細胞を標的に対してより特異的にするために、CD70特異的CARは、一つまたは複数の追加的な細胞外リガンド−結合ドメインを含有することで、標的中の異なる要素に同時に結合し、免疫細胞の活性化と機能を増大させ得る。一部の実施形態では、細胞外リガンド−結合ドメインは、同じ膜貫通ポリペプチド上でタンデムに配置され得、および任意で、リンカーによって分離され得る。一部の実施形態では、当該異なる細胞外リガンド−結合ドメインは、CARを構成する異なる膜貫通ポリペプチド上に配置され得る。一部の実施形態では、本開示は、CARの群に関するものであり、各CARは、異なる細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。特定の実施形態では、本開示は、免疫細胞を操作する方法に関するものであり、当該方法は、免疫細胞を提供すること、および当該細胞の表面に、CAR群を発現させることを含み、各CARは異なる細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。別の特定の実施形態では、本開示は、免疫細胞を操作する方法に関するものであり、当該方法は、免疫細胞を提供すること、および当該細胞に、CAR群を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入することを含み、各CARは異なる細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。CAR群とは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個またはそれ以上のCARを意味し、各CARは、異なる細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。本開示による異なる細胞外リガンド−結合ドメインは、一部の実施形態では、標的中の異なる要素に同時に結合することができ、それにより免疫細胞の活性化および機能が増強される。本開示はさらに、CAR群を含有する単離免疫細胞にも関連しており、各CARは、異なる細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。
【0203】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるCARおよびポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、当分野に公知の方法により作製および発現され得る。
【0204】
別の態様では、本開示は、本開示の細胞のいずれかを含有する組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載のCARのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む細胞を含む。さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号297および配列番号298、配列番号299および配列番号300、配列番号301および配列番号302、配列番号303および配列番号304、配列番号305および配列番号306、配列番号307および配列番号308、または配列番号309および配列番号310に示されるポリヌクレオチドのいずれか、または療法を含有する:
4F11重鎖可変領域
CAGGTCACCTTGAAGGAGTCTGGTCCTGTGCTGGTGAAACCCACAGAGACCCTCACGCTGACCTGCACCGTCTCTGGGTTCTCACTCAGTAATGCTAGAATGGGTGTGACCTGGATCCGTCAGCCCCCAGGGAAGGCCCTGGAGTGGCTTGCACACATTTTTTCGAATGACGAAAAATCCTACAGTACATCTCTGAAGAGCAGGCTCACCATCTCCAAGGACACTTCCAAAACCCAGGTGGTCCTTACCATGACCAACATGGACCCTGTGGACACAGCCACATATTACTGTGCACGGATACGAGATTACTATGACATTAGTAGTTATTATGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCAGCGTCTCCTCA (配列番号297)
4F11軽鎖可変領域
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCTGCCATGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGTCGGGCGAGTCAGGACATTAGCAATTATTTAGCCTGGTTTCAGCAGAAACCAGGGAAAGTCCCTAAGCGCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCGGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCTGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCTACAGCTTAATAGTTTCCCGTTCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAC (配列番号298)
【0205】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号299および配列番号300に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含有する:
17G6重鎖可変領域
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGTAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATTGGATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAGCATAAAGCAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCAGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGGTGTGTATTACTGTGCGAGAGAAGGAGTCAACTGGGGATGGAGACTCTACTGGCACTTCGATCTCTGGGGCCGTGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCA (配列番号299)
17G6軽鎖可変領域
GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGACTCCCTGGCTGTGTCTCTGGGCGAGAGGGCCACCATCAACTGCAAGTCCAGCCAGAGTGTTTTATACAGCTACAACAATAAGAACTACGTAGCTTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAACCTCCTAACCTACTCATTTTCTGGGCATCTACCCGGGAATCCGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGCGGGTCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGGCTGAAGATGTGGCAGTTTACTACTGTCAGCAATATTATAGTACGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA (配列番号300)。
【0206】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号301および配列番号302に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含有する:
10H10重鎖可変領域
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGTCTCTGGATTCACCTTCAGTAACCATAACATACACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTTCATACATTAGTCGAAGTAGTAGTACCATATATTACGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACAATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGACGAAGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGATCACGCTCAGTGGTACGGTATGGACGTTTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA (配列番号301)。
10H10軽鎖可変領域
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCTTCCGTGTCTGCATCGGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGTCGGGCGAGTCAGGGTATTAGCAGCTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGGTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTACTATTGTCAACAGGCTTTCAGTTTCCCATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAA (配列番号302)。
【0207】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号303および配列番号304に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含有する:
P07D03重鎖可変領域
GAAGTGCAGCTTGTCCAGAGCGGAGCCGAAGTGAAGAAGCCTGGCGAGAGCCTGAAGATCAGCTGCAAGGGCTCCGGATATCGCTTCACAAGTTACTGGATAGGGTGGGTGCGCCAGATGCCTGGTAAGGGACTGGAATGGATGGGCTCTATATATCCTGATGATTCCGACACACGTTATAGCCCAAGCTTTCAGGGCCAGGTCACAATCAGCGCTGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTTCAGTGGTCGTCTCTGAAGGCCAGCGACACCGCAATGTACTACTGCGCCTCTAGCACAGTTGACTACCCGGGATACAGTTACTTCGACTACTGGGGCCAAGGTACACTGGTCACCGTCAGCAGC (配列番号303)
P07D03軽鎖可変領域
GAGCTCCAGAGCGTGCTGACCCAGCCTCCTAGCGCAAGCGGCACCCCTGGACAGCGTGTGACAATTAGCTGTAGCGGAAGTCGTAGCAATATCGGATCAAACTATGTGTATTGGTATCAGCAATTGCCCGGTACAGCACCCAAATTGCTCATATATAGAAATAATCAGAGACCTAGCGGAGTGCCTGATCGTTTTAGCGGTAGCAAAAGCGGCACCAGCGCATCACTGGCAATTTCAGGCCTGCGTAGCGAAGATGAGGCGGATTATTACTGTGCGAGTTGGGATGGTTCGCTGAGTGCTGTTGTGTTCGGCACCGGTACAAAACTGACCGTTCTG (配列番号304)
【0208】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号305および配列番号306に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含有する:
P08G02重鎖可変領域
GAAGTGCAGCTTGTCCAGAGCGGAGCCGAAGTGAAGAAGCCTGGCGAGAGCCTGAAGATCAGCTGCAAGGGCTCCGGATACACCTTTCCTTCATCATGGATAGGTTGGGTGCGCCAGATGCCTGGTAAGGGACTGGAATGGATGGGCATCATATACCCTGATACTAGCCATACCCGTTACAGCCCAAGCTTTCAGGGCCAGGTCACAATCAGCGCTGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTTCAGTGGTCGTCTCTGAAGGCCAGCGACACCGCAATGTACTACTGTGCCCGTGCGAGCTATTTCGATCGTGGAACAGGGTATAGTTCTTGGTGGATGGATGTGTGGGGCCAAGGTACACTGGTCACCGTCAGCAGC (配列番号305)
P08G02軽鎖可変領域
GAGCTCGATATTCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCAAGCGTGGGCGATAGAGTGACCATTACCTGTAGGGCCTCACAATCCATATACGACTATTTGCACTGGTATCAGCAGAAACCCGGGAAAGCACCCAAACTGCTGATTTACGATGCTTCCAACCTACAGAGTGGCGTTCCTTCACGTTTTAGCGGTAGCGGTTCAGGCACCGATTTCACCCTGACCATTAGCAGCCTTCAGCCCGAAGATTTCGCTACGTATTATTGCCAGCAATCATACACCACGCCGTTGTTTACATTCGGCCAGGGTACCAAAGTGGAAATCAAA (配列番号306)
【0209】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号307および配列番号308に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含有する:
P08F08重鎖可変領域
GAAGTGCAGCTTGTCCAGAGCGGAGCCGAAGTGAAGAAGCCTGGCGAGAGCCTGAAGATCAGCTGCAAGGGCTCCGGATACGGATTCACAAGTTATTGGATAGGTTGGGTGCGCCAGATGCCTGGTAAGGGACTGGAATGGATGGGTATCATTCATCCCGATGATAGCGACACCAAATACAGCCCAAGCTTTCAGGGCCAGGTCACAATCAGCGCTGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTTCAGTGGTCGTCTCTGAAGGCCAGCGACACCGCAATGTACTACTGTGCCTCTAGCTATTTGCGTGGCTTGTGGGGAGGCTATTTTGACTATTGGGGCCAAGGTACACTGGTCACCGTCAGCAGC (配列番号307)
P08F08軽鎖可変領域
GAGCTCCAGAGCGTGCTGACCCAGCCTCCTAGCGCAAGCGGCACCCCTGGACAGCGTGTGACAATTAGCTGTAGCGGATCAAGCTCAAACATTGGCTCAAATTATGTGAATTGGTATCAGCAATTGCCCGGTACAGCACCCAAACTGCTCATTTATGGAGATTATCAACGACCTAGCGGAGTGCCTGATCGTTTTAGCGGTAGCAAAAGCGGCACCAGCGCATCACTGGCAATTTCAGGCCTGCGTAGCGAAGATGAGGCGGATTATTACTGTGCTACCCGCGACGATTCGTTATCTGGGTCTGTCGTTTTTGGCACCGGTACAAAACTGACCGTGCTG (配列番号308)
【0210】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号309および配列番号310に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含有する:
P15D02重鎖可変領域
GAAGTGCAGCTTGTCCAGAGCGGAGCCGAAGTGAAGAAGCCTGGCGAGAGCCTGAAGATCAGCTGCAAGGGCTCCGGATACAGTTTTGCCTCATACTGGATCGGTTGGGTGCGCCAGATGCCTGGTAAGGGACTGGAATGGATGGGCGTAATTTACCCCGGAACTAGCGAGACACGTTACAGCCCAAGCTTTCAGGGCCAGGTCACAATCAGCGCTGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTTCAGTGGTCGTCTCTGAAGGCCAGCGACACCGCAATGTACTACTGCGCTAAAGGGTTGAGTGCGAGTGCAAGTGGATATTCTTTCCAATATTGGGGCCAAGGTACACTGGTCACCGTCAGCAGC (配列番号309)
P15D032軽鎖可変領域
GAGCTCGATATTCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCAAGCGTGGGCGATAGAGTGACCATTACCTGTAGGGCCTCACAAAGCATCGACACATATTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCCGGGAAAGCACCCAAACTGCTGATTTATTCAGCTAGTAGCCTACACAGTGGCGTTCCTTCACGTTTTAGCGGTAGCGGTTCAGGCACCGATTTCACCCTGACCATTAGCAGCCTTCAGCCCGAAGATTTCGCTACGTATTATTGCCAACAATCATACAGCACAACTGCTTGGACATTCGGCCAGGGTACCAAAGTGGAAATCAAA (配列番号310)
【0211】
発現ベクター、およびポリヌクレオチド組成物の投与を、本明細書においてさらに記載する。
【0212】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法を提供する。
【0213】
任意の当該配列に相補的なポリヌクレオチドも本開示に包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)または二本鎖であってもよく、DNA分子(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であってもよい。RNA分子には、イントロンを含有し、1対1の方式でDNA分子に対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNA分子が含まれる。追加のコード配列または非コード配列は、必ずではないが、本開示のポリヌクレオチド内に存在してもよく、ポリヌクレオチドは、必ずではないが、他の分子および/またはサポート物質に連結されてもよい。
【0214】
ポリヌクレオチドは天然配列(すなわち抗体またはその一部分をコードする内因性配列)を含んでもよく、またはそうした配列のバリアントを含んでもよい。ポリヌクレオチドバリアントは、天然免疫反応性分子と比較して、コードされるポリペプチドの免疫反応性が減少しないように一つまたは複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含有する。コードされるポリペプチドの免疫反応性に対する効果は、概して本明細書に記載されるように評価されてもよい。バリアントの実施形態は、天然抗体またはその一部分をコードするポリヌクレオチド配列に対し、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、または少なくとも約95%の同一性を呈する。
【0215】
二つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大対応に整列したときに同じである場合、二つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列は、「同一である」と言われる。二つの配列の間の比較は、典型的には、比較ウィンドウ上の配列を比較して、配列類似性の局所的な領域を特定し、比較することによって実施される。本明細書において使用される場合、「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20個の連続する位置、通常は30〜約75個、または40〜約50個の連続する位置のセグメントを指し、そのセグメントにおいて、二つの配列が最適に整列された後、配列は同数の連続位置の参照配列と比較され得る。
【0216】
比較のための最適な配列の整列は、デフォルトパラメータを使用して、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR,Inc.、ウィスコンシン州マジソン)のLasergene suiteのMegalignプログラムを使用して実施されてもよい。このプログラムは、以下の参考文献に記載されるいくつかの整列スキームを具現化するものである。Dayhoff,M.O.,1978,A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships。In Dayhoff,M.O.(ed.)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345−358;Hein J.,1990,Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.and Sharp,P.M.,1989,CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.and Muller W.,1988,CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.,1971,Comb.Theor.11:105;Santou,N.,Nes,M.,1987,Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.and Sokal,R.R.,1973,Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.and Lipman,D.J.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:726−730。
【0217】
「配列同一性の百分率」は、最適に並置された二つの配列を、少なくとも20個の位置の比較ウィンドウ上で比較することにより決定され、この場合において比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、二配列の最適アライメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20%以下、通常は5〜15%、または10〜12%の付加または欠失(すなわちギャップ)を含む場合がある。百分率は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定して、合致位置数を出し、その合致位置数を、参照配列中の位置の総数(すなわちウィンドウサイズ)で割り、その結果に100を掛け、配列同一性の百分率を出すことにより算出される。
【0218】
バリアントはさらに、またはあるいは、天然遺伝子、またはその一部、またはその相補物に対して実質的に相同であってもよい。そうしたポリヌクレオチドバリアントは、中程度のストリンジェントな条件下で、天然抗体をコードする天然DNA配列(または相補配列)にハイブリダイズする能力を有する。
【0219】
適切な「中程度のストリンジェントな条件」には、5X SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中で前洗浄すること;50℃〜65℃、5X SSC、一晩でハイブリダイズすること;次いで65℃、20分間で2回、各々0.1%SDSを含有する2X、0.5X、および0.2X SSCを用いて洗浄すること、を含む。
【0220】
本明細書において使用される場合、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェントな条件」は、(1)洗浄に関し、低イオン強度および高温を採用すること、例えば、50℃で、0.015M 塩化ナトリウム/0.0015M クエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムなど;(2)ハイブリダイゼーションの間に、例えばホルムアミドなどの変性剤、例えば0.1%ウシ血清アルブミン/0.1% Ficoll/0.1% ポリビニルピロリドン/pH6.5の50mM リン酸ナトリウム緩衝液を含む50%(v/v)ホルムアミドとともに、750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを42℃で採用する;または(3)50%ホルムアミド、5xSSC(0.75M NaCl、0.075M クエン酸ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1% ピロリン酸ナトリウム、5X Denhardt溶液、ソニケート処理された鮭精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDS、および10%硫酸デキストラン、42℃を採用し、42℃、0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中で洗浄し、および55℃、50%ホルムアミドで洗浄し、次いで、55℃、EDTA含有0.1X SSCからなる高ストリンジェント洗浄を行う。当業者であれば、必要に応じて温度、イオン強度などをどのように調整して、例えばプローブの長さなどの因子に適応させるかを認識するであろう。
