特表2021-511845(P2021-511845A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-511845三焦点人工眼レンズ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-511845(P2021-511845A)
(43)【公表日】2021年5月13日
(54)【発明の名称】三焦点人工眼レンズ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20210416BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20210416BHJP
【FI】
   A61F2/16
   G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-520808(P2020-520808)
(86)(22)【出願日】2018年12月28日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】HU2018050054
(87)【国際公開番号】WO2019130031
(87)【国際公開日】20190704
(31)【優先権主張番号】P1700548
(32)【優先日】2017年12月28日
(33)【優先権主張国】HU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520124707
【氏名又は名称】メディコントゥール・オルヴォシュテクニカイ・カーエフテー
(74)【代理人】
【識別番号】100081352
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 章一
(72)【発明者】
【氏名】コントゥール,ラースロー・フェレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ベルチェーニィ,ダーニエル
(72)【発明者】
【氏名】エルデイ,ガーボル
(72)【発明者】
【氏名】パプディー,ベンツェ
【テーマコード(参考)】
2H006
4C097
【Fターム(参考)】
2H006BC03
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097MM02
4C097SA02
(57)【要約】
本発明は、前方側光学表面(21)、後方側光学表面(22)及び光軸(23)を含む三焦点人工眼レンズ(20)に関し、前方側光学表面(21)と後方側光学表面(22)の少なくとも一方は、3つの有用な焦点と少なくとも部分的に回折性のプロファイルとを有する1つの光学要素を含んでいる。この3つの有用な焦点は、前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する焦点(31,32)と、0次回折次数と1次回折次数との間の高められた回折性副ピーク(副極大)に属する焦点(33)とに対応する。本発明は前記三焦点人工眼レンズの製造方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方側光学表面(21)、後方側光学表面(22)及び光軸(23)を含む三焦点人工眼レンズ(20)であって、前方側光学表面(21)と後方側光学表面(22)の少なくとも一方は、3つの有用な焦点と少なくとも部分的に回折性プロファイルとを有する1つの光学要素を含んでいる人工眼レンズにおいて、前記3つの有用な焦点が、前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する焦点(31、32)と、0次回折次数と1次回折次数との間での高められた回折性副ピークに属する1つの焦点(33)とに対応することを特徴とする、三焦点人工眼レンズ。
【請求項2】
回折性プロファイル(25)の中心ゾーン(27)の最大位相ずれがλ/2より大きくなるように前記サイド極大が高められ、ここで、位相ずれとは、回折性プロファイル(25)の中心ゾーンの基点(30a)により定められる基底に対する位相のずれを意味する、請求項1に記載の人工眼レンズ。
【請求項3】
複数の移相ゾーン(28)のゾーン境界間の個々の面積(29)は大きさが同じであり、前記回折性プロファイルの中心ゾーン(27)の基点(30a)を結んでいる第1のアークは、この第1のアークに平行な第2のアークを有し、λ/2の最大位相ずれを有する理論的中心ゾーン(27’)により境界が定められる面積(29’)が個々の移相ゾーン(28)が占める面積(29)と同じになるように選択されることを特徴とする、請求項2に記載の人工眼レンズ。
【請求項4】
中心ゾーン(27)の最大位相ずれがλ/2より大きく、λより小さいことを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項5】
