特表2021-512120(P2021-512120A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-512120VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物ならびにその製造および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-512120(P2021-512120A)
(43)【公表日】2021年5月13日
(54)【発明の名称】VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物ならびにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20210416BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20210416BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20210416BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20210416BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20210416BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20210416BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20210416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210416BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20210416BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20210416BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20210416BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20210416BHJP
【FI】
   A61K45/00
   C07K16/28ZNA
   C07K19/00
   C07K14/705
   C12N9/16 B
   C12P21/08
   A61K39/395 N
   A61K39/395 D
   A61P35/00
   A61P43/00 111
   A61K38/46
   A61K47/65
   A61K47/62
   A61K47/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2020-541922(P2020-541922)
(86)(22)【出願日】2019年2月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月31日
(86)【国際出願番号】US2019016301
(87)【国際公開番号】WO2019152810
(87)【国際公開日】20190808
(31)【優先権主張番号】62/625,594
(32)【優先日】2018年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/627,478
(32)【優先日】2018年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONICS
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520122600
【氏名又は名称】バイオ−テクネ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ハマーベック,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】バレー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ボンヌヴィエ,ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】アッゲラー,バート
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジュンファ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,グオピン
(72)【発明者】
【氏名】カラボキス,ヴァッシィリオス
(72)【発明者】
【氏名】バザン,ホセ フェルナンド
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC05
4B050KK18
4B050LL01
4B064AG20
4B064AG26
4B064AG27
4B064CC24
4B064DA01
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA17
4C084BA02
4C084BA22
4C084BA41
4C084BA44
4C084DC01
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC01
4C084ZC41
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
VSIG3に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体、VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物、ならびにポリクローナルおよびモノクローナル抗体および化合物を製造および使用する方法が本明細書に記載される。VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物を導入することによって、VISTAとVSIG3との相互作用を調節することを含む方法もまた、本明細書に記載される。
【選択図】図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VISTAとVSIG3との相互作用を調節することを含む方法であって、VISTAとVSIG3との前記相互作用を調節する化合物を導入することを含む、方法。
【請求項2】
VISTAとVSIG3との前記相互作用の前記調節が、VISTAとVSIG3との前記相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
VISTAとVSIG3との前記相互作用を調節することが、VISTAもしくはVSIG3またはその両方の多量体化を調節することを含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
VISTAが細胞の表面上で発現され、
VSIG3が細胞の表面上で発現され、または
VISTAおよびVISG3の両方が細胞の表面上で発現される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が抗VSIG3抗体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗VSIG3抗体が、
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、請求項5または6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記抗VSIG3抗体が、
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の重鎖可変領域のうちの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の軽鎖可変領域のうちの1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗VSIG3抗体が、前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体を含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が抗VISTA抗体をさらに含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が抗原結合フラグメントを含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項12】
前記化合物がVSIG3ポリペプチドを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物がVSIG3の可溶性フラグメントを含む、請求項12または13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記化合物がVSIG3の細胞外領域を含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が配列番号2を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が融合タンパク質を含む、請求項15または16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記化合物がFcドメインを含む、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が配列番号3を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物がVISTAポリペプチドを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、配列番号4、配列番号5、または配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物がVISTAの可溶性フラグメントを含む、請求項20または21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記化合物がVISTAの細胞外領域を含む、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が配列番号5を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が融合タンパク質を含む、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物がFcドメインを含む、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が配列番号6を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)のコイルドコイルドメインを含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記COMPがラットCOMPまたはヒトCOMPである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記コイルドコイルドメインが、五量体コイルドコイルドメインである、請求項28または29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記コイルドコイルドメインが、VSIG3ポリペプチドもしくはVISTAポリペプチドまたはその両方に共有結合している、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物がリンカードメインを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記リンカードメインが、NSGGGSGGGTG(配列番号13)もしくはLDRNLPPLAPLGP(配列番号14)またはその両方を含む、請求項32の方法。
【請求項34】
前記化合物がアルカリホスファターゼを含む、請求項28〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物がTEV切断部位を含む、請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物がVISTAとVSIG3との結合を阻害する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物がVISTAシグナル伝達を阻害する、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物がVSIG3シグナル伝達を阻害する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が、CD3誘導性IL−2産生、CD3誘導性インターフェロン−γ産生、CD3誘導性RANTES産生、CD3誘導性MIP−1アルファ産生、CD3誘導性IL−17産生、もしくはCD3誘導性CXCL11産生、またはそれらの組み合わせに影響を及ぼす、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物がT細胞増殖に影響を及ぼす、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、治療有効量の前記化合物で対象を処置することをさらに含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
VSIG3が、前記対象から得られた生物学的試料内に過剰発現される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
VSIG3に結合するモノクローナル抗体。
【請求項44】
前記抗体が、VSIG3−VISTA相互作用、VSIG3−VSIG8相互作用、VSIG3の多量体化、もしくはVISTAの多量体化、またはそれらの組み合わせをブロックする、請求項43に記載の抗VSIG3抗体。
【請求項45】
前記抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体、を含む、請求項43または44のいずれかに記載の抗VSIG3抗体。
【請求項46】
抗VSIG3抗体が、
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、請求項43〜45のいずれか1項に記載の抗VSIG3抗体。
【請求項47】
抗VSIG3抗体が、
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の重鎖可変領域のうちの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の軽鎖可変領域のうちの1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、請求項43〜46のいずれか1項に記載の抗VSIG3抗体。
【請求項48】
抗VSIG3抗体が、前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体を含む、請求項43〜47のいずれか1項に記載の抗VSIG3抗体。
【請求項49】
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生されるモノクローナル抗体。
【請求項50】
表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、モノクローナル抗体。
【請求項51】
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、モノクローナル抗体。
【請求項52】
表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)の各々、または
表前記2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のCDRの各々、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域のCDRの各々、および前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のCDRの各々、を含む、モノクローナル抗体。
【請求項53】
表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)と少なくとも80%同一である、または
表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRと少なくとも80%同一である、または
表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域の1つ以上のCDRと少なくとも80%同一であり、かつ表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRと少なくとも80%同一である、アミノ酸配列、を含む、モノクローナル抗体。
【請求項54】
前記抗体がVSIG3に結合する、請求項49〜53のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項55】
前記モノクローナル抗体がIgG抗体を含む、請求項49〜54のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項56】
前記モノクローナル抗体が、VSIG3のVSIG3リガンドへの結合を阻害する、請求項49〜55のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項57】
前記モノクローナル抗体が、VSIG3のVISTAへの結合を阻害する、請求項49〜56のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項58】
前記モノクローナル抗体が、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、もしくはFvフラグメント、またはそれらの組み合わせを含む抗原結合フラグメントを含む、請求項49〜57のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項59】
請求項43〜58のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗VSIG3抗体を含む組成物。
【請求項60】
請求項43〜58のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗VSIG3抗体を含むキット。
【請求項61】
VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物。
【請求項62】
抗VSIG3抗体を含む、請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
前記抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体、を含む、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、請求項61〜63のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項65】
抗VSIG3抗体が、
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
前記表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、請求項61〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項66】
抗VSIG3抗体が、表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体を含む、請求項61〜65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項67】
前記化合物が抗原結合フラグメントを含む、請求項62〜66のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項68】
前記化合物が、VISTAとVSIG3との結合を阻害する、請求項61〜67のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項69】
前記化合物が、VSIG3の多量体化を調節する、請求項61〜68のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項70】
前記化合物がVISTAシグナル伝達を阻害する、請求項61〜69のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項71】
前記化合物がVSIG3シグナル伝達を阻害する、請求項61〜70のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項72】
前記化合物が、CD3誘導性IL−2産生、CD3誘導性インターフェロン−γ産生、CD3誘導性RANTES産生、CD3誘導性MIP−1アルファ産生、CD3誘導性IL−17産生、またはCD3誘導性CXCL11産生、またはそれらの組み合わせに影響を及ぼす、請求項61〜71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項73】
前記化合物がT細胞増殖に影響を及ぼす、請求項61〜72のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項74】
前記化合物がVSIG3ポリペプチドを含む、請求項61〜73のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項75】
前記化合物が、配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
前記化合物が、VSIG3の可溶性フラグメントを含む、請求項74または75に記載の化合物。
【請求項77】
前記化合物が、VSIG3の細胞外領域を含む、請求項74〜76のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項78】