【0221】
当業者であれば、遺伝子コードの縮重の結果として、本明細書に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は多数存在することを認識するであろう。これらポリヌクレオチドの一部は、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列に対し、最小の相同性を担持する。それにもかかわらずコドン使用頻度の差異により変化するポリヌクレオチドが、本開示により具体的に予期される。さらに本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子のアレルも、本開示の範囲内にある。アレルは、例えばヌクレオチドの欠失、付加および/または置換などの一つまたは複数の変異の結果として変化する内因性の遺伝子である。得られるmRNAおよびタンパク質は、必ずではないが、構造が変化または機能が変化する場合がある。アレルは、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較など)を使用して特定されてもよい。
【0222】
本開示のポリヌクレオチドは、化学合成、組み換え法、またはPCRを使用して取得することができる。化学的なポリヌクレオチド合成方法は当分野で公知であり、本明細書に詳細に記載する必要はない。当業者であれば、本明細書に提供される配列、および市販のDNA合成装置を使用して、所望のDNA配列を生成することができる。
【0223】
本明細書においてさらに検討されるように、組み換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、所望の配列を含むポリヌクレオチドが、適切なベクター内に挿入されてもよく、次いで当該ベクターが適切な宿主細胞内に導入され、複製および増幅されてもよい。ポリヌクレオチドは、当分野で公知の任意の手段によって宿主細胞内に挿入され得る。細胞は、直接的な取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F交配、またはエレクトロポレーション法により外来性ポリヌクレオチドを導入することにより形質転換される。導入された時点で、当該外因性ポリヌクレオチドは、非統合ベクター(例えばプラスミド)として細胞内で維持され、または宿主細胞ゲノム内に統合され得る。そのように増幅されたポリヌクレオチドは、当分野で公知の方法によって宿主細胞から単離され得る。例えば、Sambrook et al.,1989を参照のこと。
【0224】
あるいは、PCRによるDNA配列の再生が可能である。PCR技術は当分野で公知であり、米国特許第4,683,195号、第4,800,159号、第4,754,065号および第4,683,202号、ならびにPCR: The Polymerase Chain Reaction,Mullis et al.eds.,Birkauswer Press,Boston,1994に記載されている。
【0225】
RNAは、適切なベクター中で単離DNAを使用し、適切な宿主細胞内にそれを挿入することによって取得され得る。例えば上記のSambrook et al.,1989に記載されるように、細胞が複製され、DANがRNAに転写される場合、当該RNAは、当業者に公知の方法を使用して単離され得る。
【0226】
標準的な技術に従い適切なクローニングベクターが構築されてもよく、または当分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択されてもよい。選択されたクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に応じて変化し得るが、有用なクローニングベクターは一般的に自己複製する能力を有するものであり、特定の制限エンドヌクレアーゼに対して単一の標的を保有していてもよく、および/またはベクターを含むクローンの選択に使用することができるマーカーの遺伝子を担持してもよい。適切な例としては、プラスミドおよび細菌ウイルスが挙げられる。例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびに例えばpSA3およびpAT28などのシャトルベクターが挙げられる。これらベクター、および他の多くのクローニングベクターは、例えばBioRad社、Strategene社、およびInvitrogen社などの業者から入手可能である。
【0227】
発現ベクターは一般的に、本開示によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAと一体となっている部分として、宿主細胞中で複製可能でなければならないと示唆される。適切な発現ベクターとしては限定されないが、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開WO87/04462に開示される発現ベクター、またはClonetech社から入手可能なレンチウイルスpLVXベクターが挙げられる。ベクターの構成要素としては限定されないが、一般的に、以下の内の一つまたは複数が挙げられる:シグナル配列、複製起源、一つまたは複数のマーカー遺伝子、適切な転写制御因子(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)。発現(すなわち翻訳)に対し、通常は一つまたは複数の翻訳制御因子も必要であり、例えばリボソーム結合部位、翻訳開始部位、および停止コドンなどがある。
【0228】
対象のポリヌクレオチドを含有するベクターは、エレクトロポレーション法、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を使用するトランスフェクション、マイクロプロジェクタイル照射、リポフェクション、および感染(ベクターが、例えばワクシニアウイルスなどの感染性の実体である場合)をはじめとする多くの適切な手段のいずれかにより宿主細胞内に導入され得る。ベクターまたはポリヌクレオチドの導入に関する選択は多くの場合、宿主細胞の特徴に依存する。
【0229】
本明細書に開示されるCD70特異的CARをコードするポリヌクレオチドは、発現カセットまたは発現ベクターにおいて存在してもよい(例えば、細菌宿主細胞内への導入用のプラスミド、または昆虫宿主細胞のトランスフェクション用のバキュロウイルスベクターなどのウイルスベクター、または哺乳動物宿主細胞のトランスフェクション用のプラスミドもしくはレンチウイルスなどのウイルスベクター)。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドまたはベクターは、例えば限定されないが、2Aペプチドをコードする配列などの、リボソームスキップ配列をコードする核酸配列を含有し得る。ピコルナウイルスのアフトウイルス亜群において特定された2Aペプチドは、一つのコドンから次のコドンへ、当該コドンによりコードされる二つのアミノ酸の間にペプチド結合を形成させることなくリボソームを「スキップ」させる((Donnelly and Elliott 2001;Atkins,Wills et al.2007;Doronina,Wu et al.2008)を参照のこと)。「コドン」とは、リボソームによって一つのアミノ酸残基へと翻訳されるmRNA(またはDNA分子のセンス鎖)の三つのヌクレオチドを意味する。したがって、フレーム中の2Aオリゴペプチド配列によりポリペプチドが分離されているとき、mRNA内の一つの連続的なオープンリーディングフレームから二つのポリペプチドが合成され得る。このようなリボソームスキップ機構は当分野で公知であり、単一メッセンジャーRNAによりコードされる、いくつかのタンパク質の発現用の数種のベクターに使用されることが知られている。
【0230】
宿主細胞の分泌経路に膜貫通ポリペプチドを誘導させるために、一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列またはベクター配列中に分泌シグナル配列(リーダー配列、prepro配列またはpre配列としても知られる)が備えられる。分泌シグナル配列は、膜貫通核酸配列に操作可能に連結される。すなわち二つの配列は、正しいリーディングフレームで結合され、新たに合成されるポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に誘導するように配置される。分泌シグナル配列は一般的に、対象のポリペプチドをコードする核酸配列に対して5’に配置される。しかし、特定の分泌シグナル配列は、対象の核酸配列中の別の場所に配置されてもよい(例えば、Welchらの米国特許第5,037,743号、Hollandらの米国特許第5,143,830号を参照のこと)。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号266または配列番号277に示されるアミノ酸配列を含有する。当業者であれば、遺伝子コードの縮重を考慮すると、これらポリヌクレオチド分子にはかなりの配列バリエーションがあり得ることを認識するであろう。一部の実施形態では、本開示の核酸配列は、哺乳動物細胞での発現に対してコドン最適化され、または一部の実施形態では、ヒト細胞での発現に対してコドン最適化される。コドン最適化とは、所与の種の高度に発現される遺伝子において一般的に稀であるコドンの対象配列を、当該種の高度に発現される遺伝子において一般的に頻繁にあるコドンに交換することを指し、当該コドンは、交換されるコドンと同じアミノ酸をコードしている。
【0231】
CD70特異的抗体およびその作製方法
本明細書において、CD70抗体が提供される。
【0232】
一部の実施形態では、本開示のCD70抗体は、表1に列記される部分的軽鎖配列のいずれか一つ、および/または表1に列記される部分的重鎖配列のいずれか一つを含有する。表1において、下線の配列は、Kabatに従うCDR配列であり、太字は、Chothiaに従うCDR配列である。
【0233】
表2A〜2Bは、本明細書に提供されるCD70抗体のCDR配列の例を提供する。
【0234】
一部の実施形態では、本開示は、抗体(例えばCluster of Differentiation 70(CD70)に特異的に結合する一本鎖可変断片(scFv)などの抗体断片を含む)を提供するものであり、この場合において当該抗体は、(a)(i)配列番号49、50、51、55、56、57、61、62、63、67、68、69、73、74、75、79、80、81、85、86、87、91、92、93、97、98、99、103、104、105、109、110、111、115、116、117、121、122、123、127、128、129、133、134、135、139、140、141、145、146、147、151、152、153、157、158、159、163、164、165、169、170、171、175、176、177、181、182、183、187、188、189、382、383、384、388、389、390、394、395、396、400、401、402、406、407、408、412、413、414、418、419、420、424、425、426、430、431、432、663、664、665、436、437、438、442、443、444、448、449、450、454、455、456、460、461、462、466、467、468、472、473、474、478、479、480、484、485、486、490、491、492、496、497、498、502、503、504、508、509、または510に示される配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1);(ii)配列番号52、53、58、59、64、65、70、71、76、77、82、83、88、89、94、95、100、101、106、107、112、113、118、119、124、125、130、131、136、137、142、143、148、149、154、155、160、161、166、167、172、173、178、179、184、185、190、191、385、386、391、392、397、398、403、404、409、410、415、416、421、422、427、428、433、434、666、667、439、440、445、446、451、452、457、458、463、464、469、470、475、476、481、482、487、488、493、494、499、500、505、506、511、または512に示される配列を含むVH CDR2;およびiii)配列番号54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、387、393、399、405、411、417、423、429、435、668、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、または513に示される配列を含むVH CDR3、を含む重鎖可変(VH)領域;ならびに/または(i)配列番号193、196、199、202、205、208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、244、247、250、253、256、259、262、514、517、520、523、526、529、532、535、538、669、541、544、547、550、553、556、559、562、565、568、571、574、または577に示される配列を含むVL CDR1;(ii)配列番号194、197、200、203、206、209、212、215、218、221、224、227、230、233、236、239、242、245、248、251、254、257、260、263、515、518、521、524、527、530、533、536、539、670、542、545、548、551、554、557、560、563、566、569、572、575、または578に示される配列を含むVL CDR2;および(iii)配列番号195、198、201、204、207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、243、246、249、252、255、258、261、264、516、519、522、525、528、531、534、537、540、671、543、546、549、552、555、558、561、564、567、570、573、576、または579に示される配列を含むVL CDR3、を含む軽鎖可変(VL)領域、を含有する。
【0235】
一部の実施形態では、本開示は、Cluster of Differentiation 70 (CD70)に特異的に結合する抗体(例えば、scFv)を提供するものであり、この場合において当該抗体は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、662、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、または381に示されるVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域、および/または配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、661、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、または380に示されるVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域、を含有する。
【0236】
一部の実施形態では、本開示は、CD70に特異的に結合し、前述の抗体のいずれかと競合する単離抗体を提供する。
【0237】
一部の実施形態では、本発明は、CD70に結合し、31H1、63B2、40E3、42C3、45F11、64F9、72C2、2F10、4F11、10H10、17G6、65E11、P02B10、P07D03、P08A02、P08E02、P08F08、P08G02、P12B09、P12F02、P12G07、P13F04、P15D02、P16C05、10A1、10E2、11A1、11C1、11D1、11E1、12A2、12C4、12C5、12D3、12D6、12D7、12F5、12H4、8C8、8F7、8F8、9D8、9E10、9E5、9F4または9F8を含む、本明細書に記載の抗体と競合する抗体を提供する。
【0238】
一部の実施形態では、本発明はさらに、CDR接触領域に基づいた、CD70抗体に対する抗体のCDR部分を提供する。CDR接触領域は、抗原に対する特異性を抗体に与える抗体の領域である。一般的に、CDR接触領域は、CDR中の残基位置、および特定の抗原に結合する抗体の適切なループ構造を維持するために制約を受けるVernierゾーンを含む。例えば、Makabe et al.,J.Biol.Chem.,283:1156−1166,2007を参照のこと。CDR接触領域の決定は、当分野の技術範囲内にある。
【0239】
CD70(例えば、ヒトCD70(例えば、配列番号335))に対する本明細書に記載のCD70抗体の結合アフィニティ(K
D)は、約0.001〜約5000nMであってもよい。一部の実施形態では、結合アフィニティは、およそ5000nM、4500nM、4000nM、3500nM、3000nM、2500nM、2000nM、1789nM、1583nM、1540nM、1500nM、1490nM、1064nM、1000nM、933nM、894nM、750nM、705nM、678nM、532nM、500nM、494nM、400nM、349nM、340nM、353nM、300nM、250nM、244nM、231nM、225nM、207nM、200nM、186nM、172nM、136nM、113nM、104nM、101nM、100nM、90nM、83nM、79nM、74nM、54nM、50nM、45nM、42nM、40nM、35nM、32nM、30nM、25nM、24nM、22nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、12nM、10nM、9nM、8nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5.5nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.3nM、0.1nM、0.01nM、または0.001nMのいずれかである。一部の実施形態では、結合アフィニティは、およそ5000nM、4000nM、3000nM、2000nM、1000nM、900nM、800nM、250nM、200nM、100nM、50nM、30nM、20nM、10nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、1nM、または0.5nMのいずれかよりも小さい。
【0240】
一部の実施形態では、本開示は、前述の単離抗体のいずれかをコードする核酸を提供する。一部の実施形態では、本開示は、当該核酸を含むベクターを提供する。一部の実施形態では、本開示は、当該核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0241】
本開示はさらに、医薬品としての使用のための前述の抗体の抗体のいずれかを提供する。一部の実施形態では、医薬品は、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌からなる群から選択されるCD70関連癌の治療における使用のためである。
【0242】
一部の実施形態では、本開示は、その必要のある対象を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、前述の抗体のいずれかを提供すること、および当該対象に当該抗体を投与することを含む。
【0243】
一部の実施形態では、本開示は、前述の抗体のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0244】
一部の実施形態では、本開示は、対象においてCD70を発現する悪性細胞と関連した状態を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に、前述の抗体のいずれか一つの有効量、または前述の抗体のいずれか一つを含む医薬組成物の有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、状態は、癌である。一部の実施形態では、癌は、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌からなる群から選択されるCD70関連癌である。
【0245】
一部の実施形態では、本開示は、CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の増殖または進行を阻害する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に、本開示の医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む。
【0246】
一部の実施形態では、本開示は、対象においてCD70を発現する悪性細胞の転移を阻害する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に、本開示の医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む。
【0247】
一部の実施形態では、本開示は、CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある対象に、本開示の医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む。
【0248】
一部の実施形態では、抗体の産生を生じさせる条件下で、本開示の宿主細胞を培養すること、および当該宿主細胞または培養物から当該抗体を単離すること、を含む、抗体。
【0249】
本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二特異性抗体、ヘテロ結合抗体、一本鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質(例えば、ドメイン抗体)、ヒト化抗体、および必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変構造物を包含してもよく、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合改変抗体を含む。抗体は、マウス、ラット、ヒトまたは任意の他の起源(キメラ抗体またはヒト化抗体を含む)であってもよい。
【0250】
一部の実施形態では、本明細書に記載のCD70一特異性抗体は、モノクローナル抗体である。例えば、CD70一特異性抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。
【0251】
本開示はさらに、以下の例示的な実施形態を提供する。
1.Cluster of Differentiation 70(CD70)に特異的に結合する単離抗体であって、当該抗体は、
(a)(i)配列番号49、50、51、55、56、57、61、62、63、67、68、69、73、74、75、79、80、81、85、86、87、91、92、93、97、98、99、103、104、105、109、110、111、115、116、117、121、122、123、127、128、129、133、134、135、139、140、141、145、146、147、151、152、153、157、158、159、163、164、165、169、170、171、175、176、177、181、182、183、187、188、189、382、383、384、388、389、390、394、395、396、400、401、402、406、407、408、412、413、414、418、419、420、424、425、426、430、431、432、663、664、665、436、437、438、442、443、444、448、449、450、454、455、456、460、461、462、466、467、468、472、473、474、478、479、480、484、485、486、490、491、492、496、497、498、502、503、504、508、509または510に示される配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列番号52、53、58、59、64、65、70、71、76、77、82、83、88、89、94、95、100、101、106、107、112、113、118、119、124、125、130、131、136、137、142、143、148、149、154、155、160、161、166、167、172、173、178、179、184、185、190、191、385、386、391、392、397、398、403、404、409、410、415、416、421、422、427、428、433、434、666、667、439、440、445、446、451、452、457、458、463、464、469、470、475、476、481、482、487、488、493、494、499、500、505、506、511または512に示される配列を含むVH CDR2、およびiii)配列番号54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、387、393、399、405、411、417、423、429、435、668、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507または513に示される配列を含むVH CDR3、を含む重鎖可変(VH)領域;および/または