中心ゾーン(27)の最大位相ずれがλ/2より大きく、3/4λ以下であることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項6】
前記中心ゾーン(27)の外側の回折性プロファイルがアポダイズされていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項7】
周辺の純粋に屈折性の部分が前記回折性プロファイル(25)につながっていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項8】
前方側光学表面(21)、後方側光学表面(22)及び光軸(23)を含んでいる人工眼レンズである三焦点人工眼レンズ(20)であって、前記前方側光学表面(21)と後方側光学表面(22)の少なくとも一方は、3つの有用な焦点(遠方視、中間視及び近方視の焦点)と少なくとも部分的に回折性プロファイルとを有する1つの光学要素を含んでいる三焦点人工眼レンズの製造方法であって、前記遠方視焦点及び近方視焦点が前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する焦点(31、32)に対応し、前記中間視焦点が0次回折次数と1次回折次数との間の高められた回折性副ピークに属する焦点(33)に対応するように前記回折性プロファイルを形づくることを特徴とする方法。
【請求項9】
λ/2より大きな最大位相ずれ(ここで、位相ずれとは、回折性プロファイルの基点(30a)により定められる基底に対する位相のずれを意味する)で回折性プロファイルの中心ゾーン(27)を作成することにより前記回折性副ピークを高めることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つの理論的中心ゾーンとその外側の複数の理論的移相ゾーンとを有し、該複数の理論的移相ゾーンのゾーン境界間の面積の大きさが理論的中心ゾーンにより境界が定まる面積の大きさと同じである二焦点理論的回折性プロファイルから出発して、この理論的中心ゾーンの最大位相ずれはλ/2であり、前記理論的回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する2つの有用な焦点が、製造すべき人工眼レンズの回折性プロファイル(25)の0次及び1次の回折次数に属する焦点(31、32)と実質的に一致するように前記回折性プロファイルを設計し、かつ、前記回折性プロファイル(25)の中心ゾーン(27)を、前記理論的中心ゾーンに比べて、前記中心ゾーン(27)の境界を結んでいる第1のアークが理論的中心ゾーンの第2のアークに平行に保持されるようにして該中心ゾーンの位相ずれがλ/2より大きくなるように増大させ、この中心ゾーンの外側の複数の移相ゾーン(28)は、理論的移相ゾーンに比べて、移相ゾーン(28)のゾーン境界間の面積が変化しないままとなるように光軸(23)に垂直な方向にシフトさせることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中心ゾーン(27)の最大位相ずれを、λ/2より大きく、λより小さくなるようにすることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記中心ゾーン(27)の最大位相ずれを、0.52λ〜0.8λの範囲内に入るようにすることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は三焦点人工眼レンズに関し、この人工眼レンズは水晶体嚢、毛様溝若しくは前眼房に移植してもよく、又はコンタクトレンズであってもよく、さらにはインレー若しくはアンレー(onlay)技術を用いて角膜に移植できる人工レンズであってもよい。本発明の対象はまた、上記三焦点人工眼レンズの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの水晶体は電磁スペクトルの可視域の大部分を透過させるが、老齢、外傷又は過大な紫外線若しくはX線被爆の結果としてヒトの眼は徐々に濁るようになり、この状態は白内障と呼ばれる。さらに、先天性白内障も存在し、これは遺伝性であるか、若しくは妊娠中の感染の結果として発症しうる。現状では、白内障の唯一の効果的な治療手段は、濁った水晶体を取り除いて、移植した人工眼レンズで水晶体の屈折力を取り戻すことである。
【0003】
人工眼レンズの移植の別の適応症は、眼鏡、コンタクトレンズ又は角膜レーザー手術ではその補正が不可能か、部分的にしか可能ではない程度まで進んだ屈折異常であろう。この処置は単に屈折レンズ交換と呼ばれる。
【0004】
1980年代の後半まで、移植に用いる人工眼レンズは、所定距離(通常は4メートル以上離れた距離)で対象者の網膜上に鮮明な像を形成する単焦点レンズだけであった。