前記化合物が配列番号2を含む、請求項77に記載の化合物。
【請求項79】
前記化合物が融合タンパク質を含む、請求項77〜78のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項80】
前記化合物がFcドメインを含む、請求項74〜79のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項81】
前記化合物が配列番号3を含む、請求項80に記載の化合物。
【請求項82】
前記化合物がVISTAポリペプチドを含む、請求項61〜81のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項83】
前記化合物が、配列番号4、配列番号5、または配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、請求項82に記載の化合物。
【請求項84】
前記化合物が、VISTAの可溶性フラグメントを含む、請求項82または83に記載の化合物。
【請求項85】
前記化合物が、VISTAの細胞外領域を含む、請求項82〜84のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項86】
前記化合物が配列番号5を含む、請求項85に記載の化合物。
【請求項87】
前記化合物が融合タンパク質を含む、請求項61〜86のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項88】
前記化合物がFcドメインを含む、請求項61〜87のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項89】
前記化合物が配列番号6を含む、請求項88に記載の化合物。
【請求項90】
前記化合物が、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)のコイルドコイルドメインを含む、請求項61〜89のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項91】
前記COMPがラットCOMPまたはヒトCOMPである、請求項90に記載の化合物。
【請求項92】
前記コイルドコイルドメインが五量体コイルドコイルドメインである、請求項90または91のいずれかに記載の化合物。
【請求項93】
前記コイルドコイルドメインが、VSIG3ポリペプチドもしくはVISTAポリペプチドまたはその両方に共有結合している、請求項90〜92のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項94】
前記化合物がリンカードメインを含む、請求項93に記載の化合物。
【請求項95】
前記リンカードメインが、NSGGGSGGGTG(配列番号13)もしくはLDRNLPPLAPLGP(配列番号14)またはその両方を含む、請求項94に記載の化合物。
【請求項96】
前記化合物がアルカリホスファターゼを含む、請求項90〜95のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項97】
前記化合物がTEV切断部位を含む、請求項90〜96のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項98】
前記化合物が、VISTAとVSIG3との結合を阻害する、請求項61〜97のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項99】
請求項61〜98のいずれかに記載の化合物を含む組成物。
【請求項100】
請求項61〜98のいずれか1項に記載の化合物を含むキット。
【請求項101】
請求項61〜98のいずれか1項に記載の治療有効量の化合物で対象を処置することを含む、方法。
【請求項102】
VSIG3が、前記対象から得られた生物学的試料内に過剰発現される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
少なくとも1つの抗VSIG3抗体が表2Aのクローンによって産生される抗体を含む、2つ以上の抗VSIG3抗体を含む組成物。
【請求項104】
それぞれの抗VSIG3抗体が、VSIG3−VISTA相互作用、VSIG3−VISTA8相互作用、VSIG3の多量体化、およびVISTAの多量体化のうちの1つ以上をブロックする、請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
前記2つ以上の抗VSIG3抗体が異なるエピトープに結合する、請求項103または104のいずれかに記載の組成物。
【請求項106】
前記抗VSIG3抗体のうちの少なくとも1つが、VSIG3のABE Ig面と相互作用する、請求項103〜105のいずれかに記載の組成物。
【請求項107】
前記抗VSIG3抗体のうちの少なくとも1つが、VSIG3のGFC Ig面と相互作用する、請求項103〜106のいずれかに記載の組成物。
【請求項108】
抗VSIG3抗体および抗VISTA抗体を含む組成物であって、
VSIG3−VISTA相互作用、VSIG3−VISTA8相互作用、VSIG3の多量体化、もしくはVISTAの多量体化、またはそれらの組み合わせをブロックし、
前記抗VSIG3抗体が表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体を含む、組成物。
【請求項109】
多量体化VSIG3、多量体化VISTA、もしくは多量体化VSIG8、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項110】
免疫原で免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、前記免疫原がポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが、表3Aに記載されるポリペプチドのうちの1つ以上を含む、ポリクローナル抗体。
【請求項111】
免疫原で免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、前記免疫原がポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが、表3Aに記載されるポリペプチドのうちの1つ以上からなる、ポリクローナル抗体。
【請求項112】
免疫原で免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、前記免疫原がポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが表3Aに記載のポリペプチドからなる、ポリクローナル抗体。
【請求項113】
ポリペプチドで免疫することによって生成されたポリクローナル抗体であって、前記ポリペプチドが表3Aに記載のペプチドからなる、ポリクローナル抗体。
【請求項114】
前記ポリクローナル抗体がVSIG3に結合する、請求項110〜113のいずれか一項に記載のポリクローナル抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月2日に出願された米国仮出願第62/625,594号、および2018年2月7日に出願された米国仮出願第62/627,478号の利益を主張し、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
この出願には、45キロバイトのサイズを有し、かつ2019年1月17日に作成された「0541−000007WO02−SeqList_ST25.txt」と題するASCIIテキストファイルとして米国特許商標局に電子的に提出された配列表が含まれる。配列表の電子出願により、電子的に提出された配列表は、37 CFR§1.821(c)が要求するハードコピーと、§1.821(e)が要求するCRFの両方の役割を果たす。配列表に含有された情報は、参照により本願明細書に組み込まれており、提出された国際出願における開示を超えるものではない。
技術分野
本発明は、VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物ならびにその製造および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
T細胞活性化のV領域免疫グロブリン含有サプレッサー(本明細書では「VISTA」と呼ばれ、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー、PD−1H、Gi24、Dies1、DD1α、またはB7−H5としても知られる)は、T細胞抑制を媒介するレセプターであることが報告されている。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様において、本開示は、VISTAおよび「3を含有するVセットおよび免疫グロブリンドメイン」(本明細書中では、「VSIG3」または「VSIG−3」と呼ばれ、IGSF11としても知られる)の相互作用を調節する化合物、ならびにVISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物を導入することによってVISTAとVSIG3との相互作用を調節することを含む方法を記載する。VSIG3は上皮細胞および内皮細胞に発現する接着タンパク質であり、大腸癌、腸癌、肝細胞癌でアップレギュレートされている(Watanabe et al.(2005)Cancer Sci.96:498)。いくつかの実施形態において、VSIG3は、VISTAリガンドである。いくつかの実施形態では、VISTAはVSIG3リガンドである。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、VISTAとVSIG3との相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズさせることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、VISTAまたはVSIG3またはその両方の多量体化を調節することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物は、VSIG3に対する抗体、VSIG3ポリペプチド、VISTAポリペプチド、または軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)のコイルドコイルドメイン、またはそれらの組合せを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、化合物は、VISTAシグナル伝達およびVSIG3シグナル伝達のうちの少なくとも1つを阻害する。いくつかの実施形態では、化合物は、T細胞増殖および/またはT細胞シグナル伝達(例えば、CD3誘導効果を含む)に影響を及ぼし得る。
【0008】
別の態様では、本発明は、治療有効量の化合物で対象を処置することを記載する。
【0009】
さらなる態様において、本開示は、モノクローナル抗体を含むVSIG3に対する抗体を記載する。
【0010】
さらなる態様において、本開示は、抗VSIG3抗体を含む組成物を記載する。さらなる態様では、本開示は、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および多量体化VSIG8を含む組成物を記載する。
【0011】
さらなる態様において、本開示は、表3Aに記載されるVSIG3免疫原に対して産生されたポリクローナル抗体を記載する。
【0012】
本明細書中で使用される用語「抗体」は、目的の特定の抗原標的に免疫特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含む分子をいう。したがって、用語「抗体」は、全長抗体および/またはその変異体、そのフラグメント(断片)、ペプチボディおよびその変異体、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ならびに抗体またはその特定のフラグメントもしくは一部(単鎖状抗体およびそのフラグメントを含む)の構造および/または機能を模倣する抗体模倣物を含むが、これらに限定されない。標的への抗体の結合は、そのような結合が、少なくとも1つの標的活性もしくは結合を調節、減少、増加、アンタゴナイズ、アゴナイズ、鎮静、緩和、ブロック、阻害、排除、および/または干渉する場合、またはインビトロ、インサイチュ、および/またはインビボで、受容体活性もしくは結合を有する場合など、しかしこれらに限定されない、様々な効果を引き起こすことができる。従って、本発明の抗体は、生物学的分子(例えば、抗原またはレセプター)またはその部分に結合し得る抗体フラグメントを包含し、これには、Fab、Fab’およびF(ab’)、pFc’、Fd、単一ドメイン抗体(sdAb)、可変フラグメント(Fv)、単一鎖状可変フラグメント(scFv)またはジスルフィド結合Fv(sdFv);ダイアボディまたは二価ダイアボディ;直鎖状抗体;単一鎖状抗体分子;および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスであり得る。
【0013】
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体をいい、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原性部位に対して方向付けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して方向付けられた異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して方向付けられる。モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリン産生細胞によって汚染されていないハイブリドーマ細胞によって合成され得る。あるいは、モノクローナル抗体は、例えば、モノクローナル抗体をコードする重鎖状および軽鎖状遺伝子で安定にまたは一時的にトランスフェクトされた細胞によることを含む、組換え的に産生され得る。
【0014】
修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるような、上で定義した抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の操作を必要とするものと解釈されるべきではない。いくつかの実施形態では、用語「モノクローナル」は、本明細書では、抗体が操作された方法ではなく、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む細胞のクローン集団に由来する抗体を指す。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「単離された」とは、その元の環境(例えば、天然に存在する場合、天然の環境)から除去された物質をいい、したがって、その天然の状態から「人間の手によって」改変される。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「室温」は、16℃〜26℃であり、または18℃〜24℃であることがより好ましい。いくつかの実施形態において、「室温」は、20℃〜22℃である。
【0017】
本明細書中で使用される場合、2つのポリペプチド間の「配列同一性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列を第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。本明細書中で議論される場合、任意の特定のポリペプチドが、別のポリペプチドに対して少なくとも40パーセント(%)、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるか否かは、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix、Genetics Computer Group、University Research Park,575 Science Drive、Madison,WI 53711)のような(しかし、これらに限定されない)当該分野で公知の方法およびコンピュータプログラム/ソフトウェアを使用して決定され得る。BESTFITは、Smith and Waterman(1981)Advances in Applied Mathematics 2:482−489のローカルホモロジーアルゴリズムを使用して、2つのシーケンス間のホモロジーの最良のセグメントを見つける。BESTFITまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用して、特定の配列が、例えば、本発明による参照配列と95%同一であるかどうかを決定する場合、同一性のパーセンテージが、参照ポリペプチド配列の全長にわたって計算され、そして参照配列中のアミノ酸の総数の5%までの相同性のギャップが許容されるように、パラメータが設定される。
【0018】
「結合親和性」または「親和性結合」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原または抗原エピトープ)との間の非共有相互作用の総和の強度を指す。分子Xのその相手Yに対する親和性は、解離定数(K)によって表され、これは、一般に、例えば、BIACORE(GE Healthcare Worldwide,Chicago,IL)から市販されているBIACOREバイオセンサを使用して、当該分野で公知の方法を使用して決定することができる。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、VSIG3に対するそれらの結合親和性に関して記載され得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、解離定数(K)が5×10−6M以下、1×10−6M以下、5×10−7M以下、1×10−7M以下、5×10−8M以下、1×10−8M以下、5×10−9M以下、1×10−9M以下、5×10−10M以下、1×10−10M以下、5×10−11M以下、1×10−11M以下、5×10−12M以下、1×10−12M以下、5×10−13M以下、1×10−13M以下、5×10−14M以下、1×10−14M以下、5×10−15M以下、または1×10−15M以下である抗原と相互作用する抗体を含む。
【0019】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト脊椎動物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物、特にヒトである。対象は個体であってもよい。対象は、「個体」、「患者」、または「宿主」であってもよい。非ヒト脊椎動物には、家畜動物、コンパニオンアニマル、および実験動物が含まれる。非ヒト対象はまた、ヒト以外の霊長類ならびに、ラットまたはマウスなどの、しかしこれらに限定されないげっ歯類も含む。非ヒト対象には、ニワトリ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ミンク、およびウサギも含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「インビトロ」は、細胞内培養であり、「インビボ」は、対象の身体内である。
【0021】
用語「好ましい」および「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利益を与え得る本発明の実施形態を指す。しかし、同じまたは他の状況下で、他の実施形態も好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示しておらず、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図していない。
【0022】
用語「含む」およびその変形は、これらの用語が記述および特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を有しない。
【0023】
特に明記しない限り、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、および「少なくとも1つ」は、交換可能に使用され、1つまたは複数を意味する。
【0024】
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。値の範囲が、特定の値まで、または少なくとも特定の値までである場合、その値は、その範囲内に含まれる。
【0025】
個別の工程を含む、本明細書で開示される任意の方法について、工程は、任意の実現可能な順序で実行されてもよい。また、必要に応じて、2つ以上の工程の任意の組み合わせを同時に行ってもよい。
【0026】
明細書および特許請求の範囲において使用される成分、分子量等の量を表す全ての数字は、別段の記載がない限り、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるものである。従って、これに反するとの別段の記載がない限り、明細書および特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明により得られるべき所望の特性に応じて変化し得る近似である。最低限でも、また均等論を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0027】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の具体例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含む。
【0028】
全ての見出しは、読者の利便性のためであり、そのように指定されない限り、見出しに続くテキストの意味を限定するために使用されるべきではない。
【0029】
本明細書の全体を通して「一実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、「いくつかの実施形態」等への言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構成、組成物、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通した様々な箇所におけるこのような語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構成、組成物、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方式で組み合わせられてもよい。