(b)(i)配列番号193、196、199、202、205、208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、244、247、250、253、256、259、262、514、517、520、523、526、529、532、535、538、669、541、544、547、550、553、556、559、562、565、568、571、574または577に示される配列を含むVL CDR1、(ii)配列番号194、197、200、203、206、209、212、215、218、221、224、227、230、233、236、239、242、245、248、251、254、257、260、263、515、518、521、524、527、530、533、536、539、670、542、545、548、551、554、557、560、563、566、569、572、575または578に示される配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号195、198、201、204、207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、243、246、249、252、255、258、261、264、516、519、522、525、528、531、534、537、540、671、543、546、549、552、555、558、561、564、567、570、573、576または579に示される配列を含むVL CDR3、を含む軽鎖可変(VL)領域、を含む。
2.Cluster of Differentiation 70(CD70)に特異的に結合する単離抗体であって、当該抗体は、
a)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、339、341、343、345、347、349、351、353、355、662、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379または381に示されるVH配列のVH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3を含むVH領域、および/または
(b)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、338、340、342、344、346、348、350、352、354、661、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378または380に示されるVL配列のVL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含むVL領域、を含む。
3.CD70に特異的に結合し、実施形態1に記載の抗体と競合する、単離抗体。
4.実施形態1〜3のいずれか一つに記載の抗体をコードする核酸。
5.実施形態4に記載の核酸を含むベクター。
6.実施形態4に記載の核酸を含む宿主細胞。
7.医薬品としての使用のための実施形態1〜3のいずれか一つに記載の抗体。
8.当該医薬品が、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌からなる群から選択されるCD70関連癌の治療における使用のためである、実施形態7に記載の抗体。
9.その必要のある対象を治療する方法であって、
a.実施形態1〜3のいずれか一つに記載の抗体を提供すること、および
b.当該対象に当該抗体を投与すること、を含む、方法。
10.実施形態1〜3のいずれか一つに記載の抗体を含む医薬組成物。
11.対象においてCD70を発現する悪性細胞と関連した状態を治療する方法であって、その必要のある対象に、実施形態1〜3のいずれか一つに記載の抗体の有効量、または実施形態10に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
12.当該状態が、癌である、実施形態11に記載の方法。
13.当該癌が、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌からなる群から選択されるCD70関連癌である、実施形態12に記載の方法。
14.CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の増殖または進行を阻害する方法であって、その必要のある当該対象に、実施形態10に記載の医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
15.対象においてCD70を発現する悪性細胞の転移を阻害する方法であって、その必要のある当該対象に、実施形態10に記載の医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
16.CD70を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の退縮を誘導する方法であって、その必要のある当該対象に、実施形態10に記載の医薬組成物の当該対象に対する有効量を投与することを含む、方法。
17.抗体を作製する方法であって、当該抗体の産生を生じさせる条件下で、実施形態6に記載の宿主細胞を培養すること、および当該宿主細胞または培養物から当該抗体を単離すること、を含む方法。
【0252】
免疫細胞を操作する方法
免疫療法における使用のための免疫細胞を調製する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、本開示によるCARを免疫細胞に導入すること、および当該細胞を拡張させることを含む。一部の実施形態では、本開示は、免疫細胞を操作する方法に関するものであり、当該方法は、細胞を提供すること、および上述のCARを少なくとも一つ、当該細胞表面上で発現させること、を含む。免疫細胞を操作する方法は、例えば、PCT出願公開WO/2014/039523、WO/2014/184741、WO/2014/191128、WO/2014/184744およびWO/2014/184143に記載されており、それら出願公開はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、方法は、上述のCARをコードする少なくとも一つのポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすること、および当該細胞において当該ポリヌクレオチドを発現させること、を含む。
【0253】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞中での安定的発現用のレンチウイルスベクター中に存在する。
【0254】
一部の実施形態では、方法は、例えば限定されないが、TCRの構成要素、免疫抑制剤の標的、HLA遺伝子、CD70、および/または例えばPDCD1もしくはCTLA−4などの免疫チェックポイントタンパク質などを発現する遺伝子を少なくとも一つ破壊する、または不活化することにより、細胞を遺伝子改変する工程をさらに含み得る。遺伝子を破壊または不活化するとは、対象遺伝子が機能的なタンパク質の形態で発現されないことが意図される。一部の実施形態では、破壊される、または不活化される遺伝子は、例えば限定されないが、TCRα、TCRβ、CD52、GR、PD−1、CD70およびCTLA−4からなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、選択的DNA切断によって遺伝子を選択的に不活化することが可能な低頻度切断エンドヌクレアーゼ(rare−cutting endonuclease)を細胞内に導入することにより、一つまたは複数の遺伝子を破壊すること、または不活化することを含む。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、megaTALヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ(meganuclease)、転写活性化因子様エフェクター(transcription activator−like effector)ヌクレアーゼ(TALE−ヌクレアーゼ)、またはCRISPR関連のエンドヌクレアーゼであってもよい。
【0255】
一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼとともに追加の触媒ドメインが使用され、標的遺伝子を不活化する能力が強化される。例えば、追加の触媒ドメインは、DNA末端処理酵素であってもよい。DNA末端処理酵素の非限定的な例としては、5−3’エキソヌクレアーゼ、3−5’エキソヌクレアーゼ、5−3’アルカリエキソヌクレアーゼ、5’フラップエンドヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、ホスファターゼ、ヒドロラーゼ、および鋳型非依存性のDNAポリマーゼが挙げられる。そうした触媒ドメインの非限定的な例は、hExoI(EXO1_HUMAN)、酵母ExoI(EXO1_YEAST)、大腸菌ExoI、ヒトTREX2、マウスTREX1、ヒトTREX1、ウシTREX1、ラットTREX1、TdT(ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(terminal deoxynucleotidyl transferase))ヒトDNA2、酵母DNA2(DNA2_YEAST)からなる群から選択されるタンパク質ドメイン、または当該タンパク質ドメインの触媒活性のある誘導体から構成される。一部の実施形態では、追加の触媒ドメインは、3’−5’−エキソヌクレアーゼ活性を有してもよく、一部の実施形態では、当該追加の触媒ドメインは、例えばTREX2触媒ドメイン(WO2012/058458)などのTREXである。一部の実施形態では、当該触媒ドメインは、一本鎖TREXポリペプチドによりコードされる。追加の触媒ドメインは、ヌクレアーゼ融合タンパク質、またはキメラタンパク質に融合されてもよい。一部の実施形態では、追加の触媒ドメインは、例えばペプチドリンカーを使用して融合される。
【0256】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも標的核酸配列の一部に対して配列相同性のある外因性核酸を細胞に導入する工程をさらに含み、それによって当該標的核酸配列と当該外因性核酸の間に相同組み換えが発生する。一部の実施形態では、当該外因性核酸は、第一の部分と第二の部分を含み、それぞれが標的核酸配列の5’領域および3’領域に相同である。外因性核酸は、当該第一の部分と当該第二の部分の間に配置された第三の部分も含有してもよく、当該部分は、標的核酸配列の5’領域および3’領域との相同性を含まない。標的核酸配列の切断後、標的核酸配列と外因性核酸の間で相同組み換え事象が刺激される。一部の実施形態では、少なくとも約50bpの相同配列、約100bpよりも大きい相同配列、または約200bpよりも大きい相同配列が、ドナーマトリクス内で使用され得る。外因性核酸は、例えば限定されないが、約200bp〜約6000bp、または約1000bp〜約2000bpであってもよい。共有される核酸相同部は、切断部位の上流および下流に隣接する領域に配置され、導入される核酸配列は当該二つのアームの間に配置される。
【0257】
一部の実施形態では、核酸は連続的に、当該切断部位の上流の配列に対する第一の相同領域;TCRα、TCRβ、CD52、CD70、グルココルチコイド受容体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)および例えばprogrammed death−1(PD−1)などの免疫チェックポイントタンパク質からなる群から選択される標的遺伝子を不活化する配列;および当該切断部位の下流の配列に対する第二の相同領域、を含有する。ポリヌクレオチド導入工程は、低頻度切断エンドヌクレアーゼの導入もしくは発現と同時、前または後で行われてもよい。切断事象が発生した標的核酸配列の位置に応じて、当該外因性核酸を使用して、例えば外因性核酸が遺伝子のオープンリーディングフレーム内に配置されたときには遺伝子がノックアウトされ、または新たな配列もしくは対象遺伝子が導入される。こうした外因性核酸を使用することによる配列挿入を使用して、遺伝子の修正もしくは置換が行われることにより(非限定的な例としてアレルスワップ)、標的の既存遺伝子が改変され得、または標的遺伝子の発現(非限定的な例としてプロモータースワップ)、標的遺伝子修正もしくは標的遺伝子置換の上方制御もしくは下方制御が行われ得る。一部の実施形態では、TCRα、TCRβ、CD52、CD70、GR、DCK、および免疫チェックポイントタンパク質からなる群から選択される遺伝子の不活化は、特定のTALE−ヌクレアーゼの標的となる正確なゲノム位置で行われ、この場合において、当該特定のTALE−ヌクレアーゼは、切断を触媒し、およびこの場合において当該外因性核酸は連続的に、少なくとも相同領域、および相同組み換えにより統合されるTCRα、TCRβ、CD52、CD70、GR、DCK、免疫チェックポイントタンパク質からなる群から選択される一つの標的遺伝子を不活化する配列、を含有する。一部の実施形態では、いくつかの遺伝子は、一つの規定の遺伝子をそれぞれ、および特異的に標的とするいくつかのTALE−ヌクレアーゼ、および特定の遺伝子不活化のためのいくつかの特定のポリヌクレオチドを使用して連続的に、もしくは同時に破壊または不活化されてもよい。
【0258】
一部の実施形態では、方法は、TCRα、TCRβ、CD52、CD70、GR、DCK、および免疫チェックポイントタンパク質からなる群から選択される一つまたは複数の追加の遺伝子の不活化を含む。一部の実施形態では、遺伝子の不活化は、少なくとも一つの低頻度切断エンドヌクレアーゼを細胞内に導入し、それにより当該低頻度切断エンドヌクレアーゼが、細胞ゲノムの標的配列において特異的に切断を触媒すること、および任意で、切断の上流の配列に相同な第一の領域、細胞ゲノムに挿入される配列、および切断の下流の配列に相同な第二の領域を連続的に含有する外因性核酸を細胞内に導入することにより実現され得、この場合において当該導入される外因性核酸が遺伝子を不活化し、少なくとも一つの対象の組み換えタンパク質をコードする少なくとも一つの外因性ポリヌクレオチド配列を統合する。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチド配列は、TCRα、TCRβ、CD52、CD70、GR、DCK、および免疫チェックポイントタンパク質からなる群から選択されるタンパク質をコードする遺伝子内に統合される。
【0259】
別の態様では、細胞を遺伝子改変する工程は、免疫抑制剤の標的を発現する少なくとも一つの遺伝子を破壊または不活化することによりT細胞を改変すること、および細胞を、任意で当該免疫抑制剤の存在下で拡張させること、を含み得る。免疫抑制剤は、いくつかの作用機序のうちの一つにより、免疫機能を抑制する剤である。免疫抑制剤は、免疫応答の範囲および/または貪食を減少させ得る。免疫抑制剤の非限定的な例としては、カルシニューリン阻害剤、ラパマイシン標的、インターロイキン−2α鎖遮断剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤、ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤、コルチコステロイド、および免疫抑制性の抗代謝剤が挙げられる。一部の細胞障害性の免疫抑制剤は、DNA合成を阻害することにより作用する。その他は、T細胞の活性化を通して作用し、またはヘルパー細胞の活性化を阻害することにより作用する場合がある。本開示による方法は、T細胞中の免疫抑制剤の標的を破壊または不活化することによって、T細胞に、免疫療法に対する免疫抑制抵抗性を与え得る。非限定的な例としての免疫抑制剤の標的は、例えば限定されないが、CD52、グルココルチコイド受容体(GR)、FKBPファミリー遺伝子のメンバー、およびシクロフィリンファミリー遺伝子のメンバーなどの免疫抑制剤に対する受容体であり得る。
【0260】
一部の実施形態では、当該方法の遺伝子改変は、操作される提供細胞において、一つの低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させ、それにより当該低頻度切断エンドヌクレアーゼが、一つの標的遺伝子において特異的に切断を触媒し、当該標的遺伝子を破壊または不活化することを含む。一部の実施形態では、細胞を操作する方法は、以下の工程のうちの少なくとも一つを含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、免疫抑制剤の標的を発現するT細胞中の遺伝子を選択する工程、当該T細胞に、当該免疫抑制剤の標的をコードする遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼを導入する工程、および任意で当該免疫抑制剤の存在下で当該細胞を拡張させる工程。
【0261】
一部の実施形態では、当該方法は、以下を含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、T細胞中の遺伝子を選択する工程であって、当該遺伝子は、免疫抑制剤の標的を発現する工程、当該T細胞に、当該免疫抑制剤の標的をコードする遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトし、当該T細胞内で当該低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させる工程、および任意で当該免疫抑制剤の存在下で当該細胞を拡張させる工程。
【0262】
一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、CD52またはGRを特異的に標的とする。一部の実施形態では、不活化に選択される遺伝子は、CD52をコードし、免疫抑制性治療剤は、CD52抗原を標的とするヒト化抗体を含有する。一部の実施形態では、不活化に選択される遺伝子は、GRをコードし、免疫抑制性治療剤は、例えばデキサメタゾンなどのコルチコステロイドを含有する。一部の実施形態では、不活化に選択される遺伝子は、FKBPファミリー遺伝子のメンバーまたはそのバリアントであり、免疫抑制性治療剤は、タクロリムス(Tacrolimus)またはフジマイシン(fujimycin)としても知られるFK506を含有する。一部の実施形態では、FKBPファミリー遺伝子のメンバーは、FKBP12またはそのバリアントである。一部の実施形態では、不活化に選択される遺伝子は、シクロフィリンファミリー遺伝子のメンバーまたはそのバリアントであり、免疫抑制性治療剤は、シクロスポリン(cyclosporine)を含有する。
【0263】
一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、megaTALヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ(meganuclease)、転写活性化因子様エフェクター(transcription activator−like effector)ヌクレアーゼ(TALE−ヌクレアーゼ)、またはCRISPR関連のエンドヌクレアーゼであってもよい。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、TALE−ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、CRISPRヌクレアーゼであり、ガイドRNAは、標的部位に対して少なくとも部分的に相補的または完全に相補的である。
【0264】
一般的に、CRISPR関連ヌクレアーゼは、ガイドRNA(gRNA)またはその機能的同等物とともに供給される。gRNAは、以下の二つの部分から構成される:標的ゲノムDNA配列に特異的なcrispr−RNA(crRNA)、DNAにCasが結合することを促進するトランス活性化RNA(tracrRNA)。一部の実施形態では、crRNAおよびtracrRNAは、同じRNAオリゴヌクレオチド中に存在する場合があり、単一ガイドRNA(sgRNA)と呼称される。一部の実施形態では、crRNAおよびtracrRNAは、別のRNAオリゴヌクレオチドとして存在する場合もある。本明細書において使用される場合、「ガイドRNA」または「gRNA」という用語は、sgRNAとして、またはcrRNA:tracrRNA二本鎖として存在するtracrRNAとcrRNAの組み合わせを指す。一部の実施形態では、CRISPR関連ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)から誘導され得る(SpCas9)。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SaCas9)を含む他の細菌株から誘導され得る。一部の実施形態では、Casエンドヌクレアーゼは、SpCas9、SpCas9−HF1、SpCas9−HF2、SpCas9−HF3、SpCas9−HF4、SaCas9、FnCpf、FnCas9、eSpCas9、C2C1、C2C3、Cpf1、Casl、CaslB、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(also known as Csnl and Csx12)、Cas10、Csyl、Csy2、Csy3、Csel、Cse2、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csbl、Csb2、Csb3、Csxl7、Csxl4、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csxl、Csxl5、Csfl、Csf2、Csf3、またはCsf4を含む群から選択される。
【0265】
研究により、未分化状態(すなわちT
SCMまたはT
CM)のサブセットから誘導されたT細胞の養子免疫伝達は、インビボで長期的な持続性をもたらすことが提唱されている(例えば、Berger,C.et al.,The Journal of Clinical Investigation,118(1):294−305(2008)を参照のこと)。したがってCAR T産物におけるCD70の遺伝子ノックダウンは、T細胞分化を阻害するための重要な検討事項である。
【0266】
一部の実施形態では、当該方法の遺伝子改変は、操作される提供細胞において、一つの低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させ、それにより当該低頻度切断エンドヌクレアーゼが、CD70遺伝子において特異的に切断を触媒し、CD70遺伝子を破壊または不活化することを含む。一部の実施形態では、細胞を操作する方法は、以下の工程のうちの少なくとも一つを含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、当該T細胞に、CD70をコードする遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼを導入する工程、および当該細胞を拡張させる工程。
【0267】
一部の実施形態では、当該方法は、以下を含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、当該T細胞に、CD70をコードする遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトし、当該T細胞内で当該低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させる工程、および当該細胞を拡張させる工程。
【0268】
一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、例えばメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、またはTALE−ヌクレアーゼ(TALEN)であってもよい。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、TALE−ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連ヌクレアーゼであり、ガイドRNAは、標的部位に対して少なくとも部分的に相補的または完全に相補的である。