【0005】
1990年代から利用可能になった屈折型多焦点人工眼レンズは、屈折力が異なる複数の共心(コンセントリック)又は非対称ゾーンを含んでいる。そららの難点は、それらの光学性能が瞳孔サイズに強く依存し、加えて、網膜付近での入射光の強度分布が瞳孔径の関数として(つまり、瞳孔径に応じて)滑らかには変動しないことである。
【0006】
2000年代に出現した回折型二焦点人工眼レンズも、読書距離(約35〜40cm)で対象者の網膜上に鮮明な像を形成することができたが、これらの人工眼レンズも自然なヒトの眼の水晶体の調節能力に置き換わることはできなかった。
【0007】
今日、画面上で行われる行為がますます普及している結果として、中間距離(約60〜80cm)での像の質の重要性が高まってきている。2010年代までに広く用いられるようになってきた回折型三焦点人工眼レンズはこの要求を満たすことができる。
【0008】
年齢が進むに連れて、ヒトの本来の水晶体の柔軟性の低下と毛様体筋の弱化の結果として眼の調節能力は低下する。この眼の加齢状態は老視(老眼)と呼ばれる。三焦点及び広焦点深度(EDOF)人工眼レンズが利用可能になったことにより、白内障手術以外用の人工眼レンズのインプラントは純粋に屈折型のレンズ交換を代理するだけではなく、それらの目的は調節能力を補完することにもなりうる。白内障以外の理由のために作られたインプラントは、より若年(45〜50歳)の活動的な年齢層を特質上巻き込んでいるので、遠距離及び近距離に加えて、作業距離(60〜80cm)での鮮明な視覚に対する著しい必要性がある。
【0009】
特許文献US5121980号(Cohen)には、0次回折次数と1次回折次数との間にくる二次ピーク(副ピーク)を、中心位相シフトゾーン(中心移相ゾーン)の最大位相ずれがλ/4(ここで、λは回折型光学素子の設計対象の光の波長)となるように光軸に垂直な方向において位相変位ゾーンをシフトさせることにより最小化しうることが記載されている。
【0010】
特許文献EP2045648B1(Simpson et al.)は、屈折中心ゾーンを持つ屈折−回折型多焦点レンズを開示している。この中心ゾーンは遠方視(又は近方視若しくは中間視)に必要な焦点距離を有する。この解決手段の制限は、瞳孔径が中心ゾーンの直径以下の大きさである場合には、中心ゾーンが屈折型光学素子としてしか取扱うことができないことである。
【0011】
特許文献US2010/0131060A1(Simpson et al.)には、屈折中心ゾーンを有し、この中心ゾーンの焦点(遠、近若しくは中間)の強度を高めた屈折−回折型多焦点レンズが記載されている。このような屈折中心ゾーンを含んでいる多焦点レンズの像形成品質(変調伝達関数、MTF)は、遠方焦点に対して最適化される。この解決手段の制限は、瞳孔径が中心ゾーンの直径以下の大きさである場合には、中心ゾーンが屈折型光学素子としてしか取扱うことができないことである。
【0012】
特許文献US5344447A(Swanson)は、−1次、0次、及び+1次の回折次数を増幅させることにより三焦点を作り出す回折型バイナリー(ダマン、Dammann)表面プロファイルを記載している。この解決手段の難点は、−1次と+1次に向けられる強度比が同一で、互いに独立して変化させることができないことである。
【0013】
特許文献EP2503962(A1)(Houbrechts et al.)は、2つの二焦点回折型表面プロファイルの組合わせを基礎とする設計方法を提示している。ここで、いわゆる第1の回折型表面プロファイルの第1の回折次数と、いわゆる第2の回折型表面プロファイルの第2の回折次数は同一である。従って、重なり合った回折型表面プロファイル内に0次、+1次及び+2次の回折次数により3つの焦点が作り出される。
【0014】
特許文献US2011292335(A1)(Schwirgerling)は、光軸から数えて偶数番目と奇数番目の移相素子(phase shift elements)のステップの高さが変化する回折型表面プロファイルを開示する。この解決手段の別の可能な態様は、光軸から数えて偶数番目と奇数番目の移相素子のステップの高さが変化し、かつ偶数番目と奇数番目の移相素子のステップ高さを個々のアポダイゼーション関数(apodization function)により独立して変化させる回折型表面プロファイルである。このような回折型表面プロファイルも、0次、+1次及び+2次の回折次数を持つ三焦点光学性能を達成する。
【0015】
特許文献US20070182921A1(Zhand et al.)には、従来ののこぎり刃型二焦点光学回折型表面プロファイル(眼内レンズの外側ゾーン)とバイナリー(ダマン)型三焦点光学回折型表面プロファイル(眼内レンズの内側ゾーン)の同時使用が記載されている。この解決手段の難点も、瞳孔サイズが小さい場合に−1次と+1次の回折次数の強度比が同一であって、互いに独立して変化させることができないことである。