【0030】
上記の本発明の要約は、本発明の各々の開示される実施態様、またはあらゆる実装形態を記載することを意図するものではない。以下の記述は、例示的な実施態様をより具体的に例示する。本出願全体を通していくつかの箇所において、実施例のリストを通してガイダンスが提供され、これらの実施例は、様々な組み合わせで使用することができる。各事例において、列挙されたリストは、代表的なグループとしてのみ役立ち、そして排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1Aは、例示的な機能的酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)結合アッセイにおいて組換えヒトVISTA Fcキメラ(「rhVISTA」)に特異的に結合する組換えヒトVSIG3 Fcキメラ(「rhVSIG3」または「VSIG03 IgG1 Fc」)を示す。図1Bは、rhVSIG3およびrhVSIG3タンパク質の結合に対する抗VSIG3抗体の効果の代表的な結果を示す。抗体アイソタイプ対照(□−白四角)は、ブロッキングを示さず;抗体クローン993820(○−白丸)は、0.32μg/mLのED50でVSIG3とVISTAとの間の結合の8%ブロッキングを示した。ED50は、最大ブロッキングの50%を回収するのに必要な抗体の濃度を反映している。
図2図2は、rhVSIG3のrhVISTAへの結合をブロッキングするポリクローナルウサギ抗ヒトVSIG3ペプチド抗体についての代表的な結果を示す。rhVSIG3−rhVISTA相互作用は、ストレプトアビジン−HRPとそれに続く色彩反応を用いて検出した。抗体I205(○−白丸)はブロッキングを示さず;ウサギ抗体G129(●−黒丸)は、2.59ug/mLのED50でVSIG−3とVISTAとの間の結合を70%ブロッキングすることを示した。ED50は、最大ブロッキングの50%を回収するのに必要な抗体の濃度を反映する。
図3図3は、例示的なウサギポリクローナル抗ヒトVSIG3抗体が、活性化T細胞からのIL−2分泌を阻害するVSIG3タンパク質の能力を弱めることを示す。マウス抗ヒトCD3抗体を96ウェルプレート上に1μg/mLで、2〜8℃にて一晩コーティングした。組換えヒトVSIG3(rhVSIG3)タンパク質を、アッセイプレート上に連続希釈(○−白丸)または20μg/mLで固定化し、37℃で3時間インキュベートした。連続希釈したポリクローナルウサギ抗ヒトVSIG3(N66)またはアイソタイプ対照(ウサギIgG)を添加し、20μg/mLのrhVSIG3タンパク質と共に室温にて1〜2時間共インキュベートした。ヒトT細胞を、MagCellectヒトCD3単離キット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いてヒトPBMCから単離し、単離したヒトT細胞を、このプレートに添加し(2×10/ウェル)、5%COの存在下、37℃にて24時間培養した。分泌されたIL−2を、QUANTIKINEヒトIL−2ELISAキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して、細胞培養上澄み液において測定した。抗体アイソタイプ対照、ウサギIgG(□−白四角)は、IL−2分泌に対するVSIG3の効果のブロッキングを示さなかった;ポリクローナル抗体クローンN66(△−三角)は、IL−2分泌に対するVSIG3の効果のブロッキングを示した。
図4図4は、rhVSIG3タンパク質が、正常なヒト末梢血T細胞の抗CD3誘導性細胞増殖を阻害することができることを示す。この抑制は、モノクローナル抗ヒトVSIG3抗体クローン973404および993620によって逆転することができる。モノクローナル抗体クローン774208は、T細胞の増殖に影響を示さず、陰性対照を表す。
図5図5は、例示的なモノクローナル抗ヒトVSIG3抗体が、活性化T細胞からのインターフェロン−γ分泌を阻害するVSIG3タンパク質の能力を弱めることを示す。マウス抗ヒトCD3抗体を96ウェルプレート上に1μg/mLで、2〜8℃にて一晩コーティングした。組換えヒトVSIG3(rhVSIG3)タンパク質を、アッセイプレート上に連続希釈(□−白四角)または20μg/mLで固定化し、37℃で3時間インキュベートした。連続希釈モノクローナル抗ヒトVSIG3(973404または973422クローン)を添加し、20μg/mLのrhVSIG3タンパク質と共に室温にて1〜2時間共インキュベートした。ヒトT細胞を、MagCellect ヒトCD3+T細胞単離キット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いてヒトPBMCから単離した。単離したヒトT細胞(2×10/ウェル)をプレートに添加し、5%COの存在下、37℃にて24時間培養した。分泌されたインターフェロン−γを、QUANTIKINEヒトインターフェロン−γELISAキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して、細胞培養上澄み液において測定した。モノクローナル抗体クローン973404(○−白丸)は、VSIG3のインターフェロン−γ分泌に対する効果のブロッキングが示された。しかし、モノクローナル抗体クローン#973422(△−三角)は、インターフェロン−γ分泌に対するVSIG3の効果の更なる向上を示した。
図6図6は、ラット軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP、残基26−72、中央)の五量体コイルドコイルドメインに融合したVISTA(左側)、VSIG3、またはVSIG8(右側)、続いて6×Hisタグからの細胞外ドメインの概略図を示す。
図7図7は、ラット軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP、残基26−72、中央)の五量体コイルドコイルドメインに融合したVISTA(左側)、VSIG3、またはVSIG8(右側)、続いてアルカリホスファターゼ、フラグおよび6xHisタグの概略図を示す。リンカー残基を緑色で示す。アルカリホスファターゼは、AVEXISアッセイにおける酵素検出に使用することができ、総タンパク質は、抗ポリHis抗体を使用して正規化することができる。
図8A図8Aは、VISTA−COMP構築物:VISTA(1−195)−COMP−AlkPhos−Flag/His(配列番号7)およびVISTA(1−195)−COMP−His(配列番号8)の配列を示し;図8Bは、VSIG3−COMP構築物:VSIG3(1−245)−COMP−AlkPhos−Flag/His(配列番号9)およびVSIG3(1−245)−COMP−His(配列番号10)の配列を示し;図8Cは、VSIG8−COMP構築物:VSIG8(1−263)−COMP−AlkPhos−Flag/His(配列番号11)およびVSIG8(1−263)−COMP−His(配列番号12)の配列を示す。
図8B図8Aのつづきである。
図8C図8Bのつづきである。
図9A図9A図9Dは、単量体VISTAおよび多量体VISTA−COMPを用いた表面プラズモン共鳴(Biacore)によるVISTA−VSIG3相互作用の動態および親和性の概略図および定量を示す。図9Aおよび図9Cは、抗ポリHis抗体を用いてCM5チップ(GE Healthcare)の表面上でVISTA(図9A)またはVISTA−COMP(図9C)が捕捉される、Biacore実験の概略図を示す。被分析物、VSIG3−Fcが、0.2nM〜20μMの範囲の濃度で、捕捉されたVISTA上に流される。図9Bおよび図9Dは、単量体VISTA−VSIG3−Fc相互作用(図9B)および多量体VISTA−COMP−VSIG3−Fc相互作用(図9D)の1:1モデルを用いて得られたセンサグラムおよび動態適合を示す。捕捉された単量体VISTAについて、VSIG3−Fc被分析物を0.247μM〜20μMの範囲で試験した。捕獲された多量体VISTA−COMPについて、VSIG3−Fc被分析物を0.2nMから500nMの範囲で試験した。多量体VISTA−COMPは、VSIG3−Fcの親和性が約150倍高く、これは主にオフレートの上昇によるものである。
図9B図9Aのつづきである。
図9C図9Bのつづきである。
図9D図9Cのつづきである。
図10図10は、VSIG3に対するブロッキング抗体について試験するために改変された、例示的な親和性に基づく細胞外相互作用スクリーニング(AVEXIS)の概略図を示す。VSIG3−FcをプロテインAプレート上にコーティングし、ブロックし、VSIG3に対するモノクローナル抗体のパネルからの個々のmAbと共にインキュベートした。五量体化ラット軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)へリックスとアルカリホスファターゼに結合したVISTA外部ドメイン(ECD)を添加し、VSIG3とVISTAとの間の相互作用をアルカリホスファターゼ活性に基づいて測定した。
図11図11は、BluePhos試薬を用いて測定されたVSIG3とVISTAとの間の相互作用をブロックするVSIG3に対する抗体についてのAVEXISアッセイスクリーニングからの例示的な結果を示す。バックグランドを差し引いて、結果を650nmでの吸光度を用いて定量した。試験した抗体は、rhVSIG3(1〜245)に対して産生されたマウスモノクローナルである。示されているのは、少なくとも3回の反復の650nm±標準偏差での平均吸光度である。バックグラウンドレベルに近いレベルまでブロックする抗体クローン774206および774208が、図12図14において陽性対照として使用された。
図12図12は、BluePhos試薬を用いて測定されたVSIG3とVISTAとの間の相互作用をブロックするVSIG3に対する抗体についてのAVEXISアッセイスクリーニングからの例示的な結果を示す。バックグランドを差し引いて、結果を650nmでの吸光度を用いて定量した。試験した抗体は、rhVSIG3(1〜245)に対して産生されたマウスモノクローナルである。示されているのは、少なくとも3回の反復の650nm±標準偏差での平均吸光度である。抗体クローン774206および774208が陽性対照として使用され、バックグラウンドを赤い破線で示す。
図13図13は、BluePhos試薬を用いて測定されたVSIG3とVISTAとの間の相互作用をブロックするVSIG3に対する抗体についてのAVEXISアッセイスクリーニングからの例示的な結果を示す。バックグランドを差し引いて、結果を650nmでの吸光度を用いて定量した。試験した抗体は、rhVSIG3(1〜245)に対して産生されたマウスモノクローナルである。示されているのは、少なくとも3回の反復の650nm±標準偏差での平均吸光度である。抗体クローン774206および774208が陽性対照として使用され、バックグラウンドを赤い破線で示す。
図14図14は、BluePhos試薬を用いて測定されたVSIG3とVISTAとの間の相互作用をブロックするVSIG3に対する抗体についてのAVEXISアッセイスクリーニングからの例示的な結果を示す。バックグランドを差し引いて、結果を650nmでの吸光度を用いて定量した。試験した抗体は、rhVSIG3(1〜245)に対して産生されたマウスモノクローナルである。示されているのは、少なくとも3回の反復の650nm±標準偏差での平均吸光度である。抗体クローン774206および774208が陽性対照として使用され、バックグラウンドを赤い破線で示す。PD−1およびPD−L2に対する抗体が陰性対照として使用され、相互作用の崩壊は示されなかった。
図15図15は、VSIG3 COMPがT細胞の増殖および活性化をブロックすることを示す。rhVSIG3は、正常ヒト末梢血T細胞の抗CD3誘導性CD25アップレギュレーションおよび増殖を部分的に阻害することができ、一方、VSIG3−COMPは、抗CD3誘導性CD25発現および増殖を完全に阻害することができる。
図16A図16Aは、rhVISTAが、正常なヒト末梢血T細胞の抗CD3誘導性増殖を阻害することができ、かつこの阻害を、抗ヒトVSIG3抗体(993620)によって逆転することができることを示す。組換えヒトVSIG8(rhVSIG8)タンパク質も抗CD3誘導性増殖を抑制できるが、VSIG3特異的抗体はこの抑制に影響しない。図16Bは、rhVISTAが、正常ヒト末梢血T細胞上で抗CD3誘導性CD25発現を阻害することができ、かつこの阻害を、抗ヒトVSIG3抗体(993620)によって逆転することができることを示す。rhVSIG8タンパク質は抗CD3誘導性CD25発現も抑制できるが、VSIG3特異的抗体はこの抑制に影響しない。図16Cは、rhVISTAが、正常ヒト末梢血T細胞の抗CD3誘導性CD25アップレギュレーションおよび増殖を阻害することができることを示す。この抑制は、アイソタイプ対照抗体(左上)の添加によって影響されなかったが、増殖(左の上下)は、VSIG3モノクローナル抗体973404の添加によって部分的に回復した。T細胞活性化の別の指標であるCD25発現(右の上下)は、rhVISTAの存在下で同様に阻害され、この阻害は、VSIG3抗体の添加により部分的に逆転した。
図16B図16Aのつづきである。
図16C図16Bのつづきである。
図17A図17A図17Dは、VSIG3−VISTA相互作用および関連化合物の複合体の例示的な概略モデルを示す。図17Aは、4:2の分子化学量論を有するVISTA−VSIG3複合体を示す。図17Bは、VSIG3−VSIG8ヘテロダイマーを含むVISTA−VSIG3複合体を示す。図17Cは、PVR−TIGIT複合体の化学量論を示す。図17Dは、PDL1−PD1またはPDL2−PD1複合体の化学量論を示す。
図17B図17Aのつづきである。
図17C図17Bのつづきである。
図17D図17Cのつづきである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、「V−Setおよび3を含有する免疫グロブリンドメイン」(本明細書では、「VSIG3」または「VSIG−3」と呼ばれ、IGSF11としても知られる)に特異的に結合することができる抗体および多量体化タンパク質を含む化合物;例えば、VSIG3とT細胞活性化のV領域免疫グロブリン含有サプレッサー(本明細書では、「VISTA」とも呼ばれ、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー、PD−1H、Gi24、Dies1、DD1α、またはB7−H5としても知られる)との間の相互作用を含む、VSIG3とその結合パートナーとの間の相互作用をブロッキングすることができる化合物;本明細書に記載の化合物を含む組成物;ならびにこれらの化合物および組成物を作製および使用する方法を記載する。
【0033】
VISTAはT細胞抑制を仲介するレセプターである。VSIG3はVISTAのための結合パートナーとして、T細胞寛容の維持に役割を果たしている可能性が高い。さらに、VSIG3とVISTAとの相互作用は、T細胞活性化、T細胞増殖、および/またはT細胞サイトカインまたはケモカイン産生に対して抑制作用を有する。したがって、VSIG3−VISTAの相互作用を阻害する化合物は、例えば、免疫反応の増加を含む免疫調節の変化を可能にし得る。
【0034】
米国仮出願第62/370,395号(2016年8月3日出願)およびPCT出願第PCT/US2017/045314号(そのそれぞれが本明細書中に参照により組み込まれる)に以前に記載されているように、そして本明細書中にさらに記載されるように、VSIG3は、VISTAのための結合パートナーとして特定され、そして特徴付けられている。いくつかの実施形態では、VSIG3はVISTAリガンドである。いくつかの実施形態では、VISTAはVSIG3リガンドである。
【0035】
本明細書および2016年8月3日に出願された米国仮出願第62/370,395号、およびPCT出願PCT/US2017/045314号にさらに記載されるように、中和抗体または他の化合物によるVSIG3/VISTA相互作用の遮断は、腫瘍および感染症の処置に効果的である場合があり、VSIG3/VISTA相互作用を促進または増強するVSIG3/VISTAアゴニストは、自己免疫性、アレルギー性、および炎症性兆候、GVHD、移植、またはT細胞活性化、T細胞増殖、もしくはサイトカイン産生の抑制が所望される他の兆候の処置に有用である場合がある。
【0036】
VSIG3−VISTAの相互作用を調節する化合物およびその使用方法
いくつかの態様において、本発明は、VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物を記載する。いくつかの実施形態において、化合物は、VSIG3とVISTAとの相互作用を調節するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG3とVISTAとの相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG3の多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VISTAの多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VISTAシグナル伝達またはVSIG3シグナル伝達、またはその両方の阻害を含むことができる。例えば、相互作用の調節は、細胞増殖、サイトカイン産生、およびケモカイン産生のうちの少なくとも1つに対するVSIG3またはVISTAの下流効果を増強または破壊することを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、化合物は、本明細書にさらに記載されるように、例えば、モノクローナル抗VSIG3抗体を含む抗VSIG3抗体を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、化合物は、抗VISTA抗体を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物は、VSIG3ポリペプチド、VISTAポリペプチド、融合タンパク質、またはコイルドコイルドメイン、またはそれらの組合せを含んでもよい。いくつかの実施形態では、化合物はFcドメインを含んでもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、化合物は、VSIG3の可溶性フラグメントおよび/またはVSIG3の細胞外領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、VISTAの可溶性フラグメントおよび/またはVISTAの細胞外領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、表1の配列のうちの少なくとも1つによってコードされるタンパク質を含んでもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、表1の配列の少なくとも1つに対して、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有するようにコードされるタンパク質を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、本化合物は、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、または多量体化VSIG8、またはその組み合わせを含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、化合物は、例えば、CD3誘導性IL−2産生、CD3誘導性インターフェロン−γ産生、CD3誘導性RANTES産生、CD3誘導性MIP−1アルファ産生、CD3誘導性IL−17産生、および/またはCD3誘導性CXCL11産生を含むT細胞シグナル伝達に影響する場合がある。いくつかの実施形態では、化合物は、T細胞増殖に影響を及ぼす場合がある。理論に拘束されることを望むものではないが、VISTAおよび/またはVSIG3は、これらのCD3誘導効果を阻害することができると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、化合物は、その阻害を逆転させることができる。
【0043】
本発明はさらに、VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物を導入することによって、VISTAとVSIG3との相互作用を調節することを記載する。例えば、対象は、治療有効量の化合物で処置されてもよい。いくつかの実施形態において、VSIG3は、対象から得られた生物学的試料内に過剰発現される場合がある。
【0044】
抗体
いくつかの実施形態では、本開示は、VSIG3に結合する抗体(すなわち、抗VSIG3抗体)を記載する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトVSIG3(hVSIG3)に結合する。
【0045】
いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、VSIG3に結合する抗体は、表2Aに列挙されるハイブリドーマ細胞株(本明細書ではクローンとも呼ばれる)によって、および/または組換え方法によって産生されるモノクローナル抗体を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、表3Aに列挙されるポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、表3Aに列挙されるペプチド免疫原を使用して産生されたポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド免疫原は、システイン修飾を伴う表3Aに列挙される配列を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド免疫原は、システイン修飾を伴わない表3Aに列挙される配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗体は単離された抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、タンパク質A−もしくはG−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析法、または親和性クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって単離または精製されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、VSIG3ポリペプチドを認識する。いくつかの実施形態では、VSIG3ポリペプチドは、ヒトVSIG3(配列番号1;Uniprot番号Q5DX21;遺伝子ID:152404)またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態では、VSIG3ポリペプチドは、マウスVSIG3(Uniprot番号:P0C673;遺伝子ID:207683)またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、非還元VSIG3ポリペプチドを認識する。