【0269】
さらに本明細書において、免疫療法に適したT細胞を操作する方法が提供され、この場合において当該方法は、少なくとも免疫チェックポイントタンパク質を破壊または不活化することによりT細胞を遺伝子改変することを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、例えばPD−1および/またはCTLA−4である。一部の実施形態では、細胞を遺伝子改変する方法は、少なくとも一つの免疫チェックポイントタンパク質を破壊または不活化することによりT細胞を改変すること、および当該細胞を拡張させること、を含む。免疫チェックポイントタンパク質としては限定されないが、Programmed Death 1(PD−1、PDCD1またはCD279としても知られる、アクセッション番号:NM
−005018)、Cytotoxic T−Lymphocyte Antigen 4(CTLA−4、CD152としても知られる、GenBankアクセッション番号AF414120.1)、LAG3(CD223としても知られる、アクセッション番号:NM
−002286.5)、Tim3(HAVCR2としても知られる、GenBankアクセッション番号:JX049979.1)、BTLA(CD272としても知られる、アクセッション番号:NM
−181780.3)、BY55(CD160としても知られる、GenBankアクセッション番号:CR541888.1)、TIGIT(VSTM3としても知られる、アクセッション番号:NM
−173799)、B7H5(C10orf54、homolog of mouse vista geneとしても知られる、アクセッション番号:NM
−022153.1)、LAIR1(CD305としても知られる、GenBankアクセッション番号:CR542051.1)、SIGLEC10(GeneBankアクセッション番号:AY358337.1)、2B4(CD244としても知られる、アクセッション番号:NM
−001166664.1)が挙げられ、直接的に免疫細胞を阻害する。例えばCTLA−4は、特定のCD4 T細胞およびCD8 T細胞上に発現される細胞表面タンパク質であり、抗原提示細胞上のそのリガンド(B7−1およびB7−2)と会合したとき、T細胞の活性化とエフェクター機能が阻害される。
【0270】
一部の実施形態では、細胞を操作する当該方法は、以下の工程のうちの少なくとも一つを含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、当該T細胞に、免疫チェックポイントタンパク質をコードする一つの遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼを導入する工程、および当該細胞を拡張させる工程。一部の実施形態では、当該方法は、以下を含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、当該T細胞に、免疫チェックポイントタンパク質をコードする遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトする工程、当該T細胞内で当該低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させる工程、および当該細胞を拡張させる工程。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、以下からなる群から選択される遺伝子を特異的に標的とする:PD−1、CTLA−4、LAG3、Tim3、BTLA、BY55、TIGIT、B7H5、LAIR1、SIGLEC10、2B4、TCRαおよびTCRβ。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、またはTALE−ヌクレアーゼであってもよい。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、TALE−ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼであり、ガイドRNAは、標的部位に対して少なくとも部分的に相補的または完全に相補的である。
【0271】
一部の実施形態では、本開示は、同種免疫療法に特に適している可能性がある。そうした実施形態において、細胞は、以下を含む方法により改変されてもよい:T細胞中のT細胞受容体(TCR)の構成要素をコードする少なくとも一つの遺伝子を破壊または不活性化すること、および当該T細胞を拡張させること。一部の実施形態では、当該方法の遺伝子改変は、操作される提供細胞において、一つの低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させ、それにより当該低頻度切断エンドヌクレアーゼが、一つの標的遺伝子において特異的に切断を触媒し、当該標的遺伝子を破壊または不活化することに依存する。一部の実施形態では、細胞を操作する当該方法は、以下の工程のうちの少なくとも一つを含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、当該T細胞に、T細胞受容体(TCR)の構成要素をコードする少なくとも一つの遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼを導入する工程、および当該細胞を拡張させる工程。
【0272】
一部の実施形態では、当該方法は、以下を含む:例えば細胞培養物由来または血液サンプル由来のT細胞を提供する工程、当該T細胞に、T細胞受容体(TCR)の構成要素をコードする少なくとも一つの遺伝子を、DNA切断(一部の実施形態では、二本鎖切断)により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトする工程、当該T細胞内で当該低頻度切断エンドヌクレアーゼを発現させる工程、自身の細胞表面上にTCRを発現しない形質転換T細胞をソーティングする工程、およびおよび当該細胞を拡張させる工程。
【0273】
一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、またはTALE−ヌクレアーゼであってもよい。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、TALE−ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、TALE−ヌクレアーゼは、TCRαまたはTCRβをコードする配列を認識し、切断する。一部の実施形態では、TALE−ヌクレアーゼは、配列番号281、282、283、284、285、286、287、288、289または290に示されるアミノ酸配列から選択されるポリペプチド配列を含有する。
TALE−ヌクレアーゼのポリペプチド配列:
リピート TRAC_T01−L
LTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号281)。
リピート TRAC_T01−R
LTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号282)。
リピート TRBC_T01−L
LTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号283)。
リピート TRBC_T01−R
NPQRSTVWYLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号284)。
リピート TRBC_T02−L
LTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号285)。
リピート TRBC_T02−R
LTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号286)。
リピート CD52_T02−L
LTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号287)。
リピート CD52_T02−R
LTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号288)。
リピート CD70−L
LTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号289)
リピート CD70−R
LTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASNIGGKQALETVQALLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNNGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHGLTPQQVVAIASNGGGRPALE (配列番号290)
【0274】
別の態様では、細胞を遺伝子改変する別の工程は、TCRα欠損T細胞を拡張させる方法であってもよく、当該方法は、T細胞にpTα(preTCRαとしても知られる)またはその機能性バリアントを導入すること、および任意でCD3複合体の刺激を介して当該細胞を拡張させることを含む。一部の実施形態では、当該方法は、a)細胞に、少なくともpTαの断片をコードする核酸をトランスフェクトし、CD3の表面発現をサポートすること、b)当該細胞内で当該pTαを発現させること、およびc)任意でCD3複合体の刺激を介して当該細胞を拡張させること、を含む。
【0275】
T細胞の拡張を行うための当該方法の工程を含む、免疫療法用のT細胞を調整する方法も提供される。一部の実施形態では、pTαポリヌクレオチド配列は、無作為に、または相同組み換えにより導入され得る。一部の実施形態では、挿入は、TCRα遺伝子の不活化と関連し得る。
【0276】
pTαの異なる機能性バリアントを使用してもよい。ペプチドの「機能性バリアント」とは、ペプチド全体またはその断片のいずれかと実質的に類似した分子を指す。pTαまたはその機能性バリアントの「断片」とは、任意の分子サブセット、すなわち全長pTαよりも短いペプチドを指す。一部の実施形態では、pTαまたは機能性バリアントは、例えば全長pTαまたはC末端切断型pTαであってもよい。C末端切断pTαは、C末端の一つまたは複数の残基を欠く。非限定的な例として、C末端切断型pTαは、タンパク質のC末端から18、48、62、78、92、110または114残基を欠く。ペプチドのアミノ酸配列バリアントは、ペプチドをコードするDNA中の変異により調製されてもよい。そのような機能性バリアントは、アミノ酸配列内の残基の例えば欠失または挿入または置換を含む。欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを行い、最終構築物を得てもよいが、ただし当該最終構築物は、所望の活性、特に機能性CD3複合体の回復を保有しているものとする。一部の実施形態では、上述のように異なるpTα型に、二量体化に影響を及ぼす少なくとも一つの変異が導入される。非限定的な例として、変異残基は、ヒトpTαタンパク質の、またはpTαファミリーもしくはホモログメンバーにCLUSTALW法を使用して整列された位置の少なくともW46R、D22A、K24A、R102AまたはR117Aであってもよい。一部の実施形態では、上述のpTαまたはそのバリアントは、変異残基W46R、または変異残基D22A、K24A、R102AおよびR117Aを含有する。一部の実施形態では、当該pTαまたはバリアントは、非限定的な例としてCD28、OX40、ICOS、CD27、CD137(4−1BB)およびCD8などのシグナル伝達ドメインにも融合される。上述のpTαまたはバリアントの細胞外ドメインは、TCRαタンパク質の断片、特にTCRαの膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインに融合されてもよい。pTαバリアントは、TCRαの細胞内ドメインに融合されてもよい。
【0277】
一部の実施形態では、pTα型は、細胞外リガンド−結合ドメインに融合されてもよい。一部の実施形態では、pTαまたはその機能性バリアントは、柔軟なリンカーにより結合された、標的抗原特異的モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の可変断片を含有する一本鎖抗体断片(scFv)に融合される。
【0278】
「TCRα欠損T細胞」という用語は、機能性TCRα鎖の発現を欠く単離T細胞を指す。そうした細胞は、非限定的な例として、T細胞が自身の細胞表面上に機能性TCRαを全く発現しないようにT細胞を操作することにより、T細胞が自身の細胞表面上にほとんど機能性TCRαを産生しないようにT細胞を操作することにより、またはT細胞がTCRα鎖の変異型もしくは切断型を発現するように操作することにより、実現されてもよい。TCRα欠損細胞は、もはやCD3複合体を通しても拡張され得ない。ゆえにこの問題を克服し、TCRα欠損細胞を増幅させるために、pTαまたはその機能性バリアントが当該細胞内に導入され、機能性CD3複合体が回復される。一部の実施形態では、当該方法は、当該T細胞に、T細胞受容体(TCR)の一つの構成要素をコードする一つの遺伝子をDNA切断により選択的に不活化することができる低頻度切断エンドヌクレアーゼを導入することを含む。一部の実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、TALE−ヌクレアーゼである。
【0279】
別の態様では、本明細書に記載される方法によって取得される操作されたT細胞は、二特異性抗体と接触してもよい。例えばT細胞は、患者への投与前に生体外で二特異性抗体と接触してもよく、または患者への投与後にインビボで二特異性抗体と接触してもよい。二特異性抗体は、異なる抗原特性を有する二つの可変領域を含有し、それにより当該操作された細胞と標的抗原の近接が促進される。非限定的な例として、二特異性抗体は、腫瘍マーカーと、例えば限定されないがCD3などのリンパ球抗原に対して指向してもよく、および任意の循環T細胞を、腫瘍に対し再指向化させ、活性化する能力を有してもよい。
【0280】
一部の実施形態では、本開示によるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えばエレクトロポレーション法により直接細胞内に導入されるmRNAであってもよい。一部の実施形態では、cytoPulse法を使用して生細胞を一過性に透過させ、当該細胞内に物質を送達してもよい。パラメータを改変し、最小の失敗率で高いトランスフェクト効率が得られる条件を決定してもよい。
【0281】
T細胞のトランスフェクション法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、当該方法は、以下を含む:T細胞とRNAを接触させ、T細胞に以下からなるアジャイルパルスシーケンスを適用すること:(a)1センチメートル当たり約2250〜3000Vの電圧範囲の電気パルス、(b)0.1ミリ秒のパルス幅、(c)工程(a)および(b)の電気パルスの間に約0.2〜10ミリ秒のパルス間隔、(d)約2250〜3000Vの電圧範囲、約100ミリ秒のパルス幅の電気パルス、および工程(b)の電気パルスと工程(c)の最初の電気パルスの間に約100ミリ秒のパルス間隔、ならびに(e)約0.2ミリ秒のパルス幅、約325Vの電圧の4回の電気パルスと、4回の電気パルスのそれぞれの間に2ミリ秒のパルス間隔。一部の実施形態では、当該T細胞とRNAを接触させ、T細胞に以下からなるアジャイルパルスシーケンスを適用することを含む、T細胞をトランスフェクトさせる方法:(a)1センチメートル当たり約2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2400、2450、2500、2600、2700、2800、2900、または3000Vの電圧の電気パルス、(b)0.1ミリ秒のパルス幅、(c)工程(a)および(b)の電気パルスの間に約0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ミリ秒のパルス間隔、(d)2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2400、2450、2500、2600、2700、2800、2900または3000Vの約2250Vからの電圧範囲、100ミリ秒のパルス幅の1回の電気パルス、および工程(b)の電気パルスと工程(c)の最初の電気パルスの間に100ミリ秒のパルス間隔、ならびに(e)約0.2ミリ秒のパルス幅、約325Vの電圧の4回の電気パルスと、4回の電気パルスのそれぞれの間に約2ミリ秒のパルス間隔。上述の値の範囲に含まれる値はすべて本出願に開示されている。エレクトロポレーション媒体は、当分野に公知の任意の適切な媒体、例えばBTX社から入手可能なBTXpress Cytoporation(登録商標)Media T4などであってもよい。一部の実施形態では、エレクトロポレーション媒体は、約0.01〜約1.0ミリジーメンスに及ぶ範囲の伝導度を有する。
【0282】
一部の実施形態では、非限定的な例として、RNAは、低頻度切断エンドヌクレアーゼの1単量体、例えば半−TALE−ヌクレアーゼ、CAR、多鎖キメラ抗原受容体の少なくとも一つの構成要素、pTαもしくはその機能性バリアント、外因性核酸、および/または追加の触媒ドメインをコードする。
【0283】
操作された免疫細胞
本開示はさらに、本明細書に記載されるCARポリヌクレオチドのいずれかを含む操作された免疫細胞も提供する。一部の実施形態では、CARは、プラスミドベクターを介して導入遺伝子として免疫細胞内に導入され得る。一部の実施形態では、プラスミドベクターは例えば、ベクターを受領した細胞の特定および/または選択をもたらす選択マーカーも含有し得る。
【0284】
CARポリペプチドは、CARポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内への導入後に、当該細胞においてin situで合成されてもよい。あるいはCARポリペプチドは、細胞の外で産生され、その後に細胞内に導入されてもよい。ポリヌクレオチド構築物を細胞に導入する方法は、当分野で公知である。一部の実施形態では、安定的形質転換法を使用して、細胞ゲノム内にポリヌクレオチド構築物が統合され得る。他の実施形態では、一過性形質転換法を使用して当該ポリヌクレオチド構築物が発現されてもよく、当該ポリヌクレオチド構築物は細胞ゲノム内に統合されない。他の実施形態では、ウイルス媒介法が使用され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、組み換えウイルスベクター(例えばレトロウイルス、アデノウイルス)、リポソームなどの任意の適切な手段により細胞内に導入されてもよい。一過性形質転換法としては例えば限定されないがマイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法または粒子衝撃(particle bombardment)法が挙げられる。ポリヌクレオチドは、例えばプラスミドベクターまたはウイルスベクターなどのベクター中に含まれてもよい。
【0285】
本明細書において、本明細書に提供される上述の細胞操作方法によって取得された単離細胞および細胞株も提供される。一部の実施形態では、単離細胞は、上述のCARを少なくとも一つ含有する。一部の実施形態では、単離細胞は、CAR群を含有し、各CARは、異なる細胞外リガンド−結合ドメインを含有する。
【0286】
また本明細書において、上述の方法のいずれか一つに従って取得された単離免疫細胞が提供される。異種DNAを発現する能力を有する任意の免疫細胞を、対象のCARの発現を目的として使用することができる。一部の実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は、例えば限定されないが、幹細胞から誘導され得る。幹細胞は、成人幹細胞、非ヒト胚性幹細胞、より具体的には非ヒト幹細胞、臍帯血幹細胞、前駆細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、分化全能性幹細胞、または造血幹細胞であり得る。代表的なヒト細胞は、CD34+細胞である。単離細胞は、樹状細胞、キラー樹状細胞、肥満細胞、NK細胞、B細胞、または炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球、もしくはヘルパーTリンパ球からなる群から選択されるT細胞でもあり得る。一部の実施形態では、細胞は、CD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球からなる群から誘導され得る。
【0287】
一部の実施形態では、自身の細胞表面膜で本開示のCD70特異的CARを発現する操作された免疫細胞は、幹細胞メモリー細胞およびセントラルメモリー細胞の10%、20%、30%、40%、50%、または60%超の割合を構成する。一部の実施形態では、自身の細胞表面膜で本開示のCD70特異的CAR発現する操作された免疫細胞は、幹細胞メモリー細胞およびセントラルメモリー細胞の約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約15%〜約50%、約15%〜約40%、約20%〜約60%、または約20%〜約70%の割合を構成する。
【0288】
一部の実施形態では、免疫細胞は、本明細書に記載のCARのうちのいずれか一つを発現する炎症性Tリンパ球である。一部の実施形態では、免疫細胞は、本明細書に記載のCARのうちのいずれか一つを発現する細胞傷害性Tリンパ球である。一部の実施形態では、免疫細胞は、本明細書に記載のCARのうちのいずれか一つを発現する制御性Tリンパ球である。一部の実施形態では、免疫細胞は、本明細書に記載のCARのうちのいずれか一つを発現するヘルパーTリンパ球である。
【0289】
拡張および遺伝子改変の前に、様々な非限定的方法を介して対象から細胞源を取得し得る。細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位の組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む多くの非限定的な源から取得され得る。一部の実施形態では、任意の数のT細胞株が当業者に利用可能および公知であり、使用してもよい。一部の実施形態では、細胞は、健常なドナーから、癌と診断された患者から、または感染症と診断された患者から誘導され得る。一部の実施形態では、細胞は、異なる表現型を呈する混合細胞集団の一部であり得る。
【0290】
また本明細書において、上述の方法のいずれか一つに従って形質転換されたT細胞から取得された細胞株も提供される。また本明細書において、免疫抑制性治療に対し抵抗性のある改変細胞も提供される。一部の実施形態では、本開示による単離細胞は、CARをコードするポリヌクレオチドを含有する。
【0291】
本開示の免疫細胞は、T細胞の遺伝子改変の前、または後のいずれかに、例えば限定されないが米国特許第6,352,694号、第6,534,055号、第6,905,680号、第6,692,964号、第5,858,358号、第6,887,466号、第6,905,681号、第7,144,575号、第7,067,318号、第7,172,869号、第7,232,566号、第7,175,843号、第5,883,223号、第6,905,874号、第6,797,514号、第6,867,041号、および米国特許出願公開20060121005に概説される方法を使用して活性化および拡張され得る。T細胞は、インビトロまたはインビボで拡張され得る。概して、本開示のT細胞は、例えばT細胞表面上のCD3 TCR複合体および共刺激性分子を刺激する剤と接触させ、T細胞に対する活性化シグナルを生じさせることにより拡張され得る。例えば、カルシウムイオノフォアA23187、ホルボール12−ミリスチン酸13−酢酸塩(PMA)、またはフィトヘマグルチニン(PHA)といったマイトージェンレクチンなどの化学物質を使用して、T細胞に対する活性化シグナルを生じさせ得る。
【0292】
一部の実施形態では、T細胞群は、例えば抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、または表面上に固定された抗CD2抗体と接触させることにより、またはカルシウムイオノフォアと併せてプロテインキナーゼC活性化因子(例えばブリオスタチン)と接触させることにより、インビトロで刺激されてもよい。T細胞表面上のアクセサリー分子の共刺激に関しては、当該アクセサリー分子に結合するリガンドが使用される。例えばT細胞群は、T細胞の増殖を刺激するのに適した条件下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触され得る。抗CD3抗体および抗CD28抗体は、ビーズまたはプレートまたはその他の基盤上に配置され得る。T細胞培養に適した条件は、血清(例えばウシ胎児血清またはヒト血清)、インターロイキン−2(IL−2)、インスリン、IFN−γ、IL−4、IL−7、GM−CSF、IL−10、IL−2、IL−15、TGFpおよびTNF、または当業者に公知の細胞増殖用の任意の他の添加物をはじめとする、増殖と活性に必要な因子を含有し得る、適切な培地(例えばMinimal Essential MediaまたはRPMI Media 1640またはX−vivo 5(Lonza社))が含まれる。細胞増殖用の他の添加剤としては限定されないが、界面活性剤、プラスマネート、および例えばN−アセチル−システインおよび2−メルカプトエタノールなどの還元剤が挙げられる。培地としては、RPMI 1640、A1M−V、DMEM、MEM、a−MEM、F−12、X−Vivo 1、およびX−Vivo 20、Optimizerが挙げられ、それらにアミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミン類が添加され、無血清であるか、または適切な量の血清(または血漿)もしくは所定のホルモンの組み合わせ、および/またはT細胞の増殖と拡張に充分な量のサイトカイン(例えば、IL−7および/またはIL−15)が補充される。例えばペニシリンやストレプトマイシンなどの抗生物質は、実験培養でのみ含有され、対象への注入用の細胞培養には含有されない。標的細胞は、例えば適切な温度(例えば37℃)および大気(例えば空気に5%CO