【0016】
以上の最後の4つの特許文献に提案された解決手段の共通する難点は、第二の回折次数の作成が不可避の光損失と望ましくない光散乱を伴うことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】US5121980
【特許文献2】EP2045648B1
【特許文献3】US2010/0131060A1
【特許文献4】US5344447A
【特許文献5】EP2503962A1
【特許文献6】US2011292335
【特許文献7】US20070182921A1
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、公知解決手段の欠点を少なくとも部分的に克服し、人工眼レンズとして遠方視(遠視力)に加えて中間視及び近方視も確保する多焦点人工眼レンズを作り出すことである。
【0019】
0次と1次の回折次数の間に見られる回折性副ピーク(diffractive secondary peaks)を増強する(高める)ことにより、さらなる回折次数を作り出さずに上述した目的を満たした三焦点レンズを設計することができることが判明した。換言すると、この回折性プロファイルを持った人工眼レンズの0次回折次数は網膜上で遠方物体(対象距離:4m以上)の鮮明な像を作り出し、この回折性プロファイルを持った人工眼レンズの1次回折次数は網膜上で近方物体(対象距離:30〜40cm)の鮮明な像を作り出し、この回折性プロファイルを持った人工眼レンズの増強された(高められた)副ピークは網膜上で中間物体(対象距離:60〜80cm)の鮮明な像を作り出す。
【0020】
換言すると、本発明の対象は、前方側光学表面、後方側光学表面及び光軸を含む三焦点(多焦点)人工眼レンズであって、前方側光学表面と後方側光学表面の少なくとも一方は、3つの有用な焦点と少なくとも部分的に回折性のプロファイルを有する1つの光学要素(optics)を含んでいる人工眼レンズに関する。本発明の特徴は、前記3つの有用な焦点が、前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する(2つの)焦点と、0次回折次数に属する焦点と1次回折次数に属する焦点との間にある、高められた回折性副ピークに属する(1つの)焦点とにより実現されることである。
【0021】
本発明の対象はまた、上記人工眼レンズを製造することができる方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の1態様の略式側面図を示す。
図2】中心ゾーン(中央部)の最大移相ずれが5/8λである場合の、のこぎり刃形の非アポダイズ回折性プロファイルにより生じた移相ずれの変化を、光軸から測定した距離に対して示す図。
図3】中心ゾーンの最大移相ずれが3/4λである場合の、のこぎり刃形の非アポダイズ回折性プロファイルにより生じた移相ずれの変化を、光軸から測定した距離に対して示す図。
図4図2に示された回折性プロファイルを含んでいる人工眼レンズの変調伝達関数(MTF)を、50 lines/mmの一定空間周波数の場合について示す図。
図5図3に示された回折性プロファイルを含んでいる人工眼レンズの変調伝達関数(MTF)を、50 lines/mmの一定空間周波数の場合について示す。
図6】開口径(即ち、瞳孔サイズ)が異なる以外は、図4と同様の図。
図7】開口径(即ち、瞳孔サイズ)が異なる以外は、図5と同様の図。
図8】開口径(即ち、瞳孔サイズ)が異なる以外は、図4と同様の図。
図9】開口径(即ち、瞳孔サイズ)が異なる以外は、図5と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に記載した人工眼レンズは、水晶体嚢、毛様溝若しくは前眼房に移植される人工眼内レンズであってもよく、又はコンタクトレンズであってもよく、或いはインレー若しくはアンレー技術を用いて角膜に移植できる人工レンズであってもよいので、ここに開示した態様は上記のいずれの位置においても使用しうる。
【0024】
図1は、本発明の1態様の略式側面図であり、本図において、人工眼レンズ20は前方光学表面21と後方光学表面22とを含んでいる。前方光学表面21と後方光学表面22は1つの共通の光軸23を持ち、後方光学表面22は回折性プロファイル25を備えた多焦点光学要素24として形づくられている。移植(インプラント)可能な人工レンズを図示しているので、本態様はハプティク26をも備えている。
【0025】
1好適態様において、回折性プロファイル25の中心ゾーン27の最大位相ずれ(maximum phase shift)はλ/2より大きく、3/4λより小さい。ここで、λはこの回折型光学素子の作用の設計対象である光の波長である。
【0026】