【表1】
【0049】
いくつかの実施形態では、VSIG3に結合する抗体は、任意のタイプの分子の抗体への共有結合によって修飾またはコンジュゲートされる抗体の誘導体を含んでもよい。このような抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性切断、毒素、または細胞リガンドもしくは他のタンパク質への結合によって修飾された抗体が含まれる。多数の化学修飾のいずれも、ツニカマイシンの特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、および代謝合成を含むが、これらに限定されない公知の技法によって実行することができる。さらに、誘導体は1つ以上の非古典的なアミノ酸を含有していてもよい。
【0050】
VSIG3に結合する抗体は、当該分野で周知の技法によって、検出可能なマーカーに直接的または間接的に結合されてもよい。検出可能なマーカーは、例えば、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的な手段によって検出可能な薬剤である。有用な検出可能なマーカーには、蛍光染料、化学発光化合物、放射性同位元素、高電子密度試薬、酵素、補酵素、着色粒子、ビオチン、またはジオキシゲニンが含まれるが、これらに限定されない。検出可能なマーカーは、しばしば、放射能、蛍光、色彩、または酵素活性などの測定可能なシグナルを生成する。検出可能な薬剤にコンジュゲートされた抗体は、診断または治療目的のために使用されてもよい。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、様々な陽電子放出断層撮影法を用いた陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンが含まれる。検出可能な物質は、当該分野で公知の技法を使用して、例えば、当該分野で公知のリンカーのような中間体を介して、抗体に直接的または間接的のいずれかで結合またはコンジュゲートされ得る。例えば、診断用途のための抗体への金属イオンのコンジュゲーションを記載している米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウムベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、およびフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ、生物発光物質の例としては、ルシフェリン、エクオリンなどが挙げられ、適切な放射性物質の例としては、ヨウ素(121I、123I、125I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(111In、112In、113mIn、115mIn)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、および97Ruが挙げられる。このような治療部分を抗体にコンジュゲートさせるための技法は周知である。
【0051】
これらのハイブリドーマ細胞株の子孫または誘導体によって産生されるモノクローナル抗体、当量または類似のハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体、および/またはそれらから作製される組換え誘導体もまた、本発明に含まれる。いくつかの実施形態では、VSIG3に結合する抗体は、例えば、ウサギB細胞由来モノクローナル抗体を含む組換え誘導モノクローナル抗体を含む。
【0052】
無傷の抗体分子は、2つの重(H)鎖状可変領域(本明細書中ではVと略される)および2つの軽(L)鎖状可変領域(本明細書中ではVと略される)を有する。VおよびV領域は、「相補性決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化することができ、「フレームワーク領域」(「FR」)と呼ばれる、より保存された領域に散在する。FRおよびCDRの程度は、正確に定義されている(Kabat et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242、および Chothia et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901−917を参照のこと)。各VおよびVは、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順序で配列される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0053】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体と同じ重鎖を有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体と同じ軽鎖を有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体と同じ重鎖および同じ軽鎖を有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、上記で特定された重鎖および/または軽鎖において、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のアミノ酸置換を含むことができ、ここで、アミノ酸置換は、VSIG3への抗体の結合に実質的に影響を及ぼさない。
【0054】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローン化のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体と同じVドメインを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローン化のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体と同じVドメインを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体と同じVドメインおよび同じVドメインを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、抗体のVSIG3への結合に実質的に影響を及ぼさない、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のアミノ酸置換を、上記で特定されたVドメインおよび/またはVドメイン中に含有することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローン化のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体のVドメインの少なくとも1つのCDRを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体のVドメインの少なくとも2つのCDRを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローン化のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体のVドメインの少なくとも3つのCDRを有するモノクローナル抗体を含む。
【0056】
さらに、またはあるいは、いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体のVドメインの少なくとも1つのCDRを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローン化のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体のVドメインの少なくとも2つのCDRを有するモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、表2Aのクローン化のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体のVドメインの少なくとも3つのCDRを有するモノクローナル抗体を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、VSIG3への抗体の結合に実質的に影響を及ぼさない、上記で特定された1つ以上のCDRにおける1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のアミノ酸置換を含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、1つ以上のフレームワーク領域(FR)に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態では、置換またはフレームワーク領域(FR)における置換は、VSIG3への抗体の結合に実質的に影響を及ぼさない。
【0059】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体のVドメインの少なくとも1つのCDRのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体のVドメインの少なくとも2つのCDRのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体のVドメインの少なくとも3つのCDRのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体のVドメインの少なくとも1つのCDRのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体のVドメインの少なくとも2つのCDRのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体のVドメインの少なくとも3つのCDRのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗VSIG3抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、抗体は、表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のアミノ酸置換を含むことができ、置換は、VSIG3への抗体の結合および/または抗体の機能に実質的に影響を及ぼさない。
【0067】
いくつかの実施形態において、抗VSIG3抗体は、VSIG3のABE Ig面と相互作用する抗体を含む(図17〜18)。いくつかの実施形態において、抗VSIG3抗体は、VSIG3のGFC Ig面と相互作用する抗体を含む(図17〜18)。
【0068】
抗体は、任意の適切な種由来の抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、抗体はマウス抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、抗体はラット抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、抗体はウサギ抗体であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗体またはIgGサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4を含む)であってもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、以下のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG2CおよびIgG3のうちの1つのマウスIgGであってもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、以下のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、またはIgG2Cのうちの1つのラットIgGであってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、抗体はカッパ軽鎖を含んでもよい。いくつかの実施形態では、該抗体は、ラムダ軽鎖を含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、および/またはFvフラグメントを含む抗原結合フラグメントを含む。
【0072】
モノクローナル抗体は、任意の適切な技法によって得られる場合がある。いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、組換えDNA方法によって作製されてもよく、ファージディスプレイによって産生されてもよく、かつ/またはコンビナトリアル方法によって産生されてもよい。VSIG3に結合する抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて容易に単離および配列決定され得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの供給源として役立つ場合がある。いったん単離されるとDNAは、宿主細胞(例えば、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎細胞(HEK)、または免疫グロブリンタンパク質をそうでなければ産生しない骨髄腫細胞を含む)にトランスフェクトするか、またはゲノム編集(例えば、CRISPR−Casシステムを用いる)によって宿主細胞の中へと導入されて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る場合がある。VSIG3に結合する抗体をコードするDNAは、例えば、抗体をヒト化するように修飾される場合がある。
【0073】
いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体であってもよい。VSIG3に結合する抗体は、任意の適切な方法によってヒト化され得る。ヒト化モノクローナル抗体を産生するための技法は、例えば、Jones et al.(1986)Nature 321:522 and Singer et al.(1993)J.Immunol.150:2844に見出される場合がある。例えば、抗体のヒト化は、ヒトにおいて使用される場合、抗体の免疫原性を減少させるための抗体に対する変化を含む場合がある。いくつかの実施形態において、VSIG3に結合するヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む場合がある。VSIG3に結合するヒト化抗体は、いくつかの実施形態において、ヒト免疫グロブリン(受容者抗体)を含む場合があり、ここで、受容者抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR)由来の残基は、VSIG3に結合する非ヒト種抗体(ドナー抗体)(マウス抗体、ラット抗体、またはウサギ抗体など)の1つ以上のCDR由来の残基によって置換される。いくつかの実施形態において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、VSIG3に結合する抗体由来の対応する非ヒト残基によって置換され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、すなわち、異なる部分が異なる動物種に由来する抗体を含む。キメラ抗体は、例えば、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的特異性のヒト抗体分子由来の遺伝子と一緒にスプライシングすることによって得られ得る。例えば、Takeda et al.(1985)Nature 314:544を参照のこと。
【0075】
いくつかの実施形態では、抗体は、二重特異性または二機能性抗体を含む。二重特異性または二機能性抗体は、2つの異なる重/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはF(ab’)フラグメントの連結を含む種々の方法によって産生されてもよい。例えば、Songsivilai and Lachmann(1990)Clin.Exp.Immunol.79:315、Kostelny et al.(1992)J.Immunol.148:1547を参照のこと。さらに、二重特異性抗体は、「ダイアボディ」(Holliger et al.(1993)PNAS USA 90:6444)または「Janusin」(Traunecker et al.(1991)EMBO J.10:3655、Trauneck et al.(1992)Int.J.Cancer Suppl.7:51)として形成されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、抗体は、動物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ウマ、ニワトリ、または七面鳥を含むが、これらに限定されない)によって産生され、動物からの細胞によって産生され、化学的に合成され、または組換え的に発現される。抗体は、免疫グロブリン分子の精製のための当該分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解性によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の通常の技法によって精製され得る。さらに、抗体は、本明細書に記載されるように、または、例えば、精製を容易にするためを含めて、別の方法で当技術分野で公知であるように、異種ポリペプチド配列に融合され得る。
【0077】
モノクローナル抗体は、本明細書に記載の方法によって、および当技術分野で公知の任意の適切な方法によって、免疫特異的結合についてアッセイされてもよい。使用され得るイムノアッセイには、BIACORE分析、蛍光活性化セルソーター(FACS)分析、免疫蛍光、免疫細胞化学、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、イムノ拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、およびタンパク質Aイムノアッセイなどの技法を使用する競合および/または非競合アッセイシステムが含まれるが、これらに限定されない。このようなアッセイは、ルーティンであり、当技術分野で周知である(例えば、Ausubel et al.,eds,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,N.Y.(1994)参照)。
【0078】
いくつかの実施形態では、VSIG3に結合する抗体は、VSIG3のVSIG3リガンドまたはVSIG3レセプターへの結合を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、VSIG3のVISTAへの結合を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態において、VISTAは、ヒトVISTA(配列番号4;Uniprot番号Q9H7M9;遺伝子ID64115)である。いくつかの実施形態では、抗体は、VSIG3のVSIG3リガンド(例えば、VISTAを含む)への結合を、少なくとも10パーセント(%)、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%低下させる場合がある。
【0079】
いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、表2のハイブリドーマ細胞株(クローンまたは抗体クローンとも呼ばれる)のうちの少なくとも1つによって産生されるモノクローナル抗体を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、VSIG3の細胞外ドメインで動物を免疫することによって作製されてもよい。いくつかの実施形態において、VSIG3に結合する抗体は、ヒトVSIG3のアミノ酸1〜245(Uniprot数:Q5DX21;遺伝子ID:152404)で動物を免疫することによって作製されてもよい。いくつかの実施形態では、動物は哺乳動物であってもよい。例えば、動物は、ウサギ、マウス、ヤギ、ヒツジ(sheet)、ラマまたはラットであってもよい。いくつかの実施形態では、動物はニワトリであってもよい。
【0081】
別の態様において、本開示は、単離されたポリヌクレオチド分子を記載する。いくつかの実施形態において、単離されたポリヌクレオチド分子は、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、単離されたポリヌクレオチド分子は、本明細書に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、単離されたポリヌクレオチド分子は、抗体またはその相補体をコードするヌクレオチド配列に高ストリンジェンシー下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。本明細書中で使用される場合、「ストリンジェントな条件」とは、第1のポリヌクレオチド分子が、0.5MのNaHPO、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および1mMのEDTA中の第2のフィルタ結合ポリヌクレオチド分子と65℃にてハイブリダイズし、そして結合したままであり、続いて、0.2×SSC/0.1%のSDS中で、42℃にて洗浄する(Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,Green Publishing Associates,Inc.,and John Wiley & Sons,Inc.,N.Y.(1989)、p.2.10.3を参照のこと)能力を指す。いくつかの実施形態において、単離されたポリヌクレオチド分子は、CDRのうちの1つ以上または本発明のモノクローナル抗体の重鎖および/または軽鎖鎖状をコードするポリヌクレオチドを含む。免疫グロブリン可変ドメインおよび定常領域をクローニングおよび配列決定するための一般的な技法は周知である。例えば、Orlandi et al.(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:3833を参照のこと。