2を加える)など、増殖をサポートするために必要な条件下で維持される。様々な刺激時間に曝露されたT細胞は、異なる特性を呈する場合がある。
【0293】
一部の実施形態では、本開示の細胞は、組織または細胞との共培養により拡張され得る。また細胞は、例えば対象への細胞の投与後の当該対象の血液中でインビボでも拡張され得る。
【0294】
一部の実施形態では、本開示による単離細胞は、CD52、CD70、GR、PD−1、CTLA−4、LAG3、Tim3、BTLA、BY55、TIGIT、B7H5、LAIR1、SIGLEC10、2B4、HLA、TCRαおよびTCRβからなる群から選択される、一つの破壊または不活化された遺伝子を含み、ならびに/またはCAR、多鎖CAR、および/もしくはpTα導入遺伝子を発現する。一部の実施形態では、単離細胞は、多鎖CARを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本開示による単離細胞は、以下からなる群から選択される、二つの破壊または不活化された遺伝子を含み:CD52およびGR、CD52およびTCRα、CDR52およびTCRβ、CD70およびCD52、CD70およびTCRα、CD70およびTCRβ、GRおよびTCRα、GRおよびTCRβ、TCRαおよびTCRβ、PD−1およびTCRα、PD−1およびTCRβ、CTLA−4およびTCRα、CTLA−4およびTCRβ、LAG3およびTCRα、LAG3およびTCRβ、Tim3およびTCRα、Tim3およびTCRβ、BTLAおよびTCRα、BTLAおよびTCRβ、BY55およびTCRα、BY55およびTCRβ、TIGITおよびTCRα、TIGITおよびTCRβ、B7H5およびTCRα、B7H5およびTCRβ、LAIR1およびTCRα、LAIR1およびTCRβ、SIGLEC10およびTCRα、SIGLEC10およびTCRβ、2B4およびTCRα、2B4およびTCRβ、ならびに/またはCAR、多鎖CAR、およびpTα導入遺伝子を発現する。
【0295】
一部の実施形態では、本開示による単離細胞は、CD52、CD70およびTCRα、またはCD52、CD70およびTCRβから選択される、三つの破壊または不活化された遺伝子を含み、ならびに/またはCAR、多鎖CARおよびpTα導入遺伝子を発現する。
【0296】
一部の実施形態では、TCRは、本開示による細胞では、TCRα遺伝子および/もしくはTCRβ遺伝子の破壊または不活化により、機能性のある状態とはならない。一部の実施形態では、個体から誘導された改変細胞を取得する方法が提供され、この場合において当該細胞は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)シグナル伝達経路とは関係なく増殖することができる。MHCシグナル伝達経路とは関係なく増殖することができる改変細胞は、本方法による取得に影響を受け、本開示の範囲内に包含される。本明細書に開示される改変細胞は、その必要のある患者における、宿主体移植片(HvG)拒絶および移植片対宿主病(GvHD)に対する治療に使用することができる。したがって本開示の範囲において、その必要のある患者を宿主体移植片(HvG)拒絶および移植片対宿主病(GvHD)に対して治療する方法は、破壊もしくは不活化されたTCRα遺伝子および/またはTCRβ遺伝子を含む改変細胞の有効量を当該患者に投与することにより、当該患者を治療することを含む。
【0297】
一部の実施形態では、免疫細胞は、一つまたは複数の化学療法剤に抵抗性となるように操作される。化学療法薬剤は、例えば、プリンヌクレオチドアナログ(PNA)であってもよく、これにより、免疫細胞は、養子免疫療法と化学療法を組み合わせた癌治療に適するようになる。例示的なPNAとしては例えば、クロファラビン(clofarabine)、フルダラビン(fludarabine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、およびシタラビン(cytarabine)の単独または併用が挙げられる。PNAは、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)により、一リン酸PNA、二リン酸PNA、および三リン酸PNAに代謝される。それらの三リン酸型は、DNA合成に関してATPと競合し、アポトーシス促進剤として作用する。そしてトリヌクレオチド産生に関与するリボヌクレオチド還元酵素(RNR)の強力な阻害剤である。本明細書において、破壊または不活化されたdCK遺伝子を含むCD70特異的CAR−T細胞が提供される。一部の実施形態では、dCKノックアウト細胞は、dCK遺伝子に対して指向化された特異的TAL−ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを使用して、例えばmRNAのエレクトロポレーション法などによりT細胞にトランスフェクトすることにより作製される。dCKノックアウトCD70特異的CAR−T細胞は、例えばクロロファラビン(clorofarabine)および/またはフルダラビン(fludarabine)をはじめとするPNAに対して抵抗性であり得、CD70発現細胞に対するT細胞の細胞障害活性を維持している。
【0298】
一部の実施形態では、本開示の単離細胞または細胞株は、pTαまたはその機能性バリアントを含有し得る。一部の実施形態では、単離細胞または細胞株は、TCRα遺伝子を破壊または不活化することによりさらに遺伝子改変され得る。
【0299】
モノクローナル抗体特異的エピトープ
一部の実施形態では、本明細書に開示されるCD70特異的CARのいずれか一つの細胞外ドメインは、モノクローナル抗体に特異的な(すなわち、モノクローナル抗体により特異的に認識される)エピトープを一つまたは複数含有してもよい。これらのエピトープは、本明細書においてmAb特異的エピトープとも呼称される。mAb特異的エピトープの例は、国際特許出願公開WO2016/120126に開示されており、当該特許出願公開はその全体で本明細書に組み込まれる。これらの実施形態では、細胞外ドメインは、CD70に特異的に結合するVHポリペプチドおよびVLポリペプチド、および一つまたは複数のモノクローナル抗体(mAb)に結合する一つまたは複数のエピトープを含有する。mAb特異的エピトープを含有するCARは、一本鎖または多鎖であり得る。
【0300】
本明細書に記載されるCARの細胞外ドメイン中にモノクローナル抗体に特異的なエピトープが含有されることで、CARを発現する操作された免疫細胞のソーティングおよび枯渇が可能となる。一部の実施形態では、この特性により、CARを発現する操作された免疫細胞の投与により枯渇された内因性のCD70発現細胞の回復も促進される。
【0301】
したがって一部の実施形態では、本開示は、mAb特異的エピトープを含むCARを含む操作された免疫細胞をソーティングおよび/または枯渇させる方法、および例えば骨髄前駆細胞などの内因性のCD70発現細胞の回復を促進する方法に関する。
【0302】
特に非限定的な例として医療用途ですでに承認を受けている例えばCD20エピトープ/リツキシマブなどのいくつかのエピトープ−モノクローナル抗体の組み合わせを使用して、モノクローナル抗体特異的エピトープを含むCARを生成することができる。
【0303】
本開示はさらに、mAb特異的エピトープを発現するCD70特異的CARを含む操作された免疫細胞をソーティングする方法、およびこれらCARを含む操作された免疫細胞の活性化が、当該CARの外部リガンド結合ドメインを標的とする抗体を使用して当該細胞を枯渇させることにより調節される治療方法も包含する。
【表A】
【0304】
一部の実施形態では、CAR−T細胞は、例えばRQR8などの自殺ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する。例えば、WO2013153391Aを参照のこと。当該出願公開はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。当該ポリヌクレオチドを含有するCAR−T細胞において、自殺ポリペプチドはCAR−T細胞の表面で発現される。一部の実施形態では、自殺ポリペプチドは、配列番号291に示されるアミノ酸配列を含有する。
CPYSNPSLCSGGGGSELPTQGTFSNVSTNVSPAKPTTTACPYSNPSLCSGGGGSP APRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLS LVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVV (配列番号291)。
【0305】
自殺ポリペプチドはさらに、例えばMGTSLLCWMALCLLGADHADA(配列番号611)など、アミノ末端にシグナルペプチドを含有してもよい。一部の実施形態では、自殺ポリペプチドは、配列番号611のシグナル配列を含む、配列番号292に示されるアミノ酸配列を含有する。
MGTSLLCWMALCLLGADHADACPYSNPSLCSGGGGSELPTQGTFSNVSTNVSPAKPTTTACPYSNPSLCSGGGGSPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVV (配列番号292)。
【0306】
一部の実施形態では、自殺ポリペプチドは、配列番号611に示されるアミノ酸配列を含有する。
【0307】
自殺ポリペプチドがCAR−T細胞の表面で発現される場合、当該ポリペプチドのRエピトープへリツキシマブが結合することにより細胞の溶解が生じる。細胞表面で発現されるポリペプチド一つ当たり、複数分子のリツキシマブが結合する場合がある。ポリペプチドの各Rエピトープは、別個のリツキシマブ分子に結合する場合がある。例えばリツキシマブを患者に投与することによって、インビボでCD70特異的CAR−T細胞の枯渇が発生する場合がある。移送された細胞を枯渇させる決定は、患者において、当該移送された細胞が原因の望ましくない作用が検出されたとき、例えば受容できないレベルの毒性が検出されたときに行われる場合がある。
【0308】
一部の実施形態では、患者へ投与することで、その細胞表面に本明細書に記載されるCD70特異的CARのいずれか一つを発現する操作された免疫細胞は、当該患者の内因性CD70発現細胞を殺傷または溶解し得る。一つの実施形態では、本明細書に記載されるCD70特異的CARのいずれか一つを発現する操作された免疫細胞による、CD70を発現する内因性細胞、もしくはCD70を発現する細胞株の細胞の減少または溶解の割合は、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、またはそれを超える。一つの実施形態では、本明細書に記載されるCD70特異的CARのいずれか一つを発現する操作された免疫細胞による、CD70を発現する内因性細胞、もしくはCD70を発現する細胞株の細胞の減少または溶解の割合は、約5%〜約95%、約10%〜約95%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約70%、約20%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約75%、または約25%〜約60%である。一つの実施形態では、内因性のCD70発現細胞は、内因性のCD70発現骨髄細胞である。
【0309】
一つの実施形態では、その細胞表面膜で本開示のCD70特異的CARを発現する操作された免疫細胞による、例えばCD70を発現する細胞株などの標的細胞の減少または溶解の割合は、本明細書に開示されるアッセイを使用して測定することができる。
【0310】
CAR陽性免疫細胞をソーティングする方法
一つの態様では、免疫細胞群のインビトロソーティングの方法が提供され、この場合において当該免疫細胞群のサブセットは、本明細書に記載されるモノクローナル抗体に特異的なエピトープを含むCD70特異的CARのいずれか一つを発現する操作された免疫細胞を含有する。当該方法は、免疫細胞群と、エピトープに特異的なモノクローナル抗体を接触させること、モノクローナル抗体に結合する免疫細胞を選択して、CD70特異的CARを発現する操作された免疫細胞が富化された細胞群を取得することを含む。
【0311】
一部の実施形態では、当該エピトープに特異的な当該モノクローナル抗体は任意でフルオロフォアに結合される。本実施形態では、モノクローナル抗体に結合する細胞を選択する工程は、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)により行うことができる。一部の実施形態では、当該エピトープに特異的な当該モノクローナル抗体は任意で磁気粒子に結合される。本実施形態では、モノクローナル抗体に結合する細胞を選択する工程は、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)により行うことができる。
【0312】
一部の実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号294または601〜610のうちの一つまたは複数のmAb特異的エピトープを含有する。一部の実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号609のmAb特異的エピトープを含有する。一部の実施形態ではCARの細胞外結合ドメインは、配列番号295のmAb特異的エピトープを含有する。一部の実施形態ではCARの細胞外結合ドメインは、配列番号609のmAb特異的エピトープを含有し、免疫細胞群と接触させるために使用される抗体は、QBEND−10である。一部の実施形態ではCARの細胞外結合ドメインは、配列番号295のmAb特異的エピトープを含有し、免疫細胞群と接触させるために使用される抗体は、QBEND−10である。
【0313】
一部の実施形態ではCARの細胞外結合ドメインは、配列番号294のmAb特異的エピトープを含有する。一部の実施形態ではCARの細胞外結合ドメインは、配列番号294のmAb特異的エピトープを含有し、免疫細胞群と接触させるために使用される抗体は、リツキシマブである。
【0314】
一部の実施形態では、上述の免疫細胞のインビトロソーティング法を使用したときに取得されるCAR発現免疫細胞群は、CAR発現免疫細胞を少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%含有する。一部の実施形態では、上述のCAR発現免疫細胞のインビトロソーティング法を使用したときに取得されるCD70 CAR発現免疫細胞群は、CAR発現免疫細胞を少なくとも85%含有する。
【0315】
本開示によると、レシピエントへ投与される細胞は、源となる群からインビトロで富化されてもよい。源となる群を拡張させる方法は当分野に公知であり、例えばCD34抗原などの抗原を発現する細胞を、当業者に公知の密度遠心分離法、免疫−磁気ビーズ精製、アフィニティクロマトグラフィーおよび蛍光活性化細胞ソーティングの組み合わせを使用して選択することを含んでもよい。
【0316】
フローサイトメトリー法は当分野で広く使用されており、当業者に公知の方法であり、そして細胞群内の特定の細胞型をソーティングおよび定量する。概してフローサイトメトリー法は、主に光学的手段によって細胞の構成要素または構造特性を定量する方法である。構造特性を定量することにより異なる細胞型を識別することができるため、フローサイトメトリー法および細胞ソーティング法を使用して、混合物中の異なる表現型の細胞を計数およびソーティングすることができる。
【0317】
フローサイトメトリー分析には、以下の二つの基礎的な工程が含まれる:1)選択された細胞型を、一つまたは複数の標識マーカーで標識する工程、および2)群中の細胞総数と比較した標識細胞の数を決定する工程。
【0318】
細胞型を標識する主な方法は、標識抗体を、特定の細胞型により発現されているマーカーに結合する方法である。抗体は、蛍光化合物で直接標識され、または例えば一次抗体を認識する蛍光標識された二次抗体を使用して間接的に標識される。
【0319】
一部の実施形態ではCARを発現する免疫細胞のソーティングに使用される方法は、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)である。磁気活性化細胞ソーティング(MACS)は、超常磁性のナノ粒子とカラムを使用し、その表面抗原(CD分子)に応じて様々な細胞群を分離する方法である。いくつかのシンプルな工程で、純粋な細胞群が得られる。単一細胞懸濁液中の細胞は、マイクロビーズで磁気的に標識される。サンプルは、強磁性球から構成されるカラムに通される。カラムは細胞親和的なコーティングで覆われており、迅速で穏やかな細胞の分離が可能である。標識されていない細胞は通過し、一方で磁気標識された細胞はカラム内に留まる。流出液を非標識細胞分画として集めることもできる。短い洗浄工程の後、分離器からカラムが取り除かれ、磁気標識された細胞はカラムから溶出される。
【0320】
一部の実施形態では、CARを発現する免疫細胞をソーティングする方法で使用されるmAbは、アレムツズマブ(alemtuzumab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、ムロモナブ−CD3(muromonab−CD3)、トシツモマブ(tositumomab)、アブシキシマブ(abciximab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ブレンツキシマブベドチン(brentuximab vedotin)、セツキシマブ(cetuximab)、インフリキシマブ(infliximab)、リツキシマブ(rituximab)、ベバシズマブ(bevacizumab)セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エファリズマブ(efalizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ナタリズマブ(natalizumab)、オマリズマブ(omalizumab)、パリビズマブ(palivizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ベドリズマブ(vedolizumab)、アダリムマブ(adalimumab)、ベリムマブ(belimumab)、カナキヌマブ(canakinumab)、デノスマブ(denosumab)、ゴリムマブ(golimumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、パニツムマブ(panitumumab)、QBEND−10、および/またはウステキヌマブ(ustekinumab)から選択される。一部の実施形態では、当該mAbは、リツキシマブである。別の実施形態では、当該mAbは、QBEND−10である。
【0321】
一部の実施形態では、CAR−T細胞は、scFv内に選択エピトープを含有し、特定の抗体により認識される特異性を有する。例えば、WO2016/120216を参照のこと。当該出願公開は、参照によりその全体が本明細書に援用される。そうしたエピトープによりCAR−T細胞のソーティングが促進され、および/またはCAR−T細胞の枯渇が促進される。エピトープは、当分野で公知の任意の数のエピトープから選択することができる。一部の実施形態では、エピトープは、例えば限定されないが、リツキシマブにより認識されるCD20エピトープなど、医療用途で承認を受けたモノクローナル抗体の標的であってもよい。一部の実施形態では、エピトープは、CPYSNPSLC(配列番号293)のアミノ酸配列を含有する。
【0322】
一部の実施形態では、エピトープは、CAR内に配置される。例えば限定されないが、エピトープは、scFvと、CARのヒンジの間に配置され得る。一部の実施形態では、リンカーにより分離される2例の同一エピトープがCARで使用されてもよい。例えば、配列番号294または配列番号609または配列番号295に示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドが、CAR内で使用され、軽鎖可変領域とヒンジの間に配置され得る。
GSGGGGSCPYSNPSLCSGGGGSCPYSNPSLCSGGGGS (配列番号294)
ELPTQGTFSNVSTNVS (配列番号609)
ELPTQGTFSNVSTNVSPAKPTTTA (配列番号295)
【0323】
一部の実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、以下の配列を含有する。
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−;
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−;
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
1−L
1−V
2;
エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−V
1−L
1−V
2;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x−;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
2;または
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x;
式中、
V
1はV
Lであり、V
2はV
Hであり、またはV
1はV
Hであり、V
2はV
Lである;
L
1は、V
H鎖をV
L鎖に結合させることに適したリンカーである;
Lは、グリシン残基およびセリン残基を含むリンカーであり、細胞外結合ドメイン中のLの各存在は、同じ細胞外結合ドメイン中の他のLの存在と同一であっても異なってもよく、複数の実施形態では、SGGGG(配列番号614)、GGGGS(配列番号615)またはSGGGGS(配列番号616)を含有するか、またはこれらであり、および
xは0または1または2であり、xの各存在はその他から独立して選択され、および
エピトープ1、エピトープ2、エピトープ3およびエピトープ4は、mAb特異的エピトープであり、同一であっても異なってもよく、V
Hは、重鎖可変断片であり、V
Lは、軽鎖可変断片である。一部の実施形態では、エピトープ1、エピトープ2およびエピトープ4は、配列番号293のアミノ酸配列を有するmAb特異的エピトープであり、エピトープ3は、配列番号295のアミノ酸配列を有するmAb特異的エピトープである。
【0324】
一部の実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、以下の配列を含有する。
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−;
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−;
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
1−L
1−V
2;
エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−V
1−L
1−V
2;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x−;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x;
V
1−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x;
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
2;または
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−V
2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x;
式中、
V
1はV
Lであり、V
2はV
Hであり、またはV
1はV
Hであり、V
2はV
Lである;
L
1は、V
H鎖をV
L鎖に結合させることに適したリンカーである;