図2は、中心ゾーン27の最大移相ずれが5/8λである場合の、のこぎり刃形の回折性プロファイル25の位相ずれ(位相シフト)を、光軸23から測定した距離の関数として示す。ここで、位相ずれとは、回折性プロファイルの基点30aにより定められる基底(ベース)に対する位相ずれを意味する。図示の回折性プロファイル25は非アポダイズである。換言すると、中心ゾーン27の外側の複数の移相ゾーン(位相シフト用ゾーン)28の高さはそれぞれ同一である。本図の破線は元のプロファイルを示し、実線は本発明に係る変調を示す。元のプロファイルは、それ自体公知の慣用の二焦点レンズの回折性構造を示し、この場合、二焦点性は、個々のゾーンの最大移相ずれがλ/2であることにより確保される。一方、個々のゾーンのゾーン境界間の面積(エリア)29’は同一サイズである。換言すると、当業者には文献から公知のごとく、元のプロファイル27’の中心ゾーン27’の外側の複数の移相ゾーン28’の面積29’は中心ゾーン27’により画定される面積29’と同じである。本発明に係る回折性プロファイルにおける中心ゾーン27の基点30a(その基点30aは1つだけを表示)を結んでいるアーク(弧)は、元のプロファイルの中心ゾーン27’の基点30a’を結んでいるアークに平行であり、移相ゾーン28のゾーン境界間の面積29は元のプロファイルの中心ゾーン27’が占める面積29’と同一サイズである。
【0027】
図3は、中心ゾーン27の最大移相ずれが3/4λである場合の、のこぎり刃形の非アポタイズ型回折性プロファイル25の位相ずれを、光軸23から測定した距離の関数として示す。ここで位相ずれとは、回折性プロファイルの基点30aにより決まる基底に対する位相ずれを意味する。本図の破線は元の(慣用の二焦点)プロファイルを示し、実線は本発明に係る変調を示す。
【0028】
残りの図は、図2及び図3に従った態様に属する光学性能(変調伝達関数、MTF)を、慣用の二焦点プロファイルの光学性能と比較して示す。本発明に係る回折性プロファイル25に属するMTF曲線は実線で、慣用の二焦点プロファイルに属するMTF曲線は破線で示す。これらのMTF曲線は、対象距離の変化に応じて像形成の質がいかに変化するかを示している。各種の異なる開口(アパーチャ)で得られたMTF曲線が開口径及び強度分布に一緒に依存して焦点深度により求められる。
【0029】
図4は、開口が3.0mmで空間周波数が50 lines/mmの場合の、図2に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズの光学性能の変化を示し、これは変調伝達関数(MTF)の変化を焦点から測定された距離の関数として記述している。
【0030】
図5は、開口が3.0mmで空間周波数が50 lines/mmの場合の、図3に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズの光学性能(MTF)の変化を、焦点から測定された距離の関数として示す。
【0031】
図6は、開口が2.5mmで空間周波数が50 lines/mmの場合の、図2に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズの光学性能(MTF)の変化を、焦点から測定された距離の関数として示す。
【0032】
図7は、開口が2.5mmで空間周波数が50 lines/mmの場合の、図3に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズの光学性能(MTF)の変化を、焦点から測定された距離の関数として示す。
【0033】
図8は、開口が2.0mmで空間周波数が50 lines/mmの場合の、図2に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズの光学性能(MTF)の変化を、焦点から測定された距離の関数として示す。
【0034】
図9は、開口が2.0mmで空間周波数が50 lines/mmの場合の、図3に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズの光学性能(MTF)の変化を、焦点から測定された距離の関数として示す。
【0035】
上述した図4〜9からは、光学性能曲線が前記2つの主要極大の間に局所的なサイド極大をも有していて、それをまた中間(中間距離)視の焦点33を生ずるように増強することができ、それにより三焦点光学要素を作り出すことが可能となることがわかる。
【0036】
回折性プロファイルを含んでいる人工眼レンズの0次及び1次の回折次数に属する焦点31と32の間にくる中間視焦点33を増強する1つの可能な手法は、0次及び1次の回折次数の各サイド極大を増強し、同時にそれらの建設的(強め合う)干渉を確保することである。本発明の本質は、0次回折次数に属する焦点31のサイド極大及び1次回折次数に属する焦点32のサイド極大を増強し、同時に中心ゾーン27の最大位相ずれをλ/2より上に増大させる(高める)ことによってこれらサイド極大の建設的干渉を確保するような回折性プロファイル25を作り出すことである。