【0082】
別の態様において、本開示は、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む組換えベクターを記載する。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、またはファージの形態であってもよい。適切なDNA配列は、種々の手順によってベクターに挿入されてもよい。一般に、DNA配列は、当該分野で公知の手順によって、ベクター中の適切な制限エンドヌクレアーゼ部位の中へと挿入される。このような手順は、当業者の範囲内であると考えられる。多数の適切なベクターおよびプロモーターが、当業者に公知であり、かつ市販されている。以下のベクターは、例として提供される。細菌ベクターには、例えば、pQE70、pQE60、pQE−9、pBS、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、およびpRIT5が含まれる。真核生物ベクターには、例えば、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLが含まれる。しかしながら、任意の他のプラスミドまたはベクターが使用されてもよい。
【0083】
さらなる態様において、本開示はまた、上述のベクターのうちの少なくとも1つを含む宿主細胞を含む。宿主細胞は、哺乳動物または昆虫細胞のような高等真核細胞、または酵母細胞のような低等真核細胞であってもよい。または、宿主細胞は、原核細胞、例えば細菌細胞、または植物細胞であってもよい。宿主細胞へのベクター構築物の導入は、任意の適切な技術(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーション)によって達成されてもよい。(Davis et al.,Basic Methods in Molecular Biology(1986))。
【0084】
本発明の抗体は、適切なプロモーターの制御下で、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞において発現されてもよい。無細胞翻訳系はまた、本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用して、このようなタンパク質を産生するためにも使用されてもよい。原核および真核宿主と共に使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Sambrookら、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されている。
【0085】
また、本発明には、本発明の抗体から1つ以上の超可変領域を発現するファージディスプレイライブラリー、およびこのようなファージディスプレイライブラリーから得られるクローンも含まれる。ファージディスプレイライブラリーを用いて、抗体由来分子を産生する。抗体の抗原結合可変ドメインをコードする遺伝子セグメントは、バクテリオファージのコートタンパク質をコードする遺伝子に融合される。このような遺伝子融合体を含有するバクテリオファージは、バクテリアを感染させるために使用され、得られるファージ粒子は、バクテリオファージの外側に提示される抗原結合ドメインを有する、抗体融合タンパク質を発現するコートを有する。ファージディスプレイライブラリーは、例えば、New England Biolabs Inc.,Ipswich,MAから入手可能な、Ph.D.−7ファージディスプレイペプチドライブラリーキット(カタログ番号E8100S)またはPh.D.−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット(カタログ番号E8110S)を使用して調製され得る。例えば、Smith and Petrenko(1997)Chem Rev.97:391−410を参照のこと。
【0086】
ハイブリドーマ細胞株
本開示はさらに、例えば、表2Aのハイブリドーマ細胞株を含むモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞株(本明細書では「クローン」または「抗体クローン」とも呼ばれる)を記載する。いくつかの実施形態において、ハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体は、VSIG3に結合する。いくつかの実施形態において、ハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体は、VISTAへのVSIG3の結合を阻害する。
【0087】
ハイブリドーマ細胞株は、当業者によく知られた様々な技術によって得られ得る。例えば、所望の抗原で免疫された動物由来の細胞は、一般に骨髄腫細胞との融合によって不死化される(例えば、Kohler and Milstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511; J.Goding in “Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,” Academic Press,pp 59−103(1986);および Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,page 726(Cold Spring Harbor Pub.1988を参照のこと)。いくつかの実施形態では、免疫された動物は、好ましくは哺乳動物である。いくつかの実施形態において、免疫動物は、例えば、Wistarラットを含むラット、または例えば、BALB/Cマウスを含むマウスである。いくつかの実施形態では、動物由来の細胞は脾臓細胞である。いくつかの実施形態において、動物由来の細胞は、好ましくはリンパ球である。いくつかの実施形態では、骨髄腫細胞は、P3X63Ag8.653細胞を含む。
【0088】
モノクローナル抗体を産生する形質転換B細胞株を産生する他の公知の方法もまた、使用され得る。
【0089】
組換え抗体
本開示は、組換え誘導モノクローナル抗体をさらに記載する。組換え由来のモノクローナル抗体は、例えば、ウサギB細胞由来のモノクローナル抗体を含み得る。本発明のモノクローナル抗体は、例えば、ファージディスプレイまたはコンビナトリアル法を含む任意の好適な組換え技法によって産生され得る。例えば、米国特許第5,223,409号;国際特許公開第92/18619号;同第91/17271号;同第92/20791号;同第92/15679号;同第93/01288号;同第92/01047号;同第92/09690号;または同第90/02809号を参照のこと。このような方法は、ヒトモノクローナル抗体を生成するために使用され得る。
【0090】
抗VSIG3抗体に対する使用
本明細書中に記載されるように、VSIG3に結合する抗体は、任意の適切な適用のために使用され得る。例えば、モノクローナル抗体は、インビトロ診断およびインビボ診断の両方および治療方法において使用されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、抗体は、インビトロまたはインビボでのVSIG3タンパク質の発現レベルを決定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、抗体は、インビボまたはインビトロで細胞を標識するために使用され得る。いくつかの実施形態において、抗体は、患者試料におけるVSIG3タンパク質のレベル発現を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、患者試料は、哺乳動物癌細胞を含む場合がある。
【0092】
いくつかの実施形態では、抗体は標識されてもよい。例えば、抗体は、細胞を標識するために使用されてもよく、また標識された細胞は、二次的な方法を介して直接的または間接的に画像化されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。
【0093】
いくつかの実施形態では、対象由来の試料中のVSIG3タンパク質の有無を特定するために、抗体を使用してもよい。いくつかの実施形態では、VSIG3の存在を特定することは、対象由来の試料中のVSIG3の量を特定することを含む場合がある。
【0094】
いくつかの実施形態では、抗体は、VSIG3とVISTAとの相互作用を調節するために使用され得る。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG3とVISTAとの相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG3の多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VISTAの多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態においては、抗体は、VSIG3のVISTAとの相互作用をアゴナイズおよび/またはアンタゴナイズすることができる。このようなアゴニズムおよび/またはアンタゴニズムは、免疫療法効果を生成することができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、VSIG3またはVISTA、あるいはその両方は、細胞の表面上で発現され得る。
【0096】
本開示は、抗体を含むキットをさらに記載した。例えば、キットは、抗VSIG3モノクローナル抗体を含む組成物を含んでもよい。キット中の抗体は、本明細書中に記載されるように、1つ以上の検出可能なマーカーで標識されていてもよい。
【0097】
キットは、本発明の1つ以上のモノクローナル抗体で満たされた1つ以上の容器を含んでもよい。さらに、キットは、緩衝剤および本発明を実施するために必要とされる溶液などの他の試薬も含んでもよく、これらも含まれる。任意選択で、そのような容器(複数可)には、通知または印刷されたインストラクションが関連付けられてもよい。本明細書で使用される「包装材料」という語句は、キットの中身を収容するために使用される1つ以上の物理的な構造を指し、包装材料は、好ましくは滅菌された汚染物質のない環境を提供するために、周知の方法によって構築される。本明細書で使用される「包装」という語は、ポリぺプチドを固定限度内に保持することができる、グラス、プラスチック、紙、箔などの固形マトリックスまたは材料を指す。
【0098】
VSIG3−VISTAの相互作用を調節する抗体および/または化合物を含む組成物
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の抗体のうちの少なくとも1つ、および/または本明細書に記載のVSIG3−VISTA相互作用を調節する化合物のうちの少なくとも1つを含む組成物を記載する。
【0099】
いくつかの実施形態において、組成物はまた、例えば、pHを許容可能な範囲に維持するのを助けるための緩衝剤、または微生物の増殖を遅延させるための保存剤も含んでもよい。組成物はまた、例えば、担体、賦形剤、安定剤、キレート剤、塩類、または抗菌剤も含んでもよい。許容される担体、賦形剤、安定剤、キレート剤、塩、保存剤、緩衝剤、または抗菌剤は、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;アジ化ナトリウム、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウムなどの防腐剤;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール;ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または非特異的免疫グロブリンなどのタンパク質;オリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、デキストリンを含む単糖類、二糖類、およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;金属複合体(例えば、亜鉛(Zn)−タンパク質複合体);および/またはTWEEN、PLURONICS、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態では、組成物は医薬組成物であり、モノクローナル抗体および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。本明細書の教示に記載される抗体を含む医薬組成物の調製において、当業者に明らかであるように、種々のビヒクルおよび賦形剤が使用されてもよい。
【0101】
医薬組成物は、一般に、薬学的に許容可能な担体および薬理学的に有効量の抗体、または抗体の混合物を含む。
【0102】
医薬組成物は、粉末、顆粒、溶液、懸濁液、エアロゾル、固体、丸薬、タブレット、カプセル、ゲル、局所クリーム、坐剤、経皮パッチ、および/または当技術分野で公知の別の剤型として製剤化されてもよい。
【0103】
本明細書中に記載される目的のために、抗体の薬学的に許容可能な塩は、有機および無機酸および/または塩基を含む、任意の当該分野で認識される薬学的に許容可能な塩を含むことが意図される。塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、ならびに第一級、第二級および第三級アミン、メチル、エチルおよびプロピルなどの低級炭化水素のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の塩としては、酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、サリチル酸などの有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」は、薬学的組成物を製剤化する際に当業者に公知の任意の標準的な薬学的に許容された担体を含む。例えば、抗体は、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、水性エタノール水、またはグルコース、マンニトール、デキストラン、プロピレングリコール、油(例えば、植物油,動物油,合成油など)、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ゼラチン、ポリソルベート80の溶液、または適切な賦形剤中の固形剤型を含む、薬学的に許容可能な希釈剤中の剤型として調製されてもよい。
【0105】
医薬組成物は、しばしば、1つ以上の緩衝液(例えば、中性緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、ショ糖またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(グリシン、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールなど)など)、静菌剤、キレート剤(EDTAまたはグルタチオンなど)、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、剤型を受容者の血と等張、低張または弱高張にする溶質、懸濁化剤、増粘剤および/または防腐剤をさらに含む。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として製剤化されてもよい。
【0106】
当業者に公知の任意の適切な担体を、本明細書に記載の抗体の少なくとも1つを含む組成物において使用してもよい。抗体組成物は、例えば、経口、鼻、粘膜、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、および筋肉内投与を含む、任意の適切な投与様式のために製剤化されてもよい。
【0107】
投与と処置
本開示の組成物は、選択された投与経路に適合した種々の形態の医薬品に製剤化することができる。当業者は、組成物が、投与の様式および投薬単位に依存して変化することを理解するであろう。例えば、非経口投与のために、等張生理食塩水が使用されてもよい。局所投与のために、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの担体を含むクリーム、またはペプチドの活性をブロックまたは阻害しない局所クリーム中に典型的に見出される他の薬剤が使用されてもよい。他の好適な担体としては、アルコール、リン酸緩衝生理食塩水、および他の平衡塩類溶液が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、静脈内、局所、経口、皮下、腹腔内、および筋肉内送達を含むが、これらに限定されない、様々な方法で投与されてもよい。いくつかの態様において、本発明の化合物は、制御放出または持続放出のために製剤化されてもよい。いくつかの態様では、制御放出または持続放出のための剤型は、皮下移植に適している。いくつかの態様では、制御放出または持続放出のための剤型は、貼付剤を含む。化合物は、経腸投与のために製剤化されてもよく、例えば、カプセルまたはタブレットとして製剤化されてもよい。
【0108】
投与は単回投与としてであっても、複数回投与であってもよい。いくつかの実施形態では、用量は、本明細書に記載されるものを含むが、これに限定されない標準的な方法によって決定されるような有効量である。臨床試験の当業者は、標準的な研究を通して、特定の化合物の用量を最適化することができるであろう。さらに、組成物の適切な用量は、標準的な用量応答プロトコルを使用して、過度の実験なしに決定され得る。投与には、本添付の実施例に記載されている用量および投与スケジュール、投与間隔、および/または投与パターンのいずれかを含むが、これらに限定されない。
【0109】
本開示による抗体を含む組成物は、例えば、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、エアロゾル、頬側および/または舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、および/または静脈内を含む)、皮内、膀胱内、関節内、細動脈内、脳室内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、吸入による、または病変内(例えば、腫瘍の中または周囲への注射による)を含むが、これらに限定されない任意の適切な手段によって投与されてもよい。
【0110】
水溶液での非経口投与に関しては、例えば、溶液は、必要な場合は適切に緩衝化し、希釈液を十分な生理食塩水またはグルコースでまず等張させる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与に特に適している。これに関して、使用され得る滅菌水系媒体は、当業者には公知であろう。用量のいくらかの変動は、処置される対象の状態に依存して必然的に生じることになる。いずれにしても、投与責任者が、個々の対象に適切な投与量を決定することになる。さらに、ヒトへの投与のために、調製物は、米国食品医薬品局によって要求されるような、無菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性および純度の基準を満たすべきである。このような調製物は、発熱物質を含まない場合がある。
【0111】
放出される薬剤をカプセル化するポリマーまたはタンパク質微粒子、薬剤を投与するために局所に(topically)または局所的(locally)に使用され得る軟膏、ゲル、または溶液、および長期間にわたって制御放出を提供するパッチさえも含む、多くの好適な剤型が知られている。これらはまた、インプラントの形態をとってもよい。このようなインプラントは、腫瘍内に移植される場合がある。
【0112】
本発明の化合物はまた、凍結乾燥形態で提供され得る。このような組成物は、投与前に再構成するための緩衝液、例えば、重炭酸塩を含んでもよく、または緩衝液は、例えば、水で再構成するために凍結乾燥組成物中に含まれてもよい。凍結乾燥組成物は、適切な血管収縮剤、例えば、エピネフリンをさらに含んでもよい。凍結乾燥された組成物は、シリンジ内で提供されてもよく、場合により、再構成のための緩衝液と組み合わせて包装されてもよく、その結果、再構成された組成物は、直ちに患者に投与され得る。
【0113】
本明細書中で使用される場合、「処置する」または「処置」は、治療的および/または予防的処置を含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「障害を処置する」は、絶対的な用語であることを意図されない。処置は、予後の改善または症状の頻度もしくは重症度の減少をもたらす場合がある。本明細書中で使用される場合、「治療的に有効である」濃度または量は、対象に対する何らかの向上または利益を提供する量である。処置の所望の効果は、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患のいずれかの直接的または間接的な病理学的結果の減少、疾患の進行の速度の減少、疾患状態の向上または緩和、ならびに寛解または予後の向上を含む。同様に、本明細書中で使用される場合、「予防する」という用語は、絶対的な用語として意図されない。その代わり、予防とは、発症の遅延、症状の頻度の低下、または障害に関連する症状の重症度の低下を指す。したがって、予防は、当業者によって理解される広範囲の予防手段を指す。状況によっては、症状の頻度および重症度を非病理学的量まで低下させる。いくつかの状況において、本発明の組成物を受容する個体の症状は、この障害を有する未処置の個体によって経験される症状として90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%のみの頻度または重症度である。
【0114】
治療有効濃度および量は、本明細書に記載されるような既知のインビトロおよびインビボ系において化合物を試験することによって、本明細書中の各適用について経験的に決定されてもよく、次いで、ヒトまたは他の動物についての用量は、それから推定されてもよい。