Lは、グリシン残基およびセリン残基を含むリンカーであり、細胞外結合ドメイン中のLの各存在は、同じ細胞外結合ドメイン中の他のLの存在と同一であっても異なってもよく、複数の実施形態では、SGGGG(配列番号614)、GGGGS(配列番号615)またはSGGGGS(配列番号616)を含有するか、またはこれらであり、および
xは0または1または2であり、xの各存在はその他から独立して選択され、および
エピトープ1、エピトープ2、エピトープ3およびエピトープ4は、mAb特異的エピトープであり、同一であっても異なってもよく、V
Hは、重鎖可変断片であり、V
Lは、軽鎖可変断片である。一部の実施形態では、エピトープ1、エピトープ2およびエピトープ4は、配列番号293のアミノ酸配列を有するmAb特異的エピトープであり、エピトープ3は、配列番号609のアミノ酸配列を有するmAb特異的エピトープである。
【0325】
一部の実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、以下の配列を含有する。
V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ1−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−;または
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x−であって、式中、V
1、V
2、L
1、L、xならびにエピトープ1、エピトープ2、エピトープ3およびエピトープ4は、上記に規定されるとおりである。
【0326】
一部の実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、以下の配列を含有する。
(L)
x−エピトープ1−(L)
x−V
1−L
1−V
2−(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4−(L)
x−であって、式中、V
1、V
2、L
1、L、xは、上記に規定されるとおりであり、式中、(L)
x−エピトープ1−(L)
xは、GGGGSCPYSNPSLCSGGGGSGGGGS(配列番号617)であり、
(L)
x−エピトープ2−(L)
x−エピトープ3−(L)
x−エピトープ4は、GSGGGGSCPYSNPSLCSGGGGSELPTQGTFSNVSTNVSPAKPTTTACPYSNPSLC(配列番号618)であり、ならびに
V
1、V
2、L
1、L、xは、上記に規定されるとおりである。
【0327】
一部の実施形態では、エピトープ特異的抗体は、細胞傷害剤と結合されてもよい。さらに、補体系の構成要素を移植された、操作された抗体を使用することによりCDC細胞傷害を促進することも可能である。一部の実施形態では、CAR−T細胞の活性化は、エピトープを認識する抗体を使用して細胞を枯渇させることにより調節されることができる。
【0328】
治療応用
上述の方法により取得された単離細胞、またはそうした単離細胞から誘導された細胞株を、医薬品として使用することができる。一部の実施形態では、かかる医薬品は、癌の治療に使用され得る。一部の実施形態では、癌は、腎細胞癌、グリア芽腫、例えば低グレードグリオーマなどのグリオーマ、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非小細胞肺癌である。
【0329】
一部の実施形態では、癌は、例えばリンパ腫または白血病などの造血系が起源の癌である。一部の実施形態では、癌は、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーラー病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫、B細胞前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞型リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(下肢型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病で発生する大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫の中間の性質を伴う未分類型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫の中間の性質を伴う未分類型B細胞リンパ腫、およびその他の造血細胞関連癌、例えばALLまたはAMLからなる群から選択される。
【0330】
一部の実施形態では、本開示による単離細胞、または当該単離細胞から誘導された細胞株は、その必要のある患者における癌の治療用の医薬品の製造に使用することができる。
【0331】
患者の治療方法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、本開示の免疫細胞をその必要のある患者に提供することを含む。一部の実施形態では、方法は、本開示の形質転換免疫細胞をその必要のある患者に投与する工程を含む。
【0332】
一部の実施形態では、本開示のT細胞は、安定的なインビボT細胞拡張を行うことができ、および長期間、持続することができる。
【0333】
本開示の治療方法は、改善、治癒または予防することができる。本開示方法は、自己免疫療法治療の一部、または同種免疫療法治療の一部のいずれであってもよい。本開示は特に、同種免疫療法に適している。ドナーのT細胞を、標準的なプロトコールを使用して非同種反応性細胞へと形質転換してもよく、必要に応じて再生成させ、それにより1人または複数人の患者に投与され得るCAR−T細胞が生成される。当該CAR−T細胞療法は、「在庫のある(off the shelf)」治療用生成物として利用可能となる。
【0334】
本開示方法とともに使用できる細胞は、上記の項において記載されている。治療は、例えば癌と診断された患者を治療するために使用することができる。治療され得る癌としては例えば限定されないが、上記に列記される癌のいずれかを含む、Bリンパ球を含む癌が挙げられる。本開示のCARおよびCAR−T細胞で治療される癌のタイプとしては限定されないが、特定の白血病またはリンパ性悪性疾患が挙げられる。成人の腫瘍/癌、および小児の腫瘍/癌も含まれる。一部の実施形態では、治療は、抗体療法、化学療法、サイトカイン療法、樹状細胞療法、遺伝子治療、ホルモン療法、レーザ光治療および放射線療法の群から選択される、癌に対する一つまたは複数の治療と併用されることができる。
【0335】
一部の実施形態では、治療は、免疫抑制性の治療を受けている患者に投与され得る。実際に本開示方法は、一部の実施形態では、当該免疫抑制剤の受容体をコードする遺伝子の不活性化によって、少なくとも一つの免疫抑制剤に対し抵抗性となった細胞または細胞群に依存する。この態様において、免疫抑制性の治療は、本開示による患者内のT細胞の選択および拡張を補助するものとする。本開示による細胞または細胞群の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、点滴、輸液、移植(implantationまたはtransplantation)をはじめとする任意の簡便な方法で実行されてもよい。本明細書に記載される組成物は、患者に、皮下、皮内、腫瘍内、節内、髄内、筋肉内、静脈内もしくはリンパ管内の注射または点滴、または腹腔内に投与されてもよい。一部の実施形態では、本開示の細胞組成物は、静脈内の注射または点滴により投与される。
【0336】
一部の実施形態では、細胞または細胞群の投与は、例えば体重1kgあたり約10
4〜約10
9個の細胞の投与を含んでもよく、当該範囲内にある細胞数のすべての整数値を含む。一部の実施形態では、細胞または細胞群の投与は、体重1kgあたり約10
5〜約10
6個の細胞の投与を含んでもよく、当該範囲内にある細胞数のすべての整数値を含む。細胞または細胞群は、1回または複数回の投与で投与することができる。一部の実施形態では、当該細胞の有効量は、単回投与として投与することができる。一部の実施形態では、当該細胞の有効量は、ある期間にわたる複数回の投与として投与することができる。投与のタイミングは、担当医師の判断内にあり、患者の臨床状態に依存する。細胞または細胞群は、例えば患者、血液バンク、またはドナーなどの任意の供給源から取得されてもよい。個々のニーズは変化する一方で、特定の疾患または状態に対する所与の細胞型の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技術範囲内にある。有効量とは、治療的または予防的な利益を提供する量を意味する。投与される用量は、レシピエントの年齢、健康状態および体重、もしあれば併用治療の種類、治療頻度、および望ましい効果の性質に依存する。一部の実施形態では、細胞の有効量または当該細胞を含む組成物の有効量は、非経口投与される。一部の実施形態では、投与は、静脈内投与であってもよい。一部の実施形態では、投与は、腫瘍内注射により直接行われてもよい。
【0337】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)疾患を有する対象に対し、第一の用量の同種CAR−T細胞を投与することを含む。一部の実施形態では、第一の投与量は、約1×10
4細胞、約5×10
4細胞、約1×10
5細胞、約5×10
5細胞、約1×10
6細胞、約5×10
6細胞、約6×10
6細胞、約1×10
7細胞、約6×10
7細胞、約1×10
8、約1.8×10
8細胞、または約4.8×10
8細胞を含有する。いくつかの実施形態では、方法は、(b)(a)における投与の開始後少なくとも約5週間、または約5週間超、および(a)における投与の開始後約24週間未満の時点で、CAR−T細胞の後続用量を対象に投与することをさらに含む。
【0338】
一部の実施形態では、再発性/難治性の疾患(例えば、再発性/難治性のRCC)を有する対象に、同種CAR−T細胞の第一の用量および後続用量が投与され、各用量は6×10
6個の細胞を含有し、(b)におけるCAR−T細胞の後続用量は、(a)の投与開始から約99日後に投与される。
【0339】
いくつかの実施形態では、方法は、第一および複数の後続用量が、例えば、第一および後続用量に対して指定された投与量とタイミングスケジュールとに従って、投与されるように、追加的な後続用量、または後続用量を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、一つ以上の後続用量のうち第一の用量は、後続用量の投与開始から少なくとも5週間後、または5週間超後の時点で投与される。一部の実施形態では、第一、後続、さらに後続の用量の投与は、5週間以内、または約5週間以内に当該用量を少なくとも3回投与することを含む。いくつかの実施形態では、第一の用量の投与開始後約16週で投与され、追加的な後続容量または後続用量は、第一の用量の投与開始後17週目で投与される。いくつかの実施形態では、追加的な後続用量は、第一の用量の投与開始後の17週目および/または第34週で投与される。
【0340】
一部の態様では、後続用量を投与するときは、対象が免疫応答を呈さない、例えば、CAR−Tの当該第一の(または以前の)投与に対して特異的で検出可能な適応宿主免疫応答を呈さない、その後のときである。
【0341】
一部の実施形態では、第一の用量(初回用量)の投与、例えば第一のまたは以前の用量の投与開始と、後続用量の投与開始(例えば、後続用量の投与開始)との間の時間は、約4週間超、例えば、約5、6、7、8、または9日超、例えば、約20週間超、例えば、約9週間〜約35週間の間、約14週間〜約28週間の間、15週間〜27週間の間、または16週間〜約18週間の間、および/または15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27週間、あるいは約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27週間である。いくつかの実施形態では、後続用量の投与(例えば、その開始など)は、第一または以前の用量の投与(例えば、その開始など)後、約5週間超で約24週間未満である。いくつかの実施形態では、後続用量の投与は、第一の用量の開始から17週間後に開始される。いくつかの実施形態では、第一の用量と後続用量(例えば、その開始など)との投与の間隔、または以前の用量と次の後続用量との投与の間隔は、約5週間超、および約24週間未満、例えば10週間〜24週間の間、例えば約17週間などである。いくつかの実施形態では、第一の用量の投与と後続用量の投与(例えば、その開始など)との間の時間は、約17週間である。
【0342】
本開示の一部の実施形態では、細胞は、限定されないが、例えばMS患者に対するモノクローナル抗体療法、CCR2アンタゴニスト(例えば、INC−8761)、抗ウイルス療法、シドフォビル(cidofovir)およびインターロイキン2、シタラビン(ARA−Cとしても知られる)またはナタリジイマブ(nataliziimab)治療、または乾癬患者に対するエファリズチマブ(efaliztimab)治療、またはPML患者に対する他の治療をはじめとする、任意の数の関連治療モダリティと併用して(例えば、前に、同時に、または後に)、患者に投与される。一部の実施形態では、CD70特異的CAR−T細胞は、以下のうちの一つまたは複数と併用されて患者に投与される:抗PD−1抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはPF−06801591)、抗PD−L1抗体(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブまたはデュルバルマブ)、抗OX40抗体(例えば、PF−04518600)、抗4−1BB抗体(例えば、PF−05082566)、抗MCSF抗体(例えば、PD−0360324)、抗GITR抗体、および/または抗TIGIT抗体。一部の実施形態では、配列番号319または327に示されるアミノ酸配列を含むCD70特異的CARは、抗PD−L1抗体のアベルマブと併用されて患者に投与される。さらなる実施形態では、本開示のT細胞は、化学療法、放射線療法、例えばシクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸塩、およびFK506などの免疫抑制剤、抗体、すなわち例えばCAMPATH、抗CD3抗体もしくは他の抗体療法などの他の免疫消耗剤(immunoablative agent)、サイトキシン(cytoxin)、フルダリビン(fludaribine)、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および/または放射線療法と併用して使用されてもよい。これらの薬剤は、カルシウム依存性のホスファターゼカルシニューリンを阻害し(シクロスポリンおよびFK506)、または増殖因子誘導型シグナル伝達に重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Henderson,Naya et al.1991;Liu,Albers et al.1992;Bierer,Hollander et al.1993)。さらなる実施形態では、本開示のT細胞は、例えばミドスタウリン(Midostaurin)、スニチニブ(Sunitinib)およびアキシタニブ(axitanib)などの受容体チロシンキナーゼ(Receptor Tyrosine Kinase)阻害剤、例えばラパマシン(Rapamacyn)およびエベロリムス(Everolimus)などのmTOR阻害剤、例えばボルモスタット(Vormostat)などのエピジェネティック調節剤、例えばボルテゾミブ(Bortezomib)などのプロテアソーム阻害剤、例えばレナリドミド(lenalidomide)などの免疫調節剤、例えばエリスモデジブ(Erismodegib)およびPF−04449913などのヘッジホッグ(Hedgehog)阻害剤、または例えばAG−120およびAG−221などのイソクエン酸脱水素酵素(IDH)阻害剤と併用されて使用されてもよい。さらなる実施形態では、本開示の細胞組成物は、骨髄移植、例えばフルダラビン(fludarabine)、外照射療法(XRT:external beam radiation therapy)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、または例えばOKT3もしくはCAMPATHなどの抗体のいずれかを使用したT細胞消耗治療(ablative therapy)と併用されて(例えば、前に、同時に、または後に)患者に投与される。一部の実施形態では、本開示の細胞組成物は、例えばリツキサン(Rituxan)などのCD20と反応する剤などのB細胞消耗療法の後に投与される。例えば一部の実施形態では、対象は、高用量の化学療法を用いた標準的な治療を受け、その後に末梢血幹細胞移植を受けてもよい。特定の実施形態では、移植後、対象は本開示の拡張免疫細胞の点滴を受ける。一部の実施形態では、手術の前または後に拡張細胞が投与される。
【0343】
一部の実施形態では、CD70特異的CARを発現する操作された免疫細胞を、当該細胞を投与された対象から枯渇させる方法が提供される。枯渇は、阻害または除去によるものであってもよい。
【0344】
一つの態様において、モノクローナル抗体に特異的なエピトープを含む、CD70特異的CARを発現する操作された免疫細胞を枯渇させる方法は、当該操作された免疫細胞と、当該エピトープに特異的なモノクローナル抗体とを接触させることを含む。
【0345】
一部の実施形態において、モノクローナル抗体に特異的なエピトープを含む、CD70特異的CARを発現する操作された免疫細胞を投与された対象から枯渇させる方法は、当該エピトープに特異的なモノクローナル抗体を当該対象に投与することを含む。これらの実施形態では、CARの細胞外ドメインに存在するエピトープに特異的なモノクローナル抗体を対象に投与することで、対象から、操作されたCAR発現免疫細胞が除去され、またはその活性が阻害される。一つの態様では、操作されたCAR発現免疫細胞の枯渇は、CD70発現細胞の内因性集団の回復を可能にする。
【0346】
一部の態様において、本開示は、モノクローナル抗体に特異的なエピトープを含む、CD70特異的CARを細胞表面に発現する操作された免疫細胞を投与された対象において、内因性CD70発現細胞の回復を促進させる方法に関するものであり、当該方法は、当該エピトープに特異的なモノクローナル抗体を当該対象に投与することを含む。一部の実施形態では、内因性のCD70発現細胞は、内因性のCD70発現骨髄細胞である。一つの態様では、「回復」という用語は、内因性CD70発現細胞の数の増加を指す。内因性CD70発現細胞の数は、内因性CD70発現細胞の増殖における増加によって、および/またはCARを発現する操作された免疫細胞による内因性CD70発現細胞の除去における減少によって、増加してもよい。一部の実施形態では、対象へモノクローナル抗体を投与することによって、当該対象において、CARを発現する操作された免疫細胞が枯渇し、例えば内因性CD70発現骨髄前駆細胞などの内因性CD70発現細胞の数が増加する。一つの実施形態では、対象へモノクローナル抗体を投与することによって、当該モノクローナル抗体の投与前の内因性CD70発現発現細胞の数と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、内因性CD70発現細胞の数が増加する。
【0347】
一つの態様では、対象におけるCD70介在性の状態を治療する方法が提供され、当該方法は、(a)当該対象に、一つまたは複数のモノクローナル抗体に特異的な一つまたは複数のエピトープを含む、CD70特異的CARを細胞表面に発現する操作された免疫細胞を投与すること、および(b)その後、当該対象に、当該エピトープに特異的な一つまたは複数のモノクローナル抗体を投与することにより、当該対象から、当該操作された免疫細胞を枯渇させること、を含む。
【0348】
一部の実施形態では、CARを発現する操作された免疫細胞を枯渇させる方法において使用されるmAbは、アレムツズマブ(alemtuzumab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、ムロモナブ−CD3(muromonab−CD3)、トシツモマブ(tositumomab)、アブシキシマブ(abciximab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ブレンツキシマブベドチン(brentuximab vedotin)、セツキシマブ(cetuximab)、インフリキシマブ(infliximab)、リツキシマブ(rituximab)、ベバシズマブ(bevacizumab)セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エファリズマブ(efalizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ナタリズマブ(natalizumab)、オマリズマブ(omalizumab)、パリビズマブ(palivizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ベドリズマブ(vedolizumab)、アダリムマブ(adalimumab)、ベリムマブ(belimumab)、カナキヌマブ(canakinumab)、デノスマブ(denosumab)、ゴリムマブ(golimumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、パニツムマブ(panitumumab)、QBEND−10、ウステキヌマブ(ustekinumab)およびそれらの組み合わせから選択される。
【0349】
一部の実施形態では、モノクローナル抗体に特異的な当該エピトープ(mAb特異的エピトープ)は、例えば配列番号609、配列番号294または配列番号295などのCD20のエピトープまたはミモトープであり、エピトープに特異的なmAbは、リツキシマブである。
【0350】
一部の実施形態では、対象にモノクローナル抗体を投与する工程は、当該対象に当該モノクローナル抗体を点滴する工程を含む。一部の実施形態では、対象に投与されるエピトープ特異的mAbの量は、当該対象においてCAR発現免疫細胞の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を除去するのに充分な量である。
【0351】
一部の実施形態では、対象にモノクローナル抗体を投与する工程は、当該対象に週に1回または数回、375mg/m2のリツキシマブを点滴する工程を含む。
【0352】
一部の実施形態では、mAb特異的エピトープを含むCARを発現する免疫細胞(CAR発現免疫細胞)は、エピトープ特異的mAbを使用したCDCアッセイにおいて枯渇され、活性のあるCAR発現免疫細胞の量は、例えば少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%、減少する。
【0353】
一部の実施形態では、細胞障害性薬剤がエピトープ特異的mAbに結合され、これを使用して、CAR発現免疫細胞が枯渇される。モノクローナル抗体の標的化能力と、細胞傷害性薬剤の細胞殺傷能力を組み合わせることで、抗体−薬剤結合体(ADC)は、当該薬剤を単独で使用した時と比較して、健康な組織と、罹患組織を高感度に識別することが可能となる。いくつかのADCが、販売承認を受けている;特にリンカーに関する作製方法は、以下の先行技術において豊富に存在する(Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207−212;Trail et al(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328−337;Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614;Niculescu−Duvaz and Springer(1997)Adv.Drug Del.Rev.26:151−172;U.S.Pat.No.4,975,278)。
【0354】
一部の実施形態では、点滴されるエピトープ特異的mAbは、補体依存性細胞障害(CDC)を促進する能力を有する分子と前もって結合される。ゆえに補体系は、抗体が生物体から病原体を排除する能力を補助または補完する。いくつかの因子の内の一つにより刺激されたとき、細胞殺傷性の細胞膜傷害複合体の反応および活性化の大幅な増幅として、活性化カスケードが誘発される。例えばグリカンなどの異なる分子を使用して、mAbを結合させてもよい(Courtois,A,Gac−Breton,S.,Berthou,C,Guezennec,J.,Bordron,A.and Boisset,C.(2012),Complement dependent cytotoxicity activity of therapeutic antibody fragments is acquired by immunogenic glycan coupling,Electronic Journal of Biotechnology ISSN:0717−3458;http://www.ejbiotechnology.info DOI:10.2225/voll5−issue5)。
【0355】
キット