【0037】
回折性プロファイル25の中心ゾーン27の位相ずれをλ/2より上に高める1つの可能な方法は、中心ゾーン27の境界をつなげるアークは未変化のままとして中心ゾーン27の外側の複数の移相ゾーン28はシフトさせるように回折性プロファイル25の中心ゾーン27を増大させる一方で、中心ゾーン27の外側で複数の移相ゾーン28のゾーン境界の間の面積29(即ち、個々の移相ゾーン28の基点30bにより定められるリングの面積)は未変化のままとなる、換言すると、移相ゾーン28に特有の追加のジオプトリー度数は未変化のままとなる、ようにすることである。換言すると、中心ゾーン27の面積は、その外側の移相ゾーン28の面積29に対比して増大させ、前移相ゾーン28の面積は未変化のままとし、慣用の二焦点プロファイルの場合と同じものにとどめる。換言すると、中心ゾーン27は個々の移相ゾーン28より大きな面積を占めるが、中心ゾーン27のアークは、λ/2の位相ずれを与え、かつ個々の移相ゾーン28の面積29と同じサイズである面積29’の境界を定めている理論的中心ゾーン27’のアークと同じである。中心ゾーン27のアーク及び理論的中心ゾーン27’のアークは、それぞれ中心ゾーン27の表面に沿ったアーク及び理論的中心ゾーン27’の表面に沿ったアークを意味するものである。これらのアークはそれぞれ、2つの基点30a及び30a’(それぞれ中心ゾーン27及び理論的中心ゾーン27’の両側に位置する)を結びつける光軸と交差しており、この2つの基点は光軸を最短経路で通過する直線上にくる。
【0038】
本発明に係る回折性プロファイル25の設計も従って起こりうる。その出発点は、理論的中心ゾーン27’及びその外側の理論的移相ゾーン28’を有する理論的な慣用の二焦点回折性プロファイルであり、理論的移相ゾーン28’のゾーン境界間のエリア(面積)29’の大きさは、理論的中心ゾーン27’により境界が定まるエリア29’の大きさと同じである。理論的回折性プロファイルの場合、少なくとも理論的中心ゾーン27’の位相ずれはλ/2であるが、本例の場合、初期の理論的回折性プロファイルの全ての移相ゾーン28’の位相ずれはλ/2である。この理論的二焦点回折性プロファイルの2つの有用な焦点は、これら0次及び1次の回折次数に属する2つの有用な焦点が、製造すべき人工眼レンズの回折性プロファイル25の0次及び1次の回折次数に属する焦点31、32(本例の場合、この焦点31、32は無限大に設定された遠方焦点と約30cmに設定された近方焦点である)と実質的に一致するように選択される。このような慣用の二焦点回折性プロファイルは、従来技術の文献から採用した設計値に基づいて容易に設計することができる。この理論的二焦点回折性プロファイルに比べて、中心ゾーン27の位相ずれはλ/2より大きく増大させるが、中心ゾーン27の基点30aを結んでいるアークは変化させずに維持する。換言すると、中心ゾーン27は光軸に垂直な方向に増大させるが、その増大は、それまでは中心ゾーン27の境界を定め、その基点30aを結んでいるアーク(光軸を通過する)が理論的中心ゾーン27’の基点30a’を結んでいるアーク(やはり光軸を通過する)に平行なままとなるようにする。その一方で、中心ゾーン27の外側の複数の移相ゾーン28は、移相ゾーン28のゾーン境界間の面積(エリア)29が変化しないままとなるように光軸23に垂直な方向にシフトさせる。
【0039】
図5、7、9を図4、6、8と比べると、位相ずれのより大きな増大により、口径(開口)が3.0及び2.5mmの場合にはより顕著な中間視焦点を生じ、また瞳孔径が小さい場合には有意に広がった焦点深度を生じたが、その効果は慣用の二焦点レンズの場合は全く現れなかったことを判定することができる。小さな瞳孔径の場合に現れる中間距離焦点及び広がった焦点深度は、中心ゾーン27の最大位相ずれが約3/4λである場合に特に顕著であることが認められたが、中心ゾーン27の最大位相ずれがλ/2より大きく、λより小さい場合にはいずれにおいても慣用の二焦点プロファイルに対する改善が認められうる。0.52λの値の最大位相ずれで既に、上記効果はユーザーがレンズの光学性能の改善に気づくようになる程度となる。好ましくは、回折性プロファイル25の中心ゾーン27の最大位相ずれは0.52λ〜0.8λの範囲内であり、特に好ましくは、5/8λ〜3/4λの範囲内である。
【0040】
本発明の性能は、中心ゾーン27の外側の回折性プロファイル25の特性により制限されない。中心ゾーン27の外側の回折性プロファイル25は、アポダイズされていても、非アポダイズのものでもよく、回折性プロファイル25に外側の純屈折性領域を取り付けることもできる。中心ゾーン27の外側の回折性プロファイル25をアポダイズしたい場合には、設計段階で、中心ゾーン27’の最大位相ずれがλ/2であり続けるが中心ゾーン27’の外側の理論的移相ゾーン28’はアポダイズされる、換言すると、それらの最大位相ずれは変動する(増大又は低減する)ような理論的的二焦点回折性プロファイルから出発することが好ましい。