【0115】
正確な用量および処置期間は、処置される疾患の関数であり、そして公知の試験プロトコルを使用して経験的に決定されてもよく、またはインビボもしくはインビトロ試験データからの推定によって決定されてもよいことが理解される。濃度および用量値はまた、緩和されるべき症状の重症度によって変化し得ることに留意されたい。任意の特定の対象について、個々の必要性および組成物の投与を管理または監督する人物の専門的判断に従って、具体的な投薬レジメンを経時的に調整すべきであり、また本明細書に記載の濃度範囲は単に例示的なものにすぎず、特許請求される組成物および方法の範囲または実施を限定することを意図しないことをさらに理解されたい。
【0116】
組成物の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(母集団の50%に対する致死的な用量)およびED50(母集団の50%に対して治療的に効果的な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性と治療効果の用量比は治療指数であり、LB50とED50との間の比率で表すことができる。高い治療指数を示す組成物が好ましい場合がある。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を処方する際に使用される場合がある。このような組成物の用量は、好ましくは、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある場合がある。投薬量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。厳密な処方、投与経路および用量は、患者の状態の視点から個々の医師によって選ばれてもよい。
【0117】
本明細書中に記載される組成物は、一度に投与されてもよく、または時間間隔で投与されるある数のより少ない用量に分割されてもよい。例えば、組成物は、繰り返し、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8回、またはそれ以上の回数投与されてもよく、または連続注入によって投与されてもよい。正確な用量および処置期間は、処置される疾患の関数であり、そして公知の試験プロトコルを使用して経験的に決定されてもよく、またはインビボもしくはインビトロ試験データからの推定によって決定されてもよいことが理解される。濃度および用量値はまた、緩和されるべき状態の重症度によって変化する場合があることに留意されたい。任意の特定の対象について、個々の必要性および組成物を投与する、もしくは投与を監督する人物の専門的判断に従って、具体的な投薬レジメンを経時的に調整すべきであり、また本明細書に記載の濃度範囲は単に例示的なものにすぎず、特許請求される組成物および方法の範囲または実施を限定することを意図しないことをさらに理解されたい。
【0118】
いくつかの治療用実施形態では、薬剤の「有効量」は、少なくとも1つの病理学的パラメータの減少をもたらす量である。したがって、例えば、本開示のいくつかの態様において、有効量は、薬剤で処置されていない個体におけるパラメータの予想される減少と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の減少を達成するのに有効な量である。
【0119】
本開示の方法のいくつかの態様において、方法は、1つ以上のさらなる治療薬剤の投与をさらに含む。本明細書に記載のモノクローナル抗体の投与の前、後、および/または投与と同時に、1つ以上のさらなる治療薬を投与してもよい。追加の治療薬は、例えば、化学療法、放射線療法などを含んでもよい。追加の治療薬は、別々に、または混合物もしくはカクテルの一部として投与されてもよい。本開示のいくつかの態様において、抗体の投与は、他の治療法単独の投与と比較した場合、他の治療法のより低い用量の有効性を可能にする場合があり、他の方法のより高い用量の投与で観察される毒性からの軽減を提供する。
【0120】
本開示の方法のいくつかの態様において、本明細書に記載されるような組成物および少なくとも1つのさらなる治療剤の投与は、治療的相乗効果を実証する。本開示の方法のいくつかの態様では、本明細書に記載の抗体および追加の治療薬剤の両方を投与した後に観察される処置に対する応答の測定は、抗体または追加の治療薬剤のいずれかを単独で投与した後に観察される処置に対する応答の同じ測定よりも改善される。
【0121】
VSIG3/VISTAアゴニストおよび/またはVSIG3/VISTAアンタゴニストの特定および使用方法
VSIG3とVISTAとの間の相互作用は、VISTAとVISIGとの結合をアゴナイズおよび/またはアンタゴナイズするアゴニストまたはアンタゴニストを特定するため、および/またはVSIG3/VISTA相互作用の作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズするために使用することができる。いくつかの実施形態では、VSIG3/VISTA相互作用は、T細胞免疫に対するVSIG3/VISTA相互作用である。いくつかの実施形態では、VSIG3/VISTA相互作用は、VISTAシグナル伝達を含む。ある場合には、VSIG3/VISTAアンタゴニストは、細胞増殖に対するVISTAの抑制効果を実質的に阻害または予防するであろう。特定の場合において、VSIG3および/またはVISTAアンタゴニストは、VSIG3とVISTAとの相互作用を実質的に阻害または予防する。ある場合には、VSIG3および/またはVISTAアンタゴニストは、CD3誘導性MIP−1アルファ、CD3誘導性Rantes(CCL5)、CD3誘導性CXCL11、CD3誘導性インターフェロン(IFN)−γ、IL−2および/またはIL−17(IL−17Aとしても知られる)産生の抑制をもたらすことになる。このような産生は、末梢血単核細胞(PBMC)および/またはT細胞において減少される場合がある。この抑制は、VISTAおよび/またはVSIG3を発現する細胞を用いたインビトロ細胞ベースのアッセイを使用して検出され得る。逆に、ある場合には、VSIG3/VISTAアゴニストは、免疫に対するVISTAの抑制効果を実質的に強化または増強するであろう。この強化はまた、VISTAおよび/またはVSIG3を発現する細胞を用いた細胞ベースのアッセイを使用して、インビトロを使用しても検出することができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、VSIG3とVISTAとの相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズする。いくつかの実施形態において、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、VSIG3とVISTAとのうちの少なくとも一方が細胞表面上で発現される場合、VSIG3とVISTAとの相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズする。いくつかの実施形態では、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、VSIG3の多量体化をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることができる。VSIG3の多量体化は、例えば、VSIG8を含む、VSIG3のホモ二量体化および/またはVSIG3のヘテロ二量体化を含む場合がある。
【0123】
いくつかの実施形態では、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、抗体を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、抗VISTA抗体を含む。いくつかの実施形態では、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、抗VSIG3抗体を含む。
【0124】
VSIG3/VISTAアゴニストおよびVSIG3/VISTAアンタゴニストを、ヒトの治療に使用するために製剤化することができる。例えば、いくつかの場合において、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストを、1つ以上の好適な担体、賦形剤、安定剤、キレート剤、塩類、または抗菌剤と組合せて含む組成物を提供することができる。さらに、組成物中のVSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、インビボ安定性を増強するように改変することができる。例えば、いくつかの場合において、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、1つ以上の所望の部分(ポリエチレングリコールポリマーなどの1つ以上の水溶性重合体など)に結合することができる。また、場合によっては、組成物は、2つ以上のVSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストを含むこともできる。
【0125】
いくつかの場合において、自己免疫、アレルギーまたは炎症状態などの治療的に望ましい状態においてT細胞免疫を阻害するためのVSIG3/VISTAアゴニストを含有する組成物が提供される。このような組成物は、それを必要とする対象においてT細胞の活性化または増殖を抑制するのに効果的な量のVSIG3/VISTAアゴニストを含むことができる。例示的な自己免疫、炎症、およびアレルギー状態には、RAなどの関節炎状態、乾癬性関節炎、強皮症、多発性硬化症、ループス、IBD、ITP、糖尿病、サルコイドーシス、アレルギー性喘息が含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
他の場合において、T細胞免疫を促進し、そしてこれが治療的に望ましい状態(例えば、癌および感染性疾患の状態)を処置するために、VSIG3/VISTAアンタゴニストを含む組成物が提供される。このような組成物は、それを必要とする対象(例えば、癌を有する対象)においてT細胞の活性化または増殖を促進するのに効果的な量の拮抗薬を含むことができる。
【0127】
VSIG3/VISTAアンタゴニストは、癌を処置するために使用される組成物内に提供することができる。癌には、黒色腫、リンパ腫、白血病、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、精巣癌、消化器癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌および皮膚癌を含むことができるが、これらに限定されない。また、出願人は、VSIG3が健常組織と比較して結腸癌組織および肝臓癌組織で高発現していることも発見した。従って、いくつかの場合において、VSIG3/VISTAアンタゴニストは、結腸癌を処置するために使用される組成物内に提供することができる。また、いくつかの場合において、VSIG3/VISTAアンタゴニストを、肝臓癌を処置するために使用される組成物内に提供することができる。ある場合には、VSIG3/VISTAアンタゴニストを、PBMCにおけるMIP−1アルファ、ランテス(CCL5)、CXCL11、およびIL−17分泌の抑制を防止するために、VSIG3とVISTAとの相互作用をブロッキングすることによって、癌を処置するために使用される組成物内に提供することができ、それは次に、T細胞、単球、樹状細胞およびマクロファージの癌組織への浸潤を可能にする。
【0128】
癌は、VSIG3および/またはVISTAを発現する癌または発現しない癌を含み、さらに、免疫、間質または疾患細胞によるVSIG3および/またはVISTA発現が抗腫瘍応答および抗侵襲性免疫応答を阻害する、非転移性または非浸潤性ならびに浸潤性または転移性癌、ならびに血管新生腫瘍を特徴とする癌を含む。
【0129】
VSIG3/VISTAアンタゴニストはまた、HIV、HPV、EBV、脳炎、疱疹、他の痘ウイルス、および他の既知のヒトウイルス、寄生性疾患、細菌性疾患、真菌または酵母関連疾患などのウイルス性疾患を含むがこれらに限定されない感染性疾患を処置するために使用される組成物内にも提供することができる。
【0130】
当然のことながら、本明細書中で特定される疾患の状態は、例示的であることが意図され、そして網羅的ではない。さらに、VSIG3/VISTAアゴニストまたはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、同じまたは異なる組成物内で、同時にまたは異なる時に投与することができる他の治療薬と組み合わせることができる。例えば、VSIG3/VISTAアゴニストもしくはVSIG3/VISTAアンタゴニストは、PD−1またはPD−L1アゴニストもしくはアンタゴニスト、CTLA4−Ig、サイトカイン、サイトカインアゴニストもしくはアンタゴニスト、または別の受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの投与を含む治療レジメン内で投与することができる。
【0131】
多量体化
理論に拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のVSIG3/VISTA相互作用は、多量体化複合体を含んでもよいと考えられる。例えば、図17は、図9に示されるBiacoreによって測定されるような高親和性相互作用(約17nM)と一致し、かつ図7および図10に示される親和性に基づく細胞外相互作用スクリーニング(AVEXIS)相互作用アッセイに類似し、図11図14の結果を有する、予測される最小のVISTA−VSIG3結合集合体を示す。この多量体相互作用はさらに、このような複合体の集合体が、抗VSIG3抗体の結合によってどのように破壊され得るかを例示する。AVEXISスクリーニングは、多量体化されたVISTA外部ドメイン(ECD)がVSIG3 ECDのダイマーを結合できることを示したが、逆の状況では、VISTAダイマーに対してペンタ−VSIG3をピッティングしても、結合事象のあるイベントは検出されなかった。
【0132】
理論に拘束されることを望むものではないが、これらの結果は、4つのVISTA ECDが2つのVSIG3 ECDと係合する、VISTA分子とVSIG3分子との間の4:2の化学量論を示唆する。この相互作用は、PVR−TIGIT構成のX線構造解析によって捉えられた結合複合体を連想させ(Stengel et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:5399−5404)、これは、図17Cに示されるように、安定に結合したPVRとTIGIT ECDの2:2化学量論を示す。PVR−TIGIT複合体は、TIGITの免疫グロブリン(Ig)ドメインが、Igドメインβサンドイッチの「ABE」または背面(これは、典型的には、7〜9個のβ−ストランド、標識A−Gから構成される)を使用して、最初に、背中合わせの様式でホモ二量体として会合する必要があることを示す(Bork et al.(1994)J.Molec.Biol.242:309−320)。次いで、TIGIT ECDホモ二量体は、それぞれの向かい合わせの、または「GFC」面相互作用を介して、一対のPVR ECDを結合することができる。これらのGFC表面介在性Igドメイン相互作用は、Igドメインが結合するための最も一般的な方法であり、細胞表面免疫調節性レセプター間のほぼ全ての最小結合複合体において、X線構造解析(Stengel et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:5399−5404)、さらには抗体およびT細胞レセプター(TCR)複合体(Lin et al.(2008)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:3011−3016)によって捕捉されている。
【0133】
同様に、図17Dは、PD−1と、そのリガンド、PD−L1およびPD−L2の両方との間の1:1結合複合体を示し、これらは、それぞれ、相互作用するIg ECDの同じ向かい合わせの面(またはGFC)を利用する(Lin et al.(2008)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:3011−3016; Lazar−Molnar et al.(2008)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:10483−10488)。
【0134】
類推により、VSIG3は、最初に、図17Aに示されるような背中合わせ(ABE面)のホモ二量体、またはおそらく、図17Bに示されるようなVSIG3−VSIG8ヘテロダイマーを形成し得る(両方が同じ細胞表面上に存在する場合)。VSIG3およびVSIG8は、非常に類似したアーキテクチャを有するIgスーパーファミリータンパク質であり(それぞれのECDの両方は、一対のIgドメインを明らかにし、そのN−末端ドメインのみがVISTA ECDへの細胞間結合に関与することが予測される)、両クラスターは同一のIgサブファミリーに互いに近接しており、Ig免疫調節タンパク質の高感度配列に基づく分類から引き出している(Rubinstein et al.(2013)Structure 21(5):766−776)。VSIG3とVSIG8との間のこの密接な配列および構造的関係は、それらのヘテロ二量体形成およびジョイントVISTA結合を可能にすることができる。PVR−TIGITで見られるように、中央のVSIG3ホモ二量体は、図17Aおよび図17Bに示されるように、向かい合わせの(またはGFC面)相互作用を通してVISTA ECDを係合する。しかしながら、PVR−TIGITとは異なり、VISTAはモノマーとしてVSIG3と係合しているようには見えないが、おそらくそのIg領域の中間における20近い異例のアミノ酸挿入(VISTA Ig β−サンドイッチの折りたたみを不安定化させる(destablize)可能性がある)(Nowak et al.(2017)Immunol.Rev.276:66−79)は、それ自体が背中合わせのVISTAホモ二量体を介して安定化される必要があり、したがって、図17Aおよび図17Bに示されるように、4つのVISTA ECD(二対の背中合わせのホモ二量体における)が、それぞれの向かい合わせの相互作用でVSIG3ホモ二量体(またはVSIG3−VSIG8ヘテロダイマー)を把持するために最低限でも使用される。対照的に、図17Cに示されるように、PVRは、従来のIg構造を有するモノマーECDとして安定であり、したがって、TIGITホモ二量体と係合するために2つのPVRのみが必要とされる。
【0135】
従って、本明細書中にさらに記載されるように、VSIG3に対するブロッキング抗体は、いくつかの実施形態において、4:2のVISTA−VSIG3複合体(または図17Aに示されるように、VISTA−VSIG3)の集合体を破壊し得る。
【0136】
多量体化VSIG3または多量体化VISTAおよびその製造方法および使用方法
いくつかの実施形態では、本開示は、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および多量体化VSIG8;多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および多量体化VSIG8を作製する方法;ならびに多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および多量体化VSIG8を使用する方法を記載する。
【0137】
いくつかの実施形態では、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8は、コイルドコイルドメインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コイルドコイルドメインは、五量体コイルドコイルドメインであってもよい。いくつかの実施形態では、コイルドコイルドメインは、VSIG3、VISTA、またはVSIG8に共有結合してもよい。いくつかの実施形態では、コイルドコイルドメインは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)のコイルドコイルドメインであってもよい。いくつかの実施形態では、COMPタンパク質は、ヒトタンパク質であってもよい。いくつかの実施形態では、COMPタンパク質はラットタンパク質であってもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8は、リンカードメインを含んでもよい。いくつかの実施形態において、リンカードメインは、少なくとも10アミノ酸、少なくとも11アミノ酸、少なくとも12アミノ酸、または少なくとも13アミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカードメインは、最高で12個のアミノ酸、最高で13個のアミノ酸、最高で14個のアミノ酸、最高で15個のアミノ酸、または最高で20個のアミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態において、リンカードメインは、NSGGGSGGGTG(配列番号13)またはLDRNLPPLAPLGP(配列番号14)またはその両方を含んでもよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8は、アルカリホスファターゼを含んでもよい。アルカリホスファターゼは、親和性に基づくの細胞外相互作用スクリーニング(AVEXIS)アッセイにおける酵素的検出のために使用されてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTAおよび/または多量体化VSIG8は、例えば、Hisタグを含む、タンパク質タグを含んでもよい。
【0141】
いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8は、TEV切断部位を含んでもよい。いくつかの実施形態において、TEV切断部位は、GSENLYFQGを含んでもよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8は、図8に開示される配列の各々の全部または一部を含み得る。
【0143】