本開示はさらに、本方法における使用のためのキットを提供する。本開示のキットは、本明細書に記載されるCD70特異的CARをコードするポリヌクレオチド、またはCD70特異的CARをコードするポリヌクレオチドを含む操作された免疫細胞、および本明細書に記載の開示方法のいずれかに従う使用に関する説明書を含む一つまたは複数の容器を含有する。概してこれらの説明書は、上述の治療的処置に関する操作された免疫細胞の投与に関する説明を含む。キットは、リンパ枯渇のための一つまたは複数の剤を含んでもよい(例えば、アレムツズマブ、シトキサン、フルダラビン、シクロホスファミド、またはテモゾロミド)。
【0356】
本明細書に記載の操作された免疫細胞の使用に関する説明書は概して、意図される処置に対する用量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。容器は、単位投与量、バルクパッケージ(例えば複数投与量のパッケージ)またはサブ単位投与量であってもよい。本開示のキット中に供給される説明書は多くの場合、ラベルまたは添付文書(例えばキットに含まれる紙シート)上の書面の説明書であるが、機械読み取り可能な説明書(例えば、磁気記憶ディスクまたは光学式記憶ディスク上で実行される説明書)も受容可能である。一部の実施形態では、容器は、(例えばラベルにより、バーコードにより、または無線周波数識別(RFID:radio−frequency identification)により)識別可能であり、追跡可能であり、または機械読み取り可能な容器の識別子が印刷されている。
【0357】
本開示のキットは適切な梱包材料中にある。適切な梱包材料としては限定されないが、バイアル、ボトル、瓶、柔軟性のある梱包材料(例えば、密閉Mylarバッグまたはプラスチックバッグ)などが挙げられる。一部の実施形態では、容器(例えば、プラスチックバッグ)は、静脈内点滴に適している。さらに例えば吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)、または例えばミニポンプなどの輸液用器具などの特定のデバイスと組み合わせた使用のための梱包材料も予期される。キットは、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。容器も、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも一つの活性剤は、CD70特異的CARである。容器はさらに、第二の薬学的に活性な剤を含んでもよい。
【0358】
キットは任意で、例えば緩衝液および説明情報などの追加的な構成要素を提供してもよい。通常、キットは、容器と、当該容器上にある、もしくは当該容器と関連づけられたラベルまたは添付文書を含む。
【0359】
以下の実施例は、説明目的に対してのみ提供されており、本開示の範囲を限定する意図は全くない。実際に、本明細書に示される、および本明細書に記載されるものに加えて、本開示の様々な改変が前述の説明から当業者には明白であり、添付の請求の範囲内に含まれる。
【0360】
特許手続き上の微生物の寄託の国際承認に関するブタベスト条約およびその規則(ブダペスト条約)の規定のもと、寄託が行われた。これにより、寄託日から30年間、当該寄託物の生育可能な培養物の維持が確保される。寄託物はブダペスト条約の条項のもとATCCにより利用可能であり、ファイザー社とATCCの間に契約が締結される。これにより、適切な米国特許発行の際、または任意の米国特許出願もしくは外国特許出願の公衆への公開の際のいずれか早い方に、当該寄託物の培養物の子孫物の永続的で制限のない公衆の利用が確保される。そして米国特許法第122項および準じる長官規則(特に886 OG 638に関する米国特許法施行規則1.14を含む)に従い、米国特許庁長官により決定される、権利付与されるものに対する子孫物の利用が確保される。
【0361】
本出願の譲受人は、寄託に関する物質の培養物が適切な条件下で培養されたときに死亡した場合、失われた場合、または破壊された場合、通知により当該物質を速やかに同一の別のものと交換するものとする。寄託物質の利用は、任意の政府当局のもと、その特許法に従い与えられる権利に反して本開示を実施するライセンスとは解釈されないものとする。
【実施例】
【0362】
実施例1.CD70特異的CAR−T細胞の作製
以下の表5に列記される以下のコドン最適化されたCD70 CAR配列が合成され、XmaI(5’)およびMluI(3’)の制限酵素部位を使用して以下のレンチウイルスベクターpLVX−EF1a−TurboGFP−P2A−CD70 CAR(Clontech社)またはpCLS−EF1a−BFP−P2A−CD70 CAR(Cellectis社)にサブクローニングされた(つまりCARはP2A部位の後にクローニングされた)。
【表5】
【0363】
10A1、10E2、11A1、11C1、11D1、11E1、12A2、12C4、12C5、12D3、12D6、12D7、12F5、12H4、8C8、8F7、8F8、9D8、9E10、9E5、9F4または9F8配列に基づくScFvを含むCARも調製され、当該CARは、配列番号580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600および601に示される配列を含む。
【0364】
実施例2:抗CD70 CARのインビトロ特徴解析のためのJurkatスクリーニング
Jurkat細胞は不死化ヒトT細胞株であり、初代T細胞に非常によく似ており、活性化または形質導入によりCD70を発現する。そこでこれらの細胞をCD70 CARの形質導入に選択し、その活性化プロファイルが調べられた。CD70をノックアウトするCRISPR/Cas9を使用して改変されたJurkat細胞(KO Jurkat)、または親Jurkat(WT Jurkat)に、CD70 CARが形質導入された。その自己活性化プロファイルは、WT Jurkat上のCD69発現の割合(形質導入でWT Jurkatは標的、すなわちCD70を発現するため、自己活性化し、および標的依存性に活性化する)と、KO Jurkat上のCD69発現の割合(標的、すなわちCD70の非存在下での自己活性化のみ)を比較することにより決定された。次いで標的特異的活性化と、最小限の自己活性化を示したクローンが、「活性化比率」(当該用語の定義に関する以下を参照のこと)に基づき選択された。自己活性化は、標的依存性のクラスター化およびCARの活性化を記載するために使用される用語である。CARの自己活性化は、最小/無しから、高までの範囲であり得、凝集およびクラスター形成するscFvの固有の特性または傾向であると考えられている。自己活性化により慢性的なシグナル伝達が生じ、T細胞分化、消耗および細胞溶解性の低下がもたらされ得る。高度に自己活性化するCARのスクリーニングおよび排除は、最適なCARの識別において重要な工程である。理想的なCARは、最小限の自己活性化を有するCARである。
【0365】
組み換え抗原へのCARの結合は、CARを特徴解析し、固有の群へと分類するための一つの方法である。強力な結合は、CARが細胞表面上に高度に発現され、その標的抗原に対し中程度〜高いアフィニティを有することの指標であり得る。低い結合または最小限の結合は、低発現および/または弱いアフィニティを示し得る。最適なアフィニティおよび細胞表面発現は未知であるため、高い結合および低い結合を有するCARをさらに特徴解析するものとする。
材料および方法
Jurkat細胞におけるCD70のCRISPR/Cas9ノックアウト
【0366】
Jurkat細胞に、Lipofectamine 3000(Invitrogen社)を使用して、DNA2.0から取得されたCas9およびGFPを含有するCD70標的化ガイドRNAベクターをトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、蛍光活性化シングルセルソーティングを実施して、GFP+CD70−細胞を選択した。次いで個々のクローンを拡張させ、粗細胞溶解物によるPCRのためにゲノムDNAを取得した。PCR産物を配列解析して、CD70ノックアウトを示すindelsまたはフレームシフトを伴うクローンを特定した。
【0367】
CD70 CARを用いたJurkat細胞の形質導入
0日目に、6ウェルプレートの1ウェル当たり10%のFBS(Hyclone社またはJR Scientific社)を補充したDMEM(Gibco社)の2mLにおいて、1mL当たり50万個のHEK293T細胞を播種した。1日目に、6ウェルプレートの1ウェル当たり250uLのOpti−MEM(Gibco社)において、レンチウイルスパッケージングベクター 1.5ug psPAX2、0.5ug pMD2G、およびGFPタグを含有する2ugの適切なトランスファーCARベクターを混合することによりレンチウイルスを調製した(DNAミックス)。250uLのOpti−MEMにおいて、10uLのLipofectamine 2000(Invitrogen社)を室温で5分間インキュベートし、次いで当該DNAミックスに添加した。ウイルスを室温で20分間インキュベートし、500uLの総量を、HEK293T細胞を含有するウェルの側面にゆっくりと添加した。2日目に、6ウェルプレートの各ウェルからの培地を、1ウェル当たり2mLのJurkat細胞培地、すなわち10% FBSが補充されたRPMI(Gibco社)と入れ替えた。3日目に、Jurkat細胞(KOまたはWT)を、6ウェルプレートの1ウェル当たり、10% FBSを補充した2mLのRPMI中、1mL当たり50万個で再懸濁した。HEK293T細胞由来のレンチウイルスの上清を採取し、0.45ミクロンのフィルター(EMD Millipore社)を通して細胞残渣を除去して、その後、Jurkat細胞に添加した。6日目に、フローサイトメトリーを介してGFPシグナルを検出することにより、形質導入効率が決定された。10% FBSが補充されたRPMIを使用して、必要に応じて細胞をさらに大きなフラスコ内で拡張させた。
【0368】
活性化プロファイルおよびCD70タンパク質に結合する能力
5日目に、形質導入細胞を、PE−Cy7が結合したヒト抗CD69抗体で染色し、フローサイトメーター上で取得して、各CARに対するCD69+群の割合を得た。細胞を、組み換えビオチニル化ヒトCD70タンパク質とともにさらにインキュベートし、PE結合ストレプトアビジンで染色して、フローサイトメーター上で取得してタンパク質結合を決定した。活性化比率(WT活性化/KO活性化)およびタンパク質結合を使用して、CARをランク付けした。
【表6】
【0369】
ハイブリドーマCARの活性化比率およびタンパク質結合は、Jurkatスクリーニングで決定され、CARのインビトロ特徴解析に使用された。CD70 CAR(KO)を形質導入されたCD70ノックアウトJurkat細胞上でのCD69発現の割合に対する、CD70 CAR(WT)を形質導入されたWT Jurkat細胞上でのCD69発現の割合の比率を算出することにより、活性化比率が決定された。活性化比率が高ければ、標的依存性の活性化であることを示唆する。タンパク質結合は、組み換えビオチニル化hCD70タンパク質への結合によって決定され、フローサイトメトリーを介してフィコエリトリン(PE)色素に結合したストレプトアビジンを使用して検出された。タンパク質結合の値は、ヒトCD70タンパク質に結合するCD3+CAR T細胞の割合を示している。
【表7】
【0370】
表7:ファージCARの活性化比率およびタンパク質結合が、Jurkatスクリーニングにおいて決定された。活性化比率は、CARのインビトロ特徴解析に使用された。CD70 CAR(KO)を形質導入されたCD70ノックアウトJurkat細胞上でのCD69発現の割合に対する、CD70 CAR(WT)を形質導入されたWT Jurkat細胞上でのCD69発現の割合の比率を算出することにより、活性化比率が決定された。活性化比率が高ければ、標的依存性の活性化であることを示唆する。タンパク質結合は、組み換えビオチニル化hCD70タンパク質への結合によって決定され、フローサイトメトリーを介してフィコエリトリン(PE)色素に結合したストレプトアビジンを使用して検出された。タンパク質結合の値は、ヒトCD70タンパク質に結合するCD3+CAR T細胞の割合を示している。
【0371】
最小の自己活性化を示したCAR、すなわちCD70 KO Jurkatにおいて形質導入されたときにCD69発現が最小であったCARを、標的の非存在下であっても高度に活性化され、消耗性が高いCAR表現型となり得るCARと比較して、より望ましいCARであるとみなした。同様に、より高いヒトCD70タンパク質結合を伴うCARは、表面上でのCARの適切な発現とフォールディングを示唆しているとして、より望ましいとみなされた。
【0372】
実施例3:ファージCARおよびハイブリドーマCARのインビトロ特徴解析のための初代T細胞のスクリーニング
初代ヒトT細胞に、CD70 CARを形質導入して、形質導入効率、培養中のT細胞上のCD70発現、およびT細胞サブセットを決定した。次いで形質導入されたCAR T細胞を凍結し、機能性アッセイに使用した。
【0373】
CAR構築物の形質導入効率は、異なるクローン間で大きく変化し得る。形質導入効率が高いと、CAR T細胞の数が増え、より効率的な製造プロセスがもたらされる。一方で、形質導入効率が低いCARは、大規模製造には適さない場合がある。形質導入効率が高いことは、一部の実施形態では、有益である。
【0374】
T細胞は、分化状態および抗原暴露の指標である、広範な表現型またはサブセットを有している。細胞表面のマーカーは、T細胞サブセットの識別に役立ち、CD62Lマーカーは一般的に、ナイーブな幹細胞メモリーT細胞および中心メモリーT細胞上に存在する。これらの細胞は、例えばエフェクターメモリーT細胞およびエフェクターT細胞などの他のサブセットと比較して分化しておらず、そのため、CD62L陽性細胞の割合が高いCAR T細胞群は、一部の実施形態では、有益である。
【0375】
CD70の表面発現も、異なる形質導入CARの間で変化し、一部のCAR T細胞は、T細胞の活性化および形質導入によって20〜40%がCD70を発現し、その他のT細胞は発現しない。
【0376】
材料および方法
初代T細胞の単離
T細胞は、Ficoll勾配密度培地(Ficoll Paque PLUS社/GE Healthcare Life Sciences社)を使用し、スタンフォード大学から得たバフィーコートサンプルから精製された。PBMC層を回収し、市販のT細胞単離キット(Miltenyi Biotec社)を使用してT細胞を精製した。
【0377】
CD70 CARを用いたT細胞の形質導入
0日目に、6ウェルプレートの1ウェル当たり10%のFBS(Hyclone社またはJR Scientific社)を補充したDMEM(Gibco社)の2mLにおいて、1mL当たり50万個のHEK293T細胞を播種した。1日目に、6ウェルプレートの1ウェル当たり250uLのOpti−MEM(Gibco社)において、レンチウイルスパッケージングベクター 1.5ug psPAX2、0.5ug pMD2G、およびGFPタグを含有する2ugの適切なトランスファーCARベクターを混合することによりレンチウイルスを調製した(DNAミックス)。250uLのOpti−MEMにおいて、10uLのLipofectamine 2000(Invitrogen社)を室温で5分間インキュベートし、次いで当該DNAミックスに添加した。ウイルスを室温で20分間インキュベートし、500uLの総量を、HEK293T細胞を含有するウェルの側面にゆっくりと添加した。精製されたT細胞は、100IU/mLのヒトIL−2(Miltenyi Biotec社)、10% FBS(Hyclone社またはJR Scientific社)、およびビーズと細胞の比率が1:2のヒトT活性化CD2/CD3/CD28ビーズ(Miltenyi Biotec社)を補充されたX−Vivo−15 medium(Lonza社)中で活性化された。2日目に、6ウェルプレートの各ウェルからの培地を、1ウェル当たり2mLのT細胞形質導入培地、すなわち10% FBSが補充されたX−Vivo−15と入れ替えた。3日目に、T細胞を、6ウェルプレートの1ウェル当たり2mLのT細胞形質導入培地中、1mL当たり50万個で再懸濁させた。HEK293T細胞からのレンチウイルスの上清を採取し、0.45ミクロンのフィルター(EMD Millipore社)を通し、細胞残渣を除去して、その後、100IU/mLのヒトIL−2とともにT細胞に添加した。6日目に、フローサイトメトリーを介してGFPシグナルを検出することにより、形質導入効率が決定された。細胞は、必要に応じてより大きなフラスコ中で、またはG−Rex容器(Wilson Wolf)中で、T細胞拡張培地、すなわち5%ヒトAB血清(Gemini Bio社)を補充されたX−Vivo−15を使用して拡張された。
【0378】
CAR T細胞のCD70発現およびT細胞サブセット
活性化後13日目に、形質導入されたCAR T細胞を、PEが結合した抗ヒトCD70抗体およびBV605が結合した抗ヒトCD62L抗体で染色し、フローサイトメーター上で取得して、各CARに対するCD70+およびCD62L+群の割合を得た。次いで拡張されたCAR T細胞を、10%DMSO(Sigma Aldrich社)を含有するFBS中で凍結させ、その後に機能性アッセイにおいて使用した。
【表8】
【0379】
表8:活性化後13日目に、CAR T細胞の表現型を、ファージCARおよびハイブリドーマCARのインビトロ特徴解析に使用した。CAR+群は、CD3+細胞をゲーティングすることにより決定された。CD70発現群は、生きたCD3+細胞をゲーティングすることにより決定された。CD62L発現群は、生きたCD3+ CAR+ CD8+細胞をゲーティングすることにより決定された。
【0380】
検証されたCAR構築物は、様々なレベルの形質導入効率を示した。形質導入効率が低いクローンは、大規模製造にはあまり適さないために、有望性が低いとみなされた。CAR T細胞の産物も、異なる表現型(CD62L発現により測定)を示し、表面上に様々なレベルのCD70発現を示した。概して、高レベルのCD62Lを発現したCAR T細胞は、分化の程度が低い可能性があるとして、有望性が高いとみなされた。
【0381】
実施例4:ファージCARを用いたストレステスト
前述の実施例で記載されるようにファージライブラリーからの12個の異なるscFvからCAR T細胞が作製され、凍結された。次いでこれらのCAR T細胞を溶解させ、CD70を発現することが知られているRaji標的細胞と、1:1のエフェクター:標的(E:T)比で、10%FBSを補充されたRPMI中で混合した。その後、2日毎にRaji細胞をCAR T細胞に加え、その後、1:1のE:T比が維持された。標的細胞の溶解割合、およびエフェクターCAR T細胞の拡張倍数が、各時点で決定された。
【0382】
ストレステストはスクリーニングアッセイであり、CARを増幅させ、特定の場合には分化させ、および枯渇させる標的へのCAR T細胞の反復暴露が含まれる。ストレステストを使用して、標的細胞への数回の暴露ラウンド後に高い標的細胞溶解と増幅能力を有する最適クローンを選択した。
【0383】
材料および方法
0日目に、ファージライブラリーからの12個の異なるscFvから誘導されたCAR T細胞を溶解させ、1:1のE:T比でRaji細胞と混合させた。2日目に、アッセイからの200uLの細胞を、50uLの細胞カウントビーズ(CountBright、Invitrogen社)と混合し、フローサイトメーター上で取得された。カウントビーズを使用して、各CAR処置に対する、GFP+CAR T細胞(CD3+でゲーティングされた)およびRaji細胞(CD3−でゲーティングされた)の総数が決定された。総CAR T細胞カウントに基づき、1:1のE:T比の維持に必要なRaji細胞の数が算出され、アッセイの各ウェルに添加された。このプロセスは5日目および7日目に繰り返された。各CAR処置に対する生Raji細胞の割合を算出し、非形質導入対照に対して正規化することにより、標的細胞の溶解割合が各時点で算出された。0日目に播種されたCAR T細胞の数に対する、CAR T細胞の拡張倍数が各時点で算出された。
【0384】
最適なクローンは、7日目のアッセイの終了時に、最も高い標的細胞溶解と、最も優れた拡張倍数を有するクローンであり、例えばP08F08などであった。
【表9】
【0385】
表9:ストレステストにおける標的細胞溶解とCAR T細胞の拡張倍数を、ファージCARのインビトロ特徴解析に使用した。活性化後13日目でCAR T細胞の表現型を決定し、次いで14日目に細胞を凍結させた。溶解させたCAR T細胞と標的Raji細胞を1:1のE:T比で使用してストレステストを実施した。標的細胞溶解は、CAR T細胞との共培養の2日、5日および7日後、CD3−標的細胞をゲーティングすることによりフローサイトメトリーを介して決定された。CAR T細胞の拡張倍数は、細胞カウントビーズを使用し、アッセイの開始時に添加された細胞数と比較した2日目、5日目および7日目の細胞数を算出することにより決定された。太字で強調されたCARは、高い標的細胞溶解と拡張倍数を示すCARである。
【0386】
実施例5:第二のドナーから作製された最適CARを用いたストレステストの反復
実施例3に記載される、ファージライブラリーからの4個のscFv(P07D03、P08F08、P08G02、P15D02)、およびハイブリドーマライブラリーからの2個のscFv(4F11、17G6)から、CAR T細胞が作製され、凍結された。次いでこれらのCAR T細胞を溶解させ、CD70を発現することが知られているRaji標的細胞と、1:1のエフェクター:標的(E:T)比で、10%FBSを補充されたRPMI中で混合した。その後、2日毎にRaji細胞をCAR T細胞に加え、その後、1:1のE:T比が維持された。標的細胞の溶解割合、およびエフェクターCAR T細胞の拡張倍数が、各時点で決定された。
【0387】
標的細胞の溶解に関してはすべてのクローンが良好な成績であった。拡張倍数に基づく良好なクローンは、P08F08および4F11であった。
【表10】
【0388】
表10:ストレステストにおける標的細胞溶解とCAR T細胞の拡張倍数を、最適CARのインビトロ特徴解析に使用した。活性化後14日目でCAR T細胞の表現型を決定し、次いで同日に細胞を凍結させた。溶解させたCAR T細胞と標的Raji細胞を1:1のE:T比で使用してストレステストを実施した。標的細胞溶解は、CAR T細胞との共培養の2日、5日および7日後、CD3−標的細胞をゲーティングすることによりフローサイトメトリーを介して決定された。CAR T細胞の拡張倍数は、細胞カウントビーズを使用し、アッセイの開始時に添加された細胞数と比較した2日目、5日目および7日目の細胞数を算出することにより決定された。太字で強調されたCARは、高い標的細胞溶解と拡張倍数を示すCARである。
【0389】
実施例6:RCC S.C.腫瘍モデルにおける、用量依存性のCAR Tのインビボ有効性
実施例3に記載されるように4F11 scFvからCAR T細胞が作製された。NOD scidガンマ(NSG)マウスに、786−O腫瘍を皮下移植し、腫瘍体積が200mm
3に達したときに、マウスを、尾静脈注射を介して様々な静脈内投与量の4F11 CAR T細胞を用いて治療し、最適なCAR T投与量を決定した。786−O細胞は、ATCC(登録商標)からCRL−1932(商標)として入手可能である。4F11 CAR Tはインビボでの有効性が高く、5x10
6個のCAR T投与量で完全な腫瘍の退縮をもたらした。
【0390】
材料および方法
50匹のNOD scidガンマ(NSG)マウスの毛を剃って準備して、右脇腹上に腫瘍を皮下移植した。CD70を発現することが知られている786−O腫瘍細胞を、10%FBSを補充したRPMI中で拡張させた。0日目に、786−O細胞を無血清RPMI中に必要濃度で再懸濁し、動物1匹当たり500万個の細胞を注射した。腫瘍細胞は、動物1匹当たり、100uLのMatrigel(Corning社)と混合した100uLの無血清RPMI中で皮下注射された。腫瘍移植後、ただちにすべての動物に対し、0日目の基準体重が記録された。腫瘍は、Digimatic Calipers(Mitutoyo社)を使用して9日目に始まり週に2回測定され、体重が記録された。14日目、腫瘍が200mm
3に達したとき(標準誤差8.39)、40匹の腫瘍担持マウスを各群当たり10匹の4群に無作為化した。10%FBSが補充されたRPMI中で4F11 CAR T細胞を溶解させ、必要濃度で無血清RPMI中に再懸濁させて、動物1匹当たり100万、300万または500万個のCAR+T細胞が注射された(4F11の形質導入効率57.2%に基づき算出された)。各群において、等しい数の総T細胞を維持するために必要な非形質導入T細胞(NTD)の数が算出され、各サンプルに加えられた。CAR T細胞または非形質導入T細胞対照は、尾静脈を介して、動物1匹当たり200uLの無血清RPMI中で静脈内注射された。NTD群が試験エンドポイント(1500mm
3の腫瘍体積)に達した43日目まで、週に2回、腫瘍が測定され、体重が記録された。
【0391】
腫瘍体積(平均および誤差SEM)をGraphPad Prism上にプロットし、一元配置ANOVAを使用して反復測定結果を用いて統計が算出された(
図1および2を参照のこと)。500万個のCAR+投与量で腫瘍は完全に排除された。一方で、100万個のCAR+投与量は、NTD群と比較し、有効性を示さなかった。従って、300万個のCAR+の投与量を、将来的なインビボ試験に対する最適投与量として選択した。
【0392】
実施例7:786−O細胞における、CD70 TALENノックアウトを伴う、または伴わないCD70 CARのインビボ比較