【0041】
本発明に基づいて、任意の2つの引き続く回折次数(例えば、+1次次数と+2次次数のような)の間で起こるサイド極大を高めることにより三焦点光学性能を持ったレンズを作り出す回折性プロファイルも実現しうる。
【0042】
本発明のさらなる利点は、三焦点光学性能にに加えて、図面に示した回折性プロファイル25を含んでいる人工眼レンズは、図8及び9に見られうるように、明所視条件で起こる小さな瞳孔径の場合の広焦点深度の光学性能(2.0mm開口の場合に測定されたスルーフォーカス(through-focus)曲線)も確保できることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2019年10月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方側光学表面(21)、後方側光学表面(22)及び光軸(23)を含む三焦点人工眼レンズ(20)であって、前方側光学表面(21)と後方側光学表面(22)の少なくとも一方は、3つの有用な焦点と少なくとも部分的に回折性プロファイルとを有する1つの光学要素を含んでいる人工眼レンズにおいて、前記3つの有用な焦点が、前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する焦点(31、32)と、0次回折次数と1次回折次数に属する各焦点(31、32)の間での高められた回折性副極大に属する1つの焦点(33)とに対応することを特徴とする、三焦点人工眼レンズ。
【請求項2】
回折性プロファイル(25)の中心ゾーン(27)の最大位相ずれがλ/2より大きくなるように前記極大が高められ、ここで、位相ずれとは、回折性プロファイル(25)の中心ゾーンの基点(30a)により定められる基底に対する位相のずれを意味する、請求項1に記載の人工眼レンズ。
【請求項3】
複数の移相ゾーン(28)のゾーン境界間の個々の面積(29)は大きさが同じであり、前記回折性プロファイルの中心ゾーン(27)の基点(30a)を結んでいる第1のアークは、この第1のアークに平行な第2のアークを有し、λ/2の最大位相ずれを有する理論的中心ゾーン(27’)により境界が定められる面積(29’)が個々の移相ゾーン(28)が占める面積(29)と同じになるように選択されることを特徴とする、請求項2に記載の人工眼レンズ。
【請求項4】
中心ゾーン(27)の最大位相ずれがλ/2より大きく、λより小さいことを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項5】
中心ゾーン(27)の最大位相ずれがλ/2より大きく、3/4λ以下であることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項6】
前記中心ゾーン(27)の外側の回折性プロファイルがアポダイズされていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項7】
周辺の純粋に屈折性の部分が前記回折性プロファイル(25)につながっていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の人工眼レンズ。
【請求項8】
前方側光学表面(21)、後方側光学表面(22)及び光軸(23)を含んでいる人工眼レンズである三焦点人工眼レンズ(20)であって、前記前方側光学表面(21)と後方側光学表面(22)の少なくとも一方は、3つの有用な焦点(遠方視、中間視及び近方視の焦点)と少なくとも部分的に回折性プロファイルとを有する1つの光学要素を含んでいる三焦点人工眼レンズの製造方法であって、前記遠方視焦点及び近方視焦点が前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する焦点(31、32)に対応し、前記中間視焦点が0次回折次数と1次回折次数に属する各焦点(31、32)の間の高められた回折性副極大に属する焦点(33)に対応するように前記回折性プロファイルを形づくることを特徴とする方法。
【請求項9】