理論に拘束されることを望むものではないが、VSIG3とVISTAと、およびVSIG8とVISTAとの相互作用は、受容リガンド相互作用に典型的に見られる1:1の相互作用(例えば、PD−1とPD−L1との間の相互作用)より大きい複合体ストイキオメトリーを示すと考えられる。例えば、VSIG3とVISTAとの間の相互作用は、4:2の化学量論を有する場合がある。したがって、VISTA、VSIG3、およびVSIG8の多量体化は、VSIG3とVISTAとの間、またはVSIG8とVISTAとの間の相互作用を複製し、破壊し、または検出を改善するのに役立つ可能性がある。
【0144】
いくつかの実施形態では、多量体化タンパク質(例えば、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8)を用いて、VSIG3とVISTAとまたはVSIG8とVISTAとの相互作用を調節することができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG3とVISTAとの相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG8とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG8とVISTAとの相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VSIG3の多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG3とVISTAとの相互作用の調節は、VISTAの多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG8およびVISTAの相互作用の調節は、VISTAの多量体化の調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、VSIG8およびVISTAの相互作用の調節は、VSIG8の多量体化の調節を含むことができる。
【0145】
いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTAおよび/または多量体化VSIG8は、インビトロまたはインビボのスクリーニングアッセイで使用されてもよい。例えば、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8を用いて、VSIG3、VISTA、および/またはVSIG8の結合パートナーをスクリーニングしてもよい。さらに、または代替として、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8を使用して、VSIG3とVISTAとの相互作用を調節する化合物をスクリーニングし;VSIG8およびVISTAの相互作用を調節する化合物をスクリーニングし;VSIG3のリガンドとのVSIG3の相互作用を調節する化合物をスクリーニングし;またはVISTAのリガンドとのVISTAの相互作用を調節する化合物をスクリーニングしてもよい。いくつかの実施形態では、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8を使用して、VISTA/VSIG相互作用の結合親和性および動態を測定してもよい。いくつかの実施形態において、多量体は、VSIG3アゴニストおよび/またはVSIG3アンタゴニストの開発および/または特徴付けにおいて使用することができる。いくつかの実施形態において、多量体化VSIG3、多量体化VISTAおよび/または多量体化VSIG8を使用して、非多量体化タンパク質を使用するスクリーニングアッセイと比較してスクリーニングアッセイにおける検出感度を増大させることができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8を使用して、VSIG3、VSIG8、および/またはVISTAシグナル伝達を調節してもよい。例えば、VSIG3多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8を用いて、例えばT細胞シグナル伝達またはT細胞増殖を含むT細胞に対するVSIG3、VSIG8、またはVISTAの抑制効果を阻害または予防してもよい。さらに、または代替として、多量体化VSIG3、多量体化VISTA、および/または多量体化VSIG8を使用して、VSIG3とVISTAとの相互作用を阻害または予防してもよい。
【0147】
ある場合には、VSIG3−COMPおよび/またはVISTA−COMPアンタゴニストは、例えば、CD3誘導性MIP−1アルファ、CD3誘導性Rantes(CCL5)、CD3誘導性CXCL11、CD3誘導性インターフェロン(IFN)−γ、IL−2および/またはIL−17(IL−17Aとしても知られる)産生を含む、CD3誘導性シグナル伝達の抑制をもたらすことになる。このようなCD3誘導性シグナル伝達は、末梢血単核細胞(PBMC)および/またはT細胞において減少する場合がある。この抑制は、VISTA、VSIG3および/またはVSIG8を発現する細胞を用いたインビトロ細胞ベースのアッセイを使用して検出される場合がある。例えば、図15に示されるように、VSIG3−COMPは、T細胞の増殖および活性化をブロックする。
【0148】
方法の実施形態
1.VISTAとVSIG3との相互作用を調節することを含む方法であって、VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物を導入することを含む方法。
【0149】
2.VISTAとVSIG3との相互作用の調節が、VISTAとVSIG3との相互作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることを含む、実施形態1の方法。
【0150】
3.VISTAとVSIG3との相互作用を調節することが、VISTAもしくはVSIG3またはその両方の多量体化を調節することを含む、実施形態1または2のいずれかの方法。
【0151】
4.VISTAが細胞の表面上で発現される、
VSIG3が細胞の表面上で発現される、または
VISTAおよびVISG3の両方が細胞の表面上で発現される、
実施形態1〜3のいずれか1つの方法。
【0152】
5.化合物が抗VSIG3抗体を含む、実施形態1〜4のいずれか1つの方法。
【0153】
6.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体、または
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体、を含む、実施形態5の方法。
【0154】
7.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つ以上により産生される抗体の重鎖可変領域、または、
表2Aのクローンのうちの1つ以上により産生される抗体の軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態5または6のいずれかの方法。
【0155】
8.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または、
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態5〜7のいずれか1つの方法。
【0156】
9.抗VSIG3抗体が、表2Aのクローンのうちの1つ以上により産生される抗体を含む、実施形態5〜8のいずれか1つの方法。
【0157】
10.化合物がさらに抗VISTA抗体を含む、実施形態5〜9のいずれか1つの方法。
【0158】
11.化合物が抗原結合フラグメントを含む、実施形態5〜10のいずれか1つの方法。
【0159】
12.化合物がVSIG3ポリペプチドを含む、実施形態1〜11のいずれか1つの方法。
【0160】
13.化合物が、配列番号1、配列番号2、または配列番号3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、実施形態1〜12のいずれか1つの方法。
【0161】
14.化合物がVSIG3の可溶性フラグメントを含む、実施形態12または13のいずれかの方法。
【0162】
15.化合物がVSIG3の細胞外領域を含む、実施形態12〜14のいずれか1つの方法。
【0163】
16.化合物が配列番号2を含む、実施形態15の方法。
【0164】
17.化合物が融合タンパク質を含む、実施体15または16のいずれかの方法。
【0165】
18.化合物がFcドメインを含む、実施形態15〜17のいずれか1つの方法。
【0166】
19.化合物が配列番号3を含む、実施形態18の方法。
【0167】
20.化合物がVISTAポリペプチドを含む、実施形態1〜19のいずれか1つの方法。
【0168】
21.化合物が配列番号4、配列番号5、または配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、実施形態20の方法。
【0169】
22.化合物がVISTAの可溶性フラグメントを含む、上記実施形態20または21のいずれかの方法。
【0170】
23.化合物がVISTAの細胞外領域を含む、実施形態20〜23のいずれかの方法。
【0171】
24.化合物が配列番号5を含む、実施形態23の方法。
【0172】
25.化合物が融合タンパク質を含む、実施形態20〜24のいずれか1つの方法。
【0173】
26.化合物がFcドメインを含む、実施形態20〜25のいずれか1つの方法。
【0174】
27.化合物が配列番号6を含む、実施形態26の方法。
【0175】
28.化合物が軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)のコイルドコイルドメインを含む、実施形態1〜27のいずれかの方法。
【0176】
29.COMPがラットCOMPまたはヒトCOMPを含む、実施形態28の方法。
【0177】
30.コイルドコイルドメインが、五量体コイルドコイルドメインを含む、実施形態28または29のいずれかの方法。
【0178】
31.コイルドコイルドメインがVSIG3ポリペプチドまたはVISTAポリペプチドまたはその両方に共有結合される、実施形態28〜30のいずれか1つの方法。
【0179】
32.化合物がリンカードメインを含む、実施形態31の方法。
【0180】
33.リンカードメインが、NSGGGSGGGTG(配列番号13)またはLDRNLPPLAPLGP(配列番号14)またはその両方を含む、実施形態32の方法。
【0181】
34.化合物がアルカリホスファターゼを含む、実施形態28〜33のいずれか1つの方法。
【0182】
35.化合物がTEV切断部位を含む、実施形態28〜34のいずれか1つの方法。
【0183】
36.化合物がVISTAとVSIG3との結合を阻害する、実施形態1〜35のいずれか1つの方法。
【0184】
37.化合物がVISTAシグナル伝達を阻害する、実施形態1〜36のいずれか1つの方法。
【0185】
38.化合物がVSIG3シグナル伝達を阻害する、実施形態1〜37のいずれか1つの方法。
【0186】
39.化合物が、CD3誘導性IL−2産生、CD3誘導性インターフェロン−γ産生、CD3誘導性RANTES産生、CD3誘導性MIP−1アルファ産生、CD3誘導性IL−17産生、もしくはCD3誘導性CXCL11産生、またはそれらの組み合わせに影響を与える、実施形態1〜38のいずれかの方法。
【0187】
40.化合物がT細胞増殖に影響を与える、実施形態1〜39のいずれかの方法。
【0188】
41.方法が、対象を治療有効量の化合物で処置することをさらに含む、実施形態1〜40のいずれか1つの方法。
【0189】
42.VSIG3が対象から得られた生物学的試料内に過剰発現される、実施形態41の方法。
【0190】
抗体の実施形態
1.VSIG3に結合するモノクローナル抗体。
【0191】
2.抗体が、VSIG3−VISTA相互作用、VSIG3−VSIG8相互作用、VSIG3の多量体化、もしくはVISTAの多量体化、またはその組合せをブロックする、実施形態1の抗VSIG3抗体。
【0192】
3.抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体、または
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体を含む、実施形態1または2のいずれかの抗VSIG3抗体。
【0193】
4.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つ以上により産生される抗体の重鎖可変領域、または
表2Aのクローンのうちの1つ以上により産生される抗体の軽鎖可変領域、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜3のいずれか1つの抗VSIG3抗体。
【0194】
5.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
表2Aのクローンのうちの1つにより産生される抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜4のいずれか1つの抗VSIG3抗体。
【0195】
6.抗VSIG3抗体が、表2Aのクローンのうちの1つ以上により産生される抗体を含む、実施形態1〜5のいずれか1つの抗VSIG3防体。
【0196】
7.表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生されるモノクローナル抗体。
【0197】
8.表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の重鎖可変領域、または
表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の軽鎖可変領域、
のうちの少なくとも1つを含む、モノクローナル抗体。
【0198】
9.表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、
のうちの少なくとも1つを含む、モノクローナル抗体。
【0199】
10.表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)の各々、または
表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のCDRの各々、または
表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域のCDRの各々、および表2Aのクローンのうちの1つによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のCDRの各々、を含むモノクローナル抗体。
【0200】
13.表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域の1つ以上の相補性決定領域(CDR)と少なくとも80%同一であるか、または
表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRと少なくとも80%同一であるか、または
表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域の1つ以上のCDRと少なくとも80%同一であり、かつ表2Aのクローンによって産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域の1つ以上のCDRと少なくとも80%同一である、アミノ酸配列、を含むモノクローナル抗体。
【0201】
14.モノクローナル抗体がVSIG3に結合する、実施形態7〜13のいずれか1つのモノクローナル抗体。
【0202】
15.モノクローナル抗体がIgG抗体を含む、実施形態7〜14のいずれか1つのモノクローナル抗体。
【0203】
16.モノクローナル抗体が、VSIG3リガンドへのVSIG3の結合を阻害する、実施形態7〜15のいずれか1つのモノクローナル抗体。
【0204】
17.モノクローナル抗体が、VISTAへのVSIG3の結合を阻害する、実施形態7〜16のいずれか1つのモノクローナル抗体。
【0205】
18.モノクローナル抗体が、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、もしくはFvフラグメント、またはその組み合わせを含む抗原結合フラグメントを含む、実施例7〜17のいずれか1つの実施形態のモノクローナル抗体。
【0206】
19.実施形態1〜18のいずれか1つのモノクローナル抗体または抗VSIG3抗体を含む、組成物。
【0207】
20.実施形態1〜18のいずれか1つのモノクローナル抗体または抗VSIG3抗体を含むキット。
【0208】
化合物の実施形態
1.VISTAとVSIG3との相互作用を調節する化合物。
【0209】
2.抗VSIG3抗体を含む実施形態1の化合物。
【0210】
3.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体と同じVSIG3エピトープに結合する抗体、または
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体、を含む、実施形態2の化合物。
【0211】
4.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の重鎖可変領域、または
表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体の軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜3のいずれか1つの化合物。
【0212】
5.抗VSIG3抗体が、
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の重鎖可変領域のうちの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、または
表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体の軽鎖可変領域のうちの1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜4のいずれか1つの化合物。
【0213】
6.抗VSIG3抗体が、表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体を含む、実施形態1〜5のいずれか1つの化合物。
【0214】
7.化合物が抗原結合フラグメントを含む、実施形態2〜6のいずれか1つの化合物。
【0215】
8.化合物が、VISTAとVSIG3との結合を阻害する、実施形態1〜7のいずれか1つの化合物。
【0216】
9.化合物が、VSIG3の多量体化を調節する、実施形態1〜8のいずれか1つの化合物。
【0217】
10.化合物が、VISTAのシグナル伝達を阻害する、実施形態1〜9のいずれか1つの化合物。
【0218】
11.化合物が、VSIG3のシグナル伝達を阻害する、実施形態1〜10のいずれか1つの化合物。
【0219】
12.化合物が、CD3誘導性IL−2産生、CD3誘導性インターフェロン−γ産生、CD3誘導性RANTES産生、CD3誘導性MIP−1アルファ産生、CD3誘導性IL−17産生、もしくはCD3誘導性CXCL11産生、またはそれらの組み合わせに影響を与える、実施形態1〜11のいずれか1つの化合物。
【0220】
13.化合物がT細胞増殖に影響を与える、実施形態1〜12のいずれか1つの化合物。
【0221】
14.化合物がVSIG3ポリペプチドを含む、実施形態1〜13のいずれか1つの化合物。
【0222】
15.化合物が、配列番号1、配列番号2、または配列番号3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、実施形態14の化合物。
【0223】
16.化合物が、VSIG3の可溶性フラグメントを含む、実施形態14または15の化合物。
【0224】
17.化合物が、VSIG3の細胞外領域を含む、実施形態14〜16のいずれか1つの化合物。
【0225】
18.化合物が配列番号2を含む、実施形態17の化合物。
【0226】
19.化合物が融合タンパク質を含む、実施形態17〜18のいずれか1つの化合物。
【0227】
20.化合物がFcドメインを含む、実施形態14〜19のいずれか1つの化合物。
【0228】
21.化合物が配列番号3を含む、実施形態20の化合物。
【0229】
22.化合物がVISTAポリペプチドを含む、実施形態1〜21のいずれか1つの化合物。
【0230】
23.化合物が、配列番号4、配列番号5、または配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を含む、上記実施形態22の化合物。
【0231】
24.化合物が、VISTAの可溶性フラグメントを含む、実施形態22または23の化合物。
【0232】
25.化合物が、VISTAの細胞外領域を含む、実施形態22〜24のいずれか1つの化合物。
【0233】
26.化合物が配列番号5を含む、実施形態25の化合物。
【0234】
27.化合物が融合タンパク質を含む、実施形態1〜26のいずれか1つの化合物。
【0235】
28.化合物がFcドメインを含む、実施形態1〜27のいずれか1つの化合物。
【0236】
29.化合物が配列番号6を含む、実施形態28の化合物。
【0237】
30.化合物が、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)のコイルドコイルドメインを含む、実施形態1〜29のいずれかの化合物。
【0238】
31.COMPがラットCOMPまたはヒトCOMPを含む、実施形態30の化合物。
【0239】
32.コイルドコイルドメインが、五量体コイルドコイルドメインを含む、実施形態30または31のいずれかの化合物。
【0240】
33.コイルドコイルドメインがVSIG3ポリペプチドもしくはVISTAポリペプチドまたはその両方に共有結合される、実施形態30〜32のいずれか1つの化合物。
【0241】
34.化合物がリンカードメインを含む、実施形態33の化合物。
【0242】
35.リンカードメインが、NSGGGSGGGTG(配列番号13)もしくはLDRNLPPLAPLGP(配列番号14)またはその両方を含む、実施形態34の化合物。
【0243】
36.化合物がアルカリホスファターゼを含む、実施形態30〜35のいずれか1つの化合物。
【0244】
37.化合物がTEV切断部位を含む、実施形態30〜36のいずれか1つの化合物。
【0245】
38.化合物が、VISTAとVSIG3との結合を阻害する、実施形態1〜37のいずれか1つの化合物。
【0246】
39.実施形態1〜38のいずれかの化合物を含む、組成物。
【0247】