4F11 CAT T細胞およびP08F08 CAT T細胞を、実施例1に記載されるように、活性化後6日目にCD70 TALEN DNAエレクトロポレーションを伴い、または伴わずに作製した。NSGマウスに、786−O腫瘍を皮下移植し、腫瘍体積が200mm
3に達したときに、マウスを、尾静脈注射を介してCAR T細胞を用いて治療し、最適な有効性を有するCARおよび条件を決定した。P08F08 CAR T細胞はインビボでの有効性が高く、CD70ノックアウト(KO)にもかかわらず、3x10
6個のCAR T投与量で完全な腫瘍の退縮をもたらした。4F11 CAR T細胞は、CD70がノックアウトされたときには良好な有効性を示したが、CD70ノックアウトがない場合には単に腫瘍増殖を制御しただけであった。これらの結果から、CD70ノックアウトが、CD70 CARの活性を改善し得ることが示唆される。
【0393】
材料および方法
75匹のNSGマウスの毛を剃って準備して、右脇腹上に腫瘍を皮下移植した。CD70を発現することが知られている786−O腫瘍細胞を、10%FBSを補充したRPMI中で拡張させた。0日目に、786−O細胞を無血清RPMI中に必要濃度で再懸濁し、動物1匹当たり500万個の細胞を注射した。腫瘍細胞は、動物1匹当たり、100uLのMatrigel(Corning社)と混合した100uLの無血清RPMI中で皮下注射された。腫瘍移植後、ただちにすべての動物に対し、0日目の基準体重が記録された。腫瘍は、Digimatic Calipers(Mitutoyo社)を使用して7日目に始まり週に2回測定され、体重が記録された。20日目、腫瘍が200mm
3に達したとき(標準誤差9.69)、60匹の腫瘍担持マウスを各群当たり10匹の6群に無作為化した。21日目に、10%FBSが補充されたRPMI中でCAR T細胞を溶解させ、動物1匹当たり300万個のCAR+T細胞で、無血清RPMI中に再懸濁させた(個々の形質導入効率に基づき算出された)。各群において、等しい割合のCAR+T細胞ならびに等しい数の総T細胞を維持するために必要なNTD細胞の数が算出され、各サンプルに加えられた。CAR T細胞またはNTD対照は、尾静脈を介して、動物1匹当たり200uLの無血清RPMI中で静脈内注射された。NTD群が試験エンドポイント(1500mm
3の腫瘍体積)に達した56日目まで、週に2回、腫瘍が測定され、体重が記録された(
図3および4を参照のこと)。
【0394】
腫瘍体積(平均および誤差SEM)をGraphPad Prism上にプロットし、一元配置ANOVAを使用して反復測定結果を用いて統計が算出された。CD70ノックアウトを伴う、または伴わないP08F08 CAR T群の両方が、300万個のCAR+投与量で完全な腫瘍退縮をもたらした。CD70ノックアウトを伴う4F11 CAR T群も、300万個のCAR+投与量で完全な腫瘍退縮をもたらした。しかしCD70ノックアウトを伴わない4F11 CAR T群は、完全退縮をもたらさなかった。
【0395】
図3および4において、対応するNTD対照に対する統計的有意性は、説明の右側に示されている(例えば、CD70 KOを伴うNTDに対する、CD70 KOを伴うP08F08)。CD70 KOを伴わない対応するCAR群に対するCD70 KOを伴う各CAR群の統計的有意性は、説明の左側に示されている。統計は、ダネットの事後検定を用いたRM一元配置ANOVAを表している(ns p>0.05、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、**** p<0.0001)。
【0396】
実施例8:ACHN転移モデルにおける、CD70 TALENノックアウトを伴う、または伴わないCD70 CARのインビボ比較
実施例7の4F11およびP08F08 CAR T細胞を、腎細胞癌(RCC)由来の細胞株であるACHN細胞においてさらに検証した。ACHN細胞は、Simmons et al.Animal Models of Bone Metastasis.Veterinary Pathology 52:827−841,834(2015)に記載されている。NSGマウスのそれぞれに、100万個のACHN腫瘍細胞を静脈内移植し、腫瘍細胞注射の15日後、マウスを、尾静脈注射を介してCAR T細胞を用いて治療し、最適な有効性を有するCARおよび条件を決定した。動物1匹当たり300万個のCAR+細胞で投与された4F11 CAR T細胞が、CD70のノックアウト(KO)に関わらず、検証された三つすべてのドナーにわたり有効であった。P08F08 CAR T細胞は、有効性がわずかであるか、または有効性を示さず、CD70ノックアウトが無い場合でのみ検証された。
【0397】
材料および方法
45匹のNSGマウスを、尾静脈を介した静脈内腫瘍注射のために準備した。CD70を発現することが知られているACHN腫瘍細胞を、10%FBSを補充したMEM中で拡張させた。0日目に、ACHN腫瘍細胞を無血清MEM中に必要濃度で再懸濁し、動物1匹当たり100万個の細胞を注射した。ACHN腫瘍細胞を、200uLの無血清MEM中で静脈内注射した。すべての動物に対し、4日目の基準体重が記録された。腫瘍変動は生体発光(IVIS Spectrum Imager(商標)、PerkinElmer社(商標)、120秒の最大露出時間で自動露出)を使用し、7日目に開始して週に2回測定され、体重が記録された。20日目、腫瘍が200mm
3に達したとき(標準誤差9.69)、20匹の腫瘍担持マウスを各群当たり5匹の4群に無作為化した。15日目に、10%FBSが補充されたMEM中でCAR T細胞を溶解させ、動物1匹当たり300万個のCAR+T細胞で、無血清MEM中に再懸濁させた(個々の形質導入効率に基づき算出された)。各群において、等しい割合のCAR+T細胞ならびに等しい数の総T細胞を維持するために必要なNTD細胞の数が算出され、各サンプルに加えられた。CAR T細胞またはNTD対照は、尾静脈を介して、動物1匹当たり200uLの無血清MEM中で静脈内注射された。NTD群が試験エンドポイント(20%を超える体重減少)に達する35〜49日目まで、週に2回、腫瘍変動が測定され、体重が記録された(
図5a、5bおよび5cを参照のこと)。
【0398】
生体発光(平均および誤差 SEM)を、GraphPad Prism上にプロットし、一元配置ANOVAを使用して反復測定結果を用いて統計が算出された。CD70ノックアウトを伴う、または伴わない両方の4F11 CAR T群が、300万個のCAR+投与量で抗腫瘍の有効性を示した。CD70ノックアウトを伴わないP08F08 CAR T群は、300万個のCAR+投与量ではほとんど有効性を示さないか、または全く示さなかった。
【0399】
実施例9:CD20エピトープを発現するCD70特異的CAR T細胞の活性
パートA:インビトロ活性
CD20エピトープを発現するCD70特異的CAR T細胞は、細胞殺傷アッセイにおいて、786−0標的細胞に対し、効果がある。
【0400】
六つのCD70特異的CARのフォーマットが設計された(
図6A〜6F)。構築されたCARの配列は、表11A〜11Fに示されるとおりである。
【表11A】
【表11B】
【表11C】
【表11D】
【表11E】
【0401】
以下に対し、試験を実施した:NTD対照、4F11 CARのRSRQRフォーマット(上述、および
図6Cに概略が示される)、P08F08 CARのSR2フォーマット(上述、および
図6Bに概略が示される)、P08F08 CARのR2Sフォーマット(上述、および
図6Fに概略が示される)、およびP08F08 CARのRSR−短フォーマット(上述、および
図6Eに概略が示される)。
【0402】
各CARフォーマットを発現するCAR T細胞が作製された。次いでこれらのCAR T細胞を溶解させ、CD70を発現することが知られている786−0標的細胞と、3:1、1:1、1:3または1:9(または0対照)のエフェクター:標的(E:T)比で、10%FBSを補充されたRPMI中で混合した。標的細胞の溶解割合、およびエフェクターCAR T細胞の拡張倍数が決定された(
図7)。
【0403】
各CAR処置に対する生786−O細胞の割合を算出し、次いで非処置対照に対して正規化することにより、標的細胞の溶解割合が各時点で算出された。0日目に播種されたCAR T細胞の数に対する、CAR T細胞の拡張倍数が各時点で算出された。
【0404】
これらの結果から、CD20エピトープを発現するCD70特異的CAR−T細胞が、3:1、1:1、1:3、および1:9のE:T比率、およびその間の比率、ならびに潜在的に本実験で検証されていない3:1〜9:1の範囲の外にある比率で、標的細胞を効率的に殺傷し得ることが示される。
【0405】
パートB:インビボでのリツキシマブに対する感受性
リツキシマブ投与後のCD70特異的CAR T細胞の枯渇により、NSGマウスにおいて、CD70発現リンパ球の回復が可能となる。
【0406】
抗CD20抗体のリツキシマブが、CD20エピトープを発現するCD70特異的CAR T細胞の枯渇を介在し、リンパ球の回復を促進する能力について、マウスで検証する。この実験において、マウスは、リンパ球表面上のマウスCD70タンパク質に結合することができ、リツキシマブにより認識されるCD20エピトープを含有するCD70特異的CAR(α−マウスCD70 CAR Ts)、またはマウスFLT3タンパク質に僅かに結合する対照CARのいずれかを発現するT細胞で処置される。リンパ球のフローサイトメトリー解析を使用して、CD70を発現するリンパ球に対する、CAR T細胞の細胞障害活性を示す。この活性は、対照CAR T細胞を投与されたマウス、または非処置マウスと比較した場合のリンパ球の減少として認められる。CAR T細胞の殺傷活性の確認を行った後、マウスに連続4日間、リツキシマブを与え、循環残留CAR T細胞は、13日目にフローサイトメトリーにより計数される。これらマウスの血液中のCD70特異的CAR T細胞は、リツキシマブを与えられていない対照群と比較して枯渇される。最後に、リンパ球のフローサイトメトリー解析により、リツキシマブを投与された(20日目)マウスのみが、リンパ球の回復を示すことが示される。
【0407】
この実験により、CD20エピトープを発現するCD70特異的CAR T細胞を、リツキシマブ依存性に枯渇させることで、CD70発現組織へのダメージが軽減され、急速なリンパ球の回復が可能となる。
【0408】
実施例10:CD70特異的CAR T細胞の活性
実施例9のパートAに記載されるものと同じアッセイ、および類似の実験パラメータを使用して、標的細胞の殺傷を評価した。検証された細胞株は、786−0、ACHN、およびREH(ヒト急性リンパ球性白血病の細胞株)であった。REH細胞株は、最も優れたCD70特異的CAR T細胞の分化を示す。そこでこの株を使用して、将来的なすべての実験において、scFvをランク付けする。
図8A〜8Dは、CD70特異的CAR T細胞を使用した、786−0細胞(
図8A)、ACHN細胞(
図8B)またはREH細胞(
図8C)の細胞殺傷を示す。この場合においてCARの細胞外ドメインは、説明(
図8D)で示されるscFvを含有する。すべての実験に対し、ネイキッドCARフォーマットが使用された。
【0409】
表12は、
図8A〜8Dの根底にあるデータを提供するものであり、追加的に、蛍光標識された抗CD70抗体、CD25および4−1BB(活性化マーカー)が陽性の細胞の測定割合;細胞障害アッセイを行う前の幹メモリーT細胞(TSCM)の割合、BFPの割合(CAR+)も提供する。
【表12】
【0410】
図9Aは、ルシフェラーゼ標識された786−O標的細胞に反復暴露されたときのCD70特異的CARの有効性を示す(CAR T細胞は、2〜3日ごとに新鮮な標的を含有する96ウェルプレートに移された)。E:T比は、3:1であった。CARは、ドナーD503由来の細胞において発現された。実施例4に記載される結果と同じように、ストレステストでの標的細胞の溶解は、CAR scFvのインビボ特徴解析に使用された。
【0411】
図9Bは、ルシフェラーゼ標識されたACHN標的細胞に反復暴露されたときのCD70特異的CARの有効性を示す(CAR T細胞は、2〜3日ごとに新鮮な標的を含有する96ウェルプレートに移された)。E:T比は、10:1であった。CARは、ドナーD503由来の細胞において発現された。実施例4に記載される結果と同じように、ストレステストでの標的細胞の溶解は、CAR scFvのインビボ特徴解析に使用された。
【0412】
図9Cは、ルシフェラーゼ標識されたREH標的細胞に反復暴露されたときのCD70特異的CARの有効性を示す(指定される時点で2x10
6個の細胞が添加された)。E:T比は、1:5であった。CARは、ドナーD503由来の細胞において発現された。実施例4に記載される結果と同じように、ストレステストでの標的細胞の溶解は、CAR scFvのインビボ特徴解析に使用された。
【0413】
図10は、ルシフェラーゼ標識されたREH標的細胞に反復暴露されたときの様々なフォーマット(実施例9、パートAに言及される)でのCD70特異的CARの有効性を示す(指定される時点で2x10
6個の細胞が添加された)。E:T比は、1:5であった。実施例4に記載される結果と同じように、ストレステストでの標的細胞の溶解は、CAR scFvのインビボ特徴解析に使用された。
【0414】
実施例11:ACHN転移モデルにおける、CD70 CARのインビボ比較
異なるCD70 scFvを含有するCAR T細胞が作製され、腎細胞癌(RCC)由来の細胞株であるACHN細胞において検証された。ACHN細胞は、Simmons et al.Animal Models of Bone Metastasis.Veterinary Pathology 52:827−841,834(2015)に記載されている。NSGマウスのそれぞれに、100万個のACHN腫瘍細胞を静脈内移植し、腫瘍細胞注射の15日後、マウスを、尾静脈注射を介してCAR T細胞を用いて治療し、最適な有効性を有するCARおよび条件を決定した。マウス1匹当たり300万個のCAR+細胞で投与された12C5 CAR T細胞が、最も優れた有効性を示した。
【0415】
材料および方法
45匹のNSGマウスを、尾静脈を介した静脈内腫瘍注射のために準備した。CD70を発現することが知られているACHN腫瘍細胞を、10%FBSを補充したMEM中で拡張させた。0日目に、ACHN腫瘍細胞を無血清MEM中に必要濃度で再懸濁し、動物1匹当たり100万個の細胞を注射した。ACHN腫瘍細胞を、200uLの無血清MEM中で静脈内注射した。すべての動物に対し、4日目の基準体重が記録された。腫瘍変動は生体発光(IVIS Spectrum Imager(商標)、PerkinElmer社(商標)、120秒の最大露出時間で自動露出)を使用し、7日目に開始して週に2回測定され、体重が記録された。20日目、腫瘍が200mm
3に達したとき(標準誤差9.69)、35匹の腫瘍担持マウスを各群当たり5匹の7群に無作為化した。15日目に、10%FBSが補充されたMEM中でCAR T細胞を溶解させ、動物1匹当たり300万個のCAR+T細胞で、無血清MEM中に再懸濁させた(個々の形質導入効率に基づき算出された)。各群において、等しい割合のCAR+T細胞ならびに等しい数の総T細胞を維持するために必要なNTD細胞の数が算出され、各サンプルに加えられた。CAR T細胞またはNTD対照は、尾静脈を介して、動物1匹当たり200uLの無血清MEM中で静脈内注射された。NTD群が試験エンドポイント(20%を超える体重減少)に達する32日目まで、週に2回、腫瘍変動が測定され、体重が記録された(
図11を参照のこと)。
【0416】
生体発光(平均および誤差 SEM)を、GraphPad Prism上にプロットし、一元配置ANOVAを使用して反復測定結果を用いて統計が算出された。300万個のCAR+投与量で、12C5 CAR T群は、抗腫瘍の有効性を示した。
【0417】
実施例12:患者由来のRCCサンプル上でのCD70の発現レベル、およびCD70特異的CAR T細胞による患者由来RCCサンプルの溶解
初代RCC患者サンプルは、Conversant Bio(凍結された解離腫瘍細胞)またはCHTN Western/NDRI(新鮮な腫瘍断片であり、その後に本発明者らにより、Miltenyi MACS human tumor dissociation kitおよびGentleMACSを使用して解離された)から取得された。初代腫瘍細胞は、20%FBSが補充されたRPMI中で維持された。関連RCC細胞株と共にこれら細胞におけるCD70タンパク質の細胞表面発現を決定するために、本発明者らはフィコエリトリンが1:1の比率で結合した抗CD70抗体を使用してフローサイトメトリーを実施し、受容体の定量を行った。細胞表面受容体は、BD Biosciences社のQuantibrite beadsを使用して算出され、抗体の結合能力(ABC:antibody binding capacity)はメーカーの推奨に従い算出された。CD70特異的CAR T細胞は、上述のように作製され、初代RCC細胞およびACHN RCC細胞株に対する細胞傷害性は、実施例9、パートAに記載されるアッセイと同じアッセイ、類似した実験パラメータを使用して評価された。
【0418】
結果
初代RCC細胞は、一つの細胞当たり約2,000個のCD70受容体(受容体/細胞)〜約25,000個の受容体/細胞の範囲のABC値でCD70を発現し(
図12B)、RCC細胞株上の発現は、約25,000受容体/細胞〜約400,000受容体/細胞の範囲であった(
図12A)ことが確認された。さらに本発明者らは、一つの細胞当たり7,000個のCD70受容体(受容体/細胞)(
図13B)、24,000個の受容体/細胞(
図13A)、または40,000個の受容体/細胞(
図13C)を発現する細胞が、CD70特異的CAR T細胞により効率的に殺傷されること、この場合において当該CARは、4F11またはP08F08のいずれかscFvから作製されていることを確認した。
【0419】
実施例13:様々な血液系腫瘍細胞株上でのCD70の発現レベル、およびCD70特異的CAR T細胞によるこれら細胞の溶解
リンパ腫、白血病、および骨髄腫を含む、様々な血液系腫瘍でCD70を標的とすることの可能性が解析された。特徴解析には、複数の悪性腫瘍におけるCD70のRNAと細胞表面タンパク質の両方の発現解析、次いで細胞株に対するCAR T細胞の有効性が含まれた。
【0420】
結果
急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、および多発性骨髄腫(NM細胞)の株に対するRNA発現の解析は、The Cancer Genome Atlas(TCGA)を使用し、CD70発現が、4種すべての癌タイプで観察され得ることが示された。このことから、これら癌を、CD70 CAR T細胞を用いて標的化することの潜在的な有用性が示唆される。これら癌におけるCD70タンパク質の細胞表面発現を決定するために、本発明者らは、選択された腫瘍タイプを起源とする細胞株のパネルに対し、フローサイトメトリーおよび受容体定量を実施した。細胞表面タンパク質の発現パターンは、RNA解析の発現パターンと類似しており、このことから、CD70発現は、すべての腫瘍タイプの細胞株において広く観察されたことが確認された(
図14A)。次に、本発明者らはCD70特異的CAR T細胞を作製し、インビトロ細胞傷害性アッセイにおいて同細胞株に対する有効性を検証した。CD70 CAR T細胞は、CD70抗原を発現する標的細胞に対し、安定的な特異的活性を呈した(
図14B)。CD70特異的CARが、様々な細胞株を殺傷し得ることから(
図14B)、CD70特異的CARは、低レベルでCD70を発現する細胞でさえも殺傷し得ることが示唆される。これにより、CD70特異的CARの活性が、特定の細胞型に限定されないことが示される。最後に本発明者らは、実施例7のように実施されたインビボアッセイにおいて、これらCARがMM1S細胞株に対して有効であることを示した(
図15Aおよび15B)。MM1Sは、細胞一つ当たり中程度の数のCD70受容体を発現する多発性骨髄腫の細胞株である(
図14A)。結論として、様々な血液系悪性腫瘍にわたって、CD70が広範な発現プロファイルを有することが観察された。CD70 CAR T細胞を単独で、または他の血液系標的と併用して使用することで、様々な血液系悪性腫瘍において腫瘍抗原回避を標的とする、または阻害する機会がもたらされる。
実施例14:37℃でのヒトCD70/CD70抗体の相互作用の動態およびアフィニティの決定
【0421】
本実施例は、ヒトCD70に対する様々な抗CD70抗体の結合動態および/またはアフィニティを決定する。ScFvは、抗CD70抗体の可変領域をクローニングし、(GGGGS)
4リンカー(配列番号602)、次いで改変ヒトIgG2配列のヒンジ部分およびFcに隣接させ、scFv−Fc融合物を生成することで作製された。これをExpi293を使用して発現させ、次いでプロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。組み換えヒトCD70は、ポリヒスチジンタグであるAviTag(商標)とニワトリテネイシンの三量体化ドメインを、ヒトCD70細胞外ドメイン(ECD)のN末端に融合させることで作製され、これをExpi293を使用して発現させ、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により精製して、次いで必要に応じてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製した。
【0422】
抗体の結合動態は、表面プラズモン共鳴(Biacore 8K、GE Healthcare Bio−Sciences社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)により、37℃で、HBS−T+(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.05% v/v Tween20、1mg/mL BSA)中で決定された。HBS−T+で希釈された組換えヒトCD70は、抗AviTag(商標)抗体が固定化されたC1チップ上で捕捉された。精製された抗CD70 scFv−Fc融合物は、HBS−T+中で連続希釈され、2〜4分間、30uL/分で注入され、10分間、解離がモニタリングされた後、注入の間に75mMリン酸で表面が再生された。緩衝液サイクルは、二重参照目的(Myszka,D.G.Improving biosensor analysis.J.Mol.Recognit.12,279−284(1999)に記載される二重参照(double−referencing))で、各抗CD70 scFv−Fc融合物に対して集められた。動的な会合速度(K
on)および解離速度(k
off)は、8K Evaluation Software(GE Healthcare Bio−Sciences社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)を使用して、二重参照されたセンサーグラム(sensorgram)を、物質移動モデル(mass transport model)を用いた1:1のLangmuirに広く適合させることにより同時に取得され、次いでこれらを使用して、動的速度定数(K
D=k
off/k
on)から平衡解離定数(K
D)が算出された。データは、Biacore 8K Evaluation Softwareを使用して1:1の定常状態アフィニティモデルに適合され、必要に応じて定常状態の平衡解離定数(SS K
D)が決定された。
【0423】
検証された抗CD70抗体の結合動態およびアフィニティのパラメータを、表13に示す。表13に示す抗体は、表5および表11において示される、同じ名称を有するCARと同じscFv配列を共有している。
【表13】
【0424】
開示された教示は、様々な用途、方法、キットおよび組成物を参照して説明されてきたが、本明細書の教示および以下の特許請求される発明から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることが理解されよう。前述の実施例は、開示された教示をより良く図示するために提供されており、本明細書に提示される教示の範囲を制限することを意図していない。本教示はこれらの例示的実施形態の観点から説明されてきたが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数の変形および修正が、過度の実験を伴わずに可能であることを容易に理解するであろう。こうした変形および修正はすべて、現在の教示の範囲内である。
【0425】
本明細書に引用されたすべての参照文献であって、特許、特許出願、論文、教科書などを含む参照文献、およびそこに引用される参照文献は、それらがまだ参照されていない範囲で、その全体が参照により本明細書に援用される。組み込まれた文献および類似の資料のうちの一つ以上が、本出願とは異なるものであるか、またはこれに矛盾する場合、定義された用語、用語使用、記載された技術、またはこれに類するものを含むがこれに限定されないが、本出願が制御する。
【0426】
前述の説明および実施例は、本開示のある特定の実施形態を詳細に説明し、発明者によって意図されるベストモードを記述する。しかしながら、本文中の前述がどれだけ詳細に記載されようとも、本発明は多くの方法で実施されてもよく、本発明は添付の特許請求の範囲およびその任意の均等物に従って解釈されるべきであることが理解される。