λ/2より大きな最大位相ずれ(ここで、位相ずれとは、回折性プロファイルの基点(30a)により定められる基底に対する位相のずれを意味する)で回折性プロファイルの中心ゾーン(27)を作成することにより前記回折性副極大を高めることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つの理論的中心ゾーンとその外側の複数の理論的移相ゾーンとを有し、該複数の理論的移相ゾーンのゾーン境界間の面積の大きさが理論的中心ゾーンにより境界が定まる面積の大きさと同じである二焦点理論的回折性プロファイルから出発して、この理論的中心ゾーンの最大位相ずれはλ/2であり、前記理論的回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する2つの有用な焦点が、製造すべき人工眼レンズの回折性プロファイル(25)の0次及び1次の回折次数に属する焦点(31、32)と実質的に一致するように前記回折性プロファイルを設計し、かつ、前記回折性プロファイル(25)の中心ゾーン(27)を、前記理論的中心ゾーンに比べて、前記中心ゾーン(27)の境界を結んでいる第1のアークが理論的中心ゾーンの第2のアークに平行に保持されるようにして該中心ゾーンの位相ずれがλ/2より大きくなるように増大させ、この中心ゾーンの外側の複数の移相ゾーン(28)は、理論的移相ゾーンに比べて、移相ゾーン(28)のゾーン境界間の面積が変化しないままとなるように光軸(23)に垂直な方向にシフトさせることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中心ゾーン(27)の最大位相ずれを、λ/2より大きく、λより小さくなるようにすることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記中心ゾーン(27)の最大位相ずれを、0.52λ〜0.8λの範囲内に入るようにすることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
特許文献US5121980号(Cohen)には、0次回折次数と1次回折次数との間にくる副極大を、中心位相シフトゾーン(中心移相ゾーン)の最大位相ずれがλ/4(ここで、λは回折型光学素子の設計対象の光の波長)となるように光軸に垂直な方向において位相変位ゾーンをシフトさせることにより最小化しうることが記載されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
0次と1次の回折次数の間に見られる回折性副極大(diffractive subsidiary maximums)を増強する(高める)ことにより、さらなる回折次数を作り出さずに上述した目的を満たした三焦点レンズを設計することができることが判明した。換言すると、この回折性プロファイルを持った人工眼レンズの0次回折次数は網膜上で遠方物体(対象距離:4m以上)の鮮明な像を作り出し、この回折性プロファイルを持った人工眼レンズの1次回折次数は網膜上で近方物体(対象距離:30〜40cm)の鮮明な像を作り出し、この回折性プロファイルを持った人工眼レンズの増強された(高められた)副極大は網膜上で中間物体(対象距離:60〜80cm)の鮮明な像を作り出す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
換言すると、本発明の対象は、前方側光学表面、後方側光学表面及び光軸を含む三焦点(多焦点)人工眼レンズであって、前方側光学表面と後方側光学表面の少なくとも一方は、3つの有用な焦点と少なくとも部分的に回折性のプロファイルを有する1つの光学要素(optics)を含んでいる人工眼レンズに関する。本発明の特徴は、前記3つの有用な焦点が、前記回折性プロファイルの0次及び1次の回折次数に属する(2つの)焦点と、0次回折次数に属する焦点と1次回折次数に属する焦点との間にある、高められた回折性副極大に属する(1つの)焦点とにより実現されることである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
上述した図4〜9からは、光学性能曲線が前記2つの主要極大の間に局所的な極大をも有していて、それをまた中間(中間距離)視の焦点33を生ずるように増強することができ、それにより三焦点光学要素を作り出すことが可能となることがわかる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
回折性プロファイルを含んでいる人工眼レンズの0次及び1次の回折次数に属する焦点31と32の間にくる中間視焦点33を増強する1つの可能な手法は、0次及び1次の回折次数の各極大を増強し、同時にそれらの建設的(強め合う)干渉を確保することである。本発明の本質は、0次回折次数に属する焦点31の極大及び1次回折次数に属する焦点32の極大を増強し、同時に中心ゾーン27の最大位相ずれをλ/2より上に増大させる(高める)ことによってこれら極大の建設的干渉を確保するような回折性プロファイル25を作り出すことである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明に基づいて、任意の2つの引き続く回折次数(例えば、+1次次数と+2次次数のような)の間で起こる極大を高めることにより三焦点光学性能を持ったレンズを作り出す回折性プロファイルも実現しうる。
【国際調査報告】