40.実施形態1〜38のいずれか1つの化合物を含む、キット。
【0248】
41.治療有効量の実施形態1〜38のいずれか1つの化合物で対象を処置することを含む、方法。
【0249】
42.VSIG3が対象から得られる生物学的試料内に過剰発現される、実施形態41の方法。
【0250】
組成物の実施形態
1.少なくとも1つの抗VSIG3抗体が表2Aのクローンによって産生される抗体を含む、2つ以上の抗VSIG3抗体を含む組成物。
【0251】
2.各抗VSIG3抗体が、VSIG3−VISTA相互作用、VSIG3−VISTA8相互作用、VSIG3の多量体化、VISTAの多量体化の1つ以上をブロックする実施形態1の組成物。
【0252】
3.2つ以上の抗VSIG3抗体が異なるエピトープに結合する、実施形態1または2のいずれかの組成物。
【0253】
4.抗VSIG3抗体のうちの少なくとも1つがVSIGのABE Ig面と相互作用する実施体1〜3のいずれかの組成物。
【0254】
5.抗VSIG3抗体のうちの少なくとも1つがVSIGのGFC Ig面と相互作用する実施体1〜4のいずれかの組成物。
【0255】
6.抗VSIG3抗体および抗VISTA抗体を含み、VSIG3−VISTA相互作用、VSIG3−VISTA8相互作用、VSIG3の多量体化、もしくはVISTAの多量体化、またはそれらの組み合わせをブロックし、かつ抗VSIG3抗体が表2Aのクローンのうちの1つ以上によって産生される抗体を含む、組成物。
【0256】
7.多量体化VSIG3、多量体化VISTA、もしくは多量体化VSIG8、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【0257】
ポリクローナル抗体の実施形態
1.免疫原で免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、免疫原がポリペプチドを含み、ポリペプチドが、表3Aに記載されるポリペプチドのうちの1つ以上を含む、ポリクローナル抗体。
【0258】
2.免疫原で免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、免疫原がポリペプチドを含み、ポリペプチドが、表3Aに記載されるポリペプチドのうちの1つ以上からなる、ポリクローナル抗体。
【0259】
3.免疫原で免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、免疫原がポリペプチドを含み、ポリペプチドが表3Aに記載のポリペプチドからなる、ポリクローナル抗体。
【0260】
4.ポリペプチドで免疫することによって生成されるポリクローナル抗体であって、ポリペプチドが表3Aに記載のペプチドからなる、ポリクローナル抗体。
【0261】
5.ポリクローナル抗体がVSIG3に結合する、実施形態1〜4のいずれか1つのポリクローナル抗体。
【0262】
本発明を以下の実施例により例示する。特定の実施例、材料、量、および手順は、本明細書に記載される本発明の範囲および趣旨に従って広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
実施例
【0263】
別段の記載がない限り、以下の実施例における全てのインキュベーションは室温におけるものであり、全ての試薬、出発物質、および使用した溶媒は、商業的供給業者(Sigma−Aldrich,St.Louis,MOなど)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0264】
実施例1:モノクローナル抗体
組換えヒトVSIG3 Fcキメラ(「rhVSIG3」−配列番号3によってコードされる;表1を参照のこと)は、機能的ELISA結合アッセイにおいて、組換えヒトVISTA Fcキメラ(「rhVISTA」−配列番号6によってコードされる;表1を参照のこと)に特異的に結合する。rhVISTAを、ELISAマイクロタイタープレートのウェル上に、100μLの体積中2μg/mlでコーティングした。ウェルを1%のBSAでブロッキングした後、ビオチンで標識した様々な量のrhVSIG3を添加した。rhVSIG3−rhVISTA相互作用に起因するプレートと結合したビオチン標識をストレプトアビジン−HRPで検出した。図1Aに示されるように、rhVISTAが、ウェルあたり100μLの体積中2μg/mLでマイクロタイタープレートのウェル上に固定化される場合、最適な結合応答の50%を生じるrhVSIG3の濃度は、約0.25μg/mLである。非特異的結合を差し引き、全ての場合において、全シグナルの5%未満であった。
【0265】
モノクローナル抗VSIG3抗体を開発し、特異性を、250ng/mLのHisタグ化rhVSIG3タンパク質を有するコーティングを用いた直接ELISA試験で試験した。表2のクローンによって産生された抗体の結果を、表2Aの右端の列に示す。
【0266】
rhVSIG3−rhVISTA相互作用に対するモノクローナル抗VSIG3抗体(表2Aのクローンのうちの1つによって産生される抗体を含む)の効果を試験するために、ELISAプレートを、2〜8℃にて一晩、100μLの体積中2μg/mlのrhVSIG3でコーティングした。1%のBSAでブロッキングした後、様々な量のms×ヒトVSIG3を添加し、室温で2時間前処置した。ビオチン化rhVISTAタンパク質を、100μLの体積中7.5μg/mlで各ウェルに添加した。rhVSIG3−rhVISTA相互作用は、ストレプトアビジン−HRPを用いて検出され、続いて色彩反応を行った。代表的な結果を図1Bに示す。
【0267】
VISTAに特異的な抗体の存在下でELISAアッセイを用いて試験したrhVSIG3とrhVISTAとの間の相互作用の特異性を示すさらなる結果を、表2Bにまとめる。30のモノクローナル抗ヒトVSIG3抗体を、機能的ELISA結合アッセイを用いて試験した。表2Bに示すように、試験したVSIG3に対する30個のモノクローナル抗体のうち26個は、rhVSIG3とrhVISTAとの間の相互作用をブロックした。
表2A
【表2】
表2B
【表3】
【0268】
実施例2:ポリクローナル抗体
ウサギポリクローナル抗ヒトVSIG−3抗体を、表3Aに列挙されるポリペプチドを使用して生成し、そして実施例1に記載されるように試験した。簡潔には、rhVSIG−3を、ELISAマイクロタイタープレートのウェル上に、100μLの体積中2μg/mlで、2〜8℃にて一晩、コーティングした。ウェルを1%のBSAでブロッキングした後、様々な量のポリクローナルウサギ抗hVSIG−3ペプチド抗体を添加し、室温にて2時間前処置した。次いで、7.5μg/mLのビオチン化rhVISTAを、100μLの体積中で各ウェルの中へと添加した。
【0269】
例示的な結果を図2および表3に示す。表3Bに示されるように、試験した16個のウサギポリクローナル抗体のうちの6個は、rhVSIG3とrhVISTAとの間の相互作用をブロックした。ED50は、最大ブロッキングの50%を回収するのに必要な抗体の濃度を反映する。
表3A
【表4】
表3B
【表5】
【0270】
実施例3:T細胞機能に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の効果
IL−2 分泌物
図3に示すように、rhVSIG3は、T細胞による抗CD3誘導性IL−2産生を用量依存的に有意に阻害した。ウサギポリクローナル抗ヒトVSIG3抗体(N66)は、活性化T細胞からのIL−2分泌を阻害するVSIG3の能力をブロックした。
【0271】
マウス抗ヒトCD3抗体を96ウェルプレート上に1μg/mLで、2〜8℃にて一晩コーティングした。次いで、rhVSIG−3タンパク質を、連続希釈(白丸)または20μg/mLでアッセイプレート上に固定化し、37℃にて3時間インキュベートした。連続希釈したポリクローナルウサギ抗ヒトVSIG−3(N66)またはアイソタイプ対照(ウサギIgG)を添加し、20μg/mLのrhVSIG−3タンパク質と共に室温にて1〜2時間共インキュベートした。ヒトT細胞を、MagCellect Human CD3 Isolation Kit(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いてヒトPBMCから単離し、単離したヒトT細胞を、このプレートに添加し(2×10/ウェル)、5% COの存在下、37℃にて24時間培養した。分泌されたIL−2を、QUANTIKINEヒトIL−2 ELISAキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して、細胞培養上澄み液内で測定した。結果を図3に示す。
【0272】
N66について観察されたND50は、約2.67μg/mLであり、固定化rhVSIG−3の濃度に依存すると予想される。
【0273】
T細胞の増殖と活性化
図4および表4に示すように、rhVSIG3タンパク質は、抗CD3誘導性細胞増殖および正常ヒト末梢血T細胞の活性化を阻害し、抗VSIG3抗体はこの阻害をブロックすることができる。
【0274】
抗ヒトCD3(1〜5μg/mL;R&D Systems、クローンUCHT1、MAB100)およびヒトIgG(対照タンパク質;1〜5μg/mL; R&D Systems 100−HG)またはrhVSIG3タンパク質(10〜50μg/ml)を、示された抗ヒトVSIG3抗体(1〜10μg/ml)と一緒に、4℃にて一晩インキュベートすることによって96ウェルプレート上にコーティングした。プレートをPBSで洗浄し、PBS中の2.5%ヒトAB血清(Innovative Research,Novi,MI)で30分間ブロックした。CD3T細胞を、Cell Trace Violet増殖染料(Life Technologies、製造業者の仕様に従って)で標識したCD3T細胞単離キット(R&D Systems、MAGH101)を用いてヒトPBMCからネガティブに選択し、200μLのRPMI+10%ヒトAB血清中でウェル(ウェル当たり5×10−2×10細胞)に添加した。プレートを37℃にて72〜96時間インキュベートし、次いで細胞を回収し、増殖/細胞活性化をフローサイトメトリーによって分析した。
【0275】
図4および表4に示されるように、ヒトT細胞の抗CD3誘導性増殖(図4、最初の灰色の棒)は、rhVSIG3タンパク質(斜線の棒)によって阻害された。モノクローナル抗ヒトVSIG3 Ab 774208との共培養は、この阻害に影響を及ぼさなかった。しかしながら、モノクローナル抗ヒトVSIG3抗体クローン973404および993620を用いた培養は、rhVSIG3媒介抑制を逆転することができ、これらの抗体がVSIG3誘導性T細胞増殖抑制をブロックすることを示した。さらに、ポリクローナル抗体G129およびC120もrhVSIG3媒介抑制を逆転させることができ、これらの抗体がVSIG3誘導性のT細胞増殖抑制をブロックすることを示した。
表4
【表6】
【0276】
インターフェロンγ分泌
図5に示すように、rhVSIG3は、T細胞による抗CD3誘導性インターフェロンγ産生を用量依存的な様式で有意に阻害した。例示的なモノクローナル抗ヒトVSIG−3抗体(973404)は、活性化T細胞からのインターフェロン−γ分泌を阻害するVSIG3の性能をブロックした。
【0277】
マウス抗ヒトCD3抗体を96ウェルプレート上に1μg/mLで、2〜8℃にて一晩コーティングした。次いで、rhVSIG−3タンパク質を、連続希釈(□−白四角)または20μg/mLでアッセイプレート上に固定化し、37℃にて3時間インキュベートした。連続希釈モノクローナル抗ヒトVSIG−3(973404または973422)を添加し、20μg/mLのrhVSIG−3タンパク質とともに室温にて1〜2時間共インキュベートした。固定化の間、MagCellect Human CD3+ T Cell Isolation Kit(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いて、キットからの挿入説明書に従ってヒトT細胞を単離した。単離したヒトT細胞(2×10/ウェル)をプレートに添加し、5% CO2の存在下、37℃にて24時間培養した。分泌されたインターフェロン−γを、QUANTIKINEヒトインターフェロン−γELISAキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して、細胞培養上澄み液内で測定した。結果を図5に示す。
【0278】
973404について観察されたND50(○−白丸)は約6.7μg/mlであり、固定化rhVSIG3の濃度に依存すると予想される。
【0279】
実施例4:融合タンパク質
図6に概略的に示すように、VISTA、VSIG3、またはVSIG8を、ラット軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP、残基26〜72)の五量体コイルドコイルドメインに融合させた。配列を表5および図8A図8Cに示す。
【0280】
図7に概略的に示すように、VISTA、VSIG3、またはVSIG8を、ラット軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP、残基26−72)の五量体コイルドコイルドメインに融合させ、続いてアルカリホスファターゼ、フラグ、および6xHisタグを融合させた。リンカー残基を緑色で示す。アルカリホスファターゼは、親和性に基づく細胞外相互作用スクリーニング(AVEXIS)アッセイにおける酵素的検出のために使用することができ、総タンパク質は、抗ポリHis抗体を使用して正規化することができる。配列を表5および図8A〜8Cに示す。
【0281】
これらの融合タンパク質は、高度の多量体化を有し、そして比較的多数のサブユニット(類似の構築物は、ほとんど全て、5個の代わりに2〜3個のサブユニットを含む)およびジスルフィド結合を介したテザリングから生じる高度に安定である。
表5
【表7】
【0282】
実施例5−表面プラズモン共鳴によるVISTA−VSIG3相互作用の動態および親和性の定量
VISTAまたはVISTA−COMP(それぞれ実施例4に記載のように調製)を、抗ポリHis抗体を用いてCM5チップ(GE Healthcare,US)の表面に共有結合的に固定化した。次いで、VSIG3 Fc融合物の希釈物を、0.2nM〜20μMの範囲の濃度で表面上に流し、Biacore T200 Evaluation Software version 3.1により1:1 Langmuir結合モデルへの二重参照減算データフィットを行った。
【0283】
図9に示すように、多量体VISTA−COMPは、単量体VISTA(約2.5μM)よりもVSIG3−Fc(約17nM)について約150倍高い親和性を有する。この増加は、主にオフレートの増加によるものである。
【0284】
実施例6−親和性に基づく細胞外相互作用スクリーニング
親和性に基づく細胞外相互作用スクリーニング(AVEXIS)を改変して、組換えヒトVSIG3(rhVSIG3)とVISTAの相互作用をブロックするVSIG3に対する抗体をスクリーニングした。アッセイの概略図を図10に示す。簡潔には、精製された組換えFc融合タンパク質(すなわち、例えば、VSIG3−Fcを含むベイトタンパク質)を、プロテインA被覆プレート(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)上で個々に捕捉し、次いで、1%のBSAブロッキング緩衝液でブロックした。タンパク質A被覆プレート上でVSIG3−Fcベイトを捕獲した後、ウェルをVSIG3に対するモノクローナル抗体と共に個々にインキュベートした。次いで、COMPヘリカルオリゴマーおよびアルカリホスファターゼに融合したオリゴマープレイタンパク質を含む調整培地を添加し、インキュベートし、洗浄し、そしてBLUEPHOS試薬(KPL/Sera Care,Milford,MA)を使用してアルカリホスファターゼ活性を検出することによって相互作用を定量的に測定した。
【0285】
ヒトVSIG3を認識するラットおよびマウスモノクローナル抗体を作製し、VSIG3−VISTAの相互作用をブロックする機能について試験した。VSIG3−VISTA相互作用の抗体ブロックについてのAVEXISアッセイスクリーニングを、上記のように行った。簡単に述べると、ベイトタンパク質VSIG3−Fcをタンパク質Aでコーティングしたプレート上に捕捉し、抗体無しで、または10μg/mLの抗体でブロックした。クローン774206および74208由来の抗体は、図11に示されるように、VISTA−VSIG3相互作用をほぼバックグランドレベルまでブロックすることが見出され、そして図12図13、および図14において陽性対照として使用された。プレイタンパク質、アルカリホスファターゼを有する多量体VISTAを、抗VSIG3抗体の存在下でインキュベートした。洗浄後、VSIG3とVISTAとの間の相互作用を、アルカリホスファターゼ基質を用いて測定し、650nmでの吸光度を測定することによって定量した。結果を図12図13および図14に示し、表6に要約する。
【0286】
実施例7−VSIG3−COMPは、T細胞の増殖および活性化をブロックする
抗ヒトCD3(1〜5μg/ml)およびrhVSIG3(10〜25μg/ml)またはVSIG3−COMP(10〜25μg/ml)の組み合わせを、4℃にて一晩、96ウェルプレート上にコーティングした。プレートをPBSで洗浄した。CD3T細胞を、CD3T細胞単離キット(R&D Systems、MAGH101)を用いてヒトPBMCからネガティブに選択し、Cell Trace Violet増殖染料(Life Technologies、製造業者の仕様に従って)で標識し、200μlのRPMI+10%ヒトAB血清中のウェル(5×10−2×10細胞/ウェル)に添加した。プレートを37℃にて4〜6日間インキュベートし、次いで細胞を回収し、CD25発現および細胞増殖をフローサイトメトリーによって分析した。結果を図15に示す。
【0287】
図15に示されるように、抗CD3誘導性CD4ヒトT細胞の増殖(左上)は、細胞をrhVSIG3の存在下で培養した場合に部分的に阻害され、VSIG3−COMPの存在下で完全に阻害された(左列点プロット)。T細胞活性化の別の指標としてのCD25発現は、rhVSIG3またはVSIG3−COMPの存在下で同様に阻害された(右側の列の点プロット)。これらの結果は、多量体化VSIG3がrhVSIG3よりもT細胞の活性化と増殖に強く影響することができることを示している。
【0288】
実施例8 − VSIG3ブロッキング抗体は、VISTAが誘導するT細胞増殖および活性化の抑制を回復する
抗ヒトCD3(1〜5μg/ml)およびrhVSIG8(10〜25μg/ml)またはrhVISTA(10〜25μg/ml)の組み合わせを、4℃にて一晩インキュベートすることによって、96ウェルプレート上にコーティングした。プレートをPBSで洗浄し、PBS中の2.5%ヒトAB血清(Innovative Research)で30分間ブロックした。次いで、可溶性抗ヒトVSIG3抗体、993620または973404(1〜10μg/ml)を、適切なウェルに添加した。CD3T細胞を、Cell Trace Violet増殖染料(Life Technologies、製造業者の仕様に従って)で標識したCD3T細胞単離キット(R&D Systems、MAGH101)を用いてヒトPBMCからネガティブに選択し、200μLのRPMI+10%ヒトAB血清中のウェル(ウェル当たり5×10〜2×10細胞)に添加した。プレートを37℃にて3〜6日間インキュベートし、次いで細胞を回収し、増殖/細胞活性化をフローサイトメトリーによって分析した。抗体993620の結果を図16Aおよび図16Bに示す。抗体973404の結果を図16Cに示す。
【0289】
図16Aに示すように、抗CD3はCD4ヒトT細胞の増殖を誘導し(左上のプロット)、これは細胞分裂毎の細胞トレーサーバイオレット染料の希釈、蛍光強度の低下、および右上の象限から左上の象限への細胞集団の動きによって証明される。rhVSIG8またはrhVISTAのいずれかを用いた培養は、右上の象限(上段、中央および右側のプロット)の細胞の維持によって示されるように、CD3誘導性増殖を阻害した。抗ヒトVSIG3抗体クローン993620の添加は、rhVSIG8による増殖の阻害に影響を及ぼさなかったが、rhVISTAタンパク質による増殖の阻害は、部分的に逆転した(右下)。これらの結果は、抗VSIG3モノクローナル抗体993620が、rhVISTA誘導性のT細胞増殖阻害をブロックすることができることを示す。さらに、抗ヒトVSIG3抗体クローン993620の添加は、rhVISTAで培養されたT細胞上でのCD25発現によって測定されるように、CD3誘導性T細胞活性化を部分的に回復させたが、rhVSIG8では回復させなかった(図16B、下段)。
【0290】
図16Cに示されるように、抗CD3誘導性のCD4ヒトT細胞の増殖は、細胞をrhVISTAの存在下で培養した場合に阻害された。この阻害は、アイソタイプ対照抗体(左上)の添加によって影響されなかったが、増殖は、VSIG3モノクローナル抗体973404(左の点プロット)の添加によって部分的に回復した。T細胞活性化の別の指標であるCD25発現は、rhVISTAの存在下で同様に阻害され、これは、VSIG3抗体の添加によって部分的に逆転した(右の点プロット)。これらのデータは、抗VSIG3ブロッキング抗体が、rhVISTA誘導性のT細胞増殖抑制をブロックすることができることを示す。
表6 AVEXISアッセイを用いた抗VSIG3抗体のスクリーニング。
【表8】
【0291】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願、および刊行物、ならびに電子的に入手可能な材料(例えば、GenBankおよびRefSeqにおけるヌクレオチド配列提出物、ならびに例えば、SwissProt、PIR、PRF、PDBにおけるアミノ酸配列提出物、ならびにGenBankおよびRefSeqにおける注釈付きコード領域からの翻訳物を含む)の完全な開示は、参照により組み込まれる。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書の開示との間に何らかの矛盾が存在する場合、本出願の開示が適用されるものとする。前述の詳細な説明および実施例は、理解を明確にするためにのみ与えられたものである。不必要な限定は、それらからであるとは理解されない。本発明は、示され、かつ説明された厳密な詳細に限定されず、当業者に明らかな変形は、実施形態によって定義される本発明の中に含まれることになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
【配列表】
2021512120000001.app
【国際調査報告】